説明

エアゾール組成物

【課題】本発明は、臭いの変化がほとんどなく、パウダーの再分散性に優れており、皮膚に塗布するとべたつきがなく、サラッとした優れた使用感が得られるエアゾール組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】パウダー、油分および液化ガスを含有するエアゾール組成物であって、油分が分散剤と油性基剤を含み、分散剤が含チッ素非イオン性界面活性剤であるエアゾール組成物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、臭いの変化がほとんどなく、パウダーの再分散性に優れており、皮膚に塗布するとべたつきがなく、サラッとした優れた使用感が得られるエアゾール組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、パウダーを含有するエアゾール組成物が制汗剤などに用いられている。このエアゾール組成物は、有効成分を含むパウダーと、油分と、液化ガスとからなり、噴射すると液化ガスが気化して皮膚に冷却感を付与するとともに、パウダーが皮膚の表面に均等に付着し効果を付与する。
【0003】
パウダーを含有するエアゾール組成物は、使用していないときはパウダーが沈降して容器の底部に堆積するため、使用する前に容器を上下に振り、パウダーをエアゾール組成物中に分散させる必要があり、振る操作によりパウダーが容易に分散できるように、油分には、界面活性剤などの分散剤が配合されている。
【0004】
このようなエアゾール組成物としては、例えば、分散剤として非イオン性界面活性剤を含有する粉末エアゾール組成物(例えば、特許文献1参照)、分散剤としてポリエーテル変性シリコーンを含有する制汗デオドラントスプレー組成物(例えば、特許文献2参照)、分散剤としてリン酸系アニオン界面活性剤を含む制汗スプレー組成物(例えば、特許文献3参照)などが知られている。
【0005】
しかし、これらの従来のエアゾール組成物は、香料が配合されているが、香料そのものの臭いが変化する、臭いが混ざるなどの問題があり、特に時間が経過するとその傾向が強くなる。
【0006】
したがって、臭いの変化がほとんどなく、パウダーの再分散性に優れており、皮膚に塗布するとべたつきがなく、サラッとした優れた使用感が得られるエアゾール組成物については未だないのが現状である。
【0007】
【特許文献1】特開平3−157327号公報
【特許文献2】特開2004−292446号公報
【特許文献3】特開平9−157147号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、臭いの変化がほとんどなく、パウダーの再分散性に優れており、皮膚に塗布するとべたつきがなく、サラッとした優れた使用感が得られるエアゾール組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
すなわち、本発明は、パウダー、油分および液化ガスを含有するエアゾール組成物であって、油分が分散剤と油性基剤を含み、分散剤が含チッ素非イオン界面活性剤であるエアゾール組成物に関する。
【0010】
分散剤の配合量が、エアゾール組成物100重量部中0.01〜5重量部であることが好ましい。
【0011】
含チッ素非イオン界面活性剤がポリオキシエチレンアルキルアミンであることが好ましい。
【0012】
油性基剤が、脂肪酸と多価アルコールのエステルオイルを含有することが好ましい。
【0013】
エステルオイルのIOB値が、0.2〜0.6であることが好ましい。
【0014】
エステルオイルの20℃における粘度が、25〜200mPa・sであることが好ましい。
【0015】
エステルオイルの配合量が、エアゾール組成物100重量部中0.1〜15重量部であることが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、臭いの変化がほとんどなく、パウダーの再分散性に優れており、皮膚に塗布するとべたつきがなく、サラッとした優れた使用感が得られるエアゾール組成物を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明は、パウダー、油分および液化ガスを含有するエアゾール組成物であって、油分が分散剤と油性基剤を含み、分散剤が含チッ素非イオン界面活性剤であるエアゾール組成物に関する。
【0018】
本発明において、パウダーとしては、皮膚に付着して該パウダー自身が制汗効果や収斂効果、紫外線散乱効果、抗菌効果などの効果を付与するパウダー状の有効成分(主パウダー)、および/または、主パウダーを皮膚に付着しやする作用、皮膚にサラサラ感を付与してすべりや肌触りを良くする作用などの補助的な作用を有する補助パウダーがあげられ、これらは単独で、またはこれらを混合して用いることができる。
【0019】
主パウダーとしては、例えば、制汗効果を有するクロロヒドロキシアルミニウム、収斂効果を有する酸化亜鉛、紫外線散乱効果を有する酸化チタン、抗菌効果を有する銀などがあげられる。補助パウダーとしては、例えば、タルク、無水ケイ酸、コーンスターチ、マイカ、雲母チタン、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエステル、アクリル樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、エチレン・アクリル酸共重合体などがあげられる。使用感をより向上させるために、無水ケイ酸やエチレン・アクリル酸共重合体などを球状に加工した球状パウダーを用いることが好ましい。また、主パウダーを補助パウダーに担持させて配合しても良い。
【0020】
パウダーの使用量としては、エアゾール組成物100重量部中0.5〜20重量部であることが好ましく、1〜15重量部であることがより好ましい。パウダーの使用量が0.5重量部未満の場合は、前記の主パウダーとしての効果や補助パウダーとしての効果が得られにくい傾向があり、20重量部を越えると均一な組成で噴射しにくくなり、さらにエアゾールバルブで詰まり易くなる傾向がある。
【0021】
なお、主パウダーを用いる場合は補助パウダーと共に配合することが好ましく、主パウダー/補助パウダーの配合比は、90/10〜50/50(重量比)であることが好ましい。配合比が90/10よりも大きい場合はパウダー中の補助パウダーの割合が少なくなり、パウダーの付着量が低下しやすく、またすべりや肌触りが低下しやすい傾向があり、50/50よりも小さい場合はパウダー中の有効成分の割合が少なくなり、有効成分の効果が得られにくくなる傾向がある。
【0022】
パウダーの大きさ(平均粒子径)としては、0.1〜60μmであることが好ましく、0.5〜50μmであることがより好ましい。粒子径が0.1μm未満であると、長期間保存したときに容器の底部で固くケーキングしやすくなり、容器を上下に振っても均一に分散しにくくなる。さらに、噴射時にパウダーが飛散しやすくなり、皮膚への付着性が悪くなる傾向がある。また、粒子径が60μmを越えるとパウダーが噴射の途中で沈降し始めるため、均一な組成で噴射できなくなる傾向がある。さらに、エアゾールバルブや噴射部材の孔部で詰まりやすくなる傾向がある。
【0023】
本発明で用いる油分は、分散剤と油性基剤からなるものであり、パウダーを皮膚に付着しやすくする、パウダーの分散性を調整する、皮膚上でパウダーが白く析出するのを防止する、肌触りやすべり感などの使用感を調整するなどの目的で添加する成分である。
【0024】
前記油分の配合量は、エアゾール組成物100重量部中0.2〜25重量部であることが好ましく、0.5〜18重量部であることがより好ましい。油分の配合量が0.2重量部未満の場合はパウダーが付着しにくく飛散しやすい傾向があり、25重量部を超えると乾燥性が悪くなり使用感が低下する傾向がある。
【0025】
本発明で用いる分散剤は、パウダーのエアゾール組成物内での分散状態を調節する目的で用いられ、容器底部に沈降しているパウダーを容易に分散させ、さらには分散状態がしばらく持続し均一な組成で噴射できるようにする。
【0026】
本発明のエアゾール組成物は分散剤として含チッ素非イオン性界面活性剤を用いる点に特徴があり、パウダーの分散性に優れ、べたつきがなくさらっとした使用感が得られる効果以外にも、経時的な臭いの変化を抑制することができる。
【0027】
含チッ素非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンステアリルアミン、ポリオキシエチレンオレイルアミンなどのポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンステアリン酸アミド、ポリオキシエチレンオレイン酸アミドなどのポリオキシエチレン脂肪酸アミドなどの炭素数10〜20のアルキル基を有するポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレン脂肪酸アミドをあげることができる。これらのうち、ポリオキシエチレンアルキルアミンを用いることが好ましい。
【0028】
また、含チッ素非イオン性界面活性剤における酸化エチレンの付加モル数は2〜50であるものが好ましく、4〜15であるものがより好ましい。さらに、HLBが8〜12であるものを用いることが好ましく、HLBが8〜11のポリオキシエチレンアルキルアミンを用いることがより好ましく、例えば、ポリオキシエチレン(5)ステアリルアミン(HLB:10.0)およびポリオキシエチレン(5)オレイルアミン(HLB:9.0)があげられる。これらの中でも、容器底部に沈降しているパウダーを容易に分散させることができ、さらには分散状態がしばらく持続し均一な組成で噴射できる点から、ポリオキシエチレンオレイルアミンが好ましい。
【0029】
前記分散剤の配合量はエアゾール組成物100重量部中0.01〜5重量部であることが好ましく、0.05〜3重量部であることがより好ましい。分散剤の配合量が0.01重量部未満の場合はパウダーの分散性が悪くなり、均一な組成で噴射しにくくなる傾向がある。また、5重量部を超えると皮膚上に残留しやすくなってべたつきやすくなるなど、使用感が低下しやすい。
【0030】
油性基剤は分散剤の溶媒としてだけではなく、パウダーの付着性を高め、皮膚から剥がれ落ちにくくする、皮膚表面の潤いや摩擦を調整して肌触りやすべり感を良くする、などの目的で用いられる。
【0031】
油性基剤としては、エステルオイル、シリコーンオイル、植物油、およびこれらの混合物があげられる。これらの中でも、前記分散剤と組み合わせることにより時間が経過しても安定であり、また臭いの変化を抑制する効果が特に得られやすい点から、エステルオイルが好ましい。
【0032】
エステルオイルとしては、例えば、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル、トリエチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、エチルヘキサン酸ブチルエーテルプロパンジオール、トリイソステアリン酸ジグリセリル、テトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリチルなどの分岐脂肪酸と多価アルコールのエステル、またトリ(カプリル/カプリン酸)グリセリル、ジカプリン酸プロピレングリコール、モノカプリル酸プロピレングリコール、ジカプリル酸プロピレングリコールなどの直鎖脂肪酸と多価アルコールのエステルなどがあげられる。これらの中でも、前記分散剤と組み合わせることにより時間が経過しても安定であり、また臭いの変化を抑制する効果が特に得られやすい点から、分岐脂肪酸と多価アルコールのエステルが好ましく、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリルがより好ましい。
【0033】
前記エステルオイルの中でも、IOB値が0.2〜0.6であるものが好ましく、0.25〜0.5であるものがより好ましい。IOB値とは、油分の極性の度合いを示す指標であり、IOB値=無機性値/有機性値で算出される。IOB値が0.2未満の場合は油性が強すぎ皮膚上に残りやすく、使用感が低下しやすい傾向がある。0.6よりも大きい場合は、汗や水分により除去されやすくなり、効果が持続しにくくなる傾向がある。
【0034】
また、前記エステルオイルの20℃における粘度は、25〜200mPa・sであることが好ましく、30〜150mPa・sであることがより好ましい。エステルオイルの粘度が25mPa・s未満である場合は凹凸な面に噴射したときに垂れやすくなる傾向があり、200mPa・sよりも大きくなると皮膚上でヌメリ感が生じやすく使用感が低下する傾向がある。
【0035】
エステルオイルの配合量は、エアゾール組成物100重量部中0.1〜15重量部であることが好ましく、0.3〜12重量部であることがより好ましい。エステルオイルの配合量が0.1重量部未満であると、前記分散剤と組み合わせることによる安定性の効果や、臭いの変化を抑制する効果が得られにくくなる傾向があり、15重量部を超えると皮膚上で残りやすく使用感が低下する傾向がある。
【0036】
シリコーンオイルは、皮膚のすべりを良くする、乾燥性を調整するなどの目的で用いられる。シリコーンオイルとしては、例えば、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、メチルポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、メチルフェニルポリシロキサンなどがあげられる。
【0037】
植物油としては、例えば、ホホバ油、ローズヒップ油、アサ油、イランイラン油、ウイキョウ油、オリーブ油、オレンジ油、カミレツ油、カヤ油、キウイ油、キュウリ油、クルミ油、コメヌカ油、サフラワー油、ジャスミン油、スペアミント油、ツバキ油、パーム油、ユーカリ油、ロズマリー油などがあげられる。
【0038】
油性基剤の配合量は、エアゾール組成物100重量部中0.1〜20重量部であることが好ましく、0.5〜15重量%であることがより好ましい。油性基剤の配合量が0.1重量%未満であると、パウダーの付着性を高めて皮膚から剥がれ落ちにくくする効果や、皮膚表面の潤いや摩擦を調整して肌触りやすべり感を良くする効果が得られにくくなる傾向があり、20重量%を超えると皮膚上で残りやすく使用感が低下する傾向がある。
【0039】
なお、前記分散剤と油性基剤の配合比は特に限定されるものではないが、分散剤/油性基剤(重量比)が1/99〜30/70であることが好ましく、3/97〜20/80であることがより好ましい。1/99未満であると分散剤の配合割合が少なくなってパウダーの分散性が低下しやすく、経時的に臭いが変化しやすくなる傾向があり、30/70をこえると分散剤によるべたつきや刺激が強くなりやすい傾向がある。
【0040】
液化ガスは、容器内では蒸気圧を有する液体であり、蒸気圧によりエアゾール組成物を外部に噴射する。また、液化ガスは大気中に噴射されると気化し、気化熱により冷却感を付与する。
【0041】
前記液化ガスとしては、例えば、プロパン、ノルマルブタン、イソブタンおよびこれらの混合物である液化石油ガス、ジメチルエーテル、および液化石油ガスとジメチルエーテルの混合物などがあげられる。また、液化ガスに、ノルマルペンタン、イソペンタン、などの炭素数が5個の脂肪族炭化水素や、メチルパーフルオロブチルエーテル、エチルパーフルオロブチルエーテルなどのハイドロフルオロエーテルを配合しても良い。
【0042】
液化ガスの20℃での蒸気圧は0.1〜0.3MPaであることが好ましい。液化ガスの蒸気圧が0.1MPa未満である場合は低温時に噴射物が霧状に拡がりにくくなり、局部的に付着しやすくなる傾向がある。0.3MPaを超えると噴射物の勢いが強くなりすぎ、皮膚表面で跳ね返りやすく付着量が少なくなる傾向がある。
【0043】
前記液化ガスの配合量は、エアゾール組成物100重量部中70〜99重量部であることが好ましく、80〜98重量部であることがより好ましい。液化ガスの配合量が70重量部未満である場合は噴射面で噴射物が垂れ落ちやすくなる傾向があり、99重量部をこえると飛散しやすく付着量が少なくなる傾向がある。
【0044】
本発明のエアゾール組成物には、用途によって、パウダー以外の有効成分、低級アルコールを配合しても良い。
【0045】
前記パウダー以外の有効成分としては、例えば、l−メントール、カンフル、ハッカ油などの清涼剤、アラントインヒドロキシアルミニウム、タンニン酸、クエン酸、乳酸などの収斂剤、プロピレングリコール、グリセリン、1、3−ブチレングリコール、コラーゲン、キシリトール、ソルビトール、ヒアルロン酸、カロニン酸、乳酸ナトリウム、dl−ピロリドンカルボン酸塩、ケラチン、カゼイン、レシチン、尿素などの保湿剤、パラオキシ安息香酸エステル、安息香酸ナトリウム、フェノキシエタノール、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、パラクロルメタクレゾール、銀などの殺菌(抗菌)・防腐剤、ラウリルメタクリレート、ゲラニルクロトレート、ミリスチン酸アセトフェノン、酢酸ベンジル、プロピオン酸ベンジル、安息香酸メチル、フェニル酢酸メチル、茶エキスなどの消臭・防臭剤、レチノール、パルミチン酸レチノール、塩酸ピリドキシン、ニコチン酸ベンジル、ニコチン酸アミド、ニコチン酸dl−α−トコフェロール、ビタミンD2、dl−α−トコフェロール、酢酸dl−α−トコフェロール、パントテン酸、ビオチンなどのビタミン類、シャクヤクエキス、ヘチマエキス、バラエキス、レモンエキス、アロエエキス、ショウブ根エキス、ユーカリエキス、セージエキス、海藻エキス、プラセンタエキス、シルク抽出液、アロエエキスなどの各種抽出液、香料などがあげられる。
【0046】
前記有効成分を配合する場合の配合量は、エアゾール組成物100重量部中0.1〜10重量部であることが好ましく、0.2〜5重量部であることがより好ましい。有効成分の配合量が0.1重量部未満であると有効成分の配合効果が得られにくい傾向がある。10重量部を超えると有効成分濃度が高く、皮膚に悪影響を及ぼす恐れがある。
【0047】
低級アルコールはエステルやシリコーンオイルに溶解しにくい有効成分の溶解補助剤として、また乾燥性を調製するなどの目的で用いられる。低級アルコールとしては、例えば、エタノール、イソプロパノールなどの炭素数2〜3の1価アルコールがあげられる。前記低級アルコールを配合する場合の配合量は、エアゾール組成物100重量部中0.1〜10重量部であることが好ましく、0.2〜5重量部であることがより好ましい。低級アルコールの配合量が0.1重量部未満であると低級アルコールの配合効果が得られにくい傾向がある。10重量部を超えると皮膚表面で垂れやすくなる傾向がある。
【0048】
本発明のエアゾール組成物の製造方法は、特に限定されないが、次のように製造することができる。
1)パウダーを容器に充填する。パウダーが2種類以上からなる場合は予め混合したものを充填してもよく、個々に充填しても良い。
2)分散剤を油性基剤に添加し混合したものを容器に充填する。
3)容器にエアゾールバルブを取り付ける際に、液化ガスを充填する。
【0049】
得られたエアゾール組成物は、長期間保存しても臭いの変化がなく安定であるため、制汗剤、消臭剤、芳香剤などの臭いをマスキングする、あるいは臭いを付加する製品に好適に用いられる。
【実施例】
【0050】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0051】
実施例および比較例で得られたエアゾール組成物の評価方法を下記に示す。
【0052】
<評価方法>
(油分の外観)
分散剤を油性基剤に添加し混合したとき外観を評価した。
○:透明
△:やや白濁
×:溶解しない
【0053】
(パウダーの分散性)
エアゾール製品を25℃の恒温室内で1ヶ月間静置し、パウダーを容器底部に沈降させたものを用いて、容器を上下に振ったときの粉末の分散性(再分散性)を評価した。
○:容器底部でパウダーの凝集は認められず、1〜10回振ると均一に分散した。
△:容器底部でパウダーの一部が凝集して塊またはケーキングしているが、10〜20回振ると均一に分散した。
×:容器底部でパウダーのほとんど全部が凝集して塊またはケーキングしており、容器を21回以上振っても均一に分散しない。
【0054】
(パウダーの沈降状態)
容器を上下に振りパウダーを均一に分散させたのち静置し、パウダーが沈降する状態を評価した。
○:10秒以内に分離しない。
△:10秒以内に分離するが、明確な濃度差がない。
×:10秒以内に明確な濃度差が生じる。
【0055】
(臭いの変化)
エアゾール製品を45℃の恒温室に所定期間保存した経時サンプルと、同じ組成物を製造した直後のサンプルを用い、ろ紙に噴射して臭いの変化を評価した。
◎:6ヶ月で異常なし。
○:3ヶ月で異常ない。6ヶ月でやや変臭。
△:2ヶ月で異常ない。3ヶ月でやや変臭。
×:1ヶ月で変臭。
【0056】
(使用感)
エアゾール製品を腕に1秒間噴射したときの肌触りを評価した。
○:乾燥し、さらさらしている。
△:べたつき感はないが、濡れた感触がある。
×:べたつき感がある。
【0057】
実施例1
表1に示すエアゾール組成物を透明なポリエチレンテレフタレート製エアゾール容器に充填し、制汗剤用エアゾール製品を製造した。
【0058】
【表1】

*1:アルミニウムヒドロキシクロライド(商品名、(株)マツモト交商製、平均粒子径44μm以下)(以下同様)
*2:クラウンタルク局方PP(商品名、松村産業(株)製、平均粒子径10μm)(以下同様)
*3:フロービーズHE3040(商品名、住友精化(株)製、平均粒子径10〜12μm)(以下同様)
*4:NIKKOL TAMNO−5(商品名、日光ケミカルズ(株)製、HLB9.0)(以下同様)
*5:NIKKOL TRIFAT S308(商品名、日光ケミカルズ(株)製、IOB値:0.35、粘度:43mPa・s)(以下同様)
*6:SH245(商品名:東レ・ダウコーニングシリコーン(株)製)(以下同様)
*7:イソブタンとノルマルブタンの混合物。20℃での蒸気圧が0.15MPa(以下同様)
【0059】
実施例2
表2に示すエアゾール組成物を透明なポリエチレンテレフタレート製エアゾール容器に充填し、制汗剤用エアゾール製品を製造した。
【0060】
【表2】

*8:サイロスフェア1504(商品名、富士シリシア化学(株)製、平均粒子径4.5μm)(以下同様)
*9:NIKKOL Trialan 308(商品名、日光ケミカルズ(株)製、IOB値:0.34、粘度:66mPa・s)(以下同様)
【0061】
実施例3
表3に示すエアゾール組成物を透明なポリエチレンテレフタレート製エアゾール容器に充填し、制汗剤用エアゾール製品を製造した。
【0062】
【表3】

【0063】
実施例4
表4に示すエアゾール組成物を透明なポリエチレンテレフタレート製エアゾール容器に充填し、制汗剤用エアゾール製品を製造した。
【0064】
【表4】

【0065】
実施例5
表5に示すエアゾール組成物を透明なポリエチレンテレフタレート製エアゾール容器に充填し、制汗剤用エアゾール製品を製造した。
【0066】
【表5】

【0067】
実施例6
表6に示すエアゾール組成物を透明なポリエチレンテレフタレート製エアゾール容器に充填し、制汗剤用エアゾール製品を製造した。
【0068】
【表6】

【0069】
実施例7
表7に示すエアゾール組成物を透明なポリエチレンテレフタレート製エアゾール容器に充填し、制汗剤用エアゾール製品を製造した。
【0070】
【表7】

【0071】
実施例8
ポリオキシエチレン(5)オレイルアミンの配合量を0.01重量部、液化石油ガスの配合量を92.39重量部とした以外は実施例1と同様にして、制汗剤用エアゾール製品を製造した。
【0072】
実施例9
ポリオキシエチレン(5)オレイルアミンの配合量を5.0重量部、液化石油ガスの配合量を87.4重量部とした以外は実施例1と同様にして、制汗剤用エアゾール製品を製造した。
【0073】
実施例10
トリ2−エチルヘキサン酸グリセリルの配合量を0.1重量部、液化石油ガスの配合量を94.6重量部とした以外は実施例1と同様にして、制汗剤用エアゾール製品を製造した。
【0074】
実施例11
トリ2−エチルヘキサン酸グリセリルの配合量を15.0重量部、液化石油ガスの配合量を79.7重量部とした以外は実施例1と同様にして、制汗剤用エアゾール製品を製造した。
【0075】
比較例1
分散剤として、ソルビタン脂肪酸エステル(商品名:SO−15R、日光ケミカルズ(株)製、HLB3.7)を用いた以外は実施例1と同様にしてエアゾール製品を製造した。
【0076】
比較例2
分散剤として、ジイソステアリン酸デカグリセリル(商品名:Decaglyn 2−ISV、日光ケミカルズ(株)製、HLB10.0)を用いた以外は実施例1と同様にしてエアゾール製品を製造した。
【0077】
比較例3
分散剤として、ペンタオレイン酸デカグリセリル(商品名:Decaglyn 5−OV、日光ケミカルズ(株)製、HLB3.5)を用いた以外は実施例1と同様にしてエアゾール製品を製造した。
【0078】
比較例4
分散剤として、モノオレイン酸デカグリセリル(商品名:Decaglyn 1−OV、日光ケミカルズ(株)製、HLB6.0)を用いた以外は実施例1と同様にしてエアゾール製品を製造した。
【0079】
比較例5
分散剤として、モノパルミチン酸POE(20)ソルビタン(商品名:TP−10EX、日光ケミカルズ(株)製、HLB15.6)を用いた以外は実施例1と同様にしてエアゾール製品を製造した。
【0080】
比較例6
分散剤として、モノオレイン酸POE(20)ソルビタン(商品名:TO−10V、日光ケミカルズ(株)製、HLB15.0)を用いた以外は実施例1と同様にしてエアゾール製品を製造した。
【0081】
比較例7
分散剤として、POE(10)オレイルエーテル(商品名:BO−10V、日光ケミカルズ(株)製、HLB14.5)を用いた以外は実施例1と同様にしてエアゾール製品を製造した。
【0082】
【表8】

【0083】
表8によると、本発明にかかるエアゾール組成物は、臭いの変化がほとんどなく、パウダーの分散性に優れていることがわかる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パウダー、油分および液化ガスを含有するエアゾール組成物であって、
油分が分散剤と油性基剤を含み、分散剤が含チッ素非イオン界面活性剤であるエアゾール組成物。
【請求項2】
分散剤の配合量が、エアゾール組成物100重量部中0.01〜5重量部である請求項1記載のエアゾール組成物。
【請求項3】
含チッ素非イオン界面活性剤がポリオキシエチレンアルキルアミンである請求項1または2記載のエアゾール組成物。
【請求項4】
油性基剤が、脂肪酸と多価アルコールのエステルオイルを含有する請求項1記載のエアゾール組成物。
【請求項5】
エステルオイルのIOB値が、0.2〜0.6である請求項4記載のエアゾール組成物。
【請求項6】
エステルオイルの20℃における粘度が、25〜200mPa・sである請求項4または5記載のエアゾール組成物。
【請求項7】
エステルオイルの配合量が、エアゾール組成物100重量部中0.1〜15重量部である請求項4〜6のいずれかに記載のエアゾール組成物。

【公開番号】特開2009−1508(P2009−1508A)
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−161559(P2007−161559)
【出願日】平成19年6月19日(2007.6.19)
【出願人】(391021031)株式会社ダイゾー (130)
【Fターム(参考)】