説明

イオン注入装置の構成部品を洗浄するための新規な方法

【課題】マイクロ電子デバイスの製造に使用されるイオン注入装置の真空室やビームラインの構成部品からの残留物を洗浄する。
【解決手段】残留物を有効に除去するため、構成部品は、残留物を少なくとも部分的に除去するのに十分な時間の間かつ十分な条件下で、気相反応性のハロゲン化物組成物と接触させられる。気相反応性のハロゲン化物組成物は、残留物と選択的に反応し、一方で、真空室のイオン源領域の構成部品と反応しないように選択される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、マイクロ電子デバイスの製造に使用されるイオン注入システムの真空室及びビームラインを洗浄するための方法及び装置に関する。さらに、本発明は、低温ポンプをその場(in−situ)洗浄して、パージ抵抗性の排出物を除去するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
関連技術の説明
イオン注入は、制御された量のドーパント不純物を半導体ウェハに正確に導入するために集積回路の製造に使用され、マイクロエレクトロニクス/半導体製造における重要な工程である。このような注入システムでは、イオン源は所望のドーパント元素ガスをイオン化し、イオン源からイオンが所望のエネルギーのイオンビームの形態で抽出される。抽出は、抽出されたビームを通過させるための開口を有する適当な形状の抽出電極間に高電圧を印加することによって達成される。次に、ドーパント要素を加工部品に注入するために、イオンビームが半導体ウェハ等の加工部品の表面に向けられる。ビームのイオンは、加工部品の表面を透過して、所望の導電率の領域を形成する。
【0003】
複数の種類のイオン源が、通常、熱電極を使用するフリーマンやベルナス型等の商業用イオン注入システムに使用され、また電気アーク、マグネトロンを使用するマイクロ波型、傍熱型陰極源、及びRFプラズマ源によって電力供給され、これらのすべては通常、真空で作動する。イオン源は、ドーパントガス(一般に「供給原料ガス」と称される)が充填された真空室に電子を導入することによってイオンを発生する。ガス内の電子とドーパント原子及び分子との衝突の結果、正と負のドーパントイオンから構成されるイオン化プラズマの生成が行われる。負又は正のバイアスを有する抽出電極は、それぞれ、正または負のイオンが平行イオンビームとして開口を通してイオン源から通過することを可能にし、このビームは、加工部品に向かって加速される。供給原料ガスとしては、BF、B1014、B1222、PH、AsH、PF、AsF、HSe、N、Ar、GeF、SiF、O、H、及びGeHが挙げられるが、それらに限定されない。
【0004】
現在、最新技術の装置の製造には、10〜15以上の注入段階がある。ウェハサイズの増加、臨界寸法の減少、及び回路の複雑さの増大により、イオン注入ツールには、より優れたプロセス制御、低エネルギーでのハイビーム電流の解放、及び平均故障間隔(MTBF)の低減に関し、より大きな要求が課されている。
【0005】
保守を必要とするイオン注入装置ツールの部品の主なものとしては、その動作条件にもよるが約100時間の動作後に点検を受けなければならないイオン源、数百時間の動作後に洗浄を通常必要とする抽出電極及び高電圧絶縁体、及び低温ポンプ等が挙げられる。
【0006】
理想的には、すべての供給原料の分子が、イオン化され、抽出されるであろうが、実際には、一定量の供給原料の分解が生じ、真空室及びビームラインに堆積し、その汚染をもたらす。例えば、ホウ素残留物は、容易にイオン源領域の表面に堆積する。残留物は、イオン源の低電圧絶縁体上に形成することがあり、電気短絡を引き起こし、熱電子を生成するために必要なアークを中断する可能性がある。この現象は、「供給源故障」として一般に知られており、イオンビームの不安定性の主要な原因であり、また最終的に供給源の早期の不具合を引き起こすことがある。残留物はまた、イオン源絶縁体や抽出電極の表面のようなイオン注入装置の高電圧部品上に形成し、エネルギー的な高電圧スパークを引き起こす。このようなスパークは、ビーム不安定性の別の原因であり、またこれらのスパークによって解放されるエネルギーは、壊れやすい電子構成部品を損傷し、装置故障の増加及びMTBFの短縮をもたらす可能性がある。ハロゲン化物を含有するイオン源材料を使用するイオン注入システム用のイオン源の平均寿命は、一般に約168時間であるが、GeFのようなハロゲン化物を含有する材料では、イオン源の寿命は、イオン源の動作時の残留物堆積の有害な効果のため短く、10時間程度であることがある。
【0007】
現在、真空室は、NFのようなガス及び他の窒素含有ガスや、酸化種を用いて洗浄される。例えば、グラフ(Graf)らの米国特許第6,135,128号明細書は、NFガスを使用するイオン源の洗浄に関する。しかし、NF洗浄ガスは、原子フッ素を放出するためのエネルギー源を必要とし、この原子フッ素は、放出時にあまりにアグレッシブな傾向を有し、イオン源領域のすべての構成部品を攻撃する。さらに、これに必要なエネルギー源、例えばプラズマは、所有コスト(COO)を増加させる。トリプサス(Tripsas)らの米国特許第6,355,933号明細書は、堆積形成種と反応するためのイオン源への酸素含有ガスの導入に関する。酸化ガスは炭素種の除去に有用であることが判明しているが、真空室又はビームラインの構成部品が炭素/黒鉛材料から製作される場合には不都合である。さらに、真空室への酸化種の導入は、大部分の金属製構成部品の表面酸化物層又は「さび」の形成を促進する可能性があり、酸化物層は、粒子形成、ガス分子のトラップ、短絡及び早期のフィラメント故障を潜在的にもたらす。
【0008】
低温真空ポンプ(クライオポンプ)は、高真空用途に広く使用されている。クライオポンプは、クライオポンプ内部の低温表面においてガスを低温凝縮及び/又は低温吸着することによって、真空室からガスを除去する原理に基づいている。低温凝縮では、ガス分子は、先に凝縮されたガス分子上に凝縮され、厚い濃縮層が形成され、これによって、大量のガスをポンプ除去する。低温吸着は、クライオポンプの通常の動作温度では凝縮することが困難なガスをポンプ除去するために通常使用される。この場合、活性炭のような吸着材料が、クライオポンプの最も低温の表面、典型的に低温アレイの第2の段階に取り付けられる。ガス粒子と吸着表面との間の結合エネルギは、ガス粒子自体の間の結合エネルギよりもより大きいので、凝縮できないガス粒子は、吸着材料に付着させることによって真空システムから除去される。
【0009】
現在、イオン注入クライオポンプは、処理サイクル中に低温捕捉したガス分子及び蓄積された処理残留物をパージして取り去るために、不活性ガス、例えばNを使用する。不活性ガスパージは、クライオポンプを周囲温度にするのを補助し、これにより発生する低温吸着された水蒸気、水素及び有機化合物等のガス分子を十分にパージする。しかし、不活性ガスパージは、すべての処理排出物(以下、「蓄積された処理排出物」という。)を除去せず、その一部は、クライオポンプの暖機中に反応して不揮発性種を形成し、及び/又はポンプの金属製構成部品に付着する。現在、蓄積された処理排出物を除去する唯一の方法は、クライオポンプの保守である。
【0010】
クライオポンプ保守手段には2種類、すなわち、真空側の再構成及びディスプレーサ側の再構成がある。両保守形態は、注入装置からのクライオポンプの除去を含む。真空側の再構成は、ポンプの分解、洗浄、再組み立て、及び機能試験を必要とし、年ベースでOEMによって推奨される。ディスプレーサ側の保守は、クライオポンプの分解、洗浄、再組み立て、及びディスプレーサ(機構を冷却し、作動するガスフロー)の機能テストを含み、年3回ベースでOEMによって推奨される。
【0011】
イオン注入装置及びクライオポンプの残留物によって引き起こされる操作面の困難に加えて、構成部品が洗浄のために取り外されるとき、有毒又は腐食性の蒸気排出物による重大な人間に対する安全問題がある。安全問題は、残留物が存在する場合に常に生じるが、真空室のイオン源領域で特に重大である。この理由は、イオン源がイオン注入装置の内で最も頻繁に保守される構成部品であるからである。中断時間を最小にするため、汚染されたイオン源は、室温をかなり上回る温度で注入装置から取り外されることが多く、このことは、蒸気排出を増大させ、安全問題を悪化させる。
【0012】
したがって、特に注入中の真空室のイオン源領域で、注入装置にわたって堆積した望ましくない残留物を有効に選択的に除去するために、その場(in−situ)洗浄処理を提供することは、イオン注入の関連技術の重要な進歩であろう。このようなその場(in−situ)洗浄は、人間に対する安全性を高め、注入装置の安定した中断のない操作に貢献するであろう。
【0013】
その場(in−situ)洗浄の代替方法は、別個の洗浄ステーションを設けることであり、これによって、黒鉛電極のような繊細な構成部品を損傷するかもしれない機械的摩耗なしに、注入装置から取り外した汚染された構成部品を安全に洗浄することができる。したがって、インプラントシステムからの取り外しに続いて構成部品を選択的かつ非破壊的に洗浄するために使用できるであろうオフライン洗浄ステーションを提供することも、イオン注入の関連技術の重要な進歩であろう。
【0014】
さらに、蓄積された処理排出物をクライオポンプから除去するためのその場(in−situ)洗浄処理を提供し、これによって、クライオポンプの保守の頻度を低減または排除することは、関連技術の重要な進歩であろう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
発明の要約
本発明は、イオン注入ツールの内部構成部品を洗浄するための方法及び装置に関する。より詳しくは、本発明は、構成部品から残留物を少なくとも部分的に除去し、かつイオン注入装置の構成部品が構成される材料に対し残留物が選択的に除去されるように除去するのに十分な時間の間かつ十分な条件下で、真空室及び/又は構成部品を気相反応性ハロゲン化物組成物、例えばXeF、と接触させることによって、真空室及びこの真空室に収容された構成部品から残留物をその場(in−situ)除去することに関する。
【課題を解決するための手段】
【0016】
一形態において、本発明は、半導体製造ツール、少なくとも1つの構成部品、又はそれらの組み合わせからなる真空室を洗浄する方法であって、
(a)エッチャント容器から真空室にエッチャントガスを導入する工程と、
(b)真空室内の所定圧力の達成時に、真空室へのエッチャントガスの導入を終了する工程と、
(c)真空室、その中に収容された少なくとも1つの構成部品、又はそれらの組み合わせの内部から残留物を少なくとも部分的に除去するのに十分な時間、エッチャントガスと真空室内の残留物とを反応させる工程と、を含み、
エッチャントガスが、真空室、その中に収容された構成部品、又はそれらの組み合わせの内部と本質的に非反応性でありつつ、真空室内の残留物、その中に収容された構成部品上の残留物、又はそれらの組み合わせと選択的に反応するように選択される方法に関する。好ましくは、エッチャントガスは、XeF、XeF、XeF、IF、IF、SF、C及びFからなる群から選択されたガスを含む。
【0017】
他の形態において、本発明は、半導体製造ツール、少なくとも1つの内部構成部品、又はそれらの組み合わせからなる真空室を洗浄する方法であって、
(a)エッチャント容器から真空室にエッチャント材料を導入する工程と、
(b)所定圧力の達成時に、真空室へのエッチャントガスの導入を終了する工程と、
(c)前記真空室に配置されたプラズマ源を使用して、真空室でエッチャント材料を反応性ハロゲン化物種に解離する工程と、
(d)真空室及び/又は少なくとも1つの内部構成部品から残留物を少なくとも部分的に除去する程度に十分な時間、反応性ハロゲン化物種と真空室内の残留物とを反応させる工程と、を含む方法に関する。好ましくは、不活性ガス源からの不活性ガスは、エッチャント材料を解離する前に真空室に導入される。
【0018】
さらに他の形態では、本発明は、半導体製造ツール、少なくとも1つの内部構成部品、又はそれらの組み合わせからなる真空室を洗浄する装置であって、
(a)内部にエッチャント材料が配置されたエッチャント材料源であって、真空室に連通して接続され、かつ真空室の上流に配置されるエッチャント材料源と、
(b)エッチャント材料源と真空室との間のバルブと、を備え、
前記装置が、次の構成部品(I)及び(II)の少なくとも一方を備えることをさらに特徴とする装置に関する:
(I)前記エッチャント材料源を加熱するためのヒータ、及び
(II)内部に不活性ガスが配置された不活性ガス源であって、エッチャント材料源に連通して接続され、かつエッチャント材料源の上流に配置される不活性ガス源。
好ましくは、エッチャント材料は、XeF、XeF、XeF、IF、IF、SF、C及びFからなる群から選択されたガスを含む。
【0019】
別の形態では、本発明は、半導体製造ツール、少なくとも1つの構成部品、又はそれらの組み合わせからなる真空室を洗浄する方法であって、
(a)エッチャント容器から真空室にエッチャントガスを導入する工程と、
(b)真空室を通してエッチャントガスの連続的な流れを実施するために、真空ポンプを使用して真空室から複数のガス種を引く工程と、
(c)真空室、この真空室に収容された少なくとも1つの構成部品、又はそれらの組み合わせから残留物を少なくとも部分的に除去するために、エッチャントガスと残留物とを反応させるのに十分な時間、真空室を通してエッチャントガスを流す工程と、を含み、
エッチャントガスが、XeF、XeF、XeF、IF、IF、SF、C及びFからなる群から選択されたガスを含む方法に関する。好ましくは、エッチャントガスは、真空室又はこの真空室に収容された構成部品の内部と本質的に非反応性でありつつ、真空室の残留物と選択的に反応するように選択される。
【0020】
さらに他の形態では、本発明は、蓄積した処理排出物をクライオポンプの内部から洗浄する方法であって、前記方法が、少なくとも2つのパージガスでクライオポンプをパージする段階を含み、前記パージガスが、窒素と、酸素、オゾン、窒素酸化物、酸素ラジカルをインシチュ発生する種、及びそれらの組み合わせからなる群から選択された少なくとも1つの反応性ガスとを含み、前記方法が、次のパージ処理工程(I)、(II)、及び(III)の少なくとも1つを特徴とし:
(I)(a)時間xの間、本質的に純粋な窒素でパージし、また(b)時間yの間、本質的に純粋である少なくとも1つの反応性ガスでパージする工程、
(II)(a)時間ゼロに、本質的に純粋な窒素でパージし、(b)本質的に純粋な窒素と少なくとも1つの反応性ガスとを混合する工程であって、窒素及び少なくとも1つの反応性ガスがもはや本質的に純粋でない工程、
(III)(a)窒素と少なくとも1つの反応性ガスとの混合気でパージする工程、
前記蓄積された処理排出物が、クライオポンプの内部から実質的に除去される方法に関する。
【0021】
本発明の別の形態は、半導体製造ツールの少なくとも1つの構成部品をex−situ洗浄する方法であって、
(a)構成部品をex−situ真空室に配置する工程と、
(b)エッチャント容器から前記ex−situ真空室にエッチャントガスを導入する工程と、
(c)真空室内の所定圧力の達成時に、真空室へのエッチャントガスの導入を終了する工程と、
(d)真空室に収容された少なくとも1つの構成部品から残留物を少なくとも部分的に除去するのに十分な時間、エッチャントガスと真空室内の残留物とを反応させる工程と、を含み、
エッチャントガスが、真空室の内部と本質的に非反応性でありつつ、少なくとも1つの構成部品の残留物と選択的に反応するように選択される方法に関する。
【0022】
本発明のさらに他の形態は、本明細書に記載した本発明の方法及びシステムを使用して、半導体のようなマイクロ電子デバイスを製造する方法の改良に関する。
【0023】
本発明の他の観点、特徴及び実施形態は、引き続く開示及び特許請求の範囲からより完全に明白になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図面の簡単な説明
【図1】エッチャント材料用の3つの選択的な配置を示す傍熱型陰極イオン源の概略図である。
【図2】本明細書に記載した直接解離性プラズマ構造の概略図である。
【図3】残留物除去反応の副生成物を監視するために使用される300amu残留ガスアナライザの概略図である。
【図4】アルミニウム基層からホウ素残留物を除去する際のXeFの有効性を示した時間の関数としてのRGAトレースである。
【図5】XeFがタングステン層と反応しないことを示した時間の関数としてのRGAトレースである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
発明の詳細な説明とその好ましい実施形態
本発明は、マイクロ電子デバイスの製造に使用されるイオン注入システムの真空室及びビームラインを洗浄するための方法及び装置に関する。詳しくは、本発明は、構成部品から残留物を少なくとも部分的に除去し、かつイオン注入装置の構成部品が構成される材料に対し残留物が選択的に除去されるように除去するのに十分な時間の間かつ十分な条件下で、真空室及び/又は構成部品を気相反応性ハロゲン化物組成物、例えばXeF、NF、F、XeF、XeF、SF、C、IF又はIFと接触させることによって、イオン注入装置の真空室及びこの真空室に収容された構成部品から残留物をインシチュ除去することに関する。
【0026】
本明細書において、「真空室」には、イオン源の真空室を含み、イオン源領域には、イオン源アーク室、イオン源絶縁体、抽出電極、抑制電極、高圧絶縁体、イオン源ブッシュ及びイオン源ターボ分子ポンプを含む。
【0027】
本明細書において、「ビームライン」には、ビームライン真空室、加速器支柱、静電気ステアラーやレンズのような内部イオン光学構成要素、ビームラインターボ分子ポンプ及び真空排出ライン等の真空システム内部のイオン源領域及び他の構成部品を含む。
【0028】
本明細書において、「マイクロ電子デバイス」とは、マイクロエレクトロニクス、集積回路、又はコンピュータチップ用途に使用するために製造される半導体基板、フラットパネルディスプレイ、及びマイクロエレクトロメカニカルシステム(MEMS)をいう。「マイクロ電子デバイス」という用語は、限定的であることを決して意味せず、最終的にマイクロ電子デバイス又はマイクロエレクトロニクスアセンブリとなる任意の基板を含むことを理解すべきである。
【0029】
本明細書において、「残留物」とは、注入ガスの未使用部分(例えば、BF、PH、AsH、GeF等の一部分)、キャリヤガス残留物(例えば、フッ素、塩素、酸素、窒素、アルゴン等)、ならびにスパッタ/蒸着される室材料(例えば、タングステン、モリブデン及び/又はアルミニウム含有種)をいう。例えば、残留物としては、B、As、P、Ge、W、Mo及び/又はAlのような金属、B、As、P及び/又はGe種とW、Mo及び/又はAl種との化合物、ならびに構成材料の置換体が挙げられる。残留物は、導電性又は非導電性でもよい。残留物は、注入ガスの非ドーパント成分を含まないことが好ましい。
【0030】
反応性ハロゲン化物ガスは、例えばXeF蒸気を含んでもよい。XeFは室温で昇華するが、昇華速度を増すためにヒータを使用して加熱してもよい。XeFは、有効なケイ素エッチャントであることが知られており、またSiO及び他の誘電材料に対して極めて選択的であるので、マイクロエレクトロメカニカルシステム(MEMS)の装置処理のケイ素選択性エッチャントとして使用されてきた。詳しくは、XeFは、次の反応に従ってシリコンと反応する。
2XeF(g)+Si(S)→2Xe(g)+SiF(g) (1)
重要なことに、シリコン/XeF反応は、活性化、すなわち、プラズマ又は熱的な加熱、なしに行うことができる。
【0031】
本出願では、金属ホウ素用のエッチャントとしてのXeFの使用を開示する。定説に拘束されることは望まないが、ホウ素は、次の反応に従ってエッチングされると考えられる。
3XeF(g)+2B(s)→3Xe(g)+2BF(g) (2)
ヒ素、リン及びゲルマニウム用のエッチャントとしてのXeFの使用は、我々の知る限りでは報告されていないが、XeFは、同様に次の反応(3)−(5)に従って、これらの材料に有効なエッチャントであることが分かる。
5XeF(g)+2As(s)→5Xe(g)+2AsF(g) (3)
5XeF(g)+2P(S)→5Xe(g)+2PF(g) (4)
2XeF(g)+Ge(s)→2Xe(g)+GeF(g) (5)
シリコン/XeFの反応と同様に、ここに開示した反応は、エネルギ的活性化の有無にかかわらず行うことが可能である。
【0032】
重要なことに、本明細書において教示した方法および装置は、イオン注入装置の構成部品から残留物を少なくとも部分的に除去するために、かつイオン注入装置の構成部品を構成する材料、例えば、アルミニウム、タングステン、モリブデン等に対し残留物が選択的に除去されるように除去するために使用される。本明細書において「少なくとも部分的に除去する」とは、除去すべき残留物の少なくとも約25重量%、より好ましくは少なくとも約50重量%、より好ましくは少なくとも75重量%、最も好ましくは少なくとも約90重量%を除去することをいう。残留物除去及び/又はイオン注入装置の構成部品の除去の程度は、温度プログラムされた赤外分光法(TPIR)、フーリエ変換赤外分光法(FTIR)、電子常磁性分光法(EPM)、残留ガス分析(RGA)、質量分析、及びそれらの組み合わせを含むが、それらに限定されない関連技術で周知の解析技法を用いて決定することが可能である。
【0033】
真空室とビームラインに、これらの中でその場(in−situ)洗浄するために、気相反応性ハロゲン化物組成物、例えば、XeFを含む組成物を供給する複数の新規な方法を提案する。このような方法としては、滞留モード、連続モード、及び直接導入モードが挙げられる。以下では、XeF組成物を参照するが、XeF、XeF、SF、C、IF又はIF等のそれらに限定されない他の反応性ハロゲン化物組成物を使用してもよい。さらに、XeF又は代わりの反応性ハロゲン化物組成物は、XeF又は代わりの反応性ハロゲン化物を含むか、実質的にそれらからなるか、あるいはそれらからなっていてもよい。好ましくは、気相反応性ハロゲン化物組成物は、酸化種及び窒素含有種を含まないか、あるいは実質的にそれを含まず、ここで、窒素含有種は、O、F、及びBrからなる群から選択された少なくとも1つの追加元素を含む。または、気相反応性ハロゲン化物組成物は、水素及び/又は一酸化炭素のような還元種を含んでもよい。
【0034】
さらに、本明細書に記載した装置は、ロバートケイムらの名前でまた「高電圧イオン源への低圧ドーパントガスの供給」の表題による、その全体が参考として本出願に組み込まれている米国仮特許出願第60/712,648号明細書に記載されているように、接地電位のイオン源ユニットへのドーパントガスの供給を可能にする改良された低圧ドーパントガス供給装置を含んでもよい。
【0035】
滞留モードにおいて、XeF組成物が内部に配置されたエッチャント容器は、洗浄すべきイオン注入装置の室に連通して取り付けられ、エッチャント容器及び洗浄すべき室は、それらの間に配置されるバルブを有する。洗浄中、弁は手動開放又は遠隔開放することが可能であり、これによって、所定圧力が達成されるまで、XeF蒸気は洗浄すべき室を満たすことができる。昇華速度及び/又は昇華圧を高めるために、エッチャント容器を適度に加熱してもよい。
【0036】
より好ましい実施形態では、洗浄装置は、エッチャント容器と真空室との間に配置された十分な体積の別個の保持室を含む。最初に、XeFは所定圧力閾値に達するまで保持室内に流入され、その中に貯蔵される。このような保持室は、要求に応じて真空室への即時のガス流を可能にし、昇華による「待ち期間」を短縮するように機能する。室の内面上でのXeFの凝縮を回避しつつ、より高圧の貯蔵を可能にするために、保持室の壁を加熱してもよい。保持室は、真空室内へのXeFの再現可能な供給を達成するために、質量流量制御器のような流量調整装置をさらに備えることができる。
【0037】
真空室の所望の圧力が達成されると、真空室は密閉され、XeFは、真空室及びその中に収容された構成部品から残留物を少なくとも部分的に除去するのに十分な時間の間かつ十分な条件下で反応することが許容される。次に、真空室を排気し、必要に応じて洗浄処理を繰り返すことができる。排気した混合ガスは、化学的及び/又は物理的吸着床、焼却装置、ウェットスクラバ、又はそれらの組み合わせ等の、ただし、それらに限定されない、除去ユニットに導いてもよい。
【0038】
繰り返し洗浄の内圧、時間及びその数は、当業者によって容易に決定することができる。残留物洗浄の種類及び程度は、残留物除去の所望の結果をもたらす処理条件を確認するために、時間及び/又はXeF組成物の接触状態(温度、圧力、濃度及び分圧のような)を変更しつつ、実験的に決定することができる。例えば、真空室内のXeF組成物の圧力は、約0.3Torr〜4.0Torr、好ましくは約0.3Torr〜約0.7Torrであることが可能であり、また洗浄時間は、約1〜約4分であり、これを約2回〜約10回、繰り返してもよい。好ましくは、XeFの圧力は約0.35Torr、洗浄時間は約1分である。重要なことに、洗浄中の真空室内の圧力は、洗浄反応が進行すると圧力が徐々に増加するので、注意深く監視し、反応経過中に安定的に推移するようにすべきである。
【0039】
XeF及び他の反応副生成物の濃度を測定するために、洗浄処理の進行の監視にも役立つかもしれない残留ガスアナライザを使用してもよい。残留ガスアナライザ(RGA)は、図3に概略的に示したように、真空室に取り付けて、残留物除去反応の副生成物を監視するために使用してもよい。RGAは、200amu又は300amuアナライザ、最も好ましくは300amuアナライザであることが可能である。
【0040】
好ましくは、XeFガスは、エネルギー的活性化なしに発生されるが、活性化を行ってもよい。したがって、室温で有効な洗浄を実行することができるが、状況に応じて約0℃〜約1000℃の範囲の温度における洗浄が考えられる。好ましくは、滞留モードにおいて、温度は約0℃〜約50℃の範囲にある。
【0041】
重要なことに、プロセスパラメータは、反応性ハロゲン化物ガスが、真空室やビームライン構成部品の構成材料と本質的に非反応性となるように選択される。本明細書において「本質的に非反応性である」とは、反応性ハロゲン化物ガス全体の約5%未満、好ましくは約2%未満、最も好ましくは約1%未満が真空室やビームラインの構成部品とに反応することをいう。
【0042】
イオン源領域10を洗浄するための滞留モードの例が、図1に示されており、イオン源領域には、真空室100、アーク室16、加速度電極14、減速電極12、陰極18、対陰極20及びゲートバルブ110が含まれる。XeFを保持するエッチャント容器80は、専用の蒸気供給ライン90(図示)によってアーク室16に連通して接続するか、図1には図示していないが、エッチャント容器80を真空室100に連通して接続(すなわち、真空室100の外側に配置)してもよい。XeFガスをアーク室16に導入するために、バルブ84を手動で又は自動的に開放して、エッチャント容器80からアーク室16にXeFが流れることを可能にしてもよい。または、図1には図示していないが、80のようなエッチャント容器からのXeFを、専用のXeF入口ラインの代わりに、反応性ガス入口ライン(例えば、構成部品22)を介してアーク室に導入してもよい。XeF源の昇華は、ヒータワイヤ88、共形加熱ブランケット、ジャケット又はシュラウド、電気加熱テープ、加熱流体及び/又はガス、あるいはオーブン等の、ただし限定されない、ヒータを使用して、エッチャント容器80を加熱することによって補助できる。さらに、熱電対86等の、ただしそれに限定されない、温度測定装置を使用してもよい。エッチャント容器ハウジング82全体は、水冷却してもよい。図1に図示していないが、保持室は、エッチャント容器と真空室(すなわち、エッチャント容器80が真空室100の外側に配置される場合)又はアーク室との間に位置させてもよい。洗浄すべき室の内部からの残留物の少なくとも部分的な除去に続き、バルブ92が開放され、ポンプ96を使用して出口ライン94を介してガスが排気される。滞留モードの他の実施形態では、残留物はタングステン種を含まない。
【0043】
連続モードにおいては、洗浄ガス組成物が内部に配置されたエッチャント容器が、真空室に又はアーク室に直接的または間接的に連通して取り付けられ、また真空ポンプは、真空室又はアーク室を通して連続的なガス流があるように洗浄ガス及び反応生成物を引く。洗浄すべき室にXeFの安定した流れを供給するために、不活性キャリヤガスを、エッチャント容器のXeF組成物の上方に連続的に流れるようにしてもよい。キャリヤガスの流量、エッチャント容器の温度、及び洗浄時間は、当業者によって容易に決定される実験パラメータである。滞留モードと同様に、保持室を、エッチャント容器と洗浄すべき室との間に設けることが可能である。
【0044】
エッチャント容器がアーク室に連通して接続される連続モードの例が、図1に示されている。XeF組成物を保持するエッチャント容器40は、バルブ42を介してアーク室16に連通して接続される。代わりに、XeF蒸気を、汎用のガス入口ライン22を介して他の反応性ガス、ドーパントガス又は不活性ガスと共に導入してもよい。出口バルブ92、ポンプ96、及び出口ライン94は、真空室100からガスを引くために配置され、これによって、連続フローモードを実施する。不活性ガス容器44、バルブ46、バルブ42及びバルブ92が開放し、ポンプ96が動作しているとき、不活性ガスは、エッチャント容器40のXeF組成物の上方に連続的に流れ、混合ガスがアーク室16に導入される。ガスは、出口ライン94を介して室から出る。本明細書で考えられる不活性ガスとしては、アルゴン、窒素、キセノン及びヘリウムが挙げられるが、それらに限定されない。さらに別の方法においては、滞留モードに関し前述したように、ヒータを使用してエッチャント容器40を加熱することによる昇華補助を含む。その除去のために、イオン源がオン(すなわち、プラズマがアーク室で発生される)又はオフである間に、XeF混合気(又は純粋なXeF)をアーク室に連続的に流すことによって洗浄を行うことが可能である。アーク室又はアーク室の直接上流に配置するための代わりのプラズマ発生源を用いてもよい。イオン源は、連続モードの洗浄処理中にオンであることが好ましい。
【0045】
さらに、図1は、真空室100へのXeF組成物の導入を示している。本実施形態では、エッチャント容器60からのXeFは、専用の入口ラインを介して真空室100に連通して接続される。不活性ガス容器64、バルブ66、バルブ62及びバルブ92が開放し、ポンプ96が動作しているとき、不活性ガスは、エッチャント容器60のXeF組成物の上方に連続的に流れ、混合気が専用の入口ラインを介して真空室100に導入される。
【0046】
連続モードのなお他の実施形態では、エッチャントガス及びドーパントガスは、アーク室に同時に導入され、連続的なイオン注入及び洗浄処理を可能にする。洗浄ガスの量及び処理条件は、所望のドーパント種が損なわれないように調整されなければならないが、当業者によって容易に決定できる。
【0047】
連続モードのさらに別の実施形態では、ドーパントガス(すなわち、イオン注入中のBF又は他のドーパントガス)の連続的な流れと、真空室又はアーク室への洗浄ガスの連続的な流れとを交互に行うことによって、中間排気工程と共に、又は中間排気工程なしに、洗浄を実施してもよい。ドーパントガス及び洗浄ガスは、当業者によって容易に決定されるように、1回〜5回交互に繰り返してもよい。この交互ドーパントガス/洗浄ガス方法は、交互のドーパント種の現在のこの産業の実施状況に対して有利である。この理由は、洗浄スケジュールを処理スケジュールから切り離して、それと交互配置可能であり、より頻繁に洗浄を行うことができるからである。
【0048】
直接導入モードにおいては、例えばペレットの形態の予め測定された量のXeF組成物を有するエッチャント容器が、密閉された真空室100に導入される。XeFは真空室で完全に昇華し、イオン源領域の構成部品から残留物を少なくとも部分的に除去するのに十分な時間の間かつ十分な条件下で、XeFの反応が許容される。洗浄に必要なエッチャント量及び時間は、当業者によって容易に決定される。機械的な分配方法、すなわち、エッチャント容器は、当業者によって容易に設計される。洗浄すべき室の内部からの残留物の少なくとも部分的な除去に続いて、バルブ92が開放され、ポンプ96を使用して出口ライン94を介してガスが排気される。直接導入洗浄は、必要に応じて繰り返してもよい。
【0049】
本発明の他の実施形態では、反応性ハロゲン化物ガスは、例えば三フッ化窒素(NF)蒸気を含んでもよい。NFは、半導体産業においてプラズマエッチング用のフッ素源、例えば、CVD反応器のその場(in−situ)室洗浄、として使用される。他の用途としては、ポリシリコン、窒化ケイ素、タングステンシリサイド及びタングステンフィルムのエッチング等が挙げられる。詳しくは、NFは、プラズマ内でフッ素ラジカル及び/又はフッ化物イオンのような反応性ハロゲン化物種に解離し、次に、前記反応性ハロゲン化物種は除去すべき残留物と反応する。例えば、残留物がホウ素を含む場合、洗浄が次の反応に従って行われる。
3F(g)+2B(s)→2BF(g) (5)
【0050】
イオン源領域内におけるその場(in−situ)洗浄のために、NF化合物をイオン源領域に供給するための、直接解離性プラズマ構造を含む、複数の新規な方法を提案する。
【0051】
直接解離性プラズマ構造においては、NF源222がアーク室210に連通して接続され、バルブ220がそれらの間に配置される(図2参照)。図2から理解されるように、NF源は、反応性ガス、例えばBFの入口管218と連通して接続され、入口管は、他のイオン源ドーパント材料と同時にNFの導入を可能にする。しかし、例えば専用のNF入口ラインを介して、NFをアーク室に導入する他の手段を用いてもよい。洗浄中、NFはアーク室210に入り、フッ化物イオンが既存のプラズマ装置(例えば、フィラメント212、陰極214及び対陰極216)を使用して発生されるか、あるいはいくつかの追加の電子装置がアーク室210に配置される。著しい反応性を有するフッ化物イオンを希釈するために、不活性の希釈ガスをアーク室に加えることが好ましい。洗浄に必要なアーク室内へのNFの流量、希釈ガス量、室圧力及び時間のようなパラメータは、当業者によって容易に決定される。複数の圧力及び流量を利用してもよく、異なる圧力及び流量は、異なるプラズマ形態、及び、その結果生じる異なる濃度プロファイルを達成するために順次使用される。アーク室の異なる領域、すなわち、外側隅部等を洗浄するためには、異なるプロファイルが有用かもしれない。室の内部からの残留物の少なくとも部分的な除去に続き、ガスは、出口ラインを介して排気され、選択的に低減される。
【0052】
NFに加えて、直接解離性プラズマの導入モードを使用して導入するために考えられる別の洗浄ガスとしては、XeF、XeF、XeF、IF、IF、SF及びCが挙げられる。
【0053】
本発明の他の実施形態では、反応性ハロゲン化物ガスは、例えば、アドバンスドテクノロジーマテリアルズVACシリンダ(Advanced Technology Materials VAC cylinder)(ダンバリー、コネチカット、米国)から供給されるようなフッ素である。フッ素は極めて腐食性のガスであり、熱的又は電気的活性化により、又はそれなしに使用することができる。活性化することなく、フッ素ガスは真空室に直接収容でき、この場合、残留物を少なくとも部分的に除去するのに十分な時間、十分な条件下で、ガスの自然の反応が許容される。さらなる活性化が必要な場合、構成部品を高温に加熱するか又は高温に維持してもよく、また残留物を少なくとも部分的に除去するのに十分な時間ガスの反応が許容される。
代わりの方法では、さらにフッ素活性化を誘発するために、プラズマを(前述したように)アーク室内で発生してもよい。
【0054】
本明細書に記述した実施形態は、新たに製造するイオン注入ツールに直接加えることも可能であるし、あるいは代替実施形態では、すでに使用している注入装置に、本明細書に記載した洗浄システムを後装着することが可能である。
【0055】
別の実施形態では、エッチャントガスは、注入種、例えば三フッ化ホウ素、と混合可能であり、この結果、エッチング及び注入は同時に行われることが可能であり、このことは、中断時間の最小化及び高価な追加供給システムの省略の観点で費用効率的である。このように、本発明の他の実施形態は、好ましくは注入種とエッチャントガスとの混合物を使用して、同時に真空室及び/又はビームラインをエッチング又は洗浄しつつ、注入種を注入する方法に関する。
【0056】
本発明の利点は、イオン注入システムの真空室及びビームラインにおける望ましくない残留物の選択的な洗浄、プラズマ誘導ラジカルを使用することなく残留物を洗浄し、これによって、真空室及びビームラインの構成部品に対する損傷を最小にできること、及び室温における有効な洗浄を含むが、それらに限定されない。本明細書で紹介した方法を用いる真空室及びビームラインからの残留物の除去により、イオン源故障及び抽出アーキングを低減し、これによって、イオン注入装置のより安定した動作がもたらされる。さらに、イオン源の寿命及びMTBFが増大され、予防的な維持コスト及び時間が減少する。
【0057】
真空室及びビームラインのその場(in−situ)洗浄は、1週間当たり約1〜2回実行すべきであるが、洗浄の頻度は、イオン注入装置の使用頻度に応じて、変更できる。典型的に、洗浄操作全体の時間は約1時間であるが、洗浄時間は長多くても短かくてもよい。
【0058】
本明細書に記載した任意の洗浄操作を実行するために、イオン源は(前述の処理に示したように)オンのままであるか又はオフにされ、またイオン源分離バルブは、エッチャントガス(又は直接導入モードのエッチャント容器)の導入の前に閉じられるか(滞留又は連続処理の場合)、あるいは開放される(連続処理の場合)。残留物の除去に続き、通常のイオン注入装置の操作を再開してもよい。
【0059】
本発明のさらに別の実施形態では、気相を使用したイオン源領域の構成部品のオフライン(ex−situ)洗浄を開示する。本実施形態では、イオン注入装置の壊れやすい任意の部分の構成部品(例えば、黒鉛を含有する構成部品)をオフライン洗浄し、これによって、厳しい研磨材又は液体のような従来のオフラインクリーナへの露出が排除される。気相材料を使用するオフライン洗浄は、関連技術の進歩である。その理由は、研磨材が繊細な構成部品に損傷を与えることがあり、また洗浄中に繊細な構成部品の細孔に入る液体を、真空室のポンプ停止中に細孔からポンプ排出しなければならないからである。
【0060】
本実施形態では、イオン源又は他の任意の電源がオフにされ、関連の分離バルブが閉じられ、またイオン源又は他の真空室は大気圧に通気される。洗浄すべき構成部品のイオン源領域からの分離の前に、イオン源領域が室温に冷却されることが好ましい。構成部品は、注入装置から取り除かれ、簡単なポンプシステムとバルブとを有する別個のオフライン真空室に配置される。または、構成部品は、前記ex−situ洗浄のために変更された超臨界流体容器のような他のある高圧容器内に配置してもよい。構成部品から残留物を少なくとも部分的に除去するのに十分な時間かつ十分な条件下で、エッチャントガス、例えばXeF、が本明細書の教示に従ってオフライン真空室に導入される。各々の洗浄工程に続いて、有毒な副生成物が、前述したように、低減ユニットにポンプで任意に取り除かれ、適切に有毒蒸気を廃棄処理する。好ましくは、オフライン真空室は、例えば工場内の10〜12を超える多数のイオン注入装置に適用可能な独立型ユニットである。
【0061】
さらに別の実施形態では、本発明は、低温ポンプのその場(in−situ)洗浄に関する。
【0062】
本明細書において、「蓄積された処理排出物」とは、窒素をパージガスとして使用する従来のクライオポンプパージ処理では除去不可能な種である。例えば、蓄積された処理排出物は、クライオポンプが周囲温度に加熱される間に化学変化した種である。また、蓄積された処理排出物は、クライオポンプの金属製部分に付着した種に対応するかもしれない。
【0063】
窒素は、クライオポンプパージ処理に従来用いられるガスの1つであり、この場合、クライオポンプの温度は10−14Kから周囲温度に上昇され、また低温吸着された種は、パージガスと共に排気システムに運び去られる。本発明では、窒素パージガスの一部分を、反応性ガスで置き換えて、クライオポンプ内に蓄積された処理排出物の形成を除去又は阻止することができる。ここで、反応性ガスとしては、酸素、オゾン、窒素酸化物、酸素ラジカルを発生する他の種、及びそれらの組み合わせが挙げられるが、それらに限定されない。
【0064】
1種類又は複数種類からなるパージガスは、次の群から選択されるプロセスを利用してクライオポンプに導入される:(i)n回繰り返される、x分の間100%の(「実質的に純粋な」)窒素と、これに引き続くy分の間100%の(「実質的に純粋な」)反応性ガス、ここで、nは1〜10の任意の整数、[n*(x+y)]は、このパージ処理の累積長さに等しい、(ii)時間ゼロにおいて100%の(「実質的に純粋な」)窒素、及び、このクライオポンプのパージ処理の終了時において100%の(「実質的に純粋な」)反応性ガス、ここで、時間ゼロからこのサイクルのパージの終了まで経時的に、連続的に又は段階的に(寸法は等しいか又は等しくない)窒素の割合は減少しまた反応性ガスの割合は増加し、(iii)時間ゼロにおいって100%の(「実質的に純粋な」)窒素、及び、このクライオポンプのパージ処理の終了時において100%未満の反応性ガス、この場合、時間ゼロからこのサイクルのパージの終了まで経時的にに、連続的に又は段階的に(寸法は等しいか又は等しくない)窒素の割合は減少しまた反応性ガスの割合は増加し、(iv)パージ処理を通じて連続的な(100−z)%の窒素とz%の反応性ガス、(v)これらの変形及びその組み合わせ。「x」は、約10分〜約120分、好ましくは約10分〜約20分の範囲にあり、「y」は、約10分〜約120分、好ましくは約10分〜約20分の範囲にあり、また「z」は約0.01%〜約99.99%の範囲にあることが好ましい。
【0065】
本明細書において、「実質的に純粋」とは、5体積%未満、好ましくは2体積%未満、より好ましくは1体積%未満、最も好ましくは0.5体積%未満の汚染種を含有するガスをいう。当業者は、汚染種が反応性ならびに非反応性ガスを含み得ることを理解すべきである。
【0066】
前述の1種類又は複数種類からなるパージガスの供給方法の選択肢((i)−(v))は、クライオポンプを周囲温度まで暖気の間、周囲温度の達成の後(すなわち、100%の(「実質的に純粋な」)窒素を使用してクライオポンプの温度が上昇され、続いて前述のパージガス供給方法の選択肢の1つ以上が適用される)、又は、その両方に適用可能である。したがって、本発明において、時間ゼロとは、ポンプがこれ以上極低温に冷却されない時点、あるいはポンプが周囲温度を達成する時点、あるいは蓄積された処理排出物が最も効率的に除去されることができる他のある時点等、所望のその場(in−situ)洗浄に対して当業者によって容易に決定される。
【0067】
重要なことに、窒素パージガスの少なくとも一部分を反応性パージガスに置き換えることにより、クライオポンプに蓄積された処理排出物の集積を低減し、これにより、クライオポンプ保守の頻度を低減又は排除する利点を有し、これに付随して装置中断時間及び所有コストを減少させる。さらに、クライオポンプのコールドヘッドの酸性レベルは、1種類又は複数種類からなる反応性ガスを使用する結果、低下する可能性がある。
【0068】
本発明の特徴および利点は、以下に説明する例示的な実施例によってより詳細に示される。
【0069】
[実施例1]
ガラス顕微鏡スライド上へのアルミニウム、ホウ素、タングステン及びシリコンの電子ビーム蒸着を使用して、試験サンプルを準備した。アルミニウムは、ガラススライド上の底部層バリヤとして使用された。いくつかのサンプルは保護シリコン層でキャップし、他のサンプルはキャップされず、酸化可能であった。試験サンプルをex−situXeF反応器内に順次配置し、室温で300〜400mTorrの圧力で、16回の1分パルスエッチングサイクルでエッチングした。
【0070】
図4は、RGAによって決定される、500nmのホウ素が蒸着された500nmのアルミニウム基層を有するガラススライドからのホウ素の除去を示している。シリコンキャップ層がなかったため、ホウ素は、エッチングの前に酸化物層を潜在的に形成できたと考えられる。XeFエッチング処理により、ホウ素の大部分が約4サイクルで除去され、非反応性XeFが付随して増加し、これは、ホウ素除去が低下しているか又は完全に終わっていたことを示している。重要なことに、図4は、エッチングの前に酸化物層がホウ素層に形成されていたとしても、本明細書に教示したXeFシステム及び方法を使用して、ホウ素層が容易に除去されたことを示している。
【0071】
図5は、RGAによって決定される、150nmのタングステンが蒸着された500nmのアルミニウム基層を有するガラススライドからのタングステンの除去を示している。シリコンキャップ層がなく、したがって、タングステンは、エッチングの前に酸化物層を潜在的に形成できたと考えられる。何らのタングステン化合物もRGAによって観測されなかったが、XeFの存在は顕著であった。これは、タングステン除去が行われていなかったことを示している。重要なことに、図4と図5は、本明細書に教示したシステム及び方法が、イオン注入装置の構成材料、例えば、タングステン及びアルミニウムと本質的に非反応性でありつつ、イオン注入残留物、例えば、ホウ素を選択的に除去することを示している。
【0072】
様々な特定の実施形態を参照して、本発明について説明してきたが、当業者によって認識されるように、本発明はこのように限定されず、他の種々の修正及び実施形態に敷衍されかつそれらを包括することが認識されるであろう。したがって、本発明は、後続する特許請求の範囲に従って、広範に解釈かつ説明されるように意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体製造ツール、少なくとも1つの構成部品、又はそれらの組み合わせからなる真空室を洗浄する方法であって、
(a)エッチャント容器から前記真空室にエッチャントガスを導入する工程と、
(b)前記真空室内の所定圧力の達成時に、前記真空室への前記エッチャントガスの導入を終了する工程と、
(c)前記真空室、その中に収容された少なくとも1つの構成部品、又はそれらの組み合わせの内部から残留物を少なくとも部分的に除去するのに十分な時間、前記エッチャントガスと前記真空室内の前記残留物とを反応させる工程と、
を含み、
前記エッチャントガスが、前記真空室、その中に収容された前記構成部品、又はそれらの組み合わせの内部と本質的に非反応性でありつつ、前記真空室内の前記残留物、その中に収容された前記構成部品上の前記残留物、又はそれらの組み合わせと選択的に反応するように選択される方法。
【請求項2】
前記半導体製造ツールが、イオン注入装置である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも1つの構成部品が、前記イオン注入装置のイオン源領域の構成部品である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも1つの構成部品が、前記イオン注入装置のビームラインの構成部品である、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記少なくとも1つの構成部品が、前記真空室と連通して配置され、かつ、前記真空室をポンピングするために使用されるターボ分子ポンプである、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記エッチャントガスが、XeF、XeF、XeF、IF、IF、SF、C及びFからなる群から選択されたガスを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記エッチャントガスが、XeFを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記残留物が、ホウ素、リン、ゲルマニウム、モリブデン、タングステン、アルミニウム、及びヒ素からなる群から選択された元素を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記所定圧力が、大気圧未満である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記所定圧力が、約0.3Torr〜約4.0Torrである、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記イオン源領域のイオン源が、傍熱型陰極源、フリーマン源及びベルナス源からなる群から選択された源を有する、請求項3に記載の方法。
【請求項12】
前記時間が、約0.5分〜約5分である、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
(d)前記反応させる工程の完了に続き、前記真空室を排気する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
(a)〜(d)を少なくとも1回繰り返すことをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記エッチャント容器が、エッチャント材料を含み、かつ、前記エッチャント容器が、前記エッチャント材料の前記エッチャントガスへの物理的変換速度を増すために、ヒータによって加熱される、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記ヒータが、オーブン、共形加熱ブランケット、電気加熱テープ、加熱流体及び/又はガス、及びヒータワイヤからなる群から選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記エッチャントガスを前記真空室に搬送するために、不活性ガスがエッチャント容器に導入される、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記不活性ガスが、アルゴン、窒素、キセノン及びヘリウムからなる群から選択されたガスを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記エッチャント容器が、前記真空室に配置されるか、又は前記真空室の上流に配置される、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記エッチャント容器が、前記真空室に前記エッチャントガスを発生するために予め測定した量のエッチャント材料を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記エッチャント材料が、固体又は液体である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記エッチャント材料が、ペレット化されたXeFである、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記エッチャントガスと前記残留物との反応が、エネルギ的活性化なしに実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
前記残留物内の元素の濃度が、温度プログラムされた赤外分光法(TPIR)、フーリエ変換赤外分光法(FTIR)、電子常磁性分光法(EPM)、残留ガス分析(RGA)、質量分析、及びそれらの組み合わせからなる群から選択された解析技法によって決定される、請求項8に記載の方法。
【請求項25】
前記エッチャントガスが、酸化種及び窒素含有種を含まず、前記窒素含有種が、O、F、及びBrからなる群から選択された少なくとも1つの追加元素を含むものである、請求項1に記載の方法。
【請求項26】
半導体製造ツール、少なくとも1つの内部構成部品、又はそれらの組み合わせからなる真空室を洗浄する方法であって、
(a)エッチャント容器から前記真空室にエッチャント材料を導入する工程と、
(b)所定圧力の達成時に、前記真空室への前記エッチャントガスの導入を終了する工程と、
(c)前記真空室に配置されたプラズマ源を使用して、前記真空室内で前記エッチャント材料を反応性ハロゲン化物種に解離する工程と、
(d)前記真空室、前記少なくとも1つの内部構成部品、又はそれらの組み合わせから残留物を少なくとも部分的に除去するのに十分な時間、前記反応性ハロゲン化物種と前記真空室内の前記残留物とを反応させる工程と、を含む方法。
【請求項27】
前記エッチャント材料が、XeF、XeF、XeF、NF、IF、IF、SF、C及びFからなる群から選択された材料を含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記エッチャント材料を解離するのに先立って、不活性ガス源から前記真空室に不活性ガスを導入する工程をさらに含む、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
半導体製造ツール、少なくとも1つの内部構成部品、又はそれらの組み合わせからなる真空室を洗浄する装置であって、
(a)内部にエッチャント材料が配置されたエッチャント材料源であって、前記真空室に連通して接続され、かつ前記真空室の上流に配置されるエッチャント材料源と、
(b)前記エッチャント材料源と前記真空室との間のバルブと、
を有し、
前記装置が、次の構成部品(I)及び(II)の少なくとも一方を有することをさらに特徴とする装置:、
(I)前記エッチャント材料源を加熱するためのヒータ、及び
(II)内部に不活性ガスが配置された不活性ガス源であって、前記エッチャント材料源に連通して接続され、かつ前記エッチャント材料源の上流に配置される不活性ガス源。
【請求項30】
前記エッチャント材料が、XeF、XeF、XeF、IF、IF、SF、C及びFからなる群から選択された化合物を含む、請求項29に記載の装置。
【請求項31】
前記少なくとも1つの構成部品が、前記イオン注入装置のイオン源であり、前記イオン源が、傍熱型陰極源、フリーマン源及びベルナス源からなる群から選択される、請求項29に記載の装置。
【請求項32】
前記ヒータが、オーブン、共形加熱ブランケット、電気加熱テープ、加熱流体及び/又はガス、及びヒータワイヤからなる群から選択される、請求項29に記載の装置。
【請求項33】
前記不活性ガスが、窒素、アルゴン、キセノン、又はヘリウムを含む、請求項29に記載の装置。
【請求項34】
前記少なくとも1つの構成部品が、イオン注入装置のビームラインの構成部品である、請求項29に記載の装置。
【請求項35】
前記少なくとも1つの構成部品が、前記真空室と連通して配置されかつ前記真空室をポンピングするために使用されるターボ分子ポンプである、請求項29に記載の装置。
【請求項36】
前記エッチャント材料が酸化種及び窒素含有種を含まず、前記窒素含有種が、O、F、及びBrからなる群から選択された少なくとも1つの追加元素を含むものである、請求項29に記載の装置。
【請求項37】
半導体製造ツールの少なくとも1つの構成部品をex−situ洗浄する方法であって、
(a)前記構成部品をex−situ真空室に配置する工程と、
(b)エッチャント容器から前記ex−situ真空室にエッチャントガスを導入する工程と、
(c)前記真空室内の所定圧力の達成時に、前記真空室への前記エッチャントガスの導入を終了する工程と、
(d)前記真空室に収容された前記少なくとも1つの構成部品から残留物を少なくとも部分的に除去するのに十分な時間、前記エッチャントガスと前記真空室内の前記残留物とを反応させる工程と、
を含み、
前記エッチャントガスが、前記真空室及び前記構成部品材料それ自体の内部と実質的に非反応性でありつつ、前記少なくとも1つの構成部品上の前記残留物と選択的に反応するように選択される方法。
【請求項38】
前記半導体製造ツールが、イオン注入装置である、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記少なくとも1つの構成部品が、イオン源領域を構成するものである、請求項37に記載の方法。
【請求項40】
前記少なくとも1つの構成部品が、前記イオン注入装置のビームラインを構成するものである、請求項38に記載の方法。
【請求項41】
前記エッチャントガスが、XeF、XeF、XeF、NF、IF、IF、SF、C及びFからなる群から選択されたガスを含む、請求項37に記載の方法。
【請求項42】
前記エッチャントガスが、XeFを含む、請求項37に記載の方法。
【請求項43】
前記残留物が、ホウ素、リン、ゲルマニウム、モリブデン、タングステン、アルミニウム、及びヒ素からなる群から選択された元素を含む、請求項37に記載の方法。
【請求項44】
前記所定圧力が、大気圧未満である、請求項37に記載の方法。
【請求項45】
前記所定圧力が、約0.3Torr〜約4.0Torrである、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記少なくとも1つの構成部品が、傍熱型陰極源、フリーマン源及びベルナス源からなる群から選択されたイオン源を有する、請求項37に記載の方法。
【請求項47】
前記時間が、約0.5分〜約5分である、請求項37に記載の方法。
【請求項48】
(e)前記反応の完了に続き、前記真空室を排気する工程をさらに含む、請求項37に記載の方法。
【請求項49】
(b)〜(e)を少なくとも1回繰り返すことをさらに含む、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
半導体製造ツール、少なくとも1つの構成部品、又はそれらの組み合わせからなる真空室を洗浄する方法であって、
(a)エッチャント容器から前記真空室にエッチャントガスを導入する工程と、
(b)前記真空室を通して前記エッチャントガスの連続的な流れを実施するために、真空ポンプを使用して前記真空室から複数のガス種を引く工程と、
(c)前記真空室及び/又は前記真空室に収容された少なくとも1つの構成部品から前記残留物を少なくとも部分的に除去するために、前記エッチャントガスと前記残留物とを反応させるのに十分な時間、前記真空室を通して前記エッチャントガスを流す工程と、を含み、
前記エッチャントガスが、XeF、XeF、XeF、IF、IF、SF、C及びFからなる群から選択されたガスを含み、また前記エッチャントガスが、前記真空室又は前記真空室に収容された前記構成部品の内部と実質的に非反応性でありつつ、前記真空室内の前記残留物と選択的に反応するように選択される方法。
【請求項51】
前記半導体製造ツールが、イオン注入装置である、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記真空室が、イオン源領域を有する、請求項50に記載の方法。
【請求項53】
前記真空室が、ビームラインの真空室を有する、請求項50に記載の方法。
【請求項54】
ドーパント源から前記真空室にドーパントガスを流して、前記真空室のイオン注入を実施する工程をさらに含む、請求項50に記載の方法。
【請求項55】
(a)〜(d)を少なくとも1回繰り返すことをさらに含む、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
エネルギー源を使用して、前記真空室で前記エッチャントガスを反応性ハロゲン化物種に解離する工程をさらに含む、請求項50に記載の方法。
【請求項57】
前記反応性ハロゲン化物種が、前記残留物と反応して、前記真空室から前記残留物を少なくとも部分的に除去する、請求項50に記載の方法。
【請求項58】
前記残留物が、ホウ素、リン、ゲルマニウム、モリブデン、タングステン、アルミニウム、及びヒ素からなる群から選択された元素を含む、請求項50に記載の方法。
【請求項59】
前記エネルギー源が、プラズマ発生器を有する、請求項56に記載の方法。
【請求項60】
前記プラズマ発生器が、傍熱型陰極源、フリーマン源及びベルナス源からなる群から選択されたイオン源を有する、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
前記エネルギー源が、前記真空室内又は前記真空室の直接上流に配置される、請求項56に記載の方法。
【請求項62】
前記エッチャントガスと前記残留物との反応が、エネルギー的活性化なしに実施される、請求項50に記載の方法。
【請求項63】
前記エッチャントガスが、アルゴン、窒素、キセノン及びヘリウムからなる群から選択された不活性種をさらに含む、請求項50に記載の方法。
【請求項64】
前記エッチャントガスが、XeFを含む、請求項50に記載の方法。
【請求項65】
前記残留物内の元素の濃度が、温度プログラムされた赤外分光法(TPIR)、フーリエ変換赤外分光法(FTIR)、電子常磁性分光法(EPM)、残留ガス分析(RGA)、質量分析、及びそれらの組み合わせからなる群から選択された解析技法によって決定される、請求項50に記載の方法。
【請求項66】
前記エッチャントガスが、酸化種及び窒素含有種を含まず、前記窒素含有種が、O、F、及びBrからなる群から選択された少なくとも1つの追加元素を含むものである、請求項50に記載の方法。
【請求項67】
蓄積した処理排出物をクライオポンプの内部から洗浄する方法であって、前記方法が、少なくとも2つのパージガスで前記クライオポンプをパージする工程を含み、前記パージガスが、窒素と、酸素、オゾン、窒素酸化物、酸素ラジカルをその場(in−situ)発生する種、及びそれらの組み合わせからなる群から選択された少なくとも1つの反応性ガスとを含み、
前記方法が、次のパージ処理工程(I)、(II)、及び(III)の少なくとも1つを含むことを特徴とし:
(I)(a)時間xの間、実質的に純粋な窒素でパージし、そして
(b)時間yの間、実質的に純粋である少なくとも1つの反応性ガスでパージする工程、
(II)(a)時間ゼロに、実質的に純粋な窒素でパージし、
(b)前記実質的に純粋な窒素と、少なくとも1つの反応性ガスとを混合する工程であって、前記窒素及び前記少なくとも1つの反応性ガスがもはや実質的に純粋でない工程、
(III)(a)窒素と少なくとも1つの反応性ガスとの混合気でパージする工程、
前記蓄積された処理排出物が、前記クライオポンプの内部から実質的に除去される方法。
【請求項68】
前記反応性ガスが、酸素を含む、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
前記クライオポンプが、暖機中にパージされる、請求項67に記載の方法。
【請求項70】
前記クライオポンプが、周囲温度でパージされる、請求項67に記載の方法。
【請求項71】
前記蓄積された処理排出物が、クライオポンプの暖機中に生成された不揮発性種を含む、請求項67に記載の方法。
【請求項72】
(a)と(b)を少なくとも1回繰り返すことをさらに含む工程(I)を含む、請求項67に記載の方法。
【請求項73】
前記混合が、連続的な工程、等価の工程、及び非等価の工程からなる群から選択された工程を含む工程(II)を含む、請求項67に記載の方法。
【請求項74】
前記窒素量が、少なくとも1つの反応性ガスの量未満である工程(II)を含む、請求項67に記載の方法。

【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−55328(P2013−55328A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−161702(P2012−161702)
【出願日】平成24年7月20日(2012.7.20)
【分割の表示】特願2007−539016(P2007−539016)の分割
【原出願日】平成17年10月21日(2005.10.21)
【出願人】(599006351)アドバンスド テクノロジー マテリアルズ,インコーポレイテッド (141)
【Fターム(参考)】