説明

アンテナ装置およびそれを備えたアレーアンテナ装置

【課題】ミリ波帯で広帯域に動作するアンテナ装置を提供する。
【解決手段】アンテナ装置10は、スロット素子1〜4と、導波管5と、地板6とを備える。スロット素子1〜4は、導波管5の一主面に略平行に配置され、終端面5Cから給電面5Bへ向かうに従って長さlが長くなっている。スロット素子1は、終端面5Cから距離dの位置に配置される。スロット素子2〜4は、それぞれ、スロット素子1〜3との間隔がgになるように配置される。そして、スロット素子1〜4の各々は、同じ幅wを有する。導波管5は、長さL、幅wおよび高さtの平板形状からなる。地板6は、導波管5の上面5Aに導波管5に接して配置される。この場合、導波管5の終端面5Cと地板6の端との距離は、pに設定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、アンテナ装置およびそれを備えたアレーアンテナ装置に関し、特に、スロット素子を含むアンテナ装置およびそれを備えたアレーアンテナ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
無線LAN(Local Area Network)等で使用されている低マイクロ波帯の周波数資源が逼迫している現在、新たな周波数資源として、広い帯域を確保できるミリ波帯を利用した高速無線LANが注目されている。
【0003】
低マイクロ波帯に比べて電磁波の伝搬損失が非常に大きいミリ波帯では、高利得な指向性アンテナを使用する必要がある。
【0004】
しかし、1つの指向性アンテナでは、屋内全体で通信を行うことができないため、複数の指向性アンテナを備えたマルチセクタアンテナの使用が有望視されている。
【0005】
また、電磁波の空間伝搬の距離による減衰を考慮して、一定範囲を高利得で照射するために、通信距離、即ち、仰角に応じて利得が異なるビームパターンが必要である。
【0006】
マルチセクタアンテナの例として、パッチアンテナを用いた八木・宇田アレーアンテナによるアンテナ装置が知られている(非特許文献1)。また、モノポールアンテナを用いた八木・宇田アレーアンテナによるマルチセクタアンテナ装置も知られている(非特許文献2)。
【0007】
これらのアンテナ装置は、八木・宇田アレーアンテナの動作原理を利用して指向性のある鋭いビームを形成している。
【0008】
一方、スロットアンテナをアレー化し、導波管を用いてスロットアンテナへ給電し、ミリ波帯で動作するアンテナ装置が知られている(特許文献1および非特許文献3)。これらのスロットアレーアンテナは、スロットアンテナを約半波長間隔で配置し、スロットの位置と寸法によって決まる励振振幅と励振位相との調整によってビームを形成している。
【0009】
これらのスロットアレーアンテナは、アレーを構成する放射素子が狭帯域であるため、高速無線LANで要求される帯域幅を確保できるほど十分な帯域幅を有していない。
【0010】
そこで、スロットアンテナ自体の動作周波数を広帯域化するために、スロットへマイクロストリップ線路で給電し、スロットの後部にキャビティを設けたアンテナ装置が知られている(非特許文献4)。また、スロットアレーアンテナの広帯域化技術として、対数周期アンテナの動作原理を利用して帯域幅を広げるために、長さの異なる複数のスロットを配列し、それらへマイクロストリップ線路で給電したアンテナ装置が知られている(非特許文献5)。
【0011】
これらのアンテナ装置は、広帯域な特性が得られる反面、指向性アンテナとしては動作しないため、ミリ波帯の無線通信に必要な利得を得るに到っていない。
【特許文献1】特開2007−184893号公報
【非特許文献1】電子情報通信学会論文誌B, Vol. J87−B, No. 9,pp.1363−1371,Sept.,2004.
【非特許文献2】電子情報通信学会論文誌B−II, Vol. J80−B−II, No.5, pp.424−433, May, 1997.
【非特許文献3】IEEE Transaction on Antennas and Propagation, vol. 46, pp.625-630, May 1998.
【非特許文献4】International Journal of Infrared and Millimeter Waves, pp. 275-281, Feb. 2007.
【非特許文献5】IEEE International Antennas Propagation Symposium Digest, vol. 38, pp.510-513, July 2000.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
アンテナ放射素子であるパッチアンテナ、モノポールアンテナおよびスロットアンテナの比帯域幅(10dBのリターンロスを確保できる比帯域幅を意味する)は、一般的に、高々5%程度の狭帯域特性である。従って、これらの放射素子で構成されるアレーアンテナも、また、狭帯域であるという問題がある。
【0013】
また、低マイクロ波帯のデバイスに比べて、デバイス内を伝搬する電磁波の損失が非常に大きいミリ波帯のデバイスでは、マイクロストリップ線路による給電を用いると、伝送損失が大きくなる。従って、アンテナ素子単体では、広帯域に動作するアンテナでも、マイクロストリップ線路によって給電される広帯域スロットアンテナでは、伝送損失が増大し、利得を確保できないという問題がある。
【0014】
特に、所望の指向性パターンを形成するためには、アレーアンテナのアレー化が必須である。しかし、アレーアンテナでは、アレー数に応じた分岐回路が必要となるため、マイクロストリップ線路による給電では、給電線路の損失が、より大きくなるという問題がある。
【0015】
そこで、この発明は、かかる問題を解決するためになされたものであり、その目的は、ミリ波帯で広帯域に動作するアンテナ装置を提供することである。
【0016】
また、この発明の別の目的は、ミリ波帯で広帯域に動作するアンテナ装置を備えたアレーアンテナ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
この発明によれば、アンテナ装置は、導波管と、複数のスロット素子とを備える。導波管は、平板形状からなる。複数のスロット素子は、導波管の一主面に略平行に配置され、導波管の給電面に対向する導波管の終端面から給電面へ向かうに従って長さが長くなっている。そして、複数のスロット素子の隣接する2つのスロット素子の間隔は、スロット素子の共振周波数における波長の4分の1以下である。
【0018】
好ましくは、複数のスロット素子の長さは、終端面から給電面へ向かうに従って一定の割合で長くなっている。
【0019】
好ましくは、複数のスロット素子の長さは、終端面から給電点へ向かうに従って等比数列によって長くなっている。
【0020】
好ましくは、2つのスロット素子の間隔は、終端面から給電面へ向かうに従って広くなっている。
【0021】
2つのスロット素子の間隔は、終端面から給電面へ向かうに従って等比数列によって広くなっている。
【0022】
終端面は、短絡されている。
【0023】
終端面は、開放されている。
【0024】
複数のスロット素子の各々は、給電面から終端面へ向かう方向に配置された導波管の軸に対して対称な形状を有する。
【0025】
また、この発明によれば、アンテナ装置は、導波管と、共振スロット素子と、反射スロット素子とを備える。導波管は、平板形状からなる。共振スロット素子は、導波管の一主面に配置され、結合共振する。反射スロット素子は、導波管の一主面において共振スロット素子と導波管の給電面との間に配置される。
【0026】
更に、この発明によれば、アレーアンテナ装置は、任意の平面に沿って配列された複数のアンテナ装置を備える。複数のアンテナ装置の各々は、導波管と、複数のスロット素子とを含む。導波管は、平板形状からなる。複数のスロット素子は、導波管の一主面に略平行に配置され、導波管の給電面に対向する導波管の終端面から給電面へ向かうに従って長さが長くなっている。そして、複数のスロット素子の隣接する2つのスロット素子の間隔は、スロット素子の共振周波数における波長の4分の1以下である。
【0027】
更に、この発明によれば、アレーアンテナ装置は、任意の平面に沿って配列された1個または複数のアンテナ装置を備える。1個または複数のアンテナ装置の各々は、誘電体と、複数のスロット素子と、金属ポールとを含む。誘電体は、平板形状からなり、表面が金属箔によって覆われている。複数のスロット素子は、誘電体の一主面に略平行に配置され、誘電体への給電領域に対向する誘電体の終端面から給電領域へ向かうに従って長さが長くなっている。金属ポールは、誘電体の周囲に沿って配置されている。そして、複数のスロット素子の隣接する2つのスロット素子の間隔は、スロット素子の共振周波数における波長の4分の1以下である。
【発明の効果】
【0028】
この発明によるアンテナ装置は、導波管の終端面から給電面へ向かうに従って長さが長くなっている複数のスロット素子を備える。その結果、複数のスロット素子のうち、導波管の終端面側に配置されたスロット素子間で結合共振が発生する。そして、反射係数S11が広い周波数にわたって低下する。
【0029】
従って、この発明によれば、アンテナ装置をミリ波帯で広帯域に動作させることができる。
【0030】
また、この発明によるアンテナ装置においては、複数のスロット素子のうち、導波管の終端面側に配置されたスロット素子は、共振素子として動作し、残りのスロット素子は、反射素子として動作する。
【0031】
従って、アンテナ装置に鉛直な方向よりもアンテナ装置の斜め方向における利得を高くできる。
【0032】
更に、この発明によるアレーアンテナ装置は、この発明によるアンテナ装置を複数個配列した構造からなる。
【0033】
従って、この発明によれば、アンテナ装置の長さ方向に垂直な面内における利得を高くできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0035】
[実施の形態1]
図1は、この発明の実施の形態1によるアンテナ装置の概略図である。この発明の実施の形態1によるアンテナ装置10は、スロット素子1〜4と、導波管5と、地板6とを備える。
【0036】
スロット素子1〜4は、導波管5の上面5Aに略平行であり、かつ、導波管5の給電面5Bから終端面5Cへ向かう方向に配置された導波管5の管軸AXに対して対称に配置される。
【0037】
より詳細には、スロット素子1は、導波管5の終端面5Cとの間の距離がdになる位置に配置される。そして、スロット素子2〜4は、スロット素子1,2間の間隔、スロット素子2,3間の間隔およびスロット素子3,4間の間隔がgになるように配置される。
【0038】
スロット素子1〜4の各々は、長方形の形状を有する。そして、スロット素子1〜4の各々は、幅w(i=1〜4)および長さlを有する。
【0039】
アンテナ装置10においては、スロット素子1〜4の幅w〜wは、w=w=w=w=0.3mmに設定される。また、終端面5Cからi番目の位置に配置されたスロット素子iは、次式によって決定される長さlを有する。
【0040】
=l+(i−1)×Δ・・・(1)
式(1)において、Δは、スロット素子1〜4の長さl〜lの増分を示す定数である。
【0041】
アンテナ装置10においては、スロット素子1の長さlは、1.7mmに設定され、増分Δは、0<Δ≦0.4mmの範囲に設定される。その結果、例えば、増分Δが0.4mmである場合、スロット素子2〜4の長さl〜lは、それぞれ、2.1mm、2.5mmおよび2.9mmとなる。そして、スロット素子1,2の長さl,lは、使用周波数における導波管5の管内波長λの約2分の1になる。また、アンテナ装置10においては、間隔gは、例えば、0.5mmに設定され、距離dは、例えば、1.8mmに設定される。
【0042】
このように、アンテナ装置10は、導波管5の終端面5Cから給電面5Bへ向かうに従って長さが一定の割合(=増分Δ)で長くなり、かつ、等間隔gに配置された複数のスロット素子1〜4を備える。
【0043】
導波管5は、平板形状からなり、幅w、および高さtを有する。ここで、幅wは、一般的には、使用周波数において高次モードであるTE30モード以上が伝搬しない幅に設定される。そして、幅wは、例えば、3.5mmに設定され、高さtは、例えば、1.2mmに設定される。
【0044】
また、導波管5の内部は、比誘電率εの誘電体によって充填されている。そして、導波管5は、地板6の端と終端面5Cとの距離がpになるように地板6に接して地板6の下側に配置される。アンテナ装置10においては、距離pは、例えば、8.0mmに設定され、比誘電率εは、例えば、2.17に設定される。
【0045】
地板6は、有限の寸法を有し、導波管5の上面5Aに接して配置される。
【0046】
図2は、図1に示す導波管5および地板6の斜視図である。また、図3は、図2に示す線III−IIIにおける導波管5および地板6の断面図である。
【0047】
地板6は、貫通孔61〜64を含む(図2参照)。導波管5は、誘電体51と、銅箔52とからなる。誘電体51は、例えば、プリント基板からなる。銅箔52は、導波管5の給電面5Bとなる誘電体51の側面を除いて誘電体51の周囲を覆う。そして、スロット素子1〜4は、銅箔52の一部を幅w、長さl〜lおよび間隔gで切り取ることによって形成される。導波管5の終端面5Cとなる誘電体51の側面は、銅箔52によって覆われているので、アンテナ装置10においては、導波管5の終端面5Cは、短絡されている(図3参照)。
【0048】
貫通孔61〜64は、それぞれ、スロット素子1〜4と同じ形状および同じ寸法(幅および長さ)を有する。そして、貫通孔61〜64の隣接する2つの貫通孔61,62;62,63;63,64の間隔は、スロット素子1〜4の隣接する2つのスロット素子1,2;2,3;3,4の間隔gと同じである。
【0049】
従って、導波管5の終端面5Cと地板6の端6Aとの距離がpになるように、地板6を導波管5の上面5Aに接するように配置すると、貫通孔61〜64は、それぞれ、スロット素子1〜4上に配置される(図3参照)。
【0050】
その結果、導波管5は、給電面5Bから給電された電磁波を給電面5B側から終端面5C側へ損失を抑制して伝搬させる。そして、スロット素子1〜4は、誘電体51中を伝搬した電磁波を自由空間へ放射する。
【0051】
図4は、図1に示すアンテナ装置10における反射係数の周波数特性を示す図である。図4において、縦軸は、導波管5の入力ポートである給電面5Bにおける反射係数S11を表し、横軸は、周波数を表す。なお、スロット素子1〜4の長さl〜lは、それぞれ、l=1.7mm、l=2.1mm、l=2.5mm、およびl=2.9mmである。また、隣接する2つのスロット素子間の間隔gは、0.5mmである。
【0052】
図4に示すように、反射係数S11が−10dBである帯域幅は、57.12GHz〜69.89GHzである。その結果、比帯域幅は、[(69.89−57.12)/{(57.12+69.89)/2}]×100=20%である。
【0053】
また、反射係数S11が−15dBである帯域幅は、58.98GHz〜68.92GHzである。その結果、比帯域幅は、[(68.92−58.98)/{(58.98+68.92)/2}]×100=15.5%である。
【0054】
高速無線LANにおける使用周波数は、59GHz〜66GHzである。従って、アンテナ装置10は、反射係数S11が−10dBの帯域幅および−15dBの帯域幅の両方において、高速無線LANにおける使用周波数をカバーできることが解った。
【0055】
図5は、図1に示すアンテナ装置10における比帯域幅とスロット素子1〜4の長さの増分との関係を示す図である。
【0056】
図5において、縦軸は、アンテナ装置10の比帯域幅を表し、横軸は、スロット素子1〜4の長さの増分Δを表す。また、曲線k1,k2は、隣接する2つのスロット素子間の間隔gが0.5mmであるときの比帯域幅と増分Δとの関係を示す。そして、曲線k1は、間隔g=0.5mmにおいて、反射係数S11が−10dBであるときの比帯域幅と増分Δとの関係を示し、曲線k2は、間隔g=0.5mmにおいて、反射係数S11が−15dBであるときの比帯域幅と増分Δとの関係を示す。
【0057】
更に、曲線k3,k4は、隣接する2つのスロット素子間の間隔gが1.0mmであるときの比帯域幅と増分Δとの関係を示す。そして、曲線k3は、間隔g=1.0mmにおいて、反射係数S11が−10dBであるときの比帯域幅と増分Δとの関係を示し、曲線k4は、間隔g=1.0mmにおいて、反射係数S11が−15dBであるときの比帯域幅と増分Δとの関係を示す。
【0058】
更に、曲線k5,k6は、隣接する2つのスロット素子間の間隔gが1.5mmであるときの比帯域幅と増分Δとの関係を示す。そして、曲線k5は、間隔g=1.5mmにおいて、反射係数S11が−10dBであるときの比帯域幅と増分Δとの関係を示し、曲線k6は、間隔g=1.5mmにおいて、反射係数S11が−15dBであるときの比帯域幅と増分Δとの関係を示す。なお、図5においては、増分Δを0.0mm〜0.4mmの範囲で変化させた。
【0059】
図5に示すように、増分Δを増加させることによって、反射係数S11が−10dBまたは−15dBであるときの比帯域幅は、スロット素子1〜4の長さl〜lが同じである場合(Δ=0.0mmの場合)よりも広くなる(曲線k1〜k6参照)。特に、隣接する2つのスロット素子間の間隔gがg=0.5mmおよび1.0mmであるとき、比帯域幅は、大幅に広くなる(曲線k1〜k4参照)。これは、複数のスロット素子1〜4における長さl〜lの違いが有効に動作していることを意味する。
【0060】
従って、導波管5の終端面5C側から給電面5B側へ向かうに従って長さが長くなるスロット素子1〜4を用いることによって、比帯域幅が向上したアンテナ装置10を実現できることが実証された。
【0061】
また、反射係数S11が−10dBであるときの比帯域幅を比較すると、隣接する2つのスロット素子間の間隔gが0.5mmまたは1.0mmであるとき、比帯域幅が20%以上である広帯域特性が得られる(曲線k1,k3参照)。
【0062】
更に、反射係数S11が−15dBであるときの比帯域幅を比較すると、隣接する2つのスロット素子間の間隔gが0.5mmであるとき、間隔gが1.0mmまたは1.5mmであるときよりも帯域幅が広くなっている(曲線k2,k4,k6参照)。
【0063】
このように、隣接する2つのスロット素子間の間隔gをλ/4以下(周波数67GHzにおけるλ/4は、0.84mmである)にすると、スロット素子間の結合共振が有効に働き、広帯域な反射特性が得られる。
【0064】
図6は、スロット素子1,2の長さを変化させたときの比帯域幅、およびスロット素子3,4の長さを変化させたときの比帯域幅を示す図である。
【0065】
図6の(a)において、縦軸は、スロット素子2の長さの増分Δを表し、横軸は、スロット素子1の長さの増分Δを表す。この場合、スロット素子3,4の長さl,lは、それぞれ、2.5mmおよび2.9mmであり、一定である。
【0066】
また、図6の(b)において、縦軸は、スロット素子4の長さの増分Δを表し、横軸は、スロット素子3の長さの増分Δを表す。この場合、スロット素子1,2の長さl,lは、それぞれ、1.7mmおよび2.1mmであり、一定である。
【0067】
なお、図6の(a),(b)中における数値は、比帯域幅を表す。
【0068】
図6の(a),(b)に示すように、スロット素子3,4の長さl,lを変化させるよりも、λ/2に近いスロット長を有するスロット素子1,2の長さl,lを変化させる方が、比帯域幅が大きく変化する。
【0069】
これは、スロット素子1,2の長さl,lの変化によって、アンテナの共振特性が大きく変化することによるものである。図1に示すアンテナ装置10の構造において、スロット素子1,2が共振特性の決定に大きく寄与していると考えられるので、スロット素子1,2は、共振素子として動作していることが解る。
【0070】
図7は、図1に示すアンテナ装置10の放射パターンを示す図である。また、図8は、アンテナ装置10の放射パターンにおける仰角および方位角の定義を示す図である。
【0071】
図7において、縦軸は、利得を表し、横軸は、仰角を表す。また、曲線k7〜k9は、それぞれ、周波数59.0GHz、62.5GHz、66.0GHzにおけるアンテナ装置10の放射パターンを示す。
【0072】
図8に示すように、導波管5の上面5Aと給電面5Bとの交線上にxyz座標の原点Oをとり、給電面5Bから終端面5Cへ向かう方向をx軸とし、導波管5の幅方向をy軸とし、地板6に垂直な方向をz軸とする。そして、仰角θおよび方位角φを図8に示すように定義する。
【0073】
そうすると、図7に示す曲線k7〜k9は、方位角φ=0度におけるアンテナ装置10の放射パターンを示す。
【0074】
図7に示すように、アンテナ装置10は、各周波数59.0GHz,62.5GHz,66.0GHzにおいて、鉛直方向(θmin=0度)よりも斜め方向(θmax=66度)の方が利得が高くなる放射パターンを有する(曲線k7〜k9参照)。
【0075】
自由空間における伝搬損失を無視できないミリ波帯での通信では、ある空間範囲を一定利得で照射するには、自由空間での伝搬損失をアンテナの利得で補償する必要がある。例えば、室内において、アクセスポイントがユーザ端末よりも高さ2mの位置に配置され、θmin≦θ≦θmaxの範囲に対して、アンテナ装置10が斜め方向(θmax=66度)から鉛直方向(θmin=0度)へ電波を出射する場合を想定する。この場合、仰角θが大きい程、通信距離が長くなる。従って、自由空間における伝搬損失をアンテナ装置10で補償するには、仰角θが大きい程、高利得の特性が要求される。
【0076】
上述したように、アンテナ装置10は、鉛直方向(θmin=0度)よりも斜め方向(θmax=66度)の方が高利得を示すので、アンテナ装置10を用いることによって、自由空間における伝搬損失を補償できる放射特性を実現できる。
【0077】
図9は、スロット素子3,4の長さを変化させたときのF/B(Front/Back)比を示す図である。
【0078】
図9において、縦軸は、スロット素子4の長さの増分Δを表し、横軸は、スロット素子3の長さの増分Δを表す。また、図9中の数値は、F/B比を示す。
【0079】
ここで、F/B比は、θmax=66度における利得と、−θmax=−66度における利得との利得比G(θmax)/G(−θmax)によって定義される。
【0080】
図9に示すように、スロット素子3,4の長さl,lが長くなるに従って(=増分Δ,Δが大きくなるに従って)、F/B比は、向上している(図9の右上参照)。このことは、図1に示すアンテナ装置10においては、スロット素子3,4が反射素子として動作することを意味する。そして、F/B比が高いほど、不要なマルチパスによる多重反射波を抑圧できる。
【0081】
このように、アンテナ装置10においては、スロット素子1,2は、共振素子として動作し、スロット素子3,4は、反射素子として動作する。その結果、+θ方向へビームを形成できる。
【0082】
図10は、利得の向上率とスロット素子数との関係を示す図である。図10において、縦軸は、利得の向上率を表し、横軸は、スロット素子数を表す。また、曲線k10は、仰角θmax=66度における利得の向上率とスロット素子数との関係を示し、曲線k11は、仰角θmin=0度における利得の向上率とスロット素子数との関係を示す。
【0083】
なお、図10においては、スロット素子数を6個まで増加させた。この場合、1個目のスロット素子1から4個目のスロット素子4の長さl〜lは、上述したとおりであり、5個目のスロット素子の長さlは、3.3mmであり、6個目のスロット素子の長さlは、3.7mmである。また、隣接する2つのスロット素子間の間隔gは、0.5mmである。更に、利得の向上率は、スロット素子数が“1”である場合を基準にして規格化された値である。
【0084】
図10に示すように、スロット素子数が増加するに従って、θmax方向の利得は、増加し、θmin方向の利得は、減少する。従って、スロット素子数が増加すると、x−z面内のビーム幅が狭窄化し、利得が向上する。
【0085】
図11は、比帯域幅と隣接する2つのスロット素子間の間隔との関係を示す図である。図11において、縦軸は、比帯域幅を表し、横軸は、使用する中心周波数における波長λg0で規格化されたスロット素子間の間隔g/λg0を表す。また、白丸は、反射係数S11が−10dBであるときの比帯域幅を示し、黒丸は、反射係数S11が−15dBであるときの比帯域幅を示す。
【0086】
図11に示す比帯域幅と間隔g/λg0との関係は、スロット素子1〜4の長さl〜lが同じであり(=l=l=l=l=0.462λg0)、距離dがd=0.489λg0である場合の比帯域幅と間隔g/λg0との関係である。
【0087】
スロット素子1〜4の長さl〜lが同じである場合、反射係数S11が−15dBであるときの比帯域幅は、スロット素子間の間隔g/λg0を変えても、殆ど広くならない。
【0088】
また、スロット素子1〜4の長さl〜lが同じである場合、反射係数S11が−10dBであるときの比帯域幅は、スロット素子間の間隔g/λg0を変えると、5%を超える比帯域幅が得られる。
【0089】
図12は、比帯域幅と隣接する2つのスロット素子間の間隔との他の関係を示す図である。図12において、縦軸は、比帯域幅を表し、横軸は、スロット素子間の間隔g/λg0を表す。また、白丸は、反射係数S11が−10dBであるときの比帯域幅を示し、黒丸は、反射係数S11が−15dBであるときの比帯域幅を示す。
【0090】
図12に示す比帯域幅と間隔g/λg0との関係は、スロット素子1〜4の長さl〜lがそれぞれl=0.462λg0、l=0.516λg0、l=0.571λg0、およびl=0.625λg0であり、距離dがd=0.489λg0である場合の比帯域幅と間隔g/λg0との関係である。
【0091】
図12に示すように、スロット素子1〜4の長さl〜lを順次長くすることによって、反射係数S11が−10dBまたは−15dBであるときの比帯域幅は、スロット素子1〜4の長さl〜lが同じである場合よりも大幅に広くなる。特に、反射係数S11が−10dBであるときの比帯域幅の広帯域化が顕著である。
【0092】
図13は、比帯域幅と隣接する2つのスロット素子間の間隔との更に他の関係を示す図である。図13において、縦軸は、比帯域幅を表し、横軸は、スロット素子間の間隔g/λg0を表す。また、白丸は、反射係数S11が−10dBであるときの比帯域幅を示し、黒丸は、反射係数S11が−15dBであるときの比帯域幅を示す。
【0093】
図13に示す比帯域幅と間隔g/λg0との関係は、スロット素子1〜4の長さl〜lがそれぞれl=0.462λg0、l=0.571λg0、l=0.679λg0、およびl=0.788λg0であり、距離dがd=0.489λg0である場合の比帯域幅と間隔g/λg0との関係である。
【0094】
図13に示すように、スロット素子1〜4の長さl〜lの増分を図12に示す場合よりも大きくすると、反射係数S11が−10dBまたは−15dBであるときの比帯域幅は、大幅に広くなる。特に、反射係数S11が−10dBであるときの比帯域幅は、最大で25%に達する。
【0095】
そして、反射係数S11が−10dBであるときに、比帯域幅を20%以上に設定し、かつ、、反射係数S11が−15dBであるときに、比帯域幅を10%以上に設定するには、スロット素子間の間隔g/λg0を略0.1λg0〜略0.2λg0の範囲に設定すればよい。
【0096】
図11〜図13に示す結果から、スロット素子1〜4の長さl〜lの増分を相対的に大きくすることによって、比帯域幅が大幅に広くなることが解る。
【0097】
図14は、比帯域幅と距離dとの関係を示す図である。図14において、縦軸は、比帯域幅を表し、横軸は、使用する中心周波数における波長λg0によって規格化したスロット素子1と導波管5の終端面5Cとの距離d/λg0を表す。また、白丸は、反射係数S11が−10dBであるときの比帯域幅を示し、黒丸は、反射係数S11が−15dBであるときの比帯域幅を示す。
【0098】
図14に示す比帯域幅と距離d/λg0との関係は、スロット素子1〜4の長さl〜lがそれぞれl=0.462λg0、l=0.571λg0、l=0.679λg0、およびl=0.788λg0であり、スロット素子間の間隔gがg=0.136λg0である場合の比帯域幅と距離d/λg0との関係である。
【0099】
図14に示す結果から、距離dを略nλg0/2(n=0,1,2,3,・・・)に選択すれば、反射係数S11が−10dBまたは−15dBであるときの比帯域幅は、15%以上になることが解る。
【0100】
従って、距離dは、上述した1.8mmに限らず、略nλg0/2に設定すればよい。
【0101】
図15は、比帯域幅とスロット素子の長さの増分との関係を示す図である。図15において、縦軸は、比帯域幅を表し、横軸は、使用する中心周波数における波長λg0によって規格化したスロット素子1〜4の長さの増分Δ/λg0を表す。また、白丸は、反射係数S11が−10dBであるときの比帯域幅を示し、黒丸は、反射係数S11が−15dBであるときの比帯域幅を示す。
【0102】
図15に示す比帯域幅と増分Δ/λg0との関係は、スロット素子1〜4の長さl〜lがそれぞれl=0.462λg0、l=0.462λg0+1×Δλg0、l=0.462λg0+2×Δλg0、およびl=0.462λg0+3×Δλg0であり、距離dがd=0.489λg0であり、スロット素子間の間隔gがg=0.136λg0である場合の比帯域幅と距離dとの関係である。
【0103】
隣接する2つのスロット素子の長さが0.05λg0以上の増分で長くなるようにスロット素子1〜4の長さl〜lを設定すれば、反射係数S11が−10dBであるときの比帯域幅は、約20%になり、反射係数S11が−15dBであるときの比帯域幅は、約15%になる。
【0104】
従って、この発明においては、隣接する2つのスロット素子の長さの増分は、好ましくは、0.05λg0以上に設定される。
【0105】
図16は、図1に示すアンテナ装置10の使用例を示す図である。なお、図16においては、見易くするために、アンテナ装置10をユーザ端末20よりも大きく表示している。
【0106】
アンテナ装置10が屋内でユーザ端末20よりも2m高い位置に配置された場合、ユーザ端末20は、アンテナ装置10から見て66度の方向へ配置される。
【0107】
上述したように、アンテナ装置10は、θmin=0度の方向よりもθmax=66度の方向の方が利得が高いので(図7参照)、ユーザ端末20は、自由空間における伝搬損失をアンテナ装置10によって補償してアンテナ装置10から出射された電波を受信できる。
【0108】
従って、アンテナ装置10は、ミリ波帯の通信に適したアンテナ装置である。
【0109】
なお、特許文献1は、長さが異なる複数のスロット素子を備えたマルチセクタアンテナを開示しているが、このマルチセクタアンテナでは、複数のスロット素子の長さは、導波管5の終端面5C側から給電面5B側へ向かうに従って短くなっている。また、特許文献1は、複数のスロット素子のうち、一部が共振素子として動作し、残りのスロット素子が反射素子として動作することを開示していない。従って、特許文献1に開示されたマルチセクタアンテナは、この発明によるアンテナ装置10とは、その思想を全く異にするものである。
【0110】
上記においては、スロット素子1〜4は、長方形の形状からなると説明したが、実施の形態1においては、これに限らず、スロット素子1〜4は、蛇行(メアンダ)形状、ボウタイ形状(中心から両側へ幅が広くなっている形状)、およびV字形状のいずれかからなっていてもよい。
【0111】
また、上記においては、スロット素子1,2間の間隔、スロット素子2,3間の間隔およびスロット素子3,4間の間隔は、相互に等しいと説明したが、実施の形態1においては、これに限らず、アンテナ装置10において、スロット素子1,2間の間隔、スロット素子2,3間の間隔およびスロット素子3,4間の間隔は、終端面5C側から給電面5B側へ向かうに従って、λ/4以下の範囲において一定の割合で広くなっていてもよい。
【0112】
更に、上記においては、導波管5は、断面形状が矩形であると説明したが、実施の形態1においては、これに限らず、円形または楕円形状の導波管を使用することもできる。
【0113】
更に、上記においては、導波管5は、内部が誘電体51によって充填されていると説明したが、実施の形態1においては、これに限らず、アンテナ装置10は、導波管5に代えて中空の導波管を備えていてもよい。
【0114】
更に、上記においては、アンテナ装置10は、4個のスロット素子1〜4を備えると説明したが、実施の形態1においては、これに限らず、アンテナ装置10は、一般的には、終端面5C側から給電面5B側へ向かうに従って長さが長くなっている複数のスロット素子を備えていればよい。
【0115】
更に、実施の形態1においては、アンテナ装置10は、地板6を備えていなくてもよい。
【0116】
[実施の形態2]
図17は、実施の形態2によるアンテナ装置の概略図である。実施の形態2によるアンテナ装置10Aは、図1に示すアンテナ装置10のスロット素子1〜4をスロット素子11〜16に代えたものであり、その他は、アンテナ装置10と同じである。
【0117】
スロット素子11〜16は、導波管5の上面5Aに略平行であり、かつ、導波管5の管軸AXに対して対称に配置される。
【0118】
より詳細には、スロット素子11は、スロット素子1と同じ位置に配置される。そして、スロット素子11〜16は、隣接する2つのスロット素子間の間隔g(j=1〜3)が次式によって決定されるように配置される。
【0119】
=αj−1・・・(2)
なお、公比αは、1よりも大きい実数である。
【0120】
このように、スロット素子11〜16は、隣接する2つのスロット素子間の間隔g(j=1〜5)が公比=αである等比数列をなすように配置される。従って、複数のスロット素子11〜16の隣接する2つのスロット素子間の間隔gは、導波管5の終端面5C側から給電面5B側へ向かうに従って、公比=αの等比数列によって広くなる。
【0121】
そして、スロット素子11,12の間隔gは、0.35mmに設定され、公比αが1.15に設定される。その結果、スロット素子12,13間の間隔g、スロット素子13,14間の間隔g、スロット素子14,15間の間隔g、およびスロット素子15,16間の間隔gは、それぞれ、g=0.40mm、g=0.46mm、g=0.53mm、およびg=0.61mmに設定される。
【0122】
また、スロット素子11〜16の長さlは、次式によって決定される。
【0123】
=αi−1・・・(3)
即ち、スロット素子11〜16の長さlは、公比=αの等比数列によって決定される。従って、スロット素子11〜16の長さlは、導波管5の終端面5C側から給電面5B側へ向かうに従って、公比=αの等比数列によって長くなる。
【0124】
そして、実施の形態2においては、スロット素子11の長さlは、1.75mmに設定される。その結果、スロット素子12〜16の長さl〜lは、それぞれ、l=2.01mm、l=2.31mm、l=2.66mm、l=3.06mmおよびl=3.52mmに設定される。
【0125】
なお、スロット素子11〜16の各々は、相互に等しい0.3mmの幅wを有する。
【0126】
図18は、図17に示すアンテナ装置10Aにおける反射係数の周波数特性を示す図である。
【0127】
図18において、縦軸は、反射係数S11を表し、横軸は、周波数を表す。図18に示すように、反射係数S11が−10dBである帯域幅は、55.3GHz〜67.3GHzである。その結果、比帯域幅は、[(67.3−55.3)/{(55.3+67.3)/2}]×100=19.5%である。
【0128】
このように、スロット素子11〜16の長さl〜l、および隣接する2つのスロット素子間の間隔g〜gを公比αの等比数列によって決定したアンテナ装置10Aにおいても、広帯域特性が得られた。
【0129】
図19は、図17に示すアンテナ装置10Aの放射パターンを示す図である。図19において、縦軸は、利得を表し、横軸は、仰角を表す。また、曲線k12〜k14は、それぞれ、周波数59.0GHz、62.5GHz、66.0GHzにおけるアンテナ装置10Aの放射パターンを示す。なお、図14に示す曲線k12〜k14は、方位角φ=0度におけるアンテナ装置10Aの放射パターンを示す。
【0130】
図19に示すように、アンテナ装置10Aは、各周波数59.0GHz,62.5GHz,66.0GHzにおいて、鉛直方向(θmin=0度)よりも斜め方向(θmax=66度)の方が利得が高くなる放射パターンを有する(曲線k12〜k14参照)。
【0131】
従って、アンテナ装置10Aは、アンテナ装置10と同じように、自由空間における電波の伝搬損失を利得によって補償できるアンテナである。
【0132】
上述したように、スロット素子11〜16の長さl〜lを公比αの等比数列によって終端面5C側から給電面5B側へ向かうに従って長くし、隣接する2つのスロット素子間の間隔g〜gを公比αの等比数列によって終端面5C側から給電面5B側へ向かうに従って広くすることによって、帯域特性を広くできるとともに、斜め方向(θmax=66度)の利得を高くできる。
【0133】
なお、上記においては、スロット素子11〜16は、長方形の形状からなると説明したが、実施の形態2においては、これに限らず、スロット素子11〜16は、蛇行形状、ボウタイ形状、およびV字形状のいずれかからなっていてもよい。
【0134】
また、実施の形態2においては、スロット素子11〜16の長さl〜lを等比数列に従って長くするときの公比と、隣接する2つのスロット素子間の間隔g〜gを等比数列に従って広くするときの公比とを異なる値に設定してもよい。
【0135】
更に、実施の形態2においては、スロット素子11〜16の長さl〜lを公比αの等比数列に従って終端面5C側から給電面5B側へ向かうに従って長くし、隣接する2つのスロット素子間の間隔g〜gを同じ値に設定してもよい。
【0136】
更に、実施の形態2においては、スロット素子11〜16の長さl〜lを公比αの等比数列に従って終端面5C側から給電面5B側へ向かうに従って長くし、隣接する2つのスロット素子間の間隔g〜gを終端面5C側から給電面5B側へ向かうに従って一定の割合で広くしてもよい。
【0137】
その他は、実施の形態1と同じである。
【0138】
[実施の形態3]
図20は、実施の形態3によるアンテナ装置の概略図である。実施の形態3によるアンテナ装置10Bは、図1に示すアンテナ装置10の導波管5を導波管50に代えたものであり、その他は、アンテナ装置10と同じである。
【0139】
スロット素子1〜4は、導波管5に配置されるのと同じように導波管50の上面50Aに配置される。
【0140】
図21は、図20に示す線XXI−XXIにおける地板6および導波管50の断面図である。導波管50は、図3に示す導波管5の銅箔52を銅箔53に代えたものであり、その他は、導波管5と同じである。
【0141】
銅箔53は、導波管50の給電面50Bとなる誘電体51の側面51Aおよび導波管50の終端面50Cとなる誘電体51の側面51Bを除いて、誘電体51の周囲を覆う。
【0142】
その結果、アンテナ装置10Bにおいては、導波管50の終端面50Cは、開放されている。
【0143】
導波管50の終端面50Cを短絡した場合、終端面50Cに最も近い位置に配置されたスロット素子1から見た終端面50C側のインピーダンスが周波数特性を持ち、終端面50Cで反射が生じる。その結果、帯域幅が制限される。
【0144】
しかし、終端面50Cが開放されていれば、スロット素子1から見た終端面50C側のインピーダンスは、真空中(または誘電体51)のインピーダンスによって終端されるため、終端面50Cでの反射が減少する。その結果、アンテナの動作帯域幅は、終端面50Cを短絡した場合よりも広くなる。
【0145】
このように、終端面50Cを開放すると、導波管50の終端面50は、基本TE10モードで励振されたホーンアンテナのように働く。
【0146】
従って、導波管50の終端面50Cからも電波が放射されるが、前段のスロット素子1〜4からの放射が主であるため、導波管50の終端面50からの放射電力は、スロット素子1〜4からの放射電力に比べて少ない。
【0147】
そのため、スロット素子1,2の共振によって、電波を放射している周波数範囲内では、終端面50Cを開放することによって放射パターンが大きく変化することがない。
【0148】
図22は、図20に示すアンテナ装置10Bにおける反射係数の周波数特性を示す図である。
【0149】
図22において、縦軸は、反射係数S11を表し、横軸は、周波数を表す。図22に示すように、反射係数S11が−10dBである帯域幅は、55GHz〜75GHzの帯域よりも広い。従って、比帯域幅は、30%よりも広くなる。
【0150】
このように、給電面50Bに対向する終端面50Cを開放した導波管50を用いることによって、帯域幅が大幅に広くなる。
【0151】
図23は、図20に示すアンテナ装置10Bの放射パターンを示す図である。図23において、縦軸は、利得を表し、横軸は、仰角を表す。また、曲線k15〜k17は、それぞれ、周波数59.0GHz、62.5GHz、66.0GHzにおけるアンテナ装置10Bの放射パターンを示す。なお、図18に示す曲線k15〜k17は、方位角φ=0度におけるアンテナ装置10Bの放射パターンを示す。
【0152】
図23に示すように、アンテナ装置10Bは、各周波数59.0GHz,62.5GHz,66.0GHzにおいて、鉛直方向(θmin=0度)よりも斜め方向(θmax=66度)の方が利得が高くなる放射パターンを有する(曲線k15〜k17参照)。
【0153】
従って、アンテナ装置10Bは、アンテナ装置10,10Aと同じように、自由空間における電波の伝搬損失を利得によって補償できるアンテナである。
【0154】
このように、終端面50Cを開放した導波管50を用いることによって、斜め方向(θmax=66度)の高い利得を維持しながら、帯域幅を大幅に広くできる。
【0155】
上述したアンテナ装置10Bにおいては、スロット素子1〜4の長さが導波管50の終端面50C側から給電面50B側へ向かうに従って一定の割合で長くなり、隣接する2つのスロット素子間の間隔gは、一定であるが、実施の形態3においては、これに限らず、実施の形態3によるアンテナ装置は、アンテナ装置10Bにおいて、隣接する2つのスロット素子間の間隔gを導波管50の終端面50C側から給電面50B側へ向かうに従って一定の割合または公比αの等比数列によって広くしたアンテナ装置であってもよい。
【0156】
また、実施の形態3によるアンテナ装置は、アンテナ装置10Bにおいて、スロット素子1〜4の長さを導波管50の終端面50C側から給電面50B側へ向かうに従って公比αの等比数列によって長くし、かつ、隣接する2つのスロット素子間の間隔を導波管50の終端面50C側から給電面50B側へ向かうに従って公比αの等比数列によって広くしたアンテナ装置であってもよい。
【0157】
更に、上記においては、導波管50は、内部が誘電体51によって充填されていると説明したが、実施の形態3においては、これに限らず、アンテナ装置10Bは、導波管50に代えて中空の導波管を備えていてもよい。
【0158】
更に、上記においては、導波管50は、断面形状が矩形であると説明したが、実施の形態3においては、これに限らず、円形または楕円形状の導波管を使用することもできる。
【0159】
その他は、実施の形態1と同じである。
【0160】
[実施の形態4]
図24は、実施の形態4によるアンテナ装置の概略図である。実施の形態4によるアンテナ装置10Cは、図1に示すアンテナ装置10のスロット素子1〜4を共振スロット素子30および反射スロット素子40に代えたものであり、その他は、アンテナ装置10と同じである。
【0161】
共振スロット素子30は、スロット素子21,22からなる。反射スロット素子40は、スロット素子23,24からなる。
【0162】
スロット素子21,22は、それぞれ、スロット素子1,2と同じ形状および同じ寸法を有する。そして、スロット素子21,22は、0.3mmの間隔gでそれぞれスロット素子1,2と同じ位置に配置される。
【0163】
スロット素子23,24の各々は、スロット素子3と同じ形状および同じ寸法を有する。そして、スロット素子23,24は、0.3mmの間隔gでそれぞれスロット素子3,4と同じ位置に配置される。
【0164】
その結果、反射スロット素子40は、長さが共振スロット素子30よりも長くなる。また、共振スロット素子30および反射スロット素子40は、導波管5の上面5Aに略平行に配置される。
【0165】
このように、アンテナ装置10Cは、共振スロット素子30と、長さが共振スロット素子30よりも長く、かつ、共振スロット素子30よりも給電面5B側に配置された反射スロット素子40とを備える。
【0166】
アンテナ装置10Cにおいては、電磁波が導波管5内を給電面5B側から終端面5C側へ伝搬すると、共振スロット素子30は、共振素子として動作し、反射スロット素子40は、反射素子として動作する。
【0167】
その結果、アンテナ装置10Cは、アンテナ装置10と同じように、広い帯域幅を有し、斜め方向(θmax=66度)の高い利得を有する。従って、アンテナ装置10Cをミリ波帯で広帯域に動作させることができる。
【0168】
なお、アンテナ装置10Cの反射スロット素子40は、長さが共振スロット素子30よりも長い少なくとも1個のスロット素子23からなっていればよい。
【0169】
その他は、実施の形態1と同じである。
【0170】
[実施の形態5]
図25は、実施の形態5によるアレーアンテナ装置の概略図である。実施の形態5によるアレーアンテナ装置100は、アンテナ装置110,120,130,140と、地板150とを備える。
【0171】
アンテナ装置110,120,130,140は、xyz座標のy軸方向に沿って1つの平面内に配列される。そして、アンテナ装置110,120,130,140の各々は、図1に示すアンテナ装置10のスロット素子1〜4と導波管5とからなる。
【0172】
地板150は、図2に示す地板6のように、4個のアンテナ装置110,120,130,140のスロット素子1〜4に対応して、16個の貫通孔を有する。そして、地板150は、その16個の貫通孔が4個のアンテナ装置110,120,130,140のスロット素子1〜4上に配置されるように、4個のアンテナ装置110,120,130,140に接して4個のアンテナ装置110,120,130,140上に配置される。
【0173】
アレーアンテナ装置100においては、電力分配器(図示せず)によって電力が各アンテナ装置110,120,130,140の給電面5Bへ給電される。そして、各アンテナ装置110,120,130,140において、電磁波は、導波管5内を伝搬し、スロット素子1〜4から自由空間へ放射される。
【0174】
その結果、y−z面内のビーム幅が狭窄化し、利得を向上できる。
【0175】
なお、アレーアンテナ装置100の各アンテナ装置110,120,130,140は、スロット素子1〜4および導波管5に代えてスロット素子11〜16および導波管5を備えていてもよく、スロット素子1〜4および導波管5に代えてスロット素子1〜4および導波管50を備えていてもよく、スロット素子1〜4および導波管5に代えてスロット素子11〜16および導波管50を備えていてもよい。
【0176】
また、アレーアンテナ装置100においては、アンテナ装置110,120,130,140は、相互に異なる構成からなっていてもよい。例えば、アンテナ装置110は、スロット素子1〜4および導波管5からなり、アンテナ装置120は、スロット素子11〜16および導波管5からなり、アンテナ装置130は、スロット素子1〜4および導波管50からなり、アンテナ装置140は、スロット素子11〜16および導波管50からなっていてもよい。この場合、アンテナ装置110,120,130,140の少なくとも1個のアンテナ装置が他のアンテナ装置と異なる構成からなっていてもよい。
【0177】
更に、各アンテナ装置110,120,130,140においては、スロット素子1〜4またはスロット素子11〜16は、実施の形態1〜実施の形態3において説明した各種の変更が可能である。
【0178】
更に、アレーアンテナ装置100は、地板150を備えていなくてもよい。
【0179】
図26は、実施の形態5による他のアレーアンテナ装置の概略図である。実施の形態5によるアレーアンテナ装置は、図26に示すアレーアンテナ装置200であってもよい。アレーアンテナ装置200は、誘電体210と、アンテナ装置220,230,240,250と、給電器260とを備える。
【0180】
誘電体210は、平板形状を有し、例えば、プリント基板からなる。そして、誘電体210は、給電領域210Aを除いて周囲が銅箔によって覆われている。
【0181】
アンテナ装置220は、誘電体201と、金属ポール211〜213と、スロット素子221とを含む。アンテナ装置230は、誘電体202と、金属ポール213〜215と、スロット素子222とを含む。アンテナ装置240は、誘電体203と、金属ポール215〜217と、スロット素子223とを含む。アンテナ装置250は、誘電体204と、金属ポール217〜219と、スロット素子224とを含む。
【0182】
給電器260は、誘電体205と、金属ポール231〜233とを含む。
【0183】
誘電体201は、誘電体210のうち、金属ポール211〜213によって囲まれた領域からなる。誘電体202は、誘電体210のうち、金属ポール213〜215によって囲まれた領域からなる。誘電体203は、誘電体210のうち、金属ポール215〜217によって囲まれた領域からなる。誘電体204は、誘電体210のうち、金属ポール217〜219によって囲まれた領域からなる。誘電体205は、誘電体210のうち、金属ポール231〜233によって囲まれた領域からなる。
【0184】
金属ポール211〜219,231〜233の各々は、誘電体210の厚み方向に形成され、かつ、周囲が金属メッキされた複数のスルーホールからなる。
【0185】
スロット素子221〜224の各々は、スロット素子1〜4からなる。そして、スロット素子221〜224の各々は、誘電体210の表面を覆う銅箔の一部を幅w、長さl〜lおよび間隔gでエッチングによって切り取ることによって形成される。この場合、スロット素子221〜224において、スロット素子1と金属ポール212,214,216,218との距離は、上述したdに設定される。
【0186】
このように、アレーアンテナ装置200は、金属ポール211〜219,231〜233によって側壁を誘電体210に形成した構造からなる。
【0187】
アレーアンテナ装置200においては、電磁波が給電領域210Aから給電されると、給電器260は、その給電された電磁波をアンテナ装置220,230,240,250へ伝搬させる。そして、アンテナ装置220,230,240,250は、給電器260から給電された電磁波をそれぞれスロット素子221〜224によって自由空間へ放射する。
【0188】
従って、アレーアンテナ装置200においては、アレーアンテナ装置100と同様に、y−z面内のビーム幅が狭窄化し、利得を向上できる。
【0189】
また、アレーアンテナ装置200は、金属ポール211〜219,231〜233によって側壁を誘電体210(=プリント基板)に形成した構造からなる。従って、アレーアンテナ装置200を安価に作製できる。
【0190】
なお、アレーアンテナ装置200においては、スロット素子221〜224の各々は、スロット素子11〜16からなっていてもよい。
【0191】
また、スロット素子221〜224の一部は、スロット素子1〜4からなり、スロット素子221〜224の残りは、スロット素子11〜16からなっていてもよい。
【0192】
更に、アレーアンテナ装置200において、金属ポール212,214,216,218が欠落していてもよい。これによって、実施の形態3において説明したように、各アンテナ装置220,230,240,250において、給電領域210Aに対向する終端面側を開放することができる。その結果、アレーアンテナ装置200の帯域幅を大幅に広くできる。
【0193】
図27は、実施の形態5によるマルチセクタアンテナ装置の概略図である。実施の形態5によるマルチセクタアンテナ装置300は、アレーアンテナ装置310,320,330,340,350,360,370,380と、スイッチ390とを備える。
【0194】
アレーアンテナ装置310,320,330,340,350,360,370,380の各々は、図21に示すアレーアンテナ装置200からなる。
【0195】
スイッチ390は、アレーアンテナ装置310,320,330,340,350,360,370,380の接続点311,321,331,341,351,361,371,381のいずれかに接続される。
【0196】
マルチセクタアンテナ装置300において、スイッチ390と接続点311,321,331,341,351,361,371,381との接続を切り替えることによって、マルチセクタアンテナ装置300は、室内全体をカバーできるビームを高利得で放射できる。
【0197】
なお、マルチセクタアンテナ装置300においては、アレーアンテナ装置310,320,330,340,350,360,370,380の各々は、上述した実施の形態1〜実施の形態3によるアンテナ装置10,10A,10Bを複数個備える構成からなっていてもよい。
【0198】
また、マルチセクタアンテナ装置300は、アレーアンテナ装置310,320,330,340,350,360,370,380の少なくとも1個を備えていればよい。
【0199】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0200】
この発明は、ミリ波帯で広帯域に動作するアンテナ装置に適用される。また、この発明は、ミリ波帯で広帯域に動作するアンテナ装置を備えたアレーアンテナ装置に適用される。
【図面の簡単な説明】
【0201】
【図1】この発明の実施の形態1によるアンテナ装置の概略図である。
【図2】図1に示す導波管および地板の斜視図である。
【図3】図2に示す線III−IIIにおける導波管および地板の断面図である。
【図4】図1に示すアンテナ装置における反射係数の周波数特性を示す図である。
【図5】図1に示すアンテナ装置における比帯域幅とスロット素子の長さの増分との関係を示す図である。
【図6】スロット素子1,2の長さを変化させたときの比帯域幅、およびスロット素子3,4の長さを変化させたときの比帯域幅を示す図である。
【図7】図1に示すアンテナ装置の放射パターンを示す図である。
【図8】アンテナ装置の放射パターンにおける仰角および方位角の定義を示す図である。
【図9】スロット素子3,4の長さを変化させたときのF/B(Front/Back)比を示す図である。
【図10】利得の向上率とスロット素子数との関係を示す図である。
【図11】比帯域幅と隣接する2つのスロット素子間の間隔との関係を示す図である。
【図12】比帯域幅と隣接する2つのスロット素子間の間隔との他の関係を示す図である。
【図13】比帯域幅と隣接する2つのスロット素子間の間隔との更に他の関係を示す図である。
【図14】比帯域幅と距離dとの関係を示す図である。
【図15】比帯域幅とスロット素子の長さの増分との関係を示す図である。
【図16】図1に示すアンテナ装置の使用例を示す図である。
【図17】実施の形態2によるアンテナ装置の概略図である。
【図18】図17に示すアンテナ装置における反射係数の周波数特性を示す図である。
【図19】図17に示すアンテナ装置の放射パターンを示す図である。
【図20】実施の形態3によるアンテナ装置の概略図である。
【図21】図20に示す線XXI−XXIにおける地板および導波管の断面図である
【図22】図20に示すアンテナ装置における反射係数の周波数特性を示す図である。
【図23】図20に示すアンテナ装置の放射パターンを示す図である。
【図24】実施の形態4によるアンテナ装置の概略図である。
【図25】実施の形態5によるアレーアンテナ装置の概略図である。
【図26】実施の形態5による他のアレーアンテナ装置の概略図である。
【図27】実施の形態5によるマルチセクタアンテナ装置の概略図である。
【符号の説明】
【0202】
1〜4,11〜16,21〜24,221〜224 スロット素子、5,50 導波管、5A,50A 上面、5B,50B 給電面、5C,50C 終端面、6,150 地板、6A 端、10,10A,10B,10C,110,120,130,140,220,230,240,250 アンテナ装置、20 ユーザ端末、30 共振スロット素子、40 反射スロット素子、51,201〜205,210 誘電体、51A,51B 側面、52,53 銅箔、61〜64 貫通孔、100,200,310,320,330,340,350,360,370,380 アレーアンテナ装置、210A 給電領域、211〜219,231〜233 金属ポール、260 給電器、300 マルチセクタアンテナ装置、311,321,331,341,351,361,371,381 接続点、390 スイッチ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平板形状からなる導波管と、
前記導波管の一主面に略平行に配置され、前記導波管の給電面に対向する前記導波管の終端面から前記給電面へ向かうに従って長さが長くなっている複数のスロット素子とを備え、
前記複数のスロット素子の隣接する2つのスロット素子の間隔は、前記スロット素子の共振周波数における波長の4分の1以下である、アンテナ装置。
【請求項2】
前記複数のスロット素子の長さは、前記終端面から前記給電面へ向かうに従って一定の割合で長くなっている、請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項3】
前記複数のスロット素子の長さは、前記終端面から前記給電点へ向かうに従って等比数列によって長くなっている、請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項4】
前記2つのスロット素子の間隔は、前記終端面から前記給電面へ向かうに従って広くなっている、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のアンテナ装置。
【請求項5】
前記2つのスロット素子の間隔は、前記終端面から前記給電面へ向かうに従って等比数列によって広くなっている、請求項4に記載のアンテナ装置。
【請求項6】
前記終端面は、短絡されている、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のアンテナ装置。
【請求項7】
前記終端面は、開放されている、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のアンテナ装置。
【請求項8】
前記複数のスロット素子の各々は、前記給電面から前記終端面へ向かう方向に配置された前記導波管の軸に対して対称な形状を有する、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のアンテナ装置。
【請求項9】
平板形状からなる導波管と、
前記導波管の一主面に配置され、結合共振する共振スロット素子と、
前記導波管の一主面において前記共振スロット素子と前記導波管の給電面との間に配置された反射スロット素子とを備えるアンテナ装置。
【請求項10】
任意の平面に沿って配列された複数のアンテナ装置を備え、
前記複数のアンテナ装置の各々は、
平板形状からなる導波管と、
前記導波管の一主面に略平行に配置され、前記導波管の給電面に対向する前記導波管の終端面から前記給電面へ向かうに従って長さが長くなっている複数のスロット素子とを含み、
前記複数のスロット素子の隣接する2つのスロット素子の間隔は、前記スロット素子の共振周波数における波長の4分の1以下である、アレーアンテナ装置。
【請求項11】
任意の平面に沿って配列された1個または複数のアンテナ装置を備え、
前記1個または複数のアンテナ装置の各々は、
平板形状からなり、表面が金属箔によって覆われた誘電体と、
前記誘電体の一主面に略平行に配置され、前記誘電体への給電領域に対向する前記誘電体の終端面から前記給電領域へ向かうに従って長さが長くなっている複数のスロット素子と、
前記誘電体の周囲に沿って配置された金属ポールとを含み、
前記複数のスロット素子の隣接する2つのスロット素子の間隔は、前記スロット素子の共振周波数における波長の4分の1以下である、アレーアンテナ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【公開番号】特開2010−50700(P2010−50700A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−212749(P2008−212749)
【出願日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成20年度独立行政法人情報通信研究機構、研究テーマ「超高速ギガビット無線LANの研究開発」に関する委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(393031586)株式会社国際電気通信基礎技術研究所 (905)
【Fターム(参考)】