説明

インプリントレシピ作成装置及び方法並びにインプリント装置及び方法

【課題】インプリントレシピの作成時間を短縮する。
【解決手段】本実施形態によれば、インプリントレシピ作成装置は、第1作成部111〜第5作成部115を備える。第1作成部111は、充填量情報及び残膜厚情報を用いて、標準ショット内情報を作成する。第2作成部112はショット位置情報、エッジ情報、及び標準ショット内情報を用いて、第1ウェーハ面内情報を作成する。第3作成部113は、下地の凹凸を示す凹凸情報及び凹凸のウェーハ面内ばらつきを示す凹凸分布情報を用いて、第1補正情報を作成する。第4作成部114は、後工程の加工寸法のばらつきを示す後工程情報を用いて、第2補正情報を作成する。第5作成部115は、第1ウェーハ面内情報、第1補正情報、及び第2補正情報を合成して第2ウェーハ面内情報を作成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、インプリントレシピ作成装置及び方法並びにインプリント装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体素子の製造工程において、100nm以下の微細パターンの形成と、量産性とを両立させる技術として、ナノインプリント露光法が注目されている。ナノインプリント露光法では、基板上に形成したいパターンに対応する凹凸を有するテンプレートを、被転写基板表面に塗布された光硬化性を有するインプリント材料に押しつけ、凹凸パターン内にインプリント材料が行き渡るまで保持する。その後、光照射を行ってインプリント材料を硬化させ、テンプレートをインプリント材料から離型することで、所望のパターンが得られる。
【0003】
インプリント材料は、インプリントレシピ(インプリント材料の滴下位置情報)に基づいて、1ショットごとにインクジェット法で基板上に塗布される。テンプレートをインプリント材料に押しつける際に、インプリント材料の過不足が生じることがないように、欠けショットの位置や形状、基板の歪みなど、様々な情報を考慮してインプリントレシピを作成する必要がある。そのため、インプリントレシピの作成に時間がかかるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第2007/0278712号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、インプリントレシピの作成時間を短縮できるインプリントレシピ作成装置及び方法並びにインプリント装置及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施形態によれば、インプリントレシピ作成装置は、インプリントの1ショットに対応するショット領域における前記インプリント材料の滴下位置を示す標準ショット内情報を作成する第1作成部と、ウェーハ面内における前記インプリント材料の滴下位置を示す第1ウェーハ面内情報を作成する第2作成部とウェーハ面内における凹凸を補正するためのインプリント材料の滴下位置を示す第1補正情報を作成する第3作成部と、加工寸法のばらつきを補正するためのインプリント材料の滴下位置を示す第2補正情報を作成する第4作成部と、第2ウェーハ面内情報を作成する第5作成部と、を備える。第1作成部は、テンプレートの凹部に充填されるインプリント材料の量を示す充填量情報、及びウェーハ上に形成される残膜の膜厚を示す残膜厚情報を用いて、標準ショット内情報を作成する。第2作成部は、ウェーハ面内でインプリントのショットを行う位置を示すショット位置情報、前記ウェーハのエッジを示すエッジ情報、及び前記標準ショット内情報を用いて、第1ウェーハ面内情報を作成する。第3作成部は、前記ショット領域の下地に生じている凹凸を示す凹凸情報、及び前記ウェーハ面内における前記凹凸の深さのばらつきを示す凹凸分布情報を用いて、第1補正情報を作成する。第4作成部は、前記ウェーハ面内におけるインプリント工程後の加工の加工寸法のばらつきを示す後工程情報を用いて、第2補正情報を作成する。第5作成部は、前記第1ウェーハ面内情報、前記第1補正情報、及び前記第2補正情報を合成して第2ウェーハ面内情報を作成する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】インプリント法を説明する工程断面図である。
【図2】ウェーハ上のショット領域を示す図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係るインプリントレシピ作成装置のハードウェア構成図である。
【図4】同第1の実施形態に係るインプリントレシピ作成装置の機能ブロック図である。
【図5】同第1の実施形態に係るインプリントレシピ作成方法を説明するフローチャートである。
【図6】テンプレートの凹凸パターンに充填されるインプリント材料及び残膜を示す図である。
【図7】標準ショット内情報の一例を示す図である。
【図8】第1ウェーハ面内情報の一例を示す図である。
【図9】下地の凹凸を示す図である。
【図10】ウェーハ面内における下地の凹凸のばらつきを示す図である。
【図11】後工程の加工の加工寸法のばらつきを示す図である。
【図12】ウェーハ面内における残膜厚の一例を示す図である。
【図13】本発明の第2の実施形態に係るインプリントレシピ作成装置のハードウェア構成図である。
【図14】同第2の実施形態に係るインプリントレシピ作成装置の機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0009】
(第1の実施形態)まず、インプリント法について説明する。インプリント法では、 図1(a)に示すように、基板11上に、後述のインプリントレシピに基づいて、インプリント材料12を塗布する。そして、塗布されたインプリント材料12に、形成したいパターンに対応する凹凸を有するテンプレート13を接触させる。インプリント材料12は例えばアクリルモノマー等の液状の光硬化性有機材料である。
【0010】
図1(b)に示すように、液状のインプリント材料12は、テンプレート13の凹凸パターンに従って流動して入り込む。
【0011】
図1(c)に示すように、凹凸パターン内にインプリント材料12が充填された後、光を照射し、インプリント材料12を硬化させる。照射する光は、インプリント材料12を硬化させるものであれば良く、例えばランプ光などを用いることができる。テンプレート13はこの光を透過するような材料、例えば石英ガラス、により形成されている。
【0012】
図1(d)に示すように、テンプレート13をインプリント材料12から分離する。既にこの状態ではインプリント材料12は硬化されているので、テンプレート13が接触していたときの状態(形状)に維持される。
【0013】
図1(a)〜(d)に示す工程を繰り返し、基板上に所望の凹凸パターンを有するインプリント材料を複数形成する。
【0014】
例えば、図2(a)に示すように、ウェーハ20を、1ショット分のインプリントを行うショット領域21に分割し、各ショット領域21について、図1(a)〜(d)に示す工程が実施される。ショット領域21は、テンプレート13と同等のサイズである。なお、ウェーハ20のエッジ部分におけるショット領域21は、テンプレート13の一部がウェーハ20からはみ出す欠けショットとなる。欠けショットとなるショット領域21は、図2(a)において斜線を付している。
【0015】
図2(b)、(c)に示すように、各ショット領域21には、インプリント材料12が複数の位置に塗布される。インプリントレシピは、ウェーハ20のすべてのショット領域21の各々について、インプリント材料12をどこに塗布(滴下)するかを規定した情報である。
【0016】
図3に、本実施形態に係るインプリントレシピ作成装置100のハードウェア構成を示す。インプリントレシピ作成装置100は、CPU(中央演算処理装置)110、ディスク装置(ハードディスクドライブ)120、メインメモリ130、及びインタフェース140を備える。インプリントレシピ作成装置100の各部はバスを介して接続されている。
【0017】
ディスク装置120は、インプリントレシピの作成に用いられる様々な情報を格納する。具体的には、ディスク装置120は、充填量情報、残膜厚情報、ショット位置情報、エッジ情報、凹凸情報、凹凸分布情報、後工程情報、及びショットサイズ情報を格納する。各情報の詳細については後述する。
【0018】
また、ディスク装置120は、CPU110により実行されるインプリントレシピ作成プログラムを格納する。
【0019】
CPU110は、ディスク装置120内のインプリントレシピ作成プログラムをメインメモリ130にロードして、インプリントレシピ作成プログラムを実行する。このとき、ディスク装置120内の各情報(充填量情報、残膜厚情報、ショット位置情報、エッジ情報、凹凸情報、凹凸分布情報、後工程情報、及びショットサイズ情報)をメインメモリ130にロードするようにしてもよい。
【0020】
図4に、CPU110がインプリントレシピ作成プログラムを実行することで実現される機能ブロック図を示す。インプリントレシピ作成プログラムの実行により、標準ショット内情報を作成する第1作成部111、第1ウェーハ面内情報を作成する第2作成部112、第1補正情報を作成する第3作成部113、第2補正情報を作成する第4作成部114、第2ウェーハ面内情報を作成する第5作成部115、及びインプリントレシピを作成する第6作成部116が実現される。標準ショット内情報、第1ウェーハ面内情報、第2ウェーハ面内情報、第1補正情報、第2補正情報については後述する。
【0021】
第1作成部111、第2作成部112、第3作成部113、第4作成部114、第5作成部115、及び第6作成部116において実行される処理を、図5に示すフローチャートと共に説明する。
【0022】
(ステップS101)第1作成部111が、充填量情報及び残膜厚情報を用いて標準ショット内情報を作成する。
【0023】
ここで、充填量情報は、インプリントのショット時にテンプレートの凹凸パターン内に充填されるインプリント材料の量を示す情報である。また、残膜厚情報は、テンプレートが基板に直接接触することを防ぐための残膜の厚さを示す情報である。また、標準ショット内情報は、インプリントの1ショットに対応する領域(ショット領域)におけるインプリント材料の滴下(塗布)位置を示す情報である。
【0024】
例えば、図1(a)〜(d)に示す工程を実施することで、図6に示すようなパターンが形成される。図6において、領域A1がテンプレートの凹凸パターンに充填されるインプリント材料に対応し、領域A2が残膜に対応する。
【0025】
従って、第1作成部111は、充填量情報に基づいて、テンプレートの凹凸パターン内への充填に必要なインプリント材料の滴下位置(滴下量)を求める。例えば、テンプレートの凹部に対応する領域には、インプリント材料の滴下位置を密にして(滴下箇所を多くして)、滴下量を多くする。さらに、第2作成部111は、残膜厚情報に基づいて、残膜の形成に必要なインプリント材料の滴下位置(滴下量)を求める。そして、第1作成部111は、図7に示すように、これら2つの滴下位置を合成(加算)して、標準ショット内情報を作成する。
【0026】
(ステップS102)第2作成部112が、ショット位置情報、エッジ情報、及びステップS101で作成された標準ショット内情報に基づいて、第1ウェーハ面内情報を作成する。
【0027】
ここで、ショット位置情報は、ウェーハ上でインプリントのショットを行う位置を示す情報である。例えば、ショット位置情報は、図2(a)における各ショット領域21の中心の位置(座標)を示す情報である。
【0028】
また、エッジ情報は、ウェーハのエッジを示す情報である。エッジ情報は、ウェーハのエッジより外側にインプリント材料が滴下されることを防止するために必要な情報である。また、第1ウェーハ面内情報は、ウェーハ全面におけるインプリント材料の滴下位置を示す情報である。
【0029】
第2作成部112は、ショット位置情報及びエッジ情報から欠けショットとなるショット領域と、欠けショットとはならないショット領域とを判別する。そして、第2作成部112は、欠けショットとなるショット領域について、ウェーハのエッジより外側においてインプリント材料が滴下されないように、標準ショット内情報を補正し、第1ウェーハ面内情報を作成する。
【0030】
具体的には、第2作成部112は、まず、図8(a)に示すように、標準ショット内情報を各ショット領域に並べる。そして、第2作成部112は、図8(b)に示すように、欠けショットとなるショット領域について、ウェーハのエッジより外側にインプリント材料が滴下されないように、標準ショット内情報を補正する。このようにして、ウェーハ面内の全域におけるインプリント材料の滴下位置を示す第1ウェーハ面内情報が得られる。
【0031】
(ステップS103)第3作成部113が、凹凸情報及び凹凸分布情報を用いて、第1補正情報を作成する。
【0032】
ここで、凹凸情報は、インプリント工程以前の工程によって、各ショット領域に生じる凹凸を示す情報である。
【0033】
例えば、図9(a)に示すように、凹部31が形成された基板(ウェーハ)30上に被加工膜32を堆積した場合、基板30の凹部31に対応して、被加工膜32にも凹部33が形成される。このような被加工膜32の表面に対してCMP(化学的機械研磨)処理を施すと、図9(b)に示すように被加工膜32の平坦性は向上するものの、凹部34が存在する。この被加工膜32の上にインプリント材料が滴下され、インプリントが行われる。凹凸情報は、この凹部34の位置についての情報を含む。
【0034】
凹凸分布情報は、ウェーハ面内における位置によって、上述の凹凸情報がどのように変化するか(どのようにばらつくか)を示す。例えば、図9(b)に示すような凹部34が、図10に示すようにウェーハの中心から離れる程(エッジに近付く程)深くなる場合、このような変化(ばらつき)が凹凸分布情報に含まれる。
【0035】
第3作成部113は、上述のような凹凸情報及び凹凸分布情報を用いて、ウェーハ面内におけるばらついた凹凸を補正するようなインプリント材料の滴下位置を示す第1補正情報を作成する。
【0036】
例えば、図9及び図10に示す例では、凹部34に対応する位置にインプリント材料の滴下位置が設定された第1補正情報が作成される。凹部34を埋め込むために、他の領域より、インプリント材料が余分に必要になるためである。なお、この例では、ウェーハの中心から離れる程、凹部34の埋め込みに必要なインプリント材料が多くなるため、塗布位置を多く(密に)する。
【0037】
(ステップS104)第4作成部114が、後工程情報を用いて、第2補正情報を作成する。
【0038】
ここで、後工程情報は、ウェーハ面内における、インプリント工程の後に実施される加工工程(後工程)における加工寸法のばらつき(分布)情報を含む。例えば、図11に示すように、被加工膜41上にインプリント工程により形成されたインプリント材料42のパターンを形成する。このインプリント材料42のパターンをマスクとして、RIE(反応性イオンエッチング)を用いた加工を行った場合、ウェーハ40面内において、ウェーハ40の中心から離れる程、被加工膜41の除去量が減るというような、加工寸法のばらつき(分布)が生じ得る。後工程情報は、このような後工程の特徴を含むものである。後工程情報は、予め実験により求めておく。
【0039】
そして、第4作成部114は、後工程情報を用いて、後工程の加工寸法のばらつき(分布)を補正するような、インプリント材料の滴下位置を示す第2補正情報を作成する。
【0040】
例えば、後工程情報が図11に示すような加工寸法のばらつきを含む場合、第4作成部114は、ウェーハの中心から離れる程、残膜厚が薄くなるように、インプリント材料の滴下位置を補正する第2補正情報を作成する。ウェーハの中心から離れる程、残膜厚を薄くすることで、図12に示すように、後工程(RIE)による加工寸法のばらつきが補正され、ウェーハ面内で均一な加工パターンが得られる。
【0041】
なお、ステップS102、S103、S104における処理は、どのような順序で行ってもよい。
【0042】
(ステップS105)第5作成部115が、第1ウェーハ面内情報、第1補正情報、及び第2補正情報を用いて、第2ウェーハ面内情報を作成する。
【0043】
上述したように、第1ウェーハ面内情報は、ウェーハ全面におけるインプリント材料の滴下位置を示す情報である。第1補正情報は、インプリント工程以前の工程によって下地に生じる凹凸を補正するようなインプリント材料の滴下位置を示す情報である。第2補正情報は、インプリント工程後の加工工程によって生じる加工寸法のウェーハ面内ばらつき(分布)を補正するような、インプリント材料の滴下位置を示す情報である。
【0044】
第5作成部115は、第1ウェーハ面内情報、第1補正情報、及び第2補正情報を合成(加算)して、第2ウェーハ面内情報を作成する。
【0045】
つまり、第2ウェーハ面内情報は、インプリント前に生じている下地の凹凸の補正及びインプリント後の加工寸法のばらつきの補正が考慮された、ウェーハ全面におけるインプリント材料の滴下位置を示す情報である。
【0046】
(ステップS106)第6作成部116が、第2ウェーハ面内情報、ショットサイズ情報、及びショット位置情報を用いて、インプリントレシピを作成する。
【0047】
ここで、ショットサイズ情報は、1ショットのサイズ、すなわちテンプレートのサイズを示す情報である。上述のように、ショット位置情報は、ウェーハ上でインプリントのショットを行う位置を示す情報である。従って、第6作成部116は、ショットサイズ情報及びショット位置情報に基づいて、ウェーハ上の各ショット領域の範囲を求めることができる。
【0048】
第6作成部116は、各ショット領域の範囲を用いて、第2ウェーハ面内情報を切り分けることで、ウェーハ面内の全てのショットについてのインプリントレシピをまとめて生成することができる。
【0049】
上述のようにしてインプリントレシピ作成装置100によって作成されたインプリントレシピが、インプリント装置200(図3参照)に与えられる。インプリント装置200は、例えば、有線又は無線ネットワークを介してインプリントレシピ作成装置100からインプリントレシピを受信できる。インプリント装置200はインプリントレシピに基づいてインプリント材料を塗布し、テンプレートを接触させ、光を照射し、テンプレートを離型して、パターンを形成する(図1(a)〜(d)参照)。
【0050】
このように、本実施形態によれば、充填量情報、残膜厚情報、ショット位置情報、エッジ情報、凹凸情報、凹凸分布情報、後工程情報、及びショットサイズ情報を用いて、インプリント前に生じている下地の凹凸及びインプリント後の加工寸法のばらつきが考慮された、ウェーハ面内の全てのショットについてのインプリントレシピをまとめて生成することができる。インプリントレシピをショット毎に作成する必要がないため、インプリントレシピの作成時間を短縮することができる。
【0051】
上記実施形態において、第1ウェーハ面内情報の作成にあたり、標準ショット内情報、ショット位置情報、及びエッジ情報に加えて、さらに凹凸情報を用いてもよい。この場合、第1ウェーハ面内情報は、下地の凹凸を考慮したものとなる。また、第1補正情報は、凹凸分布情報に基づいて生成され、凹凸のばらつき分を補正するためのインプリント材料の塗布位置を示す情報となる。
【0052】
また、図5に示すフローチャートのステップS101〜S105の処理をインプリントレシピ作成装置100で行い、第2ウェーハ面内情報、ショットサイズ情報、及びショット位置情報を第6作成部116の機能を設けたインプリント装置200に渡して、ステップS106の処理をインプリント装置200で行うようにしてもよい。
【0053】
(第2の実施形態)図13に、本発明の第2の実施形態に係るインプリントレシピ作成装置100のハードウェア構成を示す。ハードウェア構成は、図3に示す上記第1の実施形態と同様であるため説明を省略する。また、後述の充填量情報、残膜厚情報、ショット位置情報、エッジ情報、凹凸情報、凹凸分布情報、後工程情報、及び標準ショット内情報は、上記第1の実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0054】
図14に、CPU110がインプリントレシピ作成プログラムを実行することで実現される機能ブロック図を示す。インプリントレシピ作成プログラムの実行により、標準ショット内情報を作成する第1作成部151、標準インプリントレシピを作成する第2作成部152、及び補正マップを作成する第3作成部153が実現される。標準インプリントレシピ及び補正マップについては後述する。
【0055】
第1作成部151は、上記第1の実施形態における第1作成部111と同様に、充填量情報、残膜厚情報を用いて、標準ショット内情報を作成する。
【0056】
第2作成部152は、標準ショット内情報及び凹凸情報を用いて、標準インプリントレシピを作成する。標準インプリントレシピは、下地の凹凸の補正分を考慮した、基準となる(標準的な)インプリント材料の滴下位置を示す情報(インプリントレシピ)である。
【0057】
第3作成部153は、凹凸分布情報及び後工程情報を用いて、補正マップを作成する。補正マップは、ウェーハ面内における下地の凹凸のばらつきと、ウェーハ面内における後工程の加工寸法のばらつきと、を補正するためのインプリント材料の補正量(補正のための滴下位置)を示す補正情報を含む。
【0058】
図13、図14に示すように、インプリント装置200は、インプリントレシピ作成装置100から、標準インプリントレシピ、補正マップ、ショット位置情報及びエッジ情報を受け取る。インプリント装置200は、ショット位置情報、エッジ情報を予め保持していてもよい。
【0059】
インプリント装置200は、ショット位置情報に基づいて各ショットを行う際に、補正マップから、ショット位置に対応する補正量を取得し、標準インプリントレシピに補正量を加算して、標準インプリントレシピを補正する。そして、インプリント装置200は、補正後のインプリントレシピに基づいてインプリント材料の滴下を行う。なお、インプリント装置200は、エッジ情報に基づいて、ウェーハのエッジより外側にインプリント材料が滴下されないように、ショット位置に応じて滴下位置を調整する。
【0060】
このように、本実施形態によれば、インプリント装置200には、1ショット分のインプリントレシピ、補正マップ、ショット位置情報、及びエッジ情報を入力されるため、インプリント装置200に全ショット分のインプリントレシピが入力される上記第1の実施形態と比較して、インプリント装置200への入力データ量を削減することができ、インプリントプロセスのオーバーヘッドを短縮することができる。
【0061】
上記第2の実施形態において、第3作成部153が作成する補正マップは、ショット位置とインプリント材料の滴下補正量(補正情報)との関係を規定した関数であってもよい。補正マップを関数で表すことで、インプリント装置200への入力データ量をさらに削減することができる。
【0062】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0063】
100 インプリントレシピ作成装置
110 CPU
120 ディスク装置
130 メインメモリ
140 インタフェース
200 インプリント装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
テンプレートの凹部に充填されるインプリント材料の量を示す充填量情報、及びウェーハ上に形成される残膜の膜厚を示す残膜厚情報を用いて、インプリントの1ショットに対応するショット領域における前記インプリント材料の滴下位置を示す標準ショット内情報を作成する第1作成部と、
ウェーハ面内でインプリントのショットを行う位置を示すショット位置情報、前記ウェーハのエッジを示すエッジ情報、及び前記標準ショット内情報を用いて、前記ウェーハ面内における前記インプリント材料の滴下位置を示す第1ウェーハ面内情報を作成する第2作成部と、
前記ショット領域の下地に生じている凹凸を示す凹凸情報、及び前記ウェーハ面内における前記凹凸の深さのばらつきを示す凹凸分布情報を用いて、前記ウェーハ面内における凹凸を補正するためのインプリント材料の滴下位置を示す第1補正情報を作成する第3作成部と、
前記ウェーハ面内におけるインプリント工程後の加工の加工寸法のばらつきを示す後工程情報を用いて、前記加工寸法のばらつきを補正するためのインプリント材料の滴下位置を示す第2補正情報を作成する第4作成部と、
前記第1ウェーハ面内情報、前記第1補正情報、及び前記第2補正情報を合成して第2ウェーハ面内情報を作成する第5作成部と、
を備えるインプリントレシピ作成装置。
【請求項2】
前記インプリントの1ショットのサイズを示すショットサイズ情報及び前記ショット位置情報に基づいて、前記ウェーハ面内の各ショット領域の範囲を求め、各ショット領域の範囲を用いて、前記第2ウェーハ面内情報を切り分けて、各ショット領域に対応するインプリントレシピを作成する第6作成部をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のインプリントレシピ作成装置。
【請求項3】
請求項1に記載のインプリントレシピ作成装置から前記第2ウェーハ面内情報を受け取り、前記インプリントの1ショットのサイズを示すショットサイズ情報及び前記ショット位置情報に基づいて、前記ウェーハ面内の各ショット領域の範囲を求め、各ショット領域の範囲を用いて、前記第2ウェーハ面内情報を切り分けて、各ショット領域に対応するインプリントレシピを作成し、前記インプリントレシピに基づいてウェーハ上に前記インプリント材料を滴下し、前記インプリント材料に前記テンプレートを接触させ、前記テンプレートを接触させた状態で光を照射して前記インプリント材料を硬化させ、前記テンプレートを前記インプリント材料から離型してパターンを形成するインプリント装置。
【請求項4】
テンプレートの凹部に充填されるインプリント材料の量を示す充填量情報、及びウェーハ上に形成される残膜の膜厚を示す残膜厚情報を用いて、インプリントの1ショットに対応するショット領域における前記インプリント材料の滴下位置を示す標準ショット内情報を作成する第1作成部と、
前記ショット領域の下地に生じている凹凸を示す凹凸情報、及び前記標準ショット内情報を用いて、前記凹凸の補正分を含む、前記ショット領域における前記インプリント材料の滴下位置を示す標準インプリントレシピを作成する第2作成部と、
ウェーハ面内における前記凹凸の深さのばらつきを示す凹凸分布情報、及び前記ウェーハ面内におけるインプリント工程後の加工の加工寸法のばらつきを示す後工程情報を用いて、前記凹凸のばらつき及び前記加工寸法のばらつきを補正するための、前記ウェーハ面内におけるインプリント材料の滴下位置の補正情報を含む補正マップを作成する第3作成部と、
を備えるインプリントレシピ作成装置。
【請求項5】
請求項4に記載のインプリントレシピ作成装置から前記標準インプリントレシピ及び前記補正マップを受け取り、インプリントの各ショットを行う際に、ウェーハ面内でインプリントのショットを行う位置を示すショット位置情報を用いて、前記補正マップからショット位置に対応する補正情報を取得し、この補正情報に基づいて前記標準インプリントレシピを補正し、補正後の標準インプリントレシピ基づいてウェーハ上に前記インプリント材料を滴下し、前記インプリント材料に前記テンプレートを接触させ、前記テンプレートを接触させた状態で光を照射して前記インプリント材料を硬化させ、前記テンプレートを前記インプリント材料から離型してパターンを形成するインプリント装置。
【請求項6】
テンプレートの凹部に充填されるインプリント材料の量を示す充填量情報、及びウェーハ上に形成される残膜の膜厚を示す残膜厚情報を用いて、インプリントの1ショットに対応するショット領域における前記インプリント材料の滴下位置を示す標準ショット内情報を作成する工程と、
ウェーハ面内でインプリントのショットを行う位置を示すショット位置情報、前記ウェーハのエッジを示すエッジ情報、及び前記標準ショット内情報を用いて、前記ウェーハ面内における前記インプリント材料の滴下位置を示す第1ウェーハ面内情報を作成する工程と、
前記ショット領域の下地に生じている凹凸を示す凹凸情報、及び前記ウェーハ面内における前記凹凸の深さのばらつきを示す凹凸分布情報を用いて、前記ウェーハ面内における凹凸を補正するためのインプリント材料の滴下位置を示す第1補正情報を作成する工程と、
前記ウェーハ面内におけるインプリント工程後の加工の加工寸法のばらつきを示す後工程情報を用いて、前記加工寸法のばらつきを補正するためのインプリント材料の滴下位置を示す第2補正情報を作成する工程と、
前記第1ウェーハ面内情報、前記第1補正情報、及び前記第2補正情報を合成して第2ウェーハ面内情報を作成する工程と、
前記インプリントの1ショットのサイズを示すショットサイズ情報及び前記ショット位置情報に基づいて、前記ウェーハ面内の各ショット領域の範囲を求め、各ショット領域の範囲を用いて、前記第2ウェーハ面内情報を切り分けて、各ショット領域に対応するインプリントレシピを作成する工程と、
を備えるインプリントレシピ作成方法。
【請求項7】
請求項6に記載のインプリントレシピ作成方法により作成されたインプリントレシピに基づいて、ウェーハ上に前記インプリント材料を滴下する工程と、
前記インプリント材料に前記テンプレートを接触させる工程と、
前記テンプレートを接触させた状態で光を照射して前記インプリント材料を硬化させる工程と、
前記テンプレートを前記インプリント材料から離型してパターンを形成する工程と、
を備えるインプリント方法。
【請求項8】
テンプレートの凹部に充填されるインプリント材料の量を示す充填量情報、及びウェーハ上に形成される残膜の膜厚を示す残膜厚情報を用いて、インプリントの1ショットに対応するショット領域における前記インプリント材料の滴下位置を示す標準ショット内情報を作成する工程と、
前記ショット領域の下地に生じている凹凸を示す凹凸情報、及び前記標準ショット内情報を用いて、前記凹凸の補正分を含む、前記ショット領域における前記インプリント材料の滴下位置を示す標準インプリントレシピを作成する工程と、
ウェーハ面内における前記凹凸の深さのばらつきを示す凹凸分布情報、及び前記ウェーハ面内におけるインプリント工程後の加工の加工寸法のばらつきを示す後工程情報を用いて、前記凹凸のばらつき及び前記加工寸法のばらつきを補正するための、前記ウェーハ面内におけるインプリント材料の滴下位置の補正情報を含む補正マップを作成する工程と、
を備えるインプリントレシピ作成方法。
【請求項9】
インプリントのショット毎に、ウェーハ面内でインプリントのショットを行う位置を示すショット位置情報を用いて、請求項8に記載のインプリントレシピ作成方法により作成された前記補正マップから、ショット位置に対応する前記補正情報を取得する工程と、
前記取得した補正情報に基づいて、請求項8に記載のインプリントレシピ作成方法により作成された前記標準インプリントレシピを補正する工程と、
補正された前記標準インプリントレシピ基づいてウェーハ上に前記インプリント材料を滴下する工程と、
前記インプリント材料に前記テンプレートを接触させる工程と、
前記テンプレートを接触させた状態で光を照射して前記インプリント材料を硬化させる工程と、
前記テンプレートを前記インプリント材料から離型してパターンを形成する工程と、
を備えるインプリント方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−54322(P2012−54322A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−194231(P2010−194231)
【出願日】平成22年8月31日(2010.8.31)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】