アンテナ装置
【課題】水平面のビーム幅を狭くするとともに、小形化を実現したアンテナ装置を得る。
【解決手段】中心角がほぼ180度の円弧Cに沿った曲線が、円弧Cが位置する第1の平面に対してほぼ垂直なz方向に移動した場合に形成される半円筒形状を有する曲面状導体と、曲面状導体の内側の第1の平面に対して平行な面上に設置された第1、第2の線状導体1、2と、第1の線状導体と曲面状導体との間に設置された第1の給電点P1と、第2の線状導体と曲面状導体との間に設置された第2の給電点P2とを備え、第1、第2の線状導体が等振幅逆相で励振される。第1、第2の線状導体は、円弧Cの2等分点における円弧の接線に対し垂直でかつ2等分点を通る第2の平面に関して、面対称となるように設置される。第1、第2の線状導体の各長さは、設計周波数帯域の中心周波数における波長λcに対して、0.1λc〜0.3λcの範囲内に設定される。
【解決手段】中心角がほぼ180度の円弧Cに沿った曲線が、円弧Cが位置する第1の平面に対してほぼ垂直なz方向に移動した場合に形成される半円筒形状を有する曲面状導体と、曲面状導体の内側の第1の平面に対して平行な面上に設置された第1、第2の線状導体1、2と、第1の線状導体と曲面状導体との間に設置された第1の給電点P1と、第2の線状導体と曲面状導体との間に設置された第2の給電点P2とを備え、第1、第2の線状導体が等振幅逆相で励振される。第1、第2の線状導体は、円弧Cの2等分点における円弧の接線に対し垂直でかつ2等分点を通る第2の平面に関して、面対称となるように設置される。第1、第2の線状導体の各長さは、設計周波数帯域の中心周波数における波長λcに対して、0.1λc〜0.3λcの範囲内に設定される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、移動体通信基地局などに用いられる水平偏波用のアンテナ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、移動体通信基地局においては、無線ゾーン構成を、3セクタや6セクタとしている。6セクタの構成では、水平面のビーム幅(3dBビーム幅)が60度のアンテナが使用されるが、ユーザ数の増加に対応するために、ビーム幅をさらに狭くして、45度とした狭ビームアンテナの需要が予想されている。
【0003】
また、移動体通信基地局のアンテナ装置においては、アンテナが円筒形状の誘電体カバー(レドーム)の中に収納されるが、風圧荷重の低減や設置性などの観点から、円筒形状の誘電体カバーの直径をできるだけ小さくすることが求められている。
【0004】
従来から、移動体通信基地局における水平偏波用のアンテナ装置として、反射板の前方にダイポール素子を水平方向に2個並べて等振幅同相で励振し、各ダイポール素子を非対称な構造とすることにより狭ビームを得る技術が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
【0005】
特許文献1に記載のアンテナ装置においては、設計周波数帯域の中心周波数fcでの波長λcに対して、長さがほぼλc/2となるダイポール素子を水平方向に2個並べる必要がある。
【0006】
一方、他の従来装置として、平面状地導体に対して、2個のモノポール素子を各先端が互いに接近するように傾斜させて設置し、各モノポール素子に等振幅逆相で給電することにより水平面ビーム幅を調整する技術も提案されている(たとえば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−295277号公報
【特許文献2】特開平10−335929号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来のアンテナ装置は、特許文献1の構成では、ほぼλc/2のダイポール素子を水平方向に2個並べる必要があることから、アンテナを収納する円筒カバーの直径が比較的大きくなるので、十分な小形化を実現することが困難になるという課題があった。
また、特許文献2の構成では、水平面のビーム幅を45度まで狭くすることが困難になるという課題があった。
【0009】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、水平偏波用のアンテナ装置において、水平面のビーム幅を十分に狭くすることを可能にするとともに、小形化を実現したアンテナ装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明に係るアンテナ装置は、円の一部であって中心角がほぼ180度の円弧に沿った曲線が、円弧が位置する第1の平面に対してほぼ垂直な方向に移動した場合に形成される半円筒形状を有する曲面状導体と、曲面状導体の内側の第1の平面に対して平行な面上に設置された第1および第2の線状導体と、第1の線状導体と曲面状導体との間に設置された第1の給電点と、第2の線状導体と曲面状導体との間に設置された第2の給電点とを備え、第1および第2の線状導体が等振幅逆相で励振されるアンテナ装置であって、第1および第2の線状導体は、円弧の2等分点における円弧の接線に対し垂直でかつ2等分点を通る第2の平面に関して、面対称となるように設置され、第1および第2の線状導体の各長さは、設計周波数帯域の中心周波数における波長λcに対して、0.1λc〜0.3λcの範囲内に設定されたものである。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、水平面のビーム幅を狭くするとともに、アンテナ装置の小形化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】この発明の実施の形態1に係るアンテナ装置を示す上面斜視図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係るアンテナ装置を示す上面平面図である。
【図3】この発明の実施の形態1に係るアンテナ装置の水平面の放射パターンを示す説明図である。
【図4】この発明の実施の形態2に係るアンテナ装置を示す上面斜視図である。
【図5】この発明の実施の形態2に係るアンテナ装置を示す上面平面図である。
【図6】この発明の実施の形態3に係るアンテナ装置を示す上面斜視図である。
【図7】この発明の実施の形態3に係るアンテナ装置を示す上面平面図である。
【図8】この発明の実施の形態4に係るアンテナ装置を示す上面斜視図である。
【図9】この発明の実施の形態4に係るアンテナ装置を示す上面平面図である。
【図10】この発明の実施の形態4に係るアンテナ装置の水平面の放射パターンを示す説明図である。
【図11】この発明の実施の形態5に係るアンテナ装置を示す上面斜視図である。
【図12】この発明の実施の形態5に係るアンテナ装置を示す上面平面図である。
【図13】この発明の実施の形態6に係るアンテナ装置を示す上面斜視図である。
【図14】この発明の実施の形態6に係るアンテナ装置を示す上面平面図である。
【図15】この発明の実施の形態7に係るアンテナ装置を示す上面斜視図である。
【図16】この発明の実施の形態7に係るアンテナ装置を示す上面平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
実施の形態1.
以下、図1〜図3を参照しながら、この発明の実施の形態1に係るアンテナ装置について説明する。
図1および図2はこの発明の実施の形態1に係るアンテナ装置を示しており、図1は上面斜視図、図2は上面平面図である。
【0014】
図3はこの発明の実施の形態1に係るアンテナ装置の水平面の放射パターンを示す説明図であり、横軸はx軸からの離角φ[deg]、縦軸はφ=0[deg]での利得を0dBとした相対振幅[dB]である。
【0015】
図1、図2において、アンテナ装置は、x−y平面に対して平行な第1の平面上に配置された線状モノポール導体1、2(第1および第2の線状導体)と、x−y平面に対して直交するz方向に延長された半円筒状地導体100(曲面状導体)と、線状モノポール導体1と半円筒状地導体100との間に設置された第1の給電点P1と、線状モノポール導体2と半円筒状地導体100との間に設置された第2の給電点P2とを備えており、線状モノポール導体1、2は、等振幅逆相で励振するように構成されている。
【0016】
半円筒状地導体100は、円の一部であって中心角がほぼ180度の円弧Cに沿った曲線が、円弧Cが位置する第1の平面(x−y平面に対して平行な平面)に対してほぼ垂直な方向(z方向)に移動した場合に形成される半円筒形状を有する。
なお、半円筒状地導体100は、ほぼ半円筒形状で示しているが、後述の実施の形態7で示すように、広い意味での多面形状も総称的に含むものとする。
【0017】
線状モノポール導体1、2は、半円筒状地導体100の内側に設置されている。
また、線状モノポール導体1、2の各長さは、設計周波数帯域の中心周波数fcでの波長λcに対して、0.1λc〜0.3λcの範囲内に設定されている。
【0018】
図2において、第2の平面200(z−x平面に対して平行な平面)は、半円筒状地導体100の高さ方向(z方向)に対して平行であり、かつ半円筒状地導体100を2等分している。
すなわち、第2の平面200は、円弧Cの2等分点における円弧Cの接線に対し垂直でかつ円弧Cの2等分点を通っている。
線状モノポール導体1、2は、x−y平面に平行な第1の平面上に、第2の平面200に関して面対称となるように設置されている。
【0019】
半円筒状地導体100上の線状モノポール導体1に対する第1の給電点P1における第1の平面内の接線と、線状モノポール導体1とが成す角度は、45度〜135度の範囲内に設定されていればよく、所望の水平面ビーム幅および反射特性が得られるように調整されている。線状モノポール導体2についても、線状モノポール導体1と同様に調整されている。
【0020】
また、線状モノポール導体1に対する第1の給電点P1と、線状モノポール導体2に対する第2の給電点P2との間隔は、0.4λc〜1.0λcの範囲内に設定されているものとする。
【0021】
次に、図1および図2に示したこの発明の実施の形態1による動作について説明する。
まず、線状モノポール導体1、2は、互いに向かい合うように設置され、かつ等振幅逆相で励振される。これにより、アンテナ装置の正面方向(x方向)に関しては、放射電磁界の位相がそろうので、x方向に指向性を有するビームが形成される。
【0022】
このとき、半円筒状地導体100が、線状モノポール導体1、2の背面(−x方向)に位置するので、−x方向の放射レベルは、非常に小さくなる。
また、線状モノポール導体1、2は、半円筒状地導体100に設置されているので、アンテナ装置を収納する円筒カバー(図示せず)の直径を小さくした状態であっても、水平面(x−y平面)のビーム幅を十分に狭くすることができる。
【0023】
水平面(x−y平面)のビーム幅を十分に小さくし、45度±10度程度に低減するためには、半円筒状地導体100の曲面を形成する円筒直径を0.84λc〜1.12λcの範囲内に設定すればよい。
【0024】
図3は水平偏波の放射パターン計算結果の一例であり、半円筒状地導体100の直径を0.98λcとし、線状モノポール導体1、2の各長さを0.19λcとし、第1の給電点P1と第2の給電点P2との間隔を0.75λcとした場合の、中心周波数fcにおける水平面の放射パターンを示している。
図3から明らかなように、水平偏波における水平面のビーム幅Whは49度であり、十分に狭くなっていることが分かる。
【0025】
なお、半円筒状地導体100の高さは、半円筒状地導体100の±z方向の端部が、第1および第2の給電点P1、P2から0.3λc以上離れていれば、任意の高さであってもよい。
【0026】
また、半円筒状地導体100のz方向に垂直な(x−y平面に対して平行な面による)断面形状は、ほぼ半円形であればよく、半円筒状地導体100の高さ方向(z方向)は、x−y平面に対してほぼ垂直であればよい。
【0027】
さらに、図1、図2においては、線状モノポール導体1、2を1個ずつ設置したが、線状モノポール導体1、2を、z方向に複数個ずつ0.5λc〜1.0λcごとに並べて配置して、アレーアンテナとして動作させてもよい。これにより、アンテナ利得を高くして使用することもできる。
【0028】
以上のように、この発明の実施の形態1(図1、図2)によれば、半円筒状地導体100の内側に、半円筒状地導体100の高さ方向(z方向)に対してほぼ垂直な線状モノポール導体1、2を設置し、線状モノポール導体1、2を等振幅同相で励振することにより、水平面(x−y平面)のビーム幅Whが狭く、かつ小形の水平偏波用アンテナ装置を実現することができる。
【0029】
実施の形態2.
上記実施の形態1(図1、図2)では、特に言及しなかったが、図4、図5のように、線状モノポール導体1、2の前方に指向性調整用線状導体21(第1の指向性調整用線状導体)を設置してもよい。
図4および図5はこの発明の実施の形態2に係るアンテナ装置を示しており、図4は上面斜視図、図5は上面平面図である。
【0030】
図4、図5において、前述(図1、図2参照)と同様のものについては、前述と同一符号を付して詳述を省略する。各図中の符号に関しては、後述の実施の形態3〜7(図6〜図16)においても同様である。
【0031】
指向性調整用線状導体21は、線状モノポール導体1、2と同じ第1の平面内に設置されるとともに、第2の平面200に対してほぼ直交するように設置されている。
また、指向性調整用線状導体21は、半円筒状地導体100と重なる円筒面内(円が第1の平面に対してほぼ垂直な方向に移動した場合に形成される円筒面内)に配置されている。
【0032】
さらに、指向性調整用線状導体21の2等分点は、第2の平面200上に位置しており(図5参照)、指向性調整用線状導体21の長さは、0.2λc〜0.6λcの範囲内に設定されている。
【0033】
以上のように、この発明の実施の形態2(図4、図5)によれば、前述(図1、図2)の構成に加えて、第1の平面上に位置しかつ第2の平面200に対してほぼ直交するように設置された指向性調整用線状導体21(第1の指向性調整用線状導体)を備えている。
【0034】
このように、線状モノポール導体1、2の前方に指向性調整用線状導体21を設置することにより、指向性調整用線状導体21が導波器として動作するので、前述の実施の形態1と同様の効果に加えて、水平面のビーム幅Whをさらに狭くするとともに、水平面のサイドローブレベルを低減させることができる。
【0035】
実施の形態3.
上記実施の形態2(図4、図5)では、特に言及しなかったが、図6、図7のように、線状モノポール導体1、2の各近傍に非励振の線状導体3、4(第3および第4の線状導体)を追加設置するとともに、線状モノポール導体1、2および非励振の線状導体3、4を、z方向の幅を有する平面状導体で構成してもよい。
図6および図7はこの発明の実施の形態3に係るアンテナ装置を示しており、図6は上面斜視図、図7は上面平面図である。
【0036】
図6、図7において、非励振の線状導体3は、線状モノポール導体1の近傍に平行に設置されるとともに、一端が半円筒状地導体100に接続されている。
同様に、非励振の線状導体4は、線状モノポール導体2の近傍に平行に設置されるとともに、一端が半円筒状地導体100に接続されている。
【0037】
非励振の線状導体3、4は、線状モノポール導体1、2が位置する平面に対してほぼ平行に設置されるとともに、第2の平面200に関して面対称になるように設置されている(図7参照)。
線状モノポール導体1、2および非励振の線状導体3、4は、それぞれ、z方向の幅を有する平面状導体により構成されている。
【0038】
非励振の線状導体3、4の各長さは、0.1λc〜0.3λcの範囲内に設定されている。また、線状モノポール導体1と非励振の線状導体3との間隔、および、線状モノポール導体2と非励振の線状導体4との間隔は、それぞれ、0.1λc以下に設定されている。
【0039】
なお、図6、図7においては、線状モノポール導体1、2および非励振の線状導体3、4を長方形とした場合を示しているが、長方形に限定されるものではなく、三角形、五角形などの任意の形状が適用され得る。
【0040】
以上のように、この発明の実施の形態3(図6、図7)によれば、前述(図4、図5)の構成に加えて、線状モノポール導体1、2の各近傍に設置された非励振の線状導体3、4を備えており、線状モノポール導体1、2および非励振の線状導体3、4は、z方向に幅を有する平面状導体で構成されている。
【0041】
このように、線状モノポール導体1、2の近傍に非励振の線状導体3、4を設置することにより、前述の実施の形態2と同様の効果に加えて、アンテナの反射特性を広帯域化することができる。
また、線状モノポール導体1、2と非励振の線状導体3、4を、幅を有する平面状導体で構成することにより、アンテナの反射特性をさらに広帯域化することができる。
【0042】
実施の形態4.
上記実施の形態2(図4、図5)では、特に言及しなかったが、図8、図9のように、半円筒状地導体100の高さ方向(z方向)に対してほぼ平行(第1の平面に対してほぼ垂直)に、2個の線状ダイポール導体51、52(第5および第6の線状導体)と、2個(1個以上)の指向性調整用線状導体61とを設置し、直交偏波(水平偏波および垂直偏波)共用のアンテナ装置を構成してもよい。
【0043】
図8および図9はこの発明の実施の形態4に係るアンテナ装置を示しており、図8は上面斜視図、図9は上面平面図である。
また、図10はこの発明の実施の形態4に係るアンテナ装置の水平面の放射パターンを示す説明図であり、前述の図3と同様に、横軸はx軸からの離角φ[deg]、縦軸はφ=0[deg]での利得を0dBとした相対振幅[dB]である。
【0044】
図8、図9において、線状ダイポール導体51、52は、半円筒状地導体100の高さ方向(z方向)に対してほぼ平行に設置されるとともに、第2の平面200に関して面対称となるように設置されている。
【0045】
また、線状ダイポール導体51、52の各2等分点は、線状モノポール導体1、2が位置する第1の平面上に位置し、線状ダイポール導体51、52の各長さは、0.2λc〜0.6λcの範囲内に設定されている。
図8のように、線状ダイポール導体51、52の各2等分点には、第3および第4の給電点P3、P4が設置されており、線状ダイポール導体51、52は等振幅同相で励振するように構成されている。
【0046】
z方向に対してほぼ平行な指向性調整用線状導体61は、図9に示すように、第2の平面200上に設置される。なお、指向性調整用線状導体61は、2個に限定されることはなく、1個のみであっても、3個以上であってもよい。
線状ダイポール導体51、52および指向性調整用線状導体61は、半円筒状地導体100と重なる円筒内に設置されている。
【0047】
このように、半円筒状地導体100の高さ方向(z方向)に対してほぼ平行に線状ダイポール導体51、52を設置し、等振幅同相で励振させることにより、垂直偏波が励振されるので、直交偏波共用アンテナとして動作させることができる。
これにより、偏波ダイバーシチを実現することができ、マルチパスフェージングを抑制することができる。
【0048】
このとき、基地局アンテナにおいては、水平面のビーム幅を、垂直偏波におけるビーム幅Wvと水平偏波におけるビーム幅Whとでほぼ等しくすることが要求されるので、垂直偏波のビーム幅Wvを狭くするために、2個の線状ダイポール導体51、52が設置されている。
また、2個(1個以上)の指向性調整用線状導体61を設置することにより、使用周波数帯域内の高周波数において、サイドローブレベルを低減することができる。
【0049】
図10は垂直偏波の放射パターン計算結果の一例であり、半円筒状地導体100の直径を0.98λcとし、線状ダイポール導体51、52の各長さを0.45λcとし、線状ダイポール導体51に対する第3の給電点P3と線状ダイポール導体52に対する第4の給電点P4との間隔を0.67λcとして、垂直偏波を励振した場合の、中心周波数fcにおける水平面の放射パターンを示している。
図10から明らかなように、垂直偏波における水平面のビーム幅Wvは49度であり、水平偏波のビーム幅Whと同程度に狭くなっていることが分かる。
【0050】
以上のように、この発明の実施の形態4(図8、図9)に係るアンテナ装置は、第1の平面に対してほぼ垂直に設置された線状ダイポール導体51、52(第5および第6の線状導体)と、第1の平面に対してほぼ垂直に設置された1個以上の指向性調整用線状導体61(第2の指向性調整用線状導体)と、線状ダイポール導体51の2等分点に設置された第3の給電点P3と、線状ダイポール導体52の2等分点に設置された第4の給電点P4とを備えている。
【0051】
線状ダイポール導体51、52は、第2の平面200に関して面対称となるように設置されるとともに、半円筒状地導体100と重なる円筒内に設置されており、第3および第4の給電点P3、P4を介して等振幅同相で励振される。
【0052】
線状ダイポール導体51、52の各2等分点は、第1の平面上に位置し、線状ダイポール導体51、52の各長さは、0.2λc〜0.6λcの範囲内に設定されている。
指向性調整用線状導体61は、第2の平面200上に設置されるとともに、半円筒状地導体100と重なる円筒面内に設置されている。
【0053】
このように、前述(図4、図5)の構成に加えて、線状ダイポール導体51、52および指向性調整用線状導体61を、半円筒状地導体100の高さ方向(z方向)に対してほぼ平行に設置することにより、水平面のビーム幅Wh、Wvが狭く、かつ小形で、水平面のサイドローブレベルが低い直交偏波共用アンテナ装置を実現することができる。
【0054】
実施の形態5.
上記実施の形態4(図8、図9)では、特に言及しなかったが、図11、図12のように、線状モノポール導体1、2(第1および第2の線状導体)の各近傍に非励振の線状導体3、4(第3および第4の線状導体)を設置し、線状ダイポール導体51、52(第5および第6の線状導体)の各近傍に非励振の線状導体53、54(第7および第8の線状導体)を設置するとともに、線状モノポール導体1、2、線状ダイポール導体51、52および非励振の線状導体3、4、53、54を、それぞれ、z方向の幅を有する平面状導体で構成してもよい。
【0055】
図11および図12はこの発明の実施の形態5に係るアンテナ装置を示しており、図11は上面斜視図、図12は上面平面図である。
図11、図12において、非励振の線状導体3は、前述(図6、図7)と同様に、線状モノポール導体1の近傍に設置され、一端が半円筒状地導体100に接続されている。
【0056】
同様に、非励振の線状導体4は、線状モノポール導体2の近傍に設置され、一端が半円筒状地導体100に接続されている。
また、非励振の線状導体3、4は、線状モノポール導体1、2が位置する第1の平面と平行に設置されるとともに、第2の平面200に関して面対称になるように設置される。
【0057】
一方、非励振の線状導体53(第7の線状導体)は、線状ダイポール導体51(第5の線状導体)の近傍に設置され、非励振の線状導体54(第8の線状導体)は、線状ダイポール導体52(第6の線状導体)の近傍に設置される。
また、非励振の線状導体53、54は、線状モノポール導体1、2が位置する平面に対してほぼ垂直に、かつ第2の平面200に関して面対称になるように設置される(図12参照)。
【0058】
さらに、線状モノポール導体1、2、および、非励振の線状導体3、4は、それぞれ、z方向の幅を有する平面状導体により構成されており、線状ダイポール導体51、52、および、非励振の線状導体53、54は、それぞれ、y方向の幅を有する平面状導体により構成されている(図11参照)。
【0059】
このように、線状モノポール導体1、2および線状ダイポール導体51、52の各近傍に非励振の線状導体3、4、53、54を設置することにより、アンテナ装置の反射特性を広帯域化することができる。
また、線状モノポール導体1、2、線状ダイポール導体51、52および非励振の線状導体3、4を、幅を有する平面状導体で構成することにより、アンテナ装置の反射特性をさらに広帯域化することができる。
【0060】
このとき、非励振の線状導体3、4の各長さは、0.1λc〜0.3λcの範囲内に設定され、非励振の線状導体53、54の各長さは、0.2λc〜0.6λcの範囲内に設定されているものとする。
【0061】
また、線状モノポール導体1と非励振の線状導体3との間隔、線状モノポール導体2と非励振の線状導体4との間隔、線状ダイポール導体51と非励振の線状導体53との間隔、および、線状ダイポール導体52と非励振の線状導体54との間隔は、それぞれ、0.1λc以下に設定されている。
【0062】
なお、図11、図12では、線状モノポール導体1、2、線状ダイポール導体51、52および非励振の線状導体3、4、53、54を長方形とした場合を示しているが、長方形に限定されるものではなく、三角形、五角形などの任意に形状が適用され得る。
【0063】
以上のように、この発明の実施の形態5(図11、図12)に係るアンテナ装置は、前述(図8、図9)の構成に加えて、線状モノポール導体1(第1の線状導体)の近傍に設置された非励振の線状導体3(第3の線状導体)と、線状モノポール導体2(第2の線状導体)の近傍に設置された非励振の線状導体3(第4の線状導体)と、線状ダイポール導体51(第5の線状導体)の近傍に設置された非励振の線状導体53(第7の線状導体)と、線状ダイポール導体52(第6の線状導体)の近傍に設置された非励振の線状導体54(第8の線状導体)と、を備えている。
【0064】
非励振の線状導体53、54(第7および第8の線状導体)は、第1の平面に対してほぼ垂直に設置されるとともに、第2の平面200に関して面対称になるように設置され、非励振の線状導体53、54の各長さは、0.2λc〜0.6λcの範囲内に設定されている。
また、第1〜第8の線状導体1〜4、51〜54は、それぞれ、幅を有する平面状導体により構成されている。
【0065】
このように、線状モノポール導体1、2、指向性調整用線状導体21、線状ダイポール導体51、52、指向性調整用線状導体61、および、非励振の線状導体3、4、53、54を設置し、線状モノポール導体1、2、線状ダイポール導体51、52および非励振の線状導体3、4、53、54を、幅を有する平面状導体で構成することにより、水平面のビーム幅が狭く、かつ小形で、水平面のサイドローブレベルが低く、かつ反射特性が広帯域の直交偏波共用アンテナ装置を実現することができる。
【0066】
実施の形態6.
上記実施の形態4、5(図8、図9、図11、図12)では、1個以上の指向性調整用線状導体61を用いたが、指向性調整用線状導体61に代えて、図13、図14のように、第2の平面200上に設置された指向性調整用平面状導体62を用いてもよい。
図13および図14はこの発明の実施の形態6に係るアンテナ装置を示しており、図13は上面斜視図、図14は上面平面図である。
【0067】
図13、図14において、半円筒状地導体100内の第2の平面200上には、前述(図11、図12)の指向性調整用線状導体61に代えて、指向性調整用平面状導体62が設置されている。指向性調整用平面状導体62は、半円筒状地導体100と重なる円筒内に設置されている。
【0068】
このように、前述の指向性調整用線状導体61を、指向性調整用平面状導体62で置き換えることにより、部品点数および位置決め工程が軽減されるので、前述の実施の形態5の効果を維持しつつ、製造工程を簡易化することができる。
【0069】
なお、ここでは、前述の実施の形態5(図11、図12)の構成に適用した場合を示しているが、前述の実施の形態1〜4のいずれにも適用可能であり、同等の作用効果を奏することは言うまでもない。
【0070】
以上のように、この発明の実施の形態6(図13、図14)に係るアンテナ装置は、前述(図11、図12)の指向性調整用線状導体61に代えて、第2の平面200上に設置された指向性調整用平面状導体62を設置したので、前述の実施の形態5と同様に、水平面のビーム幅が狭く、かつ小形で、水平面のサイドローブレベルが低く、かつ反射特性が広帯域の直交偏波共用アンテナ装置を実現することができる。
【0071】
実施の形態7.
上記実施の形態1〜6では、半円筒状地導体100をほぼ半円筒形状に構成した場合を示したが、図15、図16のように、多面状地導体101(多面状導体)で置き換えてもよい。
図15および図16は、この発明の実施の形態7に係るアンテナ装置を示しており、図15は上面斜視図、図16は上面平面図である。
【0072】
図15、図16において、アンテナ装置は、前述(図11、図12)の半円筒状地導体100に代えて、多面状地導体101を備えている。
多面状地導体101は、第1の平面(x−y平面に対して平行な平面)における半円筒状地導体100上の3個以上の点A(図16参照)の各隣接点を順次直線で結んだ直線Bの組み合わせである線Dを、z方向(x−y平面に対してほぼ垂直な方向)に移動した場合に形成される多面形状を有している。
【0073】
また、第1〜第4の線状導体1〜4は、第1の平面上に設置され、各一端が多角形状の線Dに接続されている。
【0074】
このように、半円筒状地導体100を多面状地導体101に置き換えることにより、各線状導体1〜4の位置決めおよび取り付けが容易になるので、前述の実施の形態5の効果を維持しつつ、製造を簡易にすることができる。
【0075】
以上のように、この発明の実施の形態7(図15、図16)に係るアンテナ装置においては、半円筒状地導体100を多面状地導体101で構成し、多面状地導体101の高さ方向(z方向)に対してほぼ垂直な線状モノポール導体1、2を設置して等振幅同相で励振し、線状モノポール導体1、2の前方に指向性調整用線状導体21を設置し、z方向に対してほぼ平行に線状ダイポール導体51、52および指向性調整用平面状導体62を設置し、線状モノポール導体1、2および線状ダイポール導体51、52の各近傍に非励振の線状導体3、4、53、54を設置し、線状モノポール導体1、2、線状ダイポール導体51、52および非励振の線状導体3、4、53、54を、z方向に幅を有する平面状導体で構成している。
【0076】
多面状地導体101は、第1の平面における半円筒状地導体100上の3個以上の点Aのうち隣接する点同士を結んだ直線Bの組み合わせである線Dが、第1の平面に対してほぼ垂直な方向に移動した場合に形成される多面形状を有する。
これにより、水平面のビーム幅が狭く、かつ小形で、水平面のサイドローブレベルが低く、かつ反射特性が広帯域の直交偏波共用アンテナ装置を実現するとともに、製造を簡易にすることができる。
【0077】
なお、ここでは、図11、図12(実施の形態5)の構成に多面状地導体101を適用したが、他の実施の形態による任意の構成に適用することも可能であり、同等の作用効果を奏することは言うまでもない。
また、上記実施の形態1〜7の構成を任意に重複して組み合わせることも可能であり、いずれの場合も、それぞれの作用効果を相乗的に奏することができる。
【符号の説明】
【0078】
1 線状モノポール導体(第1の線状導体)、2 線状モノポール導体(第2の線状導体)、3 非励振の線状導体(第3の線状導体)、4 非励振の線状導体(第4の線状導体)、21 指向性調整用線状導体(第1の指向性調整用線状導体)、51 線状ダイポール導体(第5の線状導体)、52 線状ダイポール導体(第6の線状導体)、53 非励振の線状導体(第7の線状導体)、54 非励振の線状導体(第8の線状導体)、61 指向性調整用線状導体(第2の指向性調整用線状導体)、62 指向性調整用平面状導体、100 半円筒状地導体(曲面状導体)、101 多面状地導体、200 第2の平面、A 点、B 直線、C 円弧、D 多角形状の円弧、P1 第1の給電点、P2 第2の給電点、P3 第3の給電点、P4 第4の給電点、Wh 水平偏波のビーム幅、Wv 垂直偏波のビーム幅。
【技術分野】
【0001】
この発明は、移動体通信基地局などに用いられる水平偏波用のアンテナ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、移動体通信基地局においては、無線ゾーン構成を、3セクタや6セクタとしている。6セクタの構成では、水平面のビーム幅(3dBビーム幅)が60度のアンテナが使用されるが、ユーザ数の増加に対応するために、ビーム幅をさらに狭くして、45度とした狭ビームアンテナの需要が予想されている。
【0003】
また、移動体通信基地局のアンテナ装置においては、アンテナが円筒形状の誘電体カバー(レドーム)の中に収納されるが、風圧荷重の低減や設置性などの観点から、円筒形状の誘電体カバーの直径をできるだけ小さくすることが求められている。
【0004】
従来から、移動体通信基地局における水平偏波用のアンテナ装置として、反射板の前方にダイポール素子を水平方向に2個並べて等振幅同相で励振し、各ダイポール素子を非対称な構造とすることにより狭ビームを得る技術が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
【0005】
特許文献1に記載のアンテナ装置においては、設計周波数帯域の中心周波数fcでの波長λcに対して、長さがほぼλc/2となるダイポール素子を水平方向に2個並べる必要がある。
【0006】
一方、他の従来装置として、平面状地導体に対して、2個のモノポール素子を各先端が互いに接近するように傾斜させて設置し、各モノポール素子に等振幅逆相で給電することにより水平面ビーム幅を調整する技術も提案されている(たとえば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−295277号公報
【特許文献2】特開平10−335929号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来のアンテナ装置は、特許文献1の構成では、ほぼλc/2のダイポール素子を水平方向に2個並べる必要があることから、アンテナを収納する円筒カバーの直径が比較的大きくなるので、十分な小形化を実現することが困難になるという課題があった。
また、特許文献2の構成では、水平面のビーム幅を45度まで狭くすることが困難になるという課題があった。
【0009】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、水平偏波用のアンテナ装置において、水平面のビーム幅を十分に狭くすることを可能にするとともに、小形化を実現したアンテナ装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明に係るアンテナ装置は、円の一部であって中心角がほぼ180度の円弧に沿った曲線が、円弧が位置する第1の平面に対してほぼ垂直な方向に移動した場合に形成される半円筒形状を有する曲面状導体と、曲面状導体の内側の第1の平面に対して平行な面上に設置された第1および第2の線状導体と、第1の線状導体と曲面状導体との間に設置された第1の給電点と、第2の線状導体と曲面状導体との間に設置された第2の給電点とを備え、第1および第2の線状導体が等振幅逆相で励振されるアンテナ装置であって、第1および第2の線状導体は、円弧の2等分点における円弧の接線に対し垂直でかつ2等分点を通る第2の平面に関して、面対称となるように設置され、第1および第2の線状導体の各長さは、設計周波数帯域の中心周波数における波長λcに対して、0.1λc〜0.3λcの範囲内に設定されたものである。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、水平面のビーム幅を狭くするとともに、アンテナ装置の小形化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】この発明の実施の形態1に係るアンテナ装置を示す上面斜視図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係るアンテナ装置を示す上面平面図である。
【図3】この発明の実施の形態1に係るアンテナ装置の水平面の放射パターンを示す説明図である。
【図4】この発明の実施の形態2に係るアンテナ装置を示す上面斜視図である。
【図5】この発明の実施の形態2に係るアンテナ装置を示す上面平面図である。
【図6】この発明の実施の形態3に係るアンテナ装置を示す上面斜視図である。
【図7】この発明の実施の形態3に係るアンテナ装置を示す上面平面図である。
【図8】この発明の実施の形態4に係るアンテナ装置を示す上面斜視図である。
【図9】この発明の実施の形態4に係るアンテナ装置を示す上面平面図である。
【図10】この発明の実施の形態4に係るアンテナ装置の水平面の放射パターンを示す説明図である。
【図11】この発明の実施の形態5に係るアンテナ装置を示す上面斜視図である。
【図12】この発明の実施の形態5に係るアンテナ装置を示す上面平面図である。
【図13】この発明の実施の形態6に係るアンテナ装置を示す上面斜視図である。
【図14】この発明の実施の形態6に係るアンテナ装置を示す上面平面図である。
【図15】この発明の実施の形態7に係るアンテナ装置を示す上面斜視図である。
【図16】この発明の実施の形態7に係るアンテナ装置を示す上面平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
実施の形態1.
以下、図1〜図3を参照しながら、この発明の実施の形態1に係るアンテナ装置について説明する。
図1および図2はこの発明の実施の形態1に係るアンテナ装置を示しており、図1は上面斜視図、図2は上面平面図である。
【0014】
図3はこの発明の実施の形態1に係るアンテナ装置の水平面の放射パターンを示す説明図であり、横軸はx軸からの離角φ[deg]、縦軸はφ=0[deg]での利得を0dBとした相対振幅[dB]である。
【0015】
図1、図2において、アンテナ装置は、x−y平面に対して平行な第1の平面上に配置された線状モノポール導体1、2(第1および第2の線状導体)と、x−y平面に対して直交するz方向に延長された半円筒状地導体100(曲面状導体)と、線状モノポール導体1と半円筒状地導体100との間に設置された第1の給電点P1と、線状モノポール導体2と半円筒状地導体100との間に設置された第2の給電点P2とを備えており、線状モノポール導体1、2は、等振幅逆相で励振するように構成されている。
【0016】
半円筒状地導体100は、円の一部であって中心角がほぼ180度の円弧Cに沿った曲線が、円弧Cが位置する第1の平面(x−y平面に対して平行な平面)に対してほぼ垂直な方向(z方向)に移動した場合に形成される半円筒形状を有する。
なお、半円筒状地導体100は、ほぼ半円筒形状で示しているが、後述の実施の形態7で示すように、広い意味での多面形状も総称的に含むものとする。
【0017】
線状モノポール導体1、2は、半円筒状地導体100の内側に設置されている。
また、線状モノポール導体1、2の各長さは、設計周波数帯域の中心周波数fcでの波長λcに対して、0.1λc〜0.3λcの範囲内に設定されている。
【0018】
図2において、第2の平面200(z−x平面に対して平行な平面)は、半円筒状地導体100の高さ方向(z方向)に対して平行であり、かつ半円筒状地導体100を2等分している。
すなわち、第2の平面200は、円弧Cの2等分点における円弧Cの接線に対し垂直でかつ円弧Cの2等分点を通っている。
線状モノポール導体1、2は、x−y平面に平行な第1の平面上に、第2の平面200に関して面対称となるように設置されている。
【0019】
半円筒状地導体100上の線状モノポール導体1に対する第1の給電点P1における第1の平面内の接線と、線状モノポール導体1とが成す角度は、45度〜135度の範囲内に設定されていればよく、所望の水平面ビーム幅および反射特性が得られるように調整されている。線状モノポール導体2についても、線状モノポール導体1と同様に調整されている。
【0020】
また、線状モノポール導体1に対する第1の給電点P1と、線状モノポール導体2に対する第2の給電点P2との間隔は、0.4λc〜1.0λcの範囲内に設定されているものとする。
【0021】
次に、図1および図2に示したこの発明の実施の形態1による動作について説明する。
まず、線状モノポール導体1、2は、互いに向かい合うように設置され、かつ等振幅逆相で励振される。これにより、アンテナ装置の正面方向(x方向)に関しては、放射電磁界の位相がそろうので、x方向に指向性を有するビームが形成される。
【0022】
このとき、半円筒状地導体100が、線状モノポール導体1、2の背面(−x方向)に位置するので、−x方向の放射レベルは、非常に小さくなる。
また、線状モノポール導体1、2は、半円筒状地導体100に設置されているので、アンテナ装置を収納する円筒カバー(図示せず)の直径を小さくした状態であっても、水平面(x−y平面)のビーム幅を十分に狭くすることができる。
【0023】
水平面(x−y平面)のビーム幅を十分に小さくし、45度±10度程度に低減するためには、半円筒状地導体100の曲面を形成する円筒直径を0.84λc〜1.12λcの範囲内に設定すればよい。
【0024】
図3は水平偏波の放射パターン計算結果の一例であり、半円筒状地導体100の直径を0.98λcとし、線状モノポール導体1、2の各長さを0.19λcとし、第1の給電点P1と第2の給電点P2との間隔を0.75λcとした場合の、中心周波数fcにおける水平面の放射パターンを示している。
図3から明らかなように、水平偏波における水平面のビーム幅Whは49度であり、十分に狭くなっていることが分かる。
【0025】
なお、半円筒状地導体100の高さは、半円筒状地導体100の±z方向の端部が、第1および第2の給電点P1、P2から0.3λc以上離れていれば、任意の高さであってもよい。
【0026】
また、半円筒状地導体100のz方向に垂直な(x−y平面に対して平行な面による)断面形状は、ほぼ半円形であればよく、半円筒状地導体100の高さ方向(z方向)は、x−y平面に対してほぼ垂直であればよい。
【0027】
さらに、図1、図2においては、線状モノポール導体1、2を1個ずつ設置したが、線状モノポール導体1、2を、z方向に複数個ずつ0.5λc〜1.0λcごとに並べて配置して、アレーアンテナとして動作させてもよい。これにより、アンテナ利得を高くして使用することもできる。
【0028】
以上のように、この発明の実施の形態1(図1、図2)によれば、半円筒状地導体100の内側に、半円筒状地導体100の高さ方向(z方向)に対してほぼ垂直な線状モノポール導体1、2を設置し、線状モノポール導体1、2を等振幅同相で励振することにより、水平面(x−y平面)のビーム幅Whが狭く、かつ小形の水平偏波用アンテナ装置を実現することができる。
【0029】
実施の形態2.
上記実施の形態1(図1、図2)では、特に言及しなかったが、図4、図5のように、線状モノポール導体1、2の前方に指向性調整用線状導体21(第1の指向性調整用線状導体)を設置してもよい。
図4および図5はこの発明の実施の形態2に係るアンテナ装置を示しており、図4は上面斜視図、図5は上面平面図である。
【0030】
図4、図5において、前述(図1、図2参照)と同様のものについては、前述と同一符号を付して詳述を省略する。各図中の符号に関しては、後述の実施の形態3〜7(図6〜図16)においても同様である。
【0031】
指向性調整用線状導体21は、線状モノポール導体1、2と同じ第1の平面内に設置されるとともに、第2の平面200に対してほぼ直交するように設置されている。
また、指向性調整用線状導体21は、半円筒状地導体100と重なる円筒面内(円が第1の平面に対してほぼ垂直な方向に移動した場合に形成される円筒面内)に配置されている。
【0032】
さらに、指向性調整用線状導体21の2等分点は、第2の平面200上に位置しており(図5参照)、指向性調整用線状導体21の長さは、0.2λc〜0.6λcの範囲内に設定されている。
【0033】
以上のように、この発明の実施の形態2(図4、図5)によれば、前述(図1、図2)の構成に加えて、第1の平面上に位置しかつ第2の平面200に対してほぼ直交するように設置された指向性調整用線状導体21(第1の指向性調整用線状導体)を備えている。
【0034】
このように、線状モノポール導体1、2の前方に指向性調整用線状導体21を設置することにより、指向性調整用線状導体21が導波器として動作するので、前述の実施の形態1と同様の効果に加えて、水平面のビーム幅Whをさらに狭くするとともに、水平面のサイドローブレベルを低減させることができる。
【0035】
実施の形態3.
上記実施の形態2(図4、図5)では、特に言及しなかったが、図6、図7のように、線状モノポール導体1、2の各近傍に非励振の線状導体3、4(第3および第4の線状導体)を追加設置するとともに、線状モノポール導体1、2および非励振の線状導体3、4を、z方向の幅を有する平面状導体で構成してもよい。
図6および図7はこの発明の実施の形態3に係るアンテナ装置を示しており、図6は上面斜視図、図7は上面平面図である。
【0036】
図6、図7において、非励振の線状導体3は、線状モノポール導体1の近傍に平行に設置されるとともに、一端が半円筒状地導体100に接続されている。
同様に、非励振の線状導体4は、線状モノポール導体2の近傍に平行に設置されるとともに、一端が半円筒状地導体100に接続されている。
【0037】
非励振の線状導体3、4は、線状モノポール導体1、2が位置する平面に対してほぼ平行に設置されるとともに、第2の平面200に関して面対称になるように設置されている(図7参照)。
線状モノポール導体1、2および非励振の線状導体3、4は、それぞれ、z方向の幅を有する平面状導体により構成されている。
【0038】
非励振の線状導体3、4の各長さは、0.1λc〜0.3λcの範囲内に設定されている。また、線状モノポール導体1と非励振の線状導体3との間隔、および、線状モノポール導体2と非励振の線状導体4との間隔は、それぞれ、0.1λc以下に設定されている。
【0039】
なお、図6、図7においては、線状モノポール導体1、2および非励振の線状導体3、4を長方形とした場合を示しているが、長方形に限定されるものではなく、三角形、五角形などの任意の形状が適用され得る。
【0040】
以上のように、この発明の実施の形態3(図6、図7)によれば、前述(図4、図5)の構成に加えて、線状モノポール導体1、2の各近傍に設置された非励振の線状導体3、4を備えており、線状モノポール導体1、2および非励振の線状導体3、4は、z方向に幅を有する平面状導体で構成されている。
【0041】
このように、線状モノポール導体1、2の近傍に非励振の線状導体3、4を設置することにより、前述の実施の形態2と同様の効果に加えて、アンテナの反射特性を広帯域化することができる。
また、線状モノポール導体1、2と非励振の線状導体3、4を、幅を有する平面状導体で構成することにより、アンテナの反射特性をさらに広帯域化することができる。
【0042】
実施の形態4.
上記実施の形態2(図4、図5)では、特に言及しなかったが、図8、図9のように、半円筒状地導体100の高さ方向(z方向)に対してほぼ平行(第1の平面に対してほぼ垂直)に、2個の線状ダイポール導体51、52(第5および第6の線状導体)と、2個(1個以上)の指向性調整用線状導体61とを設置し、直交偏波(水平偏波および垂直偏波)共用のアンテナ装置を構成してもよい。
【0043】
図8および図9はこの発明の実施の形態4に係るアンテナ装置を示しており、図8は上面斜視図、図9は上面平面図である。
また、図10はこの発明の実施の形態4に係るアンテナ装置の水平面の放射パターンを示す説明図であり、前述の図3と同様に、横軸はx軸からの離角φ[deg]、縦軸はφ=0[deg]での利得を0dBとした相対振幅[dB]である。
【0044】
図8、図9において、線状ダイポール導体51、52は、半円筒状地導体100の高さ方向(z方向)に対してほぼ平行に設置されるとともに、第2の平面200に関して面対称となるように設置されている。
【0045】
また、線状ダイポール導体51、52の各2等分点は、線状モノポール導体1、2が位置する第1の平面上に位置し、線状ダイポール導体51、52の各長さは、0.2λc〜0.6λcの範囲内に設定されている。
図8のように、線状ダイポール導体51、52の各2等分点には、第3および第4の給電点P3、P4が設置されており、線状ダイポール導体51、52は等振幅同相で励振するように構成されている。
【0046】
z方向に対してほぼ平行な指向性調整用線状導体61は、図9に示すように、第2の平面200上に設置される。なお、指向性調整用線状導体61は、2個に限定されることはなく、1個のみであっても、3個以上であってもよい。
線状ダイポール導体51、52および指向性調整用線状導体61は、半円筒状地導体100と重なる円筒内に設置されている。
【0047】
このように、半円筒状地導体100の高さ方向(z方向)に対してほぼ平行に線状ダイポール導体51、52を設置し、等振幅同相で励振させることにより、垂直偏波が励振されるので、直交偏波共用アンテナとして動作させることができる。
これにより、偏波ダイバーシチを実現することができ、マルチパスフェージングを抑制することができる。
【0048】
このとき、基地局アンテナにおいては、水平面のビーム幅を、垂直偏波におけるビーム幅Wvと水平偏波におけるビーム幅Whとでほぼ等しくすることが要求されるので、垂直偏波のビーム幅Wvを狭くするために、2個の線状ダイポール導体51、52が設置されている。
また、2個(1個以上)の指向性調整用線状導体61を設置することにより、使用周波数帯域内の高周波数において、サイドローブレベルを低減することができる。
【0049】
図10は垂直偏波の放射パターン計算結果の一例であり、半円筒状地導体100の直径を0.98λcとし、線状ダイポール導体51、52の各長さを0.45λcとし、線状ダイポール導体51に対する第3の給電点P3と線状ダイポール導体52に対する第4の給電点P4との間隔を0.67λcとして、垂直偏波を励振した場合の、中心周波数fcにおける水平面の放射パターンを示している。
図10から明らかなように、垂直偏波における水平面のビーム幅Wvは49度であり、水平偏波のビーム幅Whと同程度に狭くなっていることが分かる。
【0050】
以上のように、この発明の実施の形態4(図8、図9)に係るアンテナ装置は、第1の平面に対してほぼ垂直に設置された線状ダイポール導体51、52(第5および第6の線状導体)と、第1の平面に対してほぼ垂直に設置された1個以上の指向性調整用線状導体61(第2の指向性調整用線状導体)と、線状ダイポール導体51の2等分点に設置された第3の給電点P3と、線状ダイポール導体52の2等分点に設置された第4の給電点P4とを備えている。
【0051】
線状ダイポール導体51、52は、第2の平面200に関して面対称となるように設置されるとともに、半円筒状地導体100と重なる円筒内に設置されており、第3および第4の給電点P3、P4を介して等振幅同相で励振される。
【0052】
線状ダイポール導体51、52の各2等分点は、第1の平面上に位置し、線状ダイポール導体51、52の各長さは、0.2λc〜0.6λcの範囲内に設定されている。
指向性調整用線状導体61は、第2の平面200上に設置されるとともに、半円筒状地導体100と重なる円筒面内に設置されている。
【0053】
このように、前述(図4、図5)の構成に加えて、線状ダイポール導体51、52および指向性調整用線状導体61を、半円筒状地導体100の高さ方向(z方向)に対してほぼ平行に設置することにより、水平面のビーム幅Wh、Wvが狭く、かつ小形で、水平面のサイドローブレベルが低い直交偏波共用アンテナ装置を実現することができる。
【0054】
実施の形態5.
上記実施の形態4(図8、図9)では、特に言及しなかったが、図11、図12のように、線状モノポール導体1、2(第1および第2の線状導体)の各近傍に非励振の線状導体3、4(第3および第4の線状導体)を設置し、線状ダイポール導体51、52(第5および第6の線状導体)の各近傍に非励振の線状導体53、54(第7および第8の線状導体)を設置するとともに、線状モノポール導体1、2、線状ダイポール導体51、52および非励振の線状導体3、4、53、54を、それぞれ、z方向の幅を有する平面状導体で構成してもよい。
【0055】
図11および図12はこの発明の実施の形態5に係るアンテナ装置を示しており、図11は上面斜視図、図12は上面平面図である。
図11、図12において、非励振の線状導体3は、前述(図6、図7)と同様に、線状モノポール導体1の近傍に設置され、一端が半円筒状地導体100に接続されている。
【0056】
同様に、非励振の線状導体4は、線状モノポール導体2の近傍に設置され、一端が半円筒状地導体100に接続されている。
また、非励振の線状導体3、4は、線状モノポール導体1、2が位置する第1の平面と平行に設置されるとともに、第2の平面200に関して面対称になるように設置される。
【0057】
一方、非励振の線状導体53(第7の線状導体)は、線状ダイポール導体51(第5の線状導体)の近傍に設置され、非励振の線状導体54(第8の線状導体)は、線状ダイポール導体52(第6の線状導体)の近傍に設置される。
また、非励振の線状導体53、54は、線状モノポール導体1、2が位置する平面に対してほぼ垂直に、かつ第2の平面200に関して面対称になるように設置される(図12参照)。
【0058】
さらに、線状モノポール導体1、2、および、非励振の線状導体3、4は、それぞれ、z方向の幅を有する平面状導体により構成されており、線状ダイポール導体51、52、および、非励振の線状導体53、54は、それぞれ、y方向の幅を有する平面状導体により構成されている(図11参照)。
【0059】
このように、線状モノポール導体1、2および線状ダイポール導体51、52の各近傍に非励振の線状導体3、4、53、54を設置することにより、アンテナ装置の反射特性を広帯域化することができる。
また、線状モノポール導体1、2、線状ダイポール導体51、52および非励振の線状導体3、4を、幅を有する平面状導体で構成することにより、アンテナ装置の反射特性をさらに広帯域化することができる。
【0060】
このとき、非励振の線状導体3、4の各長さは、0.1λc〜0.3λcの範囲内に設定され、非励振の線状導体53、54の各長さは、0.2λc〜0.6λcの範囲内に設定されているものとする。
【0061】
また、線状モノポール導体1と非励振の線状導体3との間隔、線状モノポール導体2と非励振の線状導体4との間隔、線状ダイポール導体51と非励振の線状導体53との間隔、および、線状ダイポール導体52と非励振の線状導体54との間隔は、それぞれ、0.1λc以下に設定されている。
【0062】
なお、図11、図12では、線状モノポール導体1、2、線状ダイポール導体51、52および非励振の線状導体3、4、53、54を長方形とした場合を示しているが、長方形に限定されるものではなく、三角形、五角形などの任意に形状が適用され得る。
【0063】
以上のように、この発明の実施の形態5(図11、図12)に係るアンテナ装置は、前述(図8、図9)の構成に加えて、線状モノポール導体1(第1の線状導体)の近傍に設置された非励振の線状導体3(第3の線状導体)と、線状モノポール導体2(第2の線状導体)の近傍に設置された非励振の線状導体3(第4の線状導体)と、線状ダイポール導体51(第5の線状導体)の近傍に設置された非励振の線状導体53(第7の線状導体)と、線状ダイポール導体52(第6の線状導体)の近傍に設置された非励振の線状導体54(第8の線状導体)と、を備えている。
【0064】
非励振の線状導体53、54(第7および第8の線状導体)は、第1の平面に対してほぼ垂直に設置されるとともに、第2の平面200に関して面対称になるように設置され、非励振の線状導体53、54の各長さは、0.2λc〜0.6λcの範囲内に設定されている。
また、第1〜第8の線状導体1〜4、51〜54は、それぞれ、幅を有する平面状導体により構成されている。
【0065】
このように、線状モノポール導体1、2、指向性調整用線状導体21、線状ダイポール導体51、52、指向性調整用線状導体61、および、非励振の線状導体3、4、53、54を設置し、線状モノポール導体1、2、線状ダイポール導体51、52および非励振の線状導体3、4、53、54を、幅を有する平面状導体で構成することにより、水平面のビーム幅が狭く、かつ小形で、水平面のサイドローブレベルが低く、かつ反射特性が広帯域の直交偏波共用アンテナ装置を実現することができる。
【0066】
実施の形態6.
上記実施の形態4、5(図8、図9、図11、図12)では、1個以上の指向性調整用線状導体61を用いたが、指向性調整用線状導体61に代えて、図13、図14のように、第2の平面200上に設置された指向性調整用平面状導体62を用いてもよい。
図13および図14はこの発明の実施の形態6に係るアンテナ装置を示しており、図13は上面斜視図、図14は上面平面図である。
【0067】
図13、図14において、半円筒状地導体100内の第2の平面200上には、前述(図11、図12)の指向性調整用線状導体61に代えて、指向性調整用平面状導体62が設置されている。指向性調整用平面状導体62は、半円筒状地導体100と重なる円筒内に設置されている。
【0068】
このように、前述の指向性調整用線状導体61を、指向性調整用平面状導体62で置き換えることにより、部品点数および位置決め工程が軽減されるので、前述の実施の形態5の効果を維持しつつ、製造工程を簡易化することができる。
【0069】
なお、ここでは、前述の実施の形態5(図11、図12)の構成に適用した場合を示しているが、前述の実施の形態1〜4のいずれにも適用可能であり、同等の作用効果を奏することは言うまでもない。
【0070】
以上のように、この発明の実施の形態6(図13、図14)に係るアンテナ装置は、前述(図11、図12)の指向性調整用線状導体61に代えて、第2の平面200上に設置された指向性調整用平面状導体62を設置したので、前述の実施の形態5と同様に、水平面のビーム幅が狭く、かつ小形で、水平面のサイドローブレベルが低く、かつ反射特性が広帯域の直交偏波共用アンテナ装置を実現することができる。
【0071】
実施の形態7.
上記実施の形態1〜6では、半円筒状地導体100をほぼ半円筒形状に構成した場合を示したが、図15、図16のように、多面状地導体101(多面状導体)で置き換えてもよい。
図15および図16は、この発明の実施の形態7に係るアンテナ装置を示しており、図15は上面斜視図、図16は上面平面図である。
【0072】
図15、図16において、アンテナ装置は、前述(図11、図12)の半円筒状地導体100に代えて、多面状地導体101を備えている。
多面状地導体101は、第1の平面(x−y平面に対して平行な平面)における半円筒状地導体100上の3個以上の点A(図16参照)の各隣接点を順次直線で結んだ直線Bの組み合わせである線Dを、z方向(x−y平面に対してほぼ垂直な方向)に移動した場合に形成される多面形状を有している。
【0073】
また、第1〜第4の線状導体1〜4は、第1の平面上に設置され、各一端が多角形状の線Dに接続されている。
【0074】
このように、半円筒状地導体100を多面状地導体101に置き換えることにより、各線状導体1〜4の位置決めおよび取り付けが容易になるので、前述の実施の形態5の効果を維持しつつ、製造を簡易にすることができる。
【0075】
以上のように、この発明の実施の形態7(図15、図16)に係るアンテナ装置においては、半円筒状地導体100を多面状地導体101で構成し、多面状地導体101の高さ方向(z方向)に対してほぼ垂直な線状モノポール導体1、2を設置して等振幅同相で励振し、線状モノポール導体1、2の前方に指向性調整用線状導体21を設置し、z方向に対してほぼ平行に線状ダイポール導体51、52および指向性調整用平面状導体62を設置し、線状モノポール導体1、2および線状ダイポール導体51、52の各近傍に非励振の線状導体3、4、53、54を設置し、線状モノポール導体1、2、線状ダイポール導体51、52および非励振の線状導体3、4、53、54を、z方向に幅を有する平面状導体で構成している。
【0076】
多面状地導体101は、第1の平面における半円筒状地導体100上の3個以上の点Aのうち隣接する点同士を結んだ直線Bの組み合わせである線Dが、第1の平面に対してほぼ垂直な方向に移動した場合に形成される多面形状を有する。
これにより、水平面のビーム幅が狭く、かつ小形で、水平面のサイドローブレベルが低く、かつ反射特性が広帯域の直交偏波共用アンテナ装置を実現するとともに、製造を簡易にすることができる。
【0077】
なお、ここでは、図11、図12(実施の形態5)の構成に多面状地導体101を適用したが、他の実施の形態による任意の構成に適用することも可能であり、同等の作用効果を奏することは言うまでもない。
また、上記実施の形態1〜7の構成を任意に重複して組み合わせることも可能であり、いずれの場合も、それぞれの作用効果を相乗的に奏することができる。
【符号の説明】
【0078】
1 線状モノポール導体(第1の線状導体)、2 線状モノポール導体(第2の線状導体)、3 非励振の線状導体(第3の線状導体)、4 非励振の線状導体(第4の線状導体)、21 指向性調整用線状導体(第1の指向性調整用線状導体)、51 線状ダイポール導体(第5の線状導体)、52 線状ダイポール導体(第6の線状導体)、53 非励振の線状導体(第7の線状導体)、54 非励振の線状導体(第8の線状導体)、61 指向性調整用線状導体(第2の指向性調整用線状導体)、62 指向性調整用平面状導体、100 半円筒状地導体(曲面状導体)、101 多面状地導体、200 第2の平面、A 点、B 直線、C 円弧、D 多角形状の円弧、P1 第1の給電点、P2 第2の給電点、P3 第3の給電点、P4 第4の給電点、Wh 水平偏波のビーム幅、Wv 垂直偏波のビーム幅。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円の一部であって中心角がほぼ180度の円弧に沿った曲線が、前記円弧が位置する第1の平面に対してほぼ垂直な方向に移動した場合に形成される半円筒形状を有する曲面状導体と、
前記曲面状導体の内側の前記第1の平面に対して平行な面上に設置された第1および第2の線状導体と、
前記第1の線状導体と前記曲面状導体との間に設置された第1の給電点と、
前記第2の線状導体と前記曲面状導体との間に設置された第2の給電点とを備え、
前記第1および第2の線状導体が等振幅逆相で励振されるアンテナ装置であって、
前記第1および第2の線状導体は、前記円弧の2等分点における前記円弧の接線に対して垂直で、かつ前記2等分点を通る第2の平面に関して面対称になるように設置され、
前記第1および第2の線状導体の各長さは、設計周波数帯域の中心周波数における波長λcに対して、0.1λc〜0.3λcの範囲内に設定されたことを特徴とするアンテナ装置。
【請求項2】
前記第1の平面上に位置するとともに、前記第2の平面に対してほぼ直交するように設置された第1の指向性調整用線状導体を備え、
前記第1の指向性調整用線状導体は、前記円が前記第1の平面に対してほぼ垂直な方向に移動した場合に形成される円筒面内に設置され、
前記第1の指向性調整用線状導体の2等分点は、前記第2の平面上に位置することを特徴とする請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項3】
前記第1および第2の線状導体は、それぞれ、幅を有する平面状導体により構成されたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のアンテナ装置。
【請求項4】
前記第1の線状導体の近傍に設置された第3の線状導体と、
前記第2の線状導体の近傍に設置された第4の線状導体とを備え、
前記第3および第4の線状導体は、前記第1の平面に対してほぼ平行に設置されるとともに、前記第2の平面に関して面対称になるように設置され、
前記第3および第2の線状導体の各一端は、前記曲面状導体に接続され、
前記第3および第4の線状導体の各長さは、0.1λc〜0.3λcの範囲内に設定されたことを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のアンテナ装置。
【請求項5】
前記第3および第4の線状導体は、それぞれ、幅を有する平面状導体により構成されたことを特徴とする請求項4に記載のアンテナ装置。
【請求項6】
前記第1の平面に対してほぼ垂直に設置された第5および第6の線状導体と、
前記第1の平面に対してほぼ垂直に設置された1個以上の第2の指向性調整用線状導体と、
前記第5の線状導体の2等分点に設置された第3の給電点と、
前記第6の線状導体の2等分点に設置された第4の給電点とを備え、
前記第5および第6の線状導体は、前記第2の平面に関して面対称となるように設置されるとともに、前記円が前記第1の平面に対してほぼ垂直な方向に移動した場合に形成される円筒面内に設置されて、前記第3および第4の給電点を介して等振幅同相で励振され、
前記第5および第6の線状導体の各2等分点は、前記第1の平面上に位置し、
前記第5および第6の線状導体の各長さは、0.2λc〜0.6λcの範囲内に設定され、
前記第2の指向性調整用線状導体は、前記第2の平面上に設置されるとともに、前記円筒面内に設置されたことを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載のアンテナ装置。
【請求項7】
前記第1の平面に対してほぼ垂直に設置された第5および第6の線状導体と、
前記第2の平面上に設置された指向性調整用平面状導体と、
前記第5の線状導体の2等分点に設置された第3の給電点と、
前記第6の線状導体の2等分点に設置された第4の給電点とを備え、
前記第5および第6の線状導体は、前記第2の平面に関して面対称となるように設置されるとともに、前記円が前記第1の平面に対してほぼ垂直な方向に移動した場合に形成される円筒面内に設置されて、前記第3および第4の給電点を介して等振幅同相で励振され、
前記第5および第6の線状導体の各2等分点は、前記第1の平面上に位置し、
前記第5および第6の線状導体の各長さは、0.2λc〜0.6λcの範囲内に設定されたことを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載のアンテナ装置。
【請求項8】
前記第5および第6の線状導体は、それぞれ、幅を有する平面状導体により構成されたことを特徴とする請求項6または請求項7に記載のアンテナ装置。
【請求項9】
前記第5の線状導体の近傍に設置された第7の線状導体と、
前記第6の線状導体の近傍に設置された第8の線状導体とを備え、
前記第7および第8の線状導体は、前記第1の平面に対してほぼ垂直に設置されるとともに、前記第2の平面に関して面対称になるように設置され、
前記第7および第8の線状導体の各長さは、0.2λc〜0.6λcの範囲内に設定されたことを特徴とする請求項6から請求項8までのいずれか1項に記載のアンテナ装置。
【請求項10】
前記第7および第8の線状導体は、それぞれ、幅を有する平面状導体により構成されたことを特徴とする請求項9に記載のアンテナ装置。
【請求項11】
前記曲面状導体は、多面状導体からなり、
前記多面状導体は、前記円弧に沿った曲線上の3個以上の点のうち隣接する点同士を結んだ直線の組み合わせが、前記第1の平面に対してほぼ垂直な方向に移動した場合に形成される多面形状を有することを特徴とする請求項1から請求項10までのいずれか1項に記載のアンテナ装置。
【請求項12】
前記円の直径は、0.84λc〜1.12λcの範囲内に設定されたことを特徴とする請求項1から請求項11までのいずれか1項に記載のアンテナ装置。
【請求項1】
円の一部であって中心角がほぼ180度の円弧に沿った曲線が、前記円弧が位置する第1の平面に対してほぼ垂直な方向に移動した場合に形成される半円筒形状を有する曲面状導体と、
前記曲面状導体の内側の前記第1の平面に対して平行な面上に設置された第1および第2の線状導体と、
前記第1の線状導体と前記曲面状導体との間に設置された第1の給電点と、
前記第2の線状導体と前記曲面状導体との間に設置された第2の給電点とを備え、
前記第1および第2の線状導体が等振幅逆相で励振されるアンテナ装置であって、
前記第1および第2の線状導体は、前記円弧の2等分点における前記円弧の接線に対して垂直で、かつ前記2等分点を通る第2の平面に関して面対称になるように設置され、
前記第1および第2の線状導体の各長さは、設計周波数帯域の中心周波数における波長λcに対して、0.1λc〜0.3λcの範囲内に設定されたことを特徴とするアンテナ装置。
【請求項2】
前記第1の平面上に位置するとともに、前記第2の平面に対してほぼ直交するように設置された第1の指向性調整用線状導体を備え、
前記第1の指向性調整用線状導体は、前記円が前記第1の平面に対してほぼ垂直な方向に移動した場合に形成される円筒面内に設置され、
前記第1の指向性調整用線状導体の2等分点は、前記第2の平面上に位置することを特徴とする請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項3】
前記第1および第2の線状導体は、それぞれ、幅を有する平面状導体により構成されたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のアンテナ装置。
【請求項4】
前記第1の線状導体の近傍に設置された第3の線状導体と、
前記第2の線状導体の近傍に設置された第4の線状導体とを備え、
前記第3および第4の線状導体は、前記第1の平面に対してほぼ平行に設置されるとともに、前記第2の平面に関して面対称になるように設置され、
前記第3および第2の線状導体の各一端は、前記曲面状導体に接続され、
前記第3および第4の線状導体の各長さは、0.1λc〜0.3λcの範囲内に設定されたことを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のアンテナ装置。
【請求項5】
前記第3および第4の線状導体は、それぞれ、幅を有する平面状導体により構成されたことを特徴とする請求項4に記載のアンテナ装置。
【請求項6】
前記第1の平面に対してほぼ垂直に設置された第5および第6の線状導体と、
前記第1の平面に対してほぼ垂直に設置された1個以上の第2の指向性調整用線状導体と、
前記第5の線状導体の2等分点に設置された第3の給電点と、
前記第6の線状導体の2等分点に設置された第4の給電点とを備え、
前記第5および第6の線状導体は、前記第2の平面に関して面対称となるように設置されるとともに、前記円が前記第1の平面に対してほぼ垂直な方向に移動した場合に形成される円筒面内に設置されて、前記第3および第4の給電点を介して等振幅同相で励振され、
前記第5および第6の線状導体の各2等分点は、前記第1の平面上に位置し、
前記第5および第6の線状導体の各長さは、0.2λc〜0.6λcの範囲内に設定され、
前記第2の指向性調整用線状導体は、前記第2の平面上に設置されるとともに、前記円筒面内に設置されたことを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載のアンテナ装置。
【請求項7】
前記第1の平面に対してほぼ垂直に設置された第5および第6の線状導体と、
前記第2の平面上に設置された指向性調整用平面状導体と、
前記第5の線状導体の2等分点に設置された第3の給電点と、
前記第6の線状導体の2等分点に設置された第4の給電点とを備え、
前記第5および第6の線状導体は、前記第2の平面に関して面対称となるように設置されるとともに、前記円が前記第1の平面に対してほぼ垂直な方向に移動した場合に形成される円筒面内に設置されて、前記第3および第4の給電点を介して等振幅同相で励振され、
前記第5および第6の線状導体の各2等分点は、前記第1の平面上に位置し、
前記第5および第6の線状導体の各長さは、0.2λc〜0.6λcの範囲内に設定されたことを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載のアンテナ装置。
【請求項8】
前記第5および第6の線状導体は、それぞれ、幅を有する平面状導体により構成されたことを特徴とする請求項6または請求項7に記載のアンテナ装置。
【請求項9】
前記第5の線状導体の近傍に設置された第7の線状導体と、
前記第6の線状導体の近傍に設置された第8の線状導体とを備え、
前記第7および第8の線状導体は、前記第1の平面に対してほぼ垂直に設置されるとともに、前記第2の平面に関して面対称になるように設置され、
前記第7および第8の線状導体の各長さは、0.2λc〜0.6λcの範囲内に設定されたことを特徴とする請求項6から請求項8までのいずれか1項に記載のアンテナ装置。
【請求項10】
前記第7および第8の線状導体は、それぞれ、幅を有する平面状導体により構成されたことを特徴とする請求項9に記載のアンテナ装置。
【請求項11】
前記曲面状導体は、多面状導体からなり、
前記多面状導体は、前記円弧に沿った曲線上の3個以上の点のうち隣接する点同士を結んだ直線の組み合わせが、前記第1の平面に対してほぼ垂直な方向に移動した場合に形成される多面形状を有することを特徴とする請求項1から請求項10までのいずれか1項に記載のアンテナ装置。
【請求項12】
前記円の直径は、0.84λc〜1.12λcの範囲内に設定されたことを特徴とする請求項1から請求項11までのいずれか1項に記載のアンテナ装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2012−39305(P2012−39305A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−176444(P2010−176444)
【出願日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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