説明

エアコンベヤ

【課題】容器が所定本数の一群として払出されても、下流側の容器との衝突時の衝撃力が抑えられるとともに、精度のよいライン制御の容易化が可能なエアコンベヤを提供する。
【解決手段】容器を所定本数の一群の容器群16,17として払出す払出し手段と、その払出し手段の下流側に配設され、該払出し手段から払出される容器と係合して搬送速度を減少させる制動手段21とを設け、該制動手段21により容器相互間を離間させて第1リンサ24などの処理装置へ供給する。前記制動手段21は、前記処理装置の能力に応じて制御し得るように構成してもよい。また、前記払出し手段は、複数列の供給コンベヤ3,4上を搬送される容器14,15をそれぞれ所定本数に集積するとともに、それらの各供給コンベヤ3,4上に集積された容器を交互に合流させるように構成してもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、PETボトル等の軽量の容器に形成されたフランジを支持しつつ口部へのエアの吹付けによる推進力により容器を搬送するエアコンベヤに関する。
【背景技術】
【0002】
PETボトルなど軽量の容器をエアコンベヤで搬送することは従来から広く採用されているところである。エアコンベヤの構成としては、容器のフランジを支持するレールを、左右、及び必要に応じて上部にエアの吹出し口を形成した圧力室で囲み、容器の口部に向けてエアを吹付けることにより、エアの推進力で容器をレール上で滑らせながら搬送するという搬送形態が知られている。また、エアコンベヤの途中に減速手段を配置し、容器相互間の間隔の拡大に起因する容器の移動速度の上昇を抑えることによって、下流側の容器との衝突による変形などの問題を防ぐ技術は知られている(特許文献1)。ところで、ボトル成型装置などを組込んだ高能力対応のライン構成においては、充填装置などの処理能力がボトル成型装置より高いことから、ボトル成型装置を2台設置して、それぞれの装置で成型された容器を合流させて下流の充填装置へ搬送することにより、ラインの処理能力の向上が図られている。その場合に、所定本数、例えば20本あるいは30本ずつ集積して交互に払出す搬送形態が知られているが、この搬送形態の場合には複数本の容器が一群となって搬送されるため、下流側の容器に衝突した場合の衝撃が大きく、容器の変形が起りやすいという問題があった。また、容器が一群で搬送されると、容器を検出するセンサの作動時間を一群の容器の通過時間だけ長く設定する必要が生じるため、容器の貯留量などに対するきめ細かい精度のよい制御が困難になるという問題もあった。
【特許文献1】特許第3342577号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、以上のような従来の技術的状況に鑑み、容器が所定本数の一群として払出されても、下流側の容器との衝突時の衝撃力が抑えられるとともに、精度のよいライン制御の容易化が可能なエアコンベヤを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明では、前記課題を解決するため、搬送方向の両側に配置され、容器に形成されたフランジを支持するレールと、該レールに支持された容器の口部へエアを吹付けるエア供給手段とを備え、容器を下流に配置された処理装置へ搬送するエアコンベヤにおいて、容器を所定本数の一群で払出す払出し手段と、その払出し手段の下流側に配設され、該払出し手段から払出される容器と係合して搬送速度を減少させる制動手段とを設け、該制動手段により容器相互間を離間させて処理装置へ供給するという技術手段を採用した。前記制動手段は、容器と係合する係合部材と、該係合部材を回転させる駆動手段と、該駆動手段を制御する制御手段を設け、前記処理装置の能力に応じて前記係合部材の回転速度を制御し得るように構成してもよい。また、前記払出し手段は、複数列の供給コンベヤと、それらの各供給コンベヤ上を搬送される容器を所定本数に集積する集積手段と、前記各供給コンベヤ上に集積された容器を合流させる合流手段とを備えた構成としてもよい。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、次の効果を得ることができる。
(1)容器を所定本数の一群として払出す払出し手段が介在するライン構成であっても、その払出し手段の下流側に配設した制動手段により容器相互間が離間した状態で処理装置へ供給されるため、処置装置の手前に待機中の容器等の下流側の容器へ衝突した際の衝撃力が大幅に縮小されることから、容器の変形などのトラブルを未然に防止することが可能である。
(2)一群として払出された容器群は、それらの容器相互間が前記制動手段により離間されるので、容器を検出するセンサの作動時間を1個の容器の通過時間に縮小できることから、容器の貯留量などに対するきめ細かい精度のよいライン制御が容易化される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明は、PETボトル等の各種の軽量容器のエアコンベヤに広く適用することが可能である。また、容器を所定本数の一群として払出す払出し手段が介在するライン構成であれば適用が可能であり、その払出し手段の具体的な形態に関しては、供給コンベヤが1列の場合でも複数列の場合でも適用することが可能である。前記制動手段は、搬送中の容器に対して制動作用を付与することにより容器相互間に適量の間隔が形成できるものであれば、その具体的形態には特に限定されない。また、その制動作用に関しても、制動作用の調整ができない固定的な形態のものでもよいし、下流側の処理装置の能力に応じて制動作用を制御し得るように構成したものでもよい
【実施例】
【0007】
図1は本発明を適用したライン構成の要部を示した概略ライン構成図であり、図2はその払出し手段の部分を示した部分構成図である。図示のように、本実施例では、ボトル成型機1,2及びエアコンベヤからなる供給コンベヤ3,4をそれぞれ2セットずつ設置し、交互払出し部5の下流側で合流させながら払出すように構成した場合について示した。因みに、本実施例における交互払出し部5は、図2に示したように、第1ストッパ6と第2ストッパ7及びセンサ8からなる第1集積手段と、第1ストッパ9と第2ストッパ10及びセンサ11からなる第2集積手段と、それらの下流側に配設したシリンダ12により進退駆動可能に構成した切替え部材13からなる切替え合流手段との組合わせから構成される。
【0008】
しかして、ボトル成型機1,2にて成型された容器14,15は、それぞれ供給コンベヤ3,4を介して交互払出し部5へ搬送される。交互払出し部5へ搬送された容器14,15は、それぞれ第1ストッパ6,9が閉じられた状態で集積を開始し、センサ8,11の位置まで集積される。その集積状態がセンサ8,11によって検出された場合には第2ストッパ7,10を閉じ、しかる後第1ストッパ6,9を適宜のタイミングで開放することにより、第1ストッパ6,9から第2ストッパ7,10との間に集積された所定本数の容器群16,17を下流側へ排出することになる。因みに、以上の集積及び排出動作は、供給コンベヤ3,4において交互にずれながらそれぞれのタイミングで実行される。そして、第1ストッパ6,9の開放により交互に排出される所定本数の容器14,15からなる容器群16,17は、シリンダ12によって進退駆動される切替え部材13に形成された連通路18,19を合流後のエアコンベヤ20に選択的に連通することにより交互に払出されることになる。
【0009】
図1に示したように、合流後のエアコンベヤ20の下流側には制動手段21を配設している。本実施例では、制動手段21を抱込みベルト22,23から構成し、1回の払出し動作で払出される容器群16,17の長さより若干広い間隔をとって合流点の下流側に配設した場合を示した。その抱込みベルト22,23の回転速度は、本実施例では下流に配設される第1リンサ24や第2リンサ25からなる処理装置の処理能力に応じて制御されるように構成している。例えば、処理装置の制御装置から処理能力のデータを入手したり、処理装置の上流に配設したセンサにより所定量以上の容器の貯留状態を検出することによって、処理能力の低下が認識されたら抱込みベルト22,23の回転速度を低下させるように構成している。
【0010】
さらに、図1に示したように、供給コンベヤ3,4の第1ストッパ6,9の下流側の合流点との間に通過確認センサ26,27を配設するとともに、エアコンベヤ20の合流点近傍には切替え用センサ28を配設している。また、第1リンサ24のインフィードスクリュー29の上流側近傍には不足センサ30を配設するとともに、その上流側にインフィードスクリュー29からの所定の蓄積量を見込んで満杯センサ31を配設している。因みに、不足センサ30によってインフィードスクリュー29の上流側に待機する容器の蓄積量の不足が検出された場合には、上流側の何らかのトラブルと判断し、第1リンサ24や第2リンサ25等の下流側の処理装置に対して例えば装置内の容器の払出しなどの指令が出されるように構成される。また、満杯センサ31によってインフィードスクリュー29の上流側に所定量の容器が蓄積した状態が検出された場合には、例えば上流側からの容器の供給を一時停止したり制動手段21を介して供給量を減らす指令が出されるように構成される。なお、エアコンベヤ20上の制動手段に関しては、図3に示したようにベルト32に所定間隔で設置されたストッパ部材33間に容器を順次係合させてベルト32の移動速度を制御するように構成することも可能である。
【0011】
しかして、ボトル成型機1,2で成型され供給コンベヤ3,4を介して供給される容器14,15は、第1ストッパ6,9を起点として第2ストッパ7,10との間に所定本数からなる容器群16,17に集積され、切替え部材13に形成された連通路18,19の切替えにより、一群の容器群として合流後のエアコンベヤ20に交互に払出されることになる。この払出し動作は次の制御動作により実行される。すなわち、エアコンベヤ20に前回払出されたいずれかの容器群16,17の通過が切替え用センサ28によって検出された場合には、シリンダ12を介して切替え部材13に形成された連通路18,19の連通状態を他側に切替える。しかる後、その切替え動作によって連通した連通路18,19側の供給コンベヤ3,4に設置された第1ストッパ6,9を、第1リンサ24、第2リンサ25などの下流側の処理装置の処理能力に応じた所定のタイミングで解放し、所定本数からなる容器群16,17をエアコンベヤ20へ払出す。この容器群16,17の払出しの過程において、通過確認センサ26,27によってそれらの容器群16,17の通過が検出された時点で、当該供給コンベヤ3,4の第1ストッパ6,9を閉じ、第2ストッパ7,10を解放して、次の容器14,15の集積動作を開始する。そして、その所定本数の集積状態がセンサ8,11によって検出された場合には、第2ストッパ7,10を作動させて上流側の容器14,15の移動を停止し、当該供給コンベヤ3,4側の次回の払出し動作まで待機することになる。また、前記払出し動作によりエアコンベヤ20に払出された今回の容器群16,17の通過が切替え用センサ28により検出され、切替え部材13に形成された連通路18,19の連通状態の切替えが完了した場合には、次回の反対側の第1ストッパ6,9の解放タイミングを待って、以上の払出し動作を交互に繰返し実行することになる。
【0012】
上述のように、本発明によれば、ライン中に所定本数からなる一群の容器群16,17の払出し手段が介在しても、抱込みベルト22,23等からなる制動手段により容器相互間が離間された状態でエアコンベヤ20の下流側に配設される処理装置へ搬送されることから、その処置装置の手前に待機中の容器等の下流側の容器へ衝突した際の衝撃力が大幅に縮小され、容器の変形などのトラブルを未然に防止することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施例の要部を示した概略ライン構成図である。
【図2】払出し手段を示した部分構成図である。
【図3】制動手段に関する他の実施例を示した概略構成図である。
【符号の説明】
【0014】
1,2…ボトル成型機、3,4…供給コンベヤ、5…交互払出し部、6…第1ストッパ、7…第2ストッパ、8…センサ、9…第1ストッパ、10…第2ストッパ、11…センサ、12…シリンダ、13…切替え部材、14,15…容器、16,17…容器群、18,19…連通路、20…エアコンベヤ、21…制動手段、22,23…抱込みベルト、24…第1リンサ、25…第2リンサ、26,27…通過確認センサ、28…切替え用センサ、29…インフィードスクリュー、30…不足センサ、31…満杯センサ、32…ベルト、33…ストッパ部材


【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送方向の両側に配置され、容器に形成されたフランジを支持するレールと、該レールに支持された容器の口部へエアを吹付けるエア供給手段とを備え、容器を下流に配置された処理装置へ搬送するエアコンベヤにおいて、容器を所定本数の一群で払出す払出し手段と、その払出し手段の下流側に配設され、該払出し手段から払出される容器と係合して搬送速度を減少させる制動手段とを設け、該制動手段により容器相互間を離間させて処理装置へ供給するように構成したことを特徴とするエアコンベヤ。
【請求項2】
前記制動手段は、容器と係合する係合部材と、該係合部材を回転させる駆動手段と、該駆動手段を制御する制御手段を設け、前記処理装置の能力に応じて前記係合部材の回転速度を制御し得るように構成したことを特徴とする請求項1に記載のエアコンベヤ。
【請求項3】
前記払出し手段は、複数列の供給コンベヤと、それらの各供給コンベヤ上を搬送される容器を所定本数に集積する集積手段と、前記各供給コンベヤ上に集積された容器を下流へ合流させる合流手段とを備えたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のエアコンベヤ。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−248703(P2006−248703A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−68265(P2005−68265)
【出願日】平成17年3月10日(2005.3.10)
【出願人】(000253019)澁谷工業株式会社 (503)
【Fターム(参考)】