説明

イオンクラスタービーム蒸着装置

【課題】イオンクラスタービームで基板表面に蒸着膜を形成する際、誘導加熱の際の磁力線の影響を減らすことで良質な蒸着膜を形成するイオンクラスタービーム蒸着装置を提供することを課題とする。
【解決手段】イオンクラスタービーム蒸着装置1であって、対象物8と離間する位置に配置され、蒸着物質13を収容する収容部2と、収容部2内に、対象物8が位置する方向に対して交差する方向の磁界を発生することにより、収容部2内に収容された蒸着物質を加熱して蒸気を生成する高周波誘導加熱手段3と、収容部2内からクラスター12を噴射する噴射手段9と、対象物8に向けて移動するクラスター12をイオン化するイオン化手段5と、イオン化されたクラスターを、加速電圧を印加して加速する加速手段6と、イオン化されたクラスター12を磁力線から遮蔽する磁力線遮蔽手段4と、を備え、磁力線遮蔽手段4は、対象物8に向けて移動するクラスター12と交差する磁力線を遮蔽する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イオンクラスタービーム蒸着装置に関し、特に合成樹脂フィルム或いはアルミ箔等の金属薄板を基板としてその表面に良質のシリコーン等の金属薄膜、及びガラス等のセラミックの良質な薄膜を連続的に蒸着する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
高融点の金属を加熱熔融し更に蒸気圧約1Torrが要求されるイオンクラスタービーム蒸着に於いては、例えば銅(Cu)は1890K、珪素(Si)は1938Kの高温加熱が必要となる。高融点金属の加熱方法として、例えば特許文献1に記載してあるように、一般的な坩堝の内或いは外側に設けたヒーターによる方法、坩堝の外側に設けた電子放出用フィラメントからの電子衝撃、アーク放電による方法等が検討されてきた。
【特許文献1】実公昭54−21560号公報
【特許文献2】特許第2766153号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、従来の方法では急速な昇温、高温での一定温度の維持が難しく、イオンクラスタービーム蒸着の加熱手段としては実用上安定した加熱方法とは言い難かった。従って、まず第一に急速昇温と一定高温維持を目的に、既にフィルム蒸着生産機で十分な実績を有する、急速に昇温出来かつ容易に一定高温の維持が可能な高周波誘導加熱方式を採用するのが最も妥当と考えられる。
【0004】
フィルム蒸着に用いられている高周波誘導加熱坩堝の形態は、縦型坩堝が一般的である。図8において、従来技術に係る縦型坩堝を示す。また、図9において、縦型坩堝を高周波誘導加熱した際の状態図を示す。縦型坩堝を使用して基材金属蒸気を得る際は、坩堝101に蒸着基材金属102を入れ、坩堝101の周囲に巻かれた高周波電極103に高周波電流104を流し、蒸着基材金属102を加熱する。この際、基材蒸気の発散する方向と同一方向に高周波誘導加熱により発生した磁力線105が発生し、磁場が形成される。このため、蒸着薄膜の性能を高める目的でこの金属蒸気をイオン化する、いわゆるイオンプレーティング方式を採用すると、金属イオンが高周波誘導加熱による磁場の影響を受けるので蒸気の気流が乱れ、良質な蒸着膜を得ることができない。このため、高周波誘導加熱をイオンプレーティング蒸着に採用することができなかった。
【0005】
本発明は、上記した問題に鑑み、イオンクラスタービームで基板表面に蒸着膜を形成する際、誘導加熱の際の磁力線の影響を減らすことで良質な蒸着膜を形成するイオンクラスタービーム蒸着装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するため、誘導加熱の磁界の方向と異なる方向にクラスターを噴射し、イオン化したクラスターを誘導加熱の磁力線から遮蔽する。
【0007】
詳細には、蒸着物質を対象物に蒸着するイオンクラスタービーム蒸着装置であって、前記対象物と離間する位置に配置され、前記蒸着物質を収容する収容部と、前記収容部内に、前記対象物が位置する方向に対して交差する方向の磁界を発生することにより、該収容部内に該蒸着物質の蒸気を生成する高周波誘導加熱手段と、前記収容部内に生成された前記蒸気を該収容部から前記対象物に向けて噴出させることでクラスターを形成する噴射手段と、前記噴射手段によって噴射され、前記対象物に向けて移動する前記クラスターをイオン化するイオン化手段と、前記イオン化手段によってイオン化された前記クラスターを、加速電圧を印加して加速する加速手段と、前記イオン化手段によってイオン化され、前記対象物に向けて移動する前記クラスターを前記高周波誘導加熱手段より生じる磁力線から遮蔽する磁力線遮蔽手段と、を備え、前記磁力線遮蔽手段は、前記誘導加熱によって前記収容部内から漏洩する磁力線であって、前記対象物に向けて移動する前記クラスターと交差する磁力線を遮蔽する。
【0008】
本発明は、クラスタービームの方向と誘導加熱による磁界の方向とを交差させることにより、イオン化したクラスターの移動を阻害することなく磁界のみを遮蔽することが可能となることに着目している。すなわち、本発明に係るイオンクラスタービーム蒸着装置は、対象物が配置された方向に対して交差する方向の磁界を発生させることで加熱する高周波誘導加熱手段と、クラスターを収納部から対象物に向けて噴射する噴射手段と、を備えることにより、クラスタービームの方向と誘導加熱による磁界の方向とを交差させる。
【0009】
本発明に係るイオンクラスタービーム蒸着装置は、このように構成された高周波誘導加熱手段および噴射手段を採用することにより収容部から漏洩した磁力線とクラスターとが交差するようにし、クラスターの移動を阻害することなく漏洩磁力線のみを遮蔽するようにしている。よって、蒸着物質を加熱する際に誘導加熱法を用いてもイオン化したクラスターに磁力線の影響を与えることなく、緻密で良質な蒸着膜を成膜することが可能になる。
【0010】
なお、蒸着物質は、例えばシリコーン、インジュウム、アルミニュウム等の金属及び一酸化珪素等の中間化合物を例示できる。また、太陽電池用シリコーン蒸着膜を基板上に形成する際は、基板は、二軸延伸を行ったプラスチックフィルム或いはアルミ箔及び同様の金属薄板であることが好ましい。また、収容部は、これら金属および中間化合物を溶解する坩堝を適用することが好ましい。なお、坩堝はタンタル、タングステン等の耐熱性金属、或いは導電性を有し且つ熔融することのないグラファイト製のものが好ましい。
【0011】
また、前記高周波誘導加熱手段は、前記収容部の周りを巻線が周回するコイルで磁界を発生することにより、該収容部内に前記対象物が位置する方向に対して交差する方向の前記磁界を発生し、前記噴射手段は、前記コイルの巻線の隙間から前記クラスターを噴射する。
【0012】
コイルに電流を流して磁界を発生させると、コイルの内側にはコイルの両端を結ぶ直線状の磁束からなる磁界が発生する。そこで、噴射手段を、コイルの巻線の隙間から対象物に向けてクラスターを噴射するように構成することで、クラスタービームの方向と誘導加熱によって生ずる漏洩磁力線とを交差させ、磁力線のみを遮蔽することが可能になる。
【0013】
また、前記収容部内の圧力は、前記対象物が配置される空間の圧力の104〜105倍が好ましい。
【0014】
また、前記対象物に向けて噴射された、前記イオン化手段によってイオン化された前記クラスターを、加速電圧を印加して加速する加速手段を更に備える。これによれば、噴射手段によって噴射されたクラスターは加速され、対象物に衝突する際の運動エネルギーを上げることができる。よって、より緻密で良質な蒸着膜を形成することが可能になる。
【0015】
また、前記対象物は、長手方向に送られた状態にある長尺な樹脂フィルムまたは金属薄膜である。本発明に係るイオンクラスタービーム蒸着装置によれば、誘導加熱によって良好なクラスタービームを発生させること出来るので、長手方向に送られた状態にある長尺な対象物に対して連続的に薄膜を成膜する際、良質な蒸着膜を形成することが可能になる

【0016】
前記磁力線遮蔽手段は、磁力線を遮蔽する鉄製の磁力線遮蔽板と、該磁力線遮蔽板を冷却する冷却装置と、を有する。鉄製の板は磁力線を遮蔽する手段として好適であり、磁力線遮蔽手段として適用することで収容部の周囲の磁力線からイオン化されたクラスターを遮蔽することができる。高温の坩堝からの輻射熱より保護するため、磁力線遮蔽手段に、鉄製の板を冷却する冷却装置を設ける。これにより、鉄製の板が過熱するのを防止して熱変形等を防止し、磁力線の遮蔽機能を保つことが出来る。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、イオンクラスタービームで基板表面に蒸着膜を形成する際、誘導加熱の際の磁力線の影響を減らすことで良質な蒸着膜を形成するイオンクラスタービーム蒸着装置を提供することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態を例示的に説明する。以下に示す実施形態は例示であり、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0019】
図1は、本実施形態に係るイオンクラスタービーム蒸着装置1の側面図である。また、図2は、本実施形態に係るイオンクラスタービーム蒸着装置1の正面図である。以下、図1および図2を参照しつつ、本実施形態に係るイオンクラスタービーム蒸着装置1について説明する。
【0020】
図1および図2において示すように、イオンクラスタービーム蒸着装置1は、円柱状の外形を有する坩堝2、坩堝2の外周面を巻線が周回する高周波誘導加熱電極3(コイル)、高周波誘導加熱電極3の両極から漏れる磁力線を遮蔽する磁力線遮蔽板4、クラスターをイオン化するイオン化電極5、およびクラスターを加速する加速電極6を備える。また、イオンクラスタービーム蒸着装置1は、図示しない電源装置や調圧装置、冷却装置、隔壁等を備える。また、坩堝2の上方には薄膜を成膜する対象物が配置されている。なお、本実施形態では薄膜を成膜する対象物として冷却ロール7に密着して走行するプラスチックフィルム8を例示しているが、本発明はこれに限定されるものでなく、例えば、フィルム状金属基板等に適用してもよい。なお、このプラスチックフィルム8は、2軸延伸ポリエステルフィルムであり、厚さ75μm、幅30cm、走行スピード50m/minで冷却ロール7上を走行する。
【0021】
坩堝2は、両端が閉止された円筒で構成されており、内部に蒸着物質を収容することが可能である。坩堝2は、カーボングラファイトで構成されており、内部に収容する蒸着物質(Si)の融点に耐えられるように構成されている。また、坩堝2は、円筒の両端が横方向となる姿勢で配置されている。また、坩堝2は、保温や遮光を目的とする遮蔽材14に包まれている。図3において、高周波誘導加熱電極3のコイルが巻き付けられている坩堝2の上視図を示す。図3において示すように、坩堝2は、上部に直径2mmの噴射孔9が、高周波誘導加熱電極3の巻線の隙間から見える位置に多数設けられている。この噴射孔9は、本発明でいう噴射手段に相当するものであり、蒸着物質を加熱して生成した蒸気を上に向けて(すなわち、プラスチックフィルム8に向けて)噴射する。なお、噴射孔9は、蒸着物質の蒸発によって上昇した坩堝2内の内圧を利用して蒸気を噴射し、蒸着物質をクラスター化する。また、噴射孔9の上方には、加熱昇温中に噴射孔9からプラスチックフィルム8に向けて漏れ出す蒸着物質の蒸気を遮断する可動遮蔽板10が設けられている。
【0022】
高周波誘導加熱電極3は、坩堝2を加熱するコイルであり、坩堝2の外周面に沿って周
回する巻線で構成されている。高周波誘導加熱電極3は、図示しない電源装置に接続されており、高周波交流電流が流されると坩堝2を高周波誘導加熱する。なお、高周波誘導加熱電極3は、円柱状の坩堝2の外周面に沿って周回する巻線で構成されているため、高周波交流電流を流すことで坩堝2内に横方向の磁界を発生する。
【0023】
磁力線遮蔽板4は、強磁性体の鉄板で構成されており、誘導加熱の際に高周波誘導加熱電極3の周囲に発生する漏洩磁力線を遮断する。磁力線遮蔽板4は、高周波誘導加熱電極3や坩堝2を上部から覆うように配設されており、高周波誘導加熱電極3の両極から漏れ出す磁力線が、プラスチックフィルム8が配設されている側(すなわち、高周波誘導加熱電極3の上側)に漏れ出さないようにしている。また、磁力線遮蔽板4は、坩堝2の噴射孔9と対応する部分に開口部が設けられており、噴射孔9から噴射されたクラスターをプラスチックフィルム8に吹き付け可能なように構成されている。また、磁力線遮蔽板4は、自身を冷却するための水路を備えており、図示しない冷却装置から供給される冷媒を水路に流通させることで、高温の坩堝による過熱を抑えている。また、磁力線遮蔽板4は、磁力線を遮蔽しても磁気飽和を起さない十分な厚みを有しており、イオン化したクラスターが誘導加熱の磁力によって影響を受けないように磁力線を遮断する。なお、磁力線遮蔽板4は、十分な厚みを有する1枚の鉄板で構成されるものに限定されるものでなく、薄い鉄板を一定間隔で複数重ねたものであってもよい。
【0024】
イオン化電極5は、電子シャワーを放出して噴射孔9から噴射されたクラスターに電子を衝突させ、クラスターをイオン化する。また、加速電極6は、クラスターが通過する経路に電場を形成し、イオン化されたクラスターを加速する。加速電極6は、複数の噴射孔9から噴射されたクラスターが相互に衝突して拡散し、濃度分布が略均一な位置に配設されている。
【0025】
次に、本実施形態に係るイオンクラスタービーム蒸着装置1の使用方法、および原理について説明する。図4は、成膜中のイオンクラスタービーム蒸着装置1のA−A断面図である。また、図5は、成膜中のイオンクラスタービーム蒸着装置1のB−B断面図である。以下、図4および図5を参照しつつ、イオンクラスタービーム蒸着装置1の使用方法、および原理を説明する。
【0026】
図4および図5において示すように、坩堝2に蒸着物質13を収容する。そして、高周波誘導加熱電極3に電流を流して坩堝2を加熱し、坩堝2内に蒸着物質13の蒸気を生成する。なお、噴射孔9の蒸気圧力が1〜10Torr(133〜1330Pa)になるようにするため、坩堝2内の温度を1900〜2000Kに維持する。また、図示しない隔壁によって外気と隔離された真空室11を減圧し、10-4〜10-5Torrになるまで真空引きする。
【0027】
次に、可動遮蔽板10をスライドさせて噴射孔9を開く。これにより、坩堝2内と真空室11との圧力差によって噴射孔9から蒸着物質13の蒸気が噴出し、断熱膨張によってクラスター12に変化し、プラスチックフィルム8に噴射される。図6は、噴射孔9からクラスター12を噴射する坩堝2の拡大図である。図6において示すように、噴射孔9から噴射されたクラスター12は、高周波誘導加熱電極3の巻線の隙間を通って上方に噴射される。すなわち、噴射孔9から噴出したクラスター12は、高周波誘導加熱電極3のコイルの内側に形成されている磁場の磁力線と交差する方向に噴射される。噴射孔9から噴射されたクラスター12は、イオン化電極5から放出される電子シャワーによってイオン化され、更に加速電極6によって形成される電場を通過することで加速された後、プラスチックフィルム8に衝突する。なお、複数の噴射孔9から噴射されたクラスター12は相互に衝突して拡散し、加速電極6で加速されるまでに濃度分布が略均一になっている。
【0028】
ここで、磁力線の遮断メカニズムについて詳述する。図7は、高周波誘導加熱電極によって形成される磁場の磁力線の状態を示す。図7において示すように、高周波誘導加熱電極3のコイルの内側に発生した磁力線はコイルの一端側から出てコイルの回りを通り、コイルの他端側に回り込む。そこで、高周波誘導加熱電極3の周囲に発生する磁力線と交差するようにクラスターを噴射させることにより、イオン化したクラスターを磁力線遮蔽板4によって磁力線から遮断することができる。
【0029】
以上、本実施形態に係るイオンクラスタービーム蒸着装置によれば、蒸着物質を高周波誘導加熱して生成したクラスターをイオン化しても、イオン化されたクラスターが磁力線の影響を受けないため蒸着対象物に対して直進衝突し、緻密で良質な蒸着膜を形成することが可能となる。
【0030】
本実施形態に係るイオンクラスタービーム蒸着装置により、例えば2軸延伸ポリエステルに光線遮断率90%以上であり、厚さ平均約1500オングストロームの珪素蒸着膜を蒸着することができる。この蒸着膜は、構造が緻密であり、太陽電池に使用されるシリコーン単結晶に優るとも劣らないものである。本実施形態に係るイオンクラスタービーム蒸着装置によれば、高周波誘導加熱によって生成したクラスターをイオン化して加速しているため、このような良質な蒸着膜を成膜することが可能であり、例えば太陽電池用として使用可能なシリコーン薄膜を大量に且つ低コストで提供することが可能となる。
【0031】
なお、上記イオンクラスタービーム蒸着装置は、クラスターが通過する真空室に反応ガスを導入し、反応性イオンクラスタービーム蒸着を行うようにしてもよい。これによれば、より良質なセラミック蒸着膜を得ることも可能である。また、上記イオンクラスタービーム蒸着装置によれば、蒸着材料としてインジュウムを用いることにより、透明で且つ導電性の高い酸化インジュウム蒸着膜が成膜された酸化インジュウム蒸着透明導電性フィルムを低コストで大量生産することも可能である。このように、本発明に係るイオンクラスタービーム蒸着装置は、様々な薄膜を成膜する際に適用することが可能であり、極めて広い範囲に応用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】イオンクラスタービーム蒸着装置の側面図。
【図2】イオンクラスタービーム蒸着装置の正面図。
【図3】坩堝の上視図。
【図4】イオンクラスタービーム蒸着装置のA−A断面図。
【図5】イオンクラスタービーム蒸着装置のB−B断面図。
【図6】クラスターを噴射する坩堝の拡大図。
【図7】高周波誘導加熱電極によって形成される磁場の磁力線の状態図。
【図8】縦型坩堝を示す図。
【図9】縦型坩堝を高周波誘導加熱した際の状態図。
【符号の説明】
【0033】
1・・・・・・・・・・・・イオンクラスタービーム蒸着装置
2,101・・・・・・・・坩堝
3・・・・・・・・・・・・高周波誘導加熱電極
4・・・・・・・・・・・・磁力線遮蔽板
5・・・・・・・・・・・・イオン化電極
6・・・・・・・・・・・・加速電極
7・・・・・・・・・・・・冷却ロール
8・・・・・・・・・・・・プラスチックフィルム
9・・・・・・・・・・・・噴射孔
10・・・・・・・・・・・可動遮蔽板
11・・・・・・・・・・・真空室
12・・・・・・・・・・・クラスター
13・・・・・・・・・・・蒸着物質
14・・・・・・・・・・・遮蔽材
102・・・・・・・・・・蒸着基材金属
103・・・・・・・・・・高周波電極
104・・・・・・・・・・高周波電流
105・・・・・・・・・・磁力線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸着物質を対象物に蒸着するイオンクラスタービーム蒸着装置であって、
前記対象物と離間する位置に配置され、前記蒸着物質を収容する収容部と、
前記収容部内に、前記対象物が位置する方向に対して交差する方向の磁界を発生することにより、該収容部内に該蒸着物質の蒸気を生成する高周波誘導加熱手段と、
前記収容部内に生成された前記蒸気を該収容部から前記対象物に向けて噴出させることでクラスターを形成する噴射手段と、
前記噴射手段によって噴射され、前記対象物に向けて移動する前記クラスターをイオン化するイオン化手段と、
前記イオン化手段によってイオン化された前記クラスターを、加速電圧を印加して加速する加速手段と、
前記イオン化手段によってイオン化され、前記対象物に向けて移動する前記クラスターを前記高周波誘導加熱手段より生じる磁力線から遮蔽する磁力線遮蔽手段と、を備え、
前記磁力線遮蔽手段は、前記誘導加熱によって前記収容部内から漏洩する磁力線であって、前記対象物に向けて移動する前記クラスターと交差する磁力線を遮蔽する、
イオンクラスタービーム蒸着装置。
【請求項2】
前記高周波誘導加熱手段は、前記収容部の周りを巻線が周回するコイルで磁界を発生することにより、該収容部内に前記対象物が位置する方向に対して交差する方向の前記磁界を発生し、
前記噴射手段は、前記コイルの巻線の隙間から前記クラスターを噴射する、
請求項1に記載のイオンクラスタービーム蒸着装置。
【請求項3】
前記対象物は、長手方向に送られた状態にある長尺な樹脂フィルムまたは金属薄膜である、
請求項1または2に記載のイオンクラスタービーム蒸着装置。
【請求項4】
前記磁力線遮蔽手段は、磁力線を遮蔽する鉄製の磁力線遮蔽板と、該磁力線遮蔽板を冷却する冷却装置と、を有する、
請求項1から3の何れかに記載のイオンクラスタービーム蒸着装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−291339(P2008−291339A)
【公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−140518(P2007−140518)
【出願日】平成19年5月28日(2007.5.28)
【出願人】(306032545)有限会社 マイクロ マテリアルズ ジャパン (2)
【Fターム(参考)】