説明

アルデヒド樹脂又はケトン樹脂を有する無機顔料のコーティング

アルデヒド樹脂又はケトン樹脂及び少なくとも1の分散剤を有する無機顔料のコーティングであって、該コーティングは、アルデヒド樹脂又はケトン樹脂でコーティングされている固体有機物質及び無機物質の粒子(どちらも顔料と定義される、顔料は光の一部を吸収し、その残りの部分を反射する物質である)からなる化学化合物を含む。アルデヒド樹脂又はケトン樹脂は、樹脂を溶融すること、結果として起きる濡らすこと、溶融された状態の樹脂で顔料の表面全体をコーティングすること、結果として起きる冷却、及び次に、極低温法で10℃未満の温度条件において稼動する機械システムで粉砕化するステップを想定する方法により、顔料の表面に堆積される。本発明から生じる生成物は、粉体塗料及びプラスチックの着色化及び顔料化のための半加工製品として単色着色物質として使用され、又は溶媒に溶解させた後、液状塗料産業において顔料化されたペーストとしても使用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルデヒド樹脂又はケトン樹脂を有する無機顔料のコーティング、好ましくは顆粒(granules)の形のものに関し、また関連する生産方法にも関する。
【0002】
知られているように、顔料は無機質の固体であり、固定化系(fixing system)、例えば樹脂内で使用され、光の一部を吸収し、該光の残りの部分を反射し、この系で被覆された表面の色を形成するとき、そのようなものとして定義される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
顔料それ自体は、化合物ごとに異なる非常に不規則な表面及び互いに全く異なる他の物質と界面接触(interface)するための性質を有し、接触要素の物理的及び化学的条件により大きく影響されるところの固体である。
【0004】
広い範囲の樹脂に基づくビヒクル系に顔料を取り込むことの難しさは、よく知られている。
【0005】
これは、顔料のポリマー樹脂との接触が押出機の中で溶融された状態で起きる粉体系の場合及び系に凝集効果を与える溶媒で希釈された樹脂との界面接触が起きる液体系の場合のいずれにおいても真実である。
【0006】
今、粉体塗料配合物において、顔料の導入は、顔料と樹脂との間の接触を改善でき、押出段階の間に顔料を樹脂に取りこませることのできる化合物の添加と共に、ビヒクルを構成する種々の形をした樹脂の顆粒を有する顔料の単純な物理的混合により行われる。
【0007】
着色顔料の計量供給(metering)を簡単にするために、多くの場合、後者が不活性な顔料と混合されて、濃度を下げ、少量の場合に計量供給の難しさのリスクを減らす。
【0008】
上記の化合物は、溶融された状態における樹脂の表面張力を調整するか、又は顔料の表面の湿潤化(wetting)を調整する機能を有する。
【0009】
種々の顔料の同時存在は、多くの場合、互いに対立し、中和しあう性質をしばしば有する種々のタイプの化合物を使用する必要性をもたらす。
【0010】
顔料の混合から生じる色の混合の発現は、各場合において異なるところの環境条件の変化のためばかりでなく、バッチごとに異なる顔料表面の種々の性質のために、1つの製造から次の製造への不整合性にさらされ、バッチごとに異なるわけではないにしても溶融された状態におけるポリマーの表面張力の性質は環境条件の変化の結果として非常に異なる可能性があることとなる。
【0011】
液状塗料配合物の場合、溶媒相における顔料の取りこみは、顔料を、溶媒に溶解された樹脂と混合することにより、従来は行われる。
【0012】
溶媒の存在は、樹脂と顔料との間の接触を不安定にする傾向のある凝集性のために、非常にマイナスである。
【0013】
この影響を小さくするために、抗凝集性の化合物が通常、溶媒に溶解された顔料と樹脂のこれらの混合物に添加される。これらは、顔料の表面の静電気の性質を修正し、調整し、樹脂/溶媒溶液の表面張力を修正する性質を有する。
【0014】
顔料/樹脂/溶媒系に典型的なこれらのマイナスの効果のために、着色混合物(colour mixture)は、仕上がった塗料の色効果が経時的に変化する不安定な系と定義され得る。
【0015】
この系に対する改良がプレ分散テクニック及び、対応するモノ顔料ペーストの粉体化によりなされてきた。該プレ分散テクニック及び該粉体化においては、特定の顔料の表面を、選択された溶解された樹脂と界面接触させるために、顔料は、化学化合物の配合物を使用して、アルデヒド及びケトン性であるだけでなく溶媒に溶解された特定の樹脂に取りこまれる。
【0016】
無機顔料及びアルデヒド樹脂又はケトン樹脂から押出により得られる固体顆粒は、開発されている(本出願人名義の国際出願PCT/IT2005/000443を参照されたい)。
【課題を解決するための手段】
【0017】
該製造は、製造及び押出の段階における界面活性剤により、均一性、顔料濃度及び収率の点で改良されることが可能であることが今、見出され、それは本発明の目的である。該製造は、製造の湿潤剤として水の使用を許す。
【0018】
水の使用は、実際、押出機のホッパーによるチャージ段階の間にそのまま残る顔料及び樹脂の均一な混合物を製造することを許し、従ってよりよい均一性を保証し、より高い活性物質濃度及び収率を許す。
【0019】
即ち、本発明の一つの目的は、粉体塗料の着色及び顔料化のための半加工製品(semi finished product)として使用され得る粒子組成物の形のコーティング、又は液状塗料産業において、溶解後、顔料化されたペーストとして溶媒中において使用され得る粒子組成物の形のコーティングを提供することである。
【0020】
別の目的は、粉体及び液状塗料を顔料化するための無機染料の混合物を得るために使用されることのできる、顆粒又は粉体の形のコーティングを提供すること、先行技術に従う顔料の使用において典型的に遭遇される困難を克服することである。
【0021】
特に、本発明の顆粒組成物は、プレコーティングされていない純粋な顔料の代替品として、粉体塗料配合物における半加工製品として使用され得る。それらの使用により、着色系の品質のより高い均一性及びプレコーティングされた物質が有する着色能力を促進するために元々使用される顔料の量の減少を達成することが可能である。さらに、顆粒の形態は、物質の自動輸送を容易にし、ダストによる汚染を減らす。
【0022】
本発明から生じる製品は、粉体塗料の着色及び顔料化のための半加工製品として、又は溶媒に溶解した後に、液状塗料産業における顔料化されたペーストとして、又は仕上られた塗料を着色するための成分として、又は熱可塑性及び熱硬化性プラスチック(例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートPET、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンABS、並びにポリウレタンの種々の組成物、及び強化された及び強化されていないポリアミドの種々の組成物)の両方を顔料化し、従って着色するためにも使用される。
【0023】
特に、先行技術の公知のコーティングに比較して、本発明の顆粒組成物は、完全にダストフリーであり、高い顔料化効果を有し(その結果着色のコストが減少する)、最適な分散(即ち凝集がない)及び容易な溶解性を有し、高い相溶性(即ち、種々の系例えばプラスチックの代わりに粉体塗料において使用され得る)を特徴とする。
【0024】
これら及び下記においてより明らかになる他の目的は、アルデヒド樹脂又はケトン樹脂を有する無機顔料のコーティングであって、固体無機物質の粒子、どちらも定義された顔料である、及びその表面に堆積されたアルデヒド樹脂又はケトン樹脂からなる化学化合物を含むことを特徴とするコーティングにより達成される。
【0025】
従って、本発明の課題は、800〜2000Daの平均分子量及び70℃〜130℃の融点を有する少なくとも1のアルデヒド樹脂及び/又はケトン樹脂でコーティングされた無機顔料からなる粒子組成物からなる。
【0026】
用語「アルデヒド樹脂及び/又はケトン樹脂」は、アルデヒド(好ましくは脂肪族アルデヒド)又はケトン(好ましくはシクロヘキサノン又はメチルシクロヘキサノン)の縮合生成物、任意的に例えば、尿素又はアホルムアルデヒドの縮合生成物であってもよい(optionally with condensation products such as urea or formaldehyde)、を意味すると理解される。
【0027】
これらの樹脂は、着色剤の分野において周知であり、樹脂顆粒と顔料との単純な物理的混合による粉体塗料配合物において、又は顔料を溶媒に溶解された樹脂と混合することによる溶媒相中の液状塗料配合物において通常使用される。アルデヒド樹脂又はケトン樹脂の例は、例えばBAFにより販売されている製品、例えばラロパル(Laropal(商標))、該製品は、参照することにより本明細書に取り込まれる;特にラロパル(商標)A101及びA81は、ウレアと脂肪族アルデヒドとの縮合生成物であり、ラロパル(商標)K80は、シクロヘキサノンの縮合生成物である。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1a】本発明に従う粉体塗料の製造のための可能なプラントの線図。
【図1b】本発明に従う顆粒塗料の製造のための可能なプラントの線図。
【図2】本発明に従うコーティングの使用の範囲を説明する線図。
【図3】本発明に従うコーティングの混合物における顔料:樹脂の相対比を説明する線図。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明の好ましい側面に従うと、アルデヒド及び/又はケトンは、900〜1400Daの平均分子量及び90℃〜110℃の融点を有する。
【0030】
本発明の組成物は、通常、80重量%〜20重量%の顔料及び80重量%〜20重量%の樹脂を含み、添加剤及び/又は助剤、例えば鉱物質強化フィラー及び/又は分散剤及び/又はレオロジー添加物を含んでいてもよい。本発明の好ましい実施態様に従うと、組成物は、基本的に40〜70重量%の顔料、30〜60重量%の樹脂及び0.1〜10重量%の分散剤から、好ましくは50〜65重量%の顔料、35〜45重量%の樹脂及び1〜7重量%の分散剤からなる。
【0031】
本発明の目的のために、用語「基本的に」は、組成物が最小量の、そしていかなる場合であっても20重量%以下の添加剤及び/又は助剤及び/又はレオロジー添加剤、特に鉱物質強化フィラーを、含んでいてもよいことを示すことが意図される。百分率は、組成物の重さに関して意図される。
【0032】
鉱物質強化フィラーの中から、硫酸バリウムが好ましくは使用される。分散剤は、エポキシ化された大豆油及びソルビタンエステルから選択され得る。好ましくはユニケマ社によりアトマー(Atmer)116(商標)として市販されているエトキシ化されたソルビタンエステルが使用される。レオロジー添加剤からは、シリケート及びその誘導体、例えば粘土誘導体、例えばベントン(商標)が好ましく使用される。
【0033】
問題の組成物は、粉体又は顆粒の形であり得る。第一の場合、粉体の粒子は10〜100μの寸法を有し得る。第二の場合、顆粒は0.2〜8.8mmの長さ及び0.4〜2.2mmの直径、好ましくは1.8〜2.2mmの長さ及び1.0〜1.8mmの直径を有し得る。本発明の可能な実施態様の一つに従うと、組成物は1g当たり80〜1000個の顆粒を含む。
【0034】
本発明に従う粒子配合物はある方法により製造され得る。その方法の第一の2つのステップは、配合物が顆粒の形であるか粉体の形であるかに拘わらず変わらない。
【0035】
顔料は、粉体及び顆粒を混合するために適切な容器の中で樹脂と混合される。
【0036】
本発明は、光スペクトルの一部又は全部を吸収し、その残りの部分を反射して目に見える色を作り出す着色顔料又は物質として定義され得るすべてのそのような無機粉体を含む。
【0037】
本発明の目的のために使用されることのできる顔料は、下に列挙される。
【0038】
酸化鉄顔料。黄色、茶色、赤、及び黒のすべてのその色調におけるもの、すべてのその物理的な形及び粒子カテゴリー(grain category)におけるもの。
【0039】
二酸化チタン顔料。すべての異なる無機表面処理におけるもの。
【0040】
酸化クロム顔料。ニッケル及びニッケルチタネートで共沈されたものも含む。
【0041】
鉛スルホクロメートから誘導された黄色顔料。
【0042】
鉛ビスマスバナデートから誘導された黄色顔料。
【0043】
鉛スルホクロメートモリブデートから誘導されたオレンジ色顔料。
【0044】
本研究は、使用され得る種々のポリマーから、この顔料コーティングを得るのに適切なものを突き止めることを意図され、800〜2000の分子量及び70〜130℃の融点を有するアルデヒド樹脂及びケトン樹脂のファミリーに帰着した。
【0045】
本発明は、20℃の温度において固体の状態にあるポリマーの100%の使用に、好ましくは関する。
【0046】
本発明は、上記顔料と上記樹脂との混合物であって、該顔料と該樹脂との相対比が80〜20%及びその逆であるところのもの、すべてを含む。
【0047】
製造された混合物は加熱されたチャンバー押出機に導入される。
【0048】
本発明は、単軸及び双軸押出機の使用にもまた関する。
【0049】
押出は、使用されたアルデヒド又はケトンポリマーの融点より5〜20℃高い押出機の内部温度において好ましくは行われる。
【0050】
押出機から出てきた溶融された物質は、好ましくはクーリングベルト上で冷却されて、冷却されたスチールシリンダーを用いて広げられる。
【0051】
粉体配合物の場合、物質は25℃未満に冷却され、それから通常のピンタイプのフレーキング機によりフレーク化される。
【0052】
次に、フレークの形における該物質は、ピンクラッシャーを含む別の機械システムを使用して粉砕される。
【0053】
半加工製品を特徴づけ、区別する基本的な条件は、粉砕化操作が、10℃未満の操作温度における操作に適する極低温系を使用して行われることである。
【0054】
粉砕化された粒子への変形は、溶融されかつ再固化された樹脂の構造の破壊が行われるが、完全にコーティングされた顔料を残すように、20℃未満の温度において行わなければならない。
【0055】
粉砕化操作は、0.2%以下の量の抗ケーキ剤及びフロー剤、例えば酸化珪素及び酸化アルミニウム粉末の導入を想定している。
【0056】
粉砕化系を出てきた物質は、標準化された粒度分布曲線を生み出すようにグレーディングを受ける。これは、本発明の目的のために、いかなる場合にも例外ではない。
【0057】
グレーディングされた物質は、次に最終用途のために箱詰めにされ、そうすることにより本発明の目的を構成する。
【0058】
他方、顆粒配合物の場合、押出から出てきた溶融された物質は、ダイに運ばれる。ダイから、一定の断面積で引かれ(drawing)、冷却され、ウォータージェット切断機構を使用する湿潤法により顆粒化される。好ましくは、該顆粒はGalaインダストリーズ社により製造され、国際出願国際公開第01/21371号に記載されているタイプのウォータージェット切断顆粒化装置により製造される。該公報は参照することにより本願明細書に取り込まれる。
【0059】
顆粒の乾燥は、単純な換気装置により行われ得、遠心分離及び濾過を使用してスピードアップされることもできる。本発明の好ましい実施態様において、顆粒化ステップが該ウォータージェット切断顆粒化装置により行われる場合には、顆粒は、振動するスクリーン上で水により分離され、次にスパイラルエレベーター上で乾燥される。
【0060】
本発明のさらなる側面に従うと、このようにして得られた顆粒配合物は、粉状化段階に移行されて、粉体配合物を製造する。
【0061】
詳しくは、分散剤の水性溶液が用意される(水が好ましくは配合物の総重量の10〜20重量%の量で使用される);樹脂はミキサーに導入され、該分散剤の水性溶液(約50%)の任意の量で濡らされる(wetted);顔料は、混合の間に導入され、分散剤水性溶液の残量が添加される;混合後、生成物が放出され、次に押出機に移される。
【0062】
有機顔料の場合及び無機顔料の場合の両方において、混合は、通常800〜2200rpmの速度で行われる。
【0063】
粉体塗料における本発明の使用
本発明に従うコーティングは、プレコーティングされていない純粋な顔料の代替品として粉体塗料配合物において有利に使用され得る。
【0064】
それらの使用は、着色系のより均一な品質及びプレコーティングされた物質が有する着色力を促進するために元々使用される顔料の量の減少を保証する。
【0065】
正確な量及び、該塗料製品が意図された最終用途のために、特定のプレコーティングされた顔料の正しい使用法を決定することは、それを使用する技術専門家に残されている。
【0066】
液状塗料における本発明の使用
本発明に従うコーティングは、溶媒における希釈又は溶媒においてプレ希釈された樹脂における希釈の後、液状溶媒塗料の配合物において有利に使用され得る。
【0067】
プレ希釈法は、直接的であり得る。例えば螺旋翼による混合並びに比表面積の増加によるエネルギー移動及び変化する性質及びサイズのボールの使用である。
【0068】
このようにして得られたペーストは、液状溶媒塗料の製造に適切な半加工の製品を構成し得る。
【0069】
本発明に従うコーティングは、塗料への単純な添加及び直接的な手段、例えば螺旋翼、及び比表面積の増加によるエネルギー移動、及び変化する性質及びサイズのボールの両方を使用しての対応する溶解により、着色又は色づけ(色を修正する)するために、溶媒又は溶媒に溶解された樹脂のいずれかにおいて、プレ希釈なしで使用され得る。
【0070】
本発明に従うコーティングは、好ましくはモノ顔料を含む配合物において好ましくは使用され、図2に示される重量比のアルデヒド樹脂及びケトン樹脂で満たされ得る(lined with aldehyde and ketone resins)。該樹脂の分子量は800〜2000の範囲であり、70〜130℃の融点を有する。
【0071】
製造方法は、このコーティングが、ポリマーの融解温度より5〜20℃高い温度におけるホット法を用いて、樹脂部分の顔料の上への押出、ベルト及び冷却シリンダーを用いての薄層における冷却により得られるようなものである。
【0072】
本方法は、極低温法による粉砕化を想定しており、変形は20℃未満で起こり、粉砕化は、溶融され再固化された樹脂の構造の破壊により起きるが、有機であれ無機であれ、完全にコーティングされた顔料を残すという結果を伴う。
【0073】
実際、本発明は、仕事を果たし、所定の目的を達成することが見出された。
【0074】
固体顔料を取り込むための押出の間に、粉体塗料のポリマーを溶融するときに添加される要素の標準化の欠落を補うことのできるコーティングを提供することが可能になった。
【0075】
本発明に従うコーティングは、ある程度の均一な品質を有する、着色された粉体塗料であって、樹脂に顔料を取り込む方法が実施されるところの環境条件に依存せず、実際の押出工程により管理されることのできるパラメーターの結果だけであるところのものの製造を許す。
【0076】
これは、プレコーティングされた顔料はもはやその表面の湿潤化力(wettability)による影響を受けず、樹脂の表面張力は均一性の目的及び顔料混合物の色形成の目的のために影響を与えないことを意味する。
【0077】
本発明に従うコーティングで、上記の困難性のすべてを克服することができる、なぜならプレコーティングされた顔料は、その顔料表面に関する効果のすべてを取り除いており、溶媒中又はよりよくは溶媒に溶解された樹脂の溶液における単純な分散によってもまた実際的に使用される用意がある。
【0078】
明らかに、使用される物質並びに寸法は、要求及び先行技術に依存していてもよい。
【0079】
プラスチックにおける本発明の使用
プレコーティングされた顔料の単色の顆粒(monochromatic granulate)がプラスチック、ポリエチレン、ポリプロピレン、PET、ABS及びポリスチレン、並びに種々の配合のポリウレタンエラストマーを着色するために使用され得る。所与の色を作るために、個別に及び混合されて使用され得る。
【0080】
種々の単色の顆粒の計量供給された混合物は、最終物の着色及び/又は製造のために、プラスチックの顆粒を溶融された状態へと転化する供給ステップの直前に最終的な色の合成(composition)を許す。
【0081】
言い換えると、種々の単一色の顆粒の混合物は、単純な混合により多色(polychromatic colour)の組成物を許す。従って、種々の単色顔料からなる色を得るために、単色の顆粒に基づく着色系の合成を許す。
【0082】
従って、本発明が、また取り組むプラスチックの分野では、顔料化及び関連する着色のためにマスターバッチが使用されてきた。
【0083】
これらは、着色する顔料と、押し出され顆粒にされた樹脂(最後に使用される樹脂に似ている樹脂)との混合物である。
【0084】
これらのマスターバッチは、押出の前にプラスチックに少量添加され、プラスチックの塊を顔料化する。
【0085】
いつも同じ物質及び同じ色を使用する連続的かつ定常的な押出の特定の場合には、顔料が液状ビヒクル、例えば可塑剤(ポリ酸エステル)中で粉体化されるところの液状マスターバッチによりプラスチックを顔料化することが可能である。
【0086】
後者は、押出による顔料化の前に押出のヘッドに供給される。
【0087】
プラスチックの押出物を着色する前に計量供給されるべき、アルデヒド樹脂又はケトン樹脂によりプレコーティングされた顔料の単色顆粒が使用されたことはこれまでなかった。
【0088】
これらの顆粒は、仕上られた色のマスターバッチ(finished-colour master batches)を含む複雑な製造工程を経る必要なしに、該塊に最終的な色を与える。
【0089】
本発明の目的は、既にプレ粉砕された顔料の量の計量供給を許すという目的及び元の顔料の、より害の少ない扱いを与えるという目的である。
【0090】
さらに、アルデヒド樹脂又はケトン樹脂をベースとするコーティングの大きな分子可動性のために、単色の半加工製品及び本発明に従う顆粒で、プラスチック、粉体塗料、及び液状塗料の均一な着色を達成することが可能である。
【0091】
本発明の課題のさらなる特徴及び利点は、添付の図面の非制限的な実施例により説明されるところの、本発明の、好ましいが排他的ではない実施態様の記載の検討からより明らかになる。
【0092】
以下の実施例は純粋に説明的かつ非制限的な機能を有し、押出機に運ばれるべき化合物の可能な混合物のいくらかを識別して、次に、顆粒及び粉体両方の形の本発明の粒状組成物を製造する:乾燥の間に水は除去されてしまっているので、水は明らかに最終配合物の成分と見なされてはならない。部は重量によると見なされるべきである。
【実施例】
【0093】

【0094】

【0095】

【0096】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
分散剤と組み合わせた少なくとも1のアルデヒド樹脂及び/又はケトン樹脂でコーティングされた無機顔料を含む粒子組成物において、該樹脂が800〜2000Daの平均分子量及び70℃〜130℃の融点を有する粒子組成物。
【請求項2】
上記樹脂が900〜1400Daの平均分子量を有することを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
上記樹脂が90℃〜110℃の融点を有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
上記アルデヒド樹脂が、脂肪族アルデヒド及び尿素の縮合生成物であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
上記ケトン樹脂が、シクロヘキサノン又はメチルシクロヘキサノンの縮合生成物である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
上記ケトン樹脂がシクロヘキサノン又はメチルシクロヘキサノンと尿素又はホルムアルデヒドとの縮合生成物であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
上記顔料が、酸化鉄顔料、酸化チタン顔料、ニッケル及びニッケルチタネートで共沈された酸化クロム顔料、鉛スルホクロメート又は鉛ビスマスバナデートからの黄色顔料、鉛スルホクロメートモリブデートからのオレンジ色顔料の中から選択されることを特徴とする、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
80〜20重量%の上記顔料及び80〜20重量%の上記樹脂を含むことを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
40〜70重量%の無機顔料、30〜60重量%の樹脂及び0.1〜10重量%の分散剤から基本的になることを特徴とする、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
50〜65重量%の無機顔料、35〜45重量%の樹脂及び1〜7重量%の分散剤から基本的になることを特徴とする、請求項8に記載の組成物。
【請求項11】
上記分散剤が、エポキシ化された大豆油及びソルビタンエステルの中から選択される、好ましくはエポキシ化されたソルビタンエステルであることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項12】
鉱物質強化フィラー及び/又はレオロジー添加剤を含むことを特徴とする、請求項1〜11のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項13】
上記鉱物質強化フィラー及び/又はレオロジー添加剤が、20重量%以下の量で存在することを特徴とする、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
粉体又は顆粒の形であることを特徴とする、請求項1〜13のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項15】
上記顆粒が、0.2〜8.8mmの長さ及び0.4〜2.2mmの直径を有することを特徴とする、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
上記顆粒が、1.8〜2.2mmの長さ及び1.0〜1.8mmの直径を有することを特徴とする、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
組成物1グラム当たり80〜1000個の顆粒を含むことを特徴とする、請求項15に記載の組成物。
【請求項18】
粉体の粒子が10〜40μの寸法を有することを特徴とする、請求項15に記載の組成物。
【請求項19】
粉体塗料、液状塗料、又はプラスチックを製造するために、請求項1〜18のいずれか1項に記載の組成物を使用する方法。
【請求項20】
樹脂を溶融すること、分散剤の水性溶液の任意の量で該樹脂を濡らすこと、該溶融された樹脂で顔料の表面全体を濡らすこと、上記のようにして得られた混合物を押出すること、それを冷却すること、並びに次に、湿った状態において顆粒化すること及び乾燥することを含む、請求項14に記載の顆粒組成物の製造方法。
【請求項21】
樹脂を溶融すること、該溶融された樹脂で顔料の表面全体を濡らすこと、上記のようにして得られた混合物を押出すること、それを冷却すること、並びに次に10℃未満の温度でそれを粉砕化することを含む、請求項14に記載の粉体組成物の製造方法。
【請求項22】
上記顔料及び/又は上記溶融された樹脂を、分散剤の水性溶液で濡らすことを含む、請求項20又21に記載の方法。
【請求項23】
上記樹脂の溶融温度より5〜20℃高い押出機の内部温度で押出が行われることを特徴とする、請求項20又は21に記載の方法。
【請求項24】
一軸押出機及び二軸押出機の使用、好ましくは加熱されたチャンバータイプの使用を含むことを特徴とする、請求項20又は21に記載の方法。
【請求項25】
上記冷却が、冷却されたスチールシリンダーを使用して広げられたベルト上で行われることを特徴とする、請求項21に記載の粉体組成物の製造方法。
【請求項26】
好ましくは25℃未満に冷却された物質が、粉砕化に付される前にフレーク化されることを特徴とする、請求項21に記載の粉体組成物の製造方法。
【請求項27】
フレークの形における該物質が、ピンクラッシャーを含む種々の機械システムを使用して粉砕されることを特徴とする、請求項21に記載の粉体組成物の製造方法。
【請求項28】
粉砕化が20℃未満で行われることを特徴とする、請求項21に記載の粉体組成物の製造方法。
【請求項29】
粉砕化が、好ましくは0.2重量%未満の量の抗ケーキ剤及びフロー剤、例えば酸化アルミニウム粉末及び酸化珪素粉末の存在下で行われることを特徴とする、請求項21に記載の粉体組成物の製造方法。
【請求項30】
押出機から出てきた上記溶融された物質が冷却され、そしてウォータージェット切断機構による湿潤法を使用して顆粒化されることを特徴とする、請求項21に記載の顆粒組成物の製造方法。
【請求項31】
顆粒が、振動するスクリーン上で水により分離され、次にスパイラルエレベーター上で乾燥されることを特徴とする、請求項30に記載の顆粒組成物の製造方法。
【請求項32】
顆粒粉砕化ステップを含む、請求項20、30及び31のいずれか1項に記載の方法。

【図1a】
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【図1b】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2009−544792(P2009−544792A)
【公表日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−521420(P2009−521420)
【出願日】平成18年7月28日(2006.7.28)
【国際出願番号】PCT/IT2006/000588
【国際公開番号】WO2008/012848
【国際公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願人】(508006595)インクセル トレードマーク アンド パテンツ エスエージーエル (6)
【Fターム(参考)】