説明

ウレタン発泡成形体およびその製造方法

【課題】 吸音特性を阻害することなく、熱伝達性の高いウレタン発泡成形体、およびその製造方法を提供する。
【解決手段】 ウレタン発泡成形体は、ポリウレタンフォームからなる基材と、該基材中に配合され互いに連接して配向している磁性フィラーと、を有し、該磁性フィラーは、鉄と熱伝導率が150W/(m・K)以上の金属との鉄合金からなり、該鉄合金中の鉄の含有量x(重量%)と、該磁性フィラーの体積y(mm)との関係は、図1における点A(10,0.25)、点B(10,0.01)、点C(65,0.0007)、点D(90,0.0007)、点E(90,0.25)で囲まれた領域内にある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば吸音材や振動吸収材等として用いられるウレタン発泡成形体およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ウレタン発泡成形体は、吸音材、振動吸収材等として、自動車等の様々な分野で用いられている。ウレタン発泡成形体は、内部に多数のセル(気泡)を有するため熱伝導率が低い。このため、発熱を伴うエンジン、モーター等の周囲に配置した場合、熱が蓄積され不具合を生じるおそれがある。このような問題を解消するため、ウレタン発泡成形体の放熱性を向上させる試みがなされている。
【0003】
例えば、特許文献1に開示されている防音タイヤは、ポリウレタンフォームにアルミナ粉末等の熱伝導材を配合した吸音材を備えている。また、特許文献2には、配向した磁性体粒子を有するポリウレタンフォーム製の吸音材が開示されている。
【特許文献1】特開2005−104314号公報
【特許文献2】特開2007−230544号公報
【特許文献3】特公平3−64583号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されている吸音材のように、ポリウレタンフォームからなる基材に熱伝導材を配合すると、熱伝導材同士の接触により熱の伝達経路が形成される。このため、吸音材の放熱性は向上する。しかし、放熱性を向上させるためには、多量の熱伝導材が必要となる。熱伝導材の配合量を多くすると、発泡成形に影響を及ぼすと共に、吸音特性が低下するおそれがある。この点、特許文献2に開示されている吸音材によると、ポリウレタンフォーム中の磁性体粒子は、鎖状に繋がって配向されている。よって、比較的少量の磁性体粒子により、放熱性の向上が可能となる。
【0005】
特許文献2に記載されているように、磁性体粒子は、磁場中での発泡成形時に、磁力線に沿って配向する。所望の配向状態を得るため、磁性体粒子には、磁化特性に優れたステンレス鋼等が用いられる。しかし、ステンレス鋼の熱伝導率は低い。したがって、ステンレス鋼粒子を配向させても、放熱性を満足いくレベルまで向上させることは難しい。
【0006】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、吸音特性を阻害することなく、熱伝達性の高いウレタン発泡成形体、およびその製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明者は、ポリウレタンフォーム中に配向させる磁性フィラーについての検討を重ねた。例えば、特許文献3には、非磁性体の銅と強磁性体の鉄とからなる銅鉄合金が開示されている。銅の熱伝導率は398W/(m・K)である。一方、鉄の伝導率は84W/(m・K)である。このように、銅の熱伝導率は、鉄の熱伝導率よりも大きい。したがって、銅の含有率が大きい銅鉄合金製の磁性フィラーを、ポリウレタンフォーム中に配向させれば、熱伝達性の向上に有効であろうと予想した。しかし、銅の含有率が大きいと、その分、鉄の含有率が小さくなる。つまり、銅の含有率を大きくすると、銅鉄合金の磁化特性が低下してしまう。このため、単に銅の含有率を大きくしただけでは、磁場中で発泡成形した場合に、磁性フィラーの所望の配向状態が得られないという問題があった。
【0008】
一般に、磁場が磁性フィラーに及ぼす力は、磁性フィラーの磁気モーメントと磁場勾配との積で決まる。磁気モーメントは、磁性フィラーの磁化と体積との積である。ここで、磁化は、磁性フィラーの組成と印加磁場の強さにより変化する。よって、磁気モーメントは、印加磁場の強さ、つまり磁束密度が一定であれば、磁性フィラーの組成、体積(大きさ)により変化する。すなわち、磁束密度が一定の場合には、磁性フィラーの組成、体積により、磁性フィラーに及ぼされる力が変化する。このため、仮に磁性フィラーが、磁化特性の低い(配向しにくい)組成を有していても、その体積を最適化することにより、所望の配向状態を得ることができる。
【0009】
このような知見に基づいてなされた本発明のウレタン発泡成形体は、ポリウレタンフォームからなる基材と、該基材中に配合され互いに連接して配向している磁性フィラーと、を有し、該磁性フィラーは、鉄と熱伝導率が150W/(m・K)以上の金属との鉄合金からなり、該鉄合金中の鉄の含有量x(重量%)と、該磁性フィラーの体積y(mm)との関係は、図1における点A(10,0.25)、点B(10,0.01)、点C(65,0.0007)、点D(90,0.0007)、点E(90,0.25)で囲まれた領域内にあることを特徴とする(請求項1に対応)。
【0010】
すなわち、本発明のウレタン発泡成形体は、高い熱伝導率と磁化特性とを両立させるために、組成および体積を最適化した磁性フィラーを有する。磁性フィラーは、熱伝導率が150W/(m・K)以上の金属を含む鉄合金からなる。よって、磁性フィラーの熱伝導率は高い。このような磁性フィラーを配向させることにより、ウレタン発泡成形体の熱伝達性を向上させることができる。また、熱伝導率の低いステンレス鋼製の磁性フィラーを用いた場合と比較して、より少ない配合量で熱伝達性を向上させることができる。
【0011】
例えば、熱伝導率が150W/(m・K)以上の金属として、銅を採用することができる。この場合、銅の含有量が90重量%と多くても(図1中の点A、鉄の含有量は10重量%)、磁性フィラーの体積が所定の範囲内であれば、磁性フィラーは配向する。このように、熱伝導率の高い金属の含有量が多い磁性フィラーを配向させることにより、ウレタン発泡成形体の熱伝達性を大幅に向上させることができる。
【0012】
ここで、鉄合金は、熱伝導率が150W/(m・K)以上の金属および鉄に加えて、0.05重量%以下の微量の添加物や、製造上不可避の不純物を含んでいてもよい。
【0013】
本発明のウレタン発泡成形体において、基材中の磁性フィラーは、ある規則性を持って所定の方向に配置されていればよい。例えば、ウレタン発泡成形体の一端と他端(一端に対して180°対向した端部でなくてもよい)との間に直線状に配置されていても、曲線状に配置されていてもよい。また、中心から外周に向かって放射状に配置されていてもよい。また、これらの形状を組み合わせた形状に配置されていてもよい。
【0014】
本発明のウレタン発泡成形体の製造方法は、鉄と熱伝導率が150W/(m・K)以上の金属との鉄合金からなり、該鉄合金中の鉄の含有量x(重量%)と、磁性フィラーの体積y(mm)との関係が、図1における点A(10,0.25)、点B(10,0.01)、点C(65,0.0007)、点D(90,0.0007)、点E(90,0.25)で囲まれた領域内にある磁性フィラーと、発泡ウレタン樹脂原料と、を混合し混合材料を調製する混合材料調製工程と、該混合材料を発泡型のキャビティ内に注入し、磁束密度が略均一な磁場中で発泡成形する発泡成形工程と、を有することを特徴とする(請求項7に対応)。
【0015】
磁場を利用した従来の成形方法では、発泡型等のキャビティ内における磁力分布は考慮されていない。例えば、対向する磁石間で成形を行った場合には、磁石の外周に近いほど外側に逃げる磁力線が多くなる。このため、磁石の拡径方向に沿って磁束密度は小さくなる。また、磁石間の間隔が大きくなると、磁石との距離に応じて磁束密度に差が生じやすい。このように、キャビティ内に充填される発泡原料の全体に、一様な磁場を作用させることは難しい。磁束密度が均一でなく、磁場勾配のある磁場中で発泡成形を行った場合には、発泡原料中の磁性フィラーが磁力線に沿って不要な方向に移動して、所望の配向状態が得られない。このため、製造されたウレタン発泡成形体において、所望の熱伝達性、吸音特性等が得られない。
【0016】
本発明の製造方法によると、発泡成形工程において、キャビティ内の磁束密度が略均一な磁場中で発泡成形を行う。このため、磁束密度の違いによる磁性フィラーの偏在を抑制することができ、所望の配向状態を得ることができる。また、磁性フィラーの配合量が比較的少量でも、磁性フィラーを略均一に分散させた状態で配向させることができる。したがって、本発明の製造方法によると、上記本発明のウレタン発泡成形体を、簡便かつ低コストに製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明のウレタン発泡成形体およびその製造方法の実施形態について説明する。なお、本発明のウレタン発泡成形体およびその製造方法は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、当業者が行い得る変更、改良等を施した種々の形態にて実施することができる。
【0018】
<ウレタン発泡成形体>
上述したように、本発明のウレタン発泡成形体は、ポリウレタンフォームからなる基材と、該基材中に配合され互いに連接して配向している磁性フィラーと、を有する。ポリウレタンフォームは、ポリイソシアネート成分およびポリオール成分等の発泡ウレタン樹脂原料から製造される。詳細は、後述する本発明のウレタン発泡成形体の製造方法において説明する。
【0019】
磁性フィラーは、鉄と熱伝導率が150W/(m・K)以上の金属との鉄合金からなる。熱伝導率が150W/(m・K)以上の金属(以下、適宜「高熱伝導率金属」と称す)は、一種でも二種以上でもよい。高熱伝導率金属の種類は、特に限定されるものではなく、銅、アルミニウム、銀、亜鉛、モリブデン等から適宜選択すればよい。なかでも、熱伝導率が高く、工業用途として一般的に広く利用されているという理由から、銅、アルミニウム、銀から選ばれる一種以上を採用することが望ましい。銅、アルミニウム、銀の熱伝導率は、順に、398W/(m・K)、236W/(m・K)、420W/(m・K)である。
【0020】
また、磁性フィラーにおいて、鉄合金中の鉄の含有量x(重量%)と、該磁性フィラーの体積y(mm)との関係は、図1における点A(10,0.25)、点B(10,0.01)、点C(65,0.0007)、点D(90,0.0007)、点E(90,0.25)で囲まれた領域内にある。
【0021】
図1に示すように、鉄合金中の鉄の含有量は、磁性フィラーの体積に応じて、10重量%以上90重量%以下の範囲で、適宜決定すればよい。高熱伝導率金属の含有量を多くして、ウレタン発泡成形体の熱伝達性向上効果を大きくするという観点では、鉄の含有量は、70重量%以下であることが望ましい。50重量%以下、さらには30重量%以下がより好適である。
【0022】
また、磁性フィラーの体積は、鉄合金中の鉄の含有量に応じて、0.0007mm以上0.25mm以下の範囲で、適宜決定すればよい。磁性フィラーの体積が小さいほど、分散性が良好である。したがって、所望の配向状態を得やすい。
【0023】
磁性フィラーの形状は、特に限定されるものではない。例えば、繊維状、柱状、薄板状、球状、楕円球状、長円球状(一対の対向する半球を円柱で連結した形状)等の種々の形状を採用することができる。磁性フィラーが球以外の形状をなす場合には、配向した磁性フィラー同士が、点ではなく、線および面の少なくとも一方で接触する。このため、点で接触する場合と比較して、磁性フィラー同士の接触面積が大きくなる。これにより、熱の伝達経路が確保されやすくなると共に、伝達される熱量も大きくなる。よって、熱伝達性がより高くなる。製造コスト、製造の容易さ等の観点から、繊維状の磁性フィラーが好適である。繊維状の磁性フィラーを用いる場合には、分散性等を考慮して、長手方向の長さを、0.1mm以上5mm以下とするとよい。
【0024】
球以外の形状をなす磁性フィラーの場合、磁性フィラー同士の接触面積をより大きくすると共に、ポリウレタンフォームとの相溶性を良好にするという観点から、磁性フィラーのアスペクト比は2以上であることが望ましい。本明細書では、アスペクト比を次式(1)により定義する。
アスペクト比=b/(a・a’)・・・式(1)
式(1)において、bは磁性フィラーの最大長さ、aは軸直方向断面横辺の長さ、a’は軸直方向断面縦辺の長さを示す。ここで、「軸直方向断面横辺の長さ」、「軸直方向断面縦辺の長さ」は次のようにして決定される。すなわち、磁性フィラーの最大長さbを軸として、当該軸と垂直な方向(軸直方向)の断面形状が内接する四角形を定め、この四角形を平面視した時の横方向の長さを「軸直方向断面横辺の長さa」とし、縦方向の長さを「軸直方向断面縦辺の長さa’」とする。以下、具体的な形状を挙げて、説明する。
【0025】
図2に、磁性フィラーの各形状における最大長さ、軸直方向断面横辺の長さ、軸直方向断面縦辺の長さを示す。図2において(a)は円柱状の場合を、(b)は薄板状の場合を、(c)は繊維状の場合を、各々示す。なお、図2(a)〜(c)に示した形状は例示にすぎず、磁性フィラーはこれらの形状に限定されるものではない。まず、(a)に示す円柱状の場合には、軸方向の長さが最大長さbとなる。軸直方向断面形状は円となる。当該円が内接する四角形の横方向の長さが「軸直方向断面横辺の長さa」となり、縦方向の長さが「軸直方向断面縦辺の長さa’」となる。次に、(b)に示す薄板状の場合には、長手方向が軸方向となり、長手方向の長さが最大長さbとなる。軸直方向断面形状は長方形となるため、この長方形の横方向の長さが「軸直方向断面横辺の長さa」となり、縦方向の長さ(厚さに相当)が「軸直方向断面縦辺の長さa’」となる。次に(c)に示す繊維状の場合には、軸方向の長さが最大長さbとなる。軸直方向断面形状は略楕円となる。しかしながら、(c)の繊維状の場合、長手方向中央部が大きく両端部が小さい「細長い樽」のような形状を呈している。このため、長手方向全長において、軸直方向断面の大きさが一定ではない。すなわち、位置αと位置βと位置γとでは、楕円の断面積が異なる。この場合は、断面積が最大となる位置βの楕円が内接する四角形の横方向の長さが「軸直方向断面横辺の長さa」となり、縦方向の長さが「軸直方向断面縦辺の長さa’」となる。
【0026】
磁性フィラーは、高熱伝導率金属と鉄とを所定の比率で配合して、鉄合金のインゴットを鋳造した後、圧延、伸線、切削加工等により製造すればよい。また、鉄合金には、高熱伝導率金属の微細な組織を多量に析出させるために、熱処理が施されていることが望ましい。高熱伝導率金属の微細な組織が多量に析出することにより、熱の伝搬経路が増加して、鉄合金の熱伝導率がより高くなると考えられる。熱処理としては、例えば、450℃以上500℃以下の温度下で5時間以上保持する時効処理が好適である。特に、保持時間を10時間以上とするとより好適である。
【0027】
磁性フィラーの配合量は、熱伝達性の向上効果、吸音特性、コスト等を考慮して適宜決定すればよい。例えば、熱伝達性を向上させるという観点からは、磁性フィラーの配合量を、ウレタン発泡成形体の体積を100体積%とした場合の0.1体積%以上とすることが望ましい。1体積%以上とするとより好適である。一方、磁性フィラーの分散性、吸音特性への影響等を考慮して、磁性フィラーの配合量を20体積%以下とすることが望ましい。3体積%以下とするとより好適である。
【0028】
また、ウレタン発泡成形体の表面には、セルの開口部や発泡型の型面転写により微細な凹凸が存在する。このため、相手部材と接触させた時の接触面積が小さくなり、その分だけ熱伝達性が低下してしまう。したがって、磁性フィラーの配向により内部の熱伝達性が向上していても、表面状態が悪いことにより、相手部材との間で熱が伝達されにくい。このような問題を解決するためには、本発明のウレタン発泡成形体における熱伝達面の光沢度を、10%以上とするとよい。光沢度を、15%以上とするとより好適である。ここで、熱伝達面は、相手部材と接触して熱を伝達する面である。相手部材は、発熱体でも吸熱体でもよい。熱伝達面は、磁性フィラーの配向方向と交わるように配置されている。熱伝達面は一つでもよく、二つ以上あってもよい。
【0029】
光沢度は、JIS Z8741(1997)に準じて測定される。すなわち、屈折率が可視波長範囲全域にわたって一定値1.567であるガラス表面において、入射角60°での鏡面光沢度を100%として表している。本明細書では、光沢度が大きいほど、熱伝達面の表面の凹凸が少なく平滑であるとみなす。
【0030】
光沢度が10%以上である熱伝達面は、通常のウレタン発泡成形体の表面状態と比較して、凹凸が少なく滑らかである。このため、熱伝達面と相手部材との接触面積(伝熱面積)が大きくなり、両者間で伝達される熱量が大きくなる。例えば、相手部材から熱伝達面(一端)に伝達された熱は、ウレタン発泡成形体の内部において主に磁性フィラーを介してその配向方向他端に伝達され、他端から速やかに放熱される。このように、本態様のウレタン発泡成形体によると、内部の磁性フィラーによる熱伝達性向上効果を、熱伝達面の表面状態により阻害することなく充分に発揮させることができる。その結果、ウレタン発泡成形体全体としての熱伝達性をより向上させることができる。
【0031】
ところで、発泡ウレタン樹脂原料を密閉された発泡型内で発泡成形すると、発泡ウレタン樹脂原料が発泡型の型面と接触し、発泡が抑制されることにより、密度の高いスキン層が形成される。磁性フィラーや、発泡により生じたセルは、スキン層により封止され、表面には表出しにくい。したがって、スキン層の表面を熱伝達面とすることが望ましい。スキン層の厚さは、特に限定されるものではないが、例えば20μm以下とすればよい。
【0032】
<ウレタン発泡成形体の製造方法>
本発明のウレタン発泡成形体の製造方法は、混合材料調製工程と発泡成形工程とを有する。以下、各工程について説明する。
【0033】
(1)混合材料調製工程
本工程は、鉄と熱伝導率が150W/(m・K)以上の金属との鉄合金からなり、該鉄合金中の鉄の含有量x(重量%)と、磁性フィラーの体積y(mm)との関係が、図1における点A(10,0.25)、点B(10,0.01)、点C(65,0.0007)、点D(90,0.0007)、点E(90,0.25)で囲まれた領域内にある磁性フィラーと、発泡ウレタン樹脂原料と、を混合し混合材料を調製する工程である。磁性フィラーについては、上記本発明の発泡ウレタン成形体の説明において述べた通りである。よって、ここでは説明を省略する。
【0034】
発泡ウレタン樹脂原料は、ポリイソシアネート成分およびポリオール成分等の既に公知の原料から調製すればよい。ポリイソシアネート成分としては、例えば、トリレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、およびこれらの誘導体(例えばポリオール類との反応により得られるプレポリマー類、変成ポリイソシアネート類等)等の中から適宜選択すればよい。また、ポリオール成分としては、多価ヒドロキシ化合物、ポリエーテルポリオール類、ポリエステルポリオール類、ポリマーポリオール類、ポリエーテルポリアミン類、ポリエステルポリアミン類、アルキレンポリオール類、ウレア分散ポリオール類、メラミン変性ポリオール類、ポリカーボネートポリオール類、アクリルポリオール類、ポリブタジエンポリオール類、フェノール変性ポリオール類等の中から適宜選択すればよい。
【0035】
さらに、触媒、発泡剤、整泡剤、架橋剤、難燃剤、帯電防止剤、減粘剤、安定剤、充填剤、着色剤等を適宜配合してもよい。例えば、触媒としては、テトラエチレンジアミン、トリエチレンジアミン、ジメチルエタノールアミン等のアミン系触媒や、ラウリン酸錫、オクタン酸錫等の有機金属系触媒が挙げられる。また、発泡剤としては水が好適である。水以外には、塩化メチレン、フロン、COガス等が挙げられる。また、整泡剤としてはシリコーン系整泡剤が、架橋剤としてはトリエタノールアミン、ジエタノールアミン等が好適である。
【0036】
発泡ウレタン樹脂原料および磁性フィラーを、各々秤量し混合する。調製された混合材料は、速やかに次の発泡成形工程に供される。
【0037】
(2)発泡成形工程
本工程は、先の混合材料調製工程にて調製した混合材料を発泡型のキャビティ内に注入し、磁束密度が略均一な磁場中で発泡成形する工程である。
【0038】
上述したように、磁性フィラーによる熱伝達性向上効果を、充分に発揮させるためには、ウレタン発泡成形体の熱伝達面が、できるだけ平滑であることが望ましい。熱伝達面を平滑に成形する手法として、例えば発泡型の型面にシリコーングリース等の離型剤を塗布して発泡成形する方法が考えられる。しかし、離型剤を使用すると、得られるウレタン発泡成形体の表面に離型剤が付着して、吸音特性等の諸特性に影響を与えるおそれがある。加えて、付着した離型剤が劣化して、不具合が生じるおそれもある。また、離型剤の塗りむら等により、熱伝達面の表面状態がかえって悪くなるおそれがある。また、離型剤の材料費や、塗布工程の追加等により製造コストが増大する。
【0039】
このような問題を解決するため、例えば、発泡型の型面のうち、少なくともウレタン発泡成形体の熱伝達面を成形する部分(熱伝達面成形型面)の表面粗さを、0.5μm以下とすることが望ましい。勿論、発泡型における全ての型面の表面粗さを、0.5μm以下としても構わない。熱伝達面成形型面の表面粗さを、0.3μm以下、さらには0.1μm以下とするとより好適である。本明細書では、表面粗さとして、JIS B0601(2001)に準拠して算出される算術平均粗さ(Ra)の値を採用する。
【0040】
発泡型における熱伝達面成形型面の表面粗さを0.5μm以下とすることにより、凹凸の少ない平滑な熱伝達面を成形することができる。すなわち、例えば光沢度が10%以上の熱伝達面を備えるウレタン発泡成形体を、容易に得ることができる。また、離型剤を使用しなくてもよいため、上述した離型剤の付着等による問題はない。
【0041】
このような発泡型は、例えば、熱伝達面成形型面に研磨等の表面処理を施して得ることができる。また、離型用樹脂フィルムを使用してもよい。すなわち、表面粗さが0.5μm以下の離型用樹脂フィルムを、少なくとも熱伝達面成形型面を含むよう、発泡型の型面に沿って配置すればよい。この場合、熱伝達面成形型面は、当該離型用樹脂フィルムにより形成される。離型用樹脂フィルムを使用すれば、現状の発泡型をそのまま使用することができる。また、離型剤を塗布する必要もない。
【0042】
離型用樹脂フィルムは、ウレタン発泡成形体へ付着しにくいものが望ましい。例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエステル、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、シリコーン樹脂、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフィルムが挙げられる。離型用樹脂フィルムは、市販のものを切断して、あるいは真空成形、射出成形、ブロー成形等の公知の方法により所定の型面形状に成形して使用すればよい。
【0043】
磁場は、磁性フィラーを配向させる方向に形成すればよい。例えば、磁性フィラーを直線状に配向させる場合、発泡型のキャビティ内の磁力線が、キャビティの一端から他端に向かって略平行になるよう形成することが望ましい。この場合、例えば発泡型を挟むように、発泡型の一端および他端の両面近傍に磁石を配置すればよい。磁石には、永久磁石または電磁石を用いればよい。電磁石を用いると、磁場形成のオン、オフを瞬時に切り替えることができ、磁場の強さの制御が容易である。このため、発泡成形を制御しやすい。ここで、磁場を構成する磁力線は閉ループを形成していることが望ましい。こうすることで、磁力線の漏洩が抑制され、キャビティ内に安定した一様磁場を形成することができる。なお、発泡型の外部に配置した磁石により、発泡型の内部に磁場を形成させるため、発泡型としては透磁率の低い材質、つまり非磁性の材質のものを使用するとよい。例えば、通常ポリウレタンの発泡成形に使用されるアルミニウムやアルミニウム合金製の発泡型であれば問題ない。この場合、電磁石等の磁力源から発生する磁場、磁力線が影響を受けにくく、磁場状態のコントロールがしやすい。ただし、必要とする磁場、磁力線の状態に応じて適宜、磁性材料のものを使用してもよい。
【0044】
本工程において、キャビティ内の磁束密度は略均一である。例えば、キャビティ内の磁束密度の差が、±10%以内であるとよい。±5%以内、さらには±3%以内であるとより好適である。発泡型のキャビティ内に一様な磁場を形成することで、磁性フィラーの偏在を抑制することができ、所望の配向状態を得ることができる。また、発泡成形は、200mT以上250mT以下の磁束密度で行うとよい。こうすることで、混合材料中の磁性フィラーを、確実に配向させることができる。
【0045】
磁場は、発泡ウレタン樹脂原料の粘度が比較的低い間にかけられることが望ましい。発泡ウレタン樹脂原料が増粘し、発泡成形がある程度終了した時に磁場をかけると、磁性フィラーが配向しにくいため、所望の熱伝達性、吸音特性を得ることが難しい。なお、発泡成形を行う時間のすべてにおいて磁場をかける必要はない。
【0046】
本工程にて発泡成形が終了した後、脱型して、本発明のウレタン発泡成形体を得る。この際、発泡成形の仕方により、ウレタン発泡成形体の一端および他端の少なくとも一方に、スキン層が形成される。当該スキン層は、用途に応じて切除してもよい(勿論切除しなくてもよい)。
【実施例】
【0047】
次に、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
【0048】
<熱伝導率の測定>
(1)磁性フィラーの製造
まず、銅と鉄との配合比率を変えて、二種類の鉄合金のインゴットを鋳造した。一つは、銅:30重量%、鉄:70重量%(試料No.1)であり、もう一つは、銅:90重量%、鉄:10重量%(試料No.2)である。その後、インゴットを、450℃以上500℃以下の温度に維持された炉の中に配置して、時効処理を約10時間行った。次に、製造した鉄合金(試料No.1)の熱伝導率を測定した。熱伝導率は、JIS R1611に準拠したレーザーフラッシュ法により測定した。その結果、試料No.1の鉄合金の熱伝導率は、109W/(m・K)であった。このように、試料No.1の鉄合金の熱伝導率は、ステンレス鋼(SUS430F)の熱伝導率(14W/(m・K))よりも高いことが確認された。
【0049】
上記二種類の鉄合金から、大きさの異なる繊維状の磁性フィラーを製造した。製造した磁性フィラーの大きさ、アスペクト比を、元の鉄合金における鉄および銅の含有量と共に表1に示す。なお、本実施例において、磁性フィラーの体積は、磁性フィラーの形状を円柱状とみなして算出した。すなわち、磁性フィラーの直径(長手方向に垂直な方向の断面積が最大となる部分の直径)をd、長さをlとして、次式[体積=π(d/2)×l]により算出した。
【表1】

【0050】
表1に示すように、実施例1〜3の磁性フィラーは、いずれも、図1の点A〜点Eで囲まれた領域(ハッチングされた領域)内にある。一方、比較例1の磁性フィラーは、同領域の範囲外にある。
【0051】
(2)ウレタン発泡成形体の製造および熱伝導率の測定
製造した磁性フィラーを用いて、ウレタン発泡成形体を製造した。まず、発泡ウレタン樹脂原料を以下のように調製した。ポリオール成分のポリエーテルポリオール(住化バイエルウレタン社製「S−0248」、平均分子量6000、官能基数3、OH価28mgKOH/g)100重量部と、架橋剤のジエチレングリコール(三菱化学社製)2重量部と、発泡剤の水2重量部と、テトラエチレンジアミン系触媒(花王社製「No.31」)1重量部と、シリコーン系整泡剤(日本ユニカ社製「SZ−1313」)0.5重量部と、を配合し、プレミックスポリオールを調製した。調製したプレミックスポリオールに、ポリイソシアネート成分のジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)(BASFINOACポリウレタン社製「NE1320B」、NCO=44.8wt%)を加えて混合し、発泡ウレタン樹脂原料とした。ここで、ポリオール成分とポリイソシアネート成分との配合比(PO:ISO)は、両者の合計重量を100%として、PO:ISO=78.5:21.5とした。
【0052】
次に、調製した発泡ウレタン樹脂原料に、製造した各々の磁性フィラーを混合して、混合材料とした。磁性フィラーの配合量は、発泡倍率、発泡ウレタン樹脂原料の重量、磁性フィラーの比重等を考慮して、ウレタン発泡成形体の体積を100体積%とした場合の1体積%になるように調整した。
【0053】
次に、混合材料をアルミニウム製の発泡型(後述する図3、図4参照。キャビティは直径100mm×厚さ20mmの円筒形。)に注入し、密閉した。続いて、発泡型を磁場発生装置に設置して、発泡成形を行った。図3に、磁場発生装置の斜視図を示す。図4に、同磁場発生装置の断面図を示す。図3、図4に示すように、磁場発生装置1は、一対の電磁石部2U、2Dと、ヨーク部3と、を備えている。
【0054】
電磁石部2Uは、芯部20Uとコイル部21Uとを備えている。芯部20Uは、強磁性体製であって、上下方向に延びる円柱状を呈している。コイル部21Uは、芯部20Uの外周面に配置されている。コイル部21Uは、芯部20Uの外周面に巻装された導線210Uにより、形成されている。導線210Uは、電源(図略)に接続されている。
【0055】
電磁石部2Dは、発泡型4を挟んで、上記電磁石部2Uの下方に配置されている。電磁石部2Dは、上記電磁石部2Uと同様の構成を備えている。すなわち、電磁石部2Dは、芯部20Dとコイル部21Dとを備えている。コイル部21Dは、芯部20Dの外周面に巻装された導線210Dにより、形成されている。導線210Dは、電源(図略)に接続されている。
【0056】
ヨーク部3は、C字状を呈している。ヨーク部3のC字上端は、電磁石部2Uの芯部20U上端に接続されている。一方、ヨーク部3のC字下端は、電磁石部2Dの芯部20D下端に接続されている。
【0057】
発泡型4は、上型40Uと下型40Dとを備えている。発泡型4は、電磁石部2Uの芯部20Uと電磁石部2Dの芯部20Dとの間に、介装されている。上型40Uは、角柱状を呈している。上型40Uの下面には、円筒状の凹部が形成されている。同様に、下型40Dは、角柱状を呈している。下型40Dの上面には、円筒状の凹部が形成されている。上型40Uと下型40Dとは、互いの凹部の開口同士が向き合うように配置されている。上型40Uと下型40Dとの間には、上記凹部同士が合体することにより、キャビティ41が区画されている。キャビティ41には、前述したように、混合材料が充填されている。
【0058】
導線210Uに接続された電源および導線210Dに接続された電源を、共にオンにすると、上方の電磁石部2Uの芯部20Uの上端がS極に、下端がN極に磁化される。このため、芯部20Uに、上方から下方に向かって磁力線L(図4に点線で示す)が発生する。また、下方の電磁石部2Dの芯部20Dの上端がS極に、下端がN極に磁化される。このため、芯部20Dに、上方から下方に向かって磁力線Lが発生する。また、芯部20U下端はN極であり、芯部20D上端はS極である。このため、芯部20Uと芯部20Dとの間には、上方から下方に向かって磁力線Lが発生する。以上説明したように、電磁石部2U、2D間には、上方から下方に向かって磁力線Lが発生する。下方の電磁石部2Dの芯部20D下端から放射された磁力線Lは、ヨーク部3を通って、上方の電磁石部2Uの芯部20U上端に流入する。このように、磁力線Lは閉ループを構成するため、磁力線Lの漏洩を抑制することができる。
【0059】
前述したように、発泡型4は、芯部20Uと芯部20Dとの間に介装されている。このため、発泡型4のキャビティ41内には、上方から下方に向かって略平行な磁力線Lにより一様な磁場が形成されている。発泡型4を磁場発生装置1に設置した後、最初の約2分間は、磁場をかけながら発泡成形を行った。続く約5分間は、磁場をかけないで、発泡成形を行った。
【0060】
発泡成形が終了した後、脱型して、ウレタン発泡成形体を得た。得られたウレタン発泡成形体を、前出表1の磁性フィラーの番号と対応させて、各々、実施例1〜3、比較例1と番号付けした。一方、磁性フィラーとして、ステンレス鋼(SUS430F)製のファイバー(虹技社製「KCメタルファイバー SUS430F」:直径約30μm、長さ約2mm、体積0.001414mm、アスペクト比4444)を使用して、上記同様に、発泡成形した。得られたウレタン発泡成形体を、比較例2のウレタン発泡成形体とした。なお、実施例1〜3および比較例1、2のウレタン発泡成形体における磁性フィラーの配合量は、いずれも、ウレタン発泡成形体の体積を100体積%とした場合の1体積%である。
【0061】
製造されたウレタン発泡成形体を目視で観察したところ、実施例1〜3、比較例2のウレタン発泡成形体では、いずれも磁性フィラーが連接して配向していた。これに対して、比較例1のウレタン発泡成形体では、磁性フィラーは分散しているだけで、配向していなかった。
【0062】
また、実施例1のウレタン発泡成形体と比較例2のウレタン発泡成形体の熱伝導率を測定した。熱伝導率は、ASTM E−1530に準拠した円板熱流計法により測定した。その結果、実施例1のウレタン発泡成形体の熱伝導率は、0.4W/(m・K)であったのに対して、比較例2のウレタン発泡成形体の熱伝導率は、0.26W/(m・K)であった。つまり、銅を含む鉄合金からなる所定の磁性フィラーを使用した場合、ステンレス鋼製の磁性フィラーを使用したものと比較して、熱伝導率は約1.5倍になった。以上より、図1の点A〜点Eで囲まれた領域内にある磁性フィラーを配向させることにより、ウレタン発泡成形体の熱伝達性が向上することが確認された。
【0063】
<熱処理による熱伝導率向上効果について>
鋳造した鉄合金に対して、熱処理を施すことによる熱伝導率の変化を調べた。まず、銅と鉄との配合比率が異なる二種類の鉄合金のインゴットを鋳造した。一つは、銅:21.33重量%、鉄:78.67重量%(試料No.3)であり、もう一つは、銅:48.42重量%、鉄:51.58重量%(試料No.4)である。そして、鋳造後の鉄合金の熱伝導率を測定した。熱伝導率は、JIS R1611に準拠したレーザーフラッシュ法により測定した。次に、各々の鉄合金を、450℃以上500℃以下の温度に維持された炉の中に配置して、時効処理を約10時間行った。その後、同様に、鉄合金の熱伝導率を測定した。図5に、鋳造後、時効処理後における各々の鉄合金の熱伝導率の測定結果を示す。
【0064】
図5に示すように、いずれの鉄合金においても、時効処理を施した後の方が、熱伝導率は高くなった。特に、銅の含有量が多いNo.4の鉄合金の方が、熱伝導率の増加が大きくなった。
【0065】
また、鋳造後、時効処理後の各々の鉄合金について、組織観察を行った。図6〜図9に、合金組織の写真を示す。図6は、試料No.3の鋳造後の合金組織写真である(左側の写真は、倍率100倍、右側の写真は倍率500倍(図7〜図9において同じ))。図7は、試料No.3の時効処理後の合金組織写真である。図8は、試料No.4の鋳造後の合金組織写真である。図9は、試料No.4の時効処理後の合金組織写真である。
【0066】
図6〜図9において、銅組織は、白色で示されている。図6と図7、あるいは図8と図9を比較すると、時効処理により、銅の析出量が増加していることがわかる。したがって、時効処理により銅の析出量が多くなり、熱の伝搬経路が拡大することにより、熱伝導率が高くなったと考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明のウレタン発泡成形体は、自動車等の分野において様々な用途に用いることができる。例えば、路面の凹凸に起因する騒音を低減するための防音タイヤ、エンジンの騒音を低減するために車両のエンジンルームに配置されるエンジンカバーやサイドカバー、車室内の天井やピラー部等の吸音材、OA(Office Automation)機器や家電製品のモーター用吸音材、パソコン等の電子機器の放熱性吸音材、家屋の内外壁用吸音材等に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明のウレタン発泡成形体に含まれる磁性フィラーについて、鉄合金中の鉄の含有量(重量%)と、磁性フィラーの体積(mm)との関係を示すグラフである。
【図2】磁性フィラーの各形状における最大長さ、軸直方向断面横辺の長さ、軸直方向断面縦辺の長さについての説明図である。
【図3】実施例において、ウレタン発泡成形体の製造に使用した磁場発生装置の斜視図である。
【図4】同磁場発生装置の断面図である。
【図5】鋳造後、時効処理後における鉄合金の熱伝導率の測定結果を示すグラフである。
【図6】試料No.3の鋳造後の合金組織を示す写真である。
【図7】試料No.3の時効処理後の合金組織を示す写真である。
【図8】試料No.4の鋳造後の合金組織を示す写真である。
【図9】試料No.4の時効処理後の合金組織を示す写真である。
【符号の説明】
【0069】
1:磁場発生装置
2U、2D:電磁石部 20U、20D:芯部 21U、21D:コイル部
210U、210D:導線 3:ヨーク部 4:発泡型 40U:上型 40D:下型
41:キャビティ L:磁力線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリウレタンフォームからなる基材と、該基材中に配合され互いに連接して配向している磁性フィラーと、を有し、
該磁性フィラーは、鉄と熱伝導率が150W/(m・K)以上の金属との鉄合金からなり、
該鉄合金中の鉄の含有量x(重量%)と、該磁性フィラーの体積y(mm)との関係は、図1における点A(10,0.25)、点B(10,0.01)、点C(65,0.0007)、点D(90,0.0007)、点E(90,0.25)で囲まれた領域内にあることを特徴とするウレタン発泡成形体。
【請求項2】
前記鉄合金に含まれる前記金属は、銅、アルミニウム、銀から選ばれる一種以上である請求項1に記載のウレタン発泡成形体。
【請求項3】
前記鉄合金には、450℃以上500℃以下の温度下で5時間以上保持する時効処理が施されている請求項1または請求項2に記載のウレタン発泡成形体。
【請求項4】
前記鉄合金中の鉄の含有量は、70重量%以下である請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のウレタン発泡成形体。
【請求項5】
前記磁性フィラーは、繊維状をなす請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のウレタン発泡成形体。
【請求項6】
前記磁性フィラーの配合量は、ウレタン発泡成形体の体積を100体積%とした場合の0.1体積%以上20体積%以下である請求項1ないし請求項5のいずれかに記載のウレタン発泡成形体。
【請求項7】
鉄と熱伝導率が150W/(m・K)以上の金属との鉄合金からなり、該鉄合金中の鉄の含有量x(重量%)と、磁性フィラーの体積y(mm)との関係が、図1における点A(10,0.25)、点B(10,0.01)、点C(65,0.0007)、点D(90,0.0007)、点E(90,0.25)で囲まれた領域内にある磁性フィラーと、発泡ウレタン樹脂原料と、を混合し混合材料を調製する混合材料調製工程と、
該混合材料を発泡型のキャビティ内に注入し、磁束密度が略均一な磁場中で発泡成形する発泡成形工程と、
を有するウレタン発泡成形体の製造方法。
【請求項8】
前記キャビティ内における前記磁束密度の差は±10%以内である請求項7に記載のウレタン発泡成形体の製造方法。
【請求項9】
発泡成形時の前記磁束密度は200mT以上250mT以下である請求項7または請求項8に記載のウレタン発泡成形体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−69742(P2010−69742A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−239989(P2008−239989)
【出願日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【出願人】(000219602)東海ゴム工業株式会社 (1,983)
【Fターム(参考)】