説明

イルミネーションランプ及びイルミネーションランプユニット

【課題】色度が動的に変化し装飾性に富み、且つ安価なイルミネーションランプの提供。
【解決手段】光源と、該光源から発せられた光により励起され可視光を発する蛍光物質と、流体とがパッケージに収められたイルミネーションランプであって、該蛍光物質は粒子状であり、透明または半透明な流体に分散されてなり、該蛍光物質の比重と該流体の比重が異なり、重力に対する該パッケージの方向を変化させた場合に、前記光源から発せられた光がパッケージ外部に照射されるまでの光路上に前記蛍光物質が配置されたりまた配置されなかったりすることにより、あるいは配置される量が変化することにより、該パッケージ外に照射される光の色度が変化することを特徴とするイルミネーションランプ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源として発光ダイオードランプを用い、クリスマスツリーなどの装飾として用いられるイルミネーションランプに関する。本発明のイルミネーションランプは、各種アミューズメント用途の装飾照明器具などとして広く利用可能である。
【背景技術】
【0002】
従来、イルミネーションランプや各種の装飾用照明器具は、個々のランプの発光色度が固定のものが一般的であった。イルミネーションランプは豆電球などから発光ダイオードランプにその主流が移りつつあるが、広く普及している安価な発光ダイオードランプはその発光色度が固定のものである。
【0003】
近年、複数の半導体発光ダイオード素子を一つのランプパッケージ内に実装し任意の発光色度で発光する発光ダイオードランプが開発され、装飾性が向上した。その一例として特許文献1に記載された技術が挙げられる。また、本発明に関係するその他の従来技術として、特許文献2〜7及び非特許文献1〜3が挙げられる。
【特許文献1】特表2005−528733号公報
【特許文献2】特許第2927279号公報
【特許文献3】特許第3668770号公報
【非特許文献1】Rong-Jun Xie et al., Appl. Phys. Lett., vol. 84, pp. 5404-5406
【非特許文献2】Naoto Hirosaki et al., Appl. Phys. Lett., vol. 86, 211905
【特許文献4】国際公開WO2005/052087号
【非特許文献3】K. Uheda et al., Abstract 2073, The Electrochemical Society 206th Meeting, Honolulu, HI, Oct. 2004
【特許文献5】特開平9−319318号公報
【特許文献6】実開平7−25816号公報
【特許文献7】実用新案登録第3096691号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示された従来技術では、複数の光源(例えば、青・緑・赤の3個の半導体発光素子)あるいはなんらかの可変の光学的手段(ミラー、導光板、拡散板)を電気的、機械的に制御することにより色度の変化を実現するものであり、複数の光源のそれぞれに応じた電圧を供給する複雑な駆動回路や、プロセッサ等を含む知的な制御回路を必要とする場合も多く、高価なものとなりがちであった。装飾照明分野などでは、色度が動的に変化し装飾性に富むものであり、なおかつ安価であるようなイルミネーションランプの提供が求められていた。
【0005】
本発明は、前記事情に鑑みてなされ、色度が動的に変化し装飾性に富み、且つ安価なイルミネーションランプの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、本発明は、光源と、該光源から発せられた光により励起され可視光を発する蛍光物質と、流体とがパッケージに収められたイルミネーションランプであって、該蛍光物質は粒子状であり、透明または半透明な流体に分散されてなり、該蛍光物質の比重と該流体の比重が異なり、重力に対する該パッケージの方向を変化させた場合に、前記光源から発せられた光がパッケージ外部に照射されるまでの光路上に前記蛍光物質が配置されたりまた配置されなかったりすることにより、あるいは配置される量が変化することにより、該パッケージ外に照射される光の色度が変化することを特徴とするイルミネーションランプを提供する。
【0007】
本発明のイルミネーションランプにおいて、透明または半透明な略球状のフィラー粒子が流体に分散されていることが好ましい。
【0008】
本発明のイルミネーションランプにおいて、透明または半透明であり鋭角な角部を有するフィラー粒子が流体に分散されていることが好ましい。
【0009】
本発明のイルミネーションランプにおいて、該蛍光物質が流径50μm以上の粗大粒子を含むものであることが好ましい。
【0010】
本発明のイルミネーションランプにおいて、フィラー粒子が流径200μm以上の粗大粒子を含むものであることが好ましい。
【0011】
本発明のイルミネーションランプにおいて、該光源が透明または不透明の硬化させた材料により被覆され、流体及び流体に分散された蛍光物質から保護されていることが好ましい。
【0012】
本発明のイルミネーションランプにおいて、光源を被覆する透明または半透明の硬化させた材料にも蛍光物質が分散されてなることが好ましい。
【0013】
また本発明は、パッケージに収められたランプと、該ランプから発せられた光により励起され可視光を発する蛍光物質と、流体とがパッケージに収められたイルミネーションランプユニットであって、該蛍光物質は粒子状であり、透明または半透明な流体に分散され、該蛍光物質の比重と該流体の比重が異なり、重力に対するイルミネーションランプユニットの方向を変化させると、該ランプと、該ランプから発せられた光がユニットケース外部に照射されるまでの光路上に該蛍光物質が配置されたりまた配置されなかったりすることにより、あるいは配置される量が変化することにより、該ユニットケース外に照射される光の色度が変化することを特徴とするイルミネーションランプユニットを提供する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、色度が動的に変化し装飾性に富み、且つ安価なイルミネーションランプを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明のイルミネーションランプは、青色等で発光する光源として半導体発光ダイオード素子と、該半導体発光ダイオード素子からの発光を吸収し可視光を発光する蛍光体粒子とを用いた発光ダイオードランプにおいて、蛍光体粒子が流動性を有するようなパッケージ実装構造としたことを特徴としている。これまでにも青色発光ダイオード素子と蛍光体粒子とを用いたランプは知られているが、それらの中で蛍光体粒子を流動するように実装したものはまだ無い。
【0016】
本発明のイルミネーションランプにおいて、パッケージ内に収容した流体と蛍光体粒子とは比重が異なるため、比重の大きい蛍光体粒子は下方すなわち重力方向に沈む。該イルミネーションランプの重力に対する向きを変えると、蛍光体粒子も移動する。半導体発光ダイオード素子と観測者の間に蛍光体粒子が無ければ、観測者にはこのイルミネーションランプの発光色度は半導体発光ダイオード素子の発光色度と同一に見え、よって青色発光ダイオード素子を用いていれば青色のイルミネーションランプに見える。また、半導体発光ダイオード素子と観測者との間に多量の蛍光体粒子があれば、観測者にはこのイルミネーションランプの発光色度は蛍光体粒子の発光色度と同一に見え、よって蛍光体粒子が黄色蛍光体であれば黄色のイルミネーションランプに見える。半導体発光ダイオード素子と観測者との間にある蛍光体粒子の多寡により、色度は変化する。これにより、該イルミネーションランプの重力に対する方向と、観測者のいる位置(見る方向)とにより、該イルミネーションランプの発光色度は変化し、異なったものとして観測される。また、流体の粘度や蛍光体粒子の粒径に応じて蛍光体粒子が沈殿する速度は異なるため、流体の粘度等を適切に選択することにより該イルミネーションランプの重力に対する方向を時間的に変化させた時の発光色度の変化する速度を所望の速度とすることができる。
以下、実施例により本発明の具体例を詳細に説明するが、以下の実施例は単なる例示であり、本発明はこれらの実施例の記載に限定されるものではない。
【実施例】
【0017】
[実施例1]
図1に、本発明に係る実施例1のイルミネーションランプの断面図を示す。
本実施例のイルミネーションランプ1は、リードワイヤ2及び3、半導体発光ダイオード(LED)素子4、金ボンディングワイヤ5、蛍光体粒子6、流体7、リッド8、電極パターン9及び10、支持基版11、壁面部材12からなる。
【0018】
半導体発光ダイオード素子4には、InGaN青色発光ダイオード素子を用いた。
支持基板11は四角形であり、可視光線の反射率が高い材料、例えばアルミナセラミックスにより作製されている。この支持基板11の表面上には、スパッタリングにより2本の電極パターン9及び10が形成されている。
この電極パターン9及び10の厚さは数μm程度であり、これらと支持基板11との間に段差はほとんど存在しない。また、電極パターン9,10にはリードワイヤ2,3が高融点ハンダ等により接続されている。
電極パターン9の端部は支持基板11の中央部に位置しており、半導体LED素子4が載置され、固定されている。
半導体LED素子4は図示しない導電性ペーストによって電極パターン9と、ボンディングワイヤ5によって電極パターン10とそれぞれ電気的に接続されている。
【0019】
蛍光体粒子6は粒径数μm〜数十μmの粉末状蛍光物質であり、透明あるいは半透明な流体7とともにパッケージ内に封入され、半導体LED素子4を被覆している。
【0020】
流体7には、グリセリンを用いることが好適である。グリセリンはオイル型万華鏡において一般的に用いられており、適度な粘度を有し、また絶縁性である。
流体7は蛍光体粒子6と比重に差があり、また適度な時間内に蛍光体粒子6が沈殿するような気体または液体であればなんであってもよく、空気、窒素などの不活性ガス、水、油、シリコーン等の各種の樹脂などが利用可能である。
【0021】
なお、図1に示した実施例1では半導体LED素子4、ボンディングワイヤ5、電極パターン9、10などと流体7が直接接しているため、流体7には電気伝導性のものを用いることは出来ないが、後述するように絶縁性の保護層を設けた構成とすることで電気伝導性の流体を用いることが可能となる。その場合には、グリセリンを適宜水で薄めて粘度を下げて使用することも可能である。
【0022】
支持基板11と壁面部材12とリッド8とは、図示しない接着剤等を用いて固定されている。壁面部材12は、透明、半透明、不透明いずれのものでも良いが、不透明なものを用いる場合には、白色等の反射率が良いものを用いると、光の取り出し効率が向上するので好ましい。
【0023】
蛍光体粒子6は半導体LED素子4からの発光により励起され、可視光を発するものであればよく、白色LED用の各種蛍光体が利用可能である。蛍光体を用いた白色LEDは、特許文献2、特許文献3などに開示されている。
例えば、半導体LED素子4に青色LED素子を用い、蛍光体粒子6に(Y,Gd)Al12:CeなどのYAG:Ce系黄緑色蛍光体を用いた場合には、CIE1931色度図上で青色発色ダイオード素子の色度座標とYAG:Ce系黄緑色蛍光体の色度座標とを結んだ線上で発光色度が変化する。
また、半導体LED素子4に青色LED素子を用い、蛍光体粒子6にCa(Si,Al)12(O,N)16:Euなどのアルファサイアロン系黄色蛍光体あるいは橙色蛍光体を用いた場合には、CIE1931色度図上で青色発色ダイオード素子の色度座標と黄色あるいは橙色のアルファサイアロン系蛍光体の色度座標とを結んだ線上で発光色度が変化する。
蛍光体粒子6は青色の補色である黄色蛍光体に限定されるものではなく、青色で励起され緑色に発光する緑色蛍光体、青色で励起され赤色に発光する赤色蛍光体なども好適に利用可能である。緑色蛍光体としては例えばベータサイアロン緑色蛍光体が、赤色蛍光体としては例えばカズン赤色蛍光体が利用可能である。
【0024】
前記アルファサイアロン黄色蛍光体は特許文献3や非特許文献1などで公知であり、またベータサイアロン緑色蛍光体は、非特許文献2などで公知であり、さらにカズン赤色蛍光体は特許文献4や非特許文献3などで公知である。
【0025】
図2に、実施例1のイルミネーションランプ1を縦に取り付けた事例を示す。半導体LED素子4に青色発光ダイオード素子を用い、蛍光体粒子6にアルファサイアロン黄色蛍光体を用いたとすると、観測者Aから見た該イルミネーションランプの色は青色である。観測者Cから見た色は、黄色である。観測者Bから見た色は、例えば色温度の低い白色である電球色あるいは白紫色などになる。
【0026】
本発明のイルミネーションランプは、固定的に取り付けるのではなく点灯した状態で重力に対する方向を変化させることが可能な用途で、特にその効果を発揮する。例えば、特許文献5その他で公知であり、クリスマスツリーや建物の装飾に好適な線状に配置したイルミネーション器具に応用した場合には、設置後にも簡単に人力でその配置や向き等を可変可能であり、時々発光色度を変化させて楽しむことが可能となる。また、そのようなイルミネーション器具を屋外に設置した場合には、風力により揺れることでも色度が変化する。さらに、自動で回転等するような機械的可動機構とともに設置しても良い。また音楽に合わせて踊るようなマイクと制御回路と可動機構とを有する娯楽器具等に用いるにも好適である。他にも、特許文献6に開示されている発光うちわや特許文献7に開示されている光照射型装飾品などのように、手に持ちあるいは身につけて使用する装飾照明に応用するにも好適である。
【0027】
[実施例2]
図3に、本発明に係る実施例2のイルミネーションランプの断面図を示す。
本実施例のイルミネーションランプ101は、図1に示す実施例1のイルミネーションランプ1の構成に加えて、透明なフィラー粒子113が流体7に分散していることを特徴としている。
このフィラー粒子113には、粒径数十μm〜数百μm程度のガラス球体や樹脂球体などを用いることができる。
【0028】
本実施例のイルミネーションランプ101は、流体7中に、蛍光体粒子6とともに透明なフィラー粒子113を追加したことにより、蛍光体粒子6の沈殿による偏在を低減できる。
また、フィラー粒子により半導体LED素子4からの発光が反射あるいは屈折されて観測されるため、YAG:Ce系黄緑色蛍光体である蛍光体粒子6により青白色光・白色光・黄緑色光が、あるいはアルファサイアロン系橙色蛍光体である蛍光体粒子6により白紫色光・電球色光・橙色光が観測されている中に半導体LED素子4の発光色である青色光が散在して彩りを添える結果となり大変美しい。
また、フィラー粒子113として、球体ではなく、工芸用材料として市販されているクラッシュガラスなどの鋭角な角部を有するものを使用することもできる。この場合、散在する青色光のきらめき感が一段と増す結果となる。
【0029】
[実施例3]
実施例3のイルミネーションランプとしては、蛍光体に粗大粒子を用いたものを挙げることができる(図示は省略する。)。
蛍光体は通常数μmの粒径の粉末を用いる。また、白色LED用蛍光体は通常数μm〜数十μmの粒状の粉末を用いる。これに対し、本実施例3のイルミネーションランプでは、蛍光体に粒径50μm以上の粗大粒子、特に粒径数百μm以上の粗大粒子が含まれたものを用いる。蛍光体粒子の粒径分布を大きくばらつかせることにより、観測方位による色度の変化をさらに変化に富んだものとすることが可能である。白色LED用の蛍光物質は、通常は粉末として用いるが、YAG:Ce系などの酸化物蛍光体もアルファサイアロン、ベータサイアロン、カズン等の酸窒化物あるいは窒化物蛍光体も材料それ自体としてはバルク状に形成可能なものであり、合成手順を工夫する、あるいは粉砕して粉末化する時に粉砕の程度を適切にすることにより、簡単に粗大粒子を得ることができる。
蛍光体粒子のみならず、透明フィラー粒子についても、例えば粒径200μm以上のより粗大な粒子を用いたり、あるいは粒径分布のばらつきを大きくとったりすることができる。
蛍光体粒子や透明フィラー粒子について粗大な粒子を用いる場合には、それら粗大粒子が十分な流動性を得られるようパッケージ全体を例えば1cm角あるいはそれ以上の十分大きなものとすることが好ましい。
【0030】
[実施例4]
図4に、本発明に係る実施例4のイルミネーションランプの断面図を示す。
本実施例のイルミネーションランプ201は、図1に示す実施例1のイルミネーションランプ1の構成に加えて、半導体LED素子4及びボンディングワイヤ5を樹脂214で被覆し保護している。樹脂214には、透明または半透明なものを用い、硬化させる。
【0031】
実施例2と同様に流体7には蛍光体粒子6とともにフィラー粒子113が分散されていても良く、また実施例3と同様に蛍光体粒子6及び/またはフィラー粒子113は粗大な粒子を含んでいても良い。
【0032】
蛍光体粒子6やフィラー粒子113は、硬い材料である場合が多く、例えば10段階のモース硬度でサイアロンセラミックスはモース硬度9、シリカガラスはモース硬度7である。よって、サイアロン系蛍光体粒子やシリカガラス球フィラー粒子などが流動することにより、半導体LED素子4やボンディングワイヤ5は劣化し得る。
実施例4では、これらを硬化性樹脂により保護することにより、信頼性を向上させることができる。
また、さらにリードワイヤ2,3及び電極パターン9,10のすべてを樹脂214で保護することにより、流体7に電気伝導性の流体を用いてもショートしないようにすることができる。
なお、図4において樹脂214の形状は凸状にした場合を図示したが、凹状であっても平坦であっても良い。形状は硬化前の樹脂214の粘度、表面張力、壁面部材12との間の濡れ性などにより制御可能である。
【0033】
[実施例5]
図5に、本発明に係る実施例5のイルミネーションランプの断面図を示す。
本実施例のイルミネーションランプ301は、前述した図4に示す実施例4のイルミネーションランプ201の構成に加えて、半導体LED素子4を被覆している樹脂314にも少量の蛍光体粒子315を分散させた構成になっている。
【0034】
前述した各実施例では、例えば半導体LED素子4に青色発色ダイオード素子を用い、蛍光体粒子として橙色のアルファサイアロン蛍光体を用いた場合であれば、青色から白紫色、電球色、橙色などの色度での発光が観測される。しかし、用途によっては、青色の発光は好ましく無く、白紫色、電球色、橙色の色度範囲で変化させたいという場合もある。本実施例のイルミネーションランプ301は、半導体LED素子4を被覆している樹脂314にも少量の蛍光体粒子315を分散させた構成とすることにより、かかる課題を解決することが可能である。
【0035】
実施例2と同様に流体7には蛍光体6とともにフィラー粒子113が分散されていても良く、また、実施例3と同様に蛍光体粒子6及び/又はフィラー粒子113は粗大な粒子を含んでいても良い。
【0036】
[実施例6]
図6に、本発明に係る実施例6のイルミネーションランプユニットの断面図を示す。
前述した各実施例では、ランプ自体の中に光源と流体と蛍光体が入っていたが、本実施例のイルミネーションランプユニット401では、光源として砲弾型あるいはSMD型のLEDランプを用い、これを基板411上に実装して、基板411上に壁面部材412とリッド408を固定し、基板411と壁面部材412とリッド418とを用いてユニットケースを構成し、これに蛍光体粒子406と流体407を封入した構成になっている。
【0037】
具体的には、壁面部材412として透明樹脂であるポリスチレン樹脂を用い、光源部品415として砲弾型青色LEDランプ5個をガラスエポキシ電気基板である基板411上にハンダ付けして固定し、流体407としてグリセリン約10ccを入れ、蛍光体粒子406として橙色のアルファサイアロン蛍光体約1gを入れて、気泡が入らないように注意して接着剤を用いてリッド408を固定した。
【0038】
[実施例7]
また、実施例7として、実施例6に加えてフィラー粒子としてクラッシュガラス約1gを加えたものも試作した。クラッシュガラスは、ほとんどが数百μmから1mmでありまれに2mm近い長さのものが含まれているものを用いた。鋭角な角部を有しており、反射光によりキラメキ感を演出するのに好適であった。
【0039】
なお、前述した全ての実施例において、光源となる部品は用いた蛍光体を励起可能な波長の光を発するものであれば、どのようなものでも良く、半導体青色レーザダイオード素子であっても良く、また紫外線を発光する半導体紫外線発光ダイオード素子であっても良い。
【0040】
本発明の効果を確認するために、実施例7のイルミネーションランプユニットを従来市販されている装飾用LEDユニットと比較する官能試験を実施した。
比較例としては、観光地のお土産として広く普及している、台座に4個の発光色度の異なる砲弾型LEDと、その発光量を非同期に時間変化させる制御回路とを設置し、その上にガラス装飾品をのせてLEDからの光を照射するものを用いた。
上にのせたガラス装飾品は、直方体の無色透明なガラス中に、YAGレーザ装置などを集光照射することによって微細な空孔の配置によって動植物や建物などを3次元的に造形したものを用いた。
【0041】
官能試験の被験者は8人とした。実施例7の色度を動的に変化させるにあたっては、実施例7のユニットを手にとって角度を変えて眺めるなどして評価してもらった。
評価結果の記入用紙は、問1として、アミューズメント用途の照明器具として装飾性に優れるか、比較例と実施例とを見て選択肢の中から一つ選ぶこととした。選択肢は以下の通りである。
1.実施例は装飾性において比較例を凌駕していると思う。
2.実施例は装飾性において比較例とは異なる優れた部分があり、用途によっては有無であると思う。
3.実施例と比較例のどちらかが優れているとも判断できないし、また大きな違いは無い。
4.実施例が比較例よりも装飾性に優れた部分は見あたらない。多くの用途において比較例の方が好適であると思う。
5.実施例は装飾性にとぼしく、用途は無いと思う。
【0042】
集計の結果、1を選択した回答が2件、2を選択した回数が6件であった。
また、問2として、実施例を見た感想を文章で回答してもらった。1名回答無しで、回答のあった7名について以下に全部記載する。「青い光がキラキラしてきれいだ。」「光の色が変わって、きらきらしていてきれいだ。」「実施例は、おどろおどろしい印象があり沼底の光景にも見える。恐怖を煽るには有効だと思います。」「粒子の流動する様子が見ていて癒される。色彩の変化も場所により異なり多彩で面白みがある。」「光と色が動的に、かつ、局所的に変化する点が優れている。万華鏡として売り出せる。」「実施例と比較例を組み合わせたらより面白いと思う。」「動かすことによる、色の変化の度合いが大きいのが良いと思う。静置したときの粉が目立ってしまうので、その処理は課題かと思う。照明としてもさることながら、ボタンを押すことなどにより対流を起こす子供向けの知的オモチャ系の使い道もありそう。」
【0043】
以上の結果から、蛍光体粒子が流動する新規な構造を有する実施例7が、装飾性において十分な進歩性を有するものであることが確認された。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明に係る実施例1で作製したイルミネーションランプの断面図である。
【図2】実施例1のイルミネーションランプにおける観測者の角度とランプの色との関係を説明するための概略図である。
【図3】本発明に係る実施例2で作製したイルミネーションランプの断面図である。
【図4】本発明に係る実施例4で作製したイルミネーションランプの断面図である。
【図5】本発明に係る実施例5で作製したイルミネーションランプの断面図である。
【図6】本発明に係る実施例6で作製したイルミネーションランプの断面図である。
【符号の説明】
【0045】
1,101,201,301…イルミネーションランプ、2,3…リードワイヤ、4…半導体発光ダイオード(LED)素子、5…金ボンディングワイヤ、6…蛍光体粒子、7流体、8…リッド、9,10…電極パターン、11…支持基板、12…壁面部材、113…フィラー粒子、214…樹脂、306,315…蛍光体粒子、314…樹脂、401…イルミネーションランプユニット、406…蛍光体、407…流体、408…リッド、411…支持基板、412…壁面部材、415…光源部品。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、該光源から発せられた光により励起され可視光を発する蛍光物質と、流体とがパッケージに収められたイルミネーションランプであって、該蛍光物質は粒子状であり、透明または半透明な流体に分散されてなり、該蛍光物質の比重と該流体の比重が異なり、重力に対する該パッケージの方向を変化させた場合に、前記光源から発せられた光がパッケージ外部に照射されるまでの光路上に前記蛍光物質が配置されたりまた配置されなかったりすることにより、あるいは配置される量が変化することにより、該パッケージ外に照射される光の色度が変化することを特徴とするイルミネーションランプ。
【請求項2】
透明または半透明な略球状のフィラー粒子が流体に分散されていることを特徴とする請求項1に記載のイルミネーションランプ。
【請求項3】
透明または半透明であり鋭角な角部を有するフィラー粒子が流体に分散されていることを特徴とする請求項1に記載のイルミネーションランプ。
【請求項4】
該蛍光物質が流径50μm以上の粗大粒子を含むものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のイルミネーションランプ。
【請求項5】
フィラー粒子が流径200μm以上の粗大粒子を含むものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のイルミネーションランプ。
【請求項6】
該光源が透明または不透明の硬化させた材料により被覆され、流体及び流体に分散された蛍光物質から保護されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のイルミネーションランプ。
【請求項7】
光源を被覆する透明または半透明の硬化させた材料にも蛍光物質が分散されてなることを特徴とする請求項6に記載のイルミネーションランプ。
【請求項8】
パッケージに収められたランプと、該ランプから発せられた光により励起され可視光を発する蛍光物質と、流体とがパッケージに収められたイルミネーションランプユニットであって、該蛍光物質は粒子状であり、透明または半透明な流体に分散され、該蛍光物質の比重と該流体の比重が異なり、重力に対するイルミネーションランプユニットの方向を変化させると、該ランプと、該ランプから発せられた光がユニットケース外部に照射されるまでの光路上に該蛍光物質が配置されたりまた配置されなかったりすることにより、あるいは配置される量が変化することにより、該ユニットケース外に照射される光の色度が変化することを特徴とするイルミネーションランプユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−66462(P2008−66462A)
【公開日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−241788(P2006−241788)
【出願日】平成18年9月6日(2006.9.6)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【Fターム(参考)】