ウインドシールド支持部構造
【課題】カウルトップが緩むことなく装着され、騒音の発生を抑制できるウインドシールド支持部構造を提供することを課題とする。
【解決手段】ウインドシールドロア11の固定面11aにウインドシールド10を接着剤13で接着固定し、ウインドシールド10の前面には、リップ部6cがウインドシールド10を押さえつけるようにカウルトップ6を配設する。そして、係合爪60を固定面11aに係合してカウルトップ6をウインドシールドロア11に装着し、係合爪60とリップ部6cで、固定面11a及びウインドシールド10を挟持する構成とした。
【解決手段】ウインドシールドロア11の固定面11aにウインドシールド10を接着剤13で接着固定し、ウインドシールド10の前面には、リップ部6cがウインドシールド10を押さえつけるようにカウルトップ6を配設する。そして、係合爪60を固定面11aに係合してカウルトップ6をウインドシールドロア11に装着し、係合爪60とリップ部6cで、固定面11a及びウインドシールド10を挟持する構成とした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のウインドシールド支持部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の前方に備わるウインドシールドの下端部を、車室に配設されるウインドシールドロアによって車室の側から支持する構造が知られている。
また、車両の外側(前方)には、外気を好適に車両の内部に取り込むためのカウルトップが、ウインドシールドの下端部に沿って備わり、例えば、特許文献1には、カウルトップをウインドシールドロアにクリップで固定し、カウルトップとウインドシールドロアとでウインドシールドを挟持して支持するウインドシールド支持部構造が開示されている。
【0003】
また、例えば特許文献2には、カウルトップに溝つきのクリップ部を形成し、クリップ部の溝にウインドシールドの下端部を係合して、ウインドシールドを支持するウインドシールド支持部構造が開示されている。
【0004】
しかしながら、例えば特許文献1に開示されているウインドシールド支持部構造によると、カウルトップをウインドシールドロアに固定するクリップに緩みが発生すると、カウルトップが緩んで振動し、騒音が発生するという問題がある。
また、例えば特許文献2に開示されているウインドシールド支持部構造によると、カウルトップに形成されるクリップ部の溝の幅が小さい場合はウインドシールドが破損するおそれがあり、溝の幅が大きい場合はウインドシールドが振動し、騒音が発生するという問題がある。
【特許文献1】特許第3449463号公報
【特許文献2】特許第3919388号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明は、カウルトップが緩むことなく装着され、騒音の発生を抑制できるウインドシールド支持部構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明は、車両のウインドシールドの後方に配設され、前記ウインドシールドの下部を接着固定する固定面を有するウインドシールドロアと、前記ウインドシールドの前方に配設され、前記ウインドシールドを前方から押さえつける柔軟なリップ部を有するカウルトップと、を備え、前記固定面と前記リップ部が前記ウインドシールドを挟んで相対するとともに前記リップ部が前記ウインドシールドを前方から押さえつけるように、前記カウルトップが前記ウインドシールドロアに装着されるウインドシールド支持部構造とした。そして、前記カウルトップの後方に形成される係合爪の端部を前記固定面に沿うように屈曲し、前記リップ部と前記係合爪で、前記固定面及び前記ウインドシールドを挟持するように前記係合爪が前記ウインドシールドロアに係合して、前記カウルトップが前記ウインドシールドロアに装着されることを特徴とした。
【0007】
この発明によると、ウインドシールドとウインドシールドロアを、カウルトップに形成されるリップ部と係合爪で挟持することができる。したがって、ウインドシールドの前方には、カウルトップに形成される柔軟なリップ部を接触させることができる。
また、ウインドシールドの後方は、接着剤でウインドシールドロアの固定面に接着固定することができる。
この構成によって、カウルトップのリップ部と係合爪が、強い力でウインドシールドロアの固定面とウインドシールドを挟持しても、リップ部と接着剤が緩衝材となってウインドシールドが破損することを防止できる。したがって、ウインドシールドロアに装着されたカウルトップが緩むことを抑制でき、カウルトップの振動による騒音の発生を好適に抑制できる。
また、カウルトップに形成される係合爪をウインドシールドロアに係合して、カウルトップをウインドシールドロアに装着することができる。係合爪はカウルトップと一体に成形されることから、係合爪がカウルトップに対して緩むことがなく、ウインドシールドロアに装着されたカウルトップが緩むことを抑制できる。
したがって、カウルトップの振動による騒音の発生を好適に抑制できる。
【0008】
また、本発明は、前記ウインドシールドロアは、前記固定面の端部から舌片状に延出するとともに位置決め穴を有する位置決め部を有し、前記カウルトップを前記ウインドシールドロアに装着した状態において、前記カウルトップに形成される位置決め爪が、前記位置決め穴を貫通することを特徴とした。
【0009】
この発明によると、カウルトップをウインドシールドロアに装着した状態のとき、カウルトップに形成される位置決め爪を、ウインドシールドロアに形成される位置決め穴に貫通させることができ、ウインドシールドロアに対するカウルトップの位置出し精度を向上できる。なお、係合爪の1つを位置決め爪として使用する構成であってもよい。この構成によると、位置決め爪もウインドシールドロアに係合することから、ウインドシールドロアに装着されたカウルトップが緩むことをより好適に抑制できる。
【0010】
また、本発明は、前記固定面及び前記ウインドシールドの挟持を解放する方向に前記係合爪が変形することを抑制するための補強リブが、前記係合爪に形成されていることを特徴とした。
【0011】
この発明によると、係合爪に補強リブを形成することで、ウインドシールドロアの固定面及びウインドシールドの挟持を解放する方向に係合爪が変形することを抑制できる。したがって、ウインドシールドロアに装着されたカウルトップが緩むことを、より確実に抑制でき、カウルトップの振動による騒音の発生を好適に抑制できる。
また、係合爪の変形量を小さく抑えられることから、係合爪の設計精度を向上でき、カウルトップは、固定面及びウインドシールドを確実に挟持できる係合爪を備えることができる。
【0012】
また、本発明は、前記係合爪は、前記リップ部が前記ウインドシールドを押さえつける位置より、前記ウインドシールドの下端部の側に形成されていることを特徴とした。
【0013】
この発明によると、リップ部がウインドシールドを押さえつける位置より、ウインドシールドの下端部の側に係合爪を形成できる。したがって、ウインドシールドが接着固定されるウインドシールドロアの固定面の下端部に係合する係合爪の長さを短くすることができ、カウルトップをウインドシールドロアに装着しやすい構成にできる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、カウルトップが緩むことなく装着され、騒音の発生を抑制できるウインドシールド支持部構造を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、適宜図を参照して詳細に説明する。
図1の(a)は、本実施形態に係るウインドシールド支持部構造を備える車両の前部を示す図、(b)は、カウルトップがウインドシールドロアに装着された状態を示す図である。以下、図1の(a)に示すように前後左右上下の方向を設定する。また、左右方向を車幅方向と称する場合がある。
図1の(a)に示すように、車両1の前部は、左右のフロントフェンダ2、3と、左右のフロントフェンダ2、3の間に開閉自在に備わるボンネット4と、ボンネット4の後方に配設されるカウルトップ6と、ウインドシールド10と、一組のワイパー9と、を含んで構成される。
【0016】
カウルトップ6は、車両1の左右方向(車幅方向)に伸びて備わる外装部材で、ボンネット4の後方に、ウインドシールド10の前方で下端部に沿うように配設される。そして、カウルトップ6には、外気を車両1の車室1aに取り込むための吸気口6aが形成される。
また、車両1の車室1aには、ウインドシールド10の後方に沿って、ダッシュボード8が配設される。
【0017】
カウルトップ6は、例えば樹脂製の部材で、図1の(b)に示すように、車室1aに配設されるダッシュボード8(図1の(a)参照)を取り付けるウインドシールドロア11の前方に装着される。
なお、カウルトップ6には、ワイパー9(図1の(a)参照)を取り付けるための取付穴9aが形成されていてもよい。
【0018】
図1の(b)に示すウインドシールドロア11は、ウインドシールド10の後方で車両1(図1の(a)参照)の車幅方向に伸びて備わる、例えば板金からなる部材であり、車両1を構成する図示しないフレーム等に、溶接などによって固定される。
ウインドシールドロア11の、例えば左右両端の側は前方に延出し、カウルトップ6が前方に延出した部分と重なる。そして、例えばクリップ5によって、カウルトップ6はウインドシールドロア11に固定される(図3の(a)参照)。
【0019】
そして、本実施形態は、カウルトップ6とウインドシールドロア11とでウインドシールド10を挟持する構成となっている。
【0020】
図2の(a)は、図1の(b)におけるX1−X1断面図、(b)は、図2の(a)におけるA1部拡大図である。
図2の(a)に示すように、ウインドシールドロア11の断面形状は、ウインドシールド10の傾斜に沿うような固定面11aが前方に形成され、固定面11aの上端は、後方に向かって伸びている。そして、後方に向かって伸びた部分にダッシュボード8が取り付けられる。
【0021】
また、カウルトップ6の断面形状は、ボンネット4の下方から後方に向かって伸び、さらに後端部は、ウインドシールド10の傾斜に沿うように上方に向かって傾斜し、リップ面6bが形成される。前記したように、ウインドシールドロア11の固定面11aはウインドシールド10に沿うように形成されることから、リップ面6bは、ウインドシールドロア11の固定面11aに相対するように形成される。
そして、ウインドシールドロア11の固定面11aは、ウインドシールド10を挟んでカウルトップ6のリップ面6bと相対する。
【0022】
また、図2の(b)に示すように、固定面11aとウインドシールド10の間にシール部材12を配設し、ウインドシールド10とウインドシールドロア11の間に、気密性及び液密性を確保する構成が好適である。さらに、ウインドシールド10は、接着剤13でウインドシールドロア11の固定面11aに接着固定される。
【0023】
シール部材12は、ゴムなど柔軟な素材で形成されることが好適であり、ウインドシールドロア11及びウインドシールド10がシール部材12を押圧することで、ウインドシールドロア11とウインドシールド10の間に、気密性及び液密性を確保できる。
【0024】
また、カウルトップ6のリップ面6bの上端部に沿って、端部がウインドシールド10の側に向かってわずかに湾曲する柔軟なリップ部6cが形成される。リップ部6cは、例えば二色成形によって、軟質の樹脂をカウルトップ6と一体成形して形成される。
この構成によって、リップ部6cは、ウインドシールドロア11の固定面11aと相対して備わる。
そして、リップ部6cの端部でウインドシールド10を車両1(図1の(a)参照)の前方から押さえつける構成が好適である。
【0025】
また、本実施形態に係るカウルトップ6には、複数の係合爪60が形成される。図2の(b)に示すように、係合爪60は、カウルトップ6のリップ面6bから後方に向かって起立する脚部60aと、脚部60aの端部が上方に屈曲して、リップ面6bに沿って伸びるように形成される係止部60bとを含んで構成され、側面形状が略L字型を呈する。そして、係合爪60がウインドシールドロア11の下端部に係合し、カウルトップ6がウインドシールドロア11に装着される構成とする。
【0026】
図3の(a)は、ウインドシールドロアにカウルトップが装着される状態を示す模式図、(b)は、図3の(a)におけるX2−X2断面図である。
図3の(a)に示すように、カウルトップ6のリップ面6bの後方(ウインドシールドロア11の固定面11aと相対する側)には、複数の係合爪60が形成される。係合爪60は、リップ面6bの後方に向かって突出するように形成され、上方に屈曲してリップ面6bに沿うように伸びる係止部60b(図2の(b)参照)を備える。
リップ面6bは、固定面11aに相対するように形成されているので、係合爪60の係止部60bは、固定面11aに沿うように伸びることになる。換言すると、係合爪60の端部は上方に屈曲して、固定面11aに沿うように伸びることになる。
【0027】
このように形成される係合爪60は、ウインドシールドロア11の前方から固定面11aの下端部に係合し、係止部60bは、固定面11aの後方に配置される。そして、リップ面6bが、前方から固定面11aと相対するように、カウルトップ6がウインドシールドロア11に装着される。
【0028】
さらに、図2の(b)に示すように、ウインドシールドロア11の固定面11aの前方には、シール部材12を介してウインドシールド10が備わり、接着剤13で接着固定されることから、リップ面6bが、前方からウインドシールド10と相対するように、カウルトップ6がウインドシールドロア11に装着される。
【0029】
そして、リップ面6bの上端部には、ウインドシールド10の側に向かってわずかに湾曲するリップ部6cが形成されることから、本実施形態においては、カウルトップ6のリップ面6bに形成されるリップ部6cと係合爪60で、ウインドシールド10及びウインドシールドロア11の固定面11aを共に挟持する構成になる。
【0030】
なお、図2の(b)に示すように、係合爪60の先端部60dは、リップ部6cがウインドシールド10を押さえつける位置より、ウインドシールド10の下端部の側に形成されている構成が好適である。
この構成によって、ウインドシールド10が接着固定される固定面11aに係合する係合爪60の、固定面11aの下端部からの長さを短くすることができる。したがって、係合爪60をウインドシールドロア11に係合しやすい構成にできる。すなわち、カウルトップ6をウインドシールドロア11に装着しやすい構成にすることができる。
【0031】
また、前記したように、リップ面6bの上端部に沿って柔軟なリップ部6c(図2の(b)参照)を形成し、リップ部6cの端部で、ウインドシールド10(図2の(b)参照)を車両1(図1の(a)参照)の前方から押さえつける構成とした。
この構成によって、ウインドシールド10は、カウルトップ6の側(前方)は柔軟なリップ部6cが接触し、ウインドシールドロア11の側(後方)は、シール部材12及び接着剤13が接触する。
【0032】
すなわち、ウインドシールド10は、柔軟なリップ部6c、シール部材12及び接着剤13を介して、カウルトップ6とウインドシールドロア11に挟持される。したがって、カウルトップ6とウインドシールドロア11が強い力でウインドシールド10を挟持しても、リップ部6c、シール部材12及び接着剤13が緩衝材になって、ウインドシールド10が破損することを防止できる。換言すると、カウルトップ6のリップ部6cと係合爪60が、ウインドシールド10及びウインドシールドロア11を強い力で挟持しても、ウインドシールド10が破損することを防止できる。
【0033】
そして、カウルトップ6のリップ部6cと係合爪60が、ウインドシールド10及びウインドシールドロア11を強い力で挟持することで、ウインドシールドロア11に装着されたカウルトップ6が緩むことを好適に抑制することができる。したがって、カウルトップ6の振動による騒音の発生を好適に防止できる。
【0034】
図4は、係合爪の形状を示す図である。前記したように、係合爪60は、カウルトップ6のリップ面6bから後方に向かって起立する脚部60aと、脚部60aの端部が上方に屈曲して、リップ面6bに沿って伸びるように形成される係止部60bとを含んで構成され、側面形状がL字型を呈する。そして、係合爪60の係止部60bとリップ部6c(図2の(b)参照)で、ウインドシールドロア11の固定面11aとウインドシールド10(図3の(a)参照)を挟持する。
【0035】
さらに、係合爪60に補強リブ60cを形成し、係合爪60を補強する構成が好適である。補強リブ60cの形状は限定するものではないが、例えば脚部60aの起立する方向及び係止部60bの伸びる方向に沿って、脚部60a及び係止部60bの両端部近傍に壁状に起立して形成される。
【0036】
また、脚部60a及び係止部60bの両端部に形成される補強リブ60cを連結するように補強リブ60cを形成する構成であってもよい。
さらに、脚部60aに形成される補強リブ60cが延長するようにカウルトップ6のリップ面6bが壁状に起立して、補強リブ60cを形成する構成であってもよい。
【0037】
このような形状の補強リブ60cを設けることで、係止部60bが、カウルトップ6のリップ面6bから離反する方向に変形することを好適に抑制でき、リップ面6bと係止部60bの間が広がることを抑制できる。すなわち、ウインドシールドロア11の固定面11a及びウインドシールド10(図2の(b)参照)の挟持を解放する方向に係合爪60が変形することを抑制できる。
したがって、ウインドシールドロア11に装着されたカウルトップ6が緩むことを抑制できる。そして、カウルトップ6の振動による騒音の発生を好適に防止できる。
【0038】
また、係合爪60に補強リブ60cを形成することで、例えばカウルトップ6の製造時における係合爪60の変形を抑制できることから、係合爪60の設計誤差を小さくできる。したがって、ウインドシールドロア11及びウインドシールド10(図2の(b)参照)を好適な力で挟持する係合爪60を構成することができる。
このことによっても、ウインドシールドロア11に装着されたカウルトップ6が緩むことを好適に抑制できる。
【0039】
図3の(a)に示すように、ウインドシールドロア11の固定面11aには、位置決め部14が備わる。位置決め部14は、ウインドシールドロア11に装着されたカウルトップ6の左右方向を位置決めする部材で、例えば、ウインドシールドロア11の固定面11aの下端部からカウルトップ6のリップ面6bに沿うように舌片状に延出して形成される。
そして、位置決め部14には、少なくとも1つの位置決め穴14aが形成される。
【0040】
また、カウルトップ6には、ウインドシールドロア11の位置決め部14に形成される位置決め穴14aの位置に対応するように、位置決め爪61が形成される。
位置決め爪61は、例えば係合爪60と同等の形状で、図3の(b)に示すように、カウルトップ6がウインドシールドロア11に装着されたときに位置決め穴14aを貫通し、ウインドシールドロア11の固定面11aに係合する。
【0041】
位置決め穴14aの左右方向の寸法は、位置決め爪61の左右方向の幅に対するクリアランスを小さくする構成が好適である。
この構成によって、位置決め穴14aに対する位置決め爪61の左右位置を精度よく決定することができる。
そして、図3の(a)、(b)に示すように、位置決め爪61が位置決め穴14aを貫通する構成にすることで、カウルトップ6の上端部の側は、ウインドシールドロア11に対する左右方向の位置決めが精度よくなされ、カウルトップ6の上端部の側が、ウインドシールドロア11に対して左右方向にずれて装着されることを好適に防止できる。
なお、位置決め爪61の形状は、位置決め穴14aを貫通するような突起状であれば、係合爪60と同等の形状に限定されるものではない。
【0042】
前記のように、カウルトップ6はウインドシールド10の外側に備わる外装部材であり、特に上端部の側は外部から容易に視認される部位であることから、カウルトップ6の上端部の側がウインドシールドロア11に対して左右方向にずれて装着されると、見栄えが悪くなり、車両1(図1の(a)参照)の商品品質が低下する。
【0043】
本実施形態においては、図3の(a)、(b)に示すように、ウインドシールドロア11に位置決め部14を備え、カウルトップ6に位置決め爪61を形成する構成とした。この構成によって、ウインドシールドロア11に対するカウルトップ6の左右方向の位置決め精度を向上でき、商品品質の低下を抑制することができる。
【0044】
また、例えばウインドシールドロア11にカウルトップ6を装着する工程においても、ウインドシールドロア11に対する、カウルトップ6の上端部の側の位置出しが容易になり、生産効率を向上できる。
さらに、例えば車両1(図1の(a)参照)の走行で発生する振動によって、カウルトップ6の上端部の側が左右方向にずれることを防止できる。したがって、長期間の使用による商品品質の低下を抑制できる。
【0045】
以上のように、本実施形態は、図2の(b)に示すように、ウインドシールドロア11に係合する係合爪60をカウルトップ6に形成して、この係合爪60をウインドシールドロア11に係合し、ウインドシールド10とウインドシールドロア11を挟持するように、カウルトップ6をウインドシールドロア11に装着する構成とした。
さらに、カウルトップ6に柔軟なリップ部6cを形成し、リップ部6cとウインドシールドロア11に備わるシール部材12とでウインドシールド10を挟持するウインドシールド支持部構造とした。
【0046】
この構成によって、柔軟なリップ部6c及びシール部材12でウインドシールド10を挟持することができ、カウルトップ6とウインドシールドロア11が強い力でウインドシールド10を挟持する場合であっても、リップ部6c及びシール部材12が緩衝材となってウインドシールド10が破損することを防止できる。
【0047】
したがって、カウルトップ6の係合爪60が、強い力でウインドシールド10とウインドシールドロア11を挟持する構成としても、ウインドシールド10が破損することがなく、ウインドシールド10とウインドシールドロア11を強い力で挟持する係合爪60を形成することができる。
このことによって、ウインドシールドロア11に装着されたカウルトップ6が緩むことを好適に抑制できる。
【0048】
また、本実施形態においては、カウルトップ6の係合爪60に補強リブ60cを形成した。この構成によって、係合爪60の剛性を高めることができ、ウインドシールドロア11に装着されたカウルトップ6が緩むことを好適に抑制できる。
したがって、緩んだカウルトップ6の振動による騒音の発生を防止できるという優れた効果を奏する。
【0049】
さらに、本実施形態においては、ウインドシールドロア11に位置決め部14を備えた。この構成によって、ウインドシールドロア11に対するカウルトップ6の左右方向の位置決め精度を向上でき、車両1(図1の(a)参照)の商品品質の低下を抑制することができるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】(a)は、本実施形態に係るウインドシールド支持部構造を備える車両の前部を示す図、(b)は、カウルトップがウインドシールドロアに装着された状態を示す図である。
【図2】(a)は、図1の(b)におけるX1−X1断面図、(b)は、図2の(a)におけるA1部拡大図である。
【図3】(a)は、ウインドシールドロアにカウルトップが装着される状態を示す模式図、(b)は、図3の(a)におけるX2−X2断面図である。
【図4】係合爪の形状を示す図である。
【符号の説明】
【0051】
1 車両
6 カウルトップ
6b リップ面
6c リップ部
10 ウインドシールド
11 ウインドシールドロア
11a 固定面
12 シール部材
13 接着剤
14 位置決め部
14a 位置決め穴
60 係合爪
60c 補強リブ
61 位置決め爪
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のウインドシールド支持部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の前方に備わるウインドシールドの下端部を、車室に配設されるウインドシールドロアによって車室の側から支持する構造が知られている。
また、車両の外側(前方)には、外気を好適に車両の内部に取り込むためのカウルトップが、ウインドシールドの下端部に沿って備わり、例えば、特許文献1には、カウルトップをウインドシールドロアにクリップで固定し、カウルトップとウインドシールドロアとでウインドシールドを挟持して支持するウインドシールド支持部構造が開示されている。
【0003】
また、例えば特許文献2には、カウルトップに溝つきのクリップ部を形成し、クリップ部の溝にウインドシールドの下端部を係合して、ウインドシールドを支持するウインドシールド支持部構造が開示されている。
【0004】
しかしながら、例えば特許文献1に開示されているウインドシールド支持部構造によると、カウルトップをウインドシールドロアに固定するクリップに緩みが発生すると、カウルトップが緩んで振動し、騒音が発生するという問題がある。
また、例えば特許文献2に開示されているウインドシールド支持部構造によると、カウルトップに形成されるクリップ部の溝の幅が小さい場合はウインドシールドが破損するおそれがあり、溝の幅が大きい場合はウインドシールドが振動し、騒音が発生するという問題がある。
【特許文献1】特許第3449463号公報
【特許文献2】特許第3919388号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明は、カウルトップが緩むことなく装着され、騒音の発生を抑制できるウインドシールド支持部構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明は、車両のウインドシールドの後方に配設され、前記ウインドシールドの下部を接着固定する固定面を有するウインドシールドロアと、前記ウインドシールドの前方に配設され、前記ウインドシールドを前方から押さえつける柔軟なリップ部を有するカウルトップと、を備え、前記固定面と前記リップ部が前記ウインドシールドを挟んで相対するとともに前記リップ部が前記ウインドシールドを前方から押さえつけるように、前記カウルトップが前記ウインドシールドロアに装着されるウインドシールド支持部構造とした。そして、前記カウルトップの後方に形成される係合爪の端部を前記固定面に沿うように屈曲し、前記リップ部と前記係合爪で、前記固定面及び前記ウインドシールドを挟持するように前記係合爪が前記ウインドシールドロアに係合して、前記カウルトップが前記ウインドシールドロアに装着されることを特徴とした。
【0007】
この発明によると、ウインドシールドとウインドシールドロアを、カウルトップに形成されるリップ部と係合爪で挟持することができる。したがって、ウインドシールドの前方には、カウルトップに形成される柔軟なリップ部を接触させることができる。
また、ウインドシールドの後方は、接着剤でウインドシールドロアの固定面に接着固定することができる。
この構成によって、カウルトップのリップ部と係合爪が、強い力でウインドシールドロアの固定面とウインドシールドを挟持しても、リップ部と接着剤が緩衝材となってウインドシールドが破損することを防止できる。したがって、ウインドシールドロアに装着されたカウルトップが緩むことを抑制でき、カウルトップの振動による騒音の発生を好適に抑制できる。
また、カウルトップに形成される係合爪をウインドシールドロアに係合して、カウルトップをウインドシールドロアに装着することができる。係合爪はカウルトップと一体に成形されることから、係合爪がカウルトップに対して緩むことがなく、ウインドシールドロアに装着されたカウルトップが緩むことを抑制できる。
したがって、カウルトップの振動による騒音の発生を好適に抑制できる。
【0008】
また、本発明は、前記ウインドシールドロアは、前記固定面の端部から舌片状に延出するとともに位置決め穴を有する位置決め部を有し、前記カウルトップを前記ウインドシールドロアに装着した状態において、前記カウルトップに形成される位置決め爪が、前記位置決め穴を貫通することを特徴とした。
【0009】
この発明によると、カウルトップをウインドシールドロアに装着した状態のとき、カウルトップに形成される位置決め爪を、ウインドシールドロアに形成される位置決め穴に貫通させることができ、ウインドシールドロアに対するカウルトップの位置出し精度を向上できる。なお、係合爪の1つを位置決め爪として使用する構成であってもよい。この構成によると、位置決め爪もウインドシールドロアに係合することから、ウインドシールドロアに装着されたカウルトップが緩むことをより好適に抑制できる。
【0010】
また、本発明は、前記固定面及び前記ウインドシールドの挟持を解放する方向に前記係合爪が変形することを抑制するための補強リブが、前記係合爪に形成されていることを特徴とした。
【0011】
この発明によると、係合爪に補強リブを形成することで、ウインドシールドロアの固定面及びウインドシールドの挟持を解放する方向に係合爪が変形することを抑制できる。したがって、ウインドシールドロアに装着されたカウルトップが緩むことを、より確実に抑制でき、カウルトップの振動による騒音の発生を好適に抑制できる。
また、係合爪の変形量を小さく抑えられることから、係合爪の設計精度を向上でき、カウルトップは、固定面及びウインドシールドを確実に挟持できる係合爪を備えることができる。
【0012】
また、本発明は、前記係合爪は、前記リップ部が前記ウインドシールドを押さえつける位置より、前記ウインドシールドの下端部の側に形成されていることを特徴とした。
【0013】
この発明によると、リップ部がウインドシールドを押さえつける位置より、ウインドシールドの下端部の側に係合爪を形成できる。したがって、ウインドシールドが接着固定されるウインドシールドロアの固定面の下端部に係合する係合爪の長さを短くすることができ、カウルトップをウインドシールドロアに装着しやすい構成にできる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、カウルトップが緩むことなく装着され、騒音の発生を抑制できるウインドシールド支持部構造を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、適宜図を参照して詳細に説明する。
図1の(a)は、本実施形態に係るウインドシールド支持部構造を備える車両の前部を示す図、(b)は、カウルトップがウインドシールドロアに装着された状態を示す図である。以下、図1の(a)に示すように前後左右上下の方向を設定する。また、左右方向を車幅方向と称する場合がある。
図1の(a)に示すように、車両1の前部は、左右のフロントフェンダ2、3と、左右のフロントフェンダ2、3の間に開閉自在に備わるボンネット4と、ボンネット4の後方に配設されるカウルトップ6と、ウインドシールド10と、一組のワイパー9と、を含んで構成される。
【0016】
カウルトップ6は、車両1の左右方向(車幅方向)に伸びて備わる外装部材で、ボンネット4の後方に、ウインドシールド10の前方で下端部に沿うように配設される。そして、カウルトップ6には、外気を車両1の車室1aに取り込むための吸気口6aが形成される。
また、車両1の車室1aには、ウインドシールド10の後方に沿って、ダッシュボード8が配設される。
【0017】
カウルトップ6は、例えば樹脂製の部材で、図1の(b)に示すように、車室1aに配設されるダッシュボード8(図1の(a)参照)を取り付けるウインドシールドロア11の前方に装着される。
なお、カウルトップ6には、ワイパー9(図1の(a)参照)を取り付けるための取付穴9aが形成されていてもよい。
【0018】
図1の(b)に示すウインドシールドロア11は、ウインドシールド10の後方で車両1(図1の(a)参照)の車幅方向に伸びて備わる、例えば板金からなる部材であり、車両1を構成する図示しないフレーム等に、溶接などによって固定される。
ウインドシールドロア11の、例えば左右両端の側は前方に延出し、カウルトップ6が前方に延出した部分と重なる。そして、例えばクリップ5によって、カウルトップ6はウインドシールドロア11に固定される(図3の(a)参照)。
【0019】
そして、本実施形態は、カウルトップ6とウインドシールドロア11とでウインドシールド10を挟持する構成となっている。
【0020】
図2の(a)は、図1の(b)におけるX1−X1断面図、(b)は、図2の(a)におけるA1部拡大図である。
図2の(a)に示すように、ウインドシールドロア11の断面形状は、ウインドシールド10の傾斜に沿うような固定面11aが前方に形成され、固定面11aの上端は、後方に向かって伸びている。そして、後方に向かって伸びた部分にダッシュボード8が取り付けられる。
【0021】
また、カウルトップ6の断面形状は、ボンネット4の下方から後方に向かって伸び、さらに後端部は、ウインドシールド10の傾斜に沿うように上方に向かって傾斜し、リップ面6bが形成される。前記したように、ウインドシールドロア11の固定面11aはウインドシールド10に沿うように形成されることから、リップ面6bは、ウインドシールドロア11の固定面11aに相対するように形成される。
そして、ウインドシールドロア11の固定面11aは、ウインドシールド10を挟んでカウルトップ6のリップ面6bと相対する。
【0022】
また、図2の(b)に示すように、固定面11aとウインドシールド10の間にシール部材12を配設し、ウインドシールド10とウインドシールドロア11の間に、気密性及び液密性を確保する構成が好適である。さらに、ウインドシールド10は、接着剤13でウインドシールドロア11の固定面11aに接着固定される。
【0023】
シール部材12は、ゴムなど柔軟な素材で形成されることが好適であり、ウインドシールドロア11及びウインドシールド10がシール部材12を押圧することで、ウインドシールドロア11とウインドシールド10の間に、気密性及び液密性を確保できる。
【0024】
また、カウルトップ6のリップ面6bの上端部に沿って、端部がウインドシールド10の側に向かってわずかに湾曲する柔軟なリップ部6cが形成される。リップ部6cは、例えば二色成形によって、軟質の樹脂をカウルトップ6と一体成形して形成される。
この構成によって、リップ部6cは、ウインドシールドロア11の固定面11aと相対して備わる。
そして、リップ部6cの端部でウインドシールド10を車両1(図1の(a)参照)の前方から押さえつける構成が好適である。
【0025】
また、本実施形態に係るカウルトップ6には、複数の係合爪60が形成される。図2の(b)に示すように、係合爪60は、カウルトップ6のリップ面6bから後方に向かって起立する脚部60aと、脚部60aの端部が上方に屈曲して、リップ面6bに沿って伸びるように形成される係止部60bとを含んで構成され、側面形状が略L字型を呈する。そして、係合爪60がウインドシールドロア11の下端部に係合し、カウルトップ6がウインドシールドロア11に装着される構成とする。
【0026】
図3の(a)は、ウインドシールドロアにカウルトップが装着される状態を示す模式図、(b)は、図3の(a)におけるX2−X2断面図である。
図3の(a)に示すように、カウルトップ6のリップ面6bの後方(ウインドシールドロア11の固定面11aと相対する側)には、複数の係合爪60が形成される。係合爪60は、リップ面6bの後方に向かって突出するように形成され、上方に屈曲してリップ面6bに沿うように伸びる係止部60b(図2の(b)参照)を備える。
リップ面6bは、固定面11aに相対するように形成されているので、係合爪60の係止部60bは、固定面11aに沿うように伸びることになる。換言すると、係合爪60の端部は上方に屈曲して、固定面11aに沿うように伸びることになる。
【0027】
このように形成される係合爪60は、ウインドシールドロア11の前方から固定面11aの下端部に係合し、係止部60bは、固定面11aの後方に配置される。そして、リップ面6bが、前方から固定面11aと相対するように、カウルトップ6がウインドシールドロア11に装着される。
【0028】
さらに、図2の(b)に示すように、ウインドシールドロア11の固定面11aの前方には、シール部材12を介してウインドシールド10が備わり、接着剤13で接着固定されることから、リップ面6bが、前方からウインドシールド10と相対するように、カウルトップ6がウインドシールドロア11に装着される。
【0029】
そして、リップ面6bの上端部には、ウインドシールド10の側に向かってわずかに湾曲するリップ部6cが形成されることから、本実施形態においては、カウルトップ6のリップ面6bに形成されるリップ部6cと係合爪60で、ウインドシールド10及びウインドシールドロア11の固定面11aを共に挟持する構成になる。
【0030】
なお、図2の(b)に示すように、係合爪60の先端部60dは、リップ部6cがウインドシールド10を押さえつける位置より、ウインドシールド10の下端部の側に形成されている構成が好適である。
この構成によって、ウインドシールド10が接着固定される固定面11aに係合する係合爪60の、固定面11aの下端部からの長さを短くすることができる。したがって、係合爪60をウインドシールドロア11に係合しやすい構成にできる。すなわち、カウルトップ6をウインドシールドロア11に装着しやすい構成にすることができる。
【0031】
また、前記したように、リップ面6bの上端部に沿って柔軟なリップ部6c(図2の(b)参照)を形成し、リップ部6cの端部で、ウインドシールド10(図2の(b)参照)を車両1(図1の(a)参照)の前方から押さえつける構成とした。
この構成によって、ウインドシールド10は、カウルトップ6の側(前方)は柔軟なリップ部6cが接触し、ウインドシールドロア11の側(後方)は、シール部材12及び接着剤13が接触する。
【0032】
すなわち、ウインドシールド10は、柔軟なリップ部6c、シール部材12及び接着剤13を介して、カウルトップ6とウインドシールドロア11に挟持される。したがって、カウルトップ6とウインドシールドロア11が強い力でウインドシールド10を挟持しても、リップ部6c、シール部材12及び接着剤13が緩衝材になって、ウインドシールド10が破損することを防止できる。換言すると、カウルトップ6のリップ部6cと係合爪60が、ウインドシールド10及びウインドシールドロア11を強い力で挟持しても、ウインドシールド10が破損することを防止できる。
【0033】
そして、カウルトップ6のリップ部6cと係合爪60が、ウインドシールド10及びウインドシールドロア11を強い力で挟持することで、ウインドシールドロア11に装着されたカウルトップ6が緩むことを好適に抑制することができる。したがって、カウルトップ6の振動による騒音の発生を好適に防止できる。
【0034】
図4は、係合爪の形状を示す図である。前記したように、係合爪60は、カウルトップ6のリップ面6bから後方に向かって起立する脚部60aと、脚部60aの端部が上方に屈曲して、リップ面6bに沿って伸びるように形成される係止部60bとを含んで構成され、側面形状がL字型を呈する。そして、係合爪60の係止部60bとリップ部6c(図2の(b)参照)で、ウインドシールドロア11の固定面11aとウインドシールド10(図3の(a)参照)を挟持する。
【0035】
さらに、係合爪60に補強リブ60cを形成し、係合爪60を補強する構成が好適である。補強リブ60cの形状は限定するものではないが、例えば脚部60aの起立する方向及び係止部60bの伸びる方向に沿って、脚部60a及び係止部60bの両端部近傍に壁状に起立して形成される。
【0036】
また、脚部60a及び係止部60bの両端部に形成される補強リブ60cを連結するように補強リブ60cを形成する構成であってもよい。
さらに、脚部60aに形成される補強リブ60cが延長するようにカウルトップ6のリップ面6bが壁状に起立して、補強リブ60cを形成する構成であってもよい。
【0037】
このような形状の補強リブ60cを設けることで、係止部60bが、カウルトップ6のリップ面6bから離反する方向に変形することを好適に抑制でき、リップ面6bと係止部60bの間が広がることを抑制できる。すなわち、ウインドシールドロア11の固定面11a及びウインドシールド10(図2の(b)参照)の挟持を解放する方向に係合爪60が変形することを抑制できる。
したがって、ウインドシールドロア11に装着されたカウルトップ6が緩むことを抑制できる。そして、カウルトップ6の振動による騒音の発生を好適に防止できる。
【0038】
また、係合爪60に補強リブ60cを形成することで、例えばカウルトップ6の製造時における係合爪60の変形を抑制できることから、係合爪60の設計誤差を小さくできる。したがって、ウインドシールドロア11及びウインドシールド10(図2の(b)参照)を好適な力で挟持する係合爪60を構成することができる。
このことによっても、ウインドシールドロア11に装着されたカウルトップ6が緩むことを好適に抑制できる。
【0039】
図3の(a)に示すように、ウインドシールドロア11の固定面11aには、位置決め部14が備わる。位置決め部14は、ウインドシールドロア11に装着されたカウルトップ6の左右方向を位置決めする部材で、例えば、ウインドシールドロア11の固定面11aの下端部からカウルトップ6のリップ面6bに沿うように舌片状に延出して形成される。
そして、位置決め部14には、少なくとも1つの位置決め穴14aが形成される。
【0040】
また、カウルトップ6には、ウインドシールドロア11の位置決め部14に形成される位置決め穴14aの位置に対応するように、位置決め爪61が形成される。
位置決め爪61は、例えば係合爪60と同等の形状で、図3の(b)に示すように、カウルトップ6がウインドシールドロア11に装着されたときに位置決め穴14aを貫通し、ウインドシールドロア11の固定面11aに係合する。
【0041】
位置決め穴14aの左右方向の寸法は、位置決め爪61の左右方向の幅に対するクリアランスを小さくする構成が好適である。
この構成によって、位置決め穴14aに対する位置決め爪61の左右位置を精度よく決定することができる。
そして、図3の(a)、(b)に示すように、位置決め爪61が位置決め穴14aを貫通する構成にすることで、カウルトップ6の上端部の側は、ウインドシールドロア11に対する左右方向の位置決めが精度よくなされ、カウルトップ6の上端部の側が、ウインドシールドロア11に対して左右方向にずれて装着されることを好適に防止できる。
なお、位置決め爪61の形状は、位置決め穴14aを貫通するような突起状であれば、係合爪60と同等の形状に限定されるものではない。
【0042】
前記のように、カウルトップ6はウインドシールド10の外側に備わる外装部材であり、特に上端部の側は外部から容易に視認される部位であることから、カウルトップ6の上端部の側がウインドシールドロア11に対して左右方向にずれて装着されると、見栄えが悪くなり、車両1(図1の(a)参照)の商品品質が低下する。
【0043】
本実施形態においては、図3の(a)、(b)に示すように、ウインドシールドロア11に位置決め部14を備え、カウルトップ6に位置決め爪61を形成する構成とした。この構成によって、ウインドシールドロア11に対するカウルトップ6の左右方向の位置決め精度を向上でき、商品品質の低下を抑制することができる。
【0044】
また、例えばウインドシールドロア11にカウルトップ6を装着する工程においても、ウインドシールドロア11に対する、カウルトップ6の上端部の側の位置出しが容易になり、生産効率を向上できる。
さらに、例えば車両1(図1の(a)参照)の走行で発生する振動によって、カウルトップ6の上端部の側が左右方向にずれることを防止できる。したがって、長期間の使用による商品品質の低下を抑制できる。
【0045】
以上のように、本実施形態は、図2の(b)に示すように、ウインドシールドロア11に係合する係合爪60をカウルトップ6に形成して、この係合爪60をウインドシールドロア11に係合し、ウインドシールド10とウインドシールドロア11を挟持するように、カウルトップ6をウインドシールドロア11に装着する構成とした。
さらに、カウルトップ6に柔軟なリップ部6cを形成し、リップ部6cとウインドシールドロア11に備わるシール部材12とでウインドシールド10を挟持するウインドシールド支持部構造とした。
【0046】
この構成によって、柔軟なリップ部6c及びシール部材12でウインドシールド10を挟持することができ、カウルトップ6とウインドシールドロア11が強い力でウインドシールド10を挟持する場合であっても、リップ部6c及びシール部材12が緩衝材となってウインドシールド10が破損することを防止できる。
【0047】
したがって、カウルトップ6の係合爪60が、強い力でウインドシールド10とウインドシールドロア11を挟持する構成としても、ウインドシールド10が破損することがなく、ウインドシールド10とウインドシールドロア11を強い力で挟持する係合爪60を形成することができる。
このことによって、ウインドシールドロア11に装着されたカウルトップ6が緩むことを好適に抑制できる。
【0048】
また、本実施形態においては、カウルトップ6の係合爪60に補強リブ60cを形成した。この構成によって、係合爪60の剛性を高めることができ、ウインドシールドロア11に装着されたカウルトップ6が緩むことを好適に抑制できる。
したがって、緩んだカウルトップ6の振動による騒音の発生を防止できるという優れた効果を奏する。
【0049】
さらに、本実施形態においては、ウインドシールドロア11に位置決め部14を備えた。この構成によって、ウインドシールドロア11に対するカウルトップ6の左右方向の位置決め精度を向上でき、車両1(図1の(a)参照)の商品品質の低下を抑制することができるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】(a)は、本実施形態に係るウインドシールド支持部構造を備える車両の前部を示す図、(b)は、カウルトップがウインドシールドロアに装着された状態を示す図である。
【図2】(a)は、図1の(b)におけるX1−X1断面図、(b)は、図2の(a)におけるA1部拡大図である。
【図3】(a)は、ウインドシールドロアにカウルトップが装着される状態を示す模式図、(b)は、図3の(a)におけるX2−X2断面図である。
【図4】係合爪の形状を示す図である。
【符号の説明】
【0051】
1 車両
6 カウルトップ
6b リップ面
6c リップ部
10 ウインドシールド
11 ウインドシールドロア
11a 固定面
12 シール部材
13 接着剤
14 位置決め部
14a 位置決め穴
60 係合爪
60c 補強リブ
61 位置決め爪
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のウインドシールドの後方に配設され、前記ウインドシールドの下部を接着固定する固定面を有するウインドシールドロアと、
前記ウインドシールドの前方に配設され、前記ウインドシールドを前方から押さえつける柔軟なリップ部を有するカウルトップと、を備え、
前記固定面と前記リップ部が前記ウインドシールドを挟んで相対するとともに前記リップ部が前記ウインドシールドを前方から押さえつけるように、前記カウルトップが前記ウインドシールドロアに装着されるウインドシールド支持部構造において、
前記カウルトップの後方に形成される係合爪の端部を前記固定面に沿うように屈曲し、
前記リップ部と前記係合爪で、前記固定面及び前記ウインドシールドを挟持するように前記係合爪が前記ウインドシールドロアに係合して、前記カウルトップが前記ウインドシールドロアに装着されることを特徴とするウインドシールド支持部構造。
【請求項2】
前記ウインドシールドロアは、
前記固定面の端部から舌片状に延出するとともに位置決め穴を有する位置決め部を有し、
前記カウルトップを前記ウインドシールドロアに装着した状態において、前記カウルトップに形成される位置決め爪が、前記位置決め穴を貫通することを特徴とする請求項1に記載のウインドシールド支持部構造。
【請求項3】
前記固定面及び前記ウインドシールドの挟持を解放する方向に前記係合爪が変形することを抑制するための補強リブが、前記係合爪に形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のウインドシールド支持部構造。
【請求項4】
前記係合爪は、前記リップ部が前記ウインドシールドを押さえつける位置より、前記ウインドシールドの下端部の側に形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のウインドシールド支持部構造。
【請求項1】
車両のウインドシールドの後方に配設され、前記ウインドシールドの下部を接着固定する固定面を有するウインドシールドロアと、
前記ウインドシールドの前方に配設され、前記ウインドシールドを前方から押さえつける柔軟なリップ部を有するカウルトップと、を備え、
前記固定面と前記リップ部が前記ウインドシールドを挟んで相対するとともに前記リップ部が前記ウインドシールドを前方から押さえつけるように、前記カウルトップが前記ウインドシールドロアに装着されるウインドシールド支持部構造において、
前記カウルトップの後方に形成される係合爪の端部を前記固定面に沿うように屈曲し、
前記リップ部と前記係合爪で、前記固定面及び前記ウインドシールドを挟持するように前記係合爪が前記ウインドシールドロアに係合して、前記カウルトップが前記ウインドシールドロアに装着されることを特徴とするウインドシールド支持部構造。
【請求項2】
前記ウインドシールドロアは、
前記固定面の端部から舌片状に延出するとともに位置決め穴を有する位置決め部を有し、
前記カウルトップを前記ウインドシールドロアに装着した状態において、前記カウルトップに形成される位置決め爪が、前記位置決め穴を貫通することを特徴とする請求項1に記載のウインドシールド支持部構造。
【請求項3】
前記固定面及び前記ウインドシールドの挟持を解放する方向に前記係合爪が変形することを抑制するための補強リブが、前記係合爪に形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のウインドシールド支持部構造。
【請求項4】
前記係合爪は、前記リップ部が前記ウインドシールドを押さえつける位置より、前記ウインドシールドの下端部の側に形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のウインドシールド支持部構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図2】
【図3】
【図4】
【公開番号】特開2010−36641(P2010−36641A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−199459(P2008−199459)
【出願日】平成20年8月1日(2008.8.1)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年8月1日(2008.8.1)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]