インピーダンス検出回路、電池電源装置、及び電池利用システム
【課題】交流電源回路を備えることなく二次電池のインピーダンスを測定することができるインピーダンス検出回路、電池電源装置、及び電池利用システムを提供する。
【解決手段】電流検出部3によって検出される電流のピーク値をピーク電流値として検出するピーク電流値検出部41と、電圧検出部2によって検出される端子電圧のピーク値をピーク電圧値として検出するピーク電圧値検出部42と、電流値の変化に対する端子電圧の変化の遅れ時間を検出する遅れ時間検出部43と、電流値及び端子電圧のうちいずれか一方を用いて、当該いずれか一方の変化の過程における一周期を検出する周期検出部44と、ピーク電流値、ピーク電圧値、遅れ時間、及び周期に基づいて、リチウムイオン二次電池Bのインピーダンスを推定するインピーダンス推定部5とを備えた。
【解決手段】電流検出部3によって検出される電流のピーク値をピーク電流値として検出するピーク電流値検出部41と、電圧検出部2によって検出される端子電圧のピーク値をピーク電圧値として検出するピーク電圧値検出部42と、電流値の変化に対する端子電圧の変化の遅れ時間を検出する遅れ時間検出部43と、電流値及び端子電圧のうちいずれか一方を用いて、当該いずれか一方の変化の過程における一周期を検出する周期検出部44と、ピーク電流値、ピーク電圧値、遅れ時間、及び周期に基づいて、リチウムイオン二次電池Bのインピーダンスを推定するインピーダンス推定部5とを備えた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次電池のインピーダンスを検出するインピーダンス検出回路、及びこれを用いた電池電源装置と電池利用システムとに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、二次電池を用いる電源装置内の二次電池の残存容量(充電電気量)を検出する種々の方法が提案されている。特にリチウムイオン二次電池の複素インピーダンス測定値により、残存容量を高精度で検出する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
特許文献1に記載の技術は、複素インピーダンスの測定値から算出される等価回路的抵抗値または等価回路的容量値を用いることで、残存容量を判別できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−82843号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の発明では、二次電池のインピーダンスを測定するために、所定の周波数を有する交流電流を二次電池に流す交流電源回路を備える必要があった。
【0006】
本発明の目的は、交流電源回路を備えることなく二次電池のインピーダンスを測定することができるインピーダンス検出回路、電池電源装置、及び電池利用システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るインピーダンス検出回路は、二次電池に流れる電流の電流値を検出する電流検出部と、前記二次電池の端子電圧を検出する電圧検出部と、前記電流検出部によって検出される電流のピーク値をピーク電流値として検出するピーク電流値検出部と、前記電圧検出部によって検出される端子電圧のピーク値をピーク電圧値として検出するピーク電圧値検出部と、前記電流検出部で検出される電流値の変化に対する前記電圧検出部で検出される端子電圧の変化の遅れ時間を検出する遅れ時間検出部と、前記電流検出部によって検出される電流値及び前記電圧検出部によって検出される端子電圧のうちいずれか一方を用いて、当該いずれか一方の変化の過程における一周期を検出する周期検出部と、前記ピーク電流値検出部で検出されるピーク電流値、前記ピーク電圧値検出部で検出されるピーク電圧値、前記遅れ時間検出部で検出される遅れ時間、及び前記周期検出部で検出される周期に基づいて、前記二次電池のインピーダンスを推定するインピーダンス推定部とを備える。
【0008】
この構成によれば、二次電池に流れる電流値に変動が生じると、ピーク電流値検出部によって、当該電流のピーク値がピーク電流値として検出される。一方、二次電池に流れる電流値に変動が生じると、二次電池の内部インピーダンスに電流が流れることで生じる電圧が変動して端子電圧も変動する。このように端子電圧が変動すると、ピーク電圧値検出部によって、端子電圧のピーク値がピーク電圧値として検出される。このとき、二次電池の内部インピーダンスは複素成分を含む複素インピーダンスであるため、電流値の変動が生じた後端子電圧が変動するまでの間に遅れ時間が生じる。従って、遅れ時間には二次電池の複素インピーダンスが反映されている。
【0009】
そこで、インピーダンス推定部は、ピーク電流値検出部で検出されるピーク電流値、ピーク電圧値検出部で検出されるピーク電圧値、遅れ時間検出部で検出される遅れ時間、及び周期検出部で検出される周期に基づいて、二次電池のインピーダンスを推定することができる。このとき、交流電源回路を用いて外部から二次電池に交流電流を流す必要はないから、交流電源回路を備えることなく二次電池のインピーダンスを測定することができる。
【0010】
また、前記ピーク電流値及び前記ピーク電圧値は、ピークトウピーク値であることが好ましい。
【0011】
例えば電流値ゼロを基準とするピーク値をピーク電流値として用いると、対応する端子電圧のピーク値は二次電池の開路電圧(OCV:Open circuit voltage)を基準とする値となる。そうすると、二次電池の開路電圧は、SOC(State Of Charge)に応じて変化するため、二次電池の開路電圧を検出する必要がある。これに対し、電流値、及び端子電圧のピークトウピーク値をピーク電流値、及びピーク電圧値とすれば、二次電池の開路電圧を検出することなく電流値の変化量に対する端子電圧の変化量を取得することができるので、ピーク電圧値の検出処理が簡素化される。
【0012】
また、前記インピーダンス推定部は、前記周期検出部で検出される周期をtcyc、前記遅れ時間検出部で検出される遅れ時間をtdとすると、下記の式(1)に基づき、当該遅れ時間tdを位相差ωに換算し、前記ピーク電流値、前記ピーク電圧値、及び当該換算されて得られた位相差ωとに基づいて、前記二次電池のインピーダンスを推定することが好ましい。
【0013】
ω=(2π×td)/tcyc ・・・(1)
この構成によれば、周期検出部で検出される周期tcycと、遅れ時間検出部で検出される遅れ時間tdとから、二次電池に流れる電流に含まれる周波数成分と二次電池の端子電圧に含まれる周波数成分との間の位相差ωが得られる。そして、ピーク電流値、ピーク電圧値、及び位相差ωが判明すれば、例えば背景技術に記載されているような公知の方法によって、二次電池のインピーダンスを推定することが可能となる。
【0014】
また、前記インピーダンス推定部は、前記ピーク電流値をIp、前記ピーク電圧値をVpとし、当該ピーク電流値Ip、ピーク電圧値Vp、及び前記位相差ωを下記の式(2)に代入してインピーダンスZについて解くことによって、前記二次電池のインピーダンスZを算出することが好ましい。
【0015】
【数1】
【0016】
この構成によれば、ピーク電流値Ip、ピーク電圧値Vp、及び位相差ωに基づき、二次電池のインピーダンスZを算出することができる。
【0017】
また、前記遅れ時間検出部は、前記電流検出部で検出される電流値がピークになった後、前記電圧検出部で検出される端子電圧がピークになるまでの時間を前記遅れ時間として測定することが好ましい。
【0018】
電流値や端子電圧のピークを検出することは容易であるので、電流値がピークになった後、端子電圧がピークになるまでの時間を遅れ時間として測定するようにすれば、遅れ時間検出部を構成することが容易である。
【0019】
また、前記周期検出部は、前記電流値及び前記端子電圧のうちいずれか一方について、ピークとピークとの間隔を測定し、当該測定された間隔に基づいて前記周期を取得することが好ましい。
【0020】
周期を測定するには、例えば電流値がゼロになってから再びゼロになるまでの時間を、半周期として測定することで、周期を得るようにしてもよい。しかしながら、負荷の消費電流が変動して放電電流に周波数成分が生じた場合や発電量が変動して充電電流に周波数成分が生じた場合等では、必ずしも電流値がゼロになる点を含んで電流が変動するとは限らず、電流値がゼロになる点を基準に周期を測定することが困難な場合がある。
【0021】
そこで、この構成によれば、周期検出部によって、電流値及び端子電圧のうちいずれか一方について、ピークとピークとの間隔が測定され、当該測定された間隔に基づいて周期が取得されるので、電流値がゼロにならない範囲で変動する場合であっても、上述の周期を検出することが可能となる。
【0022】
また、前記インピーダンス推定部によって推定されるインピーダンスに基づき、前記二次電池のSOCを推定するSOC推定部をさらに備えることが好ましい。
【0023】
この構成によれば、インピーダンス推定部によって推定されるインピーダンスに基づき、二次電池のSOCを推定することができる。
【0024】
また、前記二次電池のインピーダンス、当該二次電池に流れる電流の周波数、及び当該二次電池のSOCを、対応付ける対応情報を記憶する記憶部と、前記二次電池に流れる電流の周波数を検出する周波数検出部とをさらに備え、前記SOC推定部は、前記記憶部に記憶されている対応情報によって、前記インピーダンス推定部によって推定されるインピーダンス及び前記周波数検出部によって検出される周波数と対応付けられているSOCを、前記二次電池のSOCとして取得することが好ましい。
【0025】
本発明の発明者は、二次電池のインピーダンスと、当該二次電池に流れる電流の周波数と、当該二次電池のSOCとの間には相関関係があることを見出した。そこで、この相関関係を表す対応情報を、予め記憶部に記憶しておくことで、SOC推定部は、記憶部に記憶されている対応情報によって、インピーダンス推定部によって推定されるインピーダンス及び周波数検出部によって検出される周波数と対応付けられているSOCを、二次電池のSOCとして取得することができる。
【0026】
また、前記周波数検出部は、前記電流値及び前記端子電圧のうちいずれか一方について、予め設定された設定時間の期間内におけるピーク数を計数し、当該ピーク数と前記設定時間とに基づいて、前記周波数を検出することが好ましい。
【0027】
二次電池の電流及び端子電圧に含まれる周波数成分は、例えば負荷の消費電流の変動や発電装置の発電量の変動等の影響に起因して生じるため、必ずしも一定の正確な周波数を有しているわけではない。しかしながら、電流値及び端子電圧のうちいずれか一方について、予め設定された設定時間の期間内におけるピーク数を計数し、当該ピーク数と設定時間とに基づいて、周波数を検出することで、このような不規則な電流、電圧変動を、等価的に所定の周波数を有する周波数成分として取り扱うことが可能となる。
【0028】
また、前記二次電池のインピーダンス、前記遅れ時間、及び当該二次電池のSOCを、対応付ける対応情報を記憶する記憶部をさらに備え、前記SOC推定部は、前記記憶部に記憶されている対応情報によって、前記インピーダンス推定部で推定されるインピーダンス及び前記遅れ時間検出部で検出される遅れ時間と対応付けられているSOCを、前記二次電池のSOCとして取得するようにしてもよい。
【0029】
本発明の発明者は、二次電池のインピーダンスと、前記遅れ時間と、当該二次電池のSOCとの間には相関関係があることを見出した。そこで、この相関関係を表す対応情報を、予め記憶部に記憶しておくことで、SOC推定部は、記憶部に記憶されている対応情報によって、インピーダンス推定部によって推定されるインピーダンス及び遅れ時間検出部で検出される遅れ時間と対応付けられているSOCを、二次電池のSOCとして取得することができる。
【0030】
また、前記インピーダンス推定部によって推定されたインピーダンスが、予め設定された基準範囲内であるか否かを確認し、当該インピーダンスが当該基準範囲外であった場合、前記二次電池に異常が生じていると判定する異常判定部をさらに備えることが好ましい。
【0031】
この構成によれば、インピーダンス推定部によって推定されたインピーダンスが当該基準範囲外であった場合、二次電池に生じた異常を検出することが可能となる。この場合、判定に用いる基準範囲を適宜設定することにより、二次電池が完全に短絡して過電流が流れたり、二次電池が完全に断線(開放)状態になって出力電圧が得られなくなったりする前に、異常を検出することができるので、異常の早期検出が容易となる。
【0032】
また、本発明に係る電池電源装置は、上述のインピーダンス検出回路と、前記二次電池と、を備える。
【0033】
この構成によれば、二次電池を用いた電池電源装置において、交流電源回路を備えることなく二次電池のインピーダンスを測定することができる。
【0034】
また、本発明に係る電池利用システムは、上述のインピーダンス検出回路と、前記二次電池と、前記二次電池を充電する充電部と、前記二次電池から電流の供給を受ける負荷回路とを備える。
【0035】
この構成によれば、二次電池と、二次電池を充電する充電部と、二次電池から電流の供給を受ける負荷回路とを備えた電池利用システムにおいて、交流電源回路を備えることなく二次電池のインピーダンスを測定することができる。
【発明の効果】
【0036】
このような構成のインピーダンス検出回路、電池電源装置、及び電池利用システムでは、二次電池に流れる電流値に変動が生じると、ピーク電流値検出部によって、当該電流のピーク値がピーク電流値として検出される。一方、二次電池に流れる電流値に変動が生じると、二次電池の内部インピーダンスに電流が流れることで生じる電圧が変動して端子電圧も変動する。このように端子電圧が変動すると、ピーク電圧値検出部によって、端子電圧のピーク値がピーク電圧値として検出される。このとき、二次電池の内部インピーダンスは複素成分を含む複素インピーダンスであるため、電流値の変動が生じた後端子電圧が変動するまでの間に遅れ時間が生じる。従って、遅れ時間には二次電池の複素インピーダンスが反映されている。
【0037】
そこで、インピーダンス推定部は、ピーク電流値検出部で検出されるピーク電流値、ピーク電圧値検出部で検出されるピーク電圧値、遅れ時間検出部で検出される遅れ時間、及び周期検出部で検出される周期に基づいて、二次電池のインピーダンスを推定することができる。このとき、交流電源回路を用いて外部から二次電池に交流電流を流す必要はないから、交流電源回路を備えることなく二次電池のインピーダンスを測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の一実施形態に係るインピーダンス検出回路を用いた電池電源装置、及び電池利用システムの一例を示すブロック図である。
【図2】図1に示す記憶部に記憶されている対応情報の一例を、グラフ化した説明図である。
【図3】図1に示す記憶部に記憶されている対応情報の他の一例を、グラフ化した説明図である。
【図4】電流値Iと、端子電圧Vとの変動状態の一例を示すグラフである。図4(a)は端子電圧Vの変動を示し、図4(b)は電流値Iの変動を示している。
【図5】(a)、(b)は、図4(a)、図4(b)に示すグラフの一部を、時間軸について拡大した説明図である。
【図6】図1に示すインピーダンス検出回路の動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、本発明に係る実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、その説明を省略する。図1は、本発明の一実施形態に係るインピーダンス検出回路を用いた電池電源装置、及び電池利用システムの一例を示すブロック図である。
【0040】
図1に示す電池利用システム200は、電池電源装置100と、負荷装置201と、充放電部202とを備えて構成されている。また、図1に示す電池電源装置100は、インピーダンス検出回路1と、リチウムイオン二次電池Bとを備えて構成されている。
【0041】
電池利用システム200は、例えば携帯電話機、パーソナルコンピュータなどのモバイル機器、電動工具、掃除機などのパワーツール、HEV(Hybrid Electric Vehicle)等の電動自動車、電動産業用車両、電動バイク、電動アシスト自転車、電動車椅子、電動ロボットなどの動力装置、ロードレベリング、ピークシフト、バックアップなどのシステム電源等、電池を利用する種々のシステムである。
【0042】
電池電源装置100は、例えば電池パックであってもよく、バックアップ電源装置であってもよく、電池搭載機器の一部として構成されていてもよく、その他の電源装置、システムであってもよい。なお、二次電池の一例としてリチウムイオン二次電池を示したが、二次電池としては、ニッケル水素二次電池や鉛蓄電池等、種々の二次電池を用いることができる。
【0043】
インピーダンス検出回路1には、リチウムイオン二次電池Bと、負荷装置201と、充放電部202とが接続されている。負荷装置201は、例えばHEV(Hybrid Electric Vehicle)等の電気自動車、携帯型パ−ソナルコンピュータや携帯電話機等、リチウムイオン二次電池Bから供給される電力により動作する電池搭載機器、装置における、電力を消費する負荷回路を含む回路部である。
【0044】
充放電部202は、リチウムイオン二次電池Bに電流を供給して充電したり、リチウムイオン二次電池Bから電力の供給を受けて負荷装置201へ供給したりする充放電回路である。
【0045】
例えば、電池利用システム200がHEVである場合、充放電部202は、例えば負荷装置201であるモータを駆動させるために電力が必要なときは、リチウムイオン二次電池Bを放電させてモータへ電力を供給し、例えばモータで回生電流が生じる等して余剰電力が生じたときは、その余剰電力をリチウムイオン二次電池Bに充電する。これにより、例えば車速が変化し、モータの回転数が変動すると、リチウムイオン二次電池Bの充放電電流値も変動することとなる。
【0046】
また、例えば、電池利用システム200がパーソナルコンピュータである場合、充放電部202は、例えば負荷装置201であるパーソナルコンピュータの演算回路が動作するときは、リチウムイオン二次電池Bを放電させて演算回路へ電力を供給し、例えばパーソナルコンピュータが電源オフされたときは、商用電源から充電電流を生成してリチウムイオン二次電池Bへ充電電流を供給する。これにより、例えば演算回路の動作状態が変化して消費電流が変化すると、リチウムイオン二次電池Bの放電電流値も変動することとなる。
【0047】
そして、例えば、インピーダンス検出回路1と、リチウムイオン二次電池Bと、負荷装置201と、充放電部202とが一体に構成されて、電池利用システム200である電池搭載機器が構成されている。インピーダンス検出回路1は、負荷装置201の一部として構成されていてもよく、例えばリチウムイオン二次電池Bを含む電池パックの一部として構成されていてもよい。
【0048】
インピーダンス検出回路1は、電圧検出部2、電流検出部3、フィルタリング部4、インピーダンス推定部5、SOC推定部6、記憶部61、異常判定部7、表示部8、及び通信部9を備える。また、フィルタリング部4は、ピーク電流値検出部41、ピーク電圧値検出部42、遅れ時間検出部43、周期検出部44、及び周波数検出部45を含んでいる。
【0049】
電流検出部3は、例えばシャント抵抗やホール素子、電流変成器等の電流センサとアナログデジタルコンバータとを用いて構成されている。そして、電流検出部3は、充放電部202によって、リチウムイオン二次電池Bに入出力される充放電電流の電流値Iを検出し、電流値Iを示す信号をフィルタリング部4へ出力する。電流検出部3は、例えば、リチウムイオン二次電池Bを充電する方向の電流値をプラス、リチウムイオン二次電池Bが放電する方向の電流値をマイナスで示すようになっている。
【0050】
電圧検出部2は、例えばアナログデジタルコンバータを用いて構成されている。そして、電圧検出部2は、リチウムイオン二次電池Bの端子電圧Vを検出し、端子電圧Vを示す信号をフィルタリング部4へ送信する。
【0051】
記憶部61は、例えばROM(Read Only Memory)を用いて構成されている。記憶部61には、リチウムイオン二次電池Bの複素インピーダンスZの絶対値|Z|、リチウムイオン二次電池Bに流れる電流の周波数f、及びリチウムイオン二次電池BのSOC(State Of Charge)を、対応付ける対応情報が、例えば予め実験的に取得されて予め記憶されている。
【0052】
図2は、記憶部61に記憶されている対応情報の一例を、グラフ化して示した説明図である。記憶部61には、例えば図2に示す対応情報が、LUT(Look Up Table)として予め記憶されている。記憶部61は、例えばSOC推定部6に内蔵されていてもよい。
【0053】
表示部8は、例えばLED(Light Emitting Diode)や液晶表示器等の表示装置である。通信部9は、SOC推定部6によって推定されたSOCや、異常判定部7による判定結果を示す情報を、負荷装置201へ送信する通信インターフェイス回路である。
【0054】
フィルタリング部4、インピーダンス推定部5、SOC推定部6、及び異常判定部7は、例えば所定の演算処理を実行するCPU(Central Processing Unit)と、所定の制御プログラムが記憶されたROMやデータを一時的に記憶するRAM等の記憶部と、タイマ回路と、これらの周辺回路等とを備えたマイクロコンピュータによって構成されている。そして、CPUが、例えばROMに記憶された制御プログラムを実行することにより、ピーク電流値検出部41、ピーク電圧値検出部42、遅れ時間検出部43、周期検出部44、周波数検出部45、インピーダンス推定部5、SOC推定部6、及び異常判定部7として機能する。
【0055】
ピーク電流値検出部41は、電流検出部3によって検出される電流値Iのピークtoピーク値をピーク電流値Ipとして検出する。
【0056】
ピーク電圧値検出部42は、電圧検出部2によって検出される端子電圧Vのピークtoピーク値をピーク電圧値Vpとして検出する。
【0057】
なお、ピーク電流値検出部41は、電流値Iのピーク値をそのままピーク電流値Ipとし、ピーク電圧値検出部42は、リチウムイオン二次電池Bの開路電圧(OCV:Open circuit voltage)と端子電圧Vとの差をピーク電圧値Vpとして検出するようにしてもよい。この場合であっても、電流値Iの変化量に対する端子電圧Vの変化量を取得することができる。
【0058】
しかしながら、この場合、リチウムイオン二次電池Bの開路電圧は、リチウムイオン二次電池BのSOCに応じて変化するため、リチウムイオン二次電池Bの開路電圧を検出する必要がある。これに対し、電流値I、端子電圧Vのピークtoピーク値をピーク電流値Ip、ピーク電圧値Vpとすれば、リチウムイオン二次電池Bの開路電圧を検出することなく電流値Iの変化量に対する端子電圧Vの変化量を取得することができるので、ピーク電圧値の検出処理が簡素化される。
【0059】
遅れ時間検出部43は、電流検出部3で検出された電流値Iの変化に対する電圧検出部2で検出された端子電圧Vの変化の遅れ時間tdを検出する。具体的には、遅れ時間検出部43は、例えば電流値Iがピークになった後、端子電圧Vがピークになるまでの時間を遅れ時間tdとして測定する。
【0060】
周期検出部44は、電圧検出部2によって検出される端子電圧V及び電流検出部3によって検出される電流値Iのうちいずれか一方を用いて、当該いずれか一方の変化の過程における一周期を、周期tcycとして検出する。
【0061】
具体的には、周期検出部44は、例えば端子電圧V及び電流値Iのうちいずれか一方について、上限側ピークから次の上限側ピークまでの間隔、あるいは下限側ピークから次の下限側ピークまでの間隔を周期tcycとして検出する。あるいは、周期検出部44は、例えば端子電圧V及び電流値Iのうちいずれか一方について、上限側ピークから次の下限側ピークまでの間隔、あるいは下限側ピークから次の上限側ピークまでの間隔を(1/2)tcycとして測定し、これを2倍することによって、周期tcycを取得するようにしてもよい。
【0062】
なお、周期検出部44は、例えば電流検出部3によって検出される電流値Iが、ゼロを横切った後、再びゼロを横切るまでの時間を(1/2)tcycとして検出し、これを2倍することによって、周期tcycを取得するようにしてもよい。
【0063】
また、周期検出部44は、複数回、上記周期を検出し、その平均値を周期tcycとして取得するようにしてもよい。
【0064】
フィルタリング部4は、このようにして検出されたピーク電流値Ip、ピーク電圧値Vp、遅れ時間td、及び周期tcycを、インピーダンス推定部5へ出力する。
【0065】
周波数検出部45は、例えば端子電圧V及び電流値Iのうちいずれか一方について、予め設定された設定時間twの期間内における上限側ピークの数Np、あるいは下限側ピークの数Npのうちいずれか一方を計数し、ピーク数Npを設定時間twで除算することにより、周波数fを検出する。
【0066】
あるいは、周波数検出部45は、設定時間twの期間内における上限側ピークと下限側ピークとの合計をピーク数Npとして計数し、f=Np/(2×tw)として周波数fを検出するようにしてもよい。あるいは、周波数検出部45は、設定時間twの期間内において、電流値Iがゼロと交差する回数をピーク数Npとして計数し、f=Np/(2×tw)として周波数fを検出するようにしてもよい。
【0067】
インピーダンス推定部5は、周期検出部44で検出された周期tcyc、遅れ時間検出部43で検出された遅れ時間tdから、下記の式(1)に基づき、遅れ時間tdを位相差ωに換算する。
【0068】
ω=(2π×td)/tcyc ・・・(1)
そして、インピーダンス推定部5は、ピーク電流値検出部41で検出されたピーク電流値Ip、ピーク電圧値検出部42で検出されたピーク電圧値Vp、及び上記換算された位相差ωを下記の式(2)に代入してインピーダンスZについて解くことによって、リチウムイオン二次電池BのインピーダンスZ(|Z|)を算出し、SOC推定部6及び異常判定部7へ出力する。
【0069】
【数1】
【0070】
なお、リチウムイオン二次電池Bの温度を測定する温度測定部をさらに備え、インピーダンス推定部5は、上記式(2)に基づき得られたインピーダンスZを、温度測定部で測定されたリチウムイオン二次電池Bの温度に応じて補正するようにしてもよい。
【0071】
SOC推定部6は、記憶部61に記憶されている対応情報によって、インピーダンス推定部5によって推定されたインピーダンス|Z|及び周波数検出部45によって検出された周波数fと対応付けられているSOCを、リチウムイオン二次電池BのSOCとして取得する。そして、SOC推定部6は、このようにして得られたSOCを、表示部8によって表示させたり、通信部9によって負荷装置201へ送信させたりする。
【0072】
なお、記憶部61に、例えば図3に示すような、リチウムイオン二次電池Bの複素インピーダンスZの絶対値|Z|、遅れ時間td、及びリチウムイオン二次電池BのSOC(State Of Charge)を対応付ける対応情報を、例えば予め実験的に取得してLUTとして記憶させておき、SOC推定部6は、記憶部61に記憶されている対応情報によって、インピーダンス推定部5で推定されたインピーダンス|Z|及び遅れ時間検出部43で検出された遅れ時間tdと対応付けられているSOCを、リチウムイオン二次電池BのSOCとして取得するようにしてもよい。
【0073】
また、SOC推定部6は、例えば下記式(3)で示すような、インピーダンス|Z|とリチウムイオン二次電池Bの充電電気量Qcとの関係を示す関数式を予め記憶しておき、インピーダンス|Z|を式(3)に代入することによって、充電電気量Qcを算出するようにしてもよい。そして、SOC推定部6は、式(4)を用いてSOCを算出するようにしてもよい。
【0074】
Qc=a×Ln(|Z|)+b ・・・(3)
但し、a,bは例えば実験的に求められた定数。
【0075】
SOC=(Qc/FCC)×100 (%) ・・・(4)
但し、FCCは、リチウムイオン二次電池Bの満充電容量。
【0076】
異常判定部7は、インピーダンス推定部5によって推定されたインピーダンス|Z|が、予め設定された基準範囲内であるか否かを確認し、インピーダンス|Z|が基準範囲外であった場合、リチウムイオン二次電池Bに異常が生じていると判定し、その判定結果を表示部8によって表示させたり、通信部9によって負荷装置201へ送信させたりする。
【0077】
上記基準範囲は、例えばリチウムイオン二次電池Bが短絡故障を生じているおそれのあるインピーダンスとして予め設定された下限値Xdと、例えばリチウムイオン二次電池Bが断線故障を生じているおそれのあるインピーダンスとして予め設定された上限値Xuとによって、例えばXd<|Z|<Xuとして予め設定されている。
【0078】
次に、図1に示す電池利用システム200、インピーダンス検出回路1、及び電池電源装置100の動作について説明する。図4は、電流値Iと、端子電圧Vとの変動状態の一例を示すグラフである。図4(a)は端子電圧Vの変動を示し、図4(b)は電流値Iの変動を示している。
【0079】
図4に示すように、負荷装置201の動作状態及び充放電部202の動作に応じて、リチウムイオン二次電池Bに流れる電流値Iが変動する。そして、電流値Iが変動すると、リチウムイオン二次電池Bの内部インピーダンスZに電流が流れることで生じる電圧がわずかに遅れて変動し、端子電圧Vもまた変動する。
【0080】
図5(a)、図5(b)は、図4(a)、図4(b)に示すグラフの一部を、時間軸について拡大した説明図である。また、図6は、インピーダンス検出回路1の動作の一例を示すフローチャートである。
【0081】
まず、ピーク電流値検出部41によって、電流検出部31で検出された電流値Iが監視され、電流値Iのピークtoピーク値がピーク電流値Ipとして検出される(ステップS1)。次に、ピーク電圧値検出部42によって、電圧検出部32で検出された端子電圧Vが監視され、ステップS1においてピーク電流値Ipが検出された電流波形に対応する端子電圧Vのピークtoピーク値がピーク電圧値Vpとして検出される(ステップS2)。
【0082】
次に、遅れ時間検出部43によって、電流値Iがピークになった後、端子電圧Vがピークになるまでの時間が遅れ時間tdとして測定される(ステップS3)。遅れ時間tdは、例えばピーク電流値Ipの測定に用いられた下限側ピークとピーク電圧値Vpの測定に用いられた下限側ピークとの間、あるいはピーク電流値Ipの測定に用いられた上限側ピークとピーク電圧値Vpの測定に用いられた上限側ピークとの間で測定される。
【0083】
次に、周期検出部44によって、例えば電流値Iについて、例えばステップS1においてピーク電流値Ipが検出された下限側ピークから次の下限側ピークまでの間隔が、周期tcycとして検出される(ステップS4)。
【0084】
次に、周波数検出部45によって、例えば電流値Iについて、図4(b)に示す設定時間twの期間内における、上限側ピークの数Npが計数され、ピーク数Npが設定時間twで除算されて、周波数fが算出される(ステップS5)。例えば、図4(b)においては、ピーク数Npは5となる。
【0085】
次に、インピーダンス推定部5によって、周期tcyc、遅れ時間tdから、上記式(1)を用いて位相差ωが算出される(ステップS6)。
【0086】
そして、インピーダンス推定部5は、ピーク電流値Ip、ピーク電圧値Vp、及び位相差ωを上記式(2)に代入し、インピーダンスZについて解くことによって、リチウムイオン二次電池Bのインピーダンス|Z|を算出する(ステップS7)。
【0087】
以上、図1に示すインピーダンス検出回路1は、ステップS1〜S7の処理により、背景技術のように交流電源回路を備えることなく、二次電池の複素インピーダンスZの大きさである|Z|を測定することができる。
【0088】
次に、SOC推定部6によって、記憶部61に記憶されている対応情報が参照され、当該対応情報において、インピーダンス|Z|及び周波数fと対応付けられているSOCが、リチウムイオン二次電池BのSOCとして取得される(ステップS8)。これにより、リチウムイオン二次電池Bの複素インピーダンスZに基づきリチウムイオン二次電池BのSOCを算出することができる。
【0089】
そして、このようにして得られたSOCが、表示部8によって表示され(ステップS9)、通信部9によって負荷装置201へ送信される(ステップS10)。
【0090】
次に、異常判定部7によって、インピーダンス|Z|が、下限値Xd及び上限値Xuと比較され(ステップS11)、Xd<|Z|<Xuであれば(ステップS11でYES)、リチウムイオン二次電池Bのインピーダンスは正常であるから、処理を終了する。一方、Xd<|Z|<Xuでなければ(ステップS11でNO)、リチウムイオン二次電池Bに何らかの異常が生じていると考えられるから、異常判定部7からの指示に応じて、リチウムイオン二次電池Bに異常が生じていることを示す判定結果が、表示部8によって表示され(ステップS12)、通信部9によって負荷装置201へ送信される(ステップS13)。
【0091】
以上、ステップS11〜S13の処理により、リチウムイオン二次電池Bの内部短絡や断線といった、インピーダンスに関わる異常の発生を検出し、ユーザに報知したり外部に接続された機器、装置に通知したりすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0092】
本発明に係るインピーダンス検出回路、電池電源装置、及び電池利用システムは、携帯電話機、パーソナルコンピュータなどのモバイル分野、電動工具、掃除機などのパワーツール分野、電動自動車、電動産業用車両、電動バイク、電動アシスト自転車、電動車椅子、電動ロボットなどの動力分野、ロードレベリング、ピークシフト、バックアップなどのシステム電源分野等、種々の用途に好適に適用することができる。
【符号の説明】
【0093】
1 インピーダンス検出回路
2 電圧検出部
3 電流検出部
4 フィルタリング部
5 インピーダンス推定部
6 SOC推定部
7 異常判定部
8 表示部
9 通信部
31 電流検出部
32 電圧検出部
41 ピーク電流値検出部
42 ピーク電圧値検出部
43 遅れ時間検出部
44 周期検出部
45 周波数検出部
61 記憶部
100 電池電源装置
200 電池利用システム
201 負荷装置
202 充放電部
B リチウムイオン二次電池
I 電流値
Ip ピーク電流値
Np ピーク数
Qc 充電電気量
V 端子電圧
Vp ピーク電圧値
Xd 下限値
Xu 上限値
Z インピーダンス
f 周波数
tcyc 周期
td 時間
tw 設定時間
ω 位相差
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次電池のインピーダンスを検出するインピーダンス検出回路、及びこれを用いた電池電源装置と電池利用システムとに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、二次電池を用いる電源装置内の二次電池の残存容量(充電電気量)を検出する種々の方法が提案されている。特にリチウムイオン二次電池の複素インピーダンス測定値により、残存容量を高精度で検出する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
特許文献1に記載の技術は、複素インピーダンスの測定値から算出される等価回路的抵抗値または等価回路的容量値を用いることで、残存容量を判別できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−82843号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の発明では、二次電池のインピーダンスを測定するために、所定の周波数を有する交流電流を二次電池に流す交流電源回路を備える必要があった。
【0006】
本発明の目的は、交流電源回路を備えることなく二次電池のインピーダンスを測定することができるインピーダンス検出回路、電池電源装置、及び電池利用システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るインピーダンス検出回路は、二次電池に流れる電流の電流値を検出する電流検出部と、前記二次電池の端子電圧を検出する電圧検出部と、前記電流検出部によって検出される電流のピーク値をピーク電流値として検出するピーク電流値検出部と、前記電圧検出部によって検出される端子電圧のピーク値をピーク電圧値として検出するピーク電圧値検出部と、前記電流検出部で検出される電流値の変化に対する前記電圧検出部で検出される端子電圧の変化の遅れ時間を検出する遅れ時間検出部と、前記電流検出部によって検出される電流値及び前記電圧検出部によって検出される端子電圧のうちいずれか一方を用いて、当該いずれか一方の変化の過程における一周期を検出する周期検出部と、前記ピーク電流値検出部で検出されるピーク電流値、前記ピーク電圧値検出部で検出されるピーク電圧値、前記遅れ時間検出部で検出される遅れ時間、及び前記周期検出部で検出される周期に基づいて、前記二次電池のインピーダンスを推定するインピーダンス推定部とを備える。
【0008】
この構成によれば、二次電池に流れる電流値に変動が生じると、ピーク電流値検出部によって、当該電流のピーク値がピーク電流値として検出される。一方、二次電池に流れる電流値に変動が生じると、二次電池の内部インピーダンスに電流が流れることで生じる電圧が変動して端子電圧も変動する。このように端子電圧が変動すると、ピーク電圧値検出部によって、端子電圧のピーク値がピーク電圧値として検出される。このとき、二次電池の内部インピーダンスは複素成分を含む複素インピーダンスであるため、電流値の変動が生じた後端子電圧が変動するまでの間に遅れ時間が生じる。従って、遅れ時間には二次電池の複素インピーダンスが反映されている。
【0009】
そこで、インピーダンス推定部は、ピーク電流値検出部で検出されるピーク電流値、ピーク電圧値検出部で検出されるピーク電圧値、遅れ時間検出部で検出される遅れ時間、及び周期検出部で検出される周期に基づいて、二次電池のインピーダンスを推定することができる。このとき、交流電源回路を用いて外部から二次電池に交流電流を流す必要はないから、交流電源回路を備えることなく二次電池のインピーダンスを測定することができる。
【0010】
また、前記ピーク電流値及び前記ピーク電圧値は、ピークトウピーク値であることが好ましい。
【0011】
例えば電流値ゼロを基準とするピーク値をピーク電流値として用いると、対応する端子電圧のピーク値は二次電池の開路電圧(OCV:Open circuit voltage)を基準とする値となる。そうすると、二次電池の開路電圧は、SOC(State Of Charge)に応じて変化するため、二次電池の開路電圧を検出する必要がある。これに対し、電流値、及び端子電圧のピークトウピーク値をピーク電流値、及びピーク電圧値とすれば、二次電池の開路電圧を検出することなく電流値の変化量に対する端子電圧の変化量を取得することができるので、ピーク電圧値の検出処理が簡素化される。
【0012】
また、前記インピーダンス推定部は、前記周期検出部で検出される周期をtcyc、前記遅れ時間検出部で検出される遅れ時間をtdとすると、下記の式(1)に基づき、当該遅れ時間tdを位相差ωに換算し、前記ピーク電流値、前記ピーク電圧値、及び当該換算されて得られた位相差ωとに基づいて、前記二次電池のインピーダンスを推定することが好ましい。
【0013】
ω=(2π×td)/tcyc ・・・(1)
この構成によれば、周期検出部で検出される周期tcycと、遅れ時間検出部で検出される遅れ時間tdとから、二次電池に流れる電流に含まれる周波数成分と二次電池の端子電圧に含まれる周波数成分との間の位相差ωが得られる。そして、ピーク電流値、ピーク電圧値、及び位相差ωが判明すれば、例えば背景技術に記載されているような公知の方法によって、二次電池のインピーダンスを推定することが可能となる。
【0014】
また、前記インピーダンス推定部は、前記ピーク電流値をIp、前記ピーク電圧値をVpとし、当該ピーク電流値Ip、ピーク電圧値Vp、及び前記位相差ωを下記の式(2)に代入してインピーダンスZについて解くことによって、前記二次電池のインピーダンスZを算出することが好ましい。
【0015】
【数1】
【0016】
この構成によれば、ピーク電流値Ip、ピーク電圧値Vp、及び位相差ωに基づき、二次電池のインピーダンスZを算出することができる。
【0017】
また、前記遅れ時間検出部は、前記電流検出部で検出される電流値がピークになった後、前記電圧検出部で検出される端子電圧がピークになるまでの時間を前記遅れ時間として測定することが好ましい。
【0018】
電流値や端子電圧のピークを検出することは容易であるので、電流値がピークになった後、端子電圧がピークになるまでの時間を遅れ時間として測定するようにすれば、遅れ時間検出部を構成することが容易である。
【0019】
また、前記周期検出部は、前記電流値及び前記端子電圧のうちいずれか一方について、ピークとピークとの間隔を測定し、当該測定された間隔に基づいて前記周期を取得することが好ましい。
【0020】
周期を測定するには、例えば電流値がゼロになってから再びゼロになるまでの時間を、半周期として測定することで、周期を得るようにしてもよい。しかしながら、負荷の消費電流が変動して放電電流に周波数成分が生じた場合や発電量が変動して充電電流に周波数成分が生じた場合等では、必ずしも電流値がゼロになる点を含んで電流が変動するとは限らず、電流値がゼロになる点を基準に周期を測定することが困難な場合がある。
【0021】
そこで、この構成によれば、周期検出部によって、電流値及び端子電圧のうちいずれか一方について、ピークとピークとの間隔が測定され、当該測定された間隔に基づいて周期が取得されるので、電流値がゼロにならない範囲で変動する場合であっても、上述の周期を検出することが可能となる。
【0022】
また、前記インピーダンス推定部によって推定されるインピーダンスに基づき、前記二次電池のSOCを推定するSOC推定部をさらに備えることが好ましい。
【0023】
この構成によれば、インピーダンス推定部によって推定されるインピーダンスに基づき、二次電池のSOCを推定することができる。
【0024】
また、前記二次電池のインピーダンス、当該二次電池に流れる電流の周波数、及び当該二次電池のSOCを、対応付ける対応情報を記憶する記憶部と、前記二次電池に流れる電流の周波数を検出する周波数検出部とをさらに備え、前記SOC推定部は、前記記憶部に記憶されている対応情報によって、前記インピーダンス推定部によって推定されるインピーダンス及び前記周波数検出部によって検出される周波数と対応付けられているSOCを、前記二次電池のSOCとして取得することが好ましい。
【0025】
本発明の発明者は、二次電池のインピーダンスと、当該二次電池に流れる電流の周波数と、当該二次電池のSOCとの間には相関関係があることを見出した。そこで、この相関関係を表す対応情報を、予め記憶部に記憶しておくことで、SOC推定部は、記憶部に記憶されている対応情報によって、インピーダンス推定部によって推定されるインピーダンス及び周波数検出部によって検出される周波数と対応付けられているSOCを、二次電池のSOCとして取得することができる。
【0026】
また、前記周波数検出部は、前記電流値及び前記端子電圧のうちいずれか一方について、予め設定された設定時間の期間内におけるピーク数を計数し、当該ピーク数と前記設定時間とに基づいて、前記周波数を検出することが好ましい。
【0027】
二次電池の電流及び端子電圧に含まれる周波数成分は、例えば負荷の消費電流の変動や発電装置の発電量の変動等の影響に起因して生じるため、必ずしも一定の正確な周波数を有しているわけではない。しかしながら、電流値及び端子電圧のうちいずれか一方について、予め設定された設定時間の期間内におけるピーク数を計数し、当該ピーク数と設定時間とに基づいて、周波数を検出することで、このような不規則な電流、電圧変動を、等価的に所定の周波数を有する周波数成分として取り扱うことが可能となる。
【0028】
また、前記二次電池のインピーダンス、前記遅れ時間、及び当該二次電池のSOCを、対応付ける対応情報を記憶する記憶部をさらに備え、前記SOC推定部は、前記記憶部に記憶されている対応情報によって、前記インピーダンス推定部で推定されるインピーダンス及び前記遅れ時間検出部で検出される遅れ時間と対応付けられているSOCを、前記二次電池のSOCとして取得するようにしてもよい。
【0029】
本発明の発明者は、二次電池のインピーダンスと、前記遅れ時間と、当該二次電池のSOCとの間には相関関係があることを見出した。そこで、この相関関係を表す対応情報を、予め記憶部に記憶しておくことで、SOC推定部は、記憶部に記憶されている対応情報によって、インピーダンス推定部によって推定されるインピーダンス及び遅れ時間検出部で検出される遅れ時間と対応付けられているSOCを、二次電池のSOCとして取得することができる。
【0030】
また、前記インピーダンス推定部によって推定されたインピーダンスが、予め設定された基準範囲内であるか否かを確認し、当該インピーダンスが当該基準範囲外であった場合、前記二次電池に異常が生じていると判定する異常判定部をさらに備えることが好ましい。
【0031】
この構成によれば、インピーダンス推定部によって推定されたインピーダンスが当該基準範囲外であった場合、二次電池に生じた異常を検出することが可能となる。この場合、判定に用いる基準範囲を適宜設定することにより、二次電池が完全に短絡して過電流が流れたり、二次電池が完全に断線(開放)状態になって出力電圧が得られなくなったりする前に、異常を検出することができるので、異常の早期検出が容易となる。
【0032】
また、本発明に係る電池電源装置は、上述のインピーダンス検出回路と、前記二次電池と、を備える。
【0033】
この構成によれば、二次電池を用いた電池電源装置において、交流電源回路を備えることなく二次電池のインピーダンスを測定することができる。
【0034】
また、本発明に係る電池利用システムは、上述のインピーダンス検出回路と、前記二次電池と、前記二次電池を充電する充電部と、前記二次電池から電流の供給を受ける負荷回路とを備える。
【0035】
この構成によれば、二次電池と、二次電池を充電する充電部と、二次電池から電流の供給を受ける負荷回路とを備えた電池利用システムにおいて、交流電源回路を備えることなく二次電池のインピーダンスを測定することができる。
【発明の効果】
【0036】
このような構成のインピーダンス検出回路、電池電源装置、及び電池利用システムでは、二次電池に流れる電流値に変動が生じると、ピーク電流値検出部によって、当該電流のピーク値がピーク電流値として検出される。一方、二次電池に流れる電流値に変動が生じると、二次電池の内部インピーダンスに電流が流れることで生じる電圧が変動して端子電圧も変動する。このように端子電圧が変動すると、ピーク電圧値検出部によって、端子電圧のピーク値がピーク電圧値として検出される。このとき、二次電池の内部インピーダンスは複素成分を含む複素インピーダンスであるため、電流値の変動が生じた後端子電圧が変動するまでの間に遅れ時間が生じる。従って、遅れ時間には二次電池の複素インピーダンスが反映されている。
【0037】
そこで、インピーダンス推定部は、ピーク電流値検出部で検出されるピーク電流値、ピーク電圧値検出部で検出されるピーク電圧値、遅れ時間検出部で検出される遅れ時間、及び周期検出部で検出される周期に基づいて、二次電池のインピーダンスを推定することができる。このとき、交流電源回路を用いて外部から二次電池に交流電流を流す必要はないから、交流電源回路を備えることなく二次電池のインピーダンスを測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の一実施形態に係るインピーダンス検出回路を用いた電池電源装置、及び電池利用システムの一例を示すブロック図である。
【図2】図1に示す記憶部に記憶されている対応情報の一例を、グラフ化した説明図である。
【図3】図1に示す記憶部に記憶されている対応情報の他の一例を、グラフ化した説明図である。
【図4】電流値Iと、端子電圧Vとの変動状態の一例を示すグラフである。図4(a)は端子電圧Vの変動を示し、図4(b)は電流値Iの変動を示している。
【図5】(a)、(b)は、図4(a)、図4(b)に示すグラフの一部を、時間軸について拡大した説明図である。
【図6】図1に示すインピーダンス検出回路の動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、本発明に係る実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、その説明を省略する。図1は、本発明の一実施形態に係るインピーダンス検出回路を用いた電池電源装置、及び電池利用システムの一例を示すブロック図である。
【0040】
図1に示す電池利用システム200は、電池電源装置100と、負荷装置201と、充放電部202とを備えて構成されている。また、図1に示す電池電源装置100は、インピーダンス検出回路1と、リチウムイオン二次電池Bとを備えて構成されている。
【0041】
電池利用システム200は、例えば携帯電話機、パーソナルコンピュータなどのモバイル機器、電動工具、掃除機などのパワーツール、HEV(Hybrid Electric Vehicle)等の電動自動車、電動産業用車両、電動バイク、電動アシスト自転車、電動車椅子、電動ロボットなどの動力装置、ロードレベリング、ピークシフト、バックアップなどのシステム電源等、電池を利用する種々のシステムである。
【0042】
電池電源装置100は、例えば電池パックであってもよく、バックアップ電源装置であってもよく、電池搭載機器の一部として構成されていてもよく、その他の電源装置、システムであってもよい。なお、二次電池の一例としてリチウムイオン二次電池を示したが、二次電池としては、ニッケル水素二次電池や鉛蓄電池等、種々の二次電池を用いることができる。
【0043】
インピーダンス検出回路1には、リチウムイオン二次電池Bと、負荷装置201と、充放電部202とが接続されている。負荷装置201は、例えばHEV(Hybrid Electric Vehicle)等の電気自動車、携帯型パ−ソナルコンピュータや携帯電話機等、リチウムイオン二次電池Bから供給される電力により動作する電池搭載機器、装置における、電力を消費する負荷回路を含む回路部である。
【0044】
充放電部202は、リチウムイオン二次電池Bに電流を供給して充電したり、リチウムイオン二次電池Bから電力の供給を受けて負荷装置201へ供給したりする充放電回路である。
【0045】
例えば、電池利用システム200がHEVである場合、充放電部202は、例えば負荷装置201であるモータを駆動させるために電力が必要なときは、リチウムイオン二次電池Bを放電させてモータへ電力を供給し、例えばモータで回生電流が生じる等して余剰電力が生じたときは、その余剰電力をリチウムイオン二次電池Bに充電する。これにより、例えば車速が変化し、モータの回転数が変動すると、リチウムイオン二次電池Bの充放電電流値も変動することとなる。
【0046】
また、例えば、電池利用システム200がパーソナルコンピュータである場合、充放電部202は、例えば負荷装置201であるパーソナルコンピュータの演算回路が動作するときは、リチウムイオン二次電池Bを放電させて演算回路へ電力を供給し、例えばパーソナルコンピュータが電源オフされたときは、商用電源から充電電流を生成してリチウムイオン二次電池Bへ充電電流を供給する。これにより、例えば演算回路の動作状態が変化して消費電流が変化すると、リチウムイオン二次電池Bの放電電流値も変動することとなる。
【0047】
そして、例えば、インピーダンス検出回路1と、リチウムイオン二次電池Bと、負荷装置201と、充放電部202とが一体に構成されて、電池利用システム200である電池搭載機器が構成されている。インピーダンス検出回路1は、負荷装置201の一部として構成されていてもよく、例えばリチウムイオン二次電池Bを含む電池パックの一部として構成されていてもよい。
【0048】
インピーダンス検出回路1は、電圧検出部2、電流検出部3、フィルタリング部4、インピーダンス推定部5、SOC推定部6、記憶部61、異常判定部7、表示部8、及び通信部9を備える。また、フィルタリング部4は、ピーク電流値検出部41、ピーク電圧値検出部42、遅れ時間検出部43、周期検出部44、及び周波数検出部45を含んでいる。
【0049】
電流検出部3は、例えばシャント抵抗やホール素子、電流変成器等の電流センサとアナログデジタルコンバータとを用いて構成されている。そして、電流検出部3は、充放電部202によって、リチウムイオン二次電池Bに入出力される充放電電流の電流値Iを検出し、電流値Iを示す信号をフィルタリング部4へ出力する。電流検出部3は、例えば、リチウムイオン二次電池Bを充電する方向の電流値をプラス、リチウムイオン二次電池Bが放電する方向の電流値をマイナスで示すようになっている。
【0050】
電圧検出部2は、例えばアナログデジタルコンバータを用いて構成されている。そして、電圧検出部2は、リチウムイオン二次電池Bの端子電圧Vを検出し、端子電圧Vを示す信号をフィルタリング部4へ送信する。
【0051】
記憶部61は、例えばROM(Read Only Memory)を用いて構成されている。記憶部61には、リチウムイオン二次電池Bの複素インピーダンスZの絶対値|Z|、リチウムイオン二次電池Bに流れる電流の周波数f、及びリチウムイオン二次電池BのSOC(State Of Charge)を、対応付ける対応情報が、例えば予め実験的に取得されて予め記憶されている。
【0052】
図2は、記憶部61に記憶されている対応情報の一例を、グラフ化して示した説明図である。記憶部61には、例えば図2に示す対応情報が、LUT(Look Up Table)として予め記憶されている。記憶部61は、例えばSOC推定部6に内蔵されていてもよい。
【0053】
表示部8は、例えばLED(Light Emitting Diode)や液晶表示器等の表示装置である。通信部9は、SOC推定部6によって推定されたSOCや、異常判定部7による判定結果を示す情報を、負荷装置201へ送信する通信インターフェイス回路である。
【0054】
フィルタリング部4、インピーダンス推定部5、SOC推定部6、及び異常判定部7は、例えば所定の演算処理を実行するCPU(Central Processing Unit)と、所定の制御プログラムが記憶されたROMやデータを一時的に記憶するRAM等の記憶部と、タイマ回路と、これらの周辺回路等とを備えたマイクロコンピュータによって構成されている。そして、CPUが、例えばROMに記憶された制御プログラムを実行することにより、ピーク電流値検出部41、ピーク電圧値検出部42、遅れ時間検出部43、周期検出部44、周波数検出部45、インピーダンス推定部5、SOC推定部6、及び異常判定部7として機能する。
【0055】
ピーク電流値検出部41は、電流検出部3によって検出される電流値Iのピークtoピーク値をピーク電流値Ipとして検出する。
【0056】
ピーク電圧値検出部42は、電圧検出部2によって検出される端子電圧Vのピークtoピーク値をピーク電圧値Vpとして検出する。
【0057】
なお、ピーク電流値検出部41は、電流値Iのピーク値をそのままピーク電流値Ipとし、ピーク電圧値検出部42は、リチウムイオン二次電池Bの開路電圧(OCV:Open circuit voltage)と端子電圧Vとの差をピーク電圧値Vpとして検出するようにしてもよい。この場合であっても、電流値Iの変化量に対する端子電圧Vの変化量を取得することができる。
【0058】
しかしながら、この場合、リチウムイオン二次電池Bの開路電圧は、リチウムイオン二次電池BのSOCに応じて変化するため、リチウムイオン二次電池Bの開路電圧を検出する必要がある。これに対し、電流値I、端子電圧Vのピークtoピーク値をピーク電流値Ip、ピーク電圧値Vpとすれば、リチウムイオン二次電池Bの開路電圧を検出することなく電流値Iの変化量に対する端子電圧Vの変化量を取得することができるので、ピーク電圧値の検出処理が簡素化される。
【0059】
遅れ時間検出部43は、電流検出部3で検出された電流値Iの変化に対する電圧検出部2で検出された端子電圧Vの変化の遅れ時間tdを検出する。具体的には、遅れ時間検出部43は、例えば電流値Iがピークになった後、端子電圧Vがピークになるまでの時間を遅れ時間tdとして測定する。
【0060】
周期検出部44は、電圧検出部2によって検出される端子電圧V及び電流検出部3によって検出される電流値Iのうちいずれか一方を用いて、当該いずれか一方の変化の過程における一周期を、周期tcycとして検出する。
【0061】
具体的には、周期検出部44は、例えば端子電圧V及び電流値Iのうちいずれか一方について、上限側ピークから次の上限側ピークまでの間隔、あるいは下限側ピークから次の下限側ピークまでの間隔を周期tcycとして検出する。あるいは、周期検出部44は、例えば端子電圧V及び電流値Iのうちいずれか一方について、上限側ピークから次の下限側ピークまでの間隔、あるいは下限側ピークから次の上限側ピークまでの間隔を(1/2)tcycとして測定し、これを2倍することによって、周期tcycを取得するようにしてもよい。
【0062】
なお、周期検出部44は、例えば電流検出部3によって検出される電流値Iが、ゼロを横切った後、再びゼロを横切るまでの時間を(1/2)tcycとして検出し、これを2倍することによって、周期tcycを取得するようにしてもよい。
【0063】
また、周期検出部44は、複数回、上記周期を検出し、その平均値を周期tcycとして取得するようにしてもよい。
【0064】
フィルタリング部4は、このようにして検出されたピーク電流値Ip、ピーク電圧値Vp、遅れ時間td、及び周期tcycを、インピーダンス推定部5へ出力する。
【0065】
周波数検出部45は、例えば端子電圧V及び電流値Iのうちいずれか一方について、予め設定された設定時間twの期間内における上限側ピークの数Np、あるいは下限側ピークの数Npのうちいずれか一方を計数し、ピーク数Npを設定時間twで除算することにより、周波数fを検出する。
【0066】
あるいは、周波数検出部45は、設定時間twの期間内における上限側ピークと下限側ピークとの合計をピーク数Npとして計数し、f=Np/(2×tw)として周波数fを検出するようにしてもよい。あるいは、周波数検出部45は、設定時間twの期間内において、電流値Iがゼロと交差する回数をピーク数Npとして計数し、f=Np/(2×tw)として周波数fを検出するようにしてもよい。
【0067】
インピーダンス推定部5は、周期検出部44で検出された周期tcyc、遅れ時間検出部43で検出された遅れ時間tdから、下記の式(1)に基づき、遅れ時間tdを位相差ωに換算する。
【0068】
ω=(2π×td)/tcyc ・・・(1)
そして、インピーダンス推定部5は、ピーク電流値検出部41で検出されたピーク電流値Ip、ピーク電圧値検出部42で検出されたピーク電圧値Vp、及び上記換算された位相差ωを下記の式(2)に代入してインピーダンスZについて解くことによって、リチウムイオン二次電池BのインピーダンスZ(|Z|)を算出し、SOC推定部6及び異常判定部7へ出力する。
【0069】
【数1】
【0070】
なお、リチウムイオン二次電池Bの温度を測定する温度測定部をさらに備え、インピーダンス推定部5は、上記式(2)に基づき得られたインピーダンスZを、温度測定部で測定されたリチウムイオン二次電池Bの温度に応じて補正するようにしてもよい。
【0071】
SOC推定部6は、記憶部61に記憶されている対応情報によって、インピーダンス推定部5によって推定されたインピーダンス|Z|及び周波数検出部45によって検出された周波数fと対応付けられているSOCを、リチウムイオン二次電池BのSOCとして取得する。そして、SOC推定部6は、このようにして得られたSOCを、表示部8によって表示させたり、通信部9によって負荷装置201へ送信させたりする。
【0072】
なお、記憶部61に、例えば図3に示すような、リチウムイオン二次電池Bの複素インピーダンスZの絶対値|Z|、遅れ時間td、及びリチウムイオン二次電池BのSOC(State Of Charge)を対応付ける対応情報を、例えば予め実験的に取得してLUTとして記憶させておき、SOC推定部6は、記憶部61に記憶されている対応情報によって、インピーダンス推定部5で推定されたインピーダンス|Z|及び遅れ時間検出部43で検出された遅れ時間tdと対応付けられているSOCを、リチウムイオン二次電池BのSOCとして取得するようにしてもよい。
【0073】
また、SOC推定部6は、例えば下記式(3)で示すような、インピーダンス|Z|とリチウムイオン二次電池Bの充電電気量Qcとの関係を示す関数式を予め記憶しておき、インピーダンス|Z|を式(3)に代入することによって、充電電気量Qcを算出するようにしてもよい。そして、SOC推定部6は、式(4)を用いてSOCを算出するようにしてもよい。
【0074】
Qc=a×Ln(|Z|)+b ・・・(3)
但し、a,bは例えば実験的に求められた定数。
【0075】
SOC=(Qc/FCC)×100 (%) ・・・(4)
但し、FCCは、リチウムイオン二次電池Bの満充電容量。
【0076】
異常判定部7は、インピーダンス推定部5によって推定されたインピーダンス|Z|が、予め設定された基準範囲内であるか否かを確認し、インピーダンス|Z|が基準範囲外であった場合、リチウムイオン二次電池Bに異常が生じていると判定し、その判定結果を表示部8によって表示させたり、通信部9によって負荷装置201へ送信させたりする。
【0077】
上記基準範囲は、例えばリチウムイオン二次電池Bが短絡故障を生じているおそれのあるインピーダンスとして予め設定された下限値Xdと、例えばリチウムイオン二次電池Bが断線故障を生じているおそれのあるインピーダンスとして予め設定された上限値Xuとによって、例えばXd<|Z|<Xuとして予め設定されている。
【0078】
次に、図1に示す電池利用システム200、インピーダンス検出回路1、及び電池電源装置100の動作について説明する。図4は、電流値Iと、端子電圧Vとの変動状態の一例を示すグラフである。図4(a)は端子電圧Vの変動を示し、図4(b)は電流値Iの変動を示している。
【0079】
図4に示すように、負荷装置201の動作状態及び充放電部202の動作に応じて、リチウムイオン二次電池Bに流れる電流値Iが変動する。そして、電流値Iが変動すると、リチウムイオン二次電池Bの内部インピーダンスZに電流が流れることで生じる電圧がわずかに遅れて変動し、端子電圧Vもまた変動する。
【0080】
図5(a)、図5(b)は、図4(a)、図4(b)に示すグラフの一部を、時間軸について拡大した説明図である。また、図6は、インピーダンス検出回路1の動作の一例を示すフローチャートである。
【0081】
まず、ピーク電流値検出部41によって、電流検出部31で検出された電流値Iが監視され、電流値Iのピークtoピーク値がピーク電流値Ipとして検出される(ステップS1)。次に、ピーク電圧値検出部42によって、電圧検出部32で検出された端子電圧Vが監視され、ステップS1においてピーク電流値Ipが検出された電流波形に対応する端子電圧Vのピークtoピーク値がピーク電圧値Vpとして検出される(ステップS2)。
【0082】
次に、遅れ時間検出部43によって、電流値Iがピークになった後、端子電圧Vがピークになるまでの時間が遅れ時間tdとして測定される(ステップS3)。遅れ時間tdは、例えばピーク電流値Ipの測定に用いられた下限側ピークとピーク電圧値Vpの測定に用いられた下限側ピークとの間、あるいはピーク電流値Ipの測定に用いられた上限側ピークとピーク電圧値Vpの測定に用いられた上限側ピークとの間で測定される。
【0083】
次に、周期検出部44によって、例えば電流値Iについて、例えばステップS1においてピーク電流値Ipが検出された下限側ピークから次の下限側ピークまでの間隔が、周期tcycとして検出される(ステップS4)。
【0084】
次に、周波数検出部45によって、例えば電流値Iについて、図4(b)に示す設定時間twの期間内における、上限側ピークの数Npが計数され、ピーク数Npが設定時間twで除算されて、周波数fが算出される(ステップS5)。例えば、図4(b)においては、ピーク数Npは5となる。
【0085】
次に、インピーダンス推定部5によって、周期tcyc、遅れ時間tdから、上記式(1)を用いて位相差ωが算出される(ステップS6)。
【0086】
そして、インピーダンス推定部5は、ピーク電流値Ip、ピーク電圧値Vp、及び位相差ωを上記式(2)に代入し、インピーダンスZについて解くことによって、リチウムイオン二次電池Bのインピーダンス|Z|を算出する(ステップS7)。
【0087】
以上、図1に示すインピーダンス検出回路1は、ステップS1〜S7の処理により、背景技術のように交流電源回路を備えることなく、二次電池の複素インピーダンスZの大きさである|Z|を測定することができる。
【0088】
次に、SOC推定部6によって、記憶部61に記憶されている対応情報が参照され、当該対応情報において、インピーダンス|Z|及び周波数fと対応付けられているSOCが、リチウムイオン二次電池BのSOCとして取得される(ステップS8)。これにより、リチウムイオン二次電池Bの複素インピーダンスZに基づきリチウムイオン二次電池BのSOCを算出することができる。
【0089】
そして、このようにして得られたSOCが、表示部8によって表示され(ステップS9)、通信部9によって負荷装置201へ送信される(ステップS10)。
【0090】
次に、異常判定部7によって、インピーダンス|Z|が、下限値Xd及び上限値Xuと比較され(ステップS11)、Xd<|Z|<Xuであれば(ステップS11でYES)、リチウムイオン二次電池Bのインピーダンスは正常であるから、処理を終了する。一方、Xd<|Z|<Xuでなければ(ステップS11でNO)、リチウムイオン二次電池Bに何らかの異常が生じていると考えられるから、異常判定部7からの指示に応じて、リチウムイオン二次電池Bに異常が生じていることを示す判定結果が、表示部8によって表示され(ステップS12)、通信部9によって負荷装置201へ送信される(ステップS13)。
【0091】
以上、ステップS11〜S13の処理により、リチウムイオン二次電池Bの内部短絡や断線といった、インピーダンスに関わる異常の発生を検出し、ユーザに報知したり外部に接続された機器、装置に通知したりすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0092】
本発明に係るインピーダンス検出回路、電池電源装置、及び電池利用システムは、携帯電話機、パーソナルコンピュータなどのモバイル分野、電動工具、掃除機などのパワーツール分野、電動自動車、電動産業用車両、電動バイク、電動アシスト自転車、電動車椅子、電動ロボットなどの動力分野、ロードレベリング、ピークシフト、バックアップなどのシステム電源分野等、種々の用途に好適に適用することができる。
【符号の説明】
【0093】
1 インピーダンス検出回路
2 電圧検出部
3 電流検出部
4 フィルタリング部
5 インピーダンス推定部
6 SOC推定部
7 異常判定部
8 表示部
9 通信部
31 電流検出部
32 電圧検出部
41 ピーク電流値検出部
42 ピーク電圧値検出部
43 遅れ時間検出部
44 周期検出部
45 周波数検出部
61 記憶部
100 電池電源装置
200 電池利用システム
201 負荷装置
202 充放電部
B リチウムイオン二次電池
I 電流値
Ip ピーク電流値
Np ピーク数
Qc 充電電気量
V 端子電圧
Vp ピーク電圧値
Xd 下限値
Xu 上限値
Z インピーダンス
f 周波数
tcyc 周期
td 時間
tw 設定時間
ω 位相差
【特許請求の範囲】
【請求項1】
二次電池に流れる電流の電流値を検出する電流検出部と、
前記二次電池の端子電圧を検出する電圧検出部と、
前記電流検出部によって検出される電流のピーク値をピーク電流値として検出するピーク電流値検出部と、
前記電圧検出部によって検出される端子電圧のピーク値をピーク電圧値として検出するピーク電圧値検出部と、
前記電流検出部で検出される電流値の変化に対する前記電圧検出部で検出される端子電圧の変化の遅れ時間を検出する遅れ時間検出部と、
前記電流検出部によって検出される電流値及び前記電圧検出部によって検出される端子電圧のうちいずれか一方を用いて、当該いずれか一方の変化の過程における一周期を検出する周期検出部と、
前記ピーク電流値検出部で検出されるピーク電流値、前記ピーク電圧値検出部で検出されるピーク電圧値、前記遅れ時間検出部で検出される遅れ時間、及び前記周期検出部で検出される周期に基づいて、前記二次電池のインピーダンスを推定するインピーダンス推定部と
を備えることを特徴とするインピーダンス検出回路。
【請求項2】
前記ピーク電流値及び前記ピーク電圧値は、ピークトウピーク値であること
を特徴とする請求項1記載のインピーダンス検出回路。
【請求項3】
前記インピーダンス推定部は、
前記周期検出部で検出される周期をtcyc、前記遅れ時間検出部で検出される遅れ時間をtdとすると、下記の式(1)に基づき、当該遅れ時間tdを位相差ωに換算し、前記ピーク電流値、前記ピーク電圧値、及び当該換算されて得られた位相差ωとに基づいて、前記二次電池のインピーダンスを推定すること
ω=(2π×td)/tcyc ・・・(1)
を特徴とする請求項1又は2記載のインピーダンス検出回路。
【請求項4】
前記インピーダンス推定部は、
前記ピーク電流値をIp、前記ピーク電圧値をVpとし、当該ピーク電流値Ip、ピーク電圧値Vp、及び前記位相差ωを下記の式(2)に代入してインピーダンスZについて解くことによって、前記二次電池のインピーダンスZを算出すること
【数1】
を特徴とする請求項3記載のインピーダンス検出回路。
【請求項5】
前記遅れ時間検出部は、
前記電流検出部で検出される電流値がピークになった後、前記電圧検出部で検出される端子電圧がピークになるまでの時間を前記遅れ時間として測定すること
を特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のインピーダンス検出回路。
【請求項6】
前記周期検出部は、
前記電流値及び前記端子電圧のうちいずれか一方について、ピークとピークとの間隔を測定し、当該測定された間隔に基づいて前記周期を取得すること
を特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のインピーダンス検出回路。
【請求項7】
前記インピーダンス推定部によって推定されるインピーダンスに基づき、前記二次電池のSOCを推定するSOC推定部をさらに備えること
を特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のインピーダンス検出回路。
【請求項8】
前記二次電池のインピーダンス、当該二次電池に流れる電流の周波数、及び当該二次電池のSOCを、対応付ける対応情報を記憶する記憶部と、
前記二次電池に流れる電流の周波数を検出する周波数検出部とをさらに備え、
前記SOC推定部は、
前記記憶部に記憶されている対応情報によって、前記インピーダンス推定部によって推定されるインピーダンス及び前記周波数検出部によって検出される周波数と対応付けられているSOCを、前記二次電池のSOCとして取得すること
を特徴とする請求項7記載のインピーダンス検出回路。
【請求項9】
前記周波数検出部は、
前記電流値及び前記端子電圧のうちいずれか一方について、予め設定された設定時間の期間内におけるピーク数を計数し、当該ピーク数と前記設定時間とに基づいて、前記周波数を検出すること
を特徴とする請求項8記載のインピーダンス検出回路。
【請求項10】
前記二次電池のインピーダンス、前記遅れ時間、及び当該二次電池のSOCを、対応付ける対応情報を記憶する記憶部をさらに備え、
前記SOC推定部は、
前記記憶部に記憶されている対応情報によって、前記インピーダンス推定部で推定されるインピーダンス及び前記遅れ時間検出部で検出される遅れ時間と対応付けられているSOCを、前記二次電池のSOCとして取得すること
を特徴とする請求項7記載のインピーダンス検出回路。
【請求項11】
前記インピーダンス推定部によって推定されたインピーダンスが、予め設定された基準範囲内であるか否かを確認し、当該インピーダンスが当該基準範囲外であった場合、前記二次電池に異常が生じていると判定する異常判定部をさらに備えること
を特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載のインピーダンス検出回路。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか1項に記載のインピーダンス検出回路と、
前記二次電池と、
を備えることを特徴とする電池電源装置。
【請求項13】
請求項1〜11のいずれか1項に記載のインピーダンス検出回路と、
前記二次電池と、
前記二次電池を充電する充電部と、
前記二次電池から電流の供給を受ける負荷回路と
を備えることを特徴とする電池利用システム。
【請求項1】
二次電池に流れる電流の電流値を検出する電流検出部と、
前記二次電池の端子電圧を検出する電圧検出部と、
前記電流検出部によって検出される電流のピーク値をピーク電流値として検出するピーク電流値検出部と、
前記電圧検出部によって検出される端子電圧のピーク値をピーク電圧値として検出するピーク電圧値検出部と、
前記電流検出部で検出される電流値の変化に対する前記電圧検出部で検出される端子電圧の変化の遅れ時間を検出する遅れ時間検出部と、
前記電流検出部によって検出される電流値及び前記電圧検出部によって検出される端子電圧のうちいずれか一方を用いて、当該いずれか一方の変化の過程における一周期を検出する周期検出部と、
前記ピーク電流値検出部で検出されるピーク電流値、前記ピーク電圧値検出部で検出されるピーク電圧値、前記遅れ時間検出部で検出される遅れ時間、及び前記周期検出部で検出される周期に基づいて、前記二次電池のインピーダンスを推定するインピーダンス推定部と
を備えることを特徴とするインピーダンス検出回路。
【請求項2】
前記ピーク電流値及び前記ピーク電圧値は、ピークトウピーク値であること
を特徴とする請求項1記載のインピーダンス検出回路。
【請求項3】
前記インピーダンス推定部は、
前記周期検出部で検出される周期をtcyc、前記遅れ時間検出部で検出される遅れ時間をtdとすると、下記の式(1)に基づき、当該遅れ時間tdを位相差ωに換算し、前記ピーク電流値、前記ピーク電圧値、及び当該換算されて得られた位相差ωとに基づいて、前記二次電池のインピーダンスを推定すること
ω=(2π×td)/tcyc ・・・(1)
を特徴とする請求項1又は2記載のインピーダンス検出回路。
【請求項4】
前記インピーダンス推定部は、
前記ピーク電流値をIp、前記ピーク電圧値をVpとし、当該ピーク電流値Ip、ピーク電圧値Vp、及び前記位相差ωを下記の式(2)に代入してインピーダンスZについて解くことによって、前記二次電池のインピーダンスZを算出すること
【数1】
を特徴とする請求項3記載のインピーダンス検出回路。
【請求項5】
前記遅れ時間検出部は、
前記電流検出部で検出される電流値がピークになった後、前記電圧検出部で検出される端子電圧がピークになるまでの時間を前記遅れ時間として測定すること
を特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のインピーダンス検出回路。
【請求項6】
前記周期検出部は、
前記電流値及び前記端子電圧のうちいずれか一方について、ピークとピークとの間隔を測定し、当該測定された間隔に基づいて前記周期を取得すること
を特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のインピーダンス検出回路。
【請求項7】
前記インピーダンス推定部によって推定されるインピーダンスに基づき、前記二次電池のSOCを推定するSOC推定部をさらに備えること
を特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のインピーダンス検出回路。
【請求項8】
前記二次電池のインピーダンス、当該二次電池に流れる電流の周波数、及び当該二次電池のSOCを、対応付ける対応情報を記憶する記憶部と、
前記二次電池に流れる電流の周波数を検出する周波数検出部とをさらに備え、
前記SOC推定部は、
前記記憶部に記憶されている対応情報によって、前記インピーダンス推定部によって推定されるインピーダンス及び前記周波数検出部によって検出される周波数と対応付けられているSOCを、前記二次電池のSOCとして取得すること
を特徴とする請求項7記載のインピーダンス検出回路。
【請求項9】
前記周波数検出部は、
前記電流値及び前記端子電圧のうちいずれか一方について、予め設定された設定時間の期間内におけるピーク数を計数し、当該ピーク数と前記設定時間とに基づいて、前記周波数を検出すること
を特徴とする請求項8記載のインピーダンス検出回路。
【請求項10】
前記二次電池のインピーダンス、前記遅れ時間、及び当該二次電池のSOCを、対応付ける対応情報を記憶する記憶部をさらに備え、
前記SOC推定部は、
前記記憶部に記憶されている対応情報によって、前記インピーダンス推定部で推定されるインピーダンス及び前記遅れ時間検出部で検出される遅れ時間と対応付けられているSOCを、前記二次電池のSOCとして取得すること
を特徴とする請求項7記載のインピーダンス検出回路。
【請求項11】
前記インピーダンス推定部によって推定されたインピーダンスが、予め設定された基準範囲内であるか否かを確認し、当該インピーダンスが当該基準範囲外であった場合、前記二次電池に異常が生じていると判定する異常判定部をさらに備えること
を特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載のインピーダンス検出回路。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか1項に記載のインピーダンス検出回路と、
前記二次電池と、
を備えることを特徴とする電池電源装置。
【請求項13】
請求項1〜11のいずれか1項に記載のインピーダンス検出回路と、
前記二次電池と、
前記二次電池を充電する充電部と、
前記二次電池から電流の供給を受ける負荷回路と
を備えることを特徴とする電池利用システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【公開番号】特開2011−137681(P2011−137681A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−296901(P2009−296901)
【出願日】平成21年12月28日(2009.12.28)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月28日(2009.12.28)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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