説明

アンテナ装置、RFIDタグおよび通信端末装置

【課題】製造が容易で且つ通信信号の伝送ロスを抑制したアンテナ装置、さらには近接する他の部材や部品との構造上の干渉が少ないアンテナ装置を提供し、また、それを備えたRFIDタグおよび通信端末装置を提供する。
【解決手段】基材シート40の裏面に配設された放射導体20は、第1放射部21A、第2放射部21Bと結合部22を備える。結合部22は接続部220と突出部221,222とからなり、一部を切り欠いた環状導体である。基材シート40の表面に配設された補助導体30は、第1導体301、第2導体302、第3導体303からなり、一部を切り欠いた環状導体である。突出部221と第1導体301、突出部222と第2導体302は、平面視で重なる。無線通信デバイス50は、平面視で、結合部22、補助導体30によって構成される擬似的なループ状導体の内側に配設される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、近距離通信用のアンテナ装置、それを備えたRFIDタグおよび通信端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
リーダライタとRFIDタグとを非接触方式で通信することで、情報の伝達を行うRFID(Radio Frequency identification)システムが多様な場面で用いられている。RFIDタグは、リーダライタとの通信信号を処理するRFICと、当該通信信号を無線で送受信するアンテナとを備える。通信信号としては、HF帯やUHF帯を主として、様々な周波数帯が利用されている。また、例えばFelica(登録商標)などのNFC(Near Field Communication:近距離通信)用アンテナ装置が通信端末装置の筐体内に設けられている。
【0003】
UHF帯を利用するRFIDタグとしては、特許文献1,2および3に記載されているように、ダイポールアンテナが一般的に用いられている。RFICはダイポールアンテナに直接接続されており、RFICの二つの給電端子には、ダイポールアンテナを構成する二つのアンテナ導体がそれぞれ直接接続されている。
【0004】
一方、特許文献4および5には、RFICに接続されたループ導体やコイル導体と、当該ループ導体およびコイル導体に磁界結合された直線状のアンテナ導体とで構成されたRFIDタグが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】WO2007/013168
【特許文献2】特開2008−090420号公報
【特許文献3】特開2009−151567号公報
【特許文献4】特開2008−167190号公報
【特許文献5】特表2009−527966号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1,2および3に記載されているようなRFICをダイポールアンテナに直接実装する構成では、例えば金バンプを用いた超音波融着等の煩雑な実装技術を用いなければならない。また、通常、ダイポールアンテナは、フレキシブルな材質、且つRFICの大きさと比較して大幅に大きなサイズのベースフィルムに装着されており、フレキシブル且つサイズの大きなベースフィルムにRFICを高精度に実装することは難しい。
【0007】
また、特許文献4および5に記載されているようなループ導体やコイル導体を直線状のアンテナ導体に磁界結合させる構成では、磁界結合の特性上、ループ導体やコイル導体とアンテナ導体との結合度の向上には限界があり、ループ導体およびコイル導体と、アンテナ導体との間での通信信号の伝送ロスが大きくなりやすい。
【0008】
また、NFC(Near Field Communication:近距離通信)用アンテナ装置が設けられる小型・薄型の通信端末装置の筐体内には多数の部材や部品が充填配置されるので、NFC用のアンテナ装置を組み込む際に、他の部材や部品との構造上の干渉が問題となる場合が多い。
【0009】
そこで、本発明の目的は、製造が容易で且つ通信信号の伝送ロスを抑制したアンテナ装置、さらには近接する他の部材や部品との構造上の干渉が少ないアンテナ装置を提供し、また、それを備えたRFIDタグおよび通信端末装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1)本発明のアンテナ装置は、巻回導体と、この巻回導体に結合する補助導体と、前記巻回導体および前記補助導体に結合する結合部を有する放射導体と、を備え、
前記補助導体および前記結合部は、平面視状態で、前記補助導体と前記結合部とで一つの環状導体パターンが形成されるように構成され、
前記補助導体と前記放射導体とは、前記結合部に生じる電界を介して結合し、前記補助導体と前記結合部とで構成される前記環状導体パターンと前記巻回導体とは磁界を介して結合することを特徴とする。
【0011】
この構成では、放射導体の結合部と補助導体とで、容量結合を有しながら環状導体パターンとして作用する。この放射導体側の環状導体パターンが、例えばRFICが接続される巻回導体と電磁界結合することにより、結合度が向上する。これにより、通信信号の伝送ロスが低減される。また、巻回導体は補助導体および放射導体の結合部に電磁界結合すればよく、直接実装する必要がないので、製造が容易になる。さらに、放射導体が大きくても、巻回導体および巻回導体に接続されるRFIC等に近い大きさの補助導体をターゲットにRFICおよび巻回導体からなる一体部品(後述の無線通信デバイス)を装着すればよいので、高い装着精度を容易に実現できる。また、ある程度装着位置がずれても、磁界結合は生じるので、直接実装するよりも装着範囲を広くでき、容易な装着が可能になる。なお、本発明においては、補助導体と放射導体とは電界結合に加え、磁界を介して結合してもかまわない。また、環状導体パターンと巻回導体とは磁界結合に加え、電界を介して結合してもかまわない。上記の「電磁界結合」は、電界結合、磁界結合、あるいは、その両方を含む結合状態を意味する。
【0012】
(2)前記補助導体および前記結合部は、それぞれ一部を切り欠いた環状であることが好ましい。
この構成により、上述の容量結合を有する環状導体パターンを構成実現できる。
【0013】
(3)前記補助導体は平面視状態で前記結合部の切り欠き領域と前記結合部の導体パターンの一部とに重なる形状であることが好ましい。
この構成により、前記巻回導体パターンを容易に形成できる。
【0014】
(4)前記結合部は前記放射導体の一部の領域であること、すなわち放射導体より補助導体の方が小さいことが好ましい。
この構成により、放射導体の結合部に対する補助導体の配設位置がある程度ずれても結合容量が変化しない。これにより、製造ばらつきによる特性のばらつきが抑えられる。
【0015】
(5)本発明のRFIDタグは、前記アンテナ装置を備えるRFIDタグであり、
前記巻回導体に接続され、通信信号を処理するRFICチップを備えたことを特徴としている。
【0016】
(6)前記巻回導体は基板に形成され、前記RFICチップは前記基板に搭載されて、前記基板と前記RFICチップとで無線通信デバイスが構成されていることが好ましい。
この構成により、RFICと巻回導体とが一体化された単一の部品として扱うことができる。
【0017】
(7)互いに対向する第1主面と第2主面とを有する絶縁性基材(シート)を備え、
前記無線通信デバイスおよび前記補助導体は前記絶縁性基材の第1主面に配設され、
前記放射導体は前記絶縁性基材の第2主面に配設されていることが好ましい。
この構成により、一例として、上述の無線通信デバイス、補助導体、放射導体の結合部の位置関係を容易に定められる。
【0018】
(8)前記無線通信デバイスは、平面視で前記環状導体パターンの内側に配置されていることが好ましい。
この構成によれば非常に高い結合度を実現できる。
【0019】
(9)前記無線通信デバイスが有する容量と前記巻回導体のインダクタンスとで第1共振器が構成され、前記結合部と前記補助導体との間に形成される容量と前記環状導体パターンのインダクタンスとで第2共振器が構成されていることが好ましい。
この構成により、第1共振器と第2共振器とが結合するので、より強い結合度が得られ、伝送ロスをさらに低くすることができる。また、各共振器のピーク周波数および通過帯域を特定の関係にすれば広帯域な通過特性を実現できる。
【0020】
(10)本発明の通信端末装置は、(1)〜(4)のいずれかに記載のアンテナ装置を筐体内に備え、
前記補助導体および前記放射導体はそれぞれ基材(シート)に形成され、
前記補助導体が形成された基材および前記放射導体が形成された基材は、平面視で前記補助導体と前記結合部とが重なった状態で形成される前記環状導体パターンの環内部にそれぞれ開口部を備え、
前記筐体内の他の部品が前記開口部に挿通していることを特徴としている。
【発明の効果】
【0021】
この発明によれば、製造が容易で且つ通信信号の伝送ロスが小さいアンテナ装置、さらには、製造が容易で且つRFIDタグ内での通信信号の伝送ロスを抑制したRFIDタグを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1は第1の実施形態に係るRFIDタグ10の外観斜視図である。
【図2】図2は第1の実施形態に係るRFIDタグ10の表面図、裏面図、側面断面図である。
【図3】図3は無線通信デバイス50、補助導体30、結合部22を有する領域の拡大表面図である。
【図4】図4は無線通信デバイス50の分解斜視図である。
【図5】図5は無線通信デバイス50、補助導体30、結合部22間の結合状態を示す図である。
【図6】図6はRFIDタグ10の等価回路図である。
【図7】図7は結合時の各導体部の電流の向きの関係を示す図である。
【図8】図8はRFIDタグ10の通過特性図である。
【図9】図9は第2の実施形態に係るRFIDタグ10Aの表面図、裏面図、側面断面図である。
【図10】図10は第3の実施形態に係るRFIDタグ10Bの無線通信デバイス50、補助導体30A、結合部22を有する領域の拡大表面図である。
【図11】図11は第4の実施形態に係るRFIDタグ10Cの無線通信デバイス50、補助導体30B、結合部22、補助結合用導体23を有する領域の拡大表面図である。
【図12】図12はRFIDタグ10Cの等価回路図である。
【図13】図13は第5の実施形態に係る無線通信デバイス50Aの分解斜視図である。
【図14】図14は第6の実施形態に係るアンテナ装置101の分解斜視図である。
【図15】図15(A)はアンテナ装置101の平面図、図15(B)はそのA−A部分での断面図である。
【図16】図16はアンテナ装置101の等価回路図である。
【図17】図17(A)はアンテナ装置101を備えた通信端末装置81の上面図、図17(B)はその下面部、図17(C)は図17(B)の右側面方向から見た中央縦断面図である。
【図18】図18は第7の実施形態に係るアンテナ装置102の分解斜視図である。
【図19】図19はアンテナ装置101の平面図である。
【図20】図20(A)はアンテナ装置102を備えた通信端末装置82の上面図、図20(B)はその下面部、図20(C)は図20(B)の右側面方向から見た中央縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
《第1の実施形態》
本発明の第1の実施形態に係るRFIDタグについて、図を参照して説明する。図1は第1の実施形態に係るRFIDタグ10の外観斜視図である。図2は本実施形態に係るRFIDタグ10の表面図、裏面図、側面断面図である。図2(A)は表面図であり、図2(B)は裏面図である。図2(C)は図2(A),(B)のA−A断面図である。図3は無線通信デバイス50、補助導体30、結合部22を有する領域の拡大表面図である。
【0024】
RFIDタグ10は、PET等を材料とし、可撓性を有し長尺な平板形状からなる絶縁性の基材シート40を備える。基材シート40の裏面(第2主面)には、放射導体20が配設されている。
【0025】
放射導体20は、第1放射部21A、第2放射部21Bからなる。第1放射部21A、第2放射部21Bは、基材シート40の長手方向の端部に形成された平板導体と、該平板導体に一方端が接続したミアンダ状導体とでそれぞれ形成されている。第1放射部21Aのミアンダ状導体の他方端および第2放射部21Bのミアンダ状導体の他方端は、基材シート40の長手方向の略中央に配設された結合部22により接続されている。第1放射部21Aと第2放射部21Bは、結合部22を基準に、対称な形状で形成されている。
【0026】
結合部22は、基材シート40の長手方向に沿って延びる導体からなる接続部220を備える。結合部22は、接続部220に直交する方向(基材シート40の短手方向に沿って延びる幅W1の導体からなる突出部221,222を備える。突出部221,222は基材シート40の長手方向に沿って所定の間隔を置いて形成されている。
【0027】
このような構成により、結合部22は、RFIDタグ10を平面視して、すなわち、基材シート40を平面視して、一部が切り欠かれた環状の導体として形成される。より具体的には、突出部221,222の接続部220と反対側の端部間が切り欠き部230となる環状導体として形成される。
【0028】
基材シート40の表面(第1主面)には、補助導体30および無線通信デバイス50が配設されている。
【0029】
補助導体30は、RFIDタグ10を平面視して、基材シート40の短手方向に延びる形状の第1導体301と第2導体302とを備える。第1導体301は結合部22の突出部221と重なる位置に配置される。第2導体302は結合部22の突出部222と重なる位置に配置される。
【0030】
第1導体301、第2導体302は、突出部221,222の幅W1よりも狭い幅W2で形成されている。この構成では、放射導体20が配設された基材シート40に補助導体30を配設する際に位置ズレが生じても、突出部221、222の幅W1の範囲内に第1導体301および第2導体302が重なれば対向面積が変化しない。これにより、配置位置ズレによるキャパシタの変化を抑制できる。したがって、製造工程のばらつきがあっても、所望とするキャパシタを容易に実現できる。
【0031】
第1導体301と第2導体302とは、基材シート40の長手方向に延びる形状の第3導体303により一方端が接続されている。第3導体303の幅も第1導体301および第2導体302と同じ幅である。
【0032】
第1導体301および第2導体302の他方端は、切り欠き部304により互いに所定間隔で離間して近接するように、屈曲して基材シート40の長手方向に沿って延びる形状からなる。この切り欠き部304および屈曲による導体部は、平面視で結合部22の接続部220と重なる位置に配設されている。
【0033】
このような構成により、補助導体30は、RFIDタグ10を平面視して、一部が切り欠かれた環状の導体として形成される。より具体的には、突出部221,222の接続部220と反対側の端部間が繋がり、接続部220と重なる領域に切り欠き部304が配置される環状導体として形成される。
【0034】
そして、結合部22と補助導体30とが上述の構造であることにより、突出部221と第1導体301とが容量結合し、突出部222と第2導体302とが容量結合した上で、これら結合部22と補助導体30からなる部分は、平面視で一周全体に亘って導体を有するループ状導体(巻回導体)のように見える構造となる。この構成により、結合部22と補助導体30とは強い結合度で電磁界結合する。なお、無線通信デバイス50の巻回導体が、結合部22と補助導体30とで形成されるループ状導体の内径内に配置される場合、無線通信デバイスとループ状導体とは磁界結合が支配的になる。無線通信デバイス50の巻回導体が、これを巻回軸方向から平面視したとき、ループ状導体と重なる場合は、磁界結合に加え、電界結合の寄与度が大きくなる。
【0035】
無線通信デバイス50は、結合部22と補助導体30とからなる擬似的なループ状導体の内側に配設される。無線通信デバイス50はRFIC500と巻回導体素子510とから構成される。図4は無線通信デバイス50の分解斜視図である。
【0036】
RFIC500は、一般的なRFIC素子からなるため詳細な機能ブロック図は省略するが、ロジック回路、メモリ回路、チャージポンプ回路等を含む。RFIC500は、通信信号の受信信号の処理、通信信号の送信信号の生成等、RFIDシステムの通信信号による情報通信のための各種処理を実行するIC素子である。
【0037】
巻回導体素子510は、複数の絶縁体層511,512,513,514が積層された積層体からなる。最上層の絶縁体層511の表面には、RFIC500を実装するための導体ランドが形成されている。導体ランドは、給電ランド521A,521Bを備える。
【0038】
第2層の絶縁体層512の表面にはループ状導体522が形成されている。第3層の絶縁体層513の表面にはループ状導体523が形成されている。第4層の絶縁体層514の表面にはループ状導体524が形成されている。
【0039】
給電ランド521Aはビア導体531を介してループ状導体522の一方端に接続されている。ループ状導体522の他方端はビア導体532を介してループ状導体523の一方端に接続されている。ループ状導体523の他方端はビア導体533を介してループ状導体524の一方端に接続されている。ループ状導体524の他方端はビア導体534を介して給電ランド521Bに接続されている。この構成により、巻回導体素子510に、中心軸が積層体の表裏面に直交するコイル導体520が形成される。このコイル導体520は本発明に係る「巻回導体」に相当する。
【0040】
RFIC500は巻回導体素子510の表面に実装される。この際、RFIC500の二つの給電端子と給電ランド521A,521Bがそれぞれ接合されるように実装される。これにより、コイル導体520が接続されたRFIC500を有する無線通信デバイス50が実現される。なお、これらRFIC500と巻回導体素子510は、平面視した面積が同程度であり、給電ランド521A,521Bの面積と、RFIC500の給電端子の面積との差も小さいので、巻回導体素子510にRFIC500を実装することは現状の実装技術をもってすれば容易である。
【0041】
無線通信デバイス50は、巻回導体素子510が基材シート40側となるように、絶縁性接着剤60により基材シート40の表面に装着される。
【0042】
以上のような構成とすることで、無線通信デバイス50と補助導体30と放射導体20の結合部22とは、次に示すように電磁界結合する。図5は無線通信デバイス50、補助導体30、結合部22間の結合状態を示す図である。
【0043】
図5に示すように、補助導体30の第1導体301と結合部22の突出部221は基材シート40を介して所定面積で対向するため、これらによりキャパシタC1が構成される。同様に、補助導体30の第2導体302と結合部22の突出部222は基材シート40を介して所定面積で対向するため、これらによりキャパシタC2が構成される。
【0044】
補助導体30は線状導体であるのでインダクタL2として機能する。結合部22の突出部221,222、接続部220も線状導体であるのでそれぞれインダクタL3A,L3C,L3Bとして機能し、結合部22はインダクタL3(=L3A+L3B+L3C)として機能する。また、コイル導体520はインダクタL1として機能する。
【0045】
図6は前記RFIDタグ10の等価回路図である。
無線通信デバイス50では、コイル導体520のインダクタL1と、RFIC500の有する寄生容量のキャパシタCICおよび無線通信デバイス50内の容量によって第1共振回路が構成される。
【0046】
一方、補助導体30と結合部22とでは、補助導体30のインダクタL2と、補助導体30と結合部22との容量結合からなるキャパシタC1,C2と、結合部22のインダクタL3とによって第2共振回路が構成される。
【0047】
そして、図6の両端矢印の太破線に示すように、コイル導体520(インダクタL1)と補助導体30(インダクタL2)とが電磁界結合するともに、コイル導体520(インダクタL1)と結合部22(インダクタL3)とが電磁界結合することで、第1共振回路と第2共振回路とが共振器間結合する。なお、「共振器間結合」とは、第1共振回路と第2共振回路とが電磁界を介して結合していることを意味する。
【0048】
図7は結合時の各導体部の電流の向きの関係を示す図である。図7に示すように、無線通信デバイス50のコイル導体520(インダクタL1)に所定の方向(図7の点線矢印で示す方向(コイル導体520側から見て反時計回り))の電流が流れると、電磁界結合により補助導体30(インダクタL2)に第1導体301から第3導体303を介して第2導体302へ流れる電流(図7の一点鎖線矢印)が生じる。このような電流が生じると、電磁界結合により、結合部22(インダクタL3)では、突出部222から接続部220を介して突出部221へ流れる誘導電流(図7の実線矢印)が生じる。これにより、放射導体20の放射部21Aから突出部221、補助導体30の第3導体303、および突出部222を介して放射部21Bへ流れる電流(図7の二点鎖線矢印)が生じる。
【0049】
このように、上述の構成を用いれば、コイル導体520と補助導体30と結合部22とが互いに電磁界結合し、全体として強い結合度で電磁界結合する。
【0050】
図8はRFIDタグ10の通過特性図である。図8に示すように、本実施形態の構成を用いることで、高いゲインを得ることができ、通信信号の伝送ロスを抑制することができる。さらに、第1共振回路の共振周波数を図8のM1に設定し、第2共振回路の共振周波数を図8のM2に設定するように、所定周波数間隔で離間して設定することにより、広帯域で高いゲインを実現することができる。例えば、図8に示す場合であれば、約0.85GHzから約1.00GHzまでの間に亘り高いゲインを得ることができる。これにより、所定の通信周波数帯域幅を有するようなRFIDシステムに利用する場合や、通信周波数にばらつきがある場合、さらにはRFIDタグを貼り付けた物品の比誘電率などにより放射部の電気特性が低周波側に変化する場合であっても、RFIDタグ10内での通信信号の伝送ロスを抑制することができる。なお、第1共振回路と第2共振回路とが主に磁界を介して結合している場合(磁界結合が支配的な場合)、各共振回路間の結合度が高くなることから、第1共振回路の共振周波数は第2共振回路の共振周波数よりも高いことが好ましい。同様の理由で、第1共振回路と第2共振回路とが主に電界を介して結合している場合(電界結合が支配的な場合)は、第1共振回路の共振周波数は第2共振回路の共振周波数よりも低いことが好ましい。
【0051】
以上のように、本実施形態の構成を用いることで、伝送特性に優れるRFIDタグを実現できる。
【0052】
また、本実施形態の構成では、RFIC500を有する無線通信デバイス50を、放射導体20および補助導体30を備える基材シート40上に載置して固定するだけの構造でよいため、製造工程を容易なものにすることができる。
【0053】
また、本実施形態では、補助導体30の中央開口部に無線通信デバイス50を載置する構成である。ここで、補助導体30は、平面視した形状が無線通信デバイス50の二倍程度の面積でしかないので、大幅に大きな放射導体20の所定位置に補助導体30無しで無線通信デバイス50を載置するよりも、高精度に無線通信デバイス50を載置することができる。これにより、さらに製造しやすいRFIDタグを実現できる。
【0054】
なお、上述の説明では、補助導体30の中央開口部の中心に無線通信デバイス50を載置した例を示したが、当該中央開口部内に無線通信デバイス50が載置されていれば、同様の作用効果を得ることができる。この点においても、無線通信デバイス50の載置精度の許容範囲が広くなり、製造しやすいRFIDタグを実現できる。
【0055】
ここで、本実施形態のように、補助導体30と結合部22からなる環状導体パターンの開口部内を、無線通信デバイス50のコイル導体520からなる巻回導体の巻回軸が通るようにするとよい。このような配置にすれば、環状導体パターンと巻回導体との磁気結合度を向上させることができる。さらに、巻回導体であるコイル導体520と、環状導体パターンを構成する補助導体30と結合部22の少なくとも一部が、平面視して重なる、すなわち対向するように配置すれば、より結合度を向上させることができる。
【0056】
また、上述の説明では、補助導体30の第1導体301と第2導体302とが同形状である場合を示したが、補助導体30は次に示す条件を満たす構造であればよい。
【0057】
(i)平面視して、結合部22の突出部221,222の両方に導体パターンの少なくとも一部が重なっている。
(ii)平面視して、突出部221,222との間の導体非形成部に対して、突出部221から突出部222迄亘るように導体を形成している。
(iii)平面視して、無線通信デバイス50が内側に配設可能な中央開口部を有する巻回形の導体パターンを結合部22と補助導体30とで形成している。
【0058】
このような条件を満たす形状としては、例えば第1導体301と第2導体302との長さが異なる構成がある。
【0059】
《第2の実施形態》
図9は第2の実施形態に係るRFIDタグ10Aの表面図、裏面図、側面断面図である。図9(A)は表面図であり、図9(B)は裏面図である。図9(C)は図9(A),(B)のA−A断面図である。
【0060】
本実施形態のRFIDタグ10Aは、第1の実施形態に示したRFIDタグ10に対して、無線通信デバイス50の設置位置が異なるものである。したがって、異なる箇所のみ説明する。
【0061】
無線通信デバイス50は、巻回導体素子510が基材シート40側となるように、絶縁性接着剤60により、基材シート40の裏面、すなわち放射導体20の形成面に装着される。この際、無線通信デバイス50は、第1の実施形態と同様に、平面視して、結合部22と補助導体30とからなる擬似的なループ状導体の内側に配設される。
【0062】
このような構成であっても、無線通信デバイス50のコイル導体520と、補助導体30および放射導体20の結合部22とで、強い結合度からなる電磁界結合を生じさせることができる。
【0063】
《第3の実施形態》
図10は第3の実施形態に係るRFIDタグ10Bの無線通信デバイス50、補助導体30A、結合部22を有する領域の拡大表面図である。
【0064】
本実施形態のRFIDタグ10Cは、第1の実施形態に示したRFIDタグ10に対して、補助導体30Aの形状が異なるものである。したがって、異なる箇所のみを説明する。
【0065】
補助導体30Aは、平面視して、両端が突出部221,222に所定面積で重なり、突出部221,222との間の導体非形成部に対して、突出部221から突出部222迄亘る形状の導体からなる。このような構成であっても、上述の第1の実施形態に示した条件を満たし、第1の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0066】
《第4の実施形態》
図11は第4の実施形態に係るRFIDタグ10Cの無線通信デバイス50、補助導体30B、結合部22、補助結合用導体23を有する領域の拡大表面図である。
【0067】
本実施形態のRFIDタグ10Cは、第1の実施形態のRFIDタグ10に対して、結合領域の導体パターンの形状が異なるものであり、放射導体20、基材シート40、無線通信デバイス50の構成は同じである。したがって、異なる箇所のみを説明する。
【0068】
本実施形態のRFIDタグ10Cは、基材シート40の裏面側に、結合部22を有する放射導体20とは別の補助結合用導体23が形成されている。補助結合用導体23は、結合部22の突出部221から所定間隔を空け、突出部221と同じ方向に延びる形状の突出部231を備える。補助結合用導体23は、結合部22の突出部222から所定間隔を空け、突出部222と同じ方向に延びる形状の突出部232を備える。突出部231と突出部232の結合部22と反対側の端部は接続部233によって接続されている。この構成により、補助結合用導体23も一部を切り欠く環状導体として形成される。この際、補助結合用導体23の切り欠き部側と結合部22の切り欠き部側と近接するように形成される。
【0069】
補助導体30Bは第3導体301Bと第4導体302Bとから構成される。第3導体301Bは、平面視して、両端が結合部22の突出部221および補助結合用導体23の突出部231に所定面積で重なり、これら突出部221,231との間の導体非形成部に対して、突出部221から突出部231迄亘る形状の導体からなる。第4導体302Bは、平面視して、両端が結合部22の突出部222および補助結合用導体23の突出部232に所定面積で重なり、これら突出部222,232との間の導体非形成部に対して、突出部222から突出部232迄亘る形状の導体からなる。
【0070】
このような構成とすることで、平面視して、結合部22、補助結合用導体23、補助導体30Bによって容量結合を有する擬似的なループ状導体を実現することができる。
【0071】
無線通信デバイス50は、平面視して、結合部22、補助結合用導体23、補助導体30Bによって構成される擬似的なループ状導体の内側に配設される。
【0072】
このような構成では、図12に示す等価回路のRFIDタグ10Cを実現できる。図12はRFIDタグ10Cの等価回路図である。なお、無線通信デバイス50側の第1共振回路は、第1の実施形態と同じであるので、説明は省略する。
【0073】
補助導体30Bと結合部22と補助結合用導体23では、結合部22のインダクタL3(=L3A+L3B+L3C)と、補助導体30BのインダクタL2A,L2Cと、補助結合用導体23のインダクタL4(=L4A(突出部231のインダクタ)+L4B(接続部233のインダクタ)+L4C(突出部232のインダクタ))と、補助導体30Bと結合部22との容量結合からなるキャパシタC1A,C1Bと、補助導体30Bと補助結合用導体23との容量結合からなるキャパシタC2A,C2Bとによって、第1実施形態とは別の回路構成からなる第2共振回路が構成される。
【0074】
そして、図12の両端矢印の太破線に示すように、コイル導体520(インダクタL1)と補助導体30B(インダクタL2A,L2C)とが電磁界結合するともに、コイル導体520(インダクタL1)と結合部22(インダクタL3)および補助結合用導体23(インダクタL4)とが電磁界結合することで、第1共振回路と第2共振回路とが共振器間結合する。
【0075】
このような構成であって、第1の実施形態で得られた作用効果と同様の作用効果を得ることができる。
【0076】
《第5の実施形態》
図13は第5の実施形態に係る無線通信デバイス50Aの分解斜視図である。
上述の無線通信デバイス50の巻回導体素子510(コイル導体520)は一例であり、図13に示すような構成であってもよい。図13に示す無線通信デバイス50Aは、第1の実施形態に示した無線通信デバイス50に対してRFIC500は同じであり、説明は省略する。
【0077】
巻回導体素子510Aは、複数の絶縁体層511A,512A,513Aが積層された積層体からなる。最上層の絶縁体層511Aの表面には、RFIC500を実装するための導体ランドが形成されている。導体ランドは、給電ランド521A,521Bを備える。
【0078】
第2層の絶縁体層512の表面には二つのループ状導体522A,522Bが形成されている。ループ状導体522A,522Bは絶縁体層512Aを半分に分割した各領域にそれぞれ形成されている。ループ状導体522A,522Bは、それぞれに、平面視して、二つの巻回導体とこれらを接続する接続導体とで構成される。
【0079】
第3層の絶縁体層513の表面にはループ状導体523Aが形成されている。ループ状導体523Aは絶縁体層513Aの全面に亘り形成されている。ループ状導体523Aも、平面視して、二つの巻回導体とこれらを接続する接続導体とで構成される。
【0080】
給電ランド521Aはビア導体531Aを介してループ状導体522Aの一方端に接続されている。ループ状導体522Aの他方端はビア導体532Aを介してループ状導体523Aの一方端に接続されている。ループ状導体523Aの他方端はビア導体533Aを介してループ状導体522Bの一方端に接続されている。ループ状導体522Bの他方端はビア導体534Aを介して給電ランド521Bに接続されている。
【0081】
この構成により、巻回導体素子510Aでは、第1の実施形態の巻回導体素子510と同程度の大きさであっても、導体長がさらに長いコイル導体520Aを形成することができる。これにより、同程度の大きさであればインダクタを大きくすることができ、同程度のインダクタであれば巻回導体素子510Aすなわち無線通信デバイス50Aを、より小型に形成することができる。
【0082】
《第6の実施形態》
図14は第6の実施形態に係るアンテナ装置101の分解斜視図である。このアンテナ装置101は基材シート40に形成された放射導体20、基材シート70に形成された補助導体30および基材シート51に形成されたコイル導体52を備えている。放射導体20は一部に切り欠き部20Cを有する(一部を切り欠いた)環状の導体パターンである。また、補助導体30は一部に切り欠き部30Cを有する(一部を切り欠いた)環状の導体パターンである。コイル導体52は矩形渦巻き状の導体パターンである。各基材シート40,70,51には開口部Hが形成されている。
【0083】
図14に示した3つの部材が積層されてアンテナ装置101が構成される。この積層状態で、基材シート70を介して放射導体20に補助導体30が対向することになる。この対向位置が放射導体20の結合部である。但し、この例では放射導体20のほぼ全体が結合部である。
【0084】
図15(A)は前記アンテナ装置101の平面図、図15(B)はそのA−A部分での断面図である。但し、図15(A)では各基材シートの図示を省略して導体パターンのみを表している。このように、補助導体30および結合部は、平面視状態で、補助導体と結合部とで一つの環状導体パターンが形成されるように構成されている。補助導体30と放射導体20とは、主として結合部に生じる電界を介して結合し、補助導体30と結合部とで構成される環状導体パターンとコイル導体52とは主として磁界を介して結合する。
【0085】
図15(B)に表れているように、各基材シート40,70,51のそれぞれに形成された開口部Hは重なり、開口部Hを備えたアンテナ装置101が構成されている。
【0086】
前記アンテナ装置101のコイル導体52に通信用ICチップが接続され、この通信用ICチップとアンテナ装置101とで通信モジュールが構成される。
【0087】
図16はアンテナ装置101の等価回路図である。この回路においてインダクタL3A,L3B,L3Cは結合部22(放射導体20に対する補助導体30の対向部)のインダクタンスである。コイル導体52のインダクタL1と、RFIC500の有する寄生容量のキャパシタCICとによって第1共振回路が構成される。
【0088】
一方、補助導体30と結合部22とで、補助導体30のインダクタL2と、結合部22に生じるキャパシタC1,C2と、結合部22のインダクタL3(L3A+L3B+L3C)とによって第2共振回路が構成される。
【0089】
そして、図16中に両端矢印の太破線に示すように、コイル導体52(インダクタL1)と補助導体30(インダクタL2)とが電磁界結合するともに、コイル導体52(インダクタL1)と結合部22(インダクタL3A,L3B,L3C)とが電磁界結合することで、第1共振回路と第2共振回路とが共振器間結合する。この結合部のインダクタL3A,L3B,L3C、補助導体30、さらにはコイル導体52が放射素子として作用する。
【0090】
図17(A)は前記アンテナ装置101を備えた通信端末装置81の上面図、図17(B)はその下面部、図17(C)は図17(B)の右側面方向から見た中央縦断面図である。この通信端末装置81はRFID機能または近距離通信機能を備えた例えば携帯電話端末であり、上面に表示部DPおよび操作部OPを備える。下面にはカメラモジュール111のレンズが露出している。
【0091】
通信端末装置81の筐体110の内部にはプリント配線板112、このプリント配線板112に搭載された実装部品113、カメラモジュール111およびバッテリーパック114を備える。そしてアンテナ装置101の開口部Hにカメラモジュール111が挿通されるように、アンテナ装置101が筐体110内に組み込まれる。
【0092】
この実施形態のアンテナ装置101によれば、カメラモジュールのような、筐体の外部に一部が露出するような部品が配置される箇所にでも配置することができ、筐体内の限られた空間に配置できる。
【0093】
《第7の実施形態》
図18は第7の実施形態に係るアンテナ装置102の分解斜視図である。このアンテナ装置102は放射導体20、基材シート70に形成された補助導体30および基材シート51に形成されたコイル導体52を備えている。放射導体20は一部に切り欠き部20Cを有する(一部を切り欠いた)環状部を有する金属板である。また、補助導体30は一部に切り欠き部30Cを有する(一部を切り欠いた)環状の導体パターンである。コイル導体52は矩形渦巻き状の導体パターンである。放射導体20と基材シート70,51には開口部Hが形成されている。
【0094】
図18に示した3つの部材が積層されてアンテナ装置102が構成される。この積層状態で、基材シート70を介して放射導体20に補助導体30が対向することになる。この対向位置が放射導体20の結合部である。
【0095】
図19は前記アンテナ装置102の平面図である。但し、この図19では各基材シートの図示を省略して導体パターンのみを表している。このように、補助導体30および結合部は、平面視状態で、補助導体と結合部とで一つの環状導体パターンが形成されるように構成されている。補助導体30と放射導体20とは、主として結合部に生じる電界を介して結合し、補助導体30と結合部とで構成される環状導体パターンとコイル導体52とは主として磁界を介して結合する。
【0096】
図20(A)は前記アンテナ装置102を備えた通信端末装置82の上面図、図20(B)はその下面部、図20(C)は図20(B)の右側面方向から見た中央縦断面図である。この通信端末装置82はRFID機能または近距離通信機能を備えた例えば携帯電話端末であり、上面に表示部DPおよび操作部OPを備える。下面にはカメラモジュール111のレンズが露出している。
【0097】
通信端末装置82の下部筐体は前記放射導体20である金属板の成型品である。上部筐体110Tは樹脂製の成型品である。放射導体20の切り欠き部(スリット)20Cには絶縁性の部材で密閉されている。
【0098】
通信端末装置82筐体内にはプリント配線板112、このプリント配線板112に搭載された実装部品113、カメラモジュール111およびバッテリーパック114を備える。そしてアンテナ装置102の開口部Hにカメラモジュール111が挿通されるように、アンテナ装置102が筐体内に組み込まれる。
【0099】
この実施形態のアンテナ装置102によれば、カメラモジュールのような、筐体の外部に一部が露出するような部品が配置される箇所にでも配置することができ、筐体内の限られた空間に配置できる。しかも、筐体の一部を放射素子として作用させることができるので、通信端末装置は小型でありながら、近距離通信用のアンテナは高い効率を得ることができる。
【符号の説明】
【0100】
DP…表示部
H…開口部
OP…操作部
10,10A,10B,10C…RFIDタグ
20…放射導体
21A…第1放射部
21B…第2放射部
22…結合部
23…補助結合用導体
30,30A…補助導体
40…基材シート
50,50A…無線通信デバイス
51…基材シート
52…コイル導体
60…絶縁性接着剤
70…基材シート
81…通信端末装置
82…通信端末装置
101,102…アンテナ装置
110…筐体
110T…上部筐体
111…カメラモジュール
112…プリント配線板
113…実装部品
114…バッテリーパック
220…接続部
221,222…突出部
230…切り欠き部
231,232…突出部
233…接続部
301…第1導体
301B…第3導体
302…第2導体
302B…第4導体
303…第3導体
304…切り欠き部
500…RFIC
510,510A…巻回導体素子
511〜514,511A〜513A…絶縁体層
520,520A…コイル導体
521A,521B…給電ランド
522,522A,522B,523,523A,524…ループ状導体
531,531A,532,532A,533,533A,534,534A…ビア導体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
巻回導体と、この巻回導体に結合する補助導体と、前記巻回導体および前記補助導体に結合する結合部を有する放射導体と、を備え、
前記補助導体および前記結合部は、平面視状態で、前記補助導体と前記結合部とで一つの環状導体パターンが形成されるように構成され、
前記補助導体と前記放射導体とは、前記結合部に生じる電界を介して結合し、前記補助導体と前記結合部とで構成される前記環状導体パターンと前記巻回導体とは磁界を介して結合する、アンテナ装置。
【請求項2】
前記補助導体および前記結合部は、それぞれ一部を切り欠いた環状である、請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項3】
前記補助導体は、平面視状態で前記結合部の切り欠き領域と前記結合部の導体パターンの一部とに重なる形状である、請求項2に記載のアンテナ装置。
【請求項4】
前記結合部は前記放射導体の一部の領域である、請求項2または3に記載のアンテナ装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載のアンテナ装置を備えるRFIDタグであり、
前記巻回導体に接続され、通信信号を処理するRFICチップを備えたRFIDタグ。
【請求項6】
前記巻回導体は基板に形成され、前記RFICチップは前記基板に搭載されて、前記基板と前記RFICチップとで無線通信デバイスが構成された、請求項5に記載のRFIDタグ。
【請求項7】
互いに対向する第1主面と第2主面とを有する絶縁性基材を備え、
前記無線通信デバイスおよび前記補助導体は前記絶縁性基材の第1主面に配設され、
前記放射導体は前記絶縁性基材の第2主面に配設されている、請求項6に記載のRFIDタグ。
【請求項8】
前記無線通信デバイスは、平面視で前記環状導体パターンの内側に配置されている、請求項6または7に記載のRFIDタグ。
【請求項9】
前記無線通信デバイスが有する容量と前記巻回導体のインダクタンスとで第1共振器が構成され、前記結合部と前記補助導体との間に形成される容量と前記環状導体パターンのインダクタンスとで第2共振器が構成された、請求項6〜8のいずれかに記載のRFIDタグ。
【請求項10】
請求項1〜4のいずれかに記載のアンテナ装置を筐体内に備えた通信端末装置であって、
前記補助導体および前記放射導体はそれぞれ基材に形成され、
前記補助導体が形成された基材および前記放射導体が形成された基材は、平面視で前記補助導体と前記結合部とが重なった状態で形成される前記環状導体パターンの環内部にそれぞれ開口部を備え、
前記筐体内の他の部品が前記開口部に挿通している、通信端末装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2012−213126(P2012−213126A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−140055(P2011−140055)
【出願日】平成23年6月24日(2011.6.24)
【出願人】(000006231)株式会社村田製作所 (3,635)
【Fターム(参考)】