説明

アレイ基板及びその製造方法

【課題】輝点欠陥の画素を滅点化リペアする際、滅点化したい画素のみを的確に滅点化することができるアレイ基板及びその製造方法を提供する。
【解決手段】アレイ基板は、基板と、基板上に形成された複数の走査線、複数の信号線、複数のスイッチング素子及び層間絶縁膜と、層間絶縁膜上に形成され、スイッチング素子に接続された複数の画素電極と、複数の画素電極の少なくとも1つの画素電極上に塗布された遮光性インクINKと、遮光性インクが塗布された画素電極に隣合う画素電極上への遮光性インクの流出を防止するインク隔離部と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、表示装置等に用いるアレイ基板及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アクティブマトリクス型液晶表示装置においては、多数のスイッチング素子が設けられている。例えばVGAでは約百万個、さらに高精細なものでは数百万個のスイッチング素子が液晶表示装置に形成されている。しかしながら、スイッチング素子の全てを高精度に製造することは非常に困難であり、充分に特性が満足されないものが含まれる場合がある。
【0003】
このような欠陥のもたらす結果として大きく2つに分かれる。それは、最終的な表示装置として表示したときに、常に明表示となってしまういわゆる輝点欠陥か、常に暗表示となってしまういわゆる滅点欠陥である。
【0004】
このうち、滅点欠陥は数個であれば許容されるが、輝点欠陥は特に黒表示時に目立ってしまうため、1つでも存在すると不良品となり出荷できないことが多い。従って、従来から輝点欠陥を滅点化するいわゆる滅点化リペアが行われている。
滅点化リペアとしては、遮光性インクを輝点箇所に滴下する技術等が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平9−292627号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、滅点化リペアの際には、欠陥となる画素領域に遮光性インクを滴下するが、このとき隣接する画素領域にまでインクが流出もしくは滲んでしまい、欠陥のない画素にまでインクを塗ってしまう可能性があった。
この発明は以上の点に鑑みなされたもので、その目的は、輝点欠陥の画素を滅点化リペアする際、滅点化したい画素のみを的確に滅点化することができるアレイ基板及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の態様に係るアレイ基板は、
基板と、
前記基板上に行方向に形成された複数の走査線と、
前記基板上に列方向に形成された複数の信号線と、
前記走査線と前記信号線との交点部近傍に形成された複数のスイッチング素子と、
前記走査線、前記信号線及び前記スイッチング素子を覆って前記基板上に形成された層間絶縁膜と、
前記層間絶縁膜上に形成され、前記スイッチング素子に接続された複数の画素電極と、
前記複数の画素電極の少なくとも1つの画素電極上に塗布された遮光性インクと、
前記遮光性インクが塗布された前記画素電極に隣合う前記画素電極上への前記遮光性インクの流出を防止するインク隔離部と、を備えていることを特徴としている。
【0007】
また、本発明の他の態様に係るアレイ基板の製造方法は、
基板上に、複数の走査線、複数の信号線及び複数のスイッチング素子を形成し、
前記基板上に層間絶縁膜を形成し、
前記層間絶縁膜上に複数の画素電極を形成し、
前記画素電極が形成された前記基板の欠陥の有無を検査し、
前記検査により欠陥とされた部分の画素電極上に遮光性インクを塗布し、
前記遮光性インクを塗布する前に、前記遮光性インクが塗布される前記画素電極に隣合う前記画素電極上への前記遮光性インクの流出を防止するインク隔離部を形成することを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、輝点欠陥の画素を滅点化リペアする際、滅点化したい画素のみを的確に滅点化することができるアレイ基板及びその製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図面を参照しながらこの発明に係る表示装置をアレイ基板を備えた液晶表示装置に適用した実施の形態について詳細に説明する。この実施の形態において、特に、アレイ基板及びアレイ基板の製造方法について詳細に説明する。
【0010】
図1及び図2に示すように、液晶表示装置1は、液晶表示パネル100を備えて構成されている。液晶表示パネル100は、アレイ基板(第1基板)200と、対向基板(第2基板)400と、アレイ基板200と対向基板400との間に保持された液晶層410と、を備えている。この液晶表示パネル100は、画像を表示する有効表示部102を有している。有効表示部102は、マトリクス状に配置された複数の表示画素PXで形成されている。
【0011】
液晶表示パネル100において、アレイ基板200は、ガラスなどの光透過性の絶縁基板201を用いて形成される。このアレイ基板200は、有効表示部102において、絶縁基板201の一方の主面(表面)上に、互いに交差してマトリクス状に配置された複数の信号線X及び複数の走査線Yと、各表示画素PXにおける信号線Xと走査線Yとの交点近傍に配置されたスイッチング素子としてのTFT(薄膜トランジスタ)211と、各表示画素PXのTFT211にそれぞれ接続された画素電極213と、を備えている。
【0012】
信号線Xは、絶縁基板201上に列方向に延出して形成されている。走査線Yは、絶縁基板201上に行方向に延出して形成されている。なお、表示画素PXは、隣合う2本の走査線Y及び隣合う2本の信号線Xで囲まれた領域にそれぞれ形成されている。
【0013】
TFT211は、多結晶シリコン膜212を備えている。この多結晶シリコン膜212は、チャネル領域212cと、このチャネル領域212cを挟んで配置されたソース領域212s及びドレイン領域212dとを有している。TFT211のゲート電極215は、チャネル領域212c上にゲート絶縁膜214を介して配置され、走査線Yに接続されている。ここでは、ゲート電極215は走査線Yと一体的に形成されている。
【0014】
TFT211のソース電極216sは、ソース領域212sに接続されているとともに画素電極213に接続されている。TFT211のドレイン電極216dは、ドレイン領域212dに接続されているとともに信号線Xに接続されている。ここでは、ドレイン電極216dは信号線Xと一体的に形成されている。なお、ソース電極216s及びドレイン電極216dは、ゲート電極215上に形成された絶縁膜217上に形成されており、この絶縁膜217及びゲート絶縁膜214に形成されたコンタクトホールを介してそれぞれソース領域212sとドレイン領域212dに接続されている。
【0015】
画素電極213は、例えば、光透過性を有するITO(インジウム・ティン・オキサイド)やIZO(インジウム・ジンク・オキサイド)導電性部材などによって形成されている。この画素電極213は、層間絶縁膜218上に配置されている。この層間絶縁膜218は、TFT211及び絶縁膜217を覆うように配置されている。また、この層間絶縁膜218は、画素電極213とTFT211のソース電極216sとを電気的に接続するためのコンタクトホールCHを有している。
【0016】
配向膜219は、すべての画素電極213を覆うように有効表示部102の全面に配置されている。遮光層250は、アレイ基板200における有効表示部102の外側に額縁状に配置されている。この遮光層250は、遮光性を有する樹脂によって形成され、例えば黒色樹脂によって形成されている。
【0017】
柱状スペーサ104は、例えばアレイ基板200における少なくとも有効表示部102に配置されている。この柱状スペーサ104は、例えば遮光層250と同様の黒色樹脂によって形成されている。これら柱状スペーサ104及び遮光層250は、同一材料によって同一工程にて形成しても良い。これにより、柱状スペーサ104及び遮光層250をそれぞれ別個に形成した場合よりも製造工程数を削減することができる。
【0018】
対向基板400は、ガラスなどの光透過性の絶縁基板401を用いて形成される。この対向基板400は、有効表示部102において、絶縁基板401の一方の主面(表面)上に、全表示画素PXに共通の対向電極403を備えている。この対向電極403は、全画素電極213に対向して配置され、例えばITOやIZOなどの光透過性を有する導電性部材によって形成されている。配向膜405は、対向電極403全体を覆うように有効表示部102の全面に配置されている。
【0019】
上述した構成のアレイ基板200及び対向基板400は、柱状スペーサ104によって所定のセルギャップを形成した状態で、シール材106によって貼り合せられている。液晶層410は、これら基板間のギャップに封止された液晶組成物によって形成される。すなわち、液晶層410は、アレイ基板200側の配向膜219と、対向基板400側の配向膜405との間に保持されている。これにより、液晶層410に含まれる液晶分子は、配向膜219及び405により配向制御される。
【0020】
液晶表示パネル100において、有効表示部102の周辺領域には、一体的に構成される駆動回路部が配置されている。この駆動回路部110は、走査線Yの一端側に配置された走査線駆動回路部251、及び、信号線Xの一端側に配置された信号線駆動回路部261を備えている。走査線駆動回路部251は、各走査線Yに駆動信号(走査信号)を供給する。また、信号線駆動回路部261は、各信号線Xに駆動信号(映像信号)を供給する。これら走査線駆動回路部251及び信号線駆動回路部261は、有効表示部102内のTFT211と同様に多結晶シリコン膜を含むTFTによって構成されている。
【0021】
また、液晶表示パネル100において、アレイ基板200の外面及び対向基板400の外面には、それぞれ液晶層410の特性に合わせて偏光方向を設定した一対の偏光板220及び407が設けられている。すなわち、偏光板220は、アレイ基板200を構成する絶縁基板201の他方の主面(裏面)上に、粘着剤221によって貼り付けられている。また、偏光板407は、対向基板400を構成する絶縁基板401の他方の主面(裏面)上に、粘着剤406によって貼り付けられている。
【0022】
なお、アレイ基板200はマトリクス状に配置された複数の画素を有している。画素は、TFT211及び画素電極213等をそれぞれ有している。各表示画素PXは、アレイ基板200の画素を有している。
【0023】
ところで、カラー表示対応の液晶表示装置においては、図3に示すように、画素電極213の下層に層間絶縁膜218として、カラーフィルタ層CF(R、G、B)が配置されている。なお、図3は、アレイ基板200を行方向(信号線Xを横切る方向)の断面図である。図3に示した例では、カラーフィルタ層CF(R、G、B)は、例えば、赤、緑、青にそれぞれ着色されたネガタイプのカラーレジストによって形成されており、それぞれ赤色、緑色、及び青色の各色成分の光を透過する。
【0024】
各色のカラーフィルタ層CF(R、G、B)は、対応する色の表示画素PX毎に割り当てられている。すなわち、赤色カラーフィルタ層CFR、緑色カラーフィルタ層CFG、及び、青色カラーフィルタ層CFBは、それぞれ赤色表示画素PXR、緑色表示画素PXG、青色表示画素PXBに配置されている。
【0025】
そして、各々のカラーフィルタ層CFR,CFG,CFBは、隣り合うカラーフィルタ層と信号線X上の領域で欠落部218aを有して形成されている。この欠落部218aは、後のリペア工程で欠陥画素の画素電極213に遮光性インクを塗布する際に、過剰に塗布されたインクが隣の画素へ流出しないよう、インク隔離部として働く。即ち、過剰にインクが塗布された場合に、この間隙にインクが流れ込むいわゆるドレンとして働くことで隣の画素電極213上への流出を防ぐものである。なお、欠落部218aは、カラーフィルタ層が完全に除去されていない状態であっても他の部分より薄く窪んでいる構造でも良く、凹状部であれば良い。
【0026】
次にアレイ基板200の製造方法について説明する。
【0027】
まず、図4に示すように、絶縁基板201上において、金属膜及び絶縁膜の成膜とエッチングとを繰り返し行うことにより、走査線Yや信号線Xの他に、各表示画素PXに対応したTFT211などを形成する。図4は、信号線Xを横切る方向の断面図のため、ゲート絶縁膜214、絶縁膜217及び信号線Xのみが図示されている。
【0028】
続いて、図5に示すように、基板表面に層間絶縁膜218を配置する。すなわち、TFT211等を備えた絶縁基板201の表面に、層間絶縁膜218として、各表示画素PX(R、G、B)に対応した色に着色されたカラーフィルタ層CF(R、G、B)を配置する。このカラーフィルタ層CF(R、G、B)は、例えば以下のようにして形成される。
【0029】
まず、緑色の有機顔料を分散させた紫外線硬化型アクリル樹脂レジストCG−2000(富士フィルムオーリン(株)製)を、スピンナーなどにより、TFT211などを覆うように絶縁基板201の全面に塗布する。その後に、緑色表示画素PXGに対応するストライプ状且つ、TFT211まで貫通するコンタクトホールCHに対応したパターンを有するフォトマスクを介して波長365nmの紫外光線を100mJ/cmの露光量で露光する。そして、露光されたレジストをKOHの1%水溶液で20秒間現像した後、乾燥する。これにより、コンタクトホールCHを有したストライプ状の緑色カラーフィルタ層CFGが形成される。
【0030】
同様にして、青色の有機顔料を分散させた紫外線硬化型アクリル樹脂レジストCB−2000(富士フィルムオーリン(株)製)を用いて、コンタクトホールCHを有したストライプ状の青色カラーフィルタ層CFBが形成された後に、赤色の有機顔料を分散させた紫外線硬化型アクリル樹脂レジストCR−2000(富士フィルムオーリン(株)製)を用いて、コンタクトホールCHを有したストライプ状の赤色カラーフィルタ層CFRが形成される。この実施の形態では、カラーフィルタ層CF(R、G、B)の膜厚は3.0±0.3μmとした。そしてこのときそれぞれの色のカラーフィルタ層CF(R,G,B)は隣り合うカラーフィルタ層CFと信号線X上にて間隙を有してパターニングされる。本実施の形態においてはこの間隙の幅は2μmとした。この間隙が欠落部218aとなり、後のリペア工程でのインク隔離部となるものである。
【0031】
なお、ここでは、カラーフィルタ層CF(R、G、B)は、緑色カラーフィルタ層CFG、青色カラーフィルタ層CFB、赤色カラーフィルタ層CFRを順に形成したが、上述した形成順序に限らず、それぞれのカラーフィルタ層CF(R、G、B)の特性に応じて種々変更可能であることはいうまでもない。
【0032】
また、樹脂レジストを露光するための露光装置としては、プロキシミティ露光装置が生産性の上からは好適であるが、この実施の形態では、カラーフィルタ層同士の重なりバラツキを小さくするため、アライメント精度の高いミラープロジェクション露光装置を用いた。
【0033】
続いて、図6に示すように、カラーフィルタ層CF(R、G、B)上に、マトリクス状の表示画素PXに対応した画素電極213を配置する。すなわち、カラーフィルタ層CF(R、G、B)の表面にスパッタ法などにより画素電極用の導電膜例えばITO膜を1500オングストロームの膜厚で成膜する。このとき、コンタクトホールCHにもITO膜を充填する。その後、ITO膜を表示画素PXに対応した所望形状にパターニングすることにより、TFT211と電気的に接続された画素電極213が形成される。
【0034】
次に、画素電極213まで形成された状態でアレイ基板200の検査が行われる。本実施の形態においては、エレクトロンビームテスタ(EBテスタ)法を用いた。EBテスタについては後述するが、この検査で欠陥画素を検出する。
そして、図7に示すように、上記検査にて欠陥と判定された画素の画素電極213上にインクジェット法にて遮光性インクINKを塗布することにより、滅点化リペアを行った。
【0035】
さて、ここで、EBテスタ法及びインクジェット法について詳細に述べる。
まず、EBテスタ法について、図8を参照して説明する。図示しないチャンバー内に、XYステージ500があり、この上にアレイ基板200を載置する。チャンバー内を真空に引いたあと、絶縁基板201上に形成された画素電極213に電荷をチャージする。
【0036】
この電荷のチャージは、絶縁基板201の端部に形成された図示しないパッド部にプローブを当接させ電荷を与える。本実施の形態のように駆動回路がアレイ基板200上に形成されているような場合は、この駆動回路を駆動して画素電極213に電荷をチャージすることになる。このように画素電極213に印加された電荷は、画素電極213に形成される容量によって保持されることになる。この容量とは、寄生容量及び補助容量等が該当する。
【0037】
そして、例えば400ms以上の間電荷を保持させてから各画素電極213に電子ビームを照射する。この電子ビームは電子銃502から発せられ、EBカラムを介して画素電極213に照射される。そして画素電極213から放出される二次電子を検出器503にて検出し、これを信号処理回路へ送り欠陥の有無を判定し、欠陥画素のアドレスを記憶しておく。即ち、正常な画素の画素電極213に保持されている電荷量と欠陥のある画素の画素電極213に保持されている電荷量とが異なり、この電荷量に応じて放出される二次電子の違いを利用して欠陥画素を判別することになる。そして、これを全画素電極213に渡ってスキャンして行う。このとき、欠陥画素とは画素電極213の欠陥のみならずこの画素電極213に対応するTFTの欠陥や補助容量部分の欠陥等も含む。
【0038】
また、インクジェット法については図9を参照して説明する。
まず、XYステージ600上にアレイ基板200が載置される。そして、EBテスタで欠陥と判定された画素のアドレスを読み出し、XYステージを移動させ位置あわせを行う。そしてインクジェットヘッド601より黒色のインクを欠陥画素の画素電極213上へ滴下し、滅点化リペアを行う。このとき、1画素に対して一発の滴下でも良いし、微細な滴を数回に渡って1画素全体に塗布するようにしてもかまわない。これにより、少なくとも1つの欠陥画素の画素電極213上に遮光性インクINKが塗布される。また、本実施の形態においては、遮光性インクINKとして、遮光性の高い黒色のインクを用いたが、遮光性を有するものであればその効果は発揮され、例えば青色のインク等で代用してもかまわない。
【0039】
また、本実施の形態において、インク隔離部は、層間絶縁膜218の欠落部218aであるが、図10に示すように、各カラーフィルタ層CFの端部同士を意図的に重ね合わせることにより形成された凸状部218bであっても良い。欠落部218aの場合には、過剰なインクを貯めておく目的で用いるが、凸状部218bの場合には、過剰なインクを隣の画素へ流出しないための障壁として機能する。
【0040】
さらに、隣の画素電極213上への流出をより一層的確に防ぐために、例えば遮光性インクINKを塗布する前の工程で欠陥画素の画素電極213上に構造物を形成することもできる。例えば既存のレーザーCVD法等を用いることにより、図11に示すように、画素電極213の周囲を包囲するようにタングステン等の金属で構造物800を形成しても良い。なお、構造物800がインク隔離部として機能することは言うまでもない。
【0041】
この場合は、上記したインク隔離部よりも内側に障壁が存在する構成となり、より一層隣の画素へのインク流出を防止することができる。また、包囲する形状でなくとも、他の形状、例えば一例として図12に示すような形状の構造物800としてもよい。この場合は、障壁にはならないが、構造物800の存在のため表面張力が働き、簡単に言えばインクが「捕まる」ため、無駄に広がることを防止できる。
【0042】
また、本実施の形態においては、層間絶縁膜218をカラーフィルタ層CFとしたが、透明膜とした場合でもかまわない。
また、本実施の形態においては、画素電極213を透明導電膜とし、透過型の液晶表示装置を例に取って説明したが、画素電極213を反射部材とし、反射型の液晶表示装置に用いるアレイ基板200としてもかまわない。
【0043】
さらに、本実施の形態においては、カラーフィルタ層CFをストライプ形状としたため、行方向に隣あう画素間にのみインク隔離部を形成したが、もちろん列方向に隣り合う画素間にも同様のインク隔離部を形成してもかまわない。
また、本実施の形態においては、欠陥画素の検出にEBテスタを用いたが、電気的なテスタを用いてもかまわない。
【0044】
また、本実施の形態においては、インク隔離部としての欠落部218aを層間絶縁膜218を露光現像することにより形成したが、層間絶縁膜218を通常通り形成した後、レーザー等を用いて加工することにより欠落部218aを形成することも可能である。
また、インク隔離部として、欠落部218aの替わりに、層間絶縁膜218における隣合う画素電極213間の領域を表面改質した構造とすることもできる。この場合、表面改質により他の部分よりも撥水性を大きくする。一例として、パーフルオロアルキル系、フルオロ系、トリフルオロメチル系の化合物等を塗布することにより、撥水性を大きくすることが可能である。
【0045】
また、画素電極213上に遮光性インクINKが満遍なく広がるようにするために、欠陥画素の画素電極213上を例えばプラズマ処理などを施すことも可能である。
【0046】
また、層間絶縁膜218は、例えばゼラチン等のインク受容層等で形成しても良い。この場合、カラーフィルタ層CF自体もこの受容層に各色のインクを滴下することにより形成できる。
なお、この発明は、上述したようにこの発明の範囲内で種々変形可能であり、上述した実施の形態に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の実施の形態におけるアレイ基板を用いた液晶表示装置の概略斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態におけるアレイ基板を用いた液晶表示装置の概略断面図である。
【図3】本発明の実施の形態におけるアレイ基板の概略断面図である。
【図4】本発明の実施の形態におけるアレイ基板の製造方法を示す断面図である。
【図5】図4に続く、上記アレイ基板の製造方法を示す断面図である。
【図6】図5に続く、上記アレイ基板の製造方法を示す断面図である。
【図7】図6に続く、上記アレイ基板の製造方法を示す断面図である。
【図8】本発明の実施の形態におけるEBテスタ装置の概略図である。
【図9】本発明の実施の形態におけるインクジェット装置の概略図である。
【図10】本発明の他の実施の形態におけるアレイ基板の概略断面図である。
【図11】本発明の他の実施の形態における画素電極及び構造物を示す概略平面図である。
【図12】本発明の他の実施の形態における画素電極及び構造物を示す概略平面図である。
【符号の説明】
【0048】
200…アレイ基板、201…絶縁基板、211…TFT、213…画素電極、218…層間絶縁膜、218a…欠落部、218b…凸状部、400…対向基板、410…液晶層、800…構造物、CF…カラーフィルタ層、CFR…赤色カラーフィルタ層、CFG…緑色カラーフィルタ層、CFB…青色カラーフィルタ層、INK…遮光性インク、X…信号線、Y…走査線。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に行方向に形成された複数の走査線と、
前記基板上に列方向に形成された複数の信号線と、
前記走査線と前記信号線との交点部近傍に形成された複数のスイッチング素子と、
前記走査線、前記信号線及び前記スイッチング素子を覆って前記基板上に形成された層間絶縁膜と、
前記層間絶縁膜上に形成され、前記スイッチング素子に接続された複数の画素電極と、
前記複数の画素電極の少なくとも1つの画素電極上に塗布された遮光性インクと、
前記遮光性インクが塗布された前記画素電極に隣合う前記画素電極上への前記遮光性インクの流出を防止するインク隔離部と、を備えていることを特徴とするアレイ基板。
【請求項2】
前記インク隔離部は、前記隣合う画素電極間の隙間に対向した前記層間絶縁膜に設けられた凹状部にて形成されていることを特徴とする請求項1記載のアレイ基板。
【請求項3】
前記インク隔離部は、前記隣合う画素電極間の隙間に対向した前記層間絶縁膜に設けられた凸状部にて形成されていることを特徴とする請求項1記載のアレイ基板。
【請求項4】
前記層間絶縁膜は、複数色の複数のカラーフィルタ層であることを特徴とする請求項1記載のアレイ基板。
【請求項5】
前記層間絶縁膜は、複数色の複数のカラーフィルタ層であり、
前記凸状部は、隣合う前記カラーフィルタ層の端部同士が重なり合って形成されていることを特徴とする請求項3記載のアレイ基板。
【請求項6】
前記インク隔離部は、前記層間絶縁膜の表面改質にて形成されていることを特徴とする請求項1記載のアレイ基板。
【請求項7】
基板上に、複数の走査線、複数の信号線及び複数のスイッチング素子を形成し、
前記基板上に層間絶縁膜を形成し、
前記層間絶縁膜上に複数の画素電極を形成し、
前記画素電極が形成された前記基板の欠陥の有無を検査し、
前記検査により欠陥とされた部分の画素電極上に遮光性インクを塗布し、
前記遮光性インクを塗布する前に、前記遮光性インクが塗布される前記画素電極に隣合う前記画素電極上への前記遮光性インクの流出を防止するインク隔離部を形成することを特徴とするアレイ基板の製造方法。
【請求項8】
前記遮光性インクを塗布する際は、インクジェット法を用いて行うことを特徴とする請求項7記載のアレイ基板の製造方法。
【請求項9】
前記検査する際は、前記画素電極に電子ビームを照射して前記画素電極から放射される二次電子を検出することにより行うことを特徴とする請求項7記載のアレイ基板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−156088(P2007−156088A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−350735(P2005−350735)
【出願日】平成17年12月5日(2005.12.5)
【出願人】(302020207)東芝松下ディスプレイテクノロジー株式会社 (2,170)
【Fターム(参考)】