アルミニウム箔の回収方法
【課題】アルミニウム箔と樹脂とが積層されてなる複合フィルムからアルミニウム箔を酸化させることなく金属状態でアルミニウム箔を回収する方法を提供する。
【解決手段】アルミニウム箔と樹脂とが積層されてなる複合フィルムを水共存下で亜臨界条件及び/又は超臨界条件で処理し、分離し、アルミニウム箔を金属状態で回収することを特徴とするアルミニウム箔の回収方法。亜臨界条件及び/又は超臨界条件で処理する際に、容器中に水と複合フィルムを入れ亜臨界条件及び/又は超臨界条件で処理する前に、水に非酸化性の気体をバブリングし、水中および容器中の酸素をパージすることを特徴とする上記に記載のアルミニウム箔の回収方法。
【解決手段】アルミニウム箔と樹脂とが積層されてなる複合フィルムを水共存下で亜臨界条件及び/又は超臨界条件で処理し、分離し、アルミニウム箔を金属状態で回収することを特徴とするアルミニウム箔の回収方法。亜臨界条件及び/又は超臨界条件で処理する際に、容器中に水と複合フィルムを入れ亜臨界条件及び/又は超臨界条件で処理する前に、水に非酸化性の気体をバブリングし、水中および容器中の酸素をパージすることを特徴とする上記に記載のアルミニウム箔の回収方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルミニウム箔と樹脂とが積層されてなる複合フィルムからアルミニウム箔を分離し、金属状態で回収することを特徴とするアルミニウム箔の回収方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アルミニウム箔と樹脂との複合フィルムであるアルミニウムラミネート包装材は、油ものの包装や湿気を嫌う物の包装材として大量に使用されている。アルミニウムラミネート包装材において、アルミニウム箔はガス、湿気、光の透過を防ぐためのバリアー材として使用されており、アルミニウム箔の厚みは5〜200mμmである。アルミニウムラミネート包装材の構成にもよるが、例えばその重量の約40%がアルミニウム箔であり、残りの約60%はプラスチックフィルムである。上記プラスチックフィルムには、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、ポリスチレンなどの樹脂が用いられている。アルミニウム箔とポリプロピレンフィルムなどの樹脂との接着には、ウレタン接着剤、アクリルウレタン接着剤等が使用される。
【0003】
このようなアルミニウムラミネート包装材に対し、アルミニウムは有限な資源であることから、その回収が要望されている。
【0004】
例えば、樹脂を熱分解することによりアルミニウムを回収する方法があるが、アルミニウムが酸化されてしまうという問題がある。アルミニウムが酸化されると再使用時の価値が下がるため好ましくない。
【0005】
特許文献1には、アルミニウムと樹脂との複合材を超臨界水または亜臨界水と接触させることにより前記アルミニウムをイオン化して前記超臨界水または亜臨界水中に溶解させた後、この溶解させたアルミニウムを前記超臨界水または亜臨界水から析出させ、回収することを特徴とする金属・樹脂複合材のリサイクル方法(請求項1)が記載されている。そして、複合材と超臨界水または亜臨界水とを接触させる際の温度が100℃〜380℃、圧力が飽和水蒸気圧以上(但し、温度が臨界温度以上のとき臨界圧力以上)とされている。
【0006】
特許文献1の実施例1においては、紙容器(紙基材にアルミニウム箔とポリエチレンフィルムをラミネートした積層体からなる容器)の廃棄物から紙基材を除去した後、数mm角の大きさに裁断したものを水と混合し、1%水酸化ナトリウム水溶液の存在下で120℃、35MPaの亜臨界状態で10分間保持し、次いで、1%水酸化ナトリウム水溶液の存在下で200℃、35MPaの亜臨界状態で30分保持することにより、固形分としてポリエチレンが得られ、アルミニウムがイオン化して亜臨界水中に溶解しており、この溶解されたアルミニウムを亜臨界水から析出させて回収したことが記載されている。しかしながら、この方法は、アルミニウムが価値の高い金属アルミニウムとして回収できないという問題がある。
【0007】
また、特許文献2には、レトルト食品などの製品包装材に用いられるアルミニウム箔などの無機有価物を含有したラミネートフィルム廃棄物を再資源化処理するための処理方法が記載されている。詳しくは、無機有価物と有機有価物を成分として含む製品包装材に超臨界状態または亜臨界状態の流体を接触させ、前記有機有価物成分を分解し、該分解物中から有機有価物を分離して回収する工程と、前記分解後の残渣中から無機有価物を分離して回収する工程と、を具備することを特徴とする製品包装材の処理方法が記載されている。この場合、前記有機有価物成分を分離した後に、温度380〜800℃、圧力10〜30MPaの条件下で、空気、酸素ガス、過酸化水素のうちのいずれかの酸化剤を添加した超臨界水条件下で処理することにより無機有価物を酸化し、無機酸化固形物として資源化可能な形態で回収している。すなわち、無機有価物がアルミニウムの場合は、それを酸化させ、アルミナとして取り出している。
【0008】
この場合は、アルミニウムとして利用するためには、アルミナをアルミニウムに還元するための工程が必要であり、そのためのエネルギーや費用が発生するという問題がある。
【0009】
特許文献3は、アルミニウム箔と樹脂層との複合体の処理方法ではないが、積層樹脂を高温・高圧水と接触させて樹脂層を分解する例が述べられている。すなわち、縮合重合体フィルム層と付加重合体フィルム層とを接着剤層を介して積層したプラスチック多層成形品の細片化物を、該細片化物1重量部当り5〜100重量部の割合の該付加重合体が溶融するが分解しない温度の高温・高圧水と接触させて、該縮重合体フィルムをモノマー成分にまで分解させ、水中に溶解させるとともに、該付加重合体フィルムを未分解固形物として水中に移行させた後、該付加重合体フィルムの未分解固形物を該縮重合体フィルムの分解により生成したモノマーを含む水中から分離回収し、得られた分離水からそれに含まれる該縮重合体フィルムの分解により生成したモノマーを分離回収することを特徴とするプラスチック多層成形品の分解方法、が記載されている。
【0010】
特許文献3の方法はプラスチック多層成形品の分解・回収、再利用の方法として有効であるが、アルミニウム箔と樹脂との複合体の処理方法ではなく、アルミニウム箔を非酸化状態で回収することについては記載も示唆もない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2004−358423号公報
【特許文献2】特開2006−231249号公報
【特許文献3】特許第3069688号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、アルミニウム箔と樹脂とが積層されてなる複合フィルムからアルミニウム箔を酸化させることなく金属状態でアルミニウム箔を回収する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
請求項1に記載の発明は、アルミニウム箔と樹脂とが積層されてなる複合フィルムを水共存下で亜臨界条件及び/又は超臨界条件で処理し、分離し、アルミニウム箔を金属状態で回収することを特徴とするアルミニウム箔の回収方法である。
請求項2に記載の発明は、回収されるアルミニウム箔の酸素含有率が2重量%以下であることを特徴とする請求項1記載のアルミニウム箔の回収方法である。
請求項3に記載の発明は、亜臨界条件及び/又は超臨界条件で処理する際に、容器中に水と複合フィルムを入れ亜臨界条件及び/又は超臨界条件で処理する前に、水に非酸化性の気体をバブリングし、水中および容器中の酸素をパージすることを特徴とする請求項1又は2に記載のアルミニウム箔の回収方法である。
【0014】
以下、本発明について詳しく説明する。
本発明でいう、アルミニウム箔と樹脂との複合フィルムにおいて、上記樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、ポリスチレン、などの樹脂が挙げられるがこれらに限定されるわけではない。ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、ポリスチレンなどはフィルムとして用いられることが多いが、これに限定されるわけではない。ポリエチレン、ポリプロピレン等はヒートラミネート用の接着剤層として用いられることもある。
【0015】
本発明において、アルミニウム箔とは、5〜200μm程度の膜形状を有する金属アルミニウムをいう。
【0016】
アルミニウム箔と樹脂とが接着される場合には、接着剤としてはウレタン系樹脂、酸変性アクリル樹脂等が用いられる。上記ウレタン系樹脂としては、ウレタン樹脂又はアクリルウレタン樹脂が挙げられる。
また、アルミニウム箔の上に溶融した樹脂が積層されることにより、アルミニウム箔と樹脂との複合フィルムが形成されてもよい。
【0017】
上記複合フィルムには通常印刷が施されている。
【0018】
本発明において、通常、樹脂層の厚みは、5〜200μm程度であり、アルミニウム層の厚みは、5〜200μm程度である。接着剤が使用される場合、その厚みは1〜20μm程度である。
【0019】
本発明で用いられる複合フィルムの具体的な例としては、ポリプロピレンフィルム−インク層−ウレタン接着剤層−アルミニウム箔−ポリエチレンからなるもの、
コーヒー用袋として用いられるもので、ポリエチレンテレフタレート12μm/印刷/ポリエチレン 15μm/Al 7μm/ポリエチレンテレフタレート 15μm/LL 50μmの構成のもの(尚、LLは直鎖状低密度PEのことである)、
牛丼用袋として用いられるもので、ポリエチレンテレフタレート 12μm/印刷/Al 9μm/NY 15μm/CPP 60μmの構成のもの(尚、NYはナイロンであり、CPPは、無延伸のポリプロピレンのことである)、
ポリエチレンテレフタレート12μm/印刷/ポリエチレン15μm/アルミニウム9μm/ポリエチレン30μmからなるもの、
カレー用レトルトパウチである、ポリエチレンテレフタレート12μm/印刷・接着剤2〜5μm/アルミニウム7μm/耐熱CPP60μmからなるものなどが挙げられる。
【0020】
本発明のアルミニウム箔の回収方法は、アルミニウム箔と樹脂とが積層されてなる複合フィルムを水共存下で亜臨界条件及び/又は超臨界条件で処理し、分離し、アルミニウム箔を金属状態で回収することを特徴とする。
【0021】
上記金属状態とは、組成のほとんどがアルミニウム原子で構成されているものをいう。ただし表面が僅かに酸化されているものを含むが、その場合であっても亜臨界条件及び/又は超臨界条件で水分解して得られる回収アルミニウムは、重量比による酸素含有率が2%以下であることが好ましい。
【0022】
上記亜臨界条件とは、水が亜臨界の範囲内の条件であれば特に限定されないが、臨界温度以下であって、温度190〜約370℃が好ましい。温度が臨界点よりも高くなると超臨界条件となる。
【0023】
本発明のアルミニウム箔の回収方法は、以下の工程によって行われる。
複合フィルムと水を亜臨界条件及び/又は超臨界条件処理用耐圧容器にいれ、加熱して所定の温度、圧力に所定の時間保持しアルミニウム箔と樹脂とを分離する。亜臨界条件及び/又は超臨界条件処理により樹脂層と分離したアルミニウム箔は、比重差を用いて遠心分離、ろ過、金属光沢物のみの摘出等により分離回収される。上記分離工程は上記耐圧容器内でもよいが、通常は耐圧容器から取り出した後に行われる。
【0024】
回収されるアルミニウム箔の酸素含有率は、回収されたアルミニウム箔の再使用のために、2重量%以下であることが好ましく、更に好ましくは1重量%以下である。上記の測定は、CHNS/O元素分析機によって行われる。
【0025】
本発明のアルミニウム箔の回収方法において、亜臨界条件及び/又は超臨界条件で処理する際に、容器中に水と複合フィルムを入れ亜臨界条件及び/又は超臨界条件で処理する前に、水に非酸化性の気体をバブリングし、水中および容器中の酸素をパージすることが好ましい。
【発明の効果】
【0026】
本発明のアルミニウムの回収方法は、アルミニウム箔と樹脂とが積層されてなる複合フィルムを水共存下で亜臨界条件及び/又は超臨界条件で処理し、樹脂とアルミニウム箔とを分離し、アルミニウム箔を金属アルミニウムとして回収するので、アルミニウム箔と樹脂との複合フィルムからアルミニウム箔を再使用し易い形で回収することができる。
樹脂層のうち、ポリプロピレン、ポリエチレンは、超臨界でも短時間では分解しにくいので水面近くに浮遊するため、分別回収され、ポリエステル等の亜臨界及び/又は超臨界で分解しやすいものは、分解物が水中に溶存または液相になるため、分別回収されやすい。アルミニウム箔は酸化されずに箔形状の金属アルミニウムとして水中の固体として分別回収される。以上のように、成分別に回収できるので、資源の再利用がしやすい。
【0027】
回収されるアルミニウム箔の酸素含有率が2重量%以下である場合には、回収されたアルミニウム箔の再使用のために特に都合がよい。
【0028】
亜臨界条件及び/又は超臨界条件で処理する際に、容器中に水と複合フィルムを入れ亜臨界条件及び/又は超臨界条件で処理する前に、水に非酸化性の気体をバブリングし、水中および容器中の酸素をパージすると、酸素含有率の低いアルミニウム箔を得やすい。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】実施例1における遠心分離後の遠心分離用蓋付ガラス管の写真である。
【図2】実施例1における乾燥後の遠心分離用蓋付ガラス管の写真である。
【図3】実施例2における遠心分離後の遠心分離用蓋付ガラス管の写真である。
【図4】実施例2における遠心分離後の遠心分離用蓋付ガラス管の写真である。
【図5】実施例2における乾燥後の遠心分離用蓋付ガラス管の写真である。
【図6】実施例3における遠心分離後の遠心分離用蓋付ガラス管の写真である
【図7】実施例3における、乾燥後の遠心分離用蓋付ガラス管から、その内容物を取り出して黒色の紙の上に拡げた写真である。
【図8】実施例4における遠心分離後の遠心分離用蓋付ガラス管の写真である。
【図9】実施例4における、乾燥後の遠心分離用蓋付ガラス管から、その内容物を取り出して黒色の紙の上に拡げた写真である。
【図10】実施例5における遠心分離後の遠心分離用蓋付ガラス管の写真である。
【図11】実施例5における乾燥後の遠心分離用蓋付ガラス管の写真である。
【図12】実施例5における酸素含有率測定結果のグラフである。
【図13】実施例6における遠心分離後の遠心分離用蓋付ガラス管の写真である。
【図14】実施例6における乾燥後の遠心分離用蓋付ガラス管の写真である。
【図15】実施例6における酸素含有率測定結果のグラフである。
【図16】実施例7における遠心分離後の遠心分離用蓋付ガラス管の写真である
【図17】実施例7における、乾燥後の遠心分離用蓋付ガラス管から、その内容物を取り出して黒色の紙の上に拡げた写真である。
【図18】実施例7における酸素含有率測定結果のグラフである。
【図19】実施例8における遠心分離後の遠心分離用蓋付ガラス管の写真である
【図20】実施例8における、乾燥後の遠心分離用蓋付ガラス管から、その内容物を取り出して黒色の紙の上に拡げた写真である。
【図21】実施例8における酸素含有率測定結果のグラフである。
【図22】実施例9における遠心分離後の遠心分離用蓋付ガラス管の写真である。
【図23】実施例9における遠心分離後の遠心分離用蓋付ガラス管の写真である。
【図24】比較例における遠心分離後の遠心分離用蓋付ガラス管の写真である。
【図25】比較例における乾燥後の遠心分離用蓋付ガラス管の写真である。
【図26】比較例における酸素含有率測定結果のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下に、実施例を挙げて本発明を詳しく説明する。
【実施例1】
【0031】
(複合フィルムの構造)
複合フィルムは、コーヒー用袋として用いられるもので、PET 12μm/印刷/PE 15μm/Al 7μm/PET 15μm/LL 50μmの構成のものである。尚、LLは直鎖状低密度PEのことである。
【0032】
(複合フィルムの処理)
反応器は内径7mm、長さ150mmのSUS316ステンレス管であり、両端にSwegelok cap(ダブル・フェルール(ferrule、嵌め輪)型の喰込式継手(bite type joint)を代表とする、Swagelok company社の一連の継手)が取り付けられているものである。反応器の内容積はSwegelok capが取り付けられた状態で7.0cm3である。リボン状に約6〜7mm幅、長さ10〜20mmで大部分は15mm長さに細断した上記複合フィルム0.058gと表1に示す量の蒸留水を、反応器に入れた。
【0033】
【表1】
【0034】
なお、反応に用いる蒸留水の量は、塩浴中において反応器内に水が過充填にならないようにされていればよく特に限定されない。後述の実施例及び比較例においては、塩浴温度に応じて表1に示した量程度になるように適宜調整して使用した。
【0035】
次いで、反応器内の水中にバブリングによりアルゴンガスを吹き込み、反応器内の気体部及び水中の溶存気体をアルゴンに置換した。反応器をSwegelok capで封をした後、硝酸カリウムと硝酸ナトリウムの混合物を含む予め加熱した所定温度の塩浴に投入した。
【0036】
塩浴温度は、190、220、250、280、310、340、370、400℃とし、塩浴浸漬時間は5分とした。次いで、塩浴から取り出し常温の水中に投入し急冷した。
【0037】
反応器中の内容物を遠心分離用蓋付ガラス管に移し、反応器内を少量の蒸留水で洗浄し、洗浄水も上記遠心分離用蓋付ガラス管に入れた。
【0038】
次いで、3000rpm、10分間の条件で遠心分離した。遠心分離後の遠心分離用蓋付ガラス管を写真撮影した。
【0039】
遠心分離後の遠心分離用蓋付ガラス管から、液体部分をピペットで除去した。次いで、上記液体部分が除去された後に残された遠心分離用蓋付ガラス管を、乾燥機にて60℃、72時間の条件で乾燥した。乾燥後の遠心分離用蓋付ガラス管を写真撮影した。
【0040】
(処理後の複合フィルムの写真)
前述の、遠心分離後の遠心分離用蓋付ガラス管の写真を図1に、乾燥後の遠心分離用蓋付ガラス管の写真を図2に示した。ただし、写真では、上記遠心分離用蓋付ガラス管の蓋よりも下方の部分を写しているので、蓋は見えていない(以下の実施例及び比較例の図においても同じ)。
【0041】
図1から、以下のことがわかる。塩浴温度220℃までは、複合フィルムの分解が不十分であるため、複合フィルム全体が液の下方に沈降しているように見えるが、250℃を超えると複合フィルムの分解が進み、310℃では、上部にアルミニウム箔を伴う樹脂層が塊状になったものと思われるものが浮かび、アルミニウムリッチな層が沈降しているようになっている。370℃では上部に薄片が浮かび底部に粉状物が多くなってくる。400℃では金属様のアルミニウム片が沈降している。
【実施例2】
【0042】
(複合フィルムの構造)
複合フィルムは、牛丼用袋として用いられるもので、PET 12μm/印刷/Al 9μm/NY 15μm/CPP 60μmの構成のものである。なお、NYはナイロンであり、CPPは、無延伸のポリプロピレンのことである。
【0043】
(複合フィルムの処理)
複合フィルムを上記の実施例2のものに変えたことの他は実施例1と同様に行った。
【0044】
(処理後の複合フィルムの写真)
遠心分離後の遠心分離用蓋付ガラス管の写真を図3及び図4に示し、乾燥後の遠心分離用蓋付ガラス管の写真を図5に示した。図3は向かって左から塩浴温度190、220、250、280℃のものであり、図4は向かって左から塩浴温度310、340、370、400℃のものである。
【0045】
図3及び図4から、以下のことがわかる。塩浴温度250℃までは、複合フィルムの分解が不十分であるため、複合フィルム全体が液の下方に漂っているように見えるが、280℃になると複合フィルムの分解が進み出し、上部にアルミニウム箔を伴う樹脂層と思われるものが浮かんでくる。340℃以上になると上部に分離が進みCPPと思われる樹脂が塊状になったものと思われるものが浮かんでくる。
【実施例3】
【0046】
(複合フィルムの構造)
複合フィルムは、実施例1と同様のコーヒー用袋として用いられるものである。
【0047】
(複合フィルムの処理)
反応器は実施例1と同様である。実施例1と同様のサイズに細断した上記複合フィルム0.115gと前記表1に示した量の蒸留水を、反応器に入れた。
【0048】
上記のように、複合フィルムの使用量を0.115gとした他は実施例1と同様に複合フィルムの処理をした(すなわち、塩浴浸漬時間は5分である)。
【0049】
実施例1と同様に、遠心分離後の遠心分離用蓋付ガラス管を写真撮影した。
【0050】
実施例1と同様に、液体部分が除去された後に残された遠心分離用蓋付ガラス管を、乾燥機にて60℃、72時間の条件で乾燥した。乾燥後の遠心分離用蓋付ガラス管から、その内容物を取り出して黒色の紙の上に拡げて写真撮影した。
【0051】
(処理後の複合フィルムの写真)
遠心分離後の遠心分離用蓋付ガラス管の写真を図6に示した。また、乾燥後の遠心分離用蓋付ガラス管から、その内容物を取り出して黒色の紙の上に拡げたものの写真を図7に示した。
【0052】
図6から、以下のことがわかる。塩浴温度250℃までは、複合フィルムの分解が不十分であるため、複合フィルム全体が液中に漂っているように見えるが、280℃では複合フィルムの分解が進み始め、340℃になると上部にアルミニウム箔を伴う樹脂層と思われるものが浮かび、アルミニウムリッチな層が沈降しているようになってくる。
【実施例4】
【0053】
(複合フィルムの構造)
複合フィルムは、実施例2と同様の牛丼用袋として用いられるものである。
【0054】
(複合フィルムの処理)
反応器は実施例1と同様である。実施例1と同様のサイズに細断した上記複合フィルム0.115gと前記表1に示した量の蒸留水を、反応器に入れた。
【0055】
次いで、反応器内の水中にバブリングによりアルゴンガスを吹き込み、反応器内の気体部及び水中の溶存気体をアルゴンに置換した。反応器をSwegelok capで封をした後、硝酸カリウムと硝酸ナトリウムの混合物を含む予め加熱した所定温度の塩浴に投入した。
【0056】
塩浴温度は、190、220、250、280、310、340、370、400℃とし、塩浴浸漬時間は5分とした。次いで、塩浴から取り出し常温の水中に投入し急冷した。
【0057】
反応器中の内容物を遠心分離用蓋付ガラス管に移し、次いで、3000rpm、10分間の条件で遠心分離した。遠心分離後の遠心分離用蓋付ガラス管を写真撮影した。
【0058】
次いで、反応器内を少量の蒸留水で洗浄し、洗浄水を上記の遠心分離の終わった遠心分離用蓋付ガラス管に入れた。次いで、3000rpm、10分間の条件で遠心分離した。
【0059】
遠心分離後の遠心分離用蓋付ガラス管から、液体部分をピペットで除去した。次いで、上記液体部分が除去された後に残された遠心分離用蓋付ガラス管を、乾燥機にて60℃、72時間の条件で乾燥した。乾燥後の遠心分離用蓋付ガラス管から、その内容物を取り出して黒色の紙の上に拡げて写真撮影した。
【0060】
(処理後の複合フィルムの写真)
遠心分離後の遠心分離用蓋付ガラス管の写真を図8に示した。また、乾燥後の遠心分離用蓋付ガラス管から、その内容物を取り出して黒色の紙の上に拡げたものの写真を図9に示した。
【0061】
図8から、以下のことがわかる。塩浴温度250℃までは、複合フィルムの分解が不十分であるため、複合フィルム全体が液中に漂っているように見えるが、280℃以上で複合フィルムの分解が進み、340℃以上では分離が十分進行し上部に樹脂層と思われるものが浮かび、アルミニウムリッチな層が沈降しているようになってくる。図9については、310℃以上で樹脂層と思われる塊が各写真の左側に見えている。
【実施例5】
【0062】
(複合フィルムの構造)
複合フィルムは、実施例1と同様のコーヒー用袋として用いられるものである。
【0063】
(複合フィルムの処理)
塩浴浸漬時間を10分としたことの他は、実施例1と同様に処理した(すなわち、反応に使用したコーヒー用袋の量は0.058gである)。
【0064】
(処理後の複合フィルムの写真)
遠心分離後の遠心分離用蓋付ガラス管の写真を図10に、乾燥後の遠心分離用蓋付ガラス管の写真を図11に示した。
【0065】
次いで、上記の乾燥された遠心分離用蓋付ガラス管の中の固形物の中から、アルミニウム箔部分を取り出し、酸素含有率測定用に小片を切り出した。切り出した小片を、水中で超音波で洗浄し、粉状の付着物を除去した。上記の付着物が除去された小片を60℃で48時間乾燥後、常温で10時間放置し、酸素含有率測定用に秤量して用いた。
【0066】
(酸素含有率測定)
酸素含有率測定は、CHNS/O元素分析機(Perkin Elmer社製、2400 Series II CHNS/O Elemental Analyzer)を用いた。この測定方法について、以下に簡単に述べる。酸素含有率測定には、CHNS/O元素分析機を酸素モードにして行った。分析に用いたそれぞれの試料の量は1.5〜2.0mgとした。試料はヘリウム/水素(95%:5%)雰囲気中で1000℃で熱分解される。この熱分解反応で得られた酸素を含む反応生成物は、platinized carbon reagent上で、一酸化炭素に変えられる。この一酸化炭素が定量され、その定量値から、試料中の酸素含有率が定量される。測定は三回行った。なお、本明細書において、酸素含有率(Oxygen cotent(%))は採取試料全体に占める酸素の重量%を意味する。
【0067】
(酸素含有率測定結果)
酸素含有率測定結果を表2及び図12に示した。表中測定1、測定2、測定3とあるのは試料片の採取場所を変えて行った三回の測定の各実測値を示す。Averageは三回の測定値を単純に平均して求めたものである。また、Temp(℃)欄にある
Controlとは、無処理のものを意味する。
【0068】
【表2】
【0069】
図10から、以下のことがわかる。塩浴温度220℃までは、複合フィルムの分解が不十分であるため、複合フィルム全体が液中に漂っているように見えるが、250℃を超えると複合フィルムの分解が進み、複合フィルム全体が下方に沈降したり、上部に樹脂層と思われるものが浮かんだりし始める。370℃を超えると、上部に樹脂層と思われるものが浮かび、アルミニウムリッチな層が下方に沈降している。400℃では分離が進行しアルミニウム箔片が沈降し上部にはオレフィンと思われる塊状物が浮いている。
【0070】
表2及び図12より以下のことが分かる。
190℃、220℃までの酸素含有率がコントロールに近い値であるのは、分解が殆ど進んでいないため、樹脂層の酸素が残っているためと思われる。250〜340℃においても、酸素含有率はコントロールにかなり近く、分解が不十分であると思われる。370℃で分解が更に進み、400℃においては酸素含有率が十分低くなっており、アルミニウム箔が酸化されずにアルミニウム箔と樹脂が分離したものと思われる。
【実施例6】
【0071】
(複合フィルムの構造)
複合フィルムは、実施例2と同様の牛丼用袋として用いられるものである。
【0072】
(複合フィルムの処理)
複合フィルムとして上記の牛丼用袋を用いたこと及び塩浴浸漬時間を10分としたことの他は、実施例1と同様に処理した(すなわち、反応に使用した牛丼用袋の量は0.058gである)。
【0073】
(処理後の複合フィルムの写真)
遠心分離後の遠心分離用蓋付ガラス管の写真を図13に、乾燥後の遠心分離用蓋付ガラス管の写真を図14に示した。
【0074】
次いで、上記の乾燥された遠心分離用蓋付ガラス管の中の固形物の中から、アルミニウム箔部分を取り出し、酸素含有率測定用に小片を切り出した。切り出した小片を、水中で超音波で洗浄し、粉状の付着物を除去した。上記の付着物が除去された小片を60℃で48時間乾燥後、常温で10時間放置し、酸素含有率測定用に秤量して用いた。
【0075】
(酸素含有率測定)
上記の試料を用いて実施例5と同様にして酸素含有率の測定をした。
【0076】
(酸素含有率測定結果)
酸素含有率測定結果を表3及び図15に示した。
【0077】
【表3】
【0078】
図13から、以下のことがわかる。塩浴温度250℃までは、複合フィルムの分解が不十分であるため、複合フィルム全体が液の下方に沈降しているように見えるが、280℃以上で複合フィルムの分解が進み、上部にアルミニウム箔を伴う樹脂層と思われるものが浮かんでくる。340℃以上では分離が十分進行し、上部に樹脂層と思われる塊状物が浮かび、底部にはアルミニウム箔片が沈降している。
【0079】
表3及び図15より以下のことが分かる。
190℃、220℃までの酸素含有率がコントロールに近い値であるのは、分解が殆ど進んでいないため、樹脂層の酸素が残っているためと思われる。250〜310℃においては、酸素含有率はかなり低下しており分解がかなり進んでいる。340℃以上では酸素含有率が十分低く、アルミニウム箔と樹脂が分離されかつアルミニウム箔は酸化されていないことがわかる。
【実施例7】
【0080】
(複合フィルムの構造)
複合フィルムは、実施例1と同様のコーヒー用袋として用いられるものである。
【0081】
(複合フィルムの処理)
塩浴浸漬時間を30分としたことの他は、実施例3と同様に処理した(すなわち、反応に使用したコーヒー用袋の量は0.115gである)。
【0082】
(処理後の複合フィルムの写真)
遠心分離後の遠心分離用蓋付ガラス管の写真を図16に示した。また、乾燥後の遠心分離用蓋付ガラス管から、その内容物を取り出して黒色の紙の上に拡げたものの写真を図17に示した。
【0083】
次いで、上記の乾燥後の遠心分離用蓋付ガラス管から、その内容物を取り出して黒色の紙の上に拡げたものの中から、アルミニウム箔部分を取り出し、酸素含有率測定用に小片を切り出した。切り出した小片を、水中で超音波で洗浄し、粉状の付着物を除去した。上記の付着物が除去された小片を60℃で48時間乾燥後、常温で10時間放置し、酸素含有率測定用に秤量して用いた。
【0084】
(酸素含有率測定)
上記の試料を用いて実施例5と同様にして酸素含有率の測定をした。
【0085】
(酸素含有率測定結果)
酸素含有率測定結果を図18に示した。図18において各プロットは2回の測定の平均値である。
【0086】
図16から、以下のことがわかる。塩浴温度220℃で複合フィルムの分解が起きており、310℃で液の上方にアルミニウム箔を伴う樹脂層が浮かび、370℃以上では分離が十分進行し上部に樹脂層と思われる塊状物が浮かび、底部にアルミニウム箔片が沈降している。図17については、370℃以上で樹脂層と思われる塊が各写真の上方に見えている。
【0087】
図18より以下のことが分かる。
190℃の酸素含有率がコントロールに近い値であるのは、分解が殆ど進んでいないため、樹脂層の酸素が残っているためと思われる。220〜340℃においては、酸素含有率はかなり低下しており分解がかなり進んでいる。370℃で酸素含有率が十分低く、400℃では更に低い。アルミニウム箔と樹脂が分離しかつアルミニウム箔が酸化されていないことがわかる。
【実施例8】
【0088】
(複合フィルムの構造)
複合フィルムは、実施例2と同様の牛丼用袋として用いられるものである。
【0089】
(複合フィルムの処理)
塩浴浸漬時間を30分としたことの他は、実施例4と同様に処理した(すなわち、反応に使用した牛丼用袋の量は0.115gである)。
【0090】
(処理後の複合フィルムの写真)
遠心分離後の遠心分離用蓋付ガラス管の写真を図19に示した。また、乾燥後の遠心分離用蓋付ガラス管から、その内容物を取り出して黒色の紙の上に拡げたものの写真を図20に示した。
【0091】
次いで、上記の乾燥後の遠心分離用蓋付ガラス管から、その内容物を取り出して黒色の紙の上に拡げたものの中から、アルミニウム箔部分を取り出し、酸素含有率測定用に小片を切り出した。切り出した小片を、水中で超音波で洗浄し、粉状の付着物を除去した。上記の付着物が除去された小片を60℃で48時間乾燥後、常温で10時間放置し、酸素含有率測定用に秤量して用いた。
【0092】
(酸素含有率測定)
上記の試料を用いて実施例5と同様にして酸素含有率の測定をした。
【0093】
(酸素含有率測定結果)
酸素含有率測定結果を表4及び図21に示した。
【0094】
【表4】
【0095】
図19から、以下のことがわかる。塩浴温度220℃で複合フィルムの分解が起きており、280℃で液の上方に樹脂層が浮かんでおり、310℃になるとその樹脂層が更に増えているようである。310℃または340℃では樹脂の塊状物が液面に浮き、アルミニウム箔片が沈降しており、アルミニウム箔が分離していることがわかる。図20については、280℃を超えると複合フィルムの分解が進み、樹脂層と思われる塊が各写真の右方に見えている。
【0096】
表4及び図21より以下のことが分かる。
190℃、220℃までの酸素含有率がコントロールに近い値であるのは、分解が殆ど進んでいないため、樹脂層の酸素が残っているためと思われる。250℃、280℃においては、酸素含有率は相当低下しており分解が相当進んでいる。310℃、340℃で酸素含有率が十分低くアルミニウム箔が酸化されずに分離したものと思われる。370℃、400℃で酸素含有率が上昇しているのは、アルミニウム箔の酸化が進んだためと思われる。
【実施例9】
【0097】
(複合フィルムの構造)
複合フィルムは、キャンディの包装フィルムであり、ポリエチレンテレフタレートフィルム、アルミニウム箔、ポリプロピレンフィルムの積層品であり、アルミニウム箔の厚みは約9μmであり、複合フィルムの総厚は約42μmである。
【0098】
(処理及び酸素含有率測定)
「複合フィルムを上記の実施例9のものに変えたこと」、「処理温度と時間に200℃、5分のものを更に付け加えたこと」、及び「処理時の複合フィルムの使用量を0.06gとしたこと」の他は実施例1と同様に(塩浴浸漬時間5分にて)行った。
【0099】
(処理後の複合フィルムの写真)
遠心分離後の遠心分離用蓋付ガラス管の写真を図22及び図23に示した。図22においては、左から順に塩浴温度190℃、200℃、220℃、250℃、280℃、310℃で処理したものである。図23においては、左から順に塩浴温度340℃、370℃、400℃で処理したものである。
【0100】
図22及び図23から、以下のことがわかる。250℃以上で複合フィルムの分解が起こり始め、340℃又は370℃では、樹脂の塊状物が液面に浮き、アルミニウム箔片が沈降しており、アルミニウム箔と樹脂層が分離していることがわかる。
【0101】
(比較例)
住軽アルミニウム箔株式会社製、圧延家庭用アルミニウム箔(商標「マイホイル」、25m巻き、厚さ20μm)を複合フィルムの代わりに用いたこと、及び、処理温度190℃の代わりに200℃としたことの他は、実施例1と同様にして処理を行った(すなわち、アルミニウム箔の使用量は0.058g、塩浴浸漬時間5分)。
【0102】
(処理後のアルミニウム箔の写真)
遠心分離後の遠心分離用蓋付ガラス管の写真を図24に、乾燥後の遠心分離用蓋付ガラス管の写真を図25に示した。
【0103】
次いで、乾燥された遠心分離用蓋付ガラス管の中の固形物の中から、アルミニウム箔を取り出し、酸素含有率測定用に小片を切り出し、酸素含有率測定用に秤量して用いた(なお、粉状体のものは、小片を切り出せないのでそのまま用いた)。
【0104】
(酸素含有率測定)
上記の試料を用いて実施例5と同様にして酸素含有率の測定をした。
【0105】
(酸素含有率測定結果)
酸素含有率測定結果を表5及び図26に示した。図26の曲線の左端のプロットはコントロール(亜臨界及び/又は超臨界処理を施していないもの)を示す。
【0106】
【表5】
【0107】
図24及び図25より以下のことが分かる。310℃でアルミニウム箔に変化が生じており、340℃ではアルミニウム箔の嵩(高さ)が半減している。370℃では粉状に変わっており、400℃では更に粉の嵩(高さ)が減っている。
【0108】
表5及び図26より以下のことが分かる。
コントロール(無処理)の酸素含有率が2.71重量%と高いのは、アルミニウム箔の表面が酸化処理されていたことが考えられる。塩浴温度が190℃〜280℃までは塩浴温度が高くなるにつれて、酸素含有率が低下し280℃では0.56重量%となっている。280℃を超えると酸素含有率が高くなってくる。これは、アルミニウムの表面の酸化が進むためではないかと考えられる。310℃以上では酸化が進行し340℃では酸素含有率が3%を超える。370℃以上では箔の形態を失い、粉体に変わっている。酸素含有率が5%弱であり、金属粒子の表面が酸化アルミニウムになっているものと思われる。
【0109】
したがって複合フィルムから金属アルミニウムを回収するには、適切な条件でなければならないが、その複合フィルムの構成に適した、樹脂とアルミニウム箔が分離しかつアルミニウム箔が実質酸化されていない条件で亜臨界条件及び/又は超臨界条件で分解することで、アルミニウム箔を金属アルミニウムとして回収することができる。
【産業上の利用可能性】
【0110】
本発明のアルミニウム箔の回収方法は、アルミニウム箔と樹脂との複合フィルムからアルミニウム箔を分離しアルミニウム箔を回収する方法として産業上利用できる。
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルミニウム箔と樹脂とが積層されてなる複合フィルムからアルミニウム箔を分離し、金属状態で回収することを特徴とするアルミニウム箔の回収方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アルミニウム箔と樹脂との複合フィルムであるアルミニウムラミネート包装材は、油ものの包装や湿気を嫌う物の包装材として大量に使用されている。アルミニウムラミネート包装材において、アルミニウム箔はガス、湿気、光の透過を防ぐためのバリアー材として使用されており、アルミニウム箔の厚みは5〜200mμmである。アルミニウムラミネート包装材の構成にもよるが、例えばその重量の約40%がアルミニウム箔であり、残りの約60%はプラスチックフィルムである。上記プラスチックフィルムには、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、ポリスチレンなどの樹脂が用いられている。アルミニウム箔とポリプロピレンフィルムなどの樹脂との接着には、ウレタン接着剤、アクリルウレタン接着剤等が使用される。
【0003】
このようなアルミニウムラミネート包装材に対し、アルミニウムは有限な資源であることから、その回収が要望されている。
【0004】
例えば、樹脂を熱分解することによりアルミニウムを回収する方法があるが、アルミニウムが酸化されてしまうという問題がある。アルミニウムが酸化されると再使用時の価値が下がるため好ましくない。
【0005】
特許文献1には、アルミニウムと樹脂との複合材を超臨界水または亜臨界水と接触させることにより前記アルミニウムをイオン化して前記超臨界水または亜臨界水中に溶解させた後、この溶解させたアルミニウムを前記超臨界水または亜臨界水から析出させ、回収することを特徴とする金属・樹脂複合材のリサイクル方法(請求項1)が記載されている。そして、複合材と超臨界水または亜臨界水とを接触させる際の温度が100℃〜380℃、圧力が飽和水蒸気圧以上(但し、温度が臨界温度以上のとき臨界圧力以上)とされている。
【0006】
特許文献1の実施例1においては、紙容器(紙基材にアルミニウム箔とポリエチレンフィルムをラミネートした積層体からなる容器)の廃棄物から紙基材を除去した後、数mm角の大きさに裁断したものを水と混合し、1%水酸化ナトリウム水溶液の存在下で120℃、35MPaの亜臨界状態で10分間保持し、次いで、1%水酸化ナトリウム水溶液の存在下で200℃、35MPaの亜臨界状態で30分保持することにより、固形分としてポリエチレンが得られ、アルミニウムがイオン化して亜臨界水中に溶解しており、この溶解されたアルミニウムを亜臨界水から析出させて回収したことが記載されている。しかしながら、この方法は、アルミニウムが価値の高い金属アルミニウムとして回収できないという問題がある。
【0007】
また、特許文献2には、レトルト食品などの製品包装材に用いられるアルミニウム箔などの無機有価物を含有したラミネートフィルム廃棄物を再資源化処理するための処理方法が記載されている。詳しくは、無機有価物と有機有価物を成分として含む製品包装材に超臨界状態または亜臨界状態の流体を接触させ、前記有機有価物成分を分解し、該分解物中から有機有価物を分離して回収する工程と、前記分解後の残渣中から無機有価物を分離して回収する工程と、を具備することを特徴とする製品包装材の処理方法が記載されている。この場合、前記有機有価物成分を分離した後に、温度380〜800℃、圧力10〜30MPaの条件下で、空気、酸素ガス、過酸化水素のうちのいずれかの酸化剤を添加した超臨界水条件下で処理することにより無機有価物を酸化し、無機酸化固形物として資源化可能な形態で回収している。すなわち、無機有価物がアルミニウムの場合は、それを酸化させ、アルミナとして取り出している。
【0008】
この場合は、アルミニウムとして利用するためには、アルミナをアルミニウムに還元するための工程が必要であり、そのためのエネルギーや費用が発生するという問題がある。
【0009】
特許文献3は、アルミニウム箔と樹脂層との複合体の処理方法ではないが、積層樹脂を高温・高圧水と接触させて樹脂層を分解する例が述べられている。すなわち、縮合重合体フィルム層と付加重合体フィルム層とを接着剤層を介して積層したプラスチック多層成形品の細片化物を、該細片化物1重量部当り5〜100重量部の割合の該付加重合体が溶融するが分解しない温度の高温・高圧水と接触させて、該縮重合体フィルムをモノマー成分にまで分解させ、水中に溶解させるとともに、該付加重合体フィルムを未分解固形物として水中に移行させた後、該付加重合体フィルムの未分解固形物を該縮重合体フィルムの分解により生成したモノマーを含む水中から分離回収し、得られた分離水からそれに含まれる該縮重合体フィルムの分解により生成したモノマーを分離回収することを特徴とするプラスチック多層成形品の分解方法、が記載されている。
【0010】
特許文献3の方法はプラスチック多層成形品の分解・回収、再利用の方法として有効であるが、アルミニウム箔と樹脂との複合体の処理方法ではなく、アルミニウム箔を非酸化状態で回収することについては記載も示唆もない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2004−358423号公報
【特許文献2】特開2006−231249号公報
【特許文献3】特許第3069688号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、アルミニウム箔と樹脂とが積層されてなる複合フィルムからアルミニウム箔を酸化させることなく金属状態でアルミニウム箔を回収する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
請求項1に記載の発明は、アルミニウム箔と樹脂とが積層されてなる複合フィルムを水共存下で亜臨界条件及び/又は超臨界条件で処理し、分離し、アルミニウム箔を金属状態で回収することを特徴とするアルミニウム箔の回収方法である。
請求項2に記載の発明は、回収されるアルミニウム箔の酸素含有率が2重量%以下であることを特徴とする請求項1記載のアルミニウム箔の回収方法である。
請求項3に記載の発明は、亜臨界条件及び/又は超臨界条件で処理する際に、容器中に水と複合フィルムを入れ亜臨界条件及び/又は超臨界条件で処理する前に、水に非酸化性の気体をバブリングし、水中および容器中の酸素をパージすることを特徴とする請求項1又は2に記載のアルミニウム箔の回収方法である。
【0014】
以下、本発明について詳しく説明する。
本発明でいう、アルミニウム箔と樹脂との複合フィルムにおいて、上記樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、ポリスチレン、などの樹脂が挙げられるがこれらに限定されるわけではない。ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、ポリスチレンなどはフィルムとして用いられることが多いが、これに限定されるわけではない。ポリエチレン、ポリプロピレン等はヒートラミネート用の接着剤層として用いられることもある。
【0015】
本発明において、アルミニウム箔とは、5〜200μm程度の膜形状を有する金属アルミニウムをいう。
【0016】
アルミニウム箔と樹脂とが接着される場合には、接着剤としてはウレタン系樹脂、酸変性アクリル樹脂等が用いられる。上記ウレタン系樹脂としては、ウレタン樹脂又はアクリルウレタン樹脂が挙げられる。
また、アルミニウム箔の上に溶融した樹脂が積層されることにより、アルミニウム箔と樹脂との複合フィルムが形成されてもよい。
【0017】
上記複合フィルムには通常印刷が施されている。
【0018】
本発明において、通常、樹脂層の厚みは、5〜200μm程度であり、アルミニウム層の厚みは、5〜200μm程度である。接着剤が使用される場合、その厚みは1〜20μm程度である。
【0019】
本発明で用いられる複合フィルムの具体的な例としては、ポリプロピレンフィルム−インク層−ウレタン接着剤層−アルミニウム箔−ポリエチレンからなるもの、
コーヒー用袋として用いられるもので、ポリエチレンテレフタレート12μm/印刷/ポリエチレン 15μm/Al 7μm/ポリエチレンテレフタレート 15μm/LL 50μmの構成のもの(尚、LLは直鎖状低密度PEのことである)、
牛丼用袋として用いられるもので、ポリエチレンテレフタレート 12μm/印刷/Al 9μm/NY 15μm/CPP 60μmの構成のもの(尚、NYはナイロンであり、CPPは、無延伸のポリプロピレンのことである)、
ポリエチレンテレフタレート12μm/印刷/ポリエチレン15μm/アルミニウム9μm/ポリエチレン30μmからなるもの、
カレー用レトルトパウチである、ポリエチレンテレフタレート12μm/印刷・接着剤2〜5μm/アルミニウム7μm/耐熱CPP60μmからなるものなどが挙げられる。
【0020】
本発明のアルミニウム箔の回収方法は、アルミニウム箔と樹脂とが積層されてなる複合フィルムを水共存下で亜臨界条件及び/又は超臨界条件で処理し、分離し、アルミニウム箔を金属状態で回収することを特徴とする。
【0021】
上記金属状態とは、組成のほとんどがアルミニウム原子で構成されているものをいう。ただし表面が僅かに酸化されているものを含むが、その場合であっても亜臨界条件及び/又は超臨界条件で水分解して得られる回収アルミニウムは、重量比による酸素含有率が2%以下であることが好ましい。
【0022】
上記亜臨界条件とは、水が亜臨界の範囲内の条件であれば特に限定されないが、臨界温度以下であって、温度190〜約370℃が好ましい。温度が臨界点よりも高くなると超臨界条件となる。
【0023】
本発明のアルミニウム箔の回収方法は、以下の工程によって行われる。
複合フィルムと水を亜臨界条件及び/又は超臨界条件処理用耐圧容器にいれ、加熱して所定の温度、圧力に所定の時間保持しアルミニウム箔と樹脂とを分離する。亜臨界条件及び/又は超臨界条件処理により樹脂層と分離したアルミニウム箔は、比重差を用いて遠心分離、ろ過、金属光沢物のみの摘出等により分離回収される。上記分離工程は上記耐圧容器内でもよいが、通常は耐圧容器から取り出した後に行われる。
【0024】
回収されるアルミニウム箔の酸素含有率は、回収されたアルミニウム箔の再使用のために、2重量%以下であることが好ましく、更に好ましくは1重量%以下である。上記の測定は、CHNS/O元素分析機によって行われる。
【0025】
本発明のアルミニウム箔の回収方法において、亜臨界条件及び/又は超臨界条件で処理する際に、容器中に水と複合フィルムを入れ亜臨界条件及び/又は超臨界条件で処理する前に、水に非酸化性の気体をバブリングし、水中および容器中の酸素をパージすることが好ましい。
【発明の効果】
【0026】
本発明のアルミニウムの回収方法は、アルミニウム箔と樹脂とが積層されてなる複合フィルムを水共存下で亜臨界条件及び/又は超臨界条件で処理し、樹脂とアルミニウム箔とを分離し、アルミニウム箔を金属アルミニウムとして回収するので、アルミニウム箔と樹脂との複合フィルムからアルミニウム箔を再使用し易い形で回収することができる。
樹脂層のうち、ポリプロピレン、ポリエチレンは、超臨界でも短時間では分解しにくいので水面近くに浮遊するため、分別回収され、ポリエステル等の亜臨界及び/又は超臨界で分解しやすいものは、分解物が水中に溶存または液相になるため、分別回収されやすい。アルミニウム箔は酸化されずに箔形状の金属アルミニウムとして水中の固体として分別回収される。以上のように、成分別に回収できるので、資源の再利用がしやすい。
【0027】
回収されるアルミニウム箔の酸素含有率が2重量%以下である場合には、回収されたアルミニウム箔の再使用のために特に都合がよい。
【0028】
亜臨界条件及び/又は超臨界条件で処理する際に、容器中に水と複合フィルムを入れ亜臨界条件及び/又は超臨界条件で処理する前に、水に非酸化性の気体をバブリングし、水中および容器中の酸素をパージすると、酸素含有率の低いアルミニウム箔を得やすい。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】実施例1における遠心分離後の遠心分離用蓋付ガラス管の写真である。
【図2】実施例1における乾燥後の遠心分離用蓋付ガラス管の写真である。
【図3】実施例2における遠心分離後の遠心分離用蓋付ガラス管の写真である。
【図4】実施例2における遠心分離後の遠心分離用蓋付ガラス管の写真である。
【図5】実施例2における乾燥後の遠心分離用蓋付ガラス管の写真である。
【図6】実施例3における遠心分離後の遠心分離用蓋付ガラス管の写真である
【図7】実施例3における、乾燥後の遠心分離用蓋付ガラス管から、その内容物を取り出して黒色の紙の上に拡げた写真である。
【図8】実施例4における遠心分離後の遠心分離用蓋付ガラス管の写真である。
【図9】実施例4における、乾燥後の遠心分離用蓋付ガラス管から、その内容物を取り出して黒色の紙の上に拡げた写真である。
【図10】実施例5における遠心分離後の遠心分離用蓋付ガラス管の写真である。
【図11】実施例5における乾燥後の遠心分離用蓋付ガラス管の写真である。
【図12】実施例5における酸素含有率測定結果のグラフである。
【図13】実施例6における遠心分離後の遠心分離用蓋付ガラス管の写真である。
【図14】実施例6における乾燥後の遠心分離用蓋付ガラス管の写真である。
【図15】実施例6における酸素含有率測定結果のグラフである。
【図16】実施例7における遠心分離後の遠心分離用蓋付ガラス管の写真である
【図17】実施例7における、乾燥後の遠心分離用蓋付ガラス管から、その内容物を取り出して黒色の紙の上に拡げた写真である。
【図18】実施例7における酸素含有率測定結果のグラフである。
【図19】実施例8における遠心分離後の遠心分離用蓋付ガラス管の写真である
【図20】実施例8における、乾燥後の遠心分離用蓋付ガラス管から、その内容物を取り出して黒色の紙の上に拡げた写真である。
【図21】実施例8における酸素含有率測定結果のグラフである。
【図22】実施例9における遠心分離後の遠心分離用蓋付ガラス管の写真である。
【図23】実施例9における遠心分離後の遠心分離用蓋付ガラス管の写真である。
【図24】比較例における遠心分離後の遠心分離用蓋付ガラス管の写真である。
【図25】比較例における乾燥後の遠心分離用蓋付ガラス管の写真である。
【図26】比較例における酸素含有率測定結果のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下に、実施例を挙げて本発明を詳しく説明する。
【実施例1】
【0031】
(複合フィルムの構造)
複合フィルムは、コーヒー用袋として用いられるもので、PET 12μm/印刷/PE 15μm/Al 7μm/PET 15μm/LL 50μmの構成のものである。尚、LLは直鎖状低密度PEのことである。
【0032】
(複合フィルムの処理)
反応器は内径7mm、長さ150mmのSUS316ステンレス管であり、両端にSwegelok cap(ダブル・フェルール(ferrule、嵌め輪)型の喰込式継手(bite type joint)を代表とする、Swagelok company社の一連の継手)が取り付けられているものである。反応器の内容積はSwegelok capが取り付けられた状態で7.0cm3である。リボン状に約6〜7mm幅、長さ10〜20mmで大部分は15mm長さに細断した上記複合フィルム0.058gと表1に示す量の蒸留水を、反応器に入れた。
【0033】
【表1】
【0034】
なお、反応に用いる蒸留水の量は、塩浴中において反応器内に水が過充填にならないようにされていればよく特に限定されない。後述の実施例及び比較例においては、塩浴温度に応じて表1に示した量程度になるように適宜調整して使用した。
【0035】
次いで、反応器内の水中にバブリングによりアルゴンガスを吹き込み、反応器内の気体部及び水中の溶存気体をアルゴンに置換した。反応器をSwegelok capで封をした後、硝酸カリウムと硝酸ナトリウムの混合物を含む予め加熱した所定温度の塩浴に投入した。
【0036】
塩浴温度は、190、220、250、280、310、340、370、400℃とし、塩浴浸漬時間は5分とした。次いで、塩浴から取り出し常温の水中に投入し急冷した。
【0037】
反応器中の内容物を遠心分離用蓋付ガラス管に移し、反応器内を少量の蒸留水で洗浄し、洗浄水も上記遠心分離用蓋付ガラス管に入れた。
【0038】
次いで、3000rpm、10分間の条件で遠心分離した。遠心分離後の遠心分離用蓋付ガラス管を写真撮影した。
【0039】
遠心分離後の遠心分離用蓋付ガラス管から、液体部分をピペットで除去した。次いで、上記液体部分が除去された後に残された遠心分離用蓋付ガラス管を、乾燥機にて60℃、72時間の条件で乾燥した。乾燥後の遠心分離用蓋付ガラス管を写真撮影した。
【0040】
(処理後の複合フィルムの写真)
前述の、遠心分離後の遠心分離用蓋付ガラス管の写真を図1に、乾燥後の遠心分離用蓋付ガラス管の写真を図2に示した。ただし、写真では、上記遠心分離用蓋付ガラス管の蓋よりも下方の部分を写しているので、蓋は見えていない(以下の実施例及び比較例の図においても同じ)。
【0041】
図1から、以下のことがわかる。塩浴温度220℃までは、複合フィルムの分解が不十分であるため、複合フィルム全体が液の下方に沈降しているように見えるが、250℃を超えると複合フィルムの分解が進み、310℃では、上部にアルミニウム箔を伴う樹脂層が塊状になったものと思われるものが浮かび、アルミニウムリッチな層が沈降しているようになっている。370℃では上部に薄片が浮かび底部に粉状物が多くなってくる。400℃では金属様のアルミニウム片が沈降している。
【実施例2】
【0042】
(複合フィルムの構造)
複合フィルムは、牛丼用袋として用いられるもので、PET 12μm/印刷/Al 9μm/NY 15μm/CPP 60μmの構成のものである。なお、NYはナイロンであり、CPPは、無延伸のポリプロピレンのことである。
【0043】
(複合フィルムの処理)
複合フィルムを上記の実施例2のものに変えたことの他は実施例1と同様に行った。
【0044】
(処理後の複合フィルムの写真)
遠心分離後の遠心分離用蓋付ガラス管の写真を図3及び図4に示し、乾燥後の遠心分離用蓋付ガラス管の写真を図5に示した。図3は向かって左から塩浴温度190、220、250、280℃のものであり、図4は向かって左から塩浴温度310、340、370、400℃のものである。
【0045】
図3及び図4から、以下のことがわかる。塩浴温度250℃までは、複合フィルムの分解が不十分であるため、複合フィルム全体が液の下方に漂っているように見えるが、280℃になると複合フィルムの分解が進み出し、上部にアルミニウム箔を伴う樹脂層と思われるものが浮かんでくる。340℃以上になると上部に分離が進みCPPと思われる樹脂が塊状になったものと思われるものが浮かんでくる。
【実施例3】
【0046】
(複合フィルムの構造)
複合フィルムは、実施例1と同様のコーヒー用袋として用いられるものである。
【0047】
(複合フィルムの処理)
反応器は実施例1と同様である。実施例1と同様のサイズに細断した上記複合フィルム0.115gと前記表1に示した量の蒸留水を、反応器に入れた。
【0048】
上記のように、複合フィルムの使用量を0.115gとした他は実施例1と同様に複合フィルムの処理をした(すなわち、塩浴浸漬時間は5分である)。
【0049】
実施例1と同様に、遠心分離後の遠心分離用蓋付ガラス管を写真撮影した。
【0050】
実施例1と同様に、液体部分が除去された後に残された遠心分離用蓋付ガラス管を、乾燥機にて60℃、72時間の条件で乾燥した。乾燥後の遠心分離用蓋付ガラス管から、その内容物を取り出して黒色の紙の上に拡げて写真撮影した。
【0051】
(処理後の複合フィルムの写真)
遠心分離後の遠心分離用蓋付ガラス管の写真を図6に示した。また、乾燥後の遠心分離用蓋付ガラス管から、その内容物を取り出して黒色の紙の上に拡げたものの写真を図7に示した。
【0052】
図6から、以下のことがわかる。塩浴温度250℃までは、複合フィルムの分解が不十分であるため、複合フィルム全体が液中に漂っているように見えるが、280℃では複合フィルムの分解が進み始め、340℃になると上部にアルミニウム箔を伴う樹脂層と思われるものが浮かび、アルミニウムリッチな層が沈降しているようになってくる。
【実施例4】
【0053】
(複合フィルムの構造)
複合フィルムは、実施例2と同様の牛丼用袋として用いられるものである。
【0054】
(複合フィルムの処理)
反応器は実施例1と同様である。実施例1と同様のサイズに細断した上記複合フィルム0.115gと前記表1に示した量の蒸留水を、反応器に入れた。
【0055】
次いで、反応器内の水中にバブリングによりアルゴンガスを吹き込み、反応器内の気体部及び水中の溶存気体をアルゴンに置換した。反応器をSwegelok capで封をした後、硝酸カリウムと硝酸ナトリウムの混合物を含む予め加熱した所定温度の塩浴に投入した。
【0056】
塩浴温度は、190、220、250、280、310、340、370、400℃とし、塩浴浸漬時間は5分とした。次いで、塩浴から取り出し常温の水中に投入し急冷した。
【0057】
反応器中の内容物を遠心分離用蓋付ガラス管に移し、次いで、3000rpm、10分間の条件で遠心分離した。遠心分離後の遠心分離用蓋付ガラス管を写真撮影した。
【0058】
次いで、反応器内を少量の蒸留水で洗浄し、洗浄水を上記の遠心分離の終わった遠心分離用蓋付ガラス管に入れた。次いで、3000rpm、10分間の条件で遠心分離した。
【0059】
遠心分離後の遠心分離用蓋付ガラス管から、液体部分をピペットで除去した。次いで、上記液体部分が除去された後に残された遠心分離用蓋付ガラス管を、乾燥機にて60℃、72時間の条件で乾燥した。乾燥後の遠心分離用蓋付ガラス管から、その内容物を取り出して黒色の紙の上に拡げて写真撮影した。
【0060】
(処理後の複合フィルムの写真)
遠心分離後の遠心分離用蓋付ガラス管の写真を図8に示した。また、乾燥後の遠心分離用蓋付ガラス管から、その内容物を取り出して黒色の紙の上に拡げたものの写真を図9に示した。
【0061】
図8から、以下のことがわかる。塩浴温度250℃までは、複合フィルムの分解が不十分であるため、複合フィルム全体が液中に漂っているように見えるが、280℃以上で複合フィルムの分解が進み、340℃以上では分離が十分進行し上部に樹脂層と思われるものが浮かび、アルミニウムリッチな層が沈降しているようになってくる。図9については、310℃以上で樹脂層と思われる塊が各写真の左側に見えている。
【実施例5】
【0062】
(複合フィルムの構造)
複合フィルムは、実施例1と同様のコーヒー用袋として用いられるものである。
【0063】
(複合フィルムの処理)
塩浴浸漬時間を10分としたことの他は、実施例1と同様に処理した(すなわち、反応に使用したコーヒー用袋の量は0.058gである)。
【0064】
(処理後の複合フィルムの写真)
遠心分離後の遠心分離用蓋付ガラス管の写真を図10に、乾燥後の遠心分離用蓋付ガラス管の写真を図11に示した。
【0065】
次いで、上記の乾燥された遠心分離用蓋付ガラス管の中の固形物の中から、アルミニウム箔部分を取り出し、酸素含有率測定用に小片を切り出した。切り出した小片を、水中で超音波で洗浄し、粉状の付着物を除去した。上記の付着物が除去された小片を60℃で48時間乾燥後、常温で10時間放置し、酸素含有率測定用に秤量して用いた。
【0066】
(酸素含有率測定)
酸素含有率測定は、CHNS/O元素分析機(Perkin Elmer社製、2400 Series II CHNS/O Elemental Analyzer)を用いた。この測定方法について、以下に簡単に述べる。酸素含有率測定には、CHNS/O元素分析機を酸素モードにして行った。分析に用いたそれぞれの試料の量は1.5〜2.0mgとした。試料はヘリウム/水素(95%:5%)雰囲気中で1000℃で熱分解される。この熱分解反応で得られた酸素を含む反応生成物は、platinized carbon reagent上で、一酸化炭素に変えられる。この一酸化炭素が定量され、その定量値から、試料中の酸素含有率が定量される。測定は三回行った。なお、本明細書において、酸素含有率(Oxygen cotent(%))は採取試料全体に占める酸素の重量%を意味する。
【0067】
(酸素含有率測定結果)
酸素含有率測定結果を表2及び図12に示した。表中測定1、測定2、測定3とあるのは試料片の採取場所を変えて行った三回の測定の各実測値を示す。Averageは三回の測定値を単純に平均して求めたものである。また、Temp(℃)欄にある
Controlとは、無処理のものを意味する。
【0068】
【表2】
【0069】
図10から、以下のことがわかる。塩浴温度220℃までは、複合フィルムの分解が不十分であるため、複合フィルム全体が液中に漂っているように見えるが、250℃を超えると複合フィルムの分解が進み、複合フィルム全体が下方に沈降したり、上部に樹脂層と思われるものが浮かんだりし始める。370℃を超えると、上部に樹脂層と思われるものが浮かび、アルミニウムリッチな層が下方に沈降している。400℃では分離が進行しアルミニウム箔片が沈降し上部にはオレフィンと思われる塊状物が浮いている。
【0070】
表2及び図12より以下のことが分かる。
190℃、220℃までの酸素含有率がコントロールに近い値であるのは、分解が殆ど進んでいないため、樹脂層の酸素が残っているためと思われる。250〜340℃においても、酸素含有率はコントロールにかなり近く、分解が不十分であると思われる。370℃で分解が更に進み、400℃においては酸素含有率が十分低くなっており、アルミニウム箔が酸化されずにアルミニウム箔と樹脂が分離したものと思われる。
【実施例6】
【0071】
(複合フィルムの構造)
複合フィルムは、実施例2と同様の牛丼用袋として用いられるものである。
【0072】
(複合フィルムの処理)
複合フィルムとして上記の牛丼用袋を用いたこと及び塩浴浸漬時間を10分としたことの他は、実施例1と同様に処理した(すなわち、反応に使用した牛丼用袋の量は0.058gである)。
【0073】
(処理後の複合フィルムの写真)
遠心分離後の遠心分離用蓋付ガラス管の写真を図13に、乾燥後の遠心分離用蓋付ガラス管の写真を図14に示した。
【0074】
次いで、上記の乾燥された遠心分離用蓋付ガラス管の中の固形物の中から、アルミニウム箔部分を取り出し、酸素含有率測定用に小片を切り出した。切り出した小片を、水中で超音波で洗浄し、粉状の付着物を除去した。上記の付着物が除去された小片を60℃で48時間乾燥後、常温で10時間放置し、酸素含有率測定用に秤量して用いた。
【0075】
(酸素含有率測定)
上記の試料を用いて実施例5と同様にして酸素含有率の測定をした。
【0076】
(酸素含有率測定結果)
酸素含有率測定結果を表3及び図15に示した。
【0077】
【表3】
【0078】
図13から、以下のことがわかる。塩浴温度250℃までは、複合フィルムの分解が不十分であるため、複合フィルム全体が液の下方に沈降しているように見えるが、280℃以上で複合フィルムの分解が進み、上部にアルミニウム箔を伴う樹脂層と思われるものが浮かんでくる。340℃以上では分離が十分進行し、上部に樹脂層と思われる塊状物が浮かび、底部にはアルミニウム箔片が沈降している。
【0079】
表3及び図15より以下のことが分かる。
190℃、220℃までの酸素含有率がコントロールに近い値であるのは、分解が殆ど進んでいないため、樹脂層の酸素が残っているためと思われる。250〜310℃においては、酸素含有率はかなり低下しており分解がかなり進んでいる。340℃以上では酸素含有率が十分低く、アルミニウム箔と樹脂が分離されかつアルミニウム箔は酸化されていないことがわかる。
【実施例7】
【0080】
(複合フィルムの構造)
複合フィルムは、実施例1と同様のコーヒー用袋として用いられるものである。
【0081】
(複合フィルムの処理)
塩浴浸漬時間を30分としたことの他は、実施例3と同様に処理した(すなわち、反応に使用したコーヒー用袋の量は0.115gである)。
【0082】
(処理後の複合フィルムの写真)
遠心分離後の遠心分離用蓋付ガラス管の写真を図16に示した。また、乾燥後の遠心分離用蓋付ガラス管から、その内容物を取り出して黒色の紙の上に拡げたものの写真を図17に示した。
【0083】
次いで、上記の乾燥後の遠心分離用蓋付ガラス管から、その内容物を取り出して黒色の紙の上に拡げたものの中から、アルミニウム箔部分を取り出し、酸素含有率測定用に小片を切り出した。切り出した小片を、水中で超音波で洗浄し、粉状の付着物を除去した。上記の付着物が除去された小片を60℃で48時間乾燥後、常温で10時間放置し、酸素含有率測定用に秤量して用いた。
【0084】
(酸素含有率測定)
上記の試料を用いて実施例5と同様にして酸素含有率の測定をした。
【0085】
(酸素含有率測定結果)
酸素含有率測定結果を図18に示した。図18において各プロットは2回の測定の平均値である。
【0086】
図16から、以下のことがわかる。塩浴温度220℃で複合フィルムの分解が起きており、310℃で液の上方にアルミニウム箔を伴う樹脂層が浮かび、370℃以上では分離が十分進行し上部に樹脂層と思われる塊状物が浮かび、底部にアルミニウム箔片が沈降している。図17については、370℃以上で樹脂層と思われる塊が各写真の上方に見えている。
【0087】
図18より以下のことが分かる。
190℃の酸素含有率がコントロールに近い値であるのは、分解が殆ど進んでいないため、樹脂層の酸素が残っているためと思われる。220〜340℃においては、酸素含有率はかなり低下しており分解がかなり進んでいる。370℃で酸素含有率が十分低く、400℃では更に低い。アルミニウム箔と樹脂が分離しかつアルミニウム箔が酸化されていないことがわかる。
【実施例8】
【0088】
(複合フィルムの構造)
複合フィルムは、実施例2と同様の牛丼用袋として用いられるものである。
【0089】
(複合フィルムの処理)
塩浴浸漬時間を30分としたことの他は、実施例4と同様に処理した(すなわち、反応に使用した牛丼用袋の量は0.115gである)。
【0090】
(処理後の複合フィルムの写真)
遠心分離後の遠心分離用蓋付ガラス管の写真を図19に示した。また、乾燥後の遠心分離用蓋付ガラス管から、その内容物を取り出して黒色の紙の上に拡げたものの写真を図20に示した。
【0091】
次いで、上記の乾燥後の遠心分離用蓋付ガラス管から、その内容物を取り出して黒色の紙の上に拡げたものの中から、アルミニウム箔部分を取り出し、酸素含有率測定用に小片を切り出した。切り出した小片を、水中で超音波で洗浄し、粉状の付着物を除去した。上記の付着物が除去された小片を60℃で48時間乾燥後、常温で10時間放置し、酸素含有率測定用に秤量して用いた。
【0092】
(酸素含有率測定)
上記の試料を用いて実施例5と同様にして酸素含有率の測定をした。
【0093】
(酸素含有率測定結果)
酸素含有率測定結果を表4及び図21に示した。
【0094】
【表4】
【0095】
図19から、以下のことがわかる。塩浴温度220℃で複合フィルムの分解が起きており、280℃で液の上方に樹脂層が浮かんでおり、310℃になるとその樹脂層が更に増えているようである。310℃または340℃では樹脂の塊状物が液面に浮き、アルミニウム箔片が沈降しており、アルミニウム箔が分離していることがわかる。図20については、280℃を超えると複合フィルムの分解が進み、樹脂層と思われる塊が各写真の右方に見えている。
【0096】
表4及び図21より以下のことが分かる。
190℃、220℃までの酸素含有率がコントロールに近い値であるのは、分解が殆ど進んでいないため、樹脂層の酸素が残っているためと思われる。250℃、280℃においては、酸素含有率は相当低下しており分解が相当進んでいる。310℃、340℃で酸素含有率が十分低くアルミニウム箔が酸化されずに分離したものと思われる。370℃、400℃で酸素含有率が上昇しているのは、アルミニウム箔の酸化が進んだためと思われる。
【実施例9】
【0097】
(複合フィルムの構造)
複合フィルムは、キャンディの包装フィルムであり、ポリエチレンテレフタレートフィルム、アルミニウム箔、ポリプロピレンフィルムの積層品であり、アルミニウム箔の厚みは約9μmであり、複合フィルムの総厚は約42μmである。
【0098】
(処理及び酸素含有率測定)
「複合フィルムを上記の実施例9のものに変えたこと」、「処理温度と時間に200℃、5分のものを更に付け加えたこと」、及び「処理時の複合フィルムの使用量を0.06gとしたこと」の他は実施例1と同様に(塩浴浸漬時間5分にて)行った。
【0099】
(処理後の複合フィルムの写真)
遠心分離後の遠心分離用蓋付ガラス管の写真を図22及び図23に示した。図22においては、左から順に塩浴温度190℃、200℃、220℃、250℃、280℃、310℃で処理したものである。図23においては、左から順に塩浴温度340℃、370℃、400℃で処理したものである。
【0100】
図22及び図23から、以下のことがわかる。250℃以上で複合フィルムの分解が起こり始め、340℃又は370℃では、樹脂の塊状物が液面に浮き、アルミニウム箔片が沈降しており、アルミニウム箔と樹脂層が分離していることがわかる。
【0101】
(比較例)
住軽アルミニウム箔株式会社製、圧延家庭用アルミニウム箔(商標「マイホイル」、25m巻き、厚さ20μm)を複合フィルムの代わりに用いたこと、及び、処理温度190℃の代わりに200℃としたことの他は、実施例1と同様にして処理を行った(すなわち、アルミニウム箔の使用量は0.058g、塩浴浸漬時間5分)。
【0102】
(処理後のアルミニウム箔の写真)
遠心分離後の遠心分離用蓋付ガラス管の写真を図24に、乾燥後の遠心分離用蓋付ガラス管の写真を図25に示した。
【0103】
次いで、乾燥された遠心分離用蓋付ガラス管の中の固形物の中から、アルミニウム箔を取り出し、酸素含有率測定用に小片を切り出し、酸素含有率測定用に秤量して用いた(なお、粉状体のものは、小片を切り出せないのでそのまま用いた)。
【0104】
(酸素含有率測定)
上記の試料を用いて実施例5と同様にして酸素含有率の測定をした。
【0105】
(酸素含有率測定結果)
酸素含有率測定結果を表5及び図26に示した。図26の曲線の左端のプロットはコントロール(亜臨界及び/又は超臨界処理を施していないもの)を示す。
【0106】
【表5】
【0107】
図24及び図25より以下のことが分かる。310℃でアルミニウム箔に変化が生じており、340℃ではアルミニウム箔の嵩(高さ)が半減している。370℃では粉状に変わっており、400℃では更に粉の嵩(高さ)が減っている。
【0108】
表5及び図26より以下のことが分かる。
コントロール(無処理)の酸素含有率が2.71重量%と高いのは、アルミニウム箔の表面が酸化処理されていたことが考えられる。塩浴温度が190℃〜280℃までは塩浴温度が高くなるにつれて、酸素含有率が低下し280℃では0.56重量%となっている。280℃を超えると酸素含有率が高くなってくる。これは、アルミニウムの表面の酸化が進むためではないかと考えられる。310℃以上では酸化が進行し340℃では酸素含有率が3%を超える。370℃以上では箔の形態を失い、粉体に変わっている。酸素含有率が5%弱であり、金属粒子の表面が酸化アルミニウムになっているものと思われる。
【0109】
したがって複合フィルムから金属アルミニウムを回収するには、適切な条件でなければならないが、その複合フィルムの構成に適した、樹脂とアルミニウム箔が分離しかつアルミニウム箔が実質酸化されていない条件で亜臨界条件及び/又は超臨界条件で分解することで、アルミニウム箔を金属アルミニウムとして回収することができる。
【産業上の利用可能性】
【0110】
本発明のアルミニウム箔の回収方法は、アルミニウム箔と樹脂との複合フィルムからアルミニウム箔を分離しアルミニウム箔を回収する方法として産業上利用できる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルミニウム箔と樹脂とが積層されてなる複合フィルムを水共存下で亜臨界条件及び/又は超臨界条件で処理し、分離し、アルミニウム箔を金属状態で回収することを特徴とするアルミニウム箔の回収方法。
【請求項2】
回収されるアルミニウム箔の酸素含有率が2重量%以下であることを特徴とする請求項1記載のアルミニウム箔の回収方法。
【請求項3】
亜臨界条件及び/又は超臨界条件で処理する際に、容器中に水と複合フィルムを入れ亜臨界条件及び/又は超臨界条件で処理する前に、水に非酸化性の気体をバブリングし、水中および容器中の酸素をパージすることを特徴とする請求項1又は2に記載のアルミニウム箔の回収方法。
【請求項1】
アルミニウム箔と樹脂とが積層されてなる複合フィルムを水共存下で亜臨界条件及び/又は超臨界条件で処理し、分離し、アルミニウム箔を金属状態で回収することを特徴とするアルミニウム箔の回収方法。
【請求項2】
回収されるアルミニウム箔の酸素含有率が2重量%以下であることを特徴とする請求項1記載のアルミニウム箔の回収方法。
【請求項3】
亜臨界条件及び/又は超臨界条件で処理する際に、容器中に水と複合フィルムを入れ亜臨界条件及び/又は超臨界条件で処理する前に、水に非酸化性の気体をバブリングし、水中および容器中の酸素をパージすることを特徴とする請求項1又は2に記載のアルミニウム箔の回収方法。
【図12】
【図15】
【図18】
【図21】
【図26】
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図13】
【図14】
【図16】
【図17】
【図19】
【図20】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図15】
【図18】
【図21】
【図26】
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図13】
【図14】
【図16】
【図17】
【図19】
【図20】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【公開番号】特開2010−227740(P2010−227740A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−75268(P2009−75268)
【出願日】平成21年3月25日(2009.3.25)
【出願人】(801000061)財団法人大阪産業振興機構 (168)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月25日(2009.3.25)
【出願人】(801000061)財団法人大阪産業振興機構 (168)
【Fターム(参考)】
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