エアバッグ装置
【課題】 エアバッグに構成した主気室のガスの流出量を抑制して、乗員や歩行者の頭部が主気室に作用したときでも、主気室内でのガス圧を維持しつつ、主気室の圧力ピークを適切に抑制することのできる副気室を主気室に連通させたエアバッグ装置を提供する。
【解決手段】
前主気室11に第一ガス抜き孔18aを介して前副気室13を連通させ、後主気室12に第一ガス抜き孔18bを介して後副気室14を連通させる。前副気室13と後副気室14とを第二ガス抜き孔20を介して連通させる。前主気室11に乗員の頭部が当接して前主気室11の内圧が上昇したときには、前主気室11内の膨張ガスは前副気室13に流出する。そして、前副気室13の内圧が後副気室14の内圧よりも高くなったときには、第二ガス抜き孔を介して前副気室13から後副気室14へと膨張ガスが流出する。また、第二ガス抜き孔を介して、前副気室13の内圧と後副気室14の内圧とを略等しい状態とすることができ、前主気室11における圧力ピークを穏やかに抑制することができる。
【解決手段】
前主気室11に第一ガス抜き孔18aを介して前副気室13を連通させ、後主気室12に第一ガス抜き孔18bを介して後副気室14を連通させる。前副気室13と後副気室14とを第二ガス抜き孔20を介して連通させる。前主気室11に乗員の頭部が当接して前主気室11の内圧が上昇したときには、前主気室11内の膨張ガスは前副気室13に流出する。そして、前副気室13の内圧が後副気室14の内圧よりも高くなったときには、第二ガス抜き孔を介して前副気室13から後副気室14へと膨張ガスが流出する。また、第二ガス抜き孔を介して、前副気室13の内圧と後副気室14の内圧とを略等しい状態とすることができ、前主気室11における圧力ピークを穏やかに抑制することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車室の側面に沿って膨張展開するエアバッグを備えたエアバッグ装置に関するものである。特に、車室の側面に沿って膨張展開するエアバッグとして用いられている、車両のサイドウィンドウを覆うサイドカーテンエアバッグ、リアウィンドウを覆う後席用エアバッグ、フロントガラスの上方におけるフロントルーフエンド部からフロントガラスを覆うフロントカーテンエアバッグ、ボンネットフードの後端におけるカウル部からフロントガラスの外面を覆う室外用エアバッグなどを備えたエアバッグ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年においては、車両に対する追突事故やロールオーバ等の事故において、乗員や歩行者の頭部を保護する目的で、車室の側面に沿って膨張展開するエアバッグを設けた自動車が、数多く使用されている。この種のエアバッグ装置としては、サイドカーテンエアバッグ、後席用エアバッグ、フロントカーテンエアバッグ、室外用エアバッグなどが用いられている。
【0003】
車両に対する追突事故やロールオーバ等の事故の発生が検知されると、あるいはこれらの事故の発生が予測されると、エアバッグ装置のインフレータから噴射されたガスがエアバッグ内に流入して、エアバッグを膨張展開させる。このとき、例えば、サイドカーテンエアバッグを例に挙げて説明すると、カーテンエアバッグの膨張展開に伴って、ルーフサイドガーニッシュの下端部側(ルーフサイドガーニッシュの扉部側)を車室内側上方に押し開き、押し開かれた開口を通ってカーテンエアバッグは、下方へ向ってカーテン状に展開する。膨張展開したカーテンエアバッグによって、乗員の頭部を保護することができる。
【0004】
乗員や歩行者の頭部などを保護するために用いられるエアバッグ装置は、乗員や歩行者の頭部をエアバッグで受け止めたときに、エアバッグは適当な内圧になっており、またある時間、内部の気体が抜けきらずに維持できるものが、衝突や横転に対して、より好ましい保護性能を発揮する、とされている。
【0005】
このように構成されたエアバッグ装置としては、頭部保護エアバッグ装置(例えば、特許文献1参照)やサイドガスバッグ拘束装置(例えば、特許文献2参照)などが提案されている。特許文献1に記載された頭部保護エアバッグ装置を、本願発明における従来例1として図10は、その正面図を示している。
【0006】
自動車が側面衝突したり横転したりすると、図10に示すように、ダクト57に接続した図示せぬインフレータが作動して、エアバッグ50の各クッション室52,53内にガスが供給され、エアバッグ50が膨張展開する。エアバッグ50は、カーテン状に下方へ広がり、自動車の乗員と車室側面との間に膨張しながら展開する。膨張したクッション室52又はクッション室53において乗員の頭部を受け止めた際には、その頭部からの荷重によってそれぞれのクッション室52,53の内圧が増大することになる。
【0007】
そして、クッション室52,53の内圧が所定圧以上に増大した場合には、クッション室52とチャンバ54及びクッション室53とチャンバ55の連通を遮断している接着剤58が剥がれる構成となっている。接着剤58が剥がされることによって、クッション室52とチャンバ54又はクッション室53とチャンバ55とが連通する。これによって、クッション室52又はクッション室53の容積を増大させることができ、クッション室52又はクッション室53の内圧上昇を抑制して調整することができる。
【0008】
一対のシート51,51同士は、接着剤58で接合されている構成となっている。そのため、接着剤58が剥がされる前の状態では、クッション室52とチャンバ54及びクッション室53とチャンバ55とは、それぞれ連通が遮断されている状態となっている。
【0009】
このように、一対のシート51,51同士を接合させている接着剤58が剥がされることによって、クッション室52,53内のガスは、それぞれチャンバ54,55内に流出することができる。そして、例えば、乗員の頭部によってクッション室52が押されたときには、クッション室52内に入っていたガスがチャンバ54内に流入して、クッション室52の内圧を調整することができる。
【0010】
また、特許文献2に記載されたサイドガスバッグ拘束装置を、本願発明における従来例2として図11には、サイドガスバッグ拘束装置を内蔵する車の部分的な内側図を示している。図11に示すように、搭乗者65a,65bの頭部を拘束する拘束チャンバ60,61には、緊張チャンバ62a,62b,62cと、緊張チャンバ63a,63b,63cとが、それぞれこの順番で直列に接続されている。
【0011】
これらの各緊張チャンバは、くびれ部分を介して順次連通しており、拘束チャンバ60,61における膨張ガスを、直列状に連通している緊張チャンバ62a,62b,62c 内又は緊張チャンバ63a,63b,63c 内に順次流出させることができる。そして、搭乗者65a,65b の頭部によって拘束チャンバ60又は拘束チャンバ61が押圧されたときには、緊張チャンバ62a,62b,62c 又は緊張チャンバ63a,63b,63c によって、拘束チャンバ60又は拘束チャンバ61に生じる圧力ピークを抑制することができる。この圧力ピークの抑制調整は、緊張チャンバ62a,62b,62c 又は緊張チャンバ63a,63b,63c が順次膨張することによって行われるシーケンシャルな抑制調整となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2003−320920号公報(段落0035〜0037、図1〜図6)
【特許文献2】特開2000−326816号公報(段落0017〜0019、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
特許文献1に記載された発明では、チャンバ54,55を設けることによってクッション室52,53の内圧を調整することができる構成となっている。しかし、クッション室52,53に対する内圧調整は、それぞれチャンバ54,55に膨張ガスを流出させるだけの1段だけで行われる内圧調整となっている。このため、クッション室52,53における内圧調整は、大きな変動幅を持って行われることになり、クッション室52,53における内圧調整をソフトに調整することはできない。
【0014】
特許文献2に記載された発明では、拘束チャンバ60,61にはそれぞれ直列に連通した緊張チャンバ62a,62b,62c 又は緊張チャンバ63a,63b,63cが設けられている。このため、拘束チャンバ60,61における内圧調整は、多段に亘ってソフトに調整することができる。
【0015】
しかし、拘束チャンバ60,61からの膨張ガスが、直列に連通した緊張チャンバのうちで最後尾に配した緊張チャンバ62c又は緊張チャンバ63cにまで流入して、拘束チャンバ60,61に対する内圧調整が、緊張チャンバ62c又は緊張チャンバ63cにおいて行われるようになるまでには、時間を要することになる。
このため、拘束チャンバ60,61に対する圧力調整には、時間が掛かってしまうという問題が生じる。
【0016】
また、拘束チャンバ60,61に対して最初に連通する緊張チャンバ62a又は緊張チャンバ63aの容量を大きく構成した場合には、拘束チャンバ60,61に対する圧力調整の特性としては、特許文献1に記載された発明に近い特性を示すことになる。逆に、下流側である緊張チャンバ62c又は緊張チャンバ63cの容量を大きく構成した場合には、拘束チャンバ60,61の内圧調整が、拘束チャンバ60,61から一番遠い所に配した緊張チャンバ62c又は緊張チャンバ63cによって調整されることになり、拘束チャンバ60,61を適正な内圧状態に調整して維持しておくことが難しくなる。
【0017】
また、各緊張チャンバ62a,62b,62c 間における絞り抵抗、又は各緊張チャンバ63a,63b,63c間における絞り抵抗が少なくなるように構成したときには、緊張チャンバ62a,62b,62c 間又緊張チャンバ63a,63b,63c間における膨張ガスの流出が促進されてしまうことになる。そして、結果として、拘束チャンバ60,61から膨張ガスが早く流出してしまうことになる。
【0018】
そのため、拘束チャンバ60,61における内圧低下が早く生じてしまうことになり、拘束チャンバ60,61における内圧は、ソフトに減圧しながら所定の内圧状態にまで低下することができなくなる。
【0019】
このため、拘束チャンバ60,61における内圧を所定の時間の間、適切な圧力に維持しておくことが難しくなる。この場合でも、緊張チャンバ62a,62b,62c間又は緊張チャンバ63a,63b,63cが、あたかも一つの緊張チャンバとして構成されているように作用することになるので、拘束チャンバ60,61に対する圧力調整の特性としては、特許文献1に記載された発明に近い特性を示すことになる。
【0020】
本願発明は、従来のエアバッグ装置における上述した問題点を解決することができ、エアバッグに構成した主気室のガスの流出量を抑制して、乗員や歩行者の頭部が主気室に作用したときでも、主気室内でのガス圧を維持しつつ、主気室の圧力ピークを適切に抑制することのできる副気室を主気室に連通させたエアバッグ装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本願発明の課題は、請求項1〜4に記載された各発明により達成することができる。
即ち、本願発明のエアバッグ装置では、車室の側面に沿って膨張展開可能なエアバッグと、前記エアバッグに膨張用ガスを供給するインフレータと、を備えた構成となっている。
前記エアバッグは、前記インフレータからの膨張ガスが流入する少なくとも一つの主気室と、前記主気室に流入した前記膨張ガスが流入可能な複数の副気室と、に画成された構成となっている。
前記各副気室は、それぞれ第一ガス抜き孔を介して前記主気室に連通され、前記各副気室同士は、第二ガス抜き孔を介して連通されている構成となっている。そして、本願発明では、これらの各構成が有機的に結合して構成されていることを最も主要な特徴となしている。
【0022】
また、本願発明では、前記主気室を複数備え、前記複数の主気室における一つの主気室に連通した前記副気室と、同副気室とは別の副気室であって、前記複数の主気室における他の一つの主気室に連通した前記別の副気室とが、前記第二ガス抜き孔を介して相互に連通されている構成を主要な特徴となしている。
【0023】
更に、本願発明では、前記エアバッグは、複数の前記主気室を有して、車室内における前後席の側方において膨張展開する構成となっている。しかも、前記エアバッグは、前席の側方に位置して展開する第1主気室と後席の側方に位置して展開する第2主気室とを少なくとも備えている構成となっている。
そして、前記第1主気室と前記第2主気室とは、直列の連通状態に配設されるように構成されており、そのため、前記第1主気室と前記第2主気室との間に、前記第1主気室に連通した前記副気室と前記第2主気室に連通した前記副気室とが配設されている。しかも、前記第1主気室に連通した前記副気室と前記第2主気室に連通した前記副気室とは、前記第二ガス抜き孔を介して連通されている構成を主要な特徴となしている。
【0024】
更にまた、本願発明では、少なくとも一つの前記第二ガス抜き孔には、一方の副気室から他方の副気室への膨張ガスの流出を許容し、他方の副気室から一方の副気室への膨張ガスの流入を抑制するガス流調整手段が設けられていることを主要な特徴となしている。
【発明の効果】
【0025】
本願発明に係わるエアバッグ装置では、複数の各副気室は、それぞれ第一ガス抜き孔を介して主気室に連通した構成となっており、しかも、各副気室同士は、互いに第二ガス抜き孔を介して連通している構成となっている。このように構成されているので、主気室内の膨張ガスは、同主気室に連通している副気室内に流出することができる。しかも、副気室内に流出した膨張ガスは、第二ガス抜き孔を介して連通している他の副気室内に流入することができる。
【0026】
そして、エアバッグ内に構成される主気室の数としては、一つ以上の適宜の数として構成しておくことができる。また、一つの主気室に連通する副気室としては、一つ以上の適宜の数の副気室を連通させておくことができる。
【0027】
本願発明はこのように構成することができるので、例えば、一つの主気室に複数の副気室を連通させ、各副気室同士を更に第二ガス抜き孔を介して連通させた構成としておくことができる。このように構成したときには、被保護物が当接した一つの主気室での当接部位に対応して、一つの主気室に連通している各副気室のそれぞれの第一ガス抜き孔での圧力は、当接部位から各第一ガス抜き孔までの距離によって動的に異なる圧力となる。
【0028】
そして、各第一ガス抜き孔において発生する異なる圧力によって、それぞれの第一ガス抜き孔に連通した各副気室内に流入する膨張ガスの流入量が異なることになる。
しかし、例えば、一つの主気室に二つの副気室を連通させた構成とした場合には、この二つの副気室同士を、第二ガス抜き孔を介して連通させておくことができる。そして、この二つの副気室のうちで、一方の副気室の内圧が他方の副気室の内圧よりも高くなったとしても、両副気室間を連通させている第二ガス抜き孔を介して、両副気室間では膨張ガスのやり取りが行われることになる。
【0029】
このように、一方の副気室の内圧が他方の副気室の内圧よりも高くなったアンバランス状態が、そのまま維持されることはなく、被保護物が当接した一つの主気室内での圧力ピークの発生を、一つの主気室に接続した複数の副気室によって、マイルドな特性にて抑制することができる。
【0030】
副気室の内圧が高いとか低いとかと記載したが、低いとした副気室内においても、既に内圧がいくらか掛かっている状態となっている。このため本願発明では、上述した特許文献1に記載された発明のように、殆んどあるいは全く内圧が掛かっていない状態の副気室に膨張ガスを流入させる場合よりも、主気室における圧力降下としては極端な圧力降下を起こさないことになる。
【0031】
また、主気室における圧力降下が少なくなるようにするため、副気室の容積を小さく構成しておくと、膨張ガスの流入で直ぐに副気室内が一杯になってしまう。このため、副気室内では、急激な圧力上昇を招いてしまうことになり、主気室内での圧力を所望の圧力となるまで降下させることができなくなる。
【0032】
本願発明では、副気室を幾らかの内圧を持った状態で、しかも大きな容積を有するものとして構成しておくことができるので、主気室から流入した膨張ガスが副気室内で直ぐに一杯となってしまうことも、副気室内での急激な圧力上昇を生じることもない。特に、一つの副気室は第二ガス抜き孔を介して他の副気室と連通しているので、一つの副気室内での急激な圧力上昇は、第二ガス抜き孔を介して連通している他の副気室によって抑制することができる。
【0033】
このように、比較的高い方の副気室の内圧が急速かつ劇的に上昇することが防止される。しかも、本願発明では、被保護物が主気室に当接したときに生じる圧力上昇を、マイルドな特性にて抑制することができる。
【0034】
また、本願発明に係わるエアバッグ装置では、主気室を複数備えた構成とし、一つの主気室に連通した副気室と、同副気室とは別の副気室であって、他の一つの主気室に連通した別の副気室とを、第二ガス抜き孔を介して相互に連通した構成としておくことができる。
【0035】
このように構成した場合でも、一つの主気室に複数の副気室を連通させ、各副気室同士を更に第二ガス抜き孔を介して連通させた構成とした場合において奏することのできる上述したメカニズムと同様のメカニズムを奏することができる。
【0036】
即ち、一つの主気室に複数の副気室を連通させている構成にあっては、一つの主気室に接続している複数の第一ガス抜き孔のそれぞれの近傍において、それぞれ異なる動的な圧力分布を生じることになる。これによって、各副気室内において、それぞれの内圧に差が生じることになる。同様に、例えば、2つの主気室にそれぞれ別の副気室を備えた構成とした場合であっても、2つの主気室間に圧力差を生じることがある。
【0037】
例えば、各主気室に対して供給する膨張ガスを、それぞれどのように供給するのかによって、各主気室間に圧力差が生じることになる。あるいは、各主気室に対してそれぞれ別個のインフレータ(マルチインフレータ)を連通させた構成としたり、又は一つの筐体内に組み込んだ複数のインフレータユニットを、各主気室にそれぞれ連通させた構成とした場合にも、各主気室間に圧力差を生じることがある。
【0038】
また、例えば、各主気室におけるそれぞれのピーク圧の値、ピーク圧までの到達時間、ピーク圧に到達するまでの上昇カーブなどが異なり、各主気室を膨張作動させたときに、これらの各主気室間における時系列的な圧力差、最終到達圧力差が発生した場合でも、各主気室間に圧力差が生じることになる。
【0039】
また、2つの主気室のうちで一方の主気室には被保護物が当接し、他方の主気室には被保護物が当接しなかった場合でも、2つの主気室間において圧力差が生じることになる。このようなとき、被保護物が当接しなかった主気室には、被保護物が当接した主気室から膨張ガスの一部が流入する。しかしながら、被保護物が当接した主気室から流入した膨張ガスによって被保護物が当接しなかった主気室の内圧は上昇するが、被保護物が当接したときのようには内圧の上昇は起きない。
【0040】
また、この構成の場合には、被保護物が当接しなかった主気室に連通している副気室には、被保護物が当接した主気室から流出する膨張ガスのうちで僅かな量の膨張ガスが、被保護物が当接しなかった主気室を介して流入することになるので、所謂バイアス圧を有する状態になっている。
【0041】
被保護物が当接した主気室に連通している副気室は、主気室から直接流出する膨張ガスによって、その内圧が上昇する。被保護物が当接しなかった主気室に連通している副気室がバイアス圧状態となっていたとしても、被保護物が当接した主気室に連通している副気室内での内圧が高くなるので、主気室から直接副気室に流入した膨張ガスの一部は、第二ガス抜き孔を介して、被保護物が当接しなかった主気室に連通している副気室内に流入することになる。
【0042】
そして、被保護物が当接した主気室に直接連通している副気室と、同副気室に第二ガス抜き孔を介して連通している副気室とによって構成される比較的大容量の副気室によって、被保護物が当接した主気室における圧力降下を穏やかに行わせることができる。しかも、被保護物が当接した主気室におけるピーク圧の急激な上昇を抑制することができる。
【0043】
このように、二つの主気室における内圧が異なった内圧となった場合でも、主気室に当接した被保護物に対する反作用として、被保護物をリバウンドさせることを防止できる。また、被保護物が当接した主気室における内圧が著しく低下してしまい、エアバッグの厚み、即ち、衝撃吸収ストロークが不足してしまうことも防止しておくことができる。
【0044】
このように、本発明では、エアバッグによる被保護物に対しての適切な保護を行うことが可能になる。しかも、主気室に当接した被保護物に対して適切な反作用を与えることができ、しかも、当接してきた被保護物に対するエアバッグによる拘束特性を調節することが可能になる。
【0045】
更に、本願発明に係わるエアバッグ装置では、サイドカーテンエアバッグに好適な主気室と副気室との配置関係を構成することができる。そして、副気室にはバイアス圧を掛けることができ、側突における乗員の頭部に対する保護特性を向上させることができる。
【0046】
更にまた、本願発明に係わるエアバッグ装置では、少なくとも一つの第二ガス抜き孔には、一方の副気室から他方の副気室への膨張ガスの流出を許容し、他方の副気室から一方の副気室への膨張ガスの流入を抑制するガス流調整手段を設けておくことができる。
【0047】
このように構成しておくことにより、ガス流調整手段を介して連通した一方の副気室を主の副気室として機能させ、他方の副気室を副次の副気室として機能させることができる。そして、副次の副気室から膨張ガスが逆流するのを抑制しておくことができるので、主の副気室における内圧の再上昇を防止することができる。そして、主の副気室における内圧の再上昇に伴って主の副気室に連通している主気室での内圧が、再上昇してしまうことや、主の副気室との連通部である第一ガス抜き孔付近において、局所的な圧力再上昇が生じてしまうことを防止することができる。
【0048】
本発明では、このように構成することができるので、ピーク圧力を調節する主な調整対象として、主気室におけるどの部分を選択するか又は複数の主気室の中から何れかの主気室を選択するか、が可能となっている。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】サイドカーテンエアバッグ装置を車内に取り付けた正面図である。(実施例)
【図2】膨張展開したエアバッグ内の概略構成図である。(実施例)
【図3】他のエアバッグ内の概略構成図である。(実施例)
【図4】別のエアバッグ内の概略構成図である。(実施例)
【図5】ガス流調整手段としての弁パネルの展開図及び折り畳み図である。(実施例)
【図6】メイン基布パネルと他のガス流調整手段との組み立て前の状態を示す要部平面 図である。(実施例)
【図7】弁パネルの作動状態を示す状態図である。(実施例)
【図8】他のガス流調整手段としての弁パネルの作動状態を示す状態図である。(実施 例)
【図9】別のガス流調整手段としての弁パネルとメイン基布パネルとの組み立て状態及 び作動状態を示す要部平面図である。(実施例)
【図10】頭部保護エアバッグ装置の正面図である。(従来例1)
【図11】ガスバッグの膨張状態を示す車内の部分的な内側面図である。(従来例2)
【発明を実施するための形態】
【0050】
本発明の好適な実施の形態について、添付図面に基づいて以下において具体的に説明する。本願発明に係わるエアバッグ装置としては、以下においてサイドカーテンエアバッグを例に挙げて説明を行うが、本願発明に係わるエアバッグ装置としては、サイドカーテンエアバッグに限定されるものではなく、例えば、後席用エアバッグ、フロントカーテンエアバッグ、室外用エアバッグなどに対しても好適に適用することができる。
【0051】
このため、以下では図1〜図9を用いて、本願発明に係わるエアバッグ装置の構成について説明を行うが、本発明は、以下に説明する実施例に限定されるものではなく、多様な変更が可能である。
【実施例1】
【0052】
図1に示すように、エアバッグ装置8は、エアバッグ1(図2参照。)を収納したカバー部材9と、膨張用ガスを発生するインフレータ6と、インフレータ6をエアバッグ1に接続するガス導入管7とを備えた構成となっている。カバー部材9は、取付部36を介してルーフサイドレール部Rに取付けておくことができる。
【0053】
車両に対する側面衝突事故やロールオーバ等の事故の発生が検知されると、あるいはこれらの事故の発生が予測されると、エアバッグ装置8のインフレータ6から噴射されたガスがエアバッグ1内に流入して、エアバッグ1が膨張展開する。
【0054】
エアバッグ1の膨張展開に伴って、カバー部材9の下端部側を車室内側上方に押し開き、押し開かれた開口を通ってエアバッグ1は、下方へ向ってカーテン状に展開する。膨張展開したエアバッグ1によって、前席側サイドウィンドガラス29aと後席側サイドウィンドガラス29bとを覆い、輪乗員の頭部を保護することができる。エアバッグ1が膨張展開した状態におけるエアバッグ1の断面形状は、図2に示している。
【0055】
エアバッグ1は、例えば315デニールのナイロン66糸を用いた目付200g/m2の二枚のメイン基布パネル10を重ね合わせ、重ね合わせたメイン基布パネル10の外周2を接合部3により接合して構成することができる。
【0056】
尚、エアバッグ1の形態、材質や構造及びインフレータ6の形態や構造などは従来と格別に変わるところはない。従って、本発明は以下で説明する実施形態に限定されるものではない。
【0057】
図2に示すように、接合部3で囲まれたエアバッグ1の内部4において、対向するメイン基布パネル10,10同士を内部接合部5により直接縫合することで、前主気室11、後主気室12、前主気室11と第一ガス抜き孔18aを介して連通した前副気室13、後主気室12と第一ガス抜き孔18bを介して連通した後副気室14、インフレータ6に接続したガス導入管7が接続するガス導入口17、ガス導入口17と前主気室11及び後主気室12を連通する連通路15が形成されている。
【0058】
略直線状をなす第一ステッチ5aによって、膨張したときの前主気室11の厚みを規制し、逆U字状をなす第二ステッチ5bで連通路15と主気室11、12と副気室13、14との間を画成している。また、副気室13と副気室14との間は、第三ステッチ5cによって仕切られており、第三ステッチ5c部には、副気室13と副気室14とを連通させる第二ガス抜き孔20が形成されている。
【0059】
第二ガス抜き孔20の構成としては、副気室13と副気室14とを連通させる孔として構成しておくことも、図5〜図9を用いて後述するように一方の副気室から他方の副気室に対してガス流の流通を可能とし、他方の副気室から一方の副気室への逆流を抑制するガス流調整手段を設けておくこともできる。
【0060】
以下における実施例1の説明では、第二ガス抜き孔20としては、副気室13と副気室14とを連通させる孔として形成されている構成について説明を行う。
【0061】
第一ステッチ5aの上下両端末、第二ステッチ5bの前後両端末には、円形のステッチである端末保護サークル5dが設けられている。端末保護サークル5dを設けておくことによって、膨張時のメイン基布パネル10,10における伸びの確保と皺の発生の防止並びに応力集中に対して十分な強度を得ることができる。
【0062】
尚、必要に応じて、メイン基布パネル10,10の表面にはゴムコーティング、シリコン系樹脂のコーティング等を施して、通気性を低下させ、あるいは不通気状態となるように構成しておくこともできる。また、メイン基布パネル10,10の構成材料として、ナイロン66に代えてナイロン6、ポリエステルの織布を利用することもできる。
【0063】
このように、エアバッグは、基布パネルの縫合により内部が区画された袋体として構成することもできる。また、接合部3と内部接合部5とを組み合わせて、縫製糸目孔からのガス漏れを防止する目止め処理として、シール剤を用いることもできる。更には、エアバッグは、基布パネルを縫合させて構成する他に、ドビー織、ジャガード織などの袋織によって、内部が区画された袋体として構成しておくこともできる。このようにして袋織して製袋したエアバッグの一部に、縫合を施して構成しておくこともできる。
【0064】
本願発明ではこのようにして構成したエアバッグにおいて、図2に示すように、第一ガス抜き孔18aを介して前主気室11に連通している前副気室13と、第一ガス抜き孔18bを介して後主気室12に連通している後副気室14とは、第二ガス抜き孔20を介して相互に連通した構成となっている。
【0065】
本願発明におけるエアバッグ1の構成としては、一つの主気室に複数の副気室を連通させ、第二ガス抜き孔を介して各副気室同士を連通させた構成としておくこともできる。この構成例として、図3には、前主気室11にそれぞれ第一ガス抜き孔22a、22bを介して二つの副気室21a,21bを連通させた構成を示している。図3に示した構成では、二つの副気室21a,21bは、第二ガス抜き孔24aを介して相互に連通した構成となっている。
【0066】
図3で示す構成以外にも、例えば、図4で示すような構成としておくこともできる。図4で示した構成では、前主気室11に二つの副気室21a,21bがそれぞれ第一ガス抜き孔22a,22bを介して連通しており、二つの副気室21a,21b同士は、第二ガス抜き孔24aを介して相互に連通している。また、後主気室12には、第一ガス抜き孔22cを介して副気室23が連通しており、前主気室11に連通した二つの副気室21a,21bは、それぞれ第二ガス抜き孔24b,24cを介して後主気室12に連通した副気室23と連通している。
【0067】
このように、主気室の一つをメインの主気室として構成しておき、メインの主気室には複数の副気室を連通させた構成としておくこともできる。図3、図4では、メインの主気室とした前主気室11に二つの副気室21a,21bを連通させ、二つの副気室21a,21b同士が第二ガス抜き孔24aを介して相互に連通した構成を示している。また、メインの主気室に連通した副気室の数としては、二つの副気室に限定されるものではなく、二以上の副気室がメインの主気室に連通した構成としておくこともできる。この場合においても、メインの主気室に連通した複数の各副気室は、少なくとも他の一つの副気室と第二ガス抜き孔を介して連通させた構成としておくことが必要である。
【0068】
車両に対する側面衝突事故やロールオーバ等の事故の発生時に展開したエアバッグ1の前主気室11に、前席に着座していた乗員の頭部が当接して、前主気室11の内圧が上昇した場合を例に挙げて、本願発明のエアバッグ1の作用について、図2を用いて説明する。
【0069】
前主気室11に乗員の頭部が当接する前では、連通路15におけるガス分配特性とインフレータ6から噴射された膨張ガスの直進性などにより、前後主気室11,12におけるそれぞれの内圧に幾らかの差が生じることはあるが、前後主気室11,12に流入した膨張ガスの一部は、それぞれ第一ガス抜き孔18a,18bを介して副気室13,14に流入することになる。
【0070】
第一ガス抜き孔18a,18bは、狭められたガス通路として形成されており、一種の絞りとしての作用を奏することになる。そして、前後主気室11,12を膨張させた膨張ガスの一部は、第一ガス抜き孔18a,18bを通って副気室13,14にそれぞれ流入することになり、副気室13,14内の圧力もバイアス圧が掛かった状態となっている。
【0071】
前主気室11が乗員の頭部に押されて衝撃を受けると、前主気室11の内圧は上昇するが、後主気室12には乗員の頭部が当接しないので、後主気室12における内圧は、前主気室11における内圧ほど高くならない。そのため、前主気室11に連通した前副気室13には、前主気室11からの膨張ガスが多量に流れ込み、前主気室11における圧力ピークを抑制することができる。
【0072】
後副気室14には後主気室12からの膨張ガスが流入してバイアス圧が掛かった状態にはなってはいるものの、前副気室13に比べると著しく内圧が低い状態となっている。そのため、前主気室11からの膨張ガスの流入によって内圧が上昇した前副気室13から、後副気室14に対して膨張ガスが流出することになる。その結果、前副気室13の内圧を下げ、前主気室11の内圧を下げることができる。
【0073】
そして、前副気室13と後副気室14とは、ほぼ内圧が等しい状態に達することになる。前副気室13と後副気室14との内圧がほぼ等しい状態に達するまでのプロセスにおいて、膨張ガスの量的な移動を大きくすることができる。しかも、前主気室11及び前後副気室13,14における内圧の変動は、穏やかなものにしておくことができる。
このように構成することができるので、前主気室11に当接した乗員の頭部に対する反力特性としては、急峻な特性を示すことがなく、マイルドなものにしておくことができる。
【0074】
上記の説明では、前主気室11だけに乗員の頭部が当接して、前主気室11だけが衝撃を受けた場合について説明を行ったが、後主気室12だけが乗員の頭部に押されて衝撃を受けた場合には、上述した説明において前主気室11及び前副気室13をそれぞれ後主気室12及び後副気室14として読み直すことで、このときのエアバッグにおける作用を説明することができる。
【0075】
また、前主気室11及び後主気室12にそれぞれ乗員の頭部が当接した場合には、前主気室11からは第一ガス抜き孔18aを介して前副気室13に膨張ガスが流出し、後主気室12からは第一ガス抜き孔18bを介して後副気室14に膨張ガスが流出することになる。このとき、前副気室13内の内圧と後副気室14内の内圧との間に圧力差が生じたときには、この圧力差を解消するように、第二ガス抜き孔20を介して膨張ガスが一方の副気室から他方の副気室に流れることになる。
【0076】
そして、前主気室11及び後主気室12にそれぞれ乗員の頭部が当接したことに伴って発生する前主気室11及び後主気室12における圧力上昇を、前主気室11と後主気室12と前副気室13と後副気室14との4つの気室の容量によって吸収することができる。しかも、このときにおいても、前副気室13と後副気室14とにおける内圧をそれぞれ略等しい内圧状態にすることができる。このように、前主気室11及び後主気室12にそれぞれ乗員の頭部が当接した場合であっても、マイルドな状態で前主気室11及び後主気室12における圧力ピークを抑えておくことができる。
【0077】
図3に示したエアバッグは、サイドカーテンエアバッグにおける他の実施例であって、前主気室11における前側の下方に第一ガス抜き孔22aを介して副気室22aを連通させ、同じく上方に第一ガス抜き孔22bを介して副気室22bを連通させた構成となっている。乗員の頭部が前主気室11に当接したときには、各第一ガス抜き孔22a,22bを通ってそれぞれ副気室22a,22b内に、前主気室11からの膨張ガスが流入することになる。そして、流入した膨張ガスによって副気室22aと副気室22bとの間に圧力差が生じたときには、高圧側の副気室から低圧側の副気室に、第二ガス抜き孔24aを介して膨張ガスが流出することになる。
【0078】
乗員の頭部が当接したことに伴って前主気室11内での圧力上昇は、副気室22a及び副気室22bによって吸収することができ、前主気室11内でのピーク圧を抑制することができる。このように、それぞれ第一ガス抜き孔を介して一つの主気室に複数の副気室を連通させ、第二ガス抜き孔を介して各副気室同士を連通させるように構成しておくことができる。
【0079】
図4に示したエアバッグは、サイドカーテンエアバッグにおける別の実施例であって、前主気室11における前側の下方に第一ガス抜き孔22aを介して副気室22aを連通させ、同じく上方に第一ガス抜き孔22bを介して副気室22bを連通させた構成となっている。また、後主気室12には、第一ガス抜き孔22cを介して副気室23が連通されており、副気室23には、前主気室11に連通した副気室22aと副気室22bとが、それぞれ第二ガス抜き孔24b,24cを介して連通した構成となっている。
【0080】
乗員の頭部が前主気室11に当接したときには、各第一ガス抜き孔22a,22bを通ってそれぞれ副気室22a,22b内に、前主気室11からの膨張ガスが流入することになる。そして、流入した膨張ガスによって副気室22a及び副気室22bと副気室23との間に生じた圧力差によって、高圧側の副気室22a及び副気室22bから低圧側の副気室23に膨張ガスが流出することになる。
【0081】
また、副気室22aと副気室22bと副気室23との間に圧力差が存在しているときには、高圧側の副気室から低圧側の副気室に、第二ガス抜き孔を介して膨張ガスが流出することで各副気室22a,22b,23間におけるそれぞれの内圧がほぼ等しい状態に達することになる。
【0082】
このようにして、乗員の頭部が当接したことに伴って前主気室11内での圧力上昇は、副気室22a、副気室22b及び副気室23によって吸収することができ、前主気室11内でのピーク圧を抑制することができる。
【0083】
図4に示したエアバッグの場合においても、図2に示したエアバッグの説明において説明したと同様に、後主気室12だけが乗員の頭部に押されて衝撃を受けた場合や前主気室11及び後主気室12にそれぞれ乗員の頭部に押されて衝撃を受けた場合においても、本願発明のエアバッグは有効に機能することになる。
【実施例2】
【0084】
次に、図5〜図9を参照して、第二ガス抜き孔に配設するガス流調整手段の構造について、ガス流調整手段として弁パネルの構造を例に挙げて、その幾つかの構造について説明する。以下では、ガス流調整手段として、弁パネルの構造について説明を行うが、ガス流調整手段としては以下で説明する弁パネルの構造に限定されるものではなく、一方の副気室から他方の副気室への膨張ガスの流出を許容し、他方の副気室から一方の副気室への膨張ガスの流入を抑制する構造であれは、他の構造をガス流調整手段として用いることができるものである。
【0085】
最初に、図5〜図7を用いて、弁パネル32の構造及びその作用について説明する。
弁パネル32は、折り畳まれたエアバッグ1とともに容易に折り込むことができるようにするため、また、可撓性と軽量化とを目的として、基布によって構成した弁パネル32を用いている。図5(a)には、基布状態の弁パネル32の展開図を示しており、図5(b)には、基布状態の弁パネル32を折れ線32dに沿って折り曲げた状態を示している。
【0086】
基布状態の弁パネル32の中央には、開口部33が形成されており、折り曲げて重ね合わせた自由端部32c側の部位及び開口部33の周縁側から側縁部32bに掛けての斜めの部位は、縫製によって縫い合わされている。縫い合わせた縫製部を符号34で示している。基布状態の弁パネル32を折り曲げて、縫製部34で縫い合わせることにより、中央に開口部33を有して、両端部側が狭められた状態で開放された閉ループ状の筒状体を構成することができる。
【0087】
このようにして構成された閉ループ状の弁パネル32を膨らませて筒状体にすると、図7(a)に示すような形状にすることができる。図6(a)、(b)に示すように、一対のメイン基布パネル10,10の外周側に設けた接合部3と第二ステッチ5bとを接続するとともに、前副気室13と後副気室14とを画成する第三ステッチ5cに、それぞれシール25を設けておく。一対のメイン基布パネル10,10のそれぞれに設けた各シール25は、エアバッグ1を構成するために一対のメイン基布パネル10,10を重ね合わせたときには、シール25同士が重なるように配設しておく。
【0088】
図6(a)では、一方のメイン基布パネル10における内面側を示しており、図6(b)では、他方のメイン基布パネル10における外表面側を示している。そのため、図6(a)では、一方のメイン基布パネル10にシール25を設けた状態が示されており、図6(b)では、他方のメイン基布パネル10における裏面側にシール25が設けられている状態を示している。
【0089】
図6(a)に示すように、一方のメイン基布パネル10上に折り畳んだ状態の弁パネル32を載置する。このとき、開口部33を形成した底部32a寄りの部位が、前副気室13を向くようにして、一方のメイン基布パネル10のシール25上に重なり、シール25によって開口部33の周辺が囲まれるように弁パネル32を位置させる。そして、自由端部32c側が、後副気室14側を向くように弁パネル32を一方のメイン基布パネル10上に載置する。そして、図6(b)に示す他方のメイン基布パネル10を、図6(a)に示す一方のメイン基布パネル10及び弁パネル32上に重ね合わせた後に、既存の方法によってエアバッグ1を製造する。
このように製造することによって、前副気室13と後副気室14とを連通させる第二ガス抜き孔に弁パネル32を配設することができる。
【0090】
次に、弁パネル32の作用について、図7(a)、(b)を用いて説明する。図7(a)、(b)では、図に向かって弁パネル32の右側の領域が、前副気室13側であり、左側の領域が後副気室14側である。エアバッグが膨張展開した後に乗員の頭部が、前主気室11に当接すると、前主気室11内の内圧が高まり、前主気室11から膨張ガスの一部が前副気室13内に流入する。
【0091】
膨張ガスの流入によって前副気室13内の圧力が上昇すると、後副気室14との圧力差を解消するため、前副気室13内の膨張ガスが、弁パネル32の開口部33から流入して弁パネル32を膨らませながら、環状形状となった側縁部32bから後副気室14内に流出することになる。
【0092】
このとき、膨張ガスによって弁パネル32が膨らむのに連動して、開口部33の周囲はシール25を介して一対のメイン基布パネル10,10によって引っ張られ、開口部33の形状が維持されることになる。従って、開口部33からの膨張ガスの流入を妨げることがなく、後副主気室14内に膨張ガスを流出させることができる。
【0093】
尚、図6(a)、(b)において、シール25が直線的に配設されずに、中央部が屈曲して形成されているのは、開口部33から流入した膨張ガスによって弁パネル32が膨らんだときに、一対のメイン基布パネル10,10と弁パネル32との接着状態が外れないようにするためである。
【0094】
膨張ガスの流入によって後副気室14における内圧が、前副気室13における内圧よりも高くなると、後副気室14内の膨張ガスは、弁パネル32を通って前副気室13内に逆流しようとする。このとき、弁パネル32の自由端部32cは、前副気室13内に流入しようとする膨張ガスに押圧されて、図7(b)に示すように押し潰されることになる。
【0095】
そして、押し潰された自由端部32c側によって、開口部33が塞がれることになる。開口部33が自由端部32c側によって塞がれることで、弁パネル32としては、後副気室14内の膨張ガスが前副気室13内に逆流するのを規制することができる。
【0096】
このように弁パネル32が作動するので、前副気室13を主の副気室として機能させ、後副気室14を副次の副気室として機能させることができる。そして、副次の副気室である後副気室14から膨張ガスが逆流するのを抑制しておくことができるので、主の副気室である前副気室13における内圧の再上昇を防止することができる。そして、前副気室13における内圧の再上昇に伴って前副気室13に連通している前主気室11での内圧が、再上昇してしまうことや、前副気室13との連通部である第一ガス抜き孔18a付近において、局所的な圧力再上昇が生じてしまうことを防止することができる。
【0097】
図8には、弁パネル32’の変形例を示している。図8で示した弁パネル32’では、前副気室13と後副気室14との間が、閉止パネル37によって塞がれている構成となっている。閉止パネル37には開口部37aが形成されており、閉止パネル37の開口部37aと重なるように弁パネル32’の開口部33’が配設されている。閉止パネル37の全周縁部は、図示せぬメイン基布パネル10の内面に、適宜の方法で接合されている。
【0098】
そして、弁パネル32’の開口部33’の外周部近傍において、閉止パネル37と弁パネル32’とが縫製部34’において縫い合わされている。また、弁パネル32’の自由端部32c’の近傍も、縫製部34’において縫い合わされている。
【0099】
このように構成されているので、弁パネル32’の開口部33’の形状は、展開した閉止パネル37によって保持されることになる。そして、図8(a)における閉止パネル37の右側の領域から流入する膨張ガスは、開口部33’を通って側縁部32b’が形成する開口から閉止パネル37の左側の領域に流入することができる。
【0100】
また、閉止パネル37の左側の領域から閉止パネル37の右側の領域に流出しようとする膨張ガスによって、弁パネル32’の自由端部32c’は押し潰されることになる。そして、押し潰された自由端部32c’によって、開口部33’及び開口部37aが閉塞されることになる。弁パネル32’の開口部33’側を上述した主の副気室側に配設し、自由端部32c’側を副次の副気室側となるように構成しておくことができる。
【0101】
図9には、弁パネル32’の別の変形例を示している。図9で示した弁パネル27は、より簡易に弁パネルを構成することができる構成例となっている。弁パネル27には、図7、図8で示した弁パネル32,32’のように開口部33,33’を設けずに、第二ガス抜き孔20にV字状に折った弁パネル27を第二ガス抜き孔20に設けた構成となっている。
【0102】
一方のメイン基布パネル10に、V字状に折った弁パネル27の一端側における底部27aの開放端を接着部26によって接合し、V字状に折った弁パネル27の他端側における開放端は、他方のメイン基布パネル10に対して非接着状態となっている。即ち、図9(b)、(c)に示すように、V字状に折った弁パネル27の一端側における底部27aの開放端が一方のメイン基布パネル10に取り付けられ、他端側における開放端が自由端となるように構成されている。また、V字状に折って折り重なった側端同士は、広がらないように一対のメイン基布パネル10間で固定されている。
【0103】
このように構成されているので、前副気室13における内圧が後副気室14における内圧よりも高くなったときには、図9(b)に示すように、弁パネル27の自由端側とメイン基布パネル10との間に形成される通路を通って、膨張ガスが前副気室13から後副気室14内に流出することができる。
【0104】
逆に、後副気室14における内圧が前副気室13における内圧よりも高くなったときには、図9(c)に示すように、弁パネル27の自由端側とメイン基布パネル10との間に形成されていた通路が、V字状に折った弁パネル27が膨らむことによって閉じられ、後副気室14から前副気室13への膨張ガスの逆流が抑制されることになる。
【0105】
このように、主の副気室と副次の副気室との間に、ガス流調整手段を設けておくことにより、複数の副気室による主気室に対する圧力調整を良好に行わせることができる。
【0106】
本発明では、図2〜図4を用いて説明したように、第二ガス抜き孔にガス流調整手段を設けずに、副気室相互間における膨張ガスのやり取りに規制を設けないように構成しておくこともできる。また、副気室相互間における膨張ガスのやり取りに規制を設けないように構成する場合であっても、第二ガス抜き孔とした孔の径を調整することで、副気室間を流れるガス流の流量調整を行わせることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0107】
本願発明の技術思想を他のエアバッグの構成においても適用することができる。
【符号の説明】
【0108】
1・・・エアバッグ、3・・・接合部、6・・・インフレータ、8・・・サイドカーテンエアバッグ装置、10・・・メイン基布パネル、11・・・前主気室、12・・・後主気室、13・・・前副気室、14・・・後副気室、18a、18b・・・第一ガス抜き孔、20・・・第二ガス抜き孔、21a、21b・・・副気室、22a、22b・・・第一ガス抜き孔、23・・・副気室、24a、24b、24c・・・第二ガス抜き孔、27・・・弁パネル、32、32’・・・弁パネル、33、33’・・・開口部、37・・・閉止パネル、50・・・エアバッグ、51・・・シート、52、53・・・クッション室、54,55・・・チャンバ、58・・・接着剤、60,61・・・拘束チャンバ、62a、62b、62c・・・緊張チャンバ、63a、63b、63c・・・緊張チャンバ。
【技術分野】
【0001】
本発明は、車室の側面に沿って膨張展開するエアバッグを備えたエアバッグ装置に関するものである。特に、車室の側面に沿って膨張展開するエアバッグとして用いられている、車両のサイドウィンドウを覆うサイドカーテンエアバッグ、リアウィンドウを覆う後席用エアバッグ、フロントガラスの上方におけるフロントルーフエンド部からフロントガラスを覆うフロントカーテンエアバッグ、ボンネットフードの後端におけるカウル部からフロントガラスの外面を覆う室外用エアバッグなどを備えたエアバッグ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年においては、車両に対する追突事故やロールオーバ等の事故において、乗員や歩行者の頭部を保護する目的で、車室の側面に沿って膨張展開するエアバッグを設けた自動車が、数多く使用されている。この種のエアバッグ装置としては、サイドカーテンエアバッグ、後席用エアバッグ、フロントカーテンエアバッグ、室外用エアバッグなどが用いられている。
【0003】
車両に対する追突事故やロールオーバ等の事故の発生が検知されると、あるいはこれらの事故の発生が予測されると、エアバッグ装置のインフレータから噴射されたガスがエアバッグ内に流入して、エアバッグを膨張展開させる。このとき、例えば、サイドカーテンエアバッグを例に挙げて説明すると、カーテンエアバッグの膨張展開に伴って、ルーフサイドガーニッシュの下端部側(ルーフサイドガーニッシュの扉部側)を車室内側上方に押し開き、押し開かれた開口を通ってカーテンエアバッグは、下方へ向ってカーテン状に展開する。膨張展開したカーテンエアバッグによって、乗員の頭部を保護することができる。
【0004】
乗員や歩行者の頭部などを保護するために用いられるエアバッグ装置は、乗員や歩行者の頭部をエアバッグで受け止めたときに、エアバッグは適当な内圧になっており、またある時間、内部の気体が抜けきらずに維持できるものが、衝突や横転に対して、より好ましい保護性能を発揮する、とされている。
【0005】
このように構成されたエアバッグ装置としては、頭部保護エアバッグ装置(例えば、特許文献1参照)やサイドガスバッグ拘束装置(例えば、特許文献2参照)などが提案されている。特許文献1に記載された頭部保護エアバッグ装置を、本願発明における従来例1として図10は、その正面図を示している。
【0006】
自動車が側面衝突したり横転したりすると、図10に示すように、ダクト57に接続した図示せぬインフレータが作動して、エアバッグ50の各クッション室52,53内にガスが供給され、エアバッグ50が膨張展開する。エアバッグ50は、カーテン状に下方へ広がり、自動車の乗員と車室側面との間に膨張しながら展開する。膨張したクッション室52又はクッション室53において乗員の頭部を受け止めた際には、その頭部からの荷重によってそれぞれのクッション室52,53の内圧が増大することになる。
【0007】
そして、クッション室52,53の内圧が所定圧以上に増大した場合には、クッション室52とチャンバ54及びクッション室53とチャンバ55の連通を遮断している接着剤58が剥がれる構成となっている。接着剤58が剥がされることによって、クッション室52とチャンバ54又はクッション室53とチャンバ55とが連通する。これによって、クッション室52又はクッション室53の容積を増大させることができ、クッション室52又はクッション室53の内圧上昇を抑制して調整することができる。
【0008】
一対のシート51,51同士は、接着剤58で接合されている構成となっている。そのため、接着剤58が剥がされる前の状態では、クッション室52とチャンバ54及びクッション室53とチャンバ55とは、それぞれ連通が遮断されている状態となっている。
【0009】
このように、一対のシート51,51同士を接合させている接着剤58が剥がされることによって、クッション室52,53内のガスは、それぞれチャンバ54,55内に流出することができる。そして、例えば、乗員の頭部によってクッション室52が押されたときには、クッション室52内に入っていたガスがチャンバ54内に流入して、クッション室52の内圧を調整することができる。
【0010】
また、特許文献2に記載されたサイドガスバッグ拘束装置を、本願発明における従来例2として図11には、サイドガスバッグ拘束装置を内蔵する車の部分的な内側図を示している。図11に示すように、搭乗者65a,65bの頭部を拘束する拘束チャンバ60,61には、緊張チャンバ62a,62b,62cと、緊張チャンバ63a,63b,63cとが、それぞれこの順番で直列に接続されている。
【0011】
これらの各緊張チャンバは、くびれ部分を介して順次連通しており、拘束チャンバ60,61における膨張ガスを、直列状に連通している緊張チャンバ62a,62b,62c 内又は緊張チャンバ63a,63b,63c 内に順次流出させることができる。そして、搭乗者65a,65b の頭部によって拘束チャンバ60又は拘束チャンバ61が押圧されたときには、緊張チャンバ62a,62b,62c 又は緊張チャンバ63a,63b,63c によって、拘束チャンバ60又は拘束チャンバ61に生じる圧力ピークを抑制することができる。この圧力ピークの抑制調整は、緊張チャンバ62a,62b,62c 又は緊張チャンバ63a,63b,63c が順次膨張することによって行われるシーケンシャルな抑制調整となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2003−320920号公報(段落0035〜0037、図1〜図6)
【特許文献2】特開2000−326816号公報(段落0017〜0019、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
特許文献1に記載された発明では、チャンバ54,55を設けることによってクッション室52,53の内圧を調整することができる構成となっている。しかし、クッション室52,53に対する内圧調整は、それぞれチャンバ54,55に膨張ガスを流出させるだけの1段だけで行われる内圧調整となっている。このため、クッション室52,53における内圧調整は、大きな変動幅を持って行われることになり、クッション室52,53における内圧調整をソフトに調整することはできない。
【0014】
特許文献2に記載された発明では、拘束チャンバ60,61にはそれぞれ直列に連通した緊張チャンバ62a,62b,62c 又は緊張チャンバ63a,63b,63cが設けられている。このため、拘束チャンバ60,61における内圧調整は、多段に亘ってソフトに調整することができる。
【0015】
しかし、拘束チャンバ60,61からの膨張ガスが、直列に連通した緊張チャンバのうちで最後尾に配した緊張チャンバ62c又は緊張チャンバ63cにまで流入して、拘束チャンバ60,61に対する内圧調整が、緊張チャンバ62c又は緊張チャンバ63cにおいて行われるようになるまでには、時間を要することになる。
このため、拘束チャンバ60,61に対する圧力調整には、時間が掛かってしまうという問題が生じる。
【0016】
また、拘束チャンバ60,61に対して最初に連通する緊張チャンバ62a又は緊張チャンバ63aの容量を大きく構成した場合には、拘束チャンバ60,61に対する圧力調整の特性としては、特許文献1に記載された発明に近い特性を示すことになる。逆に、下流側である緊張チャンバ62c又は緊張チャンバ63cの容量を大きく構成した場合には、拘束チャンバ60,61の内圧調整が、拘束チャンバ60,61から一番遠い所に配した緊張チャンバ62c又は緊張チャンバ63cによって調整されることになり、拘束チャンバ60,61を適正な内圧状態に調整して維持しておくことが難しくなる。
【0017】
また、各緊張チャンバ62a,62b,62c 間における絞り抵抗、又は各緊張チャンバ63a,63b,63c間における絞り抵抗が少なくなるように構成したときには、緊張チャンバ62a,62b,62c 間又緊張チャンバ63a,63b,63c間における膨張ガスの流出が促進されてしまうことになる。そして、結果として、拘束チャンバ60,61から膨張ガスが早く流出してしまうことになる。
【0018】
そのため、拘束チャンバ60,61における内圧低下が早く生じてしまうことになり、拘束チャンバ60,61における内圧は、ソフトに減圧しながら所定の内圧状態にまで低下することができなくなる。
【0019】
このため、拘束チャンバ60,61における内圧を所定の時間の間、適切な圧力に維持しておくことが難しくなる。この場合でも、緊張チャンバ62a,62b,62c間又は緊張チャンバ63a,63b,63cが、あたかも一つの緊張チャンバとして構成されているように作用することになるので、拘束チャンバ60,61に対する圧力調整の特性としては、特許文献1に記載された発明に近い特性を示すことになる。
【0020】
本願発明は、従来のエアバッグ装置における上述した問題点を解決することができ、エアバッグに構成した主気室のガスの流出量を抑制して、乗員や歩行者の頭部が主気室に作用したときでも、主気室内でのガス圧を維持しつつ、主気室の圧力ピークを適切に抑制することのできる副気室を主気室に連通させたエアバッグ装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本願発明の課題は、請求項1〜4に記載された各発明により達成することができる。
即ち、本願発明のエアバッグ装置では、車室の側面に沿って膨張展開可能なエアバッグと、前記エアバッグに膨張用ガスを供給するインフレータと、を備えた構成となっている。
前記エアバッグは、前記インフレータからの膨張ガスが流入する少なくとも一つの主気室と、前記主気室に流入した前記膨張ガスが流入可能な複数の副気室と、に画成された構成となっている。
前記各副気室は、それぞれ第一ガス抜き孔を介して前記主気室に連通され、前記各副気室同士は、第二ガス抜き孔を介して連通されている構成となっている。そして、本願発明では、これらの各構成が有機的に結合して構成されていることを最も主要な特徴となしている。
【0022】
また、本願発明では、前記主気室を複数備え、前記複数の主気室における一つの主気室に連通した前記副気室と、同副気室とは別の副気室であって、前記複数の主気室における他の一つの主気室に連通した前記別の副気室とが、前記第二ガス抜き孔を介して相互に連通されている構成を主要な特徴となしている。
【0023】
更に、本願発明では、前記エアバッグは、複数の前記主気室を有して、車室内における前後席の側方において膨張展開する構成となっている。しかも、前記エアバッグは、前席の側方に位置して展開する第1主気室と後席の側方に位置して展開する第2主気室とを少なくとも備えている構成となっている。
そして、前記第1主気室と前記第2主気室とは、直列の連通状態に配設されるように構成されており、そのため、前記第1主気室と前記第2主気室との間に、前記第1主気室に連通した前記副気室と前記第2主気室に連通した前記副気室とが配設されている。しかも、前記第1主気室に連通した前記副気室と前記第2主気室に連通した前記副気室とは、前記第二ガス抜き孔を介して連通されている構成を主要な特徴となしている。
【0024】
更にまた、本願発明では、少なくとも一つの前記第二ガス抜き孔には、一方の副気室から他方の副気室への膨張ガスの流出を許容し、他方の副気室から一方の副気室への膨張ガスの流入を抑制するガス流調整手段が設けられていることを主要な特徴となしている。
【発明の効果】
【0025】
本願発明に係わるエアバッグ装置では、複数の各副気室は、それぞれ第一ガス抜き孔を介して主気室に連通した構成となっており、しかも、各副気室同士は、互いに第二ガス抜き孔を介して連通している構成となっている。このように構成されているので、主気室内の膨張ガスは、同主気室に連通している副気室内に流出することができる。しかも、副気室内に流出した膨張ガスは、第二ガス抜き孔を介して連通している他の副気室内に流入することができる。
【0026】
そして、エアバッグ内に構成される主気室の数としては、一つ以上の適宜の数として構成しておくことができる。また、一つの主気室に連通する副気室としては、一つ以上の適宜の数の副気室を連通させておくことができる。
【0027】
本願発明はこのように構成することができるので、例えば、一つの主気室に複数の副気室を連通させ、各副気室同士を更に第二ガス抜き孔を介して連通させた構成としておくことができる。このように構成したときには、被保護物が当接した一つの主気室での当接部位に対応して、一つの主気室に連通している各副気室のそれぞれの第一ガス抜き孔での圧力は、当接部位から各第一ガス抜き孔までの距離によって動的に異なる圧力となる。
【0028】
そして、各第一ガス抜き孔において発生する異なる圧力によって、それぞれの第一ガス抜き孔に連通した各副気室内に流入する膨張ガスの流入量が異なることになる。
しかし、例えば、一つの主気室に二つの副気室を連通させた構成とした場合には、この二つの副気室同士を、第二ガス抜き孔を介して連通させておくことができる。そして、この二つの副気室のうちで、一方の副気室の内圧が他方の副気室の内圧よりも高くなったとしても、両副気室間を連通させている第二ガス抜き孔を介して、両副気室間では膨張ガスのやり取りが行われることになる。
【0029】
このように、一方の副気室の内圧が他方の副気室の内圧よりも高くなったアンバランス状態が、そのまま維持されることはなく、被保護物が当接した一つの主気室内での圧力ピークの発生を、一つの主気室に接続した複数の副気室によって、マイルドな特性にて抑制することができる。
【0030】
副気室の内圧が高いとか低いとかと記載したが、低いとした副気室内においても、既に内圧がいくらか掛かっている状態となっている。このため本願発明では、上述した特許文献1に記載された発明のように、殆んどあるいは全く内圧が掛かっていない状態の副気室に膨張ガスを流入させる場合よりも、主気室における圧力降下としては極端な圧力降下を起こさないことになる。
【0031】
また、主気室における圧力降下が少なくなるようにするため、副気室の容積を小さく構成しておくと、膨張ガスの流入で直ぐに副気室内が一杯になってしまう。このため、副気室内では、急激な圧力上昇を招いてしまうことになり、主気室内での圧力を所望の圧力となるまで降下させることができなくなる。
【0032】
本願発明では、副気室を幾らかの内圧を持った状態で、しかも大きな容積を有するものとして構成しておくことができるので、主気室から流入した膨張ガスが副気室内で直ぐに一杯となってしまうことも、副気室内での急激な圧力上昇を生じることもない。特に、一つの副気室は第二ガス抜き孔を介して他の副気室と連通しているので、一つの副気室内での急激な圧力上昇は、第二ガス抜き孔を介して連通している他の副気室によって抑制することができる。
【0033】
このように、比較的高い方の副気室の内圧が急速かつ劇的に上昇することが防止される。しかも、本願発明では、被保護物が主気室に当接したときに生じる圧力上昇を、マイルドな特性にて抑制することができる。
【0034】
また、本願発明に係わるエアバッグ装置では、主気室を複数備えた構成とし、一つの主気室に連通した副気室と、同副気室とは別の副気室であって、他の一つの主気室に連通した別の副気室とを、第二ガス抜き孔を介して相互に連通した構成としておくことができる。
【0035】
このように構成した場合でも、一つの主気室に複数の副気室を連通させ、各副気室同士を更に第二ガス抜き孔を介して連通させた構成とした場合において奏することのできる上述したメカニズムと同様のメカニズムを奏することができる。
【0036】
即ち、一つの主気室に複数の副気室を連通させている構成にあっては、一つの主気室に接続している複数の第一ガス抜き孔のそれぞれの近傍において、それぞれ異なる動的な圧力分布を生じることになる。これによって、各副気室内において、それぞれの内圧に差が生じることになる。同様に、例えば、2つの主気室にそれぞれ別の副気室を備えた構成とした場合であっても、2つの主気室間に圧力差を生じることがある。
【0037】
例えば、各主気室に対して供給する膨張ガスを、それぞれどのように供給するのかによって、各主気室間に圧力差が生じることになる。あるいは、各主気室に対してそれぞれ別個のインフレータ(マルチインフレータ)を連通させた構成としたり、又は一つの筐体内に組み込んだ複数のインフレータユニットを、各主気室にそれぞれ連通させた構成とした場合にも、各主気室間に圧力差を生じることがある。
【0038】
また、例えば、各主気室におけるそれぞれのピーク圧の値、ピーク圧までの到達時間、ピーク圧に到達するまでの上昇カーブなどが異なり、各主気室を膨張作動させたときに、これらの各主気室間における時系列的な圧力差、最終到達圧力差が発生した場合でも、各主気室間に圧力差が生じることになる。
【0039】
また、2つの主気室のうちで一方の主気室には被保護物が当接し、他方の主気室には被保護物が当接しなかった場合でも、2つの主気室間において圧力差が生じることになる。このようなとき、被保護物が当接しなかった主気室には、被保護物が当接した主気室から膨張ガスの一部が流入する。しかしながら、被保護物が当接した主気室から流入した膨張ガスによって被保護物が当接しなかった主気室の内圧は上昇するが、被保護物が当接したときのようには内圧の上昇は起きない。
【0040】
また、この構成の場合には、被保護物が当接しなかった主気室に連通している副気室には、被保護物が当接した主気室から流出する膨張ガスのうちで僅かな量の膨張ガスが、被保護物が当接しなかった主気室を介して流入することになるので、所謂バイアス圧を有する状態になっている。
【0041】
被保護物が当接した主気室に連通している副気室は、主気室から直接流出する膨張ガスによって、その内圧が上昇する。被保護物が当接しなかった主気室に連通している副気室がバイアス圧状態となっていたとしても、被保護物が当接した主気室に連通している副気室内での内圧が高くなるので、主気室から直接副気室に流入した膨張ガスの一部は、第二ガス抜き孔を介して、被保護物が当接しなかった主気室に連通している副気室内に流入することになる。
【0042】
そして、被保護物が当接した主気室に直接連通している副気室と、同副気室に第二ガス抜き孔を介して連通している副気室とによって構成される比較的大容量の副気室によって、被保護物が当接した主気室における圧力降下を穏やかに行わせることができる。しかも、被保護物が当接した主気室におけるピーク圧の急激な上昇を抑制することができる。
【0043】
このように、二つの主気室における内圧が異なった内圧となった場合でも、主気室に当接した被保護物に対する反作用として、被保護物をリバウンドさせることを防止できる。また、被保護物が当接した主気室における内圧が著しく低下してしまい、エアバッグの厚み、即ち、衝撃吸収ストロークが不足してしまうことも防止しておくことができる。
【0044】
このように、本発明では、エアバッグによる被保護物に対しての適切な保護を行うことが可能になる。しかも、主気室に当接した被保護物に対して適切な反作用を与えることができ、しかも、当接してきた被保護物に対するエアバッグによる拘束特性を調節することが可能になる。
【0045】
更に、本願発明に係わるエアバッグ装置では、サイドカーテンエアバッグに好適な主気室と副気室との配置関係を構成することができる。そして、副気室にはバイアス圧を掛けることができ、側突における乗員の頭部に対する保護特性を向上させることができる。
【0046】
更にまた、本願発明に係わるエアバッグ装置では、少なくとも一つの第二ガス抜き孔には、一方の副気室から他方の副気室への膨張ガスの流出を許容し、他方の副気室から一方の副気室への膨張ガスの流入を抑制するガス流調整手段を設けておくことができる。
【0047】
このように構成しておくことにより、ガス流調整手段を介して連通した一方の副気室を主の副気室として機能させ、他方の副気室を副次の副気室として機能させることができる。そして、副次の副気室から膨張ガスが逆流するのを抑制しておくことができるので、主の副気室における内圧の再上昇を防止することができる。そして、主の副気室における内圧の再上昇に伴って主の副気室に連通している主気室での内圧が、再上昇してしまうことや、主の副気室との連通部である第一ガス抜き孔付近において、局所的な圧力再上昇が生じてしまうことを防止することができる。
【0048】
本発明では、このように構成することができるので、ピーク圧力を調節する主な調整対象として、主気室におけるどの部分を選択するか又は複数の主気室の中から何れかの主気室を選択するか、が可能となっている。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】サイドカーテンエアバッグ装置を車内に取り付けた正面図である。(実施例)
【図2】膨張展開したエアバッグ内の概略構成図である。(実施例)
【図3】他のエアバッグ内の概略構成図である。(実施例)
【図4】別のエアバッグ内の概略構成図である。(実施例)
【図5】ガス流調整手段としての弁パネルの展開図及び折り畳み図である。(実施例)
【図6】メイン基布パネルと他のガス流調整手段との組み立て前の状態を示す要部平面 図である。(実施例)
【図7】弁パネルの作動状態を示す状態図である。(実施例)
【図8】他のガス流調整手段としての弁パネルの作動状態を示す状態図である。(実施 例)
【図9】別のガス流調整手段としての弁パネルとメイン基布パネルとの組み立て状態及 び作動状態を示す要部平面図である。(実施例)
【図10】頭部保護エアバッグ装置の正面図である。(従来例1)
【図11】ガスバッグの膨張状態を示す車内の部分的な内側面図である。(従来例2)
【発明を実施するための形態】
【0050】
本発明の好適な実施の形態について、添付図面に基づいて以下において具体的に説明する。本願発明に係わるエアバッグ装置としては、以下においてサイドカーテンエアバッグを例に挙げて説明を行うが、本願発明に係わるエアバッグ装置としては、サイドカーテンエアバッグに限定されるものではなく、例えば、後席用エアバッグ、フロントカーテンエアバッグ、室外用エアバッグなどに対しても好適に適用することができる。
【0051】
このため、以下では図1〜図9を用いて、本願発明に係わるエアバッグ装置の構成について説明を行うが、本発明は、以下に説明する実施例に限定されるものではなく、多様な変更が可能である。
【実施例1】
【0052】
図1に示すように、エアバッグ装置8は、エアバッグ1(図2参照。)を収納したカバー部材9と、膨張用ガスを発生するインフレータ6と、インフレータ6をエアバッグ1に接続するガス導入管7とを備えた構成となっている。カバー部材9は、取付部36を介してルーフサイドレール部Rに取付けておくことができる。
【0053】
車両に対する側面衝突事故やロールオーバ等の事故の発生が検知されると、あるいはこれらの事故の発生が予測されると、エアバッグ装置8のインフレータ6から噴射されたガスがエアバッグ1内に流入して、エアバッグ1が膨張展開する。
【0054】
エアバッグ1の膨張展開に伴って、カバー部材9の下端部側を車室内側上方に押し開き、押し開かれた開口を通ってエアバッグ1は、下方へ向ってカーテン状に展開する。膨張展開したエアバッグ1によって、前席側サイドウィンドガラス29aと後席側サイドウィンドガラス29bとを覆い、輪乗員の頭部を保護することができる。エアバッグ1が膨張展開した状態におけるエアバッグ1の断面形状は、図2に示している。
【0055】
エアバッグ1は、例えば315デニールのナイロン66糸を用いた目付200g/m2の二枚のメイン基布パネル10を重ね合わせ、重ね合わせたメイン基布パネル10の外周2を接合部3により接合して構成することができる。
【0056】
尚、エアバッグ1の形態、材質や構造及びインフレータ6の形態や構造などは従来と格別に変わるところはない。従って、本発明は以下で説明する実施形態に限定されるものではない。
【0057】
図2に示すように、接合部3で囲まれたエアバッグ1の内部4において、対向するメイン基布パネル10,10同士を内部接合部5により直接縫合することで、前主気室11、後主気室12、前主気室11と第一ガス抜き孔18aを介して連通した前副気室13、後主気室12と第一ガス抜き孔18bを介して連通した後副気室14、インフレータ6に接続したガス導入管7が接続するガス導入口17、ガス導入口17と前主気室11及び後主気室12を連通する連通路15が形成されている。
【0058】
略直線状をなす第一ステッチ5aによって、膨張したときの前主気室11の厚みを規制し、逆U字状をなす第二ステッチ5bで連通路15と主気室11、12と副気室13、14との間を画成している。また、副気室13と副気室14との間は、第三ステッチ5cによって仕切られており、第三ステッチ5c部には、副気室13と副気室14とを連通させる第二ガス抜き孔20が形成されている。
【0059】
第二ガス抜き孔20の構成としては、副気室13と副気室14とを連通させる孔として構成しておくことも、図5〜図9を用いて後述するように一方の副気室から他方の副気室に対してガス流の流通を可能とし、他方の副気室から一方の副気室への逆流を抑制するガス流調整手段を設けておくこともできる。
【0060】
以下における実施例1の説明では、第二ガス抜き孔20としては、副気室13と副気室14とを連通させる孔として形成されている構成について説明を行う。
【0061】
第一ステッチ5aの上下両端末、第二ステッチ5bの前後両端末には、円形のステッチである端末保護サークル5dが設けられている。端末保護サークル5dを設けておくことによって、膨張時のメイン基布パネル10,10における伸びの確保と皺の発生の防止並びに応力集中に対して十分な強度を得ることができる。
【0062】
尚、必要に応じて、メイン基布パネル10,10の表面にはゴムコーティング、シリコン系樹脂のコーティング等を施して、通気性を低下させ、あるいは不通気状態となるように構成しておくこともできる。また、メイン基布パネル10,10の構成材料として、ナイロン66に代えてナイロン6、ポリエステルの織布を利用することもできる。
【0063】
このように、エアバッグは、基布パネルの縫合により内部が区画された袋体として構成することもできる。また、接合部3と内部接合部5とを組み合わせて、縫製糸目孔からのガス漏れを防止する目止め処理として、シール剤を用いることもできる。更には、エアバッグは、基布パネルを縫合させて構成する他に、ドビー織、ジャガード織などの袋織によって、内部が区画された袋体として構成しておくこともできる。このようにして袋織して製袋したエアバッグの一部に、縫合を施して構成しておくこともできる。
【0064】
本願発明ではこのようにして構成したエアバッグにおいて、図2に示すように、第一ガス抜き孔18aを介して前主気室11に連通している前副気室13と、第一ガス抜き孔18bを介して後主気室12に連通している後副気室14とは、第二ガス抜き孔20を介して相互に連通した構成となっている。
【0065】
本願発明におけるエアバッグ1の構成としては、一つの主気室に複数の副気室を連通させ、第二ガス抜き孔を介して各副気室同士を連通させた構成としておくこともできる。この構成例として、図3には、前主気室11にそれぞれ第一ガス抜き孔22a、22bを介して二つの副気室21a,21bを連通させた構成を示している。図3に示した構成では、二つの副気室21a,21bは、第二ガス抜き孔24aを介して相互に連通した構成となっている。
【0066】
図3で示す構成以外にも、例えば、図4で示すような構成としておくこともできる。図4で示した構成では、前主気室11に二つの副気室21a,21bがそれぞれ第一ガス抜き孔22a,22bを介して連通しており、二つの副気室21a,21b同士は、第二ガス抜き孔24aを介して相互に連通している。また、後主気室12には、第一ガス抜き孔22cを介して副気室23が連通しており、前主気室11に連通した二つの副気室21a,21bは、それぞれ第二ガス抜き孔24b,24cを介して後主気室12に連通した副気室23と連通している。
【0067】
このように、主気室の一つをメインの主気室として構成しておき、メインの主気室には複数の副気室を連通させた構成としておくこともできる。図3、図4では、メインの主気室とした前主気室11に二つの副気室21a,21bを連通させ、二つの副気室21a,21b同士が第二ガス抜き孔24aを介して相互に連通した構成を示している。また、メインの主気室に連通した副気室の数としては、二つの副気室に限定されるものではなく、二以上の副気室がメインの主気室に連通した構成としておくこともできる。この場合においても、メインの主気室に連通した複数の各副気室は、少なくとも他の一つの副気室と第二ガス抜き孔を介して連通させた構成としておくことが必要である。
【0068】
車両に対する側面衝突事故やロールオーバ等の事故の発生時に展開したエアバッグ1の前主気室11に、前席に着座していた乗員の頭部が当接して、前主気室11の内圧が上昇した場合を例に挙げて、本願発明のエアバッグ1の作用について、図2を用いて説明する。
【0069】
前主気室11に乗員の頭部が当接する前では、連通路15におけるガス分配特性とインフレータ6から噴射された膨張ガスの直進性などにより、前後主気室11,12におけるそれぞれの内圧に幾らかの差が生じることはあるが、前後主気室11,12に流入した膨張ガスの一部は、それぞれ第一ガス抜き孔18a,18bを介して副気室13,14に流入することになる。
【0070】
第一ガス抜き孔18a,18bは、狭められたガス通路として形成されており、一種の絞りとしての作用を奏することになる。そして、前後主気室11,12を膨張させた膨張ガスの一部は、第一ガス抜き孔18a,18bを通って副気室13,14にそれぞれ流入することになり、副気室13,14内の圧力もバイアス圧が掛かった状態となっている。
【0071】
前主気室11が乗員の頭部に押されて衝撃を受けると、前主気室11の内圧は上昇するが、後主気室12には乗員の頭部が当接しないので、後主気室12における内圧は、前主気室11における内圧ほど高くならない。そのため、前主気室11に連通した前副気室13には、前主気室11からの膨張ガスが多量に流れ込み、前主気室11における圧力ピークを抑制することができる。
【0072】
後副気室14には後主気室12からの膨張ガスが流入してバイアス圧が掛かった状態にはなってはいるものの、前副気室13に比べると著しく内圧が低い状態となっている。そのため、前主気室11からの膨張ガスの流入によって内圧が上昇した前副気室13から、後副気室14に対して膨張ガスが流出することになる。その結果、前副気室13の内圧を下げ、前主気室11の内圧を下げることができる。
【0073】
そして、前副気室13と後副気室14とは、ほぼ内圧が等しい状態に達することになる。前副気室13と後副気室14との内圧がほぼ等しい状態に達するまでのプロセスにおいて、膨張ガスの量的な移動を大きくすることができる。しかも、前主気室11及び前後副気室13,14における内圧の変動は、穏やかなものにしておくことができる。
このように構成することができるので、前主気室11に当接した乗員の頭部に対する反力特性としては、急峻な特性を示すことがなく、マイルドなものにしておくことができる。
【0074】
上記の説明では、前主気室11だけに乗員の頭部が当接して、前主気室11だけが衝撃を受けた場合について説明を行ったが、後主気室12だけが乗員の頭部に押されて衝撃を受けた場合には、上述した説明において前主気室11及び前副気室13をそれぞれ後主気室12及び後副気室14として読み直すことで、このときのエアバッグにおける作用を説明することができる。
【0075】
また、前主気室11及び後主気室12にそれぞれ乗員の頭部が当接した場合には、前主気室11からは第一ガス抜き孔18aを介して前副気室13に膨張ガスが流出し、後主気室12からは第一ガス抜き孔18bを介して後副気室14に膨張ガスが流出することになる。このとき、前副気室13内の内圧と後副気室14内の内圧との間に圧力差が生じたときには、この圧力差を解消するように、第二ガス抜き孔20を介して膨張ガスが一方の副気室から他方の副気室に流れることになる。
【0076】
そして、前主気室11及び後主気室12にそれぞれ乗員の頭部が当接したことに伴って発生する前主気室11及び後主気室12における圧力上昇を、前主気室11と後主気室12と前副気室13と後副気室14との4つの気室の容量によって吸収することができる。しかも、このときにおいても、前副気室13と後副気室14とにおける内圧をそれぞれ略等しい内圧状態にすることができる。このように、前主気室11及び後主気室12にそれぞれ乗員の頭部が当接した場合であっても、マイルドな状態で前主気室11及び後主気室12における圧力ピークを抑えておくことができる。
【0077】
図3に示したエアバッグは、サイドカーテンエアバッグにおける他の実施例であって、前主気室11における前側の下方に第一ガス抜き孔22aを介して副気室22aを連通させ、同じく上方に第一ガス抜き孔22bを介して副気室22bを連通させた構成となっている。乗員の頭部が前主気室11に当接したときには、各第一ガス抜き孔22a,22bを通ってそれぞれ副気室22a,22b内に、前主気室11からの膨張ガスが流入することになる。そして、流入した膨張ガスによって副気室22aと副気室22bとの間に圧力差が生じたときには、高圧側の副気室から低圧側の副気室に、第二ガス抜き孔24aを介して膨張ガスが流出することになる。
【0078】
乗員の頭部が当接したことに伴って前主気室11内での圧力上昇は、副気室22a及び副気室22bによって吸収することができ、前主気室11内でのピーク圧を抑制することができる。このように、それぞれ第一ガス抜き孔を介して一つの主気室に複数の副気室を連通させ、第二ガス抜き孔を介して各副気室同士を連通させるように構成しておくことができる。
【0079】
図4に示したエアバッグは、サイドカーテンエアバッグにおける別の実施例であって、前主気室11における前側の下方に第一ガス抜き孔22aを介して副気室22aを連通させ、同じく上方に第一ガス抜き孔22bを介して副気室22bを連通させた構成となっている。また、後主気室12には、第一ガス抜き孔22cを介して副気室23が連通されており、副気室23には、前主気室11に連通した副気室22aと副気室22bとが、それぞれ第二ガス抜き孔24b,24cを介して連通した構成となっている。
【0080】
乗員の頭部が前主気室11に当接したときには、各第一ガス抜き孔22a,22bを通ってそれぞれ副気室22a,22b内に、前主気室11からの膨張ガスが流入することになる。そして、流入した膨張ガスによって副気室22a及び副気室22bと副気室23との間に生じた圧力差によって、高圧側の副気室22a及び副気室22bから低圧側の副気室23に膨張ガスが流出することになる。
【0081】
また、副気室22aと副気室22bと副気室23との間に圧力差が存在しているときには、高圧側の副気室から低圧側の副気室に、第二ガス抜き孔を介して膨張ガスが流出することで各副気室22a,22b,23間におけるそれぞれの内圧がほぼ等しい状態に達することになる。
【0082】
このようにして、乗員の頭部が当接したことに伴って前主気室11内での圧力上昇は、副気室22a、副気室22b及び副気室23によって吸収することができ、前主気室11内でのピーク圧を抑制することができる。
【0083】
図4に示したエアバッグの場合においても、図2に示したエアバッグの説明において説明したと同様に、後主気室12だけが乗員の頭部に押されて衝撃を受けた場合や前主気室11及び後主気室12にそれぞれ乗員の頭部に押されて衝撃を受けた場合においても、本願発明のエアバッグは有効に機能することになる。
【実施例2】
【0084】
次に、図5〜図9を参照して、第二ガス抜き孔に配設するガス流調整手段の構造について、ガス流調整手段として弁パネルの構造を例に挙げて、その幾つかの構造について説明する。以下では、ガス流調整手段として、弁パネルの構造について説明を行うが、ガス流調整手段としては以下で説明する弁パネルの構造に限定されるものではなく、一方の副気室から他方の副気室への膨張ガスの流出を許容し、他方の副気室から一方の副気室への膨張ガスの流入を抑制する構造であれは、他の構造をガス流調整手段として用いることができるものである。
【0085】
最初に、図5〜図7を用いて、弁パネル32の構造及びその作用について説明する。
弁パネル32は、折り畳まれたエアバッグ1とともに容易に折り込むことができるようにするため、また、可撓性と軽量化とを目的として、基布によって構成した弁パネル32を用いている。図5(a)には、基布状態の弁パネル32の展開図を示しており、図5(b)には、基布状態の弁パネル32を折れ線32dに沿って折り曲げた状態を示している。
【0086】
基布状態の弁パネル32の中央には、開口部33が形成されており、折り曲げて重ね合わせた自由端部32c側の部位及び開口部33の周縁側から側縁部32bに掛けての斜めの部位は、縫製によって縫い合わされている。縫い合わせた縫製部を符号34で示している。基布状態の弁パネル32を折り曲げて、縫製部34で縫い合わせることにより、中央に開口部33を有して、両端部側が狭められた状態で開放された閉ループ状の筒状体を構成することができる。
【0087】
このようにして構成された閉ループ状の弁パネル32を膨らませて筒状体にすると、図7(a)に示すような形状にすることができる。図6(a)、(b)に示すように、一対のメイン基布パネル10,10の外周側に設けた接合部3と第二ステッチ5bとを接続するとともに、前副気室13と後副気室14とを画成する第三ステッチ5cに、それぞれシール25を設けておく。一対のメイン基布パネル10,10のそれぞれに設けた各シール25は、エアバッグ1を構成するために一対のメイン基布パネル10,10を重ね合わせたときには、シール25同士が重なるように配設しておく。
【0088】
図6(a)では、一方のメイン基布パネル10における内面側を示しており、図6(b)では、他方のメイン基布パネル10における外表面側を示している。そのため、図6(a)では、一方のメイン基布パネル10にシール25を設けた状態が示されており、図6(b)では、他方のメイン基布パネル10における裏面側にシール25が設けられている状態を示している。
【0089】
図6(a)に示すように、一方のメイン基布パネル10上に折り畳んだ状態の弁パネル32を載置する。このとき、開口部33を形成した底部32a寄りの部位が、前副気室13を向くようにして、一方のメイン基布パネル10のシール25上に重なり、シール25によって開口部33の周辺が囲まれるように弁パネル32を位置させる。そして、自由端部32c側が、後副気室14側を向くように弁パネル32を一方のメイン基布パネル10上に載置する。そして、図6(b)に示す他方のメイン基布パネル10を、図6(a)に示す一方のメイン基布パネル10及び弁パネル32上に重ね合わせた後に、既存の方法によってエアバッグ1を製造する。
このように製造することによって、前副気室13と後副気室14とを連通させる第二ガス抜き孔に弁パネル32を配設することができる。
【0090】
次に、弁パネル32の作用について、図7(a)、(b)を用いて説明する。図7(a)、(b)では、図に向かって弁パネル32の右側の領域が、前副気室13側であり、左側の領域が後副気室14側である。エアバッグが膨張展開した後に乗員の頭部が、前主気室11に当接すると、前主気室11内の内圧が高まり、前主気室11から膨張ガスの一部が前副気室13内に流入する。
【0091】
膨張ガスの流入によって前副気室13内の圧力が上昇すると、後副気室14との圧力差を解消するため、前副気室13内の膨張ガスが、弁パネル32の開口部33から流入して弁パネル32を膨らませながら、環状形状となった側縁部32bから後副気室14内に流出することになる。
【0092】
このとき、膨張ガスによって弁パネル32が膨らむのに連動して、開口部33の周囲はシール25を介して一対のメイン基布パネル10,10によって引っ張られ、開口部33の形状が維持されることになる。従って、開口部33からの膨張ガスの流入を妨げることがなく、後副主気室14内に膨張ガスを流出させることができる。
【0093】
尚、図6(a)、(b)において、シール25が直線的に配設されずに、中央部が屈曲して形成されているのは、開口部33から流入した膨張ガスによって弁パネル32が膨らんだときに、一対のメイン基布パネル10,10と弁パネル32との接着状態が外れないようにするためである。
【0094】
膨張ガスの流入によって後副気室14における内圧が、前副気室13における内圧よりも高くなると、後副気室14内の膨張ガスは、弁パネル32を通って前副気室13内に逆流しようとする。このとき、弁パネル32の自由端部32cは、前副気室13内に流入しようとする膨張ガスに押圧されて、図7(b)に示すように押し潰されることになる。
【0095】
そして、押し潰された自由端部32c側によって、開口部33が塞がれることになる。開口部33が自由端部32c側によって塞がれることで、弁パネル32としては、後副気室14内の膨張ガスが前副気室13内に逆流するのを規制することができる。
【0096】
このように弁パネル32が作動するので、前副気室13を主の副気室として機能させ、後副気室14を副次の副気室として機能させることができる。そして、副次の副気室である後副気室14から膨張ガスが逆流するのを抑制しておくことができるので、主の副気室である前副気室13における内圧の再上昇を防止することができる。そして、前副気室13における内圧の再上昇に伴って前副気室13に連通している前主気室11での内圧が、再上昇してしまうことや、前副気室13との連通部である第一ガス抜き孔18a付近において、局所的な圧力再上昇が生じてしまうことを防止することができる。
【0097】
図8には、弁パネル32’の変形例を示している。図8で示した弁パネル32’では、前副気室13と後副気室14との間が、閉止パネル37によって塞がれている構成となっている。閉止パネル37には開口部37aが形成されており、閉止パネル37の開口部37aと重なるように弁パネル32’の開口部33’が配設されている。閉止パネル37の全周縁部は、図示せぬメイン基布パネル10の内面に、適宜の方法で接合されている。
【0098】
そして、弁パネル32’の開口部33’の外周部近傍において、閉止パネル37と弁パネル32’とが縫製部34’において縫い合わされている。また、弁パネル32’の自由端部32c’の近傍も、縫製部34’において縫い合わされている。
【0099】
このように構成されているので、弁パネル32’の開口部33’の形状は、展開した閉止パネル37によって保持されることになる。そして、図8(a)における閉止パネル37の右側の領域から流入する膨張ガスは、開口部33’を通って側縁部32b’が形成する開口から閉止パネル37の左側の領域に流入することができる。
【0100】
また、閉止パネル37の左側の領域から閉止パネル37の右側の領域に流出しようとする膨張ガスによって、弁パネル32’の自由端部32c’は押し潰されることになる。そして、押し潰された自由端部32c’によって、開口部33’及び開口部37aが閉塞されることになる。弁パネル32’の開口部33’側を上述した主の副気室側に配設し、自由端部32c’側を副次の副気室側となるように構成しておくことができる。
【0101】
図9には、弁パネル32’の別の変形例を示している。図9で示した弁パネル27は、より簡易に弁パネルを構成することができる構成例となっている。弁パネル27には、図7、図8で示した弁パネル32,32’のように開口部33,33’を設けずに、第二ガス抜き孔20にV字状に折った弁パネル27を第二ガス抜き孔20に設けた構成となっている。
【0102】
一方のメイン基布パネル10に、V字状に折った弁パネル27の一端側における底部27aの開放端を接着部26によって接合し、V字状に折った弁パネル27の他端側における開放端は、他方のメイン基布パネル10に対して非接着状態となっている。即ち、図9(b)、(c)に示すように、V字状に折った弁パネル27の一端側における底部27aの開放端が一方のメイン基布パネル10に取り付けられ、他端側における開放端が自由端となるように構成されている。また、V字状に折って折り重なった側端同士は、広がらないように一対のメイン基布パネル10間で固定されている。
【0103】
このように構成されているので、前副気室13における内圧が後副気室14における内圧よりも高くなったときには、図9(b)に示すように、弁パネル27の自由端側とメイン基布パネル10との間に形成される通路を通って、膨張ガスが前副気室13から後副気室14内に流出することができる。
【0104】
逆に、後副気室14における内圧が前副気室13における内圧よりも高くなったときには、図9(c)に示すように、弁パネル27の自由端側とメイン基布パネル10との間に形成されていた通路が、V字状に折った弁パネル27が膨らむことによって閉じられ、後副気室14から前副気室13への膨張ガスの逆流が抑制されることになる。
【0105】
このように、主の副気室と副次の副気室との間に、ガス流調整手段を設けておくことにより、複数の副気室による主気室に対する圧力調整を良好に行わせることができる。
【0106】
本発明では、図2〜図4を用いて説明したように、第二ガス抜き孔にガス流調整手段を設けずに、副気室相互間における膨張ガスのやり取りに規制を設けないように構成しておくこともできる。また、副気室相互間における膨張ガスのやり取りに規制を設けないように構成する場合であっても、第二ガス抜き孔とした孔の径を調整することで、副気室間を流れるガス流の流量調整を行わせることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0107】
本願発明の技術思想を他のエアバッグの構成においても適用することができる。
【符号の説明】
【0108】
1・・・エアバッグ、3・・・接合部、6・・・インフレータ、8・・・サイドカーテンエアバッグ装置、10・・・メイン基布パネル、11・・・前主気室、12・・・後主気室、13・・・前副気室、14・・・後副気室、18a、18b・・・第一ガス抜き孔、20・・・第二ガス抜き孔、21a、21b・・・副気室、22a、22b・・・第一ガス抜き孔、23・・・副気室、24a、24b、24c・・・第二ガス抜き孔、27・・・弁パネル、32、32’・・・弁パネル、33、33’・・・開口部、37・・・閉止パネル、50・・・エアバッグ、51・・・シート、52、53・・・クッション室、54,55・・・チャンバ、58・・・接着剤、60,61・・・拘束チャンバ、62a、62b、62c・・・緊張チャンバ、63a、63b、63c・・・緊張チャンバ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車室の側面に沿って膨張展開可能なエアバッグと、前記エアバッグに膨張用ガスを供給するインフレータと、を備えたエアバッグ装置において、
前記エアバッグは、前記インフレータからの膨張ガスが流入する少なくとも一つの主気室と、前記主気室に流入した前記膨張ガスが流入可能な複数の副気室と、に画成され、
前記各副気室は、それぞれ第一ガス抜き孔を介して前記主気室に連通され、
前記各副気室同士が、第二ガス抜き孔を介して連通されてなることを特徴とするエアバッグ装置。
【請求項2】
前記主気室を複数備え、前記複数の主気室における一つの主気室に連通した前記副気室と、同副気室とは別の副気室であって、前記複数の主気室における他の一つの主気室に連通した前記別の副気室とが、前記第二ガス抜き孔を介して相互に連通されてなることを特徴とする請求項1記載のエアバッグ装置。
【請求項3】
前記エアバッグは、複数の前記主気室を有して、車室内における前後席の側方において膨張展開してなり、
前記エアバッグは、前席の側方に位置して展開する第1主気室と後席の側方に位置して展開する第2主気室とを少なくとも備え、
前記第1主気室と前記第2主気室とが、車両の前後方向と平行な直列の連通状態に配設されるように、前記第1主気室と前記第2主気室との間に、前記第1主気室に連通した前記副気室と前記第2主気室に連通した前記副気室とが配設され、前記第1主気室に連通した前記副気室と前記第2主気室に連通した前記副気室とが、前記第二ガス抜き孔を介して連通されてなることを特徴とする請求項2記載のエアバッグ装置。
【請求項4】
少なくとも一つの前記第二ガス抜き孔には、一方の副気室から他方の副気室への膨張ガスの流出を許容し、他方の副気室から一方の副気室への膨張ガスの流入を抑制するガス流調整手段が設けられてなることを特徴とする請求項1乃至請求項3記載のエアバッグ装置。
【請求項1】
車室の側面に沿って膨張展開可能なエアバッグと、前記エアバッグに膨張用ガスを供給するインフレータと、を備えたエアバッグ装置において、
前記エアバッグは、前記インフレータからの膨張ガスが流入する少なくとも一つの主気室と、前記主気室に流入した前記膨張ガスが流入可能な複数の副気室と、に画成され、
前記各副気室は、それぞれ第一ガス抜き孔を介して前記主気室に連通され、
前記各副気室同士が、第二ガス抜き孔を介して連通されてなることを特徴とするエアバッグ装置。
【請求項2】
前記主気室を複数備え、前記複数の主気室における一つの主気室に連通した前記副気室と、同副気室とは別の副気室であって、前記複数の主気室における他の一つの主気室に連通した前記別の副気室とが、前記第二ガス抜き孔を介して相互に連通されてなることを特徴とする請求項1記載のエアバッグ装置。
【請求項3】
前記エアバッグは、複数の前記主気室を有して、車室内における前後席の側方において膨張展開してなり、
前記エアバッグは、前席の側方に位置して展開する第1主気室と後席の側方に位置して展開する第2主気室とを少なくとも備え、
前記第1主気室と前記第2主気室とが、車両の前後方向と平行な直列の連通状態に配設されるように、前記第1主気室と前記第2主気室との間に、前記第1主気室に連通した前記副気室と前記第2主気室に連通した前記副気室とが配設され、前記第1主気室に連通した前記副気室と前記第2主気室に連通した前記副気室とが、前記第二ガス抜き孔を介して連通されてなることを特徴とする請求項2記載のエアバッグ装置。
【請求項4】
少なくとも一つの前記第二ガス抜き孔には、一方の副気室から他方の副気室への膨張ガスの流出を許容し、他方の副気室から一方の副気室への膨張ガスの流入を抑制するガス流調整手段が設けられてなることを特徴とする請求項1乃至請求項3記載のエアバッグ装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−159026(P2010−159026A)
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−3907(P2009−3907)
【出願日】平成21年1月9日(2009.1.9)
【出願人】(000229955)日本プラスト株式会社 (740)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年1月9日(2009.1.9)
【出願人】(000229955)日本プラスト株式会社 (740)
【Fターム(参考)】
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