説明

アルファ7(α7)ニコチン作動薬と抗精神病薬との組合せ物

本発明は、アルファ7(α7)ニコチン作動薬と抗精神病薬との相乗的組合せ物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルファ7(α7)ニコチン作動薬と抗精神病薬との組合せ物に関する。本発明はさらに、そのような組合せ物を含んでなる医薬組成物および、前記組合せ物を投与することによる、精神障害、特に精神病性障害の治療方法にも関する。本発明はさらに、前記組合せ物を含んでなるキットおよび精神障害、特に精神病性障害の治療における前記キットの使用にも関する。
【背景技術】
【0002】
中枢神経系(CNS)に特有の神経性ニコチン受容体(NNR)がいくつかのサブタイプで起こることは明らかになっており、それらのサブタイプのうち最も多いのがα4β2およびα7サブタイプである。例えば、Schmitt, Current Med. Chem. 7: 749 (2000)参照。α7 NNRサブタイプと相互作用するリガンドは、様々な状態および障害の治療において有用であると提示されている(Mazurov et al., Curr. Med. Chem. 13: 1567-1584 (2006)およびその中の参照文献参照)。そのような状態および障害のうち顕著なものは、認識機能障害、統合失調症、炎症、脈管形成、神経因性疼痛および繊維筋痛症である。
【0003】
様々な化合物がα7 NNRと相互作用することが報告されており、その上で療法として提案されている。例えば、PCT WO99/62505、PCT WO99/03859、PCT WO97/30998、PCT WO01/36417、PCT WO02/15662、PCT WO02/16355、PCT WO02/16356、PCT WO02/16357、PCT WO02/16358、PCT WO02/17358、Stevens et al., Psychopharm. 136: 320 (1998), Dolle et al., J. Labelled Comp. Radiopharm. 44: 785 (2001)およびMacor et al., Bioorg. Med. Chem. Lett. 11: 319 (2001)およびその中の参照文献(これらは各々上記背景教示に関して参照により組み入れる)参照。これらの化合物の中で、共通する構造テーマは置換第3級二環式アミン(例えば、キヌクリジン)である。また、類似の置換キヌクリジン化合物がムスカリン性受容体で結合することも報告されている。例えば、Sabbの米国特許第5,712,270号ならびにPCT、WO02/00652およびWO02/051841(これらは各々上記教示に関して参照により組み入れる)参照。
【0004】
一部のニコチン化合物の制限は、例えば、筋肉および神経節受容体を刺激することにより、様々な望ましくない副作用を伴うことである。そのため、様々な状態または障害(例えば、CNS障害)を予防および/または治療する(これらの障害の症状を軽減することを含む)ための化合物、組成物および方法を有することが望ましいであろう(そのような化合物は(例えば、CNSの機能に対して)有益な効果を有するニコチン薬理作用を示すがほとんど副作用を伴わないものである)。さらに、CNS機能に影響を及ぼすが望ましくない副作用(例えば、心血管および骨格筋部位においてかなりの活性)を誘発する可能性があるニコチン受容体サブタイプにはほとんど影響を及ぼすことがない、化合物、組成物および方法を提供することが非常に望ましいであろう。加えて、ムスカリン性受容体は、副交感神経系の機能と関係している、唾液分泌過多、発汗、振戦、心血管および胃腸障害などの副作用を伴うため、ニコチン受容体とは相互作用するがムスカリン性受容体とは相互作用しない化合物を組み込む医薬組成物および方法を提供することが非常に望ましいであろう(Caulfield, Pharmacol. Ther. 58: 319 (1993)およびBroadley and Kelly, Molecules 6: 142 (2001)(上記教示に関して参照により本明細書に組み入れる)参照)。加えて、ニコチン受容体タイプと5−ヒドロキシトリプタミン(5HT)受容体との交差反応は他の一部のニコチンリガンドの治療指数を制限したため、ニコチン受容体とは相互作用するが5−ヒドロキシトリプタミン(5HT)受容体とは相互作用しない化合物を組み込む医薬組成物および方法を提供することが非常に望ましいであろう。本発明は、上記のような高度選択的ニコチン化合物を組み込む組成物および方法を提供する。
【0005】
統合失調症は、α7 NNRサブタイプをモジュレートすることによる処置に特に適している精神病性障害の例である。統合失調症患者の死後脳組織では海馬NNR数の減少が見られる。また、喫煙統合失調症患者では非喫煙統合失調症患者に対して心理的効果の改善も見られる。ニコチンは、動物および統合失調症患者における感覚ゲート機構障害を改善する。α7 NNRサブタイプの遮断は、統合失調症で見られるものと同じようなゲート機構障害を誘発する。例えば、Leonard et al., Schizophrenia Bulletin 22(3): 431 (1996)(上記教示に関して参照により本明細書に組み入れる)参照。P50聴性誘発電位ゲート機構障害を有する患者における感覚処理の生化学的分子的な遺伝学研究により、α7 NNRサブタイプが阻害ニューロン経路において機能し得ることが示唆されている。例えば、Freedman et al., Biological Psychiatry 38(1): 22 (1995)(上記教示に関して参照により本明細書に組み入れる)参照。
【0006】
抗精神病薬は、精神病性障害(例えば、統合失調症)だけでなく他の精神障害の治療においても長く使用されてきた。従来の抗精神病薬の例としては、限定されるものではないが、クロールプロマジン、ハロペリドール、フルペンチキソール、およびペルフェナジンが挙げられる。非定型抗精神病薬の例としては、限定されるものではないが、クロザピン、リスペリドン、オランザピン、クエチアピン、アリピプラゾール、ジプラシドン、アミスルプリド、スルプリド(sulpride)、ゾテピン、セルチンドール、パリペリドン、ビフェプルノクス、およびアセナピンが挙げられる。非定型抗精神病薬は、従来の抗精神病薬と比較して、いくつかの臨床上の有益性をもたらす。伝統的な抗精神病薬薬物療法に勝る明白な利点の例示としては、社会的ひきこもりなどの陰性症状のより大きな改善、ならびにより低いパーキンソン症候群の副作用および遅発性ジスキネジアの危険性が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】WO99/62505
【特許文献2】WO99/03859
【特許文献3】WO97/30998
【特許文献4】WO01/36417
【特許文献5】WO02/15662
【特許文献6】WO02/16355
【特許文献7】WO02/16356
【特許文献8】WO02/16357
【特許文献9】WO02/16358
【特許文献10】WO02/17358
【特許文献11】米国特許第5,712,270号
【特許文献12】WO02/00652
【特許文献13】WO02/051841
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Stevens et al., Psychopharm. 136: 320 (1998)
【非特許文献2】Dolle et al., J. Labelled Comp. Radiopharm. 44: 785 (2001)
【非特許文献3】Macor et al., Bioorg. Med. Chem. Lett. 11: 319 (2001)
【非特許文献4】Caulfield, Pharmacol. Ther. 58: 319 (1993)
【非特許文献5】Broadley and Kelly, Molecules 6: 142 (2001)
【非特許文献6】Leonard et al., Schizophrenia Bulletin 22(3): 431 (1996)
【非特許文献7】Freedman et al., Biological Psychiatry 38(1): 22 (1995)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、少なくとも1つのα7ニコチン作動薬と少なくとも1つの抗精神病薬とを含んでなる薬学的組合せ物であって、精神障害に対して相乗的な療法を提供する薬学的組合せ物を提供する。
【0010】
一実施形態において、前記精神障害は精神病性障害である。さらなる実施形態において、前記精神障害は統合失調症である。
【0011】
一実施形態において、本発明の薬学的組合せ物は、注意障害、情報処理、記憶障害、または実行機能障害の1以上に対して相乗的な療法を提供する。
【0012】
一実施形態において、本発明の薬学的組合せ物は、少なくとも1つのα7ニコチン作動薬と少なくとも1つの抗精神病薬とを含み、これらは、同時に、逐次的に、または別々に提供される。
【0013】
一実施形態において、前記少なくとも1つのα7ニコチン作動薬は、式1
【化1】

の化合物:
またはその製薬上許容される塩または溶媒和物である
(式中、
mは1または2であり;
nは1または2であり;
pは1、2、3、または4であり;
Xは酸素または−NR’−であり;
Yは酸素または硫黄であり;
Zは−NR’−、共有結合、またはリンカー種、Aであり;
Aは−CR’R”−、−CR’R”−CR’R”−、−CR’=CR’−、または−C≡C−であり、
この場合、各R’およびR”は、個別に、水素、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、またはアリールアルキルであり、あるいはRおよびRIIは、それらが結合する原子と一緒になって3〜8員環を形成していてよく、そしてそれはさらなるヘテロ原子を含んでいてよく;
Zが共有結合またはAである場合には、Xは窒素でなければならず;
Arは、必要に応じて置換されているアリール基であり;
Cyは、必要に応じて置換されている5員または6員複素芳香環であり、
ここで、ArおよびCyは各々、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、ヘテロシクリル、C3−シクロアルキル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、ハロゲン、−OR’、−NR’R”、ハロアルキル、−CN、−NO、−C≡CR’、−SR’、−N、−C(=O)NR’R”、−NR’C(=O)R”、−C(=O)R’、−C(=O)OR’、−OC(=O)R’、−O(CR’R”)C(=O)R’、−O(CR’R”)NR”C(=O)R’、−O(CR’R”)NR”SOR’、−OC(=O)NR’R”、−NR’C(=O)OR”、−SOR’、−SONR’R”、または−NR’SOR”の1以上で置換されていてよく、
ここで、R’およびR”は各々定義されたとおりであり、
rは1〜6の整数であり、
この場合、置換アリールおよび置換アリールアルキル基は、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、ヘテロシクリル、C3−シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ハロゲン、−OR’、−NR’R”、ハロアルキル、−CN、−NO、−C≡CR’、−SR’、−N、−C(=O)NR’R”、−NR’C(=O)R”、−C(=O)R’、−C(=O)OR’、−OC(=O)R’、−O(CR’R”)C(=O)R’、−O(CR’R”)NR”C(=O)R’、−O(CR’R”)NR”SOR’、−OC(=O)NR’R”、−NR’C(=O)OR”、−SOR’、−SONR’R”、または−NR’SOR”の1以上を有し、
ここで、R’、R”、およびrは各々定義されたとおりである)。
【0014】
一実施形態において、pは1であり、Cyは3−ピリジニルまたは5−ピリミジニルであり、XおよびYは各々酸素であり、Zは−NR−である。
【0015】
一実施形態において、pは1であり、Cyは3−ピリジニルまたは5−ピリミジニルであり、XおよびZは−NR−であり、Yは酸素である。
【0016】
一実施形態において、pは1であり、Cyは3−ピリジニルまたは5−ピリミジニルであり、Xは−NR−であり、Yは酸素であり、Zは共有結合である。
【0017】
一実施形態において、pは1であり、Cyは3−ピリジニルまたは5−ピリミジニルであり、Xは−NR−であり、Yは酸素であり、ZはAである。
【0018】
一実施形態において、式1の化合物は、
N−フェニルカルバミン酸2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル、
N−(4−フルオロフェニル)カルバミン酸2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル、
N−(4−クロロフェニル)カルバミン酸2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル、
N−(4−ブロモフェニル)カルバミン酸2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル、
N−(3−フルオロフェニル)カルバミン酸2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル、
N−(3−クロロフェニル)カルバミン酸2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル、
N−(3−ブロモフェニル)カルバミン酸2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル、
N−(2−フルオロフェニル)カルバミン酸2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル、
N−(2−クロロフェニル)カルバミン酸2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル、
N−(2−ブロモフェニル)カルバミン酸2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル、
N−(3,4−ジクロロフェニル)カルバミン酸2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル、
N−(2−メチルフェニル)カルバミン酸2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル、
N−(2−ビフェニル)カルバミン酸2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル、
N−(3−メチルフェニル)カルバミン酸2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル、
N−(3−ビフェニル)カルバミン酸2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル、
N−(4−メチルフェニル)カルバミン酸2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル、
N−(4−ビフェニル)カルバミン酸2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル、
N−(2−シアノフェニル)カルバミン酸2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル、
N−(3−シアノフェニル)カルバミン酸2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル、
N−(4−シアノフェニル)カルバミン酸2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル、
N−(3−トリフルオロメチルフェニル)カルバミン酸2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル、
N−(4−ジメチルアミノフェニル)カルバミン酸2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル、
N−(2−メトキシフェニル)カルバミン酸2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル、
N−(2−フェノキシフェニル)カルバミン酸2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル、
N−(2−メチルチオフェニル)カルバミン酸2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル、
N−(2−フェニルチオフェニル)カルバミン酸2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル、
N−(3−メトキシフェニル)カルバミン酸2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル、
N−(3−フェノキシフェニル)カルバミン酸2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル、
N−(3−メチルチオフェニル)カルバミン酸2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル、
N−(3−フェニルチオフェニル)カルバミン酸2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル、
N−(4−メトキシフェニル)カルバミン酸2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル、
N−(4−フェノキシフェニル)カルバミン酸2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル、
N−(4−メチルチオフェニル)カルバミン酸2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル、
N−(4−フェニルチオフェニル)カルバミン酸2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル、
N−(2,4−ジメトキシフェニル)カルバミン酸2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル、
N−(2−チエニル)カルバミン酸2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル、
N−(3−チエニル)カルバミン酸2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル、
N−(3−ベンゾチエニル)カルバミン酸2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル、
N−(1−ナフチル)カルバミン酸2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル、
N−(2−ナフチル)カルバミン酸2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル、
N−フェニル−N’−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)尿素、
N−(4−フルオロフェニル)−N’−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)尿素、
N−(4−クロロフェニル)−N’−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)尿素、
N−(4−ブロモフェニル)−N’−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)尿素、
N−(3−フルオロフェニル)−N’−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)尿素、
N−(3−クロロフェニル)−N’−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)尿素、
N−(3−ブロモフェニル)−N’−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)尿素、
N−(2−フルオロフェニル)−N’−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)尿素、
N−(2−クロロフェニル)−N’−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)尿素、
N−(2−ブロモフェニル)−N’−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)尿素、
N−(3,4−ジクロロフェニル)−N’−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)尿素、
N−(2−メチルフェニル)−N’−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)尿素、
N−(2−ビフェニル)−N’−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)尿素、
N−(3−メチルフェニル)−N’−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)尿素、
N−(3−ビフェニル)−N’−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)尿素、
N−(4−メチルフェニル)−N’−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)尿素、
N−(4−ビフェニル)−N’−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)尿素、
N−(2−シアノフェニル)−N’−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)尿素、
N−(3−シアノフェニル)−N’−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)尿素、
N−(4−シアノフェニル)−N’−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)尿素、
N−(3−トリフルオロメチルフェニル)−N’−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)尿素、
N−(4−ジメチルアミノフェニル)−N’−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)尿素、
N−(2−メトキシフェニル)−N’−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)尿素、
N−(2−フェノキシフェニル)−N’−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)尿素、
N−(2−メチルチオフェニル)−N’−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)尿素、
N−(2−フェニルチオフェニル)−N’−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)尿素、
N−(3−メトキシフェニル)−N’−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)尿素、
N−(3−フェノキシフェニル)−N’−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)尿素、
N−(3−メチルチオフェニル)−N’−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)尿素、
N−(3−フェニルチオフェニル)−N’−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)尿素、
N−(4−メトキシフェニル)−N’−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)尿素、
N−(4−フェノキシフェニル)−N’−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)尿素、
N−(4−メチルチオフェニル)−N’−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)尿素、
N−(4−フェニルチオフェニル)−N’−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)尿素、
N−(2,4−ジメトキシフェニル)−N’−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)尿素、
N−(2−チエニル)−N’−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)尿素、
N−(3−チエニル)−N’−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)尿素、
N−(3−ベンゾチエニル)−N’−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)尿素、
N−(1−ナフチル)−N’−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)尿素、
N−(2−ナフチル)−N’−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)尿素、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)ベンズアミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−2−フルオロベンズアミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−3−フルオロベンズアミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−4−フルオロベンズアミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−2−クロロベンズアミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−3−クロロベンズアミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−4−クロロベンズアミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−2−ブロモベンズアミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−3−ブロモベンズアミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−4−ブロモベンズアミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−3,4−ジクロロベンズアミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−2−メチルベンズアミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−3−メチルベンズアミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−4−メチルベンズアミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−2−フェニルベンズアミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−3−フェニルベンズアミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−4−フェニルベンズアミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−2−シアノベンズアミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−3−シアノベンズアミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−4−シアノベンズアミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−3−トリフルオロメチルベンズアミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−4−ジメチルアミノベンズアミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−2−メトキシベンズアミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−3−メトキシベンズアミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−4−メトキシベンズアミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−2−フェノキシベンズアミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−3−フェノキシベンズアミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−4−フェノキシベンズアミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−2−メチルチオベンズアミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−3−メチルチオベンズアミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−4−メチルチオベンズアミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−2−フェニルチオベンズアミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−3−フェニルチオベンズアミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−4−フェニルチオベンズアミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−2,4−ジメトキシベンズアミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−5−ブロモニコチンアミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−6−クロロニコチンアミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−5−フェニルニコチンアミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)フラン−2−カルボキサミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)フラン−3−カルボキサミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)チオフェン−2−カルボキサミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−5−ブロモチオフェン−2−カルボキサミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−5−メチルチオチオフェン−2−カルボキサミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−5−フェニルチオチオフェン−2−カルボキサミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−5−メチルチオフェン−2−カルボキサミド,
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−3−メチルチオフェン−2−カルボキサミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−3−ブロモチオフェン−2−カルボキサミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−3−クロロチオフェン−2−カルボキサミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−5−(2−ピリジニル)チオフェン−2−カルボキサミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−5−アセチルチオフェン−2−カルボキサミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−3−エトキシチオフェン−2−カルボキサミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−3−メトキシチオフェン−2−カルボキサミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−4−アセチル−3−メチル−5−メチルチオチオフェン−2−カルボキサミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)チオフェン−3−カルボキサミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−1−メチルピロール−2−カルボキサミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)ピロール−3−カルボキサミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)インドール−2−カルボキサミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)インドール−3−カルボキサミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−1−メチルインドール−3−カルボキサミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−1−ベンジルインドール−3−カルボキサミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−1H−ベンズイミダゾール−2−カルボキサミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−1−イソプロピル−2−トリフルオロメチル−1H−ベンズイミダゾール−5−カルボキサミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−1−イソプロピル−1H−ベンゾトリアゾール−5−カルボキサミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボキサミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)ベンゾ[b]チオフェン−3−カルボキサミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)ベンゾフラン−2−カルボキサミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)ベンゾフラン−3−カルボキサミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−3−メチルベンゾフラン−2−カルボキサミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−5−ニトロベンゾフラン−2−カルボキサミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−5−メトキシベンゾフラン−2−カルボキサミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−7−メトキシベンゾフラン−2−カルボキサミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−7−エトキシベンゾフラン−2−カルボキサミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−3−メチル−5−クロロベンゾフラン−2−カルボキサミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−6−ブロモベンゾフラン−2−カルボキサミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−4−アセチル−7−メトキシベンゾフラン−2−カルボキサミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−2−メチルベンゾフラン−4−カルボキサミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)ナフト[2,1−b]フラン−2−カルボキサミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)ナフタレン−1−カルボキサミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)ナフタレン−2−カルボキサミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−6−アミノナフタレン−2−カルボキサミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−3−メトキシナフタレン−2−カルボキサミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−6−メトキシナフタレン−2−カルボキサミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−1−ヒドロキシナフタレン−2−カルボキサミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−6−ヒドロキシナフタレン−2−カルボキサミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−6−アセトキシナフタレン−2−カルボキサミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)3−フェニルプロプ−2−エンアミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−3−(3−フルオロフェニル)プロプ−2−エンアミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−3−(4−メトキシフェニル)プロプ−2−エンアミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−2−メチル−3−フェニルプロプ−2−エンアミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−3−(2−フルオロフェニル)プロプ−2−エンアミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−3−(3−メチルフェニル)プロプ−2−エンアミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−3−(4−フルオロフェニル)プロプ−2−エンアミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−3−(4−メチルフェニル)プロプ−2−エンアミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−3−(2−フリル)プロプ−2−エンアミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−3−(2−メトキシフェニル)プロプ−2−エンアミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−3−(3−ブロモフェニル)プロプ−2−エンアミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−3−(3−メトキシフェニル)プロプ−2−エンアミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−3−(3−ヒドロキシフェニル)プロプ−2−エンアミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−3−(4−ブロモフェニル)プロプ−2−エンアミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−3−(4−クロロフェニル)プロプ−2−エンアミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−3−(4−ヒドロキシフェニル)プロプ−2−エンアミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−3−(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)プロプ−2−エンアミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−3−(2−チエニル)プロプ−2−エンアミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−3−(3−ピリジニル)プロプ−2−エンアミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−3−(4−ビフェニル)プロプ−2−エンアミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−3−(1−ナフチル)プロプ−2−エンアミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−3−(3−チエニル)プロプ−2−エンアミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−3−(4−イソプロピルフェニル)プロプ−2−エンアミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−3−メチル−3−フェニルプロプ−2−エンアミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−3−(3−フリル)プロプ−2−エンアミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−2−エチル−3−フェニルプロプ−2−エンアミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−3−(2−ピリジニル)プロプ−2−エンアミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−3−(3,4−ジメチルチエノ[2,3−b]チオフェン−2−イル)プロプ−2−エンアミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−3−(3−メチルチエン−2−イル)プロプ−2−エンアミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−3−(2−ナフチル)プロプ−2−エンアミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−3−(4−メチルチオフェニル)プロプ−2−エンアミド、
またはその製薬上許容される塩もしくは溶媒和物である。
【0019】
一実施形態において、式1の化合物は、(2S,3R)−N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−3−イル)ベンゾフラン−2−カルボキサミドまたはその製薬上許容される塩または溶媒和物であり、本明細書では化合物Aとも記載する。
【化2】

【0020】
さらなる実施形態において、式1の化合物は、(2S,3R)−N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−3−イル)ベンゾフラン−2−カルボキサミドの塩酸塩、リン酸塩、マレイン酸塩、またはp−トルエンスルホン酸塩またはその溶媒和物である。
【0021】
一実施形態において、式1の化合物は、(2S,3R)−N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−3−イル)−5−メチルチオフェン−2−カルボキサミドまたはその製薬上許容される塩であり、本明細書では化合物Bとも記載する。さらなる実施形態において、式1の化合物は、(2S,3R)−N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−3−イル)−5−メチルチオフェン−2−カルボキサミドの塩酸塩、リン酸塩、またはp−トルエンスルホン酸塩またはその溶媒和物である。
【0022】
一実施形態において、前記抗精神病薬は、従来の抗精神病薬または非定型抗精神病薬のいずれかである。前記抗精神病薬が従来の抗精神病薬である実施形態において、前記薬剤は、クロールプロマジン、ハロペリドール、フルペンチキソール、またはペルフェナジン、またはその代謝産物、塩、または溶媒和物から選択される。前記抗精神病薬が非定型抗精神病薬である実施形態において、前記薬剤は、クロザピン、リスペリドン、オランザピン、クエチアピン、アリピプラゾール、ジプラシドン、アミスルプリド、スルプリド、ゾテピン、セルチンドール、パリペリドン、ビフェプルノクス、またはアセナピン、またはその代謝産物、塩、または溶媒和物から選択される。一実施形態において、前記少なくとも1つの抗精神病薬はクロザピンまたはクエチアピン、またはその代謝産物、塩、または溶媒和物である。
【0023】
本発明は、本発明による薬学的組合せ物の投与を含む、精神障害の予防処置のための(for the treatment of prevention)方法を含む。一実施形態において、前記精神障害は精神病性障害である。さらなる実施形態において、前記精神障害は、統合失調症、統合失調症様障害、統合失調性感情障害、妄想性障害、短期精神病性障害、共有精神病性障害、治療抵抗性精神病性障害、一般身体疾患による精神病性障害、または特定不能の精神病性障害である。さらなる実施形態において、前記精神障害は統合失調症である。
【0024】
本発明は、1以上のα7ニコチン作動薬と1以上の抗精神病薬との相乗的組合せ物を含むパッケージを含んでなる、精神障害の治療または予防のためのキットを含む。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】α−7ニコチン受容体作動薬、具体的には、化合物Bが、th(tk−)/th(tk−)マウスにおける感覚ゲイニング(sensory gaining)障害を回復に向かわせる能力を説明する図である(n=15)。化合物Bは対照に対して効果がなかった(n=8)。
【図2a】図2aは対照マウスでは化合物Aの有意な主効果はなかったということを説明する図であり、対照マウスでは化合物AはPPIに対して効果がなかったということを示している。しかしながら、図2bに説明するように、化合物Aはトランスジェニック[th(tk−)/th(tk−)]マウスに対しては効果があり、その結果、化合物AがトランスジェニックマウスにおけるPPIを改善する能力を明らかにしている(n=8)。
【図2b】図2aは対照マウスでは化合物Aの有意な主効果はなかったということを説明する図であり、対照マウスでは化合物AはPPIに対して効果がなかったということを示している。しかしながら、図2bに説明するように、化合物Aはトランスジェニック[th(tk−)/th(tk−)]マウスに対しては効果があり、その結果、化合物AがトランスジェニックマウスにおけるPPIを改善する能力を明らかにしている(n=8)。
【図3】感覚ゲート機構に対するα7ニコチン作動薬の治療効果を説明する図である。トランスジェニックマウスは対照マウスよりも高い驚愕反応を示した(n=8)。
【図4】トランスジェニックマウスにおける感覚ゲイニングを修正する、クロザピンに対する治療効果を説明する図である。
【図5】トランスジェニックマウスにおけるクロザピンと化合物Aとの相乗的な相互作用(PPI)を説明する図である(n=8)。
【図6】トランスジェニックマウスにおけるクロザピンと化合物Aとの相乗的な相互作用(驚愕反応)を説明する図である(n=8)。
【図7a】クエチアピンがトランスジェニックマウスにおける感覚ゲート機構、PPIおよび驚愕反応それぞれを修正する能力を説明する図である。
【図7b】クエチアピンがトランスジェニックマウスにおける感覚ゲート機構、PPIおよび驚愕反応それぞれを修正する能力を説明する図である。
【図8a】トランスジェニックマウスにおける化合物Aとクエチアピンとの相乗的な相互作用(PPIおよび驚愕反応)を説明する図である。
【図8b】トランスジェニックマウスにおける化合物Aとクエチアピンとの相乗的な相互作用(PPIおよび驚愕反応)を説明する図である。
【図9A】アフリカツメガエル(Xenopus)卵母細胞において発現させたα7受容体に対する化合物Aの効果についてのグラフによる例示である。図9A:アフリカツメガエル卵母細胞において発現させたヒトα7受容体における化合物A誘発電流についての用量反応。図9B:指示濃度の化合物A適用後のヒトα7受容体の対照ACh誘発反応。データは、作動薬誘発反応試験の5分前に取得した対照300μM Ach反応の正味電荷に対して正規化した。各ポイントは、少なくとも4つの卵母細胞の正規化反応についての平均±SEMを表す。
【図9B】アフリカツメガエル(Xenopus)卵母細胞において発現させたα7受容体に対する化合物Aの効果についてのグラフによる例示である。図9A:アフリカツメガエル卵母細胞において発現させたヒトα7受容体における化合物A誘発電流についての用量反応。図9B:指示濃度の化合物A適用後のヒトα7受容体の対照ACh誘発反応。データは、作動薬誘発反応試験の5分前に取得した対照300μM Ach反応の正味電荷に対して正規化した。各ポイントは、少なくとも4つの卵母細胞の正規化反応についての平均±SEMを表す。
【図10A】オープンフィールド試験(the Open-field Test)および高架式十字迷路(Elevated Plus Maze)において化合物Aが自発運動に対して効果がないことを示すデータのグラフ表現である。図10A:対照またはth(tk−)/th(tk−)(TK−)マウスがオープンフィールドの周辺ゾーンまたは中心ゾーン内に滞在する時間。TK−マウスは対照よりも中心に有意に長い時間(それゆえに周辺には有意に短い時間)滞在したが、化合物A(0.3mg/kg)の効果はなかった。*=対照とは有意に異なる(p<0.05)。図10B。化合物Aは、高架式十字迷路のオープンアームおよびクローズドアーム内に滞在する時間に対して効果がなかった。両方の遺伝子型の被験体は、オープンアームよりもクローズドアーム内に有意に長い時間滞在した。TK−マウスは対照よりも有意に長い時間オープンアーム内に滞在した。薬物の効果はなかった。*=対照とは有意に異なる(p<0.05)。
【図10B】オープンフィールド試験(the Open-field Test)および高架式十字迷路(Elevated Plus Maze)において化合物Aが自発運動に対して効果がないことを示すデータのグラフ表現である。図10A:対照またはth(tk−)/th(tk−)(TK−)マウスがオープンフィールドの周辺ゾーンまたは中心ゾーン内に滞在する時間。TK−マウスは対照よりも中心に有意に長い時間(それゆえに周辺には有意に短い時間)滞在したが、化合物A(0.3mg/kg)の効果はなかった。*=対照とは有意に異なる(p<0.05)。図10B。化合物Aは、高架式十字迷路のオープンアームおよびクローズドアーム内に滞在する時間に対して効果がなかった。両方の遺伝子型の被験体は、オープンアームよりもクローズドアーム内に有意に長い時間滞在した。TK−マウスは対照よりも有意に長い時間オープンアーム内に滞在した。薬物の効果はなかった。*=対照とは有意に異なる(p<0.05)。
【図11】化合物Aがアポモルヒネ誘発プレパルス抑制障害を回復に向かわせることを示すデータのグラフ表現である。プレパルス(PP)抑制を調べるために、PPトライアルでは、40ミリ秒幅の120dBパルスの100ミリ秒前に、20ミリ秒幅の75dB(=背景雑音より10dB高い)または85dB(=背景雑音より20dB高い)のいずれかのプレパルスを加えた。平均トライアル間隔を20〜60秒の範囲の40秒に設定し、トライアル間隔の長さは無作為化した。120dBのパルス提示の開始から100m秒間驚愕反応を測定した。処置ラットの「フリンチ(flinch)」の大きさを測定した。薬物処置因子(単独)間の総合比較において、生理食塩水と(−)−アポモルヒネ(1.0mg/kg;s.c.)の投与は、生理食塩水+ビヒクル処置動物と比べて%PPIを有意に下げた(+p<0.001)。化合物A(0.3mg/kg;s.c.)は、生理食塩水と(−)−アポモルヒネ(1.0mg/kg;s.c.)と比べたときに、0.3 化合物A+1.0 アポモルヒネに次いで、アポモルヒネ誘発PPI障害(%PPI)を有意に回復に向かわせた(**p<0.001)。定型抗精神病薬であるハロペリドール(0.3mg/kg;i.p.)は、生理食塩水と(−)−アポモルヒネ(1.0mg/kg;s.c)と比べたときに、0.3 ハロペリドール+1.0 アポモルヒネに次いで、アポモルヒネによって誘発されたPPI障害(%PPI)を有意に回復に向かわせた(**p<0.001)。データは平均±SEMとして表している。(−)−アポモルヒネはSigma Chemical Co. (St. Louis, MO)から入手した。(−)−アポモルヒネを、0.1%(w/v)アスコルビン酸(Sigma)を含有する生理食塩水に溶解し、酸化分解を防ぐために暗所で冷蔵した。
【図12A】新奇物体認識パラダイム(a Novel Object Recognition paradigm)による認知に対する化合物Aの用量反応効果を示すデータのグラフ表現である。図12A(左):化合物Aをp.o.投与し(0.3〜10mg/kg)、認知に対する効果を、「方法」に記載のとおり、新奇物体認識(NOR)パラダイムにより判定した。結果は、新奇物体および日常物体の探索に費やした時間(平均±SEM)として表している。**p<0.02 対ビヒクル対照。図12A(右):化合物Aをp.o.投与し(0.3mg/kg)、投与の0.5時間、2時間、6時間、18時間および24時間後に探索時間を決定した。データは平均±SEMとして表している。*p<0.05 対ビヒクル対照。図12B:化合物Aの投与(0.3mg/kg p.o.)後の様々な時点において%識別指数を算出した(%RI=[(新奇物体調査時間)/(新奇物体+日常物体の両方の調査時間の合計)])。結果は、識別指数(Recognition Index)(RI)を化合物A投与後の時間の関数として表し、平均±SEMとして表している。*p<0.05 対ビヒクル対照。
【図12B】新奇物体認識パラダイム(a Novel Object Recognition paradigm)による認知に対する化合物Aの用量反応効果を示すデータのグラフ表現である。図12A(左):化合物Aをp.o.投与し(0.3〜10mg/kg)、認知に対する効果を、「方法」に記載のとおり、新奇物体認識(NOR)パラダイムにより判定した。結果は、新奇物体および日常物体の探索に費やした時間(平均±SEM)として表している。**p<0.02 対ビヒクル対照。図12A(右):化合物Aをp.o.投与し(0.3mg/kg)、投与の0.5時間、2時間、6時間、18時間および24時間後に探索時間を決定した。データは平均±SEMとして表している。*p<0.05 対ビヒクル対照。図12B:化合物Aの投与(0.3mg/kg p.o.)後の様々な時点において%識別指数を算出した(%RI=[(新奇物体調査時間)/(新奇物体+日常物体の両方の調査時間の合計)])。結果は、識別指数(Recognition Index)(RI)を化合物A投与後の時間の関数として表し、平均±SEMとして表している。*p<0.05 対ビヒクル対照。
【図13】肥満db/dbマウスにおける血漿グルコースに対する化合物Bの効果を示すグラフ表現である。
【図14】肥満db/dbマウスにおける体重に対する化合物Bの効果を示すグラフ表現である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
発明の詳細な説明
本明細書に記載の組合せ物は、精神障害、特に精神病性障害の治療において相乗効果を提供するように意図されている。記載した組合せ物は、精神障害、特に精神病性障害の症状の軽減をもたらすように意図されており、副作用が少なくなるように意図されており、単独投与と比べてこれらの薬剤の使用の減少を可能にするように意図されており、リチウムなどの鎮静薬および気分安定剤を補うように意図されており、精神病状態の進行に予防的に対処するように意図されている。
【0027】
例示的な精神病性障害としては、限定されるものではないが、統合失調症、統合失調症様障害、統合失調性感情障害、妄想性障害、短期精神病性障害、共有精神病性障害、治療抵抗性精神病性障害および一般身体疾患による精神病性障害が挙げられる。上記の状態および障害は、例えば、the American Psychiatric Association: Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, Fourth Edition, Text Revision, Washington, DC, American Psychiatric Association, 2000において定義されており、これは上記定義に関して参照により本明細書に組み入れる。
【0028】
本明細書に記載の組成物および方法は、神経精神疾患を治療するための従前の方法と比べて利点を提供するように意図されている。本発明の組合せ物は、ニコチン作動薬と組み合わせて服用したときに抗精神病薬の効力の増強を提供するため、使用するこれらの薬剤の量の減少を可能にするだけでなく、病徴および疾病関連副作用の管理の改善を可能にする。この相乗作用のさらなる利点は、個別の化合物よりも速やかな治療効果発現であり得る。
【0029】
本発明のニコチン作動薬は、α7 NNR受容体サブタイプ(α7ニコチン作動薬)において作動薬または部分的作動薬活性を有する化合物である。本発明の組合せ物において有用な特定のニコチン作動薬は、米国特許第6,953,855号ならびにUS出願番号11/157,119、11/458,231および60/971,654(これらは各々参照により本明細書に組み入れる)に記載されているものである。
【0030】
特定のニコチン作動薬は、立体異性形のN−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−3−イル)ベンゾフラン−2−カルボキサミドならびにその代謝産物またはプロドラッグおよび製薬上許容される塩または溶媒和物である。
【0031】
例示的なニコチン作動薬は、(2S,3R)−N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−3−イル)ベンゾフラン−2−カルボキサミドであり、これは本明細書では化合物Aとも記載する。化合物Aおよび他の式1の化合物は対象の脳におけるニコチン受容体をモジュレートする。そのようなものとして、前記化合物は、ニコチン薬理作用を発現する、特に、ニコチン作動薬として作用する能力を有する。これらの化合物の調製は、上記で参照し組み込んだ特許および出願において記載されている。
【0032】
以下の定義は、定義された用語を明らかにするものであって限定するものではない。本明細書において使用する特定の用語が具体的に定義されていない場合には、そのような用語を不明確なものと考えてはならない。むしろ、用語はその一般に認められた意味の範囲内で使用される。
【0033】
本明細書において「アルキル」という用語は、本明細書においてさらに記載されるとおり必要に応じて置換されていてよい、1〜12個、好ましくは1〜8個、より好ましくは1〜6個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖炭化水素(多置換が可能である)を意味する。本明細書における「アルキル」の例としては、限定されるものではないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、イソブチル、n−ブチル、tert−ブチル、イソペンチル、およびn−ペンチルが挙げられる。
【0034】
本明細書において、「シクロアルキル」という用語は、飽和の、必要に応じて置換されている非芳香族、3員〜12員、好ましくは3員〜8員の、単環式、二環式、または架橋炭化水素環(多置換が可能である)を意味する。本明細書における例示的な「シクロアルキル」基としては、限定されるものではないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、およびシクロヘプチル、ならびに1以上の不飽和度を有するが芳香族ではない環、例えば、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、およびシクロヘプテニルが挙げられる。
【0035】
本明細書において、「複素環」または「ヘテロシクリル」という用語は、本明細書においてさらに記載されるとおり必要に応じて置換されていてよい、必要に応じて、1以上の不飽和度を有し、1以上のヘテロ原子も含有する、必要に応じて置換されている単環系または多環系(多置換が可能である)を意味する。例示的なヘテロ原子としては、窒素、酸素、または硫黄原子が挙げられ、N−酸化物、硫黄酸化物、およびニ酸化物を含む。好ましくは、前記環は、3員〜12員であり、完全飽和しているかまたは1以上の不飽和度を有している。そのような環は、必要に応じて、別の複素環式環(群)またはシクロアルキル環(群)の1以上と縮合していてよい。本明細書における「複素環式」基の例としては、限定されるものではないが、テトラヒドロフラン、ピラン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキサン、ピペリジン、ピロリジン、モルホリン、テトラヒドロチオピラン、およびテトラヒドロチオフェンが挙げられる。
【0036】
本明細書において、「アリール」という用語は、本明細書においてさらに記載されるとおり必要に応じて置換されていてよい、一価のベンゼン環または縮合ベンゼン環系(多置換が可能である)を意味する。また、「アリール」という用語は、本明細書においてさらに記載されるとおり必要に応じて置換されていてよい、単環式5員〜7員芳香環、またはそのような芳香環の2つを含んでなる縮合二環式芳香環系(多置換が可能である)も意味し、そしてそのような環は(例えば、5員および6員複素芳香環中に)1以上の窒素、硫黄、および/または酸素原子を含有していてよく、ここで、N−酸化物、硫黄酸化物、およびニ酸化物は許容されるヘテロ原子置換体である。使用される「アリール」基の例としては、限定されるものではないが、フェニル、2−ナフチル、1−ナフチル、アントラセン、およびフェナントレンが挙げられる。本明細書における「アリール」基のさらなる例としては、限定されるべきものではないが、フラン、チオフェン、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、テトラゾール、チアゾール、オキサゾール、イソキサゾール、オキサジアゾール、チアジアゾール、イソチアゾール、ピリジン、ピリダジン、ピラジン、ピリミジン、キノリン、イソキノリン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、インドール、インダゾール、ベンズイミジゾリル(benzimidizolyl)、イミダゾピリジニル、ピラゾロピリジニル、およびピラゾロピリミジニルが挙げられる。
【0037】
本明細書において、「アラルキル」という用語は、アルキレンリンカーと通じて結合された、本明細書において定義される「アリール」基を意味し、限定されるものではないが、ベンジルを含む。
【0038】
本発明の範囲に含まれる化合物は、酸付加塩を形成し得る。好適な製薬上許容される塩の例としては、無機酸付加塩、例えば、塩化物、臭化物、硫酸塩、リン酸塩、および硝酸塩;有機酸付加塩、例えば、酢酸塩、ガラクタル酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、乳酸塩、グリコール酸塩、リンゴ酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、メタンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、およびアスコルビン酸塩;酸性アミノ酸との塩、例えば、アスパラギン酸塩およびグルタミン酸塩が挙げられる。代表的な塩は、Dull et al.の米国特許第5,597,919号、Dull et al.の同第5,616,716号およびRuecroft et alの同第5,663,356号(これらは各々上記教示に関して参照により本明細書に組み入れる)に記載のとおり提供されている。
【0039】
式1の製薬上許容される塩はいくつかの異なる化学量論のものであってよい。従って、ある場合において、酸と塩基とのモル比は1:1であり;別の場合においては、酸と塩基とのモル比は1:2であり;さらに別の場合においては、酸と塩基とのモル比は2:1である。他の化学量論も可能である。
【0040】
製薬上許容される塩は、ある場合においては、水和物またはエタノール溶媒和物であってよく、本発明によればこれらも有用である。よって、本明細書において、「溶媒和物」という用語は、化合物の溶媒和物および化合物の塩の溶媒和物を含む。
【0041】
本明細書に記載の化合物の代謝産物およびプロドラッグも本発明によれば有用である。化合物に対するいかなる言及も、そのような化合物の代謝産物またはプロドラッグも含まれるという意味を含むべきである。
【0042】
本明細書において「治療上有効な量」という用語は、治療に適用できる妥当なリスク対効果比で、精神障害、特に精神病性障害または状態を治療するのに十分な化合物量を意味する。
【0043】
本明細書において、「予防(prevention)」または「予防(prophylaxis)」という用語は、疾患、障害、または状態の進行軽減または発症遅延の程度を含む。この用語は、特定の疾患、障害、または状態に対する予防効果だけでなく、疾患、障害、または状態の再発の改善ももたらすことを含む。よって、一例として、本発明は、NNRまたはnAChRにより媒介される障害を再発しているかまたは再発する危険性があるかまたは再発を経験している対象を治療するための方法を提供する。本発明の化合物および医薬組成物は、例えば、CNS機能不全を有する対象において、有益な治療または予防効果を得るために使用し得る。
【0044】
「障害」という用語は、特に断りのない限り、「状態」および「疾患」という用語と同じ意味を有し、本明細書および特許請求の範囲を通じて同義的に使用される。
【0045】
「相乗効果」という用語は、組合せ物の効果が2つの個別の薬剤を合わせたものよりも大きいということを意味する。
【0046】
(a)α7ニコチン作動薬である第1の治療薬のある量と、(b)抗精神病薬である第2の治療薬のある量とを含んでなる組合せ物を本明細書において開示する。
【0047】
また、精神病性障害、特に統合失調症を同時に、逐次的に、または別々に処置するのに有用である、α7ニコチン作動薬と抗精神病薬との組合せ物も本明細書において開示する。特に、α7ニコチン作動薬と非定型抗精神病薬との薬学的組合せ物を含んでなる組成物は、前記障害を同時に、逐次的に、または別々に処置するのに有用であると記載される。
【0048】
本発明はまた、前記α7ニコチン作動薬が(2S,3R)−N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−3−イル)ベンゾフラン−2−カルボキサミドであり、前記非定型抗精神病薬がクロザピンまたはクエチアピンのいずれかである(これらの薬剤のいずれの製薬上許容される塩または溶媒和物も含まれる)組合せ物にも関する。
【0049】
本発明の第2の態様は、(a)α7ニコチン作動薬である第1の治療薬のある量と、(b)抗精神病薬、特に非定型抗精神病薬である第2の治療薬のある量との組合せ物ともに、製薬上許容される担体を含んでなる医薬組成物に関する。
【0050】
本発明の第3の態様は、α7ニコチン作動薬である第1の治療薬と、抗精神病薬である第2の治療薬との混合物の投与量単位と、所望により使用説明書を含んでなるキットに関する。
【0051】
本発明の第4の態様は、それを必要とする対象において、精神障害、特に精神病性障害、例えば、統合失調症を治療するための方法であって、前記対象に、(a)α7ニコチン作動薬である第1の治療薬のある量と;(b)抗精神病薬である第2の治療薬のある量とを同時に、逐次的にまたは別々に投与することを含み、前記量の(a)と(b)とが互いに相乗的に治療に有効である方法に関する。
【0052】
もう1つの態様は、前記対象に、(a)α7ニコチン作動薬である第1の治療薬のある量と(b)抗精神病薬である第2の治療薬のある量とを、製薬上許容される担体をさらに含んでなる医薬組成物として、経口投与、経粘膜投与、経皮投与、経鼻投与、経肺投与、口内投与、非経口投与、直腸投与、および舌下投与からなる群から選択される方法により、同時に、逐次的にまたは別々に投与する前記方法に関する。
【0053】
さらなる態様は、前記対象に、(a)α7ニコチン作動薬である第1の治療薬のある量と、(b)抗精神病薬である第2の治療薬のある量とを、製薬上許容される担体をさらに含んでなる医薬組成物として、経口的に、非経口的に、経粘膜的に、すなわち、舌下にまたは口内投与により、局所的に、経皮的に、直腸内に、または吸入、すなわち、経鼻吸入または深肺吸入により、からなる群から選択される方法により、同時に、逐次的に、または別々に投与する前記方法に関する。非経口投与としては、限定されるものではないが、静脈内投与、動脈内投与、腹腔内投与、皮下投与、皮内投与、筋肉内投与、くも膜下腔内投与または高圧技術による投与が挙げられる。
【0054】
もう1つの態様は、前記α7ニコチン作動薬が(2S,3R)−N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−3−イル)ベンゾフラン−2−カルボキサミドであり、前記非定型抗精神病薬がクロザピンまたはクエチアピンのいずれかである(これらの薬剤のいずれの製薬上許容される塩または溶媒和物も含まれる)先に述べた前記方法に関する。
【0055】
もう1つの態様は、抗精神病薬投与の結果として生じる高血糖、糖尿病、体重増加、および/または異脂肪血症に対処するためにα7 NNR作動薬を含む、組成物および方法に関する。特定の実施形態において、前記組成物および方法は定型抗精神病薬または非定型抗精神病薬を含む。
【0056】
抗精神病薬の使用と高血糖、体重増加、異脂肪血症および糖尿病との関連は十分に立証されている(American Diabetes Association et al. (2004); Henderson, DC et al. (2005a); Koller and Doraiswamy (2002); Sernyak, MJ (2002))。血糖、体重および糖尿病を管理するためにライフスタイルの変化を推奨することができるが、精神病患者においては、コンプライアンス不足が問題である場合が多い。異なる抗精神病薬への変更が計画される場合があるが、精神病の有効な治療の必要性があることから利点を比較検討しなければならない。抗精神病薬の血糖および体重増加に対する効果を抑えるために、アマンタジン、メトホルミン、シブトラミンおよびトピラメートを処方する場合がある(Canitano, R (2005); Graham, KA et al. (2005); Henderson, DC et al. (2005b); Klein, DJ et al. (2006))が、副作用が報告されている。抗精神病薬治療に対する補助療法としてのNNR α7作動薬の使用により高血糖、体重増加、異脂肪血症および/または糖尿病の問題に対処し得、副作用プロフィールは改善される。
【0057】
定型抗精神病薬または非定型抗精神病薬の投与により高血糖および糖尿病を引き起こし得ることを裏付けるものはかなりある(American Diabetes Association et al. (2004); Henderson、DC et al. (2005a); Koller and Doraiswamy (2002);Sernyak, MJ (2002))。本発明者らの研究によりNNR α7作動薬(例えば、本明細書に記載の化合物B)は糖尿病モデルにおいて有効であることが分かっている。そのため、本発明の一態様は、抗精神病薬による高血糖、糖尿病、体重増加、異脂肪血症、糖尿病関連症状、糖尿病の合併症または体重増加の合併症を抑制するための臨床状況におけるNNR α7作動薬の投与という利点を提供する。
【0058】
本発明の一態様は、高血糖、糖尿病、体重増加、異脂肪血症、糖尿病関連症状、糖尿病の合併症または体重増加の合併症を示している患者におけるNNRα7作動薬と抗精神病薬との同時投与、または抗精神病薬を服用している患者における上記の予防のためのNNR α7作動薬の投与を含む。
【0059】
化合物B、NNR α7作動薬は、糖尿病モデルであるdb/dbマウスにおいて血糖および体重増加を軽減する(図13および図14参照)。
【0060】
アルファ7ニコチン作動薬
本発明によれば有用な化合物はα7 NNR選択的リガンドであり、本明細書において例示する化合物を含む。参考までに、化合物Aは(2S,3R)−N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−3−イル)ベンゾフラン−2−カルボキサミドであり、US特許6,953,855ならびにUS出願11/157,119、11/458,231、および60/971,654に記載されている(これらは各々、式1により表される構造の化合物およびそれらの合成に関するその開示内容に関して参照により本明細書に組み入れる)。
【化3】

【0061】
式1中、mおよびnは、個別に、1または2の値であり得、pは1、2、3または4の値であり得る。前記式中、Xは酸素または窒素(すなわち、NR’)のいずれかであり、Yは酸素または硫黄のいずれかであり、Zは窒素(すなわち、NR’)、共有結合またはリンカー種、Aのいずれかである。Aは、基−CR’R”−、−CR’R”−CR’R”−、−CR’=CR’−、および−C−から選択され、この場合、R’およびR”は以下に定義されるとおりである。Zが共有結合またはAである場合には、Xは窒素でなければならない。Arは、炭素環式または複素環式のいずれかの、単環式または縮合多環式のいずれかの、非置換または置換のアリール基であり;Cyは非置換または置換の5員または6員複素芳香環である。よって、本発明は、Arがカルボニル基含有官能基、例えば、アミド、カルバメート、尿素、チオアミド、チオカルバメートまたはチオ尿素官能基によってアザ二環に結び付いている化合物を含む。加えて、アミドおよびチオアミド官能基の場合には、Arは、カルボニル(またはチオカルボニル)基と直接結合していてよく、あるいはリンカーAを介してカルボニル(またはチオカルボニル)基に結び付いていてよい。さらに、本発明は、5員環、6員環、または7員環のいずれかを含有し合計7個、8個または9個の環原子を有する1−アザ二環(例えば、1−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン、1−アザビシクロ[3.2.1]オクタン、1−アザビシクロ[2.2.2]オクタン、および1−アザビシクロ[3.2.2]ノナン)を含有する化合物を含む。
【0062】
一実施形態において、pの値は1であり、Cyは3−ピリジニルまたは5−ピリミジニルであり、XおよびYは酸素であり、Zは窒素である。もう1つの実施形態において、pの値は1であり、Cyは3−ピリジニルまたは5−ピリミジニルであり、XおよびZは窒素であり、Yは酸素である。第3の実施形態において、pの値は1であり、Cyは3−ピリジニルまたは5−ピリミジニルであり、Xは窒素であり、Yは酸素であり、Zは共有結合である(カルボニルとArとの間)。第4の実施形態において、pの値は1であり、Cyは3−ピリジニルまたは5−ピリミジニルであり、Xは窒素であり、Yは酸素であり、ZはA(カルボニルとArとの間のリンカー種)である。
【0063】
式1の化合物は1以上の不斉炭素を有するため、ラセミ混合物、エナンチオマーおよびジアステレオマーの形態で存在し得る。波線は、それらの位置における相対立体化学および絶対立体化学が両方変化し得ることを示している(例えば、シスまたはトランス、RまたはS)。加えて、前記化合物には、炭素−炭素二重結合についてのEおよびZ異性体として存在するものがある。これらの異性体化合物1つ1つを全ておよびそれらの混合物も式1の範囲内であるように意図されている。
【0064】
式1において使用されるように、Ar(「アリール」)は、単環式および縮合多環式両方の、炭素環式および複素環式両方の芳香環を含み、ここで、前記芳香環は5員または6員環であり得る。代表的な単環式アリール基としては、限定されるものではないが、フェニル、フラニル、ピロリル、チエニル、ピリジニル、ピリミジニル、オキサゾリル、イソキサゾリル、ピラゾリル、イミダゾリル、チアゾリル、イソチアゾリルなどが挙げられる。縮合多環式アリール基は、縮合環系中に1以上の環として5員または6員芳香族環あるいは複素芳香環を含む芳香族基である。代表的な縮合多環式アリール基としては、ナフタレン、アントラセン、インドリジン、インドール、イソインドール、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、インダゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾチアゾール、プリン、キノリン、イソキノリン、シンノリン、フタラジン、キナゾリン、キノキサリン、1,8−ナフチリジン、プテリジン、カルバゾール、アクリジン、フェナジン、フェノチアジン、フェノキサジン、およびアズレンが挙げられる。
【0065】
式1において使用されるように、「Cy」基は5員および6員環複素芳香族基である。代表的なCy基としては、ピリジニル、ピリミジニル、フラニル、ピロリル、チエニル、オキサゾリル、イソキサゾリル、ピラゾリル、イミダゾリル、チアゾリル、イソチアゾリルなどが挙げられ、ここでは、ピリジニルが好ましい。
【0066】
個別に、ArおよびCyは、非置換であってよくあるいは1つ、2つ、または3つの置換基、例えば、アルキル、アルケニル、ヘテロシクリル、シクロアルキル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、ハロ(例えば、F、Cl、Br、またはI)、−OR’、−NR’R”、−CF、−CN、−NO、−CR’、−SR’、-N、−C(=O)NR’R”、−NR’C(=O)R”、−C(=O)R’、−C(=O)OR’、−OC(=O)R’、−O(CR’R”)C(=O)R’、-O(CR’R”)NR”C(=O)R’、−O(CR’R”)NR”SOR’、−OC(=O)NR’R”、−NR’C(=O)OR”、−SOR’、-SONR’R”、および−NR’SOR”(ここで、R’およびR”は、個別に、水素、アルキル、好ましくはC−Cアルキル、好ましくはC−C、シクロアルキル、好ましくはC3−8、ヘテロシクリル、アリール、またはアリールアルキル、好ましくはベンジルである)で置換されていてよい。
【0067】
代表的な式1化合物は、本明細書に記載の特定の化合物を含む。
【0068】
代表的な化合物の上記リストに関しては、そのような化合物の塩または溶媒和物も含まれる。
【0069】
式1の好ましい実施形態は、(2S,3R)−N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−3−イル)ベンゾフラン−2−カルボキサミドである。(2S,3R)−N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−3−イル)ベンゾフラン−2−カルボキサミドの好ましい塩形態は、US出願60/971,654に記載されており、その塩酸塩、リン酸塩、マレイン酸塩およびp−トルエンスルホン酸塩だけでなく、そのような塩の溶媒和物も含まれる。
【0070】
この開示内容を踏まえて、α7 NNRにおいて結合作用を有するいかなるニコチン作動薬も、本明細書に記載の組合せ物、医薬組成物、方法およびキットにおいて有用であり得るということは当業者ならば分かるであろう。
【0071】
抗精神病薬
本発明によれば有用な化合物は、従来の抗精神病薬と非定型抗精神病薬の両方である。
【0072】
従来の抗精神病薬の例としては、限定されるものではないが、クロールプロマジン、ハロペリドール、フルペンチキソール、およびペルフェナジン、ならびにその塩または溶媒和物が挙げられる。
【0073】
非定型抗精神病薬の例としては、限定されるものではないが、クロザピン、リスペリドン、オランザピン、クエチアピン、アリピプラゾール、ジプラシドン、アミスルプリド、スルプリド、ゾテピン、セルチンドール、パリペリドン、ビフェプルノクス、およびアセナピン、ならびにその塩または溶媒和物が挙げられる。
【0074】
好ましい抗精神病薬は、クロザピンおよびクエチアピン、ならびにその塩または溶媒和物である。
【0075】
本明細書に記載の抗精神病化合物の好適な製薬上許容される塩としては、例えば、本発明による化合物の溶液と製薬上許容される酸の溶液とを混合することにより形成され得る酸付加塩が挙げられる。さらに、前記化合物が酸性部分を有する場合には、その好適な製薬上許容される塩は、アルカリ金属塩、例えば、ナトリウム塩またはカリウム塩、アルカリ土類金属塩、例えば、カルシウム塩またはマグネシウム塩、および好適な有機塩基とともに形成された塩、例えば、第四級アンモニウム塩を含み得る。
【0076】
医薬組成物
本発明の医薬組成物は、(a)α7ニコチン作動薬である第1の治療薬のある量と(b)抗精神病薬である第2の治療薬のある量との組合せ物とともに、製薬上許容されるビヒクル、担体または希釈剤を含んでなる。
【0077】
一実施形態において、前記α7ニコチン作動薬は式1の化合物、またはその製薬上許容される塩または溶媒和物であり、抗精神病薬は非定型抗精神病薬である。
【0078】
もう1つの実施形態において、前記α7ニコチン作動薬は式1の化合物、またはその製薬上許容される塩または溶媒和物であり、前記抗精神病薬はクロザピンまたはクエチアピンのいずれかまたはその製薬上許容される塩または溶媒和物である。
【0079】
もう1つの実施形態において、前記α7ニコチン作動薬は(2S,3R)−N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−3−イル)ベンゾフラン−2−カルボキサミド、またはその製薬上許容される塩または溶媒和物であり、前記抗精神病薬は非定型抗精神病薬である。
【0080】
もう1つの実施形態において、前記α7ニコチン作動薬は(2S,3R)−N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−3−イル)ベンゾフラン−2−カルボキサミド、またはその製薬上許容される塩または溶媒和物であり、前記抗精神病薬はクロザピンまたはクエチアピンのいずれか、またはその製薬上許容される塩または溶媒和物である。
【0081】
本明細書に記載の組成物の有効成分は、同時に併用投与することができ、あるいは別々にまたは逐次的に任意の順序で、または単一医薬組成物として投与してよい。
【0082】
本明細書に記載の組合せ物は、精神障害、特に精神病性障害の治療のための標準的な方法により、例えば、経口的に、非経口的に、経粘膜的に、例えば、舌下にまたは口内投与により、局所的に、経皮的に、直腸内に、または吸入、例えば、経鼻吸入または深肺吸入により、投与することができる。非経口投与としては、限定されるものではないが、静脈内投与、動脈内投与、腹腔内投与、皮下投与、筋肉内投与、くも膜下腔内投与または高圧技術による投与が挙げられる。
【0083】
口内投与のために、前記組成物は、従来法で処方された錠剤またはトローチ剤の形態をとることができる。例えば、経口投与用の錠剤およびカプセル剤は、結合剤、(例えば、シロップ、アラビアガム、ゼラチン、ソルビトール、トラガカントガム、デンプン粘液またはポリビニルピロリドン)、増量剤(例えば、ラクトース、糖、微晶質セルロース、トウモロコシデンプン、リン酸カルシウムまたはソルビトール)、滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、タルク、ポリエチレングリコール、またはシリカ)、崩壊剤(例えば、ジャガイモデンプンまたはナトリウムデンプングリコラート(sodium starch glycollate))、または湿潤剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム)などの1以上の従来の担体を含むことができる。錠剤は、当技術分野で公知の方法に従ってコーティングしてよい。
【0084】
また、そのような調製物は、1以上の担体を用いた、すなわち、従来の坐剤基剤、例えば、ココア脂または他のグリセリドを含有する、直腸投与用の坐剤としても処方することができる。
【0085】
吸入用の組成物は、一般に、乾燥粉末として投与することができる溶液、懸濁液、またはエマルジョンの形態であるいは従来の担体、例えば、噴射剤(例えば、ジクロロジフルオロメタンまたはトリクロロフルオロメタン)を用いてエアゾールの形態で提供することができる。
【0086】
典型的な局所および経皮組成物は、従来の水性または非水性担体、例えば、点眼剤、クリーム剤、軟膏剤、ローション剤、およびペースト剤を含んでなってよく、あるいは薬用プラスター(a medicated plaster)、パッチ剤、または膜の形態をとってもよい。
【0087】
加えて、本明細書に記載の組成物は、注射または持続注入による非経口投与用に処方することができる。注射用の組成物は、油性または水性担体中の懸濁液、溶液、またはエマルジョンの形態をとることができ、配合剤、例えば、沈殿防止剤、安定剤、および/または分散剤を含むことができる。あるいは、有効成分は使用前に好適な担体(例えば、無菌パイロジェンフリー水)を用いて再構成する粉末形態をとることができる。
【0088】
また、本発明に従う組成物は、デポー製剤としても処方することができる。そのような長時間作用性組成物は、移植(例えば、皮下または筋肉内)によりまたは筋肉内注射により投与することができる。従って、本発明の化合物は、好適なポリマー材料または疎水性材料(例えば、許容される油中のエマルジョン)、イオン交換樹脂を用いて、または難溶性誘導体(例えば、難溶性塩)として処方することができる。
【0089】
経口投与のために、医薬組成物は、溶液、懸濁液、錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤などの形態をとることができる。様々な製薬上許容される担体、すなわち、賦形剤(例えば、クエン酸ナトリウム、炭酸カルシウムおよびリン酸カルシウム)を含有する錠剤は、様々な崩壊剤(例えば、デンプン、例えば、ジャガイモまたはタピオカデンプン、およびある特定の複合ケイ酸塩)と、結合剤(例えば、ポリビニルピロリドン、スクロース、ゼラチンおよびアラビアガム)とともに用いられる。加えて、滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウムおよびタルク)も錠剤形成に使用され得る。同じような種類の固体組成物はまた、軟および硬ゼラチンカプセル剤における増量剤としても用いられる;また、これに関連した材料の例には、ラクトースまたは乳糖ならびに高分子量ポリエチレングリコールも含まれ得る。
【0090】
あるいは、本明細書に記載の組成物は、例えば、水性または油性懸濁液、溶液、エマルジョン、シロップ、またはエリキシル剤などの経口液体製剤中に組み込むことができる。さらに、これらの化合物を含有する組成物は、使用前に水または他の好適なビヒクルを用いて再構成する乾燥製品として与えることができる。そのような液体液体製剤は、従来の担体、例えば、沈殿防止剤、例えば、ソルビトールシロップ、合成および天然ガム、例えば、トラガカントガム、アラビアガム、アルギン酸塩、デキストラン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ポリビニル−ピロリドンまたはゼラチン、グルコース/シュガーシロップ、ゼラチン、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ステアリン酸アルミニウムゲル、乳化剤、例えば、レシチン、モノオレイン酸ソルビタン、またはアラビアガム;非水性ビヒクル(食用油を含む場合がある)、例えば、アーモンド油、精留ココナツ油、油性エステル、プロピレングリコール、およびエチルアルコール;ならびに保存剤、例えば、p−ヒドロキシ安息香酸メチルまたはプロピルおよびソルビン酸を含むことができる。経口的にまたは注射により投与するために本明細書に記載の組成物を組み込み得る液体形態は、水溶液、適切に香味付したシロップ、水性または油懸濁液、および食用油、例えば、綿実油、胡麻油、ヤシ油または落花生油を含む香味付エマルジョン、ならびにエリキシル剤および類似の医薬ビヒクルを含む。
【0091】
経口投与に水性懸濁液およびエリキシル剤が望ましい場合には、本明細書に記載の化合物を、様々な甘味剤、香味剤、着色剤、乳化剤および/または沈殿防止剤、ならびに水、エタノール、プロピレングリコール、グリセリンおよびその様々な同様の組合せ物などの希釈剤と組み合わせることができる。水性懸濁液に好適な分散剤または沈殿防止剤は、合成および天然ガム、例えば、トラガカントガム、アラビアガム、アルギン酸塩、デキストラン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ポリビニル−ピロリドンまたはゼラチンを含み得る。
【0092】
本明細書に記載の組合せ物はまた、制御放出性組成物(a controlled release composition)、例えば、徐放性組成物(a slow release composition)、急速または即時放出性組成物(a fast or immediate release composition)、または遅延、制御、または調節放出性組成物(a delayed, controlled, or modified release composition)としても投与することができる。本明細書に記載の組合せ物の上記制御放出性組成物は、当業者に公知の方法を用いて調製し得る。投与方法は、患者の状態および要件の評価後に、担当医または他の当業者によって決定される。
【0093】
キット
本発明のキットは、α7ニコチン作動薬である第1の治療薬と、抗精神病薬である第2の治療薬との混合物の投与量単位と、所望により使用説明書を含んでなる。一実施形態において、前記α7ニコチン作動薬は式1の化合物、およびまたはその製薬上許容される塩または溶媒和物であり、抗精神病薬は非定型抗精神病薬である。もう1つの実施形態において、前記α7ニコチン作動薬は式1の化合物、またはその製薬上許容される塩または溶媒和物であり、前記抗精神病薬はクロザピンまたはクエチアピンのいずれか、またはその製薬上許容される塩または溶媒和物である。もう1つの実施形態において、前記α7ニコチン作動薬は(2S,3R)−N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−3−イル)ベンゾフラン−2−カルボキサミド、またはその製薬上許容される塩または溶媒和物であり、前記抗精神病薬は非定型抗精神病薬である。もう1つの実施形態において、前記α7ニコチン作動薬は(2S,3R)−N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−3−イル)ベンゾフラン−2−カルボキサミド、またはその製薬上許容される塩または溶媒和物であり、前記抗精神病薬はクロザピンまたはクエチアピンのいずれか、またはその製薬上許容される塩または溶媒和物である。
【0094】
治療方法
本発明は、それを必要とする対象において、精神障害、特に精神病性障害を治療するための方法であって、前記対象に、(a)α7ニコチン作動薬である第1の治療薬のある量と(b)抗精神病薬である第2の治療薬のある量とを同時に、逐次的にまたは別々に投与することを含み、前記量の(a)と(b)とが互いに相乗的に治療に有効である方法を含む。
【0095】
一実施形態は、それを必要とする対象において、精神病性障害を治療するための方法であって、前記対象に、(a)α7ニコチン作動薬である第1の治療薬のある量と(b)抗精神病薬である第2の治療薬のある量とを同時に、逐次的にまたは別々に投与することを含み、前記量の(a)と(b)とが互いに相乗的に治療に有効である方法に関する。
【0096】
一実施形態において、前記精神病性障害または状態は、統合失調症、統合失調症様障害、統合失調性感情障害、妄想性障害、短期精神病性障害、共有精神病性障害、治療抵抗性精神病性障害、一般身体疾患による精神病性障害、および特定不能の精神病性障害からなる群から選択される。もう1つの実施形態において、前記α7ニコチン作動薬は式1の化合物、またはその製薬上許容される塩、溶媒和物または溶媒和塩であり、前記抗精神病薬は、クロザピン、リスペリドン、オランザピン、クエチアピン、アリピプラゾール、ジプラシドン、アミスルプリド、スルプリド、ゾテピン、セルチンドール、パリペリドン、ビフェプルノクスおよびアセナピン、またはその製薬上許容される塩、溶媒和物または溶媒和塩からなる群から選択される。
【0097】
もう1つの実施形態は、それを必要とする対象において、統合失調症を治療するための方法であって、前記対象に、(a)α7ニコチン作動薬である第1の治療薬のある量と(b)抗精神病薬である第2の治療薬のある量とを同時に、逐次的にまたは別々に投与することを含み、前記量の(a)と(b)とが互いに相乗的に治療に有効である方法に関する。もう1つの実施形態において、前記α7ニコチン作動薬は式1の化合物、またはその製薬上許容される塩、溶媒和物または溶媒和塩であり、前記抗精神病薬は、クロザピン、リスペリドン、オランザピン、クエチアピン、アリピプラゾール、ジプラシドン、アミスルプリド、スルプリド、ゾテピン、セルチンドール、パリペリドン、ビフェプルノクスおよびアセナピン、または製薬上許容される塩、溶媒和物または溶媒和塩からなる群から選択される。好ましい実施形態において、前記α7ニコチン作動薬は(2S,3R)−N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−3−イル)ベンゾフラン−2−カルボキサミド、またはその製薬上許容される塩または溶媒和物であり、前記抗精神病薬はクロザピンまたはクエチアピンのいずれか、またはその製薬上許容される塩または溶媒和物である。
【0098】
本発明のもう1つの実施形態は、精神障害、特に精神病性障害を、同時に、逐次的にまたは別々に、治療するための医薬の製造のための、(a)α7ニコチン作動薬である第1の治療薬のある量と(b)抗精神病薬である第2の治療薬のある量と含んでなる組合せ物の使用に関する。
【0099】
相乗効果に関しては、本明細書に記載のとおり、本発明はα7ニコチン作動薬と抗精神病薬との組合せ物である。本組合せ物は、認知機能障害の治療または予防において相乗効果を提供すると思われる。一例として、統合失調症に関連する症状は3種類に分けられる:陽性症状、すなわち、幻覚、妄想、および思考障害;陰性症状、すなわち、無快感、会話の貧困、および意欲減退;および認知症状、すなわち、注意、記憶、および実行機能。過去10年の間に行われた調査は、α4β2 NNRに加えて、α7サブタイプが、認知的欠陥だけでなく統合失調症の陽性症状の治療標的として非常に有望であるという前提を裏付けている。この調査ラインの起点は、一般集団と比べて統合失調症患者での喫煙率の上昇を示し、ニコチンによる自己治療への試みを示唆する疫学的報告に主にある。さらなる裏付けにおいて、α7受容体モジュレーションに関する統合失調症治療学の可能性、および基礎となる機構を明らかにするために、数多くの付随研究が始まった。
【0100】
生理学的視点から、いくつかの研究により、統合失調症の病因および総合的症状に関与することが分かっている様々な機構経路においてα7受容体が存在することが示された。例えば、統合失調症患者の脳組織について死後研究により、海馬および皮質においてα7 NNR数が著しく減少することが分かっている。これらの受容体は、海馬、外側膝状核、および内側膝状核、ならびに視床網様核に存在し、LTP形成、感覚処理、および神経保護に関与する、グルタミン酸塩、GABA、およびドーパミンなどの神経伝達物質の放出をモジュレートすると考えられている。感覚抑制障害および家族性統合失調症は、第15番染色体の15q13−q14領域に関係していた。α7 NNRに対する遺伝子であるCHRNA7は、この領域に存在し、その遺伝子のプロモーター領域において多型も同定されている。よって、α7機構が統合失調症に関与する可能性は十分に裏付けられている。
【0101】
in vivo動物モデルを用いたα7 NNRモジュレーションの機能的結果に対するさらなる調査により、統合失調症におけるそれらの治療可能性についてのさらなる裏付けが得られた。統合失調症を有する大部分の人は認識機能障害を示す。統合失調症における認知的欠陥には、注意障害、情報処理能力の低下、作業記憶障害および実行機能障害などがある。最近のコンセンサス会議(MATRICS/TURNSイニシアチブ)で、統合失調症(CDS)における認知的欠陥が、患者の機能性欠如の大きな原因である病気の基本的な特徴と認定された。また、認知的欠陥を治療するための療法の必要性と統合失調症におけるα7の役割についての証拠から、MATRICSイニシアチブによって、α7サブタイプがCDSに関連する第1の治療標的と認められた。
【0102】
複数のα7リガンドを用いた前臨床試験により、この受容体の標的化が有望であることが分かった。例えば、機能選択的α7作動薬であるGTS−21は、損傷ラットの受動的回避、加齢ラットの能動的回避、加齢ウサギにおける瞬目反射条件付け、および非ヒト霊長類における遅延照合課題などのいくつかの学習記憶行動モデルにおいて有効性を示す。DBA/2マウス、海馬采−脳弓損傷ラットおよび隔離飼育ラットは、統合失調症患者に見られるのと同じような感覚処理の問題を示す。GTS−21は、これらの動物モデルにおける聴覚ゲート機構障害を改善し、他のα7選択的化合物は、感覚ゲート機構モデルにおいて効力を示した。最後に、α7選択的拮抗薬であるMLAの、腹側海馬または扁桃体基底外側核へのin vivo注入によって、放射状迷路課題において観察されるように、ラットにおいて顕著な作業記憶障害が起こり、記憶処理においてα7受容体が必要であることが分かる。
【0103】
CDSの治療は、新規抗精神病薬治療の明確な目標であるが、α7NNRを標的とするリガンドの利点は、それらが統合失調症の陽性症状の改善に関しても有効であると思われることである。具体的には、非選択的ニコチン作動薬であるニコチンは、統合失調症における欠陥、例えば、感覚ゲート機構障害および円滑追跡眼球運動異常を改善する。α7選択的作動薬は、抗精神病薬の典型的なモデルである隔離飼育ラットにおいてPPI障害を回復に向かわせることが分かっている。もう1つの例であるAR−R17779は、別のα7選択的作動薬であり、ラットにおいて、スコポラミン誘発の社会認識障害を改善し、長期学習を改善し、作業記憶障害を軽減する。α7選択的作動薬SSR180711Aは、長期および短期エピソード記憶についての物体認識パラダイムにおいて、そして参照および作業記憶についてのMorris水迷路モデルにおいて有効であることが分かっており、α7選択的化合物は統合失調症の認知的欠陥を治療する可能性があることも示唆している。最近、α7ニコチン作動薬DMXB−A(本明細書に記載したGTS−21としても知られる)を用いた、統合失調症の概念実証(proof-of-concept)試験が行われた。神経心理検査(the Repeatable Battery for the Assessment of Neuropsychological Status)のスケールスコア合計において、そしてP50抑制において顕著な改善が観察された。臨床的支援におけるこの化合物のプラスの効果により、統合失調症の認知的欠陥に対する、潜在的には統合失調症の陽性症状に対する選択的α7作動薬の開発を継続した。
【0104】


(これらは各々、その中に記載される薬理学に関して参照により本明細書に組み入れる)を参照。
【0105】
用量
本発明による組合せ物におけるα7ニコチン作動薬と抗精神病薬の有効な用量は、患者の状態、障害の症状の重篤度ならびに選択した特定の化合物の効力、投与様式、患者の年齢および体重などの因子によって変動し得る。
【0106】
一般には、ニコチン作動薬の有効な用量は、その化合物を患者の体重1kg当たり5mg未満の量で投与することを全般的に必要とする。多くの場合、ニコチン作動薬は、患者の体重(patent weight)1kg当たり約1mg未満〜患者の体重1kg当たり約100μg未満、時には患者の体重1kg当たり約10μg〜患者の体重1kg当たり100μg未満の間の量で投与される。上述の有効な用量は、1回用量として、または24時間にわたって投与される1回以上の用量として投与される量を一般に表す。
【0107】
ヒト患者の場合、ニコチン作動薬の有効な用量は、ニコチン作動薬を少なくとも約1mg/24時間/患者、多くの場合には少なくとも約10mg/24時間/患者、頻繁には少なくとも約25mg/24時間/患者の量で投与することを全般的に必要とする。ヒト患者の場合、ニコチン作動薬の有効な用量は、全般的には約500mg/24時間/患者を越えない、多くの場合には約400mg/24時間/患者を越えない、頻繁には約300mg/24時間/患者を越えないニコチン作動薬を投与することを必要とする。加えて、有効な用量の投与は、患者の血漿内でのニコチン作動薬の濃度が通常には500ng/mLを越えない、頻繁には100ng/mLを越えないようなものとする。
【0108】
正確な組成、投与経路、および用量は、患者の状態を考慮して各医師によって選択され得る。投与の量および間隔は、治療効果を維持するのに十分である活性部分の血漿レベルを提供するように、個別に調整することができる。
【0109】
抗精神病薬の有効な用量は、抗精神病薬の性質によって変動する。望ましくは、抗精神病薬としてクエチアピンを選択する場合、前記組合せ物の1日用量は、約1mg〜約1200mgを含む。好ましくは、第1の成分の各用量は、約25mg〜約1000mgのクエチアピンを含み、さらに好ましくは、各用量は、約150mg〜約800mgまたは300mg〜約800mgまたは400mg〜約800mgのクエチアピンを含む。もう1つの実施形態において、第1の成分は、約150〜300mgまたは300〜600mgのクエチアピンを含む。小児用量は、例えば、1日約0.5mg〜約40mgの範囲内であるなど、より少なくてよい。これらの用量は、1回、2回またはそれ以上の経口投与で(例えば:クエチアピン:約1.0〜約40mg/kgを1日1回の投与でまたは分割用量で)投与してよい。
【実施例】
【0110】
統合失調症患者において見られる複雑な脳病理には、皮質下DA系の活動亢進や皮質DA機能の低下を伴うドーパミン(DA)ニューロン形成不全がある。統合失調症(SZ)のドーパミン仮説の広く受け入れられている設定では、統合失調症の陽性症状(幻覚、妄想および感覚ゲート機構障害)は皮質下ドーパミン作動系の活動亢進と関係があり、一方、陰性症状(感情鈍麻、社会的ひきこもり)は前頭前皮質でのドーパミン活動低下が原因で起こる。統合失調症において皮質下DA経路が活動亢進状態であり、皮質DA経路が活動低下状態である機構やこれらの変化がいかにして行動上の症状を引き起こすかは十分に明らかになっていない。さらに、統合失調症の発症機序は、恐らく、DA系における発達および神経伝達の異常に加えて、他のニューロン系(すなわち、セロトニンニューロン、皮質および海馬のニューロン)に関連する多因子性神経発達障害に端を発する。DAとその他の影響を受ける系との関係ならびに複雑な臨床症状へのそれらの複合関与は立証されておらず、SZにおいて見られる多因子性発達障害および関連機能障害を再現する適切な実験モデルがないことがその理由の1つに挙げられる。
【0111】
最近になって、サイクリックAMP、MAPKシグナル伝達経路、転写コアクチベーター複合体および後成的機構を介して神経発達に影響を及ぼす因子など、SZについて複数の遺伝的連関が確認された。
【0112】
しかしながら、各突然変異を実験動物に導入することによる動物遺伝モデルの作成の試みでは、現在まで、SZに典型的な、複雑なニューロンおよび行動上の症状が再現されることはなかった。
【0113】
最近になって、SZの脳においてFGF−2およびその受容体、FGF受容体1(FGFR1)における変化が記載された。発達におけるFGFの既知の役割を考えると、これにより、SZと関係がある脳の発達および機能の異常の根底にFGFシグナル伝達障害があるかもしれないことが示唆された。本発明者らの研究は、SZに関連する突然変異が報告されているいくつかの異なる経路を統合する統合的核FGFR1シグナル伝達(the Integrative Nuclear FGFR1 Signaling)(INFS)遺伝子座の発見につながった。INFSは、それらを転写コアクチベーターRNA Pol II活性化と、そしてクロマチン再構築と関連付ける。これは、統合的FGFRシグナル伝達の阻害が多様なSZ関連遺伝的欠陥に共通する病理学的機構と関係があるということである。独自の動物モデルを操作し、DAニューロンの発達に向けられた上記阻害は、抗統合失調症薬で治療し得るSZの神経発達的側面と臨床的陽性および陰性症状の両方からなる障害をもたらすということをこのモデルにより示している。th(tk−)/th(tk−)マウスでは、特異的にDAニューロンにおけるFGFRシグナル伝達の低下によって、SZと同じようなDAニューロン形成不全が起こり、皮質下DAの活動亢進と皮質DA系の活動低下を伴う。
【0114】
さらに、ヒトの病気と同じように、それらの変化は、恐らく陽性SZ症状の根底にある感覚ゲート機構障害[定型抗精神病薬(TAPD)によって修正される]と、そして、陰性症状の典型である社会的相互作用の低下とも関係がある。
【0115】
重要なことに、これらの行動欠陥は、ヒトSZにおいて見られるように、成体期初期に徐々に発症するように思われる。本発明者らの研究は、DAニューロンの形成不全は他のニューロン系の再構築につながり、その結果、SZにおいて示されているものと類似の複数の伝達物質による脳再配線(multitransmitter brain rewiring)が起こることを示している。th(tk−)/th(tk−)マウスは、黒質および腹側被蓋領域両方のDAニューロンの中心のセロトニン作動性過剰神経支配を起こす。このセロトニン作動性の配線は、感覚ゲート機構、社会的相互作用および認知の障害(5HT−2A受容体を標的とする非定型抗精神病薬(AAPD)によって修正される)の一因となる。SZと同じように、他のニューロン系の発達におけるDAニューロンの確立された役割と一致して、th(tk−)/th(tk−)マウスは、皮質および海馬両方のニューロンの形成不全と異常を示す。影響を受ける系は全て、アルファ7ニコチン受容体を発現することが分かっており、陽性症状および陰性症状のth(tk−)/th(tk−)マウスはいずれも、新しいタイプの抗精神病薬であるアルファ7ニコチン作動薬によって修正される。一方、5HT−2A拮抗薬もニコチン作動薬も正常マウスの行動には影響を及ぼさない。よって、th(tk−)/th(tk−)マウスの「脳再配線」は、抗精神病薬の開発および試験のための独自のモデルを提供する。
【0116】
要約すれば、th(tk−)/th(tk−)マウスモデルは、SZの発達上のDA仮説に対して実験による裏付けを与えるだけでなく、それを、SZにおいて重要である他のニューロン系に着目している対立仮説とも関連付ける。得られた結果は、SZの複雑な複数の神経伝達物質による病因(the complex multi-neurotransmitter etiology)および総合的症状への新しい知見を提供し、新規治療標的を示唆する。
【0117】
統合失調症SZの発症機序は、恐らく多因子性神経発達障害ならびにドーパミン作動性伝達の異常に端を発する。これらの2つの障害がいかにして関わっているかは立証されていない。SZのDA仮説によれば、統合失調症の陽性症状(幻覚、妄想および感覚ゲート機構障害)は、皮質下ドーパミン作動系(群)の活動亢進と関係があり、一方、陰性症状(感情鈍麻、社会的ひきこもり)は前頭前皮質でのDA活動低下が原因で起こる。これはヒトPET研究により裏付けられ、それらの研究により、神経抑制薬の投与を受けていないSZ患者において、線条体におけるシナプス前DA合成能力およびアンフェタミン刺激性DA放出は促進され、黒質線条体ドーパミンニューロンの脱制御および過反応性が示唆される一方で、前頭前皮質を神経支配するDAニューロンの機能は低下しているように思われることが分かっている。
【0118】
これらのDAニューロンの細胞体は、中脳被蓋に、主に黒質緻密部(SNc;A9細胞群)および内側の腹側被蓋領域(VTA;A10細胞群)に存在する。A9 SNc〜A10 VTAは連続体を構成し、この投射はいくつかの終末領域において重なるが、SNcは黒質線条体系を形成する背側線条体を主に神経支配し、VTAニューロンは側坐核(NAc)(中脳辺縁系)または前頭前皮質(PFC)(中脳皮質系)のいずれかに投射する。SZおよびその関連アスペルガー症候群を有するヒト患者では、中脳の正中矢状断面径の減少が見られ、症状の重篤度だけでなく神経抑制薬への暴露にも逆相関した。神経抑制薬治療を受けないSZ患者では、SN領域の体積の著しい減少があり(−21%)、神経細胞平均体積はSNc(−15%)およびVTA(−17%)において減少した。対照的に、抗精神病薬薬物療法によってSZにおいて線条体の肥大が起こるように思われた。DAニューロンの形成不全がいかにして逆説的に、皮質下基底核においてDA過伝達(DA hypertransmission)につながり、同時に前頭皮質において低伝達(hypotransmission)につながるのかは依然として不明である。
【0119】
全てとはいえないにしてもほとんどの神経抑制薬薬物療法にはDA受容体2(D2)遮断特性があるが、従来の抗精神病薬(TAPD)は全ての臨床的SZ欠陥を治療することができず、錐体外路症候群(EPS)の許容し難いほど高い罹患率の原因となる。ごく最近導入された非定型抗精神病薬(AAPD)は、陽性症状ならびに陰性症状を含む様々な臨床的SZ障害に対してより高い治療効力を有することが多く、EPSの傾向はかなり低い。これは、DAおよびセロトニン(5HT)神経伝達物質系の両方に対する作用に関係している。SZ症状を効果的に治療する薬物は、活動亢進状態である脳領域ではDA神経伝達を減少させ、活動低下状態である脳領域ではDA神経伝達を増加させると考えられている。しかしながら、5−HT受容体拮抗薬がいかにしてそれらの治療効果を発揮するのかは明確になっていない。さらに、他の系(皮質および海馬のニューロン)における変化もSZ症状の一因となり得るため、治療薬の標的とすることができる。加えて、SZの治療において最も有効なものになるであろう、新しいカテゴリーの薬物である、ニコチン受容体作動薬が開発されている。
【0120】
一般集団においてSZが高頻度(1%)であることに一致して、SZについて複数の遺伝的連関が示唆された。特に興味深いのは、サイクリックAMP酵素、MAPKシグナル伝達経路および転写コアクチベーター複合体の変化を介して神経発達に影響を及ぼし得るタンパク質である。加えて、後成的機構(DNAおよびクロマチン修飾)がSZの複雑な遺伝パターンと病因に寄与することが提示されている。最近になって、SZおよび双極性患者の脳においてFGF2およびその受容体FGFR1における変化が記載されており、神経抑制薬治療がFGF−2発現を増大させることが示され、これらの障害と関係がある脳の発達および機能の異常の根底にFGFシグナル伝達障害があり得ることが示唆された。
【0121】
統合的核FGF受容体1(FGFR1)シグナル伝達、すなわち、INFSは、SZに関連する突然変異が報告されているいくつかの異なる経路を統合し、INFSは、それらを転写コアクチベーターRNA Pol II活性化と、そしてクロマチン再構築と関連付け、神経発達において重要である。多様なSZ関連遺伝的欠陥に共通する1つの病理学的機構は、統合的FGFRシグナル伝達の阻害である。
【0122】
FGFR1欠失チロシンキナーゼを発現するようにTh(tk−)/th(tk−)マウスを操作した。本方法に使用する動物モデルの遺伝子構成は、Klejbor, et al. (J Neurochem 2006, 97, (5), 1243-58(これは参照により本明細書に組み入れる))に記載されており、本明細書では「th(tk−)/th(tk−)」マウスと記載する。FGFR1欠失チロシンキナーゼを発現するようにTh(tk)/th(tk−)マウスを操作した。
【0123】
FGFR1(TK−)は、核FGFR1がCBP、RNA Pol IIおよびヒストンアセチル化を活性化するのを阻止し、cAMPおよび他のシグナルによる遺伝子の活性化、ニューロンの分化および成長を妨害する。加えて、FGFR1(TK−)は、原形質膜FGF受容体と二量体化しそれらを不活性化することができ、それによって、SZ25とも関連しているERKおよびAktシグナル伝達に作用する。ドミナントネガティブFGFR1(TK−)の発現は、ラット4.5kbチロシンヒドロキシラーゼ(TH)遺伝子プロモーターによって有糸分裂後カテコールアミンニューロンの発達に向けられた。分化中脳ニューロンにおけるE17でのこのプロモーター活性の発現とその脳領域特異性は、内因性TH遺伝子のものと非常によく似ている。標準的な手法を用いて、FGFR1(TK−)遺伝子をそれらの子孫に伝達するマウスを得た。脳幹および切開したSNにおいてFGFR1(TK−)タンパク質を検出した。終脳(皮質および線条体)、そしてTHを全く発現しないかまたは低レベルで発現する(示していない)他の脳領域ではFGFR1(TK−)はほとんどまたは全く検出されなかった。
【0124】
対照マウスとth(tk)/th(tk−)マウスとの間には体重および脳重量において有意な差はなかった。さらに、th(tk−)/th(tk−)マウスにおいて肉眼的脳構造に明らかな変化は見られなかった。
【0125】
DAニューロン:
th(tk−)/th(tk−)マウスでは、FGFRシグナル伝達の低下によって、黒質線条体ドーパミン作動性投射を形成するSNc DAニューロンの密度およびサイズの減少と、VTA DAニューロンの形成不全が起こった。これは、SNcおよびVTA核におけるTH−IRニューロン密度の不偏立体解析学的計数(unbiased stereological counts)を用いて示された。生後1日のth(tk−)/th(tk−)マウスのSNc(−34%)とVTAにおいてTH−IRニューロンの密度に統計的に有意な減少が見られた。SNcにおける変化は生涯を通じて維持されたがVTAでは維持されなかった。立体解析学的測定を行い、それにより、新生(PD 0)th(tk−)/th(tk−)マウスにおけるTH−IR細胞体の平均サイズがSNc(−37%)およびVTA(−20%)の両方において対照マウスと比べて減少したことが分かった。TH−IRニューロンは、成体(PD 360)th(tk−)/th(tk−)マウスにおいて小さくなった状態にあった(SNcでは−15%、VTAでは−11%)。
【0126】
線条体におけるDA輸送体の密度の減少は黒質線条体DA系の発達障害をさらに示していた。逆説的に、th(tk−)/th(tk−)マウスでは線条体においてDA、ホモバニリン酸(homovanillic acid)および3−メトキシチラミンのレベルの増加があり、DA伝達の過剰を示した。DAニューロンにおけるこれらの構造的および生化学的変化は、統合失調症を有するヒト患者において報告されているものと類似している。
【0127】
セロトニンニューロン:
DAはSFにおける主要な神経伝達物質であるように思われるが、統合失調症の病因においてセロトニンが重大な役割を果たしている可能性がある。クロザピンに反応するSF対象は過剰なセロトニン作動活性を示し得るという仮説が立てられているが、そのような潜在的変化の性質は不明である。
【0128】
th(tk−)/th(tk−)トランスジェニックSZモデルにおいて、5−HT系の変化が起こっているかどうかを調べるために、成体対照マウスと同型接合体th(tk−)/th(tk)マウスにおいて脳領域を切開し、5−HTおよびその代謝産物5ヒドルキシインドール酢酸(5-hydroxyindole acetic acid)(5−HIAA)についてHPLC−ECDにより分析した。分析した領域には、DA系と5−HT系の両方を共用する領域であり、これら2つの神経伝達物質系の終末領域(線条体、前頭皮質、側坐核、視床下部)および細胞体起始点(the somal origin)(VTA、SNc、背側縫線核)の両方を含めた。対照マウスとth(tk−)/th(tk−)マウスとの間には、線条体、側坐核、前頭皮質、および視床下部における5HTレベルにおいて有意な差はなかった。しかし、SNでは、トランスジェニックマウスの5−HTレベルはおよそ70%の、対照マウスと比べて統計的に有意な増加を示した。VTAでも同じような傾向が見られ、同時に5−HIAAレベルにおいて統計的に有意な増加もあった。中脳核とは対照的に、橋縫線領域では、th(tk−)/th(tk−)マウスにおいて5HTレベルと5−HIAAレベルの両方が対照と比べて有意に低下した。
【0129】
中脳腹側部において観察された5HT/5HIAAの変化の根底にある細胞機構を調べるために、抗5−HT免疫組織化学を行った。これにより、対照マウスとth(tk−)/th(tk−)マウスの両方において、中脳腹側部に染色陽性の繊維と斑点が現れた。調べた構造には、腹側被蓋領域(VTA)および黒質(SN)その分割部:束間核(IF)、色素性結合腕傍核(PBP)、黒質傍核PN、吻側線状縫線核(RLi);黒質の緻密部および網様部(それぞれSNCおよびSNR):を含めた。一般的に、VTAの全ての亜核に5−HT免疫反応性の(5-HTimmunoreactive)繊維があるが、前記の繊維の外観および密度は異なっていた。IF核では、異常に拡張した小径短繊維の緻密なネットワークが観察された。立体的解析により、対照マウスとth(tk−)/th(tk−)マウスとの間には、IFにおける5−HT−ir繊維の密度において有意な差がないことが分かった。
【0130】
PBP核では、不規則に走る5−HT−ir繊維のネットワークが観察された。これらの繊維の一部は、比較的長く、核に沿って互いに平行に走っている。加えて、th(tk−)/th(tk−)では、異常な拡張のない平滑な(細)長繊維が見られたが、対照では見られなかった。定量的分析により、PBP核における5−HT−ir繊維の総合密度はth(tk−)/th(tk−)マウスにおいて対照よりも2倍高いことが分かった(p<0.00001)。
【0131】
PNでは、数多くの5−HT−ir斑点と5−HT−ir繊維の緻密なネットワークが存在した。試験した両動物群において、大部分は数多くの小さな異常な拡張があり核に沿って走っている長繊維であった。さらに、トランスジェニックマウスでは、この核に繊維群が現われたが対照マウスには存在しなかった。これらは異常な拡張のない平滑な細長繊維であり、垂直方向に走っていた。定量的分析により、PN核における5HT−ir繊維の総合密度はth(tk−)/th(tk−)マウスにおいて対照よりもおよそ1.5倍高いことが分かった(p<0.005)。
【0132】
Rliでは、垂直方向に走る5−HT−ir単繊維が見られた。Rliには比較的少数の5−HT−ir斑点があった。対照マウスとth(tk−)/th(tk−)マウスとの間には、これらの要素の外観に差はなかった。また、定性的分析により、対照マウスとトランスジェニックマウスとの間には、繊維密度において有意な差がないことが分かった。
【0133】
黒質の緻密部では、5−HT−ir繊維および斑点の両方が見える。対照マウスとth(tk−)/th(tk−)マウスとの間には、SNcにおける5−HT−ir繊維密度において有意な差はなかった。
【0134】
SNrは、SNcと比較すると、両マウス群において有意に高い密度の5−HT−ir繊維を示した。これらの繊維は様々な方向に走っている。SNrでは、定量的分析により、トランスジェニック動物の5−HT−ir繊維の密度において有意な68%増加が示された。
【0135】
よって、定量的解剖学的分析により、th(tk−)/th(tk−)マウスは、主として前頭前皮質および側坐核に、さらにSNr領域内に投射するVTAのPN核およびPBP核において、対照マウスと比べて、有意に多数の5−HT繊維があることが分かった。th(tk−)/th(tk−)マウスでは、過剰神経支配するセロトニン作動性軸索が、数多くの異常な拡張がある5−HT−免疫反応性繊維の緻密なネットワークを形成し、対照マウスで観察されるものとは異なる形態を有するものもあった。5−HT終末の侵入は、th(tk−)/th(tk−)マウスの中脳腹側部領域における5−HTレベルの増加により裏付けられる。
【0136】
5HTも5HIAAもDAニューロンの終末領域:線条体、側坐核または前頭皮質では増加しなかった。よって、DAニューロンは、腹側被蓋野への終脳投射のセロトニン制御を介して間接的によりもむしろ、中脳核における5−HTトーン増加により影響を受ける可能性がある。成体ラットにおけるDAニューロンの6−ヒドロキシドーパミン誘発損傷も成体脳へのFGFR1(TK−)トランスフェクションによって起こるSN DAニューロンの消失(未発表結果)も線条体または中脳腹側部それぞれのセロトニン作動性過剰神経支配にはつながらなかった。よって、th(tk−)/th(tk−)マウスにおけるSNおよびVTAのセロトニン作動性過剰神経支配は、これらの脳領域におけるDAニューロン形成不全に対する発達反応を表している可能性がある。
【0137】
海馬および前頭前/前頭皮質ニューロン
皮層破壊と皮質および海馬ニューロンのサイズ減少はSZ患者において報告されている。これらの報告に一致して、th(tk−)/th(tk−)マウスでは、ニューロン特異的NeuN抗体とDAPI(DNA)での二重染色により、海馬の錐体および顆粒層におけるニューロン細胞体の密度の増加と、前頭/前頭前辺縁系における皮層の破壊が明らかになった。
【0138】
th(tk−)/th(tk−)マウスの解剖学的特徴および神経化学的特長、ならびにSZ病理とのそれらの相関を以下に要約する:
1.Th(tk−)/th(tk−)マウスは、基底核において神経支配する、機能が亢進している発達不十分なDAニューロンを有する。その一方、前頭皮質へのDA投射は機能が低下している;
2.DAニューロンが発達不十分であることが、セロトニンニューロンの発達に二次的影響を及ぼし、形成不全DAニューロンのセロトニン作動性過剰神経支配をもたらす;
3.th(tk−)/th(tk−)マウスにおける、ヒトSFにおいて観察される皮質の変化と同じような、前頭前皮質におけるニューロンの奇形(層破壊、ニューロンの置換および欠乏)。これらの皮質の変化は恐らくDAニューロンの変化に伴うものである。これは神経発生制御因子としてのDAの役割と一致する。これは、DAニューロンの形成不全が他のニューロン系の発達に影響を及ぼし、SFにおいて示されているような異常な脳回路を築くという仮説も裏付ける;および
4.DA伝達における変化は青年期に起こる。
【0139】
マウスにおける行動欠陥は、SZにおける陽性、陰性および認知的欠陥と類似している。SZの陽性症状は、幻覚、妄想および関連感覚ゲート機構障害を典型とする。感覚運動ゲート機構および情報処理の1つの指標としてのプレパルス抑制(PPI)とは、驚愕刺激の前に短時間発生する弱刺激(プレパルス)による驚愕反応の減衰を意味する(Vollenweider F.X., et al., Biol Psychiat 2006,60,597-603(これは上記教示に関して参照により本明細書に組み入れる))。
【0140】
プレパルス抑制(PPI)障害はSZにおいて起こる(31、32)。TAPDおよびAAPDは両方ともPPIを改善する(Kumari V, Sharma T; Psychopharmacology 2002, 162,97-101、総説(これは上記教示に関して参照により本明細書に組み入れる))。最近の研究は、AAPDは、健康な対照と比較してのSZにおけるPPI障害の正常化においてTAPDよりも優れていることを示唆している(Kumari et al., 1999 from Vollenweider)。
【0141】
対照と比べて、th(tk−)/th(tk−)マウスではプレパルス抑制は減少し、驚愕反応は増強していた。これらの変化は生後1〜4ヶ月の間に徐々に起こり、少なくとも14ヶ月齢までに安定した。
【0142】
SZは、感覚ゲート機構障害ならびに関連する幻覚および妄想に加えて、陰性症状(感情鈍麻、社会的ひきこもり)を特徴とする。陰性症状は、一般に薬物治療に対する抵抗性が高い。この陰性症状は、遺伝子操作されている動物でのモデル作成には成功していない。th(tk−)/th(tk−)マウスが陰性様症状を示すかどうかを確認するために、それらの社会的および非社会的調査行動を観察した。
【0143】
対照被験体とth(tk−)/th(tk−)被験体との間には、調査行動において有意な差があった。野生型対照は、雌および雄刺激動物の調査にth(tk−)/th(tk−)マウスよりも有意に(p<0.05)長い時間を費やした。調査行動の他の指標(例えば、肛門性器調査)も同じパターンを示した。その一方、対照マウスとトランスジェニックマウスとの間には、非社会的行動、自己グルーミングにおいて差はなかった。オープンフィールド試験では、TK−マウスは、周辺ゾーン内および中心ゾーン内の両方で野生型マウスよりも有意に長い距離を移動した。
【0144】
SZはまた、認識機能障害も特徴とし、この認識機能障害は、一般に薬物治療に対して抵抗性を示す。th(tk)/th(tk−)マウスにおいて起こり得る認知症状が存在することを放射状迷路試験および物体認識試験により分析した。
【0145】
放射状迷路試験では、試験第1日目および第2日目において、th(tk−)/th(tk−)動物はより多くのミスをし、食物アイテムを見つけるのにより長い時間がかかった(差は統計的に有意である)。試験第3日目までには、遺伝子型差異はなかった。これはth(tk)/th(tk−)には学習、記憶、またはその両方に欠陥があるということを示している。この欠陥は、作業記憶に関する問題と一致する。
【0146】
物体認識試験では、th(tk−)/th(tk−)動物は、WT動物とは異なる行動をした。th(tk−)/th(tk)マウスは日常物体および新奇物体の調査に費やした時間は同じであったが、一方、WTマウスは新奇物体の調査に有意に長い時間を費やした。
【0147】
th(tk−)/th(tk−)マウスはどの物体が新奇物体でありどの物体が日常物体であるかを覚えていないという1つの解釈がなされる。
【0148】
th(tk−)/th(tk−)マウスは、SZと比べて、複雑な神経発達の構造的および機能的特徴(ヒトSZの「陽性」症状、「陰性」症状および「認識機能障害」症状を再現し、それらを関連付け、「統合失調症のDA仮説」について詳しく説明する独自のモデルである。このモデルは、ヒト疾患に新たな独自の知見を提供し、新規治療戦略を進展させるはずである。
【0149】
th(tk−)/th(tk−)マウスにおけるプレパルス抑制の減少は、驚愕の大きさに影響を与えない用量でTAPD(DA受容体拮抗薬)フルペンチキソールを用いた治療により正常化した。3要因混合分散分析を使用し、被験者間変数として群[FGFR1(TK−)、対照]を、そして被験者内変数として刺激強度(pp4、pp8、&pp16)および薬物用量(生理食塩水、0.25mg/kg、0.5mg/kg、&1.0mg/kg)を用いてPPIデータを解析した。この解析により、用量と群との間に有意な2方向相互作用(F3、72=3.11、P<0.05)、そして用量、群および刺激強度との間に有意な3方向相互作用(F6、72=2.85、P<0.05)が示された。群と刺激強度との間には有意な相互作用があった(F2,14=14.93、P<0.01)。th(tk−)/th(tk−)群では、3刺激強度各々における追跡t検定により、3刺激強度各々においてPPIの有意な減少が明らかになった(pp4=P<0.1;pp8=P<.05;&pp16=P<0.01)。要因として用量と刺激強度を用いた2要因分散分析では、th(tk−)/th(tk−)マウスにおいて用量の有意な効果(F3,42=29.92、P<0.01)が明らかになったが、対照群では用量の効果は見られなかった。th(tk−)/th(tk−)マウスでは、3刺激強度全てにおいて、フルペンチキソールの3用量全てでPPIが増加した(P<0.01)。
【0150】
驚愕反応では、th(tk−)/th(tk−)マウスにおいて、群(F1,11=21.76、P<0.01)および用量(F3,33=3.99、P<0.05)の両方に有意な効果があった。追跡t検定では、生理食塩水との比較により、th(tk−)/th(tk−)マウスと対照マウスの両方において、1.0mg/kg用量のフルペンチキソールにおいてフルペンチキソールにより驚愕反応が減少したことが分かった。
【0151】
DAはSZにおける主要な神経伝達物質であるように思われるが、SZの病因においてセロトニンが重大な役割を果たしている可能性がある。クロザピンおよび関連非定型抗精神病薬(AAPD)は5HT2A29 30に対して高親和性を有しており、5HTの脳内レベルを高める。AAPDの高い5HT2A占有率は、それらの好ましい抗精神病薬治療効果と関係がある。その一方、AAPDの抗精神病効力とD2占有との間には関連性が見られなかった。
【0152】
Schmidt et al (1993)では、5HT2A拮抗作用は感覚ゲート機構障害に対して修正効果を及ぼし得ること、そしてクロザピンに反応する統合失調症患者は過剰なセロトニン作動活性を示すということが示された。この仮説は、中枢性セロトニントーン増強初期のいくつかの指標が見つかり、AAPDの臨床的効力と関係しているようであった患者のデータと一致する(Kasper et al., 1999; Martin et al., 1998; Wandenberg et al., 2001;これらは各々参照により本明細書に組み入れる)。背側縫線核(DR)および主要縫線核(the Main nucleus of Raphe)(MnR)に由来する5−HTニューロンは、DA終末領域(例えば、前頭前皮質および線条体)ならびに中脳構造(VTAおよびSNを含む)を神経支配し、そこでそれらはDAおよび非ドーパミンニューロンとシナプス接合する。
【0153】
セロトニン作動性ニューロン終末によるSNおよびVTAの侵入を前提として、th(tk−)/th(tk−)マウスにおいて、AAPD(クロザピンおよびクエチアピン)および特異的5−HT2A拮抗薬M100907の効果を分析した。
【0154】
3mg/kgのクロザピンは、PPIに対しても驚愕反応に対しても効果がなかった。その一方、より高い用量(6mg/kg)では、対照マウスとトランスジェニックマウスの両方においてクロザピンはPPIを有意に増加させ、トランスジェニックマウスにおいて驚愕反応を減少させた。各用量で各プレパルス強度において適当な対照群と比べ、トランスジェニックマウスにおいてPPIの有意な減少があったが、いずれのクロザピン用量でも各用量内で任意のプレパルス強度においても有意な遺伝子型x薬物相互作用は見られず、クロザピンでの治療は、対照マウスとth(tk−)/th(tk−)マウスにおいてPPIに対して同様の効果があることが分かった。これらの結果は、AAPDクロザピンは健康な人においてもSZ患者の場合と同様にPPIを増加させたというヒトでの研究結果と一致した。トランスジェニック6mg/kgクロザピン群に関するPPIは、対照ビヒクル群と変わらず(t検定:pp4;pp8;pp16=p>.05、NS)、クロザピンがトランスジェニックマウスにおいてPPIを正常化する能力が明らかになった。驚愕反応に関しても同じような正常化が見られた。
【0155】
th(tk−)/th(tk−)マウスでは、クエチアピンは7.0mg/kgの用量においてPPIの減少を正常化した(p<.001)が、より低い用量では効果はなかった。対照マウスでは、調べたいずれの用量においてもクエチアピンの有意な主効果はなかった。トランスジェニックマウスでは、クエチアピンの全用量において生理食塩水群との比較により、驚愕反応において有意な減少があった(p<0.05)。その一方、対照マウスでは、いずれの用量においても驚愕反応に対してクエチアピンの主効果はなかった。
【0156】
AAPDの効果がセロトニン受容体の阻害を特異的に反映することを確かめるために、特異的5−HT2A拮抗薬M100907を試験した。M100907は、対照マウスでは、いずれの用量においてもPPIに対しても驚愕反応に対しても効果はなかった。トランスジェニック低用量(0.01mg/kg)M100907群は、対照低用量群よりも有意に減少したPPIを示し、ビヒクル処置群において見られた差異と同様であった。トランスジェニック群と対照群との間には、中間用量(0.1mg/kg)においても高用量(1mg/kg)においても有意な差はなく、高用量において有意な薬物x遺伝子型相互作用があり、トランスジェニックマウスでは、M100907は1.0mg/kgにおいてPPIを特異的に改善したことが分かった。中間用量および高用量では、M100907は、トランスジェニックマウスにおいてビヒクル群と比べ、PPIの増加をもたらした。いずれのM100907用量においても対照群とトランスジェニック群との間には有意な差はなかったが、処置トランスジェニック群では、ビヒクル処置群と比べて驚愕反応の有意な減少があった。
【0157】
SZの顕著な陰性症状のうちの2つが社会的相互作用の欠如と感情鈍麻である。M100907は、TK−マウスが刺激動物の調査に費やす時間を有意に長くしたが、野生型動物においては調査時間に対して効果がなかった。社会的ひきこもりとは異なり、自己グルーミング行動とオープンフィールド内の移動は薬物治療の影響を受けなかった。
【0158】
これらの結果から、th(tk−)/th(tk−)マウスはSZの陰性症状と同じような行動を示すということが分かる。th(tk−)/th(tk−)マウスでは社会調査は減少しているが、M100907での治療によりこの障害は回復に向かう。M100907は、野生型マウスにおいては効果がなく、セロトニン作動系は、野生型マウスとth(tk−)/th(tk−)マウスとの間では機能的に異なっていることが示唆される。SZを有する患者では、定型抗精神病薬によって社会的行動の欠陥を回復に向かわせられず、多くの非定型抗精神病薬による治療に対して抵抗性を示す。M100907はth(tk−)/th(tk−)マウスにおいて社会的欠陥を回復に向かわせたが野生型マウスにおいては社会調査に対して影響を与えなかったという観察結果は、5−HT2A受容体を標的とする薬物はSZ患者の陰性症状を改善し得るが非SZ集団においては社会的行動に対して影響を与えないということを示唆している。非社会的行動、例えば、自己グルーミングおよびオープンフィールド内での歩行運動は薬物の影響を受けなかったことから、社会調査に対するM100907の促進効果は比較的特異的であるように思われる。
【0159】
th(tk−)/th(tk−)マウスは、AAPD(5HT2A拮抗薬)に対する良好な反応が中枢性セロトニン作動活性の増強に依存していること、そして前記薬剤の効力がセロトニン作動性トーンの増加の程度と相関していることを提示しているSZの5HT仮説に対して実験による裏付けを与える。選択的5HT2A拮抗作用によく反応する発病初期の未治療妄想型SZcには、フェンフルラミンによるプロラクチン反応の増加によって、そして対照より高いCSF内5HIAAレベルによっても示される中枢性セロトニントーン増強がある(Bartfai et al., 1984; Rimon et al., 1971) (Abel et al., 1996;これらは各々上記教示に関して参照により組み入れる)。SZcでは、クロザピンに対する好ましい反応の最良の予測因子は、HVA/5HIAAの低CSF分配量、すなわち、DAより高い5HT代謝回転である(Pickar et al, 1994; Szymanski et al., 1993;これらは各々上記教示に関して参照により本明細書に組み入れる)。好ましいクロザピン反応は、妄想型SZ(Fenton and Lee 1993)、すなわち、5HIAAの脳内レベルの増加と関係がある疾患のサブタイプにより一貫して予測された(Hanson et al., (1994)(上記参照文献は各々上記教示に関して参照により本明細書に組み入れる)。
【0160】
th(tk−)/th(tk−)マウスにおいてセロトニン作動性過剰神経支配がDAニューロンの機能と行動にいかにして作用するかに関する1つの仮説は、5HT過剰神経支配がSNにおいてDAニューロンを刺激し、5HT2A受容体を介して作用することによりVAを阻害するというものである。
【0161】
th(tk−)/th(tk−)マウスにおけるPPI障害および驚愕増加は、DAニューロンの活動亢進を反映することが分かった。よって、SNおよびVTAの5−HT過剰神経支配が感覚ゲート機構を害する1つの機構は、皮質下標的を神経支配するDAニューロンの5−HT過剰活性化に関与する可能性が考えられる。その一方、陰性症状は、前頭皮質におけるDAの機能低下を反映する。5−HTは、SN(主として賦活効果)およびVTA(主として阻害効果)においてDAニューロンに対して逆の効果を有することがわかっている。よって、5−HT2A受容体の遮断は、皮質下と皮質の両方のDA系においてDA機能を正常化する可能性が考えられる。
【0162】
セロトニン作動活性は、SNおよびVTAの両方においてDAニューロン活性に影響を及ぼすことができる。ラットおよびヒトの両方において、5−HT2A受容体はSNおよびVTAに存在し、M100907がDAニューロンに作用する機構を提供している。th(tk)/th(tk−)マウスでは、この薬物だけで効果があったため、正常行動における5−HT2A受容体の役割はわずかであるかもしれない。しかしながら、th(tk−)/th(tk−)マウスの場合のように、セロトニン作動性過剰神経支配が起こる状態では、この薬物は、この過剰神経支配と関係がある行動変化のレベリング(revering)に有効である。DAニューロンの形成不全(マウスではセロトニン作動性過剰神経支配を誘発する)とセロトニンの過剰産生の両方が観察されるヒトSZ脳でも恐らく同じような状況が存在する。
【0163】
材料と方法
トランスジェニックth(tk−)/th(tk−)マウスは、Klejbor et al., 2006(上記教示に関して参照により本明細書に組み入れる)に記載されている。このマウスは、FGFR1(TK−)と連続して配列されたFGFR1(TK−)融合ラットTHプロモーター(4.5kb)、SV40スプライスドナー−アクセプター部位および順に下流のSV40ポリ(A)(合計6.5−kb)からなる融合遺伝子を導入することにより作製された。子孫を、30サイクルのテールDNAのPCR増幅により導入遺伝子の存在についてスクリーニングした。センス(GCCAAGACAGTGAAGTTCAAATGC)およびアンチセンス(GTAATACGACTCACTATAGGGC)PCRプライマーは導入遺伝子領域と相補的であった(Klejbor et al., 2006)。下記の試験に使用する全てのトランスジェニックマウスおよび対照マウスは、BCF1の混合型遺伝的背景の雄および雌F2動物であった(C57BL/10J/C3H/HeJ)。成体マウス(同型接合体、異型接合体または野生型)を12:12時間の明暗サイクルで(明1200h)飼育し、食物と水の摂取は自由にした。全ての行動論的および解剖学的処置は、実験動物の管理と使用に関する指針(the NIH Guide for the Care and Use of Laboratory Animals)に従い、the University at Buffalo IACUCの認可を受けて実施した。動物のストレスを最小限に抑えるように、そして行動論的および解剖学的試験に使用するマウスの数を抑えるように、あらゆる努力を行った。
【0164】
クロザピン(RBI/Sigma St. Louis, MO)およびクエチアピン(AstraZeneca)は、5μlの20%酢酸/ml 0.9%生理食塩水を用いて溶解した。
【0165】
M100907(K. Rice)は、リン酸緩衝0.9%NaClに溶解した。薬物用量は遊離塩基として算出した。
【0166】
化合物AおよびB(Targacept Inc; Winston Salem, NC)およびフルペンチキソール(RBI/Sigma St. Louis, MO)は、リン酸緩衝0.9%NaClに溶解した。薬物用量は遊離塩基として算出した。
【0167】
薬物またはビヒクルは、行動試験の前に30分i.p.皮下に注射した。全ての注射は、体重30g当たり100〜200μlの量で行った。
【0168】
行動論的方法
A.PPIおよび驚愕:
装置:驚愕反応は、2つのチャンバー(SR-LAB、San Diego Instruments, San Diego, CA)を使用して測定した。各チャンバーは、換気ボックス内部にある台上に置かれた透明な限定されないプレキシガラスシリンダーからなる。チャンバー内の高周波拡声器で68dBの連続性背景雑音と120dB驚愕パルスの両方を発生させた。動物の全身の驚愕反応によって起こるプレキシガラスシリンダーの振動を、台に取り付けた圧電装置によってアナログ信号へと変換した。
【0169】
プレパルス抑制(PPI)セッション:全てのPPI試験セッションは、驚愕トライアル(パルス単独)、プレパルストライアル(プレパルス+パルス)、および無刺激トライアル(無刺激)からなった。パルス単独トライアルは、40ミリ秒の120dBパルスの広帯域雑音からなった。20ミリ秒の雑音プレパルス、100ミリ秒遅延、次いで40ミリ秒の120dB驚愕パルス(開始間隔120ミリ秒)からなるプレパルス+パルストライアルによりPPIを測定した。音響プレパルス強度は、68dB背景雑音よりも4dB、8dB、および16dB高くした(すなわち、72dB、76dB、および84dB)。無刺激トライアルは背景雑音のみからなった。試験セッションを開始し、パルス単独トライアルを5回与えて終了した;その間に、音響または無刺激トライアルそれぞれを疑似乱数の順に10回与えた。トライアル間の時間は平均15秒(範囲、12〜30秒)であった。薬物研究では、各注射の30分後に驚愕チャンバーにマウスを入れ、10分の順化期間に68dB背景雑音レベルを与え、試験セッションを通じて続けた。
【0170】
各種音響プレパルストライアルについては、百分率スコアとしてPPIを算出した:%PPI=100{[(プレパルス+パルスでの驚愕反応)/(パルス単独での驚愕反応)]×100}。音響驚愕反応の大きさは、パルス単独トライアルの全てに対する平均反応として算出し、行った5回のパルス単独トライアルのうち最初と最後は除外した。
【0171】
手法:全コホートにおいて、全ての薬物用量について、PPIを週2回試験し、試験日は少なくとも2日隔てた。毎週、マウスには、1つの試験セッションの前にビヒクル注射を行い、第2回目の試験セッションでは薬物治療を行った。ビヒクル試験日におけるPPIおよび驚愕の大きさを調べて、これらの指標が試験を繰り返すことによって変化するかどうかを確認した。試験を繰り返すことによる影響は認められなかったため、解析には(各用量において)ビヒクルおよび薬物の試験セッションの平均を用いた。生理食塩水/無注射と薬物注射の順序は毎週変更した。治療の前に無注射群のデータを収集し、投与した。各薬物について試験する動物の数は異なっており、それについては結果に示している。全試験で、5ヶ月〜12ヶ月齢のマウスを試験し、各遺伝子型において性別分布は等しかった。
【0172】
統計学:PPIデータは、3要因混合分散分析を使用し、被験者間変数として群[FGFR1(TK−)、対照]を、そして被験者内変数としてプレパルス刺激(pp)強度(pp4、pp8およびpp16)および薬物用量を用いて解析した。薬物治療を行わない群間に差異があるかどうかを確認するために、無注射および生理食塩水データを、混合2要因分散分析を使用し、要因として群と刺激強度を用いて解析した。解析した薬物用量は、生理食塩水ビヒクル、フルペンチキソール(0.25mg/kg、0.5mg/kgおよび1.0mg/kg)、クロザピン(3.0mg/kgおよび6.0mg/kg)、クエチアピン(1.0mg/kg、2.0mg/kg、3.0mg/kgおよび7.0mg/kg)、M100907(0.1mg/kg、0.3mg/kgおよび1.0mg/kg)、化合物B(0.1mg/kgおよび1.0mg/kg)、化合物A(0.1mg/kgおよび0.3mg/kg)ならびにクロザピン(3.0mg/kg)と化合物A(0.1mg/kg)の併用用量およびクエチアピン(3.0mg/kg)と化合物A(0.1mg/kg)の併用用量であった。群間の有意差を確認するために、3刺激強度各々において追跡t検定を行った(pp4、pp8およびpp16)。th(tk−)/th(tk−)マウスにおいて治療によってPPIが特異的に増加することを確認するために、th(tk−)/th(tk−)群と対照群の両方において別々に、要因として用量と刺激強度を用いた2要因分散分析を実施した。要因として群と用量を用いた混合2要因分散分析により驚愕反応を解析し、PPIと同じように追跡t検定を行った。全試験についての統計的有意性はp<0.05であった。
【0173】
B.社会的行動、非社会的自己グルーミング、およびオープンフィールド活動を、試験前に少なくとも4週間単独飼育した7〜10ヶ月齢の野生型(n=7)およびFGFR1(TK−)(n=7)雄マウスにおいて測定した。試験当日、各被験体に3試験を行った:雌を用いた社会的行動試験、雄を用いた社会的行動試験、およびオープンフィールド試験。試験間隔を30分とした。被験体のホームケージに刺激動物を3分間入れる居住者−侵入者パラダイム(the resident-intruder paradigm)の変形を用いて社会的行動を試験した。試験前に被験体のホームケージを少なくとも4日間変えず、そのケージをなわばりとして定着させた。雌刺激動物を単独飼育し、無作為に循環させた、C57Bl/6J(Jackson Laboratories, Bar Harbor, ME)。各被験体を異なる刺激動物を用いて試験し、各刺激動物を試験日に1回だけ使用した。雄刺激動物を単独飼育した、C57Bl/6J(Jackson Laboratories, Bar Harbor, ME)。各被験体を異なる刺激動物を用いて試験し、各刺激動物を試験日に1回だけ使用した。野生型被験体(n=8)およびtk−/−被験体(n=8)のケージに刺激雌を入れた。3分後、その刺激雌を取り出した。30分経過後に被験体のホームケージに刺激雄を入れた。3分後、その刺激動物を取り出した。赤色灯の照明下で明サイクルの暗期(活動期)に全ての試験を行った。Sonyビデオカメラ(DRV-120、Sony Corporation)のナイトショットモードを使用して横側から相互の関係をビデオテープに録画した。Observer Mobile(Noldus Information Technologies, Sterling, VA)を使用してビデオテープから被験体の行動を定量化した。観察された取組みの数と次の行動を行っている時間を測定した:社会的接触全般(刺激動物との接触、嗅ぎ回り(非肛門性器接触および非肛門性器接触の両方)、および非社会的行動(自己グルーミング)。行動を評価する人には被験体の遺伝子型および治療が分からないようにした。オープンフィールド活動を試験するために、ホームケージから被験体を取り出し、10分の試験セッションのために透明なプレキシガラスのオープンフィールド試験領域(45cmx45cmx25cm)に単独で入れ、その後、ホームケージに戻した。SONY TRV−350ハンディカムビデオカメラを使用しナイトショットモードを使用して上方から試験をビデオテープに録画した。Clever Sys. Inc.のシステムを使用して移動を詳細に解析した。
【0174】
薬物試験では、野生型(n=7)およびtk−/−(n=7)に1mg/kgのM1009007またはビヒクルをi.p.注射した。30分経過後、被験体のホームケージに刺激雌を入れた。3分後、その刺激雌を取り出した。30分経過後に被験体のホームケージに刺激雄を入れた。3分後、その刺激動物を取り出した。30分後、その被験体をオープンフィールド試験により試験した。
【0175】
C.放射状迷路:SZおよび他の社会的行動欠陥と関係がある精神的障害を有するヒト患者には作業記憶障害が見られる。簡潔には、八方向放射状迷路の中心にマウスを置き、迷路を自由に探索させる。1日1回だけ被験体を試験する。2つの訓練段階がある。段階1−第1の訓練段階に、8つのアームの各末端に味の良い食物アイテム(例えば、一切れのCheerio)を置く。試験は動物が全ての食物アイテムを見つけるまでまたは20分経過するまで続ける。この試験は、被験体が食物を見つける動機づけを有するように強制するものである。そのため、被験体は8pm頃から試験時間(8am頃)までのおよそ12時間の食物制限を受ける。試験終了〜8pmの時間には、被験体は食物を自由に摂取する。ホームケージ内にいるときはいつでも、被験体は水を自由に摂取する。全ての被験体を毎日体重測定する。初期体重が15%より多く減少する被験体をこの研究から除外し、自由に食物を与える。一度動物が全てのアームから食物を探して持ってくることを学習したら、第2の段階の訓練を開始する。
【0176】
段階2−この段階では、8つのアームのうちの4つのアームに食物を置く。この条件で数回の訓練セッション後に試験段階が始まる。試験中、8つのアームのうちの4つのアームに食物を置く。この迷路の中心に被験体を置き、迷路を自由に探索させる。被験体が全ての食物アイテムを摂取したまたは20分経過したときに、試験を終了する。
【0177】
空のアームへの侵入回数は空間記憶を反映すると考えられる。この試験中にすでに調査しているアームへの侵入回数は作業記憶を反映すると考えられる。
【0178】
D.物体認識:4つの異なる物体を使用した:銅シンブル、3/4インチのスチール六角ナット、25mLガラスフラスコおよびプラスチックブレインジャー(plastic brain jars)。各物体について、同一のもの3つとした(すなわち、ブレインジャー1、ブレインジャー2、およびブレインジャー3)。
【0179】
試験:赤色灯の照明下で暗所で10am〜3pmの間に被験体を試験した。試験チャンバーは、不透明な床板の付いた大型プレキシガラスボックス(40x40x40)である。Sonyハンディカム(DRV120、Sony Corporation, Oradell, NJ)カメラを使用しナイトショットモードを使用して全ての試験を記録した。チャンバーおよび物体は95%エタノールで十分に洗浄し、試験の前に5分間乾燥させた。試験は順化段階と物体認識段階の2段階に分けた。
【0180】
段階1−順化段階は試験第1日目〜第3日目に行った。オープンフィールドの中心に被験体を置き、10分間自由に探索させた。これを1日1回3日間行った。
【0181】
段階2−物体認識段階は試験第4日目〜第5日目に行った。この段階では、オープンフィールドの隣接する角に2つの同じ物体を置いた(すなわち、ブレインジャー1およびブレインジャー2)。5x5cmの大きさの厚紙を用いて測定することによってこれらの物体の配置を確実に一致させた。四角い厚紙を角に置き、次いで、チャンバーの中心に最も近い角の下に物体の中心を置いた。チャンバーの中心に被験体を置き、3分間自由に探索させた。3分後、被験体をホームケージに30分間戻した。この遅延中に、試験チャンバーおよび物体を95%アルコールで再度清浄した。遅延後、原初の物体の1つをそれが最初にあった同じ位置に戻した。次いで、原初の物体の他のものを新しい物体に取り替えた。例えば、ブレインジャー1およびブレインジャー2を最初に使用した場合、これらのうちの1つを戻し(すなわち、ブレインジャー1)、もう1つのものを新しい物体(すなわち、スチールナット1)に取り替えた。これらの物体を配置した後、チャンバーの中心に被験体を再度置き、自由に探索させた。3分後、被験体をホームケージにその日1日戻した。各段階について、使用する物体または戻す物体は無作為に決定した。試験第5日目に他の物体を使用してこの同じ手法を用いた。よって、試験第4日目にブレインジャーとスチールナットを使用した場合には、試験第5日目に銅シンブルとガラスフラスコを使用する。
【0182】
4.免疫細胞化学および立体解析学
TH発現ニューロンおよびDA繊維の免疫細胞化学および立体解析学は(Klejbor et al. 2006)からのものであり、以下に記載する。
【0183】
A.THニューロン
マウスをPBSおよび4%パラホルムアルデヒドで潅流し、40ミクロンクリオスタット脳切片を作製し、従前に記載されているように(Fang et al. 2005)ウサギポリクローナルTH抗体(1:1000)(Sigma Chem. Co)およびCy3コンジュゲート抗ウサギ抗体(1:600)で免疫染色した。GASTGridシステム(Olympus, Denmark)を用い、定量的立体解析学的分析を行った。このシステムはグラフィックインターフェースとBX−51顕微鏡(Olympus, Japan)を伴ったコンピューターからなる。この計数法の主な目的は、トランスジェニックマウスと対照マウスのニューロン特性を比較することであって、中脳のTHIRニューロンの絶対数を決定することではなかった。各群5匹のマウスを分析した。全ての場合で、(1)低倍率下で核(SNcおよびVTA)の輪郭を定めること;(2)同じ前後配列(各脳からブレグマに対して−4.52から−5.6の5切片)を用い、SNcまたはVTA領域の倍率20倍で無作為にサンプリングすること;(3)既知の表面積(SNcでは核表面の少なくとも60%、VTAでは100%)の試験視野内でTH−IRニューロン密度を決定することからなる同一のプロトコールを用い、試験視野内で免疫反応性のニューロン特性を分析した。個々の試験視野からの生データを記録し、秤量し、各核に関してTH−IRニューロンの平均密度を算出した。対照マウスとトランスジェニックマウスにおけるTH−IR細胞の密度をANOVA(Kruskal−Wallis検定)を用いて比較した。
【0184】
平均TH−IR細胞表面を評価するため、細胞計数のためにSNcおよびVTAの断面図の上にコンピューターで体系的に置いたサンプリンググリッドを用いて、Olympus Laser Pixバージョン4.1(Biorad, Great Britain)ソフトウエアによって、平均TH−IR細胞表面の不偏推定量を得た。群間の統計的有意性に関しては、Newman−Keuls検定およびMann−Whitney post−hoc検定を用いた一元配置分散分析を適用した。細胞密度および大きさの測定は全て、遺伝子型に関して盲検として行った。
【0185】
B.DAT免疫染色および定量的分析
40ミクロンの脳クリオスタット切片をラット抗DAT抗体(Chemicon, Temeculla, CA)およびAlexa488コンジュゲート抗ラット抗体で免疫染色した。Nikon FXA蛍光顕微鏡上のXILLIX Microimager冷却CCDカメラで蛍光顕微鏡画像(12ビット)を得た。得られた全ての画像はカメラの直線範囲にあった。対照マウスおよびトランスジェニックマウスからの切片の画像を、同一の照明条件ならびに同一のカメラゲイン、オフセットおよび露出時間下で得た。各切片についてバックグラウンド画像(組織切片外)を撮り、DAT−IR脳切片(線条体および側坐核)の画像から差し引いた。各脳および脳構造について、それぞれ3〜4切片を分析した。画像はONCOR Imageソフトウエアを用い、同様に前処理し、閾値を求めた。各画像の総面積ならびに閾値画素の数およびそれらの積分強度を記録した。
【0186】
C.5−HT発現繊維の免疫細胞化学および立体解析学:
全ての成体動物(対照マウス6匹およびトランスジェニックマウス6匹)を致死量のネブタール(80mg/体重kg)で深麻酔した後、ヘパリンを含む0.9%生理食塩水(NaCl)、次いで0.1Mリン酸バッファー(pH7.4)中4%のパラホルムアルデヒド溶液で経心的に潅流した。これらの脳を4%パラホルムアルデヒド固定液で3〜4時間後固定した。次に、それらを15%スクロース中(4℃で一晩)、次いで30%スクロース中に浸漬するまで入れた。脳の40μmの厚い冠状切片をJUNG 1800クリオスタット(Leica, Germany)にて切断した。次に、これらの切片を免疫組織化学的方法を用いて染色した。浮遊している切片を、0.3%Triton X−100を含有する10%正常ヤギ血清(NGS)で1時間遮断した後、抗5−HTウサギポリクローナル一次抗体(Sigma;1:1000)とともに4℃で48時間インキュベートした。PBSで複数回すすいだ後、切片を、Cy3コンジュゲートヤギ抗ウサギ(Jackson ImmunoResearch;1:600希釈)適正二次抗体:試験群ならびに一次抗体が除かれている陰性対照を受けた対照群の双方の脳切片の選択されたセットとともに室温で2〜3時間インキュベートした。中脳構造の分割には、Paxinos and Watson(文献)の基準を用いた。調べた構造には、腹側被蓋領域(VTA)および黒質(SN)その分割部:束間核(IF)、色素性結合腕傍核(PBP)、黒質傍核PN、吻側線状縫線核(RLi);黒質の緻密部および網様部(それぞれSNCおよびSNR)を含んだ。
【0187】
免疫組織化学的方法により染色したスライドを、蛍光顕微鏡BX−51(Olympus, Japan)、およびクリプトン/アルゴンレーザーを備え、光学顕微鏡Eclipse 600(Nikon, Japan)に取り付けた共焦システムRadiance 2100(Bio-Rad, UK)により調べた。それぞれN.A.=1.3および1.4の40倍および60倍油浸対物レンズを用い、共焦点レーザー走査顕微鏡画像(CLSM)を得た。各倍率に最適な開口絞りを用いた。画像の再構成には、画像解析プログラムLaser Sharp 2000 v.4.0.(Bio-Rad; UK)を用いた。各場合において、蛍光で完全に染色された切片だけを考慮した。
【0188】
5−HT繊維の定量的立体解析学的分析は、Gundersen H.J. and West M.J. 1988 (9103, 9085)に記載されているようにC.A.S.T. Gridシステム(Olympus, Denmark)を用いて行った。群間の統計的有意性に関しては、Newman−Keuls検定およびMann−Whitney post−hoc検定を用いた一元配置分散分析を適用した。繊維密度の測定は全て、遺伝子型に関して盲検として行った。対照およびトランスジェニック両群の12ヶ月齢マウスにおいてVTAおよびSNの各核につき30切片を調べた。
【0189】
これらの切片はブレグマの約−4.8〜−5.6mmの範囲に分布した。
【0190】
5−HT、5−HIAA、DA、DOPAC、HVA、3−MTの分析(電気化学的検出を用いたHPLC−ESAシステム)
マウスをCOを用いて屠殺し、すぐに断頭し、脳をドライアイス上で凍結させ、−80℃で保存した。従前に記載されているように(Bialowas et al. 1979)、穿孔針を用いて脳の解剖学的領域を単離した。採取組織1mgにつき、100μMメタ重亜硫酸塩と内部標準としての500nM DHBAを含有する50mM過塩素酸4〜20Lを加えた。分析は(Corso et al. 2005)に記載のように行った。要するに、組織を音波処理し、ホモジネートをマイクロ遠心機にて11,000rpm(7500g)で20分間遠心分離した。上清をウルトラフリーMC 0.22m遠心フィルターユニットに入れ、上清がフィルターを通過するまで同じ速度で遠心分離した。これらのサンプルを2cmのガードカラム付きのSuppleco Discovery C18逆相15cmカラムに注入した。検出はBAS LC−4CまたはESA Coulochem IIのいずれかをESAコンピューター解析ソフトウエアとともに用いて行った。分析組織5−HTおよびその代謝産物5−HIAAならびにDAおよびその代謝産物DOPACおよびHVAの濃度は、これら個々の標品のHPLC分析により測定した。
【0191】
統計分析:ANOVA後LSD。
【0192】
TH(TK−)/TH(TK−)マウスにおけるアルファ7ニコチン作動薬の治療効果
以上に記載したth(tk−)/th(tk−)マウスモデルを用い、DAニューロンの発達形成不全(SZにおいても見られる)により他のニューロン系の発達に影響を及ぼし、それによって、SZにおいて示されているような感覚ゲート機構、社会的行動および認知の欠陥を伴う異常な脳回路を築く。形成不全DAニューロンおよび5−HT機能亢進のセロトニン作動性過剰神経支配がこの仮説を裏付けている。加えて、th(tk−)/th(tk−)マウスでは、SZで報告されている変化とよく似た大脳皮質および海馬の構造変化が観察された。新規治療によるこれらの多様な脳領域の標的化はSZの新規療法として検証することができた。
【0193】
5HTニューロンおよび大脳皮質および海馬におけるニューロンはニコチン性アルファ7受容体を発現する。これらの受容体の刺激は異常な脳回路の機能を正常化し、それゆえSZの治療として有用であるかどうかを検証することができた。ニコチン性アルファ7受容体を標的とする新しいカテゴリーの抗SZ薬は開発されつつある。
【0194】
図1は、α7ニコチン受容体作動薬(2S,3R)−N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−3−イル)−5−メチルチオフェン−2−カルボキサミド(化合物B)が、th(tk−)/th(tk−)マウスにおける感覚ゲート機構(PPIおよび音響驚愕反応)障害を回復に向かわせる効果を説明している。重要なことには、化合物Bは対照に対して効果がなかった(正常マウス;n=8)。
【0195】
図2aおよび2bは、α7ニコチン作動薬(化合物A)が、th(tk−)/th(tk−)マウスにおけるPPI障害を回復に向かわせる効果を説明している。化合物Aは対照(野生型マウス)に対して効果がなく、これは、化合物Aが、特異的にth(tk−)/th(tk−)マウスの異常な脳回路の機能を修正するということを示している。
【0196】
図3は、化合物Aがth(tk−)/th(tk−)マウスにおける驚愕反応を正常化することを説明している。
【0197】
AAPDとアルファ7ニコチン作動薬の相乗的作用
実施例1
製薬上許容される担体中で(2S,3R)−N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−3−イル)ベンゾフラン−2−カルボキサミドとクロザピンとを合わせることにより医薬組成物を調製する。この組成物は、各量の(2S,3R)−N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−3−イル)ベンゾフラン−2−カルボキサミドとクロザピンを含有して治療上有効な量の各成分を毎日送達する。この組成物は、統合失調症の治療のために患者に1日1回、1日2回、1日3回、または1日4回投与される。
【0198】
クロザピン(3.0mg/kg)と化合物A(0.1mg/kg)は、個別に与えたときには、PPIに対しても驚愕に対してほとんど効果がなかった。図4、図2a、および2b参照。その一方、トランスジェニックマウスでは、組み合わせたクロザピン(3.0mg/kg)と化合物A(0.1mg/kg)に有意な主効果があった(p=0.006)。
【0199】
対照WTマウスでは、相乗効果は見られなかった。図5および図6参照。
【0200】
実施例2
製薬上許容される担体中で(2S,3R)−N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−3−イル)ベンゾフラン−2−カルボキサミドとクエチアピンとを合わせることにより医薬組成物を調製する。この組成物は、各量の(2S,3R)−N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−3−イル)ベンゾフラン−2−カルボキサミドとクエチアピンを含有して治療上有効な量の各成分を毎日送達する。この組成物は、統合失調症の治療のために患者に1日1回、1日2回、1日3回、または1日4回投与される。
【0201】
トランスジェニックth(tk−)/th(tk−)マウスでは、単独での3.0mg/kgのクエチアピン(図7aおよび図7b)にも0.1mg/kgの化合物A(図2aおよび図2b)にも有意な主効果はなかった。しかしながら、併用したときには、相乗的な治療効果があった(p=0.047)(図8)。α7ニコチン作動薬と抗精神病薬は、トランスジェニックマウスであるth(tk−)/th(tk−)マウスにおいて相乗的に働いてプレパルス抑制を改善する。対照マウスでは、併用用量の効果はなかった。
【0202】
証拠が増えることによって、ドーパミンニューロンの発達形成不全および機能が統合失調症性精神病の発生の中心となり、そしてセロトニン作動性ニューロンおよびグルタミン酸塩作動性ニューロンの変化がその病理に重要であるという仮説が裏付けられる(Dean B 2000, Aus. NZ J. Psychiat 34, 560-569;上記教示に関して参照により本明細書に組み入れる)。トランスジェニックth(tk−)/th(tk−)マウスは、SZにおけるDAニューロンの発達形成不全がそれらの機能亢進につながるだけでなく、他のニューロン系の発達に影響を及ぼし得ることを示すことによってこの仮説を裏付ける。結果として、異常な脳回路が築かれ、そしてそれが感覚ゲート機構、社会的行動および認知機能の欠陥の原因となる。この回路の機能は、TAPD、AAPD、および新しいタイプのα7ニコチン酸薬によって修正され得る。
【0203】
th(tk−)/th(tk−)マウスは、SZにおいて見られる複数のニューロン構造の、生化学的、および行動的(陽性および陰性症状)異常を再現する発達モデルである。TAPD、AAPDおよび新しい種類の抗精神病薬(α7ニコチン作動薬)は、th(tk−)/th(tk−)トランスジェニックにおける感覚ゲート機構障害を修正する;対照に対して立証された効果はなかった。AAPDであるクロザピンは、正常ヒト対象で観察されるものと同じような対照マウスにおけるPPIに作用する。クロザピンと化合物Aは、相乗的に作用してth(tk−)/th(tk−)トランスジェニックにおいてのみPPIおよび驚愕反応を修正した;対照では相乗作用はない。クエチアピンと化合物Aは、相乗的に作用してth(tk)/th(tk−)トランスジェニックにおいてのみPPIを修正した;対照では相乗作用はない。陰性症状(すなわち、社会的相互作用の障害)は、1以上のAAPDと1以上のα7ニコチン作動薬との組合せ物により修正される。
【0204】
試験化合物は遊離、塩、または溶媒和形態で使用した。
【0205】
観察された特異的薬理反応は、選択した特定の活性化合物または医薬担体が存在するかどうか、ならびに処方の種類および使用する投与様式に従っておよび依存して変わることがあり、結果に関するこうした予想される変化または差異は、本発明の実施に従って熟慮される。
【0206】
実施例3
結合アッセイ
従前に記載されているように(Davies et al., 1999)、海馬膜において[H]−メチルリカコニチン([H]−MLA)結合を測定した。ラット皮質膜調製物またはSH−EP1細胞におけるα4β2 NNRとの[H]−ニコチン結合を、公開されている手法から適合させた標準的な方法を用いてアッセイした(Lippiello and Fernandes, 1986)。GraphPad Prismソフトウェア(GraphPAD、San Diego, CA)を使用して最小二乗非線形回帰によりIC50(結合の50%阻害をもたらす化合物濃度)を決定した。Cheng−Prusoff式を用いてKを算出した(Cheng and Prusoff, 1973)。
【0207】
実施例4
th(tk−)/th(tk−)トランスジェニックマウスにおける高架式十字迷路
マウス高架式十字迷路(San Diego Instruments, San Diego, CA)の中心に被験体を置いた。SONY TRV−350ハンディカムビデオカメラを使用しナイトショットモードを使用して上方から試験をビデオテープに録画した。被験体の治療または遺伝子型を知らない観察者がObserver Mobile(Noldus Information Technologies, Sterling, VA)を使用してビデオテープから被験体の行動を定量化した。
【0208】
実施例5
ラットにおける新奇物体認識
亜急性3日投与後の化合物Aの認識促進効果の用量反応および期間を、ラットにおいて新奇物体認識(NOR)課題の2つのバリエーションを使用して評価した。物体認識モデルは環境の新奇な面を探索する齧歯類の自然傾向に基づいており、この探索的行動が記憶機能の指標であり得る(Ennaceur and Delacour, 1988)。NOR試験では、しばらく時間を隔てて2回与えた物体を認識する能力を評価する。試験領域は、高さ12インチの壁を備えた17.5x17.5インチの透明なプレキシガラス(Plexiglas)(商標)からなる。この領域は不透明な防音チャンバーで囲い込まれており、ドア(正面への入口)は開いたままにした。化合物Aまたはビヒクルの用量を経口胃管栄養法により1日1回3日間、投与間隔24時間で投与した。この亜急性投与パラダイムの最初の2日に、投与の30分後に、第1日目には探索的(馴化)トライアル(6分)(物体なし)を、そして第2日目には物体認識獲得トライアル(3分)(同じ物体2つ)を行った。第3日目には最終ORトライアル、すなわち、想起トライアル(3分;1つは日常、1つは新奇物体)を化合物投与の30分後、2時間後、6時間後、18時間後または24時間後のいずれかに開始した。想起トライアルでは、動物の行動をビデオテープに録画するために、試験領域の覆いのない側面からおよそ36インチの位置にビデオカメラを設置した。続いて、この想起暴露トライアル中にこれらの行動を、情報を知らされていない観察者が記録し、新奇(物体B)と日常(物体A)物体の探索に費やす時間を評価した。各物体についての絶対探索時間を記録し、%識別指数を以下のとおり算出した:
%RI=[(新奇物体調査時間)/(新奇物体+日常物体の両方の調査時間の合計)]
日常物体と新奇物体との間での探索時間についての有意差を確認するために各処置群についてスチューデントt検定を行い、%RIについて群間の有意差を評価するために一元配置分散分析(またはノンパラメトリック分散データについての同等のKruskall−Wallace ANOVA)を行った。有意な総合的効果が認められた場合には、post−hoc分析を行った。P<0.05を有意とみなした。
【0209】
実施例6
α7 NNRに対する化合物Aの選択性
化合物Aは、ラット脳のα7受容体に対する[H]−MLA結合の強力な阻害剤であり、ラット海馬膜ではKiは1nMであった(表1)。ヒトα7およびric3 cDNAを共発現するHEK293細胞系統でも1nMという同じような結合親和性が得られた。化合物Aのα4β2受容体サブタイプに対する親和性は低い。[H]−(S)−ニコチンとの競合結合研究では、化合物Aは、SH−EP1細胞膜において発現されるヒトα4β2受容体においてKi 2800nMを示し、ラット皮質膜において発現されるラットα4β2受容体においてKi 2100nMを示した。
【0210】
また、化合物Aをブロード・レセプター・セレクティビティー・バッテリー(broad receptor selectivity battery)(Novascreen)においても試験し、10μMにおいて受容体−選択的リガンド結合の阻害>50%で定義されたとおり、他の非ニコチン受容体クラスとの相互作用はわずかであった。この基準に基づき、化合物Aは、非選択的オピオイド受容体アッセイ(58%阻害)およびシグマ部位2(79%阻害)と正の相互作用を示した。これらの相互作用の用量反応評価では、オピオイド部位およびシグマ部位2についてのKi値はいずれも13μMであり、α7における結合親和性とは1000倍より大きく離れていた。α7受容体と5HT受容体とは配列および構造的相同性が似ており、一部のニコチンリガンドと両受容体との相互作用が従前に報告されていることから、5HT受容体に対する化合物Aの親和性を調べた。化合物A(10μM)と5HT受容体との結合は、マウス受容体において放射性リガンド結合の59%阻害を示し、ヒト受容体において25%阻害を示した。ヒト5HT受容体における機能的活性化の調査では活性化はわずかであるか全くなかった;100μM化合物Aにおいて15%という最大反応を得た。
【0211】
実施例7
化合物AによるNNRの機能的活性化
パッチクランプ電気生理学的技術を用いて、アフリカツメガエル卵母細胞において一過性に発現される神経性ニコチン受容体における化合物Aの機能的活性を調べた。ヒトα7受容体では、化合物AはEC50 33nMおよびEmax(Achに対して)100%を示した(図9Aおよび表1)。100nMより高い濃度の化合物Aの適用後には、Achに対するその後の対照反応に減少が見られた(IC50=200nM、図9B)。従前に報告されているα7完全作動薬(Astles et al., 2002)とは対照的に、化合物AのEC50値とIC50値の隔たりは、アルファ7の50%機能的反応をもたらす濃度では完全でなく最小限の残存阻害に至ることを示している。ヒトα4β2サブタイプを発現する卵母細胞に化合物Aを適用した場合には活性化は見られず、Achに対するその後の対照反応において有意な減少はなく、化合物Aはα4β2における作動薬でも拮抗薬でもないということを示している(結果は示していない)。化合物Aがもたらした、適当なラットおよびヒト細胞系統において発現される末梢のニコチン性アセチルコリン受容体の機能的活性化はわずかであった(表1)。10μMおよび100μMにおいて、化合物Aがもたらした、ヒト筋肉(それぞれニコチンのEmaxの5%および12%)、ラット神経節(それぞれニコチンのEmaxの11%および20%)またはヒト神経節(それぞれニコチンのEmaxの6%および11%)の受容体の活性化は全くなかったかまたは極めて低かった。筋肉および神経節型受容体との相互作用がないことから化合物Aによるニコチン副作用の可能性が低いことが示唆される。
【0212】
実施例8
化合物A−オープンフィールド試験における運動活性
化合物A処置は、対照マウスにおいてもth(tk−)/th(tk−)マウスにおいてもオープンフィールド試験における運動活性に対して効果がなかった(図10A、処置の主効果なし、p>0.05)。従前に報告されているように、th(tk−)/th(tk−)マウスは対照マウスよりも長い時間オープンフィールドの中心ゾーン内に滞在し、より長い距離を移動した(図10A、遺伝子型の有意な主効果、p<0.05)。また、高架式十字迷路内での行動に対しても化合物Aの効果はなかった(図10B、処置の主効果なし、p>0.05)。th(tk−)/th(tk−)マウスは対照マウスよりも有意に長い時間オープンアーム内に滞在し、それゆえにクローズドアーム内には短い時間滞在した(図10B、遺伝子型の有意な主効果、p<0.05)。
【0213】
実施例9
統合失調症陽性症状モデルにおける化合物Aの有効性(ラット)
Sprague−Dawleyラットにおけるプレパルス抑制の減少
プレパルス抑制(PPI)は、感覚運動ゲート機構(統合失調症において欠陥のある脳内の系)の使用可能な指標を与える。精神刺激薬であるアポモルヒネはPPIを害することが分かっており、この影響は抗精神病薬の投与によって回復に向かわせることができる。化合物A(0.3mg/kg s.c.)は、アポモルヒネの投与によって起こったPPI障害を有意に回復に向かわせた(図11)。これらのデータは、化合物Aが、統合失調症と関係があるゲート機構障害を改善するのに有効であるというさらなる証拠を提供する。
【0214】
実施例10
認知に対する化合物Aの効果(ラット)
新奇物体認識試験における認知の用量効果評価において、化合物Aは、0.3mg/kg、1mg/kgおよび10mg/kgの用量において(p.o.;第3日目のq.d.投与の30分後)、新奇物体の調査に費やす時間を有意に増加した(図12A、左)。新奇物体認識パラダイムにおける化合物A(0.3mg/kg p.o.)の効果評価の時間に関し、最終亜急性投与トライアルの30分後、6時間後、または24時間後におけるビヒクル処置群が物体Aと物体Bの探索に費やす平均時間には有意な差はなかった(それぞれp=0.17、p=0.35、およびp=0.12)。比較すると、化合物A(0.3mg/kg i.p.)の最終亜急性(q.d.x3日)投与の30分後、2時間後、6時間後、および18時間後において、被験体は新奇物体の調査に日常物体よりも有意に長い時間を費やした(図12A、右)。さらに、2時間(75%)および6時間(71%)の時点では、0.3mg/kg化合物Aで処置した動物において識別指数(RI)が、最終投与の30分後のビヒクル処置群のRI(54%)と比べて有意に高くなった(図12B)。これらの結果は、化合物Aが第3日目の亜急性連日投与の18時間後までに幼若ラットにおける作業記憶を促進することを示している。
【表1】

【0215】
実施例11
(定型または非定型)抗精神病薬投与によって起こり得る高血糖、糖尿病、体重増加および/または異脂肪血症に対処するためのNNR α7作動薬の投与。
【0216】
肥満症に対するα7作動薬。動物モデル:これらの研究に用いたマウスの親系統は、Jackson Laboratoriesから入手したC57BL6背景のレプチン受容体欠損db/dbマウスおよびDr. Michel Tremblay(the Cancer Institute at McGill University in Montreal, Canada)提供の混合型C57BL6/Balb C背景のPTP1B−ヌルマウスであった。肥満db/dbマウスは生殖力がないため、マウスを二重異型接合体(変異レプチン受容体およびPTP1B欠失の両方についての異型接合体)として作製した。二重異型接合体を交配し、1:4肥満マウスおよび1:4 PTP−1Bヌルマウスが生まれた。この系統構成では1:16は二重KOマウスであった。第4世代において、両遺伝子についてのマウス異型接合体を変異db対立遺伝子についてのPTP−1Bヌルマウス異型接合体と交配した。この系統構成では1:4マウスは肥満マウスであり、1:8は二重KOマウスであった。節約のために、対照に関しては野生型よりも異型接合体が好まれた。二重異型接合体同腹子を細身の対照として使用し、dbについての異型接合体同腹子を細身のPTP1B KO対照として使用した。
【0217】
マウス遺伝子型決定:3週齢において、テールクリップによりDNAを得た。テールクリップのゲノムDNAを用い、変異レプチン受容体およびPTP−1Bの欠失カセットの存在についてポリメラーゼ連鎖反応を用いてスクリーニングした。アガロースゲル電気泳動を用いてPCR産物を分析することにより特定の遺伝子型を決定した。Upstate Biotechnologyの抗PTP−1B抗体を使用したウエスタン分析によりPTP−1Bの欠失を確認した。
【0218】
代謝表現型決定:マウスの成長速度および食物摂取に対する試験化合物(例えば、経口胃管栄養法により1mg/kg/日の化合物A)の効果を、3週齢から10週齢までの間体重および食物摂取を週2回測定することにより得た。選択したコホートにおいて、α7拮抗薬MLAも胃管栄養法により毎日3mg/kgを同時に与えた。JAK2キナーゼ阻害剤(AG−490)は毎日1mg/kgを腹膜内(IP)投与した。週1回、食物撤去後に尾静脈出血を利用しPrecision XLグルコメーターを使用して空腹時グルコースを測定した。Metrika, IncのA1Cキットを使用してこれらのサンプルからHbA1cレベルも測定した。グルコース耐性を評価するために、一晩絶食させた後にマウスに2%イソフランで麻酔をかけ、左頚動脈および頚静脈にカニューレを挿入した。グルコースの10mgボーラスを、頚静脈を介して静脈内(iv)注入し、5分おきに40分間頸動脈ラインからの一滴の血液で血中グルコースを測定した。血漿検体の測定のために、迅速導入チャンバー内で別の群の絶食マウスにイソフランにより麻酔をかけ、すぐに断頭した。ヘパリン中に血液を採取し、4℃で迅速に遠心分離して、細胞を除去し、血漿を得、これらのサンプルを後の分析のために凍結させた。eBioscienceのELISAアッセイキットを使用して血漿中TNF−α濃度を測定し、L−Type TG Hテスト(Wako Diagnostics)(血清または血漿中のトリグリセリドの定量のためのin vitroアッセイ)を使用して血漿中トリグリセリド値を測定した。全データは平均とSEMで表している。全群間の差異は一元配置分散分析により比較した。
【0219】
統計学:全データは平均とSEMで表している。全4遺伝子型間の差異は一元配置分散分析により比較した。
【0220】
化合物Bの投与の結果を図13(血中グルコース)および図14(体重増加)に示している。化合物B(1mg/kg)は、脂肪食のdb/dbマウスにおいて血中グルコース値(図13)および体重増加(図14)をビヒクル処置マウスと比べて有意に軽減した。これらの効果は、処置の6週間後に明らかになり、処置後8〜10週間の間に最大となった。
【0221】
本発明の具体的な実施形態を本明細書において例示し詳細に記載しているが、本発明はそれに限定されない。上記の詳細な説明は本発明の例示として示しており、本発明の限定となるものと解釈してはならない。修飾は当業者には明らかであり、本発明の精神から逸脱しない全ての修飾は添付の請求項の範囲に含まれるように意図されている。
【0222】
参照文献を以下に示すが、各々上記教示に関して参照により組み入れる:
(参考文献)










【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのα7ニコチン作動薬と;
少なくとも1つの抗精神病薬と:
を含んでなる薬学的組合せ物であって、
精神障害に対して相乗的な療法を提供する、薬学的組合せ物。
【請求項2】
前記精神障害が精神病性障害である、請求項1に記載の薬学的組合せ物。
【請求項3】
前記精神障害が統合失調症である、請求項1または請求項2に記載の薬学的組合せ物。
【請求項4】
前記組合せ物が、注意障害、情報処理、記憶障害、または実行機能障害の1以上に対して相乗的な療法を提供する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の薬学的組合せ物。
【請求項5】
少なくとも1つのα7ニコチン作動薬と少なくとも1つの抗精神病薬が、同時に、逐次的に、または別々に提供される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の薬学的組合せ物。
【請求項6】
前記少なくとも1つのα7ニコチン作動薬が、式1
【化1】

の化合物:
またはその製薬上許容される塩または溶媒和物。
(式中、
mは1または2であり;
nは1または2であり;
pは1、2、3、または4であり;
Xは酸素または−NR’−であり;
Yは酸素または硫黄であり;
Zは−NR’−、共有結合、またはリンカー種、Aであり;
Aは−CR’R”−、−CR’R”−CR’R”−、−CR’=CR’−、または−C≡C−であり、
この場合、各R’およびR”は、個別に、水素、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、またはアリールアルキルであり、あるいはRおよびRIIは、それらが結合する原子と一緒になって3〜8員環を形成していてよく、そしてそれはさらなるヘテロ原子を含んでいてよく;
Zが共有結合またはAである場合には、Xは窒素でなければならず;
Arは、必要に応じて置換されているアリール基であり;
Cyは、必要に応じて置換されている5員または6員複素芳香環であり、
ここで、ArおよびCyは各々、アルキル、アルケニル、ヘテロシクリル、シクロアルキル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、ハロゲン、−OR’、−NR’R”、ハロアルキル、−CN、−NO、−C≡CR’、−SR’、−N、−C(=O)NR’R”、−NR’C(=O)R”、−C(=O)R’、−C(=O)OR’、−OC(=O)R’、−O(CR’R”)C(=O)R’、−O(CR’R”)NR”C(=O)R’、−O(CR’R”)NR”SOR’、−OC(=O)NR’R”、−NR’C(=O)OR”、−SOR’、−SONR’R”、または−NR’SOR”の1以上で置換されていてよく、
ここで、R’およびR”は各々定義されたとおりであり、
rは1〜6の整数であり、
この場合、置換アリールおよび置換アリールアルキル基は、アルキル、アルケニル、ヘテロシクリル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ハロゲン、−OR’、−NR’R”、ハロアルキル、−CN、−NO、−C≡CR’、−SR’、−N、−C(=O)NR’R”、−NR’C(=O)R”、−C(=O)R’、−C(=O)OR’、−OC(=O)R’、−O(CR’R”)C(=O)R’、−O(CR’R”)NR”C(=O)R’、−O(CR’R”)NR”SOR’、−OC(=O)NR’R”、−NR’C(=O)OR”、−SOR’、−SONR’R”、または−NR’SOR”の1以上を有し、
ここで、R’、R”、およびrは各々定義されたとおりである)。
【請求項7】
pが1であり、
Cyが3−ピリジニルまたは5−ピリミジニルであり、
XおよびYが各々酸素であり、
Zが−NR−である、請求項6に記載の薬学的組合せ物。
【請求項8】
pが1であり、
Cyが3−ピリジニルまたは5−ピリミジニルであり、
XおよびZが−NR−であり、
Yが酸素である、請求項6に記載の薬学的組合せ物。
【請求項9】
pが1であり、
Cyが3−ピリジニルまたは5−ピリミジニルであり、
Xが−NR−であり、
Yが酸素であり、
Zが共有結合である、請求項6に記載の薬学的組合せ物。
【請求項9】
pが1であり、
Cyが3−ピリジニルまたは5−ピリミジニルであり、
Xが−NR−であり、
Yが酸素であり、
ZがAである、請求項6に記載の薬学的組合せ物。
【請求項10】
式1の化合物が、
N−フェニルカルバミン酸2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル、
N−(4−フルオロフェニル)カルバミン酸2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル、
N−(4−クロロフェニル)カルバミン酸2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル、
N−(4−ブロモフェニル)カルバミン酸2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル、
N−(3−フルオロフェニル)カルバミン酸2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル、
N−(3−クロロフェニル)カルバミン酸2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル、
N−(3−ブロモフェニル)カルバミン酸2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル、
N−(2−フルオロフェニル)カルバミン酸2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル、
N−(2−クロロフェニル)カルバミン酸2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル、
N−(2−ブロモフェニル)カルバミン酸2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル、
N−(3,4−ジクロロフェニル)カルバミン酸2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル、
N−(2−メチルフェニル)カルバミン酸2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル、
N−(2−ビフェニル)カルバミン酸2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル、
N−(3−メチルフェニル)カルバミン酸2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル、
N−(3−ビフェニル)カルバミン酸2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル、
N−(4−メチルフェニル)カルバミン酸2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル、
N−(4−ビフェニル)カルバミン酸2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル、
N−(2−シアノフェニル)カルバミン酸2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル、
N−(3−シアノフェニル)カルバミン酸2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル、
N−(4−シアノフェニル)カルバミン酸2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル、
N−(3−トリフルオロメチルフェニル)カルバミン酸2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル、
N−(4−ジメチルアミノフェニル)カルバミン酸2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル、
N−(2−メトキシフェニル)カルバミン酸2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル、
N−(2−フェノキシフェニル)カルバミン酸2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル、
N−(2−メチルチオフェニル)カルバミン酸2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル、
N−(2−フェニルチオフェニル)カルバミン酸2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル、
N−(3−メトキシフェニル)カルバミン酸2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル、
N−(3−フェノキシフェニル)カルバミン酸2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル、
N−(3−メチルチオフェニル)カルバミン酸2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル、
N−(3−フェニルチオフェニル)カルバミン酸2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル、
N−(4−メトキシフェニル)カルバミン酸2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル、
N−(4−フェノキシフェニル)カルバミン酸2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル、
N−(4−メチルチオフェニル)カルバミン酸2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル、
N−(4−フェニルチオフェニル)カルバミン酸2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル、
N−(2,4−ジメトキシフェニル)カルバミン酸2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル、
N−(2−チエニル)カルバミン酸2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル、
N−(3−チエニル)カルバミン酸2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル、
N−(3−ベンゾチエニル)カルバミン酸2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル、
N−(1−ナフチル)カルバミン酸2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル、
N−(2−ナフチル)カルバミン酸2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル、
N−フェニル−N’−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)尿素、
N−(4−フルオロフェニル)−N’−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)尿素、
N−(4−クロロフェニル)−N’−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)尿素、
N−(4−ブロモフェニル)−N’−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)尿素、
N−(3−フルオロフェニル)−N’−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)尿素、
N−(3−クロロフェニル)−N’−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)尿素、
N−(3−ブロモフェニル)−N’−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)尿素、
N−(2−フルオロフェニル)−N’−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)尿素、
N−(2−クロロフェニル)−N’−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)尿素、
N−(2−ブロモフェニル)−N’−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)尿素、
N−(3,4−ジクロロフェニル)−N’−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)尿素、
N−(2−メチルフェニル)−N’−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)尿素、
N−(2−ビフェニル)−N’−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)尿素、
N−(3−メチルフェニル)−N’−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)尿素、
N−(3−ビフェニル)−N’−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)尿素、
N−(4−メチルフェニル)−N’−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)尿素、
N−(4−ビフェニル)−N’−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)尿素、
N−(2−シアノフェニル)−N’−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)尿素、
N−(3−シアノフェニル)−N’−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)尿素、
N−(4−シアノフェニル)−N’−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)尿素、
N−(3−トリフルオロメチルフェニル)−N’−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)尿素、
N−(4−ジメチルアミノフェニル)−N’−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)尿素、
N−(2−メトキシフェニル)−N’−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)尿素、
N−(2−フェノキシフェニル)−N’−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)尿素、
N−(2−メチルチオフェニル)−N’−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)尿素、
N−(2−フェニルチオフェニル)−N’−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)尿素、
N−(3−メトキシフェニル)−N’−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)尿素、
N−(3−フェノキシフェニル)−N’−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)尿素、
N−(3−メチルチオフェニル)−N’−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)尿素、
N−(3−フェニルチオフェニル)−N’−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)尿素、
N−(4−メトキシフェニル)−N’−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)尿素、
N−(4−フェノキシフェニル)−N’−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)尿素、
N−(4−メチルチオフェニル)−N’−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)尿素、
N−(4−フェニルチオフェニル)−N’−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)尿素、
N−(2,4−ジメトキシフェニル)−N’−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)尿素、
N−(2−チエニル)−N’−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)尿素、
N−(3−チエニル)−N’−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)尿素、
N−(3−ベンゾチエニル)−N’−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)尿素、
N−(1−ナフチル)−N’−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)尿素、
N−(2−ナフチル)−N’−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)尿素、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)ベンズアミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−2−フルオロベンズアミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−3−フルオロベンズアミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−4−フルオロベンズアミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−2−クロロベンズアミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−3−クロロベンズアミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−4−クロロベンズアミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−2−ブロモベンズアミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−3−ブロモベンズアミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−4−ブロモベンズアミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−3,4−ジクロロベンズアミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−2−メチルベンズアミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−3−メチルベンズアミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−4−メチルベンズアミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−2−フェニルベンズアミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−3−フェニルベンズアミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−4−フェニルベンズアミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−2−シアノベンズアミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−3−シアノベンズアミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−4−シアノベンズアミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−3−トリフルオロメチルベンズアミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−4−ジメチルアミノベンズアミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−2−メトキシベンズアミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−3−メトキシベンズアミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−4−メトキシベンズアミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−2−フェノキシベンズアミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−3−フェノキシベンズアミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−4−フェノキシベンズアミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−2−メチルチオベンズアミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−3−メチルチオベンズアミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−4−メチルチオベンズアミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−2−フェニルチオベンズアミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−3−フェニルチオベンズアミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−4−フェニルチオベンズアミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−2,4−ジメトキシベンズアミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−5−ブロモニコチンアミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−6−クロロニコチンアミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−5−フェニルニコチンアミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)フラン−2−カルボキサミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)フラン−3−カルボキサミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)チオフェン−2−カルボキサミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−5−ブロモチオフェン−2−カルボキサミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−5−メチルチオチオフェン−2−カルボキサミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−5−フェニルチオチオフェン−2−カルボキサミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−5−メチルチオフェン−2−カルボキサミド,
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−3−メチルチオフェン−2−カルボキサミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−3−ブロモチオフェン−2−カルボキサミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−3−クロロチオフェン−2−カルボキサミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−5−(2−ピリジニル)チオフェン−2−カルボキサミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−5−アセチルチオフェン−2−カルボキサミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−3−エトキシチオフェン−2−カルボキサミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−3−メトキシチオフェン−2−カルボキサミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−4−アセチル−3−メチル−5−メチルチオチオフェン−2−カルボキサミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)チオフェン−3−カルボキサミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−1−メチルピロール−2−カルボキサミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)ピロール−3−カルボキサミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)インドール−2−カルボキサミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)インドール−3−カルボキサミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−1−メチルインドール−3−カルボキサミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−1−ベンジルインドール−3−カルボキサミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−1H−ベンズイミダゾール−2−カルボキサミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−1−イソプロピル−2−トリフルオロメチル−1H−ベンズイミダゾール−5−カルボキサミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−1−イソプロピル−1H−ベンゾトリアゾール−5−カルボキサミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボキサミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)ベンゾ[b]チオフェン−3−カルボキサミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)ベンゾフラン−2−カルボキサミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)ベンゾフラン−3−カルボキサミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−3−メチルベンゾフラン−2−カルボキサミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−5−ニトロベンゾフラン−2−カルボキサミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−5−メトキシベンゾフラン−2−カルボキサミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−7−メトキシベンゾフラン−2−カルボキサミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−7−エトキシベンゾフラン−2−カルボキサミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−3−メチル−5−クロロベンゾフラン−2−カルボキサミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−6−ブロモベンゾフラン−2−カルボキサミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−4−アセチル−7−メトキシベンゾフラン−2−カルボキサミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−2−メチルベンゾフラン−4−カルボキサミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)ナフト[2,1−b]フラン−2−カルボキサミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)ナフタレン−1−カルボキサミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)ナフタレン−2−カルボキサミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−6−アミノナフタレン−2−カルボキサミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−3−メトキシナフタレン−2−カルボキサミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−6−メトキシナフタレン−2−カルボキサミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−1−ヒドロキシナフタレン−2−カルボキサミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−6−ヒドロキシナフタレン−2−カルボキサミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−6−アセトキシナフタレン−2−カルボキサミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)3−フェニルプロプ−2−エンアミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−3−(3−フルオロフェニル)プロプ−2−エンアミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−3−(4−メトキシフェニル)プロプ−2−エンアミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−2−メチル−3−フェニルプロプ−2−エンアミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−3−(2−フルオロフェニル)プロプ−2−エンアミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−3−(3−メチルフェニル)プロプ−2−エンアミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−3−(4−フルオロフェニル)プロプ−2−エンアミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−3−(4−メチルフェニル)プロプ−2−エンアミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−3−(2−フリル)プロプ−2−エンアミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−3−(2−メトキシフェニル)プロプ−2−エンアミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−3−(3−ブロモフェニル)プロプ−2−エンアミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−3−(3−メトキシフェニル)プロプ−2−エンアミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−3−(3−ヒドロキシフェニル)プロプ−2−エンアミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−3−(4−ブロモフェニル)プロプ−2−エンアミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−3−(4−クロロフェニル)プロプ−2−エンアミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−3−(4−ヒドロキシフェニル)プロプ−2−エンアミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−3−(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)プロプ−2−エンアミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−3−(2−チエニル)プロプ−2−エンアミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−3−(3−ピリジニル)プロプ−2−エンアミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−3−(4−ビフェニル)プロプ−2−エンアミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−3−(1−ナフチル)プロプ−2−エンアミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−3−(3−チエニル)プロプ−2−エンアミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−3−(4−イソプロピルフェニル)プロプ−2−エンアミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−3−メチル−3−フェニルプロプ−2−エンアミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−3−(3−フリル)プロプ−2−エンアミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−2−エチル−3−フェニルプロプ−2−エンアミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−3−(2−ピリジニル)プロプ−2−エンアミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−3−(3,4−ジメチルチエノ[2,3−b]チオフェン−2−イル)プロプ−2−エンアミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−3−(3−メチルチエン−2−イル)プロプ−2−エンアミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−3−(2−ナフチル)プロプ−2−エンアミド、
N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル)−3−(4−メチルチオフェニル)プロプ−2−エンアミド、
またはその製薬上許容される塩もしくは溶媒和物である、請求項6に記載の薬学的組合せ物。
【請求項12】
式1の化合物が、(2S,3R)−N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−3−イル)ベンゾフラン−2−カルボキサミドまたはその製薬上許容される塩または溶媒和物である、請求項6に記載の薬学的組合せ物。
【請求項13】
式1の化合物が、(2S,3R)−N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−3−イル)ベンゾフラン−2−カルボキサミドの塩酸塩、リン酸塩、マレイン酸塩、またはp−トルエンスルホン酸塩またはその溶媒和物である、請求項12に記載の薬学的組合せ物。
【請求項14】
前記少なくとも1つの抗精神病薬が、従来の抗精神病薬または非定型抗精神病薬のいずれかである、請求項1〜13のいずれか1項に記載の薬学的組合せ物。
【請求項15】
前記少なくとも1つの抗精神病薬が、クロールプロマジン、ハロペリドール、フルペンチキソール、またはペルフェナジン、またはその代謝産物、塩、または溶媒和物から選択される従来の抗精神病薬である、請求項1〜13のいずれか1項に記載の薬学的組合せ物。
【請求項16】
前記少なくとも1つの抗精神病薬が、クロザピン、リスペリドン、オランザピン、クエチアピン、アリピプラゾール、ジプラシドン、アミスルプリド、スルプリド、ゾテピン、セルチンドール、パリペリドン、ビフェプルノクス、またはアセナピン、またはその代謝産物、塩、または溶媒和物から選択される非定型抗精神病薬である、請求項1〜13のいずれか1項に記載の薬学的組合せ物。
【請求項17】
前記少なくとも1つの抗精神病薬が、クロザピンまたはクエチアピン、またはその代謝産物、塩、または溶媒和物である、請求項16に記載の薬学的組合せ物。
【請求項18】
請求項1〜14のいずれか1項に記載の薬学的組合せ物の投与を含む、精神障害の治療または予防のための方法。
【請求項19】
精神障害の治療または予防のための医薬の調製における、請求項1〜14のいずれか1項に記載の薬学的組合せ物の使用。
【請求項20】
精神障害の治療または予防における使用のための、請求項1〜14のいずれか1項に記載の薬学的組合せ物。
【請求項21】
前記精神障害が精神病性障害である、請求項18〜20のいずれか1項に記載の方法、使用、または組合せ物。
【請求項22】
前記精神障害が、統合失調症、統合失調症様障害、統合失調性感情障害、妄想性障害、短期精神病性障害、共有精神病性障害、治療抵抗性精神病性障害、一般身体疾患による精神病性障害、または特定不能の精神病性障害である、請求項18〜21のいずれか1項に記載の方法、使用、または組合せ物。
【請求項23】
前記精神障害が統合失調症である、請求項18〜22のいずれか1項に記載の方法、使用、または組合せ物。
【請求項24】
1以上のα7ニコチン作動薬と1以上の抗精神病薬との相乗的組合せ物を含むパッケージを含んでなる、精神障害の治療または予防のためのキット。

【図1】
image rotate

【図2a】
image rotate

【図2b】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7a】
image rotate

【図7b】
image rotate

【図8a】
image rotate

【図8b】
image rotate

【図9A】
image rotate

【図9B】
image rotate

【図10A】
image rotate

【図10B】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12A】
image rotate

【図12B】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公表番号】特表2011−511845(P2011−511845A)
【公表日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−546920(P2010−546920)
【出願日】平成21年2月13日(2009.2.13)
【国際出願番号】PCT/US2009/034062
【国際公開番号】WO2009/102962
【国際公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【出願人】(501054735)ターガセプト,インコーポレイテッド (37)
【Fターム(参考)】