説明

アルファ2Bおよび/またはアルファ2Cアドレナリンレセプターのサブタイプ選択性モジュレーターである置換アリール‐(イミダゾール)‐メチル)‐フェニル化合物

アルファ2Bおよび/またはアルファ2Cアドレナリンレセプターサブタイプにおいて選択的調節活性を有する化合物が、下記の一般式(1)によって示される:
【化1】


式1

(式中、R1〜R6は、個々に、H、C1‐6アルキル、ハロゲン、CH2OH、CH2N(R7)2、CH2CN、C(O)R8、CF3、およびアリールからなる群から選ばれ;R7は、HまたはC1‐6アルキルであり;R8は、H、C1‐6アルキルまたはアリールである)。
式(1)化合物は、製薬組成物中に混入して、アルファ2レポーター介在疾患および症状の治療方法において使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願との相互参照)
本出願は、2008年1月18日に出願された米国仮出願第61/022,148号の権利を主張する;本出願は、参考としてその全体を本明細書に合体させる。
本明細書においては、一般に、製薬組成物を製造するのに有用なアルファ2Bおよび/またはアルファ2Cレセプターのサブタイプ選択性モジュレーターを開示する。
【背景技術】
【0002】
アルファ1A、アルファ1B、アルファ2A、アルファ2Bおよびアルファ2Cを包含するアルファ2アドレナリンレセプターは、分子および薬理学的方法によって特性決定されている。これらのアルファレセプターの活性化は、生理学的応答を誘発する。本開示において説明するアドレナリンモジュレーターは、アルファ2Bおよび/またはアルファ2Cレセプターの1つまたは双方を活性化し、有用な治療作用を有する。
【0003】
ヒトアドレナリンレセプターは、2つの広範な群、即ち、アルファおよびベータアドレナリンレセプターに分類されている内在性膜タンパク質である。両タイプは、カテコールアミン、ノルエピネフリンおよびエピネフリンの結合時に、末梢交感神経系の作用を介在する。
【0004】
ノルエピネフリンは、アドレナリン作動性神経終末が産生し、一方、エピネフリンは、副腎髄質が産生する。これらの化合物に対するアドレナリンレセプターの結合親和性が、分類の1つの根拠を形づくる:アルファレセプターは、ノルエピネフリンと、エピネフリンとよりも強く、また、合成化合物イソプロテレノールとよりもはるかに強く結合する傾向を有する。これらのホルモン類の上記の好ましい結合親和性は、ベータレセプターにおいては逆である。多くの組織において、アルファレセプター活性化によって誘発される平滑筋収縮のような機能的応答は、ベータレセプター結合によって誘発される応答とは逆である。
【0005】
その後、アルファレセプターとベータレセプター間の機能的差異が、種々の動物および組織源由来のこれらのレセプターの薬理学的特性決定によってさらに強調され、細分化された。結果として、アルファおよびベータアドレナリンレセプターは、アルファ1、アルファ2、ベータ1、およびベータ2の各サブタイプにさらに細分化されている。アルファ1レセプターとアルファ2レセプター間の機能的差異は認識されており、これらの2つのサブタイプ間で選択的結合を示す化合物が開発されている。即ち、公開された国際特許出願WO 92/0073号においては、アルファ1サブタイプのアドレナリンレセプターに選択的に結合するテトラゾシンのR(+)鏡像異性体の選択的能力が報告されている。この化合物のアルファ1/アルファ2選択性は、アルファ2レセプターの作用薬刺激がエピネフリンおよびノルエピネフリンの分泌を阻害すると説明し、さらに、アルファ2レセプターの拮抗作用はこれらホルモンの分泌を増進させると説明していることから、有意なものとして開示されている。従って、フェノキシベンザミンおよびフェントラミンのような非選択性アルファアドレナリン阻害薬の使用は、それらのアルファ2アドレナリンレセプターが介在する血漿カテコールアミン濃度の上昇および付随する生理的続発症(心拍および平滑筋収縮の上昇)によって制約されると言われている。アルファアドレナリンレセプターに関するさらなる一般的背景については、アルファアドレナリンレセプター親和性を示す化合物についてのアルファ1/アルファ2下位分類の根拠、分子生物学、情報伝達、作用薬構造‐活性関係、レセプター機能および治療用途を精査しているRobert R. Ruffolo, Jr., Alpha-Adrenoreceptors: Molecular Biology, Biochemistry and Pharmacology, (Progress in Basic and Clinical Pharmacology series, Karger, 1991) に注目されたい。
【0006】
動物組織由来のアルファレセプターサブタイプのクローニング、シークエンシングおよび発現は、アルファ1アドレナリンレセプターのアルファ1A、アルファ1Bおよびアルファ1Dへの下位分類につながっている。同様に、アルファ2アドレナリンレセプターもアルファ2A、アルファ2Bおよびアルファ2Cレセプターに分類されている。各アルファ2レセプターサブタイプは、それ独自の薬理および組織特異性を示しているようである。1種以上のこれらサブタイプに対して一定の特異性を有する化合物は、所定の適応症において、アルファ2レセプター汎作用薬(pan-agonist) (薬物クロニジンのような)または汎拮抗薬(pan-antagonist)よりも特異性の治療薬であり得る。
【0007】
緑内障、高血圧、性機能不全、および抑うつ症の治療のような他の適応症においては、アルファ2アドレナリンレセプター作用薬活性を有するある種の化合物が、既知の鎮痛薬である。しかしながら、そのような活性を有する多くの化合物は、アルファ2アドレナリンレセプターが調節する障害を治療する場合に望ましい活性および特異性を有していない。例えば、疼痛の治療において有効な薬剤であることが分かっている多くの化合物は、多くの場合、全身的に有効な投与量において低血圧および鎮静状態の発生のような望ましくない副作用を有することが判明している。これらの望ましくない副作用を発生させることなく疼痛の緩和をもたらす新規な薬物が求められている。さらに、疼痛、特に、慢性の神経因性疼痛および内臓痛のような慢性疼痛に対する活性を示す薬剤も求められている。
【0008】
1978年2月1日に公告された英国特許第1 499 485号は、ある種のチオカルバミド誘導体を記載している;これらの誘導体の幾つかは、高血圧、抑うつ症または疼痛のような症状の治療において有用であると説明されている。
2002年1月4日に公開された国際特許出願WO01/005586号および1999年6月10日に公開されたWO99/28300号は、アルファ2Bおよび/またはアルファ2Cアドレナリンレセプターの作用薬として作用するある種のイミダゾール誘導体を記載している。米国特許第6,313,172号は、疼痛の治療において使用するフェニルメチル‐チオ尿素誘導体を開示している。
【発明の概要】
【0009】
本明細書においては、一般に、下記の式1で示される化合物を包含する、アルファ2Bおよび/またはアルファ2Cアドレナリンレセプターのサブタイプ選択性モジュレーターとしての置換アリール‐(イミダゾール)‐メチル)‐フェニル化合物を開示する:
【化1】

式1

(式中、R1〜R6は、個々に、H、C1‐6アルキル、ハロゲン、CH2OH、CH2N(R7)2、CH2CN、C(O)R8、CF3、およびアリールからなる群から選ばれ;R7は、HまたはC1‐6アルキルであり;R8は、H、C1‐6アルキルまたはアリールである)。
【0010】
さらに、本明細書においては、製薬用担体と、アルファ2Bおよび/またはアルファ2Cアドレナリンレセプターのサブタイプ選択性モジュレーターとしての下記の式1で示される化合物を包含する治療上有効量の置換アリール‐(イミダゾール)‐メチル)‐フェニル化合物とを含む製薬組成物も開示する。
【0011】
さらに、本明細書においては、治療上有効量の式1の化合物を含有する製薬組成物を投与することを含む、緑内障、高眼圧、虚血性神経障害、視神経症、疼痛、内臓痛、角膜痛、頭痛、片頭痛、癌性疼痛、背痛、過敏性腸症候群痛、筋肉痛および糖尿病性神経障害に関連する疼痛、糖尿病性網膜症の治療、他の網膜変性症状、卒中、認知障害、神経精神症状、薬物依存および中毒症、禁断症状(withdrawal of symptoms)、強迫障害、肥満症、インスリン耐性、ストレス関連症状、下痢、利尿、鼻詰まり、痙性、注意力欠陥障害、精神病、不安神経症、抑うつ症、自己免疫疾患、クローン病、胃炎、アルツハイマー病性およびパ−キンソン病性ALS、並びに他の変性疾患を治療するための方法も開示する。
【発明を実施するための形態】
【0012】
上記製薬組成物および治療方法において使用するアルファ2Bおよび/またはアルファ2Cアドレナリンレセプターの典型的な特異性サブタイプモジュレーターの一般構造は、以下の各一般式によって示している。
【0013】
本開示の1つの局面においては、アルファ2Bおよび/またはアルファ2Cアドレナリンレセプターサブタイプに対する選択的調節活性を有する化合物は、下記の一般式1によって示される:
【化2】

式1

(式中、R1〜R6は、個々に、H、C1‐6アルキル、ハロゲン、CH2OH、CH2N(R7)2、CH2CN、C(O)R8、CF3、およびアリールからなる群から選ばれ;R7は、HまたはC1‐6アルキルであり;R8は、H、C1‐6アルキルまたはアリールである)。
式1の化合物においては、低級アルキルは、メチルであり得;ハロゲンは、F、ClまたはBrであり得る。
【0014】
本開示の他の局面においては、化合物は、下記の式2または3のいずれかによって示される:
【化3】

式2
【0015】
【化4】

式3
【0016】
上記式中、n = 0〜3であり;そして、R1は、個々に、H、C1‐6アルキル、ハロゲン、CH2OH、CH2N(R2)2、CH2CNおよびCF3からなる群から選ばれる。
また、式2および式3の化合物においては、C1‐6アルキルは、メチルであり得る。また、式2および式3の化合物においては、ハロゲンは、F、ClまたはBrであり得る。
【0017】
下記は、本開示の典型的な化合物を示す:
【化5】

【0018】
本明細書において開示するイミダゾール成分の可能性ある互変異性体としては、下記がある:
【化6】

本明細書において開示するいずれの構造体においても、化合物の範囲は、形成され得るあらゆる互変異性体を包含する。
【0019】
特に断らない限り、化合物に関する言及は、上記構造または化学名を有する化学存在物の製薬上許容し得る塩、プロドラッグ、互変体、代替固体形状物、非共有複合体およびそれらの組合せを包含するものと広く解釈すべきである。
【0020】
製薬上許容し得る塩は、動物またはヒトに投与するのに適する親化合物の任意の塩である。また、製薬上許容し得る塩は、酸、他の塩、または酸もしくは塩に転換するプロドラッグの投与の結果として生体内で生じ得る任意の塩も称する。塩は、1個以上の相応する対イオンと結合した、共役酸または塩基のような1個以上のイオン形の上記化合物を含む。塩は、1個以上の脱プロトン化酸性基(例えば、カルボン酸)、1個以上のプロトン化塩基性基(例えば、アミン)、または双方(例えば、両性イオン)から生じるか或いはこれらを取込み得る。
【0021】
プロドラッグは、投与後に治療活性化合物に転換する化合物である。例えば、転換は、[この部分を特許請求している構造に仕上げること]またはある種の他の生物学的に不安定な基によって生じ得る。プロドラッグ製剤は、当該技術において周知である。例えば、Richard B. Silverman, Organic Chemistry of Drug Design and Drug Action, 2nd Ed., Elsevier Academic Press: Amsterdam, 2004, pp. 496‐557の1つの章である“Prodrugs and Drug Delivery Systems”は、当該題材についてのさらなる詳細を提供している。
【0022】
互変異性体は、互いに急速平衡にある異性体である。例えば、互変異性体は、プロトン、水素原子または水酸化物イオンの移動に関連し得る。
立体化学的に明確に断らない限り、構造体は、純粋なまたは任意の可能性ある混合物中双方でのあらゆる可能性ある立体異性体を包含するものとする。
【0023】
代替固体形状物は、本明細書において説明する方法を実施することにより生じ得る形状物とは異なる固体形状物である。例えば、代替固形状物は、多形体物、種々の種類の非晶質固体形状物、ガラス状物等であり得る。
非共有複合体は、上記化合物と1種以上のさらなる化学種間で形成し得、上記化合物と上記さらなる化学種間の共有結合相互作用に関与しない複合体である。これらの非共有複合体は、上記化合物とさらなる化学種間で特定の比率を有していても或いは有していなくてもよい。例としては、溶媒和物、水和物、電荷移動複合体等があり得る。
【0024】
アリールは、フェニル、ナフチル、ビフェニル等のような全ての炭素環または環系並びにヘテロアリールのような芳香族環または環系である。ヘテロアリールは、1個以上のO、NまたはSヘテロ原子を含有する芳香族環または環系である。アリールまたはヘテロアリールの双方は、置換されていてもまたは置換されてなくてもよく、特に断らない限り、“アリール”および“ヘテロアリール”は、“置換または非置換のアリール”または“置換または非置換のヘテロアリール”を意味するものと解釈すべきである。
【0025】
本明細書において説明している限定(例えば、置換基における原子数に関する限定)を条件として、置換基の例としては、限定するものではないが、下記がある:
限定するものではないが、下記のような炭素と水素のみからなる成分を意味するヒドロカルビル:
限定するものではないが、下記のような、二重または三重結合を有さないヒドロカルビルを意味するアルキル:
・線状アルキル、例えば、メチル、エチル、n‐プロピル、n‐ブチル、n‐ペンチル、n‐ヘキシル等;
・枝分れアルキル、例えば、イソ‐プロピル、t‐ブチルおよび他の枝分れブチル異性体、各枝分れペンチル異性体等;
・シクロアルキル、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル等;
・線状、枝分れおよび/またはシクロアルキルの組合せ;
アルケニル、例えば、線状、枝分れまたはシクロアルケニルのような、1個以上の二重結合を有するヒドロカルビル;
アルキニル、例えば、線状、枝分れまたはシクロアルケニルのような、1個以上の三重結合を有するヒドロカルビル;
アルキル、アルケニルおよび/またはアルキニルの組合せ。
【0026】
アルキル‐CN、例えば、‐CH2‐CN、‐(CH2)2‐CN、‐(CH2)3‐CN等;
ヒドロキシアルキル、即ち、アルキル‐OH、例えば、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル等;
‐O‐アルキル、アルキル‐O‐アルキル等のような、エーテル置換基;
‐S‐アルキル、アルキル‐S‐アルキル等のような、チオエーテル置換基;
‐NH2、‐NH‐アルキル、‐N‐アルキル1アルキル2 (即ち、アルキル1およびアルキル2 は、同一または異なるものであって、共にNに結合している)、アルキル‐NH2、アルキル‐NH‐アルキル、アルキル‐N‐アルキル1アルキル2等のような、アミン置換基;
アミノメチル(‐CH2‐アミン)、アミノエチル等のようなアルキル‐アミンを意味するアミノアルキル;
‐CO2‐アルキル、‐CO2‐フェニル等のようなエステル置換基。
【0027】
アルデヒド類;アシル(即ち、下記:
【化7】

)等のようなケトン類;特に、アセチル、プロピオニルおよびベンゾイル置換基のような他のカルボニル置換基も意図する。
【0028】
フェニルまたは置換フェニル;
‐CF3、‐CH2CF3等のようなフルオロカーボンまたはヒドロフルオロカーボン類;および、‐CN。
また、上記の組合せも、定義した限定を条件として可能である。
【0029】
本開示の化合物は、下記の表1に示す構造式を有し、また、これらの化合物は、アルファ2Bおよびアルファ2Cレセプターの双方に対してそれら化合物固有の活性効能(nM有効性(EC50))を含んでいる。化合物活性は、標準の完全作用薬と比較してのその相対的有効性として表している。
【0030】
【化8】

【0031】

【0032】
生物学的活性、投与方式
本明細書において開示する化合物は、アルファ2B/2Cアドレナリンレセプターの作用薬である。本開示の化合物のアルファ2レセプター活性は、1995年のMessier等による刊行物であるPharmacol. Toxicol. 76, pp. 308-311 (参考として本明細書に合体させる) に記載され、さらにまた、下記で説明するReceptor Selection and Amplification technology (RSAT) assayと題するアッセイ法において測定する。このアッセイ法に関するもう1つの文献は、Conklin et al. (1993) Nature 363: 274-6であり、これも参考として本明細書に合体させる。
【0033】
RTASアッセイは、密集細胞の混合集団におけるレセプター含有細胞の選択的増殖をもたらす接触阻止のレセプター介在損失を測定する。細胞数の増大をβ‐ガラクトシダーゼのような適切な移入マーカー遺伝子によって評価する;その活性は、96ウェルフォーマットにおいて容易に測定し得る。Gタンパク質、Gqを活性化するレセプターは、この応答を誘発させる。アルファ2レセプターは、通常はGiに結合し、Giレセプター認識ドメインを有するハイブリッドGqタンパク質、いわゆるGq/i5と共発現した場合にRSAT応答を活性化する。
【0034】
NIH‐3T3細胞を、15cmのディッシュ内に2×106個の細胞密度で塗沫し、10%ウシ血清添加ダルベッコ変性イーグル培地中で維持する。1日後、細胞を、p‐SV‐β‐ガラクトシダーゼ(5〜10μg)、レセプター(1〜2μg)およびGタンパク質(1〜2μg)をコード化する哺乳類発現プラスミドと一緒のリン酸カルシウム沈降によって共トランスフェクションする。また、40μgのサケ精子DNAもトランスフェクション混合物に含ませる。新鮮培地を翌日および1〜2日後に添加し、細胞を採取し、50アッセイアリコートで凍結する。細胞を解凍し、100μlを、96ウェルディッシュ内の3複製の種々の薬物濃度の100μlアリコートに添加する。インキュベーションを、37℃で72〜96時間続行する。リン酸緩衝生理食塩水で洗浄した後、E逆行(.E-backward.)ガラクトシダーゼ酵素活性を、200μlの発色基質(リン酸緩衝生理食塩水中の3.5mMのo‐ニトロフェニル‐ベータ‐D‐ガラクトピラノシドおよび0.5%のnonidet P-40からなる)を添加し、30℃で1夜インキュベートし、光学密度を420nmで測定することによって測定する。その吸光度は、細胞数に依存し、レセプター介在細胞増殖を反映する酵素活性の尺度である。有効性即ち固有活性を、各レセプターサブタイプに対する薬物の最高効果対標準の完全作用薬の最高効果の比として算出する。UK14304とも称し、その化学構造を下記に示しているブリモニジンを、アルファ2A、アルファ2Bおよびアルファ2Cレセプターに対する標準作用薬として使用する。
【0035】
本明細書において開示する化合物に従って治療し得る疾患および症状としては、限定するものではないが、以下の症状の神経変性状況がある:
黄斑/網膜変性疾患および症状としては、非滲出性加齢黄斑変性(ARMD)、滲出性加齢黄斑変性(ARMD)、脈絡膜血管新生、糖尿病性網膜症、中心性漿液性網脈絡膜症、類嚢胞黄斑浮腫、糖尿病性黄斑浮腫および近視性網膜変性がある。
【0036】
ブドウ膜炎/網膜炎/脈絡膜炎/他の炎症性疾患および症状としては、急性多発性小板状色素上皮症、ベーチェット病、散弾状脈絡網膜炎、感染症(梅毒、ライム病、結核、トキソプラズマ症)、中間部ブドウ膜炎(扁平部炎)、多巣性脈絡膜炎、多発消失性白点症候群(MEWDS)、眼サルコイドーシス、後部強膜炎、匍行性脈絡膜炎、網膜下線維症およびブドウ膜炎症候群、フォークト・小柳・原田症候群、点状脈絡膜内層症、急性後極部多発性小板状色素上皮症、急性網膜色素上皮炎、および急性黄斑部神経網膜症がある。
【0037】
血管疾患/滲出性疾患としては、糖尿病性網膜症、網膜動脈閉塞性疾患、網膜中心静脈閉塞症、播種性血管内凝固障害、網膜静脈分枝閉塞症、高血圧性基底部変化、眼虚血症候群、網膜小動脈瘤、コーツ病、中心窩周囲毛細血管拡張症、半網膜静脈閉塞症、乳頭静脈炎、網膜中心静脈閉塞症、網膜動脈分枝閉塞症、頸動脈疾患(CAD)、樹氷状血管炎、鎌状赤血球網膜症および他の異常血色素症、網膜色素線条、家族性滲出性硝子体網膜症、およびイールズ病がある。
【0038】
外傷性/外科/公害疾患および症状としては、交感性眼炎、網膜ブドウ膜疾患(uveitic retinal disease)、網膜剥離、外傷、レーザー術、PDT、光凝固、術中の灌流低下、放射線網膜症および骨髄移植網膜症がある。増殖性障害としては、増殖性硝子体網膜症(proliferative vitreal retinopathy)および網膜上膜がある。
【0039】
感染性障害としては、眼ヒストプラスマ症、眼トキソカラ症、推定眼ヒストプラスマ症候群(POHS)、眼内炎、トキソプラズマ症、HIV感染に関連する網膜疾患、HIV感染に関連する脈絡膜疾患、HIV感染に関連するブドウ膜疾患、ウイルス性網膜炎、急性網膜壊死、進行性網膜外層壊死、真菌性網膜疾患、眼梅毒、眼結核、び慢性片側性亜急性神経網膜炎、およびハエ蛆症がある。
【0040】
遺伝的障害としては、網膜色素変性、網膜ジストロフィーに関連する全身障害、先天性停止性夜盲症、錐体ジストロフィー、シュタルガルト病および黄色斑眼底、ベスト病、網膜色素上皮のパターンジストロフィー、X連鎖性網膜分離症、ソースビー眼底変性症、良性同心性黄斑変性症、ビエッティ(Bietti's)水晶体ジストロフィー、および弾性線維性仮性黄色腫がある。
【0041】
網膜の裂傷および孔に関連する症状および疾患としては、網膜剥離、黄斑円孔および巨大網膜裂傷がある。
腫瘍関連症状および疾患としては、腫瘍に関連する網膜疾患、RPEの先天性肥大、後極部ブドウ膜メラノーマ、脈絡膜血管腫、脈絡膜骨腫、脈絡膜転移、網膜と網膜色素上皮の合併過誤腫、網膜芽腫、眼底の血管増殖腫瘍、網膜萎縮および眼内リンパ節腫瘍がある。
【0042】
一般的には、アルファ2作用薬は、ストレス期間と典型的に関連する交感神経感受性疾患を軽減する。これらの症状としては、1) 片頭痛および他の頭痛の頭蓋内圧、光および騒音特性のような刺激に対する感応性の増大;2) 過敏性腸症候群および他の胃腸障害(機能性消化不良のような)の結腸刺激特性に対する感応性の増大;3) 乾癬および他の皮膚症状に関連するかゆみ感;4) 筋肉の緊張および痙直;5) 線維筋痛のような症状の光接触および自然痛特性のような通常無害な刺激に対する感応性;6) 高血圧、頻脈、心虚血および末梢血管収縮に関連する各種心血管障害;7) 肥満およびインスリン耐性のような代謝障害;8) 薬物およびアルコール依存、強迫障害、トゥレット症候群、注意力欠如障害、不安神経症および抑うつ症のような行動障害;9) 免疫系の機能変容、例えば、紅斑性狼瘡およびドライアイ障害のような自己免疫疾患;10) クローン病および胃炎のような慢性炎症性障害;11) 発汗(多汗症)および震え;および、12) 性機能不全の各症状がある。
【0043】
また、アルファ2B/2C作用薬のようなアルファ2B作用薬は、緑内障;高眼圧;アルツハイマー病、パ−キンソン病、ALS、総合失調症のような神経変性疾患;卒中または脊髄損傷のような虚血性神経損傷;並びに、緑内障、黄斑変性、糖尿病性網膜症、網膜ジストロフィー、レーベル視神経症、他の視神経症、多くの場合多発性硬化症に関連する視神経炎、網脈静脈閉塞症およびその後の光線力学療法およびLASIXのような処方において生じるような網膜損傷の治療においても有用である。
【0044】
上記化合物は、本開示に従って、高度に有効な鎮痛薬として、特に慢性疼痛モデルにおいて、アルファ2レセプターの他の作用薬において一般的に見られる鎮静状態または心血管性抑うつ症のような望ましくない副作用を最低にして使用する。
【0045】
本化合物は、調薬上有効な投与量で投与し得る。そのような投与量は、通常、所望の治療効果を達成するのに必要な最低の投与量である;慢性疼痛の治療においては、この量は、おおよそ、疼痛によって生じた不快感を許容レベルまで軽減するのに必要な量である。任意の与えられた症例において投与すべき化合物の実際の量は、疼痛の重篤度、患者の年齢および体重、患者の一般的身体状態、疼痛の原因および投与経路のような関連状況を勘案する医師が決定することであろう。
【0046】
上記化合物は、哺乳類、特に、人間の疼痛の治療において有用である。好ましくは、患者に、上記化合物を、錠剤、液剤、カプセル剤、粉末剤等のような薬理学上許容し得る剤形で経口投与する。しかしながら、他の経路も、特に患者が嘔気に苦しんでいる場合、望ましくまたは必要であり得る。そのような他の経路としては、経皮、非経口、皮下、経鼻、髄腔内、筋肉内、静脈内および直腸内の伝達方式がある。さらに、製剤は、活性化合物を放出を所定時間に亘って遅延させるようにまたは治療途中の所定時間で放出する薬物の量を注意深く制御するように設計し得る。
【0047】
本開示のもう1つの局面は、本開示の化合物と製薬上許容し得る担体とを含む治療用組成物を意図する。担体は、活性化合物に対しての賦形剤またはビヒクルとして機能する固体、半固体または液体物質であり得る。また、製剤は、湿潤剤、乳化剤、防腐剤、甘味化剤および/または香味剤も含み得る。眼科または注入フォーマットで使用する場合、製剤は、製剤の浸透圧を調節するための1種以上の塩類を含有し得る。
【0048】
本開示のもう1つの局面は、アルファ2Bレセプター介在疾患または症状の、本開示の1種以上の化合物を投与することによる治療方法を意図する。
アルファ2Bレセプター介在疾患または症状としては、限定するものではないが、緑内障、高眼圧、虚血性神経障害、視神経症、疼痛、内臓痛、角膜痛、頭痛、片頭痛、癌性疼痛、背痛、過敏性腸症候群痛、筋肉痛および糖尿病性神経障害に関連する疼痛、糖尿病性網膜症の治療、他の網膜変性症状、卒中、認知障害、神経精神症状、薬物依存および中毒症、禁断症状、強迫障害、肥満症、インスリン耐性、ストレス関連症状、下痢、利尿、鼻詰まり、痙性、注意力欠如障害、精神病、不安神経症、抑うつ症、自己免疫疾患、クローン病、胃炎、アルツハイマー病性およびパ−キンソン病性ALSがある。
【0049】
慢性疼痛(癌、関節炎および他の神経障害性損傷に由来する痛みのような)と急性疼痛(組織の切断、圧迫、刺傷または圧壊のような、直接の機械的刺激によって生じた痛みのような)とは、種々の神経線維およびニューロレセプターまたは慢性刺激時のこれら神経の機能の再配列または変容のいずれかが大きく介在する異なる神経学的現象であることは、既知である。急性疼痛の痛覚は、主として、機械的、熱的および化学的刺激に対して高閾値を通常有するC線維と称する求心性神経線維によって全く急速に伝播する。慢性疼痛のメカニズムは完全には理解されていないものの、急性組織損傷は、当初の刺激後の数分または数時間以内で、疼痛応答を誘発させるのに必要な刺激強度において局所変形(regional reduction)のような二次症状をもたらし得る。この現象は、元の刺激部位から発した(元の部位よりも大きい)領域内で典型的に生じ、痛覚過敏と称する。二次応答は、機械的または熱的刺激に対して大いに増強された感応性をもたらし得る。
【0050】
A求心性線維は、C線維よりも低い閾値で刺激を受け得ており、慢性疼痛の痛覚に関与しているようである。例えば、正常な状態においては、これらの線維の低閾値刺激(光ブラシまたはくすぐりのような)は、痛みを伴わない。しかしながら、神経損傷後のまたは帯状疱疹として知られるヘルペスウイルス介在症状における状態のようなある種の状態においては、光接触または衣服のこすれのような適用でさえも極めて傷みを伴い得る。この状態は、異痛と称し、少なくとも部分的にはA求心性神経が介在しているようである。また、C線維は、慢性疼痛の痛覚に関与し得るが、そうである場合、ニューロンの持続的刺激(firing)が、今や慢性疼痛の痛覚を生じるある種の変化を経時的にもたらすことは、明白なようである。
【0051】
“急性疼痛”とは、切断、圧壊、熱傷のような損傷により、或いはカプサイチン、即ち、唐辛子の活性成分への暴露時に示す刺激のような化学刺激によってもたらされる直接の通常高閾値の疼痛を意味する。
“慢性疼痛”とは、限定することなしに、神経因性疼痛、内臓痛(例えば、クローン病および過敏性腸症候群(IBS)によってもたらされる疼痛)、および関連痛のような急性疼痛以外の疼痛を意味する。
【0052】
本開示の化合物を得るための一般的方法
下記の反応スキームAおよびBは、ビアリールイミダゾールを得るための一般的方法を示す。
反応スキームA
【化9】

【0053】
反応スキームB
【化10】

【0054】
反応スキームC
【化11】

【0055】
(実施例A)
方法A:5‐((2,3‐ジクロロフェニル)(フェニル)メチル)‐1H‐イミダゾールのための手順
【化12】

【0056】
ジクロロメタン中の1‐トリチル‐1H‐イミダゾール‐4‐カルバルデヒド(中間体1)(1.7g、5ミリモル)の溶液を、(2,3‐ジメチルフェニル)マグネシウムブロミド(15mL、7.5ミリモル;THF中0.5M)で0℃にて処理し、室温で16時間撹拌した。混合物を、水(50mL)と塩化アンモニウムの飽和溶液(20mL)で失活させた。残留物を典型的な水処理(aqueous workup)において単離して、(2,3‐ジメチルフェニル)(1‐トリチル‐1H‐イミダゾール‐5‐イル)メタノール(中間体2)を固形物として得た(2.3g、69%;粗生成物)。
【0057】
CH2Cl2 (40mL)中の(2,3‐ジメチルフェニル)(1‐トリチル‐1H‐イミダゾール‐5‐イル)メタノール(中間体2)(2.3g、5.18ミリモル)の混合物を、酸化マンガン(IV)、活性化型(Aldrich社から商業的に入手し得る):MnO2 (4.5g、52ミリモル)で室温にて処理した。混合物を60℃に2時間加熱した。その後、混合物を室温に冷却し、セライトで濾過し、溶媒を真空下に除去した。残留物を、MPLCにより、3〜5%MeOH:CH2Cl2でもって精製して、(2,3‐ジメチルフェニル)(1‐トリチル‐1H‐イミダゾール‐5‐イル)メタノン(中間体3) (2.2g、96%を得た)。
【0058】
ジクロロメタン(30mL)中の(2,3‐ジメチルフェニル)(1‐トリチル‐1H‐イミダゾール‐5‐イル)メタノン(中間体3) (1.2g、2.7ミリモル)を、フェニルマグネシウムブロミド(1,35mL、4.05ミリモル;THF中3M)で0℃にて処理し、その後、室温で16時間撹拌した。混合物を、水(10mL)と塩化アンモニウムの飽和溶液(10mL)で失活させた。残留物を典型的な水処理において単離して、(2,3‐ジメチルフェニル)(フェニル)(1‐トリチル‐1H‐イミダゾール‐5‐イル)メタノール(中間体4)を得た(粗生成物)。
【0059】
ジクロロメタン(30mL)中の(2,3‐ジメチルフェニル)(フェニル)(1‐トリチル‐1H‐イミダゾール‐5‐イル)メタノール(中間体4)、(粗生成物)の混合物を、TFA:トリフルオロ酢酸(4mL)およびトリエチルシラン(TES) (3mL)と室温で24時間反応させた。混合物を減圧下に蒸発させ、固形NaHCO3で失活させた。この物質を水処理に供し、残留物を、シリカゲル上でのクロマトグラフィーにより、5%NH3‐MeOH:CH2Cl2でもって精製して、5‐((2,3‐ジメチルフェニル)(フェニル)メチル)‐1H‐イミダゾール、646mg (2工程で91%)を得た。1HNMR (CD3OD、300MHz):δ7.64 (s、1H)、7.30〜7.28 (m、2H)、7.24〜7.20 (m、1H)、7.12〜7.10 (m、2H)、7.05 (d、J = 4.2 Hz、1H)、6.99 (t、J = 4.8 Hz、1H)、6.70 (d、J = 4.5 Hz、1H)、6.32 (s、1H)、5.69 (s、1H)、2.29 (s、3H)、2.17 (s、3H)。
【0060】
(実施例B)
方法B:5‐(フェニル‐o‐トリル‐メチル)‐1H‐イミダゾールのための手順
【化13】

【0061】
−10℃のジクロロメタン(100mL)中の4‐ヨード‐1‐トリチルイミダゾール(商業的に入手し得る;12.3g、28.3ミリモル)の溶液を、エチルマグネシウムブロミド(9.4mL、28.3ミリモル;エーテル中3M)で処理し、45分間反応させた。ジクロロメタン中の2‐メチル‐ベンズアルデヒド(中間体1) (2.0g、18.8ミリモル)の溶液を−10℃でシリンジによって添加し、室温で16時間撹拌した。混合物を、水(50mL)と塩化アンモニウムの飽和溶液(50mL)で失活させた。残留物を典型的な水処理において単離し、MPLCにより、3〜5%MeOH:CH2Cl2でもって精製して、フェニル‐o‐トリル‐(3‐トリチル‐3H‐イミダゾール‐4‐イル)‐メタノール(中間体2)を固形物として得た(6.0g、76.9%)。
【0062】
CH2Cl2 (100mL)中のフェニル‐o‐トリル‐(3‐トリチル‐3H‐イミダゾール‐4‐イル)‐メタノール(中間体2) (6.0g、14.4ミリモル)の混合物を、酸化マンガン(IV)、活性化型(Aldrich社から商業的に入手し得る):MnO2 (12.4g、144ミリモル)で室温にて処理した。混合物を60℃に2時間加熱した。その後、混合物を室温に冷却し、セライトで濾過し、溶媒を真空下に除去した。残留物を、MPLCにより、3〜5%MeOH:CH2Cl2でもって精製して、フェニル‐o‐トリル‐(3‐トリチル‐3H‐イミダゾール‐4‐イル)‐メタノン(中間体3) (5.5g、93%)を得た。
【0063】
室温のジクロロメタン(25mL)中のフェニル‐o‐トリル‐(3‐トリチル‐3H‐イミダゾール‐4‐イル)‐メタノン(500mg、1.2ミリモル)を、o‐トリルマグネシウムブロミド(1.3mL、2.4ミリモル;エーテル中2M)で処理し、その後、反応混合物を室温で16時間撹拌した。混合物を、水(50mL)と塩化アンモニウムの飽和溶液(20mL)で失活させた。残留物を典型的な水処理において単離して、フェニル‐o‐トリル‐(3‐トリチル‐3H‐イミダゾール‐4‐イル)‐メタノール(中間体4) (620mg、粗生成物)を得た。
【0064】
ジクロロメタン(30mL)中のフェニル‐o‐トリル‐(3‐トリチル‐3H‐イミダゾール‐4‐イル)‐メタノール(中間体8) (620 g、1.2ミリモル)を、TFA:トリフルオロ酢酸(4.0ml)およびトリエチルシラン(TES) (6.0ml)と室温で24時間反応させた。混合物を減圧下に蒸発させ、固形NaHCO3で失活させた。この物質を水処理に供し、残留物を、シリカゲル上でのクロマトグラフィーにより、5%NH3‐MeOH:CH2Cl2でもって精製して、5‐(フェニル‐o‐トリル‐メチル)‐1H‐イミダゾール 162mg (53%)を得た。1HNMR (CD3OD、300MHz) δ7.8 (s、1H)、7.12〜7.38 (m、9H)、6.82 (s、1H)、6.40(s、1H)、5.60 (s、1H)、2.21 (s、1H)。
【0065】
同様な手順により、5‐[(3‐フルオロ‐フェニル)‐フェニル‐メチル]‐1H‐イミダゾール、5‐[(3‐クロロ‐2‐フルオロ‐フェニル)‐フェニル‐メチル]‐1H‐イミダゾール、および5‐[(3‐クロロ‐2‐メチル‐フェニル)‐フェニル‐メチル]‐1H‐イミダゾールを調製した。
5‐[(3‐フルオロ‐フェニル)‐フェニル‐メチル]‐1H‐イミダゾール:1HNMR (CD3OD、300MHz) 7.61 (s、1H)、6.8〜7.38 (m、10H)、6.51 (s、1H)、5.42 (s、1H);
5‐[(3‐クロロ‐2‐フルオロ‐フェニル)‐フェニル‐メチル]‐1H‐イミダゾール:
1HNMR (CD3OD、300MHz) 7.61 (s、1H)、6.95〜7.38 (m、9H)、6.51 (s、1H)、5.71 (s、1H);
5‐[(3‐クロロ‐2‐メチル‐フェニル)‐フェニル‐メチル]‐1H‐イミダゾール:1HNMR (CD3OD、300MHz) δ 7.96 (s、1H)、7.01〜7.96 (m、9H)、6.40 (s、1H)、5.92 (s、1H)、2.06 (s、3H)。
【0066】
(実施例C)
方法C:5‐((2‐フルオロ‐3‐(トリフルオロメチル)フェニル)(フェニル)メチル)‐1H‐イミダゾールの調製手順
【化14】

【0067】
−10℃のジクロロメタン(40mL)中の4‐ヨード‐1‐トリチルイミダゾール(商業的に入手し得る) (3.2g、7.4ミリモル)の混合物を、エチルマグネシウムブロミド(2.4mL、7.4ミリモル;エーテル中3M)で処理し、45分間反応させた。ジクロロメタン中の(2‐フルオロ‐3‐(トリフルオロメチル)フェニル)(フェニル)メタノン(中間体7) (1g、3.7ミリモル)の溶液を−10℃でシリンジによって添加し、室温で16時間撹拌した。混合物を、水(50mL)と塩化アンモニウムの飽和溶液(20mL)で失活させた。残留物を典型的な水処理において単離して、(2‐フルオロ‐3‐(トリフルオロメチル)フェニル)(フェニル)(1‐トリチル‐1H‐イミダゾール‐5‐イル)‐メタノール(中間体8)、2.02g (94%、粗生成物)を得た。
【0068】
ジクロロメタン(30mL)中の(2‐フルオロ‐3‐(トリフルオロメチル)フェニル)(フェニル)(1‐トリチル‐1H‐イミダゾール‐5‐イル)‐メタノール(中間体8) (2.02g、3.49ミリモル)を、TFA:トリフルオロ酢酸(5.3ml、68ミリモル)およびトリエチルシラン(TES) (2.8ml、17ミリモル)と室温で24時間反応させた。混合物を減圧下に蒸発させ、固形NaHCO3で失活させた。この物質を水処理に供し、残留物を、シリカゲル上でのクロマトグラフィーにより、5%NH3‐MeOH:CH2Cl2でもって精製して、5‐((2‐フルオロ‐3‐(トリフルオロメチル)フェニル)(フェニル)メチル)‐1H‐イミダゾール 700mg (62%)を得た。1HNMR (CD3OD、300MHz):δ 7.54 (s、1H)、7.52〜7.26 (m、3H)、7.18〜7.11 (m、4H)、6.66 (s、1H)、5.84 (s、1H)、5.49 (s、1H)。
【0069】
5‐((2,3‐ジクロロフェニル)(フェニル)メチル)‐1H‐イミダゾール、AGN-213069: 1HNMR (CD3OD、300MHz):δ 7.67 (s、1H)、7.44 (d、J = 5.1 Hz、1H)、7.31 (t、J = 4.5 Hz、2H)、7.26〜7.20 (m、2H)、7.15 (d、J = 5.1 Hz、2H)、6.45 (s、1H)、5.92 (s、1H)、5.49 (s、1H);
5‐((2,3‐ジフルオロフェニル)(フェニル)メチル)‐1H‐イミダゾール、AGN-213072:1HNMR (CD3OD、300MHz):δ 7.67 (s、1H)、7.34 (t、J = 4.2Hz、2H), 7.27 (t、J = 4.5Hz、1H)、7.20〜7.08 (m、4H)、6.88〜6.86 (m、1H)、6.55 (s、1H)、5.76 (s、1H)。
【0070】
特に断らない限り、本明細書および特許請求の範囲において使用する成分の量、分子量のような性質、反応条件等を表す全ての数値は、用語“約”によって全ての場合に修正されているものと解釈すべきである。従って、そうでないことを示さない限りは、本明細書および特許請求の範囲において示す数値パラメーターは、本開示によって得られるように探求した所望の性質に応じて変動し得る近似値である。最低限でも、また、特許請求の範囲と等価の原則の適用を限定する試みとしてではなく、各数値パラメーターは、少なくとも、報告した有意の桁数に照らして、さらに、一般的な丸め方法を適用して解釈すべきである。本開示の広い範囲を示している数値範囲およびパラメーターが近似値であるにもかかわらず、特定の実施例において示す数値は、できる限り正確に報告している。しかしながら、如何なる数値も、それぞれの試験測定値において見出される標準偏差に必然的に由来するある種の誤差を本質的に含んでいる。
【0071】
本発明を説明する関連において(特に、特許請求の範囲の関連において)使用する用語 “a”、“an”、“the”(英文原稿における冠詞)および同様な指示対象(referents)は、特に断らない限り或いは前後関係において明確に否定しない限り、単数形および複数形の双方に及ぶものと解釈すべきである。本明細書における値の範囲の列挙は、単に、その範囲内に属する各別々の値を個々に言及する簡便な表記方法として機能させることを意図している。本明細書において特に断らない限り、個々の値は、あたかも各々の値を個々に本明細書で示すようにして、各々本明細書に含ませている。本明細書において説明する方法は、特に断らない限り或いは前後関係において明確に否定しない限り、全て任意の適切な順序で実施し得る。ありとあらゆる例の使用或いは本明細書において使用する典型的な表現(例えば、“ような”)は、本発明を良好に明確にするためにのみ使用し、別途特許請求する本発明の範囲に限定をもたらすものではない。本明細書における表現は、本発明の実施に不可欠である特許請求していないあらゆる要素も示すものと解釈すべきではない。
【0072】
本明細書において開示する発明の代替要素または実施態様のグループ化は、限定と解釈すべきではない。各グループ構成メンバーは、個々に或いはそのグループの他のメンバーまたは本明細書において見出される他の要素との任意の組合せで参照または特許請求し得る。1つのグループの1以上のメンバーを、便宜性および/または特許性を理由として、1つのグループに含ませるまたはそのグループから除外することが予想される。何らかのそのような包含または除外が生じた場合、本明細書は、補正して特許請求の範囲において使用する全てのマーカッシュ群の文書記載を満たすような群を含むものとみなす。
【0073】
本発明を実施するのに本発明者等が知る最良の形態を含む本発明のある種の実施態様を、本明細書において説明している。勿論、これらの説明している実施態様の変形は、当業者にとっては、上記の説明を読むことで明らかとなろう。本発明者等は、熟練技術者がそのような変形を適切なものとして使用することを期待しており、また、本発明者等は、本発明においては、本明細書において具体的に説明したのとは他の形で実施することを意図している。従って、本発明は、適用法によって認められるような、特許請求の範囲において記載している主題の全ての修正および等価物を包含する。さらにまた、その全ての可能性ある変形における上記の要素の如何なる組合せも、特に断らない限り或いは前後関係において明確に否定しない限り、本発明に包含される。
【0074】
さらにまた、多くの特許および刊行物を本明細書の全体に亘って参照してきた。引用した文献および刊行物の各々は、個々に、その全体を参考として本明細書に合体させる。
終りに当って、本明細書において開示する発明の各実施態様は、本発明の原理の説明であることを理解すべきである。使用し得る他の修正も本発明の範囲内である。即ち、例えば、限定するものではないが、本発明の別の形態は、本明細書における教示に従って使用し得る。従って、本発明は、正確に開示し説明した通りの発明に限定されない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の式1を有する化合物:
【化1】

式1

(式中、R1〜R6は、個々に、H、C1‐6アルキル、ハロゲン、CH2OH、CH2N(R7)2、CH2CN、C(O)R8、CF3、およびアリールからなる群から選ばれ;R7は、HまたはC1‐6アルキルであり;R8は、H、C1‐6アルキルまたはアリールである)。
【請求項2】
C1‐6アルキルが、メチルである、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
ハロゲンが、F、ClまたはBrである、請求項1記載の化合物。
【請求項4】
下記の式2および式3からなる群から選ばれる式を有する請求項1記載の化合物:
【化2】

式2
【化3】

式3

(式中、R1およびR2は、個々に、H、C1‐6アルキル、ハロゲン、CH2OH、CH2NR3、CH2CNおよびCF3からなる群から選ばれ;R3は、HおよびC1‐6アルキルである)。
【請求項5】
前記低級アルキルが、メチルである、請求項4記載の化合物。
【請求項6】
ハロゲンが、F、ClまたはBrである、請求項5記載の化合物。
【請求項7】
下記からなる群から選ばれる、請求項1記載の化合物:
【化4】

【請求項8】
下記の式1を有する化合物および製薬上許容し得る担体を含む製薬組成物:
【化5】

式1

(式中、R1〜R6は、個々に、H、C1‐6アルキル、ハロゲン、CH2OH、CH2N(R7)2、CH2CN、C(O)R8、CF3、およびアリールからなる群から選ばれ;R7は、HまたはC1‐6アルキルであり;R8は、H、C1‐6アルキルまたはアリールである)。
【請求項9】
C1‐6アルキルが、メチルである、請求項8記載の製薬組成物。
【請求項10】
ハロゲンが、F、ClまたはBrである、請求項9記載の製薬組成物。
【請求項11】
前記化合物が、下記の式2および式3からなる群から選ばれる式を有する、請求項9記載の製薬組成物:
【化6】

式2
【化7】

式3

(式中、R1〜R3は、個々に、H、C1‐6アルキル、ハロゲン、CH2OH、CH2NR3、CH2CNおよびCF3からなる群から選ばれ;R3は、HおよびC1‐6アルキルである)。
【請求項12】
C1‐6が、メチルである、請求項11記載の製薬組成物。
【請求項13】
ハロゲンが、F、ClまたはBrである、請求項11記載の製薬組成物。
【請求項14】
前記化合物が、下記からなる群から選ばれる、請求項9記載の製薬組成物:
【化8】

【請求項15】
必要とする哺乳類に、治療上有効量の下記の式1を有する化合物を投与することを特徴とする、アルファ2Bレセプター介在疾患または症状の治療方法:
【化9】

式1

(式中、R1〜R6は、個々に、H、C1‐6アルキル、ハロゲン、CH2OH、CH2N(R7)2、CH2CN、C(O)R8、CF3、およびアリールからなる群から選ばれ;R7は、HまたはC1‐6アルキルであり;R8は、H、C1‐6アルキルまたはアリールである)。
【請求項16】
C1‐6アルキルが、メチルである、請求項15記載の方法。
【請求項17】
ハロゲンが、F、ClまたはBrである、請求項15記載の方法。
【請求項18】
前記化合物が、下記の式2および式3からなる群から選ばれる式を有する請求項1記載の方法:
【化10】

式2
【化11】

式3

(式中、R1〜R3は、個々に、H、C1‐6アルキル、ハロゲン、CH2OH、CH2NR3、CH2CNおよびCF3からなる群から選ばれ;R3は、HおよびC1‐6アルキルである)。
【請求項19】
C1‐6アルキルが、メチルである、請求項17記載の方法。
【請求項20】
ハロゲンが、F、ClまたはBrである、請求項18記載の化合物。
【請求項21】
前記化合物が、下記からなる群から選ばれる式を有する、請求項15記載の方法:
【化12】

【請求項22】
前記疾患または症状が、緑内障、高眼圧、虚血性神経障害、視神経症、疼痛、内臓痛、角膜痛、頭痛、片頭痛、癌性疼痛、背痛、過敏性腸症候群痛、筋肉痛および糖尿病性神経障害に関連する疼痛、糖尿病性網膜症の治療、他の網膜変性症状、卒中、認知障害、神経精神症状、薬物依存および中毒症、禁断症状、強迫障害、肥満症、インスリン耐性、ストレス関連症状、下痢、利尿、鼻詰まり、痙性、注意力欠陥障害、精神病、不安神経症、抑うつ症、自己免疫疾患、クローン病、胃炎、アルツハイマー病性およびパ−キンソン病性ALSからなる群から選ばれる、請求項15記載の方法。

【公表番号】特表2011−522774(P2011−522774A)
【公表日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−543192(P2010−543192)
【出願日】平成21年1月13日(2009.1.13)
【国際出願番号】PCT/US2009/030849
【国際公開番号】WO2009/091735
【国際公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【出願人】(390040637)アラーガン インコーポレイテッド (117)
【氏名又は名称原語表記】ALLERGAN,INCORPORATED
【Fターム(参考)】