説明

インドール誘導体三量体の精製方法、該生成された三量体を含む電極活物質及び該電極活物質の製造方法並びにそれを用いた電気化学セル

【課題】金属不純物を含有するインドール誘導体三量体から、金属不純物を容易に除去する方法を提供する。
【解決手段】金属不純物を含有するインドール誘導体三量体を、水を含む溶媒中で、加熱下にイミダゾール化合物と混合し、得られた混合物から金属不純物のろ過されたインドール誘導体三量体をろ過して分離する。又、プロトン酸を混合することで、インドール誘導体三量体のドーピングが金属不純物除去と同時に行え、電気化学セルの電極活物質として使用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次電池や電気二重層キャパシタ、レドックスキャパシタ、コンデンサなどの電気化学セルの電極活物質として用いられるインドール誘導体の三量体において、金属不純物を含むインドール誘導体三量体から金属不純物を除去する精製方法に関する。また、インドール誘導体三量体のドーピングと含有遷移金属不純物の除去を同時に行う電極活物質の製造方法に関する。又、本発明は、このような方法により製造される高純度インドール誘導体三量体を含む電極活物質に関し、さらにこの電極活物質を用いた電気化学セルに関する。
【背景技術】
【0002】
インドール系化合物は、電荷キャリアとしてプロトンが作用し得る電気化学セルの電極材料として用いられることが知られており、なかでもインドール誘導体の三量体は、有用な電極活物質として知られている。特許文献1には、インドール誘導体の中でも、インドールカルボン酸エステルの三量体が、十分な起電力と容量を有し、しかもサイクル特性に優れた電極活物質となり得ることが開示されている。このようなインドール誘導体三量体の製造方法としては、非特許文献1に開示されるような電解重合法や、特許文献2に開示されるような化学重合法が知られている。
【0003】
非特許文献1には、無置換インドール、5−シアノインドールの電解反応による三量体の合成についての報告がなされている。非特許文献1による方法によって取得したインドール誘導体の三量体は、酸化剤を用いていないため高純度の生成物が得られるが、大量に製造することが困難であり、工業的な製造方法としては適用し難いという課題が残されている。
【0004】
一方、特許文献2に記載の方法は、少なくとも一種の酸化剤と少なくとも一種の有機溶媒と水を含む溶液を、インドール誘導体を含む溶液中に滴下して反応させることを含む製造方法に関するものである。
【0005】
この特許文献に記載の方法は、目的のインドール誘導体三量体を工業的に大量に製造できる方法である。しかしながら、酸化剤として塩化第二鉄や塩化第二銅などの金属化合物を用いるため、得られたインドール誘導体三量体は、重合過程における酸化剤由来の金属成分、ハロゲン成分等が不可避的に混入する。
【0006】
製造されたインドール誘導体三量体を電極活物質として使用するには、ドーパントアニオンをドーピングする。インドール誘導体三量体のドーピング工程は、一般的に、常温下で希硫酸等のドーパントアニオンを含む溶液中で実施される。この段階で、含有不純物が僅かに減少するものの、十分に除去されたとは言い難い。不純物として、特に金属系不純物を含有するインドール誘導体三量体は、これを電極活物質として電気化学セルに適用した場合、不純物の副反応により漏れ電流の増加要因となる。従って、できる限り含有不純物、特に金属系不純物を除去することが望ましい。
【0007】
一般的に、金属系不純物を除去する方法としては、濃硫酸、濃塩酸等の強酸で処理して金属系不純物を溶出する方法が知られているが、インドール誘導体三量体に対してこれらの強酸で処理することは、電極活物質としての性能を低下させる要因となるため、好ましくない。
【0008】
特許文献3には、酸による金属不純物除去に代えて、金属錯体を形成する配位子化合物を使用することが提案されている。この方法で対象とされるナノスケールカーボンチューブ又は遷移金属もしくはその合金をチューブ内空間部に内包するナノスケールカーボンチューブ及び遷移金属系不純物を含む炭素質材料は、酸処理では、ナノスケールカーボンチューブのチューブ内空間部に部分内包されている遷移金属又はその合金までも溶出してしまい、遷移金属又はその合金をチューブ内空間部に内包するナノスケールカーボンチューブを変性してしまうことが課題であり、酸を用いない方法を提案している。
【0009】
しかし、本発明が目的とするインドール誘導体三量体は、窒素原子を有する有機化合物であり、特許文献3に記載される方法により金属不純物が除去できるかどうかは全く知られていない。又、前記した通り、希硫酸などの酸によるドーピング処理を、不純物除去と同時に行うことができれば、工業的に極めて有利となる。
【非特許文献1】J. Chem. Soc., Faraday Trans., 93 (1997), 3791p
【特許文献1】特開2005−187893号公報
【特許文献2】WO2002/032903号明細書
【特許文献3】特開2005−154225号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、金属不純物を含有するインドール誘導体三量体から、金属不純物を容易に除去できる精製方法を提供することにある。また本発明は、インドール誘導体三量体のドーピングと含有金属不純物の除去が同時に行える、高純度のインドール誘導体三量体を含む電極活物質の製造方法を提供することにある。
【0011】
さらに、本発明では、このような金属不純物の十分な除去を成し得た電極活物質を用いることで、二次電池や電気二重層キャパシタ、レドックスキャパシタ、コンデンサ等の電気化学セルにおいて、漏れ電流特性に優れた電気化学セルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、上記課題を解決するべく鋭意検討を重ねた結果、金属不純物を含むインドール誘導体三量体を、水を含む溶媒中で、加熱下にイミダゾール化合物と混合し、金属錯体を形成させ、金属錯体を含む液状成分と金属不純物の除去されたインドール誘導体三量体とをろ過分離することにより、簡単にインドール誘導体三量体から金属不純物が効果的に除去できることを見いだした。また、プロトン酸を併用することで、同時にドーピングも可能であることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0013】
すなわち本発明は、金属不純物を含むインドール誘導体三量体から金属不純物を除去するインドール誘導体三量体の精製方法であって、金属不純物を含む下記一般式(1)で表されるインドール誘導体三量体を少なくとも水を含む溶媒中で、加熱下に金属不純物と錯体を形成するイミダゾール化合物と混合し、得られた混合物から金属不純物の除去された前記インドール誘導体三量体を分離する工程を有することを特徴とする精製方法に関する。
【0014】
【化1】

【0015】
(式中、Rは、各々独立に、水素原子、ヒドロキシル基、カルボキシル基、ニトロ基、ビニル基、ハロゲン原子、アシル基、シアノ基、アミノ基、トリフルオロメチル基、スルホニル基、スルホン酸基、トリフルオロメチルチオ基、カルボン酸エステル基、スルホン酸エステル基、アルコキシル基、アルキルチオ基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アルキル基、アリール基、又は、ヘテロ環式化合物残基を表す。)
【0016】
又、本発明は、プロトン源を含む電解質を含有し、充放電に伴う酸化還元反応において電荷キャリアとしてプロトンが作用するように動作し得る電気化学セルの電極活物質の製造方法であって、金属不純物を含む前記一般式(1)で表されるインドール誘導体三量体を、電気化学セルに使用される電解質と同一化学種のアニオンを含むプロトン酸の水溶液と加熱下に混合し、次いで/又は同時に、金属不純物と金属錯体を形成するイミダゾール化合物を混合し、得られた混合物から金属不純物の除去され、プロトン酸アニオンがドープされた前記インドール誘導体三量体を分離する工程を有することを特徴とする電極活物質の製造方法に関する。
【0017】
さらに本発明は、上記製造方法で得られ、インドール誘導体三量体を好ましくは95%以上の純度で含む電極活物質に関する。
【0018】
加えて本発明は、プロトン源を含む電解質を含有し、充放電に伴う酸化還元反応において電荷キャリアとしてプロトンが作用するように動作し得る電気化学セルであって、電極活物質として少なくとも上記の電極活物質を含む電気化学セルに関する。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、金属不純物を含有するインドール誘導体三量体から、金属不純物が効率的にしかも簡単に除去することが可能となる。
【0020】
又、プロトン酸を混合することで、金属不純物の除去とドーピングとが同時に行うことができ、電極活物質として使用することで、漏れ電流特性に優れた電気化学セルを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明の適用されるインドール誘導体三量体は、前記特許文献2に記載されるような、遷移金属化合物を酸化剤とする方法により製造されるもので、下記一般式(1)で表される。
【0022】
【化2】

【0023】
(式中、Rは、各々独立に、水素原子、ヒドロキシル基、カルボキシル基、ニトロ基、ビニル基、ハロゲン原子、アシル基、シアノ基、アミノ基、トリフルオロメチル基、スルホニル基、スルホン酸基、トリフルオロメチルチオ基、カルボン酸エステル基、スルホン酸エステル基、アルコキシル基、アルキルチオ基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アルキル基、アリール基、又は、ヘテロ環式化合物残基を表す。)
【0024】
上記一般式(1)において、アシル基としては、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基等の炭素数1〜20のアシル基が挙げられる。
【0025】
カルボン酸エステル基は、COOR’で表され、同様にスルホン酸エステル基は、SO3R’で表される。ここで、R’としては、直鎖又は分岐の炭素数1〜6のアルキル基である。
【0026】
アルキル基、アルコキシル基、アルキルチオ基におけるアルキル成分としては、前記Rとして例示されるヒドロキシル基、カルボキシル基、ニトロ基、ビニル基、ハロゲン原子、アシル基、シアノ基、アミノ基、トリフルオロメチル基、スルホニル基、スルホン酸基、トリフルオロメチルチオ基、カルボン酸エステル基、スルホン酸エステル基、アルコキシル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アリール基、複素環基を置換基として有していてもよい、直鎖、分岐又は環状のアルキル基であり、総炭素数1〜20のものである。
【0027】
アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基中のアリール成分としては、フェニル基、ナフチル基などの炭素数6〜20のアリール基であり、置換基として前記Rとして例示される置換基、すなわち、ヒドロキシル基、カルボキシル基、ニトロ基、ビニル基、ハロゲン原子、アシル基、シアノ基、アミノ基、トリフルオロメチル基、スルホニル基、スルホン酸基、トリフルオロメチルチオ基、カルボン酸エステル基、スルホン酸エステル基、アルコキシル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキル基、アリール基、複素環基を有していてもよい。
【0028】
複素環基としては、炭素数2〜20のヘテロ原子として窒素、酸素、硫黄原子等を含む環状基であり、例えば、フリル、チエニル、ピロリル、イミダゾリル、トリアゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、ピリジル、インドリルなどの基が挙げられる。
【0029】
中でも、カルボン酸エステル基を各インドール単位に少なくとも1つ有するインドール誘導体三量体が好ましい。
【0030】
一般式(1)で表されるインドール誘導体三量体は、相当する下記一般式(2)で表されるインドール単量体から、特許文献2等に記載される酸化剤を用いた化学重合法により製造される。
【0031】
【化3】

(式中、Rは、各々独立に、一般式(1)におけるRと同様の意味を示す。)
【0032】
酸化剤としては、例えば塩化第二鉄六水和物、無水塩化第二鉄、硝酸第二鉄九水和物、硝酸第二鉄、硫酸第二鉄n水和物、硫酸第二鉄アンモニウム十二水和物、過塩素酸第二鉄n水和物、テトラフルオロホウ酸第二第二鉄、塩化第二銅、硫酸第二銅、テトラフルオロホウ酸第二銅、テトラフルオロホウニトロソニウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過ヨウ素酸カリウム、過酸化水素、オゾン、ヘキサシアノ第二鉄酸カリウム、硫酸四アンモニウムセリウム(IV)二水和物、臭素、ヨウ素等が挙げられる。好ましくは塩化第二鉄六水和物、無水塩化第二鉄、硝酸第二鉄九水和物、硝酸第二鉄、硫酸第二鉄n水和物、硫酸第二鉄アンモニウム十二水和物、過塩素酸第二鉄n水和物、テトラフルオロホウ酸第二第二鉄などの鉄化合物を挙げることができ、これらの酸化剤はそれぞれ単独で用いても、或いは二種以上を任意の割合で併用して用いても差し支えない。
【0033】
このように製造されるインドール誘導体三量体は、金属として数質量%の金属不純物を含んでいる。そこで、本発明では、このような金属不純物を除去することを目的とする。又、本発明では、金属不純物の除去と同時に、電極活物質として必要なドーピング処理を行う方法を提供する。以下に、本発明の方法の基本メカニズムについて説明する。
【0034】
1.水を含む溶媒(以下、水性溶媒という)中にインドール誘導体三量体を加熱下に分散することで、インドール誘導体三量体内に含有される金属不純物を水性溶媒中に溶出させる。このとき、水性溶媒にプロトン酸を添加することにより、金属不純物の溶出が促進され、又、インドール誘導体三量体に任意のプロトン酸アニオンをドーピングさせることができる。
【0035】
2.次いで/又は同時に、イミダゾール化合物を混合することにより、溶出した金属不純物とイミダゾール化合物とが金属錯体を形成する。
【0036】
3.この反応溶液からインドール誘導体三量体と反応溶媒に溶解している金属錯体とを分離する。
【0037】
上記1.においては、インドール誘導体三量体と水性溶媒との混合物を昇温し、或いはインドール誘導体三量体を加熱した後に水性溶媒を添加することにより、凝集されたインドール誘導体三量体粒子をより均一に分散させることができる。又、プロトン酸を添加しておくことで、均一なドーピングがなされる。さらに、インドール誘導体三量体粒子に対するプロトン酸の浸透性が向上するため、含有金属不純物の溶出が促進され、希硫酸等の希酸を用いた場合においても十分な金属不純物の除去効果を得ることができる。又、この際、プロトン酸の浸透に伴い、粒子の膨張が起こり、粒子に物理的に吸着している未反応原料などの不純物が脱離し易い状態となり、より効果的に不純物を除去することができる。
【0038】
次に、上記2.に示すように、イミダゾール化合物を添加することにより、溶出した金属に対してイミダゾールの窒素が配位し、錯体を形成する。このように錯体化することにより、インドール誘導体三量体粒子への金属の再付着が防止でき、又、得られる錯体は、使用する溶媒に対して溶解状態で存在し得るため、上記3.に示す通り、ろ過等の簡便な分離方法により、インドール誘導体三量体粒子と容易に分離することができる。
【0039】
本発明では、溶媒として、水を含む溶媒を使用する。水と共に使用可能な溶媒としては、インドール誘導体三量体の分散状態を保持でき、水と相溶性のある溶媒が使用でき、例えば、アルコール類やケトン類などが使用できる。溶媒としては、実質的に水のみを使用することが好ましい。
【0040】
プロトン酸としては、硫酸、硝酸、塩酸、燐酸、テトラフルオロホウ酸、六フッ化燐酸、六フッ化ケイ酸などの無機酸、飽和モノカルボン酸、脂肪族カルボン酸、オキシカルボン酸、p-トルエンスルホン酸、ポリビニルスルホン酸、ラウリン酸などの有機酸が挙げられる。プロトン酸は、30質量%以下の濃度の水溶液として使用することが好ましい。高濃度のプロトン酸を用いると、インドール誘導体三量体の構造劣化により性能が低下してしまう虞がある。又、プロトン酸を使用せず、水を含む溶媒のみを使用して加熱処理することもできる。
【0041】
電極活物質として必要なドーピングを、金属不純物の除去と同時に行うには、電気化学セルに使用される電解質と同一化学種のアニオンを含むプロトン酸を使用する。又、ドーピングは、別に行うことも可能であり、プロトン酸を添加しない水性溶媒中で処理した後に定法によりドーピングを行う、或いはプロトン酸を含む水性溶媒中で処理し、アルカリ等で脱ドープした後、所定のドーパントアニオンを含むプロトン酸で再ドープするなどの方法が挙げられる。また、事前のドーピングを行わずに使用することも可能な場合がある。
【0042】
金属錯体を形成するイミダゾール化合物としては、2,2−ビイミダゾール、2−(2−ピリジル)イミダゾール、1H−イミダゾール等が挙げられる。中でも、1H−イミダゾールが好ましい。これらのイミダゾール化合物は、水への溶解性に優れ、又、金属に対する配位性に優れており、金属錯体化したイミダゾール化合物、及び未反応のイミダゾール化合物はいずれも水性媒体中に溶解しており、インドール誘導体三量体とろ過により容易に分離することができる。
【0043】
インドール誘導体三量体と水性溶媒乃至はプロトン酸を含む水性溶媒との混合は、加熱下に実施される。加熱温度は、インドール誘導体三量体の分解温度以下の温度範囲であれば特に限定されない。インドール誘導体三量体と水性溶媒乃至はプロトン酸を含む水性溶媒と混合した後、加熱する場合は、80℃以上混合物の還流温度以下の温度範囲、好ましくは溶媒の還流温度で加熱することが好ましい。又、あらかじめインドール誘導体三量体を加熱した後、水性溶媒乃至はプロトン酸を含む水性溶媒を添加する場合は、インドール誘導体三量体を100〜300℃の温度範囲、好ましくは180〜270℃の温度範囲に加熱した後、加熱した水性溶媒乃至はプロトン酸を含む水性溶媒、好ましくは沸騰状態の溶媒を添加する。加熱保持時間は特に限定されないが、インドール誘導体三量体の分解温度により近い温度であるほど、処理時間を短く設定することが好ましく、加熱温度によって適宜設定することが望ましい。分解温度付近で長時間加熱すると構造劣化により性能が低下してしまう虞がある。
【0044】
水性溶媒乃至はプロトン酸を含む水性溶媒の混合量は、インドール誘導体三量体が十分に濡れていれば良く、特に限定されないが、通常、インドール誘導体三量体に対して、1〜50質量倍、好ましくは5〜30質量倍、より好ましくは10〜20質量倍用いる。
【0045】
次のイミダゾール化合物の添加・混合も、加熱下に実施されることが好ましい。混合温度は、イミダゾール化合物の沸点以下の温度範囲であれば特に限定されない。また、あらかじめインドール誘導体三量体を加熱してから水性溶媒乃至はプロトン酸を含む水性溶媒を添加する場合は、水性溶媒乃至はプロトン酸を含む水性溶媒と共にイミダゾール化合物を添加してもよい。
【0046】
イミダゾール化合物の使用量は、含有金属不純物と十分に反応し得る量を使用すればよく、特に限定されない。過剰量のイミダゾール化合物を添加しても問題はない。イミダゾール化合物の添加後の処理時間は、含有金属不純物とイミダゾール化合物との錯化反応が進行するに十分な時間であれば良く、加熱温度条件やイミダゾール化合物の添加量に応じて適宜設定すればよい。
【0047】
このように処理された後、反応混合物からインドール誘導体三量体をろ過により分離する。ろ過分離する際、インドール誘導体三量体内に残存している水可溶性の金属錯体或いはイミダゾール化合物との分離効果を高めるために、水、プロトン酸水溶液を用いて洗浄を行っても良い。洗浄溶媒としてプロトン酸水溶液を使用する場合は、加熱混合時に使用したプロトン酸と同じプロトン酸を含むことが好ましい。
【0048】
本発明では、インドール誘導体三量体に含まれる金属不純物以外にも、インドール誘導体三量体の製造過程で使用された有機溶媒、酸化剤成分、未反応原料、低分子量成分、副生成物等も除去されることにより、高純度、特に純度95%以上のインドール誘導体三量体を得ることができる。
【0049】
次に、電気化学セルの構成及び作製方法について説明する。
【0050】
本発明の電気化学セルとは、本発明の方法より得られた高純度インドール誘導体三量体を含む電極活物質を用いて構成されるものであり、プロトン源を含む電解質を含有し、充放電に伴う酸化還元反応において電荷キャリアとしてプロトンが作用する電気化学セルである。
【0051】
このような電気化学セルに使用される電極活物質としては、本発明の方法より得られた高純度インドール誘導体三量体以外に、プロトン伝導型化合物として、プロトン源を含む溶液中で、酸化還元性を有しているものであれば、特に限定されない。
【0052】
例えば、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアセチレン、ポリ−p−フェニレン、ポリフェニレンビニレン、ポリペリナフタレン、ポリフラン、ポリチエニレン、ポリピリジンジイル、ポリイソチアナフテン、ポリキノキサリン、ポリピリジン、ポリピリミジン、ポリインドール、ポリアミノアントラキノン、ポリイミダゾール及びこれらの誘導体などのπ共役系高分子、ポリアントラキノン、ポリベンゾキノンなどのヒドロキシル基(キノン酸素が共役によりヒドロキシル基になったもの)含有高分子、2種以上のモノマーから共重合化された導電性高分子などが挙げられ、これらの高分子にドーピングを施すことによりレドックス対が形成され、導電性が発現するものである。これらの化合物は、その酸化還元電位の差を適宜調整することによって正極及び負極活物質として選択使用される。
【0053】
特に本発明では、正極活物質として一般式(1)で表されるインドール誘導体三量体、負極活物質として、下記一般式(3)で表されるポリフェニルキノキサリン誘導体を用いることが好ましい。
【0054】
【化4】

(式中R”は、各々独立に式(1)のRと同様の意味を示す。)
【0055】
本発明の電気化学素子の構成図を図1に、電気化学セルの構成図を図2に示す。
【0056】
正極集電体1上に正極電極2を、負極集電体4上に負極電極3をそれぞれ形成し、これらを絶縁層(セパレータ)5を介して貼り合わせた構成であり、電荷キャリアとしてプロトンのみが関与するものである。又、電解液としてプロトン源を含む水溶液又は非水溶液が充填されており、ガスケット6により封止して、電気化学素子を作製する(図1)。次に、この電気化学素子の正極側と負極側に端子板7を設けて電気化学素子1個からなる構成の電気化学セルを作製することができる。
【0057】
ここで、正極電極2及び負極電極3は、それぞれ活物質と導電補助剤(例えば、繊維状カーボン(昭和電工製、商品名「VGCF」)若しくは粒子状カーボン(ケッチェンブラックインターナショナル製、商品名「ケッチェンブラックEC600JD」)を活物質に対して1〜50質量部、好ましくは、10〜30質量部混合する。この混合粉末を、常温〜400℃、好ましくは100〜300℃で加圧成型する、若しくは、その混合物を任意の有機溶媒乃至水に分散させたスラリーを調製し、必要に応じてバインダーを活物質に対して1〜20質量部、好ましくは5〜10質量部混合し、導電性基材上にスクリーン印刷等にて印刷して乾燥して作製することができる。
【0058】
バインダー種としては、特に限定されないが、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)やポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などのフッ素系ポリマーが好ましい。分子量としては、使用する溶媒に溶解する範囲であれば特に限定されることなく用いることができる。
【0059】
電解液としては、プロトンを含有する水溶液又は非水溶液を用いる。例えば、酸としては、有機酸又は無機酸であり、具体的には、硫酸、硝酸、塩酸、燐酸、テトラフルオロホウ酸、六フッ化燐酸、六フッ化ケイ酸などの無機酸、飽和モノカルボン酸、脂肪族カルボン酸、オキシカルボン酸、p−トルエンスルホン酸、ポリビニルスルホン酸、ラウリン酸などの有機酸が挙げられる。プロトンの含有量としては、10-3mol/l〜18mol/lが好ましく、10-1mol/l〜7mol/lがより好ましい。
【0060】
絶縁層(セパレータ)5は、電気化学セルの正極・負極間を電気的に絶縁でき、電解液、特にプロトンの移動を阻害しない多孔質のものであれば特に限定されずに使用できる。例えば、ポリオレフィン系多孔質膜やイオン交換膜が挙げられる。厚みとしては、特に限定されないが、通常10〜200μm、より好ましくは10〜80μmである。
【0061】
電気化学セルの外装形状は、コイン型、ラミネート型などが可能であり、特に限定されるものではない。
【0062】
本発明の電気化学セルは、充放電に伴う酸化還元反応において電荷キャリアとしてプロトンのみが作用するように動作し得るもの、より具体的には、プロトン源を含む電解質を含有し、充放電に伴う酸化還元反応の電子授受において、電極活物質のプロトンの吸脱着のみが関与するように動作し得るものが好ましい。
【実施例】
【0063】
以下、実施例に基づき本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0064】
製造例1(インドール誘導体三量体の製造)
200mlの三口フラスコにアセトニトリル10mlを装入し、インドール−6−カルボン酸メチル単量体を1.42g溶解した。一方、酸化剤溶液の調製は、アセトニトリル40mlに対して、無水塩化第二鉄を16.2g、水5.4gを添加して溶解し、10分間撹拌することにより行った。次に、フラスコ中のインドール−6−カルボン酸メチル単量体のアセトニトリル溶液中に、調製した酸化剤溶液を30分かけて滴下した後、10時間、60℃にて撹拌した。反応溶液は、薄黄色から緑色に変化した。ここで、反応を止め、吸引ろ過し、常温下でアセトニトリル、次いでメタノールで洗浄し、大気中で120℃、5時間乾燥させて、6,11−ジヒドロ−5H−ジインドロ[2,3−a:2’,3’−c]カルバゾール−3,8,13−トリカルボン酸トリメチルエステル(インドール−6−カルボン酸メチル三量体)1.12gを緑色粉末として得た。
【0065】
得られたインドール誘導体三量体は、HPLC分析により面積値からその純度を算出し、又、金属不純物量は、ICP発光分析により算出した。これらの結果を表1に示す。
【0066】
実施例1
製造例1で得られた三量体約1gを200mlのビーカーに移し、溶媒として5wt%硫酸水溶液15gを投入して、5分間常温にて撹拌してから、ヒーター温度を180℃まで昇温して30分間保持した。その混合溶媒に1H−イミダゾール8gを混合し、さらに同温度で10分間撹拌しながら保持した。その後、吸引ろ過により、三量体と溶媒を分離し、ろ別された三量体を沸騰水で軽く洗浄した後、乾燥して淡緑色の結晶物を得た。この際、ろ液は黄色であった。
【0067】
実施例2
溶媒として20wt%硫酸水溶液を用いた以外は実施例1と同様にして、実施した。
【0068】
実施例3
溶媒として40wt%硫酸水溶液を用いた以外は実施例1と同様にして、実施した。
【0069】
実施例4
溶媒として20wt%六フッ化燐酸水溶液を用いた以外は実施例1と同様にして、実施した。
【0070】
実施例5
溶媒としてイオン交換水を用いた以外は実施例1と同様に実施した。
【0071】
実施例6
製造例1で得られた三量体約1gを、260℃に加熱し、20wt%六フッ化燐酸水溶液15gと1H−イミダゾール8gからなる混合溶媒を沸騰させた後、両者を混合し、ヒーター温度180℃で5分間撹拌した。その後、実施例1と同様にろ過、洗浄、乾燥して淡緑色の結晶物を得た。
【0072】
実施例7
ヒーター温度を80℃に設定した以外は実施例1と同様に処理した。
【0073】
比較例1
製造例1で得られた三量体約1gを200mlのビーカーに移し、溶媒として20wt%硫酸水溶液15gを投入して、30分間常温にて撹拌してから、ろ過分離し、乾燥して濃緑色の結晶物を得た。
【0074】
以上の実施例1〜7,比較例1で得られた結晶物中の三量体純度、金属不純物量を前記同様に測定した。又、ドーパント量については、イオンクロマトグラフィー分析により算出した。結果を表1に併せて示す。
【0075】
(抵抗率測定)
実施例1,2,3,5,7及び比較例1で製造した結晶物をプレス成形により、厚さ200μmの電極に成型し、四端子抵抗測定器を使用して、電極抵抗率を測定した。結果を表1に併せて示す。
【0076】
(CV試験)
実施例1,2,3,5,7及び比較例1で製造した結晶物のCV試験を実施し、CV容量を測定した。
【0077】
試験サンプルは、各結晶物を導電補助剤として繊維状カーボンVGCFとそれぞれ7:3の質量比に混合し、この混合物にジメチルホルムアミド(DMF)を添加してペースト状にしたものを、50mm×5mmのカーボンシートに成膜して、120℃にて1時間乾燥して製造した。
【0078】
得られた試験サンプルを、20wt%硫酸水溶液中に浸漬し、掃引電位200〜1200mV、掃引速度20mV/sec.の条件でサイクリックボルタンメトリ(CV)曲線を測定した。参照極としてAg/AgCl電極、対極には白金を用いた。
【0079】
(電気化学セルの作製と漏れ電流特性試験)
正極活物質として、実施例1,2,3,5,7及び比較例1で製造した結晶物をそれぞれ用い、導電補助剤として繊維状カーボンVGCF、結着剤としてポリフッ化ビニリデン(平均分子量 1,100)を選択した。これらを記載の順番で69:23:8の質量比となるように調整し、ブレンダーで撹拌・混合した。この混合粉末を10mm角の金型に入れ、200℃、1分間加圧成型することにより正極電極を得た。
【0080】
負極電極には、活物質としてプロトン伝導性高分子であるポリフェニルキノキサリンを用い、導電補助剤として導電性カーボン(「ケッチェンブラックEC600JD」商品名)を選択した。これらの記載の順番で75:25の質量比に調整し、ブレンダーで撹拌・混合した。この混合粉末を10mm角の金型に入れ、300℃、2分間加圧成型することにより負極電極を得た。
【0081】
電解液として20wt%硫酸水溶液を用い、セパレータとして厚さ50μmの多孔質性不織布に電解液を含浸させた。
【0082】
このセパレータを介して、得られた正極電極と負極電極の電極面を対向させて貼り合わせ、ガスケットで外装し、電気化学素子を作製し、正極、負極の両側に端子板を設け、電気化学セルを作製した。
【0083】
このようにして得られた電気化学セルに対し、セルの漏れ電流を測定した。測定は、60℃において、充電条件CCCV:1mA−2.5V,24時間とし、充電終止時の電流値を測定した。
【0084】
結果を表1に併せて示す。
【0085】
【表1】

【0086】
表1に示すように、常温(25℃)にて酸処理のみ実施した比較例1に対し、本発明の実施例では三量体純度が向上し、金属不純物が極めて低下していることが明らかとなった。
【0087】
又、実施例3を除いては、この分析結果に相関して、CV容量が増加しており、電気化学セルの漏れ電流が著しく低下していることが認められた。
【0088】
各実施例の分析結果より、使用したプロトン酸のアニオンがドーピングされており、又、実施例1,2,3,5,7より、使用したプロトン酸濃度に依存してドーピング量と抵抗率が変化していることが認められ、任意のプロトン酸アニオンがドーピングされた高純度インドール誘導体三量体が得られることが確認された。
【0089】
実施例1〜3の結果より、プロトン酸の濃度は30質量%以下であることが良好な結果が得られることが分かった。実施例3の40質量%のプロトン酸を用いた場合、CV容量の低下が認められ、インドール誘導体三量体の構造劣化が示唆される結果が得られた。
【0090】
又、実施例5に示したようにプロトン酸を用いずに金属不純物量を低減できることが確認された。
【0091】
実施例2,4より、プロトン酸の種類に依存せず、高純度のインドール誘導体三量体が得られることが確認された。
【0092】
実施例4,6より、プロトン酸を混合後に加熱しても、加熱した三量体にプロトン酸を添加しても同様に金属不純物除去が可能であることが確認された。
【0093】
又、実施例1〜7より、反応温度によって、金属不純物の除去効果に相違が認められ、100℃以上の場合に良好な除去効果が得られることが確認された。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】本発明の一実施形態になる電気化学素子の断面図である。
【図2】本発明の一実施形態になる電気化学セルの断面図である。
【符号の説明】
【0095】
1 正極集電体
2 正極電極
3 負極電極
4 負極集電体
5 絶縁層(セパレータ)
6 ガスケット
7 端子板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属不純物を含むインドール誘導体三量体から金属不純物を除去するインドール誘導体三量体の精製方法であって、金属不純物を含む下記一般式(1)で表されるインドール誘導体三量体を少なくとも水を含む溶媒中で、加熱下に金属不純物と錯体を形成するイミダゾール化合物と混合し、得られた混合物から金属不純物の除去された前記インドール誘導体三量体を分離する工程を有することを特徴とする精製方法。
【化1】

(式中、Rは、各々独立に、水素原子、ヒドロキシル基、カルボキシル基、ニトロ基、ビニル基、ハロゲン原子、アシル基、シアノ基、アミノ基、トリフルオロメチル基、スルホニル基、スルホン酸基、トリフルオロメチルチオ基、カルボン酸エステル基、スルホン酸エステル基、アルコキシル基、アルキルチオ基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アルキル基、アリール基、又は、ヘテロ環式化合物残基を表す。)
【請求項2】
前記金属不純物を含むインドール誘導体三量体は、下記式(2)で表されるインドール誘導体を金属化合物からなる酸化剤により化学重合して得られたものである請求項1に記載の精製方法。
【化2】

(式中、Rは、各々独立に、一般式(1)におけるRと同様の意味を示す。)
【請求項3】
前記イミダゾール化合物と同時又はイミダゾール化合物との混合前に、前記金属不純物を含むインドール誘導体三量体とプロトン酸とを混合することを特徴とする請求項1に記載の精製方法。
【請求項4】
前記プロトン酸は、30質量%以下の濃度の水溶液として混合されることを特徴とする請求項3に記載の精製方法。
【請求項5】
前記金属不純物は、鉄を金属成分として含有するものであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の精製方法。
【請求項6】
前記イミダゾール化合物が、1H−イミダゾールであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の精製方法。
【請求項7】
前記金属不純物を含むインドール誘導体三量体と、前記水を含む溶媒、イミダゾール化合物及び/又はプロトン酸との混合物が、80℃以上、混合物の還流温度以下の温度範囲で加熱処理されることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の精製方法。
【請求項8】
前記金属不純物を含むインドール誘導体三量体を100〜300℃の温度範囲に加熱した後、前記水を含む溶媒、イミダゾール化合物及び/又はプロトン酸を混合することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の精製方法。
【請求項9】
プロトン源を含む電解質を含有し、充放電に伴う酸化還元反応において電荷キャリアとしてプロトンが作用するように動作し得る電気化学セルの電極活物質の製造方法であって、金属不純物を含む下記一般式(1)で表されるインドール誘導体三量体を、電気化学セルに使用される電解質と同一化学種のアニオンを含むプロトン酸の水溶液と加熱下に混合し、次いで/又は同時に、金属不純物と金属錯体を形成するイミダゾール化合物を混合し、得られた混合物から、金属不純物の除去され、プロトン酸アニオンがドープされた前記インドール誘導体三量体を分離する工程を有することを特徴とする電極活物質の製造方法。
【化3】

(式中、Rは、各々独立に、水素原子、ヒドロキシル基、カルボキシル基、ニトロ基、ビニル基、ハロゲン原子、アシル基、シアノ基、アミノ基、トリフルオロメチル基、スルホニル基、スルホン酸基、トリフルオロメチルチオ基、カルボン酸エステル基、スルホン酸エステル基、アルコキシル基、アルキルチオ基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アルキル基、アリール基、又は、ヘテロ環式化合物残基を表す。)
【請求項10】
前記金属不純物を含むインドール誘導体三量体は、下記式(2)で表されるインドール誘導体を金属化合物からなる酸化剤により化学重合して得られたものである請求項9に記載の電極活物質の製造方法。
【化4】

(式中、Rは、各々独立に、一般式(1)におけるRと同様の意味を示す。)
【請求項11】
前記プロトン酸の水溶液は、30質量%以下の濃度であることを特徴とする請求項9又は10に記載の電極活物質の製造方法。
【請求項12】
前記金属不純物は、鉄を金属成分として含有するものであることを特徴とする請求項9乃至11のいずれか1項に記載の電極活物質の製造方法。
【請求項13】
前記イミダゾール化合物が、1H−イミダゾールであることを特徴とする請求項9乃至12のいずれか1項に記載の精製方法。
【請求項14】
前記金属不純物を含むインドール誘導体三量体と、前記プロトン酸の水溶液又は/及びイミダゾール化合物との混合物を、80℃以上、混合物の還流温度以下の温度範囲で熱処理されることを特徴とする請求項9乃至13のいずれか1項に記載の電極活物質の製造方法。
【請求項15】
前記金属不純物を含むインドール誘導体三量体を100〜300℃の温度範囲に加熱した後、前記プロトン酸の水溶液又は/及びイミダゾール化合物を混合することを特徴とする請求項9乃至13のいずれか1項に記載の電極活物質の製造方法。
【請求項16】
請求項9乃至15のいずれか1項に記載の製造方法で得られるインドール誘導体三量体を含む電極活物質。
【請求項17】
前記インドール誘導体三量体の純度が95%以上である請求項16に記載の電極活物質。
【請求項18】
プロトン源を含む電解質を含有し、充放電に伴う酸化還元反応において電荷キャリアとしてプロトンが作用するように動作し得る電気化学セルであって、電極活物質として少なくとも請求項16又は17に記載の電極活物質を含む電気化学セル。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−119386(P2007−119386A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−312571(P2005−312571)
【出願日】平成17年10月27日(2005.10.27)
【出願人】(000134257)NECトーキン株式会社 (1,832)
【Fターム(参考)】