説明

ウイルス治療薬

【課題】 ウイルス感染症を予防または治療するための医薬組成物を提供する。
【解決手段】 下記一般式(I):


(各記号は、明細書に記載のとおりである)で表される化合物もしくはそのプロドラッグ、または製薬上許容されうるそれらの塩を含む、ウイルス感染症を予防または治療するための医薬組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウイルス感染症特にHCVの感染による肝臓疾患の予防及び治療をするための医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
C型肝炎ウイルス(HCV)の感染者は世界で1〜2億人、日本国内では200万人以上と推測されている。これらの患者の約50%が慢性肝炎に移行しそのうち約20%が感染後30年以上たって肝硬変、肝癌となる。肝癌の約90%の原因がC型肝炎といわれている。日本国内では、毎年2万人以上の患者がHCV感染に伴う肝癌により死亡している。
【0003】
HCVは1989年に輸血後の非A非B型肝炎の主要な原因ウイルスとして発見された。HCVはエンベロープを有するRNAウイルスであり、そのゲノムは1本鎖(+)RNAからなり、フラビウイルス科のヘパチウイルス(Hepacivirus)属に分類される。
【0004】
HCVは、いまだ明らかでない原因により宿主の免疫機構を回避するため、免疫機構の発達した大人に感染した場合でも持続感染が成立することが多く、慢性肝炎、肝硬変、肝癌へと進行し、手術により摘出しても、非癌部で引き続き起こる炎症のため肝癌が再発する患者が多いことも知られている。
【0005】
よって、C型肝炎の有効な治療法の確立が望まれており、その中でも、抗炎症剤により炎症を抑える対処療法とは別に、患部である肝臓においてHCVを減らすあるいは根絶させる薬剤の開発が強く望まれている。
【0006】
現在、HCV排除の唯一の有効な治療法としてインターフェロン治療が知られている。しかしインターフェロンが有効な患者は、全患者の1/3程度である。特にHCV ゲノタイプ1bに対するインターフェロンの奏効率は非常に低い。従って、インターフェロンに代わる、若しくはそれと併用し得る抗HCV薬の開発が強く望まれている。
【0007】
近年、リバビリン(Ribavirin:1−β−D−リボフラノシル−1H−1,2,4−トリアゾール−3−カルボキシアミド)がインターフェロンとの併用によるC型肝炎治療薬として市販されているが、有効率は依然低く、更なる新規なC型肝炎治療薬が望まれている。また、インターフェロンアゴニスト、インターロイキン−12アゴニスト等、患者の免疫力を増強させることによってウイルスを排除する手段も試みられているが、いまだ有効とされる薬剤は見出されていない。
【0008】
HCV遺伝子がクローニングされて以来、ウイルス遺伝子の機構と機能、各ウイルスのタンパク質の機能などについての分子生物学的解析は急速に進展したが、ホスト細胞内でのウイルスの複製、持続感染、病原性などのメカニズムは十分に解明されておらず、現在の所、信頼できる培養細胞を用いたHCV感染実験系は構築されていない。従って従来、抗HCV薬の評価をするにあたり他の近縁ウイルスを用いた代替ウイルスアッセイ法を用いなければならなかった。
【0009】
しかし近年、HCVの非構造領域部分を用いてインビトロでのHCV複製を観測することが可能になったことにより、レプリコンアッセイ法によって抗HCV薬を容易に評価することができるようになった(非特許文献1)。この系でのHCV RNA複製のメカニズムは、肝細胞に感染した全長HCV RNAゲノムの複製と同一であると考えられている。従って、この系は、HCVの複製を阻害する化合物の同定に有用な細胞に基づくアッセイ系ということができる。
【0010】
本特許でクレームされている化合物は上記レプリコンアッセイ法によって見出されたHCVの複製を阻害する化合物である。これら阻害剤はHCVの治療薬となる可能性が高いと考えられる。
【非特許文献1】ブイ・ローマン等著、サイエンス(Science)、1999年、第285巻、第110−113頁
【0011】
本発明は、ウイルス感染症、特にHCVの感染による肝臓疾患の予防及び治療をするための医薬組成物を提供することを目的とする。
【0012】
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意研究を行った結果、本発明の化合物が、非常に強い抗HCV レプリコン活性さらには HCVの増幅抑制効果を有し、且つ、インビトロの細胞毒性については軽微であること、そして、抗HCV予防/治療剤として極めて有用であることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0013】
発明の開示
すなわち、本発明は、以下の(1)〜(3)を提供する。
【0014】
(1)下記一般式(I):
【0015】
【化11】

【0016】
(式中、Aは、−OXで置換されたフェニル基、または3−インドリル基を表し;
Xは、水素原子、炭素数1〜8の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基、炭素数2〜8の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルケニル基、または炭素数2〜8の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキニル基を表し;
Bは、水素原子、水酸基、オキソ基、−N(R4)(R5)、=N−OH、=N−OR6、又はハロゲン原子を表し;
4およびR5は、同一又は異なって、水素原子、炭素数1〜6の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基、炭素数2〜6の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルケニル基、または炭素数2〜6の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキニル基を表すか、もしくはR4とR5が一緒になって3〜8員環(例えば、ピペラジン環、ピロリジン環、ピペリジン環、モルフォリン環、ヘキサメチレンイミン環など)を表し;
6は、炭素数1〜8の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基(炭素数1〜4の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基でモノまたはジ置換されていてもよいアミノ基で置換されていてもよい)を表し;
Dは、水素原子、又は水酸基を表し;
Eは、一重結合又は二重結合を表し;
1、R2、及びR3は、同一又は異なって、水素原子、水酸基、アミノ基(炭素数1〜4の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基でモノまたはジ置換されていてもよい)、−OZ、炭素数1〜4の直鎖状又は分岐鎖状アルキル基、炭素数2〜4の直鎖状又は分岐鎖状のアルケニル基、または炭素数2〜4の直鎖状又は分岐鎖状のアルキニル基を表し;
Zは、炭素数1〜4の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基、炭素数2〜4の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルケニル基、または炭素数2〜4の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキニル基を示す)で表される化合物もしくはそのプロドラッグ、または製薬上許容されうるそれらの塩を含む、HCV等のウイルス感染症を予防または治療するための医薬組成物。
【0017】
(2)上記一般式(I)(式中の各記号は、上記一般式(I)と同義である。ただし、Aが3―インドリル基である場合、Aが、p位を−OXで置換されたフェニル基であり、Xが、2−イソペンテニルまたは水素原子であり、Bが、オキソ基であり、Dが、水素原子であり、Eが二重結合を示し、R1〜R3のいずれもが水酸基である場合、及びAが、p位を−OXで置換されたフェニル基であり、Xが、2−イソペンテニルであり、Bが、オキソ基であり、Dが、水素原子であり、結合Eが二重結合を示し、R1〜R3のいずれもがメトキシ基である場合を除く)で表される化合物もしくはそのプロドラッグ、または製薬上許容されうるそれらの塩。
【0018】
(3)上記一般式(I)(式中の各記号は、上記一般式(I)と同義である。ただし、Aが3-インドリル基の場合、Aが、p位を−OXで置換されたフェニル基であり、Xが水素原子の場合、及びAが、p位を−OXで置換されたフェニル基であり、Xが2−イソペンテニルであり、Bが、オキソ基であり、Dが、水素原子であり、結合Eが二重結合を示し、R1〜R3のいずれもが水酸基あるいはメトキシ基である場合を除く)で表される化合物もしくはそのプロドラッグ、または製薬上許容されうるそれらの塩。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明のHCV等のウイルス感染による疾病を予防及び/又は治療するための医薬組成物についてさらに詳細に説明する。
【0020】
なお、本明細書で用いられる治療という用語には、本発明の医薬組成物を被験者に投与することによって、HCVを消滅あるいは軽減させること、さらなるHCVの広がりを抑制すること、HCVの感染による症状を軽減することが含まれる。HCVの感染による症状としては、C型肝炎、肝硬変、肝繊維化、肝癌などが挙げ、好ましくはC型肝炎である。
【0021】
また、本明細書で用いられる炭素数2〜8の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルケニル基とは、炭素数2〜8の直鎖状もしくは分岐鎖状の炭化水素基であって、少なくとも1の二重結合を含むものをいう。また炭素数2〜8の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキニル基とは、炭素数2〜8の直鎖状もしくは分岐鎖状の炭化水素基であって、少なくとも1の三重結合を含むものをいう。
【0022】
本発明の「プロドラッグ」とは、生理的条件下あるいは加溶媒分解によって、式(I)の化合物又は製薬上許容されうるそれらの塩に変換される、式(I)の化合物の誘導体を意味する。プロドラッグは、患者に投与されたときには不活性であってもよいが、生体内では活性のある式(I)の化合物に変換されて存在するものである。
【0023】
本発明は、以下に示すとおりである。
【0024】
1.下記一般式(I):
【0025】
【化12】

【0026】
(式中、Aは、−OXで置換されたフェニル基、または3−インドリル基を表し;
Xは、水素原子、炭素数1〜8の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基、炭素数2〜8の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルケニル基、または炭素数2〜8の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキニル基を表し;
Bは、水素原子、水酸基、オキソ基、−N(R4)(R5)、=N−OH、=N−OR6、又はハロゲン原子を表し;
4およびR5は、同一又は異なって、水素原子、炭素数1〜6の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基、炭素数2〜6の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルケニル基、または炭素数2〜6の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキニル基を表すか、もしくはR4とR5が一緒になって3〜8員環を表し;
6は、炭素数1〜8の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基(炭素数1〜4の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基でモノまたはジ置換されていてもよいアミノ基で置換されていてもよい)を表し;
Dは、水素原子、又は水酸基を表し;
結合Eは、一重結合又は二重結合を表し;
1、R2、及びR3は、同一又は異なって、水素原子、水酸基、アミノ基(炭素数1〜4の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基でモノまたはジ置換されていてもよい)、−OZ、炭素数1〜4の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基、炭素数2〜4の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルケニル基、または炭素数2〜4の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキニル基を表し;
Zは、炭素数1〜4の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基、炭素数2〜4の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルケニル基、または炭素数2〜4の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキニル基を示す)
で表される化合物もしくはそのプロドラッグ、または製薬上許容されうるそれらの塩を含む、ウイルス感染症を予防または治療するための医薬組成物。
【0027】
2.下記一般式(I′):
【0028】
【化13】

【0029】
(式中、A、B、D、結合E、R1、R2およびR3は、上記1のとおりである)
で表される上記1の式(I)の化合物もしくはそのプロドラッグ、または製薬上許容されうるそれらの塩を含む、上記1の医薬組成物。
【0030】
3.Aが、4位を−OXで置換されたフェニル基であり、Xが、水素原子、炭素数1〜8の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基、炭素数2〜8の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルケニル基、または炭素数2〜8の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキニル基、である式(I)の化合物もしくはそのプロドラッグ、または製薬上許容されうるそれらの塩を含む、上記1または2の医薬組成物。
【0031】
4.Bが、オキソ基、水素原子、水酸基、または=N−OR6である式(I)の化合物もしくはそのプロドラッグ、または製薬上許容されうるそれらの塩を含む、上記1〜3のいずれか1の医薬組成物。
【0032】
5.R1、R2、及びR3が、同一又は異なって、水酸基、アミノ基、または−OZ(ここで、Zは、炭素数1〜4の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基である)である式(I)の化合物もしくはそのプロドラッグ、または製薬上許容されうるそれらの塩を含む、上記1〜4のいずれか1の医薬組成物。
【0033】
6.Aが、4位を−OXで置換されたフェニル基であり、Xが、水素原子、炭素数1〜8の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基、炭素数2〜8の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルケニル基、または炭素数2〜8の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキニル基、であり、Bが、オキソ基、水酸基、または=N−OR6であり、R1、R2、及びR3が、同一又は異なって、水酸基、または−OZ(ここで、Zは、炭素数1〜4の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基である)である式(I)の化合物もしくはそのプロドラッグ、または製薬上許容されうるそれらの塩を含む、上記1または2の医薬組成物。
【0034】
7.Xが、炭素数1〜8の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基、炭素数2〜8の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルケニル基、または炭素数2〜8の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキニル基、であり、Bが、オキソ基または水酸基であり、R1、R2、及びR3が、いずれも水酸基である式(I)の化合物もしくはそのプロドラッグ、または製薬上許容されうるそれらの塩を含む、上記6の医薬組成物。
【0035】
8.Aが、3−インドリル基である式(I)の化合物もしくはそのプロドラッグ、または製薬上許容されうるそれらの塩を含む、上記1または2の医薬組成物。
【0036】
9.Bが、オキソ基または水酸基であり、R1、R2、及びR3が、いずれも水酸基である式(I)の化合物もしくはそのプロドラッグ、または製薬上許容されうるそれらの塩を含む、上記8の医薬組成物。
【0037】
10.下記:
【0038】
【化14】







【0039】
の化合物から選択される式(I)の化合物もしくはそのプロドラッグ、または製薬上許容されうるそれらの塩を含む、上記1または2の医薬組成物。
【0040】
11.下記:
【0041】
【化15】







【0042】
の化合物から選択される式(I)の化合物もしくはそのプロドラッグ、または製薬上許容されうるそれらの塩を含む、上記1または2の医薬組成物。
【0043】
12.下記:
【0044】
【化16】

【0045】
の化合物から選択される式(I)の化合物もしくはそのプロドラッグ、または製薬上許容されうるそれらの塩を含む、上記1または2の医薬組成物。
【0046】
13.ウイルス感染症が、HCV感染症である、上記1〜12のいずれか1の医薬組成物。
【0047】
14.HCV感染症が、C型肝炎である、上記13の医薬組成物。
【0048】
15.下記一般式(I):
【0049】
【化17】

【0050】
(式中、Aは、−OXで置換されたフェニル基を表し;
Xは、水素原子、炭素数1〜8の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基、炭素数2〜8の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルケニル基、または炭素数2〜8の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキニル基を表し;
Bは、水素原子、水酸基、オキソ基、−N(R4)(R5)、=N−OH、=N−OR6、又はハロゲン原子を表し;
4およびR5は、同一又は異なって、水素原子、炭素数1〜6の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基、炭素数2〜6の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルケニル基、または炭素数2〜6の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキニル基を表すか、もしくはR4とR5が一緒になって3〜8員環を表し;
6は、炭素数1〜8の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基(炭素数1〜4の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基でモノまたはジ置換されていてもよいアミノ基で置換されていてもよい)を表し;
Dは、水素原子、又は水酸基を表し;
結合Eは、一重結合又は二重結合を表し;
1、R2、及びR3は、同一又は異なって、水素原子、水酸基、アミノ基(炭素数1〜4の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基でモノまたはジ置換されていてもよい)、−OZ、炭素数1〜4の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基、炭素数2〜4の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルケニル基、または炭素数2〜4の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキニル基を表し;
Zは、炭素数1〜4の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基、炭素数2〜4の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルケニル基、または炭素数2〜4の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキニル基を示す。ただし、Aが、p位を−OXで置換されたフェニル基であり、Xが、2−イソペンテニルまたは水素原子であり、Bが、オキソ基であり、Dが、水素原子であり、Eが二重結合を示し、R1〜R3のいずれもが水酸基である場合、及びAが、p位を−OXで置換されたフェニル基であり、Xが、2−イソペンテニルであり、Bが、オキソ基であり、Dが、水素原子であり、結合Eが二重結合を示し、R1〜R3のいずれもがメトキシ基である場合を除く)
で表される化合物もしくはそのプロドラッグ、または製薬上許容されうるそれらの塩。
【0051】
16.下記一般式(I):
【0052】
【化18】

【0053】
(式中、Aは、−OXで置換されたフェニル基を表し;
Xは、水素原子、炭素数1〜8の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基、炭素数2〜8の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルケニル基、または炭素数2〜8の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキニル基、を表し;
Bは、水素原子、水酸基、オキソ基、−N(R4)(R5)、=N−OH、=N−OR6、又はハロゲン原子を表し;
4およびR5は、同一又は異なって、水素原子、炭素数1〜6の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基、炭素数2〜6の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルケニル基、または炭素数2〜6の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキニル基を表すか、もしくはR4とR5が一緒になって3〜8員環を表し;
6は、炭素数1〜8の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基(炭素数1〜4の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基でモノまたはジ置換されていてもよいアミノ基で置換されていてもよい)を表し;
Dは、水素原子、又は水酸基を表し;
結合Eは、一重結合又は二重結合を表し;
1、R2、及びR3は、同一又は異なって、水素原子、水酸基、アミノ基(炭素数1〜4の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基でモノまたはジ置換されていてもよい)、−OZ、炭素数1〜4の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基、炭素数2〜4の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルケニル基、または炭素数2〜4の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキニル基を表し;
Zは、炭素数1〜4の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基、炭素数2〜4の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルケニル基、または炭素数2〜4の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキニル基を示す。ただし、Aが、p位を−OXで置換されたフェニル基であり、Xが水素原子の場合、及びAが、p位を−OXで置換されたフェニル基であり、Xが2−イソペンテニルであり、Bが、オキソ基であり、Dが、水素原子であり、結合Eが二重結合を示し、R1〜R3のいずれもが水酸基あるいはメトキシ基である場合を除く)
で表される化合物もしくはそのプロドラッグ、または製薬上許容されうるそれらの塩。
【0054】
17.下記一般式(I′):
【0055】
【化19】

【0056】
(式中、A、B、D、結合E、R1、R2およびR3は、上記15に記載のとおりである)
で表される上記15又は16の式(I)の化合物もしくはそのプロドラッグ、または製薬上許容されうるそれらの塩。
【0057】
18.Xが、炭素数1〜8の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基、炭素数2〜8の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルケニル基、または炭素数2〜8の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキニル基、であり、Bが、水酸基、オキソ基、または=N−OR6である、上記15〜17の式(I)の化合物もしくはそのプロドラッグ、または製薬上許容されうるそれらの塩。
【0058】
19.下記式:
【0059】
【化20】



【0060】
で示される、上記15〜18のいずれか1の式(I)の化合物もしくはそのプロドラッグ、または製薬上許容されうるそれらの塩。
【0061】
20.下記式:
【0062】
【化21】

【0063】
で示される、上記15〜18のいずれか1の式(I)の化合物もしくはそのプロドラッグ、または製薬上許容されうるそれらの塩。
【0064】
21.上記15〜20のいずれか1の式(I)の化合物、あるいはそれらのプロドラッグ、または製薬上許容されうるそれらの塩を含む、医薬組成物。
【0065】
22.ウイルス感染症を予防または治療するための、上記21の医薬組成物。
【0066】
23.ウイルス感染症が、HCV感染症である、上記22の医薬組成物。
【0067】
24.HCV感染症が、C型肝炎である、上記23の医薬組成物。
【0068】
本発明において、「炭素数1〜8の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基」としては、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、s−ブチル、i−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、3−メチルブチル、2−メチルブチル、1−メチルブチル、1−エチルプロピル、n−ヘキシル、4−メチルペンチル、3−メチルペンチル、2−メチルペンチル、1−メチルペンチル、3−エチルブチル、2−エチルブチルなどが含まれる。
【0069】
本発明において、「炭素数2〜8の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルケニル基」としては、例えば、1−プロペニル、2−プロペニル(アリル)、プロペン−2−イル、3−ブテニル(ホモアリル)、2−イソペンテニルなどが含まれる。
【0070】
本発明において、「炭素数2〜8の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキニル基」としては、例えば、1−プロピニル、1−ブチニル、2−ブチニルなどが含まれる。
【0071】
本発明において、「ハロゲン原子」とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子を意味する。
【0072】
本発明において、「炭素数1〜6の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基」とは、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、s−ブチル、i−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、3−メチルブチル、2−メチルブチル、1−メチルブチル、1−エチルプロピル、n−ヘキシル、4−メチルペンチル、3−メチルペンチル、2−メチルペンチル、1−メチルペンチル、3−エチルブチル、2−エチルブチルなどが含まれる。
【0073】
本発明において、「炭素数2〜6の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルケニル基」としては、例えば、エテニル(ビニル)、1−プロペニル、2−プロペニル(アリル)、プロペン−2−イル、3−ブテニル(ホモアリル)、2−イソペンテニルなどが含まれる。
【0074】
本発明において、「炭素数2〜6の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキニル基」としては、例えば、エチニル、1−プロピニル、2−プロピニル、1−ブチニル、2−ブチニル、3−ブチニルなどが含まれる。
【0075】
本発明において、「炭素数1〜4の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基」としては、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、s−ブチル、i−ブチル、t−ブチルなどが含まれる。
【0076】
本発明において、「炭素数2〜4の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルケニル基」としては、例えば、エテニル(ビニル)、1−プロペニル、2−プロペニル(アリル)、プロペン−2−イル、3−ブテニル(ホモアリル)などが含まれる。
【0077】
本発明において、「炭素数2〜4の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキニル基」としては、例えば、1−プロピニル、1−ブチニル、2−ブチニルなどが含まれる。
【0078】
上記化合物No.1は、国際公開公報WO98/56755号に開示されており、オーレオバシディウム(Aureobasidium)属の微生物に由来し、カンジダ・アルビカンス、クリプトコッカス・ネオホルマンス等の病原性真菌に対する抗菌活性、及び、免疫反応を阻害する効果を有することが知られている。上記化合物No.9は、国際公開公報WO94/18157号に開示されており、スクアレン合成阻害剤、抗真菌剤として有用であることが知られている。
【0079】
本発明の化合物の製造方法:この化合物No.1は、フザリウム(Fusarium)属、オーレオバシディウム(Aureobasidium)属等の糸状菌類で、上記化合物を産生する菌株を培養し、その後、上記菌株の培養物から単離することにより製造することができる。
【0080】
さらに、上記化合物No.1を出発物質として下記に記載の方法を用いて一般式(I)及び(I′)で表される化合物類を得ることができる。
【0081】
製法1:上記化合物No.1を、メタノール、エタノール、酢酸エチル、テトラハイドロフラン等の溶媒中、パラジウム炭素、水酸化パラジウム、ラネーニッケッル等の触媒の存在下、室温または加熱条件下で水素化することによりジヒドロ体(E=一重結合、化合物No.7等)を得ることができる。
【0082】
製法2:上記化合物No.1を、メタノール、エタノール、プロパノール、テトラハイドロフラン等の溶媒中、水素化ホウ素ナトリウム、水素化トリメトキシホウ素ナトリウム、水素化シアノホウ素ナトリウム、水素化ホウ素リチウム、水素化ジエチルアルミニウムナトリウム、リチウムアルミニウムハイドライド等の還元剤の存在下、室温または冷却条件下で還元することによりアルコール体(B=水酸基、化合物No.8等)を得ることができる。
【0083】
製法3:上記化合物No.1を、メタノール、ジオキサン、テトラハイドロフラン、水等の溶媒中、塩酸、硫酸、メタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸等の存在下、室温または冷却件下で処理することにより脱アルキル化体(X=水素、化合物No.9等)を得ることができる。さらに上記化合物No.9を、メタノール、エタノール、酢酸エチル、テトラハイドロフラン等の溶媒中、パラジウム炭素、水酸化パラジウム、ラネーニッケッル、酸化白金等の触媒の存在下、室温または加熱条件下で水素化することによりジヒドロ体(E=一重結合、かつX=水素、化合物No.10等)を得ることができる。
【0084】
製法4:上記化合物No.9等を水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カルシウム、炭酸カリウム等の塩基の存在化、ジメチルホルムアミド(DMF)、テトラハイドロフラン等の溶媒中、室温または加熱条件下で、アルキルハライド、アリルハライド、アルキニルハライド等のアルキル化剤で処理することによりテトラアルキル、テトラアルキニル及びテトラアルケニル化体(X=Z=アルキル、アルキニルあるいはアルケニル)を合成することができる。また本化合物を水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カルシウム、炭酸カリウム等の塩基の存在化、メタノール、ジオキサン、テトラハイドロフラン、水等の溶媒中、室温または加熱条件下で処理することによりアルキル、アルキニル及びアルケニル化体(X=アルキル、アルキニルあるいはアルケニル;具体的には化合物No.16、17、18、19、20等)を合成することができる。
【0085】
製法5:上記化合物No.1と各種アミンをジメチルホルムアミド(DMF)、テトラハイドロフラン等の溶媒中で、ジイソプロピルエチルアミン、トリエチルアミン等の塩基の存在下でジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、水溶性カルボジイミド塩酸塩(WSC・HCl)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾ−ル(HOBt)等の縮合剤で処理することにより、室温または加熱条件下で、対応するトリアミド体(R1=R2=R3=アミノ基、化合物No.11等)を得ることができる。
【0086】
製法6:上記化合物No.1を、メタノール、エタノール、酢酸エチル、テトラハイドロフラン等の溶媒中、パラジウム炭素、水酸化パラジウム、ラネーニッケッル、酸化白金等の触媒の存在下、室温または加熱条件下で水素化することによりテトラヒドロ体(E=一重結合、かつX=分岐アルキル、化合物No.12等)を得ることができる。
【0087】
製法7:上記化合物No.1を、テトラハイドロフラン、DMF及びジクロロメタンなどの溶媒中、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)等の縮合剤により各種のアルコール(R−OH)と反応させることによって、室温または加熱条件下で、対応するトリエステル(R1=R2=R3=R)を得ることができる。あるいは、上記化合物No.1を、メタノール及びジクロロメタンなどの混合溶媒中、アミドジヒドロ体トリメチルシリルジアゾメタン(TMSCHN2)等で処理し、トリメチルエステル体(R1=R2=R3=CH3)を得ることができる。
【0088】
製法8:製法7で得たトリメチルエステル体をメタノール、 エタノール及びブタノール等の溶媒中で4−トルエンスルフォニルヒドラジド等のヒドラジン誘導体で処理することにより、室温または加熱条件下で、対応するヒドラジド体を得、本ヒドラジド体をカテコールボラン等の還元剤で処理した後、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の塩基の存在化、エタノール、メタノール及び水等の溶媒中、室温または加熱条件下で、脱ケト体(B=水素、化合物No.13等)を得ることができる。
【0089】
製法9:上記化合物No.1とヒドロキシルアミンまたは各種O−置換ヒドロキシルアミンをピリジン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン等の存在下で、室温または加熱条件下で処理することにより対応するオキシムエーテル及びオキシム体(B=N−OR6及びN−OH、化合物No.14,15等)を得ることができる。
【0090】
製法10:上記化合物No.1を、テトラハイドロフラン、ジクロロメタン、クロロフォルム等の溶媒中、ジエチルアミノサルファートリフルオライド(DAST)等で処理し、ハロゲン化体(B=フッ素)を得ることができる。
【0091】
製法11:上記化合物No.1と各種アミンをエタノール、メタノール及び、テトラハイドロフラン等の溶媒中で、中性あるいは弱酸性条件下で、室温または加熱条件下で、水素化シアノホウ素ナトリウムあるいは水素化トリアセトキシホウ素ナトリウム等還元剤で処理することによりにより、還元的アミノ化を行い対応するアミン体(B=−N(R4)(R5))を得ることができる。
【0092】
本発明の化合物の製造方法
この化合物、例えば、No.1の製造に用いることができる菌株は、フザリウム(Fusarium)属、オーレオバシディウム(Aureobasidium)属等の糸状菌類に属し、上記化合物を産生することができるものであれば特に限定されず、例えば、フザリウム・エスピー(Fusarium sp.)F1476株(以下「F1476株」という)、オーレオバシディウム・エスピー(Aureobasidium sp.)TKR2449株(国際公開公報WO98/56755号)等を挙げることができる。
【0093】
F1476株は、上記化合物No.1を有利に産生する特性を有するものである。また、上記F1476株の生理学的性質は、下記に示すとおりである:
生育温度範囲は、10〜30℃であり、好ましくは、20〜30℃である。
生育可能pH範囲は、3〜11であり、好ましくは、5〜7である。
【0094】
F1476株は、Fusarium sp. F 1476と表示し、独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センターに、2003年2月4日付で、受託番号FERM BP−8290として寄託されている。
【0095】
本発明においては、上記F1476株の他に、F1476株の自然又は人工的な突然変異体、あるいはフザリウム属、オーレオバシディウム属等の糸状菌類に属するその他の菌種等であって、F1476株の産生能を有する微生物を使用することができる。
【0096】
本発明においては、上記No.1の化合物は、上記F1476株を、栄養源含有培地に接種し、これを培養することによって培養物を得ることができる。上記栄養源のうち、炭素源としては、例えば、グルコース、フルクトース、サッカロース、澱粉、デキストリン、グリセリン、糖蜜、水飴、油脂類、有機酸等を挙げることができる。
【0097】
上記栄養源のうち、窒素源としては、例えば、大豆粉、綿実粉、コーンスチープリカー、カゼイン、ペプトン、酵母エキス、肉エキス、胚芽、尿素、アミノ酸、アンモニウム塩等の有機窒素化合物、無機窒素化合物等を挙げることができる。
【0098】
上記栄養源のうち、塩類としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、リン酸塩等の無機塩類等を挙げることができる。これらは、単独で使用されてもよく、適宜組み合わせて使用されてもよい。
【0099】
上記栄養源は、単独か又は適宜組み合わせて使用することができる。
【0100】
上記栄養源含有培地には、必要に応じ、鉄塩、銅塩、亜鉛塩、コバルト塩等の重金属塩;ビオチン、ビタミンB1等のビタミン類;その他、菌の生育を助け、上記化合物No.1の産生を促進する有機物、無機物等を適宜添加することができる。
【0101】
上記栄養源含有培地には、上記栄養源の他に、更に必要に応じて、シリコーンオイル、ポリアルキレングリコールエーテル等の消泡剤、界面活性剤等を添加することができる。
【0102】
上記化合物No.1を産生する菌株を、上記栄養源含有培地で培養するに際しては、生理活性物質の産生を微生物の培養によって行う際に一般的に使用される、固体培養法、液体培養法等の培養方法を採用することができる。
【0103】
上述の培養方法によって、上記化合物No.1は、培養物中に蓄積される。本発明においては、培養物中に蓄積された上記化合物No.1を、公知の方法により、培養物中から分離した後、必要に応じて更に精製することができる。
【0104】
上記分離は、培養物全体を、酢酸エチル、酢酸ブチル、クロロホルム、ブタノール、メチルイソブチルケトン等の非親水性有機溶媒で抽出することにより行うことができる。また、培養物を濾過又は遠心分離によって培養液と菌体とに分離した後、培養液、菌体のそれぞれから分離することもできる。
【0105】
上記分離した培養液から上記化合物No.1を分離するには、上記非親水性有機溶媒で抽出する方法を採用することもでき、また、培養液を吸着性の担体に接触させ、培養液中の上記化合物No.1を担体に吸着させた後、溶媒で溶出する方法を採用することもできる。
【0106】
上記担体としては、例えば、活性炭、粉末セルロース、吸着性樹脂等を挙げることができる。上記溶媒としては、担体の種類、性質等によって適宜1種又は2種以上を組み合わせて使用することができ、例えば、含水アセトン、含水アルコール類等の水溶性有機溶媒の含水溶液等を適宜組み合わせたもの等を挙げることができる。
【0107】
上記分離した菌体から上記化合物No.1を分離するには、アセトン等の親水性有機溶媒で抽出する方法を採用することができる。
【0108】
本発明においては、このようにして培養物中から分離された上記化合物No.1の粗抽出物を、必要に応じて、更に精製する工程に付することができる。
【0109】
上記精製は、脂溶性生理活性物質の分離、精製に通常使用される方法によって行うことができ、このような方法としては、例えば、シリカゲル、活性アルミナ、活性炭、吸着性樹脂等の担体を用いるカラムクロマトグラフィー法、高速液体クロマトグラフィー法等を挙げることができる。シリカゲルを担体として用いるカラムクロマトグラフィー法を採用する場合は、溶出溶媒としては、例えば、クロロホルム、酢酸エチル、メタノール、アセトン、水等を挙げることができ、これらは2種以上を併用することができる。
【0110】
上記高速液体クロマトグラフィー法を採用する場合は、担体としては、例えば、オクタデシル基、オクチル基、フェニル基等が結合した化学結合型シリカゲル;ポリスチレン系ポーラスポリマーゲル等を挙げることができ、移動相としては、例えば、含水メタノール、含水アセトニトリル等の水溶性有機溶媒の含水溶液等を使用することができる。
【0111】
本発明の上記化合物No.1は、そのまま、又は、その薬理学的に許容される塩として医薬に使用することができる。上記塩としては薬理学的に許容されるものであれば特に限定されず、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、臭化水素酸等の鉱酸の塩;酢酸、酒石酸、乳酸、クエン酸、フマール酸、マレイン酸、コハク酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、カンファースルホン酸等の有機酸の塩;ナトリウム、カリウム、カルシウム等のアルカリ金属又はアルカリ土類金属等の塩等を挙げることができる。
【0112】
上記医薬製剤に含まれる有効成分化合物の量は、特に限定されず広範囲に適宜選択されるが、例えば、0.1〜99.5重量%、好ましくは0.5〜90重量%である。
【0113】
本発明の化合物を、常法に従って主薬に賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、矯味矯臭剤、溶解補助剤、懸濁剤、コーティング剤等の医薬の製剤技術分野において通常使用し得る既知の補助剤を用いて製剤化することができる。錠剤の形態に成形するに際しては、担体としてこの分野で従来公知のものを広く使用でき、例えば乳糖、白糖、塩化ナトリウム、グルコース、尿素、澱粉、炭酸カルシウム、カオリン、結晶セルロース、ケイ酸等の賦形剤;水、エタノール、プロパノール、単シロップ、グルコース液、澱粉液、ゼラチン溶液、カルボキシメチルセルロース、セラック、メチルセルロース、リン酸カリウム、ポリビニルピロリドン等の結合剤;乾燥澱粉、アルギン酸ナトリウム、寒天末、ラミナラン末、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸モノグリセリド、澱粉、乳糖等の崩壊剤;白糖、ステアリン、カカオバター、水素添加油等の崩壊抑制剤;第4級アンモニウム塩類、ラウリル硫酸ナトリウム等の吸収促進剤;グリセリン、澱粉等の保湿剤;澱粉、乳糖、カオリン、ベントナイト、コロイド状ケイ酸等の吸着剤;精製タルク、ステアリン酸塩、硼酸末、ポリエチレングリコール等の潤沢剤等が例示できる。
【0114】
さらに錠剤は、必要に応じ、通常の剤皮を施した錠剤、例えば、糖衣錠、ゼラチン被包錠、腸溶被錠、フィルムコーティング錠あるいは二重錠、多層錠とすることができる。丸剤の形態に成形するに際しては、担体としてこの分野で従来公知のものを広く使用でき、例えばグルコース、乳糖、カカオバター、澱粉、硬化植物油、カオリン、タルク等の賦形剤;アラビアゴム末、トラガント末、ゼラチン、エタノール等の結合剤;ラミナラン寒天等の崩壊剤等が例示できる。坐剤の形態に成形するに際しては、担体としてこの分野で従来公知のものを広く使用でき、例えばポリエチレングリコール、カカオバター、高級アルコール、高級アルコールのエステル類、ゼラチン、半合成グリセリド等を挙げることができる。注射剤として調製される場合には、液剤および懸濁剤は殺菌され、かつ血液と等張であるのが好ましく、これら液剤、乳剤および懸濁剤の形態に成形するに際しては、希釈剤としてこの分野で慣用されているものをすべて使用でき、例えば、水、エタノール、プロピレングリコール、エトキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類等を挙げることができる。なお、この場合、等張性の溶液を調製するのに充分な量の食塩、グルコース、あるいはグリセリンを医薬製剤中に含有せしめてもよく、また通常の溶解補助剤、緩衝剤、無痛化剤等を添加してもよい。さらに必要に応じて着色剤、保存剤、香料、風味剤、甘味剤等や他の医薬品を含有することもできる。
【0115】
上記医薬組成物は、投与単位形態で投与することが好ましく、経口投与、組織内投与(皮下投与,筋肉内投与,静脈内投与等)、局所投与(経皮投与等)又は経直腸的に投与することができる。上記医薬組成物は、これらの投与方法に適した剤型で投与されることは当然である。
【0116】
本発明の化合物等又はそれの製薬上許容され得る塩を医薬として投与する場合、抗ウイルス剤としての用量は、年齢、体重等の患者の状態、投与経路、病気の性質と程度等を考慮した上で調整することが望ましいが、通常は、ヒトについては、成人に対して本発明の有効成分量として、一日当たり、1〜2000mgの範囲である。上記範囲未満の用量で足りる場合もあるが、逆に上記範囲を超える用量を必要とする場合もある。多量に投与するときは、一日数回に分割して投与することが望ましい。
【0117】
上記経口投与は、固形、粉末又は液状の用量単位で行うことができ、例えば、末剤、散剤、錠剤、糖衣剤、カプセル剤、ドロップ剤、舌下剤、その他の剤型等により行うことができる。
【0118】
上記組織内投与は、例えば、溶液や懸濁剤等の皮下、筋肉内又は静脈内注射用の液状用量単位形態を用いることによって行うことができる。これらのものは、本発明の化合物又はその製薬上許容される塩の一定量を、例えば、水性や油性の媒体等の注射目的に適合する非毒性の液状担体に懸濁又は溶解し、ついで上記懸濁液又は溶液を滅菌することにより製造される。
【0119】
上記局所投与(経皮投与等)は、例えば、液、クリーム、粉末、ペースト、ゲル、軟膏剤等の外用製剤の形態を用いることによって行うことができる。これらのものは、本発明の化合物又はその製薬上許容される塩の一定量を、外用製剤の目的に適合する香料、着色料、充填剤、界面活性剤、保湿剤、皮膚軟化剤、ゲル化剤、担体、保存剤、安定剤等のうちの一種以上と組み合わせることにより製造される。
【0120】
上記経直腸的投与は、本発明の化合物又はその製薬上許容される塩の一定量を、例えば、パルミチン酸ミリスチルエステル等の高級エステル類、ポリエチレングリコール、カカオ脂、これらの混合物等からなる低融点固体に混入した座剤等を用いて行うことができる。
【0121】
上記投与は、例えば、溶液や懸濁剤等の皮下、筋肉内又は静脈内注射用の液状用量単位形態を用いることによって行うことができる。これらのものは、本発明の化合物又はその製薬上許容される塩の一定量を、例えば、水性や油性の媒体等の注射の目的に適合する非毒性の液状担体に懸濁又は溶解し、ついで上記懸濁液又は溶液を滅菌することにより製造される。
【実施例】
【0122】
以下に実施例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0123】
実施例1
本発明に使用されるF 1476株は、2000年1月24日に鎌倉市鎌倉山南斜面にて採集された落葉より2000年2月29日に洗浄濾過法により分離した糸状菌である。
培養諸性状
バレイショ・ブドウ糖寒天培地(PDA)上での生育は遅く、25℃、近紫外光照射下10日で直径12mmに達し、生育率は1.5−1.6 mm/日であり、密集した菌糸叢を形成し、表面は皺状で盛り上がり、中央部分に湿った分生子座が集まり、周辺部はときに顕著に綿毛状の菌糸塊をつくり、色調は明るい橙色(杏色、Light orange、Light ApricotないしApricot、マンセル5YR7/6から7/10、メトゥエン6A6から6B8)、裏面は淡橙色から橙色(light orange、bright reddish orange、Tiger Lily、マンセル5−10YR7/10、メトゥエン6B8から8A6)。
【0124】
暗所では生育率は少し悪く、0.9−1.1mm/日で、色調はより薄く、ベージュ(pale beige、Ivory、マンセル10YR9/2、メトゥエン4A3)で裏面は明るい赤味黄色(light reddish yellow、Naples Yellow)、しかし菌糸の色調が濃くなることもあり、黄土色から灰褐色(gold、Golden Ocher、light grayish brown、Blond、マンセル10YR5/4−8、メトゥエン5E5−8)となり、その場合の裏面は暗黄褐色(栗皮色、dark yellowish brown、Burnt Umber、マンセル10YR3/6)。
【0125】
麦芽エキス寒天培地(MA)上での生育は遅く、近紫外光照射下11日で直径11mmに達し、生育率は1.0mm/日であり、密集した菌糸叢を形成し、盛り上がり、羊毛状ないしフェルト状、色調は明るい橙色(light orange、Light Apricot、マンセル5YR8/6、メトゥエン6A6)、裏面は輝橙色(bright orange、Nasturtium Orange、マンセル5YR7/12、メトゥエン6A7)。暗所では色調は淡色となる。
【0126】
オートミール寒天培地(OA)上での生育は早く、近紫外光照射下10日で直径21mmに達し、生育率は3.7mm/日であり、平坦だが中央部分に多数の分生子座が密集し、粒状を呈する。色調は明るい黄橙色(light yellowish orange、Maize、マンセル5YR7/8、メトゥエン6B6)、裏面も同色。暗所での色調は淡色となる。
【0127】
合成栄養寒天培地(SNA)上での生育は遅く、近紫外光照射下7日で直径13mmに達し、生育率は1.6mm/日であり、平坦でうすいコロニーを形成し、フェルト状ないし羊毛状、中央部分は湿った分生子座が点在、色調はベージュ(pale beige、Ivory、マンセル10YR9/2、メトゥエン4A3)、裏面も同色。暗所でも同様の生育を示す。
【0128】
三浦培地(LCA)上での生育は早く、近紫外光照射下10日で直径25mmに達し、生育率は3.4mm/日であり、平坦でうすいコロニーを形成し、粒状ないし綿毛状、中央部分は湿った分生子座が点在、色調はベージュ(pale beige、Ivory、マンセル10YR9/2、メトゥエン4A3)、裏面も同色。暗所でも同様の生育を示す。
生育温度範囲は、10〜30℃であり、至適生育温度は20〜30℃である。
生育pH範囲は、pH3〜11であり、至適pHは、pH5〜7である。
【0129】
形態的性状
SNA上では、分生子柄は主に気中菌糸から垂直に立ち上がり、分岐し、その分枝あるいは分生子柄に直接フィアライドを輪生し、複雑な分生子構造を形成する。ときに気中菌糸に直接フィアライドを単生することもある。寒天表面上を這う菌糸から分生子構造が形成し、空中に立ち上がらないこともある。分生子柄は、10−30μmの長さとなる。フィアライドは、円筒形で、先端には通常顕著なカップ構造を有し、4.0−20.0×2.5−3.0μmの大きさである。フィアロ型分生子は、フィアライド先端に粘液質で塊状に集合して形成され、典型的には三日月型で基部に明瞭な足細胞を有し先端細胞は細く伸びるかときに鈍頭で通常は湾曲し、ときに長楕円形ないし円筒形、1−3(4)隔壁、6.8−30.0×1.9−4.9μm、L/W 3.7−8.1(平均、19.3×3.8μm、L/W 5.2)である。厚膜胞子は認められない。
【0130】
同定
明色の菌糸から形成される複雑な房状の分生子構造は、ときに分生子座となり、分生子は円筒形のフィアライド先端から内生的に生ずるフィアロ型で、明色、特徴的な舟形ないし三日月形の2〜5細胞となる。以上の形態的特徴から、本菌F 1476株は不完全菌Fusarium属に属することがわかる。そこで本菌をFusarium sp. F 1476株と同定した。
【0131】
参考文献
Gerlach, W. and Nirenberg, H. 1982 The genus Fusarium - a pictorial atlas. Mitt. Biol. Bundesanst. Land- u. Forstwirtsch. Berlin-Dahlem 209:1-406.
Booth, C. 1971. The genus Fusarium. CMI, Kew, Surrey, 237pp.
Carmichael, J.W., Kendrich, B., Conners, I.L. and Sigler, L. 1980. Genera of Hyphomycetes. University of Alberta Press, Edmonton.
Gams, W. 1971. Cephalosporium-artige Schimmelpilze (Hyphomycetes) Gustav Fischer Verlag, Stuttgart. 262pp.
【0132】
実施例2
F1476株の斜面培養から一白金耳を、100mLの液体培地(グルコース2%、グリセロール1.5%、ポテトスターチ1%、ポリペプトン0.25%、イーストエクストラクト0.35%、炭酸カルシウム0.5%、塩化ナトリウム0.3%、硫酸亜鉛7水和物0.005%、硫酸銅5水和物0.0005%、硫酸マンガン4水和物0.0005%、トーストソーヤ1%)を入れた500mL容の臍つき三角フラスコ25本に接種し、25℃、3日間振とう培養し(振とう速度220rpm)、種培養液を得た。この種培養液16mLを固体培地(押し麦40g、SF1溶液(イーストエクストラクト0.1%、酒石酸ナトリウム0.05%、燐酸2水素カリウム0.05%)24mL)を入れた500mL容の臍つき三角フラスコ125本に接種し25℃、11日間静置培養を行った。このように培養した培養物にn−ブタノール12.5Lを加え、1晩浸潤、放置後ろ過し、n−ブタノール抽出液を得た。このようにして得られた抽出液を濃縮後、水1Lに懸濁し、塩酸にてpHを2に調整した後に、酢酸エチル1.1Lで抽出した。水層は再度1.1Lの酢酸エチルで抽出し、一回目の抽出物と合わせた。この酢酸エチル抽出液(2.2L)に水0.9Lを加え、水酸化ナトリウム水溶液でpHを10に調整後分配を行った。得られた水層に再度酢酸エチル1Lを加え、塩酸にてpHを3に調整後、抽出した。得られた水層は再度酢酸エチル1Lで抽出を行った。このようにして得られた酢酸エチル抽出液(2L)を硫酸ナトリウムで乾燥後、濃縮乾固し、粗抽出物567mgを得た。これをメタノールに溶解し下記に示す条件1で分取高速液体クロマトグラフィーを繰り返すことによって化合物1を含む分画(フラクション1)と化合物2と化合物3を含む分画(フラクション2)、化合物4と化合物5と化合物6を含む分画(フラクション3)を得た。フラクション1を減圧濃縮することにより化合物1を380mgの白色粉末として得た。
【0133】
高速液体クロマトグラフィーの条件1
装置:CCPP−D、MCPD−3600システム(東ソー)
カラム:CAPCELL PAK C18 (UG80、20mm×250mm)(資生堂製)
移動相:0.01%トリフルオロ酢酸を含有する水と0.01%トリフルオロ酢酸を含有するアセトニトリルによる溶媒勾配溶出(15%アセトニトリル〜98%アセトニトリル、ステップワイズ)
化合物1の物理化学的性状
分子量 659
FAB−MS(ポジティブモード、マトリックスm−NBA)660(M+H
FAB−MS(ネガティブモード、マトリックスm−NBA)658(M−H
1H−NMR(メタノールd−4中)の化学シフト値δ
0.89(3H,t,J=7Hz),1.20-1.40(14H,m),1.53(4H,m),1.73(3H,s),1.77(3H,s),1.96(2H,m),2.42(4H,m),2.57(1H,d,J=16.5Hz),2.89(1H,d,J=16.5Hz),2.91(1H,dd,J=14,9Hz),3.15(1H,dd,J=14,4.5Hz),3.20(1H,d,J=8Hz),4.47(2H,d,J=6Hz),4.63(1H,dd,J=9,4.5Hz),5.43(1H,m),5.52(2H,m),6.78(2H,d,J=9Hz),7.10(2H,d,J=9Hz)
【0134】
実施例3
実施例2で得られた分画(フラクション2、345mg)を更に下記に示す条件2で分取高速液体クロマトグラフィーを行うことによって化合物2含む分画(フラクション2−1、41.4mg)と化合物3を含む分画(フラクション2−2、4.9mg)に分離した。フラクション2−1は更に下記に示す条件3で分取高速液体クロマトグラフィーを行い化合物2を含む分画を得た。得られた分画を減圧濃縮することにより化合物2を29.5mgの白色粉末として単離した。同様に、フラクション2−2を条件4で分取高速液体クロマトグラフィーを行うことで、化合物3を3mgの白色粉末として得た。
【0135】
高速液体クロマトグラフィーの条件2
装置:CCPP−D、MCPD−3600システム(東ソー)
カラム:CAPCELL PAK C18 (UG80、20mm×250mm)(資生堂製)
移動相:0.01%トリフルオロ酢酸を含有する水と0.01%トリフルオロ酢酸を含有するアセトニトリルによる溶媒勾配溶出(65%アセトニトリル〜98%アセトニトリル、ステップワイズ)
高速液体クロマトグラフィーの条件3
装置:CCPP−D、MCPD−3600システム(東ソー)
カラム:CAPCELL PAK SPERIOREX ODS (20mm×250mm) (資生堂製)
移動相:0.01%トリフルオロ酢酸を含有する水と0.01%トリフルオロ酢酸を含有するアセトニトリルによる溶媒勾配溶出(65%アセトニトリル〜98%アセトニトリル、ステップワイズ)
高速液体クロマトグラフィーの条件4
装置:CCPP−D、MCPD−3600システム(東ソー)
カラム:CAPCELL PAK C8 (SG120、20mm×250mm) (資生堂製)
移動相:0.01%トリフルオロ酢酸を含有する水と0.01%トリフルオロ酢酸を含有するアセトニトリルによる溶媒勾配溶出(65%アセトニトリル〜98%アセトニトリル、ステップワイズ)
化合物2の物理化学的性状
分子量 673
ESI(LC/MSポジティブモード)674(M+H
1H−NMR (メタノールd−4中)の化学シフト値δ
0.89(3H,t,J=7Hz),1.20-1.40(14H,m),1.53(4H,m),1.73(3H,s),1.77(3H,s),1.96(2H,m),2.42(4H,m),2.59(1H,d,J=16.5Hz),2.89(1H,d,J=16.5Hz),2.91(1H,dd,J=14,9Hz),3.15(1H,dd,J=14,4.5Hz),3.20(1H,d,J=8Hz),3.63(3H,s),4.47(2H,d,J=6Hz),4.63(1H,dd,J=9,4.5Hz),5.43(1H,m),5.54(2H,m),6.78(2H,d,J=9Hz),7.10(2H,d,J=9Hz)
化合物3の物理化学的性状
分子量 687
ESI(LC/MSポジティブモード)688(M+H
1H−NMR (メタノールd−4中)の化学シフト値δ
0.89(3H,t,J=7Hz)),1.20-1.40(14H,m),1.53(4H,m),1.73(3H,s),1.77(3H,s),1.96(2H,m),2.42(4H,m),2.56(1H,d,J=16.5Hz),2.89(1H,d,J=16.5Hz),2.91(1H,dd,J=14Hz,9Hz),3.11(1H,dd,J=14,4.5Hz),3.20(1H,d,J=8Hz),3.63(3H,s),3.71(3H,s),4.47(2H,d,J=6Hz),4.64(1H,dd,J=9,4.5Hz),5.43(1H,m),5.54(2H,m),6.79(2H,d,J=9Hz),7.08(2H,d,J=9Hz)
【0136】
実施例4
実施例2で得られた分画(フラクション3、453mg)を更に上記に示す条件2で分取高速液体クロマトグラフィーを行うことによって化合物4を含む分画(フラクション3−1)と化合物5を含む分画(フラクション3−2、16.4mg)と化合物6を含む分画(フラクション3−3、26.5mg)に分離した。フラクション3−1を減圧濃縮することにより化合物4を2mgの白色粉末として得た。フラクション3−2は更に下記に示す条件5で分取高速液体クロマトグラフィーを行い化合物5を含む分画を得た。得られた分画を減圧濃縮することにより化合物5を4mgの白色粉末として単離した。同様に、フラクション3−3を条件5で分取高速液体クロマトグラフィーを行うことで、化合物6を6mgの白色粉末として得た。
高速液体クロマトグラフィーの条件5
装置:CCPP−D、MCPD−3600システム(東ソー)
カラム:CAPCELL PAK C18 (UG80、20mm×250mm)(資生堂製)
移動相:0.01%トリフルオロ酢酸を含有する水と0.01%トリフルオロ酢酸を含有するアセトニトリルによる溶媒勾配溶出(50%アセトニトリル〜98%アセトニトリル、ステップワイズ)
化合物4の物理化学的性状
分子量 607
ESI(LC/MSポジティブモード)608(M+H
1H−NMR (メタノールd−4中)の化学シフト値δ
0.89(3H,t,J=7Hz),1.20-1.40(14H,m),1.58(4H,m),2.00(2H,m),2.52(2H,m),2.56(1H,d,J=16Hz),2.88(1H,dd,J=14,8Hz),2.90(1H,d,J=16Hz),3.10(1H,dd,J=14,4Hz),3.20(1H,d,J=8Hz),4.05(1H,dd,J=8,4.5Hz)4.60(1H,dd,J=8,4.5Hz),5.53(2H,m),6.67(2H,d,J=8Hz),7.02(2H,d,J=8Hz)
化合物5の物理化学的性状
分子量 614
ESI(LC/MSポジティブモード)615(M+H
1H−NMR (メタノールd−4中)の化学シフト値δ
0.89(3H,t,J=7Hz),1.20-1.40(14H,m),1.53(4H,m),1.93(2H,m),2.27(4H,m),2.58(1H,d,J=16Hz),2.86(1H,d,J=16Hz),3.22(2H,m),3.65(1H,d,J=9Hz),4.73(1H,dd,J=8,5Hz),5.50(2H,m),6.96(1H,t,J=7Hz),7.06(1H,t,J=7Hz),7.10(1H,s),7.29(1H,d,J=7Hz)7.55(1H,d,J=7Hz)
化合物6の物理化学的性状
分子量 675
ESI(LC/MSポジティブモード)676(M+H
1H−NMR (メタノールd−4中)の化学シフト値δ
0.89(3H,t,J=7Hz),1.20-1.40(14H,m),1.53(4H,m),1.72(3H,s),1.77(3H,s),1.92(2H,m),2.42(2H,m),2.57(1H,d,J=16Hz),2.89(1H,d,J=16Hz),2.91(1H,dd,J=14,9Hz),3.15(1H,dd,J=14,4.5Hz),3.20(1H,d,J=7Hz),4.05(1H,dd,J=8,4Hz),4.47(2H,d,J=6Hz),4.62(1H,dd,J=9,4.5Hz),5.43(1H,m),5.52(2H,m),6.78(2H,d,J=9Hz),7.10(2H,d,J=9Hz)
【0137】
実施例5
化合物7の合成
化合物1(5mg,0.0075mmol)のメタノール溶液(2mL)に10%Pd−C(1mg)を加え、水素ガス雰囲気下、室温にて24時間攪拌した。パラジウム触媒を濾過し、濾液を減圧濃縮した。得られた残留物を下記に示す条件で分取高速液体クロマトグラフィーを行い精製し、化合物7(1.7mg、34%)を無色油状物質として得た。
高速液体クロマトグラフィーの条件
装置:CCPS、MCPD−3600システム(東ソー)
カラム:CAPCELL PAK C18 (UG、4.6mm×150mm)(資生堂製)
移動相:0.005%トリフルオロ酢酸を含有する水と0.005%トリフルオロ酢酸を含有するアセトニトリルによる溶媒勾配溶出(65%アセトニトリル〜98%アセトニトリル、ステップワイズ)
化合物7の物理化学的性状
分子量 661
ESI(LC/MSポジティブモード)662(M+H
1H−NMR (メタノールd−4中)の化学シフト値δ:
0.89(3H,t,J=7Hz),0.96(6H,d,J=6.5Hz),1.20-1.35(14H,m),1.46-1.58(4H,m),1.64(2H,q,J=6.5Hz),1.83(1H,quintet,J=6.5Hz),1.93-2.01(2H,m),2.43(4H,t,J=7.5Hz),2.58(1H,d,J=16Hz),2.89(1H,d,J=16Hz),2.91(1H,dd,J=14,9Hz),3.16(1H,dd,J=14,5Hz),3.19(1H,d,J=8.5Hz),3.95(2H,t,J=6.5Hz),4.64(1H,dd,J=9,5Hz),5.50-5.56(2H,m),6.79(2H,d,J=8.5Hz),7.11(2H,d,J=8.5Hz)
【0138】
実施例6
化合物8の合成
化合物1(22mg、0.033mmol)のメタノール溶液(1.5mL)に水素化ホウ素ナトリウム(13mg、0.33mmol)を加え、室温にて4時間攪拌した。反応液を1N塩酸水溶液で中和し、溶媒を減圧留去した。得られた残渣にジクロロメタン(10mL)加え、不溶物を濾過した。濾液をメガボンドエルートジオール(500mg、バリアン社)に付し、ジクロロメタン/メタノール(30:1)溶出部より化合物8(11mg、51%)を白色粉末として得た。
化合物8の物理化学的性状
分子量 661
ESI(LC/MS ポジティブモード)662(M+H
1H−NMR (メタノールd−4中)の化学シフト値δ:
0.90(3H,t,J=7Hz),1.20-1.48(22H,m),1.73(3H,s),1.77(3H,s),1.93-2.04(2H,m),2.58(1H,d,J=16Hz),2.89(1H,d,J=16Hz),2.91(1H,dd,J=14,9Hz),3.16(1H,dd,J=14,4.5Hz),3.20(1H,d,J=8Hz),3.44-3.53(1H,m),4.48(2H,d,J=6.5Hz),4.64(1H,dd,J=9,4.5Hz),5.41-5.47(1H,m),5.51-5.56(2H,m),6.79(2H,d,J=8.5Hz),7.11(2H,d,J=8.5Hz)
【0139】
実施例7
化合物9の合成
化合物1(30mg、0.045mmol)を1、4−ジオキサン(1mL)と6N塩酸水溶液(0.5mL)の混合溶液に加え、50℃で5分間攪拌し、その後室温にて4時間攪拌した。反応液に水(15mL)を加え、酢酸エチル(15mL)で抽出した。有機層は飽和食塩水(15mL)で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで脱水乾燥した。溶媒を減圧留去し、化合物9(24mg、91%)を白色粉末として得た。
化合物9の物理化学的性状
分子量 591
ESI(LC/MSポジティブモード)592(M+H
1H−NMR (メタノールd−4中)の化学シフト値δ:
0.90(3H,t,J=7Hz),1.20-1.40(14H,m),1.46-1.59(4H,m),1.93-2.03(2H,m),2.43(4H,t,J=7Hz),2.62(1H,d,J=16Hz),2.89(1H,dd,J=14,9Hz),2.91(1H,d,J=16Hz),3.11(1H,dd,J=14,5Hz),3.21(1H,d,J=8Hz),4.61(1H,dd,J=9,5Hz),5.46-5.57(2H,m),6.67(2H,d,J=8.5Hz),7.02(2H,d,J=8.5Hz)
【0140】
実施例8
化合物10の合成
化合物9(12mg、0.020mmol)のメタノール溶液(1mL)に10%Pd−C(3mg)を加え、水素ガス雰囲気下、室温にて3時間攪拌した。パラジウム触媒を濾過し、濾液を減圧濃縮した。残留物を薄層クロマトグラフィー(DIOLF254s、メルク社、展開溶媒:ジクロロメタン/メタノール(10:1)、Rf値:0.4)にて展開し精製し、化合物10(3mg、25%)を白色粉末として得た。
化合物10の物理化学的性状
分子量 593
ESI(LC/MSポジティブモード)594(M+H
1H−NMR (メタノールd−4中)の化学シフト値δ:
0.90(3H,t,J=7Hz),1.03-1.40(20H,m),1.45-1.60(4H,m),2.40-2.47(4H,m),2.54-2.64(1H,m),2.65(1H,d,J=17Hz),2.75-2.88(2H,m),3.20(1H,dd,J=14.5,4.5 Hz),4.65(1H,dd,J=10,4.5Hz),6.69(2H,d,J=8.5Hz),7.08(2H,d,J=8.5Hz)
【0141】
実施例9
化合物11の合成
化合物1(20mg、0.030mmol)のDMF溶液(1mL)に塩化アンモニウム(7.3mg、0.136mmol)、水溶性カルボジイミド塩酸塩(WSC・HCl)(28mg、0.145mmol)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾ−ル(HOBt)(22mg、0.145mmol)、N、N−ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)(174μL、0.145mmol)を加え室温にて17時間攪拌した。溶媒を減圧下留去し、残渣を酢酸エチル(20mL)に溶解し、飽和塩化アンモニウム水溶液(20mL)および飽和食塩水(20mL)にて洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで脱水乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られた残留物を下記に示す条件で分取高速液体クロマトグラフィーを行い精製し、化合物11(4.4mg、22%)を白色粉末として得た。
高速液体クロマトグラフィーの条件
装置:CCPS、MCPD−3600システム(東ソー)
カラム:CAPCELL PAK C18 (UG、4.6mm×150mm)(資生堂製)
移動相:0.005%トリフルオロ酢酸を含有する水と0.005%トリフルオロ酢酸を含有するアセトニトリルによる溶媒勾配溶出(65%アセトニトリル〜98%アセトニトリル、ステップワイズ)
化合物11の物理化学的性状
分子量 656
ESI(LC/MSポジティブモード)657(M+H
1H−NMR (メタノールd−4中)の化学シフト値δ:
0.90(3H,t,J=7Hz),1.19-1.39(14H,m),1.46-1.59(4H,m),1.73(3H,s),1.77(3H,s),1.88-1.98(2H,m),2.28(1H,d,J=15Hz),2.43(4H,t,J=7.5Hz),2.74(1H,d,J=15Hz),2.79(1H,dd,J=14,10Hz),3.15(1H,dd,J=14,4.5Hz),3.18(1H,d,J=8Hz),4.47(2H,d,J=6.5Hz),4.59(1H,dd,J=10,4.5Hz),5.39-5.49(3H,m),6.79(2H,d,J=8.5Hz),7.13(2H,d,J=8.5Hz)
【0142】
実施例10
化合物12の合成
化合物1(80mg、0.12mmol)のメタノール溶液(10mL)に10%Pd−C(10mg)を加え、水素ガス雰囲気下、室温にて20時間攪拌した。パラジウム触媒をセライト濾過し、濾液を減圧濃縮した。残留物を薄層クロマトグラフィー(DIOL F254s,メルク社,展開溶媒:ジクロロメタン/メタノール(10:1)、Rf値:0.8)にて展開し精製し、化合物12(41mg、51%)を白色粉末として得た。
化合物12の物理化学的性状
分子量 663
ESI(LC/MSポジティブモード)664(M+H
1H−NMR (メタノールd−4中)の化学シフト値δ:
0.90(3H,t,J=7Hz),0.96(6H,d,J=6.5Hz),1.07-1.35(20H,m),1.46-1.56(4H,m),1.64(2H,q,J=6.5Hz),1.81(1H,sexet,J=6.5Hz),2.43(4H,t,J=7.5Hz),2.50-2.58(1H,m),2.61(1H,d,J=16.5Hz),2.84(1H,dd,J=14.5,10.5Hz),2.92(1H,d,J=16.5Hz),3.22(1H,dd,J=14.5,4Hz),3.95(2H,t,J=6.5Hz),4.71(1H,dd,J=10.5,4Hz),6.81(2H,d,J=8.5Hz),7.16(2H,d,J=8.5Hz)
【0143】
実施例11
化合物13の合成
a)化合物1のトリメチルエステル体の合成
化合物1(260mg、0.39mmol)のメタノール(15mL)−ジクロロメタン(15mL)混合溶液に、トリメチルシリルジアゾメタン10v/v%ヘキサン溶液(4.3mL)を加え、室温にて3時間攪拌した。反応液を減圧濃縮し、得られた残渣をメガボンドエルートシリカゲル(2g、バリアン社)にて精製した。へキサン/酢酸エチル(1:1)溶出部より化合物1のトリメチルエステル体(230mg、83%)を白色粉末として得た。
化合物1のトリメチルエステル体の物理化学的性状
分子量 701
FAB−MS(ポジティブモード、マトリックスm−NBA)702(M+H
1H−NMR (メタノールd−4中)の化学シフト値δ:
0.89(3H,t,J=7Hz),1.20-1.37(14H,m),1.46-1.59(4H,m),1.73(3H,s),1.77(3H,s),1.93-2.03(2H,m),2.43(4H,t,J=7.5Hz),2.60(1H,d,J=16Hz),2.89(1H,dd,J=14,9Hz),2.93(1H,d,J=16Hz),3.11(1H,dd,J=14,5Hz),3.19(1H,d,J=8.5Hz),3.63(3H,s),3.71(3H,s),3.72(3H,s),4.48(2H,d,J=6.5Hz),4.63(1H,dd,J=9,5Hz),5.40-5.58(3H,m),6.79(2H,d,J=8.5Hz),7.07(2H,d,J=8.5Hz)
【0144】
b)ヒドラジド体の合成
上記化合物1のトリメチルエステル体(21mg、0.030mmol)のメタノール溶液(2mL)に4−トルエンスルフォニルヒドラジド(6.7mg、0.036mmol)を加え1.5時間加熱還流した。溶媒を減圧留去し、得られた残渣を24時間減圧下乾燥した。残渣を無水クロロホルム(2mL)に溶解し、1Mカテコールボラン テトラヒドロフラン溶液(75μL、0.075mmol)を0℃で加え同温度で3時間攪拌した。反応液にメタノール(20μL)を加え室温にて10分間攪拌した。さらに酢酸ナトリウム(8mg、0.060mmol)とジメチルスルフォキシド(32μL)を加え、1時間加熱還流した。反応液に水(20mL)を加え、酢酸エチル(20mL)にて2回抽出した。有機層を合わせ、飽和食塩水(20mL)で洗浄、無水硫酸ナトリウムで脱水乾燥し、溶媒を減圧留去した。残留物を薄層クロマトグラフィー(シリカゲルF254,メルク社,展開溶媒:へキサン/酢酸エチル(3:1),Rf値:0.3)にて展開し精製し、ヒドラジド体(11mg、54%)を白色粉末として得た。
ヒドラジド体の物理化学的性状
分子量 687
FAB−MS(ポジティブモード、マトリックスm−NBA)688(M+H
1H−NMR (重クロロフォルム中)の化学シフト値δ:
0.88(3H,t,J=6.5Hz),1.15-1.37(24H,m),1.74(3H,s),1.80(3H,s),1.94-2.04(2H,m),2.62(1H,d,J=16Hz),2.87(1H,d,J=16Hz),3.00(1H,dd,J=14,7Hz),3.10(1H,dd,J=14,5.5Hz),3.16(1H,d,J=9Hz),3.67(3H,s),3.72(3H,s),3.76(3H,s),4.47(2H,d,J=7Hz),4.76-4.83(1H,m),5.41-5.69(3H,m),6.76(1H,d,J=8Hz),6.80(2H,d,J=9Hz),7.03(2H,d,J=9Hz)
【0145】
c)化合物13の合成
上記ヒドラジド体(10mg、0.015mmol)のエタノール溶液(1mL)に1M水酸化リチウム水溶液(0.15mL、0.15mmol)を加え、室温にて16時間攪拌した。反応液を1N塩酸水溶液で中和し、溶媒を減圧濃縮した。残留物を薄層クロマトグラフィー(DIOL F254s、メルク社、展開溶媒:ジクロロメタン/メタノール(10:1)、Rf値:0.5)にて展開し精製し、化合物13(3mg、35%)を白色粉末として得た。なお、本実施例で化合物13は、チロシン部分の立体配置がラセミ体となっている化合物として得られた。
化合物13の物理化学的性状
分子量 645
ESI(LC/MSポジティブモード)646(M+H
1H−NMR (メタノールd−4中)の化学シフト値δ:
0.90(3H,t,J=7Hz),1.18-1.44(24H,m),1.73(3H,s),1.77(3H,s),1.90-2.04(2H,m),2.57-2.68(1H,m),2.86-3.22(4H,m),4.47(2H,d,J=6.5Hz),4.56-4.67(1H,m),5.39-5.65(3H,m),6.78-6.84(2H,m),7.09-7.16(2H,m)
【0146】
実施例12
化合物14の合成
化合物1(10mg、0.015mmol)とO−(2−アミノエチル)−ヒドロキシルアミン二塩酸塩(4.5mg、0.030mmol)をピリジン(0.2mL)に溶解し、室温にて16時間攪拌した。溶媒を減圧留去し、残留物を薄層クロマトグラフィー(DIOL F254s、メルク社、展開溶媒:ジクロロメタン/メタノール(5:1)、Rf値:0.5)にて展開し精製し、化合物14(Ro4575919)(7.7mg、71%)を無色油状物質として得た。
化合物14の物理化学的性状
分子量 717
ESI(LC/MSポジティブモード)718(M+H
1H−NMR (メタノールd−4中)の化学シフト値δ:
0.90(3H,t,J=7Hz),1.21-1.40(14H,m),1.42-1.56(4H,m),1.74(3H,s),1.78(3H,s),1.88-2.04(2H,m),2.18(2H,t,J=7.5Hz),2.30-2.37(2H,m),2.63(1H,d,J=15Hz),2.84-2.97(2H,m),3.12-3.25(4H,m),4.18(2H,t,J=5Hz),4.48(2H,d,J=6.5Hz),4.63(1H,dd,J=9,4Hz),5.40-5.62(3H,m),6.80(2H,d,J=8.5Hz),7.11(2H,d,J=8.5Hz)
【0147】
実施例13
化合物15の合成
化合物1(10mg、0.015mmol)とO−メチルヒドロキシルアミン塩酸塩(2.5mg、0.030mmol)をピリジン(0.2mL)に溶解し、室温にて15時間攪拌した。溶媒を減圧留去し、残留物をメガボンドエルートジオール(500mg、バリアン社)にて精製した。ジクロロメタン/メタノール(25:1)溶出部より化合物15(9.6mg、92%)を無色油状物質として得た。
化合物15の物理化学的性状
分子量 688
ESI(LC/MSポジティブモード)689(M+H
1H−NMR (メタノールd−4中)の化学シフト値δ:
0.90(3H,t,J=7Hz),1.20-1.36(14H,m),1.40-1.50(4H,m),1.74(3H,s),1.78(3H,s),1.91-2.00(2H,m),2.14(2H,t,J=7.5Hz),2.27(2H,t,J=7.5Hz),2.59(1H,d,J=16Hz),2.90(1H,d,J=16Hz),2.91(1H,dd,J=14,9Hz),3.16(1H,dd,J=14,4.5Hz),3.20(1H,d,J=8.5Hz),3.75(3H,s),4.48(2H,d,J=6.5Hz),4.64(1H,dd,J=9,4.5Hz),5.41-5.49(1H,m),5.52-5.60(2H,m),6.80(2H,d,J=8.5Hz),7.11(2H,d,J=8.5Hz)
【0148】
また、上述したのと同様の方法により、以下の化合物を合成できる。
【0149】
【化22】



【0150】
さらに以下の本発明の式(I)の化合物の製造方法および式(I)の化合物の薬理活性を実施例により説明する。
【0151】
実施例14
【0152】
【化23】

【0153】
1−1(工程1−1)
【0154】
【化24】

【0155】
文献記載の方法(J. Org. Chem.1989, 45, 5522, B.E.Marron, et al)に従って式:
【0156】
【化25】

【0157】
の化合物a(70.1g)を合成し、この化合物aの無水ジエチルエーテル(700ml)溶液を0℃に冷却し、水素化ビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウム (414mmol、121ml、70%トルエン溶液)をゆっくり加えた。試薬を加え終わって5分後に氷浴をはずし、室温で一時間攪拌を続けた。反応液を0℃に冷却し、無水酢酸エチル(19.8ml、203mmol)をゆっくりと加えた。同温で10分攪拌した後、−78℃に冷却し、ヨウ素(76.1g、300mmol)を加えた。2時間かけて室温まで徐々に昇温し、反応を完結させた。反応液に亜硫酸水素ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルを加えた。反応液をセライトで吸引濾過した後に有機層を分離し、水層をもう一度酢酸エチルで抽出した。併せた有機層を無水硫酸ナトリウム上で乾燥したのち減圧濃縮し、粗精製の標題化合物(100g)を明茶色の油状物質として得た。得られた粗精製物は次の反応にそのまま用いた。
化合物bの物理化学的性状
分子量 466
FAB−MS(ポジティブモード、マトリックスm−NBA)467(M+H+)
1H−NMR(重クロロホルム中)の化学シフト値δ:
1.04(9H、s)、1.44(1H、t、J=5Hz)、2.73(2H、t、J=6Hz)、3.80(2H、t、J=6Hz)、4.18(2H,t、J=5Hz)、5.91(1H、t、J=5Hz)、7.35-7.46(6H、m)、7.65-7.69(4H、m)
【0158】
1−2(工程1−2)
【0159】
【化26】

【0160】
上記反応で得られた化合物bのジクロロメタン溶液(300ml)を0℃に冷却し、ジヒドロピラン(22.7ml、248mmol)を加えた。この溶液にピリジニウムパラトルエンスルホン酸(260mg、1mmol)を加えた。1時間後重曹水を加え反応を停止した。分離した有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥した後に減圧濃縮した。得られた粗精製の化合物c(108g)は次の反応にそのまま用いた。
化合物cの物理化学的性状
分子量 550
FAB−MS(ポジティブモード、マトリックスm−NBA)551(M+H+)
1H−NMR(重クロロホルム中)の化学シフト値δ:
1.04(9H、s)、1.49-1.91(6H、m)、2.74(2H、t、J=6Hz)、3.46-3.58(2H、m)、3.76(2H、t、J=6Hz)、3.82-3.93(1H、m)、4.06(1H,dd、J=13、6Hz)、4.27(1H、dd、J=13、6Hz)、4.65(1H、t、J=3Hz)、5.91(1H、t、J=5Hz)、7.35-7.43(6H、m)、7.65-7.69(4H、m)
【0161】
1−3(工程1−3)
【0162】
【化27】

【0163】
粗精製の化合物c(4.73g)を無水ジエチルエーテル(30ml)に溶かし、−78℃に冷却した。tert−ブチルリチウム (17.2mmol 、10.7ml、1.6Nペンタン溶液)をゆっくり加えた。同温で1時間攪拌した後、パラホルムアルデヒド(18.9mmol 、570mg)を加え、同温で30分、0℃に昇温し1時間攪拌した。塩化アンモニウム水溶液を加え反応を停止し、酢酸エチルで抽出した。水層を少量の酢酸エチルで抽出し、併せた有機層を飽和食塩水で洗い、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧濃縮して得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン−酢酸エチル 9:1から4:1)で精製し、化合物d(1.635g)を無色油状物質として得た。
化合物dの物理化学的性状
分子量 454
FAB−MS(ポジティブモード、マトリックスm−NBA)455(M+H+)
1H−NMR (重クロロホルム中)の化学シフト値δ:
1.04(9H、s)、1.49-1.89(6H、m)、2.41(2H、t、J=6Hz)、3.03(1H、t、J=6Hz)、3.47-3.58(2H、m)、3.75-3.92(3H、m)、4.08-4.26(4H、m)、4.68(1H,t、J=3Hz)、5.53(1H、t、J=7Hz)、7.35-7.47(6H、m)、7.64-7.68(4H、m)
【0164】
1−4(工程1−4)
【0165】
【化28】

【0166】
化合物d(344mg、0.76mmol)とイミダゾール(77mg、1.14mmol)の無水N,N−ジメチルホルムアミド溶液(2ml)を0℃に冷却し tert−ブチルジフェニルクロロシラン(0.2ml、0.76mmol)を加え、2時間攪拌した。塩化アンモニウム水溶液を加え反応を停止し、ヘキサンで抽出した。有機層を水で2回、続いて飽和食塩水で洗い、無水硫酸ナトリウム上で乾燥した。減圧下に濃縮し、粗精製の化合物e(554mg)を無色油状物質として得た。
化合物eの物理化学的性状
分子量 692
FAB−MS(ポジティブモード、マトリックスm−NBA)715(M+Na+)
1H−NMR(重クロロホルム中)の化学シフト値δ:
1.00(9H、s)、1.04(9H、s)、1.38-1.82(6H、m)、2.49(2H、t、J=7Hz)、3.29-3.42(1H、m)、3.63-3.85(4H、m)、4.00-4.09(1H、m)、4.14(2H、s)、4.46(1H,t、J=3Hz)、5.43(1H、t、J=7Hz)、7.29-7.48(12H、m)、7.57-7.78(8H、m)
【0167】
1−5(工程1−5)
【0168】
【化29】

【0169】
化合物e(1.16g、1.67mmol)のエタノール溶液(6ml)にピリジニウムパラトルエンスルホン酸(90mg、0.36mmol)を加え、60℃で3.5時間攪拌した。溶液を室温まで冷却した後、飽和重曹水を加え酢酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥した。減圧下に濃縮し、得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン−酢酸エチル 20:1)で精製し、化合物f(825mg、81%)を無色油状物質として得た。
化合物fの物理化学的性状
分子量 608
FAB−MS(ポジティブモード、マトリックスm−NBA)631(M+Na+)
1H−NMR(重クロロホルム中)の化学シフト値δ:
1.01(9H、s)、1.01(9H、s)、1.23(1H、t、J=6Hz)、2.41(2H、t、J=7Hz)、3.75(2H、t、J=7Hz)、3.90(2H、t、J=6Hz)、4.14(2H、s)、5.47(1H、t、J=7Hz)、7.29-7.47(12H、m)、7.57-7.75(8H、m)
【0170】
1−6(工程1−6)
【0171】
【化30】

【0172】
回転子の入ったの丸底フラスコを減圧下加熱乾燥後窒素置換し、この中に無水ジクロロメタン(60ml)を加え、−20℃に冷却した。チタンテトライソプロポキシド(2.33ml、7.88mmol)、 L−(+)−酒石酸ジエチル(1.62ml、9.46mmol)を順次加え、15分攪拌した後に化合物f(4.80g、7.88mmol)のジクロロメタン溶液(30ml)を加え、15分攪拌した。−25℃に冷却し、tert−ブチルヒドロペルオキシド(5.25ml、15.8mmol、3Nジクロロメタン溶液)をゆっくりと滴下した。滴下終了後−20℃で2時間攪拌しジメチルスルフィド(1.1ml)を加え、同温で更に1時間攪拌した。反応液に10%酒石酸水溶液を加え30分間攪拌した後、室温で1時間攪拌した。有機層を分離し、水層を少量のジクロロメタンで抽出し、併せた有機層を無水硫酸ナトリウム上で乾燥した。減圧濃縮し得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィ−(シリカゲル、ヘキサン−酢酸エチル 9:1)で精製した。化合物g(4.78g、97%)を無色油状物質として得た。不斉収率(>95%ee)は相当するMTPAエステルのNMR分析により求めた。
化合物gの物理化学的性状
分子量 624
FAB−MS(ポジティブモード、マトリックスm−NBA)647(M+Na+)
1H−NMR(重クロロホルム中)の化学シフト値δ:
1.02(9H、s)、1.03(9H、s)、1.72(1H、t、J=6Hz)、1.82(1H、dt、J=14、7Hz)、2.23(1H、dt、J=14、6Hz)、3.17(1H、dd、J=6、5Hz)、3.55-3.79(6H、m)、7.32-7.45(12H、m)、7.60-7.65(8H、m)
【0173】
1−7(工程1−7)
【0174】
【化31】

【0175】
窒素雰囲気下、以降に記載する製造例1の工程2−3で製造する化合物α(10.45g、37.2mmol)の無水テトラヒドロフラン溶液(100ml)に、ビスシクロペンタジエニルジルコニウムハイドライドクロライド(10.11g、37.2mmol)を室温で加え、30分間攪拌した。得られた溶液を−78℃に冷却し、メチルマグネシウムクロリド(24.7ml、74mmol、3Nテトラヒドロフラン溶液)を加え、5分攪拌した。この溶液に一価のヨウ化銅(500mg、7.2mmol)を加え、徐々に−30℃まで昇温した。化合物g(4.49g)の無水テトラヒドロフラン溶液(70ml)を20分かけて加え、滴下終了後−25℃で終夜攪拌した。飽和塩化アンモニウム水溶液をゆっくりと加え、反応を停止し、次第に室温まで昇温した。混合物を10時間室温で攪拌し、生じた白色固体をセライトで濾別した。セライトを酢酸エチルでよく洗い、有機層を分離した。水層を少量の酢酸エチルで抽出し、併せた有機層を飽和塩化アンモニウム水溶液で洗った後に無水硫酸ナトリウム上で乾燥した。減圧下に濃縮し、得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン−酢酸エチル 20:1から9:1)で精製し、化合物h(5.96g、91%)を淡黄色の油状物質として得た。
化合物hの物理化学的性状
分子量 907
FAB−MS(ネガティブモード、マトリックスm−NBA)906(M-H+)
1H−NMR(重クロロホルム中)の化学シフト値δ:
0.88(3H、t、J=7Hz)、0.99(9H、s)、1.04(9H、s)、1.18-1.63(22H、m)、1.78-2.01(4H、m)、2.44-2.57(1H、m)、3.00(1H、t、J=6Hz)、3.59-3.92(10H、m)、4.28(1H、s)、5.37-5.55(2H、m)、7.29-7.65(20H、m)
【0176】
1−8(工程1−8)
【0177】
【化32】

【0178】
化合物h(5.30g、5.84mmol)をジクロロメタン(200ml)と2,2−ジメトキシプロパン(150ml)に溶かし、ピリジニウムパラトルエンスルホン酸(15mg、0.058mmol)を加え、室温で終夜攪拌した。飽和重曹水を加えて反応を停止し、ジクロロメタンで2度抽出した。無水硫酸ナトリウム上で乾燥後減圧下に濃縮し、得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン−酢酸エチル 20:1)で精製した。化合物i(4.69g、86%)を淡黄色の油状物質として得た。
化合物iの物理化学的性状
分子量 947
FAB−MS(ネガティブモード、マトリックスm−NBA)946(M-H+)
1H−NMR(重クロロホルム中)の化学シフト値δ:
0.88(3H、t、J=6Hz)、1.02(9H、s)、1.05(9H、s)、1.14-1.63(28H、m)、1.78-2.16(4H、m)、2.41-2.51(1H、m)、3.47(1H、d、J=10Hz)、3.64-3.86(6H、m)、3.92(s、4H)、5.36-5.42(2H、m)、7.28-7.47(12H、m)、7.61-7.69(8H、m)
【0179】
1−9(工程1−9)
【0180】
【化33】

【0181】
化合物i(4.39g、4.64mmol)のテトラヒドロフラン溶液(50ml)を0℃に冷却し、フッ化テトラブチルアンモニウム(10.2ml、10、2mmol、1Mテトラヒドロフラン溶液)と酢酸(0.53ml、9.27mmol)を加えた。徐々に室温まで昇温し、2日間攪拌した。飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、ジクロロメタンで2度抽出した。併せた有機層を重曹水で洗い、無水硫酸ナトリウム上で乾燥した。減圧下に濃縮し、得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン−酢酸エチル 9:1から3:2)で精製して、化合物j(1.73g、81%)を淡黄色の油状物質として得た。
化合物jの物理化学的性状
分子量 470
FAB−MS(ポジティブモード、マトリックスm−NBA)493(M+Na+)
1H−NMR(重クロロホルム中)の化学シフト値δ:
0.88(3H、t、J=6Hz)、1.17-1.73(26H、m)、1.91-2.16(4H、m)、2.44(1H、brs)、2.73(1H、dt、J=6、10Hz)、2.95(1H、brs)、3.48(1H、d、J=11Hz)、3.63-4.01(m、10H)、5.15(1H、dd、J=15,9Hz)、5.55(1H、dt、J=15、7Hz)
【0182】
1−10(工程1−10)
【0183】
【化34】

【0184】
窒素雰囲気下、塩化オキサリル(0.575ml、6.6mmol)の無水ジクロロメタン溶液(17ml)を−78℃に冷却し、ジメチルスルホキシド(0.936ml、13.2mmol)のジクロロメタン溶液(1ml)を滴下し、15分間攪拌した。化合物j(388mg、0.824mmol)のジクロロメタン溶液(5ml)をゆっくりと滴下した。混合物を1時間同温で攪拌した後トリエチルアミン(3ml、21.4mmol)を加え、更に30分攪拌した。冷却浴を外し、溶液に窒素気流を吹き付けて低沸点の化合物を除去し、続いて減圧下で乾燥した。残渣にジエチルエーテル(15ml)を加え、不溶物を濾別し濃縮した。この操作を2度行った後、得られた残渣を直ちに次の反応に用いた。
【0185】
上記の粗精製ジアルデヒドを2−メチル−2−プロパノール(24ml)、2−メチル−2−ブテン(6ml)に溶かして、5〜7℃程度に冷却した。この溶液に亜塩素酸ナトリウム(745mg、8.24mmol)とリン酸二水素ナトリウム(745mg、6.21mmol)の水溶液(7.45ml)をゆっくりと滴下した。2時間後混合物を0℃に冷却し、リン酸二水素ナトリウム水溶液を加えPHをおよそ5に調節した。ジクロロメタンで3回抽出し、併せた有機層を飽和食塩水で洗った後、無水硫酸ナトリウム上で乾燥した。濾過後、減圧下で濃縮して得られる淡黄色の油状残渣を、これ以上精製せず直ちに次の反応に用いた。
【0186】
粗精製のジカルボン酸をN,N−ジメチルホルムアミドジtert-ブチルアセタール(4.5ml)に溶かし、70℃で1時間攪拌した。減圧下で低沸点化合物を留去した。残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン−酢酸エチル 20:1)で精製し、化合物k(340mg、60%)を淡黄色の油状物質として得た。
化合物kの物理化学的性状
分子量 610
FAB−MS(ポジティブモード、マトリックスm−NBA)(M+H+)611、(M+Na+)633
1H−NMR(重クロロホルム中)の化学シフト値δ:
0.88(3H、t、J=6Hz)、1.18-1.64(46H、m)、1.99(2H、q、J=7Hz)、2.69(2H、ABq、J=15、18Hz)、2.93(1H、q、J=7Hz)、3.82-3.88(2H、m)、3.92(4H、s)、5.51-5.69(2H、m)
【0187】
1−11(工程1−11)
【0188】
【化35】

【0189】
化合物k(340mg、0.556mmol)をテトラヒドロフラン(1ml)に溶かし、80%酢酸水溶液(10ml)を加えて室温で3.5時間攪拌した。混合物を飽和重曹水の中にゆっくりと加えて酢酸を中和した後、酢酸エチルで2回抽出した。無水硫酸ナトリウム上で乾燥、続いて濾過、減圧濃縮し、化合物l(290mg、99%)を淡黄色の油状物質として得た。
化合物lの物理化学的性状
分子量 526
FAB−MS(ポジティブモード、マトリックスm−NBA)(M+H+)527、(M+Na+)549
1H−NMR(重クロロホルム中)の化学シフト値δ:
0.88(3H、t、J=7Hz)、1.18-1.68(36H、m)、2.01(2H、q、J=7Hz)、2.25-2.41(5H、m)、1.99(1H、d、J=7Hz)、2.04(1H、d、J=7Hz)、3.62-3.82(2H、m)、3.99(1H、s)、5.42(1H、dd、J=9、15Hz)、5.58(1H、dt、J=16、6Hz)
【0190】
1−12(工程1−12)
【0191】
【化36】

【0192】
アセトン(45ml)を0℃に冷却し、ジョーンズ試薬(0.48ml、0.9mmol、1.89N)を加えた。この混合物に化合物l(216mg、0.41mmol)のアセトン溶液(3ml)をゆっくりと滴下した。同温で1時間攪拌した後に、亜硫酸水素ナトリウム水溶液を反応液の黄色が消えて暗緑色の沈殿が現れるまで加えて反応を停止した。これに飽和食塩水(20ml)を加えジクロロメタンで2度抽出し、併せた有機層を無水硫酸ナトリウム上で乾燥した。減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン−メタノール 50:1から20:1)で精製し、化合物m(198mg、89%)を淡黄色の油状物質として得た。
化合物mの物理化学的性状
分子量 541
ESI(LC/MSポジティブモード)(M+H+)542
1H−NMR (重クロロホルム中)の化学シフト値δ:
0.88(3H、t、J=6Hz)、1.16-1.67(36H、m)、1.99(2H、q、J=6Hz)、2.35(4H、t、J=8Hz)、2.70(1H、d、J=16Hz)、2.90(1H、d、J=16Hz)、3.28(1H、d、J=9Hz)、5.52(1H、dd、J=9、15Hz)、5.68(1H、dt、J=15、5Hz)
【0193】
1−13(工程1−13)
【0194】
【化37】

【0195】
化合物m(6.4mg、0.012mmol)、(S)−4−(2−ブチニルオキシ)フェニルアラニンt-ブチルエステル塩酸塩(4.6mg、0.014mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド溶液(1ml)を−10℃に冷却し、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(0.005ml、0.026mmol)、O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N′,N′−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(7.0mg、0.017mmol)を順次加えた。ゆっくりと室温まで昇温し、終夜攪拌した。塩化アンモニウム水溶液を加え反応を停止し、酢酸エチルで抽出した。有機層を水で2回、飽和食塩水で順次洗った後、無水硫酸ナトリウム上で乾燥した。濾過、減圧濃縮後に残渣をシリカゲル薄層クロマトグラフィ−(ヘキサン−酢酸エチル 7:3)で精製し、化合物n(8.4mg、88%)を無色固体として得た。
化合物nの物理化学的性状
ESI(LC/MSポジティブモード)834(M+Na+)
1H−NMR (重クロロホルム中)の化学シフト値δ:
0.86(3H、t、J=6.6Hz)、1.12-1.68(45H、m)、1.85(3H、t、J=1.9Hz)、1.90-2.03(2H、m)、2.29-2.43(4H、m)、2.59(1H、d、J=16.5Hz)、2.76(1H、d、J=16.5Hz)、2.97-3.14(3H、m)、4.22(1H、s)、4.57-4.74(3H、m)、5.46(1H、dd、J=9.2、15.2Hz)、5.64(1H、dt、J=6.6、15.2Hz)、6.86(2H、d、J=8.6Hz)、7.01(1H、d、J=7.9Hz)、7.13(2H、d、J=8.6Hz)
【0196】
1−14(工程1−14)
【0197】
【化38】

【0198】
化合物n(8.4mg)のジクロロメタン溶液(3ml)を0℃に冷却し、アニソール(0.01ml)、トリフルオロ酢酸(1ml)を順次加えた。ゆっくりと室温まで昇温し、終夜攪拌した。反応溶液を減圧濃縮後ベンゼンで二回共沸した後、残渣をメガボンドエルートジオール(500mg、バリアン社)(ジクロロメタン−メタノール=20:1)で精製し、化合物21(5.3mg、80%)を無色固体として得た。
化合物21の物理化学的性状
【0199】
【化39】

【0200】
分子量 643
ESI(LC/MSポジティブモード)644(M+H+)
1H−NMR (メタノールd−4中)の化学シフト値δ:
0.90(3H、t、J=7Hz)、1.19-1.38(14H、m)、1.42-1.60(4H、m)、1.82(3H、t、J=2Hz)、1.89-2.02(2H、m)、2.44(4H、t、J=7Hz)、2.58(1H、d、J=16Hz)、2.78-2.98(2H、m)、3.09-3.23(2H、m)、4.53-4.67(3H、m)、5.39-5.61(2H、m)、6.83(2H、d、J=9Hz)、7.13(2H、d、J=9Hz)
【0201】
製造例1
製造例1においては、実施例14の工程1−7で使用する化合物αの合成方法を説明する。
【0202】
工程2−1
【0203】
【化40】

【0204】
N,O-ジメチルヒドロキシルアミン塩酸塩(63.3g、0.65mol)、水溶性カルボジイミド塩酸塩(WSC・HCl)(124g、0.65mol)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾ−ル(HOBt)(99.3g、0.65mol)、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)(220ml、1.3mol)のジクロロメタン溶液(500ml)に、8−ノニン酸(50g、0.32mol)を0℃にて滴下し、室温にて15時間攪拌した。反応液を、飽和塩化アンモニウム水溶液(400ml)、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(400ml)、および飽和食塩水(300ml)で洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで脱水乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られた残留物をカラムクロマトグラフィー(ワコーゲルC−300、500 g、和光純薬)にて精製した。へキサン/酢酸エチル(20:1)溶出部より化合物β(60g、94%)を無色油状物質として得た。
化合物βの物理化学的性状
分子量 197
ESI(LC/MSポジティブモード)198(M+H+)
1H−NMR(重クロロホルム中)の化学シフト値δ:
1.30-1.70(8H、m)、1.94(1H、t、J=2.5Hz)、2.19(2H、dt、J=2.5、7Hz)、2.42(2H、t、J=7.5Hz)、3.18(3H、s)、3.68(3H、s)
【0205】
工程2−2
【0206】
【化41】

【0207】
上記化合物β(7g、0.035mol)のテトラヒドロフラン溶液(100ml)に、n−ヘプチルマグネシウムブロミドの1Mジエチルエーテル溶液(100mL、0.1mol)を−10℃にて滴下し、同温度で2時間30分攪拌した。反応液に飽和塩化アンモニウム水溶液(30ml)を加え、さらに水(100ml)を加え、室温で10分間攪拌した。混合物を水(300ml)で希釈し、酢酸エチル(400ml)にて2回抽出した。有機層を合わせ、飽和食塩水(30ml)で洗浄、無水硫酸ナトリウムで脱水乾燥し、溶媒を減圧留去した。残留物をカラムクロマトグラフィー(ワコーゲルC−300、250g、和光純薬)にて精製した。へキサン/酢酸エチル(100:1)溶出部より化合物γ(7.8g,93%)を無色油状物質として得た。
化合物γの物理化学的性状
分子量 236
EI−MS 236(M+)
1H−NMR (重クロロホルム中)の化学シフト値δ:
0.88(3H、t、J=6.5Hz)、1.23-1.63(18H、m)、1.94(1H、dt、J=0.5、2.5Hz)、2.18(2H、dt、J=2.5、7Hz)、2.36-2.42(4H、m)
【0208】
工程2−3
【0209】
【化42】

【0210】
上記化合物γ(7.8g、0.033mol)、エチレングリコール(18mL、0.33mol)、トルエンスルホン酸一水和物(125mg、0.66mmol)をベンゼン(150ml)に加え、ディーンスターク水分離器を取り付けた還流冷却管を装着し、20時間加熱還流した。放冷後、反応液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(30ml)、水(50ml)、次いで飽和食塩水(50ml)で洗浄した。有機層を、無水硫酸ナトリウムで脱水乾燥し、溶媒を減圧留去した。得られた残渣をメガボンドエルートシリカゲル(10g、バリアン社)にて精製した。へキサン/酢酸エチル(20:1)溶出部より化合物α(8.9g、97%)を無色油状物質として得た。
化合物αの物理化学的性状
分子量 280
EI−MS 280(M+)
1H−NMR (重クロロホルム中)の化学シフト値δ:
0.88(3H、t、J=6.5Hz)、1.23-1.63(22H、m)、1.93(1H、t、J=2.5Hz)、2.18(2H、dt、J=2.5、7Hz)、3.92(4H、s)
【0211】
以下の実施例15〜19の化合物は、実施例14に記載したのと同様の方法で製造した。
【0212】
実施例15
【0213】
【化43】

【0214】
化合物22の物理化学的性状
分子量 635
ESI(LC/MSポジティブモード)636(M+H+)
1H−NMR (メタノールd−4中)の化学シフト値δ:
0.89(3H、t、J=7.0Hz)、1.17-1.36(14H、m)、1.45-1.60(4H、m)、1.90-2.02(2H、m)、2.41-2.45(4H、m)、2.53(1H、d、J=16.0Hz)、2.87(1H、d、J=16.0Hz)、2.92(1H、dd、J=8.8、14.0Hz)、3.16-3.20(2H、m)、3.78(3H、s)、3.80(3H、s)、4.67(1H、dd、J=4.8、9.2Hz)、5.47-5.58(2H、m)、6.75(1H、m)、6.82-6.84(2H、m)
【0215】
実施例16
【0216】
【化44】

【0217】
化合物23の物理化学的性状
分子量 647
ESI(LC/MSポジティブモード)648(M+H
H−NMR (メタノールd−4中)の化学シフト値δ:
0.80(3H、t、J=7Hz)、0.98(3H、t、J=7Hz)、1.19-1.62(20H、m)、1.91-2.03(2H、m)、2.38-2.46(4H、m)、2.57(1H、d、J=8Hz)、2.84-2.96(2H、m)、3.11-3.23(2H、m)、3.92(2H、t、J=7Hz)、4.63(1H、dd、J=9、5Hz )、5.42-5.61(2H、m)、6.80(2H、d、J=9Hz)、7.11(2H、d、J=9Hz)
【0218】
実施例17
【0219】
【化45】

【0220】
化合物24の物理化学的性状
分子量 633
ESI(LC/MSポジティブモード)634(M+H
H−NMR (メタノールd−4中)の化学シフト値δ:
0.90(3H、t、J=7Hz)、1.03(3H、t、J=7Hz)、1.17-1.40(14H、m)、1.43-1.60(4H、m)、1.77(2H、q、J=7Hz)、1.91-2.01(2H、m)、2.39-2.49(4H、m)、2.56(1H、d、J=17Hz)、2.80-2.97(2H、m)、3.10-3.20(2H、m)、3.88(2H、t、J=7Hz)、4.64(1H、dd、J=9、5Hz )、5.42-5.61(2H、m)、6.80(2H、d、J=9Hz)、7.12(2H、d、J=9Hz)
【0221】
実施例18
【0222】
【化46】

【0223】
化合物25の理化学的性状
分子量 631
ESI(LC/MSポジティブモード)632(M+H
H−NMR (メタノールd−4中)の化学シフト値δ:
0.89(3H、t、J=7Hz)、1.14-1.38(14H、m)、1.42-1.58(4H、m)、1.89-2.01(2H、m)、2.37-2.46(4H、m)、2.57(1H、d、J=16Hz)、2.82-2.96(2H、m)、3.11-3.22(2H、m)、4.45-4.52(2H、m)、4.63(1H、dd、J=9、4Hz )、5.22(1H、dd、J=10、1Hz)、5.37(1H、dd、J=17、1Hz)、5.45-5.59(2H、m)、5.97-6.10(1H、m)、6.82(2H、d、J=9Hz)、7.14(2H、d、J=9Hz)
【0224】
実施例19
【0225】
【化47】

【0226】
化合物26の物理化学的性状
分子量 605
ESI(LC/MSポジティブモード)606(M+H
H−NMR (メタノールd−4中)の化学シフト値δ:
0.90(3H、t、J=7Hz)、1.18-1.40(14H、m)、1.42-1.58(4H、m)、1.91-2.01(2H、m)、2.38-2.47(4H、m)、2.53(1H、d、J=15Hz)、2.80-2.97(2H、m)、3.11-3.21(2H、m)、3.75(3H、s)、4.64(1H、dd、J=9、5Hz )、5.44-5.62(2H、m)、6.81(2H、d、J=9Hz)、7.13(2H、d、J=9Hz)
【0227】
レプリコンアッセイ
HCV−RNAのコピー数を定量するためにHCV−RNAの中にレポーター遺伝子としてホタル由来のルシフェラーゼ遺伝子を導入したものを構築した。Kriegerら(J. Virol.75:4614)の方法に従い、HCV遺伝子のIRES(Internal Ribosome Entry Site)の直下にネオマイシン耐性遺伝子と融合する形でルシフェラーゼ遺伝子を導入した。インビトロで当該RNAを合成後、エレクトロポレーション法でHuh7細胞に導入し、G418耐性クローンとして単離した。
【0228】
ホタル・ルシフェラーゼHCVレプリコン細胞(3−1)を5%ウシ胎児血清(Hyclone cat. no. SH30071.03)を含むダルベッコMEM(Gibco cat. no. 10569-010)に懸濁し、96穴プレートに5000細胞/ウェルで播種し、5%CO、37度で一夜培養した。約20時間後、希釈した化合物をウェルあたり10μl加え、さらに3日間培養した。アッセイプレートを2系統用意し、1つは白色プレート、他はクリアープレートでアッセイを行った。培養終了後、白色プレートはSteady-Glo Luciferase Assay System(Promega cat. no. E2520)に用いた。すなわち、ウェルあたり100μlの試薬を入れ、3〜4回ピペットで混ぜ、5分間放置後に1450 MicroBeta TRILUX(WALLAC)にてルミネッセンスを測定した。細胞未添加の値をバックグランドとして全ての値から差し引き、薬剤未添加の値を阻害0%として薬剤のIC50(50%阻害濃度)を算出した。
【0229】
細胞毒性試験
細胞毒性の測定にはCell counting kit-8(Dojindo cat. no. CK04)を用いた。すなわち、10μlのCell counting kit-8をクリアープレートに添加し、37度で30〜60分間保温した。96穴プレートリーダーにて波長450nm、対照波長630nmで吸光度を測定した。細胞未添加の値をバックグランドとして全ての値から差し引き、薬剤未添加の値を阻害0%として薬剤のCC50(50%細胞阻害濃度)を算出した。
【0230】
【表1】

【0231】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0232】
本発明の化合物は、非常に強い抗HCV活性及びHCVの増幅抑制効果を有し、かつ、インビボ細胞毒性については軽微であることから、本発明の化合物を含む医薬組成物は抗HCV予防/治療剤として極めて有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(I):
【化1】


(式中、Aは、−OXで置換されたフェニル基、または3−インドリル基を表し;
Xは、水素原子、炭素数1〜8の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基、炭素数2〜8の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルケニル基、または炭素数2〜8の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキニル基を表し;
Bは、水素原子、水酸基、オキソ基、−N(R4)(R5)、=N−OH、=N−OR6、又はハロゲン原子を表し;
4およびR5は、同一又は異なって、水素原子、炭素数1〜6の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基、炭素数2〜6の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルケニル基、または炭素数2〜6の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキニル基を表すか、もしくはR4とR5が一緒になって3〜8員環を表し;
6は、炭素数1〜8の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基(炭素数1〜4の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基でモノまたはジ置換されていてもよいアミノ基で置換されていてもよい)を表し;
Dは、水素原子、又は水酸基を表し;
結合Eは、一重結合又は二重結合を表し;
1、R2、及びR3は、同一又は異なって、水素原子、水酸基、アミノ基(炭素数1〜4の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基でモノまたはジ置換されていてもよい)、−OZ、炭素数1〜4の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基、炭素数2〜4の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルケニル基、または炭素数2〜4の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキニル基を表し;
Zは、炭素数1〜4の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基、炭素数2〜4の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルケニル基、または炭素数2〜4の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキニル基を示す)
で表される化合物もしくはそのプロドラッグ、または製薬上許容されうるそれらの塩を含む、ウイルス感染症を予防または治療するための医薬組成物。
【請求項2】
下記一般式(I′):
【化2】


(式中、A、B、D、結合E、R1、R2およびR3は、請求項1に記載のとおりである)
で表される請求項1記載の式(I)の化合物もしくはそのプロドラッグ、または製薬上許容されうるそれらの塩を含む、請求項1記載の医薬組成物。
【請求項3】
Aが、4位を−OXで置換されたフェニル基であり、Xが、水素原子、炭素数1〜8の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基、炭素数2〜8の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルケニル基、または炭素数2〜8の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキニル基、である式(I)の化合物もしくはそのプロドラッグ、または製薬上許容されうるそれらの塩を含む、請求項1または2記載の医薬組成物。
【請求項4】
Bが、オキソ基、水素原子、水酸基、または=N−OR6である式(I)の化合物もしくはそのプロドラッグ、または製薬上許容されうるそれらの塩を含む、請求項1〜3のいずれか1項記載の医薬組成物。
【請求項5】
1、R2、及びR3が、同一又は異なって、水酸基、アミノ基、または−OZ(ここで、Zは、炭素数1〜4の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基である)である式(I)の化合物もしくはそのプロドラッグ、または製薬上許容されうるそれらの塩を含む、請求項1〜4のいずれか1項記載の医薬組成物。
【請求項6】
Aが、4位を−OXで置換されたフェニル基であり、Xが、水素原子、炭素数1〜8の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基、炭素数2〜8の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルケニル基、または炭素数2〜8の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキニル基、であり、Bが、オキソ基、水酸基、または=N−OR6であり、R1、R2、及びR3が、同一又は異なって、水酸基、または−OZ(ここで、Zは、炭素数1〜4の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基である)である式(I)の化合物もしくはそのプロドラッグ、または製薬上許容されうるそれらの塩を含む、請求項1または2記載の医薬組成物。
【請求項7】
Xが、炭素数1〜8の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基、炭素数2〜8の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルケニル基、または炭素数2〜8の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキニル基、であり、Bが、オキソ基または水酸基であり、R1、R2、及びR3が、いずれも水酸基である式(I)の化合物もしくはそのプロドラッグ、または製薬上許容されうるそれらの塩を含む、請求項6記載の医薬組成物。
【請求項8】
Aが、3−インドリル基である式(I)の化合物もしくはそのプロドラッグ、または製薬上許容されうるそれらの塩を含む、請求項1または2記載の医薬組成物。
【請求項9】
Bが、オキソ基または水酸基であり、R1、R2、及びR3が、いずれも水酸基である式(I)の化合物もしくはそのプロドラッグ、または製薬上許容されうるそれらの塩を含む、請求項8記載の医薬組成物。
【請求項10】
下記:
【化3】








の化合物から選択される式(I)の化合物もしくはそのプロドラッグ、または製薬上許容されうるそれらの塩を含む、請求項1または2記載の医薬組成物。
【請求項11】
下記:
【化4】








の化合物から選択される式(I)の化合物もしくはそのプロドラッグ、または製薬上許容されうるそれらの塩を含む、請求項1または2記載の医薬組成物。
【請求項12】
下記:
【化5】


の化合物から選択される式(I)の化合物もしくはそのプロドラッグ、または製薬上許容されうるそれらの塩を含む、請求項1または2記載の医薬組成物。
【請求項13】
ウイルス感染症が、HCV感染症である、請求項1〜12のいずれか1項記載の医薬組成物。
【請求項14】
HCV感染症が、C型肝炎である、請求項13項記載の医薬組成物。
【請求項15】
下記一般式(I):
【化6】


(式中、Aは、−OXで置換されたフェニル基を表し;
Xは、水素原子、炭素数1〜8の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基、炭素数2〜8の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルケニル基、または炭素数2〜8の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキニル基を表し;
Bは、水素原子、水酸基、オキソ基、−N(R4)(R5)、=N−OH、=N−OR6、又はハロゲン原子を表し;
4およびR5は、同一又は異なって、水素原子、炭素数1〜6の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基、炭素数2〜6の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルケニル基、または炭素数2〜6の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキニル基を表すか、もしくはR4とR5が一緒になって3〜8員環を表し;
6は、炭素数1〜8の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基(炭素数1〜4の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基でモノまたはジ置換されていてもよいアミノ基で置換されていてもよい)を表し;
Dは、水素原子、又は水酸基を表し;
結合Eは、一重結合又は二重結合を表し;
1、R2、及びR3は、同一又は異なって、水素原子、水酸基、アミノ基(炭素数1〜4の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基でモノまたはジ置換されていてもよい)、−OZ、炭素数1〜4の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基、炭素数2〜4の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルケニル基、または炭素数2〜4の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキニル基を表し;
Zは、炭素数1〜4の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基、炭素数2〜4の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルケニル基、または炭素数2〜4の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキニル基を示す。ただし、Aが、p位を−OXで置換されたフェニル基であり、Xが、2−イソペンテニルまたは水素原子であり、Bが、オキソ基であり、Dが、水素原子であり、Eが二重結合を示し、R1〜R3のいずれもが水酸基である場合、及びAが、p位を−OXで置換されたフェニル基であり、Xが、2−イソペンテニルであり、Bが、オキソ基であり、Dが、水素原子であり、結合Eが二重結合を示し、R1〜R3のいずれもがメトキシ基である場合を除く)
で表される化合物もしくはそのプロドラッグ、または製薬上許容されうるそれらの塩。
【請求項16】
下記一般式(I):
【化7】


(式中、Aは、−OXで置換されたフェニル基を表し;
Xは、水素原子、炭素数1〜8の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基、炭素数2〜8の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルケニル基、または炭素数2〜8の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキニル基、を表し;
Bは、水素原子、水酸基、オキソ基、−N(R4)(R5)、=N−OH、=N−OR6、又はハロゲン原子を表し;
4およびR5は、同一又は異なって、水素原子、炭素数1〜6の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基、炭素数2〜6の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルケニル基、または炭素数2〜6の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキニル基を表すか、もしくはR4とR5が一緒になって3〜8員環を表し;
6は、炭素数1〜8の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基(炭素数1〜4の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基でモノまたはジ置換されていてもよいアミノ基で置換されていてもよい)を表し;
Dは、水素原子、又は水酸基を表し;
結合Eは、一重結合又は二重結合を表し;
1、R2、及びR3は、同一又は異なって、水素原子、水酸基、アミノ基(炭素数1〜4の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基でモノまたはジ置換されていてもよい)、−OZ、炭素数1〜4の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基、炭素数2〜4の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルケニル基、または炭素数2〜4の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキニル基を表し;
Zは、炭素数1〜4の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基、炭素数2〜4の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルケニル基、または炭素数2〜4の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキニル基を示す。ただし、Aが、p位を−OXで置換されたフェニル基であり、Xが水素原子の場合、及びAが、p位を−OXで置換されたフェニル基であり、Xが2−イソペンテニルであり、Bが、オキソ基であり、Dが、水素原子であり、結合Eが二重結合を示し、R1〜R3のいずれもが水酸基あるいはメトキシ基である場合を除く)
で表される化合物もしくはそのプロドラッグ、または製薬上許容されうるそれらの塩。
【請求項17】
下記一般式(I′):
【化8】

(式中、A、B、D、結合E、R1、R2およびR3は、請求項15に記載のとおりである)
で表される請求項15又は16記載の式(I)の化合物もしくはそのプロドラッグ、または製薬上許容されうるそれらの塩。
【請求項18】
Xが、炭素数1〜8の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基、炭素数2〜8の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルケニル基、または炭素数2〜8の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキニル基、であり、Bが、水酸基、オキソ基、または=N−OR6である、請求項15〜17記載の式(I)の化合物もしくはそのプロドラッグ、または製薬上許容されうるそれらの塩。
【請求項19】
下記式:
【化9】



で示される、請求項15〜18のいずれか1項記載の式(I)の化合物もしくはそのプロドラッグ、または製薬上許容されうるそれらの塩。
【請求項20】
下記式:
【化10】

で示される、請求項15〜18のいずれか1項記載の式(I)の化合物もしくはそのプロドラッグ、または製薬上許容されうるそれらの塩。
【請求項21】
請求項15〜20のいずれか1項記載の式(I)の化合物、あるいはそれらのプロドラッグ、または製薬上許容されうるそれらの塩を含む、医薬組成物。
【請求項22】
ウイルス感染症を予防または治療するための、請求項21記載の医薬組成物。
【請求項23】
ウイルス感染症が、HCV感染症である、請求項22記載の医薬組成物。
【請求項24】
HCV感染症が、C型肝炎である、請求項23記載の医薬組成物。

【公開番号】特開2006−232852(P2006−232852A)
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−143804(P2006−143804)
【出願日】平成18年5月24日(2006.5.24)
【分割の表示】特願2005−504986(P2005−504986)の分割
【原出願日】平成16年2月12日(2004.2.12)
【出願人】(000003311)中外製薬株式会社 (228)
【Fターム(参考)】