説明

ウエザストリップ

【課題】軽量化を図りつつ、外観品質の低下を抑制することのできるウエザストリップを提供する。
【解決手段】ウエザストリップ4は、トリム部5及びシール部6を備える。トリム部5は、車内側側壁11、車外側側壁12及び連結部13を備え、その内部には金属製のインサート14が埋設されている。インサート14は骨片部31と各骨片部31同士を連結するセンターボンド部32等とを備える。骨片部31は、車内側側壁11に対応する車内側側壁対応部41と、車外側側壁12に対応する車外側側壁対応部42と、連結部13に対応する連結部対応部43とを備える。インサート14のうち両湾曲部44,45の厚みに比べ、当該両湾曲部44,45を除く他の部位の厚みが薄くされている。また、車内側側壁対応部41及び車外側側壁対応部42のうち湾曲部44,45を除く部位に、湾曲部44,45よりも幅広の幅広部51が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トリム部内にインサートが埋設されてなるウエザストリップに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、自動車等の車両のドア開口周縁のフランジにはトリム部を有するウエザストリップが設けられる。ウエザストリップは、ドア開口周縁のフランジに対し嵌め込まれることによって保持される保持リップを備えたトリム部と、前記トリム部から突出して設けられた中空状のシール部とを備えている。トリム部は、車内側側壁、車外側側壁及び両側壁を連結する連結部を備え、断面略U字形をなす。
【0003】
また、トリム部の内部には、金属製のインサートが埋設されている。図6に示すように、インサート90は、互いに略平行に配設された複数の短冊状の骨片部91と、前記各骨片部91同士を連結するボンド部92(例えば前記連結部内に位置するセンターボンド部)とを備える。尚、同図においては、骨片部91が略U字形に曲げ加工される前の状態におけるインサート90を示している。
【0004】
ウエザストリップの取付に際しては、トリム部がフランジに嵌め込まれ、基本的には前記保持リップ部による弾性力、或いは、前記インサートの緊縛力等に基づいて取付状態が維持されるようになっている。そして、ドア閉時には、ドアの縁部が前記シール部と当接し、前記シール部が潰れ変形することによって、ドアとボディとの間がシールされる(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平11−48879号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、ウエザストリップに関しても軽量化の要請が高まってきている。とりわけ、ウエザストリップに対し金属製のインサートの占める割合が高いことから、インサートの重量を低減させることで、ウエザストリップに関しても軽量化が図られることとなる。インサートに関して軽量化を図る技術としては、例えば、インサートを薄肉とすることが考えられるが、インサート全体を薄肉としてしまったのでは、所望とする強度(形状保持性能)を確保できず、緊縛力が不十分なものとなってしまう。
【0006】
また、例えば、隣り合う骨片部間の距離を広げるようにして、ウエザストリップの長手方向における所定長さあたりの骨片部の数(ウエザストリップ1本あたりの骨片部の数)を少なくすることで、ウエザストリップの軽量化を図ることも考えられる。
【0007】
しかしながら、上記のように複数の骨片部がウエザストリップの長手方向において所定間隔毎に埋設されるウエザストリップに関しては、トリム部の両側壁において、骨片部が埋設されていない部位が、骨片部が埋設されている部位よりも凹んでしまい、側壁の表面に凹凸が形成されてしまうことが懸念される。そして、当該凹凸により外観品質の低下を招いてしまうおそれがある。特に、上記不具合は、隣り合う骨片部間の距離が広がるほど顕著なものとなる。
【0008】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、軽量化を図りつつ、外観品質の低下を抑制することのできるウエザストリップを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以下、上記目的を解決するのに適した各手段につき、項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果等を付記する。
【0010】
手段1.車両のドア開口周縁のフランジに保持され、車内側側壁、車外側側壁及び両側壁を連結する連結部を備える断面略U字形のトリム部と、
前記トリム部から突出して設けられ、ドア閉時にドアの周縁が押付けられる中空状のシール部とを有し、
前記トリム部には、その長手方向に沿って金属製のインサートが埋設され、当該インサートは、互いに略平行に配設された複数の短冊状の骨片部と、前記各骨片部同士を連結するボンド部とを備えたウエザストリップであって、
前記骨片部は、前記車内側側壁に対応する車内側側壁対応部と、前記車外側側壁に対応する車外側側壁対応部と、前記連結部に対応する連結部対応部とからなり断面略U字状をなすとともに、前記車内側側壁対応部及び前記連結部対応部の連接部位と、前記車外側側壁対応部及び前記連結部対応部の連接部位とがともに湾曲部となっており、
前記インサートのうち前記両湾曲部の厚みに比べ、当該両湾曲部を除く他の部位の厚みが薄く構成されるとともに、
前記車内側側壁対応部及び前記車外側側壁対応部のうち前記湾曲部を除く部位に、前記湾曲部よりも幅広の幅広部が設けられていることを特徴とするウエザストリップ。
【0011】
手段1によれば、トリム部に埋設された金属製のインサートによって所定の緊縛力が付与され、もってウエザストリップの取付状態が維持される。さて、手段1では、インサートを構成する短冊状の骨片部が、車内側側壁対応部と車外側側壁対応部と連結部対応部とからなり断面略U字状をなすとともに、車内側側壁対応部及び連結部対応部の連接部位と、車外側側壁対応部及び連結部対応部の連接部位とがともに湾曲部となっている。そして、インサートのうち両湾曲部の厚みに比べ、当該両湾曲部を除く他の部位の厚みが薄くされている。このように、両湾曲部を除いて薄肉化が図られることで、インサート全体ひいてはウエザストリップ全体としての軽量化を図ることができる。一方で、インサート全体を薄肉化するのではなく、両湾曲部に関しては比較的厚肉となっていることから、所定の強度、剛性を確保でき、曲げ当初の形状を保持しやすい。結果として、緊縛力が不十分となってしまうといった事態を抑制でき、取付状態の安定化を図ることができる。また、取付状態の安定化が図られることによって、シール部によるシール性能を長期にわたって十分に発揮できる。
【0012】
さらに、骨片部の両側壁対応部において幅広部が設けられることで、ウエザストリップの長手方向において隣り合う骨片部同士の側壁対応部間の距離を縮めることができる。このため、隣り合う骨片部同士の湾曲部間の距離を広げるようにして、ウエザストリップ1本あたりの骨片部の数を極力少なくすることで、ウエザストリップの軽量化を図る場合であっても、隣り合う骨片部同士の側壁対応部間の距離が広くなりすぎることに起因して、車外側側壁及び車内側側壁の表面が凸凹してしまうといった事態を抑制することができる。従って、軽量化を図りつつ、外観品質の低下を抑制することができる。
【0013】
尚、従来に比べて十分な軽量化を図り、かつ所定の強度を具備するという観点からは、前記両湾曲部の厚みが0.5mm±0.04mm、当該両湾曲部を除く他の部位の厚みが0.4mm±0.04mmであることがより望ましい。
【0014】
手段2.当該両湾曲部の厚みに比べ、両湾曲部を除く他の部位の厚みが0.05mm以上薄くなっていることを特徴とする手段1に記載のウエザストリップ。
【0015】
手段2のように、当該両湾曲部の厚みに比べ、両湾曲部を除く他の部位の厚みを0.05mm以上薄く構成することとすれば、軽量化を図る一方で、所定の強度を有するといういわば相反する作用効果を一挙に奏しやすいものとなる。尚、「両湾曲部の厚みに比べ、両湾曲部を除く他の部位の厚みを0.08mm以上薄く」することとしてもよい。
【0016】
手段3.前記トリム部の前記フランジへの取付前の状態において、隣り合う前記骨片部同士の前記湾曲部間の距離は前記湾曲部の幅の1/2以上、かつ、2倍以下であることを特徴とする手段1又は2に記載のウエザストリップ。
【0017】
手段3によれば、ウエザストリップ1本あたりの骨片部の数を極力減らすことで軽量化を図るといった作用効果がより確実に奏されることとなる。尚、隣り合う骨片部同士の湾曲部間の距離が湾曲部の幅の2倍よりも大きくなる場合には、所望とする強度(形状保持性能)を確保できず、緊縛力が不十分なものとなってしまうおそれがあるため、隣り合う骨片部同士の湾曲部間の距離は湾曲部の幅の2倍以下であることが望ましい。
【0018】
手段4.前記トリム部の前記フランジへの取付前の状態において、隣り合う前記骨片部同士の前記幅広部間の距離は前記湾曲部の幅以下であることを特徴とする手段1乃至3のいずれかに記載のウエザストリップ。
【0019】
手段4によれば、車外側側壁及び車内側側壁の表面に凹凸が形成されてしまうといった事態を抑制するといった作用効果がより確実に奏される。尚、「前記トリム部の前記フランジへの取付前の状態において、隣り合う前記骨片部同士の前記幅広部間の距離は前記湾曲部の幅の1/2以下」であることとしてもよい。この場合、本手段4の作用効果が一層確実に奏される。尚、車両のドア開口周縁に取着されるウエザストリップに関しては、取着に際し、隣り合う骨片部間の距離が広がるように変形することはあるものの、骨片部間の距離が縮まるように変形することはないため、ウエザストリップの製造段階において、隣り合う骨片部同士の幅広部が互いに当接又は略当接するように形成されていても、幅広部同士が干渉することはない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下に、一実施形態について図面を参照しつつ説明する。
【0021】
図2に示すように、自動車1の側方のドア2に対応するボディ側のドア開口3周縁には、ウエザストリップ4が設けられる。本実施形態のウエザストリップ4は、ドア開口3のうち、下部を除く周縁にわたって取付けられ、全て押出成形法によって成形されている。
【0022】
図1に示すように、ウエザストリップ4は、トリム部5及びシール部6を備えている。トリム部5は、車内側側壁11、車外側側壁12及び両側壁11,12を連結する断面湾曲形状をなす連結部13を備えており、全体として断面略U字形をなしている。トリム部5は、EPDM(エチレン−プロピレン−ジエン共重合)ソリッドゴムによって構成されており、その内部には、金属製のインサート14が埋設されている。
【0023】
車外側側壁12の内面には、トリム部5の内側(車両幅方向車内側)に向かって延びる複数の保持リップ部15が一体形成されている。また、車内側側壁11の内面には、トリム部5の内側(車両幅方向車外側)に向かって延びる保持リップ部16が一体形成されている。さらに、前記連結部13には図示しないガーニッシュ等の内装品の端部を覆うためのカバーリップ17が一体形成されている。
【0024】
さらに、前記シール部6は、車外側側壁12に対し車外側に突出して設けられており、中空状をなしている。該シール部6は、EPDMスポンジゴムによって構成されている。尚、シール部6は、EPDMスポンジゴムを主体として構成されその表層側にEPDMソリッドゴムの被膜が形成されるようにして構成されていてもよい。そして、ドア2閉時には、シール部6が潰れ変形することで、ドア2と自動車1のボディとの間がシールされるようになっている。
【0025】
上記ウエザストリップ4は、トリム部5がボディ側のドア開口3周縁(図2参照)に嵌め込まれることによって取付けられる。より詳しく説明すると、図1に示すように、ボディは、インナパネル21及びアウタパネル22を備えており、基本的にはこれら両パネル21,22の周縁部分が接合されることにより、フランジ23が形成されている(勿論、強度を高めるべく板状のリーンフォースが両パネル21,22間に設けられていてもよい)。そして、前記トリム部5がフランジ23に嵌め込まれ、基本的には前記保持リップ部15,16による弾性力、或いは、前記インサート14の緊縛力等に基づいて取付状態が維持されるようになっている。
【0026】
本実施形態におけるインサート14としては、図3,4,5に示すようなセンターボンドタイプが用いられる(図4,5は、曲げ加工前の状態を示す)。すなわち、インサート14は、互いに略平行に配設された複数の短冊状の骨片部31と、前記各骨片部31同士を、その略中央部分において連結するセンターボンド部32とを備えている。
【0027】
そして、当該インサート14のうち、骨片部31は、トリム部5の長手方向に沿って所定間隔毎に埋設され、押出成形後の曲げ加工においてトリム部5ともども略U字状に曲げられる。一方、センターボンド部32は、トリム部5の長手方向に沿って連続して前記連結部13内のほぼ中央に位置するようにして埋設される。
【0028】
さて、骨片部31がトリム部5とともに略U字状に曲げられる点については上述した。すなわち、骨片部31は、前記車内側側壁11に対応する車内側側壁対応部41と、前記車外側側壁12に対応する車外側側壁対応部42と、前記連結部13に対応する連結部対応部43とからなり、前記曲げ加工を経ることによって断面略U字状をなす。また、車内側側壁対応部41及び連結部対応部43の連接部位と、車外側側壁対応部42及び連結部対応部43の連接部位とがともに湾曲部44,45となっている。そして、本実施形態では、インサート14のうち前記両湾曲部44,45(図5において散点模様の付された部位)の厚みに比べ、当該両湾曲部44,45を除く他の部位の厚みが薄肉となっている。より詳しく説明すると、両湾曲部44,45の厚みT1が、0.5mmであるのに対し、それ以外の部位(センターボンド部32も含む)の厚みT2が0.4mmとなっている。
【0029】
また、本実施形態では、車内側側壁対応部41及び車外側側壁対応部42のうち両湾曲部44,45を除く他の部位に、湾曲部44,45よりも幅広の幅広部51が設けられている。特に、本実施形態では、両湾曲部44,45よりも各側壁対応部41、42(車内側側壁11、車外側側壁12)の先端部側の部分が湾曲部44,45よりも幅広に形成されることで幅広部51が構成されている。
【0030】
さらに、ウエザストリップ4の長手方向において隣り合う骨片部31同士の湾曲部44,45間の距離W1は、湾曲部44,45の幅W2よりも若干大きくなっている。すなわち、本実施形態では、隣り合う骨片部31同士の湾曲部44,45間の距離W1を極力広げることで、ウエザストリップ4に埋設される骨片部31の数を極力少なくし、ウエザストリップ4の軽量化を図っている。また、隣り合う骨片部31同士の幅広部51間の距離W3は、湾曲部44,45の幅W2よりも小さくなっている。
【0031】
以上のように構成されるインサート14は、例えば次のようにして得られる。まず、薄板状の鋼板が長手方向に沿って搬送される過程で、鋼板の両側部に対し、当該鋼板の長手方向に対して直交する方向に切れ込みが形成される。当該切れ込みは、鋼板の両側縁部からセンターボンド部32に対応する部位の側部にかけて形成される。切れ込みの形成された鋼板は、上下対をなすプレス装置へと案内される。当該プレス装置は、鋼板を薄肉化し、均等に引き延ばすためのものである。すなわち、プレス装置に案内された鋼板は、まずセンターボンド部32に対応する部位がプレスされ、引き延ばされる。このとき、センターボンド部32に対応する部位のうち切込み部が形成された側部が引き延ばされることに起因して、骨片部31が鋼板の長手方向において引き離された形状とされ、結果として所定間隔を隔てた複数の骨片部31等が形成される。
【0032】
また、センターボンド部32に対応する部位が引き延ばされた後、幅広部51に対応する部位がプレスされ、引き延ばされる。これにより、幅広部51に対応する部位が、湾曲部44,45に対応する部位よりも薄肉、かつ、幅広に構成されることとなる。尚、センターボンド部32に対応する部位、及び幅広部51に対応する部位を同時に引き延ばすこととしてもよい。
【0033】
尚、本実施形態のウエザストリップ4は、押出工程、加硫工程、曲げ工程及び裁断工程等を経ることで製造される。すなわち、押出工程においては、押出装置を構成する図示しないダイスの成形孔から、上記の方法で得られた平板状の圧延されたインサート14が連続的に供給されつつ、未加硫ゴムが押し出される。このとき、前記トリム部5に相当する部位が、その両先端部分が平板状又は略へ字形に拡開させられた状態で押し出される。
【0034】
続いて、押出された未加硫ゴムが、図示しない加硫装置(加熱ゾーン)中へ連続的に案内され、当該加硫装置において加硫が施される。
【0035】
さらに、加硫の施されたウエザストリップ4前駆体が、図示しない曲げ加工装置へ案内され、トリム部5に相当する部位の両先端部分を窄めるようにして曲げ加工が施される。これにより、断面略U字状のトリム部5が形成される。またこのとき、上述したように、インサート14についても曲げ加工が施され、上記のような湾曲部44,45が形成される。その後、図示しない裁断装置において、所定長に裁断されることで、上述したウエザストリップ4が得られる。
【0036】
以上詳述したように、本実施形態によれば、インサート14のうち両湾曲部44,45の厚みT1に比べ、当該両湾曲部44,45を除く他の部位の厚みT2が薄くされている。このように、両湾曲部44,45を除いて薄肉化が図られる(T2=0.4mm)ことで、インサート14全体ひいてはウエザストリップ4全体としての軽量化を図ることができる。一方で、インサート全体を薄肉化するのではなく、両湾曲部44,45に関しては比較的厚肉(T1=0.5mm)となっていることから、所定の強度、剛性を確保でき、曲げ当初の形状を保持しやすい。結果として、緊縛力が不十分となってしまうといった事態を抑制でき、取付状態の安定化を図ることができる。また、長期にわたり取付状態の安定化が図られることによって、シール部6によるシール性能を長期にわたって十分に発揮できる。
【0037】
また特に、両湾曲部44,45の厚みT1に比べ、両湾曲部44,45を除く他の部位の厚みT2を0.05mm以上(本実施形態では0.1mm)薄くした。これにより、軽量化を図る一方で、所定の強度を有するといういわば相反する作用効果を一挙に奏しやすいものとなる。
【0038】
さらに、骨片部31の両側壁対応部41,42において幅広部51が設けられることで、隣り合う骨片部31同士の側壁対応部41,42間の距離を縮めることができる(本例では湾曲部44,45の幅未満としている)。このため、隣り合う骨片部31同士の湾曲部44,45間の距離を広げて、ウエザストリップ4に埋設される骨片部31の数を極力少なくすることで、ウエザストリップ4の軽量化を図る場合であっても、隣り合う骨片部31同士の側壁対応部41,42間の距離が広くなりすぎることに起因して、車外側側壁12及び車内側側壁11の表面が凸凹してしまうといった事態を抑制することができる。従って、軽量化を図りつつ、外観品質の低下を抑制することができる。また、車内側側壁部11及び車外側側壁12の表面が凸凹することに起因して、ウエザストリップ4のうち車内側側壁部11及び車外側側壁12から延出する部位(保持リップ15、16等)が変形してしまうといった事態を防止することができ、シール性等に悪影響を及ぼしてしまうといった事態を回避することができる。
【0039】
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
【0040】
(a)上記実施形態では特に言及していないが、インサート14の成形に際し、骨片部31を形成するべく、薄板状の鋼板に対して形成される切込み部は、直線状のスリットであってもよいし、略コ字状の切欠き部であってもよい。切込み部として直線状のスリットを形成する場合には、インサート14の成形に際し、切欠き部を形成することで金屑(切り屑)が生じてしまうといった事態を防止することができる。一方、切込み部として略コ字状の切欠き部を形成する場合には、隣り合う骨片部31間の距離を広げることができる。
【0041】
尚、切込み部として直線状のスリットを形成する場合であっても、センターボンド部32に対応する部位のプレス量を大きくすることで、隣り合う骨片部31間の距離を広くすることができる。
【0042】
また、上記実施形態では、鋼板を薄肉化し、均等に引き延ばす際にプレス装置を使用しているが、圧延ローラを用いることとしてもよいし、プレス装置及び圧延ローラを併用することとしてもよい。
【0043】
(b)上記実施形態では、両湾曲部44,45よりも各側壁対応部41、42(車内側側壁11、車外側側壁12)の先端部側の全ての領域が湾曲部44,45よりも幅広に形成されることで幅広部51が構成されているが、両湾曲部44,45よりも各側壁対応部41、42の先端部側の部分の一部の領域を湾曲部44,45よりも幅広に形成することで幅広部51を設けることとしてもよい。
【0044】
(c)上記実施形態では特に言及しなかったが、車内側側壁対応部41及び車外側側壁対応部42のうち、少なくとも一方の先端部が所定間隔毎に切除されていることとしてもよい。例えば、車外側側壁対応部42の先端部を1つおきに切除することとしてもよい。かかる切除により、さらなる軽量化を図ることができる。一方で、切除される対象が車内側側壁対応部41や車外側側壁対応部42の先端部であり、しかも当該切除が例えば1つおきといった所定間隔毎であるため、強度、剛性にさほど影響が及ばなくて済む。
【0045】
(c)上記実施形態では、(サイドフロント)ドア2に対応するボディ側のドア開口3周縁に設けられるウエザストリップ4について具体化しているが、リヤドア、バックドア、ラッゲージドア(トランクリッド)、ルーフドア(スライディングルーフパネル)等の他のドアの開口周縁に設けられるウエザストリップについて適用することも可能である。
【0046】
(d)上記実施形態では、トリム部5をソリッドゴムにより構成し、シール部6をスポンジゴムにより構成することとしているが、両者を同一材料により構成することとしてもよい。また、トリム部5を微発泡ゴム等により構成してもよい。さらに、ゴム材料としてEPDMを例示しているが、IR(イソプレンゴム)、CR(クロロプレンゴム)等の他のゴム材料を用いてもよい。さらにまた、高分子材料としては、ゴム材料の他に、オレフィン系等の熱可塑性エラストマーや軟質PVC等の樹脂材料を用いることができる。
【0047】
(e)上記実施形態では、ウエザストリップ4が、ドア開口3の周縁の下部を除くほぼ全周にわたって取付けられることとしているが、完全に全周にわたって取付けられることとしてもよい。また、必ずしも全周或いはほぼ全周でなくてもよく、例えば部分的に取付けられるウエザストリップであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】一実施形態におけるウエザストリップを示す断面図である。
【図2】自動車を示す斜視図である。
【図3】インサートを示す断面図である。
【図4】曲げ加工前のインサートを示す断面図である。
【図5】曲げ加工前のインサートを示す部分平面図である。
【図6】従来技術における曲げ加工前のインサートを示す部分平面図である。
【符号の説明】
【0049】
1…自動車、2…ドア、3…ドア開口、4…ウエザストリップ、5…トリム部、6…シール部、11…車内側側壁、12…車外側側壁、13…連結部、31…骨片部、32…センターボンド部、41…車内側側壁対応部、42…車外側側壁対応部、43…連結部対応部、44,45…湾曲部、51…幅広部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のドア開口周縁のフランジに保持され、車内側側壁、車外側側壁及び両側壁を連結する連結部を備える断面略U字形のトリム部と、
前記トリム部から突出して設けられ、ドア閉時にドアの周縁が押付けられる中空状のシール部とを有し、
前記トリム部には、その長手方向に沿って金属製のインサートが埋設され、当該インサートは、互いに略平行に配設された複数の短冊状の骨片部と、前記各骨片部同士を連結するボンド部とを備えたウエザストリップであって、
前記骨片部は、前記車内側側壁に対応する車内側側壁対応部と、前記車外側側壁に対応する車外側側壁対応部と、前記連結部に対応する連結部対応部とからなり断面略U字状をなすとともに、前記車内側側壁対応部及び前記連結部対応部の連接部位と、前記車外側側壁対応部及び前記連結部対応部の連接部位とがともに湾曲部となっており、
前記インサートのうち前記両湾曲部の厚みに比べ、当該両湾曲部を除く他の部位の厚みが薄く構成されるとともに、
前記車内側側壁対応部及び前記車外側側壁対応部のうち前記湾曲部を除く部位に、前記湾曲部よりも幅広の幅広部が設けられていることを特徴とするウエザストリップ。
【請求項2】
当該両湾曲部の厚みに比べ、両湾曲部を除く他の部位の厚みが0.05mm以上薄くなっていることを特徴とする請求項1に記載のウエザストリップ。
【請求項3】
前記トリム部の前記フランジへの取付前の状態において、隣り合う前記骨片部同士の前記湾曲部間の距離は前記湾曲部の幅の1/2以上、かつ、2倍以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載のウエザストリップ。
【請求項4】
前記トリム部の前記フランジへの取付前の状態において、隣り合う前記骨片部同士の前記幅広部間の距離は前記湾曲部の幅以下であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のウエザストリップ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−179078(P2009−179078A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−17329(P2008−17329)
【出願日】平成20年1月29日(2008.1.29)
【出願人】(000241463)豊田合成株式会社 (3,467)
【Fターム(参考)】