説明

アース・ソーラーシステム改良型(地中熱回収パイプ方式)

【課題】石油、ガス、電気等の人口エネルギーの浪費を抑え、太陽熱や地中の地熱を有効に活用して住宅の室温調節を行うための、エネルギーコストが低く構造が簡単な冷暖房装置を提供する。
【解決手段】建物の室内に取付けた全熱交換型換気扇4が吸気した新鮮な外気を、建物の1階床下部に送り込むと共に、1階床下の基礎底盤45にはU字形に成形した複数の地中熱回収パイプ8、9、13、15、16、20、23、26、30、31、39、41、を埋設し、地中熱回収パイプの一端には送風機10、17、35、42を取付け、地中熱回収パイプに吸い込まれた空気は、冬期は地中熱により地中熱回収パイプの中で暖められ、また、夏期は地中熱により地中熱回収パイプの中で冷やされ、1階床下部の空気の温度調整を行い、その温度調整された空気を、給気ダクトを経由して各階の天井内部に供給し、天井に設けたガラリより室内に供給するように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の基礎部に外部との通気口を設置せず、1階床下内部の空気を外気と遮断して密封状態とし、建物の室内に取付けた全熱交換型換気扇が室内側に供給する新鮮な外気を、建物の1階床下部に送り込むと共に、1階床下の基礎底盤に下部をU字形に形成した複数の地中熱回収パイプを、両端を基礎底盤より1階床下部に突き出すように地中に埋設し、地中熱回収パイプの一端には送風機を取付け、その送風機を作動させる事により1階床下内部の空気が地中熱回収パイプに吸い込まれ、その地中熱回収パイプに吸い込まれた空気は、冬期は地中熱により地中熱回収パイプの中で暖められると共に、1階床下の基礎底盤に温水蓄熱槽を設置し、その温水蓄熱槽に太陽熱温水器で温められた温水を風呂で使用した後、温かい風呂の残り湯を温水蓄熱槽の中に流して溜湯させる事により1階床下内部の空気がさらに暖められ、また、夏期は地中熱により地中熱回収パイプの中で冷やされた空気が1階床下部に供給されると共に、その1階床下の空気をダクトを経由して各階の天井内部に供給し、天井内部に供給された空気が各室天井に設けたガラリより室内に供給されて、室温調整を行うための装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の、小規模な住宅における室温調整は、夏期にはクーラーを使用し、冬期には電気、ガス、石油等のエネルギーを利用して冷暖房を行って来たが、近年では地球温暖化防止の観点から、エネルギー消費に伴うCO2排出量の削減が急務となり、エネルギー消費量の削減や、さらに自然エネルギーへの代替が早急に望まれている。
【0003】
これに伴い、自然エネルギーの利用手段として、現在、一般的に普及しているものは、太陽エネルギーを利用した、太陽熱温水器(熱効率50〜60%)と太陽光発電(変換効率10〜15%)があるが、いずれも、太陽エネルギーだけを利用する省エネ技術は天候に左右され易く、不安定な点から単独では利用が出来ず、他のエネルギーと兼用して利用されて来たため、なお一層の改良が求められている。
【0004】
これに対して、地下4〜5mの地中は、年間を通じて安定した温度を保つことから、夏期は外気と比べて低温となり、冬期は外気と比べて暖温となる。そのため、従来からこのような地中熱を利用した設備は、大型の建物や公共設備等で実験的に施工されているが、その利用方法は、冬の間に自然界で出来た氷を保存しておき、その氷を夏期に地下に設けた蓄熱槽に移して冷水を作り、その冷水を各室に循環させて冷房を行うことが一般的であり、大掛かりな工事が必要となり、しかも、定期的に蓄熱層に氷を補充しなければならず、小規模な住宅用としては不向きであった。
【0005】
さらに、地中熱を利用したヒートポンプ方式で、家庭内の給湯と、室内の冷暖房を行う方法も行われているが、水平ループ方式(地中に深さ1〜2mの堀を堀り、そこに採熱用パイプを這わせて埋設する)では、建て坪100mの住宅の熱源を得るために400〜600mの採熱用パイプを埋設することが必要であり、又、垂直ループ方式(地中に深さ50〜100mの井戸を堀り、そこに採熱用パイプを埋設する)では2本の井戸が必要となり、一般住宅用で300〜500万円の費用を要すると共に、ヒートポンプの稼動コスト(電気代)が、深夜電力を利用した電気温水器の約75%かかるといった問題があった。
【0006】
また、平成15年7月に建築基準法が改正され、「シックハウス対策」として、居室の24時間換気(1時間で居室体積の0.5回分を換気させる事)が義務づけられた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
そこで、本出願人は、特許文献1に記載された、建築基準法に対応できる「アース・ソーラーシステム(二層式)」を発明し出願した。この発明によれば、貯水タンクと、貯温水タンクの2つのタンクを地中に埋設し、その双方のタンク内に、外気取入口から各室の24時間給気パイプに連通する熱交換パイプを配管し、貯水タンクを雨水又は地下水又は水道水で満たすと共に、貯温水タンクは太陽熱温水器からの温水で満たし、前記、熱交換パイプに設けた開閉バルブを操作する事により、夏期においては、冬期の冷たい外気で冷やしておいた貯水タンク内の冷水を利用して、外気を貯水タンク内の熱交換パイプを経由させ、暑い外気を冷やして各室に送り込むため、効率よく冷風運転を行うことが出来る。また、冬期においては、夏期の暑い外気で温めておいた貯水タンクの弱温水に冷たい外気を熱交換バイプを経由して暖めると共に、さらに太陽熱温水器を利用した、貯温水タンク内の温水中の熱交換パイプを経由するため、各室に温風を送り込むことが可能となる。
【特許文献1】特願2007‐42895
【0008】
しかしながら、本出願人の出願した特許文献1の発明においては、貯水タンクと貯温水タンクの2つのタンクを必要としたため、配管が複雑になり、開閉バルブの数も増え、高価格になると共に、施工するための工期も長く必要であった。
【0009】
そこで、本出願人は、特許文献2に記載された、「アース・ソーラーシステム(一層式)」を発明し出願した。この発明によれば、建物の下部の地中に、建物の基礎部と一体に構成されたコンクリート製タンクを構築し、コンクリート製タンク内に熱交換パイプを配管し、コンクリート製タンク内を雨水、又は水道水、又は地下水で満たし、全熱交換型換気扇からの供給空気をコンクリート製タンク内の熱交換パイプに導き、夏期は、全熱交換型換気扇からの供給空気を、地中熱で冷やされたコンクリート製タンク内の水と、熱交換パイプとの間で熱交換して冷やした後、給気パイプを経由して各階に給気し、冬期は、太陽熱温水器からの温水を、コンクリート製タンク内に循環させて、コンクリート製タンク内を温水状態とし、全熱交換型換気扇からの供給空気を、コンクリート製タンク内の熱交換パイプに導き、コンクリート製タンク内の温水と、熱交換パイプとの間で熱交換して暖めた後、給気パイプを経由して各階に給気した事により、各室に温風を送り込むことが可能となる。
【特許文献2】特願2008‐134783
【0010】
しかしながら、本出願人の出願した特許文献2の発明においても、コンクリート製タンクを必要としたため、高価格になると共に、施工するための工期も長く必要であった。
【0011】
そこで、本出願人は、特許文献3に記載された、「アース・ソーラーシステム(地中熱回収パイプ方式)」を発明して出願した。この発明によれば、建物の基礎部に外部との通気口を設置せず、1階床下内部の空気を外気と遮断して密封状態とし、建物の室内に取付けた全熱交換型換気扇が室内側に供給する新鮮な外気を、建物の1階床下内部に送り込むと共に、1階床下の基礎底盤に下部をU字形に成形した複数の地中熱回収パイプを、両端を基礎底盤より1階床下部に突き出すように地中に埋設し、地中熱回収パイプの一端には送風機を取付け、その送風機を作動させる事により1階床下内部の空気が地中熱回収パイプに吸い込まれ、その地中熱回収パイプに吸い込まれた空気は、冬期は地中熱により地中熱回収パイプの中で暖められると共に、さらに、1階床下部に設けた温水蓄熱槽に太陽熱温水器で温めた温水を循環させて1階床下内部の空気を暖め、また、夏期は1階床下部に設けた温水蓄熱槽に太陽熱温水器からの温水を循環させず、地中熱により地中熱回収パイプの中で冷やされた空気が1階床下内部に供給され、その1階床下の空気をダクトを通して各階の天井内部に供給し、天井内部に供給された空気を各室天井に設けたガラリより室内に供給した事により、冬期には弱暖房された暖かい空気を各室に供給すると共に、夏期には弱冷風された涼しい空気を各室に送り込むことが可能となった。
【特許文献3】特願2009‐158863
【0012】
しかしながら、本出願人の出願した特許文献3の発明においても、雨や曇りの日が続いた場合、太陽熱温水器のお湯の温度が上がらず、雨や曇りの日と、晴天の日の温度差が大きいといった問題が発生した。
【0013】
また、従来より地中熱交換機を利用した建物の空調換気システムとして知られている、特許文献4に記載したジオパワーシステムの場合は、冬期において、地中熱だけでは暖房効果(地下5mでも地中温度は約18度前後だから、外気を地中熱により暖めても、それ以下の温度にしかならない)が低く、さらに価格が高く、一般住宅に施工する場合はコストの面で問題があった。
【特許文献4】特開2007‐303693
【0014】
さらに、太陽エネルギーを利用するソーラーシステムとして知られている、特許文献5に記載したOMソーラーの場合、雨や曇りの日が続いた場合には暖房効果が下がるため補助暖房装置が必要になるといった問題と、さらに、夏期においては冷風運転が出来ないといった欠点があった。
【特許文献5】特開平08‐005161
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、このような、従来の欠点に鑑みて、自然との調和を図る事を目的とし、石油、ガス、電気等の人工エネルギーの浪費を抑え、太陽熱や、風呂の温かい残り湯や、地中の地中熱を有効に利用して、住宅の室温調整を行うものであり、エネルギーコストが低く、構造が簡単な冷暖房装置を提供する事を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本出願人の出願した特許文献1、特許文献2、特許文献3による発明では、上記のような問題が発生したため、当社では、新たに、特許文献3の発明を改良して、冬期においては、風呂の残り湯を温水蓄熱槽に流して温水蓄熱槽に温かい風呂の残り湯を溜湯をさせた装置に改良すると共に、温水蓄熱槽をコストを抑えてゴム状(塩化ビニールシート等)で安価な形状で製作した商品で新たに開発し、本発明を特許出願すると同時に、新製品の発売に踏み切る事とした。
【0017】
かかる課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、建物の基礎部に外部との通気口を設置せず、1階床下内部の空気を外気と遮断して密封状態とし、建物の室内に取付けた全熱交換型換気扇が室内側に供給する新鮮な外気を、建物の1階床下部に送り込むと共に、1階床下の基礎底盤に下部をU字形に成形した複数の地中熱回収パイプを、両端を基礎底盤より1階床下部に突き出すように地中に埋設し、地中熱回収パイプの一端には送風機を取付け、その送風機を作動させる事により1階床下内部の空気が地中熱回収パイプに吸い込まれ、冬期は、地中熱により地中熱回収パイプの中で暖められて1階床下内部の空気を暖めると共に、1階床下の基礎底盤に温水蓄熱槽を設置し、その温水蓄熱槽に太陽熱温水器で温められた温水を風呂で使用した後、温かい風呂の残り湯を温水蓄熱槽の中に流して溜湯させる事により1階床下内部の空気がさらに暖められて弱温風となり、暖められた1階床下内部の空気は、各階天井内部に設けられたダクトの送風機を作動させる事により、1階床下内部からダクトを経由して各階の天井内部に送られ、天井に設けたガラリより室内に供給されて室内を暖めると共に、夏期においては、温水蓄熱槽に風呂の残り湯を供給せず、全熱交換型換気扇から1階床下内部に送り込まれた外気は、地中熱により地中熱回収パイプの中で冷やされて弱冷風となり、1階床下部の空気と混ぜ合わされた後、各階天井内部に設けられたダクトの送風機を作動させる事により、1階床下内部からダクトを経由して各階の天井内部に送られ、天井に設けたガラリより室内に供給されて室内を冷やした事を特徴とする。
【0018】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の構成に加え、温水蓄熱槽は、ゴム状シートで構成された水枕状の形状をしており、冬期の間、温水蓄熱槽に供給される温かい風呂の残り湯は、温水蓄熱槽の上面に設けられた取入口より温水蓄熱槽の上部に取り込まれ、温水蓄熱槽の中に溜湯されて温水蓄熱槽を温めると共に、その温水蓄熱槽から溢れ出る排水の排水取込口は、温水蓄熱槽の中の底部に設けられ、排水取込口からの排水パイプ配管は、温水蓄熱槽の底部から温水蓄熱槽の上面に取付けられた風呂の残り湯の取入口と同等の高さまで温水蓄熱槽の中を配管して、温水蓄熱槽の底部の冷めた風呂の残り湯を温水蓄熱槽の外部に排出するように構成した事を特徴とする。
【0019】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の構造に加え、太陽熱温水器で温められたお湯を、上水道と風呂給湯器の間に設置される太陽熱温水器接続ユニットに接続し、太陽熱温水器で温められたお湯の温度が低い場合は、風呂給湯器で温められて風呂にお湯が給湯されると共に、その風呂の温かい残り湯を温水蓄熱槽に流して温水蓄熱槽の中に溜湯させた事を特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
請求項1に記載の発明によれば、冬期においては、建物の基礎部に外部との通気口を設置せず、1階床下内部の空気を外気と遮断して密封状態とし、建物の室内に取付けた全熱交換型換気扇が室内側に供給する新鮮な外気を、建物の1階床下部に送り込むと共に、1階床下の基礎底盤に下部をU字形に成形した複数の地中熱回収パイプを、両端を基礎底盤より1階床下部に突き出すように地中に埋設し、地中熱回収パイプの一端には送風機を取付け、その送風機を作動させる事により1階床下内部の空気が地中熱回収パイプに吸い込まれ、地中熱により地中熱回収パイプの中で暖められて1階床下内部の空気を暖めると共に、太陽熱温水器からの温水をお風呂で利用した後、温水蓄熱槽に流して溜湯したため、雨や曇りが続いた場合においても、1階床下部の空気の温度を地中熱だけに頼らず暖かくする事が可能となり、これまで排水溝に流していた温かい風呂の残り湯のエネルギーを再利用する事が可能となり、CO2の削減と省エネに貢献する事が可能となった。また、夏期においては、温水蓄熱槽に風呂の残り湯を供給せず、全熱交換型換気扇から1階床下内部に送り込まれた外気は、地中熱により地中熱回収パイプの中で冷やされて1階床下部の空気と混ぜ合わされた後、各階天井内部に設けられたダクトの送風機を作動させる事により、1階床下内部からダクトを経由して各階の天井内部に送られ、天井に設けたガラリより室内に供給されて室内を冷やしたため、エネルギー消費が少なく、省エネの冷暖房装置を提供する事が可能となった。
【0021】
請求項2に記載の発明によれば、温水蓄熱槽は、ゴム状シート(塩化ビニールシート等のシート)で構成された水枕状の形状をしており、冬期の間、温水蓄熱槽に供給される温かい風呂の残り湯は、温水蓄熱槽の上面に設けられた取入口より温水蓄熱槽の上部に取り込まれ、温水蓄熱槽の中に溜湯されて温水蓄熱槽を温めると共に、その温水蓄熱槽から溢れ出る排水の排水取込口は、温水蓄熱槽の中の底部に設けられ、排水取込口から伸びる排水パイプ配管は、温水蓄熱槽の底部から温水蓄熱槽の上面に取付けられた風呂の残り湯の取入口と同等の高さまで温水蓄熱槽の中を配管され、温水蓄熱槽の底部の冷めた残り湯を温水蓄熱槽の外部に排出するように構成されているため、温水蓄熱槽の上面に設けられた、お風呂の残り湯の取入口より取り込まれた温かい残り湯は、温水蓄熱槽の中の、冷めたお風呂の残り湯と混ぜ合わされる事により、温水蓄熱槽の中の上部が、下部に比べて温かい状態となり、温水蓄熱槽の冷めたお風呂の残り湯は温水蓄熱槽の底部に設けられた排水取込口より取り込まれて排水される。この際、温水蓄熱槽に取付けられる風呂の残り湯の取入口と、排水パイプ配管より排出される排水口の高さを、温水蓄熱槽が残り湯で満杯になった上面の位置より高く構成する事により、お湯を入れない状態では、ペチャンコのゴム状の袋が、温水蓄熱槽に風呂の残り湯を入れる事により、温水蓄熱槽を水枕状に保つ事が可能となる。さらに、排水取込口を温水蓄熱槽内部の底部に設置したため、風呂の残り湯の中に含まれる、温水蓄熱槽内部の底部に蓄積する湯あか等も、冷めた風呂の残り湯と一緒に容易に排出する事が可能となる。このように、安価なゴムシート(塩化ビニールシート等)を利用して温水蓄熱槽を製作した事により、温水蓄熱槽の大きさ(体積)を建物の延床面積に応じて簡単に変更する事が可能となったばかりでなく、温水蓄熱槽を製作するための工期を短縮し、さらに安価に製作する事も可能となった。
【0022】
請求項3に記載の発明によれば、太陽熱温水器で温められたお湯を、上水道と風呂給湯器の間に設置される太陽熱温水器接続ユニットに接続し、雨や曇りの日が続いた場合、太陽熱温水器で温められたお湯の温度が低い場合は、太陽熱温水器の、ぬるい温度のお湯は風呂給湯器で温められて風呂にお湯が給湯されると共に、さらに、その風呂の温かい残り湯を温水蓄熱槽に流して温水蓄熱槽の中に溜湯させた事により、これまで排水溝に流していた温かい風呂の残り湯のエネルギーを再利用する事が可能となり、CO2の削減と省エネに貢献する事が出来るようになった。
【実施例1】
【0023】
以下、この発明の実施の形態1について説明する。
[発明の実施の形態1]
【0024】
図1及至図7には、この発明の実施の形態を示す。
【0025】
図1は、本発明の太陽熱温水器と温水蓄熱槽と地中熱回収パイプと全熱交換型換気扇を利用した、住宅の分解解説図である。以下に、太陽熱と地中熱を利用した冷暖房システムを説明する。
【0026】
図1は、本発明のアース・ソーラーシステム改良型(地中熱回収パイプ方式)を分かり易く説明するため、アース・ソーラーシステム改良型(地中熱回収パイプ方式)を組み込んだ住宅1を分解解説図で示したものである。屋根3の上に太陽熱温水器2を設置すると共に、基礎29には建物外部と通気口を設置せず、基礎29の外側には外気の熱が1階床下内部に伝わりにくくするため基礎外断熱材6が施工されると共に、基礎底盤45の中央には温水蓄熱槽44が設置され、この温水蓄熱槽44には風呂34の残り湯を供給するための残り湯パイプ38が配管される。さらに、基礎底盤45の四隅には、下部をU字形に成形した4本の地中熱回収パイプ13、地中熱回収パイプ20、地中熱回収パイプ23、地中熱回収パイプ26が、両端を基礎底盤45より1階床下部に突き出すように地中に埋設される。
【0027】
このように構成されたアース・ソーラーシステム改良型(地中熱回収パイプ方式)は、太陽熱温水器2で温められた温水が温水パイプ40を経由して風呂34に給湯され、さらに、風呂34で利用された後の温かい残り湯は、風呂34に備え付けられた残り湯パイプ38用の浴槽に取付けられた排水栓(図示せず)を抜く事により、残り湯パイプ38を経由して温水蓄熱槽44に溜湯される。また、基礎29の外側には基礎外断熱材6が施工され、基礎29の内側の基礎底盤45には、4本の地中熱回収パイプ13、地中熱回収パイプ20、地中熱回収パイプ23、地中熱回収パイプ26が設置されると共に、居室に取付けられた全熱交換型換気扇4で熱交換された室内側供給空気(新鮮な空気)は、外気導入ダクト5を経由して矢印7方向に送られ1階床下内部に給気される。
【0028】
地中熱回収パイプ13、地中熱回収パイプ20、地中熱回収パイプ23、地中熱回収パイプ26は、2本の塩ビパイプの下部を継手で継いで、下部をU字形に構成すると共に、基礎底盤45の四隅に基礎底盤45の上部に突き出す2本の塩ビパイプの部分には、L字形のエルボ等の継手を取付け、2本の塩ビパイプに取付けたL字形のエルボ等の空気取入口と空気排出口が、互いに直角になるように構成し、一方のエルボ等の先端には送風機を取付ける。前記で説明した塩ビパイプを、地中熱回収パイプとしてU字形に成形するためには、図2の拡大図で示すように、塩ビパイプ48、塩ビパイプ49の下部をU字形の継手50で継ぐ事により、一本の地中熱回収パイプとなる。
【0029】
さらに、図1と図5に示すように、送風機10、送風機17、送風機35、送風機42を作動させる事により、地中熱回収パイプ8が矢印133方向から吸い込んだ1階床下内部の空気は、図1の地中熱回収パイプ13の中を矢印12方向から矢印14方向に流れて地中熱により温度調整されて、地中熱回収パイプ9を経由して送風機10から1階床下内部に排出される。このようにして1階床下内部に排出された空気は矢印11方向に送風され、1階床下内部の空気と混ぜ合わされて温度調整が行われ、矢印130方向から再び地中熱回収パイプ15に吸い込まれ、地中熱回収パイプ20の中を矢印19方向から矢印21方向に流れて地中熱により温度調整されて、地中熱回収パイプ16を経由して送風機17から1階床下内部に排出される。このようにして1階床下内部に排出された空気は矢印18方向に送風され、1階床下内部の空気と混ぜ合わされて温度調整が行われ、矢印131方向から再び地中熱回収パイプ30に吸い込まれ、地中熱回収パイプ26の中を矢印27方向から矢印25方向に流れて地中熱により温度調整されて、地中熱回収パイプ31を経由して送風機35から1階床下内部に排出される。このようにして1階床下内部に排出された空気は矢印36方向に送風され、1階床下内部の空気と混ぜ合わされて温度調整が行われ、矢印132方向から再び地中熱回収パイプ39に吸い込まれ、地中熱回収パイプ23の中を矢印24方向から矢印22方向に流れて地中熱により温度調節されて、地中熱回収パイプ41を経由して送風機42から1階床下内部に排出される。このようにして排出された空気は矢印43方向に送風され、1階床下内部の空気と混ぜ合わされて温度調整が行われ、矢印133方向から再び地中熱回収パイプ8に吸い込まれる。このように基礎底盤45の四隅に配置された地中熱回収パイプ13、地中熱回収パイプ20、地中熱回収パイプ23、地中熱回収パイプ26の空気の吸込口(地中熱回収パイプ8、地中熱回収パイプ15、地中熱回収パイプ30、地中熱回収パイプ39)と、地中熱回収パイプの空気の排出口(地中熱回収パイプ9、地中熱回収パイプ16、地中熱回収パイプ31、地中熱回収パイプ41)が、互いに向き合うように構成する事により、1階床下内部の空気は床下内部で場所によって澱む事が無くなり、1階床下内部の空気の温度は均一の温度になるように調整される。
【0030】
また、1階床下の基礎底盤45の四隅に地中熱回収パイプ13、地中熱回収パイプ20、地中熱回収パイプ23、地中熱回収パイプ26を埋め込む事により、地中内部において地中熱回収パイプから発生する熱による、お互いの地中熱回収パイプ同士からの熱の干渉を少なくする事が可能となる。特に、狭い敷地に地中熱回収パイプを多数埋め込んだ場合、地中熱回収パイプ同士の地中熱の干渉により地中の温度が変化してしまい、地中熱回収のメリットが減少する。
【0031】
このように、それぞれの地中熱回収パイプ13、地中熱回収パイプ20、地中熱回収パイプ23、地中熱回収パイプ26に各々1台の送風機を取付けて地中熱を回収した事により、地中熱を効率良く回収する事が可能となった。さらに、それぞれの地中熱回収パイプ13、地中熱回収パイプ20、地中熱回収パイプ23、地中熱回収パイプ26に独立して送風機を取付けた事により、1階床下内部の空気の温度が、夏(冬)の初期等に冷え(暖か)すぎる場合には、4本の地中熱回収パイプの内の数本のみ可動させ、他の地中熱回収パイプの動作を停止する事により、1階床下内部の温度を調節する事が可能となる。
【0032】
本発明において、地中熱回収パイプ13、地中熱回収パイプ20、地中熱回収パイプ23、地中熱回収パイプ26には塩ビパイプを使用し、地中に埋め込む深さは約5メートルである。その理由は、関東地区の地中4〜5メートルの地中温度は、年間を通して約17℃〜19℃と温度変化が少ないためです。ちなみに、東京都足立区の、当社ショールーム(地下室付)では、毎日、地中1メートル、3メートル、5メートルの地中温度を測定しているが、その測定結果によると地中5メートルの地中温度は、5月〜6月の間で最低温度の17.1℃となり、11月〜12月の間で最高温度の19.3℃となる。外気の最低気温(2月頃)に対して地中5メートルの最低温度が5月〜6月となるのは、地表面の温度が地中に浸透するのに時間がかかるためです。夏期の場合も同様です。
【0033】
さらに、地中熱回収パイプを地中に埋設する際は、小型重機(建柱車等)にオーガーを取付け、オーガーで地中に穴を掘り、その穴に地中熱回収パイプを埋め込むため、工期も短縮出来て安価に施工する事が可能となる。
【0034】
なお、一般の住宅の1階床下の基礎部、特に布基礎においては、1階床下部の湿気を防ぐために通気が良い構造となっているが、本発明においては、1階床下部を外気温度調整槽として利用するため、外気が1階床下部に直接流入しないように1階床下部が密封状態に構成されるように施工される。
【0035】
以上のような構成において、図2により夏期における各室の冷風運転について説明する。
【0036】
最初に、全熱交換型換気扇54、全熱交換型換気扇55から室内側に供給される空気を1階床下96に給気する方法について説明する。1階室内Aの室内側吐出空気(よごれた室内空気)は、全熱交換型換気扇55に吸い込まれて室外に排気される。その際、全熱交換型換気扇55が排気する室内の空気(室内側吐出空気)と、室内に給気する外気(室外側吸込空気)とが全熱交換型換気扇55の内部で熱交換されると共に、吸い込んだ室外側吸込空気(新鮮な空気)は全て外気導入ダクト56を経由して1階床下96に導かれる。同様にして、2階室内Bの室内側吐出空気(よごれた室内空気)は、全熱交換型換気扇54に吸い込まれて室外に排気される。その際、全熱交換型換気扇54が排気する室内の空気(室内側吐出空気)と、室内に給気する外気(室外側吸込空気)とが全熱交換型換気扇54の中で熱交換されると共に、吸い込んだ室外側吸込空気(新鮮な空気)は全て外気導入ダクト57を経由して1階床下96に導かれる。
【0037】
このようにして、全熱交換型換気扇54、全熱交換型換気扇55を使用する事により、夏期における涼しい室内の空気を、外の暑い外気と入れ替える(換気する)際に、涼しい室内の空気の温度の上昇を最小限に抑える事が可能となる。
【0038】
つづいて、このようにして1階床下96に導入された全熱交換型換気扇54、全熱交換型換気扇55からの外気(室外側吸込空気)が、どのようにして1階床下96で熱交換されて弱冷風になるかを説明する。外気導入ダクト56、外気導入ダクト57から導入された、全熱交換型換気扇54、全熱交換型換気扇55からの外気は、1階床下96の空気と混ざり合い、地中熱回収パイプ64に取付けられた送風機61を作動させる事により、1階床下96の空気は、矢印60方向から地中熱回収パイプ64に吸い込まれ、地中熱回収パイプ64の中で地中熱により冷やされて弱冷風となり、送風機61より矢印62方向に示すように1階床下96に排気される。同様に、地中熱回収パイプ68に取付けられた送風機66を作動させる事により、1階床下96の空気は、矢印65方向から地中熱回収パイプ68に吸い込まれ、地中熱回収パイプ68の中で地中熱により冷やされて弱冷風となり、送風機66より矢印67方向に示すように1階床下96に排気される。同様に、地中熱回収パイプ69に取付けられた送風機71を作動させる事により、1階床下96の空気は、矢印70方向から地中熱回収パイプ69に吸い込まれ、地中熱回収パイプ69の中で地中熱により冷やされて弱冷風となり、送風機71より矢印72方向に示すように1階床下96に排気される。同様に、地中熱回収パイプ74に取付けられた送風機75を作動させる事により、1階床下96の空気は、矢印73方向から地中熱回収パイプ74に吸い込まれ、地中熱回収パイプ74の中で地中熱により冷やされて弱冷風となり、送風機75より矢印76方向に示すように1階床下96に排気される。
【0039】
このようにして、1階床下96の中で弱冷風となった外気は、1階床を冷やす事により1階室内Aを冷やすと共に、弱冷風となった1階床下96の空気は、給気ダクト88に取付けられた送風機104を作動させる事により、給気ダクト88を経由して1階天井裏100に給気され、ガラリ98、ガラリ102より1階室内Aに給気されて1階室内Aを冷やす。同様に、給気ダクト105に取付けられた送風機112を作動させる事により、1階床下96の中で弱冷風となった外気は、給気ダクト105を経由して2階天井裏107に給気され、ガラリ109、ガラリ110より2階室内Bに給気されて2階室内Bを冷やす。
【0040】
なお、夏期においては、1階床下96に設置した温水蓄熱槽94には風呂92の残り湯を供給せず、夏期においては温水蓄熱槽94を利用しない。
【0041】
つづいて、図3で示す、冬期における各室の弱温風運転について説明する。
【0042】
最初に、全熱交換型換気扇54、全熱交換型換気扇55から室内側に供給される空気を1階床下96に給気する方法について説明する。1階室内Aの室内側吐出空気(よごれた室内空気)は、全熱交換型換気扇55に吸い込まれて室外に排気される。その際、全熱交換型換気扇55が排気する室内の空気(室内側吐出空気)と、室内に給気する外気(室外側吸込空気)とが全熱交換型換気扇55の中で熱交換されると共に、吸い込んだ室外側吸込空気(新鮮な空気)は全て外気導入ダクト56を経由して1階床下96に導かれる。同様にして、2階室内Bの室内側吐出空気(よごれた室内空気)は、全熱交換型換気扇54に吸い込まれて室外に排気される。その際、全熱交換型換気扇54が排気する室内の空気(室内側吐出空気)と、室内に給気する外気(室外側吸込空気)とが全熱交換型換気扇54の中で熱交換されると共に、吸い込んだ室外側吸込空気(新鮮な空気)は全て外気導入ダクト57を経由して1階床下96に導かれる。
【0043】
このようにして、全熱交換型換気扇54、全熱交換型換気扇55を使用する事により、冬期における室内の暖かい空気を、外の冷たい外気と入れ替える(換気する)際に、室内の暖かい空気の温度が下がるのを最小限に抑える事が可能となる。ちなみに、三菱電機株式会社のホームページでは、ロスナイ(全熱交換型換気扇)の熱交換機能を、「外気温度0℃、室内温度20℃、温度交換効率75%の場合」、室内温度20℃の空気をロスナイ(全熱交換型換気扇)で換気した場合、外気(0℃)の空気の温度は熱交換機の働きで15℃となって室内に給気(新鮮空気)されると説明している。
【0044】
つづいて、このようにして1階床下96に導入された全熱交換型換気扇54、全熱交換型換気扇55からの外気(室外側吸込空気)が、どのようにして1階床下96で熱交換されて弱温風になるかを説明する。外気導入ダクト56、外気導入ダクト57から導入された全熱交換型換気扇54、全熱交換型換気扇55からの外気は、1階床下96の空気と混ざり合い、地中熱回収パイプ64に取付けられた送風機61を作動させる事により、1階床下96の空気は、矢印60方向から地中熱回収パイプ64に吸い込まれ、地中熱回収パイプ64の中で地中熱により暖められて弱温風となり、送風機61より矢印62方向に示すように1階床下96に排気される。同様に、地中熱回収パイプ68に取付けられた送風機66を作動させる事により、1階床下96の空気は、矢印65方向から地中熱回収パイプ68に吸い込まれ、地中熱回収パイプ68の中で地中熱により暖められて弱温風となり、送風機66より矢印67方向に示すように1階床下96に排気される。同様に、地中熱回収パイプ69に取付けられた送風機71を作動させる事により、1階床下96の空気は、矢印70方向から地中熱回収パイプ69に吸い込まれ、地中熱回収パイプ69の中で地中熱により暖められて弱温風となり、送風機71より矢印72方向に示すように1階床下96に排気される。同様に、地中熱回収パイプ74に取付けられた送風機75を作動させる事により、1階床下96の空気は、矢印73方向から地中熱回収パイプ74に吸い込まれ、地中熱回収パイプ74の中で地中熱により暖められて弱温風となり、送風機75より矢印76方向に示すように1階床下96に排気される。
【0045】
さらに、冬期では太陽熱温水器115で温められた温水を風呂92で使用した後、風呂92で利用された後の温かい残り湯は、風呂92に備え付けられた残り湯パイプ93用の排水栓(図示せず)を抜く事により、残り湯パイプ93を経由して温水蓄熱槽94に流され溜湯される。このようにして温水蓄熱槽94に溜湯された温かい風呂92の残り湯は1階床下96の空気を暖める。なお、温水蓄熱槽94から溢れ出る、温水蓄熱槽94の底部の冷めた風呂の残り湯は排水パイプ77を経由して矢印119方向に流れ排水溝78に排水される。
【0046】
このようにして、太陽熱温水器115で温められた温水を、風呂92で使用した後に風呂92で利用された後の温かい残り湯を、1階床下96の基礎底盤に設置した温水蓄熱槽94に流して溜湯させる事により、地中熱回収パイプ64、地中熱回収パイプ68、地中熱回収パイプ69、地中熱回収パイプ74の中で地中熱により暖められた1階床下96の空気は、さらに温水蓄熱槽94により暖められる事となる。
【0047】
このようにして、1階床下96で弱温風となった外気は、1階床を暖める事により1階室内Aを暖めると共に、弱温風となった1階床下96の空気は、給気ダクト88に取付けられた送風機104を作動させる事により、給気ダクト88を経由して1階天井裏100に給気され、ガラリ98、ガラリ102より1階室内Aに給気されて1階室内を暖める。同様に、給気ダクト105に取付けられた送風機112を作動させる事により、給気ダクト105を経由して2階天井裏107に給気され、ガラリ109、ガラリ110より2階室内Bに給気されて2階室内Bを暖める。
【0048】
このように、冬期においては、太陽熱温水器115で温められた温水を風呂92で使用した後、風呂92で利用された後の温かい残り湯を、1階床下96の基礎底盤に設置した温水蓄熱槽94に流して溜湯させる事により、曇りや雨の日が続いた場合でも、風呂92で利用された後の温かい残り湯を温水蓄熱槽94に流して溜湯させる事により、地中熱回収パイプ64、地中熱回収パイプ68、地中熱回収パイプ69、地中熱回収パイプ74の中で地中熱により暖められた1階床下96の空気を、さらに暖め、弱温風として1階室内A、2階室内Bに給気する事が可能となる。
【0049】
図4は、本発明における住宅52を、次世代省エネタイプの断熱で構成した状態を示す。屋根の断熱に関しては、屋根断熱材121(一般的には、厚さ160mmの発泡ウレタン)を屋根内側に施工する。外壁の断熱に関しては、外壁断熱材122(一般的には、厚さ75mmの発泡ウレタン)を外壁内側に施工する。窓のサッシに関しては、各社から発売されている断熱等級4(次世代省エネタイプ)の断熱サッシ123を使用する。基礎の断熱に関しては、基礎外断熱材124(一般的には、厚さ50mmの発泡スチロール板)を基礎コンクリートの外側に施工する。但し、ここに書かれた断熱材の種類と材質に関しては、例えば、発泡スチロール板であっても、密度の違いにより断熱効果に変化が生じるため、同一メーカーであっても、密度により厚さが変わる場合があり得る。なお、次世代省エネタイプの住宅においては、1階床下、1階天井裏、2階天井裏に断熱材を施工しているが、本発明においては、住宅の各々室内同士の温度を出来るだけ均一に保つため、1階床下126や1階天井裏125、2階天井裏127には断熱材を施工しない。
【0050】
本発明における住宅52の断熱性能に関しては、最大限の省エネ効果を得るためにも、図4で説明した次世代省エネタイプの断熱を必ず施工する必要がある。
【0051】
図6は、温水蓄熱槽152の正面図、平面図、A‐A断面図、B‐B断面図である。温水蓄熱槽152は、長方形に切断された2枚のゴム状(塩化ビニールシート等)のシートの端部を溶着して水枕状に構成される。温水蓄熱槽152の上部に使用する上面ゴムシート139には取入口134、排水口135のための穴(図示せず)を開け、さらに、ゴム状シートを四角形状に切断(約20cm×約25cmの大きさに切断)して中央部には風呂の残り湯の取入口の穴(図示せず)を開けて溶着部137を作成し、溶着部137には塩ビ管で製作した取入口134を塩ビ溶接すると共に、同様に、ゴム状シートを四角形状に切断(約20cm×約25cmの大きさに切断)して中央部に排水口のための穴(図示せず)を開けて溶着部138を作成し、溶着部138に塩ビ管で製作した排水口135を塩ビ溶接し、上面ゴムシート139に開けられた穴位置(図示せず)に合わせて、溶着部137、溶着部138を溶着して取付ける。なお、現在では、砂漠等に人造湖を造る際に、砂漠等に大きな穴を掘り、その穴の底面にゴムシート(塩化ビニールシート等)を敷き詰め、そのゴムシート同士を溶着して一枚の大きな防水シートに加工して、水を貯める事も行われており、本発明のような温水蓄熱槽をゴムシートで作製した場合においても、長期の耐久性が保たれる。
【0052】
このようにして取付けた、取入口134から温水蓄熱槽内部151へ風呂の残り湯が流れ込む際には、B‐B断面図で示すように、風呂の残り湯は取入口134から、溶着部137の直ぐ下に取付けられた固定部147をへて矢印146方向で示すように温水蓄熱槽内部151に流れ込み、温水蓄熱槽内部151の上側に温かい風呂の残り湯が溜湯される。このように温水蓄熱槽内部151に残り湯が供給された場合、温水蓄熱槽内部151の上部が温かく保たれ、温水蓄熱槽内部151の下部は、上部に比べて湯温度が低い状態となる。
【0053】
また、温水蓄熱槽内部151から排水される冷めた風呂の残り湯は、A‐A断面図で示すように、温水蓄熱槽内部151の下部の排水取込口149から矢印148方向に吸い込まれ、排水パイプ配管151を経由して排水口135から排水される。なお、風呂の残り湯を流入する温水蓄熱槽152に取付ける取入口134の入口の高さと、冷えた風呂の残り湯が温水蓄熱槽152から排出される排水口135の出口の高さは、温水蓄熱槽152がゴム状のシートで製作されるため、温水蓄熱槽152に風呂の残り湯が流入される事により、温水蓄熱槽152が水枕状に膨らむため、温水蓄熱槽152に風呂の残り湯が満タン状態になるまで流入された状態で、温水蓄熱槽152の上面ゴムシート139の最上部より上部(上面ゴムシート139の上部より、約10〜約20cm位高くなるのが良い)になるように構成されなければならない。
【0054】
このように温水蓄熱槽152を構成する事により、毎日、温かい風呂の残り湯が温水蓄熱槽152に供給され、雨や曇り日が続いた場合でも、1階床下部の空気を暖める事が可能となる。さらに、排水取込口149を温水蓄熱槽内部151の底部に設置したため、風呂の残り湯の中に含まれる、温水蓄熱槽内部151の底部に蓄積する湯あか等を、冷めた風呂の残り湯と一緒に容易に排出する事が可能となる。
【0055】
図7は、図6で説明した温水蓄熱槽が、どのような状態で1階床下に設置されるか示す。温水蓄熱槽158は、1階床下の基礎164の上面に設置されると共に、その温水蓄熱槽158に対して、風呂154に設置されている温水蓄熱槽用の排水栓(図示せず)を抜く事により、風呂154の残り湯が残り湯パイプ155を経由して矢印157方向に送られ温水蓄熱槽158に溜湯されると共に、温水蓄熱槽158から溢れ出た、冷めた風呂の残り湯は排水パイプ161を経由して矢印163方向から排水溝162に排水される。
【実施例2】
【0056】
以下、この発明の実施の形態2について説明する。
[発明の実施の形態2]
【0057】
図8は、太陽熱温水器166に太陽熱温水器接続ユニット172を接続した場合の断面図である。給水管178より矢印176方向から矢印169方向に送られた水は、太陽熱温水器166の中で温められる。太陽熱温水器166の中で温められた温水は、温水パイプ171を矢印167方向から矢印170方向に送られて、太陽熱温水器接続ユニット172の中で給水管178から供給される水と混ぜ合わされて温度調整され、さらに風呂給湯器174の中で温度調整がなされて風呂に給湯される。
【0058】
太陽熱温水器接続ユニット172を使用するメリットは、雨や曇りの日が続いた場合、太陽熱温水器166の温度が風呂のお湯の適温まで達しない場合、太陽熱温水器166の温水は風呂給湯器174で加熱されて風呂に供給する事が可能となる。これらの太陽熱温水器接続ユニット172は、株式会社ノーリツ、リンナイ株式会社、株式会社長府製作所等の会社より発売されている。その他の、全熱交換型換気扇や、1階床下に設置する温水蓄熱槽の構造、地中熱回収パイプ、給気ダクトの構造に関しては、実施の形態1で説明した内容と同一である。
【0059】
以上、実施の形態に基づいて、本発明に係るアース・ソーラーシステム改良型(地中熱回収パイプ方式)について詳細に説明してきたが、本発明は、以上の実施の形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において各種の改変をなしても、本発明の技術的範囲に属するのはもちろんである。
【0060】
図1、図5において、太陽熱温水器2からの温水を貯留するための温水蓄熱槽44(図1においては温水蓄熱槽44と表記、図5においては温水蓄熱槽94と表記)の形状は立方体で描かれているが、この形状に限らず残り湯パイプ38と排水パイプ37との間を、長い塩ビパイプや、簡単に曲げて施工する事が可能なリブパイプ等を接続して温水蓄熱槽を構成する事も可能である。このような材質を使用して温水蓄熱槽を構成する事により、1階床下の基礎が複雑になる場合においても、簡単に温水蓄熱槽を構築する事が出来る。また、温水蓄熱槽の材質に関しても、この発明の実施の形態では、安価に作製するためゴム状としているが、長期の耐久性を考えた場合にはFRP製の温熱蓄熱槽や、さらに、ステンレス等の金属で温熱蓄熱槽を構成する事ももちろん可能である。
【0061】
図1において、温水蓄熱槽44は基礎底盤45の上部に設置されているが、温水蓄熱槽44を設置する際には、基礎底盤45を欠き込んで、その中に温水蓄熱槽44を埋め込んだり、または、温水蓄熱槽44を設置する基礎底盤45の場所に囲いを設けて、その中に温水蓄熱槽44を設置する事も、もちろん可能である。さらに、温水蓄熱槽44は1個で描かれているが、1階床下の基礎が複雑に構成された場合においては、複数個の温水蓄熱槽を連結して対応することも可能である。さらに、近頃では二世帯住宅も数多く新築されているため、風呂の個数に応じて温水蓄熱槽の大きさを設計する事も大切である。
【0062】
図1、図5において、地中熱回収パイプ13、20、23、26は基礎底盤45の四隅に配置されているが、これは、互いの地中熱回収パイプが地中の熱を回収(放出)する際、地中熱回収パイプで熱回収(熱放出)した際に地中に与えた熱の影響が、互いの地中熱回収パイプに対して干渉するのを少なく抑えるためである。
【0063】
図1及至図5においては、地中熱回収パイプは4本設置されているが、当然の事ながら住宅の規模(床面積)の大小に応じて地中熱回収パイプの本数は増減する。また、地中熱回収パイプの材質は、地下の水位の高低に応じて地中の熱容量が変化するため、熱伝導率の高いアルミやステンレス等の材料を使用する事も、もちろん可能である。
【0064】
本発明においては、地中熱回収パイプは塩ビパイプを使用し、地中に埋め込む深さは、約5mである。と表示しているが、地中の地下水位の高低により、当然ながら地中に埋め込む塩ビパイプの深さを変える事はもちろん必要である。
【0065】
図1及至図3において、図1においては太陽熱温水器2と表記、図2と図3においては太陽熱温水器115と表記された太陽熱温水器は、太陽光の集熱板と貯湯槽が一体となった形式のもので説明したが、この形式に限らず、太陽光の集熱板と貯湯槽が分離され、太陽光の集熱板が屋根に設置されると共に、貯湯槽が地表面に固定されたタイプの太陽熱温水器を使用する事も可能である。
【0066】
図2及至図3において、外気導入ダクト56、57、給気ダクト88、105の配管スペースは、壁内、床内、天井内、又は専用配管スペースにこだわらず、最適な位置に配管される事は、当然である。
【0067】
この発明の実施の形態については、一般的な住宅に関して説明してきたが、建築する住宅の種類に関しては、鉄骨住宅、RCコンクリート住宅等にも応用出来ることは、当然である。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】この発明の実施の形態1に係る、アース・ソーラーシステム改良型(地中熱回収パイプ方式)の分解図である。
【図2】同実施の形態に係る、夏期における住宅断面図の全熱交換型換気扇と地中熱回収パイプを利用したアース・ソーラーシステム改良型(地中熱回収パイプ方式)の弱冷風システム図である。
【図3】同実施の形態に係る、冬期における住宅断面図の全熱交換型換気扇と地中熱回収パイプと太陽熱温水器を利用したアース・ソーラーシステム改良型(地中熱回収パイプ方式)の弱温風システム図である。
【図4】同実施の形態に係る、住宅に、屋根断熱材、外壁断熱材、断熱樹脂サッシ、基礎外断熱材を施工した状態の断面図である。
【図5】同実施の形態に係る、基礎底盤における温水蓄熱槽と地中熱回収パイプと送風機と空気の流れを表す基礎底盤平面図である。
【図6】同実施の形態に係る、温水蓄熱槽の正面図、平面図、断面図である。
【図7】同実施の形態に係る、風呂と温水蓄熱槽と、その風呂と温水蓄熱槽とを配管している配管図である。
【図8】この発明の実施の形態2に係る、太陽熱温水器に太陽熱温水器接続ユニットを接続した場合の断面図である。
【符号の説明】
【0069】
A 1階室内
B 2階室内
1 住宅
2 太陽熱温水器
3 屋根
4 全熱交換型換気扇
5 外気導入ダクト
6 基礎外断熱材
7 矢印
8 地中熱回収パイプ
9 地中熱回収パイプ
10 送風機
11 矢印
12 矢印
13 地中熱回収パイプ
14 矢印
15 地中熱回収パイプ
16 地中熱回収パイプ
17 送風機
18 矢印
19 矢印
20 地中熱回収パイプ
21 矢印
22 矢印
23 地中熱回収パイプ
24 矢印
25 矢印
26 地中熱回収パイプ
27 矢印
28 排水溝
29 基礎
30 地中熱回収パイプ
31 地中熱回収パイプ
32 排水溝
33 排水パイプ
34 風呂
35 送風機
36 矢印
37 排水パイプ
38 残り湯パイプ
39 地中熱回収パイプ
40 温水パイプ
41 地中熱回収パイプ
42 送風機
43 矢印
44 温水蓄熱槽
45 基礎底盤
48 塩ビパイプ
49 塩ビパイプ
50 継手
51 太陽
52 住宅
53 屋根
54 全熱交換型換気扇
55 全熱交換型換気扇
56 外気導入ダクト
57 外気導入ダクト
58 矢印
59 基礎
60 矢印
61 送風機
62 矢印
63 水位
64 地中熱回収パイプ
65 矢印
66 送風機
67 矢印
68 地中熱回収パイプ
69 地中熱回収パイプ
70 矢印
71 送風機
72 矢印
73 矢印
74 地中熱回収パイプ
75 送風機
76 矢印
77 排水パイプ
78 排水溝
79 給水管
80 矢印
81 開閉バルブ
82 矢印
83 温水パイプ
84 給水パイプ
85 矢印
86 矢印
87 排水パイプ
88 給気ダクト
89 水栓
90 蛇口
91 矢印
92 風呂
93 残り湯パイプ
94 温水蓄熱槽
95 矢印
96 1階床下
97 矢印
98 ガラリ
99 矢印
100 1階天井裏
101 矢印
102 ガラリ
103 矢印
104 送風機
105 給気ダクト
106 矢印
107 2階天井裏
108 矢印
109 ガラリ
110 ガラリ
111 矢印
112 送風機
113 矢印
114 矢印
115 太陽熱温水器
116 矢印
117 矢印
118 矢印
119 矢印
121 屋根断熱材
122 外壁断熱材
123 断熱サッシ
124 基礎外断熱材
125 1階天井裏
126 1階床下
127 2階天井裏
130 矢印
131 矢印
132 矢印
133 矢印
134 取入口
135 排水口
136 溶着部
137 溶着部
138 溶着部
139 上面ゴムシート
140 下面ゴムシート
141 矢印
142 矢印
143 矢印
144 矢印
145 矢印
146 矢印
147 固定部
148 矢印
149 排水取込口
150 固定部
151 排水パイプ配管
152 温水蓄熱槽
153 蛇口
154 風呂
155 残り湯パイプ
156 排水パイプ
157 矢印
158 温水蓄熱槽
159 矢印
160 矢印
161 排水パイプ
162 排水溝
163 矢印
164 基礎
165 温水パイプ
166 太陽熱温水器
167 矢印
168 矢印
169 矢印
170 矢印
171 温水パイプ
172 太陽熱温水器接続ユニット
174 風呂給湯器
175 給水パイプ
176 矢印
177 開閉バルブ
178 給水管
179 水栓
180 蛇口
181 矢印

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の基礎部に外部との通気口を設置せず、1階床下内部の空気を外気と遮断して密封状態とし、建物の室内に取付けた全熱交換型換気扇が室内側に供給する新鮮な外気を、建物の1階床下部に送り込むと共に、1階床下の基礎底盤に下部をU字形に成形した複数の地中熱回収パイプを、両端を基礎底盤より1階床下部に突き出すように地中に埋設し、地中熱回収パイプの一端には送風機を取付け、その送風機を作動させる事により1階床下内部の空気が地中熱回収パイプに吸い込まれ、冬期は、地中熱により地中熱回収パイプの中で暖められて1階床下内部の空気を暖めると共に、1階床下の基礎底盤に温水蓄熱槽を設置し、その温水蓄熱槽に太陽熱温水器で温められた温水を風呂で使用した後、温かい風呂の残り湯を温水蓄熱槽の中に流して溜湯させる事により1階床下内部の空気がさらに暖められて弱温風となり、暖められた1階床下内部の空気は、各階天井内部に設けられたダクトの送風機を作動させる事により、1階床下内部からダクトを経由して各階の天井内部に送られ、天井に設けたガラリより室内に供給されて室内を暖めると共に、夏期においては、温水蓄熱槽に風呂の残り湯を供給せず、全熱交換型換気扇から1階床下内部に送り込まれた外気は、地中熱により地中熱回収パイプの中で冷やされて弱冷風となり、1階床下部の空気と混ぜ合わされた後、各階天井内部に設けられたダクトの送風機を作動させる事により、1階床下内部からダクトを経由して各階の天井内部に送られ、天井に設けたガラリより室内に供給されて室内を冷やした事を特徴とするアース・ソーラーシステム改良型(地中熱回収パイプ方式)。
【請求項2】
温水蓄熱槽は、ゴム状シートで構成された水枕状の形状をしており、冬期の間、温水蓄熱槽に供給される温かい風呂の残り湯は、温水蓄熱槽の上面に設けられた取入口より温水蓄熱槽の上部に取り込まれ、温水蓄熱槽の中に溜湯されて温水蓄熱槽を温めると共に、その温水蓄熱槽から溢れ出る排水の排水取込口は、温水蓄熱槽の中の底部に設けられ、排水取込口からの排水パイプ配管は、温水蓄熱槽の底部から温水蓄熱槽の上面に取付けられた風呂の残り湯の取入口と同等の高さまで温水蓄熱槽の中を配管して、温水蓄熱槽の底部の冷めた風呂の残り湯を温水蓄熱槽の外部に排出するように構成した事を特徴とする請求項1に記載のアース・ソーラーシステム改良型(地中熱回収パイプ方式)。
【請求項3】
太陽熱温水器で温められたお湯を、上水道と風呂給湯器の間に設置される太陽熱温水器接続ユニットに接続し、太陽熱温水器で温められたお湯の温度が低い場合は、風呂給湯器で温められて風呂にお湯が給湯されると共に、その風呂の温かい残り湯を温水蓄熱槽に流して温水蓄熱槽の中に溜湯させた事を特徴とする請求項1又は2に記載のアース・ソーラーシステム改良型(地中熱回収パイプ方式)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−190957(P2011−190957A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−56088(P2010−56088)
【出願日】平成22年3月12日(2010.3.12)
【出願人】(504196492)株式会社 ▲高▼▲橋▼監理 (33)
【Fターム(参考)】