説明

エアギャップ測定装置

【課題】測定ポイントの探索を短時間で行うことができ、尚かつ、エアギャップ画像と透明部材画像との間のコントラストを改善して、エアギャップを高精度で測定できるエアギャップ測定装置を提供する。
【解決手段】エアギャップ測定装置は、測定対象物OBJが、対向配置された一対の透明部材の間のエアギャップであって、前記一対の透明部材を前記エアギャップの厚さ方向に交差する方向から拡散光で照明するための面発光光源10と、面発光光源10と透明部材との間に設けられ、開口形状が可変である絞り部材20と、透明部材およびエアギャップの透過画像を撮像するための撮像ユニット30と、同軸落射照明用光源50などで構成され、同軸落射照明用光源50と撮像ユニット30の結像光学系31とによる同軸落射照明光が、その中心部に非照明部が存在するスポット光である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリズムなどの透明部材に設けられたエアギャップを測定するためのエアギャップ測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1において提案されている光学的エアギャップ測定方法および装置は、エアギャップを介して接合されたプリズムに光ビームを照射し、干渉縞を生じさせた状態で、モノクロメータを用いて光ビームの波長を走査し、所定の測定点において干渉縞の明縞と暗縞が生じた際の光ビームの各波長及び光ビームの入射角に基づいて、該測定点のエアギャップ量を測定している。
【0003】
下記特許文献2は、電子部品のリードフレーム等の被検体に向けて同軸落射照明を行って、被検体からの反射光を観察したり、反射面の傾き検出を行う測定顕微鏡装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−47927号公報
【特許文献2】特開平9−203608号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1において提案されている光学的エアギャップ測定方法および装置では、エアギャップの平行度が良好でない場合は、干渉縞が多く出現してしまう。そのため、平行度の影響を除去した後に演算を行う必要がある。
【0006】
特許文献2において開示されている測定顕微鏡装置では、例えば、図10に示すように、プリズムの1ピースごとの外形精度や貼り付けのバラツキにより測定面に段差が生じている場合、段差上部にピントを合わせると段差下部がぼけてしまい、一方、段差下部にピントを合わせると段差上部がぼけてしまうため、各プリズムとエアギャップの間の境界を同時に観測することができない。また、同軸落射照明では、下側のプリズム端面に上側のプリズム端面の影が面取り部に映ってしまい、エアギャップと影の境界が明確に区別できなくなる。
【0007】
その他に、プリズム下方から照明を行う透過照明も想定されるが、単に照明光量を調整するだけでは、エアギャップ間とプリズム端面の両方を観測できるような最適な条件は得られない。また、エアギャップの測定は高倍率での測定になるため、単に透過照明を行うだけでは測定ポイントの把握が困難であり、測定ポイントの探索に時間を要してしまう。
【0008】
本発明は、上記の状況に鑑み、測定ポイントの探索を短時間で行うことができ、尚かつ、エアギャップ画像と透明部材画像との間のコントラストを改善して、エアギャップを高精度で測定できるエアギャップ測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明に係るエアギャップ測定装置は、測定対象物が、対向配置された一対の透明部材の間のエアギャップであって、前記一対の透明部材を前記エアギャップの厚さ方向に交差する方向から拡散光で照明するための面発光光源と、前記面発光光源と前記透明部材との間に設けられ、開口形状が可変である絞り部材と、前記透明部材および前記エアギャップの透過画像を撮像するための撮像ユニットと、同軸落射照明用光源とを備え、前記同軸落射照明用光源と前記撮像ユニットの結像光学系とによる同軸落射照明光が、その中心部に非照明部が存在するスポット光である構成とする。
【0010】
また、前記非照明部が前記撮像ユニットのピント面での撮像視野よりも大きいことが好ましい。
【0011】
また、前記絞り部材は、前記エアギャップの長手方向と交差するエッジを有する一対の絞り板を含むことが好ましい。
【0012】
また、前記撮像ユニットからの画像信号を処理して、透明部材画像とエアギャップ画像との間のコントラストを算出するための演算処理ユニットをさらに備えることが好ましい。
【0013】
また、前記演算処理ユニットからの制御信号に基づいて、前記絞り部材の開口形状を制御するための絞り駆動機構をさらに備え、前記演算処理ユニットは、前記透明部材画像と前記エアギャップ画像との間のコントラストが最大となるように前記絞り部材の開口形状を設定することが好ましい。
【0014】
また、前記演算処理ユニットからの制御信号に基づいて、前記撮像ユニットを光軸方向に位置決めするための撮像ユニット駆動機構をさらに備え、前記演算処理ユニットは、前記撮像ユニットを光軸方向にスキャンして得られた複数の画像を合成することが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、透明部材を拡散光で透過照明するとともに、光源と透明部材との間に開口形状が可変である絞り部材を設けることによって、透明部材画像が明るく、エアギャップ画像が暗くなるような照明条件を容易に設定できる。その結果、透明部材とエアギャップの境界が明瞭に観察できるようになり、エアギャップを高精度で測定することが可能になる。
【0016】
また、本発明によれば、同軸落射照明用光源と撮像ユニットの結像光学系とによる同軸落射照明光を、その中心部に非照明部が存在するスポット光としているので、そのスポット光を測定ポイントのターゲットとして利用することで、測定ポイントの探索を短時間で行うことができる。さらに、同軸落射照明光の中心部に非照明部が存在するので、同軸落射照明光が測定に影響を及ぼすことを抑制或いは防止することができる。これにより、撮像時に同軸落射照明用光源を消灯する手間を省くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態を示す構成図である。
【図2】測定対象物であるプリズムを撮像側から見た平面図である。
【図3】エアギャップ測定装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図4】同軸落射照明用光源および結像光学系による同軸落射照明光の形状例を示す図である。
【図5】図5(a)は、本発明に係るエアギャップ測定装置で得られた合成画像の一例であり、図5(b)は、その信号プロファイルである。
【図6】図6(a)は、比較例として同軸落射照明で得られた画像の一例であり、図6(b)は、その信号プロファイルである。
【図7】図7(a)は、プリズム上面に段差がある場合、段差上部のプリズム面にピントを合わせた画像の一例であり、図7(b)は、その信号プロファイルである。
【図8】図8(a)は、プリズム上面に段差がある場合、段差下部のプリズム面にピントを合わせた画像の一例であり、図8(b)は、その信号プロファイルである。
【図9】エアギャップ測定の他の例を示す説明図である。
【図10】プリズム同士に段差がある場合の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、本発明の一実施形態を示す構成図である。図2は、測定対象物であるプリズムを撮像側から見た平面図である。エアギャップ測定装置は、面発光光源10と、絞り部材20と、撮像ユニット30と、同軸落射照明用光源50などで構成される。測定対象物OBJは、エアギャップを有する透明部材であり、例えば、図2に示すように、一対のプリズムの間に極薄のエアギャップを形成した光学素子でもよい。こうした光学素子として、DLP(Digital Light Processing)(登録商標)プロジェクタに搭載されるTIR(Total Internal Reflection)プリズムが例示できる。
【0019】
面発光光源10は、複数の光源、ライトガイド、反射板、拡散板などで構成され、発光面から測定対象物OBJに向けて拡散光を発生する。面発光光源10は、半固定式のZステージ1、XYステージ2、テーブル3からなる可動ステージの上に設置される。テーブル3の上には、照明光が通過する開口部を備えたサンプルテーブル4が面発光光源10を跨ぐように設置される。こうしたサンプルテーブル4の上に測定対象物OBJが戴置される。測定対象物OBJは、エアギャップの厚さ方向(図2におけるX方向)に交差する方向から面発光光源10により照明されるように戴置される。
【0020】
絞り部材20は、面発光光源10と測定対象物OBJの間に設けられ、測定対象物OBJを照明する光の分布が空間的に制御可能なように、開口形状が可変であるように構成される。こうした絞り部材20は、例えば、図2に示すように、エアギャップの長手方向に対して、好ましくは90度で交差するエッジを有する一対の絞り板20a,20bを用いて構成できる。絞り板20a,20bは、エアギャップの長手方向に沿って独立に移動可能なように支持されている。以下、2つの絞り板20a,20bを用いた場合を例示するが、光軸に関して放射状に3つ以上の絞り板を独立に移動可能なように配置しても構わない。
【0021】
撮像ユニット30は、結像光学系31と撮像素子32などで構成され、測定対象物OBJの透過画像を撮像して、画像信号を出力する機能を有する。
【0022】
結像光学系31は、寸法測定に適したテレセントリック光学系であることが好ましい。結像光学系31は、同軸落射照明用光源50を固定するためのライトガイドを有しており、当該ライトガイドに同軸落射照明用光源50を固定し、同軸落射照明用光源50を点灯させることで、同軸落射照明が行える構成になっている。こうした結像光学系として、高倍マシンマイクロテレセントリックレンズ(株式会社モリテックス製、製品名:SOD-10×)が例示できる。なお、SOD-10×の光学倍率は10倍であるが、専用リアコンバータ(株式会社モリテックス製、製品名:SOD-2×)を使用することで20倍の拡大が可能となる。
【0023】
同軸落射照明用光源50および結像光学系31による同軸落射照明光は、その中心部に非照明部が存在するスポット光である。本実施形態では、同軸落射照明用光源50として、発光部の中心に円形の遮光部材を貼付したLED(Light Emitting Diode)を用いており、同軸落射照明用光源50および結像光学系31による同軸落射照明光は、図4(a)に示すように、その中心部に円形の非照明部70が存在するリング状のスポット光となっている。発光部の中心に円形の遮光部材を貼付したLEDの代わりに、例えば、発光面の中心に円形の遮光部材を貼付した光ファイバ光源装置を用いても構わない。
【0024】
なお、同軸落射照明用光源50および結像光学系31による同軸落射照明光は、その中心部に非照明部が存在するスポット光であればよいので、リング状のスポット光に限らず、例えば、図4(b)に示すように、非照明部70の外形およびスポット光の外形が楕円であってもよく、図4(c)や図4(d)に示すように、非照明部70の外形およびスポット光の外形が多角形であってもよく、図4(e)に示すように、中心部意外にも非照明部が存在してもよい。
【0025】
撮像素子32は、CCDカメラなど、多数の受光画素がアレイ状に配列されたものである。ここで、結像光学系31の倍率をMとし、撮像素子32の画素ピッチをPとすると、画像信号の画素サイズはM×Pに換算でき、これが測定分解能に対応する。撮像ユニット30は、光軸方向(図1のZ方向)に位置決め可能なZステージ40に取り付けられる。
【0026】
図3は、エアギャップ測定装置の電気的構成を示すブロック図である。面発光光源10は、ドライバ回路11を経由してPC(パーソナルコンピュータ)60に接続されており、PC60からの制御信号に応じて照明光量および点灯タイミングが制御される。
【0027】
絞り部材20は、アクチュエータ21によって駆動され、これにより絞り板20a,20bの位置が個別に調整される。アクチュエータ21は、ドライバ回路22を経由してPC60に接続されており、PC60からの制御信号に応じて絞り部材20の開口形状が制御される。
【0028】
Zステージ40は、ドライバ回路41を経由してPC60に接続されており、PC60からの制御信号に応じて撮像ユニット30が光軸方向に位置決めされる。撮像素子(カメラ)32は、カメラ電源33を経由してPC60に接続されており、PC60からの制御信号に応じて撮像サイズ、撮像周期などが制御される。また、撮像素子32で撮像した画像信号は、PC60に伝送されてメモリやストレージ装置に保存され、必要に応じてモニタ装置61に表示される。
【0029】
同軸落射照明用光源50は、ドライバ回路51を経由してPC60に接続されており、PC60からの制御信号に応じて照明光量および点灯タイミングが制御される。
【0030】
次に、測定手順について説明する。1)まず、面発光光源10と同軸落射照明用光源50とをそれぞれ点灯させてから、図2に示すように、測定ポイントが撮像ユニット30の光軸と一致するように、そしてエアギャップが画面に対し水平になるように被検プリズムをセットする。このセット時に、同軸落射照明用光源50および結像光学系31による同軸落射照明光を測定ポイントのターゲットとして利用して、同軸落射照明光の非照明部に測定ポイントを位置合わせすることで、測定ポイントを撮像ユニット30の光軸に手早く一致させることができる。
【0031】
2)次に、Zステージ1、XYステージ2を調整して、測定ポイントがモニタ画像に映るように、被検プリズムの3次元位置を調整する。この調整時にも、同軸落射照明用光源50および結像光学系31による同軸落射照明光を測定ポイントのターゲットとして利用することで、測定ポイントがモニタ画像に映るようにするための被検プリズムの3次元位置調整を短時間で行える。
【0032】
上記のように同軸落射照明用光源50および結像光学系31による同軸落射照明光を測定ポイントのターゲットとして利用することで、測定ポイントの探索を短時間で行うことができる。
【0033】
同軸落射照明用光源50および結像光学系31による同軸落射照明光は、その中心部に非照明部が存在するスポット光であるので、同軸落射照明光が測定に影響を及ぼすことを抑制或いは防止することができる。したがって、後述する手順3)〜5)のときも同軸落射照明用光源50を点灯させたままにすることができ、撮像時に同軸落射照明用光源50を消灯する手間を省くことができる。
【0034】
なお、同軸落射照明用光源50および結像光学系31による同軸落射照明光の非照明部は、撮像ユニット30のピント面での撮像視野よりも大きいことが望ましい。例えば、撮像素子32に2/3インチサイズのCCDカメラを用い、結像光学系31の拡大倍率を20倍とした場合、下記(1)式により、同軸落射照明用光源50および結像光学系31による同軸落射照明光(リング状のスポット光)の円形の非照明部70(図4(a)参照)の直径を0.55mmよりも大きくすることが望ましい。なお、下記(1)式中の11mmは2/3インチサイズのCCDカメラの対角寸法であり、下記(1)式中の20は結像光学系31の拡大倍率であり、0.55mmは撮像ユニット30のピント面での撮像視野の対角寸法である。
11mm÷20=0.55mm ・・・(1)
【0035】
上記のように、同軸落射照明用光源50および結像光学系31による同軸落射照明光の非照明部が撮像ユニット30のピント面での撮像視野よりも大きい構成にすると、図10に示したように、プリズム上面に段差がある場合に、下側のプリズム端面に上側のプリズム端面の影が面取り部に映ってしまうことを確実に防止することができるので、同軸落射照明用光源50および結像光学系31による同軸落射照明光がエアギャップの測定精度に悪影響を及ぼすおそれがなくなる。
【0036】
3)次に、プリズム画像が明るく、エアギャップ画像が暗くなるように、好ましくは両者間のコントラストが最大となるように、絞り板20a,20bの位置を個別に調整し、必要に応じて面発光光源10の光量調整を行う。このとき、使用者が手動で絞り板20a,20bの位置を調整してもよく、あるいは、PC60がプリズム画像とエアギャップ画像との間のコントラストを算出し、コントラストが最大となるように絞り板20a,20bの位置を自動設定するようにしてもよい。
【0037】
4)次に、モニタ画像を観察しながらZステージ40を駆動して、最終のピント調整を行う。
【0038】
5)次に、撮像ユニット30で撮像した画像信号をPC60に取り込んで、モニタ画像で表示する。そして、測定ポイントにおける画像信号プロファイルを表示し、カーソル等を用いて信号変化の急峻な箇所をそれぞれ指定することにより、エアギャップ寸法を測定することができる。こうしたエアギャップ測定は、PC60での画像処理ソフトウエアによって自動化することも可能である。
【0039】
次に、図10に示したように、プリズム上面に段差がある場合の測定手順について説明する。上述した手順1)〜3)は同様に行う。手順4)において、モニタ画像を観察しながらZステージ40を駆動して、段差上部のプリズム面にピント調整を行ってZスキャンの上限を指定する。続いて、段差下部のプリズム面にピント調整を行ってZスキャンの下限を指定する。このとき画像取り込みのタイミングを規定するスキャンピッチも、結像光学系31の焦点深度やプリズム面取りを考慮して設定する。スキャンピッチが小さすぎると、測定時間がかかり、一方、スキャンピッチが大きすぎると、画像が荒くなりプリズム端面が判別しにくくなる点に留意する。
【0040】
次に、手順5)において、撮像ユニット30のZスキャンを開始し、スキャンピッチごとに撮像ユニット30からの画像信号をPC60に取り込んで、モニタ画像で表示する。スキャン終了後、PC60は、取り込んだ複数の画像を1枚の画像に合成する。合成は、単純平均処理でもよく、重み付け平均処理でもよく、その他の統計的手法を用いてもよい。そして、使用者の手作業または画像処理ソフトウエアによって、合成画像におけるエアギャップ寸法を測定する。
【0041】
こうした撮像ユニット30のZスキャンによる画像合成は、PC60による自動処理が可能であり、プリズムに段差がある場合でも高精度のエアギャップ測定を実現できる。例えば、結像光学系31として倍率20倍、深度9μmのレンズを使用し、面取りC0.1のプリズムのエアギャップを測定する場合、スキャンピッチを5μm、スキャン測定回数7回で上下±30μmの幅の測定が端面を明確に観測できる。被検プリズムのエアギャップ寸法は、同軸落射照明用光源50および結像光学系31による同軸落射照明光の非照明部よりも小さく、例えば、5〜20μm程度が想定される。
【0042】
図5(a)は、本発明に係るエアギャップ測定装置で得られた合成画像の一例であり、図5(b)は、その信号プロファイルである。プリズム画像は明るく、エアギャップ画像は暗く表示されており、両者間のコントラストが大きいことが判る。その結果、信号変化の急峻な箇所を容易に特定でき、エアギャップ寸法を高精度で測定することができる。
【0043】
図6(a)は、比較例として同軸落射照明で得られた画像の一例であり、図6(b)は、その信号プロファイルである。プリズム画像およびエアギャップ画像の明度差が小さくなり、両者の界面付近はあまり鮮明ではない。
【0044】
図7(a)は、プリズム上面に段差がある場合、段差上部のプリズム面にピントを合わせた画像の一例であり、図7(b)は、その信号プロファイルである。図8(a)は、プリズム上面に段差がある場合、段差下部のプリズム面にピントを合わせた画像の一例であり、図8(b)は、その信号プロファイルである。いずれもピントが合ったプリズム画像は鮮明に表示されているが、他方のプリズム画像は不鮮明であるため、エアギャップの測定は困難である。その対策として、撮像ユニット30のZスキャンによる画像合成を行うことによって、図5(a)に示すような鮮明なプリズム画像およびエアギャップ画像を得ることができる。
【0045】
図9は、エアギャップ測定の他の例を示す説明図である。2つのプリズムの間にエアギャップが設けられており、エアギャップの左端付近の間隔G1、エアギャップ右端付近の間隔G2、および測定ポイント間の距離Lを測定することによって、(G1−G2)/Lで表される平行度を算出できる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、プリズムなどの透明部材に設けられたエアギャップを迅速に高精度で測定できる点で産業上極めて有用である。
【符号の説明】
【0047】
1 Zステージ
2 XYステージ
3 テーブル
4 サンプルテーブル
10 面発光光源
20 絞り部材
20a,20b 絞り板
21 アクチュエータ
30 撮像ユニット
31 結像光学系
32 撮像素子
40 Zステージ
50 同軸落射照明用光源
60 PC(パーソナルコンピュータ)
70 非照明部
OBJ 測定対象物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象物が、対向配置された一対の透明部材の間のエアギャップであって、前記一対の透明部材を前記エアギャップの厚さ方向に交差する方向から拡散光で照明するための面発光光源と、
前記面発光光源と前記透明部材との間に設けられ、開口形状が可変である絞り部材と、
前記透明部材および前記エアギャップの透過画像を撮像するための撮像ユニットと、
同軸落射照明用光源とを備え、
前記同軸落射照明用光源と前記撮像ユニットの結像光学系とによる同軸落射照明光が、その中心部に非照明部が存在するスポット光であることを特徴とするエアギャップ測定装置。
【請求項2】
前記非照明部が前記撮像ユニットのピント面での撮像視野よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載のエアギャップ測定装置。
【請求項3】
前記絞り部材は、前記エアギャップの長手方向と交差するエッジを有する一対の絞り板を含むことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のエアギャップ測定装置。
【請求項4】
前記撮像ユニットからの画像信号を処理して、透明部材画像とエアギャップ画像との間のコントラストを算出するための演算処理ユニットをさらに備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のエアギャップ測定装置。
【請求項5】
前記演算処理ユニットからの制御信号に基づいて、前記絞り部材の開口形状を制御するための絞り駆動機構をさらに備え、
前記演算処理ユニットは、前記透明部材画像と前記エアギャップ画像との間のコントラストが最大となるように前記絞り部材の開口形状を設定することを特徴とする請求項4に記載のエアギャップ測定装置。
【請求項6】
前記演算処理ユニットからの制御信号に基づいて、前記撮像ユニットを光軸方向に位置決めするための撮像ユニット駆動機構をさらに備え、
前記演算処理ユニットは、前記撮像ユニットを光軸方向にスキャンして得られた複数の画像を合成することを特徴とする請求項4または請求項5に記載のエアギャップ測定装置。

【図4】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−52945(P2012−52945A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−196443(P2010−196443)
【出願日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【出願人】(303000408)コニカミノルタオプト株式会社 (3,255)
【Fターム(参考)】