説明

アンテナ制御システム及びBSモデム

【課題】BSモデムに接続された給電線の内部導体と外部導体が短絡した際に、当該短絡を即座に認識し、速やかに作業者に通知することが可能なアンテナ制御システム及びBSモデムを提供する。
【解決手段】AISGデバイス17と、AISGデバイス17に制御信号と電源信号を送信する制御装置16と、給電線12の途中に設けられ、制御装置16から入力された制御信号を変調した変調信号と電源信号を給電信号に重畳して出力するBSモデム2と、BSモデム2から入力された給電信号から変調信号と電源信号を分離し、変調信号を復調した制御信号と電源信号をAISGデバイス17に出力するアンテナモデム14とを備え、BSモデム2は、その電源信号を伝送する電源ライン4の途中に、電源ライン4に流れる電流が所定の閾値以上となったときに、給電線12の短絡を検知し警報を発する短絡監視回路3を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、AISG(Antenna Interface Standards Group)規格に準拠してアンテナの制御を行うアンテナ制御システム及びBSモデムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
移動通信用の無線基地局では、一般に、アンテナのチルト制御を遠隔制御により行えるようになっている。当初は、アンテナの制御方式としてメーカーごとに独自の方式を用いていたが、近年のLTE(Long Term Evolution)無線基地局などでは、アンテナの制御をAISG規格で行うことが多くなっている。AISG規格は、アンテナの基本的な相互運用を確実にすべく標準化された規格である(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
通常、無線基地局のアンテナや、アンテナの制御を行うRET(Remote Electrical Tilt)ユニットなどのAISGデバイス(AISG端末機器)は、鉄塔の上部やビルの屋上など高い位置に配置される。他方、アンテナに給電を行う無線機や、AISGデバイスを制御する制御装置(AISG制御装置)は、鉄塔の下部など低い位置に配置されるのが一般的である。ここで、制御装置は、AISGデバイスに制御信号(RS485規格信号)を送信し、AISGデバイスを制御してアンテナの制御を行うと共に、AISGデバイスに電源を供給するものである。
【0004】
アンテナと無線機とは同軸ケーブルからなる給電線(RF給電線)により接続され、AISGデバイスと制御装置とはAISG規格に準拠した制御ケーブル(AISG制御ケーブル)により接続されるので、例えばアンテナとAISGデバイスを鉄塔の上部に、無線機と制御装置を鉄塔の下部に配置する場合には、鉄塔の上部から下部にわたって、給電線と制御ケーブルの2本のケーブルが敷設されることになる。
【0005】
しかし、例えば数十mと高い鉄塔においては、鉄塔の上部から下部にわたってケーブルを敷設することは非常に手間がかかり、工事にかかるコストも高くなってしまう。この問題を解決するため、AISG規格では、コアキシャルインターフェイス(Coaxial Interface)またはモデムオプション(Modem Option)と呼ばれる方式(以下、コアキシャルインターフェイス方式と呼称する)が規定されている。
【0006】
図14に示すように、コアキシャルインターフェイス方式を用いたアンテナ制御システム141では、アンテナ10と無線機11とを接続する給電線12の途中に、BSモデム13とアンテナモデム14と呼ばれる2つのモデムを設け、これらBSモデム13とアンテナモデム14を使用して、給電線12を経由してAISGデバイス17用の制御信号や電源信号を伝送する。
【0007】
BSモデム13は、無線機11の近傍(例えば鉄塔の下部)に設けられ、制御ケーブル15を介して制御装置(AISG制御装置)16が接続される。アンテナモデム14は、アンテナ10の近傍(例えば鉄塔の上部)に設けられ、制御ケーブル15を介してAISGデバイス17が接続される。
【0008】
図15に示すように、BSモデム13では、制御装置16から入力AISGコネクタ21を介して入力された制御信号(RS485A,RS485B)を、モデム回路22にて変調して変調信号を生成し、その変調信号と制御装置16から入力された電源信号とを合成回路23で合成し、その合成した信号(AISG信号という)をバイアスT回路(Bias Tee)24に出力する。バイアスT回路24は、直流遮断用のキャパシタ(容量素子)と交流遮断用のインダクタ(誘導素子)とを組み合わせて構成され、合成回路23から入力されたAISG信号を、無線機11から入力側RFコネクタ25を介して入力された給電信号(RF信号)に重畳して、出力側RFコネクタ26からアンテナ10側の給電線12に出力する。
【0009】
図16に示すように、アンテナモデム14では、BSモデム13から入力側RFコネクタ31を介して入力された給電信号(AISG信号を重畳した給電信号)をバイアスT回路32に入力し、バイアスT回路32にて、給電信号からAISG信号を分離する。分離後の給電信号は、出力側RFコネクタ33から、アンテナ10側の給電線12に出力される。バイアスT回路32で分離されたAISG信号は、分離回路34にてさらに変調信号と電源信号とに分離され、分離された変調信号はモデム回路35で復調されて制御信号に戻され、その復調された制御信号と、分離回路34で分離された電源信号とが、出力AISGコネクタ36を介してAISGデバイス17に出力される。
【0010】
BSモデム13のモデム回路22と、アンテナモデム14のモデム回路35としては、同じ構成のものを用いるのが一般的である。図17に示すように、モデム回路22,35は、RS485インターフェイス171に入力された制御信号(RS485規格信号)を、変調回路172で変調して変調信号を生成し、生成した変調信号を方向性結合器173から外部に出力するように構成されると共に、方向性結合器173に入力された変調信号を、復調回路174で復調して制御信号に戻し、RS485インターフェイス171から外部に出力するように構成されている。モデム回路22,35の電源回路175は、制御装置16から供給される電源を利用し、入力される電源電圧をモデム回路22,35用の電圧に変換して、RS485インターフェイス171、変調回路172、復調回路174に出力するように構成されている。
【0011】
このようなコアキシャルインターフェイス方式を採用することにより、鉄塔の上部から下部にわたって給電線12のみを敷設すればよいこととなり、工事費も含めたアンテナ制御システムのトータルコストを大幅に抑制することが可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特表2010−519804号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、従来のアンテナ制御システム141では、制御装置16からBSモデム13に電源供給された状態で、給電線12の内部導体と外部導体とが直流的に短絡した場合、給電線12に過大な直流電流が流れてしまうという問題がある。
【0014】
給電線12は同軸ケーブルからなり、接続作業時に内部導体と外部導体が剥き出しとなってしまうため、接続作業時に内部導体と外部導体が短絡してしまうことは十分に考えられる。また、作業者が給電線12をアンテナモデム14へ接続せずに、誤ってアンテナ10に接続してしまう場合も考えられる。この場合、図18に示すように、誤って接続したアンテナ10が、内部導体と外部導体を内部で短絡した構造となっているものであれば、内部導体と外部導体の短絡が発生してしまう。
【0015】
このような短絡が発生するのは給電線12の接続作業時であるため、短絡が発生した際には付近に作業者がいる場合が多い。しかし、従来のアンテナ制御システム141では、BSモデム13に接続された給電線12の内部導体と外部導体が短絡した際に、当該短絡を即座に認識して作業者に通知するような機能がなく、短絡に気が付くまでに時間を要する場合があった。
【0016】
通常、電源ラインには過大電流を阻止する電流制限素子が挿入されていることが多いため、回路等の破損に至るケースは少ないが、短絡が発生した場合には速やかに作業者に通知して、対策を講じることが望ましい。
【0017】
本発明は上記事情に鑑み為されたものであり、BSモデムに接続された給電線の内部導体と外部導体が短絡した際に、当該短絡を即座に認識し、速やかに作業者に通知することが可能なアンテナ制御システム及びBSモデムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は上記目的を達成するために創案されたものであり、AISG規格に準拠してアンテナの制御を行うAISGデバイスと、前記AISGデバイスに制御信号を送信し、前記AISGデバイスを制御して前記アンテナの制御を行うと共に、前記AISGデバイスに電源信号を送信する制御装置と、前記アンテナと該アンテナに給電を行う無線機とを接続する給電線の途中に設けられると共に、前記制御装置が接続され、前記制御装置から入力された制御信号を変調して変調信号を生成し、その変調信号と前記制御装置から入力された電源信号とを、前記無線機から入力された給電信号に重畳して、前記アンテナ側の前記給電線に出力するBSモデムと、前記BSモデムよりも前記アンテナ側の前記給電線の途中に設けられると共に、前記AISGデバイスが接続され、前記BSモデムから入力された給電信号から変調信号と電源信号とを分離すると共に、変調信号を復調して制御信号に戻し、制御信号と電源信号を前記AISGデバイスに、分離後の給電信号を前記アンテナ側の前記給電線に出力するアンテナモデムと、を備えたアンテナ制御システムにおいて、前記BSモデムは、その電源信号を伝送する電源ラインの途中に、当該電源ラインに流れる電流を監視し、前記電源ラインに流れる電流が所定の閾値以上となったときに、前記給電線の短絡を検知し、警報を発する短絡監視回路を備えたアンテナ制御システムである。
【0019】
前記短絡監視回路は、前記電源ラインの途中に設けられ、前記電源ラインに流れる電流が前記所定の閾値以上とならないように制限する電流制限素子と、該電流制限素子の入力側と出力側の電圧を比較する電圧比較回路と、該電圧比較回路が、前記電流制限素子の入力側の電圧よりも出力側の電圧が小さく、かつ、入力側の電圧と出力側の電圧の差が所定値以上と判断したとき、警報を発する警報手段と、を備えてもよい。
【0020】
前記短絡監視回路は、前記電源ラインの途中に設けられ、前記電源ラインに流れる電流を検知し、当該検知した電流に応じた電圧を出力する電流検知回路と、該電流検知回路が前記所定の閾値の電流を検知した場合の出力電圧に相当する基準電圧を発生させる基準電圧発生回路と、前記電流検知回路の出力電圧と、前記基準電圧発生回路が発生させた基準電圧とを比較する電圧比較回路と、該電圧比較回路が前記電流検知回路の出力電圧が基準電圧より大きいと判断したとき、警報を発する警報手段と、を備えてもよい。
【0021】
前記電圧比較回路は、コンパレータを有し、前記短絡監視回路は、前記コンパレータに入力される電圧が、前記コンパレータの許容電圧以下となるように制限する入力電圧制限手段をさらに備えてもよい。
【0022】
前記警報手段は、発光手段を備え、光により警報を発するように構成されてもよい。
【0023】
前記警報手段は、警告音発生手段を備え、音により警報を発するように構成されてもよい。
【0024】
前記警報手段は、短絡アラーム信号を出力するように構成されてもよい。
【0025】
前記短絡アラーム信号が、無電圧接点出力信号であってもよい。
【0026】
前記短絡アラーム信号を受信したとき、前記制御装置から入力された制御信号を変調して変調信号を生成するモデム回路と、前記給電線との間の変調信号の伝送を遮断する変調信号遮断回路をさらに備えてもよい。
【0027】
前記短絡アラーム信号を受信したとき、前記制御装置から入力された制御信号を変調して変調信号を生成するモデム回路への電源を遮断するモデム電源遮断回路をさらに備えてもよい。
【0028】
外部で発生したサージ電圧から内部回路を保護するためのサージ保護回路をさらに備えてもよい。
【0029】
また、本発明は、AISG規格に準拠してアンテナの制御を行うAISGデバイスと、前記AISGデバイスに制御信号を送信し、前記AISGデバイスを制御して前記アンテナの制御を行うと共に、前記AISGデバイスに電源信号を送信する制御装置と、前記アンテナと該アンテナに給電を行う無線機とを接続する給電線の途中に設けられると共に、前記AISGデバイスが接続され、入力された給電信号から変調信号と電源信号とを分離すると共に、変調信号を復調して制御信号に戻し、制御信号と電源信号を前記AISGデバイスに、分離後の給電信号を前記アンテナ側の前記給電線に出力するアンテナモデムと、を備えたアンテナ制御システムに用いられ、前記アンテナモデムよりも前記無線機側の前記給電線の途中に設けられると共に、前記制御装置が接続され、前記制御装置から入力された制御信号を変調して変調信号を生成し、その変調信号と前記制御装置から入力された電源信号とを、前記無線機から入力された給電信号に重畳して、前記アンテナ側の前記給電線に出力するBSモデムであって、その電源信号を伝送する電源ラインの途中に、当該電源ラインに流れる電流を監視し、前記電源ラインに流れる電流が所定の閾値以上となったときに、前記給電線の短絡を検知し、警報を発する短絡監視回路を備えたBSモデムである。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、BSモデムに接続された給電線の内部導体と外部導体が短絡した際に、当該短絡を即座に認識し、速やかに作業者に通知することが可能なアンテナ制御システム及びBSモデムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】(a)は、本発明の一実施の形態に係るアンテナ制御システムの概略構成図であり、(b)はBSモデムの概略構成図である。
【図2】(a)は図1(b)のBSモデムに用いる短絡監視回路の概略構成図であり、(b)はその回路構成図の一例を示す図である。
【図3】図2の短絡監視回路の一変形例を示す図である。
【図4】(a),(b)は、図2の短絡監視回路の一変形例を示す図である。
【図5】(a),(b)は、図2の短絡監視回路の一変形例を示す図である。
【図6】(a),(b)は、図2の短絡監視回路の一変形例を示す図である。
【図7】図2の短絡監視回路の一変形例を示す図である。
【図8】図2の短絡監視回路の一変形例を示す図である。
【図9】(a)は、短絡監視回路の他の実施の形態を示す概略構成図であり、(b)はその回路構成図の一例を示す図である。
【図10】図9の短絡監視回路で用いる電流検知回路の一例を示す概略構成図である。
【図11】図9の短絡監視回路の一変形例を示す図である。
【図12】(a),(b)は、図1(b)のBSモデムの変形例を示す概略構成図である。
【図13】図1(b)のBSモデムの変形例を示す概略構成図である。
【図14】従来のアンテナ制御システムの概略構成図である。
【図15】図14の従来のアンテナ制御システムに用いる従来のBSモデムの概略構成図である。
【図16】図14の従来のアンテナ制御システムに用いるアンテナモデムの概略構成図である。
【図17】図15のBSモデム、図16のアンテナモデムに用いるモデム回路の概略構成図である。
【図18】BSモデムから延びる給電線を誤ってアンテナに接続した際に、短絡が発生することを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の実施の形態を添付図面にしたがって説明する。
【0033】
図1(a)は、本実施の形態に係るアンテナ制御システムの概略構成図であり、図1(b)は、BSモデムの概略構成図である。
【0034】
図1(a)に示すように、アンテナ制御システム1は、AISG規格に準拠してアンテナ10の制御を行うAISGデバイス17と、AISGデバイス17に制御信号を送信し、AISGデバイス17を制御してアンテナ10の制御を行うと共に、AISGデバイス17に電源信号を送信する制御装置16と、アンテナ10とアンテナ10に給電を行う無線機11とを接続する給電線12の途中に設けられた本発明のBSモデム2と、BSモデム2よりもアンテナ10側の給電線12の途中に設けられたアンテナモデム14と、を備えている。
【0035】
AISG規格では、+12V、−48V、10〜30Vの3種類の電源が用意されており、+12V電源と−48V電源が任意接続、10〜30V電源が必須接続とされている。ここでは、一例として、必須接続の10〜30V電源を使用する場合を説明する。
【0036】
BSモデム2は、制御装置16から入力AISGコネクタ(オスコネクタ)21を介して入力された制御信号を変調して変調信号を生成し、その変調信号と制御装置16から入力された電源信号とを合成した信号(AISG信号という)を、無線機11から入力側RFコネクタ25を介して入力された給電信号に重畳して、出力側RFコネクタ26から、アンテナ10側の給電線12に出力するものである。BSモデム2の詳細については後述する。入力AISGコネクタ21は、AISG規格に準拠した一般的なコネクタ(AISGコネクタ)であり、RFコネクタ25,26は、一般的な同軸ケーブル用のコネクタである。
【0037】
アンテナモデム14は、BSモデム2から入力側RFコネクタ31を介して入力された給電信号からAISG信号を分離すると共に、AISG信号を変調信号と電源信号とに分離し、変調信号を復調して制御信号に戻し、制御信号と電源信号を出力AISGコネクタ36からAISGデバイス17に、分離後の給電信号を出力側RFコネクタ33からアンテナ10側の給電線12に出力するものである。アンテナモデム14は、従来より用いられている一般的なアンテナモデムであり、図6で説明したものと同じものである。出力AISGコネクタ36は、AISG規格に準拠した一般的なコネクタ(AISGコネクタ)であり、RFコネクタ31,33は、一般的な同軸ケーブル用のコネクタである。
【0038】
BSモデム2は、無線機11の近傍(例えば鉄塔の下部)に設けられ、制御ケーブル15を介して制御装置16が接続される。アンテナモデム14は、アンテナ10の近傍(例えば鉄塔の上部)に設けられ、制御ケーブル15を介してAISGデバイス17が接続される。
【0039】
制御ケーブル15は、図示していないが、制御信号(RS485規格信号)を伝送する2本の制御信号線と、電源信号を伝送するための電源線とを備えている。本実施の形態では、10〜30V電源のみを使用するため、制御ケーブル15としては、少なくとも、10〜30V電源線とDCリターン用の電源線の2本の電源線を備えたものを用いればよい。
【0040】
制御ケーブル15の両端には、オスコネクタ15aとメスコネクタ15bがそれぞれ設けられている。また、制御装置16には出力コネクタ(メスコネクタ)16aが、AISGデバイス17には入力コネクタ(オスコネクタ)17aが設けられている。これらコネクタ15a,15b,16a,17aは、AISG規格に準拠した一般的なコネクタ(AISGコネクタ)である。なお、図示していないが、AISGデバイス17には、出力コネクタ(メスコネクタ)が設けられており、複数台のAISGデバイス17をデイジーチェーン接続できるようになっている。
【0041】
制御ケーブル15のオスコネクタ15aを制御装置16の出力コネクタ16aに接続し、その制御ケーブル15のメスコネクタ15bをBSモデム2の入力AISGコネクタ21に接続することで、制御装置16とBSモデム2とが制御ケーブル15を介して接続される。また、BSモデム2の入力側RFコネクタ25には、無線機11から延びる給電線12が接続され、これにより、無線機11とBSモデム2とが給電線12を介して接続される。
【0042】
さらに、制御ケーブル15のオスコネクタ15aをアンテナモデム14の出力AISGコネクタ36に接続し、その制御ケーブル15のメスコネクタ15bをAISGデバイス17の入力コネクタ17aに接続することで、アンテナモデム14とAISGデバイス17とが制御ケーブル15を介して接続される。また、アンテナモデム14の出力側RFコネクタ33には、アンテナ10に延びる給電線12が接続され、これにより、アンテナモデム14とアンテナ10とが給電線12を介して接続される。
【0043】
さらにまた、給電線12の一端をBSモデム2の出力側RFコネクタ26に接続し、その給電線12の他端をアンテナモデム14の入力側RFコネクタ31に接続することで、BSモデム2とアンテナモデム14とが給電線12を介して接続される。
【0044】
次に、BSモデム2について説明する。
【0045】
図1(b)に示すように、BSモデム2は、その電源信号を伝送する電源ライン(ここでは10〜30V電源を伝送する10〜30V電源ライン)4の途中に、当該電源ライン4に流れる電流を監視し、電源ライン4に流れる電流が所定の閾値以上となったときに、給電線12の短絡を検知し、警報を発する短絡監視回路3を備えている。
【0046】
より詳細には、BSモデム2は、短絡監視回路3と、制御装置16から入力AISGコネクタ21を介して入力された制御信号を変調して変調信号を生成するモデム回路22と、制御装置16から入力AISGコネクタ21を介して入力された電源信号と、モデム回路22で生成した変調信号とを合成する合成回路23と、合成回路23で合成した信号(AISG信号という)を、無線機11から入力側RFコネクタ25を介して入力された給電信号に重畳して、出力側RFコネクタ26からアンテナ10側の給電線12に出力するバイアスT回路24と、を備えている。短絡監視回路3は、入力AISGコネクタ21と合成回路23間の電源ライン4に設けられる。
【0047】
入力AISGコネクタ21の6番(10〜30V DC)のピン端子は、内部配線により短絡監視回路3の入力端子5に電気的に接続されると共に、モデム回路22の電源回路に電気的に接続され、モデム回路22に電源が供給されるようになっている。なお、ピン端子の番号は、AISG規格により規定されている番号である(以下同様)。また、モデム回路22は、図17で説明したものと同じものである。短絡監視回路3の出力端子6は、内部配線により合成回路23の電源信号の入力と電気的に接続される。
【0048】
入力AISGコネクタ21の3,5番(RS485A,RS485B)のピン端子は、内部配線によりモデム回路22の制御信号の入出力部(RS485インターフェイス)と電気的に接続され、モデム回路22の変調信号の入出力部(方向性結合器)は、内部配線により合成回路23の変調信号の入力と電気的に接続される。
【0049】
次に、短絡監視回路3について説明する。
【0050】
図2(a)に示すように、短絡監視回路3は、電源ライン4の途中(入力端子5と出力端子6との間)に設けられ、電源ライン4に流れる電流が所定の閾値以上とならないように制限する電流制限素子7と、電流制限素子7の入力側と出力側の電圧Vin,Voutを比較する電圧比較回路8と、電圧比較回路8が、電流制限素子7の入力側の電圧Vinよりも出力側の電圧Voutが小さく、かつ、入力側の電圧Vinと出力側の電圧Voutの差が所定値以上と判断したとき、警報を発する警報手段9と、を備えている。電流制限素子7としては、ポリマー系PTC(Positive Temperature Coefficient)サーミスタ(所謂ポリスイッチ)等を用いることができる。
【0051】
短絡監視回路3の具体的な回路構成の一例を図2(b)に示す。
【0052】
図2(b)に示す短絡監視回路3では、電圧比較回路8は、出力段に電界効果トランジスタ(Field-Effect Transistor、以下FETという)42を備えたオープンドレイン型のコンパレータ41と、電流制限素子7の入力側の電圧Vinを抵抗分割するために用いる2つの抵抗R1,R2とからなる。
【0053】
コンパレータ41は、非反転入力端子46に入力された電圧が反転入力端子47に入力された電圧よりも大きいときには、FET42のゲート端子にローレベル信号が入力されてFET42がオフ状態となり、逆に、非反転入力端子46に入力された電圧が反転入力端子47に入力された電圧よりも小さいときには、FET42のゲート端子にハイレベル信号が入力されてFET42がオン状態となるものである。なお、図2(b)では、説明を容易とするため、コンパレータ41の内部回路のうちFET42のみを分けて描いている。
【0054】
コンパレータ41の正電源端子43は正電源V+に接続され、負電源端子44は接地(0Vに接続)される。また、コンパレータ41の出力端子45は、警報手段9であるLED9aと、LED9aに流れる電流を制限するための抵抗R3とを介して、正電源V+に電気的に接続される。つまり、この短絡監視回路3では、警報手段9は、発光手段であるLED9aからなり、光により警報を発するよう構成されている。なお、LED9aは、可視光型のものを用い、装置外から視認できるように実装する必要がある。
【0055】
また、短絡監視回路3では、電流制限素子7の出力側の電圧Voutをコンパレータ41の非反転入力端子46に直接入力し、電流制限素子7の入力側の電圧Vinを、抵抗R1,R2により抵抗分割し、その抵抗分割した電圧Vin’を、コンパレータ41の反転入力端子47に入力するように構成している。抵抗分割後の電圧Vin’は、下式(1)
in’=Vin・R2/(R1+R2) ・・・(1)
となり、電流制限素子7の入力側の電圧Vinよりも低くなる。
【0056】
抵抗R1,R2は、電流制限素子7による電圧降下分をVd(=Vin−Vout)とすると、下式(2)
Vd<Vin−Vin’ ・・・(2)
を満足するように設定される。つまり、抵抗R1,R2は、抵抗分割後の電圧Vin’が、電流制限素子7の入力側の電圧Vinから電流制限素子7による電圧降下分を減じた値(つまり正常時の出力側の電圧Vout)よりも小さくなるように、適宜設定される。
【0057】
短絡監視回路3では、給電線12に短絡が発生していない正常時には、電流制限素子7による電流制限が行われないので、電流制限素子7の入力側の電圧Vinと出力側の電圧Voutは殆ど同じ値となり、入力側の電圧Vinを抵抗分割した電圧Vin’は出力側の電圧Voutより低くなる。その結果、コンパレータ41のFET42がオフ状態となりLED9aに電流は流れない。
【0058】
他方、給電線12にて短絡が発生した短絡時には、電流制限素子7による電流制限が行われるので、電流制限素子7の出力側の電圧Voutが大きく低下し、入力側の電圧Vinと出力側の電圧Voutとの電位差が大きくなる。その結果、コンパレータ41のFET42がオン状態となり、FET42のドレイン端子とソース端子が導通して出力端子45が接地電位になるので、LED9aに電流が流れて、光による警報が実行される。
【0059】
このように、短絡監視回路3では、電流制限素子7の入力側の電圧Vinを抵抗R1,R2により抵抗分割した電圧Vin’と、電流制限素子7の出力側の電圧Voutを、オープンドレイン型のコンパレータ41により比較し、後者が前者より低い電圧であることを検知した際に、コンパレータ41の出力端子45に接続したLED9aに、抵抗R3により制限された電流が流れて、LED9aが発光するようになっている。
【0060】
なお、ここでは、コンパレータ41の出力端子45と正電源V+との間に、直接LED9aを挿入する場合を説明したが、これに限らず、図3に示すように、コンパレータ41の出力端子45に、LED9aを点灯もしくは点滅させるLED駆動回路48を接続し、LED駆動回路48を介してLED9aを点灯もしくは点滅させるようにしてもよい。
【0061】
また、ここでは、警報手段9として発光手段であるLED9aを用いる場合を説明したが、警報手段9は、装置付近にいる人が異常を認識できる手段であればどのようなものでも構わない。例えば、図4(a)に示すように、警報手段9として、警告音発生手段であるブザー9bを用い、音により警報を発するように警報手段9を構成してもよい。また、図4(b)に示すように、警報手段9として、LED9aとブザー9bの両方を用い、光と音により警報を発するように警報手段9を構成してもよい。
【0062】
さらには、図5(a)に示すように、コンパレータ41の出力をそのまま短絡アラーム信号として外部に出力するように構成してもよい(この場合、コンパレータ41が警報手段9を兼ねることになる)。また、図5(b)に示すように、コンパレータ41の出力端子45と正電源V+との間に継電器(リレー回路)9cを設けて、短絡アラーム信号を無電圧接点出力信号とすることも可能である。
【0063】
短絡アラーム信号を外部に出力するよう警報手段9を構成することで、遠隔地点で短絡アラーム信号を受信することが可能となるので、遠隔地点における監視が可能となる。なお、継電器9cを用いる場合は、継電器9cの接点開放時にコイルで生じる電流がコンパレータ41等の他の回路に影響を与えないように、継電器9cの入出力端子間に、出力側から入力側(図示下側から上側)に電流を流すようにダイオード9dを設けるとよい。
【0064】
なお、正電源V+の電圧が低い場合など、コンパレータ41に入力できる電圧(許容電圧)が低い場合には、図6,7に示すように、短絡監視回路3に、コンパレータ41に入力される電圧が、コンパレータ41の許容電圧以下となるように制限する入力電圧制限手段49をさらに備えてもよい。
【0065】
図6(a)に示す短絡監視回路3は、電流制限素子7の入力側の電圧Vinを抵抗R1,R2で抵抗分割して、その抵抗分割した電圧Vin’をコンパレータ41の反転入力端子47に入力すると共に、電流制限素子7の出力側の電圧Voutを抵抗R3,R4で抵抗分割して、その抵抗分割した電圧Vout’をコンパレータ41の非反転入力端子46に入力するように入力電圧制限手段49を構成したものである。この場合、正常時にVin’<Vout’となるように、各抵抗R1〜R4を設定する必要がある。
【0066】
図6(b)に示す短絡監視回路3は、図6(a)において、抵抗R2,R4に替えて、ツェナーダイオードZD1,ZD2を挿入し、ツェナーダイオードZD1,ZD2によりコンパレータ41への入力電圧を制限するように入力電圧制限手段49を構成したものである。この場合、ツェナーダイオードZD1,ZD2のツェナー電圧をVZD1、VZD2とすると、正常時にVin’<Vout’となるように、VZD1<VZD2とする必要がある(例えば、VZD1=2V、VZD2=3Vとする)。なお、ツェナーダイオードZD2のツェナー電圧VZD2は、給電線12の短絡時の電流制限素子7の出力側の電圧Voutより高い電圧とする必要がある。
【0067】
図7に示す短絡監視回路3は、図6(b)において、ツェナーダイオードZD1,ZD2により制限した電圧を、さらに抵抗分割してからコンパレータ41へ入力するように入力電圧制限手段49を構成したものである。
【0068】
図7の短絡監視回路3では、ツェナーダイオードZD1で制限した電圧Vin’をさらに抵抗R5,R6で抵抗分割し、その抵抗分割した電圧Vin”を反転入力端子47に入力するように構成し、かつ、ツェナーダイオードZD2で制限した電圧Vout’をさらに抵抗R7,R8で抵抗分割し、その抵抗分割した電圧Vout”を非反転入力端子46に入力するように構成している。この場合、正常時にVin”<Vout”となるように、ツェナーダイオードZD1,ZD2と抵抗R1,R3,R5〜R8を設定する必要がある。なお、抵抗R5〜R8によりVin”,Vout”を調整できるので、ツェナーダイオードZD1,ZD2としては、ツェナー電圧が等しいものを用いても構わない。ただし、図6(b)の場合と同様に、ツェナーダイオードZD2のツェナー電圧VZD2は、給電線12の短絡時の電流制限素子7の出力側の電圧Voutより高い電圧とする必要がある。
【0069】
なお、図2〜7では、抵抗による電圧降下を利用したり、あるいは、ツェナーダイオードにより電圧を制限することで、電流制限素子7の入力側の電圧Vinを低下させてコンパレータ41に入力するように構成したが、これに限らず、図8に示すように、電流制限素子7の入力側からコンパレータ41の反転入力端子47に至るラインの途中に、一定電圧を降下させる素子B1を挿入してもよい。
【0070】
この場合、電流制限素子7の両端電圧(電圧降下分、Vin−Vout)が、素子B1での降下電圧VB1を上回ったときに、短絡と認識して警報を発することになるので、素子B1での降下電圧VB1は、電流制限素子7による電圧降下分Vd(つまり正常時の電流制限素子7の両端電圧)よりも大きくなるように設定する必要がある。素子B1としては、例えば、ツェナーダイオードやダイオードを用いることができ、ツェナーダイオードのツェナー電圧や、ダイオードの順方向電圧降下を利用して一定電圧を降下させるよう構成することができる。
【0071】
本実施の形態の作用を説明する。
【0072】
本実施の形態に係るアンテナ制御システム1では、BSモデム2が、その電源信号を伝送する電源ライン4の途中に、電源ライン4に流れる電流を監視し、電源ライン4に流れる電流が所定の閾値以上となったときに、給電線12の短絡を検知し、警報を発する短絡監視回路3を備えている。
【0073】
短絡監視回路3を備えることにより、例えば、BSモデム2に接続された給電線12のもう一方の端部をアンテナモデム14へ接続せずに誤ってアンテナ10に接続してしまった場合など、給電線12の内部導体と外部導体が短絡した際に、当該短絡を即座に認識し、速やかに作業者に通知することが可能となる。
【0074】
また、アンテナ制御システム1では、短絡監視回路3を、電源ライン4の途中に設けられ、電源ライン4に流れる電流が所定の閾値以上とならないように制限する電流制限素子7と、電流制限素子7の入力側と出力側の電圧Vin,Voutを比較する電圧比較回路8と、電圧比較回路8が、電流制限素子7の入力側の電圧Vinよりも出力側の電圧Voutが小さく、かつ、入力側の電圧Vinと出力側の電圧Voutの差が所定値以上と判断したとき、警報を発する警報手段9と、で構成している。
【0075】
これにより、給電線12の内部導体と外部導体が短絡した際には、電流制限素子7の出力側の電圧Voutの低下により短絡の発生を検知することができると共に、電流制限素子7による電流制限により、電源ライン4に過大な電流が流れてしまうことを抑制できる。
【0076】
さらに、アンテナ制御システム1では、警報装置9を、LED9aなどの発光手段、あるいは、ブザー9bなどの警告音発生手段で構成したため、給電線12の短絡を検知した際に、BSモデム2の近くにいる作業者に、光や音により、短絡の発生を即座に通知することができる。
【0077】
さらにまた、短絡監視回路3に、コンパレータ41に入力される電圧が、コンパレータ41の許容電圧以下となるように制限する入力電圧制限手段49をさらに備えることで、コンパレータ41に印加する正電圧V+を低くすることが可能となり、省電力化に寄与する。
【0078】
次に、短絡監視回路の他の実施の形態を説明する。
【0079】
図9(a)に示す短絡監視回路51は、電源ライン4の途中に設けられ、電源ライン4に流れる電流を検知し、当該検知した電流に応じた電圧Vcを出力する電流検知回路52と、電流検知回路52が所定の閾値の電流を検知した場合の出力電圧Vcに相当する基準電圧Vthを発生させる基準電圧発生回路53と、電流検知回路52の出力電圧Vcと、基準電圧発生回路53が発生させた基準電圧Vthとを比較する電圧比較回路54と、電圧比較回路54が電流検知回路52の出力電圧Vcが基準電圧Vthより大きいと判断したとき、警報を発する警報手段55と、を備えたものである。
【0080】
短絡監視回路51の具体的な回路構成の一例を図9(b)に示す。
【0081】
図9(b)に示す短絡監視回路51は、電源ライン4の途中に電流検知回路52を設け、コンパレータ41の反転入力端子47に電流検知回路52の出力電圧Vcを入力し、コンパレータ41の非反転入力端子46に基準電圧発生回路53が発生させた基準電圧Vthを入力するように構成した他は、図2(b)の短絡監視回路3と同じ構成となっている。基準電圧Vthは、正常時における電流検知回路52の出力電圧Vcよりも大きい値となるように設定される。
【0082】
電流検知回路52は、特に限定するものではないが、例えば、図10に示すように、電源ライン4を流れる電流により磁界を発生するコイル56と、コイル56で発生した磁界を検出して、検出した磁界の強度に応じた電圧を出力する磁界センサ(ホール素子など)57と、からなるものを用いることができる。
【0083】
短絡監視回路51では、給電線12で短絡が発生したとき、電流検知回路52に過大な電流が流れ、電流検知回路52の出力電圧Vcが基準電圧Vthよりも大きくなる。その結果、コンパレータ41のFET42がオン状態となり、LED9aに抵抗R3により制限された電流が流れて、LED9aが発光し、光による警告が実行される。なお、正常時には、電流検知回路52の出力電圧Vcは基準電圧Vthよりも小さいので、コンパレータ41のFET42はオフ状態となりLED9aには電流は流れない。
【0084】
なお、短絡監視回路51では、短絡時に電源ライン4に過大な電流が流れてしまうので、図11に示すように、電流検知回路52と直列に電流制限素子58を挿入して、電源ライン4に過大な電流が流れてしまうことを抑制するように構成してもよい。ただし、電流制限素子58としては、給電線12に短絡が発生し、電流制限素子58による電流制限が行われたときの電流検知回路52の出力電圧Vcが、基準電圧Vthよりも大きくなるものを用いる必要がある。
【0085】
本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加え得ることは勿論である。
【0086】
例えば、上記実施の形態では言及しなかったが、給電線12で短絡が発生した際に、モデム回路22と給電線12との間での変調信号や電源信号の伝送を遮断して、モデム回路22を保護するように構成してもよい。
【0087】
具体的には、図12(a)に示すように、モデム回路22の変調信号の出力と、合成回路23の変調信号の入力との間に、短絡監視回路3,51から短絡アラーム信号を受信したときに、変調信号の伝送を遮断する変調信号遮断回路60を設けたり、あるいは、図12(b)に示すように、短絡監視回路3,51から短絡アラーム信号を受信したとき、モデム回路22への電源を遮断してモデム回路22の動作を停止させるモデム電源遮断回路61を備えてもよい。なお、短絡アラーム信号としては、コンパレータ41の出力を利用すればよい。また、遮断回路60,61としては、短絡アラーム信号を受信したときに接点を開放する継電器(リレー回路)等の電圧制御スイッチを用いるとよい。
【0088】
さらに、図13に示すように、入力AISGコネクタ21の近傍にサージ保護回路62を備え、雷サージなどの外部で発生したサージ電圧から内部回路(短絡監視回路3,51やモデム回路22など)を保護するようにBSモデム2を構成してもよい。
【符号の説明】
【0089】
1 アンテナ制御システム
2 BSモデム
3 短絡監視回路
4 電源ライン
10 アンテナ
11 無線機
12 給電線
14 アンテナモデム
15 制御ケーブル
16 制御装置
17 AISGデバイス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
AISG規格に準拠してアンテナの制御を行うAISGデバイスと、
前記AISGデバイスに制御信号を送信し、前記AISGデバイスを制御して前記アンテナの制御を行うと共に、前記AISGデバイスに電源信号を送信する制御装置と、
前記アンテナと該アンテナに給電を行う無線機とを接続する給電線の途中に設けられると共に、前記制御装置が接続され、前記制御装置から入力された制御信号を変調して変調信号を生成し、その変調信号と前記制御装置から入力された電源信号とを、前記無線機から入力された給電信号に重畳して、前記アンテナ側の前記給電線に出力するBSモデムと、
前記BSモデムよりも前記アンテナ側の前記給電線の途中に設けられると共に、前記AISGデバイスが接続され、前記BSモデムから入力された給電信号から変調信号と電源信号とを分離すると共に、変調信号を復調して制御信号に戻し、制御信号と電源信号を前記AISGデバイスに、分離後の給電信号を前記アンテナ側の前記給電線に出力するアンテナモデムと、
を備えたアンテナ制御システムにおいて、
前記BSモデムは、
その電源信号を伝送する電源ラインの途中に、当該電源ラインに流れる電流を監視し、前記電源ラインに流れる電流が所定の閾値以上となったときに、前記給電線の短絡を検知し、警報を発する短絡監視回路を備えた
ことを特徴とするアンテナ制御システム。
【請求項2】
前記短絡監視回路は、
前記電源ラインの途中に設けられ、前記電源ラインに流れる電流が前記所定の閾値以上とならないように制限する電流制限素子と、
該電流制限素子の入力側と出力側の電圧を比較する電圧比較回路と、
該電圧比較回路が、前記電流制限素子の入力側の電圧よりも出力側の電圧が小さく、かつ、入力側の電圧と出力側の電圧の差が所定値以上と判断したとき、警報を発する警報手段と、を備えた
請求項1記載のアンテナ制御システム。
【請求項3】
前記短絡監視回路は、
前記電源ラインの途中に設けられ、前記電源ラインに流れる電流を検知し、当該検知した電流に応じた電圧を出力する電流検知回路と、
該電流検知回路が前記所定の閾値の電流を検知した場合の出力電圧に相当する基準電圧を発生させる基準電圧発生回路と、
前記電流検知回路の出力電圧と、前記基準電圧発生回路が発生させた基準電圧とを比較する電圧比較回路と、
該電圧比較回路が前記電流検知回路の出力電圧が基準電圧より大きいと判断したとき、警報を発する警報手段と、を備えた
請求項1記載のアンテナ制御システム。
【請求項4】
前記電圧比較回路は、コンパレータを有し、
前記短絡監視回路は、前記コンパレータに入力される電圧が、前記コンパレータの許容電圧以下となるように制限する入力電圧制限手段をさらに備える
請求項2または3記載のアンテナ制御システム。
【請求項5】
前記警報手段は、発光手段を備え、光により警報を発するように構成される
請求項2〜4いずれかに記載のアンテナ制御システム。
【請求項6】
前記警報手段は、警告音発生手段を備え、音により警報を発するように構成される
請求項2〜5いずれかに記載のアンテナ制御システム。
【請求項7】
前記警報手段は、短絡アラーム信号を出力するように構成される
請求項2〜6いずれかに記載のアンテナ制御システム。
【請求項8】
前記短絡アラーム信号が、無電圧接点出力信号である
請求項7記載のアンテナ制御システム。
【請求項9】
前記短絡アラーム信号を受信したとき、前記制御装置から入力された制御信号を変調して変調信号を生成するモデム回路と、前記給電線との間の変調信号の伝送を遮断する変調信号遮断回路をさらに備えた
請求項7または8記載のアンテナ制御システム。
【請求項10】
前記短絡アラーム信号を受信したとき、前記制御装置から入力された制御信号を変調して変調信号を生成するモデム回路への電源を遮断するモデム電源遮断回路をさらに備えた 請求項7〜9いずれかに記載のアンテナ制御システム。
【請求項11】
外部で発生したサージ電圧から内部回路を保護するためのサージ保護回路をさらに備えた
請求項1〜10いずれかに記載のアンテナ制御システム。
【請求項12】
AISG規格に準拠してアンテナの制御を行うAISGデバイスと、
前記AISGデバイスに制御信号を送信し、前記AISGデバイスを制御して前記アンテナの制御を行うと共に、前記AISGデバイスに電源信号を送信する制御装置と、
前記アンテナと該アンテナに給電を行う無線機とを接続する給電線の途中に設けられると共に、前記AISGデバイスが接続され、入力された給電信号から変調信号と電源信号とを分離すると共に、変調信号を復調して制御信号に戻し、制御信号と電源信号を前記AISGデバイスに、分離後の給電信号を前記アンテナ側の前記給電線に出力するアンテナモデムと、を備えたアンテナ制御システムに用いられ、
前記アンテナモデムよりも前記無線機側の前記給電線の途中に設けられると共に、前記制御装置が接続され、前記制御装置から入力された制御信号を変調して変調信号を生成し、その変調信号と前記制御装置から入力された電源信号とを、前記無線機から入力された給電信号に重畳して、前記アンテナ側の前記給電線に出力するBSモデムであって、
その電源信号を伝送する電源ラインの途中に、当該電源ラインに流れる電流を監視し、前記電源ラインに流れる電流が所定の閾値以上となったときに、前記給電線の短絡を検知し、警報を発する短絡監視回路を備えた
ことを特徴とするBSモデム。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図17】
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【図1】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図18】
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【公開番号】特開2013−48357(P2013−48357A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−186003(P2011−186003)
【出願日】平成23年8月29日(2011.8.29)
【出願人】(000005120)日立電線株式会社 (3,358)
【Fターム(参考)】