説明

ウイルス複製阻害剤としての4−アミノ−4−オキソブタノイルペプチド類

本発明は、構造式Iで示される、4−アミノ−4−オキソブタノイルペプチド化合物と、その薬学塩および水和物を提示する。


(構造式I)
変数R〜R、R16、R18、R19、n、M、n、M、およびZは本件に定義されている。構造式Iで示される特定の化合物は、抗ウイルス剤として有用である。本件に開示の特定の4−アミノ−4−オキソブタノイルペプチド化合物は、ウイルス複製、特にC型肝炎ウイルス複製の強力な、および/または選択的な阻害剤である。本発明はまた、1つ以上の4−アミノ−4−オキソブタノイルペプチド化合物と1つ以上の薬学的許容キャリアとを含む医薬組成物を提示する。このような医薬組成物は、唯一の活性薬剤として4−アミノ−4−オキソブタノイルペプチド化合物を含んでいても、あるいは、4−アミノ−4−オキソブタノイルペプチドを含むペプチド化合物と、1つ以上の別の医薬活性薬剤との配合物を含んでいても良い。本発明はまた、哺乳類における、C型肝炎感染などのウイルス感染症の治療法も提示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、いずれもその内容を本件に引用して援用する、2006年7月13日出願、米国仮出願第60/830,488号、および2007年6月22日出願、米国仮出願第60/945,786号より、優先権を主張するものである。
【0002】
本発明は、抗ウイルス剤として有用な4−アミノ−4−オキソブタノイルペプチド類を提示する。本件に開示の特定の4−アミノ−4−オキソブタノイルペプチド類は、ウイルス複製、特にC型肝炎ウイルス複製の強力な、および/または選択的な阻害剤である。本発明はまた、1つ以上の4−アミノ−4−オキソブタノイルペプチド類と、1つ以上の薬学的許容キャリア、賦形剤、または希釈剤とを含む、医薬組成物を提示する。このような医薬組成物は、唯一の活性薬剤として4−アミノ−4−オキソブタノイルペプチドを含んでいても、あるいは、4−アミノ−4−オキソブタノイルペプチドまたは関連化合物と、1つ以上の別の医薬活性薬剤との配合物を含んでいても良い。本発明はまた、哺乳類における、C型肝炎感染などのウイルス感染症の治療法も提示する。
【背景技術】
【0003】
世界人口の推定3%はC型肝炎ウイルス(HCV)に感染している。HCV感染者の80%は慢性的感染となり、少なくとも30%は肝臓に肝硬変を生じ、1〜4%は肝細胞癌に進行する。C型肝炎ウイルスは、米国における慢性肝疾患の主要原因の1つであり、急性ウイルス性肝炎の約15%、慢性肝炎の60〜70%、また、肝硬変、末期肝疾患、および肝臓癌の50%までの原因であると言われている。米国、オーストラリア、大部分の欧州における肝臓移植の最も一般的な原因は慢性HCV感染である。米国では、C型肝炎によって毎年1万〜12,000人が死亡していると推定される。HCV感染症の急性期の症状は一般に穏やかであるが、感染患者の約15〜20%しかHCVが消失しないとする報告がある。
【0004】
HCVは、約9.6kbのプラス鎖ゲノムを含む、エンベロープを持った一本鎖RNAウイルスである。HCVは、フラビウィルス科ヘパシウィルス属に分類されるウイルスである。少なくとも4株のHCV、GT−1〜GT−4が確認されている。
【0005】
HCVライフサイクルには、宿主細胞への侵入;HCVゲノムの翻訳、ポリプロテイン過程、およびレプリカーゼ複合体の組み立て;RNAの複製、およびビリオンの組み立てと放出とが含まれる。HCVのRNAゲノム翻訳により、3000以上のアミノ酸長のポリプロテインが生じ、これは少なくとも2つの細胞プロテアーゼと2つのウイルスプロテアーゼによって処理される。HCVポリプロテインは、NH2−C−E1−E2−p7−NS2−NS3−NS4A−NS4B−NS5A−NS5B−COOHである。
【0006】
細胞シグナルペプチダーゼとシグナルペプチドペプチダーゼは、N末端から3分の1(N-terminal third)のポリプロテイン(C−El−E2−p7)の、非構造タンパク質(NS2−NS3−NS4A−NS4B−NS5A−NS5B)からの開裂に関係していると報告されている。NS2−NS3プロテアーゼは、NS2−NS3部位での最初のcis開裂を調節する。次に、NS3−NS4Aプロテアーゼが、NS3−NS4Aジャンクションにおける第2のcis開裂を調節する。次に、NS3−NS4A複合体が3つ下の部位で開裂して、残りの非構造タンパクを分ける。ポリプロテインの正確な過程は、活性HCVレプリカーゼ複合体の生成に必須であると言える。
【0007】
ポリプロテインが開裂すると、少なくともNS3−NS5B非構造タンパクを含むレプリカーゼ複合体が組み立てられる。レプリカーゼ複合体は細胞質とメンブランに関わるものである。レプリカーゼ複合体中の主な酵素活性としては、NS3のセリン・プロテアーゼ活性およびNTPアーゼヘリカーゼ活性、NS5BのRNA依存性RNAポリメラーゼ活性が挙げられる。RNA複製過程中に、ゲノムRNAの相補的マイナス鎖コピーが産生される。マイナス鎖コピーは、子孫ウイルスを産生するための翻訳、複製、パッケージング、またはそれらの組み合わせに関わる、追加プラス鎖ゲノムRNAの合成のためのテンプレートとして使用される。機能性レプリカーゼ複合体の組み立ては、HCV複製メカニズムの一要素として述べられている。レプリカーゼ複合体の組み立てに関するその開示に関して、2005年4月11日出願の、米国仮出願第60/669,872号、“Pharmaceutical Compositions and Methods of Inhibiting HCV Replication”の内容を全て本件に引用して援用する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第6,908,901号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2006/0019905号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2006/0046965号明細書
【特許文献4】国際公開第2004/113365号パンフレット
【特許文献5】国際公開第2006/007700号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
現在のC型肝炎感染の治療は、一般に、リバビリンと組み合わせた、ペグ化インターフェロン(IFN)などのインターフェロンの投与を含んでいる。持続性ウイルス学的著効(SVR)によって測定される現在の治療の可否は、患者に感染したHCVの株と、患者が治療計画を遵守しているかによって決まる。持続性ウイルス学的著効を示すのは、HCV株GT−1に感染した患者のうち、わずか50%である。慢性HCVの治療のため、ACH−806、VX−950、NM283(NM107のプロドラッグ)などの直接作用する抗ウイルス剤が臨床開発中である。一部のHCV株の治療には効果的な治療薬がなく、またHCVの変異速度が高いため、新たな治療薬が必要である。本発明はこの要求に答え、また本件に述べるような利点を示すものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、構造式I(以下に記載)で示される化合物を提示し、4−アミノ−4−オキソブタノイルペプチド類および関連化合物を含むものである。本件に開示の特定の4−アミノ−4−オキソブタノイルペプチド類は、抗ウイルス活性を持つ。本発明は、C型肝炎ウイルス複製の強力な、および/または選択的な阻害剤である、構造式Iの化合物を提示する。更に本発明は、構造式Iで示される1つ以上の化合物または塩、溶媒和物、あるいはこれらの化合物のアシル化プロドラッグと、1つ以上の薬学的許容キャリア、賦形剤、または希釈剤とを含む医薬組成物を提示する。
【0011】
本発明は更に、ある種の感染症に罹患した患者に、疾病または障害の徴候または症状を減じるために有効な量の構造式Iの化合物を投与することによる、このような患者の治療法を含む。これらの感染症としては、ウイルス感染症、特にHCV感染症が挙げられる。本発明は特に、感染症に罹患したヒトである患者の治療法を含んでいるが、感染症に罹った家畜や飼い慣らされたコンパニオンアニマルなどの他の動物の治療法も含む。
【0012】
治療法には、単一の活性薬剤として構造式Iの化合物を投与する場合、または、1つ以上の別の治療薬と併用して構造式Iの化合物を投与する場合が含まれる。
【0013】
第一の態様において、本発明は、構造式Iの化合物とその薬学的許容塩を含む。
【化1】


(構造式I)
【0014】
構造式Iにおいて、変数、例えば、R〜R、R16、R18、R19、M、Y、Z、およびnは、以下のように定義される。
【0015】
【化2】


は、共有二重または単結合を示し、
【化3】


で示される基は、0または1個の二重結合を含んでいる。
【0016】
は、−NR1011、−(C=O)NR1011、−(C=S)NR1011、−(C=O)R12、−SO12、−(C=O)OR12、−O(C=O)R12、−OR12、または−N(C=O)R12であり、Rは、水素、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、(アリール)C〜Cアルキルである。
【0017】
あるいは、RとRとは、0または1個の追加のN、S、またはO原子を含む、必要に応じて置換された5〜7員の複素環、あるいは、必要に応じて置換された5〜7員の炭素環または複素環に縮合した、0または1個の追加のN、S、またはO原子を含む、必要に応じて置換された5〜7員の複素環を形成している。
【0018】
、R、R、R、R、およびRは独立して、(a)または(b)であって、
(a)は、水素、ハロゲン、またはアミノであり、
(b)は、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキル、(C〜Cシクロアルケニル)C〜Cアルキル、(ヘテロシクロアルキル)C〜Cアルキル、C〜Cアルカノイル、あるいはモノまたはジ−C〜Cアルキルアミノであって、そのそれぞれは必要に応じて置換されている。
【0019】
とRは結合して、必要に応じて置換された3〜7員のシクロアルキル環、または、N、S、およびOより独立して選ばれる1または2個のヘテロ原子を含む、必要に応じて置換された3〜7員のヘテロシクロアルキル環を形成しても良い。
【0020】
とRは結合して、必要に応じて置換された3〜7員のシクロアルキル環、または、N、S、およびOより独立して選ばれる1または2個のヘテロ原子を含む、必要に応じて置換された3〜7員のヘテロシクロアルキル環を形成しても良い。
【0021】
とRは結合して、必要に応じて置換された3〜7員のシクロアルキル環、または、N、S、およびOより独立して選ばれる1または2個のヘテロ原子を含む、必要に応じて置換された3〜7員のヘテロシクロアルキル環を形成しても良い。
【0022】
は、(i)メチレン基であるRに共有結合した、C〜C11飽和または不飽和炭化水素鎖であり、あるいは、Rは、(ii)RとRが結合して、必要に応じて置換された3〜7員のシクロアルキル環を形成することによってできた、必要に応じて置換されたシクロアルキル環に共有結合した、C〜C11飽和または不飽和炭化水素鎖であって、Rは、水素、C〜Cアルキル、または(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキルである。
【0023】
Tは、その炭素原子を経て結合したテトラゾール基であり、または、Tは次の構造式で示される基である。
【化4】

【0024】
式中、Rは、ヒドロキシル、アミノ、−COOH、−NR1011、−OR12、−SR12、−NR10(S=O)R11、−NR10SO11、−NR10SONR1112、−NR10SONR1112、−(C=O)OR10、−NR10(C=O)OR11、または−CONR1011であり、あるいは、Rは、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルカノイル、(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキル、(C〜Cシクロアルケニル)C〜Cアルキル、(C〜Cシクロアルキル)CHSO−、(C〜Cシクロアルキル)CHSONR10−、(ヘテロシクロアルキル)C〜Cアルキル、(アリール)C〜Cアルキル、または(5〜10員のヘテロアリール)C〜Cアルキルであって、そのそれぞれは必要に応じて置換されている。
【0025】
あるいは、Rは、次の構造式で示されるホスホナート(phosphonate)である。
【化5】


式中、pは、0、1、または2である。
【0026】
あるいは、Rは、RXC〜Cアルキルであって、Xは、−(C=O)NH−、−NH(C=O)−であり、Rは、アリールまたはヘテロアリールであり、あるいは、Rは、−CH(R)(C〜Cシクロアルキル)、−SOCH(R)(C〜Cシクロアルキル)、または−NR10SOCH(R)(C〜Cシクロアルキル)であって、Rはハロゲンであり、またはRは、C〜Cアルキル、C〜Cアルカノイル、(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキル、(C〜Cシクロアルケニル)C〜Cアルキル、(アリール)C〜Cアルキル、(アリール)C〜Cアルコキシ、(ヘテロシクロアルキル)C〜Cアルキル、または(5〜10員のヘテロアリール)C〜Cアルキルであって、そのそれぞれは必要に応じて置換されている。
【0027】
10、R11、およびR12は出現毎に独立して、水素であり、あるいは、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、(アリール)C〜Cアルキル、(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキル、(C〜Cシクロアルケニル)C〜Cアルキル、(ヘテロシクロアルキル)C〜Cアルキル、または(5〜10員のヘテロアリール)C〜Cアルキルであって、そのそれぞれは必要に応じて置換されている。
【0028】
13は、水素またはC〜Cアルキルである。
【0029】
14およびR15は独立して、水素、ヒドロキシル、またはC〜Cアルキルである。
【0030】
nは、0、1、または2である。
【0031】
Mは、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、C〜Cアルキル、またはC〜Cアルコキシである。
【0032】
Yは、CR1819、NR20、S、O、−O(C=O)(NR20)−、NH(C=O)(NR20)−、NH(S=O)(NR20)−、−O(C=O)−であり、または存在せず、あるいは、Yは、J、L、またはMのいずれかと共に環を形成する。
【0033】
JはCHであり、あるいは、JはYと共に3〜7員の炭素環または複素環を形成し、この環は、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルコキシ、トリフルオロメチル、およびトリフルオロメトキシより独立して選ばれる、0または1個、あるいはそれ以上の置換基で置換されており、JがYと共に環を形成する場合、Zは存在しない。
【0034】
LはCHであり、あるいは、LはYと共に3〜7員の炭素環または複素環を形成し、この環は、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルコキシ、トリフルオロメチル、およびトリフルオロメトキシより独立して選ばれる、0または1個、あるいはそれ以上の置換基で置換されており、LがYと共に環を形成する場合、Zは存在しない。
【0035】
Zは、(単または二環式アリール)C〜Cアルキルあるいは(単または二環式ヘテロアリール)C〜Cアルキルであって、それぞれのZは、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、シアノ、−CONH、−COOH、−SONR1112、−(C=O)NR1112、−NR11(C=O)R12、C〜Cアルキル、C〜Cアルカノイル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキルチオ、モノおよびジ−C〜Cアルキルアミノ、C〜Cアルキルエステル、C〜Cハロアルキル、およびC〜Cハロアルコキシより独立して選ばれる、0または1個、あるいはそれ以上の置換基と、0または1個の、(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキル、(フェニル)C〜Cアルキル、(フェニル)C〜Cアルコキシ、(5または6員のヘテロアリール)C〜Cアルキル、(5または6員のヘテロアリール)C〜Cアルコキシ、ナフチル、インダニル、(5または6員のヘテロシクロアルキル)C〜Cアルキル、あるいは9または10員の二環式ヘテロアリールであって、そのそれぞれが(c)および(d)より独立して選ばれる、0、1、または2個の置換基で置換されている基と、で置換されており、
(c)は、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、シアノ、ニトロ、−COOH、−CONH、CH(C=O)NH−、=NOH、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cヒドロキシアルキル、モノおよびジ−C〜Cアルキルアミノ、−NRSO11、−C(O)OR11、−NRCOR11、−NRC(O)OR11、トリフルオロメチル、およびトリフルオロメトキシであり、
(d)は、フェニルおよび5または6員のヘテロアリールであって、そのそれぞれは、0または1個、あるいはそれ以上の、ハロゲン、ヒドロキシル、C〜Cアルキル、およびC〜Cアルコキシで置換されている。
【0036】
16は、ハロゲン、C〜Cアルキル、およびC〜Cアルコキシより独立して選ばれる0〜4個の置換基を示している。
【0037】
18およびR19は独立して、水素、ヒドロキシル、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルキル、またはC〜Cハロアルコキシである。
【0038】
20は、水素、C〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、またはC〜Cハロアルコキシである。
【発明の効果】
【0039】
本件に開示の構造式Iで示される特定の化合物は、後の実施例3に述べるHCVレプリコン試験などのHCV複製試験において良好な活性を示す。構造式Iで示される望ましい化合物は、HCVレプリコン複製試験において、約40マイクロモル濃度(μM)以下のEC50、より望ましくは約10μM以下のEC50、更に望ましくは約5ナノモル濃度(nM)以下のEC50を示す。
【発明を実施するための形態】
【0040】
<化学的記述および用語>
本発明を詳細に述べる前に、本件で用いられる用語の定義を行うことは有用であろう。本発明の化合物は、標準命名法を用いて記述する。別途定義されていない限り、本件で用いられる全ての技術および科学用語は、この発明の属する技術の当業者に一般的に理解されているものと同じ意味を持つ。文脈により明らかに禁じられていない限り、それぞれの化合物名には、本化合物の遊離酸または遊離塩基体、更に本化合物の水和物および本化合物の全ての薬学的許容塩が含まれる。
【0041】
“4−アミノ−4−オキソブタノイルペプチド類”には、構造式Iを満たす全ての化合物、例えば、あらゆる光学異性体、ラセミ化合物、および立体異性体、またこれらの化合物の全ての薬学的許容塩が含まれる。“構造式Iで示される化合物”には、この語句が用いられている文脈によって明らかに禁じられていない限り、塩や水和物など、このような化合物の全ての形態が含まれる。
【0042】
“a”および“an”は、量の制限を示すものではなく、挙げられた項目が少なくとも1つ存在することを示している。“or”は、“および/または”を意味する。“comprising(含む)”、“having(有する)”、“including(含む)”、および“containing(含む)”は、オープンエンドの語(即ち、“〜を含む。但し、これに限定しない。”を意味する)と解釈すべきである。値の範囲が挙げられているものは、本件において別途示されていない限り、この範囲内にあるそれぞれ異なる値を個々に挙げるのを単に省略するための方法であり、それぞれの異なる値は、本件で個々に挙げられているのと同様に本明細書に含まれる。全ての範囲の終点はその範囲に含まれ、独立して組み合わせることができる。本件に記載の方法は全て、本件において別途示されていない限り、または文脈によって明らかに禁じられていない限り、適当な順序で行うことができる。いずれおよび全ての例、または例示的な表現(例えば、“など”)の使用は、単に本発明をより明確に示そうとするものであり、別途主張されていない限り、本発明の範囲を制限するものではない。明細書中の言葉は、請求項に挙げられていない要素を、ここで用いられているように本発明の実施に必須であるとして示していると解釈すべきではない。別途定義されていない限り、本件で用いられる技術的および科学的用語は、この発明の属する技術の当業者に一般的に理解されているものと同じ意味を持つ。
【0043】
“活性薬剤”は、単独で、または他の化合物、要素、または混合物と組み合わせて患者に投与すると、直接的または間接的に患者に生理学的効果を与える化合物(本発明の化合物を含む)、要素、または混合物を意味する。間接的な生理学的効果は、代謝産物または別の間接的メカニズムによって起こり得る。活性薬剤が化合物である場合、塩、遊離化合物の溶媒和物(水和物など)、結晶体、非結晶体、および化合物の全ての多形が含まれる。化合物に、立体中心、立体軸などの1つ以上の非対称要素、例えば、不斉炭素原子が含まれていれば、この化合物は様々な立体異性体として存在することができる。これらの化合物は、例えば、ラセミ化合物または光学活性体として存在できる。2つ以上の非対称要素を持つ化合物では、これらの化合物は更にジアステレオマー混合物となることができる。非対称中心を持つ化合物については、純粋体の全ての光学異性体とその混合物が包含される。更に、炭素−炭素二重結合を持つ化合物は、化合物の全ての異性体にZ体とE体が生じ得る。この場合、単一の鏡像異性体、即ち、光学活性体は、不斉合成、光学的に純粋な前駆物質からの合成、またはラセミ化合物の分割によって得られる。ラセミ化合物の分割は、例えば、分割剤存在下での結晶化などの従来の方法で、あるいは、例えばキラルHPLCカラムを用いたクロマトグラフィによって行うことができる。それを得るために用いた方法に関わりなく、全ての形態が本件の対象となる。
【0044】
2つの文字または記号に挟まれていないダッシュ(“−”)は、置換基の結合位置を示すために用いられる。例えば、−(CH)C〜Cシクロアルキルは、メチレン(CH)基の炭素を経て結合している。
【0045】
“アルカノイル”は、ケト(−(C=O)−)橋を経て結合した、本件に定義のアルキル基を示している。アルカノイル基は示されている数の炭素原子を含み、ケト基の炭素は炭素原子数に含まれている。例えば、Cアルカノイル基は、構造式CH(C=O)−を持つアセチル基である。
【0046】
実線と点線との組み合わせで示されている結合、即ち、
【化6】


は、単結合または二重結合のどちらでも良い。
【0047】
“アルキル”は、指定された数の炭素原子、一般に1〜約12個の炭素原子を含む分枝または直鎖飽和脂肪族炭化水素基である。本件で用いる“C〜Cアルキル”とは、1〜約6個の炭素原子を含むアルキル基を示している。別の実施の形態としては、1〜8個の炭素原子、1〜4個の炭素原子、または1〜2個の炭素原子を含むアルキル基、例えば、C〜Cアルキル、C〜Cアルキル、およびC〜Cアルキルが挙げられる。C〜Cアルキルが他の基と共に用いられている、例えば、(アリール)C〜Cアルキルの場合、示されている基(この場合、アリール)は、共有単結合によって直接結合しているか(C)、指定された数の炭素原子(この場合、1〜約4個の炭素原子)を含むアルキル鎖で繋がっている。C〜Cアルキルは、ヘテロアリール、アリール、フェニル、シクロアルキル、およびヘテロシクロアルキルと共に用いられ、例えば、(5〜10員のヘテロアリール)C〜Cアルキル、(アリール)C〜Cアルキル、(フェニル)C〜Cアルキル、(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキル、および(ヘテロシクロアルキル)C〜Cアルキルである。アルキルの例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、3−メチルブチル、t−ブチル、n−ペンチル、およびsec−ペンチルが挙げられる(但し、これらに限定しない)。
【0048】
“アルケニル”は、炭化水素鎖に沿ったいずれか安定な位置に1つ以上の不飽和炭素−炭素二重結合を含む、直鎖または分枝炭化水素鎖を示している。本件に述べるアルケニル基は、示された数の炭素原子を含んでいる。例えば、C〜Cアルケニルは、2〜約6個の炭素原子を含むアルケニル基を示す。炭素原子の数が示されていない場合、本件に述べるアルケニル基は一般に2〜約12個の炭素原子を含んでいるが、8個またはそれ以下の炭素原子を含む低級アルケニル基が望ましい。アルケニル基の例としては、エテニル、プロペニル、およびブテニル基が挙げられる。
【0049】
“アルキニル”は、炭化水素鎖に沿ったいずれか安定な位置に1つ以上の炭素−炭素三重結合を含む、直鎖または分枝炭化水素鎖を示している。本件に述べるアルキニル基は、示された数の炭素原子を含んでいる。例えば、C〜Cアルキニルは、2〜約6個の炭素原子を含むアルキニル基を示している。炭素原子の数が示されていない場合、本件に述べるアルキニル基は一般に2〜約12個の炭素原子を含んでいるが、8個またはそれ以下の炭素原子を含む低級アルキニル基が望ましい。
【0050】
“アルコキシ”は、酸素橋(−O−)を経て結合した、示された数の炭素原子を含む、先に定義のアルキル基を示している。アルコキシの例としては、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、2−ブトキシ、t−ブトキシ、n−ペントキシ、2−ペントキシ、3−ペントキシ、イソペントキシ、ネオペントキシ、n−ヘキソキシ、2−ヘキソキシ、3−ヘキソキシ、および3−メチルペントキシが挙げられる(但し、これらに限定しない)。“C〜Cアルコキシ”が他の基と共に用いられている、例えば、(ヘテロアリール)C〜Cアルコキシの場合、示されている基(この場合、ヘテロアリール)は、共有結合酸素橋を経て結合しているか(Cアルコキシ)、または指定された数の炭素原子(この場合、1〜約4個の炭素原子)を含むアルコキシ基によって結合、つまりアルコキシ酸素原子を経て、それが置換している基に共有結合している。
【0051】
“アルキルエステル”とは、エステル結合を経て結合している本件に定義のアルキル基を示している。エステル結合はどちらの方向でも良く、例えば、構造式−O(C=O)アルキルで示される基、または構造式−(C=O)Oアルキルで示される基である。
【0052】
“アルキルチオ”は、アルキル−S−を意味し、このとき、アルキル基は示された数の炭素原子を含む本件に定義のアルキル基であって、アルキルチオ置換基の結合点は硫黄原子上にある。代表的なアルキルチオ基はメチルチオである。
【0053】
“アリール”は、1つ以上の芳香環中に炭素だけを含む芳香族基を示している。このような芳香族基は、炭素または炭素以外の原子または基で更に置換されていても良い。典型的なアリール基は、1または2個の、個々の、縮合した、またはペンダント環を含み、6〜約12個の環原子を含むが、環員としてヘテロ原子は含んでいない。示されているならば、アリール基は置換されていても良い。このような置換としては、N、O、およびSより独立して選ばれる1または2個のヘテロ原子を必要に応じて含む5〜7員の飽和環基と縮合して、例えば、3,4−メチレンジオキシフェニル基を形成することなどが挙げられる。アリール基としては、例えば、フェニル、ナフチル、例えば、1−ナフチルと2−ナフチル、およびビフェニルが挙げられる。
【0054】
“(アリール)アルキル”においては、アリールとアルキルは先に定義のとおりであって、結合点はアルキル基上にある。“(アリール)C〜Cアルキル”は、共有単結合で直接結合しているアリール基((アリール)Cアルキル)、または、1〜約4個の炭素原子を含むアルキル基を経て結合しているアリール基を示している。(アリール)アルキル基の例としては、ピペロニルや、(フェニル)アルキル基、例えば、ベンジルおよびフェニルエチルが挙げられる。同様に、“(アリール)C〜Cアルコキシ”とは、それが置換している分子に酸素橋を経て直接結合しているアリール基(例えば、(アリール)Cアルコキシ)、または、1〜4個の炭素原子を含むアルコキシ基に共有結合したアリール基を示している。
【0055】
“炭素環”は、炭素環原子のみを含む飽和、部分不飽和、または芳香族環基である。“5〜7員の炭素環”は、5〜7個の炭素環原子を含んでいる。別途示されていない限り、炭素環は、安定な構造となるならば炭素原子のどの位置でそのペンダント基と結合していても良い。示されている場合、本件に述べる炭素環は、生成する化合物が安定であるならば、利用可能な環炭素のどの位置で置換されていても良い。炭素環としては、シクロプロピルやシクロヘキシルなどのシクロアルキル基、シクロヘキセニルや架橋したシクロアルキル基などのシクロアルケニル基、およびフェニルなどのアリール基が挙げられる。
【0056】
“シクロアルキル”は、指定した数の炭素原子を含む飽和炭化水素環基である。単環式シクロアルキル基は、一般に3〜約8個の炭素環原子、または3〜約7個の炭素環原子を含んでいる。シクロアルキル置換基は、置換された窒素または炭素原子に結合していても良く、あるいは、2つの置換基を持つ置換炭素原子に、スピロ基としてシクロアルキル基が結合していても良い。シクロアルキル基の例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、またはシクロヘキシル、更に、ノルボルナンまたはアダマンタンなどの架橋あるいはかご型飽和環基が挙げられる。同様に、“シクロアルケニル”は、示された数の炭素原子を含み、環炭素原子の間に少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を含む炭化水素環基である。
【0057】
“(シクロアルキル)C〜Cアルキル”および“(シクロアルケニル)C〜Cアルキル”とは、シクロアルキルまたはシクロアルケニルとアルキルは本件に定義のとおりであり、それが置換している分子への(シクロアルキル)アルキル基または(シクロアルケニル)アルキル基の結合点が、共有単結合であるか(Cアルキル)、アルキル基上にある置換基を示している。(シクロアルキル)アルキルには、シクロプロピルメチル、シクロヘキシルメチル、およびシクロヘキシルメチルが含まれる(但し、これらに限定しない)。
【0058】
“ハロアルキル”は、指定された数の炭素原子を含み、1個またはそれ以上、ハロゲン原子の許容される最大数までのハロゲン原子で置換された、分枝および直鎖アルキル基を示している。ハロアルキルの例としては、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、2−フルオロエチル、およびペンタフルオロエチルが挙げられる(但し、これらに限定しない)。
【0059】
“ハロアルコキシ”は、酸素橋(アルコールラジカルの酸素)を経て繋がっている、本件に定義のハロアルキル基を示している。
【0060】
“ハロ”または“ハロゲン”は、フルオロ、クロロ、ブロモ、およびヨードを示している。
【0061】
“ヘテロアリール”は、N、O、およびSより選ばれる、1〜3個、場合によっては1〜2個のヘテロ原子を含み、残りの環原子が炭素である、示された数の環原子を含む安定な単環式芳香環、あるいは、N、O、およびSより選ばれる、1〜3個、場合によっては1〜2個のヘテロ原子を含み、残りの環原子が炭素である、少なくとも1つの5〜7員の芳香環を含む安定な二環または三環系を示している。単環式ヘテロアリール基は、一般に5〜7個の環原子を含んでいる。一部の実施の形態では、二環式ヘテロアリール基は、9〜10員のヘテロアリール基、つまり9または10個の環原子を含む基であり、その中では1つの5〜7員芳香環が第2の芳香環または非芳香環に縮合している。“三環式ヘテロアリール”基は、3つの縮合環を含み、その少なくとも1つはヘテロアリール環である。ヘテロアリール基中のSおよびO原子の総数が1を超えている場合、これらのヘテロ原子は互いに隣り合うことはない。ヘテロアリール基中のSおよびO原子の総数は、2以下であることが望ましい。芳香族ヘテロ環中のSおよびO原子の総数は、1以下であることが特に望ましい。ヘテロアリール基の例としては、オキサゾリル、ピラニル、ピラジニル、ピラゾロピリミジニル、ピラゾリル、ピリジジニル、ピリジル、ピリミジニル、ピロリル、キノリニル、テトラゾリル、チアゾリル、チエニルピラゾリル、チオフェニル、トリアゾリル、ベンゾ[d]オキサゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチオフェニル、ベンゾキサジアゾリル、ジヒドロベンゾジオキシニル、フラニル、イミダゾリル、インドリル、およびイソキサゾリルが挙げられる(但し、これらに限定しない)。
【0062】
“ヘテロシクロアルキル”とは、示された数の環原子を含み、N、O、およびSより選ばれる1〜約3個のヘテロ原子を含み、残りの環原子が炭素である飽和単環基、あるいは、少なくとも1つのN、O、またはS環原子を含み、残りの原子が炭素である飽和二環系を示している。単環式ヘテロシクロアルキル基は、一般に4〜約8個の環原子を含んでいる。一部の実施の形態では、単環式ヘテロシクロアルキル基は、5〜7個の環原子を含んでいる。二環式ヘテロシクロアルキル基は、一般に約5〜約12個の環原子を含んでいる。ヘテロシクロアルキル基の例としては、モルホリニル、ピペラジニル、ピペリジニル、およびピロリジニル基が挙げられる。
【0063】
“(ヘテロシクロアルキル)アルキル”とは、ヘテロシクロアルキルとアルキルは本件に定義のとおりであり、それが置換している分子への(ヘテロシクロアルキル)アルキル基の結合点がアルキル基上にある飽和置換基を示している。この語には、ピペリジルメチル、ピペラジニルメチル、およびピロリジニルメチルが含まれる(但し、これらに限定しない)。
【0064】
“複素環”とは、示された数の環原子、一般に5〜8個の環原子を含み、またN、O、およびSより選ばれる1〜約4個のヘテロ原子を含み、残りの環原子が炭素である、飽和、部分不飽和、または芳香環基、あるいは、多環系中にN、O、およびSより選ばれる少なくとも1個のヘテロ原子を含み、多環系のそれぞれの環中に、N、O、およびSより独立して選ばれる約4個までのヘテロ原子を含んでいる二環式の飽和、部分不飽和、または芳香族複素環、あるいは三環系を示している。二環および三環系の環は示された数の環原子を含み、二環式複素環系は一般に7〜11個の環原子を含み、三環系は10〜15個の環原子を含んでいる。複素環基の例としては、ピリジル、インドリル、ピリミジニル、ピリジジニル、ピラジニル、イミダゾリル、オキサゾリル、フラニル、チオフェニル、チアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、イソキサゾリル、キノリニル、ピロリル、ピラゾリル、ベンズ[b]チオフェニル、イソキノリニル、キナゾリニル、キノキサリニル、チエニル、イソインドリル、ジヒドロイソインドリル、5,6,7,8−テトラヒドロイソキノリン、ピリジニル、ピリミジニル、フラニル、チエニル、ピロリル、ピラゾリル、ピロリジニル、モルホリニル、ピペラジニル、ピペリジニル、およびピロリジニルが挙げられる。
【0065】
ヘテロ環基のその他の例としては、1,1−ジオキソチエノテトラヒドロチオピラニル、1,1−ジオキソチオクロマニル、1,4−ジオキサニル、5−プテリジニル、テトラヒドロインダゾリル、アゼチジニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾイソキサジニル、ベンゾジオキサニル、ベンゾジオキソリル、ベンゾフラザニル、ベンゾイソキソリル、ベンゾピラニル、ベンゾピラゾリル、ベンゾテトラヒドロフラニル、ベンゾテトラヒドロチエニル、ベンゾチオピラニル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾオキサジニル、ベンゾオキサゾリノニル、ベンゾオキサゾリル、β−カルボリニル、カルバゾリル、カルボリニル、クロマノニル、クロマニル、シンノリニル、クマリニル、ジヒドロアゼチジニル、ジヒドロベンゾイソチアジニル、ジヒドロベンゾイソキサジニル、ジヒドロベンゾジオキシニル、ジヒドロベンゾフラニル、ジヒドロベンゾイミダゾリル、ジヒドロベンゾチオフェニル、ジヒドロベンゾオキサゾリル、ジヒドロクマリニル、ジヒドロインドリル、ジヒドロイソクマリニル、ジヒドロイソオキサゾリル、ジヒドロイソキノリノニル、ジヒドロイソチアゾリル、ジヒドロオキサジアゾリル、ジヒドロピラジニル、ジヒドロピラゾリル、ジヒドロピリジニル、ジヒドロピリミジニル、ジヒドロピロリル、ジヒドロキノリノニル、ジヒドロキノリニル、ジヒドロテトラゾリル、ジヒドロチアジアゾリル、ジヒドロチアゾリル、ジヒドロチエニル、ジヒドロトリアゾリル、ヘキサヒドロアゼピニル、イミダゾピラジニル、イミダゾピリダジニル、イミダゾピリジニル、イミダゾピリジル、イミダゾピリミジニル、イミダゾチアジアゾリル、イミダゾチアゾリル、イミダゾチオフェニル、インドリニル、インドリジニル、イソベンゾテトラヒドロフラニル、イソベンゾテトラヒドロチエニル、イソベンゾチエニル、イソクロマニル、イソクマリニル、イソインドリノニル、イソインドリニル、イソキノリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、メチレンジオキシベンジル、ナフチリジニル、オキサジアゾリル、オキサゾロピリジニル、オキサゾリル、オキセタニル、オキソピペリジニル、オキソピラゾリル、オキソピリジニル、フェノチアジニル、フェノキサジニル、フタラジニル、プリニル、ピラジニル、ピラゾロピラジニル、ピラゾロピリダジニル、ピラゾロピリジル、ピラゾロピリミジニル、ピラゾロチオフェニル、ピラゾロトリアジニル、ピリダジニル、ピリドピリジニル、キナゾリニル、キノリニル、キノキサリニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロイミダゾピラジニル、テトラヒドロイミダゾピリダジニル、テトラヒドロイミダゾピリジニル、テトラヒドロイミダゾピリミジル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロピラゾロピラジニル、テトラヒドロピラゾロピリジニル、テトラヒドロピラゾロピリミジル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロチエニル、テトラヒドロトリアゾロピリミジル、テトラヒドロトリアゾロピラジニル、テトラヒドロトリアゾロピリダジニル、テトラヒドロトリアゾピリジニル、テトラゾロピリジル、テトラゾリル、チアジアゾリル、チエノ-テトラヒドロチオピラニル、チエニル、チオクロマニル、トリアジニル、トリアゾロピラジニル、トリアゾロピリダジニル、トリアゾロピリジル、トリアゾロピリミジニル、トリアゾロチオフェニル、また可能ならば、そのN−オキシド類が挙げられる(但し、これらに限定しない)。
【0066】
“ヒドロキシアルキル”は、示された数の炭素原子を含み、少なくとも1つのヒドロキシル置換基で置換されたアルキル基である。示されているならば、ヒドロキシアルキル基は更に置換されていても良い。
【0067】
“モノおよび/またはジアルキルアミノ”とは、第2級または第3級アルキルアミノ基を示し、アルキル基は、示された数の炭素原子を含む、本件に定義のアルキル基より独立して選ばれる。アルキルアミノ基の結合点は、窒素上にある。モノおよびジ−アルキルアミノ基の例としては、エチルアミノ、ジメチルアミノ、およびメチルプロピルアミノが挙げられる。
【0068】
“モノおよび/またはジアルキルカルボキサミド”は、構造式(アルキル1)−NH−(C=O)−で示されるモノアルキルカルボキサミド基、または、構造式(アルキル1)(アルキル2)−N−(C=O)−で示されるジアルキルカルボキサミド基を示している。このとき、それが置換している分子へのモノまたはジアルキルカルボキサミド置換基の結合点は、カルボニル基の炭素上にある。“モノおよび/またはジアルキルカルボキサミド”には、構造式(アルキル1)(C=O)NH−および(アルキル1)(C=O)(アルキル2)N−で示される基も含まれる。その結合点は、窒素原子である。アルキル1とアルキル2の基は、示された数の炭素原子を含む、独立して選ばれたアルキル基である。
【0069】
“オキソ”は、ケト基(C=O)を意味している。非芳香族炭素原子の置換基であるオキソ基は、−CH−をC(=O)−に変える。芳香族炭素原子の置換基であるオキソ基は、−CH−を−C(=O)−に変え、芳香族性が失われる。
【0070】
本件で用いる“置換された”とは、指定された原子または基の1つ以上のいずれかの水素が、指定された原子の通常の価数を超えることなく、示されている基から選ばれたもので置き換えられていることを意味する。置換基がオキソ(即ち、=O)である場合、原子上の2つの水素が置き換えられる。オキソ基が芳香族部分を置換すると、芳香環の対応する部分が不飽和環に変わる。例えば、オキソで置換されたピリジル基は、ピリドンである。置換基および/または変数の組み合わせは、このような組み合わせが安定な化合物または有用な合成中間体となる場合にのみ許容される。安定な化合物または安定な構造とは、反応混合物からの単離と、その後の有効な治療薬への調合に十分耐えうるほど頑丈な化合物を意味している。別途明記されていない限り、置換基は中心構造に向かって命名する。例えば、可能な置換基として(シクロアルキル)アルキルが挙げられている場合、中心構造へのこの置換基の結合点はアルキル部分にあることは理解されるべきである。
【0071】
“置換された”位置に存在し得る適当な基としては、例えば、ハロゲン;シアノ;ヒドロキシル;ニトロ;アジド;アルカノイル(アシル等のC〜Cアルカノイル基など);カルボキサミド;アルキル基(1〜約8個の炭素原子、または1〜約6個の炭素原子を含むシクロアルキル基などを含む);アルケニルおよびアルキニル基(1つ以上の不飽和結合と、2〜約8個、または2〜約6個の炭素原子を含む基などを含む);1個以上の酸素結合と、1〜約8個、または1〜約6個の炭素原子を含むアルコキシ基;フェノキシなどのアリールオキシ;1つ以上のチオエーテル結合と、1〜約8個の炭素原子または1〜約6個の炭素原子を含むものなどのアルキルチオ基;1つ以上のスルフィニル結合と、1〜約8個の炭素原子または1〜約6個の炭素原子を含むものなどのアルキルスルフィニル基;1つ以上のスルホニル結合と、1〜約8個の炭素原子または1〜約6個の炭素原子を含むものなどのアルキルスルホニル基;1つ以上のN原子と、1〜約8個または1〜約6個の炭素原子を含む基などのアミノアルキル基;6個以上の炭素と1つ以上の環を含むアリール(例えば、フェニル、ビフェニル、ナフチル等であって、それぞれの環は、置換または非置換芳香族のいずれかである);1〜3個の個々のまたは縮合した環と、6〜約18個の環炭素原子を含むアリールアルキルで、代表的なアリールアルキル基はベンジルである;1〜3個の個々のまたは縮合した環と、6〜約18個の環炭素原子を含むアリールアルコキシで、代表的なアリールアルコキシ基はベンジルオキシである;あるいは、1つの環に3〜約8個の環員と、1つ以上のN、O、またはS原子を含む、1〜3個の個々のまたは縮合した環を含む、飽和、不飽和、または芳香族複素環基、例えば、クマリニル、キノリニル、イソキノリニル、キナゾリニル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、フラニル、ピロリル、チエニル、チアゾリル、トリアジニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、イミダゾリル、インドリル、ベンゾフラニル、ベンゾチアゾリル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、ピペリジニル、モルホリニル、ピペラジニル、およびピロリジニルが挙げられる(但し、これらに限定しない)。このような複素環基は更に、例えば、ヒドロキシ、アルキル、アルコキシ、ハロゲン、およびアミノで置換されていても良い。
【0072】
“ビニル”基は、構造式・HC=で示される置換基である。
【0073】
“投与体(dosage form)”とは、活性薬剤の投与の単位を意味している。投与体の例としては、錠剤、カプセル、注射液、懸濁液、液体、エマルション、クリーム、軟膏、座薬、吸入剤、経皮剤などが挙げられる。
【0074】
“医薬組成物”は、構造式Iの化合物または塩などの少なくとも1つの活性薬剤と、キャリア、賦形剤、または希釈剤などの少なくとも1つの別の物質とを含む組成物である。医薬組成物は、米国食品医薬品局によるヒトおよび非ヒト用医薬のGMP(適正製造基準)に適合している。
【0075】
“薬学的許容塩”には、親化合物を、その無毒の無機および有機の酸付加塩または塩基付加塩を作ることによって変性した、開示の化合物の誘導体が含まれる。このような化合物の塩は、塩基性部分または酸性部分を含む親化合物から通常の化学的方法によって合成することができる。一般に、このような塩は、これらの化合物の遊離酸体を化学量論量の適当な塩基(Na、Ca、Mg、またはKの、水酸化物、炭酸塩、重炭酸塩など)と反応させることにより、あるいは、これらの化合物の遊離塩基体を化学量論量の適当な酸と反応させることにより調製できる。このような反応は一般に、水中または有機溶媒中で、あるいは両者の混合物中で行う。一般に、エーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノール、またはアセトニトリルなどの非水媒体ができる限り望ましい。本化合物の塩には更に、本化合物および本化合物塩の溶媒和物も含まれる。
【0076】
薬学的許容塩の例としては、アミン類などの塩基性残基の無機または有機酸塩、カルボン酸などの酸性残基のアルカリまたは有機塩等が挙げられる(但し、これらに限定しない)。薬学的許容塩としては、例えば、無毒の無機酸または有機酸から生成した、親化合物の一般的な無毒の塩および第四級アンモニウム塩が挙げられる。例えば、一般的な無毒の酸塩としては、塩酸、臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸、硝酸などの無機酸から誘導したもの;酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パモ酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、メシル酸(mesylic)、エシル酸(esylic)、ベシル酸(besylic)、スルファニル酸、2−アセトキシ安息香酸、フマル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、シュウ酸、イセチオン酸、HOOC−(CH−COOH(式中、nは0〜4)などの有機酸から調製した塩類が挙げられる。適当な塩は更に、例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences, 17th ed., Mack Publishing Company, Easton, Pa., p.1418(1985)にも挙げられている。
【0077】
本発明の医薬組成物に用いられている“キャリア”とは、それを用いて活性化合物を製造する、希釈剤、賦形剤、またはビヒクルを指している。
【0078】
“薬学的に許容される賦形剤”とは、一般に、安全で無毒、生物学的にも他の意味でも有害ではない医薬組成物の製造において有用な賦形剤を意味し、ヒト用の医薬品だけでなく動物用に使用できる賦形剤も含まれる。本出願に用いられる“薬学的に許容される賦形剤”には、このような賦形剤の1つおよび2つ以上の両方が含まれる。
【0079】
“患者”は、薬物治療を必要とするヒトまたはヒト以外の動物である。薬物治療には、疾病または障害などの既存の症状の治療、予防的治療、または診断的治療を含むことができる。一部の実施の形態において、患者はヒトである。
【0080】
“プロドラッグ”は、哺乳類である被術者に投与すると、例えば、プロドラッグの代謝過程の間に本発明の化合物となる化合物を意味している。プロドラッグの例としては、酢酸塩、ギ酸塩、および安息香酸塩など、本発明の化合物中の官能基(アルコールまたはアミン基など)の誘導体が挙げられる(但し、これらに限定しない)。
【0081】
“投与する(providing)”は、与える(giving)、投与する(administering)、販売する(selling)、分配する(distributing)、輸送する(transferring)(利益のため、またはそうでなく)、製造する(manufacturing)、混合する(compounding)、または調剤する(dispensing)、を意味する。
【0082】
“構造式Iの化合物を少なくとも1つの追加の活性薬剤と共に投与する”とは、構造式Iの化合物と追加活性薬剤(1つまたは複数)とを、1つの投与体として同時に投与する、別々の投与体として同時に投与する、あるいは、構造式Iの化合物と少なくとも1つの追加活性薬剤の両方が患者の血流中にあるような多少の時間差でそれぞれ投与するため、別々の投与体として投与することを意味している。構造式Iの化合物と追加活性薬剤とを同じ医療従事者が一人の患者に処方する必要はない。追加活性薬剤(1つまたは複数)は処方を必要としない。構造式Iの化合物または少なくとも1つの追加活性薬剤の投与は、例えば、経口錠剤、経口カプセル、経口液体、吸入、注射、座薬、または局所接触など、適当な経路を経て行うことができる。
【0083】
本件で用いる“治療”には、(a)ある疾病に罹り易いが、まだ罹患しているとは診断されていない患者に、病気または病気の症状(例えば、慢性HCV感染で起こることのある肝線維症のように、原発性疾患に伴う、またはそれによって起こる疾病を含む)が起こるのを予防する、(b)病気の抑制、即ち、その進行を抑える、(c)病気の軽減、即ち、病気を退行させる、ために十分な構造式Iの化合物と少なくとも1つの追加活性薬剤の投与が含まれる。“処置”および“治療”も、構造式Iの化合物と少なくとも1つの追加活性薬剤の治療有効量を、C型肝炎感染に罹った、または感染し易い患者に投与することを意味している。
【0084】
本発明の薬剤混合物の“治療有効量”は、患者へ投与すると、症状の改善など治療に役立つ効果を生じる量、例えば、C型肝炎感染症の症状を和らげるために有効な量を意味している。例えば、C型肝炎ウイルスに感染した患者は、ASTやALTなどの一部の肝酵素レベルに上昇が見られ得る。ASTの血清(血液の液体部分)中の通常レベルは5〜40単位/リットル、ALTの血清中の通常レベルは7〜56単位/リットルである。つまり治療有効量とは、上昇したASTおよびALTレベルを有意に低下させるために十分な量、あるいは、ASTおよびALTレベルを通常範囲に戻すために十分な量である。また、治療有効量とは、患者の血液、血清、または組織中に検出されるウイルスまたはウイルス抗体の量が有意に上昇するのを防ぐ、あるいは有意に減少させるために十分な量である。治療効果を測るひとつの方法としては、Roch TaqMan試験などの、ウイルスRNAレベル測定のための一般的な方法による、HCV RNAレベルの測定などが挙げられる。ある望ましい実施の形態では、治療によって、HCV RNAレベルが定量限界(Roche TaqMan(登録商標)試験による測定で、30IU/mL)以下、より望ましくは検出限界(10IU/mL、Roche TaqMan)以下に低下する。
【0085】
ウイルスまたはウイルス抗体の検出可能レベルにおける有意な増加または減少とは、p<0.05としたスチューデントのt検定などの、統計的有意性の標準パラメトリック検定において統計的に有意な、検出可能な変化である。
【0086】
<化学的記述>
構造式Iには、その全ての下位構造式が含まれる。場合により、構造式Iの化合物は、立体中心、立体軸などの1つ以上の非対称要素、例えば、不斉炭素原子を含み得るため、この化合物は様々な立体異性体として存在することができる。これらの化合物は、例えば、ラセミ化合物または光学活性体として存在できる。2つ以上の非対称要素を含む化合物では、これらの化合物は更にジアステレオマ混合物となることも可能である。非対称中心を持つ化合物については、全ての光学異性体とその混合物も含まれると理解すべきである。更に、炭素−炭素二重結合を持つ化合物にはZ体とE体が生じ得るが、この化合物の異性体も全て本発明に含まれる。この場合、単一の鏡像異性体、即ち、光学活性体は、不斉合成、光学的に純粋な前駆物質からの合成、またはラセミ化合物の分割によって得られる。ラセミ化合物の分割は、例えば、分割剤存在下での結晶化などの従来の方法で、あるいは、例えばキラルHPLCカラムを用いたクロマトグラフィによっても行うことができる。
【0087】
化合物が様々な互変異性体として存在する場合、本発明は、特定の互変異性体のいずれかに限定されることはなく、全ての互変異性体が含まれる。
【0088】
本発明は、本化合物中にある原子の全ての同位体を含むものとする。同位体には、同じ原子数を持つが質量数の異なる原子が含まれる。一般的な例では(但し、これらに限定しない)、水素の同位体としてトリチウムとジュウテリウム、炭素の同位体として、11C、13C、14Cが挙げられる。
【0089】
本件においては、特定の化合物を、変数、例えば、R〜R、R16、R18、R19、n、M、Y、およびZを含む一般構造式を用いて記述する。別途明記されていない限り、このような構造式中のそれぞれの変数は、他の変数とは独立して定義される。つまり、ある基が、例えば0〜2個のRで置換されていると示されているならば、この基は、2個までのR基で置換されており、示されているそれぞれのRは、Rの定義の中から独立して選ばれる。また、置換基および/または変数の組み合わせは、このような組み合わせが安定な化合物となる場合にのみ許される。
【0090】
前述の構造式Iの化合物に加え、本発明には、変数R〜R、R16、R18、R19、n、M、Y、およびZについて、以下の条件の1つ以上が合致する、構造式Iの化合物も含まれる。本発明には、安定な化合物を生じる、以下に述べる変数の定義の組み合わせを持つ構造式Iの化合物が含まれる。
【化7】


(構造式I)
【0091】
[変数RおよびR
ある実施の形態において、変数RおよびRは、以下に述べる定義のいずれかを持つ。
【0092】
(1)(2)RとRは結合して、N、Oより独立して選ばれる1または2個のヘテロ原子を含む5〜7員のヘテロシクロアルキル環を形成し、この環は、必要に応じて5または6員のヘテロアリール基(例えば、フェニルまたはピリジル)と縮合して二環系を形成する。それぞれの5〜7員ヘテロシクロアルキル環は必要に応じて置換されている。
【0093】
(2)RとRは結合して、ピロリジン、ピペリジン、またはピペラジン環、あるいはフェニルに縮合したピペラジン環を形成し、そのそれぞれは必要に応じて、A−およびAB−から独立して選ばれる0〜3個の置換基で置換されており、Aは、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、シアノ、−CONH、−COOH、C〜Cアルキル、C〜Cアルカノイル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキルチオ、モノまたはジ−C〜Cアルキルアミノ、C〜Cアルキルエステル、C〜Cアルキルエステルアミン、モノまたはジ−C〜Cアルキルカルボキサミド、C〜Cハロアルキル、またはC〜Cハロアルコキシであり、BはC〜Cアルキルである。
【0094】
(2)RとRは結合して、ピロリジン、ピペリジン、またはピペラジン環、あるいはフェニルに縮合したピペラジン環を形成し、そのそれぞれは必要に応じて、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、CONH、−COOH、C〜Cアルキル、およびC〜Cアルコキシより独立して選ばれる0〜2個の置換基で置換されている。
【0095】
(3)Rは、C〜CO(C=O)−、C〜C(C=O)−、
【化8】


【化9】


【化10】


【化11】


【化12】


【化13】


【化14】


【化15】


【化16】


【化17】


【化18】


【化19】


【化20】


または
【化21】


である。
【0096】
(4)Rは、C〜CアルキルまたはC〜Cシクロアルキルである。
【0097】
(5)Rは水素である。
【0098】
[変数R〜R
ある実施の形態においては、変数R〜Rは、以下に述べる定義のいずれかを持つ。
【0099】
(1)R、R、R、R、R、およびRは独立して、(a)または(b)であって、(a)は、水素であり、(b)は、C〜Cアルキルまたは(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキルであって、そのそれぞれは、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、シアノ、−CONH、−COOH、C〜Cアルキル、C〜Cアルカノイル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキルチオ、モノおよびジ−C〜Cアルキルアミノ、C〜Cハロアルキル、およびC〜Cハロアルコキシより独立して選ばれる0〜3個の置換基で置換されている。
【0100】
(2)R、R、R、R、R、およびRは独立して、水素、C〜Cアルキル、または(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキルである。
【0101】
(3)R、R、R、R、R、およびRは独立して、水素またはメチルである。
【0102】
(4)RとR、および/または、RとR、および/または、RとRのいずれかは、結合して、3〜7員のシクロアルキル環、あるいは、N、S、およびOより独立して選ばれる1または2個のヘテロ原子を含む3〜7員のヘテロシクロアルキル環を形成し、その環のそれぞれは、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、シアノ、ビニル、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、トリフルオロメチル、およびトリフルオロメトキシより独立して選ばれる0〜2個の置換基で置換されている。
【0103】
(5)RとR、および/または、RとR、および/または、RとRのいずれかは、結合して、3〜7員のシクロアルキル環、あるいは、N、S、およびOより独立して選ばれる1または2個のヘテロ原子を含む5〜6員のヘテロシクロアルキル環を形成し、その環のそれぞれは、ハロゲン、ヒドロキシル、C〜Cアルキル、およびC〜Cアルコキシより独立して選ばれる0〜2個の置換基で置換されている。
【0104】
(6)R、R、およびRは独立して、水素またはメチルである。Rは、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキル、(C〜Cシクロアルケニル)C〜Cアルキル、(ヘテロシクロアルキル)C〜Cアルキル、C〜Cアルカノイル、あるいはモノまたはジ−C〜Cアルキルアミノである。RとRは結合して、必要に応じて置換された3〜7員のシクロアルキル環、あるいは、必要に応じて置換された、N、S、およびOより独立して選ばれる1または2個のヘテロ原子を含む3〜7員のヘテロシクロアルキル環を形成する。
【0105】
(7)Rは、C〜Cアルキルまたは(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキルである。RとRは結合してシクロプロピル環を形成し、この環は置換されておらず、あるいは1または2個のC〜CアルキルまたはC〜Cアルケニルで置換されている。
【0106】
(8)本発明には、RとRが水素であり、Rが水素であり、Rがt−ブチルであり、RとRが結合して、ビニル基で置換されたシクロプロピル基を形成している化合物が含まれる。例えば、本発明は、構造式IIの化合物を含んでいる。
【化22】


(構造式II)
【0107】
(9)R、R、R、およびRは独立して、水素またはメチルであり、Rは、Rに共有結合したC〜C11飽和または不飽和炭化水素鎖であって、Rはメチレン基である。例えば、本発明は、構造式IIIの化合物を含んでいる。
【化23】


(構造式III)
式中、Dは、6〜10個の炭素原子を含むアルキルまたはアルケニル基である。
【0108】
(10)本発明には更に、RとRがいずれも水素であり、Rが、炭素数8の一不飽和炭化水素鎖を経てRに共有結合している化合物が含まれる。例えば、本発明は、構造式IVの化合物を含んでいる。
【化24】


(構造式IV)
【0109】
(11)R、R、およびRは独立して、水素またはメチルであり、Rは、RとRが結合して3〜7員の必要に応じて置換されたシクロアルキル環を形成することでできた、必要に応じて置換されたシクロアルキル環に共有結合している、C〜C11飽和または不飽和炭化水素鎖である。例えば、本発明は、構造式Vの化合物および塩を含んでいる。
【化25】


(構造式V)
式中、Dは、6〜10個の炭素原子を含むアルキルまたはアルケニル基である。
【0110】
(12)本発明には更に、RとRがいずれも水素であり、Rが、RとRによって形成された置換シクロアルキル環に共有結合した、炭素数7の一不飽和炭化水素鎖である化合物および塩が含まれる。例えば、本発明は、構造式VIおよびVI−Aの化合物および塩を含んでいる。
【化26】


(構造式VI)
【化27】


(構造式VI−A)
【0111】
[変数R
ある実施の形態において、変数Rは、以下に述べる定義のいずれかを持つ。
【0112】
(1)Tは、次の構造式で示される基であり、
【化28】


は、ヒドロキシル、アミノ、−COOH、−NR1011、−OR12、−SR12、−NR10(S=O)R11、−NR10SO11、−NR10SONR1112、−NR10SONR1112、−(C=O)OR10、−NR10(C=O)OR11、または−CONR1011である。
【0113】
(2)Rは、ヒドロキシル、アミノ、−COOH、−NR1011、−OR12、−NR10SO11、−(C=O)OR10、または−CONR1011である。
【0114】
(3)Rは、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルカノイル、(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキル、(C〜Cシクロアルケニル)C〜Cアルキル、(ヘテロシクロアルキル)C〜Cアルキル、(アリール)C〜Cアルキル、または(5〜10員のヘテロアリール)C〜Cアルキルであって、そのそれぞれは、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、シアノ、オキソ−COOH、−CONH、オキソ、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルカノイル、C〜Cアルキルチオ、モノおよびジ−C〜Cアルキルアミノ、C〜Cアルキルエステル、モノおよびジ−C〜Cアルキルカルボキサミド、C〜Cハロアルキル、およびC〜Cハロアルコキシより独立して選ばれる、0または1個、あるいはそれ以上の置換基で置換されている。
【0115】
(4)Rは、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルカノイル、(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキル、(C〜Cシクロアルケニル)C〜Cアルキル、(ヘテロシクロアルキル)C〜Cアルキル、(アリール)C〜Cアルキル、または(5〜10員のヘテロアリール)C〜Cアルキルであって、そのそれぞれは、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、シアノ、オキソ−COOH、−CONH、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、モノおよびジ−C〜Cアルキルアミノ、C〜Cハロアルキル、およびC〜Cハロアルコキシより独立して選ばれる、0または1個、あるいはそれ以上の置換基で置換されている。
【0116】
(5)Rは、次の構造式で示されるホスホナートである。
【化29】


式中、pは1または2であり、R13〜R15は、課題を解決するための手段の項に示した値を持つ。
【0117】
(6)Rは、RXC〜Cアルキルであって、Xは、−(C=O)NH−、−NH(C=O)−であり、Rはフェニルまたはピリジルである。
【0118】
(7)Rは、−CH(R)(C〜Cシクロアルキル)、−SOCH(R)(C〜Cシクロアルキル)、または−NR10SOCH(R)(C〜Cシクロアルキル)であって、Rはハロゲンであり、あるいはRは、C〜Cアルキル、C〜Cアルカノイル、(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキル、(フェニル)C〜Cアルキル、(フェニル)C〜Cアルコキシ、(ヘテロシクロアルキル)C〜Cアルキル、または(5〜10員のヘテロアリール)C〜Cアルキルであって、そのそれぞれは、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、シアノ、オキソ−COOH、−CONH、オキソ、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、モノおよびジ−C〜Cアルキルアミノ、C〜Cハロアルキル、およびC〜Cハロアルコキシより独立して選ばれる、0または1個、あるいはそれ以上の置換基で置換されている。
【0119】
(8)Rは、−NR10SO11である。一部の実施の形態において、R10は、水素またはメチルであり、R11は、シクロプロピルである。
【0120】
[変数R10、R11、およびR12
が上記のどのような定義であっても、変数R10、R11、およびR12は、課題を解決するための手段の項において構造式Iについて述べた定義を持つことができる。R10、R11、およびR12は更に、以下の定義のいずれかを持つことができる。
【0121】
(1)R10、R11、およびR12は独立して、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキル、(ヘテロシクロアルキル)C〜Cアルキル、(フェニル)C〜Cアルキル、(ナフチル)C〜Cアルキル、または(5〜10員のヘテロアリール)C〜Cアルキルであって、そのそれぞれは、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、シアノ、オキソ−COOH、−CONH、オキソ、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルカノイル、C〜Cアルキルチオ、モノおよびジ−C〜Cアルキルアミノ、C〜Cアルキルエステル、モノおよびジ−C〜Cアルキルカルボキサミド、C〜Cハロアルキル、およびC〜Cハロアルコキシより独立して選ばれる0〜3個の置換基で置換されている。
【0122】
(2)R10、R11、およびR12は独立して、水素であり、あるいは、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキル、(ヘテロシクロアルキル)C〜Cアルキル、(フェニル)C〜Cアルキル、または(5〜6員の単環式ヘテロアリール)C〜Cアルキルであって、そのそれぞれは、ハロゲン、ヒドロキシル、オキソ、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、トリフルオロメチル、およびトリフルオロメトキシより独立して選ばれる0〜3個の置換基で置換されている。
【0123】
(3)R10、R11、およびR12は独立して、水素またはC〜Cアルキルである。
【0124】
[変数Y、M、J、L、およびZ]
本発明には、Y、M、およびZが以下に述べる変数を持つ、構造式I〜VIの化合物および塩が含まれる。Y、M、およびZは、変数n、R18、およびR19を含んでいる。
【0125】
(1)Yは、CH、O、または−O(C=O)−であり、あるいは存在せず、nは0である。
【0126】
(2)YはOであり、nは0である。
【0127】
(3)Yは、CH、O、または−O(C=O)−であり、あるいは存在せず、R18およびR19は独立して、水素またはメチルであり、nは1である。
【0128】
(4)本発明には、nが1である化合物および塩が含まれる。
【0129】
(5)Mは水素である。
【0130】
(6)JおよびLはいずれもCHである。
【0131】
(7)Zは、1−ナフチル、2−ナフチル、および次の構造式で示される基である。
【化30】


【化31】


【化32】


【化33】


【化34】


【化35】


【化36】


【化37】


【化38】


【化39】


【化40】


【化41】


【化42】


【化43】


【化44】


【化45】


【化46】


【化47】


【化48】


【化49】


【化50】


【化51】


【化52】


【化53】


【化54】


【化55】


【化56】


【化57】


【化58】


【化59】


【化60】


【化61】


【化62】


【化63】


【化64】


【化65】


【化66】


【化67】


【化68】


【化69】


【化70】


【化71】


【化72】


【化73】


【化74】


【化75】


【化76】


【化77】


【化78】


【化79】


【化80】


【化81】


【化82】


【化83】


【化84】


または
【化85】

【0132】
(8)Zは、次の構造式で示される基である。
【化86】


【化87】


【化88】


【化89】


【化90】


【化91】


【化92】


【化93】

【0133】
上記の化学構造式中、X〜X、G〜G、およびR21〜R24は、以下の定義を持つ。
【0134】
、X、X、X、およびXは独立して、NまたはCHであり、X〜XのうちNであるのは2つまでである。
【0135】
、G、G、およびGは独立して、CH、O、S、またはNR24であって、G〜Gのうち水素以外であるのは2つまでである。
【0136】
21は、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、シアノ、−CONH、−COOH、C〜Cアルキル、C〜Cアルカノイル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキルチオ、モノおよびジ−C〜Cアルキルアミノ、C〜Cハロアルキル、およびC〜Cハロアルコキシより独立して選ばれる0〜3個の基を示している。
【0137】
22は、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、シアノ、−CONH、−COOH、C〜Cアルキル、C〜Cアルカノイル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキルチオ、モノおよびジ−C〜Cアルキルアミノ、C〜Cアルキルエステル、C〜Cハロアルキル、およびC〜Cハロアルコキシである。
【0138】
あるいは、R22は、(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキル、(フェニル)C〜Cアルキル、(フェニル)C〜Cアルコキシ、(5または6員のヘテロアリール)C〜Cアルキル、(5または6員のヘテロアリール)C〜Cアルコキシ、ナフチル、インダニル、(5または6員のヘテロシクロアルキル)C〜Cアルキル、あるいは9または10員の二環式ヘテロアリールであって、そのそれぞれは(c)および(d)より独立して選ばれる、0、1、または2個の置換基で置換されている。
(c)は、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、シアノ、ニトロ、−COOH、−CONH、CH(C=O)NH−、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cヒドロキシアルキル、モノおよびジ−C〜Cアルキルアミノ、−NRSO11、−C(O)OR11、−NRCOR11、−NRC(O)OR11、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシである。
(d)は、フェニルおよび5または6員のヘテロアリールであって、そのそれぞれは、0または1個、またはそれ以上の、ハロゲン、ヒドロキシル、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシで置換されている。
【0139】
23は、ハロゲン、ヒドロキシル、C〜Cアルキル、およびC〜Cアルコキシより独立して選ばれる0〜2個の置換基である。
【0140】
24は、出現毎に水素およびC〜Cアルキルより独立して選ばれる。
【0141】
ある実施の形態において、R22は、
【化94】


【化95】


【化96】


【化97】


【化98】


【化99】


【化100】


【化101】


【化102】


【化103】


【化104】


【化105】


【化106】


【化107】


【化108】


【化109】


【化110】


【化111】


【化112】


【化113】


【化114】


【化115】


【化116】


【化117】


【化118】


【化119】


または
【化120】


である。
【0142】
(9)Zは、次の構造式で示される基である。
【化121】


【化122】


【化123】


【化124】


【化125】


【化126】


【化127】


または
【化128】

【0143】
この実施の形態において、X〜XおよびR21〜R23は、以下の定義を持つ。
【0144】
、X、X、およびXは独立して、NまたはCHであって、X〜XのうちNであるのは2つまでである。
【0145】
21は、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、シアノ、−CONH、−COOH、C〜Cアルキル、C〜Cアルカノイル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキルチオ、モノおよびジ−C〜Cアルキルアミノ、C〜Cハロアルキル、およびC〜Cハロアルコキシより独立して選ばれる0〜3個の基を示している。
【0146】
22は、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、シアノ、−CONH、−COOH、C〜Cアルキル、C〜Cアルカノイル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキルチオ、モノおよびジ−C〜Cアルキルアミノ、C〜Cアルキルエステル、C〜Cハロアルキル、およびC〜Cハロアルコキシである。
【0147】
あるいは、R22は、(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキル、(フェニル)C〜Cアルキル、(フェニル)C〜Cアルコキシ、(5または6員のヘテロアリール)C〜Cアルキル、(5または6員のヘテロアリール)C〜Cアルコキシ、ナフチル、インダニル、(5または6員のヘテロシクロアルキル)C〜Cアルキル、あるいは9または10員の二環式ヘテロアリールであって、そのそれぞれは(c)および(d)より独立して選ばれる、0、1、または2個の置換基で置換されている。
(c)は、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、シアノ、ニトロ、−COOH、−CONH、CH(C=O)NH−、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cヒドロキシアルキル、モノおよびジ−C〜Cアルキルアミノ、−NRSO11、−C(O)OR11、−NRCOR11、−NRC(O)OR11、トリフルオロメチル、およびトリフルオロメトキシである。
(d)は、フェニルおよび5または6員のヘテロアリールであって、そのそれぞれは、0または1個、あるいはそれ以上のハロゲン、ヒドロキシル、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシで置換されている。
【0148】
(10)Zは、次の構造式で示される基であって、
【化129】


式中、X〜XおよびR21〜R22は、先ほどの実施の形態(7)に述べた定義を持つ。
【0149】
(9)Zは、次の構造式で示されるキノリンであって、
【化130】


式中、X〜XおよびR21〜R22は、実施の形態(7)に述べた定義を持つ。
【0150】
あるいは、ある実施の形態において、R21は、キノリンの7位の置換基と、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、シアノ、−CONH、−COOH、C〜Cアルキル、C〜Cアルカノイル、C〜Cアルコキシ、モノおよびジ−C〜Cアルキルアミノ、C〜Cハロアルキル、およびC〜Cハロアルコキシより独立して選ばれる0〜2個の追加の置換基とを示している。また、R22は、(フェニル)C〜Cアルキルまたは(ピリジル)C〜Cアルキルであって、そのそれぞれは、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、シアノ、−COOH、−CONH、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、モノおよびジ−C〜Cアルキルアミノ、トリフルオロメチル、およびトリフルオロメトキシより独立して選ばれる、0、1、または2個の置換基で置換されている。
【0151】
(10)本発明には、nが0であり、Zが存在せず、YとMとが環を形成し、これにより、
【化131】


が、次の構造式で示される基である、化合物および塩が含まれる。
【化132】


【化133】


または
【化134】


この実施の形態において、G、G、G、G、およびGは独立して、CH、O、S、またはNR22であって、G、G、G、G、およびGのうちCH以外であるのは2つまでである。
【0152】
21は、ハロゲン、ヒドロキシ、C〜Cアルキル、およびC〜Cアルコキシより独立して選ばれる0〜2個の置換基である。
【0153】
22は、出現毎に水素およびメチルより独立して選ばれる。
【0154】
23は、ハロゲン、ヒドロキシ、C〜Cアルキル、およびC〜Cアルコキシより独立して選ばれる0〜2個の置換基である。
【0155】
(11)本発明には、nが0であり、Mが水素であり、Zが存在せず、YとJとが環を形成し、これにより、
【化135】


が、次の構造式で示される基である、化合物および塩が含まれる。
【化136】


【化137】


【化138】


【化139】


または
【化140】


この実施の形態において、G、G、G、およびGは独立して、CH、O、S、またはNR22であって、G、G、G、およびGのうちCH以外であるのは2つまでである。
【0156】
21は、ハロゲン、ヒドロキシ、C〜Cアルキル、およびC〜Cアルコキシより独立して選ばれる0〜2個の置換基である。
【0157】
22は、ハロゲン、ヒドロキシ、C〜Cアルキル、およびC〜Cアルコキシより独立して選ばれる0〜2個の置換基である。
【0158】
23は、ハロゲン、ヒドロキシ、C〜Cアルキル、およびC〜Cアルコキシより独立して選ばれる0〜2個の置換基である。
【0159】
(12)本発明には更に、
【化141】


が、次の構造式で示される基である、化合物および塩が含まれる。
【化142】


【化143】


【化144】


【化145】


【化146】


【化147】


【化148】


【化149】


【化150】


または
【化151】

【0160】
(13)本発明には、nが0であり、Zが存在せず、YとLとが環を形成し、これにより、
【化152】


が、次の構造式で示される基である、化合物および塩が含まれる。
【化153】


【化154】


【化155】


【化156】


【化157】


【化158】


または
【化159】

【0161】
この実施の形態において、G、G、G、およびGは独立して、CH、O、S、またはNR22であって、G、G、G、およびGのうちCH以外であるのは2つまでである。
【0162】
およびQは独立して、CHまたはNである。
【0163】
21は、ハロゲン、ヒドロキシ、C〜Cアルキル、およびC〜Cアルコキシより独立して選ばれる0〜2個の置換基である。
【0164】
22は、ハロゲン、ヒドロキシ、C〜Cアルキル、およびC〜Cアルコキシより独立して選ばれる0〜2個の置換基である。
【0165】
また、R23は、ハロゲン、ヒドロキシ、C〜Cアルキル、およびC〜Cアルコキシより独立して選ばれる0〜2個の置換基である。
【0166】
(14)本発明には、
【化160】


が、次の構造式で示される基である、化合物および塩が含まれる。
【化161】


【化162】


【化163】


【化164】


【化165】


【化166】


【化167】


【化168】


【化169】


【化170】


【化171】


【化172】


【化173】


【化174】


【化175】


【化176】


【化177】


【化178】


【化179】


【化180】


【化181】


【化182】


【化183】


【化184】


【化185】


【化186】


【化187】


【化188】


【化189】


【化190】


【化191】


【化192】


【化193】


【化194】


【化195】


【化196】


【化197】


【化198】


【化199】


【化200】


【化201】


【化202】


【化203】


【化204】


【化205】


【化206】


【化207】


【化208】


【化209】


【化210】


【化211】


【化212】


【化213】


【化214】


【化215】


【化216】


【化217】


【化218】


または
【化219】

【0167】
(15)本発明には、構造式VIIおよび構造式VIIIで示され、Yが酸素である化合物および塩が含まれる。
【化220】


構造式VII
【化221】


構造式VIII
【0168】
この実施の形態において、RとRは結合して、ピロリジン、ピペリジン、またはピペラジン環、あるいは、フェニルに縮合したピペラジン環を形成し、そのそれぞれは必要に応じて、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、CONH、−COOH、C〜Cアルキル、およびC〜Cアルコキシより独立して選ばれる0〜2個の置換基で置換されている。
【0169】
、R、R、およびRは、水素、C〜Cアルキル、および(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキルより独立して選ばれる。
【0170】
は、ヒドロキシル、アミノ、−COOH、−NR1011、−OR12、−NR10SO11、−(C=O)OR10、または−CONR1011である。
【0171】
10、R11、およびR12は独立して、水素であり、または、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキル、(ヘテロシクロアルキル)C〜Cアルキル、(フェニル)C〜Cアルキル、あるいは(5〜6員の単環式ヘテロアリール)C〜Cアルキルであって、そのそれぞれは、ハロゲン、ヒドロキシル、オキソ、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、トリフルオロメチル、およびトリフルオロメトキシより独立して選ばれる0〜3個の置換基で置換されている。
【0172】
16は、ハロゲン、C〜Cアルキル、およびC〜Cアルコキシより独立して選ばれる0〜2個の置換基である。
【0173】
Mは水素またはメチルである。
【0174】
(11)Zは、次の構造式で示されるキノリンである。
【化222】


式中、R21は、キノリンの7位の置換基と、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、シアノ、−CONH、−COOH、C〜Cアルキル、C〜Cアルカノイル、C〜Cアルコキシ、モノおよびジ−C〜Cアルキルアミノ、C〜Cハロアルキル、およびC〜Cハロアルコキシより独立して選ばれる0〜2個の追加の置換基とを示している。
【0175】
22は、(フェニル)C〜Cアルキルまたは(ピリジル)C〜Cアルキルであって、そのそれぞれは、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、シアノ、−COOH、−CONH、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、モノおよびジ−C〜Cアルキルアミノ、トリフルオロメチル、およびトリフルオロメトキシより独立して選ばれる、0、1、または2個の置換基で置換されている。
【0176】
<医薬調製物>
本発明の化合物は、化学物質のまま投与することもできるが、医薬組成物として投与することが望ましい。従って、本発明は、本発明の化合物または薬学的許容塩を、少なくとも1つの薬学的許容キャリアと共に含む医薬製剤を提示する。
【0177】
本発明の化合物は、一般的な薬学的許容キャリアを含む用量単位製剤として、経口的に、局所的に、非経口的に、吸入またはスプレーにより、舌下に、経皮的に、口腔への投与により、直腸投与により、点眼薬として、またはその他の手段によって投与できる。医薬組成物は、薬剤として有用な形状、例えば、エアロゾル、クリーム、ゲル、丸薬、カプセル、錠剤、シロップ、経皮パッチ、または点眼薬の形に調剤できる。錠剤やカプセルなどの一部の用量体は、適量、例えば、所望の目的を果たすために有効な量の活性成分を含む、適度の大きさの単位投与量に小分けする。
【0178】
賦形剤や希釈剤などのキャリアは、治療を受ける患者への投与に適したものにするため、純度が十分に高く、毒性が十分に低いものでなければならない。キャリアは不活性のものでも、それ自体が薬剤として有益なものでも良い。化合物と共に用いられるキャリアの量は、化合物を単位用量毎に投与する場合に実用的な物質量となるような量である。
【0179】
キャリアの種類としては、バインダ、緩衝剤、着色剤、希釈剤、崩壊剤、乳化剤、香料、 流動促進剤、滑剤、防腐剤、安定剤、界面活性剤、錠剤化剤、および湿潤剤が挙げられる(但し、これらに限定しない)。2つ以上に分類されるキャリアもあって、例えば、植物油は、 一部の製剤においては滑剤として、別のものでは希釈剤として用いられる。薬学的許容キャリアの例としては、糖類、澱粉類、セルロース類、トラガカント末、麦芽、ゼラチン、タルク、および植物油などが挙げられる。活性薬剤に、本発明の化合物の活性をあまり妨げない医薬組成物を必要に応じて加えても良い。
【0180】
バインダ類は、粉末を結合または“接着”させて顆粒とすることで凝集性を持たせる、つまり製剤中において“接着剤”として働く物質である。バインダ類は、希釈剤または増量剤中に既にある接着強さを高める。バインダ類の例としては、澱粉、ゼラチン、天然糖類、コーンシロップ、アカシアなどの天然または合成ゴム類、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、およびワックス類が挙げられる。組成物中のバインダの量は、例えば、組成物の約2〜約20重量%、または約3〜約10重量%、より望ましくは約3〜約6重量%とすることができる。
【0181】
希釈剤としては、乳糖、ショ糖、マンニトール、およびソルビトールなどの糖類;小麦、トウモロコシ、米、およびジャガイモから得た澱粉類;微結晶性セルロースなどのセルロース類が挙げられる。組成物中の希釈剤の量は、例えば、全組成物の約10〜約90重量%、約25〜約75重量%、約30〜約60重量%、または約12〜約60重量%である。
【0182】
崩壊剤は、医薬組成物をばらばらに分解(崩壊)して活性薬剤が放出され易くなるよう医薬組成物に加えられる材料である。適当な崩壊剤としては、ナトリウムカルボキシメチル澱粉などの“冷水に溶けるよう”変性させた澱粉類などの澱粉類;ローカストビーン、カラヤ、グアー、およびトラガカントゴムなどの天然および合成ゴム類と寒天;メチルセルロースおよびナトリウムカルボキシメチルセルロースなどのセルロース誘導体;クロスカルメロースナトリウムなどの微結晶性セルロース類および架橋した微結晶性セルロース類;アルギン酸およびアルギン酸ナトリウムなどのアルギン酸塩類;ベントナイトなどの粘土類;および発泡性混合物などが挙げられる。組成物中の崩壊剤の量は、例えば、組成物の約2〜約15重量%または約4〜約10重量%とすることができる。
【0183】
滑剤は、摩擦や摩耗を小さくして、錠剤、顆粒などを圧縮後に鋳型や金型から出し易くするため医薬製剤に加えられる物質である。医薬用量体に有用な滑剤の例としては、ホウ酸、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウムなどが挙げられる。滑剤は、顆粒の表面に、また顆粒と打錠機の部品との間になければならないため、一般に錠剤を圧縮する直前に加えられる。組成物中の滑剤の量は、例えば、組成物の約0.1〜約5重量%、約0.5〜約2重量%、または約0.3〜約1.5重量%とすることができる。単位用量中の本発明の化合物または塩の量は一般に、具体的な用途と化合物の効力に応じて、約1.0〜約1,000mg、約1.0〜約900mg、約1.0〜約500mg、または約1〜約250mgの範囲とし、または調節する。使用される実際の用量は、患者の年齢、性別、体重、治療する症状の重症度に応じて変わり得る。
【0184】
経口投与用に調剤された医薬組成物が多くの場合に望ましい。これらの組成物は、本発明の化合物を0.1〜99%含み、一般に本発明の化合物を少なくとも約5重量%含んでいる。一部の実施の形態では、本発明の化合物を約25〜約50%または5〜75%含んでいる。
【0185】
[液状製剤]
本発明の化合物は、例えば、水性または油性懸濁液、溶液、エマルション、シロップ、チンキ剤、シロップ、またはエリキシルなどの経口溶液状製剤に加えることができる。また、これらの化合物を含む製剤は、使用前に水または他の適当なビヒクルを用いて調製するための乾燥製品として、例えば、顆粒または粉末とすることもできる。シロップ、エリキシル、エマルション、および懸濁液に用いられる代表的なキャリア成分としては、エタノール、グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、液状ショ糖、ソルビトール、および水などが挙げられる。液状製剤には、懸濁化剤(例えば、ソルビトールシロップ、メチルセルロース、グルコース/糖、シロップ、ゼラチン、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ステアリン酸アルミニウムゲル、および水素化食用脂)、乳化剤(例えば、レシチン、ソルビタンモノオレアート、またはアカシア)、非水性ビヒクル(例えば、アーモンドオイル、ヤシ油、シリルエステル、プロピレングリコール、およびエチルアルコールなどの、食用油類を含むことができる)、および保存料(例えば、p−ヒドロキシ安息香酸メチルまたはプロピルおよびソルビン酸)などの、通常の添加剤を加えることができる。経口用製剤に、粘滑剤、香味剤、ショ糖やサッカリンなどの甘味剤、矯味剤、および着色剤を加えても良い。
【0186】
[懸濁液]
水性懸濁液は、水性懸濁液の製造に適した賦形剤と混合した活性材料(1つまたは複数)を含んでいる。このような賦形剤は、懸濁化剤(例えば、AVICEL RC−591、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントゴム、およびアカシアゴム)、分散または湿潤剤(例えば、レシチンおよびポリソルベート80)である。水性懸濁液には更に、1つ以上の防腐剤、例えば、p−ヒドロキシ安息香酸エチル、p−ヒドロキシ安息香酸n−プロピル、メチルパラベン、プロピルパラベン、および安息香酸ナトリウムを加えることができる。
【0187】
油性懸濁液は、活性成分を、植物油(例えば、ラッカセイ油、オリーブ油、ごま油、またはヤシ油)中、または鉱物油(例えば、流動パラフィン)中に懸濁させて調製することができる。油性懸濁液には、増粘剤、例えば、蜜ろう、固形パラフィン、またはセチルアルコールを加えても良い。先に述べた甘味剤や香味剤を加えて、飲み易い経口製剤としても良い。このような組成物にアスコルビン酸などの抗酸化剤を加えて保存性を良くしても良い。
【0188】
[エマルション]
本発明の医薬組成物は、水中油型エマルションの形状にすることもできる。油相は、植物油(例えば、オリーブ油またはラッカセイ油)、鉱油(例えば、流動パラフィン)、またはこれらの混合物であり得る。適当な乳化剤は、天然ゴム類(例えば、アカシアゴムまたはトラガカントゴム)、天然リン脂質類(例えば、大豆、レシチン、および脂肪酸とヘキシトールとから誘導したエステル類または部分エステル類)、無水物(例えば、ソルビタンモノオレアート)、前記部分エステル類とエチレンオキシドとの縮合生成物(例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレアート)であり得る。
【0189】
[錠剤およびカプセル]
錠剤は一般に、通常の薬学的に使用可能なアジュバント類を、不活性希釈剤(炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、マンニトール、乳糖、セルロースなど)、バインダ(澱粉、ゼラチン、ショ糖など)、崩壊剤(澱粉、アルギン酸、クロスカルメロースなど)、滑剤(ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、タルクなど)として含んでいる。粉末混合物の流動性を高めるため、二酸化ケイ素などの流動促進剤を用いても良い。見栄えを良くするためには、FD&C染料などの着色剤を加えることができる。アスパルテーム、サッカリン、メントール、ペパーミント、果実フレーバそnなどの甘味剤や香味剤は、チュアブル錠に有用なアジュバントである。カプセル(時間放出性製剤および徐放性製剤など)は一般に、先に述べた固体希釈剤を1つ以上含んでいる。多くの場合、キャリア成分の選択は、味、コスト、保存安定性など、二次的に考慮すべき事柄に応じて変わる。
【0190】
このような組成物は更に、所望の局所使用部に近い胃腸管内で対象化合物が放出されるよう、または所望の作用を長引かせるため様々な時間で放出されるよう、通常の方法、一般に、pHまたは時間依存性コーティングで被覆しても良い。このような用量体は一般に、酢酸フタル酸セルロース、酢酸フタル酸ポリビニル、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルセルロース、Eudragitコーティング、ワックス類、およびセラックの1つ以上を含んでいる(但し、これらに限定しない)。
【0191】
経口使用製剤は、ハードまたはソフトシェルカプセルとしても良い。カプセルとは、活性薬剤を特殊な容器または筐体に入れた用量体である。活性薬剤は、固体、液体、ゲル、または粉末体、あるいはその他の薬学的に許容される形状で存在し得る。カプセル殻は、メチルセルロース、ポリビニルアルコール、変性したゼラチンまたは澱粉、あるいはその他の材料でできていてもよい。ハードシェルカプセルは一般に、比較的ゲル強度の高い骨と豚皮ゼラチンの混合物から作られる。ソフトシェルカプセルの殻は、多くの場合、動物または植物ゼラチンから作られる。カプセル自体に少量の染料、不透明化剤、可塑剤、および防腐剤を加えても良い。
【0192】
カプセル中の活性薬剤は、不活性固体希釈剤、例えば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、またはカオリンと混合しても良く、あるいは軟ゼラチンカプセルの場合、活性成分を水または油媒体、例えば、ラッカセイ油、流動パラフィン、またはオリーブ油と混合しても良い。
【0193】
[注射剤および非経口製剤]
医薬組成物は、無菌性で注射可能な水性または油性懸濁液の形にしても良い。この懸濁液は、先に挙げた適当な分散剤または湿潤剤と懸濁化剤を用い、公知の方法に従って調剤することができる。無菌性注射剤はまた、無毒で非経口的に使用可能な希釈剤または溶媒に加えた、例えば、1,3−ブタンジオールの溶液とした、無菌性注射溶液または懸濁液であっても良い。使用可能なビヒクルおよび溶媒としては特に、水、リンゲル液、および等張性塩化ナトリウム溶液が挙げられる。更に、溶媒または懸濁媒体としては、無菌性の不揮発性油も一般に使用できる。この目的のため、合成モノまたはジグリセリド類などの、刺激のない不揮発性油も使用できる。更に、オレイン酸などの脂肪酸類も注射剤の製造に有用である。
【0194】
本発明の化合物は、無菌性媒体に加えて非経口的に投与することができる。非経口的投与法としては、皮下注射、静脈内、筋肉内、髄腔内注射または注入法が挙げられる。薬剤は、使用するビヒクルと濃度に応じて、ビヒクル中に溶解させても分散させても良い。有利なことに、局所麻酔薬、防腐剤、緩衝剤などのアジュバント類をビヒクルに溶解することができる。非経口投与用の組成物において、キャリアは一般に、全組成物の少なくとも約90重量%を占める。
【0195】
<包装済み製剤>
本発明には、包装された薬剤配合物が含まれる。このような包装済み配合物は、容器に入れた構造式Iの化合物を含む。容器には更に、患者におけるC型肝炎感染などのウイルス感染の治療または予防にこの配合物を用いるための説明書を加えても良い。
【0196】
包装済み薬剤配合物は、1つ以上の追加の活性薬剤を含んでいても良い。
【0197】
<治療方法>
本発明は、有効量の本発明の化合物を、C型肝炎に感染のおそれのある、またはC型肝炎ウイルスに感染した患者へ投与することによる、C型肝炎感染の予防および治療法を含む。
【0198】
本件に開示の薬剤配合物は、 患者におけるC型肝炎感染の予防および治療に有用である。有効量の本発明の薬剤配合物とは、(a)C型肝炎に罹り易いが、まだ罹患したとは診断されていない患者に、C型肝炎が起き、またはC型肝炎の症状が出るのを予防する、あるいは、一次C型肝炎感染に伴う、またはそれによって引き起こされる疾病(慢性HCV感染の場合に起こりやすい肝線維症など)を予防する、(b)C型肝炎の進行を抑える、(c)C型肝炎感染症を退行させる、ために十分な量であり得る。C型肝炎の進行を抑え、または退行させるために有効な量の医薬組成物は、C型肝炎の症状が悪化するのを止め、あるいは、C型肝炎ウイルスに感染した患者が悩まされている症状を軽減するために効果的な量を含んでいる。あるいは、C型肝炎の進行または退行における停止は、この疾病の多くのマーカのいずれかによって示され得る。例えば、C型肝炎ウイルス負荷に増大または減少がない、あるいは、患者の血中の循環HCV抗体数に増大または減少がないことは、C型肝炎感染の進行または退行における停止のマーカである。その他のC型肝炎疾病マーカとしては、アミノトランスフェラーゼレベル、特に、肝酵素ASTおよびALTレベルが挙げられる。血清(血液の液体部分)中のASTの通常レベルは、5〜40単位/リットルであり、ALTの通常レベルは、7〜56単位/リットルである。これらのレベルは、HCVに感染した患者においては一般に上昇すると考えられる。疾病の退行は一般に、ASTおよびALTレベルが通常範囲に戻ることによって示される。
【0199】
有効量の本発明の薬剤配合物によって影響されるC型肝炎の症状としては、肝機能の低下、倦怠感、風邪様症状(熱、悪寒、筋肉痛、関節痛、および頭痛)、悪心、特定の食物に対する嫌悪、原因不明の体重減少、うつ病などの精神的疾患、腹部の圧痛、および黄疸などが挙げられる。
【0200】
“肝機能”とは、肝臓の通常の機能、例えば、血清タンパク(例えば、アルブミン、凝固因子、アルカリ性ホスファターゼ、アミノトランスフェラーゼ(例えば、アラニントランスアミナーゼ、アスパラギン酸トランスアミナーゼ)、5’−ヌクレオシダーゼ、y−グルタミニルトランスペプチダーゼ等)などのタンパクの合成、ビリルビンの合成、コレステロールの合成、胆汁酸の合成などの合成機能;炭水化物代謝、アミノ酸およびアンモニア代謝、ホルモン代謝、脂質代謝などの肝臓代謝機能;外因性薬物の解毒作用;内臓および門脈血行動態などの血行動態機能を指す(但し、これらに限定しない)。
【0201】
本件に述べる配合物の有効量を患者へ投与しても、活性薬剤の濃度は十分な濃度となると考えられる。十分な濃度の活性薬剤とは、感染を予防する、または感染と戦うために必要な、患者体内での薬剤の濃度である。このような量は、実験的に、例えば、薬剤の血中濃度を求めることで、あるいは理論的に、バイオアベイラビリティを計算することで確認できる。in vitroでのウイルス感染の阻害に十分な活性薬剤の量は、文献に記載のレプリコンを用いた試験などのウイルス感染力に関する一般的な試験法で求めることができる。
【0202】
本発明はまた、本発明の化合物と少なくとも1つの追加活性薬剤とを含む薬剤配合物の予防的治療における使用を含んでいる。予防的(prophylacticまたはpreventative)治療の場合、本発明の化合物の有効量とは、C型肝炎感染症に罹る患者のリスクを有意に小さくするために十分な量である。
【0203】
治療方法には、本発明の化合物と少なくとも1つの追加活性薬剤とのある一定用量を患者へ投与することが含まれる。先に示した症状の治療において、それぞれの活性薬剤の用量は、約0.1〜約140mg/体重kg/日(約0.5mg〜約7g/患者/日)が有用である。キャリア材料と混合して単一用量体とする活性成分の量は、治療される患者と、具体的な投与方法によって変わるであろう。投与単位体は通常、各活性薬剤を約1〜約500mg含んでいるであろう。ある実施の形態では、25〜500mg、または25〜200mgの本発明の化合物を毎日患者に投与する。追加活性薬剤がNM283(valopicitabine)である場合、一般に、これらの薬剤はいずれも、100〜1,000mg/日、または200〜800mg/日、あるいは200〜400mg/日を患者に投与する。追加活性薬剤がVX−950である場合、1,000〜3,750mg/日、または1,200〜1,800mg/日を患者に投与する。本発明には特に、VX−950が追加活性薬剤であり、約350〜約450mgまたは約700〜約800mgのVX−950を1日3回患者に投与する、あるいは、約350〜約450mgまたは約700〜約800mgを12時間毎に投与する治療計画が含まれる。
【0204】
投薬の頻度も、使用する化合物と治療する特定の疾病によって変わるが、多くの感染症の治療では1日4回以下の投与計画が望ましく、1日1回または2回の投与計画が特に望ましい。
【0205】
しかし、特定の患者に対する具体的な用量は、使用する特定の化合物の活性、年齢、体重、総体的な健康状態、性別、食事、投与の時間、投与経路、排出速度、併用薬剤、治療を受ける特定の疾病の重症度など、様々な要因に応じて変わることは理解されよう。
【0206】
<併用療法>
本発明には、本発明の化合物または塩を1つ以上の追加活性薬剤と共に投与する治療法が含まれる。ある実施の形態において、活性薬剤(1つまたは複数)は、HCVプロテアーゼ阻害剤またはHCVポリメラーゼ阻害剤である。例えば、プロテアーゼ阻害剤は、telaprevir(VX−950)であり、ポリメラーゼ阻害剤はvalopicitabine、またはNM107(valopicitabineがin vivoで変化する活性薬剤)である。ある実施の形態において、第2の活性薬剤は、リバビリン、インターフェロン、またはペグインターフェロンα複合体である。
【0207】
本発明の方法に従って、本発明の化合物と追加活性薬剤とを、(1)一緒に調剤し、混合製剤として同時に投与する、(2)別々の製剤として交互に、または平行して投与する、あるいは、(3)当該技術で公知の別の併用治療計画で投与することができる。交互療法で投与する場合、本発明の方法には、本発明の化合物と追加活性薬剤とを順次、例えば、別の溶液、エマルション、懸濁液、錠剤、丸薬、またはカプセルとして、または、別の注射器に入れた別々の注射によって投与することが含まれ得る。一般に、交互療法の際には、それぞれの活性薬剤の有効用量を順次、即ち、逐次的に投与する。一方、同時療法では、2つ以上の活性成分の有効用量を一緒に投与する。更に、様々な順序の間欠的な併用療法が使用できる。
【0208】
ある実施の形態において、治療法には、患者に構造式Iの化合物とインターフェロン(ペグ化インターフェロンまたはインターフェロンγなど)との投与が含まれる。インターフェロンは、本発明の化合物と共に投与する唯一の化合物であっても良く、あるいは、インターフェロンではない追加活性薬剤と共に投与しても良い。
【0209】
本発明の治療法および薬剤配合物は、本発明の化合物と、追加活性薬剤として以下の化合物および物質のいずれかまたはその組み合わせとを含んでいる。
カスパーゼ阻害剤:IDN6556(Idun Pharmaceuticals)
シクロフィリン阻害剤:NIM811(Novartis)およびDEBIO−025(Debiopharm)
シトクロムP450モノオキシゲナーゼ阻害剤:リトナビル(国際公開第94/14436号)、ケトコナゾール、トロレアンドマイシン、4−メチルピラゾール、シクロスポリン、クロメチアゾール、シメチジン、イトラコナゾール、フルコナゾール、ミコナゾール、フルボキサミン、フルオキセチン、ネファゾドン、セルトラリン、インディナビル、ネルフィナビル、アンプレナビル、ホサンプレナビル、サクイナビル、ロピナビル、デラビルジン、エリスロマイシン、VX−944、およびVX−497、望ましいCYP阻害剤として、リトナビル、ケトコナゾール、トロレアンドマイシン、4−メチルピラゾール、シクロスポリン、およびクロメチアゾール
グルココルチコイド類:ヒドロコルチゾン、コルチゾン、プレドニゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、トリアムシノロン、パラメタゾン、ベタメタゾン、およびデキサメタゾン
増血剤:増血剤−1および増血剤−2、様々なコロニー刺激因子(例えば、G−CSF、GM−CSF、M−CSF)、Epo、およびSCF(幹細胞因子)など、増血剤スーパーファミリのその他のもの
ホメオパシ治療薬:オオアザミ(Milk Thistle、silymarin)、朝鮮人参、グリシルリジン、甘草、schisandra、ビタミンC、ビタミンE、βカロテン、およびセレン
免疫調節化合物:サリドマイド、IL−2、増血剤、IMPDH阻害剤、例えば、Merimepodib(Vertex Pharmaceuticals Inc.)、インターフェロン、例えば、天然型インターフェロン(OMNIFERON(Viragen)およびSUMIFERON(Sumitomo)など、天然型インターフェロンの混合物)、天然型インターフェロンα(ALFERON(Hemispherx Biopharma, Inc.))、リンパ芽球様細胞からのインターフェロンαnl(WELLFERON(Glaxo Wellcome))、経口αインターフェロン、ペグインターフェロン、ペグインターフェロンα2a(PEGASYS(Roche))、組み換えインターフェロンα2a(ROFERON(Roche))、吸入インターフェロンα2b(AERX(Aradigm))、ペグインターフェロンα2b(ALBUFERON(Human Genome Sciences/Novartis)、PEGINTRON(Schering))、組み換えインターフェロンα2b(INTRON A(Schering))、ペグ化インターフェロンα2b(PEG−INTRON(Schering)、VIRAFERONPEG(Schering))、インターフェロンβ−1a(REBIF(Serono, Inc. および Pfizer))、コンセンサスインターフェロンα(INFERGEN(Valeant Pharmaceutical))、インターフェロンγ−1b(ACTIMMUNE(Intermune, Inc.))、非ペグ化インターフェロンα、αインターフェロン、およびその類似物、および合成サイモシンα1(ZADAXIN(SciClone Pharmaceuticals Inc.))
免疫抑制剤:シロリムス(RAPAMUNE、Wyeth)
インターロイキン:(IL−1、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−10、IL−11、IL−12)、LIF、TGF−β、TNF−α、およびその他の低分子量因子(例えば、AcSDKP、pEEDCK、胸腺ホルモン、およびミニサイトカイン類)
インターフェロンエンハンサ:EMZ702(Transition Therapeutics)
IRES阻害剤:VGX−410C(VGX Pharma)
モノクローナルおよびポリクローナル抗体:XTL−6865(XTL)、HuMax−HepC(Genmab)、C型肝炎免疫グロブリン(ヒト)(CIVACIR(Nabi Biopharmceuticals))
ヌクレオシド類似物:ラミブジン(EPIVIR、3TC(Glaxo SmithKline))、MK−0608(Merck)、ザルシタビン(HIVID(Roche US Pharmaceuticals))、リバビリン(COPEGUS(Roche)、REBETOL(Schering)、VILONA(ICN Pharmaceuticals)、およびVIRAZOLE(ICN Pharmaceuticals)など)、およびビラミジン(Valeant Pharmaceuticals)、リバビリンのアミジンプロドラッグ。ヌクレオシド類似物の混合物も使用できる
非ヌクレオシド系阻害剤:PSI−6130(Roche/Pharmasset)、delaviridine(RESCRIPTOR(Pfizer))、およびHCV-796(Viropharm)
P7タンパク阻害剤:アマンタジン(SYMMETREL(Endo Pharmaceuticals, Inc.))
ポリメラーゼ阻害剤:NM283(valopicitabine)(Idenix)およびNM107(Idenix)
プロテアーゼ阻害剤:BILN−2061(Boehringer Ingelheim)、GW−433908(アンプレナビルのプロドラッグ(Glaxo/Vertex))、インディナビル(CRIXIVAN(Merck))、ITMN−191(Intermune/Array Biopharma)、VX950(Vertex)、および前述のプロテアーゼ阻害剤を1つ以上含む混合物
RNA干渉剤:SIRNA−034RNAi(Sirna Therapeutics)
治療ワクチン:IC41(Intercell)、IMN−0101(Imnogenetics)、GI5005(Globeimmune)、Chronvac−C(Tripep/Inovio)、ED−002(Imnogenetics)、Hepavaxx C(ViRex Medical)
TNF作用薬:アダリムマブ(HUMIRA(Abbott))、エンタネルセプト(ENBREL(Amgen および Wyeth))、インフリキシマブ(REMICADE(Centocor, Inc.))
チューブリン阻害剤:コルヒチン
スフィンゴシン−1−リン酸受容体調節剤:FTY720(Novartis)
TLR作用薬:ANA−975(Anadys Pharmaceuticals)、TLR7作用薬(Anadys Pharmaceuticals)、CPG10101(Coley)、およびTLR9作用薬(CPG7909(Coley)など)
シクロフィリン阻害剤:NIM811(Novartis)およびDEBIO−025(Debiopharm)
【0210】
C型肝炎薬物治療を受けている患者は一般に、他の活性薬剤と共にインターフェロンを投与される。このため、追加活性薬剤として、ペグ化インターフェロンα2aなどのインターフェロンと共に本発明の化合物が投与される、治療法および薬剤配合物は、実施の形態として含まれる。同様に、リバビリンが追加活性薬剤である方法および薬剤配合物も本件に提示する。
【実施例】
【0211】
[略語]
実施例1では、以下の化学的略語を用いる。これらの実施例で用いられるその他の略語は、有機化学合成の技術に詳しい者にはよく知られているものであろう。
CDI 1,1’−カルボニルジイミダゾール
DBU ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン
DCM ジクロロメタン
DIEA N,N−ジイソプロピルエチルアミン
DMF ジメチルホルムアミド
HATU O−(7−アザベンゾトリアゾール−l−イル)−1,1,3,3−テトラ
メチルウロニウム
HBTU O−(1H−ベンゾトリアゾール−l−イル)−N,N,N’,N’−テト
ラメチルウロニウム=ヘキサフルオロリン酸
NMM N−メチルモルホリン
RCM 閉環メタセシス
TEA トリエチルアセタート(triethylacetate)
TFA トリフルオロ酢酸
【0212】
<実施例1:1−((2S,4R)−1−((S)−2−tert−ブチル−4−オキソ−4−(ピペリジン−1−イル)ブタノイル)−4−(7−メトキシ−2−フェニルキノリン−4−イルオキシ)ピロリジン−2−カルボキサミド)−2−ビニルシクロプロパンカルボン酸の合成>
[工程1:N−(シクロプロピルスルホニル)−1−(BOC−アミノ)−2−ビニルシクロプロパンカルボキサミドの調製]
【化223】

【0213】
CDI(2.98g、18.4mmol、1.1当量)を酢酸エチルに溶解する。N−Boc−シクロプロピルビニル酸(3.8g、16.7mmol、1.0当量、Beaulieu, P.L.ら(J. Org. Chem. 70: 5869-79 (2005))による方法で調製)を、CDI/酢酸エチル混合物に加え、開始材料がなくなるまで室温で撹拌する。この混合物にシクロプロピルスルホンアミン(2.2g、18.4mmol、1.1当量)を加えた後、DBU(2.1ml、20.5mmol、1.23当量)を加え、混合物を室温で2時間撹拌する。生成物をシリカゲルクロマトグラフィで精製すると、2gの化合物2が得られる。
【0214】
[工程2:(2S,4R)−2−(1−(シクロプロピルスルホニルカルバモイル)−2−ビニルシクロプロピルカルバモイル)−4−(7−メトキシ−2−フェニルキノリン−4−イルオキシ)ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチル、および(2S,4R)−N−(1−(シクロプロピルスルホニルカルバモイル)−2−ビニルシクロプロピル)−4−(7−メトキシ−2−フェニルキノリン−4−イルオキシ)ピロリジン−2−カルボキサミドの調製]
【化224】

【0215】
DMFに溶解した化合物1(4.3g、9.3mmol、1.1当量、国際公開第02/060926号の方法に従って調製)を、O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウム=ヘキサフルオロリン酸(4.1g、10.5mmol、1.3当量)と共に30分間撹拌後、シクロプロピルアミン2(1.92g、8.3mmol、1.0当量)とN−メチルモルホリン(2.52g、25.0mmol、3.0当量)とを加える。混合物を一晩撹拌し、減圧下で溶媒を除く。得られた残留物を酢酸エチルで希釈し、NaHCO飽和水溶液で洗う。有機溶媒をMgSO上で乾燥し、減圧下で濃縮して、粗生成物3を得る。これを更に精製することなく次の工程で用いる。
【0216】
10mlの乾燥CHClに溶解した化合物3を5mlのTHFで処理し、一晩撹拌する。溶媒を除き、残留物を酢酸エチルから再結晶させて、4.12gの化合物4(2工程の収率61%)を得る。
【0217】
[工程3:(3S)−3−((2S,4R)−2−(1−(シクロプロピルスルホニルカルバモイル)−2−ビニルシクロプロピルカルバモイル)−4−(7−メトキシ−2−フェニルキノリン−4−イルオキシ)ピロリジン−l−カルボニル)−4,4−ジメチルペンタン酸の調製]
【化225】

【0218】
1.2mLのDMFに溶解した、酸5(58mg、0.25mmol、1.2当量、Evans, D.A.ら(J. Org. Chem. 64: 6411- 6417 (1999))による方法で調製)を、化合物4(138mg、0.21mmol)、HATU(160mg、0.42mmol、2.0当量)、およびDIEA(0.63mmol、3.0当量)と共に一晩撹拌する。混合物をHPLCで精製して、121mgの化合物6(収率77%)を得、これを更に、1.0mLのDCMに加えた0.5mlのTHFで一晩処理する。溶媒を除き、化合物7を収率100%で得る。
【0219】
[工程4:(2S,4R)−1−((S)−2−tert−ブチル−4−オキソ−4−(ピペリジン−1−イル)ブタノイル)−N−(1−(シクロプロピルスルホニルカルバモイル)−2−ビニルシクロプロピル)−4−(7−メトキシ−2−フェニルキノリン−4−イルオキシ)ピロリジン−2−カルボキサミドの調製]
【化226】

【0220】
1.0mLのDMFに溶解した酸7(0.15mmol)を、ピペリジン(pepridine)(過剰、0.6mmol、4当量)、HATU(115mg、0.3mmol、2.0当量)、およびDIEA(0.45mmol、3.0当量)と共に4時間撹拌する。混合物をHPLCで精製して、77.1mgの化合物8を得る。
【0221】
[工程5:(3S)−3−((2S,4R)−2−(1−(エトキシカルボニル)−2−ビニルシクロプロピルカルバモイル)−4−(7−メトキシ−2−フェニルキノリン−4−イルオキシ)ピロリジン−1−カルボニル)−4,4−ジメチルペンタン酸の調製]
【化227】

【0222】
1.2mlのDMFに溶解した酸5(105mg、0.46mmol、1.2当量)を、化合物9(202mg、0.38mmol)、HATU(290mg、0.76mmol、2.0当量)、およびDIEA(1.2mmol、3.0当量)と共に一晩撹拌する。混合物をHPLCで精製して、204.3mgの化合物10を得る(収率75%)。これを更に、1.0mLのDCMに加えた0.5mLのTFAで一晩処理する。溶媒を除き、化合物11を収率100%で得る。
【0223】
[工程6:最終生成物の調製]
【化228】

【0224】
1.0mLのDMFに加えた酸11(30mg、0.045mmol)を、ピペリジン(0.27mmol、6当量)、HATU(34mg、0.09mmol、2.0当量)、およびDIEA(0.14mmol、3.0当量)と共に2時間撹拌する。混合物をHPLCで精製すると、21.2mgの化合物12が得られる(収率65%)。これを、2N NaOHを加えたメタノール中で6時間加水分解する。混合物を6N HClで酸性にし、HPLCで精製すると、7.6mgの化合物13が得られる。
【0225】
<実施例2:大環状化合物の合成>
(一般的手法)
[手法1:脱保護反応(N−Bocのアミンへの、またはt−ブチルエステルのカルボン酸への変換)]
室温で、無水DCM(7ml)に加えた、Boc保護された開始材料(1mmol)またはt−ブチルエステルの溶液に、THF(3〜4ml)を加える。LC/MSおよびTLCで反応をモニタする。1〜3時間後、反応混合物を減圧下で蒸発乾固する。この粗生成物を、更に精製することなく次の反応工程で用いる。
【0226】
[手法2:アミドの生成]
室温で、N−メチルモルホリン(2mmol)とHBTU(1.2mmol)とを、酸(1mmol)の無水DMF(10ml)溶液に一度に加える。室温で10分間撹拌後、アミン(1mmol)を一度に加えた後、一晩撹拌する。反応混合物を氷水中に注ぎ入れ、酢酸エチル(100ml)で抽出する。有機層を水と塩水とで洗い、無水MgSO上で乾燥する。残留物を濾過し、減圧下で蒸発乾固する。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィによりシリカゲル上(ヘキサン−酢酸エチル(100:0〜50:50))で精製し、所望の生成物を得る。
【0227】
[手法3:第2世代グラブス触媒(CAS登録番号246047−72−3)またはHoveyda-第2世代グラブス触媒(CAS登録番号301224−40−8)を用いたRCM]
1,2−ジクロロエタンに加えた、開始材料(ジオレフィン、1mmol)と、触媒(5〜30モル%)との混合物を脱気し、アルゴン雰囲気中、110℃で12〜24時間加熱する。反応をLC/MSとTLCでモニタする。反応混合物を減圧下で蒸発乾固する。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィによりシリカゲル上(ヘキサン−酢酸エチル(100:0〜50:50))で精製し、所望の生成物を得る。
【0228】
[手法4:エステルの加水分解]
室温で、THF(5ml)、メタノール(2.5ml)、および水(2.5ml)にエステル(1mmol)を加えた溶液に、LiOH水和物(6当量)を一度に加え、反応混合物を一晩撹拌する。反応が完了したら(LC/MSによって確認)、これを0℃に冷やし、pH約2まで酸性化して、DCM(20ml×2)で抽出する。反応物をMgSO上で乾燥して濾過し、減圧下で蒸発乾固する。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィによりシリカゲル上(ヘキサン−酢酸エチル(100:0〜20:80))で精製し、所望の生成物を得る。
【0229】
スキーム1
【化229】

【0230】
化合物21は、手法1および2により、出発材料14とアミノ酸20から調製する。MS(M+1)754
化合物22は、工程3の手法により調製する。MS(M+1)726
化合物23は、手法1および2により調製する。MS(M+1)737
化合物24は、手法4により調製する。MS(M+1)709
【0231】
スキーム2:化合物34および35の合成
【化230】

【0232】
化合物29は、手法4により出発材料28から調製する。
化合物30は、工程2に述べた手法により、出発材料29を用いて調製する。
化合物31は、工程1および2に述べた手法により、出発材料30を用いて調製する。
化合物33は、工程4に述べた手法により、出発材料28と32を用いて調製する。
化合物34および35は、工程3に述べた手法により調製する。RCM後、反応混合物を予備TLC(ヘキサン−酢酸エチル(1:1))で分離して、化合物34および35を得る。MS(M+1)812
【0233】
(中間体20および32の調製)
【化231】

【0234】
工程1:8−ノネン酸(1.56g、10mmol)を100mlのフラスコに入れ、N雰囲気中、0℃に冷やして無水エーテル(35ml)を加える。TEA(1.6g、16mmol)を加えた後、塩化ピバロイル(1.26g、10.5mmol)を滴下して加える。氷浴を外し、反応混合物を室温で1時間撹拌する。得られた懸濁液を0℃に冷やし、N雰囲気中で250mlのフラスコへ濾過する(無水エーテルで2回(10ml×2)洗う)。濾液を−78℃に冷却し、無水THF(25ml)で希釈する。
【0235】
数粒の1,10−フェナントロリン結晶を、(S)(−)−4−ベンジル−2−オキサゾリジノンのTHF(25ml)溶液に加える。溶液を−78℃に冷却し、n−BuLiの溶液(ヘキサン中1.6M、6.5ml、10.4mmol)を、赤色が10分間持続するまで、滴下して加える。この溶液を、−78℃で、カニューレを用いて先に冷却しておいた混合無水物溶液に20分間に亘って加える。得られた混合物を−78℃で更に30分間撹拌した後、飽和NHClに注ぎ入れて有機層を分け、水層をエーテル(50ml×3)で抽出する。合わせた有機層を塩水で洗ってMgSO上で乾燥し、濾過して、減圧下で蒸発乾固する。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィ(ヘキサン−酢酸エチル(100:0〜100:20))で精製して、3.01gの化合物26(95%)を得る。
【0236】
工程2:化合物26(3.01g、9.6mmol)の無水THFの溶液を−78℃に冷却し、2.0MのNaN(TMS)のヘキサン溶液(5.76ml)を、10分間に亘って滴下して加える。30分後、−78℃でブロモ酢酸t−ブチルを滴下して加える。反応混合物を−78℃で2時間撹拌する。LC/MSとTLCで反応をモニタする。10%のKHSOでpHを約4〜6として反応を止め、酢酸エチルで抽出し、有機層をHOと塩水とで洗い、MgSO上で乾燥し、濾過し、減圧下で蒸発乾固する。粗生成物を、クロマトグラフィによりシリカゲル上(ヘキサン−酢酸エチル(100:0〜100:20))で精製して、化合物14を得る。
【0237】
工程3:0℃で、H(50%、0.9ml)を5分間に亘って滴下し、次に、LiOHの溶液(水2mlに0.2g)を加える。反応混合物を、化合物27(1.05g、2.44mmol)のTHF/HO(5:1、24ml)溶液に加える。混合物を0℃で1時間撹拌後、温度を20℃以下に保ちながらチオ硫酸ナトリウム水溶液(10ml)を滴下して加え、反応を止める。混合物を酢酸エチル(廃棄)で抽出し、固体のクエン酸を用いて水相をpH約2に酸性化して酢酸エチルで抽出する。合わせた有機相を塩水で洗い、無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、減圧下で溶媒を除く。残留物をカラムクロマトグラフィにより、シリカゲル上、ヘキサン:酢酸エチル(100:0)から50:50の勾配系で溶出し、所望の化合物20(503mg)を得る。
【0238】
工程4:化合物36は手法1により調製する。
【0239】
工程5:化合物37は手法2により調製する。
【0240】
工程6:化合物32は、化合物20の調製で用いた工程3の手法により、化合物37から調製する。
【0241】
<実施例3:その他の第三級アミン置換ペプチド類>
【表1】

【0242】
【表2】

【0243】
【表3】

【0244】
【表4】

【0245】
【表5】

【0246】
【表6】

【0247】
【表7】

【0248】
<実施例4:HCV複製を阻害する化合物を特定するための試験>
HCVレプリコン構造を組み込んだ培養細胞におけるC型肝炎レプリコンのウイルス複製を阻害する能力について、本件に請求の化合物を試験する。HCVレプリコン系は、Bartenschlagerら(Science, 285, pp. 110-113 (1999))によって述べられている。レプリコン系によってin vivoでの抗HCV活性が予測できる。ヒトにおいて活性な化合物は、常にレプリコン試験で活性を示す。
【0249】
この試験では、HCVレプリコンを含む細胞を様々な濃度の供試化合物で処理し、供試化合物がHCVレプリコンの複製を抑制する能力を確認する。陽性対照として、HCVレプリコン含有細胞を、HCV複製の阻害剤として知られる様々な濃度のインターフェロンαで処理する。レプリコン試験系は、宿主細胞中でのレプリコン遺伝子産物の転写を検出するため、レプリコン自体の成分として、ネオマイシンホスホトランスフェラーゼ(NPT)を含んでいる。HCVレプリコンが活発に複製されている細胞は、NPTの濃度が高く、NPTの濃度は、HCV複製に比例する。HCVレプリコンが複製されていない細胞は、NPTの濃度も低いため、ネオマイシンで処理すると生き残れない。各試料のNPT濃度は、捕獲ELISAを用いて測定する。
【0250】
レプリコン構造を組み込んだC型肝炎レプリコン培養細胞のウイルス複製を阻害する能力について、化合物を試験するためのプロトコルは、以下のとおりである。
【0251】
[4A:HCVレプリコンおよびレプリコン発現]
HCVゲノムは、3000個のアミノ酸ポリプロテインをコード化する単一ORFで構成されている。ORFの5’側には、内部リボソーム侵入部位(IRES)として働く非翻訳領域があり、3’側には、ウイルス複製に必要な高度に保存された配列(3’−NTR)がある。ウイルス感染に必要な構造タンパクは、ORFの5’端付近に存在する。非構造タンパク(NS2〜NS5Bと呼ぶ)は、ORFの残りの部分を成している。
【0252】
HCVレプリコンは、5’−3’、HCV−IRES、ネオマイシンホスホトランスフェラーゼ(neo)遺伝子、脳心筋炎ウイルスのIRES(HCV配列の翻訳をNS3からNS5Bへ向ける)、および3’−NTRを含んでいる。HCVレプリコンの配列は、GenBank(受け入れ番号:AJ242652)に保存されている。
【0253】
レプリコンを、エレクトロポレーションなどの標準的な方法を用いてHuh−7細胞にトランスフェクトする。
【0254】
[4B:細胞の維持]
装置および材料には、Huh−7 HCVレプリコン含有細胞、維持培地(10%FBS、L−グルタミン、非必須アミノ酸類、ペニシリン(100単位/ml)、ストレプトマイシン(100μg/ml)、および500μg/mlのジェネティシン(G418)を補ったDMEM(ダルベッコの変法イーグル培地))、スクリーニング培地(10%FBS、L−グルタミン、非必須アミノ酸類、ペニシリン(100単位/ml)、およびストレプトマイシン(100μg/ml)を補ったDMEM)、96穴(ウェル)の組織培養プレート(平底)、96穴のプレート(U底、薬剤希釈用)、陽性対照用インターフェロンα、固定剤(メタノール:アセトンなど)、一次抗体(ウサギ抗NPTII)、二次抗体(Eu−N1l)、およびエンハンスメント溶液が含まれる(但し、これらに限定しない)。
【0255】
HCVレプリコン含有細胞は、その密度が適当であれば高レベルのウイルスRNAレプリコン複製を持続する。細胞密集度が過剰になるとウイルスRNA複製は低下する。このため、細胞を、500μg/mlのG418の存在下、対数増殖相で成長させ続けなければならない。一般に細胞は週2回、1:4〜6倍希釈して継代する。細胞の維持は次のように行う。
【0256】
HCVレプリコン含有細胞を顕微鏡下で観察し、細胞の成長が良好であることを確認する。細胞をPBSで1度濯ぎ、2mlのトリプシンを加える。細胞/トリプシン混合物を、COインキュベータ内、37℃で3〜5分間培養する。培養後、10mlの完全培地を加えてトリプシン処理反応を止める。細胞を静かにブローして15mlの遠沈管に入れ、1,200rpmで4分間遠心分離する。トリプシン/培地溶液を除く。培地(5ml)を加え、細胞を丁寧に混合する。細胞を数える。
【0257】
次に、細胞を、6,000〜7,500細胞/100μl/穴(6〜7.5×10細胞/10ml/プレート)の密度で、96穴のプレートに接種する。次にプレートを、5%COのインキュベータ中、37℃で培養する。
【0258】
接種の約24時間後、薬剤を加える前に、細胞を顕微鏡下で観察する。計数と希釈が正確に行われていれば、細胞は60〜70%の密集度で、ほぼ全ての細胞が繋がってウェル中に平らに広がっている。
【0259】
[4C:供試化合物を用いたHCVレプリコン含有細胞の処理]
HCVレプリコン含有細胞をPBSで1度濯ぎ、2mlのトリプシンを加える。細胞を、5%COのインキュベータ中、37℃で3〜5分間培養する。10mlの完全培地を加えて反応を止める。細胞を静かにブローして15mlの遠沈管に入れ、1,200rpmで4分間遠心分離する。トリプシン/培地溶液を除き、BRLカタログ#12430−054の培地(500mlのDMEM(高グルコース))5mlと、50mlの10%FBSと、5%のジェネティシンG418(50mg/ml、BRLカタログ#10131−035)と、5mlのMEM非必須アミノ酸類(100×、BRL#11140−050)と、5mlのpen-strep(BRL#15140−148)とを加える。細胞と培地を丁寧に混合する。
【0260】
スクリーニング培地(500mlのDMEM(BRL#21063−029)、50mlのFBS(BRL#10082−147)、および5mlのMEM非必須アミノ酸(BRL#11140−050))を用いて、6,000〜7,500f細胞/100μl/96穴のプレートのウェル(6〜7.5×10細胞/10ml/プレート)で、細胞を培養する。プレートを、37℃、5%COのインキュベータ中に一晩置く。
【0261】
[4D:試験]
翌朝、スクリーニングのために選定した最終濃度に応じて、培地またはDMSO/培地を用いて、薬剤(供試化合物またはインターフェロンα)を、96穴のU底プレート中で希釈する。一般に、各供試化合物の6個の濃度として、10μM〜0.03μMの範囲を用いる。HCVレプリコン細胞を入れた96穴のプレートのウェル中に、100μlの供試化合物希釈液を入れる。陰性対照として、いくつかのウェルに薬剤を加えない培地を加える。DMSOは細胞成長に影響することが知られている。このため、単一用量スクリーニングでは、DMSOに希釈した薬剤を用いる場合、陰性対照(培地のみ)および陽性対照(インターフェロンα)ウェルを含む全てのウェルに、同濃度のDMSOを加えなければならない。プレートを、37℃、加湿した5%CO環境中で3日間培養する。
【0262】
4日目に、NTPII試験を定量する。培地をプレートから排出し、プレートを200μlのPBS中で1度洗う。PBSを傾斜して流し、プレートをペーパータオルで軽くたたいて残っているPBSを全て除く。100μl/ウェルの予冷(−20℃)メタノール:アセトン(1:1)を用いて、その場で細胞を固定し、プレートを−20℃で30分間置く。
【0263】
定着液をプレートから排出し、プレートを完全に空気乾燥させる(約1時間)。乾燥細胞層の出現を記録し、毒性ウェルの細胞密度を肉眼で判定する。あるいは、下記のMTS試験を用いて、細胞生存率を評価しても良い。
【0264】
200μlのブロッキング溶液(PBSに10%のFBSと3%のNGSを加えたもの)を用い、室温で30分間、ウェルをブロックする。ブロッキング溶液を除き、ブロッキング溶液で1:1000の割合に希釈したウサギ抗NPTIIを100μl、各ウェルに加える。次に、プレートを室温で45〜60分間培養する。培養後、ウェルをPBS−0.05%Tween−20溶液で6回洗う。ブロッキング緩衝液で1:15,000に希釈した、ユーロピウム(EU)結合ヤギ抗ウサギを100μl、各ウェルに加え、室温で30〜45分間培養する。プレートを再度洗い、100μlのエンハンスメント溶液(パーキン・エルマー(Perkin Elmer)#4001−0010)を各ウェルに加える。それぞれのプレートを、プレートシェーカ(約30rpm)で3分間シェイクする。各ウェルから95μlをブラックプレートに移し、パーキン・エルマーVICTORプレートリーダ(EU−Lance)でEUシグナルを定量する。
【0265】
実施例3に示した化合物をこの試験法で試験した。EC50欄に1個の“*”があるものは10μMよりも高いEC50を持ち、2個(**)のものは、1μMより高く、10μM未満のEC50を持ち、3個(***)の化合物は、100ナノモル濃度(nM)以下のEC50値を持つ。
【0266】
<実施例5:毒性試験>
レプリコン複製の低下が、非特異的毒性でなく、HCVレプリコンに対する化合物の活性であることを確認するため、試験を行って化合物の細胞毒性を定量する。
【0267】
[5A:細胞毒性のための細胞タンパクアルブミン試験]
細胞タンパクアルブミン測定値は、細胞毒性の1つのマーカとなる。細胞アルブミン試験より得られるタンパク濃度は、化合物の抗ウイルス活性の標準化基準を設けるためにも使用できる。タンパクアルブミン試験では、HCVレプリコン含有細胞を、様々な濃度のhelioxanthinで3日間処理する。helioxanthinは、高濃度において細胞毒性を持つことが知られる化合物である。細胞を溶解し、細胞溶解物を用いて、室温(25〜28℃)で3時間、プレートに結合させたヤギ抗アルブミン抗体と結合させる。次に、プレートを1×PBSで6回洗う。結合していないタンパクを洗い流した後、マウスモノクローナル抗ヒト血清アルブミンを用いて、アルブミンをプレートに結合させる。次に、二次抗体としてホスファターゼ標識抗マウスIgGを用いて、複合体を検出する。
【0268】
[5B:細胞毒性のためのMTS試験]
細胞生存率は、CELLTITER96 AQUEOUS ONE溶液細胞増殖試験(Promega, Madison WI)、生存細胞数を求めるための比色分析でも求められる。この方法では、細胞を固定する前に、製造者の説明書に従って10〜20μlのMTS試薬を各ウェルに加え、プレートを37℃で培養して、OD490nmで読み取る。培養期間の間、生存細胞はMTS試薬を、490nmに吸収を持つホルマザン生成物に変える。つまり、490nmの吸光度は、培養基中の生存細胞の数に正比例する。
【0269】
細胞毒性を求めるための細胞アルブミンとMTS法との直接比較は、以下のようにして得られる。様々な濃度の供試化合物またはhelioxanthinで、細胞を3日間処理する。前述のようにアルブミンを検出するために溶解する前に、製造者の説明書に従ってMTS試薬を各ウェルに加え、37℃で培養して、OD490nmを読み取る。次に、前述のように細胞アルブミン定量を行う。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の構造式で示される化合物またはその薬学的許容塩であって、
【化1】


式中、
【化2】


は、共有二重または単結合を示し、
【化3】


で示される基は、0または1個の二重結合を含み、
は、−NR1011、−(C=O)NR1011、−(C=S)NR1011、−(C=O)R12、−SO12、−(C=O)OR12、−O(C=O)R12、−OR12、または−N(C=O)R12であり、あるいは、
は、水素、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、(アリール)C〜Cアルキルであり、あるいは、
とRとは、0または1個の追加のN、S、またはO原子を含む、必要に応じて置換された5〜7員の複素環、あるいは、必要に応じて置換された5〜7員の炭素環または複素環に縮合した、0または1個の追加のN、S、またはO原子を含む、必要に応じて置換された5〜7員の複素環を形成し、
、R、R、R、R、およびRは独立して、(a)または(b)であって、
(a)は、水素、ハロゲン、またはアミノであり、
(b)は、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキル、(C〜Cシクロアルケニル)C〜Cアルキル、(ヘテロシクロアルキル)C〜Cアルキル、C〜Cアルカノイル、あるいはモノまたはジ−C〜Cアルキルアミノであって、そのそれぞれは必要に応じて置換されており、あるいは、
とRは結合して、必要に応じて置換された3〜7員のシクロアルキル環、または、N、S、およびOより独立して選ばれる1または2個のヘテロ原子を含む、必要に応じて置換された3〜7員のヘテロシクロアルキル環を形成し、
とRは結合して、必要に応じて置換された3〜7員のシクロアルキル環、または、N、S、およびOより独立して選ばれる1または2個のヘテロ原子を含む、必要に応じて置換された3〜7員のヘテロシクロアルキル環を形成し、
とRは結合して、必要に応じて置換された3〜7員のシクロアルキル環、または、N、S、およびOより独立して選ばれる1または2個のヘテロ原子を含む、必要に応じて置換された3〜7員のヘテロシクロアルキル環を形成し、あるいは、
は、(i)メチレン基であるRに共有結合した、C〜C11飽和または不飽和炭化水素鎖であり、あるいは、Rは、(ii)RとRが結合して、必要に応じて置換された3〜7員のシクロアルキル環を形成することによってできた、必要に応じて置換されたシクロアルキル環に共有結合した、C〜C11飽和または不飽和炭化水素鎖であって、Rは、水素、C〜Cアルキル、または(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキルであり、
Tは、その炭素原子を経て結合したテトラゾール基であり、または、
Tは、次の構造式で示される基であって、
【化4】


は、ヒドロキシル、アミノ、−COOH、−NR1011、−OR12、−SR12、−NR10(S=O)R11、−NR10SO11、−NR10SONR1112、−NR10SONR1112、−(C=O)OR10、−NR10(C=O)OR11、または−CONR1011であり、あるいは、
は、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルカノイル、(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキル、(C〜Cシクロアルケニル)C〜Cアルキル、(C〜Cシクロアルキル)CHSO−、(C〜Cシクロアルキル)CHSONR10−、(ヘテロシクロアルキル)C〜Cアルキル、(アリール)C〜Cアルキル、または(5〜10員のヘテロアリール)C〜Cアルキルであって、そのそれぞれは必要に応じて置換されており、あるいは、
は、次の構造式で示されるホスホナートであって、式中、pは、0、1、または2であり、
【化5】


は、RXC〜Cアルキルであって、Xは、−(C=O)NH−、−NH(C=O)−であり、Rは、アリールまたはヘテロアリールであり、あるいは、
は、−CH(R)(C〜Cシクロアルキル)、−SOCH(R)(C〜Cシクロアルキル)、または−NR10SOCH(R)(C〜Cシクロアルキル)であって、Rはハロゲンであり、またはRは、C〜Cアルキル、C〜Cアルカノイル、(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキル、(C〜Cシクロアルケニル)C〜Cアルキル、(アリール)C〜Cアルキル、(アリール)C〜Cアルコキシ、(ヘテロシクロアルキル)C〜Cアルキル、または(5〜10員のヘテロアリール)C〜Cアルキルであって、そのそれぞれは必要に応じて置換されており、
10、R11、およびR12は出現毎に独立して、
水素であり、あるいは、
〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、(アリール)C〜Cアルキル、(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキル、(C〜Cシクロアルケニル)C〜Cアルキル、(ヘテロシクロアルキル)C〜Cアルキル、または(5〜10員のヘテロアリール)C〜Cアルキルであって、そのそれぞれは必要に応じて置換されており、
13は、水素またはC〜Cアルキルであり、
14およびR15は独立して、水素、ヒドロキシル、またはC〜Cアルキルであり、
nは、0、1、または2であり、
Mは、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、C〜Cアルキル、またはC〜Cアルコキシであり、
Yは、CR1819、NR20、S、O、−O(C=O)(NR20)−、NH(C=O)(NR20)−、NH(S=O)(NR20)−、または−O(C=O)−であり、あるいは存在せず、あるいは、
Yは、J、L、またはMのいずれかと共に環を形成し、
JはCHであり、あるいは、JはYと共に3〜7員の炭素環または複素環を形成し、この環は、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルコキシ、トリフルオロメチル、およびトリフルオロメトキシより独立して選ばれる、0または1個、あるいはそれ以上の置換基で置換されており、JがYと共に環を形成する場合、Zは存在せず、
LはCHであり、あるいは、LはYと共に3〜7員の炭素環または複素環を形成し、この環は、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルコキシ、トリフルオロメチル、およびトリフルオロメトキシより独立して選ばれる、0または1個、あるいはそれ以上の置換基で置換されており、LがYと共に環を形成する場合、Zは存在せず、
Zは、(単または二環式アリール)C〜Cアルキルまたは(単または二環式ヘテロアリール)C〜Cアルキルであって、それぞれのZは、
ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、シアノ、−CONH、−COOH、−SONR1112、−(C=O)NR1112、−NR11(C=O)R12、C〜Cアルキル、C〜Cアルカノイル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキルチオ、モノおよびジ−C〜Cアルキルアミノ、C〜Cアルキルエステル、C〜Cハロアルキル、およびC〜Cハロアルコキシより独立して選ばれる、0または1個、あるいはそれ以上の置換基と、
0または1個の、(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキル、(フェニル)C〜Cアルキル、(フェニル)C〜Cアルコキシ、(5または6員のヘテロアリール)C〜Cアルキル、(5または6員のヘテロアリール)C〜Cアルコキシ、ナフチル、インダニル、(5または6員のヘテロシクロアルキル)C〜Cアルキル、あるいは、9または10員の二環式ヘテロアリールであって、そのそれぞれが(c)および(d)より独立して選ばれる、0、1、または2個の置換基で置換されている基と、
で置換されており、
(c)は、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、シアノ、ニトロ、−COOH、−CONH、CH(C=O)NH−、=NOH、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cヒドロキシアルキル、モノおよびジ−C〜Cアルキルアミノ、−NRSO11、−C(O)OR11、−NRCOR11、−NRC(O)OR11、トリフルオロメチル、およびトリフルオロメトキシであり、
(d)は、フェニルおよび5または6員のヘテロアリールであって、そのそれぞれは、0または1個、あるいはそれ以上の、ハロゲン、ヒドロキシル、C〜Cアルキル、およびC〜Cアルコキシで置換されており、
16は、ハロゲン、C〜Cアルキル、およびC〜Cアルコキシより独立して選ばれる0〜4個の置換基を示し、
18およびR19は独立して、水素、ヒドロキシル、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルキル、またはC〜Cハロアルコキシであり、
20は、水素、C〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、またはC〜Cハロアルコキシである、
ことを特徴とする化合物またはその薬学的許容塩。
【請求項2】
請求項1に記載の化合物または塩であって、
とRは結合して、N、O、およびSより独立して選ばれる1または2個のヘテロ原子を含む5〜7員のヘテロシクロアルキル環を形成し、この環は、必要に応じてフェニルあるいは5または6員のヘテロアリールと縮合して二環系を形成し、その5〜7員ヘテロシクロアルキル環または二環系のそれぞれは、必要に応じて置換されていることを特徴とする化合物または塩。
【請求項3】
請求項2に記載の化合物または塩であって、RとRは結合して、ピロリジン、ピペリジン、またはピペラジン環、あるいは、フェニルに縮合したピペラジン環を形成し、そのそれぞれは必要に応じて、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、CONH、−COOH、C〜Cアルキル、およびC〜Cアルコキシより独立して選ばれる0〜2個の置換基で置換されていることを特徴とする化合物または塩。
【請求項4】
請求項1に記載の化合物または塩であって、Rは、C〜CO(C=O)−、C〜C(C=O)−、
【化6】


【化7】


【化8】


【化9】


【化10】


【化11】


【化12】


【化13】


【化14】


【化15】


【化16】


【化17】


【化18】


または
【化19】


であることを特徴とする化合物または塩。
【請求項5】
請求項4に記載の化合物または塩であって、Rは、C〜CアルキルまたはC〜Cシクロアルキルであることを特徴とする化合物または塩。
【請求項6】
請求項4に記載の化合物または塩であって、Rは水素であることを特徴とする化合物または塩。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載の化合物または塩であって、
およびRは独立して、(a)または(b)であり、
(a)は水素であり、
(b)は、C〜Cアルキルまたは(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキルであって、そのそれぞれは、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、シアノ、−CONH、−COOH、C〜Cアルキル、C〜Cアルカノイル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキルチオ、モノおよびジ−C〜Cアルキルアミノ、C〜Cハロアルキル、およびC〜Cハロアルコキシより独立して選ばれる0〜3個の置換基で置換されている、
ことを特徴とする化合物または塩。
【請求項8】
請求項7に記載の化合物または塩であって、RおよびRは独立して、水素、C〜Cアルキル、または(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキルであることを特徴とする化合物または塩。
【請求項9】
請求項8に記載の化合物または塩であって、RおよびRは独立して、水素またはメチルであることを特徴とする化合物または塩。
【請求項10】
請求項1から6のいずれかに記載の化合物または塩であって、RとRは結合して、3〜7員のシクロアルキル環、あるいは、N、S、およびOより独立して選ばれる1または2個のヘテロ原子を含む3〜7員のヘテロシクロアルキル環を形成し、その環のそれぞれは、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、シアノ、ビニル、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、トリフルオロメチル、およびトリフルオロメトキシより独立して選ばれる0〜2個の置換基で置換されていることを特徴とする化合物または塩。
【請求項11】
請求項10に記載の化合物または塩であって、RとRは結合して、3〜7員のシクロアルキル環、あるいは、N、S、およびOより独立して選ばれる1または2個のヘテロ原子を含む5〜6員のヘテロシクロアルキル環を形成し、その環のそれぞれは、ハロゲン、ヒドロキシル、C〜Cアルキル、およびC〜Cアルコキシより独立して選ばれる0〜2個の置換基で置換されていることを特徴とする化合物または塩。
【請求項12】
請求項1から11のいずれかに記載の化合物または塩であって、
およびRは独立して、(a)または(b)であり、
(a)は水素であり、
(b)は、C〜Cアルキルまたは(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキルであって、そのそれぞれは、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、シアノ、−CONH、−COOH、C〜Cアルキル、C〜Cアルカノイル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキルチオ、モノおよびジ−C〜Cアルキルアミノ、C〜Cハロアルキル、およびC〜Cハロアルコキシより独立して選ばれる0〜3個の置換基で置換されている、
ことを特徴とする化合物または塩。
【請求項13】
請求項12に記載の化合物または塩であって、RおよびRは独立して、水素、C〜Cアルキル、または(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキルであることを特徴とする化合物または塩。
【請求項14】
請求項13に記載の化合物または塩であって、RおよびRは独立して、水素またはメチルであることを特徴とする化合物または塩。
【請求項15】
請求項1から11のいずれかに記載の化合物または塩であって、RとRは結合して、3〜7員のシクロアルキル環、あるいは、N、S、およびOより独立して選ばれる1または2個のヘテロ原子を含む3〜7員のヘテロシクロアルキル環を形成し、その環のそれぞれは、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、シアノ、ビニル、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、トリフルオロメチル、およびトリフルオロメトキシより独立して選ばれる0〜2個の置換基で置換されていることを特徴とする化合物または塩。
【請求項16】
請求項15に記載の化合物または塩であって、RとRは結合して、3〜7員のシクロアルキル環、あるいは、N、S、およびOより独立して選ばれる1または2個のヘテロ原子を含む5〜6員のヘテロシクロアルキル環を形成し、その環のそれぞれは、ハロゲン、ヒドロキシル、C〜Cアルキル、およびC〜Cアルコキシより独立して選ばれる0〜2個の置換基で置換されていることを特徴とする化合物または塩。
【請求項17】
請求項1から16のいずれかに記載の化合物または塩であって、
およびRは独立して、(a)または(b)であり、
(a)は水素であり、
(b)は、C〜Cアルキルまたは(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキルであって、そのそれぞれは、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、シアノ、−CONH、−COOH、C〜Cアルキル、C〜Cアルカノイル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキルチオ、モノおよびジ−C〜Cアルキルアミノ、C〜Cハロアルキル、およびC〜Cハロアルコキシより独立して選ばれる0〜3個の置換基で置換されている、
ことを特徴とする化合物または塩。
【請求項18】
請求項17に記載の化合物または塩であって、RおよびRは独立して、水素、C〜Cアルキル、または(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキルであることを特徴とする化合物または塩。
【請求項19】
請求項18に記載の化合物または塩であって、RおよびRは独立して、水素またはメチルであることを特徴とする化合物または塩。
【請求項20】
請求項1から16のいずれかに記載の化合物または塩であって、RとRは結合して、3〜7員のシクロアルキル環、あるいは、N、S、およびOより独立して選ばれる1または2個のヘテロ原子を含む3〜7員のヘテロシクロアルキル環を形成し、その環のそれぞれは、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、シアノ、ビニル、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、トリフルオロメチル、およびトリフルオロメトキシより独立して選ばれる0〜2個の置換基で置換されていることを特徴とする化合物または塩。
【請求項21】
請求項20に記載の化合物または塩であって、RとRは結合して、3〜7員のシクロアルキル環、あるいは、N、S、およびOより独立して選ばれる1または2個のヘテロ原子を含む5〜6員のヘテロシクロアルキル環を形成し、その環のそれぞれは、ハロゲン、ヒドロキシル、C〜Cアルキル、およびC〜Cアルコキシより独立して選ばれる0〜2個の置換基で置換されていることを特徴とする化合物または塩。
【請求項22】
請求項1から6のいずれかに記載の化合物または塩であって、
、R、およびRは独立して、水素またはメチルであり、
は、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキル、(C〜Cシクロアルケニル)C〜Cアルキル、(ヘテロシクロアルキル)C〜Cアルキル、C〜Cアルカノイル、あるいはモノまたはジ−C〜Cアルキルアミノであり、
とRは結合して、必要に応じて置換された3〜7員のシクロアルキル環、あるいは、必要に応じて置換された、N、S、およびOより独立して選ばれる1または2個のヘテロ原子を含む3〜7員のヘテロシクロアルキル環を形成する、
ことを特徴とする化合物または塩。
【請求項23】
請求項19に記載の化合物または塩であって、
は、C〜Cアルキルまたは(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキルであり、
とRは結合してシクロプロピル環を形成し、この環は、1または2個のC〜CアルキルまたはC〜Cアルケニルで置換されており、あるいは置換されていない、
ことを特徴とする化合物または塩。
【請求項24】
請求項20に記載の化合物または塩であって、
【化20】


の構造式で示されることを特徴とする化合物または塩。
【請求項25】
請求項1から6のいずれかに記載の化合物または塩であって、
、R、R、およびRは独立して、水素またはメチルであり、
は、Rに共有結合したC〜C11飽和または不飽和炭化水素鎖であって、Rはメチレン基である、
ことを特徴とする化合物または塩。
【請求項26】
請求項25に記載の化合物または塩であって、
【化21】


の構造式で示され、
式中、Dは、6〜10個の炭素原子を含むアルキルまたはアルケニル基であることを特徴とする化合物または塩。
【請求項27】
請求項26に記載の化合物または塩であって、
【化22】


の構造式で示されることを特徴とする化合物または塩。
【請求項28】
請求項1から6のいずれかに記載の化合物または塩であって、
、R、およびRは独立して、水素またはメチルであり、
は、C〜C11飽和または不飽和炭化水素鎖であって、前記Rは、RとRが結合して、必要に応じて置換された3〜7員のシクロアルキル環を形成することによってできた、必要に応じて置換されたシクロアルキル環に共有結合している、
ことを特徴とする化合物または塩。
【請求項29】
請求項28に記載の化合物または塩であって、
【化23】


の構造式で示され、
式中、Dは、6〜10個の炭素原子を含むアルキルまたはアルケニル基であることを特徴とする化合物または塩。
【請求項30】
請求項29に記載の化合物または塩であって、
【化24】


の構造式で示されることを特徴とする化合物または塩。
【請求項31】
請求項1から30のいずれかに記載の化合物または塩であって、
Tは、次の構造式で示される基であり、
【化25】


は、ヒドロキシル、アミノ、−COOH、−NR1011、−OR12、−SR12、−NR10(S=O)R11、−NR10SO11、−NR10SONR1112、−NR10SONR1112、−(C=O)OR10、−NR10(C=O)OR11、または−CONR1011であることを特徴とする化合物または塩。
【請求項32】
請求項31に記載の化合物または塩であって、Rは、−NR10SO11であることを特徴とする化合物または塩。
【請求項33】
請求項32に記載の化合物または塩であって、R10は、水素またはメチルであり、R11は、シクロプロピルであることを特徴とする化合物または塩。
【請求項34】
請求項31に記載の化合物または塩であって、Rは、ヒドロキシル、アミノ、−COOH、−NR1011、−OR12、−NR10SO11、−(C=O)OR10、または−CONR1011であることを特徴とする化合物または塩。
【請求項35】
請求項1から30のいずれかに記載の化合物または塩であって、
Tは、次の構造式で示される基であり、
【化26】


は、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルカノイル、(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキル、(C〜Cシクロアルケニル)C〜Cアルキル、(ヘテロシクロアルキル)C〜Cアルキル、(アリール)C〜Cアルキル、または(5〜10員のヘテロアリール)C〜Cアルキルであって、そのそれぞれは、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、シアノ、オキソ−COOH、−CONH、オキソ、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルカノイル、C〜Cアルキルチオ、モノおよびジ−C〜Cアルキルアミノ、C〜Cアルキルエステル、モノおよびジ−C〜Cアルキルカルボキサミド、C〜Cハロアルキル、およびC〜Cハロアルコキシより独立して選ばれる、0または1個、あるいはそれ以上の置換基で置換されていることを特徴とする化合物または塩。
【請求項36】
請求項35に記載の化合物または塩であって、Rは、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルカノイル、(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキル、(C〜Cシクロアルケニル)C〜Cアルキル、(ヘテロシクロアルキル)C〜Cアルキル、(アリール)C〜Cアルキル、または(5〜10員のヘテロアリール)C〜Cアルキルであって、そのそれぞれは、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、シアノ、オキソ−COOH、−CONH、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、モノおよびジ−C〜Cアルキルアミノ、C〜Cハロアルキル、およびC〜Cハロアルコキシより独立して選ばれる、0または1個、あるいはそれ以上の置換基で置換されていることを特徴とする化合物または塩。
【請求項37】
請求項1から30のいずれかに記載の化合物または塩であって、
は、次の構造式で示されるホスホナートであり、
【化27】


式中、pは1または2であることを特徴とする化合物または塩。
【請求項38】
請求項1から30のいずれかに記載の化合物または塩であって、Rは、RXC〜Cアルキル−であり、Xは、−(C=O)NH−、−NH(C=O)−であり、Rは、フェニルまたはピリジルであることを特徴とする化合物または塩。
【請求項39】
請求項1から30のいずれかに記載の化合物または塩であって、
は、−CH(R)(C〜Cシクロアルキル)、−SOCH(R)(C〜Cシクロアルキル)、または−NR10SOCH(R)(C〜Cシクロアルキル)であって、
はハロゲンであり、または、
は、C〜Cアルキル、C〜Cアルカノイル、(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキル、(フェニル)C〜Cアルキル、(フェニル)C〜Cアルコキシ、(ヘテロシクロアルキル)C〜Cアルキル、または(5〜10員のヘテロアリール)C〜Cアルキルであって、そのそれぞれは、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、シアノ、オキソ−COOH、−CONH、オキソ、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、モノおよびジ−C〜Cアルキルアミノ、C〜Cハロアルキル、およびC〜Cハロアルコキシより独立して選ばれる、0または1個、あるいはそれ以上の置換基で置換されている、
ことを特徴とする化合物または塩。
【請求項40】
請求項1から39のいずれかに記載の化合物または塩であって、R10、R11、およびR12は独立して、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキル、(ヘテロシクロアルキル)C〜Cアルキル、(フェニル)C〜Cアルキル、(ナフチル)C〜Cアルキル、または(5〜10員のヘテロアリール)C〜Cアルキルであって、そのそれぞれは、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、シアノ、オキソ−COOH、−CONH、オキソ、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルカノイル、C〜Cアルキルチオ、モノおよびジ−C〜Cアルキルアミノ、C〜Cアルキルエステル、モノおよびジ−C〜Cアルキルカルボキサミド、C〜Cハロアルキル、およびC〜Cハロアルコキシより独立して選ばれる0〜3個の置換基で置換されていることを特徴とする化合物または塩。
【請求項41】
請求項40に記載の化合物または塩であって、
10、R11、およびR12は独立して、
水素であり、または、
〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキル、(ヘテロシクロアルキル)C〜Cアルキル、(フェニル)C〜Cアルキル、または(5〜6員の単環式ヘテロアリール)C〜Cアルキルであって、そのそれぞれは、ハロゲン、ヒドロキシル、オキソ、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、トリフルオロメチル、およびトリフルオロメトキシより独立して選ばれる0〜3個の置換基で置換されている、
ことを特徴とする化合物または塩。
【請求項42】
請求項40に記載の化合物または塩であって、R10、R11、およびR12は独立して、水素またはC〜Cアルキルであることを特徴とする化合物または塩。
【請求項43】
請求項1から42のいずれかに記載の化合物または塩であって、nは0であり、Yは、CH、O、または−O(C=O)−であり、あるいは存在しないことを特徴とする化合物または塩。
【請求項44】
請求項40に記載の化合物または塩であって、nは0であり、YはOであることを特徴とする化合物または塩。
【請求項45】
請求項1から42のいずれかに記載の化合物または塩であって、nは1であり、Yは、CH、O、または−O(C=O)−であり、あるいは存在せず、R18およびR19は独立して、水素またはメチルであることを特徴とする化合物または塩。
【請求項46】
請求項1から45のいずれかに記載の化合物または塩であって、Mは水素であることを特徴とする化合物または塩。
【請求項47】
請求項1から46のいずれかに記載の化合物または塩であって、JおよびLはいずれもCHであることを特徴とする化合物または塩。
【請求項48】
請求項1から47のいずれかに記載の化合物または塩であって、Zは、1−ナフチル、2−ナフチル、または次の構造式で示される基であることを特徴とする化合物または塩。
【化28】


【化29】


【化30】


【化31】


【化32】


【化33】


【化34】


【化35】


【化36】


【化37】


【化38】


【化39】


【化40】


【化41】


【化42】


【化43】


【化44】


【化45】


【化46】


【化47】


【化48】


【化49】


【化50】


【化51】


【化52】


【化53】


【化54】


【化55】


【化56】


【化57】


【化58】


【化59】


【化60】


【化61】


【化62】


【化63】


【化64】


【化65】


【化66】


【化67】


【化68】


【化69】


【化70】


【化71】


【化72】


【化73】


【化74】


【化75】


【化76】


【化77】


【化78】


【化79】


【化80】


【化81】


【化82】


【化83】

【請求項49】
請求項1から47のいずれかに記載の化合物または塩であって、
Zは、次の構造式で示される基であり、
【化84】


【化85】


【化86】


【化87】


【化88】


【化89】


【化90】


【化91】


【化92】


【化93】


【化94】


【化95】


または
【化96】


式中、
、X、X、X、およびXは独立して、NまたはCHであって、X〜XのうちNであるのは2つまでであり、
、G、G、およびGは独立して、CH、O、S、またはNR26であって、G〜Gのうち水素以外であるのは2つまでであり、
21は、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、シアノ、−CONH、−COOH、C〜Cアルキル、C〜Cアルカノイル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキルチオ、モノおよびジ−C〜Cアルキルアミノ、C〜Cハロアルキル、およびC〜Cハロアルコキシより独立して選ばれる0〜3個の基を示しており、
22は、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、シアノ、−CONH、−COOH、C〜Cアルキル、C〜Cアルカノイル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキルチオ、モノおよびジ−C〜Cアルキルアミノ、C〜Cアルキルエステル、C〜Cハロアルキル、およびC〜Cハロアルコキシであり、または、
22は、(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキル、(フェニル)C〜Cアルキル、(フェニル)C〜Cアルコキシ、(5または6員のヘテロアリール)C〜Cアルキル、(5または6員のヘテロアリール)C〜Cアルコキシ、ナフチル、インダニル、(5または6員のヘテロシクロアルキル)C〜Cアルキル、あるいは9または10員の二環式ヘテロアリールであって、そのそれぞれは(c)および(d)より独立して選ばれる、0、1、または2個の置換基で置換されており、
(c)は、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、シアノ、ニトロ、−COOH、−CONH、CH(C=O)NH−、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cヒドロキシアルキル、モノおよびジ−C〜Cアルキルアミノ、−NRSO11、−C(O)OR11、−NRCOR11、−NRC(O)OR11、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシであり、
(d)は、フェニルおよび5または6員のヘテロアリールであって、そのそれぞれは、0または1個、あるいはそれ以上の、ハロゲン、ヒドロキシル、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシで置換されており、
23は、ハロゲン、ヒドロキシル、C〜Cアルキル、およびC〜Cアルコキシより独立して選ばれる0〜2個の置換基であり、
24は、出現毎に水素およびC〜Cアルキルより独立して選ばれる、
ことを特徴とする化合物または塩。
【請求項50】
請求項49に記載の化合物または塩であって、
22は、
【化97】


【化98】


【化99】


【化100】


【化101】


【化102】


【化103】


【化104】


【化105】


【化106】


【化107】


【化108】


【化109】


【化110】


【化111】


【化112】


【化113】


【化114】


【化115】


【化116】


【化117】


【化118】


【化119】


【化120】


【化121】


【化122】


【化123】


−OCH
または
−OCHCH
であることを特徴とする化合物または塩。
【請求項51】
請求項49に記載の化合物または塩であって、
Zは、次の構造式で示される基であり、
【化124】


【化125】


【化126】


【化127】


【化128】


【化129】


【化130】


または
【化131】


式中、
、X、X、およびXは独立して、NまたはCHであって、X〜XのうちNであるのは2つまでであり、
21は、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、シアノ、−CONH、−COOH、C〜Cアルキル、C〜Cアルカノイル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキルチオ、モノおよびジ−C〜Cアルキルアミノ、C〜Cハロアルキル、およびC〜Cハロアルコキシより独立して選ばれる0〜3個の基を示しており、
22は、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、シアノ、−CONH、−COOH、C〜Cアルキル、C〜Cアルカノイル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキルチオ、モノおよびジ−C〜Cアルキルアミノ、C〜Cアルキルエステル、C〜Cハロアルキル、およびC〜Cハロアルコキシであり、または、
22は、(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキル、(フェニル)C〜Cアルキル、(フェニル)C〜Cアルコキシ、(5または6員のヘテロアリール)C〜Cアルキル、(5または6員のヘテロアリール)C〜Cアルコキシ、ナフチル、インダニル、(5または6員のヘテロシクロアルキル)C〜Cアルキル、あるいは9または10員の二環式ヘテロアリールであって、そのそれぞれは(c)および(d)より独立して選ばれる、0、1、または2個の置換基で置換されており、
(c)は、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、シアノ、ニトロ、−COOH、−CONH、CH(C=O)NH−、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cヒドロキシアルキル、モノおよびジ−C〜Cアルキルアミノ、−NRSO11、−C(O)OR11、−NRCOR11、−NRC(O)OR11、トリフルオロメチル、およびトリフルオロメトキシであり、
(d)は、フェニルおよび5または6員のヘテロアリールであって、そのそれぞれは、0または1個、あるいはそれ以上のハロゲン、ヒドロキシル、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシで置換されている、
ことを特徴とする化合物または塩。
【請求項52】
請求項51に記載の化合物または塩であって、
Zは、次の構造式で示される基であることを特徴とする化合物または塩。
【化132】

【請求項53】
請求項51に記載の化合物または塩であって、
Zは、次の構造式で示されるキノリンであることを特徴とする化合物または塩。
【化133】

【請求項54】
請求項53に記載の化合物または塩であって、
21は、キノリンの7位の置換基と、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、シアノ、−CONH、−COOH、C〜Cアルキル、C〜Cアルカノイル、C〜Cアルコキシ、モノおよびジ−C〜Cアルキルアミノ、C〜Cハロアルキル、およびC〜Cハロアルコキシより独立して選ばれる0〜2個の追加の置換基とを示しており、
22は、(フェニル)C〜Cアルキルまたは(ピリジル)C〜Cアルキルであって、そのそれぞれは、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、シアノ、−COOH、−CONH、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、モノおよびジ−C〜Cアルキルアミノ、トリフルオロメチル、およびトリフルオロメトキシより独立して選ばれる、0、1、または2個の置換基で置換されている、
ことを特徴とする化合物または塩。
【請求項55】
請求項53に記載の化合物または塩であって、R21は、キノリンの7位のメトキシまたはエトキシ置換基であり、R22は、フェニルまたはピリジルであることを特徴とする化合物または塩。
【請求項56】
請求項1から47のいずれかに記載の化合物または塩であって、
nは0であり、Zは存在せず、YとMとは環を形成し、これにより、
【化134】


は、次の構造式で示される基であり、
【化135】


【化136】


または
【化137】


、G、G、G、およびGは独立して、CH、O、S、またはNR22であって、G、G、G、G、およびGのうちCH以外であるのは2つまでであり、
21は、ハロゲン、ヒドロキシ、C〜Cアルキル、およびC〜Cアルコキシより独立して選ばれる0〜2個の置換基であり、
22は、出現毎に水素およびメチルより独立して選ばれ、
23は、ハロゲン、ヒドロキシ、C〜Cアルキル、およびC〜Cアルコキシより独立して選ばれる0〜2個の置換基である、
ことを特徴とする化合物または塩。
【請求項57】
請求項1から47のいずれかに記載の化合物または塩であって、
nは0であり、Mは水素であり、Zは存在せず、YとJとは環を形成し、これにより、
【化138】


は、次の構造式で示される基であり、
【化139】


【化140】


【化141】


【化142】


または
【化143】


、G、G、およびGは独立して、CH、O、S、またはNR22であって、G、G、G、およびGのうちCH以外であるのは2つまでであり、
21は、ハロゲン、ヒドロキシ、C〜Cアルキル、およびC〜Cアルコキシより独立して選ばれる0〜2個の置換基であり、
22は、ハロゲン、ヒドロキシ、C〜Cアルキル、およびC〜Cアルコキシより独立して選ばれる0〜2個の置換基であり、
23は、ハロゲン、ヒドロキシ、C〜Cアルキル、およびC〜Cアルコキシより独立して選ばれる0〜2個の置換基である、
ことを特徴とする化合物または塩。
【請求項58】
請求項57に記載の化合物または塩であって、
【化144】


は、次の構造式で示される基であることを特徴とする化合物または塩。
【化145】


【化146】


【化147】


【化148】


【化149】


【化150】


【化151】


【化152】


【化153】


または
【化154】

【請求項59】
請求項1から47のいずれかに記載の化合物または塩であって、
nは0であり、Zは存在せず、YとLとは環を形成し、これにより、
【化155】


は、次の構造式で示される基であり、
【化156】


【化157】


【化158】


【化159】


【化160】


【化161】


または
【化162】


式中、
、G、G、およびGは独立して、CH、O、S、またはNR22であって、G、G、G、およびGのうちCH以外であるのは2つまでであり、
およびQは独立して、CHまたはNであり、
21は、ハロゲン、ヒドロキシ、C〜Cアルキル、およびC〜Cアルコキシより独立して選ばれる0〜2個の置換基であり、
22は、ハロゲン、ヒドロキシ、C〜Cアルキル、およびC〜Cアルコキシより独立して選ばれる0〜2個の置換基であり、
23は、ハロゲン、ヒドロキシ、C〜Cアルキル、およびC〜Cアルコキシより独立して選ばれる0〜2個の置換基である、
ことを特徴とする化合物または塩。
【請求項60】
請求項59に記載の化合物または塩であって、
【化163】


は、次の構造式で示される基であることを特徴とする化合物または塩。
【化164】


【化165】


【化166】


【化167】


【化168】


【化169】


【化170】


【化171】


【化172】


【化173】


【化174】


【化175】


【化176】


【化177】


【化178】


【化179】


【化180】


【化181】


【化182】


【化183】


【化184】


【化185】


【化186】


【化187】


【化188】


【化189】


【化190】


【化191】


【化192】


【化193】


【化194】


【化195】


【化196】


【化197】


【化198】


【化199】


【化200】


【化201】


【化202】


【化203】


【化204】


【化205】


【化206】


【化207】


【化208】


【化209】


【化210】


【化211】


【化212】


【化213】


【化214】


【化215】


【化216】


【化217】


【化218】


【化219】


【化220】


【化221】


または
【化222】

【請求項61】
請求項1に記載の化合物または塩であって、
【化223】


または
【化224】


の構造式で示され、
式中、
とRは結合して、ピロリジン、ピペリジン、またはピペラジン環、あるいは、フェニルに縮合したピペラジン環を形成し、そのそれぞれは必要に応じて、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、CONH、C〜Cアルキル(C=O)−COOH、C〜Cアルキル、およびC〜Cアルコキシより独立して選ばれる0〜2個の置換基で置換されており、
、R、R、およびRは、水素、C〜Cアルキル、および(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキルより独立して選ばれ、
は、ヒドロキシル、アミノ、−COOH、−NR1011、−OR12、−NR10SO11、−(C=O)OR10、または−CONR1011であり、
10、R11、およびR12は独立して、水素であり、または、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、(C〜Cシクロアルキル)C〜Cアルキル、(ヘテロシクロアルキル)C〜Cアルキル、(フェニル)C〜Cアルキル、あるいは(5〜6員の単環式ヘテロアリール)C〜Cアルキルであって、そのそれぞれは、ハロゲン、ヒドロキシル、オキソ、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、トリフルオロメチル、およびトリフルオロメトキシより独立して選ばれる0〜3個の置換基で置換されており、
16は、ハロゲン、C〜Cアルキル、およびC〜Cアルコキシより独立して選ばれる0〜2個の置換基であり、
Mは、水素またはメチルであり、
Zは、次の構造式で示されるキノリンであり、
【化225】


式中、
21は、キノリンの7位の置換基と、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、シアノ、−CONH、−COOH、C〜Cアルキル、C〜Cアルカノイル、C〜Cアルコキシ、モノおよびジ−C〜Cアルキルアミノ、C〜Cハロアルキル、およびC〜Cハロアルコキシより独立して選ばれる0〜2個の追加の置換基とを示しており、
22は、(フェニル)C〜Cアルキルまたは(ピリジル)C〜Cアルキルであって、そのそれぞれは、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、シアノ、−COOH、−CONH、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、モノおよびジ−C〜Cアルキルアミノ、トリフルオロメチル、およびトリフルオロメトキシより独立して選ばれる、0、1、または2個の置換基で置換されている、
ことを特徴とする化合物または塩。
【請求項62】
治療有効量の、請求項1から61のいずれかに記載の1つ以上の化合物または塩と、少なくとも1つの薬学的許容キャリアとを含むことを特徴とする医薬組成物。
【請求項63】
請求項62に記載の医薬組成物であって、第2の活性薬剤を更に含むことを特徴とする医薬組成物。
【請求項64】
請求項63に記載の医薬組成物であって、第2の活性薬剤はリバビリン(ribavarin)であることを特徴とする医薬組成物。
【請求項65】
請求項62から64のいずれかに記載の医薬組成物であって、少なくとも1つのインターフェロンまたはペグインターフェロンα複合体を更に含むことを特徴とする医薬組成物。
【請求項66】
請求項62から65のいずれかに記載の医薬組成物であって、前記組成物は、注射液、エアロゾル、クリーム、ゲル、錠剤、丸薬、カプセル、シロップ、点眼薬、または経皮パッチとして調剤されていることを特徴とする医薬組成物。
【請求項67】
容器に入れた、請求項60から66のいずれかに記載の医薬組成物を含み、更に、前記組成物をC型肝炎感染症に罹患した患者の治療に使用するための説明書を含むパッケージ。
【請求項68】
治療有効量の、請求項1から61のいずれかに記載の1つ以上の化合物を、前記化合物を必要とする患者に投与する工程を含む、C型肝炎感染症の治療または予防法。
【請求項69】
請求項66に記載の方法であって、前記治療有効量は、患者の血液または血清中のHCV抗体の数を有意に減少させるために十分な量であることを特徴とする方法。
【請求項70】
HCVに感染した患者に、in vitroでのHCVレプリコン複製を阻害するために十分な濃度の、請求項1から61のいずれかに記載の化合物または塩を投与する工程を含む、in vivoにおけるHCV複製の阻害法。

【公表番号】特表2009−543784(P2009−543784A)
【公表日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−519549(P2009−519549)
【出願日】平成19年7月13日(2007.7.13)
【国際出願番号】PCT/US2007/016018
【国際公開番号】WO2008/008502
【国際公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願人】(504378685)アキリオン ファーマシューティカルズ,インコーポレーテッド (22)
【Fターム(参考)】