説明

イオン注入システムのための磁気/静電式ハイブリッド偏向器およびイオンビームの偏向方法

【課題】イオン注入におけるエネルギーコンタミネーションを低減するハイブリッド偏向器およびイオンビームの偏向方法を提供する。
【解決手段】
本発明に係るイオン注入システムのためのハイブリッド偏向器500は、イオンビームをビーム軸から偏向するように動作する磁気偏向モジュール350と、前記イオンビームを前記ビーム軸から偏向するように動作する静電偏向モジュール504と、1つまたは複数の入力制御信号に基づいて、前記磁気偏向モジュールと前記静電偏向モジュールの1つを選択的に動作させるコントローラー304とを含む。また、本発明に係るイオンビームの偏向方法は、ビームに関する1つまたは複数の特性を判別するステップと、この判別に基づいて、磁気偏向モジュールと静電偏向モジュールの1つを選択的に動作させるステップを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的には、イオン注入システムに関し、より詳しくは、イオン注入システムにおいてイオンビームを低エネルギーに減速するために用いられる偏向システムに関する。
【背景技術】
【0002】
イオン注入システムは、集積回路の製造において、半導体に不純物をドープするために使用される。イオン注入システムでは、イオン源で所望のドーパント元素がイオン化され、イオン化されたドーパント元素は、イオンビームとしてイオン源から引き出される。イオンビームは、通常、質量分析によって所望の質量対電荷比を有するイオンが選択され、半導体ウエハ等の加工物の表面に導かれて、そのドーパント元素がウエハに注入される。ビーム中のイオンは、例えばウエハにトランジスタ素子を作製する場合には、加工物の表面を貫通して所望の導電率の領域を形成する。典型的なイオン注入装置には、イオンビームを発生するイオン源と、磁界を使用してイオンビームを質量分析するための質量分析磁石を含むビームラインアセンブリーと、そのイオンビームが注入される半導体ウエハまたは加工物を収容するターゲットチャンバーとが含まれる。
【0003】
所定の用途に応じた所望の注入を達成するために、注入されるイオンの線量およびエネルギーを変更することができる。イオン線量によって、所定の半導体材料に注入されるイオンの濃度が制御される。典型的には、高線量注入には高電流注入装置が使用され、比較的低線量の用途には中電流注入装置が使用される。イオンエネルギーは、半導体素子の接合深度を制御するために使用され、半導体または他の基板に注入されるイオンの深さがイオンビーム中のイオンのエネルギーレベルによって定まる。半導体素子の微細化が進むにつれて、高ビーム電流を低エネルギーで供給することが要求されている。高ビーム電流によって必要な線量レベルが達成され、低エネルギーによって浅い注入が可能になる。
【0004】
中電流注入システムは、通常、枚葉式システムであると共に大ティルト角での注入を可能にするものである。そのようなシステムは、通常、中エネルギーから高エネルギーの範囲(例えば、10〜250keV)での低線量処理または中線量処理に適している。低エネルギーでは、ビームライン中の様々な光学要素を通じて、ビーム輸送効率が低いために、ビーム電流供給能力が大幅に低下する。ビーム輸送効率を改善するために一般に使用される技術は、高エネルギーでビームを伝播させ、その後、加工物から短距離の位置で所望のエネルギーにビームを減速することである。通常、減速率を高くする程、ビーム輸送効率におけるゲインが向上する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述したような減速システムでは、加工物に、望ましくないエネルギーコンタミネーションが生じる場合がある。エネルギーコンタミネーションは、減速前にビーム内に発生した中性粒子がターゲットに到達可能となる状態である。中性粒子は減速されないため、イオンビームの他の部分よりも大幅に高いエネルギーで加工物に到達することができ、そのような状態をしばしばエネルギーコンタミネーションと呼ぶものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の1つまたは複数の態様の基本的理解のために、本発明の簡単な要約を以下に示す。この要約は、本発明の完全な概要ではなく、また、本発明の重要な要素を同定するものでも、本発明の範囲を画定するものでもない。この要約の主要な目的は、後述する詳細な説明の導入として、本発明の概念の幾つかを簡略化された形式で提示することである。
【0007】
本発明は、イオン注入システムにおける磁気/静電式のハイブリッド偏向器に関する。このハイブリッド偏向器が有する磁気偏向器は、ビームの伝播方向にほぼ直交するほぼ均一な磁界を発生する。この磁界によって、イオンビーム(例えば、ペンシル形ビームまたはリボン形ビーム)中の移動するイオンに力が作用し、それによって、イオンビームはビーム軸から偏向する。この偏向によって、エネルギーコンタミネーションとして作用する中性粒子がビームから除去される。
【0008】
本発明の一態様において、磁気偏向器は、イオンビームの上方および下方にそれぞれ配置された一対のコイルを含む。これらのコイルは、それらを通じて流れる電流に応じて、コイル間に、ビームの伝播方向にほぼ直交する磁界を発生させる。これらのコイルは、イオンビームがリボン形ビーム、または、リボン形ビームに見えるスキャンビームの場合、好ましくは、イオンビームの全幅に沿って横方向に延在し、それによって、ビームの全幅に沿って均一な磁界を発生するものである。加えて、コイル間の領域にプラズマを導入し、特に、ビームエネルギーが低い場合に、空間電荷の中性化を促進するものであってもよい。プラズマは、コイル間の磁力線に沿って拡散し、ビームの幅に沿ってほぼ均一に空間電荷を中性化するものである。
【0009】
本発明の一態様では、イオン注入システムにおいて、磁気方式と静電方式のハイブリッド偏向システムが使用される。このハイブリッド偏向システムは、磁気偏向モジュールおよび静電偏向モジュールと、1つまたは複数の入力制御信号に基づいて、磁気偏向モジュールと静電偏向モジュールの1つを選択的に動作させるように作動可能なコントローラーとを含んでいる。例えば、コントローラーは、1つまたは複数の入力制御信号が、質量エネルギー積が予め定められた閾値よりも小さいことを示す場合に、磁気偏向モジュールを動作させ、質量エネルギー積が閾値よりも大きい場合に、静電偏向モジュールを動作させるように作動可能なものである。上記の方法において、このハイブリッドシステムは、低いビームエネルギーで磁気偏向を使用するものであり、この場合、プラズマを使用して、低エネルギーで問題となる空間電荷効果の影響を軽減してもよい。同様に、空間電荷効果が明白でないときに磁気硬度の限界が現れた場合には、このハイブリッドシステムは、比較的高いビームエネルギーで静電偏向を使用してもよい。
【0010】
本発明に従って、このハイブリッド偏向器は、ペンシル形ビーム、リボン形ビーム、または、リボン形と同様の性質を有するペンシル形スキャンビームに対して適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、本発明の1つまたは複数の態様に従う磁気/静電式ハイブリッド偏向器を備えたイオン注入システムの構成要素を概念的に示すブロック図である。
【図2】図2は、本発明の1つまたは複数の態様に従う磁気/静電式ハイブリッド偏向器を備えたイオン注入システムの概念図である。
【図3A】図3Aは、本発明の一態様に従って、エネルギーコンタミネーション低減するために使用される磁気/静電式ハイブリッド偏向システムにおける磁気偏向システムを示すブロック図である。
【図3B】図3Bは、移動するイオンに対する磁界の影響を、ローレンツ力の式に従って示す図である。
【図4A】図4Aは、本発明の例示的な態様に従って、コイルを含む例示的な磁気偏向器の一部を示す透視図である。
【図4B】図4Bは、磁気偏向器の一部とコイルを通じて流れる電流を示すために、図4Aの切断線4B−4Bに沿って示した断面図である。
【図5A】図5Aは、本発明の一態様に従って、リボン形ビームの伝播方向にほぼ直交する磁界を発生する一対のコイルを使用した磁器偏向システムを示すブロック図である。
【図5B】図5Bは、本発明に従う例示的な磁気偏向器を示す透視図である。
【図6A】図6Aは、本発明の別の態様に従って、イオンビームを偏向してエネルギーコンタミネーションを低減するための磁気/静電式ハイブリッド偏向システムを示すブロック図である。
【図6B】図6Bは、質量エネルギー積に関する閾値と、質量エネルギー積に基づく磁気偏向または静電偏向の選択を示すグラフである。
【図7A】図7Aは、磁気/静電式ハイブリッドシステムの追加の例を示すブロック図である。
【図7B】図7Bは、磁気/静電式ハイブリッドシステムの追加の例を示すブロック図である。
【図8】図8は、本発明のさらに別の態様に従って、ペンシル形ビームまたはリボン形ビームを使用するイオン注入装置における、エネルギーコンタミネーションを低減するための方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
上記目的および関連する目的を達成するために、以下の説明および添付図面には、本発明の特定の例示的な態様および実施形態が詳細に記載されているが、これらは、本発明の原理を使用可能な様々な態様のごく一部を示すものである。本発明の他の態様、利点、および新規な特徴は、以下の本発明の詳細な説明を図面と共に考慮することによって、明らかになるであろう。
【0013】
以下、添付図面を参照して本発明を説明する。全体を通じて、同様の構成要素には同様の符号を付して参照する。添付図面および以下の説明は、例示のためのものであり、本発明を限定するものではない。したがって、例示されたシステムおよび方法の変形例、並びに、本明細書に例示されたシステムおよび方法とは異なる他の実施形態は、本発明および添付請求項の範囲に含まれるものである。
【0014】
本発明は、低エネルギーのイオンビームを得るための減速システムと共に使用される偏向システムに関する。この偏向システムは、中性粒子が加工物に到達することを回避するために、イオンビームを受容して、そのイオンビームを入射ビームライン軸から加工物に向けて偏向する。以下に説明するように、本発明は、イオンビームをビームライン軸から偏向するように動作可能な磁気偏向器を含む。この磁気偏向器は、さらに、静電偏向器と共に使用してハイブリッド偏向システムを形成する。この場合、磁気偏向モジュールは、比較的低いイオンビームエネルギーにおける偏向に使用され、静電偏向モジュールは、比較的高いビームエネルギーにおける偏向に使用される。本発明は、ペンシル形ビームの注入システムおよびリボン形ビームの注入システムの両方に適用することができる。
【0015】
まず、図1を参照すると、本発明の1つまたは複数の態様を実施するために好適なイオン注入システム100が、ブロック図で示されている。システム100は、ビーム経路に沿ってイオンビーム104を生成するためのイオンビーム源102を含む。以下に詳述するように、このイオンビームは、ペンシル形ビームからなるものであってもよく、または、リボン形ビームからなるものであってもよい。イオンビーム源102は、例えば、電源108を備えたプラズマ源106を含んでいる。プラズマ源106は、例えば、プラズマ閉じ込めチャンバーを含み、このプラズマ閉じ込めチャンバーからイオンビームが引き出される。
【0016】
イオンビーム源102の下流には、そこからイオンビーム104を受容するビームラインアセンブリー110が備えられている。ビームラインアセンブリー110は、質量分析器112、スキャナー114(ペンシル形システムの場合)、減速システム116、および偏向器118を含んでいてもよい。質量分析器112は、例えば磁石(図示省略)のような磁界を発生する構成要素を含み、質量(例えば、電荷対質量比)に応じた様々な軌道でイオンビーム104からイオンを偏向するために、ビーム経路に交差する磁界を発生する。
【0017】
スキャナー114は、ペンシル形ビームを制御された方法で加工物全域に方向付ける(走査する)ために、ビームライン軸の方向を調整し、それによって、リボン形ビームの効果を生じさせるものである。スキャナーは、静電方式または磁気方式のいずれであってもよく、また、任意のそのような走査機構または他のタイプのシステムを本発明と共に使用することもできる。ペンシル形ビームを走査してリボン状ビームを生成する代わりに、リボン形ビームを直接生成するイオンビーム源を使用することもできる。本発明と共に使用できるリボンビーム源の一例は、2002年5月1日に出願され、本発明の譲受人に譲受された米国特許出願第10/136,047号に開示されており、その内容は参考として本明細書に含まれる。
【0018】
ビームライン110は、さらに、減速モジュール116を含む。この減速モジュールは、イオンビームに関連するエネルギーを偏向させるように制御可能かつ選択的に動作可能なものである。例えば、中程度のエネルギーでは、ビームエネルギーの実質的な変更は要しないため、このモジュールは、イオンビームが実質的な変更を受けることなく通過できるようにするものである。一方、低エネルギーの用途(例えば、半導体における浅い接合の形成)では、ビームエネルギーの減速を要する場合がある。このような状況において、減速システム116は、イオンビームを減速することによって、所望のエネルギーレベルまでビームのエネルギーを低減することができる。
【0019】
ビームラインは、本発明に従う偏向システム118を含んでいる。偏向システム118は、磁気偏向器を含み、減速システム116を通過した後に、イオンビームをビームライン軸から偏向するように動作する。例えば、入射ビームが減速されていたとしても、イオンビームに伴って移動する中性粒子はどれも減速されていない。そして、そのような中性粒子は、イオンビームを偏向しなければ、エネルギーコンタミネーションとして加工物に到達してしまう。偏向システム118の磁気偏向器は、このような状況下で、イオンビームを、ビームライン軸から加工物に向けて偏向するものである。このとき、中性粒子は、磁気偏向器によって偏向されず、以前のビームライン軸に沿って移動するため、加工物には到達しない。
【0020】
中性の汚染粒子は、偏向システムの上流領域において、イオンおよび背景(残留)粒子間の衝突によって生成される可能性がある。このような衝突によって、一部のイオンが背景粒子または他の粒子と電荷を交換する現象が生じ、それによって、中性粒子(汚染粒子)となる。これらの中性粒子は、ウエハの、イオンが注入されるべき領域に注入されると、意図されたドープのレベルを希釈して、ドープ処理に悪影響を及ぼす可能性がある。さらに重要なことは、これらの粒子は、電気的に中性であるため、減速器、より詳細には、電極によって発生する静電界を、その影響(例えば、減速、集束、屈折、または、速さおよび/または方向に関する他の変更)を受けることなく通過することである。したがって、これらの粒子は、加速器を通過して調整されたイオンビーム中の、曲げられ、集束され、加速および/または減速されたイオンとは、その(影響を受けていない)エネルギーレベルが異なっている可能性が高いため、ウエハに望ましくない深さで注入されるおそれがある。この中性粒子による汚染(コンタミネーション)は、半導体デバイスの所望の性能を大幅に劣化させる可能性がある。
【0021】
本発明は、その1つまたは複数の態様において、中性粒子による汚染に取り組むものであり、少なくとも、イオンビームを屈折することによって、イオンをビーム中の中性汚染粒子から逸らすものである。除染されたイオンビームは、例えば、汚染粒子の経路から約5〜25度の角度だけ偏向させることができる。汚染粒子は、電気的に中性であり、電極によって影響を受けないため、汚染粒子の経路はイオンビームの元の経路である。このイオンビームは、加工物に導かれ、加工物の選択領域に注入するために、その領域に衝突する。汚染粒子が加工物またはウエハに衝突することを避けるために、例えば、ある種の障壁を中性粒子の流れの前に配置することもできる。
【0022】
本発明はまた、その1つまたは複数の態様において、イオンビームのブローアップの問題にも取り組むものである。イオンビームのブローアップは、同種の荷電粒子が反発する特性の結果として生じる。イオンビームを形成する正に帯電したイオンは、いわゆる「空間電荷力」のために、互いに反発する。空間電荷効果は、イオンビームエネルギーの3/2乗に反比例するため、イオンビーム中のイオンが減速されると増大し、イオンビームが分散(ブローアップ)する傾向が増大する。空間電荷力のため、イオンビームの横方向の広がりは、次式に比例する。
【0023】
【数1】

【0024】
ここで、mはイオンの質量、qはイオンの電荷、Iはビーム電流、Uはビームエネルギー、zはイオンビームの伝播距離である。ただし、イオンビームは、均一であると仮定されている。このように、ビームエネルギーが減少すると、ビームのブローアップの可能性が増大することが分かる。したがって、イオンビームのエネルギーが低い場合、特に、ビームが減速されていると共に、ビーム電流が大きいかまたはビーム中のイオン濃度が大きい場合には、すべてのイオンをウエハに到達させることが困難になる。
【0025】
本発明に係るハイブリッド偏向器において、磁気偏向器は、低エネルギーにおける静電偏向機構に比べて有利なものである。低エネルギーでは、空間電荷力に関連する問題は悪化し、望ましくないビームのブローアップの傾向が生じる。磁界の存在下で生じる偏向と共に、そこでプラズマを使用することによって、空間電荷の中性化を促進することができる。磁界は、一般に、磁力線を横切るプラズマの拡散に対して抵抗を与えるが、磁力線に沿ったプラズマの拡散には、ほとんど抵抗を示さない。以下に詳述するように、磁界の方向は、ビームの伝播方向(または輸送方向)にほぼ直交する方向であるため、プラズマは、リボン形ビーム、または、加工物付近でリボン状に見えるペンシル形スキャンビームのいずれの場合でも、ビームの全幅を横断して容易に拡散することができる。これによって、イオンビームに関連する空間電荷の均一な中性化が促進される。
【0026】
再び図1を参照すると、システム100は、質量分析されて実質的に除染されたイオンビーム119を、ビームラインアセンブリー110から受容するエンドステーション120も備えている。エンドステーション120は、イオンビーム119を使用した注入処理のために、例えば半導体ウエハ(図示省略)のような1つまたは複数の加工物を、ビーム経路(ただし、偏向器118により元のビームライン軸からは逸れた経路)に沿って支持するものである。
【0027】
図2は、中電流かつ低エネルギーのペンシル形ビームまたはリボン形ビームを、本発明の1つまた複数の態様に従って形成するために好適な、例示的なイオン注入システム200をより詳細に示した図である。システム200は、例えば、モジュール型のガスボックス202、補助ガスボックス204、およびガスボックスのパージのリモートコントロールパネル206を含む。ガスボックス202、204は、他の物質と共に、ドーパント物質の1種または複数種のガスを含んでおり、システム200内の長寿命化イオン源208中に、1種または複数種のガスを選択的に供給できるようにするものである。1種または複数種のガスは、イオン源208でイオン化され、システムに選択的に搬入されるウエハまたは加工物に注入するために好適なイオンが発生する。ガスボックスのリモートコントロールパネル206は、1種または複数種のガスまたは他の物質を、必要に応じてシステム200から排気(パージ)する、
【0028】
システム200には、ドーパントガスを電気的に励起してエネルギーを付与することによってガスからイオンを生成するために、他の構成要素と共に、高圧端子電力分配器210および高圧絶縁トランス212が含まれている。また、イオン源208からイオンを引き出して、そのイオンをビームライン216に加速するために、イオンビーム引出アセンブリー214が含まれている。ビームラインアセンブリー216は、質量分析磁石218を含むものである。質量分析磁石218は、不適当な電荷対質量比を有するイオンを除外する。特に、質量分析磁石218は、曲面状の側壁を有するビームガイドを含んでおり、不適当な質量対電荷比を有するイオンは、ビームガイドを通じて伝播すると、1つまたは複数の磁界によってその側壁に衝突する。
【0029】
システム200には、スキャンビームの角度制御を補助するための構成要素220を含めることもできる。この構成要素は、他の要素と共に、走査角度補正レンズを含んでいてもよい。加速/減速カラム222は、イオンビーム中のイオンの速度および/または集束を、容易に制御および調整できるようにするものである。さらに、システム200には、偏向システム224が含まれており、この偏向システム224は、上述したように、汚染粒子を除去し、エネルギーコンタミネーションの要因となる粒子のウエハまたは加工物への衝突を軽減するものである。
【0030】
ウエハまたは加工物226は、イオンの選択的注入のために、ステーションチャンバー228内にロードされる。機械的スキャンドライブ230は、チャンバー228内のウエハを操作して、ビームに対して選択的に衝突できるようにするものである。ウエハまたは加工物226は、ウエハ操作システム232によって、エンドステーションチャンバー228内に搬入される。ウエハ操作システムは、例えば、1つまたは複数の機械的アームまたはロボットアーム234を含んでいてもよい。オペレーターは、オペレーターコンソール236によって、システム200の1つまたは複数の構成要素を選択的に制御して、注入処理を調整するものである。最後に、システム200全体に電力を供給するために、電力分配ボックス238が備えられている。
【0031】
次に、図3A〜図5Bを参照し、本発明に係るハイブリッド偏向器が有する磁気偏向器について、磁気偏向器のみを励磁することにより説明する。
図3Aを参照すると、図1および図2に示すシステム118、224のような、本発明の一態様に従った例示的な偏向システム300が示されている。偏向システム300は、コントローラー304に結合された磁気偏向器302を含み、磁気偏向器302は、プラズマ源306に作動的に関連するものである。磁気偏向器302は、1つまたは複数の入力制御信号308に基づいてコントローラー304によって動作し、イオンビーム313の伝播方向312にほぼ直交する(または、横断する)磁界を領域310に発生する。この例において、イオンビームは、ペンシル形ビーム、ペンシル形スキャンビーム(したがって、走査のためにリボン状に見える)、またはリボン形ビーム、および本発明において考えられる全ての代替的なビーム形状である。より詳細には、磁界310は、イオンビームを、ビームライン軸314から加工物318に向かう方向316に偏向するように作用するものである。
【0032】
磁気偏向器302は、ビームを横断するほぼ均一な磁界を生成し、リボン形ビームまたはリボン形と同様のビームの場合には、ビーム313の全幅(図示省略)にわたってほぼ均一な磁界を生成する。この結果、方向316に沿ったビーム313の偏向は、ビームの全幅にわたってほぼ均一に生じるため、リボン形ビームの均一性を保持するために有利なものである。加えて、プラズマ源306は、領域310にプラズマを供給し、低いビームエネルギーで重要な、ビームに関連する空間電荷の中性化を促進する。低いビームエネルギーでの偏向に磁界を使用することは、磁界がプラズマによって消失または押し流されないため、有利なものである。むしろ、プラズマは、通常、磁力線に沿って領域310を通じて拡散することができる。
【0033】
磁界は、ローレンツ力の式:F=q(v×B)に従って、ビーム313中のイオンを偏向するように作用する。ここで、磁界ベクトルBによって示される方向を有する磁界下で、速度ベクトルvによって示される方向に移動する電荷に作用する力は、力ベクトルFによって示される方向を有する。より詳細には、図3Bに示すように、ビーム320中のイオンが正に帯電したイオンであり、速度VでZ方向に伝播しており、かつ、磁界がその伝播方向に直交するX方向を向いている場合、イオンに作用する力は、Yの負方向である。この例では、図示されるように、紙面の下方向である。
【0034】
プラズマ源306は、磁界領域310と作動的に関連している。一例では、このプラズマは、この領域中に存在する任意の残留ガスと、ビーム中のイオンとの相互作用によって生じるビームプラズマである。あるいは、プラズマ源は、例えばキセノンのような高い電離効率を有するガス源であってもよい。さらに別の例として、プラズマ源306は、プラズマフラッド(plasma flood)、または、プラズマを生成して磁界領域に入射させる他のタイプの装置であってもよい。
【0035】
磁界領域中の磁界がイオンビーム中のイオンを偏向するように作用するものであるため、その磁界は、イオンビームにわたって可能な限り均一であることが望ましく、特に、リボン形ビームまたはリボン形と同様のビームを使用する場合には、ビームの全幅にわたって均一であることが望ましい。リボン形ビームが300mm半導体ウエハにわたって走査される1つの例示的な用途では、リボン形ビームは300mmを超える幅を有しており、したがって、磁界は、リボン形ビームの縁部の歪みを最小限に抑えるために、そのリボンの幅に相当する、リボンの幅よりも実質的には大きな距離にわたって均一であるものである。
【0036】
本発明の1つの例示的な態様に従って、磁気偏向器302の磁界は、一対のコイルを使用して発生させるものであり、それらの一方が、図4Aに、符号350を付して示されている。コイル350は、一例として、ヨーク352に巻回された導体を含んでいる。コイル350を通じて電流が流れると、そのループを通じて、閉じた経路を形成する磁力線を伴う磁界が発生する。図4Bに示すように、コイル350を通じて流れる電流(I)が、時計回り(電子は反時計回り)である場合、図4Aに示すように、右手の法則に従って、ヨーク中の354で紙面に入り、リボン形ビームが伝播する磁界領域310の356で紙面から出る磁界が発生する。コイル350がヨーク352に沿って延在している距離または横幅360を、リボン形ビームの幅よりも大きくすることにより、ビームの全幅に沿ってほぼ均一な磁界が存在することになる。あるいは、例えば、永久磁石または電磁石のような、双極子磁界を発生する他のメカニズムを使用することもできる。
【0037】
図5Aに、一対のコイル350を使用した磁気偏向器を有するシステム400を示す。ここで、第1のコイル350aは、ビーム313の上方に配置され、第1のコイル350bは、ビーム313の下方に配置されている。第1および第2のコイル350は、互いに他方のコイルと関連して、領域310に、ビームの伝播方向にほぼ直交する磁界402を形成する。さらに、この例では、第1および第2のコイル350は、入力端部が開口部サイズ404を有し、入力端部の下流側に配置された出力端部は、入力端部よりも大きな開口部サイズ406を有するように構成されている。出力端部の開口部が大きいことによって、加工物318に向けて偏向された経路に沿って、ビームを物理的に崩壊させることなく、ビームを偏向することができる。ただし、互いにほぼ平行に構成された一対のコイルを使用することもでき、その構成は、本発明の範囲に含まれるものである。
【0038】
一対のコイル350a,350bを有することは、リボン形ビームまたはリボン形と同様のビームの、幅方向および高さ方向の両方に対して均一な磁界402を形成するために役立つ。コイル350のそれぞれは、同方向に流れる電流を有しており、それぞれのコイルによって結果として生じる磁界は、互いに打ち消し合うのではなく、互いに加算されるように重ね合わされる。これらのコイルの一方または両方の電流を変動することによって、所望の制御に応じて、ビームの偏向量を調整するか、あるいは、様々に異なるドーパント化学種またはビームエネルギーに対して所定の偏向を達成するために、磁界領域310中の磁界402の強さを調整することができる。
【0039】
図5Bは、本発明の例示的な一態様に従う磁気偏向器を示す透視図である。図5Bにおいて、一対のコイル350a、350bは、単一のヨーク352を介して結合された配置をとるものである。加えて、中性粒子は偏向されないため、依然として以前のビームライン軸に沿って伝播するそのような中性粒子を捕獲または収集するために、偏向器の後方に保護プレート380が配置されている。さらに、コイル間に配置されたヨークの側方部分にマルチカスプ磁石を使用することもでき、これは、リボン形ビームまたはリボン形と同様のビームの縁部において、電子を閉じ込めるために役立つものである。
【0040】
本発明の一態様に従って、図6Aには、磁気/静電式ハイブリッド偏向システム500が示されている。ハイブリッド偏向システム500は、磁気偏向モジュールと静電偏向モジュールを、それぞれ含んでいる。磁気偏向モジュールは、図6Aに、ビーム313の上方および下方にそれぞれ配置された一対のコイル350として示されている。この例では、静電偏向モジュールは、一対の電極504、または、ビームの上方および下方にそれぞれ配置された横方向に延在する導電板として示されている。磁気偏向モジュールおよび静電偏向モジュールの両方は、コントローラー304に作動的に結合されており、コントローラーは、1つまたは複数の入力信号308に基づいて、上記モジュールの1つを選択的に動作させることができる。
【0041】
本発明の1つの例示的な態様では、コントローラー304は、ビームの質量エネルギー積に基づいて、上記モジュールの1つを選択的に動作させるものである。例えば、図6Bに示すように、コントローラー304は、質量エネルギー積が予め定められた閾値よりも小さい場合、磁気偏向モジュールを動作させ、また、場合によっては(例えば、偏向領域510内でビームが磁界520によって偏向された場合)プラズマ源306を動作させる。同様に、コントローラー304が、1つおよび複数の入力制御信号308に基づいて、質量エネルギー積が閾値よりも大きいと判別した場合には、コントローラーは、静電偏向モジュールを選択的に動作させ、静電界506を使用して、電界/磁界領域510内でのイオンビーム偏向を達成する。
【0042】
本発明に係るハイブリッド偏向器500は、空間電荷効果が重要な低エネルギーでは、磁気偏向器を使用するものである。磁気偏向器を使用することによって、電界/磁界領域510でプラズマを使用することが可能となるため、空間電荷の中性化が促進される。電界/磁界領域510中のプラズマにとって、磁力線を横断する方向には抵抗が存在するため、プラズマが磁力線を横断しようとすることはない。しかし、プラズマ抵抗は、磁力線に沿った方向では大幅に低減する。その結果、電界/磁界領域510中のプラズマは、磁力線に沿って、ビームの幅方向(リボン形ビーム、または、リボン形と同様のビームの場合)に拡散する傾向を有する。それによって、電界/磁界領域510中でプラズマの十分な均一化が可能となり、空間電荷の中性化における均一性が促進される。
【0043】
比較的高いビームエネルギーでは、高エネルギーにおける空間電荷効果の低減のためプラズマが存在しないことに関わらず、静電偏向モジュールを通じて大きなビーム電流が輸送される。したがって、質量エネルギー積が予め定められた閾値(例えば、4000keV−amu)よりも大きい場合、コントローラーは、静電偏向モジュールを選択的に動作させる。このとき、電極504には、電界/磁界領域510に静電界506を形成するように、バイアス電圧が印加される。静電界中のイオンには、式:F=qEに従って力が作用する。ここで、電荷には、静電界の方向に力が作用する。好ましくは、電極504は、ビーム上に作用する静電界が、リボン形ビームまたはリボン形と同様のビームの全幅に沿ってほぼ均一となるようなビーム構成において、少なくともビームの全幅に沿って横方向に延在するものであり、それによって、ビームの縁部に沿った歪みが低減される。磁気偏向は、比較的高いエネルギーにおいて磁気硬度による限界が存在するため、このような比較的高いエネルギーでは、静電偏向が有利である。
【0044】
本発明の別の態様において、図7Aおよび図7Bにそれぞれ示すように、一対のコイル350a、350bは、様々な方向を備えていてもよい。図7Aに示すように、両コイルは、互いに平行に配置されると共に、ビームライン軸に平行に配置されていてもよい。あるいは、図7Bに示すように、コイル350a、350bは、互いに平行に配置されると共に、偏向後の軸に平行に配置されていてもよい。これらの配置の場合、システムへの入口の開口部404は、出口の開口部406とほぼ同一のサイズである。このようなコイルの配置構成および他のコイルの配置構成を使用することもでき、その構成は、本発明の範囲に含まれるものである。
【0045】
本発明の更に別の態様に従って、図8に示すように、イオンビームを加工物に向けて偏向させるための方法600が提供される。方法600は、一連の動作または事象として図示され、また、以下に記載されているが、本発明は、そのような動作または事象の順番に限定されるものではない。例えば、本発明の1つまたは複数の態様に従って、本明細書に図示および/または記載されたものから逸脱して、いくつかの動作は、異なる順序で発生するものであっても、または、他の動作または事象と同時に発生するものであっても、あるいは、それらの両方であってもよい。加えて、本発明に係る方法を実施するために、必ずしも例示されたすべてのステップが必要なわけではない。さらに、本発明に係る方法は、本明細書に図示および記載された構造物の形成および/または処理に関連して実施できるだけでなく、例示されていない他の構造物に関連して実施することもできる。
【0046】
この方法600は、ステップ602から開始する。ステップ602において、例えばコントローラーが、1つまたは複数の入力制御信号を受信する。制御信号は、例えば、使用されるドーパント化学種、およびビーム(例えば、リボン形ビーム)の所望のエネルギーを反映するものであってもよく、これらの制御信号は、偏向システムに導入する前に、分析後減速が必要か否か、あるいは、どの程度の分析後減速が必要かを判別するために使用される。ドーパント化学種および最終エネルギーレベルに関する情報と共に、ステップ604において、質量エネルギー積(MEP:mass-energy product)が判別され、ステップ606において、そのMEPが予め定められた閾値よりも大きいか否かが判別される。この判別に基づいて、2つの異なるモジュールの1つを動作させる。ステップ606において、MEPが閾値よりも小さかった場合(はい)、ステップ608において、上記記載において詳述したような磁気偏向モジュールを動作させ、また、ステップ610において、プラズマを導入するかまたは生成して、空間電荷の中性化を促進するものである。
【0047】
一方、ステップ606において、MEPが予め定められた閾値よりも大きかった場合(いいえ)、ステップ612において、静電偏向モジュールを動作させるものである。質量エネルギー積またはビームエネルギーのような判断基準に基づいて、異なるタイプの偏向器を使用することによって、偏向メカニズムを低エネルギーに対して適切なものに調整することができる。その結果、空間電荷の中性化により、低エネルギーにおいて、比較的高いビーム電流を効率的に使用することができる。
【0048】
以上、本発明を特定の態様および実施形態に関連させて図示および説明してきたが、本明細書および添付された図面の理解に基づいて、当業者が同等な変更および修正に想至し得ることは理解されるであろう。特に、上述した構成要素(アセンブリー、装置、回路、システム等)によって実行される種々の機能に関して、そのような構成要素を説明するために使用された用語(「手段」に対する参照を含む)は、特に明示されない限り、ここに示された本発明の例示的な実施形態において特定の機能を実行する上述した構成要素のその機能を実行する(すなわち、機能的に同等である)任意の構成要素に、たとえ開示された構成に構造的に同等でなくても、相当するものである。この点に関して、本発明は、本発明の様々な方法のステップを実施するためのコンピュータで実行可能な指令を有する、コンピュータで読取り可能な媒体を含むものである。加えて、本発明の特定の特徴がいくつかの態様のうちの1つのみに関連して開示された場合であっても、所定のまたは特定の用途のために望ましくかつ有利であるように、そのような特徴を他の態様の1つまたはそれ以上の特徴と組み合わせることもできる。本発明において、用語「リボン形と同様のビーム」は、リボン形ビーム、および、ペンシル形スキャンビームを含むものである。さらに、用語「含む(include)」、「含んでいる(including)」、「有する(have)」、「有している(having)」、及びそれらの変化形が発明の詳細な説明または請求項で使用されている範囲に関して、これらの用語は、用語「含んでいる(comprising)」と同様な意味で包含的なものであることが意図されている。また、本明細書で使用されている用語「例示的な(exemplary)」は、最良の実施形態ではなく、単に一例を意味するものとして使用されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
イオン注入システムのためのハイブリッド偏向器であって、
イオンビームをビーム軸から偏向するように動作する磁気偏向モジュールと、
前記イオンビームを前記ビーム軸から偏向するように動作する静電偏向モジュールと、
1つまたは複数の入力制御信号に基づいて、前記磁気偏向モジュールと前記静電偏向モジュールの1つを選択的に動作させるコントローラーと、
を含むことを特徴とするハイブリッド偏向器。
【請求項2】
前記コントローラーは、1つまたは複数の入力制御信号が、質量エネルギー積が予め定められた閾値よりも小さいことを示すときに、前記磁気偏向モジュールを動作させるように作動可能であることを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド偏向器。
【請求項3】
前記コントローラーは、1つまたは複数の入力制御信号が、質量エネルギー積が予め定められた閾値よりも大きいことを示すときに、前記静電偏向モジュールを動作させるように作動可能であることを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド偏向器。
【請求項4】
前記磁気偏向モジュールは、前記イオンビームの上方に配置された第1のコイルと、前記イオンビームの下方に配置された第2のコイルとを含んでおり、前記第1のコイルおよび前記第2のコイルを通じて流れる電流は、前記イオンビームの伝播方向にほぼ直交する磁界を誘導することを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド偏向器。
【請求項5】
前記第1のコイルおよび前記第2のコイルは、前記イオンビームの前記ハイブリッド偏向器への入力端部と前記イオンビームの前記ハイブリッド偏向器からの出力端部を有しており、前記出力端部は前記入力端部の下流に位置するように配置され、前記出力端部の開口部は、前記入力端部の開口部よりも大きいことを特徴とする請求項4に記載のハイブリッド偏向器。
【請求項6】
前記イオンビームは、リボン形ビームまたはペンシル形スキャンビームを含み、前記第1のコイルおよび前記第2のコイルは、前記イオンビームの全幅に沿って延在することを特徴とする請求項4に記載のハイブリッド偏向器。
【請求項7】
前記第1のコイルおよび前記第2のコイルに関連して、前記第1のコイルと前記第2のコイルの間に前記イオンビームに関連する空間電荷の中性化するプラズマを供給するように動作可能なプラズマ源をさらに含むことを特徴とする請求項6に記載のハイブリッド偏向器。
【請求項8】
前記プラズマ源は、前記イオンビーム中のイオンに関連して、前記第1のコイルと前記第2のコイルの間の残留ガスに衝突して該残留ガスをイオン化するビームプラズマを含むことを特徴とする請求項7に記載のハイブリッド偏向器。
【請求項9】
前記プラズマ源は、前記第1のコイルおよび前記第2のコイルの側方部分に沿って配置されており、前記プラズマ源によって発生するプラズマは、前記第1のコイルおよび前記第2のコイルの間の前記磁界に関連する磁力線に沿って、前記イオンビームの全幅にわたって拡散することによって、前記イオンビームの全幅に沿って空間電荷を中性化することを特徴とする請求項7に記載のハイブリッド偏向器。
【請求項10】
前記静電偏向モジュールは、前記第1のコイルと前記イオンビームの間に配置された第1の電極と、前記第2のコイルと前記イオンビームの間に配置された第2の電極とを含んでおり、前記第1の電極と前記第2の電極の間に印加される電圧に応じて、前記第1の電極と前記第2の電極の間に、前記イオンビームの伝播方向にほぼ直交する方向に静電界を発生することを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド偏向器。
【請求項11】
エネルギーコンタミネーションを低減するために、加工物への注入前にイオンビームを偏向する方法であって、
前記イオンビームに関連する1つまたは複数の特性を判別するステップと、
前記判別に基づいて、磁気偏向モジュールと静電偏向モジュールの1つを選択的に動作させるステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項12】
前記イオンビームに関連する1つまたは複数の特性を判別するステップは、前記イオンビームのエネルギーを判別することを含んでいる請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記判別に基づいて、磁気偏向モジュールと静電偏向モジュールの1つを選択的に動作させるステップは、前記イオンビームのエネルギーが予め定められた閾値よりも小さい場合に前記磁気偏向モジュールを動作させることを含んでいる請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記判別に基づいて、磁気偏向モジュールと静電偏向モジュールの1つを選択的に動作させるステップは、前記イオンビームのエネルギーが予め定められた閾値よりも大きい場合に前記静電偏向モジュールを動作させることを含んでいる請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記イオンビームに関連する1つまたは複数の特性を判別するステップは、前記イオンビームの質量エネルギー積を判別することを含んでいる請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記イオンビームに関連する1つまたは複数の特性を判別するステップは、前記質量エネルギー積が予め定められた閾値よりも小さいか否かを判別することを含んでいる請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記判別に基づいて、磁気偏向モジュールと静電偏向モジュールの1つを選択的に動作させるステップは、前記イオンビームの質量エネルギー積が予め定められた閾値よりも小さい場合に前記磁気偏向モジュールを動作させることを含んでいる請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記判別に基づいて、磁気偏向モジュールと静電偏向モジュールの1つを選択的に動作させるステップは、前記イオンビームの質量エネルギー積が予め定められた閾値よりも大きい場合に前記静電偏向モジュールを動作させることを含んでいる請求項16に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−117393(P2009−117393A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−46436(P2009−46436)
【出願日】平成21年2月27日(2009.2.27)
【分割の表示】特願2006−533770(P2006−533770)の分割
【原出願日】平成16年6月14日(2004.6.14)
【出願人】(500266634)アクセリス テクノロジーズ インコーポレーテッド (101)
【Fターム(参考)】