説明

ウイルス感染を阻害する方法

ウイルス感染を阻害することを必要としている哺乳動物においてウイルス感染を阻害する方法は、有効量の273、365および510により代表されるFGI−103の化合物の少なくとも1つを、ウイルス感染を防止するために予防的に又はウイルス感染の後治療的に投与することを含む。これらの化合物は、感染性ウイルス粒子放出を防止する方法としてカスパーゼ8を選択的に阻害すると思われる。これらの化合物は、IV、IP、経口的に、又は他の慣用の投与経路を介して投与されうる。これらの化合物は、1ng/kg〜200mg/kg体重のオーダーの相対的に低い投薬量を必要とし、高度に有効である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権データおよび参照による取り込み
本願は、2007年10月24日に出願されたU.S. Provisional patent Application No. 60/982,227に対する優先権の利益を主張するものであり、この出願は参照によりそのまま取り込まれる。本願は、U.S. Patent Application Publication WO 2008/089125 A2および対応するU.S. Patent Application Serial Number 12/013,640の全体の開示も参照により取り込む。
【0002】
政府の支援
ここに開示されそして特許請求された本発明をもたらす研究は、U.S. Government Contract HDTRA1-07-C-0080により部分的に資金を提供されそして政府は、出血熱ウイルス処理に関連するある用途に対する限定された本願の権利を享受することができる。
【0003】
先行技術の背景
当業者は、異なるウイルス感染症を単一の作用物質又は作用物質のファミリーで阻害することができるように、1種より多くの特定のウイルス作用物質(viral agents)を阻害する作用物質(agents)を同定することが望ましいであろうということを認識している。同様に、ウイルス自体に対する生存圧力をかけない「汎ウイルス」作用物質("pan viral" agent)などを同定し、それによりウイルス母集団により示される頻繁な突然変異により無効にされるのを回避することが望ましいであろう。これまで、種々のウイルスファミリーを横断する極めて多様なウイルス感染様式および特徴を考えると、共通の治療を確立することは困難であった。明らかにTSG101により媒介される1つの経路は、進行中の研究の主題である。しかしながら、この経路を介する阻害は、選択的抗体の発生に主として基づいており、そして商業的ベースでこれらの経路に介入するための特定の作用物質又は組成物は同定されていない。これらの努力は、中でも6,835,816および6,248,523に検討されている。
【0004】
最近、あるファミリーの化合物が、抗バクテリア活性、特に抗ボツリヌス中毒活性に対する関係を有するとして同定された。これらの化合物は、U.S. Patent Applications 11/464,001および11/464,007に同定されている。これらの両方共参照によりそのまま本明細書に組み込まれる。化合物それ自体は、元々抗腫瘍活性を有する化合物のスクリーニングにおいて同定された。このような化合物が抗ウイルス活性および抗バクテリア活性を示すならば、それは真に格別なことであろう。最近、やはり参照により本明細書に組み込まれる60/884,928に記載のとおり、2つの関連した化合物が、エボウイルスの攻撃からマウスを保護するある能力を有することが示された。合衆国および世界の残りの多くの国において、エボラは「細菌戦争」におけるように、引き渡し可能な兵器の点から見てのみウイルス脅威である。限定された種類の治療剤による他のウイルス感染症の処置は依然として確立されるべきである。
【0005】
発明の背景
発明の分野
本発明は、種々のウイルス型により引き起こされるウイルス感染症を予防、処置および/又は管理するのに更に有効である小分子のファミリーを含む組成物のセットに関する。本発明は、更に、患者、ウイルス感染を経験している又はウイルス感染の危険にある患者であるヒト又は動物への本発明の組成物の投与の方法およびウイルス感染を阻害するのに更に有効な関連した阻害剤を同定するための追加の化合物をスクリーニングするための方法に関する。本発明は、また、研究された化合物およびその他の化合物、例えば選択的カスパーゼ阻害剤の可能な作用様式(MOA)を同定することにより、ウイルス感染の阻害のための可能な基本的な生物学的活性経路も与える。
【0006】
関連した技術
ウイルスは、ヒトおよび動物罹病率および死亡率と関連した広い種類のヒトおよび動物感染症における原因作用物質であることが長く知られている。多くの異なるウイルス病原体は、ヒトおよび動物における衰弱させる疾患又は致死的疾患(例えばインフルエンザ)を絶えず引き起こしてきたが、他のものは新興(emerging)又は再興(reemerging)である(例えば、HIV、ウエストナイルウイルス、SARS等)である。
【0007】
動物およびヒトにおけるウイルス感染を処置又は予防するための努力は、一般に2つの広い範疇:ワクチンおよび抗ウイルス薬、に分類されうる。ワクチンは、一般に免疫原の投与により個体の免疫系をプライミングすることにより働く。免疫原は、典型的には、不活性化ウイルス(killed virus)、弱毒化ウイルス(attenuated virus)又は感染を引き起こすことはできないが免疫応答をトリガーするのには十分なウイルスサブユニットである。免疫原は予防接種によりターゲティングされた生きているウイルスに似ているので、免疫系は実際の感染の早期段階期間中にウイルスを容易に同定しそして排除することができる。入手可能ならば、ワクチンは、疾患を引き起こす特定のウイルスに対して個体を免疫感作するのに非常に有効である。
【0008】
しかしながら、ワクチンは、一般に、感染前に個体を免疫感作させるのにのみ有効である(即ち、ワクチンは、疾患の症候を経験しているかもしれない又は経験していないかもしれない感染した個体を処置するための手段としては効果がない)。更に、ワクチンは、高度に突然変異可能なウイルスに対して個体を予防接種するのにはしばしば効果がない。何故ならば、これらのウイルスは予防接種により発生したいかなる免疫も逃れることができるからである。
【0009】
研究は、既に感染している個体を処置するためおよび予防接種法が入手可能でないか又は成功がおぼつかないウイルス疾患を処置又は予防するための手段として抗ウイルス医薬を開発することにも集中した。抗ウイルス医薬を開発するためのこのようなアプローチは、「合理的薬物デザイン(rational drug design)」と呼ばれるものによりウイルス感染の基本的機構又は工程に介入する分子又は薬物を同定することを追求した。又は、代わりに、インターフェロン又は抗体などの抗ウイルス薬物を、ある範囲の病原体に対する免疫系を広く刺激するようにデザインすることができる。
【0010】
一般に、ウイルスは、その正常な感染サイクル期間中下記と同質の一連の工程を進む:(1)結合(即ち、ウイルスキャプシド又はコートタンパク質とホスト細胞表面のレセプター間の特異的結合)、(2)侵入(一般にエンドサイトーシス又は膜融合によるホスト細胞への入り込み)、(3)脱殻(uncoating)(即ち、ウイルスコートを消化又は分解して内容物およびウイルスゲノムを細胞中に放出させること)、(4)複製および組み立て(即ち、新しいウイルス粒子を形成するのに必要な中間体を含む新しいウイルスタンパク質およびDNA/RNAの合成)、(6)成熟(即ち、成熟したウイルス粒子を形成するための翻訳後の修飾およびプロセシング)および(6)放出又は出芽(即ち、ウイルス粒子を遊離させて新しいホスト細胞に感染させること)。しかしながら、すべてのウイルスがこれらの工程のすべてを要約された方式において進行するとは限らない。例えば、HIVは、ホスト細胞から放出された後成熟する。
【0011】
近年において、プロテアーゼ阻害剤の開発を含む新規な抗ウイルス薬のデザインおよび開発の顕著な成功にもかかわらず、現存の治療は、それらを使用して処置することができるウイルスの数および広さの点で限定されている。更に、多くのウイルスの株は、それらのウイルスゲノムの突然変異の結果として抗ウイルス薬に耐性となった。したがって、ウイルス疾患を処置又は予防するための抗ウイルス薬、特に種々のウイルス型に対する有望性を示す抗ウイルス薬の開発に対する当技術分野における要求があり続けている。一般に現存のワクチチンおよび薬物による処置を逃れることができる高度に突然変異可能なウイルスに対して有効な新規な抗ウイルス薬の開発に対する当技術分野における要求もあり続けている。
【0012】
本願の有効な出願日の後、provisional U.S. Patent Application No. 60/884,928において検討された化合物のファミリーの有効性の広がった説明は、U.S. Patent Application 12/013,640に提示されている。出願人は、更に、1種以上のウイルスおよびウイルスファミリーに対して活性を与える化合物の活性の範囲、機構およびファミリーを拡大した。本願の出願時に、本願の譲受人、Functional Genetics, Incは、U.S. Patent Application 12/013,640の専用実施権者である。
【0013】
発明の要約
ウイルス感染に対して有効とされた化合物は、USSN 60/884,928および12/013,640においてこれまで同定された広い種類の化合物から選び出される。本願の詳細な説明に記載のとおり、構造類似性に基づくのみならず活性にも基づくより限定されたファミリーの同定を可能とする追加の情報が開発された。化合物の活性は、主として細胞に基づくアッセイとして反映されるin−vitro実験および主としてチャレンジ(challenge)に基づく方法を含むin vivo実験により本明細書では証明される。これらの分子に対する耐性および有効性の一般的レベルもまた与えられる。
【0014】
特定的には、本発明の化合物は、下記の構造式
【化1】


[式中、Yは、
【化2】


(式中、nは1又は2である)であり;
、X、X、X、XおよびXは各々独立に、N、S、O、SO、CR又はNRであり、そしてX、Xの少なくとも1つはN、S、O、SO又はNRであり;
Lは、直接の結合又は
【化3】


(式中、Zは場合により置換されているアルキル、アルケニル、ジアルケニル、トリアルケニル又はアリール又はC(O)NHである)であることができるリンカーであり;
、R、R、R、R、RおよびRは、各々独立に、水素、アミノ、安定化されたカルボカチオンを有するアミン、カルボキシル、場合により置換されているアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、アリールオキシ、シクロアルキルオキシ、ヘテロアリールオキシ、アルコキシカルボニル、アルキルアミノ、カルボルノイル、アルキルアミノカルボニル、アルキルスルフヒドリル、アルキルヒドロキシマートであり;
は、水素、OH、ハロゲン又は場合により置換されているアルキルである]
により記載される化合物のファミリーから選び出される。
【0015】
ある態様においては、R、R、R、Rの少なくとも1つは、水素、アミジン、2−イミダゾリン、アミノ、グアニジン、メチル、アミノメチル−ヒドロキサミン又はメチルアミン−グアニジンである。ある態様においては、Rは、水素、アミジン、2−イミダゾリン、アミノ、グアニジン、メチル、アミノメチル−ヒドロキサミン、メチルアミン−グアニジン、4−オキシ−ベンズアミジン、1H−インドール−6−カルボキサミジン、又は1H−インドール−5−カルボキサミジンである。ある態様においては、Rは、水素、アミジン、ベンズアミジン、ベンズイミダゾリン、イミダゾリン、グアニジン、イミダゾール、オキサゾール、ベンゾフラン−2−イル−イミダゾリン、ベンゾフラン−2−イル−アミジン、ベンゾフラン−2−イル−グアニジン、ベンゾチオフェン−2−イル−イミダゾリン、ベンゾチオフェン−2−イル−アミジン、ベンゼン−2−イルアミジン、ベンゾフラン−2−イル−イミダゾール又はベンゾフラン−2−イル−オキサゾールである。ある態様においては、X又はXの少なくとも1つは、N、NH、S、O、SO、CH、C−CH、C−フェニル、N−エタノール、N−クロロエチル、C−アミノ、C−(2−インドール−6−イミダゾリン)、C−(2−インドール−6−アミジン)、C−(2−インドール−5−イミダゾリン)又はC−(2−インドール−5−アミジン)である。ある態様においては、X、X、X又はXの少なくとも1つは、N、NH、S、O、SO又はCHである。ある態様においては、R、R、R、R、R、R又はRの少なくとも1つは、−H、−CH、−NH
【化4】


である。ある態様においては、Rは、−NH
【化5】


である。ある態様においては、Rは、
【化6】


である。ある態様においては、Rは、−H、−CH、−NH
【化7】


である。ある態様においては、Rは、−H、−(CHOH又は−(CHClである。ある態様においては、Lは、直接の結合、
【化8】


である。ある態様においては、化合物は、下記の構造式
【化9】


を有する。
【0016】
特に関心のある化合物は、NSC化合物369723、294199、306365、300510、294206、および294202、ならびに化合物50410および50413を含む。総括的に、これらの化合物および図6A〜6Cに記載の化合物および関連した化合物のファミリーは本明細書ではFGI−103化合物と記載される。これらの化合物の化学式は、図5に示された共通の構造単位の評価と共に、図1〜4および6A〜6Cに与えられる。しかしながら、活性は、これらの化合物に限定されずそして同様な構造の活性化合物のリストが与えられる。このリストは、選択に対する高められたガイダンスを与える仮の構造式の同定を可能とする。
【0017】
本願は、多数のウイルスのファミリーに対して活性を示す化合物のファミリーを指向した特許出願について適当である広範なデータを含む。この出願は明白な構成を有する。ある構造情報を与える多数の図、続いて3つの最も多く試験した化合物の各々についての活性情報が下記に記載される。本願の詳細な説明は、これらの図に並行して、集合的にそのクラスに注意を向け、次いで3つの異なる活性化合物の各々の研究された性能に注意を向ける。その後、基本的生物学的経路に関する化合物の共通の活性および投与経路および有効性が提示される。次いで特許請求の範囲が提示される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
本発明を、最初に出願された出願に記載されそして以下に検討される図面を参照して説明する。
【図1】本発明の活性化合物の構造式を与える。
【図2】本発明の活性化合物の構造式を与える。
【図3】本発明の活性化合物の構造式を与える。
【図4】本発明の活性化合物の構造式を与える。
【図5】本発明の化合物のある共通の化学構造単位を示す。
【図6A】細胞に基づくアッセイにおいて少なくともエボラウイルスおよび/又はサル痘に対してウイルス阻害活性を示すことが証明された本発明の方法の27化合物のいくらかを列挙する。
【図6B】細胞に基づくアッセイにおいて少なくともエボラウイルスおよび/又はサル痘に対してウイルス阻害活性を示すことが証明された本発明の方法の27化合物のいくらかを列挙する。
【図6C】細胞に基づくアッセイにおいて少なくともエボラウイルスおよび/又はサル痘に対してウイルス阻害活性を示すことが証明された本発明の方法の27化合物のいくらかを列挙する。
【図7】図7は、集合的に、略図によりおよびグラフにより化合物のFGI−103ファミリーの作用の様式のためのいくらかの証拠を与え、これはこのファミリーの化合物がウイルス粒子組み立てを妨害することを示唆する。
【図8】図8は、本発明の小分子活性作用物質がウイルスタンパク質合成が完了した後経路を阻害するのに有効であることを示唆する、特にFGI−103化合物723のin−vitro試験を使用して得られたデータの集合的要約をグラフで与える。
【図9】図9も、本発明の小分子のin−vitro試験に基づいており、FGI−103分子がプロテアーゼである酵素である、あるsapace酵素の活性を選択的に阻害することを証明する。
【図10】図10は、in−vitroアッセイにおいてインフルエンザ阻害を示す。図6Aにその式が示されている3つの活性化合物365、202および723のグラフ表現である。FIG−103化合物は、感染チャレンジ(infection challenge)に対する保護を与えるのに有効であることが示された。
【図11】図11も、FIG−103化合物365および723の両方についての、対照的な結果、インフルエンザウイルスの阻害、をグラフで示す。送達ビヒクルはネガティブコントロールとして示される。
【図12】図12は、FGI−103ファミリーの化合物の4つのグラフおよび牛痘ウイルスに対する細胞に基づくアッセイにおけるそれらの活性を示す。このアッセイおよびすべてのアッセイについて基本的パラメーターは図の下部左コーナーに与えられている。
【図13】豚ストックを世界的に徹底的に破壊する商業的に危険なウイルスであるブタ繁殖呼吸障害症候群(PRRS)に対する最も研究されたFGI−103化合物の2つ、723および365についての活性を示す。
【図14】図13と同様に、ヒトウイルスのみならず動物ウイルスの処理におけるFGI−103化合物の有効性を表により示す。特に、哺乳動物がウシコロナウイルスにさらされ、図14に検討された。
【図15】図15は、エボラチャレンジからのマウスの保護を示す、本発明により検討されたFGI−103ファミリーの2つの化合物についてのin vivo活性を示す。
【図16】図16は、異なるパネルのFGI−103化合物についてのマールブルグウイルス(MARV)によるマウスのin vivoチャレンジの結果をグラフで示す。やはり、すべてのこれらの化合物の構造式は図6A〜6Cに示される。
【図17】図17は、マウスチャレンジにおける牛痘に対するFGI−103化合物のファミリーの相対的活性を示す。重要なことに、図15〜17は、試験した化合物の治療的活性のみならず予防も反映し、チャレンジ時、チャレンジ前およびチャレンジ後に投与がなされた。
【図18】図18は、エボラ、マールブルグ、インフルエンザ、ラッサ熱、リフト渓谷熱、牛痘、PRRS、デング熱およびHIVに対して試験されている、これらの化合物の広い範囲の活性および適用可能性の指標を一目で与えることを意図した表である。これらは、もちろん、先行する図および後に続く図により示されたとおり、これらの分子が有効である唯一のウイルスではなくて共通の表を表す。
【図19】図19〜36は、FGI化合物の最も活性なものの1つ、化合物723の試験を反映する。したがって、図19は、この化合物の最も重要なデータ点のいくらかの表による提示である。この提示は、示唆された作用の機構も含む。
【図20】図20は、細胞に基づくアッセイに基づいて特定の値で達成されたウイルス力価の減少を比較するデータおよび関連して安全性情報を与える。本願全体にわたり、用語SI50は、安全性指数を示すのに使用されそしてEC50値をCC50で割ることにより得られる。
【図21】図21は、パラインフルエンザウイルスおよび呼吸合胞体ウイルスを含むパラミクソウイルスに対する活性作用物質として723を使用する細胞に基づくアッセイの結果をグラフおよび表に示す。
【図22】図22は、肝炎Bウイルス(HBV)に対する723を含む細胞に基づくアッセイに関するより多くの情報をグラフおよび表に示す。
【図23】同じタイプの情報か図23に与えられ、図23は、デング熱、他の認識された「バイオテロリズム脅威」ウイルスおよび国際的災難の原因に対する細胞に基づくアッセイにおいて723により与えられる保護の結果を提示する。
【図24】図24は、活性な保護化合物として723を使用するエボラウイルスおよびマールブルグウイルスからのチャレンジに対して細胞生存に関する情報を与える。示されたとおり、活性化合物の低い値で、100%阻害が達成される。
【図25】図25は、エボラウイルスに対するin vivo保護をグラフの形態で示す。このアッセイにおいて、エボラチャレンジに対する100%阻害は、723によりマウスにおいて与えられた。
【図26】図26も、エボラウイルスに対する723のin vivo試験の結果を表し、今回は用量を注入後に投与して、治療基準のみにおける結果を示す。
【図27】図27は、エボラ感染の4日後にマウスに723を投与する結果に関するグラフ情報を与える。
【図28】in vivoでのマールブルグウイルスチャレンジに対する保護は、図28に示される。
【図29】図29は、IP投与の後の723の血清レベルを示す。
【図30】図30は、IP投与後の時点で種々の身体組織における723の濃度に関する情報をグラフ形態で提示する。
【図31】図31は、時間に対して、これらの疾患のEC50値に比較して、投与後のモルモットにおける723の血清濃度について同様な情報をグラフ形態で与える。
【図32】図32は、単回又は多数回投与の後の種々の組織における723の濃度に関する情報をグラフ形態で示す。
【図33】図33は、723「プロドラッグ」の経口投与の後の薬物アベイラビリティーの棒グラフ情報を提供する。
【図34】図34は、723で処理されるとき種々の細胞型についての安全情報を表の形態で一目で与える。示されたとおり、関与したウイルスのいくらかの性質を考えて、これらのアッセイのあるものは、Frederick, Maryland(Fort Detrick)におけるUSAMRIIDの生物学的安全レベル4の実験室で行われた。
【図35】図35は、in vivoでの作用物質又は薬物としての723に関する安全/毒性情報を与える。
【図36】図36は、優良研究所実施基準に従うFGI−103化合物723の製造についての合成スキームを与える。
【図37】図37〜53は、FGI103ファミリーの他の化合物−365と呼ばれる化合物の試験を指向する。図37は、他のFGI−103化合物についての最も重要なデータ点のいくらかの表による表示である。この提示は、示唆された作用機構も含む。
【図38】図38は、種々のウイルス、動物およびヒトを苦しめるウイルス、に対する化合物365の活性の要約を表の形態で与える。
【図39】図39は、検出されたルシフェラーゼのレベルとして測定された肝炎Cウイルスを阻害することにおける化合物365の有効性を示す。
【図40】図40は、デング熱のすべての血清型による感染に対する化合物365により与えられた保護を示す細胞アッセイの結果をグラフおよび表で示す。
【図41】図41は、Vero細胞に基づくアッセイにおけるエボラチャレンジに対する365を使用することにより得られたデータをグラフおよび表で示す。
【図42】図42は、MT−4細胞におけるHIV感染の阻害をグラフおよび表により示す。
【図43】上記したとおり、PRRSウイルスは、世界中の豚母集団に疫病をもたらす商業的に危険なウイルスである。図43は化合物365によるPRRSウイルスの阻害を示す表形態の情報を与える。
【図44】図44は、細胞(Vero細胞)アッセイにおけるリフト渓谷熱ウイルスを阻害するための化合物365の試験結果をグラフおよび表形態で示す。図44において、本願の図の多くにおけると同じく、試験されたウイルスの分布、および関連したウイルスに関する情報は右下コーナーに示される。
【図45】図45は、マールブルグウイルスを阻害する365の能力を測定する細胞アッセイを調べる
【図46】図46は、Vero細胞アッセイにおける、ラッサ熱ウイルスによる感染を阻害することにおける化合物365の有効性をグラフおよび表により示す。
【図47】図47は、コントロールすることが困難であることが示されたウイルス、SARSおよびウシコロナウイルス、他の重要の家畜疾患、の両方の活性を阻害するのに365が有効であることを表により示す。
【図48】723と同様に、化合物365は、in vivoおよびin−vitroで試験された。図48は、エボラウイルスに対する治療モードでマウスに365を使用することにより得られたデータのグラフ提示である。治療モードにおいては、投与はチャレンジ後に行う。
【図49】図49は、マウスの治療剤としてin vivoで365を使用する牛痘ウイルスの投与により与えられた生存の延長を示す。
【図50】図50は、安全を証明する種々の濃度における365の用量に対するマウスの応答をグラフ形態で示す。
【図51】図51は、5mg/kg投薬後の365の血清レベルを与えるグラフである。
【図52】PBMCを使用して、図52は、365の投与後のサイトカインレベル(コントロールに対する)をグラフ形態で示す。
【図53】図53は、持続した一貫した純度および製造レベルを与えるための優良研究室実施と合致した方式で当業者により追跡されうる化合物365の合成スキームを与える。
【図54】化合物723および365は、両方ともバランスした四環構造である。有効なFGI化合物は、活性な三環化合物も含む。図54は、活性な三環構造の化合物510の最も重要なデータ点のいくらかの表による提示である。この提示は、示唆された作用機構も含む。
【図55】図55は、6種の異なるウイルス脅威に対する種々の細胞に基づくアッセイから化合物510について得られた効能および安全性を表の形態で示す。
【図56】図56は、エボラウイルスを防止および処置することにおける化合物510の有効性をグラフおよび表に示。
【図57】図57は、細胞に基づくアッセイにおける化合物510を使用する牛痘に対して得られたウイルス力価の減少を証明する。
【図58】図58は、世界中の健康およびバイオテロの脅威の両方を与えるフラビウイルスのファミリーの一部である、肝炎Cウイルスを処理するための510を使用することによる結果を、タンパク質ブロット、グラフおよび表により示す。
【図59】Vero細胞アッセイにおいて、化合物510は、図59に示されたとおり、ウエストナイルウイルスに対して有効であることが証明された。
【図60】図60は、減少したウイルス力価により示されたとおり、ラッサ熱ウイルスの阻害を示す。
【図61】図61は、阻害剤として510を使用してRSV感染後の細胞生存を示す、細胞に基づくアッセイを示す。パラインフルエンザについての表のデータも含まれる。
【図62】図62において、生存率は、マールブルグウイルスによるチャレンジに対するマウスの保護を証明するin vivoアッセイのための手段である。
【図63】図63は、エボラウイルスに対するin vivoチャレンジとしてマウスを保護することにおける510の有効性をグラフ形態で提示する。510の有効性は、種々の用量にわたって示される。
【図64】図64は、優良研究室実施と合致したその製造を許容する化合物510の合成スキームを示す。
【図65】図65は、化合物510が、カスパーゼ1、2および8の高められた阻害を与えるが、カスパーゼ4、9又は10の阻害を与えない選択的にカスパーゼを阻害するデータを、グラフの形態で示す。
【図66】図66は、IC50値による化合物510のカスパーゼ阻害データを示す。
【図67】図67は、活性部位をブリッジするのに化合物510がいかに適合しているかを示す、化合物510によるカスパーゼ阻害を説明するための可能な分子モデルを示す。
【図68】研究された他のFGI−103化合物に関すると同じく、図68に略図およびグラフで示されたとおり、510は、感染性ウイルス粒子の組み立てを妨害又は防止することにより作用すると思われる。
【図69】図69は、処理剤として723を使用して処理の時間により生じた全ウイルス粒子発生に対する影響を反映するデータを示す。
【図70】図70は、化合物723が原子配位モデリングにより提示されたカスパーゼ2の活性部位にいかに構造的に適合するかを示す、異なる種類のモデリングイメージを示す。
【図71】図71は、FGI−103化合物が酵素の活性部位を妨害するのにいかに適合しうるかを証明する、カスパーゼ8のための原子結晶構造モデルを示す。
【0019】
発明の詳細な説明
本願の発明は、ウイルス感染処置における適用可能性を発見する。今なおカタログに載せられそして試験されなければならない動物およびヒトに対する同定されたウイルス脅威の膨大な収集があるが、FGI−103の化合物は、広範囲のウイルスを処理するのに活性であることをそれ自体示した。これらの化合物は、エボラウイルスによりチャレンジされたマウスを治療的に又は予防的に処理するのに使用されるとき、100%生存を証明した。本発明者が知る限りでは、これは、今日までいかなる作用物質によっても証明されていない。エボラは合衆国政府および他の政府が兵器としての潜在力を有すると同定した多くの「バイオテロリズム」ウイルスの脅威の1つである。同じ化合物がインフルエンザなどの予防接種することが困難でありうるウイルスに対する有効性を同時に証明した。Fluワクチンは、インフルエンザの絶えず突然変異する株からの特定の危険にある高齢者および他の免疫が危うくなった個体において弱く働く。今日まで、FGI−103ファミリーの化合物により与えられた保護から免がれる能力を示す株はなかった。
【0020】
しかしながら、本発明の有効な化合物は、そのように限定されない。in−vitroおよびin vivo試験の両方におけるウイルスに対して有効であると証明されたので、本発明の化合物は、PRRSウイルスおよびウシコロナウイルスなどの動物ウイルス並びに世界的な健康問題およびバイオテロリズムの脅威の両方を有する他のウイルス、例えばSARSおよびデングウイルス処理するのに有効であることも証明された。
【0021】
当業者は、図6A〜6Cの化合物であって、その各々が少なくとも1つの細胞に基づくアッセイ(エボラ又はサル痘に対して)における活性を有しそして下記するとおりより綿密に研究されそして試験されたこれらの化合物の性質を有することが示された図6A〜6Cの化合物を選ぶならば、予防的又は治療的に又はその両方で、多数のウイルスに対する活性を示す見込みのある化合物のファミリーを記述することができる。そのファミリーは、下記式により表わすことができる。
Y−X−Y
[但しY又はYの1つは存在していなくてもよく、
上記式中、YおよびYは、各々独立に、1〜6個の炭素原子のアルキル基であり、該アルキル基は、直鎖状、分岐状又は環状、飽和、部分的に不飽和又はアリールであることができ、そして存在するYおよびYの各々は、1個又は2個の水素原子を有する2個の窒素原子を含み、但し該窒素原子の1個までは、Yが環状である場合には環原子を構成することができそして水素原子を持たなくてもよく、そして
Xは、3又は4個の環部分Zからなり、各Zは、独立に5個又は6個の原子であり、そして飽和、不飽和又はアリールであることができ、2、3又は4個のZは隣接したZと融合していてもよく、融合していない環部分Zは少なくとも1つの他の環部分Zに、単結合又はエチルもしくはプロピル基により結合しており、該エチルもしくはプロピル基は、単結合もしくは二重結合により結合した酸素もしくは窒素原子を有していてもよく、そして該Xは、環又はエチルもしくはプロピル炭素原子の代わりに、各々独立にO、N又はSである1〜5個のヘテロ原子を含み、そして該化合物は、更に、ヒドロキシル(−OH)、アミノ(NH)、アミド、クロロ、フルオロもしくは他のハロゲン、アルコキシ(−OR)、アリールオキシ(−OAr)、トリアルキルアンモニウム(−NR+)、アルキルアミド(−NHCOR、−NRCOR’)、アリールアミド(−NHCOAr、−NRCOAr、−NArCOAr)、アリールカルバモイル(−NHCOOAr、−NRCOOAr)、アルキルカルバモイル(−NHCOOR、−NRCOOR’)、シアノ(−CN)、ニトロ(−NO)、エステル(−COOR、−COOAr)又はアルキルハロ(式中、各場合に、該アルキル、R又はAR基は、1〜6個の炭素原子を有する)からなる群より選ばれる1個又は2個までの誘導体化部分(derivatizing moieties)を有することができる]。
【0022】
本明細書で使用された医学的および科学的という用語は、可能ならば、それらの標準および通常の意味において使用される。本明細書で使用された用語「処理」は、ウイルスによる感染を防止、限定又は遅くすることを意味する。したがって、ホストは、FGI−103化合物の投与により処理されることができ、その場合に、そのホストは、ウイルスによる感染の尤度が高い危険な区域に入る前にFGI−103化合物を与えられる。このタイプの処理は、エボラなどのウイルスに対する自然の保護が殆どないウイルスが流行している区域に軍人および支持職員が配置される場合又は、予防的保護が重要である、例えばインフルエンザにより与えられる感染などの全地域に流行している感染の場合に、特定の用途を有する。
【0023】
ホスト、即ち哺乳動物(代表的哺乳動物は、ヒト、商業的家畜、例えばウマ、ブタ、ウシ、ヒツジ、ヤギ等を含み、マウス、ラット、ウサギおよびそれらの対応物を含むアッセイおよび発見における価値のある動物、ならびにイヌ、ネコ、サルおよび関連した家畜のような非商業的動物を含む。野生動物母集団、例えばヘラジカ、シカ、オオカミ、ヤギュウ等におけるウイルス感染を本発明の化合物を使用して処理することも可能である)は、ホストのウイルスを「除去される(cured)」こと、即ちホストの身体にウイルス感染が残らないこと、又はウイルスを阻害されること、即ち、身体自身の天然の資源がウイルス増殖を妨害しそして侵入ウイルスを圧倒することができるように低いレベルに感染性ウイルス粒子発生を減少させること、により処理されうる。他の形態の処理においては、投与された化合物は、疾患を遅くすることができ、又は、はやめに存続を延長して他の処置を活用することができる。
【0024】
投与は、種々の経路のいずれかにより行うことができる。慣用の投与経路は、IV、IMおよびIPを含む。データは、正しく誘導体化された化合物は、図33に示されたとおり、経口的に投与されうることを示唆している。皮下、皮膚および吸入経路を使用して本発明の活性作用物質を送達することもできる。重要なことに、本発明の化合物は極めて活性である。最小有効濃度は、1ng/kgという低い範囲にあることができる。EC50値は、ED50値およびCC50値と共に多数の化合物について与えられており、広い範囲の有効な投薬量に対する安全性を証明する。本願において詳細に検討された化合物の各々について、EC50値をCC50で割ることにより計算された安全性指数が提示される。したがって、FGI−103化合物それ自体のいくらかは以前に記載されており、そして、0.002〜200mg/kg体重の投薬量値で使用するのに適当であると係属中のU.S.Patent Application 12/013,640に記載されているが、約10ng/kg〜約125mg/kgの集中した範囲が最も活性な化合物について好ましいことがありうる。したがって、本発明の薬剤の好ましい範囲がターゲット投薬量として1ng/kg/日〜125mg/kg/日、IVの範囲にあることを同定することができる。最小投薬量プロトコールはない。このために、下記するとおり、FGI103化合物は、0.1〜10mg/kgの範囲の用量が感染前又は感染後に送達されると、ウイルス媒介死亡を防止するのに十分であるような、そうしなければ致死的なウイルス(デボラ、マールブルグ、デング、インフルエンザ)に対する動物モデルにおける強い活性を示す。当業者は、本明細書においてターゲットおよび化合物が与えられると、特定の哺乳動物、特定のウイルスおよび特定の投与方式のための特定の投薬量を同定することを、慣用のプロトコールにより十分に身につける。
【0025】
クラスとしてのFGI103化合物
実施例として3つの別々の集中的な症例研究が下記に与えられているけれども、FGI化合物を全体として調べる価値がある。ウイルス作用物質の選択に対するFGI化合物間の比較試験は、図10〜17に記載されている。これらの研究に関して注目すべきことは、研究されたFGI−103化合物の各々は他のものよりもいくらかのウイルスに対してより有効であるけれども、各々は、多数のウイルスに対して有効であるということである。したがって、図10において、365および202の両方とも、インフルエンザ感染に対して有効であることが証明されたが、723−試験されたFGI−103化合物の最も有効なものの1つは、比較的劣っていることを示した。他のフォーマットで再試験すると、それはより良好であった。
【0026】
図11は、HIV、おそらく有効な療法を最も活発に今日探索される1つのウイルス、に対する1uM投薬量有効性を比較する。図12に示されたとおり、4つの異なるFGI−103化合物の各々は、牛痘ウイルス−他のDNAウイルス、を阻害することが示され、3つは予防的に処理されるとき、約10uMの投薬量値で完全な阻害を示す。同様に、723および365の両方とも、PRRSを阻害するのに測定された値で有効性を示し、図13、そして同じ2つの試験化合物は、SARSと類似しているウシコロナウイルスに対して有効であることが示された、図14。723を、10mg/kg投薬レベルで、チャレンジの1時間前の投薬、次いで2回のその後の投与で、他のFGI103化合物、202と共に、in vivoでエボラに対して試験した。処置された動物の100%が生存した。他の出血性ウイルス、マールブルグに対する同様な性能は、図16に示されるとおりin vivoで証明された。多くのDNAウイルスがRNAに基づいているが、異なるクラスのウイルスがDNAを使用する。FGI−103化合物は、牛痘ウイルスなどのDNAウイルスに対して有効であることが示された。図17は、牛痘に対する種々のFGI化合物についての生存データを示す。
【0027】
FGI−103化合物についてこの早期のデータで証明された結果の他の重要な局面は、in−vitroでの細胞に基づくアッセイによってのみならず、in vivoでも有効であることが示されたということである。あるクラスの化合物は、RNAウイルスおよびDNAウイルスを含む広い種類のウイルス作用物質に対してその証明されたin−vitro活性を保持するが、in vivoで試験されるときその活性を保持することは稀である。図6A〜6Cに構造的に示されたFGI103化合物の各々が、より多くはないとしても、少なくとも1つのウイルス作用物質に対してin−vitro活性を示したことおよび今日まで試験された作用物質のどれも、in−vivoでその活性を保持することができなかったことおよびFGI−103化合物が多数の種類のウイルスを阻害するのに使用することができるという発見の重要性が明らかであるということを心に留められたい。クラスとしてFGI−103化合物により処理された多様なウイルスは注目さされうる。エボラ、マールブルグおよびデング熱などのバイオテロリズムの脅威が認識されるウイルスは、FGI−103化合物により有効に阻害される。リフト渓谷熱およびラッサ熱ウイルスのような他の処理抵抗性ウイルスは、図10〜17に記載の情報に反映されるとおりFGI−103化合物と命名された化合物のクラスにより有効に処理される。下記する3つの「症例研究」により補足される早期試験の要約は図18に示される。単一の抗ウイルス剤が、そんなにも多くの異なるウイルスファミリーから選ばれたそんなにも多くの異なるウイルスに対して有効性を示すことは各別なことである。もちろん、多数のウイルスに対して多数のFGI−103化合物の安全性および効力を示すことはライフワークであろう。下記するとおりウイルスよりはむしろホストタンパク質又は経路をターゲティングすると思われるこのファミリーの小分子の試験は、しばらくは続くであろう。にもかかわらず、今日まで行われた広範な試験は、これらの作用物質の広い適用可能性を証明し、そしてウイルスを特異的に攻撃するよりはむしろ、ウイルス感染又は複製に関係するある身体作用、経路又はタンパク質をターゲティングすることを納得できるように証明する。
【0028】
これらの結果は、グループIウイルス(ポックスウイルスに対する活性により証明される);グループIVウイルス(ウシコロナウイルスに対する活性により証明される);グループV(エボウイルスにより代表される)および本願の図面に提示されたとおりに試験されたウイルスにより代表されるウイルスの他のファミリーを含む多数のウイルスに対する活性を有することを明らかに示唆する。
【0029】
最初の結果は、これらの化合物の作用様式に関する情報と一緒になって、これらの化合物がホストのターゲティングと関連した広いスペクトル活性に基づく他のグループのウイルスに対する活性を有することを明らかに示す。これらは、グループII、III、VIおよびVIIのウイルスを含むであろう。
【0030】
ウイルスグループ分け:
グループI:ウイルスは、二本鎖DNAを有しそしてヘルペスウイルス科(例えばHSV1(口のヘルペス)、HSV2(生殖器のヘルペス)、VZV(水痘)、EBV(エプスタイン−バールウイルス)、CMV(サイトメガロウイルス)、ポックスウイルス科(痘瘡)および多くのテール付きバクテリオファージのようなウイルスファミリーを含む。ミミウイルスもこのグループに入れられる。
グループII:ウイルスは、一本鎖DNAを有しそしてパルボウイルス科および重要なバクテリオファージM13のようなウイルスファミリーを含む。
【0031】
【表1】

【0032】
グループIII:ウイルスは、二本鎖RNAゲノムを有し、例えば、ロタウイルス。これらのゲノムは常にセグメント化されている。
【0033】
グループIV:ウイルスは、ポジティブセンス一本鎖RNAゲノムを有する。ピコルナウイルス(肝炎Aウイルス、エンテロウイルス、ライノウイルス、ポリオウイルス、および口蹄疫ウイルスのような周知のウイルスを含むウイルスのファミリーである)、SARSウイルス、肝炎Cウイルス、黄熱ウイルスおよびルベラウイルスを含む多くの周知のウイルスがこのグループで見いだされる。
【0034】
グループV:ウイルスは、ネガティブセンス一本鎖RNAゲノムを有する。致死的なエボラおよびマールブルグウイルスは、インフルエンザウイルス、はしか、ムンプスおよび狂犬病と共にこのグループの周知のメンバーである。
【0035】
【表2】



【0036】
グループVI:ウイルスは、一本鎖RNAゲノムを有しそして逆転写酵素を使用して複製する。レトロウイルスは、このグループに含まれ、HIVはそのメンバーである。
【0037】
グループVII:ウイルスは、二本鎖DNAゲノムを有し、そして逆転写酵素を使用して複製する。肝炎Bウイルスはこのグループに見出されうる。
【0038】
本発明者等は、ウイルス増殖のために必要なホスト機構の多くは、哺乳動物又は真核生物種間で高度に保存されているターゲットを利用することを発見した。結果として、これらの化合物は、ヒトおよび獣医学的ウイルス疾患に対する用途を有することができる。これらのウイルス疾患は、PRRSウイルス、ブタもしくはウシサーコウイルス、ブタもしくはウシコロナウイルス、ブタもしくはウシRSV、ブタ、ウシもしくはニワトリインフルエンザ、EIAV、ブルータング又は口蹄疫(FMD)ウイルスを含むが、それらに限定されない。
【0039】
あるウイルスは、より慢性疾患の原因でありそして罹患率又は死亡率はウイルスの存在に関係する。これらの疾患は、肝細胞癌(HBV又はHCVと関連している)、慢性疲労症候群(EBVと関連している)およびウイルス感染と関連した他の疾患を含む。FIG−103化合物は、これらのウイルス関連疾患およびウイルス自体の処理において有効であろう。
【0040】
FGI−103化合物は、単一ウイルス病原体(例えばHIV又はHBV)又はその組み合わせ(HIVおよびHBV)の処理又は防止(予防)のために使用されうる。同様に、これらの個々の又は広いスペクトル適用は、上記したウイルスグループのいずれか又はすべてを含意することができる。
【0041】
他の方法は、ヒトおよび動物における1種以上のウイルスと関連したある適応症(indication)のための化合物の使用であることができる。例えば、これらの化合物は、上記したグループからの病原体の1種以上により引き起こされうる呼吸器ウイルス感染の予防又は処理のために使用することができる。同様に、これらの化合物は、1種以上の血液媒介性病原体(blood-borne pathogen)(例えば、HIVおよび/又はHBVおよびHCV)に対する用途を有することができる。
【0042】
化合物は、ヒトにおける急性又は慢性のウイルスの予防、処理又は維持のための用途を有することができる。急性用途は、ウイルス感染の短期間予防また処理を含み、その例は、インフルエンザ、ロタウイルス又はフィロウイルス感染を含む。慢性用途は、生殖器ヘルペスで観察されるような反復性の突然の増加又はまれにしか起こらない突然の増加(帯状ヘルペス(shingles)期間中の帯状疱疹(zoster)感染と関連した突然の増殖などの)を含む。同様に、慢性ウイルス感染について低いレベルのウイルスロードを維持するための長期にわたり処理を意図することができる(例えば、HIV、HBV又はHCV処理ための)。もちろん、in−vitroおよびin vivoの両方において多数のウイルスに対して予防的におよび/又は治療的に有効な保護を示す、本明細書に記載のアッセイを使用して与えられた化学構造式に応答する他のFGI103化合物の活性を評価することができる。
【0043】
FGI−103化合物723
図19は、2−[2−(5−カルバミミドイル−ベンゾフラン−2−イル)−ビニル]−3H−ベンゾイミダゾール−5−カルボキサミジンとしての化合物723を同定する。図19に示されたとおり、この化合物は、in−vitroで、異なるファミリーから選ばれた多様なウイルスに対して顕著に低い投薬量レベルで有効であることが証明された。この同じ化合物は、予防的に(チャレンジの時の又はチャレンジの前に)投与されようと治療的に(チャレンジ後にのみ投与される)投与されようと、致死的チャレンジに対して哺乳動物(マウス)に対するin vivoで100%保護を与えることが証明された。それは、2〜4時間のオーダーに対する哺乳動物モデルにおけるt1/2を示しそして良好な安全性指数有する。この化合物に関する試験は連続する。それは、化学的には、上記したY−X−Yに適合する。
【0044】
種々の疾患であって、それに対してこの化合物をあるフォーマットで試験した種々の疾患が図20に記載されている。すべてのウイルスに対するすべてではない試験が完了されているが、この化合物、723は、種々のファミリーから選ばれたウイルスのスペクトルに対して広いベースの活性を示す。行われた試験の1つの例として、図21において、パラインフルエンザおよびRSVを含むパラミクソウイルスのグループに対するアッセイはin−vitroで完了した。このアッセイの終点は、ある精密なスケールの力価測定よりはむしろ細胞死であるが、723がウイルスチャレンジに対する高度の保護を与えるのに有効であることが明らかに示され得、これは、ウイルスに感染しているか又はこのようなウイルスに脅かされている哺乳動物ホストを処理するのにこの化合物を使用することができるという結論を支持する。試験されたウイルスの大部分に関すると同じく、この化合物は、入手可能なすべての血清型に対して同様な性能を示し、主要な血清型のみを処理するのにしばしば注文仕立ての先行技術の努力とは重要な違いを示した。
【0045】
肝炎Bウイルス(HBV)を処置するのに723のナノモルレベルでの有効性は、図22に記載されている。HBVは世界の人口の約1/3に感染しており、これまで唯一の知られている処置は支持ステップであり、この疾患は予防接種によってのみ回避される。グラフは、見出されたウイルスコピーの数の減少の用量応答方式での例示を与える。細胞は723により処置又は保護されるからである。HBVは、肝臓の硬変などの慢性疾患と関連したウイルスの1つである。硬変は種々のソースにより引き起こされうるけれども、HBV母集団を減少させそしてHBV感染を処理することは、HBV病人における硬変のより有効な介入および阻害を可能とするであろう。
【0046】
デング熱並びに肝炎Cウイルスおよびウエストナイルウイルスなどの類似した他のウイルスも、723の投与により処理される。図23に示されたアッセイで使用された細胞は、DC−Sign細胞であり、そしてチャレンジに直面した感染した細胞の数は、723で処置されるとき、有効量の723が投与されるとき激烈に下がる。デング熱は、ある重要なウイルスである。何故ならば、「バイオテロリズム」脅威および、したがってそれを処理するのに利用可能な手段を構成するので、それは国家安全保障の争点およびアフリカおよび熱帯地方の多くの全体にわたる健康の脅威となるからである。デング熱は、4つの主要な血清型により特徴付けられ、−過去において、これらの血清型は、予防接種を無効にするのに十分に異なっていて、−交差血清型保護(cross-serotype protection)がなく、これは多数の血清型流行のための機会を与える。図23に示されたとおり、723は、すべての4つのデング血清型に対して有効でありそして予防的又は治療的に投与され得、これは、このウイルスの処理における劇的な進歩を与える。
【0047】
最も劇的で恐怖のウイルス侵入体の中でも、バイオテロリズムの脅威として最も広く同定されたウイルス侵入体は、エボラおよびマールブルグのような出血熱ウイルスである。これらのウイルスに対するin−vitro試験は、相対的に低い投薬量で100%阻害を示した。FGI−103化合物ファミリーのこのメンバーについてのEC50値は、顕著に低い用量、0.050uM以下である。
【0048】
in−vitroでウイルスチャレンジに対して有効であることが示された多くの化合物は、in vivoでは、効力を失うか又は同様な予防的もしくは治療的有効性を示さない。これに対しては種々の理由があり、−基本的には、哺乳動物系は複雑であり、−どんな経路の投与が使用されても、in−vitroでしばしば観察される同じタイプの抗ウイルス有効性をin vivoで送達することに基本的な障害がある。しかしながら、図25に示されたとおり、化合物723は、in vivoで劇的に有効である。10匹のマウスにIP投与されると、723は、チャレンジの時(ゼロ日)ならびに2日目および5日目に投与されると、10mg/kgで完全な保護を与えた。対照的に、活性作用物質723のないビヒクルは100%近い死亡率を経験した。
【0049】
重要なことには、図26に示されたとおり、感染の1日目に10mg/kgの単回投与は、チャレンジされたマウスに対する90%保護を与え、これは治療的および予防的有用性を証明する。その半分の投薬量、5mg/kgにおいてすら、生存率は25%レベルであったが、723不存在のビヒクルは100%死亡率を与えた。図27は、ある方法ではより顕著ですらあり、そして感染の4日目、即ち、チャレンジ(マウスに適合したEBOVによる接種)の4日後に、10mg/kgレベルで単回の投与の有効性を証明する。明らかに、化合物723は、治療的および予防的にウイルス感染を処理する点で重要な好機を与える。
【0050】
図28に示されたとおり、in vivoでの同じ有効性が、他のバイオテロリズムの脅威、マールブルグウイルスに対して証明される。エボラの場合と同じく、0、2および5日目の10mg/kgの処理は、生存率として測定して100%保護を与えた.明らかに、化合物723およびFGI−103ファミリーの化合物の多くのメンバーは、in−vitroで得られると同じ種類のin vivoでの活性を示す。
【0051】
哺乳動物、特にヒトに投与するための予防的又は治療的作用物質を開発するのに重要なバラメーターは、血清濃度としてしばしば測定される、作用物質が血液中に残存する時間である。0時間および12時間の時点で723、10mg/kgを受け取るマウスでの723の血清濃度の時間的経過が図29に示される。示されたとおり、血清濃度レベルは急速に低下し、2時間のt1/2を与える。4時間までに、血清濃度は、エボラでEC50より低く下がり、RSVおよびPIVでは、8時間+までにEC50より低く下がる。更に、示されたとおり、この化合物は、これらのウイルスに対して10mg/kg投与方式で有効な保護を与える。これは、特定の組織で見いだされた作用物質の濃度により説明されうる。かくして図30において、肝臓および腎臓における濃度は高いが、脾臓および心臓における濃度は相対的に低い。これは、肝臓および腎臓組織をターゲティングするウイルスが、非常に低い用量の723によってすらより有効に保護されることを示唆することができる。
【0052】
図31および32は、モルモットモデルで同じタイプのデータを示す。図31は、モルモットにおいて723について4時間のt1/2を与えるが、0および24時間での投与又は10回の投与は、同様な組織蓄積パターンを示す。したがって、この作用物質は、肺、肝臓および腎臓をターゲティングするウイルスに対して特に有効でありうる。
【0053】
ある範囲のウイルスに対する多数の哺乳動物ホストにおける感染を治療するのに有効な、検討されたタイプの作用物質が常に望ましい。FGI−103ファミリーの化合物は、まさにこのタイプの好機を与える。しかしながら、経口的に摂取されることができそして保護を与えることができる作用物質を提供することは、常に最も望ましい。これは、より広がった分布およびより高度の遂行を可能とし、−患者は接種を必要とする製剤よりもより容易に経口製剤を投与される。723および他の103化合物の経口投与への適性を証明するために、化合物723は、図33に示されたとおりアミド基をヒドロキシ部分で修飾することにより誘導体化されて、活性作用物質を与えるために消化されるプロドラッグを与える。同じ10mg/kg投薬量のプロドラッグの投与は、同じ時間枠でIP投与により達成される血清レベル以上の血清レベルを与えた。これは、FGI−103化合物が同じ又はほぼ同じ有効投薬レベルで、IV、IM、IPおよび経口的に投与されうることを強く示す。
【0054】
安全性は、ヒトを含む哺乳動物に投与されるべき作用物質を製剤化するときの最も重要な考慮事項である。したがって、CC50(化合物の細胞毒性の目安)は、基本的に重要なバラメーターである。図34に示されたとおり、広い種類の細胞に対する細胞に基づくアッセイに基づいて、723のCC50値は安全性閾値より十分に上にある。化合物の安全性自体は、図35に示されたとおり、in vivoでのLD50(致死量)の研究で証明された。有効投薬量以上で、100mg/kgまで、化合物は十分に許容される。0日に投与された200mg/kgは致死量を構成した。その値以下では、投薬は、図35にも示されたとおり、時間に対して重量に対する影響を殆ど及ぼさないかないか又は全然及ぼさない。
【0055】
グループとしてのFGI−103の化合物は、それ自体すべてが新規化合物ということではない。多くは、薬学的に純粋な状態で又は投与に適当な製剤(薬学的に許容されうる担体中の懸濁剤および溶液剤)において調製されていない。723および他のFGI−103化合物の使用は、この種の薬学的調製を容易にする合成方法を必要とする。適当な合成経路が図36に記載されているが、化合物への他の経路を使用することもできる。使用される物質および実現される収率は、ウイルス感染に対する活性な作用物質として723を含む医薬の合成および製剤調製において、優良研究所実施の維持又はGLPを可能とする。
【0056】
FGI−103化合物365
化合物723は、2つの融合した環系を有する上記した一般式Y−X−Yの四環化合物である。図37に示されたとおり、化合物365、キノ[8,7−h]キノリン−1,7−ジアミン,N,N’−ビス[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−3,9−ジメチル−,四塩酸塩(塩として)は、FGI−103ファミリーの化合物の狭められた式を満足するが、「X」成分が融合した4環系であるという点で723とは明白に異なる構造の他の化合物である。しかしながら、図37に記載のデータに示されたとおり、化合物365は、広い種類のウイルスに対して同じ種類の予防的/治療的有効性を示し、広い種類の細胞中で安全であり、そしてエボラを含む危険なバイオテロリズム脅威ウイルスに対してin vivoで100%保護を与える。この作用物質は、広い種類のウイルスファミリーを横断して、HIV、HCV、ラッサ熱ウイルス、SARS、リフト渓谷ウイルス、PRRS、デング、ウシコロナウイルス、エボラおよびマールブルグウイルスに対して試験されそして効力を示した。この情報のいくらかは、濃度、毒性および安全性情報と共に、図38に要約されている。示されたとおり、多くの環境において、365は723より高い活性ですらある。
【0057】
肝炎Cウイルスは、血液媒介性病原体(blood born pathogen)であり、それに対する既知のワクチンは存在しない。HCVに対する365の有効性は図39に示されており、図39において、約1uMで、365は、Huh7ヒトヘパトーマ細胞でウイルスの完全な阻害(ルシフェラーゼシグナルの不存在はウイルスの不存在を示す)を与えた。365は、HCVに対して13の安全性指数を与え、したがって、このウイルスに対する強力な作用物質を与える。このウイルスは他の場合には種々の感染後の支持工程により取り組まれるが、しかし慢性肝臓疾患とも関連している。
【0058】
化合物723は、デング熱に対して試験された。この重要なウイルス且つ強力な恐怖の兵器も、図40に示されたとおり、非常に低いレベルで化合物365によって強く阻害される。また、以前の処理剤を困惑させたデング熱の1つの局面、血清型の実質的な変動は、FGI−103ファミリー化合物にとっては重要ではない。723と同様にそして図40に示されたとおり、365は、顕著に類似した結果で、デング血清型の各々に対して有効である。
【0059】
エボラは、もちろん評価されるべき重要なウイルスである。エボラは、潜在力のあるバイオテロリズム脅威を構成しそして自然の保護を持たないヒトが急派されうる世界の地方に特有である。365は、エボラウイルスの強力な阻害を示す。図41に示されたとおり、Vero細胞に基づくアッセイにおいて、365は、10uMより少ない低いレベルで100%阻害を与えた。エボラは、狂犬病およびはしかならびにパラミクソおよびニューモウイルスに対する類似性を有し、ここでも、広い種類のウイルスの処理における作用物質としての365の広い適用性を示す。
【0060】
化合物723で述べたとおり、可能性のある処理および治療に関してHIVほど注目をされたウイルスは多分なかった。図42において、グラフおよび表により提示されたデータは、365がHIVの強力な阻害剤であることを示し、適度の濃度で100%阻害を達成する。この値は、365のCC50値よりはるかに低く、HIVに対してターゲティングされた強力な薬物においては珍しい大きな安全性指数を与える。
【0061】
ヒトに感染するウイルスに対する抗ウイルス剤の開発は特に重要である。毎年数十億ドルの家畜を殺すPRRSおよび同様なウイルスに対する有効性も同様に重要である。図43は、このウイルスの阻害における365の高度の有効性を示す。たったの3.2のEC100で、これは、強い潜在力のある作用物質である。
【0062】
化合物365は、リフト渓谷熱ウイルスに対する同様な有効性を示し、この化合物についてCC50指数よりはるかに低い安全値で100%阻害(ウイルス粒子放出ゼロ)を与える。たったの0.37uMのEC50で、この作用物質は、RVFVの処理のための30という大きな安全性指数を与える。このデータは、図44に示されており、図44は、Vero細胞アッセイの結果をグラフおよび表により与える。同様なアッセイにおいて、マールブルグウイルスおよびラッサ熱ウイルスの両方とも、感染したVero細胞に投与された365により阻害されることが示された。ヒトおよび哺乳動物疾患の処置のための広い基盤を持った抗ウイルス剤および抗バイオテロリズム剤の両方として365の適性を証明するこの試験のデータは、図45および46に示される。
【0063】
SARSは、予防又は支持的処理以外の処理のない、中国およびアジアの地域で猛威をふるったウイルスである。関連したウイルス、ウシコロナウイルスは、商業的脅威を与える。両方とも365による安全性バリアーを横断することなく365により阻害される。より強力な作用物質は典型的には安全性がより少ないが、365は、FGI−103ファミリーの他の化合物と同様に、安全性を犠牲にすることなく、ヒトおよび商業的に重要な哺乳動物におけるウイルスを処理するための好機を与える。
【0064】
化合物723と同様に、化合物365は、in vivoおよびin−vitroで有効であることも示された。上記したとおり、この時点でエボラを治療的処理する方法は知られていない。最も多くの「処理」は、身体の自然の免疫系がウイルスに向けられることを期待した支持的手段からなる。図48に示されたとおり、5mg/kgの低い投薬量で、365は、マウスに適合したエボラウイルスによる10匹のマウスのチャレンジの1日後に投与されるとき100%保護を与える。重要なことに、図48に示されたとおり、この作用物質は、このように投与されるとき典型的な用量応答曲線を示し、減少した投薬量では減少した保護を与える。
【0065】
365は、(0.2および5日目に投与されるとき)ポックスウイルスでチャレンジされたマウスについての生存結果を最終的には改善しないけれども、それは生存時間を一様に延長した。上記したとおり、生存時間を延長することは、既知の阻害剤を持たない作用物質を処理するのに重要であり、身体の自然の防御が侵入者に対して作用するための時間を与える。ポックスウイルスに対する生存時間を延長することにおける365の有効性は、図49に記載されている。
【0066】
723の場合と同じく、365は、ヒトおよび商業的もしくは獣医学的に重要な哺乳動物の処理を意図する。したがって、安全性は、主要な関心事である。図50に示されたとおり、365の活性を考えて、可能性のある投薬量レベルより十分に上の量で、25mg/kgまでで、すべての動物(マウス)は生存しておりそしてそれらの体重は365の投与により有意に影響を受けなかった。
【0067】
723と同様に、いったん投与されると、365は、相対的に急速に去り、BALB/cマウスに与えられた5mg/kg用量の後の血清濃度の時間経過は図51に示される。図52は、今回PBMCに5uM用量の投与後の時間経過に対するサイトカインレベルも示す。サイトカインレベル混乱は、潜在的に危険な薬物の指示でありうる。図52に示されたとおり、主要なサイトカインについてのサイトカインレベルは作用物質を含まないビヒクルに応答して示されたそれと実質的に異ならない。
【0068】
上記したとおり、広い種類のウイルスに対して365は治療剤としておよび予防的に強い抗ウイルス活性を与える。薬学的に純粋な且つ許容されうる365のソースを与えるためおよび薬学的に適切な懸濁剤および溶液剤を含む適当な製剤を調製するために、GLPにしたがって実施されうる合成スキームが提示されなければならない。このようなスキームは図53に記載されている。短い4つの工程手順は、広範囲のウイルスの強力な阻害剤、365を生成する。
【0069】
FGI−103化合物510
化合物510、ベンゼンカルボキシミドアミド,4,4’−(2,5−チオフェンジイル)ビス(塩として二塩酸塩)は、それがあるときはFGIの「バックアップ」103化合物と呼ばれるように723に類似した性能を有する。そして更に、図54に示されたとおり、それは723および365とは構造が非常に異なる。それは、4環の代わりに、Sがヘテロ環原子である非融合三環構造を使用する。しかしながら、それは、上記式Y−X−Yに合致し、そしてこのクラスの多くのメンバーと同様に、抗ウイルス剤としての強力な活性を示す。それは、エボラウイルス、ラッサ熱ウイルス、牛痘、ウエストナイルウイルス、RSVおよびPIVを含む広い種類のウイルスに対してin−vitro試験で示されたとおり有効であり、そして広い種類の細胞において使用されるとき安全であることが示された。華々しいことに、上記した他のFGI−103化合物と同様に、それは予防的又は治療的に使用されて、エボラウイルスによる致死的チャレンジに対して100%保護を与える。それは、マールブルグウイルスに対しても保護を与える。FGI−103化合物以外には、他の作用物質は、強力なウイルス病原体に対してそんなに有効であることが証明されていない。このデータは、図55の表に要約されており、多くのウイルスファミリーから選ばれた広い種類のウイルスに対するこの作用物質の使用の効能および安全性の両方を示す。
【0070】
前記したとおり、エボラおよびマールブルグウイルスなどの出血熱ウイルスは、恐怖の兵器としての危険な好機を与える。したがって、ヒトにより安全に許容される阻害剤の提供は、重要な目標である。510は、その姉妹化合物と同様に、図56に示された、細胞生存率として測定されたとおり、これらのウイルスの100%阻害を与える。これらの細胞に基づくアッセイは、Vero細胞で行われる。この性能は、510が、はしか、狂犬病、RSV、PIVおよびHMPV(ヒトメタニューモウイルス、そしてRNAウイルス)を含む、他のFGI−103化合物が活性を測定また示唆した同じウイルスファミリーに対して有効であることを強く示唆する。
【0071】
723および365の試験で示されたとおり、ポックスウイルスの阻害は、重要でありそして通常困難な目標である。510は、適度の投薬量でVero細胞で低いウイルス力価を伴う、ポックスウイルスの強い阻害を与える。図57に示された試験は、約0.250uMの低いEC50値および大きな安全性指数を与える。HCVの同様な阻害が、72時間の時間経過に対する約30uMでゼロとなるウイルス力価により図28に示される。ウイルス活性の不存在を証明するために、HCVn5Aタンパク質の還元生成物を証明するブロッティングを行い、そして図58に示す。HCVと同様に、デングおよびウエストナイルウイルスのような関連したウイルスは、だいたい同じ条件で510により処理に供されるべきである。ウエストナイルウイルスに対する有効性は、100%阻害を示す図59に示されたデータに反映されている。姉妹化合物と同様に、510は、ラッサ熱ウイルスおよびパラミクソウイルスに対して有効であることも示され、細胞に基づくアッセイデータは、それぞれ図60および61に示されている。
【0072】
723および365と同様に、もし510が有効な抗ウイルス剤であろうとするならば、in−vitro試験により予測される活性に並行するin vivo活性の証明は重要である。510は、同じウイルスターゲットに対する同じ種類のin vivo保護を実際に与え、マールブルグウイルスのチャレンジの時点でおよびマールブルグウイルスのチャレンジの2日および5日後に10mg/kgで投与されるとき100%保護を与える。図62に示されたこのデータは、抗ウイルス剤としての510の有効性を明らかに証明する。治療的に使用されて、感染の2日後に投与されると、510は図63に示されたとおり、用量応答方式でエボラウイルスに対して保護を与えた。
【0073】
FGI−103化合物の他のメンバーと同様に、510は、普通に入手可能な出発物質
から簡単に合成することができ、これは、薬学的に純粋な化合物ならびに薬学的に許容されうる担体中の溶液剤および懸濁剤を含む薬学的に許容されうる調製物を提供することを実施可能とする。この化合物の簡単な合成スキームは図64に示される。
【0074】
FGI−103化合物−可能性のある作用方法−カスパーゼ阻害
FGI−103化合物がそうであるが、試験および構造により同定された最初の化合物がそのタイプの最善の可能な化合物であること、は稀である。小さな置換基および置換付加および取り去り(subtractions)を包含するための出発化合物の誘導体化は、1種以上の哺乳動物ホストにおける1種以上のウイルスの処理において改良された有効性を与えることができるということがしばしば言える。誘導体化の実際の例は、下記する。しかしながら、可能性のある作用方法の知識は、誘導体化の正しいコースに当業者を案内することができる。本発明者等はこの理論により束縛されないが、FGI−103化合物は、ウイルス粒子組み立てに必須のある種のカスパーゼ酵素(プロテアーゼ)を選択的に阻害することにより作用する、−即ち、ウイルスの普通のライフサイクルにおいて、そのサイクルにおいて遅く介入し、ウイルスが成熟すため又は細胞表面に運ばれるのに必要なあるプロテアーゼ作用を妨害することにより作用する、という証拠が増加している。ウイルスが表面への途中でプロテアーゼをハイジャックする重要な消化工程がFGI−103化合物によりどうも阻害されると結論することは非合理的ではない。
【0075】
カスパーゼは、従来、アポトーシスおよび炎症のエフェクターとしてのそれらの役割と関連して研究された。しかしながら、最近の証拠は、細胞増殖および細胞サイクル進行などの他の細胞プロセスにおけるカスパーゼの追加の役割も指摘している。例えば、Los M.,et al., caspases: more than just killers ? Trends Immunol. 22(1): 31-4(2001): Algeciras-Schimnich A, et al., Apotosis-independent functions of killer caspases. Curr Opin Cell Biol. 14(6): 721-6(2002); launay S., et al., Vital funcyions for lethal caspases. Oncogene 24(33): 5137-48(2005。本発明について部分的に本明細書で述べられたFGIの最近の研究は、カスパーゼのプロテアーゼ活性がウイルスの感染サイクル期間中ウイルスにより利用される、というカスパーゼの更に他の役割を示唆する。実際に、カスパーゼ活性は、FGI−103カスパーゼ阻害剤がウイルスの首尾よくホスト細胞に感染する能力を妨げおよび/又は妨害することを示す、本明細書に記載の証拠に照らして、種々のウイルスによるウイルス感染にとって重要であるか又は必須であると思われる。したがって、カスパーゼを阻害するための種々の組成物および方法がウイルス感染および疾患を予防、処理および/又は管理するのに有効でありうることは、一般に本明細書において進行される。
【0076】
試験されたFGI−103化合物の多くは、カスパーゼ2、3および8を選択的に阻害しそしてカスパーゼIをより少ない程度に阻害する。ファミリーとしてのこの阻害についての総合的値は、図9のグラフに記載されている。これは、図8で得られそして提示されたデータと共に、FGI−103化合物の抗ウイルス作用は、ウイルスタンパク質合成が完了した後、又は少なくともすべての主要ウイルスタンパク質合成の後、しかしTSG101に結合することによる細胞の表面への提示の前に、ウイルスライフサイクルに介入することを強く示す。文献で示されたとおり、TSG101は、細胞から脱出するためにウイルスにより使用されるESCRTタンパク質のファミリーのメンバーである。TSG101−ウイルス相互作用の阻害は、ウイルス出芽を阻害するのに有効である。TSG101指向抗体(TSG-101-directed antibodies)の使用によるこの阻害現象は、U.S.Patent Application Serial Number 10/675,979に開示および特許請求されている(許可された)。その出願における抗ウイルス剤、抗体、の性質は、本願のFGI−103化合物の小分子作用物質とは極めて異なっているが、許可された出願は、ウイルスとTSG101との相互作用の説明を提示しており、本発明者等がTSG101とのウイルスによる複合体化の前に起こる抗ウイルス活性に向けることを可能とする。
【0077】
FGI510によるカスパーゼ阻害のプロフィルは、図65に特定的に与えられているが、やはり、カスパーゼ2、3および8の選択的阻害およびカスパーゼ1のある程度の阻害を示す。この選択的阻害は、図66において表の形態で与えられる。例えばカスパーゼ9と比較して阻害されたカスパーゼターゲットのIC50値の差に留意されたい。これは、カスパーゼ結晶構造の知識と組み合わされて、他のカスパーゼにまさるカスパーゼ8およびカスパーゼ3の選択的阻害を説明するのを助ける図67に示されたとおりの、化合物510およびFGI−103化合物ファミリーの可能な「適合」(fit)の仮説をたてることができる。この適合は、Y−X−Y構造として表されたFGI−103ファミリーの化合物を、誘導体化に依存してぴったり合わせる。今回は抗ウイルス剤として化合物723を使用して同様なモデル化実習が図71に示される。510の適合と同様に、これは、723がウイルス/カスパーゼ相互作用のために必要な部位をブロックして、ウイルス粒子成熟を阻害することを示唆する。
【0078】
図7は、これらの化合物についてウイルス粒子増殖に関するデータを一般的に示し、そして図68は化合物510について特定的に示し、細胞が単離された粒子に感染すると、FGI−103化合物不存在下では、ビヒクルはウイルス増殖をブロックできないが、FGI−103化合物および特に510は、感染性ウイルス粒子の形成を実際に阻害することを証明する。やはり、これは、FGI−103化合物がウイルスタンパク質合成後、しかし表面に運ばれる前にウイルスのライフサイクルに介入して、阻害されたウイルスが感染した細胞を脱出することができる前に必要な重要な酵素による消化工程を妨害することを強く示唆する。
【0079】
FGI−103化合物による介入のタイミングは、510を使用して作成された図69に記載のデータに反映されるMDCK細胞アッセイから得られたデータにより強化される。RSVの感染経路およびタイミングは周知であり、右下コーナーに記載されている。分かりうるとおり、ウイルス組立期間中の任意の時点で、FGI−103化合物の投与は、ウイルスが表面に運ばれそして出芽するような時間まで(18時間後等)、ウイルス粒子形成を阻害する。このアイデアは、723の存在下の誘導されたアポトーシスの阻害を反映する、図70に記載のデータにより強化される。したがって、ウイルス感染を阻害又は処理する方法は、成熟のためにウイルスにより使用されるカスパーゼ、特にカスパーゼ8、3および2を選択的に阻害するが他の内因性カスパーゼ活性(細胞に有害であろう)を阻害しない作用物質を投与することにある。
【0080】
誘導体化−例としてFGI−103化合物365
上記したとおり、特定の作用の方法の同定および所望の介入(哺乳動物におけるウイルス感染を予防的又は治療的に処理するための選択的カスパーゼ阻害)を考えると、効能を改良するため、安全性又は耐性を改良するため、化合物を特定の状況、投与方式又はウイルスに適応させる等のために、FGI−103化合物ファミリーの1つ以上のコア分子を誘導体化することが望ましくなりうる。誘導体化自体は当業者に知られているよく確立された方法である。しかしながら、FGI−103化合物をいかに誘導体化することができるかを更に証明するために、化合物365を下記するとおり一連の誘導体化に供した。これらは、改良されたもしくは選択的活性の化合物を同定するためではなくてむしろFGI−103の誘導体化し易さを証明するために与えられる。
【0081】
306365(BG9)およびその誘導体(BG11、BG15、BG16、BG17、BG20)のための合成経路
機器
IR:Thermo-Scientific Nicolet 6700 FT-IR Diamond Crystal
NMR:Hおよび13CNMRスペクトルは、
Varian Gemini-200分光計(それぞれ200および50MHzで)および
Bruker Ultrashield Advance III 分光計(それぞれ500および125MHzで)で、内部標準としてTMS又はTMS−Na塩を使用して指示された溶媒において、記録された。
化学シフトは、ppm(a)値で表わされそしてカップリング定数(J)はHzで表わされる。
合成されたた化合物のESI MSスペクトルは、キャリング溶媒溶液として0.2%HCOOHを伴うCHCN/HO=1/1を使用して陽イオンモードでAgilent Technologies 6210 Time-of-Flight LC/MS機器で記録された。サンプルは、純粋なアセトニトリル(HPLCグレード)中に溶解した。選ばれた値は下記のとおりであつた:
毛管電圧4kV;ガス温度350℃;乾燥ガス12l分−l;噴霧器圧力45psig;フラグメンテーター電圧70V。
【0082】
一般的方法
すべての工程は、少なくとも二重に行われた。ターゲット化合物は、IR、Hおよび13CNMRスペクトル、HPLC−ESIMSスペクトルにより特徴付けられた(塩基および塩)。塩の融点=>280℃であった。すべての塩は水溶性であった。
【0083】
BG9の合成
【化10】

【0084】
無水エタノール250mL中の1,5−ジアミノナフタレン1(5.0g,31.6mmol)、アセト酢酸エチル2(40mL,313.5mmol)およびp−TsOH(2.38mg)の懸濁液を、分子篩(4Å)を充填されたディーン.シュタークトラップを備えた二口丸底フラスコ中で加熱還流した。撹拌しながら120℃の温度で油浴中で4時間加熱した後、混合物を室温に冷却しそして蒸発乾固した(冷却すると沈殿が生じる)。粗生成物をエタノールで摩砕し、そして沈澱をブフナー漏斗上に集め、減圧下に乾燥して、11.39g(94%)の収率で生成物としてBG5(2−ブテン酸,3−[[5−[[(E又はZ)−3−エトキシ−1−メチル−3−オキソ−1−プロペニル]アミノ]−1−ナフタレニル]アミノ]−,エチルエステル,(E又はZ)−)を得た。
【表3】


BG5(2.00g、5.23mmol)およびEaton試薬(5.5mL、29.1mmol、市販、Aldrich)の混合物を90℃で5時間撹拌した。反応混合物を氷浴中で5℃に冷却し、そして飽和した氷冷NaCO溶液(31gNaCO/100mLHO)に注意深く注いだ。固体をろ過し、ろ液を水(3×5mL)、EtOH(10mL)で洗浄し、50℃で減圧下に乾燥して1.4276g(94%)の収率で生成物としてBG6(キノ[8,7−h]キノリン−1,7−ジオン,4,10−ジヒドロ−3,9−ジメチル−)を得た。
【表4】


POCl(28.38mL、309.10mmol)中のBG6(1.37mg、4.73mmol)の懸濁液を6時間90℃で加熱し、120℃で14時間続行した。室温に冷却すると、混合物を氷/水混合物にゆっくりと注ぎ、そして濃厚水性NHをpH9まで加えた。形成された沈澱をろ過しそしてHOおよびEtOHでよく洗浄した。生成物BG7(キノ[8,7−h]キノリン,1,7−ジクロロ−3,9−ジメチル−)を減圧下に60℃で乾燥して1.4442g(93%)の収率を得た。
【表5】


MeN(CHNH 6mL中のBG7(160mg、0.49mmol)の懸濁液をAr下に48時間撹拌還流した。次いで混合物を氷冷水40mLに注いだ。得られた固体をろ過し、ケークをMeOH(5mL)で洗浄しそして減圧下に45℃で乾燥して、579.4mg(86%)の収率でBG8(キノ[8,7−h]キノリン−1,7−ジアミン,N,N−ビス[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−3,9−ジメチル−)を得た。
【表6】


BG8(300mg、0.65mmol)をMeOH10mL中に懸濁させ、そして反応混合物を激しく撹拌した。8.6MEtOH/HCl溶液15mLを加え、撹拌を室温で48時間続けた。溶媒を減圧下に除去し、得られた固体を96%EtOH21mLに懸濁させ、ろ過し、そしてケークを96%EtOH9mLで洗浄した。減圧下に45℃で乾燥すると、BG9(キノ[8,7−h]キノリン−1,7−ジアミン,N,N−ビス[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−3,9−ジメチル−,テトラクロリド)が得られた(342.6mg;87%)。
【表7】

【0085】
BG11の合成
【化11】

【0086】
無水エタノール250mL中の1,5−ジアミノナフタレン1(5.0g,31.6mmol)、アセト酢酸エチル2(40mL,313.5mmol)およびp−TsOH(2.38mg)の懸濁液を、分子篩(4Å)を充填されたディーン.シュタークトラップを備えた二口丸底フラスコ中で加熱還流した。撹拌しながら120℃の温度で油浴中で4時間加熱した後、混合物を室温に冷却しそして蒸発乾固した(冷却すると沈殿が生じる)。粗生成物をエタノールで摩砕し、そして沈澱をブフナー漏斗上に集め、減圧下に乾燥して、11.39g(94%)の収率で生成物としてBG5(2−ブテン酸,3−[[5−[[(E又はZ)−3−エトキシ−1−メチル−3−オキソ−1−プロペニル]アミノ]−1−ナフタレニル]アミノ]−,エチルエステル,(E又はZ)−)を得た。
【表8】


BG5(2.00g、5.23mmol)およびEaton試薬(5.5mL、29.1mmol、市販、Aldrich)の混合物を90℃で5時間撹拌した。反応混合物を氷浴中で5℃に冷却し、そして飽和した氷冷NaCO溶液(31gNaCO/100mLHO)に注意深く注いだ。固体をろ過し、ろ液を水(30×50mL)、EtOH(10mL)で洗浄し、50℃で減圧下に乾燥して1.4276g(94%)の収率で生成物としてBG6(キノ[8,7−h]キノリン−1,7−ジオン,4,10−ジヒドロ−3,9−ジメチル−)を得た。
【表9】


POCl(28.38mL、309.10mmol)中のBG6(1.37mg、4.73mmol)の懸濁液を6時間90℃で加熱し、120℃で14時間続行した。室温に冷却すると、混合物を氷/水混合物にゆっくりと注ぎ、そして濃厚水性NHをpH9まで加えた。形成された沈澱をろ過しそしてHOおよびEtOHでよく洗浄した。生成物BG7(キノ[8,7−h]キノリン,1,7−ジクロロ−3,9−ジメチル−)を減圧下に60℃で乾燥して1.4442g(93%)の収率を得た。
【表10】


EtN(CHNH 6mL中のBG7(160mg、0.49mmol)の懸濁液をアルゴン下に150℃で56時間撹拌した。次いで混合物を氷冷水40mLに注いだ。得られた固体をろ過し、ケークをMeOH(5mL)で洗浄しそして減圧下に45℃で乾燥して、208.4mg(83%)の収率でBG10(キノ[8,7−h]キノリン−1,7−ジアミン,N,N−ビス[3−(ジエチルアミノ)プロピル]−3,9−ジメチル−)、融点=192〜195℃、を得た。
【表11】


BG10(300mg、0.58mmol)をMeOH10mL中に懸濁させ、そして反応混合物を激しく撹拌した。8.6M EtOH/HCl溶液15mLを加え、撹拌を室温で48時間続けた。溶媒を減圧下に除去し、得られた固体を96%EtOH21mLに懸濁させ、ろ過し、そしてケークを96%EtOH9mLで洗浄した。減圧下に45℃で乾燥すると、BG11(キノ[8,7−h]キノリン−1,7−ジアミン,N,N−ビス[3−(ジエチルアミノ)プロピル]−3,9−ジメチル−,四塩酸塩)が得られた(303.5mg;79%)。
【表12】

【0087】
BG15の合成
【化12】

【0088】
無水エタノール250mL中の1,5−ジアミノナフタレン1(5.0g,31.6mmol)、アセト酢酸エチル2(40mL,313.5mmol)およびp−TsOH(2.38mg)の懸濁液を、分子篩(4Å)を充填されたディーン.シュタークトラップを備えた二口丸底フラスコ中で加熱還流した。撹拌しながら120℃の温度で油浴中で4時間加熱した後、混合物を室温に冷却しそして蒸発乾固した(冷却すると沈殿が生じる)。粗生成物をエタノールで摩砕し、そして沈澱をブフナー漏斗上に集め、減圧下に乾燥して、11.39g(94%)の収率で生成物としてBG5(2−ブテン酸,3−[[5−[[(E又はZ)−3−エトキシ−1−メチル−3−オキソ−1−プロペニル]アミノ]−1−ナフタレニル]アミノ]−,エチルエステル,(E又はZ)−)を得た。
【表13】


BG5(2.00g、5.23mmol)およびEaton試薬(5.5mL、29.1mmol、市販、Aldrich)の混合物を90℃で5時間撹拌した。反応混合物を氷浴中で5℃に冷却し、そして飽和した氷冷NaCO溶液(31gNaCO/100mLHO)に注意深く注いだ。固体をろ過し、ろ液を水(3×50mL)、EtOH(10mL)で洗浄し、50℃で減圧下に乾燥して1.4276g(94%)の収率で生成物としてBG6(キノ[8,7−h]キノリン−1,7−ジオン,4,10−ジヒドロ−3,9−ジメチル−)を得た。
【表14】


POCl(28.38mL、309.10mmol)中のBG6(1.37mg、4.73mmol)の懸濁液を6時間90℃で加熱し、120℃で14時間続行した。室温に冷却すると、混合物を氷/水混合物にゆっくりと注ぎ、そして濃厚水性NHをpH9まで加えた。形成された沈澱をろ過しそしてHOおよびEtOHでよく洗浄した。生成物BG7(キノ[8,7−h]キノリン,1,7−ジクロロ−3,9−ジメチル−)を減圧下に60℃で乾燥して1.4442g(93%)の収率を得た。
【表15】


2−ピペリジン−1−イル−エチルアミン3mL中のBG7(200mg、0.61mmol)の懸濁液をアルゴンガス下に170〜180℃で10時間撹拌した。次いで混合物を氷冷水40mLに注いだ。得られた固体をろ過し、ケークをMeOH5mLで洗浄しそして減圧下に45℃で乾燥して、255mg(82%)の収率でBG12を得た。融点=306〜310℃;
【表16】


BG12(390mg、0.76mmol)をMeOH10mL中に懸濁させ、そして反応混合物を激しく撹拌した。8.6M EtOH/HCl溶液15mLを加え、撹拌を室温で48時間続けた。溶媒を減圧下に除去し、得られた固体を96%EtOH21mLに懸濁させ、ろ過し、そしてケークを96%EtOH9mLで洗浄した。減圧下に45℃で乾燥すると、BG15(キノ[8,7−h]キノリン−1,7−ジアミン,3,9−ジメチル−N,N−ビス[2−(1−ピペリジニル)エチル]−,四塩酸塩)が得られた(341.6mg;68%)。
【表17】

【0089】
BG16の合成
【化13】

【0090】
無水エタノール250mL中の1,5−ジアミノナフタレン1(5.0g,31.6mmol)、アセト酢酸エチル2(40mL,313.5mmol)およびp−TsOH(2.38mg)の懸濁液を、分子篩(4Å)を充填されたディーン.シュタークトラップを備えた二口丸底フラスコ中で加熱還流した。撹拌しながら120℃の温度で油浴中で4時間加熱した後、混合物を室温に冷却しそして蒸発乾固した(冷却すると沈殿が生じる)。粗生成物をエタノールで摩砕し、そして沈澱をブフナー漏斗上に集め、減圧下に乾燥して、11.39g(94%)の収率で生成物としてBG5(2−ブテン酸,3−[[5−[[(E又はZ)−3−エトキシ−1−メチル−3−オキソ−1−プロペニル]アミノ]−1−ナフタレニル]アミノ]−,エチルエステル,(E又はZ)−)を得た。
【表18】


BG5(2.00g、5.23mmol)およびEaton試薬(5.5mL、29.1mmol、市販、Aldrich)の混合物を90℃で5時間撹拌した。反応混合物を氷浴中で5℃に冷却し、そして飽和した氷冷NaCO溶液(31gNaCO/100mLHO)に注意深く注いだ。固体をろ過し、ろ液を水(3×50mL)、EtOH(10mL)で洗浄し、50℃で減圧下に乾燥して1.4276g(94%)の収率で生成物としてBG6(キノ[8,7−h]キノリン−1,7−ジオン,4,10−ジヒドロ−3,9−ジメチル−)を得た。
【表19】


POCl(28.38mL、309.10mmol)中のBG6(1.37mg、4.73mmol)の懸濁液を6時間90℃で加熱し、120℃で14時間続行した。室温に冷却すると、混合物を氷/水混合物にゆっくりと注ぎ、そして濃厚水性NHをpH9まで加えた。形成された沈澱をろ過しそしてHOおよびEtOHでよく洗浄した。生成物BG7(キノ[8,7−h]キノリン,1,7−ジクロロ−3,9−ジメチル−)を減圧下に60℃で乾燥して1.4442g(93%)の収率を得た。
【表20】


2−ピペリジン−1−イル−プロピルアミン中のBG7(200mg、0.61mmol)の懸濁液をアルゴンガス下に170〜180℃で10時間撹拌した。次いで混合物を氷冷水40mLに注いだ。得られた固体をろ過し、ケークをMeOH5mLで洗浄しそして減圧下に45℃で乾燥して、293mg(89%)の収率でBG13(キノ[8,7−h]キノリン,1,7−ジアミン,3,9−ジメチル−N,N−ビス[3−(1−ピペリジニル)プロピル]−)を得た。融点=304〜307℃
【表21】


BG13(450mg、0.83mmol)をMeOH10mL中に懸濁させ、そして反応混合物を激しく撹拌した。EtOH/HCl溶液(8.6M)を加え、撹拌を室温で48時間続けた。溶媒を減圧下に除去し、得られた固体を96%EtOH(21mL)に懸濁させ、ろ過し、そしてケークを96%EtOH(9mL)で洗浄した。減圧下に45℃で乾燥すると、BG16(キノ[8,7−h]キノリン−1,7−ジアミン,3,9−ジメチル−N,N−ビス[3−(1−ピペリジニル)プロピル]−,四塩酸塩)が得られた(509.1mg;89%)。
【表22】

【0091】
BG17の合成
【化14】

【0092】
無水エタノール250mL中の1,5−ジアミノナフタレン1(5.0g,31.6mmol)、アセト酢酸エチル2(40mL,313.5mmol)およびp−TsOH(2.38mg)の懸濁液を、分子篩(4Å)を充填されたディーン.シュタークトラップを備えた二口丸底フラスコ中で加熱還流した。撹拌しながら120℃の温度で油浴中で4時間加熱した後、混合物を室温に冷却しそして蒸発乾固した(冷却すると沈殿が生じる)。粗生成物をエタノールで摩砕し、そして沈澱をブフナー漏斗上に集め、減圧下に乾燥して、11.39g(94%)の収率で生成物としてBG5(2−ブテン酸,3−[[5−[[(E又はZ)−3−エトキシ−1−メチル−3−オキソ−1−プロペニル]アミノ]−1−ナフタレニル]アミノ]−,エチルエステル,(E又はZ)−)を得た。
【表23】


BG5(2.00g、5.23mmol)およびEaton試薬(5.5mL、29.1mmol、市販、Aldrich)の混合物を90℃で5時間撹拌した。反応混合物を氷浴中で5℃に冷却し、そして飽和した氷冷NaCO溶液(31gNaCO/100mLHO)に注意深く注いだ。固体をろ過し、ろ液を水(3×50mL)、EtOH(10mL)で洗浄し、50℃で減圧下に乾燥して1.4276g(94%)の収率で生成物としてBG6(キノ[8,7−h]キノリン−1,7−ジオン,4,10−ジヒドロ−3,9−ジメチル−)を得た。
【表24】


POCl(28.38mL、309.10mmol)中のBG6(1.37mg、4.73mmol)の懸濁液を6時間90℃で加熱し、120℃で14時間続行した。室温に冷却すると、混合物を氷/水混合物にゆっくりと注ぎ、そして濃厚水性NHをpH9まで加えた。形成された沈澱をろ過しそしてHOおよびEtOHでよく洗浄した。生成物BG7(キノ[8,7−h]キノリン,1,7−ジクロロ−3,9−ジメチル−)を減圧下に60℃で乾燥して1.4442g(93%)の収率を得た。
【表25】


EtN(CHNH 11mL中のBG7(300mg、0.92mmol)の懸濁液をアルゴン下に45時間撹拌還流した。次いで混合物を氷冷水(40mL)に注いだ。得られた固体をろ過し、ケークをMeOH(5mL)で洗浄しそして減圧下に45℃で乾燥して、268mg(90%)の収率でBG14(キノ[8,7−h]キノリン−1,7−ジアミン,N,N−ビス[2−(ジエチルアミノ)エチル]−3,9−ジメチル−)を得た。
【表26】


BG14(223mg、0.46mmol)をMeOH(10mL)中に懸濁させ、そして反応混合物を激しく撹拌した。EtOH/HCl溶液(8.6M)を加え、撹拌を室温で48時間続けた。溶媒を減圧下に除去し、得られた固体を96%EtOH(21mL)に懸濁させ、ろ過し、そしてケークを96%EtOH(9mL)で洗浄した。減圧下に45℃で乾燥すると、BG17(キノ[8,7−h]キノリン−1,7−ジアミン,N,N−ビス[2−(ジエチルアミノ)エチル]−3,9−ジメチル−,四塩酸塩)が得られた(176mg;61%)。
【表27】

【0093】
BG20の合成
【化15】

【0094】
無水エタノール250mL中の1,5−ジアミノナフタレン1(5.0g,31.6mmol)、アセト酢酸エチル2(40mL,313.5mmol)およびp−TsOH(2.38mg)の懸濁液を、分子篩(4Å)を充填されたディーン.シュタークトラップを備えた二口丸底フラスコ中で加熱還流した。撹拌しながら120℃の温度で油浴中で4時間加熱した後、混合物を室温に冷却しそして蒸発乾固した(冷却すると沈殿が生じる)。粗生成物をエタノールで摩砕し、そして沈澱をブフナー漏斗上に集め、減圧下に乾燥して、11.39g(94%)の収率で生成物としてBG5(2−ブテン酸,3−[[5−[[(E又はZ)−3−エトキシ−1−メチル−3−オキソ−1−プロペニル]アミノ]−1−ナフタレニル]アミノ]−,エチルエステル,(E又はZ)−)を得た。
【表28】


BG5(2.00g、5.23mmol)およびEaton試薬(5.5mL、29.1mmol、市販、Aldrich)の混合物を90℃で5時間撹拌した。反応混合物を氷浴中で5℃に冷却し、そして飽和した氷冷NaCO溶液(31gNaCO/100mLHO)に注意深く注いだ。固体をろ過し、ろ液を水(3×50mL)、EtOH(10mL)で洗浄し、50℃で減圧下に乾燥して1.4276g(94%)の収率で生成物としてBG6(キノ[8,7−h]キノリン−1,7−ジオン,4,10−ジヒドロ−3,9−ジメチル−)を得た。
【表29】


POCl(28.38mL、309.10mmol)中のBG6(1.37mg、4.73mmol)の懸濁液を6時間90℃で加熱し、120℃で14時間続行した。室温に冷却すると、混合物を氷/水混合物にゆっくりと注ぎ、そして濃厚水性NHをpH9まで加えた。形成された沈澱をろ過しそしてHOおよびEtOHでよく洗浄した。生成物BG7(キノ[8,7−h]キノリン,1,7−ジクロロ−3,9−ジメチル−)を減圧下に60℃で乾燥して1.4442g(93%)の収率を得た。
【表30】


MeN(CHNH中のBG7(300mg、0.92mmol)の懸濁液をアルゴンガス下に7日間撹拌還流した。次いで混合物を氷冷水(40mL)に注いだ。得られた固体をろ過し、ケークをMeOH(5mL)で洗浄しそして減圧下に45℃で乾燥して、534mg(81%)の収率でBG18(キノ[8,7−h]キノリン−1,7−ジアミン,N,N−ビス[2−(ジメチルアミノ)エチル]−3,9−ジメチル−)を得た。融点=317〜318℃。
【表31】


BG18(338mg、0.78mmol)をMeOH(10mL)中に懸濁させ、そして反応混合物を激しく撹拌した。EtOH/HCl溶液(8.6M)を加え、撹拌を室温で48時間続けた。溶媒を減圧下に除去し、得られた固体を96%EtOH(21mL)に懸濁させ、ろ過し、そしてケークを96%EtOH(9mL)で洗浄した。減圧下に45℃で乾燥すると、BG20(キノ[8,7−h]キノリン−1,7−ジアミン,N,N−ビス[2−(ジメチルアミノ)エチル]−3,9−ジメチル−,四塩酸塩)が得られた(382.9mg;85%)。
【表32】

【0095】
本発明の組成物は、ウイルス感染を経験中の又はウイルス感染の危険にあるヒト又は動物に投与するための、治療的有効量の上記した小分子(又は小分子の組み合わせ)のいずれかを、他の物質、例えば、適当な担体、賦形剤等と共に含む薬学的組成物を更に含むことができる。このような薬学的組成物は、固体、ゲル又は液体形態にあることができ、そしてIV、IM、IP又は非経口的に、局所的に、経口的に又は粘膜表面および経路により(例えば、直腸および膣坐剤を含む)個体に適切に投与することができる。治療的有効量に相当する正確な投薬量は、哺乳動物によりおよびウイルスにより変わるであろう。試験されたFGI−103化合物の各々について特定の実施例で前記した投薬量範囲は、大表的であり、そして、本明細書に記載されそして当業者に知られているアッセイ方法に従って、任意の所与のウイルスおよび哺乳動物ホストについて適当な投薬量値に達するのに十分な情報を当業者に提供する。当業者は、本明細書におけるターゲットおよび化合物の同定を与えられると、特定の哺乳動物、特定のウイルスおよび特定の投与方式を同定すことを、慣用のプロトコールにより十分できるようになる。例えば、"Remington: The Science amd Practice of Pharmacy, " University of the Sciences in Philadelphia, 21st ed., mack publishing Co., (2005), 参照。それらの開示はそのまま参照により取り込まれる。
【0096】
本発明の組成物の「治療的に有効な」量は、患者又は動物におけるホスト細胞のウイルス感染又はウイルス疾患の予防又は改善により決定されうる。ヒト患者に投与されるとき、本発明の作用物質又は組成物の総日用量(total daily usage)は、信頼できる医学的判定の範囲内で主治医により決定されるであろう。任意の特定の患者についての特定の治療的有効用量レベルは、種々のファクター:達成されるべき細胞応答又は生理学的応答のタイプおよび程度;使用される特定の組成物の活性;使用される特定の作用物質又は組成物;患者の年齢、体重、一般的健康状態、性および食事;投与の時間、投与経路および組成物の排出速度;処理の期間;組成物と組み合わせて又は組成物と一緒に使用される薬物および、医学分野および獣医学分野で周知の同様なファクターに依存するであろう。例えば、所望の治療効果を達成するのに必要なレベルよりも低いレベルで作用物質の投与を開始することおよび所望の効果が達成されるまで投薬量を徐々に増加させることも十分に当技術分野の熟練の範囲内にある。
【0097】
本発明はある態様および実施例に関して開示されたが、記載された態様に対する多数の修正、変更および変化が、特許請求の範囲に記載のとおりの本発明の範囲から逸脱することなく可能である。したがって、本発明は、記載された態様に限定されるのではなく、特許請求の範囲の言葉およびその同等物により規定された全範囲を有することを意図する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウイルス感染を阻害することを必要とする哺乳動物においてウイルス感染を阻害する方法であって、該哺乳動物に有効量の少なくとも1種の活性な作用物質を投与することを含み、該活性な作用物質は、式 Y−X−Y
[但しY又はYの1つは存在していなくてもよく、
上記式中、YおよびYは、各々独立に、1〜6個の炭素原子のアルキル基であり、該アルキル基は、直鎖状、分岐状又は環状、飽和、部分的に不飽和又はアリールであることができ、そして存在するYおよびYの各々は、1個又は2個の水素原子を有する2個の窒素原子を含み、但し該窒素原子の1個までは、Yが環状である場合には環原子を構成することができそして水素原子を持たなくてもよく、そして
Xは、3又は4個の環部分Zからなり、各Zは、独立に5個又は6個の炭素原子であり、そして飽和、不飽和又はアリールであることができ、2、3又は4個のZは隣接したZと融合していてもよく、融合していない環部分Zは少なくとも1つの他の環部分Zに、単結合又はエチルもしくはプロピル基により結合しており、該エチルもしくはプロピル基は、単結合もしくは二重結合により結合した酸素もしくは窒素原子を有していてもよく、そして該Xは、環又はエチルもしくはプロピル炭素原子の代わりに、各々独立にO、N又はSである1〜5個のヘテロ原子を含み、そして該化合物は、更に、ヒドロキシル(−OH)、アミノ(NH)、アミド、クロロ、フルオロもしくは他のハロゲン、アルコキシ(−OR)、アリールオキシ(−OAr)、トリアルキルアンモニウム(−NR+)、アルキルアミド(−NHCOR、−NRCOR’)、アリールアミド(−NHCOAr、−NRCOAr、−NArCOAr)、アリールカルバモイル(−NHCOOAr、−NRCOOAr)、アルキルカルバモイル(−NHCOOR、−NRCOOR’)、シアノ(−CN)、ニトロ(−NO)、エステル(−COOR、−COOAr)又はアルキルハロ(式中、各場合に、該アルキル、R又はAR基は、1〜6個の炭素原子を有する)からなる群より選ばれる1個又は2個までの誘導体化部分を有することができる]
を有する、ウイルス感染を阻害する方法。
【請求項2】
前記ウイルスが、エボラウイルス、マールブルグウイルス、インフルエンザ、肝炎Bウイルス、肝炎Cウイルス、ラッサ熱ウイルス、リフト渓谷熱ウイルス、はしか、狂犬病、豚繁殖・呼吸障害症候群ウイルス、ウシコロナウイルス、SARS、ウエストナイルウイルス、HIV、牛痘ウイルス、デングウイルス、呼吸合胞体ウイルス、ヒトメタニューモウイルス又はパラインフルエンザである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記投与が、IP、IV、IM、非経口、皮下であるか、又は粘膜表面に適用されるか、皮膚に適用されるか又は吸入による、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記投与がIP、IV又は経口である、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記作用物質が、2−[2−(5−カルバミミドイル−ベンゾフラン−2−イル)−ビニル]−H−ベンゾイミダゾール−5−カルボキサミジン;キノ[8,7−h]キノリン−1,7−ジアミン,N,N'−ビス(3−(ジメチルアミノ)プロピル]−3,9−ジメチル;ベンゼンカルボキシミドアミド,4,4'−(2,5−チオフェニル)ビスであり、
前記作用物質が塩酸塩として存在することができ、そして前記作用物質がヒドロキシル(−OH)、アミノ(NH)、アミド、クロロ、フルオロもしくは他のハロゲン、アルコキシ(−OR)、アリールオキシ(−OAr)、トリアルキルアンモニウム(−NR+)、アルキルアミド(−NHCOR、−NRCOR’)、アリールアミド(−NHCOAr、−NRCOAr、−NArCOAr)、アリールカルバモイル(−NHCOOAr、−NRCOOAr)、アルキルカルバモイル(−NHCOOR、−NRCOOR’)、シアノ(−CN)、ニトロ(−NO)、エステル(−COOR、−COOAr)又はアルキルハロ(式中、各場合に、該アルキル、R又はAR基は、1〜6個の炭素原子を有する)からなる群より選ばれる2個までの誘導体化基を有することができる、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記作用物質が、2−[2−(5−カルバミミドイル−ベンゾフラン−2−イル)−ビニル]−H−ベンゾイミダゾール−5−カルボキサミジン;キノ[8,7−h]キノリン−1,7−ジアミン,N,N'−ビス(3−(ジメチルアミノ)プロピル]−3,9−ジメチル四塩酸塩;ベンゼンカルボキシミドアミド,4,4'−(2,5−チオフェニル)ビス,二塩酸塩である、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記作用物質が、薬学的に許容されうる溶液剤又は懸濁剤として投与される、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
哺乳動物ウイルスの処理のための薬学的に純粋な作用物質であって、該作用物質が、式 Y−X−Y
[但し、Y又はYの1つは存在していなくてもよく、
上記式中、YおよびYは、各々独立に、1〜6個の炭素原子のアルキル基であり、該アルキル基は、直鎖状、分岐状又は環状、飽和、部分的に不飽和又はアリールであることができ、そして存在するYおよびYの各々は、1個又は2個の水素原子を有する2個の窒素原子を含み、但し該窒素原子の1個までは、Yが環状である場合には環原子を構成することができそして水素原子を持たなくてもよく、そして
Xは、3又は4個の環部分Zからなり、各Zは、独立に5個又は6個の炭素原子であり、そして飽和、不飽和又はアリールであることができ、2、3又は4個のZは隣接したZと融合していてもよく、融合していない環部分Zは少なくとも1つの他の環部分Zに、単結合又はエチルもしくはプロピル基により結合しており、該エチルもしくはプロピル基は、単結合もしくは二重結合により結合した酸素もしくは窒素原子を有していてもよく、そして該Xは、環又はエチルもしくはプロピル炭素原子の代わりに、各々独立にO、N又はSである1〜5個のヘテロ原子を含み、そして該化合物は、更に、ヒドロキシル(−OH)、アミノ(NH)、アミド、クロロ、フルオロもしくは他のハロゲン、アルコキシ(−OR)、アリールオキシ(−OAr)、トリアルキルアンモニウム(−NR+)、アルキルアミド(−NHCOR、−NRCOR’)、アリールアミド(−NHCOAr、−NRCOAr、−NArCOAr)、アリールカルバモイル(−NHCOOAr、−NRCOOAr)、アルキルカルバモイル(−NHCOOR、−NRCOOR’)、シアノ(−CN)、ニトロ(−NO)、エステル(−COOR、−COOAr)又はアルキルハロ(式中、各場合に、該アルキル、R又はAR基は、1〜6個の炭素原子を有する)からなる群より選ばれる1個又は2個までの誘導体化部分を有することができる]
の薬学的に許容されうる純粋な化合物である、薬学的に純粋な作用物質。
【請求項9】
前記化合物が請求項1の方法であり、前記作用物質が、2−[2−(5−カルバミミドイル−ベンゾフラン−2−イル)−ビニル]−H−ベンゾイミダゾール−5−カルボキサミジン、キノ[8,7−h]キノリン−1,7−ジアミン,N,N'−ビス(3−(ジメチルアミノ)プロピル]−3,9−ジメチル;ベンゼンカルボキシミドアミド,4,4'−(2,5−チオフェニル)ビスであり、
前記作用物質が塩酸塩として存在することができ、そして前記作用物質がヒドロキシル(−OH)、アミノ(NH)、アミド、クロロ、フルオロもしくは他のハロゲン、アルコキシ(−OR)、アリールオキシ(−OAr)、トリアルキルアンモニウム(−NR+)、アルキルアミド(−NHCOR、−NRCOR’)、アリールアミド(−NHCOAr、−NRCOAr、−NArCOAr)、アリールカルバモイル(−NHCOOAr、−NRCOOAr)、アルキルカルバモイル(−NHCOOR、−NRCOOR’)、シアノ(−CN)、ニトロ(−NO)、エステル(−COOR、−COOAr)又はアルキルハロ(式中、各場合に、該アルキル、R又はAR基は、1〜6個の炭素原子を有する)からなる群より選ばれる2個までの誘導体化基を更に有することができる、請求項8に記載の薬学的に許容されうる純粋な化合物。
【請求項10】
ウイルス感染について哺乳動物ホストを処理するための組成物であって、該組成物は、式 Y−X−Y
[但し、Y又はYの1つは存在していなくてもよく、
上記式中、YおよびYは、各々独立に、1〜6個の炭素原子のアルキル基であり、該アルキル基は、直鎖状、分岐状又は環状、飽和、部分的に不飽和又はアリールであることができ、そして存在するYおよびYの各々は、1個又は2個の水素原子を有する2個の窒素原子を含み、但し該窒素原子の1個までは、Yが環状である場合には環原子を構成することができそして水素原子を持たなくてもよく、そして
Xは、3又は4個の環部分Zからなり、各Zは、独立に5個又は6個の炭素原子であり、そして飽和、不飽和又はアリールであることができ、2、3又は4個のZは隣接したZと融合していてもよく、融合していない環部分Zは少なくとも1つの他の環部分Zに、単結合又はエチルもしくはプロピル基により結合しており、該エチルもしくはプロピル基は、単結合もしくは二重結合により結合した酸素もしくは窒素原子を有していてもよく、そして該Xは、環又はエチルもしくはプロピル炭素原子の代わりに、各々独立にO、N又はSである1〜5個のヘテロ原子を含み、そして該化合物は、更に、ヒドロキシル(−OH)、アミノ(NH)、アミド、クロロ、フルオロもしくは他のハロゲン、アルコキシ(−OR)、アリールオキシ(−OAr)、トリアルキルアンモニウム(−NR+)、アルキルアミド(−NHCOR、−NRCOR’)、アリールアミド(−NHCOAr、−NRCOAr、−NArCOAr)、アリールカルバモイル(−NHCOOAr、−NRCOOAr)、アルキルカルバモイル(−NHCOOR、−NRCOOR’)、シアノ(−CN)、ニトロ(−NO)、エステル(−COOR、−COOAr)又はアルキルハロ(式中、各場合に、該アルキル、R又はAR基は、1〜6個の炭素原子である)からなる群より選ばれる1個又は2個までの誘導体化部分を有することができる]の作用物質を含み、該作用物質は、薬学的に許容されうる担体中に、250mg/kg前記ホストの重量以下の有効量で存在する、組成物。
【請求項11】
前記作用物質は、1ng〜200mg/kg体重の範囲において投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記作用物質は、1ng〜1mg/kg体重の範囲において投与される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
ウイルス感染について哺乳動物ホストを処理する方法であって、該哺乳動物においてカスパーゼ3およびカスパーゼ8の少なくとも1つを選択的に阻害することを含む方法。
【請求項14】
前記作用物質が、前記カスパーゼが前記ウイルスと分子的に相互作用するのを防止する分子である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記作用物質が、2−[2−(5−カルバミミドイル−ベンゾフラン−2−イル)−ビニル]−H−ベンゾイミダゾール−5−カルボキサミジン;キノ[8,7−h]キノリン−1,7−ジアミン,N,N'−ビス(3−(ジメチルアミノ)プロピル]−3,9−ジメチル四塩酸塩;ベンゼンカルボキシミドアミド,4,4'−(2,5−チオフェニル)ビス,二塩酸塩である、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記作用物質が、前記ウイルスによる感染時に又は感染の前に前記ホストに予防的に投与される、請求項2に記載の方法。
【請求項17】
前記作用物質が、前記ウイルスによる最初の感染の後に、前記ホストに治療的に投与される、請求項2に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【図51】
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【図52】
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【図53】
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【図54】
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【図55】
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【図56】
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【図57】
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【図58】
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【図59】
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【図60】
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【図61】
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【図62】
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【図63】
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【図64】
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【図65】
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【図66】
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【図67】
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【図68】
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【図69】
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【図70】
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【図71】
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【公表番号】特表2011−500830(P2011−500830A)
【公表日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−531222(P2010−531222)
【出願日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際出願番号】PCT/US2008/080867
【国際公開番号】WO2009/055524
【国際公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【出願人】(509133377)ファンクショナル・ジェネティクス・インコーポレーテッド (7)
【氏名又は名称原語表記】FUNCTIONAL GENETICS,INC.
【Fターム(参考)】