インストルメントパネルメンバー
【課題】インストルメントパネルメンバーの運転席側メンバーフレーム部と助手席側メンバー部材との接合を堅固なものとすると共に、その接合を容易に行えるようにする。
【解決手段】車両用インストルメントパネルの裏側に車幅方向に架け渡されるインストルメントパネルメンバーを、前方開放の断面略コ字状に形成された運転席側メンバーフレーム部15と、下方開放の断面略コ字状に形成された助手席側メンバー部材30とに分割する。そして、運転席側メンバーフレーム部15に形成された係合凹部20に、助手席側メンバー部材30に形成された係合部21が係合した状態で、助手席側メンバー部材30の前壁31bを押圧する押圧部41を有する接合用ブラケット40によって、運転席側メンバーフレーム部15と助手席側メンバー部材30との接合部を前後方向に締め付ける。
【解決手段】車両用インストルメントパネルの裏側に車幅方向に架け渡されるインストルメントパネルメンバーを、前方開放の断面略コ字状に形成された運転席側メンバーフレーム部15と、下方開放の断面略コ字状に形成された助手席側メンバー部材30とに分割する。そして、運転席側メンバーフレーム部15に形成された係合凹部20に、助手席側メンバー部材30に形成された係合部21が係合した状態で、助手席側メンバー部材30の前壁31bを押圧する押圧部41を有する接合用ブラケット40によって、運転席側メンバーフレーム部15と助手席側メンバー部材30との接合部を前後方向に締め付ける。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用インストルメントパネルの裏側に車幅方向に架け渡されるインストルメントパネルメンバーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より車両用インストルメントパネルの裏側に車幅方向に架け渡され、インストルメントパネルとステアリングとを支持するインストルメントパネルメンバーは知られている。このインストルメントパネルメンバーは、ステアリングに掛かる荷重を支持し、かつその振動を抑えるための十分な剛性が必要とされる。
【0003】
このようなインストルメントパネルメンバーには、例えば、特許文献1のように、車幅方向に延びる本体部と、ステアリング支持部などの部品とを一体にダイキャスティング成形すると共に、本体部の断面を車体前方に開放した略コ字状として、部品点数が少なく、剛性を高くしたものが知られている。
【0004】
しかし、このインストルメントパネルメンバーでは、全体をダイキャスティング成形しているため質量が重く、また、鋳型が大きくなって製造コストが高くなるという問題があった。
【0005】
そこで、本体部を運転席側メンバーフレーム部と助手席側メンバー部材とに分割し、ステアリングが取り付けられる運転席側メンバーフレーム部に比べて荷重が掛かり難い助手席側メンバー部材を、質量の軽い材料で形成することが考えられる。このことで、インストルメントパネルメンバー全体の質量を抑えると共に、運転席側メンバーフレーム部の鋳型を小さくし、金属材料及び鋳型の費用を抑えることができる。
【特許文献1】特開平8−67272号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、このようにインストルメントパネルメンバーの本体部を運転席側メンバーフレーム部と助手席側メンバー部材とに分けて成形し、これらを接合する場合、この接合を堅固なものとしなければ、ステアリングなどから本体部に作用する荷重によって、振動が発生したり接合部が破断したりするおそれがある。
【0007】
一方、両者を単にボルト締めによって接合しようとすると、位置合わせが困難であり、締め付けに手間がかかるという問題があった。
【0008】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、運転席側メンバーフレーム部と助手席側メンバー部材との接合を堅固なものとすると共に、その接合を容易に行えるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明は、運転席側メンバーフレーム部に助手席側メンバー部材を係合し、これらの接合部を接合用ブラケットによって前後方向に締め付けることとした。
【0010】
具体的には、第1の発明では、車両用インストルメントパネルの裏側に車幅方向に架け渡されるインストルメントパネルメンバーを前提とする。
【0011】
そして、上記インストルメントパネルメンバーは、車幅方向に延び、一端側で運転席側の車体側壁に取り付けられ、上記インストルメントパネル及びステアリングが取り付けられる運転席側メンバーフレーム部と、運転席側メンバーフレーム部の他端側の下側から車体フロア部へ延び、フロア部に取り付けられる取付用脚部とを備えた運転席側メンバー部材と、車幅方向に延び、一端側で運転席側メンバーフレーム部の他端に接合されて、他端側で助手席側の車体側壁に取り付けられる助手席側メンバー部材とを備える構成としている。
【0012】
また、上記運転席側メンバーフレーム部は縦壁を有した前方開放の断面略コ字状に形成され、助手席側メンバー部材は下方開放の断面略コ字状に形成されている。
【0013】
さらに、運転席側メンバーフレーム部における他端縦壁の内面には、後方へ凹陥した係合凹部が形成されると共に、助手席側メンバー部材の一端の後壁には、運転席側メンバーフレーム部の係合凹部に対応する位置に後方へ突出する係合部が形成されている。
【0014】
そして、インストルメントパネルメンバーは、運転席側メンバーフレーム部の係合凹部に助手席側メンバー部材の係合部を係合した状態で、助手席側メンバー部材の前壁を押圧する押圧部を有し、運転席側メンバーフレーム部と助手席側メンバー部材との接合部を前後方向に締め付ける接合用ブラケットを備えるものとする。
【0015】
第2の発明では、上記接合用ブラケットは、運転席側メンバーフレーム部の上壁及び下壁を連結するものとする。
【0016】
第3の発明では、上記助手席側メンバー部材は樹脂製とする。
【発明の効果】
【0017】
上記第1の発明によれば、運転席側メンバーフレーム部の縦壁内面に形成した係合凹部に、助手席側メンバー部材の後壁に形成した係合部を係合した状態で、これらの接合部を接合用ブラケットにより前後方向に締め付けている。このため、係合凹部と係合部との係合によって、運転席側メンバーフレーム部と助手席側メンバー部材との接合の位置合わせがし易くなるので、その接合を容易に行うことができる。さらに、運転席側メンバーフレーム部と助手席側メンバー部材とが、係合凹部と係合部との係合によって車幅方向及び上下方向に固定され、接合用ブラケットによって前後方向に固定される。このため、運転席側メンバーフレーム部と助手席側メンバー部材との接合を堅固なものとすることができる。
【0018】
上記第2の発明によれば、上記接合用ブラケットによって、運転席側メンバーフレーム部の上壁及び下壁を連結している。このため、接合用ブラケットの締め付けによって、運転席側メンバーフレーム部の略コ字状断面の開放部の口開きを防止することができる。
【0019】
上記第3の発明によれば、上記助手席側メンバー部材を樹脂製としている。このため、助手席側メンバー部材の略コ字状断面の開放部が、接合用ブラケットの締め付けによって口閉じ方向に撓み易くなるので、接合用ブラケットによる接合を容易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0021】
−インストルメントパネルメンバーの構成−
図1〜図3に本発明の実施形態にかかるインストルメントパネルメンバー1を示す。このインストルメントパネルメンバー1は、車両用のインストルメントパネル2の裏側に車幅方向に架け渡され、インストルメントパネル2とステアリング3とを支持するものである。本実施形態では、左側ハンドル車のインストルメントパネルメンバー1を示し、このインストルメントパネルメンバー1は、左側の運転席側メンバー部材10と右側の助手席側メンバー部材30とを備えている。
【0022】
図4にも示すように、上記運転席側メンバー部材10は、運転席側メンバーフレーム部15と運転席側取付部11とダッシュパネル側取付部12と取付用脚部13とステアリング支持部14とが一体にダイキャスティング(鋳型鋳造)成形されたものである。本実施形態では、運転席側メンバー部材10は、マグネシウム合金製となっている。
【0023】
具体的には、上記運転席側メンバー部材10は、車幅方向に延び、略垂直な縦壁15aを有した前方開放の略コ字状断面の上記運転席側メンバーフレーム部15を備えている。この運転席側メンバーフレーム部15の左端部に上記運転席側取付部11が設けられている。この運転席側取付部11は、左側に向かって前方に傾斜するように延びる平板部11aを有し、この平板部11aに2つのボルト挿通孔11bが設けられている。このボルト挿通孔11bに後方から図示しないボルトを通し、運転席側の車体側壁としての左側サイドパネル4(図2にのみ示す)側に締め付けることで、運転席側メンバー部材10が左側サイドパネル4に取り付けられるようになっている。なお、図5に示すように、上記運転席側メンバーフレーム部15の前端には、略車幅方向全域に上下方向に延びるフランジ部15bが設けられている。また、運転席側メンバーフレーム部15の内部には、補強用として正面視でX字状の複数の運転席側補強リブ15cが所定の間隔で設けられている(図4に一部のみ破線で示している)。
【0024】
また、上記運転席側メンバーフレーム部15における車幅方向中央部よりも右側に上記ダッシュパネル側取付部12が前方へ突出するように形成されている。このダッシュパネル側取付部12は、上記ステアリング支持部14近傍の上記運転席側メンバーフレーム部15の縦壁15aからエンジンルームと車室とを区画するダッシュパネル5側に向かって延びている。図6に示すように、ダッシュパネル側取付部12は、上方が開放し、平面視で略台形の短辺が前側となるボックス形状を有し、このボックス形状の前側縦壁部12aは、上記ダッシュパネル5の傾斜面に対応するように前方に向かって上方へ傾斜する形を有している。この前側縦壁部12aに上記ダッシュパネル5との締結孔12bが形成されている。この締結孔12bに図示しないボルトを前方に向かって斜め下方に挿通してダッシュパネル5側に締め付けることで、ダッシュパネル側取付部12がダッシュパネル5に取り付けられるようになっている。ダッシュパネル側取付部12の底壁部12cは、運転席側メンバーフレーム部15の縦壁15aの上下方向中間部から前方へ延びていて、その下面と運転席側メンバーフレーム部15の下壁との間には、底壁部12cに対して傾斜した複数の補強リブ16が交差するように設けられるなどにより、補強されている。
【0025】
また、上記運転席側メンバーフレーム部15の右側下面には、上記取付用脚部13が車体フロア部7へ延設され、この取付用脚部13がフロア部7から上方へ突出したトンネル部7aの側壁に取り付けられるようになっている。すなわち、取付用脚部13の下端部には、取付板13aが略垂直に設けられ、この取付板13aに設けた取付孔13bに側方から図示しないボルトを挿通してトンネル部7aに締め付けることで、取付用脚部13がフロア部7に取り付けられる。図7に示すように、この取付用脚部13は、前方が開放された断面略コ字状に形成され、上下方向の所定の間隔に略水平な補強用仕切り板13cが設けられている。なお、図4には、その一部のみを破線で示している。
【0026】
このように、上記運転席側メンバー部材10は、左側サイドパネル4とダッシュパネル5とフロア部7とに三点支持されるように構成されている。
【0027】
さらに、運転席側メンバー部材10における車幅方向中央部のダッシュパネル側取付部12の近傍に上記ステアリング支持部14が設けられている。このステアリング支持部14は、運転席側メンバーフレーム部15の縦壁15aから後方に延び、かつその下壁から下側に延びる一対の対向する狭持部14aからなり、各狭持部14aの後端側に設けた貫通孔14bとステアリング3に設けた貫通孔(図示せず)とに車幅方向に延びる支承軸(図示せず)を挿通することで、ステアリング3がステアリング支持部14に支持されるようになっている。
【0028】
一方、図8及び図9に示すように、上記助手席側メンバー部材30は、下方が開放した断面略コ字状の樹脂成形品よりなり、車幅方向に延びて上記運転席側メンバー部材10の運転席側メンバーフレーム部15の右端部に挿入される柱状部31を有している。この柱状部31の右端部には、助手席側の車体側壁としての右側サイドパネル8(図2にのみ示す)に取り付けられる助手席側取付部32が一体に形成されている。この助手席側取付部32は、上記運転席側メンバー部材10の運転席側取付部11と対称的な形状を有している。助手席側取付部32は、その右側に向かって前方に傾斜するように延びる平板部32aを有し、この平板部32aに2つのボルト挿通孔32bが設けられている。このボルト挿通孔32bに図示しないボルトを通し、右側サイドパネル8側に締め付けることで、助手席側メンバー部材30が右側サイドパネル8に取り付けられるようになっている。なお、柱状部31の内部には、所定の間隔で補強用として垂直な仕切り板33が複数設けられ、その仕切り板33の間に平面視でX字状の助手席側補強リブ34が設けられている。図8にその一部のみを破線で示している。
【0029】
また、上記助手席側メンバー部材30の左側には、インストルメントパネル取付部35が形成されている。このインストルメントパネル取付部35は、柱状部31の後壁31aから後方に延びる水平部材35aと柱状部31の後壁31aの下端から下方へ延びる垂下部材35bとからなり、図示しないインストルメントパネル2の貫通孔にボルトを挿通して水平部材35a及び垂下部材35bに設けられた貫通孔35cに締結することで、インストルメントパネル2がインストルメントパネル取付部35に取り付けられるように構成されている。
【0030】
また、図10に示すように、上記助手席側メンバー部材30の柱状部31の左右方向中間部には、2つのエアバッグモジュール取付部36が設けられている。このエアバッグモジュール取付部36は、柱状部31の前壁31bから後方へ向かって斜め上方へ延びる取付板36aと、柱状部31の上壁から後壁31aにわたって切り欠かれた開口部36bとを備えている。この開口部36bの左右には、開口部36bを補強するための仕切り板37が設けられている。上記取付板36aには、上下方向に貫通されたボルト挿通孔36cが設けられ、このボルト挿通孔36cに図示しないボルトが通され、エアバッグモジュール側に締結されることで、エアバッグモジュールがインストルメントパネルメンバー1に固定されるようになっている。
【0031】
図11及び図12に示すように、上記運転席側メンバー部材10と助手席側メンバー部材30とは、運転席側メンバー部材10の運転席側メンバーフレーム部15に形成された係合凹部20と助手席側メンバー部材30に形成された係合部21とが係合した状態で、接合用ブラケット40により接合されている。なお、図2及び図3において、接合用ブラケット40は省略されている。この接合用ブラケット40は、矩形板状の押圧部41と、この押圧部41の上端から後方へ突出した後、下方へ突出した断面L字状の係合部42と、押圧部41の下端から前方に突出した後、下方へ突出する断面L字状の締結部43とを備えている。押圧部41の後面には、後方へ突出する複数の押付け部44が形成されている。なお、押圧部41の左右端部には、前方へ突出する側面視三角形状の補強リブ45が形成され、その下端部が締結部43に連続している。
【0032】
上記運転席側メンバー部材10の運転席側メンバーフレーム部15の右端側の内部には、右端から所定の距離を空けた部分に挿入側仕切り板15dが設けられている。この挿入側仕切り板15dに、運転席側メンバーフレーム部15の内部に配設された助手席側メンバー部材30の左端が当接して、運転席側メンバーフレーム部15に対する助手席側メンバー部材30の左方向への位置が決められている。また、運転席側メンバーフレーム部15の下壁には前方へ延びた後、下方へ垂下し、上記接合用ブラケット40の締結部43の後面に当接する被締結部15fが形成されている。なお、この被締結部15fには、側面視三角形状の補強用リブ15gが形成されている。
【0033】
一方、運転席側メンバーフレーム部15における縦壁15aの下部内面の、上記挿入側仕切り板15dの右方(図11の下側)には、後方へ凹陥された係合凹部20が形成されている。この係合凹部20は、平面視で短辺が後方となる略台形に形成されている。また、上記助手席側メンバー部材30の後壁31aの上記運転席側メンバーフレーム部15の係合凹部20に対応する位置には、係合凹部20の内側に略沿うように後方へ突出する係合部21が形成されている。この係合部21は、平面視で短辺が後方となる略台形に形成されている。
【0034】
−インストルメントパネルメンバーの接合手順−
次に、インストルメントパネルメンバー1の助手席側メンバー部材30を運転席側メンバーフレーム部15に接合する手順について説明する。
【0035】
まず、運転席側メンバーフレーム部15の右端から助手席側メンバー部材30の左端を挿入する。このとき、助手席側メンバー部材30の左端が、上記運転席側メンバーフレーム部15の挿入側仕切り板31dに当接する位置まで挿入する。そして、助手席側メンバー部材30を後方へ移動させる。すると、運転席側メンバーフレーム部15の係合凹部20に助手席側メンバー部材30の係合部21が係合する。
【0036】
次いで、上記接合用ブラケット40の断面L字状係合部42を運転席側メンバーフレーム部15のフランジ部15bに上方から係止し、運転席側メンバーフレーム部15の被締結部15fの貫通孔と接合用ブラケット40側の貫通孔とにボルト17を後方から挿入し、接合用ブラケット40側のナット18で締め付ける。このことで、接合用ブラケット40の押付け部44が助手席側メンバー部材30の柱状部31の前壁31bを徐々に押し付け、運転席側メンバーフレーム部15の係合凹部20と助手席側メンバー部材30の係合部21とが確実に係合される。また、接合用ブラケット40の断面L字状係合部42と運転席側メンバーフレーム部15のフランジ部15bとの係合とボルト17とナット18との締結によって、運転席側メンバーフレーム部15の上壁及び下壁が連結されて固定される。
【0037】
このようにして、上記運転席側メンバーフレーム部15と助手席側メンバー部材30とは、車幅方向には、助手席側メンバー部材30の係合部21の左右外側面21aが運転席側メンバーフレーム部15の係合凹部20の左右内側面20aに挟まれた状態で固定されている。また、前後方向には、接合用ブラケット40の締め付けによって固定され、上下方向には、接合用ブラケット40の締め付け及び係合凹部20と係合部21との係合によって固定されている。
【0038】
−実施形態の効果−
したがって、本実施形態のインストルメントパネルメンバー1によると、運転席側メンバーフレーム部15の他端縦壁15aの内面に形成した係合凹部20に、助手席側メンバー部材30の一端後壁31aに形成した係合部21を係合した状態で、これらの接合部を接合用ブラケット40により前後方向に締め付けている。このため、係合凹部20と係合部21との係合によって、運転席側メンバーフレーム部15と助手席側メンバー部材30との位置合わせがし易くなるので、その接合を容易に行うことができる。さらに、運転席側メンバーフレーム部15と助手席側メンバー部材30とが、係合凹部20と係合部21との係合によって車幅方向及び上下方向に固定され、接合用ブラケット40によって前後方向に固定される。このため、運転席側メンバーフレーム部15と助手席側メンバー部材30との接合を堅固なものとすることができる。
【0039】
また、上記接合用ブラケット40によって、運転席側メンバーフレーム部15の上壁及び下壁を連結している。このため、接合用ブラケット40の締め付けによって、運転席側メンバーフレーム部15の略コ字状断面の開放部の口開きを防止することができる。
【0040】
また、上記助手席側メンバー部材30を樹脂製としている。このため、助手席側メンバー部材30の略コ字状断面の開放部が、接合用ブラケット40の締め付けによって口閉じ方向に撓み易くなるので、接合用ブラケット40による接合を容易に行うことができる。
【0041】
(その他の実施形態)
本発明は、上記実施形態について、以下のような構成としてもよい。
【0042】
上記実施形態では、インストルメントパネルメンバー1は、左側ハンドル用のものとしたが、右側ハンドル用であってもよい。
【0043】
また、上記実施形態では、運転席側メンバー部材10はマグネシウム合金製としたが、他の金属であってもよい。
【0044】
また、上記実施形態では、助手席側メンバー部材30は下方開放の断面略コ字状に成形されているが、上方開放の断面略コ字状に成形されていてもよい。
【0045】
また、上記実施形態では、接合用ブラケット40は、押付け部44を有するものとしたが、これを有していなくてもよく、押圧部41の後面全体で助手席側メンバー部材30の前壁31bを押し付けるものとしてもよい。
【0046】
また、上記実施形態では、運転席側メンバーフレーム部15の係合凹部20は、縦壁15aの下部内面に形成されているが、縦壁15aの上下方向全域に形成されていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0047】
以上説明したように、本発明は、車両用インストルメントパネルの裏側に車幅方向に架け渡され、インストルメントパネルとステアリングとを支持するインストルメントパネルメンバーについて有用である。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の実施形態にかかるインストルメントパネルメンバーの側面図である。
【図2】インストルメントパネルメンバーの背面図である。
【図3】インストルメントパネルメンバーの斜視図である。
【図4】運転席側メンバー部材の斜視図である。
【図5】図4のV−V線断面図である。
【図6】図4のVI−VI線断面図である。
【図7】図4のVII−VII線断面図である。
【図8】助手席側メンバー部材の斜視図である。
【図9】図8のIX−IX線断面図である。
【図10】図8のX−X線断面図である。
【図11】運転席側メンバーフレーム部及び助手席側メンバー部材の接合部分を示す拡大平面図である。
【図12】図11のXII−XII線断面図である。
【符号の説明】
【0049】
1 インストルメントパネルメンバー
2 インストルメントパネル
3 ステアリング
7 フロア部
10 運転席側メンバー部材
13 取付用脚部
15 運転席側メンバーフレーム部
15a 縦壁
20 係合凹部
21 係合部
30 助手席側メンバー部材
31a 後壁
40 接合用ブラケット
41 押圧部
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用インストルメントパネルの裏側に車幅方向に架け渡されるインストルメントパネルメンバーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より車両用インストルメントパネルの裏側に車幅方向に架け渡され、インストルメントパネルとステアリングとを支持するインストルメントパネルメンバーは知られている。このインストルメントパネルメンバーは、ステアリングに掛かる荷重を支持し、かつその振動を抑えるための十分な剛性が必要とされる。
【0003】
このようなインストルメントパネルメンバーには、例えば、特許文献1のように、車幅方向に延びる本体部と、ステアリング支持部などの部品とを一体にダイキャスティング成形すると共に、本体部の断面を車体前方に開放した略コ字状として、部品点数が少なく、剛性を高くしたものが知られている。
【0004】
しかし、このインストルメントパネルメンバーでは、全体をダイキャスティング成形しているため質量が重く、また、鋳型が大きくなって製造コストが高くなるという問題があった。
【0005】
そこで、本体部を運転席側メンバーフレーム部と助手席側メンバー部材とに分割し、ステアリングが取り付けられる運転席側メンバーフレーム部に比べて荷重が掛かり難い助手席側メンバー部材を、質量の軽い材料で形成することが考えられる。このことで、インストルメントパネルメンバー全体の質量を抑えると共に、運転席側メンバーフレーム部の鋳型を小さくし、金属材料及び鋳型の費用を抑えることができる。
【特許文献1】特開平8−67272号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、このようにインストルメントパネルメンバーの本体部を運転席側メンバーフレーム部と助手席側メンバー部材とに分けて成形し、これらを接合する場合、この接合を堅固なものとしなければ、ステアリングなどから本体部に作用する荷重によって、振動が発生したり接合部が破断したりするおそれがある。
【0007】
一方、両者を単にボルト締めによって接合しようとすると、位置合わせが困難であり、締め付けに手間がかかるという問題があった。
【0008】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、運転席側メンバーフレーム部と助手席側メンバー部材との接合を堅固なものとすると共に、その接合を容易に行えるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明は、運転席側メンバーフレーム部に助手席側メンバー部材を係合し、これらの接合部を接合用ブラケットによって前後方向に締め付けることとした。
【0010】
具体的には、第1の発明では、車両用インストルメントパネルの裏側に車幅方向に架け渡されるインストルメントパネルメンバーを前提とする。
【0011】
そして、上記インストルメントパネルメンバーは、車幅方向に延び、一端側で運転席側の車体側壁に取り付けられ、上記インストルメントパネル及びステアリングが取り付けられる運転席側メンバーフレーム部と、運転席側メンバーフレーム部の他端側の下側から車体フロア部へ延び、フロア部に取り付けられる取付用脚部とを備えた運転席側メンバー部材と、車幅方向に延び、一端側で運転席側メンバーフレーム部の他端に接合されて、他端側で助手席側の車体側壁に取り付けられる助手席側メンバー部材とを備える構成としている。
【0012】
また、上記運転席側メンバーフレーム部は縦壁を有した前方開放の断面略コ字状に形成され、助手席側メンバー部材は下方開放の断面略コ字状に形成されている。
【0013】
さらに、運転席側メンバーフレーム部における他端縦壁の内面には、後方へ凹陥した係合凹部が形成されると共に、助手席側メンバー部材の一端の後壁には、運転席側メンバーフレーム部の係合凹部に対応する位置に後方へ突出する係合部が形成されている。
【0014】
そして、インストルメントパネルメンバーは、運転席側メンバーフレーム部の係合凹部に助手席側メンバー部材の係合部を係合した状態で、助手席側メンバー部材の前壁を押圧する押圧部を有し、運転席側メンバーフレーム部と助手席側メンバー部材との接合部を前後方向に締め付ける接合用ブラケットを備えるものとする。
【0015】
第2の発明では、上記接合用ブラケットは、運転席側メンバーフレーム部の上壁及び下壁を連結するものとする。
【0016】
第3の発明では、上記助手席側メンバー部材は樹脂製とする。
【発明の効果】
【0017】
上記第1の発明によれば、運転席側メンバーフレーム部の縦壁内面に形成した係合凹部に、助手席側メンバー部材の後壁に形成した係合部を係合した状態で、これらの接合部を接合用ブラケットにより前後方向に締め付けている。このため、係合凹部と係合部との係合によって、運転席側メンバーフレーム部と助手席側メンバー部材との接合の位置合わせがし易くなるので、その接合を容易に行うことができる。さらに、運転席側メンバーフレーム部と助手席側メンバー部材とが、係合凹部と係合部との係合によって車幅方向及び上下方向に固定され、接合用ブラケットによって前後方向に固定される。このため、運転席側メンバーフレーム部と助手席側メンバー部材との接合を堅固なものとすることができる。
【0018】
上記第2の発明によれば、上記接合用ブラケットによって、運転席側メンバーフレーム部の上壁及び下壁を連結している。このため、接合用ブラケットの締め付けによって、運転席側メンバーフレーム部の略コ字状断面の開放部の口開きを防止することができる。
【0019】
上記第3の発明によれば、上記助手席側メンバー部材を樹脂製としている。このため、助手席側メンバー部材の略コ字状断面の開放部が、接合用ブラケットの締め付けによって口閉じ方向に撓み易くなるので、接合用ブラケットによる接合を容易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0021】
−インストルメントパネルメンバーの構成−
図1〜図3に本発明の実施形態にかかるインストルメントパネルメンバー1を示す。このインストルメントパネルメンバー1は、車両用のインストルメントパネル2の裏側に車幅方向に架け渡され、インストルメントパネル2とステアリング3とを支持するものである。本実施形態では、左側ハンドル車のインストルメントパネルメンバー1を示し、このインストルメントパネルメンバー1は、左側の運転席側メンバー部材10と右側の助手席側メンバー部材30とを備えている。
【0022】
図4にも示すように、上記運転席側メンバー部材10は、運転席側メンバーフレーム部15と運転席側取付部11とダッシュパネル側取付部12と取付用脚部13とステアリング支持部14とが一体にダイキャスティング(鋳型鋳造)成形されたものである。本実施形態では、運転席側メンバー部材10は、マグネシウム合金製となっている。
【0023】
具体的には、上記運転席側メンバー部材10は、車幅方向に延び、略垂直な縦壁15aを有した前方開放の略コ字状断面の上記運転席側メンバーフレーム部15を備えている。この運転席側メンバーフレーム部15の左端部に上記運転席側取付部11が設けられている。この運転席側取付部11は、左側に向かって前方に傾斜するように延びる平板部11aを有し、この平板部11aに2つのボルト挿通孔11bが設けられている。このボルト挿通孔11bに後方から図示しないボルトを通し、運転席側の車体側壁としての左側サイドパネル4(図2にのみ示す)側に締め付けることで、運転席側メンバー部材10が左側サイドパネル4に取り付けられるようになっている。なお、図5に示すように、上記運転席側メンバーフレーム部15の前端には、略車幅方向全域に上下方向に延びるフランジ部15bが設けられている。また、運転席側メンバーフレーム部15の内部には、補強用として正面視でX字状の複数の運転席側補強リブ15cが所定の間隔で設けられている(図4に一部のみ破線で示している)。
【0024】
また、上記運転席側メンバーフレーム部15における車幅方向中央部よりも右側に上記ダッシュパネル側取付部12が前方へ突出するように形成されている。このダッシュパネル側取付部12は、上記ステアリング支持部14近傍の上記運転席側メンバーフレーム部15の縦壁15aからエンジンルームと車室とを区画するダッシュパネル5側に向かって延びている。図6に示すように、ダッシュパネル側取付部12は、上方が開放し、平面視で略台形の短辺が前側となるボックス形状を有し、このボックス形状の前側縦壁部12aは、上記ダッシュパネル5の傾斜面に対応するように前方に向かって上方へ傾斜する形を有している。この前側縦壁部12aに上記ダッシュパネル5との締結孔12bが形成されている。この締結孔12bに図示しないボルトを前方に向かって斜め下方に挿通してダッシュパネル5側に締め付けることで、ダッシュパネル側取付部12がダッシュパネル5に取り付けられるようになっている。ダッシュパネル側取付部12の底壁部12cは、運転席側メンバーフレーム部15の縦壁15aの上下方向中間部から前方へ延びていて、その下面と運転席側メンバーフレーム部15の下壁との間には、底壁部12cに対して傾斜した複数の補強リブ16が交差するように設けられるなどにより、補強されている。
【0025】
また、上記運転席側メンバーフレーム部15の右側下面には、上記取付用脚部13が車体フロア部7へ延設され、この取付用脚部13がフロア部7から上方へ突出したトンネル部7aの側壁に取り付けられるようになっている。すなわち、取付用脚部13の下端部には、取付板13aが略垂直に設けられ、この取付板13aに設けた取付孔13bに側方から図示しないボルトを挿通してトンネル部7aに締め付けることで、取付用脚部13がフロア部7に取り付けられる。図7に示すように、この取付用脚部13は、前方が開放された断面略コ字状に形成され、上下方向の所定の間隔に略水平な補強用仕切り板13cが設けられている。なお、図4には、その一部のみを破線で示している。
【0026】
このように、上記運転席側メンバー部材10は、左側サイドパネル4とダッシュパネル5とフロア部7とに三点支持されるように構成されている。
【0027】
さらに、運転席側メンバー部材10における車幅方向中央部のダッシュパネル側取付部12の近傍に上記ステアリング支持部14が設けられている。このステアリング支持部14は、運転席側メンバーフレーム部15の縦壁15aから後方に延び、かつその下壁から下側に延びる一対の対向する狭持部14aからなり、各狭持部14aの後端側に設けた貫通孔14bとステアリング3に設けた貫通孔(図示せず)とに車幅方向に延びる支承軸(図示せず)を挿通することで、ステアリング3がステアリング支持部14に支持されるようになっている。
【0028】
一方、図8及び図9に示すように、上記助手席側メンバー部材30は、下方が開放した断面略コ字状の樹脂成形品よりなり、車幅方向に延びて上記運転席側メンバー部材10の運転席側メンバーフレーム部15の右端部に挿入される柱状部31を有している。この柱状部31の右端部には、助手席側の車体側壁としての右側サイドパネル8(図2にのみ示す)に取り付けられる助手席側取付部32が一体に形成されている。この助手席側取付部32は、上記運転席側メンバー部材10の運転席側取付部11と対称的な形状を有している。助手席側取付部32は、その右側に向かって前方に傾斜するように延びる平板部32aを有し、この平板部32aに2つのボルト挿通孔32bが設けられている。このボルト挿通孔32bに図示しないボルトを通し、右側サイドパネル8側に締め付けることで、助手席側メンバー部材30が右側サイドパネル8に取り付けられるようになっている。なお、柱状部31の内部には、所定の間隔で補強用として垂直な仕切り板33が複数設けられ、その仕切り板33の間に平面視でX字状の助手席側補強リブ34が設けられている。図8にその一部のみを破線で示している。
【0029】
また、上記助手席側メンバー部材30の左側には、インストルメントパネル取付部35が形成されている。このインストルメントパネル取付部35は、柱状部31の後壁31aから後方に延びる水平部材35aと柱状部31の後壁31aの下端から下方へ延びる垂下部材35bとからなり、図示しないインストルメントパネル2の貫通孔にボルトを挿通して水平部材35a及び垂下部材35bに設けられた貫通孔35cに締結することで、インストルメントパネル2がインストルメントパネル取付部35に取り付けられるように構成されている。
【0030】
また、図10に示すように、上記助手席側メンバー部材30の柱状部31の左右方向中間部には、2つのエアバッグモジュール取付部36が設けられている。このエアバッグモジュール取付部36は、柱状部31の前壁31bから後方へ向かって斜め上方へ延びる取付板36aと、柱状部31の上壁から後壁31aにわたって切り欠かれた開口部36bとを備えている。この開口部36bの左右には、開口部36bを補強するための仕切り板37が設けられている。上記取付板36aには、上下方向に貫通されたボルト挿通孔36cが設けられ、このボルト挿通孔36cに図示しないボルトが通され、エアバッグモジュール側に締結されることで、エアバッグモジュールがインストルメントパネルメンバー1に固定されるようになっている。
【0031】
図11及び図12に示すように、上記運転席側メンバー部材10と助手席側メンバー部材30とは、運転席側メンバー部材10の運転席側メンバーフレーム部15に形成された係合凹部20と助手席側メンバー部材30に形成された係合部21とが係合した状態で、接合用ブラケット40により接合されている。なお、図2及び図3において、接合用ブラケット40は省略されている。この接合用ブラケット40は、矩形板状の押圧部41と、この押圧部41の上端から後方へ突出した後、下方へ突出した断面L字状の係合部42と、押圧部41の下端から前方に突出した後、下方へ突出する断面L字状の締結部43とを備えている。押圧部41の後面には、後方へ突出する複数の押付け部44が形成されている。なお、押圧部41の左右端部には、前方へ突出する側面視三角形状の補強リブ45が形成され、その下端部が締結部43に連続している。
【0032】
上記運転席側メンバー部材10の運転席側メンバーフレーム部15の右端側の内部には、右端から所定の距離を空けた部分に挿入側仕切り板15dが設けられている。この挿入側仕切り板15dに、運転席側メンバーフレーム部15の内部に配設された助手席側メンバー部材30の左端が当接して、運転席側メンバーフレーム部15に対する助手席側メンバー部材30の左方向への位置が決められている。また、運転席側メンバーフレーム部15の下壁には前方へ延びた後、下方へ垂下し、上記接合用ブラケット40の締結部43の後面に当接する被締結部15fが形成されている。なお、この被締結部15fには、側面視三角形状の補強用リブ15gが形成されている。
【0033】
一方、運転席側メンバーフレーム部15における縦壁15aの下部内面の、上記挿入側仕切り板15dの右方(図11の下側)には、後方へ凹陥された係合凹部20が形成されている。この係合凹部20は、平面視で短辺が後方となる略台形に形成されている。また、上記助手席側メンバー部材30の後壁31aの上記運転席側メンバーフレーム部15の係合凹部20に対応する位置には、係合凹部20の内側に略沿うように後方へ突出する係合部21が形成されている。この係合部21は、平面視で短辺が後方となる略台形に形成されている。
【0034】
−インストルメントパネルメンバーの接合手順−
次に、インストルメントパネルメンバー1の助手席側メンバー部材30を運転席側メンバーフレーム部15に接合する手順について説明する。
【0035】
まず、運転席側メンバーフレーム部15の右端から助手席側メンバー部材30の左端を挿入する。このとき、助手席側メンバー部材30の左端が、上記運転席側メンバーフレーム部15の挿入側仕切り板31dに当接する位置まで挿入する。そして、助手席側メンバー部材30を後方へ移動させる。すると、運転席側メンバーフレーム部15の係合凹部20に助手席側メンバー部材30の係合部21が係合する。
【0036】
次いで、上記接合用ブラケット40の断面L字状係合部42を運転席側メンバーフレーム部15のフランジ部15bに上方から係止し、運転席側メンバーフレーム部15の被締結部15fの貫通孔と接合用ブラケット40側の貫通孔とにボルト17を後方から挿入し、接合用ブラケット40側のナット18で締め付ける。このことで、接合用ブラケット40の押付け部44が助手席側メンバー部材30の柱状部31の前壁31bを徐々に押し付け、運転席側メンバーフレーム部15の係合凹部20と助手席側メンバー部材30の係合部21とが確実に係合される。また、接合用ブラケット40の断面L字状係合部42と運転席側メンバーフレーム部15のフランジ部15bとの係合とボルト17とナット18との締結によって、運転席側メンバーフレーム部15の上壁及び下壁が連結されて固定される。
【0037】
このようにして、上記運転席側メンバーフレーム部15と助手席側メンバー部材30とは、車幅方向には、助手席側メンバー部材30の係合部21の左右外側面21aが運転席側メンバーフレーム部15の係合凹部20の左右内側面20aに挟まれた状態で固定されている。また、前後方向には、接合用ブラケット40の締め付けによって固定され、上下方向には、接合用ブラケット40の締め付け及び係合凹部20と係合部21との係合によって固定されている。
【0038】
−実施形態の効果−
したがって、本実施形態のインストルメントパネルメンバー1によると、運転席側メンバーフレーム部15の他端縦壁15aの内面に形成した係合凹部20に、助手席側メンバー部材30の一端後壁31aに形成した係合部21を係合した状態で、これらの接合部を接合用ブラケット40により前後方向に締め付けている。このため、係合凹部20と係合部21との係合によって、運転席側メンバーフレーム部15と助手席側メンバー部材30との位置合わせがし易くなるので、その接合を容易に行うことができる。さらに、運転席側メンバーフレーム部15と助手席側メンバー部材30とが、係合凹部20と係合部21との係合によって車幅方向及び上下方向に固定され、接合用ブラケット40によって前後方向に固定される。このため、運転席側メンバーフレーム部15と助手席側メンバー部材30との接合を堅固なものとすることができる。
【0039】
また、上記接合用ブラケット40によって、運転席側メンバーフレーム部15の上壁及び下壁を連結している。このため、接合用ブラケット40の締め付けによって、運転席側メンバーフレーム部15の略コ字状断面の開放部の口開きを防止することができる。
【0040】
また、上記助手席側メンバー部材30を樹脂製としている。このため、助手席側メンバー部材30の略コ字状断面の開放部が、接合用ブラケット40の締め付けによって口閉じ方向に撓み易くなるので、接合用ブラケット40による接合を容易に行うことができる。
【0041】
(その他の実施形態)
本発明は、上記実施形態について、以下のような構成としてもよい。
【0042】
上記実施形態では、インストルメントパネルメンバー1は、左側ハンドル用のものとしたが、右側ハンドル用であってもよい。
【0043】
また、上記実施形態では、運転席側メンバー部材10はマグネシウム合金製としたが、他の金属であってもよい。
【0044】
また、上記実施形態では、助手席側メンバー部材30は下方開放の断面略コ字状に成形されているが、上方開放の断面略コ字状に成形されていてもよい。
【0045】
また、上記実施形態では、接合用ブラケット40は、押付け部44を有するものとしたが、これを有していなくてもよく、押圧部41の後面全体で助手席側メンバー部材30の前壁31bを押し付けるものとしてもよい。
【0046】
また、上記実施形態では、運転席側メンバーフレーム部15の係合凹部20は、縦壁15aの下部内面に形成されているが、縦壁15aの上下方向全域に形成されていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0047】
以上説明したように、本発明は、車両用インストルメントパネルの裏側に車幅方向に架け渡され、インストルメントパネルとステアリングとを支持するインストルメントパネルメンバーについて有用である。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の実施形態にかかるインストルメントパネルメンバーの側面図である。
【図2】インストルメントパネルメンバーの背面図である。
【図3】インストルメントパネルメンバーの斜視図である。
【図4】運転席側メンバー部材の斜視図である。
【図5】図4のV−V線断面図である。
【図6】図4のVI−VI線断面図である。
【図7】図4のVII−VII線断面図である。
【図8】助手席側メンバー部材の斜視図である。
【図9】図8のIX−IX線断面図である。
【図10】図8のX−X線断面図である。
【図11】運転席側メンバーフレーム部及び助手席側メンバー部材の接合部分を示す拡大平面図である。
【図12】図11のXII−XII線断面図である。
【符号の説明】
【0049】
1 インストルメントパネルメンバー
2 インストルメントパネル
3 ステアリング
7 フロア部
10 運転席側メンバー部材
13 取付用脚部
15 運転席側メンバーフレーム部
15a 縦壁
20 係合凹部
21 係合部
30 助手席側メンバー部材
31a 後壁
40 接合用ブラケット
41 押圧部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用インストルメントパネルの裏側に車幅方向に架け渡されるインストルメントパネルメンバーにおいて、
車幅方向に延び、一端側で運転席側の車体側壁に取り付けられ、上記インストルメントパネル及びステアリングが取り付けられる運転席側メンバーフレーム部と、該運転席側メンバーフレーム部の他端側の下側から車体フロア部へ延び、該フロア部に取り付けられる取付用脚部とを備えた運転席側メンバー部材と、
車幅方向に延び、一端側で上記運転席側メンバーフレーム部の他端に接合されて、他端側で助手席側の車体側壁に取り付けられる助手席側メンバー部材とを備え、
上記運転席側メンバーフレーム部は縦壁を有した前方開放の断面略コ字状に形成され、上記助手席側メンバー部材は下方開放の断面略コ字状に形成され、
上記運転席側メンバーフレーム部における他端縦壁の内面には、後方へ凹陥された係合凹部が形成されると共に、上記助手席側メンバー部材の一端の後壁には、該運転席側メンバーフレーム部の係合凹部に対応する位置に後方へ突出する係合部が形成され、
上記運転席側メンバーフレーム部の係合凹部に上記助手席側メンバー部材の係合部が係合した状態で、該助手席側メンバー部材の前壁を押圧する押圧部を有し、上記運転席側メンバーフレーム部と該助手席側メンバー部材との接合部を前後方向に締め付ける接合用ブラケットを備えていることを特徴とするインストルメントパネルメンバー。
【請求項2】
請求項1のインストルメントパネルメンバーにおいて、
上記接合用ブラケットは、上記運転席側メンバーフレーム部の上壁及び下壁を連結していることを特徴とするインストルメントパネルメンバー。
【請求項3】
請求項1又は2のインストルメントパネルメンバーにおいて、
上記助手席側メンバー部材は、樹脂製であることを特徴とするインストルメントパネルメンバー。
【請求項1】
車両用インストルメントパネルの裏側に車幅方向に架け渡されるインストルメントパネルメンバーにおいて、
車幅方向に延び、一端側で運転席側の車体側壁に取り付けられ、上記インストルメントパネル及びステアリングが取り付けられる運転席側メンバーフレーム部と、該運転席側メンバーフレーム部の他端側の下側から車体フロア部へ延び、該フロア部に取り付けられる取付用脚部とを備えた運転席側メンバー部材と、
車幅方向に延び、一端側で上記運転席側メンバーフレーム部の他端に接合されて、他端側で助手席側の車体側壁に取り付けられる助手席側メンバー部材とを備え、
上記運転席側メンバーフレーム部は縦壁を有した前方開放の断面略コ字状に形成され、上記助手席側メンバー部材は下方開放の断面略コ字状に形成され、
上記運転席側メンバーフレーム部における他端縦壁の内面には、後方へ凹陥された係合凹部が形成されると共に、上記助手席側メンバー部材の一端の後壁には、該運転席側メンバーフレーム部の係合凹部に対応する位置に後方へ突出する係合部が形成され、
上記運転席側メンバーフレーム部の係合凹部に上記助手席側メンバー部材の係合部が係合した状態で、該助手席側メンバー部材の前壁を押圧する押圧部を有し、上記運転席側メンバーフレーム部と該助手席側メンバー部材との接合部を前後方向に締め付ける接合用ブラケットを備えていることを特徴とするインストルメントパネルメンバー。
【請求項2】
請求項1のインストルメントパネルメンバーにおいて、
上記接合用ブラケットは、上記運転席側メンバーフレーム部の上壁及び下壁を連結していることを特徴とするインストルメントパネルメンバー。
【請求項3】
請求項1又は2のインストルメントパネルメンバーにおいて、
上記助手席側メンバー部材は、樹脂製であることを特徴とするインストルメントパネルメンバー。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2006−188126(P2006−188126A)
【公開日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−578(P2005−578)
【出願日】平成17年1月5日(2005.1.5)
【出願人】(390026538)西川化成株式会社 (492)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年1月5日(2005.1.5)
【出願人】(390026538)西川化成株式会社 (492)
【Fターム(参考)】
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