説明

ウェハ加工用シート

【課題】半導体製造工程において、マウンターや剥離用粘着テープなどがウェハ加工用シートに付着しないようにすることにある。
【解決手段】本発明のウェハ加工用シートは、基材上に接着剤層が積層されたダイシングシートと、リング状両面粘着シートとからなるウェハ加工用シートであって、前記基材の面上における中央部に接着部を有しており、その周囲に非接着部を有していることを特徴とする。前記接着部を有している基材の同一面上における外縁部にリング状両面粘着シートが積層されていることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェハ加工用シートに関する。より詳しくは、本発明は、基材上に接着剤層が積層されたダイシングシートとリング状両面粘着シートとからなるウェハ加工用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造工程の一つに、所要の前処理を経て回路が形成された半導体ウェハを複数のチップに切断分離するダイシング工程がある。
この工程に用いるウェハ加工用シートとして、ダイシング加工(ウェハの固定)およびダイボンディング加工の機能を発揮する接着剤層を備えたダイシングシート上に、リング状の付着防止用粘着シートが積層されたウェハ加工用シートが開発されている(特許文献1参照)。より具体的には、上記ウェハ加工用シート800では、基材801上に接着剤層802が設けられたダイシングシート803と、基材フィルム804上に感圧接着剤層(粘着剤層)805が設けられた付着防止用粘着シート806とが、接着剤層802および基材フィルム804を介して積層されている(図8参照)。
【0003】
ウェハ加工用シート800を用いる場合は、ダイシング工程に先立って、付着防止用粘着シート806の感圧接着剤層805を介して、リングフレーム300にウェハ加工用シート800が貼着され、ウェハ加工用シート800のダイシングシート803にウェハ807が貼付される。その後、回路毎にウェハがダイシングされてチップが製造される。
【0004】
このウェハ加工用シート800は、ウェハが貼付されてからチップをピックアップするまでリングフレーム300に固定されているが、ピックアップが終了するとリングフレーム300から人手により剥離される。ウェハ加工用シート800が剥離されたリングフレーム300は必要に応じて洗浄され再使用され得る。
【0005】
なお、ウェハ加工用シート800は、接着剤層802を介してではなく、感圧接着剤層805を介してリングフレーム300に貼着されるため、リングフレーム300から剥離するときに、リングフレーム300に接着剤層802が残留せず、汚染しないという利点がある。
【特許文献1】特開平8−213349号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ウェハ加工用シート800にウェハ807を貼付する際には、図8に示すようなマウンター808が用いられる。このとき、ウェハ加工用シート800をウェハ807およびリングフレーム300に押し付けるように貼付するため、ウェハ加工用シート800の接着剤層802がマウンター808に付着し(図8の点線部分)、マウンター808が汚染されることがあった。また、マウンター808がウェハ807を吸引して保持する機構の場合には、図8の点線部分の接着剤層802も吸引され、この接着剤層802とマウンター808とが付着し(図8の点線部分)、マウンター808が汚染されることがあった。
【0007】
また、回路が形成された半導体ウェハの表面に表面保護シートを貼付した後、裏面研削を行って、ウェハの厚さを薄くすることがある。このような表面保護シート901が貼付されたウェハ807の場合も、ダイシング工程に先立って、上記マウンター808により、ウェハ加工用シート800を介してリングフレーム300に固定される(図9参照)。その後、ダイシングの前に、図9に示すように感熱接着タイプの剥離用粘着テープ902
を表面保護シート901に貼付し、剥離用粘着テープ902を剥離方向に移動させることによって剥離用粘着テープ902と共に表面保護シート901が剥離される。
【0008】
しかしながら、剥離用粘着テープ902を表面保護シート901に貼付するとき、剥離用粘着テープ902が接着剤層802に、図9の点線部分で付着し、表面保護シート901が剥離できないことがあった。また、剥離用粘着テープ902と共に表面保護シート901を剥離するとき、剥離用粘着テープ902が接着剤層802を基材801から剥がしてしまうことがあった。
【0009】
とくに、近年ウェハの厚さが薄くなるにしたがって、上述したような問題は深刻になってきた。
そこで、本発明の目的は、マウンターや剥離用粘着テープなどがウェハ加工用シートに付着しないようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは鋭意研究した結果、特定の構造を有するウェハ加工用シートによって上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明に係るウェハ加工用シートは、
基材上に接着剤層が積層されたダイシングシートと、リング状両面粘着シートとからなるウェハ加工用シートであって、上記基材の面上における中央部に接着部を有しており、その周囲に非接着部を有していることを特徴とする。
【0011】
上記接着部を有している基材の同一面上における外縁部にリング状両面粘着シートが積層されていることが好ましい。
上記接着剤層は、ウェハの径と略同一の径を有することが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明のウェハ加工用シートによれば、マウンターや剥離用粘着テープなどがウェハ加工用シートに付着することを防止できる。具体的には、マウンターを用いてウェハ加工用シートにウェハを貼付する際に、ウェハ加工用シートの接着剤層とマウンターとが付着せず、マウンターが汚染されない。また、ウェハ加工用シートを介してリングフレームに固定されており、かつ、表面保護シートが貼付されたウェハについて、剥離用粘着テープによって表面保護シートを剥離する際に、ウェハ加工用シートの接着剤層と剥離用粘着テープとが付着せず、表面保護シートが容易に剥離できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の一形態について具体的に説明する。
本発明のウェハ加工用シートの斜視図を図1に、そのX−X線断面図を図2に示す。図1および2に示すように、本発明のウェハ加工用シートは、基材101上に接着剤層102が積層されたダイシングシート103と、リング状両面粘着シート107とからなるウェハ加工用シート100であって、上記基材101の面上における中央部に上記接着剤層102が積層されて接着部となっており、上記接着剤層102の周囲に上記基材101が表出されて非接着部となっていることを特徴とする。そして、上記接着剤層102が積層されている基材101の同一面上における外縁部(接着部を有している基材の同一面上における外縁部)にリング状両面粘着シート107が積層されている。すなわち、基材101において、上記接着剤層102が積層されている面と同一面上であって、その外縁部にリング状両面粘着シート107が積層されている。また、上記接着剤層102は、ウェハ807の径と略同一の径を有する(後述する図4および5参照)。これは、接着剤層102の径がウェハ807の径より必要以上に大きいと、マウンターや剥離用粘着テープと、ウェハ807周囲に表出される接着剤層102とが付着する場合があり、接着剤層102
の径がウェハ807の径より必要以上に小さいと、ウェハ807を安定して保持できない場合やウェハ807の裏面の必要な部分に接着剤層102がない場合があり、これらの問題を回避するためである。また、接着剤層102およびウェハ807の径が略同一であると、従来のウェハ加工用シート800と比較して接着剤層を構成する接着剤の使用量を少なくできる利点もある。
【0014】
本発明のウェハ加工用シート100においては、ダイシングシート103の接着剤層102は、ダイシング加工およびダイボンディング加工の機能を発揮するように形成されている。すなわち、ダイシングシート103としては、ダイシング加工およびダイボンディング加工の機能を発揮するダイシングシート(本明細書において「ダイシング・ダイボンディングシート」ともいう。)が用いられる。まず、このようなダイシングシート103について説明する。ダイシングシート103では、基材101上に接着剤層102が剥離可能に積層されている。具体的には、ダイシングシート103に使用される基材や接着剤としては、特開昭60−35531号公報、特開平2−32181号公報に記載のダイシングシートと同様のものが挙げられる。
【0015】
基材101としては、ポリオレフィンなどの汎用の単層フィルムや積層フィルムが挙げられる。基材101の厚さは、通常10〜300μm、好ましくは50〜200μmである。
【0016】
また、基材101の表面張力は、好ましくは40dyn/cm以下、さらに好ましくは35dyn/cm以下であることが望ましい。表面張力が上記範囲にあると、接着剤層102との剥離性が向上し、接着剤層付きチップのピックアップ適性が向上できる。このような表面張力の低い基材は、材質を適宜選択して得ることもでき、または基材101の表面にシリコーン樹脂などを塗布する離型処理を施して得ることもできる。
【0017】
接着剤層102は、常温で粘着性を有するか、または加熱により粘着性を有するようになるため、ダイシング工程の際に半導体ウェハに貼着できるとともに、チップマウント工程の際にチップとリードフレームとを接着できる。さらに、その後の加熱硬化により強固に接着固定化できる。接着剤層102は、Bステージ(半硬化状)の熱硬化型接着成分からなっていても、低分子量の熱硬化性接着成分とポリマー成分とからなっていてもよい。また、接着剤層102の構成成分として、紫外線硬化性成分がさらに配合されていてもよい。このような接着剤層102は、紫外線照射により基材101との剥離性が向上するため、ダイシング後のピックアップ時に、接着剤層付きチップがピックアップしやすくなる。
【0018】
接着剤層102の厚さは、通常5〜200μmであり、好ましくは10〜100μmである。
なお、本発明のウェハ加工用シート100において、ダイシングシート103として、ダイシング加工のみの機能を発揮するダイシングシート(本明細書において「ダイシング加工専用のダイシングシート」ともいう。)を用いてもよい。ダイシング加工専用のダイシングシートの接着剤層を形成するためには、常に低粘着力を示す低粘着力型の粘着剤、ピックアップの前にエネルギー線照射により粘着力が低下するエネルギー線硬化型の粘着剤が用いられる。
【0019】
上記低粘着力型の粘着剤は、低粘着力に調整された粘着剤であり、アクリル系、ゴム系、シリコーン系などの粘着性を発現しうるポリマーを構成成分とする。本発明においては、汎用性、粘着特性の制御の容易性などを考慮すると、アクリル系粘着剤が好適に用いられる。
【0020】
ダイシング加工専用のダイシングシートにおける接着剤層の厚さは、通常1〜100μmであり、好ましくは5〜30μmである。ダイシング加工専用のダイシングシートの基材としては、ダイシング・ダイボンディングシートと同様の基材が用いられる。接着剤層の基材からの剥離性は必要とされないので、基材の低表面張力性は要求されない。
【0021】
次に、本発明のウェハ加工用シート100を構成するリング状両面粘着シート107について説明する。リング状両面粘着シート107は、芯材フィルム104とその片面に形成される積層用粘着剤層105と、他方の面に形成される固定用粘着剤層106からなる(図1および2参照)。すなわち、リング形状を有する芯材フィルム104と、該フィルム104におけるダイシングシート103に貼付される側の面に形成された積層用粘着剤層105と、該フィルム104におけるリングフレームに貼付される側の面に形成された固定用粘着剤層106とからなる。
【0022】
また、リング状両面粘着シート107は、リングフレームに固定可能な大きさを有する。このリングフレーム300とは、通常は金属製またはプラスチック製の成形体である(図3参照)。リングフレーム300の内部開口301の内径はダイシングするウェハの径よりも大きいが、たとえば図4および5に示すように、内部開口301の径はリング状両面粘着シート107の内径と略同一である。このようなリングフレーム300は、本発明に係るウェハ加工用シート100を用いるときは、後述するように、下面をリング状両面粘着シート107の固定用粘着剤層106に貼付し、このリング状両面粘着シート107を介してダイシングシート103に貼付された構成となる(後述する図4および5参照)。
【0023】
芯材フィルム104としては、たとえばポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体フィルム、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体フィルム、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体フィルム、アイオノマー樹脂フィルム等のポリオレフィンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム等が用いられる。中でも、エキスパンド性の観点から、ポリオレンフィルム、可塑化したポリ塩化ビニルフィルムが好ましく、両面に積層される粘着剤に可塑剤による接着力の影響が出ないため、ポリオレフィンフィルムが特に好ましい。
【0024】
芯材フィルム104の厚さは、通常15〜200μm、好ましくは30〜150μm、より好ましくは40〜100μmである。15μm未満では、リング状両面粘着シート107をダイシングシート103に貼り合わせる際に形状を維持できず、変形して積層されてしまう場合がある。200μmを超えると、ウェハ加工用シート100をロール状として保管等するときに、段差が大きいため巻跡がつくことがある。
【0025】
積層用粘着剤層105および固定用粘着剤層106は、ともに感圧接着性を有していればよく、同じ粘着剤からなる層であっても異なる粘着剤からなる層であってもよい。このような粘着剤としては、たとえばアクリル、ゴム、シリコーン粘着剤が挙げられる。より好ましくは、固定用粘着剤層106とリングフレーム300との接着力が、接着剤層102と積層用粘着剤層105との接着力よりも小さくできるような粘着剤が適宜選択される。これらのうちで、固定用粘着剤層106としては、リングフレーム300からの再剥離性を考慮するとアクリル粘着剤が好ましい。固定用粘着剤層106を形成する粘着剤は、単独で用いても、2種以上混合して用いてもよい。積層用粘着剤層105についても同様である。
【0026】
積層用粘着剤層105および固定用粘着剤層106の厚さは、それぞれ通常2〜20μm、好ましくは3〜15μm、より好ましくは4〜10μmである。2μm未満では、充分な接着力が発現しないことがあり、20μmを超えると、リングフレーム300に粘着
剤が残り、汚染することがある。
【0027】
図1および2に示す本発明のウェハ加工用シート100は、たとえば以下のようにして作製される。まず、所定の形状とする前のダイシングシートおよび両面粘着シートは、それぞれ公知の塗工方法に基づき製造される。ダイシングシートの接着剤層の表面ならびに両面粘着シートの粘着剤層(積層用粘着剤層および固定用粘着剤層)の表面には、粘着剤層の保護のためにそれぞれ剥離フィルムを積層しておく。
【0028】
両面粘着シートに対し、積層用粘着剤層上の剥離フィルムから固定用粘着剤層の層まで、固定用粘着剤層上の剥離フィルムを残すようにして、リング形状の内形をかたどる打ち抜きを行う。打ち抜かれた両面粘着シートの内側部分は除去される。ダイシングシートに対し、接着剤層上の剥離フィルムから接着剤層の層まで基材を残すようにしてウェハの形状にあわせて打ち抜きを行う。打ち抜かれたダイシングシートの外側部分は除去される。ダイシングシートの接着剤層上の剥離フィルムを剥離し、次いで、両面粘着シートの積層用粘着剤層上の剥離フィルムを剥離し、両面粘着シートの積層用粘着剤層をダイシングシートの基材の接着剤層が積層された面に、積層用粘着剤層と基材とが接するように積層する。次いで、ダイシングシートの基材から固定用粘着剤層まで、固定用粘着剤層上の剥離フィルムを残すようにして、リング形状の外形をかたどる打ち抜きを行う。
以上により、剥離フィルムにより保護された本発明のウェハ加工用シート100が得られる。
【0029】
こうして得られた本発明のウェハ加工用シート100は、半導体装置の製造工程において好適に用いられる。
具体的には、ウェハ加工用シート100を用いる場合は、ダイシング工程に先立って、リング状両面粘着シート107の固定用粘着剤層106を介して、リングフレーム300にウェハ加工用シート100が貼着され、ダイシングシート103の接着剤層102を介してウェハ807にウェハ加工用シート100が貼付される。ウェハ807にウェハ加工用シート100を貼付する際には、図4に示すようなマウンター808が用いられる。マウンターでの貼付は、マウンター808上にリングフレーム300とウェハ807を保持し、剥離フィルムを剥がしたウェハ加工用シート100をゴムローラーなどで押し付けるようにして貼付する。このとき、図4の点線部分のウェハ加工用シート100がマウンター808と接触することがある。とくに、近年ウェハの厚さが薄くなるにしたがって、接触する場合が多い。しかし、この接触し得る部分(図4、点線部分)では、基材101が表出されているため両者は付着することがない。また、リングフレーム300とウェハ807とをマウンター808からの吸引によって保持することがあるが、この場合、図4の点線部分のウェハ加工用シート100も吸引され得る。とくに、近年ウェハの厚さが薄くなるにしたがって、強く吸引される場合が多い。しかし、この吸引され得る部分(図4、点線部分)では、基材101が表出されているため、本発明のウェハ加工用シート100とマウンター808とが吸引により接触しても両者は付着することがない。したがって、マウンター808が汚染されない。なお、その後、ウェハ加工用シート100によりリングフレーム300に保持されたウェハ807は、回路毎にダイシングされてチップが製造される。
【0030】
また、回路が形成された半導体ウェハの表面に表面保護シートを貼付した後、裏面研削を行って、ウェハの厚さを薄くすることがある。このような表面保護シート901が貼付されたウェハ807の場合も、ウェハの裏面研削後、ダイシング工程に先立って、上記マウンター808により、ウェハ加工用シート100を介してリングフレーム300に固定される(図5参照)。その後、ダイシングの前に、図5に示すように表面保護シート901に剥離用粘着テープ902を貼付し、感熱接着タイプの剥離用粘着テープ902を利用して表面保護シート901を剥離する。このとき、剥離用粘着テープ902がウェハ加工
用シート100と、図5の点線部分で接触することがある。とくに、近年ウェハの厚さが薄くなるにしたがって、接触する場合が多い。しかし、この接触し得る部分(図5、点線部分)では、基材101が表出されているため、本発明のウェハ加工用シート100と剥離用粘着テープ902とが接触しても両者は付着することがない。したがって、表面保護シート901が容易に剥離できる。なお、その後、ウェハ加工用シート100によりリングフレーム300に保持されたウェハ807は、回路毎にダイシングされてチップが製造される。
【0031】
なお、本発明のウェハ加工用シートは、斜視図を図6に、そのX−X線断面図を図7に示すようなウェハ加工用シート600であってもよい。このウェハ加工用シート600では、上記接着剤層102が積層されている基材101の反対面上における外縁部にリング状両面粘着シート107が積層されている。すなわち、基材101において、上記接着剤層102が積層されている面と異なる面上であって、その外縁部にリング状両面粘着シート107が積層されている。このような構成のものであっても、上記と同様の効果が得られる。
【0032】
なお、半導体回路が形成されたウェハ表面からウェハの厚さより小さい所定の深さの溝(カーフ)を形成し、該回路面に表面保護シートを貼着し、該ウェハの裏面を研削して、ウェハの厚みを薄くするとともに、個々のチップに分割することもある(このような方法を先ダイシング法ともいう。)。この場合、得られた複数のチップを表面保護シートに貼着した状態のまま、複数のチップの裏面に本発明のウェハ加工用シートを貼付して、保管、移送などを行ってもよく、その後必要に応じて、複数のチップ上の表面保護シートを剥離する。このような先ダイシング法を行った場合も、本発明のウェハ加工用シートによれば、本発明のウェハ加工用シートを複数のチップの裏面に貼付する際および表面保護シートを剥離する際には、上記で説明した場合と同様に、マウンターや剥離用粘着テープがウェハ加工用シートの接着剤層に付着しないという利点が得られる。
【0033】
また、本発明のウェハ加工用シートの形状は、図1および図2に示すような円形以外であってもよい。具体的には、リング状両面粘着シート、接着剤層および基材の形状は、図1および図2に示すような円以外の形状であってもよく、具体的には、楕円、四角形等の多角形などであってもよい。たとえば、リングフレームおよびその内部開口の形状としては、図3に示す円以外の形状(楕円、四角形等の多角形など)も採用されうるため、これにあわせてウェハ加工用シートの形状を適宜選択すればよい。
【0034】
本発明のその他の形態として、ダイシングシートの接着剤層における中央部(接着部)の周囲上に非接着性の層(非接着部)が設けられており、接着剤層が積層されている基材の同一面上における外縁部にリング状両面粘着シートが積層されているウェハ加工用シートであってもよい。また、ダイシングシートの接着剤層がエネルギー線硬化型の接着剤からなり、この接着剤層の中央部(接着部)の周囲に、エネルギー線の照射により形成された硬化部(非接着部)が設けられており、接着剤層が積層されている基材の同一面上における外縁部にリング状両面粘着シートが積層されているウェハ加工用シートであってもよい。なお、第二、第三の形態において、上記接着剤層が積層されている基材の反対面上における外縁部にリング状両面粘着シートが積層されていてもよい。いずれの形態であっても上述したような効果が得られる。すなわち、基材上に接着剤層が積層されたダイシングシートと、リング状両面粘着シートとからなるウェハ加工用シートであって、該基材の面上における中央部に接着部を有しており、その周囲に非接着部を有しているウェハ加工用シートであれば、上述したような効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】図1は、本発明のウェハ加工用シートの斜視図である。
【図2】図2は、図1のX−X線断面図である。
【図3】図3は、リングフレームの斜視図である。
【図4】図4は、本発明のウェハ加工用シートを説明するための図である。
【図5】図5は、本発明のウェハ加工用シートを説明するための図である。
【図6】図6は、本発明のウェハ加工用シートの斜視図である。
【図7】図7は、図6のX−X線断面図である。
【図8】図8は、従来のウェハ加工用シートを説明するための図である。
【図9】図9は、従来のウェハ加工用シートを説明するための図である。
【符号の説明】
【0036】
100: ウェハ加工用シート
101: 基材
102: 接着剤層
103: ダイシングシート
104: 芯材フィルム
105: 積層用粘着剤層
106: 固定用粘着剤層
107: リング状両面粘着シート
300: リングフレーム
301: 内部開口
600: ウェハ加工用シート
800: ウェハ加工用シート
801: 基材
802: 接着剤層
803: ダイシングシート
804: 基材フィルム
805: 感圧接着剤層
806: 付着防止用粘着シート
807: ウェハ
808: マウンター
901: 表面保護シート
902: 剥離用粘着テープ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材上に接着剤層が積層されたダイシングシートと、リング状両面粘着シートとからなるウェハ加工用シートであって、
前記基材の面上における中央部に接着部を有しており、その周囲に非接着部を有していることを特徴とするウェハ加工用シート。
【請求項2】
前記接着部を有している基材の同一面上における外縁部にリング状両面粘着シートが積層されていることを特徴とする請求項1に記載のウェハ加工用シート。
【請求項3】
前記接着剤層が、ウェハの径と略同一の径を有することを特徴とする請求項1または2に記載のウェハ加工用シート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−54679(P2009−54679A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−218096(P2007−218096)
【出願日】平成19年8月24日(2007.8.24)
【出願人】(000102980)リンテック株式会社 (1,750)
【Fターム(参考)】