説明

イミダゾロン誘導体、その調製方法およびその生物学的使用

本発明は、式(I)[式中、R=H、C1−C5アルキル、アリールまたは5または6元素を有するヘテロ環基;Ar=置換されてもよいアリールまたは芳香族ヘテロ環;R=R−S−、R−HN、RCOHNまたはArであり、R=C−Cアルキル基、ビニルまたはC1−C5アルキル−ビニル、ニトリルまたはC1−C5アルキル−ニトリル、アリール、置換されてもよいベンジル;R3=上記の定義のとおり;およびAr=置換または無置換アリールである]を有するイミダゾロン誘導体およびその薬物としての使用に関する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の主題はイミダゾロン誘導体である。本発明はまたその調製方法に関する。
【0002】
本発明はまた、これらの誘導体のキナーゼ阻害剤としての生物学的使用、取分け神経変性疾患(特に、アルツハイマー病、ピック病および21トリソミー)の治療のための使用に関する。
【背景技術】
【0003】
大多数のヒトの病的状態には、特定のプロテインキナーゼの調節異常としばしば関連するリン酸化異常が関与している。
【0004】
従って、これらのキナーゼに対する有効な阻害剤についての研究は、この過去数年、非常に活発であった。
【0005】
キナーゼ類、CDK類、CSK−3およびCK1に関する長い経験を支持基盤として用いて、本発明者らはDYRK1Aキナーゼ(二重特異性チロシン−リン酸化調節キナーゼ1A)に対して選択的な阻害剤の製造に焦点を絞ってきた。
【0006】
それは、そのチロシン321上で自己リン酸化し(それによって活性化する)、セリンとトレオニン残基をリン酸化する酵素である。
【0007】
DYRK1Aプロテインキナーゼ遺伝子は、21番染色体の極めて特異的な領域である「ダウン症候群の臨界領域」に位置しており、三染色体性(トリソミー)表現型に関与する約20種の遺伝子をカバーする。多くの議論は、穏当な(×1.5)DYRK1Aの過剰発現であってさえ、21トリソミーに際して観察される脳の異常成長に必然的に寄与するという仮説を支持する。さらに、DYRK1Aはアルツハイマー病にも大いに関与しているようである(このものは21トリソミーに罹患する個体に、系統的に、また約40歳過ぎの早期に現れる)(Kimura R, et al., 2006)。DYRK1A遺伝子は21番染色体ダウン症候群の臨界領域にコードされ、アルツハイマー病において、ベータ−アミロイド産生とタウ−リン酸化の間で橋渡しする(非特許文献1)。構成的Dyrk1Aは、アルツハイマー病、ダウン症候群、ピック病、および関連する遺伝子導入モデルにおいて異常発現させられる(非特許文献2)。
【0008】
DYRK1A阻害剤は、GSK−3の結晶構造に基づく、DYRK1Aの構造モデルについてのコンピュータシミュレーションによるバーチャルスクリーニングにより探索されてきた(非特許文献3)。この研究法では、選択された182種の化合物の中、11種の分子のみが阻害活性を示し、そのIC50は2.5〜50μMの範囲であった。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】フェリエル・アイ(Ferrer I)ら著、「Hum Mol Genet」、2005年、第16巻、p.15-23
【非特許文献2】「Neurobiol Dis.」、第20巻、p.392-400
【非特許文献3】キム(Kim)ら著、「Bioorg. Med. Chem. Lett.」、2006年7月15日、第16(14)巻p.3712-6
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
DYRK1Aキナーゼの薬理学的阻害剤を探索し、最適化し、そして特徴付けるための本発明者らによる研究は、ロイセタミンB(leucettamine B)の誘導体または類似体に相当するイミダゾロン誘導体が、この点で、DYRK1Aキナーゼの強力な選択的薬理学的阻害剤を構成するという発見につながった。以下、「化合物」という用語は、全体としてこれらの誘導体および類似体を示すためにも使用されることになる。
【0011】
ロイセタミンBは海綿ロイセッタ・ミクロラフィス(Leucetta microraphis)から抽出された海洋アルカロイドであり、式(A)で示される:
【0012】
【化1】

【0013】
研究開発により、本発明者らは、DYRK1Aに関して非常に興味のある阻害特性を有する一連の化合物であって、IC50値が殆どの場合に50μM未満、さらには10μM未満、またはさらには1μMである化合物を得るための合成経路を確立するに至った。
【0014】
従って、本発明はロイセタミンBの類似体および誘導体を構成するイミダゾロン誘導体の医薬としての使用に関する。
【0015】
本発明はまた、これらの化合物の調製方法に関する。
【0016】
本発明はまた、新規なイミダゾロン誘導体に相当する化合物、およびその医薬の有効成分としての使用に関する。
【0017】
従って、第一の態様によると、本発明は、神経変性疾患治療用の医薬を製造するための、式(I)に相当するイミダゾロン誘導体の使用に関する:
【0018】
【化2】

【0019】
[式中、
・Rは、H、線状(linear)もしくは分枝の、置換されてもよいC−Cのアルキル基;アリール基、または5員もしくは6員のヘテロ環基を表わし、該アリール基およびヘテロ環基は1個以上の置換基を含有していてもよく、該置換基は同一または異なっていてもよく、いずれの位置を占有してもよい;
・Arは、1つ以上の置換基を有してもよいアリール基を表し、2つの隣接する置換基は5員または6員環を形成することが可能であり、該環は、適切な場合、置換されるか;または1つ以上の置換基を有してもよく、かつ/または5員もしくは6員の芳香環と縮合させられた、芳香族へテロ環を表し、ヘテロ原子はN、SおよびOから選択される;
・Rは、R−S−、R−HN−、RCOHNまたはArを表わし、
− R=線状、分枝もしくは環状のC−Cアルキル基;ビニルもしくはビニル(C−C)アルキル基、ニトリルもしくはニトリル(C−C)アルキル基、またはアリールもしくはベンジル基であり;当該基は、1つ異常の炭素原子上で1つ以上の基により置換されてもよく、この基は、同一または異なってよく、任意の位置を占有し、2つの隣接する置換基は5員または6員環を形成することが可能であり、この環は、適切な場合、置換される;
− R=上記の定義およびHを表わしてもよい;
− Arは、置換または無置換のアリール基を表し、2つの隣接する置換基は5員または6員環を形成することが可能であり、該環は置換されていてもよい]。
【0020】
本発明はまた、上記誘導体のラセミ体に関し、および個々に取得されたそのエナンチオマー体にも関する。
【0021】
実施例により説明されるように、上記の誘導体は、より詳しくは、DYRK1Aキナーゼの選択的阻害剤を構成し、そのIC50値が5μM未満、またはさらには1μM未満であり、特に有益な誘導体ではそのIC50値が、0.1μM未満である。
【0022】
上記式(I)において、「アリール」はフェニルまたはナフチルを表わし、「ヘテロ環」はN、Oおよび/またはSをヘテロ原子として有する5員もしくは6員環を表わす。R、Ar、ArおよびRの置換基は、OH、OZ、COH、COZ、COOH、COOZ、NH、NHalk.、N(alk.)、NHCOOH、NHCOOZ(Zは、線状もしくは分枝のC−Cアルキル、アリール、ベンジル、置換ベンジルもしくはアリール、またはベンゾジオキソリル基を表わす)、1つ以上のハロゲンおよび/またはCCl基から選択され、alk.はC−Cアルキル基を表わす。
【0023】
さらに詳しくは、本発明は、医薬として使用するための、5μM未満のIC50を有する、上記式(I)に相当するイミダゾロン誘導体に関し、式中:
− RはC−Cアルキル基または水素原子、および/またはアリール基を表わす;
− Arは以下から選択される:
【0024】
【化3】

【0025】
− Rは以下を表わす:
・R−S−基;Rは、T−(CHタイプの基から選ばれ、n=0、1、2または3であり、Tは、以下の基:メチル、ビニル、アルキル、アルキニル、ニトリル、シクロアルキル(CまたはCであり得る)、Z−O、Z−CO、halの1つを表し、Z=C−Cアルキルであり、halはF、Cl、BrまたはIまたはCCl基を表す;
または
・R−NH−基;Rは、T−(CHタイプの基から選ばれ、n=0、1または2であり、Tは、以下の基:メチル、ビニル、ZO、ZO−CONH−、−CH−(OZ)、ZCO、NH、Cシクロアルキル、アリールまたは置換アリールの1つを表し、Z=Hまたは線状または分枝のC−Cアルキルであり、またはR=Hである;
または
・R−CONH−基;Rは分枝C−Cアルキル基である;
または
・R=Ar;Arは、フェニル、置換フェニルまたはベンゾジオキソリル基から選択される。
【0026】
好ましくは、本発明は、医薬として使用するための、1μM未満のIC50を有する、上記式(I)に相当するイミダゾロン誘導体に関し、式中:
− Rは、HまたはCHを表わす;
− Arは以下の基を表わす:
【0027】
【化4】

【0028】
− Rは以下を表わす:
・R−S−基;RはT−(CHタイプの基から選ばれ、T=メチル、アルキニル、ニトリル、hal、CHO、シクロプロピルまたはシクロブチル基であり、n=0、1、2または3;「hal」はハロゲン原子またはCCl基を表わす;
または
・R−HN−基;RはT−(CHタイプの基から選ばれ、T=Cアルキル、OH、シクロプロピル、フェニル、またはOH、OCH、COOHとOH、CHOH、C(CH、OH)、CH−CHOH、CH−COOHにより置換されたフェニルまたはベンゾジオキソリル;またはR=H;n=0、1または2;
または
・パラ−ヒドロキシフェニルまたはベンゾジオキソリル基から選択されるAr基。
【0029】
式(I)のイミダゾロン誘導体の好適な一群において、
・Rは、RS、RHN、またはArを表わす;
・RはHまたは線状もしくは分枝のC−Cアルキル基を表わす;
・RはHまたは線状もしくは分枝のC−Cアルキル基を表し、適切な場合には、1つ以上のOH、C−Cアルコキシ、(CH−OHまたは(CH−COOH基により置換され;または環状基を表し、適切な場合には、−(CH−シクロアルキルタイプのものであり、該シクロアルキル基は3員ないし5員であり、n=1〜5である;該環状基は、適切な場合、C−Cアルキルにより置換されるか;または(C−C)アルキレンニトリル;(C−C)アルキレンビニル;またはC−Cアルキニル基を表わす;
・Rは線状もしくは分枝のC−Cアルキル基を表し、適切な場合には、1つ以上のC−Cアルコキシ、OH、またはCOOH基により置換されるか;または環状基を表し、適切な場合には、−(CH−シクロアルキルタイプのものであるか;またはフェニル基を表し、適切な場合には、1つ以上の−OH、(CH−OH;アルコキシもしくはCOOHにより置換されるか、またはベンゾジオキソリル基を表すか;または環状基を表し、適切な場合には、−(CH−シクロアルキルタイプのものであり、該シクロアルキル基は3員ないし5員であり、n=1〜5である)を表わすか;またはNHを表わす;
・Arはベンゾジオキソリル基を表わす;
・Arはベンゾジオキソリルまたはフェニル基を表わし、フェニル基は、適切な場合、1つ以上の−OHまたはアルコキシにより置換される。
【0030】
式(I)のイミダゾロン誘導体の別の好適な一群において、
・Rは、RS、RHN、またはArを表わす;
・RはHまたは線状もしくは分枝のC−Cアルキル基を表わす;
・Rは線状もしくは分枝のC−Cアルキル基を表し、適切な場合には、1つ以上のOH、C−Cアルコキシまたは(CH−OH基により置換されるか;または環状基を表し、適切な場合には、−(CH−シクロアルキルタイプのものであり、該シクロアルキル基は3員ないし5員であり、n=1〜5であるか;または(C−C)アルキレンニトリル基または(C−C)アルキレンビニル基を表わす;
・Rはフェニル基を表し、適切な場合には、1つ以上の−OH、(CH−OH;アルコキシにより置換されるかまたはベンゾジオキソリル基を表すか;または環状基を表し、適切な場合には、−(CH−シクロアルキルタイプのものであり、該シクロアルキル基は3員ないし5員であり、n=1〜5であるか;またはNHを表わす;
・Arはベンゾジオキソリル基を表わす;
・Arはベンゾジオキソリルまたはフェニル基を表わし、フェニル基は、適切な場合、1つ以上の−OHにより置換される。
【0031】
特に有利には、本発明により使用されるイミダゾロン誘導体は、式(I)における以下の化合物から選択される:
R=R
=CHC≡CH;R=Me;Ar=1,3−ベンゾジオキソール−5−イル
=CHC≡N;R=Me;Ar=1,3−ベンゾジオキソール−5−イル
=CHCHCl;R=Me;Ar=1,3−ベンゾジオキソール−5−イル
=CH;R=H;Ar=1,3−ベンゾジオキソール−5−イル
=CHCH;R=H;Ar=1,3−ベンゾジオキソール−5−イル
=CHCHCH;R=H;Ar=1,3−ベンゾジオキソール−5−イル
=CH(CH;R=H;Ar=1,3−ベンゾジオキソール−5−イル
=CHC≡N;R=H;Ar=1,3−ベンゾジオキソール−5−イル
=CH(CHCH;R=H;Ar=1,3−ベンゾジオキソール−5−イル
=CHCHOCH;R=H;Ar=1,3−ベンゾジオキソール−5−イル
=CH;T=シクロプロピル;R=H;Ar=1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)
=CH;T=シクロブチル;R=H;Ar=1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)
R=RNH
=CHCH;R=Me;Ar=1,3−ベンゾジオキソール−5−イル
=CHCHOH;R=Me;Ar=1,3−ベンゾジオキソール−5−イル
=CH;T=シクロプロピル;R=Me;Ar=1,3−ベンゾジオキソール−5−イル
=CHCH;R=Me;Ar=1,3−ベンゾジオキソール−5−イル
=o−HO−C;R=Me;Ar=1,3−ベンゾジオキソール−5−イル
=C;R=Me;Ar=1,3−ベンゾジオキソール−5−イル
=p−HO−C;R=Me;Ar=1,3−ベンゾジオキソール−5−イル
=p−HO−m−HOC−C;R=Me;Ar=1,3−ベンゾジオキソール−5−イル
=p−m−OCHO−C;R=Me;Ar=1,3−ベンゾジオキソール−5−イル
=p−CH−C;R=Me;Ar=1,3−ベンゾジオキソール−5−イル
=HOCHCHOHCH;R=Me;Ar=1,3−ベンゾジオキソール−5−イル
=p−m−OCHCHO−C;R=Me;Ar=1,3−ベンゾジオキソール−5−イル
=p−CHO−C;R=Me;Ar=1,3−ベンゾジオキソール−5−イル
=m−HOCH−C;R=Me;Ar=1,3−ベンゾジオキソール−5−イル
=m−HOCH(CH)−C;R=Me;Ar=1,3−ベンゾジオキソール−5−イル
=p−HOCHCH−C;R=Me;Ar=1,3−ベンゾジオキソール−5−イル
=p−HOCCHO−C;R=Me;Ar=1,3−ベンゾジオキソール−5−イル
=CHCHCH;R=H;Ar=1,3−ベンゾジオキソール−5−イル
=CH;T=シクロプロピル;R=H;Ar=1,3−ベンゾジオキソール−5−イル
=C;R=H;Ar=1,3−ベンゾジオキソール−5−イル
=p−HO−C;R=H;Ar=1,3−ベンゾジオキソール−5−イル
=H;R=H;Ar=p−HO−m−MeO−C
R=Ar
Ar=p−HO−C;R=Me;Ar=1,3−ベンゾジオキソール−5−イル
Ar=p−m−OCHO−C;R=Me;Ar=1,3−ベンゾジオキソール−5−イル。
【0032】
別の態様によると、本発明は新規なイミダゾロン誘導体に関する。
【0033】
実際に、以下に述べる誘導体を例外として、上記式(I)の誘導体は、新規な誘導体であり、この観点で、本発明の分野の一部である。
【0034】
従って、本発明は新規な生成物としての、それらが請求項1の式(I)に相当することを特徴とするイミダゾロン誘導体に関する;ただし、以下の定義の誘導体を除外する:
R=RS、および
・Ar=1,3−ベンゾジオキソール−5−イル;R=CHおよびR=CH、CHCH、CH=CH−CH、CH≡C−CH、CH−CH−OCO−CH、C−CH
・Ar=p,m−OCH;R=CHおよびR=CHCH
・Ar=m,m’−OCH;R=CHおよびR=CHCH
・Ar=1,3−ベンゾジオキソール−5−イル;R=n−ブチル;R=CH、CH−CH、CH=CH−CH、CH≡CH、C−CH、p−NO−C−CH、CHCHOCO−CH
・Ar=1,3−ブロモベンゾジオキソール−5−イル;R=n−ブチル;R=CH−CH
・Ar=m,p−OCH−C;R=n−ブチル;R=CHCH
・Ar=1,3−ベンゾジオキソール−5−イル;R=CH;R=Cまたはp−OHC
R=RHN、および
・Ar=1,3−ベンゾジオキソール−5−イル;R=CH;R=H、CH−(CH、CH−(CH、p−COOH−CCH
・Ar=1,3−ベンゾジオキソール−5−イル;R=CH−(CH;R=CH−(CHまたはCH−(CH
・Ar=1,3−ベンゾジオキソール−5−イル;R=C5、=CH−(CH
・Ar=p−OH,m−OCH−Cまたはm,p−OH−C;R=H;R=H。
【0035】
これらの新規な誘導体は、医薬としてのその使用においても、本発明の一部である。
【0036】
従って、本発明は、上記定義の式(I)の誘導体の治療有効量を含む、医薬組成物に関する。
【0037】
実施例において報告されるIC50値により示されるように、上記定義の化合物はDYRK1Aキナーゼの強力な阻害剤を構成し、この観点で、基礎研究の薬理学ツール、および神経変性疾患、特に、アルツハイマー病および他のタウ病態、ピック病および21トリソミーの治療用の治療剤の両方として有用である。
【0038】
式(I)の誘導体または本発明による新規誘導体は、事実上、種々の細胞モデルにおけるDYRK1Aの機能、およびその発現の、また異常活性の結果について研究するためのツールを構成する。それらは上記病的症状におけるDYRK1Aの過剰発現/異常活性化の作用に対抗する医薬の有効成分を構成する。
【0039】
医薬の製造に際し、治療有効量で使用される当該有効成分は、選択される投与方法のために薬学的に許容される担体と混合される。
【0040】
従って、経口投与のために、該医薬は、ゼラチンカプセル、錠剤、糖衣錠、カプセル、丸剤、滴剤などの形態に調剤される。かかる医薬は単位あたり1〜100mgの有効成分を含有し得る。
【0041】
注射(静脈内、皮下、筋肉内)投与のために、当該医薬は滅菌溶液または滅菌可能な溶液の形態にある。単位摂取量あたりの用量は、1〜50mgの有効成分の範囲にわたり得る。1日の用量は、治療される患者の血中イミダゾロン類似体または誘導体の最終濃度が最大100μMとなるように選ばれる
さらに別の態様によると、本発明はまた、上記定義の式(I)のイミダゾロン誘導体の合成法に関する。この方法は、式(3)に相当するアリーリデンチオヒダントイン誘導体の使用を含むことを特徴とする:
【0042】
【化5】

【0043】
[式中:R、RおよびArは上記定義のとおりである]
R=RSである式(I)のイミダゾロン誘導体の調製を目的とする一実施態様によると、本発明の方法は、チオヒダントイン誘導体(3)を、式:
X (3′)
[式中、X=Cl、BrまたはI]
のハロゲン化誘導体(3′)と、下記スキーム4に従い、イミダゾロン誘導体(4)を得ることを可能とする条件下で反応させる工程を包含する。
【0044】
【化6】

【0045】
有利には、化合物(3)と(3′)との反応は、有機溶媒中、70〜100℃の温度、特に80℃の温度で、炭酸塩の存在下に実施される。
【0046】
がアリール基である場合の式(I)の誘導体をさらに特定して得るために、本発明の方法は、チオヒダントイン誘導体(3)を、式:
ArB(OH) (7’)
のアリールホウ酸(7’)と、スキーム1’に従い、式(8)の誘導体を与える条件下に反応させる工程を包含する:
【0047】
【化7】

【0048】
満足な条件は、マイクロ波の下、ジクロロエタンなどの有機溶媒中、Cu(AcO)(Ac=アセチル)およびフェナントロリンの存在下に、チオキソヒダントインをホウ酸と反応させることに相当する。
【0049】
混合物は、50〜100分、特に60〜90分間にわたって、70〜90℃、特に80℃に、最大出力約300ワットで照射される。
【0050】
R=RHNである式(I)のイミダゾロン誘導体の調製を目的とする一実施態様によると、本発明の方法は:
上記定義のイミダゾロン誘導体(4)を、式:
−NH (4’)
のアミン(4’)と、下記スキーム2に従い、下記式のイミダゾロン誘導体(5)を得ることを可能とする条件下に反応させる工程;
【0051】
【化8】

【0052】
または上記定義のヒダントイン誘導体(3)を、アミン(4’)と、下記スキーム3に従って反応させる工程;
【0053】
【化9】

【0054】
のいずれかを包含する。
【0055】
好ましくは、スキーム3による反応は、油浴中およびマイクロ波下で実施される。油浴による手順において、反応混合物を該アミンの沸点以下の温度まで加熱する。マイクロ波の下で手順が行われる場合、有利には、適切な温度と出力で、10〜100分間にわたり、混合物を照射する。
【0056】
スキーム3による反応は、有利には、メタノールなどの溶媒中、ヒドロペルオキシドの存在下に実施される。
【0057】
R=RCOHNである式(I)のイミダゾロン誘導体の調製を目的とする一実施態様によると、本発明の方法は、式:
【0058】
【化10】

【0059】
のイミダゾロン誘導体(5)を、式:
COCl (5’)
の酸塩化物(5’)と、下記反応工程図4に従い、イミダゾロン誘導体(6)を得ることを可能とする条件下に反応させる工程を包含する:
【0060】
【化11】

【0061】
これらの様々な式における置換基は、上記定義のとおりである。
【0062】
これらの誘導体間の反応を実施するための適切な条件は、トリエチルアミンの添加と、引続く、THFなどの有機溶媒中の、イミダゾロン誘導体(5)の溶液への酸塩化物(5’)の添加とを含む。
【0063】
この反応は、有利には、20〜25℃の程度の温度で実施される。
【0064】
R=Arである式(I)のイミダゾロン誘導体を調製するために、本発明の方法は、式(3)のチオヒダントイン誘導体を、ホウ酸(7’):
ArB(OH) (7’)
と、スキーム5に従い、イミダゾロン誘導体(7)を得ることを可能とする条件下に反応させる工程を包含する:
【0065】
【化12】

【0066】
この反応は、有利には、無水THFなどの無水有機溶媒中、Pd(PPhなどの触媒およびCuTC(チオフェンカルボン酸銅)の存在下に実施される。この反応は、有利には、55〜65℃程度の温度で実施される。
【0067】
より特定的に好ましくは、チオヒダントイン誘導体(3)は、式(2):
【0068】
【化13】

【0069】
のチオヒダントイン誘導体を、式(2’):
Ar−CH=N−alk (2’)
[式中、置換基は上記定義のとおりであり、「alk」はC−Cアルキル基を表わす]
のアルジミン誘導体と、下記スキーム6に従って反応させることにより得られる:
【0070】
【化14】

【0071】
有利には、反応は、油浴中またはマイクロ波下に実施される。
【0072】
油浴手順において、反応物質を有機溶媒に加え、その反応混合物を還流させる。粘稠な油状物が急速に結晶化するので、これをろ過回収し、要すれば精製する。
【0073】
適切な有機溶媒として、アセトニトリルが挙げられる。
【0074】
マイクロ波手順において、式(2)のチオヒダントインと式(2’)のアルジミンとの混合物をマイクロ波反応器に容れ、マイクロ波オーブンに挿入し、そこで混合物に照射し、次いで、反応の終了時に周囲温度に戻した後、反応生成物を回収する。
【0075】
適切な条件は、最大出力80〜100ワット、より具体的には90ワットで、70〜100℃、特に80℃で、約1時間処理することを含む。
【0076】
アルジミン(2’)は、例えば、アルデヒド(2”)Ar−CH=Oおよびプロピルアミン(2’’’)CH−(CH−NHから出発して得られる。この反応は、有利には、マイクロ波反応器中、300ワットの出力で、例えば、20〜80℃、特に25〜60℃にて、2〜5分間、特に3分間にわたり、次いで、60〜80℃で、10〜30%、特に20%程度の低下した出力において実施される。
【0077】
チオヒダントイン誘導体(2)は、好ましくは、メチルグリシナート塩酸塩(1):
CHC−CH−NH・HCl (1)
を、イソチオシアネート(1’):
−N=C=S (1’)
と、下記スキーム7に従って反応させることにより得られる:
【0078】
【化15】

【0079】
満足な反応条件は、エーテルなどの溶媒中、トリエチルアミンの存在下に、(1)と(1′)とを還流下に反応させることを含む。
【0080】
これらの様々な操作段階における中間体化合物は新規であり、この観点で、これらも本発明の領域の一部である。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】A〜Hで示す反応についての実験条件を要約する図である。
【発明を実施するための形態】
【0082】
本発明の他の特徴および利点は、本発明によるイミダロン誘導体の合成に関係する以下の本発明の例示的実施態様に与えられる。
【0083】
例えば、図1に要約されるAないしHで示す反応についての実験条件は、図により説明することで、以下に続く実験の部に報告される。
【0084】
本発明による化合物のDYRK1Aに関してのIC50値(μM)が、引き続き、DYRK1Aキナーゼ活性のアッセイに関する項の表2に与えられる。
【0085】
(実験の部)
【0086】
【表1】

【0087】
(反応A)
【0088】
【化16】

【0089】
(一般的手順)
7mmolのイソチオシアネート(RN=C=S)、7mmol(0.88g)のメチルグリシナート塩酸塩(1)および7mmol(0.97g)のトリエチルアミンからなるエーテル15mL中の混合物を、激しい磁気による攪拌を伴って溶媒の還流下に14時間にわたり加熱する。反応媒体を周囲温度に冷やした後、ロータリーエバポレーターにより減圧下に溶媒を除去する。酢酸エチルからの沈殿によりトリエチルアミン塩酸塩を除去する。No.4焼結漏斗(sintered glass with No.4 porosity)によるろ過の後、ろ液をロータリーエバポレーターにより、減圧下に濃縮して、所望の生成物(2)を得る。このものをさらに精製することなく引き続き使用する。
【0090】
(化合物(2)の例)
3−メチル−2−チオキソイミダゾリジン−4−オン(R=Me)
収率=95%;mp=170−172℃。
【0091】
1H NMR(200MHz,CDCl3, TMS) δ: 3.27(s, 3H, NCH3); 4.11(s, 2H, -CH2-); 7,64(broad s, 1H, NH)。13C NMR(75MHz, CDCl3, TMS) δ: 27.6(NCH3); 48.6(-CH2-); 171.6(C=O); 185.4(C=S)。
(反応B)
【化17】

【0092】
(油浴による一般的手順):
マグネティックバーを備えた丸底フラスコに、ジクロロメタン(20mL)、6.9mmolのチオヒダントイン(2)、次いで6.9mmolの新たに蒸留されたアルジミン()を順次加えた。引続き、反応混合物は、ジクロロメタンが還流するようにされ、反応をシリカ60 F 254(Merck)による薄層クロマトグラフィーによりモニタリングする。反応終了後、反応媒体を周囲温度まで冷却し、次いで、無水MgSOで乾燥させる。プリーツ紙にてろ過した後、ろ液の溶媒を減圧下に蒸発させて除去し、粘稠油が得られ、このものは周囲温度で迅速に結晶化する。精製は、ペンタンからの再結晶により、または場合によっては、適切な溶媒によるシリカゲル 60F 254(Merck)上のクロマトグラフィーにより実施される。
【0093】
(マイクロ波による一般的手順)
10mmolのチオヒダントイン(2)および10mmol(1当量)のアルジミン()からなる混合物を円筒状マイクロ波反応器(φ=4cm)に容れる。次いで反応器を、ブレード攪拌システムを装着したSynthewave 402マイクロ波オーブン(商品名Prolabo;Merck-Eurolabグループ)に挿入する。混合物に、最大出力90ワット(Prolabo microwave)を、80℃(3分の停止(hold)で1時間にわたり照射する。周囲温度に戻した後、反応混合物を次いでロータリーエバポレーターで濃縮する。クロロホルム/ペンタン(1/2)の混合溶液を蒸発残渣に加える。この混合物を粉砕した後、不溶性固体をNo.4焼結漏斗でろ過し、次いで減圧下に乾燥させる。
【0094】
(化合物(3)の例):
(5Z)−5−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イルメチレン)−3−メチル−2−チオキソイミダゾリジン−4−オン(Ar=1,3−ベンゾジオキソール−5−イル;R=Me):
収率=87%。黄色粉末、mp=253−255℃。
【0095】
1H NMR(300MHz, DMSO-d6) δ=3.18(s, 3H, NCH3); 6.09(s, 2H, OCH2O); 6.54(s, 1H, C=CH); 6.96(d, 1H, J=8.1Hz, H-5); 7.27(d, 1H, J=8.1Hz, H-6); 7.45(s, 1H, H-2); 12.22(bs, 1H, NH)。13C NMR(75MHz, DMSO-d6) δ=27.6(NCH3); 102.1(OCH2O); 109.1(C-5); 109.8(C-2); 113.7(C=CH); 125.1(C=CH); 126.9(C-6); 126.9(C-1); 148.4(C-4); 149.0(C-3); 164.6(C=O); 179.0(C=S)。HRMS,m/z:262.0409(C12H10N2O3Sに対する計算値:262.0412)。
【0096】
【化18】

【0097】
)アルジミン合成のための一般的手順:
20mmolのアルデヒドおよび40mmol(3.28mL)のプロピルアミンを連続して秤量しこれを石英反応器に入れる。この反応媒体をSynthewave 402マイクロ波反応器(Pmax=300W;商品名Prolabo, Merck-Eurolabグループ)中、以下のプログラミング(25〜60℃、3分間;次いで、出力20%として60℃で30分間)に従い、加熱する。過剰のプロピルアミンをロータリーエバポレーターにより不完全な減圧下に除去し、蒸発残渣(固体状態)をジクロロメタンに溶解させる(10mL/g−生成物);次いで、有機溶液をMgSOで乾燥させ、ろ紙によりろ過する。ろ液をロータリーエバポレーターにより減圧下に濃縮する。
【0098】
(アルジミンの例):
N−[(1,3)−ベンゾジオキソール−5−イルメチレン]−N−プロピルアミン(Ar=1,3−ベンゾジオキソール−5−イル):
収率=97%。黄色粉末。
【0099】
1H NMR(200MHz, CDCl3) δ: 0.90(t, 3H, J=7.3Hz, NCH2CH2CH3); 1.64(st, 2H, J=7.2Hz, NCH2CH2CH3); 3.47(t, 2H, J=6.9Hz, NCH2CH2CH3); 5.90(s, 2H, OCH2O); 6.71(d, 1H, J=7.9Hz, H-5); 7.02(dd, 1H, J=1.3; 7.9Hz, H-6); 7.37(d, 1H, J=1.4Hz, H-2); 8.10(s, 1H, N=CH)。13C NMR(75MHz, CDCl3) δ : 12.2(CH3); 24.5(CH2CH3); 63.7(NCH2); 101.8(OCH2O); 107.0(C-3); 108.4(C-6); 124.5(C-2); 131.6(C-1); 148.6(C-5); 150.0(C-4); 160.3(N=CH)。
(反応C)
【化19】

【0100】
(一般的手順)
5−アリーリデンチオヒダントイン(3)(3.1mmol;1当量)、20mLのアセトニトリル、ハロゲン化誘導体RX(X=Cl、BrまたはI)(3.1mmol;1当量)および0.21gのKCO(1.5mmol;0.5当量)を丸底フラスコに順次加える。反応混合物をマグネティックスターラにより激しく攪拌しながら、80℃で14時間にわたり加熱する。周囲温度まで冷やした後、アセトニトリルをロータリーエバポレーターにて減圧下に除去する。粗反応媒体にエーテル20mLを加える。不溶性無機生成物をNo.4焼結漏斗により不完全な減圧下にろ過した後、ろ液を硫酸マグネシウムで乾燥させ、プリーツ紙で濾過する。ろ過溶媒をロータリーエバポレーターにて減圧下に除去し、所望のイミダゾロン(4)を粉末の形状で得る。
【0101】
(化合物(4)の例):
[(Z)−(4−ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イルメチレン−1−メチル−5−オキソ−4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イルスルファニル)]アセタート(Ar=1,3−ベンゾジオキソール−5−イル,R=Me,R=CHCOEt):
収率=92%。黄色粉末,mp=172−174℃。
【0102】
1H NMR(300MHz, CDCl3) δ: 1.26(t, 3H, J=7.1Hz, OCH2CH3); 3.12(s, 3H, NMe); 4.02(s, 2H, SCH2); 4.23(q, 2H, J=7.1Hz, OCH2CH3); 5.96(s, 2H, OCH2O); 6.80(d, 1H, J=8.1Hz); 6.84(s, 1H, =CH); 7.52(dd, 1H, J=8.1; 1.3Hz); 7.96(d, 1H, J=1.3Hz)。13C NMR(75MHz, CDCl3) δ: 14.1(qm, J=128Hz, OCH2CH3); 26.6(q, J=144Hz, NMe); 32.9(t, J=144Hz, SCH2); 62.3(tq, J=148; 4.6Hz, OCH2); 101.5(t, J=174Hz, OCH2O); 108.4(d, J=165Hz); 110.8(dt, J=168; 6.9Hz); 124.6(dt, J=156; 4.1Hz); 128.4(dt, J=162; 6.0Hz); 128.9(d, J=7.6Hz); 136.6(s); 148.0(m, =C-O); 149.3(m, =C-O); 162.0(m, C-2); 168.0(m, C=O(CO2Et)); 169.7(m, C-4)。HRMS,m/z:348.0791(C16H16N2O5Sに対する計算値:348.0780)。
(反応D)
【化20】

【0103】
(マイクロ波による手順):
(5Z)−5−アリーリデン−2−アルキルチオ−3,5−ジヒドロイミダゾール−4−オン(4)(4mmol;1当量)および5〜20mmolのアミノアルコールR−NH(1.5〜5当量)からなる混合物を円筒状マイクロ波反応器(φ=4cm)に容れる。次いで、反応器を、ブレード攪拌システムを装着したSynthewave 402マイクロ波オーブン(商品名Prolabo,Merck-Eurolabグループ)に挿入する。混合物に、適切な温度と適切な出力で15〜90分間にわたり照射する。周囲温度に戻した後、次いで反応混合物をロータリーエバポレーターにより濃縮する。蒸発残渣にエタノール(1mL/g−生成物)を加える。エタノールからの混合物を粉砕した後、不溶性固体をNo.4焼結漏斗でろ取し、減圧下に乾燥させる。これを場合によってはエタノールから再結晶する。
【0104】
(油浴による手順):
(5Z)−5−アリーリデン−2−アルキルチオ−3,5−ジヒドロイミダゾール−4−オン(4)(4mmol;1当量)および脂肪族アミン(40mmol;10当量)からなる懸濁液をマグネティックスターラにより激しく攪拌しながら混合し、当該アミンの沸点の10℃低い温度(Texp.=沸点amine−10℃)で3〜7日間にわたって加熱する。周囲温度に戻した後、揮発性生成物を減圧下に除去し、エーテル(〜10mL)を反応媒体に加える。次に、エーテル不溶性の生成物を、No.4焼結漏斗によるろ過を通して集める。化合物(5)の残留溶媒をデシケーター中で不完全な減圧下に2時間にわたって除去し、所望の2−アミノイミダゾロン(5)を黄色粉末の形状で取得する。
【0105】
(2−アミノイミダゾロン(5)の例):
(5Z)−5−ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イルメチレン−3−メチル−2−プロピルアミノ−3,5−ジヒドロイミダゾール−4−オン(Ar=1,3−ベンゾジオキソール−5−イル,R=Me,R=CHCHCH):
収率:48%。黄色粉末,mp=190−192℃。
【0106】
1H NMR(300MHz, CDCl3) δ: 1.02(t, 3H, J=7.4Hz); 1.74(sext, 2H, J=7.3Hz, NHCH2CH2); 3.11(s, 3H, NMe); 3.54(t, 2H, J=6.2Hz, NHCH2C2H5); 4.95(bs, 1H, NH); 5.98(s, 2H); 6.62(s, 1H, =CH); 6.81(d, 1H, J=8.1Hz); 7.34(dd, 1H, J=8.1; 1.4Hz); 7.99(d, 1H, J=1.2Hz)。13C NMR(75MHz, CDCl3) δ: 11.5(qt, J=126; 4.0Hz, NHC2H4Me); 22.8(tq, J=135; 3.7Hz, NHCH2CH2); 25.2(q, J=140Hz, NMe);4 3.7(tq, J=122; 7.0Hz, NHCH2); 101.1(t, J=173Hz, C-7’); 108.4(d, J=164Hz, C-2’); 110.3(dt, J=166; 7.1Hz, C-6); 116.8(dt, J=157; 3.5Hz); 126.1(dt, J=163; 6.2Hz, C-6’); 130.2(d, J=7.8Hz, C-5’); 138.1(s, C-5); 147.6(m, C-3’); 147.7(mC-4’); 157.2(m, C-4); 170.4(sm, C-2)。HRMS,m/z:287.1279(C15H17N3O3に対する計算値:287.1270)。
(反応E)
【化21】

【0107】
(一般的手順):
0.2mmolの2−アミノイミダゾロン(5)(R=H、R=Me)のTHF溶液(2mL)に、トリエチルアミン(2当量)を、次いで酸塩化物(1.5当量)を0℃で加える。反応混合物を25℃で12時間にわたって攪拌する。この溶液を次いで減圧下に蒸発させ、残渣を、EtOAc/シクロヘキサン(9/1)混合物を溶出液として用いるシリカゲルによるフラッシュクロマトグラフィーにより精製する。
【0108】
(化合物(6)の例)
N−[(4Z)−4−ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イルメチレン−1−メチル−5−オキソ−4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イル]−2,2−ジメチルプロパンアミド(Ar=1,3−ベンゾジオキソール−5−イル,R=Me,R=C(CH)。
【0109】
収率:50%。黄色粉末,mp=145−147℃。
【0110】
1H NMR(300MHz, CDCl3): δ=1.28(s, C(CH3)3, 9H), 3.24(s, CH3, 3H), 6.05(s, OCH2O, 2H), 6.76(s, =CH, 1H), 6.92(d, J=8.0Hz, Har, 1H), 6.93(s, Har, 1H), 7.01(d, J=8.0Hz, Har, 1H)。13C NMR(75MHz, CDCl3): δ=25.6(C(CH3)3), 26.7(C(CH3)3), 39.7(NCH3), 101.6(OCH2O), 108.5, 111.2, 128.1, 129.1, 142.5, 146.5, 149.7, 161.8, 171.2, 179.1。HRMS,m/z=329.1377(C17H19N3O4に対する計算値:329.1375)。
(反応F)
【化22】

【0111】
(一般的手順):
(3)(0.80mmol)のMeOH溶液(20mL)に、3当量のtert−ブチルヒドロペルオキシド(tert−butyl hydroperoxide:TBHP)(70%水溶液)、次いで20当量のアミンを順次加える。反応混合物を25℃で3日間にわたり攪拌する。次いで、この溶液を減圧下に蒸発させ、CHCl/MeOH(94/6)混合物を溶出液として用いるシリカゲルによるフラッシュクロマトグラフィーにより残渣を精製する。
【0112】
(化合物(5)の例):
(5Z)−5−ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イルメチレン−2−エチルアミノ−3,5−ジヒドロ−4H−イミダゾール−4−オン(Ar=1,3−ベンゾジオキソール−5−イル,R=Et,R=H)。
【0113】
収率=40%。黄色粉末,mp=222−224℃。
【0114】
1H NMR(300MHz, DMSO-d6): δ=1.17(t, J=6.9Hz, CH3, 3H), 3.34(m, CH2, 2H), 6.02(s, OCH2O, 2H), 6.23(s, =CH, 1H), 6.90(d, J=8.1Hz, Har, 1H), 7.20(br.s, NH,1H), 7.38(d, J=8.1Hz, Har, 1H), 7.93(s, Har, 1H), 10.68(br.s, NH, 1H)。13C NMR(75MHz, DMSO-d6): δ=15.5(CH3), 36.4(NHCH2), 101.4(OCH2O), 108.7, 109.8, 125.3, 131.0, 140.6, 146.9, 147.6, 160.2, 174.5。HRMS,m/z=259.0959(C13H13N3O3に対する計算値:259.0957)。
(反応G)
【化23】

【0115】
(一般的手順):
5mmolのアルジミンArCH=N−Pr、5mmolのチオヒダントイン(2)(R=Me、Bu、Ph)、7.5mmolのハロアルカンRX、0.345g(2.5mmol)の炭酸カリウム、および場合によっては1.25g(7.5mmol)のKI(ハロゲン化誘導体RX(X=BrまたはCl)を使用する場合)からなるアセトニトリル(10mL)中の懸濁液を、ハロアルカンRX(Texp.=BpR2X−10℃)の沸点近くの温度で14時間にわたり加熱する。次いで、反応溶媒をロータリーエバポレーターにより減圧下に除去する。蒸発後に得られる固体をジクロロメタン(10mL/g−生成物)により粉砕し、次いで、不溶性の無機塩をろ紙にてろ過除去する。ろ液を蒸発させた後、粗反応媒体をペンタン/エタノール(1/1)混合物で処理する(1g/10mL)。所望の生成物(4)が析出し、次いで、これをNo.4焼結漏斗で集め、デシケーター中、不完全な減圧下に乾燥させる。
【0116】
(化合物(4)の例)
(5Z)−5−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イルメチレン)−3−メチル−2−(エチルチオ)−3,5−ジヒドロ−4H−イミダゾール−4−オン(Ar=1,3−ベンゾジオキソール−5−イル,R=Me,R=Et):
収率=92%。橙黄色粉末,mp=152−154℃。
【0117】
1H NMR(300MHz, CDCl3) δ : 1.55(t, 3H, J=7.4Hz, SCH2CH3); 3.17(s, 3H, NCH3); 3.40(q, 2H, J=7.4Hz, SCH2CH3); 6.00(s, 2H, OCH2O); 6.82(d, 1H, J=8.1Hz, H-5); 6.83(s, 1H, =CH); 7.37(dd, 1H, J=8.1; 1.0Hz, H-6); 8.05(s, 1H, H-2)。13C NMR(75MHz, CDCl3)δ : 14.7(SCH2CH3); 25.6(SCH2CH3); 26.9(NCH3); 101.8(OCH2O); 108.8(C-5); 111.2(C-2); 124.0(=CH); 128.4(C-6); 129.5(C-1); 137.5(NC=C); 148.3(C-4); 149.5(C-3); 164.1(C-S); 170.3(C=O)。HRMS,m/z=290.0730(実験値)(C14H14N2O3Sに対する計算値:290.0725,M+・)。
(反応H)
【化24】

【0118】
(一般的手順)
(5Z)−5−アリーリデンチオヒダントイン(3)(1当量)、ホウ酸ArB(OH)(1.5当量)、Pd(PPh(5mol%)およびCuTC(3当量)からなる無水THF溶液(0.06M)をシュレンク管に導入する。
【0119】
反応混合物は、マグネティックスターラによる激しい攪拌を伴って終夜THFが還流するようにされる。周囲温度に戻した後、反応媒体をジクロロメタンで抽出する(2回)。有機相を硫酸水素ナトリウム溶液(1M)で洗い、次いで飽和塩化ナトリウム溶液で、最後に炭酸水素ナトリウム溶液(1M)で洗う。有機相をMgSOで乾燥させ、ろ紙を通してろ過し、ろ液をロータリーエバポレーターにより減圧濃縮する。蒸発残渣を熱時ジエチルエーテルに溶解する。冷後、不完全な減圧下にNo.4焼結漏斗を通じてろ過により結晶を集め、次いで、シクロヘキサン/酢酸エチル混合物(70/30)を溶出液とするシリカゲルクロマトグラフィーにより精製する。次いで、クロマトグラフィー画分をロータリーエバポレーターにより濃縮し、不完全な減圧下に乾燥させ、所望の生成物(7)を得る。
【0120】
(化合物(7)の例)
(5Z)−5−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イルメチレン)−3−メチル−2−フェニル−3,5−ジヒドロ−4H−イミダゾール−4−オン(Ar=1,3−ベンゾジオキソール−5−イル,R=Me,Ar=C):
収率=46%。黄色粉末,mp=209−211℃。
【0121】
1H NMR(300MHz, CDCl3): δ=3.35(s, 3H, NCH3); 6.01(s, 2H, OCH2O); 6.84(d, 1H, J=8.1Hz, H-5’); 7.16(s, 1H, C=CH); 7.47(dd, 1H, J=8.1Hz, J=1.2Hz, H-6’); 7.53(m, 3H, H-3”, H-4”); 7.84(dd, 2H, J=7.4Hz, J=2.2Hz, H-2”); 8.14(d, 1H, J=1.2Hz, H-2’)。13C NMR(75MHz, CDCl3) δ =29.1(NMe); 101.5(OCH2O); 108.5(C-5’); 111.5(C-2’); 128.7(C-2”); 128.8(C-3”); 128.8(C=CH); 129.0(C-6’); 129.4(C-1”); 131.4(C-4”); 137.5(C=CH); 137.5(C-1’); 148.1(C-3’); 149.7(C-4’); 161.4(C=N); 171.6(C=O)。HRMS,m/z:306.0995(C18H14N2O3に対する計算値:306.10044)。
(反応I)
【化25】

【0122】
(一般的手順)
0.4mmolの(5Z)−5−アリーリデンチオヒダントイン(3)、1.6mmol(4当量)のホウ酸、0.4mmol(1当量)のCuOAc、0.8mmol(2当量)のフェナントロリンおよび4mLのジクロロエタンを円筒状マイクロ波反応器(φ=2.8cm)に容れる。次いで、この反応器を、ブレード攪拌システムを装着したマイクロ波オーブンに挿入する。混合物に、最大出力300ワット(Prolabo microwave)を、80℃(2分の停止)で60〜90分間にわたり照射する。周囲温度に冷やした後、反応混合物をロータリーエバポレーターにより不完全な減圧下に濃縮する。所望の生成物(8)をアルミナゲル上で精製し(ペンタン/酢酸エチル(85/15)混合物にて溶出実施)、次いでペンタンで洗浄する。
【0123】
(化合物(8)の例)
(5Z)−5−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イルメチレン)−3−メチル−2−(フェニルチオ)−3,5−ジヒドロ−4H−イミダゾール−4−オン(Ar=1,3−ベンゾジオキソール−5−イル,R=Me,Ar=C):
収率:49%。黄色粉末,mp=171−173℃。
【0124】
1H NMR(300MHz, Acetone-d6): δ=3.22(s, 3H, NCH3); 6.03(s, 2H, OCH2O); 6.77(s, 1H, C=CH); 6.82(d, 1H, J=8.1Hz, H-5’); 7.36(dd, 1H, J=8.1Hz, J=1.2Hz, H-6’); 7.56(d, 1H, J=1.7Hz, H-2’); 7.58(d, 2H, J=1.7Hz, H-2”); 7.78(m, 2H, H-3”); 7.83(d, 1H, J=1.3Hz, H-4”)。13C NMR(75MHz, DMSO-d6) δ=26.6(NMe); 101.5(OCH2O); 108.3(C-5’); 109.9(C-2’); 123.4(C=CH); 125.1(C-1”); 128.3(C-6’); 128.4(C-1’); 129.4(C-2”); 130.0(C-4”); 134.8(C-3”); 136.5(C=CH); 147.5(C-4’); 148.9(C-3’); 162.8(C=N); 168.5(C=O)。HRMS,m/z:338.0738(C18H14N2O3Sに対する計算値:338.07251)。
(DYRK1Aのキナーゼ活性のアッセイ)
(生化学試薬類)
オルト−バナジン酸ナトリウム、EGTA、Mops、β−グリセロホスフェート、フェニルホスフェート、ジチオトレイトール(dithiothreitol:DTT)、グルタチオン−アガロース、グルタチオン、ニトロフェニルホスフェートおよびミエリン塩基性タンパク質は、Sigma Chemicalsから入手された。[γ−33P]−ATPはAmershamからのものである。
【0125】
(DYRK1Aキナーゼの調製およびその活性の酵素アッセイ)
ラット組換えDYRK1AはGST融合タンパク質として大腸菌において発現させられた。このものをグルタチオン固定ビーズ上のアフィニティクロマトグラフィーにより精製した(遊離グルタチオンにより溶出)。キナーゼ活性はバッファーC(60mMのβ−グリセロホスフェート、15mMのp−ニトロフェニルホスフェート、25mMのMops(pH7.2)、5mMのEGTA、15mMのMgCl、1mMのDTT、1mMのバナジン酸ナトリウム、1mMのフェニルホスフェート)中、1mgのミエリン塩基性タンパク質/mLにより、15μMの[γ−33P]−ATP(3.000Ci/mmol;10mCi/mL)の存在下、最終容量30μLでアッセイされた。30℃で30分間にわたりインキュベートした後、25μLの一定分量の上清をWhatman P81ホスホセルロースフィルタ上にスポットし、そのフィルタをリン酸溶液(10mL/L水)中で5回洗浄した。次いで、基質に取り込まれ、湿潤フィルタ上に保持された放射線を、ACSシンチレーション液(Amersham)の存在下に計測した。コントロール値を引き、最大値、すなわち、阻害剤の不存在下に得られる値の%として活性を表わした。IC50値を用量−応答曲線から計算し、μMで示す。
【0126】
その結果を以下の表2に示す:
【0127】
【表2A】

【0128】
【表2B】

【0129】
【表2C】

【0130】
【表2D】

【0131】
【表2E】

【0132】
【表2F】

【0133】
【表2G】

【0134】
【表2H】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
医薬として使用するイミダゾロン誘導体であって、当該誘導体が、式(I):
【化1】

[式中、
・Rは、H、線状もしくは分枝の、置換されてもよいC−Cのアルキル基;アリール基、または5員もしくは6員のヘテロ環基を表わし、該アリール基およびヘテロ環基は1つ以上の置換基を含有していてもよく、該置換基は同一または異なっていてもよく、いずれの位置を占有してもよい;
・Arは、1個以上の置換基を有してもよいアリール基を表し、2つの隣接する置換基は5員または6員環を形成することが可能であり、該環は、適切な場合、置換され;または芳香族へテロ環を表し、該芳香族ヘテロ環は、1つ以上の置換基を有してもよく、かつ/または5員もしくは6員の芳香環と縮合してもよく、ヘテロ原子はN、SおよびOから選択される;
・Rは、R−S−、R−HN−、RCOHNまたはArを表わし、
− R=線状、分枝もしくは環状のC−Cアルキル基;ビニルもしくはビニル(C−C)アルキル基、ニトリルもしくはニトリル(C−C)アルキル基、またはアリールもしくはベンジル基であり;当該基は、1つ以上の炭素原子上で1つ以上の基により置換されてもよく、これらは、同一または異なってよく、あらゆる位置を占め、2つの隣接する置換基は5員または6員環を形成することが可能であり、この環は、適切な場合、置換される;
− R=上記に与えられた意味であり、Hを表わしてもよい;
− Arは、置換または無置換のアリール基を表し、2つの隣接する置換基は5員または6員環を形成することが可能であり、該環は置換されていてもよい]
に相当することを特徴とする誘導体。
【請求項2】
アリール基がフェニルまたはナフチル基を表わし、ヘテロ環がN、Oおよび/またはSをヘテロ原子として有する5員もしくは6員環を表わし;R、Ar、ArおよびRの置換基が、OH、OZ、COH、COZ、COOH、COOZ、NH、NHalk.、N(alk.)、NHCOOH、NHCOOZ(Zは線状もしくは分枝のC−Cアルキル、アリール、ベンジル、置換ベンジルもしくはアリール、またはベンゾジオキソリル基を表わす)、1つ以上のハロゲンおよび/または1個のCCl基から選択され、alk.がC−Cアルキル遊離基を表わすことを特徴とする請求項1に記載の誘導体。
【請求項3】
DYRK1Aに対して5μM未満のIC50を有することを特徴とする請求項1または2に記載の誘導体。
【請求項4】
請求項3に記載の誘導体であって、
5μM未満のIC50を有し、上記式(I)に対応し、該式(I)において、
− RがC−Cアルキル基または水素原子、および/またはアリール基を表わし;
− Arが:
【化2】

から選択され;
− Rが:
・R−S−基;Rは、T−(CHタイプの基から選ばれ、n=0、1、2または3であり、Tは以下の基の1つを表わす:メチル、ビニル、アルキル、アルキニル、ニトリル、シクロアルキル(CまたはCであり得る)、Z−O、Z−CO(Z=C−Cアルキル)、またはhal(halはF、Cl、BrもしくはIまたはCCl基を表わす)から選択される];
または
・ R−NH−基;Rは、T−(CHタイプの基から選ばれ、n=0、1または2であり、Tは以下の基の1つを表わす:メチル、ビニル、ZO、ZO−CONH−、−CH−(OZ)、ZCO(Z=Hまたは線状もしくは分枝のC−Cアルキル)、NH、Cシクロアルキル、アリール、または置換アリール;またはR=Hである;
または
・ R−CONH−基;Rは分枝C−Cアルキル基である;
または
・ Y=Ar;Arは、フェニル、置換フェニルまたはベンゾジオキソリル基から選択される;
を表わすことを特徴とする誘導体。
【請求項5】
請求項3に記載の誘導体であって、
1μM未満のIC50値を有し、式(I)に対応し、該式(I)において、
− Rが、HまたはCHを表わし;
− Arが:基
【化3】

を表わし;
− Rが:
・R−S−基;RはT−(CHタイプの基から選ばれ、T=メチル、アルキニル、ニトリル、hal、CHO、シクロプロピルまたはシクロブチル基であり、n=0、1、2または3であり、「hal」はハロゲン原子またはCCl基を表わす;
または
・R−HN−基;RはT−(CHタイプの基から選ばれ、T=Cアルキル、OH、シクロプロピル、フェニル、またはOH、OCH、COOHとOH、CHOH、C(CH、OH)、CH−CHOH、CH−COOHにより置換されるフェニルもしくはベンゾジオキソリルであり;またはR=H;n=0、1または2である];
または
・パラ−ヒドロキシフェニルまたはベンゾジオキソリル基から選択されるAr基;
を表わす式に相当することを特徴とする誘導体。
【請求項6】
請求項3に記載の誘導体であって、
R=R
=CHC≡CH;R=Me;Ar=1,3−ベンゾジオキソール−5−イル
=CHC≡N;R=Me;Ar=1,3−ベンゾジオキソール−5−イル
=CHCHCl;R=Me;Ar=1,3−ベンゾジオキソール−5−イル
=CH;R=H;Ar=1,3−ベンゾジオキソール−5−イル
=CHCH;R=H;Ar=1,3−ベンゾジオキソール−5−イル
=CHCHCH;R=H;Ar=1,3−ベンゾジオキソール−5−イル
=CH(CH;R=H;Ar=1,3−ベンゾジオキソール−5−イル
=CHC≡N;R=H;Ar=1,3−ベンゾジオキソール−5−イル
=CH(CHCH;R=H;Ar=1,3−ベンゾジオキソール−5−イル
=CHCHOCH;R=H;Ar=1,3−ベンゾジオキソール−5−イル
=CH;T=シクロプロピル;R=H;Ar=1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)
=CH;T=シクロブチル;R=H;Ar=1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)
R=RNH
=CHCH;R=Me;Ar=1,3−ベンゾジオキソール−5−イル
=CHCHOH;R=Me;Ar=1,3−ベンゾジオキソール−5−イル
=CH;T=シクロプロピル;R=Me;Ar=1,3−ベンゾジオキソール−5−イル
=CHCH;R=Me;Ar=1,3−ベンゾジオキソール−5−イル
=o−HO−C;R=Me;Ar=1,3−ベンゾジオキソール−5−イル
=C;R=Me;Ar=1,3−ベンゾジオキソール−5−イル
=p−HO−C;R=Me;Ar=1,3−ベンゾジオキソール−5−イル
=p−HO−m−HOC−C;R=Me;Ar=1,3−ベンゾジオキソール−5−イル
=p−m−OCHO−C;R=Me;Ar=1,3−ベンゾジオキソール−5−イル
=p−CH−C;R=Me;Ar=1,3−ベンゾジオキソール−5−イル
=HOCHCHOHCH;R=Me;Ar=1,3−ベンゾジオキソール−5−イル
=p−m−OCHCHO−C;R=Me;Ar=1,3−ベンゾジオキソール−5−イル
=p−CHO−C;R=Me;Ar=1,3−ベンゾジオキソール−5−イル
=m−HOCH−C;R=Me;Ar=1,3−ベンゾジオキソール−5−イル
=m−HOCH(CH)−C;R=Me;Ar=1,3−ベンゾジオキソール−5−イル
=p−HOCHCH−C;R=Me;Ar=1,3−ベンゾジオキソール−5−イル
=p−HOCCHO−C;R=Me;Ar=1,3−ベンゾジオキソール−5−イル
=CHCHCH;R=H;Ar=1,3−ベンゾジオキソール−5−イル
=CH;T=シクロプロピル);R=H;Ar=1,3−ベンゾジオキソール−5−イル
=C;R=H;Ar=1,3−ベンゾジオキソール−5−イル
=p−HO−C;R=H;Ar=1,3−ベンゾジオキソール−5−イル
=H;R=H;Ar=p−HO−m−MeO−C
R=Ar
Ar=p−HO−C;R=Me;Ar=1,3−ベンゾジオキソール−5−イル
Ar=p−m−OCHO−C;R=Me;Ar=1,3−ベンゾジオキソール−5−イル;
である式(I)の誘導体から選択されることを特徴とする誘導体。
【請求項7】
新規イミダゾロン誘導体であって、式(I)に対応するが、
R=RS、および
・Ar=1,3−ベンゾジオキソール−5−イル;R=CHおよびR=CH、CHCH、CH=CH−CH、CH≡C−CH、CH−CH−OCO−CH、C−CH
・Ar=p,m−OCH;R=CHおよびR=CHCH
・Ar=m,m’−OCH;R=CHおよびR=CHCH
・Ar=1,3−ベンゾジオキソール−5−イル;R=n−ブチル;R=CH、CH−CH、CH=CH−CH、CH≡CH、C−CH、p−NO−C−CH、CHCHOCO−CH
・Ar=1,3−ブロモベンゾジオキソール−5−イル;R=n−ブチル;R=CH−CH
・Ar=m,p−OCH−C;R=n−ブチル;R=CHCH
・Ar=1,3−ベンゾジオキソール−5−イル;R=CH;R=Cまたはp−OHC
R=RHN、および
・Ar=1,3−ベンゾジオキソール−5−イル;R=CH;R=H、CH−(CH、CH−(CH、p−COOH−CCH
・Ar=1,3−ベンゾジオキソール−5−イル;R=CH−(CH;R=CH−(CHまたはCH−(CH
・Ar=1,3−ベンゾジオキソール−5−イル;R=C5、=CH−(CH
・Ar=p−OH、m−OCH−Cまたはm,p−OH−C;R=H;R=H;
である誘導体を除くことを特徴とする誘導体。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1つに記載の少なくとも1種の誘導体の治療有効量を含有することを特徴とする医薬組成物。
【請求項9】
神経変性疾患、特にアルツハイマー病および他のタウ病態の治療のための請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項10】
ピック病の治療のための請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項11】
21トリソミーの治療のための請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項12】
DYRK1A阻害剤としての請求項1〜7のいずれか1つに記載のイミダゾロン誘導体の使用。
【請求項13】
請求項1〜7のいずれか1つに記載の式(I)のイミダゾロン誘導体の合成法であって、式(3):
【化4】

[式中、R、RおよびArは前記請求項に定義したとおりである]
に相当するアリーリデンチオヒダントイン誘導体を使用することを特徴とする方法。
【請求項14】
R=RSであるイミダゾロン誘導体を調製するために、チオヒダントイン誘導体(3)を、式:
X (3’)
[式中、X=Cl、BrまたはI]
のハロゲン化誘導体(3’)と、式:
【化5】

[式中、R、RおよびArは上記定義のとおりである]
のイミダゾロン誘導体(4)を得ることを可能とする条件下で反応させる工程を包含することを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
R=RSであり、Rはアリール基を表わす式(I)のイミダゾロン誘導体を調製するために、チオヒダントイン誘導体(3)を式:
ArB(OH) (7’)
のアリールホウ酸(7’)と、式(8):
【化6】

の誘導体を与える条件下に反応させる工程を包含することを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項16】
R=RHNであるイミダゾロン誘導体を調製するために、イミダゾロン誘導体(4)を、式:
−NH (4’)
のアミン(4’)と、式:
【化7】

のイミダゾロン誘導体(5)を得ることを可能とする条件下に反応させるか、または
ヒダントイン誘導体(3)を、アミン(4’)と反応させる工程を包含することを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項17】
R=RCOHNである式(I)のイミダゾロン誘導体を調製するために、式:
【化8】

のイミダゾロン誘導体(5)を、式:
COCl (5’)
の酸塩化物(5’)と、式:
【化9】

のイミダゾロン誘導体(6)を得ることを可能とする条件下に反応させる工程を包含することを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項18】
R=Arであるイミダゾロン誘導体を調製するために、式(3)のチオヒダントイン誘導体を、アリールホウ酸(7’):
ArB(OH) (7’)
と、イミダゾロン誘導体(7):
【化10】

を得ることを可能とする条件下に反応させる工程を包含することを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項19】
チオヒダントイン誘導体(3)は、式(2):
【化11】

の誘導体を、式(2’):
Ar−CH=N−alk (2’)
[式中、置換基は上記定義のとおりであり、「alk」はC−Cアルキル基を表わす]
のアルジミン誘導体と反応させることにより得られることを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項20】
アルジミン誘導体(2’)は、アルデヒドAr−CH=O(2”)とプロピルアミンCH−(CH−NH(2”′)とを反応させることにより得られることを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項21】
チオヒダントイン誘導体(2)は、メチルグリしネート塩酸塩(1):
CHC−CH−NH・HCl (1)
を、式:
−N=C=S (1’)
のイソチオシアネート(1’)と反応させることにより得られることを特徴とする請求項19に記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2010−535180(P2010−535180A)
【公表日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−518711(P2010−518711)
【出願日】平成20年8月1日(2008.8.1)
【国際出願番号】PCT/FR2008/001152
【国際公開番号】WO2009/050352
【国際公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【出願人】(510029003)ユニヴェルシテ ドゥ レンヌ 1 (1)
【出願人】(507199975)サーントゥル ナシオナル ドゥ ラ ルシェルシュ シャーンティフィク セエンエールエス (13)
【Fターム(参考)】