説明

アレルゲン不活化剤、及びそれを含有するアレルゲン不活化用製品。

【課題】本発明の課題は、アレルゲンタンパクを強力に捕捉することにより不活化するアレルゲン不活化剤を提供すると共にそれを配合した化粧料又はアレルゲン不活化用製品を提供することである。
【解決の手段】アレルゲン不活化剤として粒子サイズ150μm以下のシリカ、微粒子酸化亜鉛およびゼオライトの1種又は2種以上を含有し、水分保持能の高い保湿剤を併用することによって、アレルゲンタンパクを強力に捕捉ことにより不活化するアレルゲン不活化剤を提供することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アレルゲンを不活性化させる粉体材料に関し、更に、それを配合する化粧料又はアレルゲン不活化用製品に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、日本全国の花粉症の有症患者数は2,000万人以上に及ぶとも言われ、日本国民のおよそ5人に1人が花粉症と言われている。患者数増加の背景には、アレルゲンとなる花粉の飛散量の増加、住環境の変化等が考えられる。
【0003】
花粉自体の飛散量が増えた背景には、戦後の日本の植林の影響が考えられる。スギは昭和33年〜47年にかけて植えられたものが杉人工林全体の47%を占める。30年程度の時間を経て、スギが花粉を盛んに生産するようになったことで飛散量が増えたと考えられる。
【0004】
飛散する花粉を避ける方法として、マスクや眼鏡の使用により直接の接触を避けるという方法があるが、接触を完全に避けることは事実上無理であり、ゆえに花粉自体の無害化が最も望ましい花粉症の解決方法であると考えられる。
【0005】
従来、花粉アレルゲンを不活性化する技術が種々提案されている。例えば、花粉アレルゲン不活性化用スプレー(特許文献1参照)、花粉アレルゲンを吸着し不活性化するフィルター(特許文献2参照)、熱、アルカリ、酸又はプロテアーゼの存在下に花粉アレルゲンを維持することにより花粉アレルゲンを不活性化する方法(特許文献3,4参照)、柿抽出物を含むハウスダスト処理剤(特許文献5参照)、イチョウの葉部、黄杞の葉部、茶の葉部、レモンバームの葉部及び茎部、キャベジローズの花部及び蕾部、並びにピーナッツの渋皮を含むアレルゲン不活化剤(特許文献6参照)、茶抽出物、ハイドロキシアパタイト
、エピカテキン、エピガロカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレート、没食子酸及び没食子酸と炭素数1から4までのアルコールとのエステル化合物を含む抗アレルゲン組成物(特許文献7参照)、アルコール等の有機溶剤、タンニン酸等のポリフェノール類、ハイドロキシアパタイト、カチオン系界面活性剤(特にグアニジノ基を有し、かつ界面活性能を有する化合物またはその塩)を含む抗アレルゲン組成物(特許文献8参照)等が提案されている。
【0006】
また、近年、室内環境の快適化と引き換えにダニ類の繁殖が助長されており、屋内でのダニ類の繁殖に伴い、コナヒョウヒダニ(Dermatophagoides
farinae)、ヤケヒョウヒダニ(Dermatophagoides
pteronyssinus)等のチリダニ科ヒョウヒダニ属に属するダニをアレルゲンとするアレルギー性疾患が問題となっている。これらのダニは、アレルギー性喘息、鼻炎、結膜炎、アトピー性皮膚炎等のI型アレルギー性疾患の一因と考えられている。
【0007】
ダニをアレルゲンとするアレルギー性疾患の対策としては、アレルゲンであるダニを駆除して、ダニを生活環境中から排除することが考えられる。しかしながら、ダニを駆除したとしても、ダニの死骸、ダニの糞からも強力なアレルゲン物質が生活環境中に放出されるため、ダニアレルゲンを根本的に排除することができず、ダニによるアレルギー性疾患を解決することは困難である。したがって、ダニアレルゲン(ダニ、ダニの死骸及び糞等)を根本的に排除する技術が求められている。従来、ダニアレルゲンを根本的に排除する技術として、ローズマリー抽出物を含浸させた多孔性吸着剤を屋内に散布し、数時間経過後に電気掃除機等により吸引する技術(特許文献9参照)等が提案されている。
【特許文献1】特開2002−128659号公報
【特許文献2】特開2000−5531号公報
【特許文献3】特開2003−180865号公報
【特許文献4】特開2004−89673号公報
【特許文献5】特開2002−128680号公報
【特許文献6】特開2006−143700号公報
【特許文献7】特開平06−279273号公報
【特許文献8】特開2000−264837号公報
【特許文献9】特開平06−256128号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、化粧料に使用可能な安全性の高い粉体材料から、花粉アレルゲン及び/又はダニアレルゲンを不活性化する物質を見出し、それを利用したアレルゲン不活性化剤を提供し、それを配合した化粧料又はアレルゲン不活化用製品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明者らは、鋭意検討の結果、平均粒子サイズ150μm以下のシリカ、微粒子酸化亜鉛及びゼオライトにアレルゲン不活性化効果を見出し、本発明を完成するに至った。なお、上記アレルゲン不活性化剤の不活性化対象としてのアレルゲンは、花粉アレルゲン及び/又はダニアレルゲンである。
【発明の効果】
【0010】
本発明のアレルゲン不活性化剤は、花粉アレルゲン及び/又はダニアレルゲンを不活性化することにより、花粉アレルゲン及び/又はダニアレルゲンにより引き起こされる花粉症や喘息やアトピ―性皮膚炎といったアレルギー症状の原因を予防、治療又は改善することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明では、アレルゲン不活化剤として平均粒子サイズ150μm以下のシリカ、微粒子酸化亜鉛及びゼオライトの1種又は2種以上を含有し、水分保持能の高い保湿剤を併用することによって可能となった。
【0012】
本発明に使用する「シリカ」とは、二酸化ケイ素(SiO2)のことであり、シリカ (silica)、無水ケイ酸とも呼ばれるケイ素の酸化物で、地殻を形成する物質のひとつとして重要である。圧力、温度の条件により、多様な結晶相(結晶多形)が存在する。結晶は共有結合結晶であり、ケイ素原子を中心とする正四面体構造が酸素原子を介して無数に連なる構造をしている。電球の内側に、明る過ぎないようにするため塗料として塗られ、無機ガラスの主成分である。そして、粉体化粧料の基剤としても使用される。また、平均粒子がサイズ150μmより大きい場合は、アレルゲン不活化効果はある程度有するものの、製剤化した場合にざらつき等を感じ、使用感触に不具合を感じる場合がある。
【0013】
本発明に使用する「酸化亜鉛」とは、酸化亜鉛(ZnO)のことであり、亜鉛華とも呼ばれる。工業的には金属亜鉛を熱して気化させ、空気で燃焼させるか、硫酸亜鉛または硝酸亜鉛を焼くことで得られる。粒子が細かく、鉛白より被覆力は劣るが毒性がなく、硫化水素で黒変しないことから白色顔料として重要である。その他亜鉛華軟膏・亜鉛華澱粉などの医薬品あるいは化粧品などの原料となる。
【0014】
本発明に使用する「ゼオライト」とは、結晶中に微細孔を持つアルミノ珪酸塩の総称である。日本名は沸石(ふっせき)と呼ばれる。分子ふるい、イオン交換材、触媒、吸着材として利用されている。現在ではさまざまな性質を持つゼオライトが人工的に合成されており、工業的にも重要な物質となっている。
【0015】
本発明は、粉体のみでも、水が存在する環境下でもその機能を十分発揮することができる。そして、粉体表面が濡れた状態であれば、更にアレルゲンを捕捉する効力を増し、アレルゲン不活化作用を発揮する。
【0016】
本発明における「保湿剤」は、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、1,2−ペンタンジオール、ジグリセリンなどの多価アルコールやヒアルロン酸、アルギン酸、カラギーナン、寒天、キサンタンガムなどの天然高分子又はカルボキシルビニルポリマーなどの合成高分子を使用することができる。また、本発明における「保湿剤」の配合量は、本発明の効果を有する範囲であれば特に制限はないが、多価アルコールの場合は0.1〜20.0重量%が好ましく、天然高分子又はカルボキシルビニルポリマーなどの合成高分子の場合は、0.001〜0.1重量%が好ましい。
【0017】
本発明のアレルゲン不活性化剤は、平均粒子サイズ150μm以下のシリカ、微粒子酸化亜鉛及びゼオライトの花粉アレルゲン不活性化作用を通じて、I型アレルギー性疾患を引き起こす花粉アレルゲンを不活性化し、スギ花粉等の花粉アレルゲンにより引き起こされる花粉症を予防、治療又は改善することができるとともに、本発明の粉体が有するダニアレルゲン不活性化作用を通じて、I型アレルギー性疾患を引き起こすダニアレルゲンを不活性化し、ダニアレルゲンにより引き起こされるアレルギー性喘息、鼻炎、結膜炎、アトピー性皮膚炎等のI型アレルギー性疾患を予防、治療又は改善することができる。
【0018】
花粉アレルゲンは、I型アレルギー性疾患を引き起こす作用を有する花粉であれば特に限定されるものではなく、例えば、スギ花粉、ヒノキ花粉、ブタクサ花粉、カモガヤ花粉等が挙げられ、本発明の花粉アレルゲン不活性化剤は、特にスギ花粉に対して有効である。また、ダニアレルゲンは、I型アレルギー性疾患を引き起こす作用を有するダニ等であれば特に限定されるものではなく、例えば、コナヒョウヒダニ(Dermatophagoides
farinae)、ヤケヒョウヒダニ(Dermatophagoides
pteronyssinus)等のチリダニ科ヒョウヒダニ属に属するダニ、これらのダニの糞及び死骸等が挙げられる。
【0019】
本発明の化粧料、家屋用スプレー、フィルター類等における平均粒子サイズ150μm以下のシリカ、微粒子酸化亜鉛及びゼオライトの配合量は特に限定されるものではないが、総量を基準として0.001〜20.0重量%が好ましく、0.01〜5.0重量%であることがより好ましい。配合量が0.001重量%未満であると、本発明の効果が充分に得られない場合があり、一方20.0重量%を超えても、その増量に見合った効果の向上は認められない場合があるからである。
【0020】
本発明の化粧料及び家屋用スプレーは上記必須成分のほか、水性成分、油性成分、植物抽出物、動物抽出物、粉末、賦形剤、界面活性剤、油剤、アルコール、pH調整剤、防腐剤、酸化防止剤、増粘剤、色素、香料等を必要に応じて混合して適宜配合することにより調製される。本発明の化粧料、皮膚外用剤の剤型は特に限定されず、化粧水、乳液、クリーム、パック、パウダー、スプレー、軟膏、分散液、洗浄料、及び液体状等種々の剤型とすることができるが、ここに挙げた例に限定されるものではない。
【実施例】
【0021】
以下に実施例を挙げて本発明を説明する。なお、本実施例により本発明が限定されるものではない。
【0022】
「試験方法及び評価方法」
〔試験例1〕スギ花粉アレルゲン不活性化試験
(1)スギ花粉アレルゲン不活性化反応
各試料を2mgずつ96wellマイクロプレートに添加する。0.1%ウシ血清アルブミン含有PBS溶液に抗原(スギ花粉抗原:Cry j 1,生化学工業社製)を溶解した2ng/mLの抗原溶液を上記マイクロプレートに120μLずつ添加し、室温で2時間振とうする。振とう後、マイクロプレートの各wellからマイクロチューブにダニアレルゲン溶液を採取し、3,000rpmで5分遠心分離する。遠心分離後の上清を120μL採取し、当該溶液中に存在するスギ花粉アレルゲン濃度(ng/mL)を下記に示すサンドイッチELISA法により測定した。
【0023】
(2)スギ花粉アレルゲン濃度の定量(サンドイッチELISA法)
10μg/mLのコーティング溶液(製品名:抗Cry j 1モノクローナル抗体013,生化学工業社製)100μLをELISAプレートの各wellに添加し、室温で2時間静置した。その後、コーティング溶液を除去し、0.1%ウシ血清アルブミン含有PBS溶液を250μL添加し、4℃で一晩静置した。一晩静置後、0.1%ウシ血清アルブミン含有PBS溶液を除去し、2時間振とうさせた上記スギ花粉アレルゲン溶液100μLを添加して、室温で2時間振とうした。
【0024】
スタンダードとして、スギ花粉アレルゲン(製品名:精製花粉抗原Cry j 1,生化学工業社製)を0.1%ウシ血清アルブミン含有PBS溶液に溶解し、4ng/mL、2ng/mL、1ng/mL、0.5ng/mL、0.25ng/mLの検量線用標準溶液を調製した。各濃度の検量線用標準溶液100μLをELISAプレートに添加して、室温で2時間振とうした。振とう後、ELISAプレートを、0.05%Tween20を含むPBS溶液300μLで3度洗浄後、1000倍に希釈したスギ花粉アレルゲンモノクローナル抗体(製品名:西洋ワサビペルオキシダーゼ標識抗Cry j 1モノクローナル抗体053,生化学工業社製)を100μL添加して、室温で2時間振とうした。そして、ELISAプレートを、0.05%Tween20を含むPBS溶液300μLで3度洗浄後、0.5mg/mLの基質溶液100μLを添加して室温で発色させ、3〜5分間反応させた後に2N
硫酸を100μL加えて反応を停止させ、20分以内にマイクロプレートリーダーにより490nmの吸光度を測定した。
【0025】
検量線用標準溶液の吸光度から得られる検量線を用いて、試料添加スギ花粉アレルゲン溶液中のスギ花粉アレルゲン濃度及び試料無添加スギ花粉アレルゲン溶液中のスギ花粉アレルゲン濃度を定量した。当該定量結果を用いて、下記の式に基づき、スギ花粉アレルゲン不活性化率(%)を算出した。
【0026】
検量線用標準溶液の吸光度から得られる検量線を用いて、試料添加スギ花粉アレルゲン溶液中のスギ花粉アレルゲン濃度及び試料無添加スギ花粉アレルゲン溶液中のスギ花粉アレルゲン濃度を定量した。当該定量結果を用いて、下記の式に基づき、スギ花粉アレルゲン不活性化率(%)を算出した。
スギ花粉アレルゲン不活性化率(%)=(B−A)/B×100
ただし、式中、Aは「試料添加スギ花粉アレルゲン溶液中のスギ花粉アレルゲン濃度(ng/mL)」を表し、Bは「試料無添加スギ花粉アレルゲン溶液中のスギ花粉アレルゲン濃度(ng/mL)」を表す。
【0027】
【表1】

【0028】
平均粒子サイズ150μm以下のシリカ、微粒子酸化亜鉛及びゼオライトは、特許文献7及び特許文献8に示されるヒドロキシアパタイトよりもスギ花粉アレルゲン不活化作用が強いことを確認した。
【0029】
〔試験例2〕ダニアレルゲン不活性化試験
各試料を2mgずつ96wellマイクロプレートに添加する。0.05% Tween20含有PBS溶液に抗原(精製ダニ抗原Der
fII)を溶解した400ng/mLの抗原溶液を上記マイクロプレートに100μLずつ添加し、室温で2時間振とうする。振とう後、マイクロプレートの各wellからマイクロチューブにダニアレルゲン溶液を70μLずつ採取し、3000rpmで5分遠心分離する。遠心分離後の上清を50μL採取し、当該溶液中に存在するダニアレルゲン濃度(ng/ml)を下記に示すサンドイッチELISA法により測定した。
【0030】
(2)ダニアレルゲン濃度の定量(サンドイッチELISA法)
2μg/mLのコーティング溶液(製品名:抗Derf IIモノクローナル抗体15E11,生化学工業社製)50μLをELISAプレートの各wellに添加し、室温で2時間静置した。その後、コーティング溶液を除去し、PBS300μLで3回洗浄後、1%ウシ血清アルブミン含有PBS溶液を200μL添加し、室温で1時間放置した。一時間静置後、0.05%Tween20含有PBS300μLで各wellを3回洗浄、標準溶液、検液を50μLずつ添加し、室温で2時間静置した。0.05%
Tween 20含有PBS
300μLで各wellを3回洗浄、250pg/mLの西洋ワサビペルオキシダーゼ標識抗Der f IIモノクローナル抗体13A4pを50μL添加し、室温で2時間静置した。0.05%
Tween 20含有PBS
300μLで各wellを3回洗浄後、0.1Mクエン酸、リン酸緩衝液(pH5.0)10mLに対して、o−フェニレンジアミン4mg、3%過酸化水素を20μLの割合で加える。基質溶液を1wellに100μLずつ加え、15分程度静置した後、2N
硫酸を1wellにつき100μLずつ加え、酵素反応を停止した。硫酸添加後30分以内にプレートリーダーでA490−650の吸光度を測定した。
【0031】
検量線用標準溶液の吸光度から得られる検量線を用いて、試料添加ダニアレルゲン溶液中のダニアレルゲン濃度及び試料無添加ダニアレルゲン溶液中のダニアレルゲン濃度を定量した。当該定量結果を用いて、下記の式に基づき、ダニアレルゲン不活性化率(%)を算出した。
ダニアレルゲン不活性化率(%)=(B−A)/B×100
式中、Aは「試料添加ダニアレルゲン溶液中のダニアレルゲン濃度(ng/mL)」を表し、Bは「試料無添加ダニアレルゲン溶液中のダニアレルゲン濃度(ng/mL)」を表す。
上記試験の結果を表2に示す。
【0032】
【表2】

【0033】
平均粒子サイズ150μm以下のシリカ、微粒子酸化亜鉛及びゼオライトは、特許文献7及び8に示されるヒドロキシアパタイトよりもダニアレルゲン不活化作用が強いことを確認した。
【0034】
〔ダニアレルゲン不活化試験〕
表3に示した処方でスプレーを作成し、それぞれを不織布製のシートに吹きかけ、10分間放置した。300mm×300mmのプラスティック製のボックスを準備し、両側面に50mmの穴をあけ片面に実施例1〜5及び比較例1及び2の液を其々吹きかけて乾燥したシートを設置した。ボックス内に100ng/mLのダニアレルゲン水溶液を約10mL噴霧し、1時間放置後、ホース中間部にメンブランフィルターを装着した掃除機でシートを設置した面を吸引した。メンブランフィルターをPBS5mLに浸漬し、よく攪拌した後、溶液中のダニアレルゲン濃度をサンドイッチELISA法にて測定した。
【0035】
【表3】

【0036】
表4で示す基準にて評価した結果を表5に示す。
【0037】
【表4】

【0038】
【表5】

【0039】
アレルゲン不活化剤を配合していないスプレーを吹き付けたシート(比較例1)と比較して、アレルゲン不活化剤を配合したシート(比較例2、実施例1〜6)のアレルゲン量が低下した。また、ハイドロキシアパタイト(比較例2)と比較しても本発明の粉体(実施例1〜6)のほうがアレルゲンの低下が著しかった。更に、保湿剤を含有しない実施例3と比較して、保湿剤を含有する実施例1、実施例2及び実施例4〜実施例6がアレルゲンの低下が著しかった。この結果は、本発明の粉体と保湿剤を併用して配合した場合に相乗的にアレルゲン不活化効果を高めることを示している。
【0040】
以下に本発明の処方例を挙げる。
【0041】
<処方例1>化粧水
(成分名) (質量%)
シリカ(サイリシア350) 0.5
微粒子酸化亜鉛 0.1
グリセリン 5.0
ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(20E.0) 1.5
ヒアルロン酸ナトリウム 0.1
寒天 0.001
エタノール 8.0
クエン酸トリエチル 2.0
防腐剤・酸化防止剤 適量
精製水 残部
【0042】
<処方例2>乳液
(成分名) (質量%)
シリカ(エロジール200) 0.0001
ゼオライト 0.01
スクワラン 8.0
ワセリン 2.0
ミツロウ 0.5
ソルビタンセスキオレエート 0.8
ポリオキシエチレンオレイルエーテル(20E.0) 1.2
カルボキシビニルポリマー 0.2
カラギーナン 0.01
グリセリン 1.5
水酸化カリウム 0.1
エタノール 7.0
グリセリン 2.0
香料 適量
防腐剤・酸化防止剤 適量
精製水 残部
【0043】
<処方例3>軟膏
(成分名) (質量%)
シリカ(サイリシア350) 1.0
微粒子酸化亜鉛 0.5
酢酸トコフェロール 0.5
パラジメチルアミノ安息香酸オクチル 4.0
ブチルメトキシベンゾイルメタン 4.0
ステアリルアルコール 18.0
モクロウ 20.0
グリセリンモノステアリン酸エステル 0.3
ワセリン 33.0
香料 適量
防腐剤・酸化防止剤 適量
精製水 残部
【0044】
<処方例4>ゲル
〈成分名〉 (重量%)
シリカ(エロジール200) 5.0
ゼオライト 5.0
エタノール 10.0
ペクチン 1.0
キサンタンガム 0.2
アルギン酸 0.01
1,3−BG 5.0
ジグリセリン 0.5
KOH 適量
塩化ナトリウム 0.02
精製水 残部
【0045】
<処方例5>パウダリーファンデーション
〈成分名〉 (重量%)
シリカ(スパーマイクロビーズシリカC−30 10.0
微粒子酸化亜鉛 5.0
タルク 5.0
マイカ 35.0
カオリン 5.0
酸化チタン 10.0
雲母チタン 3.0
ステアリン酸亜鉛 1.0
ナイロンパウダー 10.0
スクワラン 6.0
酢酸ラノリン 1.0
モノオレイン酸ソルビタン 1.0
1,3−ブチレングリコール 2.0
防腐剤・酸化防止剤 適量
色顔料 適量
【0046】
<処方例6>家屋用スプレー
シリカ(サイリシア350) 2.0
1,3−ブチレングリコール 5.0
1,2−ペンタンジオール 2.0
ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(20E.0) 1.5
エタノール 15.0
防腐剤・酸化防止剤 適量
精製水 残部
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明は、アレルゲンによる痒みや炎症を防ぎ、アレルギーの原因となるアレルゲンを直接捕捉し、花粉症や喘息やアトピ―性皮膚炎といったアレルギー症状の原因を予防、治療又は改善することが可能となるため、室内用ミスト・スプレー、繊維、不織布、紙、フィルターなどのようなアレルゲン不活化用製品に広く応用が期待できる。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリカ及び/又は酸化亜鉛及び/又はゼオライトと保湿剤を有効成分として含有することを特徴とするアレルゲン不活性化剤。
【請求項2】
シリカの平均粒子サイズが150μm以下であることを特徴とする請求項1記載のアレルゲン不活化剤。
【請求項3】
保湿剤が、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、1,2−ペンタンジオール、ジグリセリン、ヒアルロン酸、アルギン酸、カラギーナン、寒天、キサンタンガム、カルボキシルビニルポリマーであることを特徴とする請求項1記載のアレルゲン不活化剤。
【請求項4】
アレルゲンが、花粉アレルゲン及び/又はダニアレルゲンであることを特徴とする請求項1記載のアレルゲン不活性化剤。
【請求項5】
請求項1記載のアレルゲン不活性化剤を配合することを特徴とする化粧料。
【請求項6】
請求項1記載のアレルゲン不活化剤を配合することを特徴とするアレルゲン不活化用スプレー。

【公開番号】特開2008−248043(P2008−248043A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−89938(P2007−89938)
【出願日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(591230619)株式会社ナリス化粧品 (200)
【Fターム(参考)】