説明

エアロジェル及び金属組成物

【解決手段】 金属のエアロジェル組成物は、エアロジェル(例えば、RF又は炭素エアロジェル)を備え、エアロジェルの表面に金属の粒子が分散されることが開示されている。エアロジェル組成物は、小さな金属粒子(例えば、1ナノメートルの平均粒径)の一様分布を有しうる。さらに、エアロジェルを、金属化合物を含んでいる超臨界流体に接触させることを備えるエアロジェル組成物を製造するための方法も開示している。エアロジェル組成物は、例えば、燃料電池電極の製造に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、次の特許出願の優先権を主張する。
2001年12月27日に出願された米国特許出願第60/343,700号、
2002年6月19日に出願された米国特許出願第60/390,174号、
及び2002年9月23日に出願された米国特許出願第60/412,755号(整理番号24603-503 PRO)。
【0002】
本発明は、概して、エアロジェル組成物、特に金属粒子が分散されたエアロジェル、例えば、プラチナが担持された炭素エアロジェル(carbon aerogels)、及びそれらの製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
エアロジェルは、その技術分野で“ゾル−ゲルプロセス”として公知の重縮合反応によって製造される多孔性の材料である。エアロジェル中における共通の特徴は、それらの小さな相互接続された気孔である。エアロジェルの化学組成、微細構造および物理的性質は、ゾル−ゲル処理によりナノメートル規模で制御することができる。エアロジェルには、無機エアロジェル、有機エアロジェルおよび炭素エアロジェルの3つの主なタイプがある。無機エアロジェル(Inorganic aerogels)は、金属アルコキシドの重縮合によって合成され、高度に架橋された透明なヒドロゲルを、超臨界乾燥することによって得ることができる。シリカエアロジェル(Silica aerogels)は最も周知の無機エアロジェルである。有機エアロジェル(Organic aerogels)は、水溶液中で、例えばホルムアルデヒドを備えたレソルシノール(resorcinol)のようなモノマーのゾル−ゲル重縮合反応によって得られたゲルを、超臨界乾燥することによって合成することができる。炭素エアロジェル(Carbon aerogels)は、高い温度で有機エアロジェルを熱分解することにより得ることができる。
【0004】
エアロジェル、例えば、炭素エアロジェル(その技術分野では炭素泡(carbon foams)とも呼ばれる)は、様々な出願として、多様な方法によって製造されてきた。これらの従来プロセスは、以下に示す特許文献1〜5に例示されている。典型的には、努力(efforts)は電極として用いる炭素エアロジェルの開発に向けられており、炭素エアロジェルの全ての形態、モノリシック(monolithic)、粒状体、あるいは微小球体(microspheres)を含んでいる。そのような電極は、例えば、エネルギー蓄積装置、例えば、コンデンサー、バッテリーに使用されており、同様に、燃料電池、例えば、プロトン交換浸透膜(“PEM”)燃料電池、及び電気容量性の(electrocapacitive)脱イオン化装置などに使用されている。これらの努力は、以下に示す特許文献6〜10に例示されている。
【0005】
添加物は、エアロジェル組成物(ここでは“エアロジェル複合材料”とも呼ばれる)を作るために、エアロジェルに添加される。添加物の役割は、純粋なエアロジェルの特性を高めること、又は適用に左右される新たな望ましい特性を与えることである。一般に、エアロジェル複合材料は、典型的には2つの異なる方法を使用して製造される。第1の方法は、重合に先立ち、ゾルに添加物を加えることを含んでいる。また、第2の方法は、生成させたエアロジェルを、添加物を含んでいる液状又はガス状の流れに接触させることを含んでいる。
【0006】
以下に示す非特許文献1は、炭化されたポリアクリロニトリル(“PAN”)エアロジェルを、6塩化第2白金(hexachloroplatinic(H2PtCl6))溶液に漬けることにより、ポリアクリロニトリル/プラチナ・エアロジェル複合材料を製造する方法を開示している。前駆物質(H2PtCl6)は、ゲル化段階に先立って加えられた。ゲル化段階の前にプラチナ前駆物質を加えることで、プラチナのより均質な分散が生じるということが開示されている。
【0007】
以下に示す非特許文献2は、炭素エアロジェル作る方法、及びエアロジェル上にプラチナを担持させる方法を開示している。それによって、レソルシノール−ホルムアルデヒド(“RF”)エアロジェルは、水の代わりのアセトン中で重合させることによって得られた。また、過塩素酸は、触媒として使用された。硬化及びアセトンの超臨界抽出の後、サンプルは熱分解された。続いて、サンプルは、H2PtCl6と共に、アセトン中に含浸された。その後、アセトンは超臨界抽出され、また、サンプルはか焼されて、水素で還元された。プラチナの分散は23%であると報告され、また、プラチナ含有量は0.44wt%であると報告された。
【0008】
以下に示す特許文献11は、無機エアロジェルに貴金属を組込む方法を開示している。金属前駆物質はゾルに加えられた。ゲル化の後、エタノールは超臨界乾燥によって取り除かれた。
【0009】
以下に示す非特許文献3は、炭素エアロジェル上におけるルテニウムのナノ粒子の析出を開示している。予め準備しておいた炭素エアロジェルは、化学蒸気含浸によりルテニウム2,4ペンタンジオネート(pentanedionate)で含浸された。
【0010】
以下に示す非特許文献4は、Pt、Pd、およびAgを含む一連の炭素エアロジェルを開示している。Pt(NH3)4Cl2、PdCl2およびAg(CH3COO)は、最初の溶液中、RFエアロジェルを製造するための重合触媒として使用された。硬化の後、水はアセトンで交換された。また、アセトンは超臨界の二酸化炭素によって抽出された。続いて、エアロジェルは、窒素流中で熱分解された。
【0011】
以下に示す特許文献12は、
i) 超臨界又はほぼ超臨界の溶液を作製するために、材料の前駆物質を超臨界又はほぼ超臨界の溶媒中へ溶かすこと、
ii) 前駆物質が溶液中で安定している条件下で、基板を溶液に晒すこと、
及びiii) 前駆物質と関わって化学反応を起こす条件下で、反応試薬を溶液中に混合すること、
によって、基板の表面に材料の薄膜を析出させる方法を示しており、それによって、超臨界又はほぼ超臨界条件を維持している間、固体の基板上に材料を析出させる。特許は、さらに、多孔性の固形物内部に材料粒子を析出させるための同様の方法を示しており、基板上の材料の薄膜又は多孔性の固形物はそれらの中に析出された材料粒子を有している。
【0012】
【特許文献1】米国特許第4,806,290号明細書(1989年 2月21日発行)
【特許文献2】米国特許第4,873,218号明細書(1989年10月10日発行)
【特許文献3】米国特許第4,997,804号明細書(1991年 3月 5日発行)
【特許文献4】米国特許第5,086,085号明細書(1992年 2月 4日発行)
【特許文献5】米国特許第5,252,620号明細書(1993年10月12日発行)
【特許文献6】米国特許第5,260,855号明細書(1993年11月 9日発行)
【特許文献7】米国特許第5,529,971号明細書(1996年 6月25日発行)
【特許文献8】米国特許第5,420,168号明細書(1995年 5月20日発行)
【特許文献9】米国特許第5,508,341号明細書(1996年 4月16日発行)
【特許文献10】米国特許第6,010,798号明細書(2000年 1月 4日発行)
【特許文献11】米国特許第5,851,947号明細書(1998年12月22日発行)
【特許文献12】米国特許第5,789,027号明細書(1998年 8月 4日発行)
【非特許文献1】イ(Ye)外,カナダ化学会誌(Can.J.Chem.)75,1666-1673,(1997)
【非特許文献2】パ・ヨンク(Pajonk)外,7族触媒の製造方法(Preparation of Catalyst VII),1998,167(1997)
【非特許文献3】ミラー(Miller)外,電子化学協会会誌(J. Electrochem Soc),144(No.12)(1997),ラングミュア(Lanngmuir)15,799-806(1999)
【非特許文献4】マルドナド−ホダル(Maldonado-Hodar)外,炭素37(Carbon 37),1199-1205(1999)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
上述されたようなプロセスは、金属の粒子が組込まれる際の方法に関して不適当な制御をしばしば有している。結果として、まちまちな金属粒径および広い粒径分布を有するエアロジェル組成物が得られる。これは、エアロジェル、特に、合格水準の性能を得るために大量のプラチナを一般に必要とするPEM燃料電池として用いられるエアロジェルの商業化を抑制する要因の1つとなっていた。燃料電池で使用されるプラチナの量を減少させることは、内燃機関と競合する燃料電池ベースの発電システムにとって有益であろう。
【0014】
したがって、内部に金属粒子、例えばプラチナが分散したエアロジェルを含むエアロジェル組成物、及びそのようなエアロジェルを製造する方法が望まれている。望ましくは、そのようなエアロジェル組成物は、小さな粒径、例えば4ナノメートル以下で、狭い粒径分布の金属粒子を含んでいるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明によれば、エアロジェル組成物は、エアロジェルを備え、エアロジェルはその表面、すなわち気孔に分散された金属粒子を有する。金属粒子は、金属粒子の数に基づいて、約4ナノメートル以下の平均粒径を有している。典型的には、金属粒子の平均粒径は、約3ナノメートル以下、好ましくは1〜2ナノメートル、より好ましくは約1ナノメートルである。
【0016】
非常に驚くべきことに、本発明によれば、エアロジェル組成物は、非常に狭い金属粒子の粒径分布を有しうるということが見いだされた。典型的には、金属粒子が、金属粒子の数に基づいて、約4ナノメートル以下の平均粒径を有する場合、約20%未満の金属粒子は約5ナノメートル以上の粒径を有している。典型的には、金属粒子が、約3ナノメートルの平均粒径を有する場合、約20%未満の金属粒子は約4ナノメートル以上の粒径を有しており、また、約20%未満の金属粒子は約2ナノメートル以下の粒径を有している。典型的には、金属粒子が、約2ナノメートルの平均粒径を有する場合、約20%未満の金属粒子は約3ナノメートル以上の粒径を有しており、また、約20%未満の金属粒子は約1ナノメートル以下の粒径を有している。好ましくは、約20%未満の金属粒子は約3ナノメートル以上の粒径を有しており、また、粒子の約20%未満は約1ナノメートル未満の粒径を有している。より好ましくは、金属粒子が、金属粒子の数に基づいて、約1ナノメートルの平均粒径を有する場合、約20%未満の金属粒子が約2ナノメートル以上の粒径を有しており、また、約20%未満の金属粒子が約1ナノメートル未満の粒径を有している。
【0017】
本発明により、エアロジェル組成物における金属、例えばプラチナの使用を、従来のエアロジェル組成物よりも少なくすることができ、また、さらに、触媒利用、例えば、PEM燃料電池において、同等又はそれ以上の性能を得ることができる。
【0018】
さらに、本発明によれば、エアロジェルを、金属化合物、例えば有機金属化合物で構成される超臨界流体と接触させることを含んでいる金属エアロジェル組成物(metallic aerogel compositions)を製造するための方法が得られる。非常に都合のよいことに、金属化合物は、製造中の様々な時期にエアロジェルに組込むことができる。例えば、金属化合物は、硬化されたエアロジェル(“硬化されたヒドロゲル”とも呼ばれる)から、液状の重合媒体(liquid polymerization medium)、例えば水を超臨界抽出した後に、組込むことができる。あるいは、金属化合物は、熱分解の後にエアロジェルに組込むことができる。さらに、重合は、金属化合物の存在下で行うことができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、その内部に、小さな平均粒径と、狭い粒径分布を有する金属粒子が分散したエアロジェルを含むエアロジェル組成物が得られるという優れた効果を発揮する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明の組成物で使用される特定のエアロジェルは、特に決まったものではない。例えば、エアロジェルは、有機系、例えばRFエアロジェルや、無機系、例えばシリカエアロジェルとされる。さらに、炭素エアロジェルを形成するために、有機エアロジェルが熱分解される。ここで使用される用語“エアロジェル”は、全てのエアロジェル形態、すなわち無機エアロジェル、有機エアロジェル、炭素エアロジェル、及びxerogels(ヒドロゲルが、超臨界乾燥の代わりに空気乾燥された時に形成されたゲル)を含んでいる。
【0021】
同様に、エアロジェルを製造するために使用される特定の前駆物質は、特に決まったものではない。シリカエアロジェルを製造するのに使用される典型的な前駆物質は、例えば、テトラメチルオルトケイ酸塩(tetramethyl orthosilicate(TMOS、Si(OCH3)4))、及びテトラエチルオルトケイ酸塩(tetraethyl orthosilicate(TEOS、Si(OCH2CH3)4))を含んでいる。他の前駆物質は、シリカ、アルミナ、チタニア、バナジア(vanadia)、ニオビア(niobia)、ジルコニア、タンタラ(tantala)、又はそれらの混合物のような酸化物を含んでいる他の無機エアロジェルを製造するために、当業者によって選択される。有機エアロジェルを製造するのに使用される前駆物質、すなわちモノマーの例は、レソルシノール、フェノール、カテコール、クロログルシノール(chloroglucinol)、および他のポリヒドロキシベンゼン(polyhydroxybenzene)化合物は、ホルムアルデヒド又はフルフラール(例えば、レソルシノール−フルフラール、レソルシノール−ホルムアルデヒド、フェノール−レソルシノール−ホルムアルデヒド、カテコール−ホルムアルデヒド、及びクロログルシノール(chloroglucinol)-ホルムアルデヒド)と適切な比率で反応する。所望のエアロジェルを製造するための適切な前駆物質の選択に関するその他の詳細は、当業者に知られている。そのような材料は商業的に利用可能である。
【0022】
本発明についての、エアロジェルを製造する特別の方法は、特に決まったものではない。有機エアロジェルは、具体的に、以下のように製造される。概して方法は、反応物、すなわちモノマーを第1に必要とし、その反応物は触媒と混合され、付加的な金属を含んでいてもよい。重合によって形成されたゲルは、その後、溶媒の交換及び抽出ステップにおいて、乾燥される。それによって生じた有機エアロジェルは、その後、不活性な雰囲気中で熱分解され、炭素エアロジェルを形成する。特に、ゲルを準備する方法は、溶媒、具体的には水中におけるある多機能の有機モノマーのゾル−ゲル重合を通じて進行し、高度に架橋された(cross-linked)透明なゲル(“ヒドロゲル・ゾル”)の生成へと達している。例えば、発明の好適態様では、1モルのレソルシノール(1,3-ジヒドロキシベンゼン(dihydroxybenzene))は、塩基性触媒の存在下において、2モルのホルムアルデヒドと縮合(condenses)する。炭酸ナトリウムのようなマイルドな(Mildly)塩基性触媒が好ましい。この重合において、レソルシノールは、2−、4−、及び/又は6−のリング位置にホルムアルデヒドを付加することが可能な三官能性の(trifunctional)モノマーである。置換されたレソルシノールのリングは、溶液中において、互いに縮合し、ナノメートルサイズのクラスタを形成する。結局、クラスタは、ヒドロゲル・ゾルを形成するために、それらの表面群(例えば、−− CH2OH)を介して架橋する。反応のその他の詳細は、その分野で公知である(例えば、米国特許第4,997,804号明細書及び米国特許第4,873,218号明細書を参照)。エアロジェルの製造方法を記載する他の特許は、
米国特許第6,432,886号明細書、
米国特許第6,364,953号明細書、
米国特許第6,307,116号明細書、
米国特許第5,908,896号明細書、
米国特許第5,879,744号明細書、
米国特許第5,851,947号明細書、
及び米国特許第5,306,555号明細書、
を含んでいる。
【0023】
クラスタのサイズは、レソルシノール−ホルムアルデヒド(RF)混合物中における触媒の濃度によって、調整することができる。特に、レソルシノール(R)と触媒(C)のモル比R/Cは、生成するゲルの表面積及び電気化学特性をコントロールする。好ましくは、本発明によれば、R/C比率は約50〜300である。他の一般的に参照とされる比(referenced ratios)は、レソルシノール(R)とホルムアルデヒド(F)の比R/F、及びレソルシノール(R)と水(W)の比R/Wを含んでいる。典型的には、R/F及びR/Wの各モル比は、約0.01〜10の範囲である。
【0024】
その後、ヒドロゲル・ゾルは、具体的には、エアロジェル構造を安定させ、かつ、硬化されたヒドロゲルを形成するのに十分な時間及び温度で、硬化される。典型的な硬化時間は、2時間〜5日間、又はそれ以上にわたる。典型的な硬化温度は25℃〜150℃にわたる。硬化時間を減少させることを望むのであれば、圧力は、1気圧(“atm”)以上とされる。硬化の後、RFエアロジェルは具体的には暗赤色又は黒色であり、また、実質上、透明である。有機エアロジェルの製造方法における次のステップは、ヒドロゲル・ゾルを乾かすことである。単純な蒸発によってこれらのゲルから、重合溶媒が除去される場合、大きな毛管力(capillary forces)が空孔に及ぼされ、崩壊された構造、すなわちxerogelを形成する。ゲル骨格を保持し、かつ、収縮を最小限にするために、超臨界条件(以下に記述)下で乾燥ステップを行なうことが望ましい。もし望むのであれば、通常の超臨界抽出ステップの前に、他の乾燥ステップを行ってもよい。例えば、乾いたエアロジェルを超臨界抽出に晒すのに先立って、硬化されたヒドロゲルが交換溶媒(例えば、アセトン)と接触され、乾いたエアロジェルを形成する溶媒交換ステップを行うことは典型的である。なぜなら、水が、液体二酸化炭素、通常の超臨界流体と混ざらないためである。同様に、交換ステップの代わりに又は交換ステップに加えて、硬化されたヒドロゲルから水を除去するために界面活性剤を使用してもよい。この除去操作から得られた高多孔性材料は、有機エアロジェルである。乾燥条件の適切な調整によって、xerogelとエアロジェルの両方の特性を備えたハイブリッド構造が生じるであろう。例えば、そのようなハイブリッドは、xerogel構造を促進する条件下でのゲル溶媒の部分蒸発と、その後のエアロジェル構造を促進する条件下での残存溶媒の蒸発の結果として、製造されるであろう。生成するハイブリッド構造は、その後、超臨界条件下で乾燥され、熱分解される。他のxerogel-エアロジェルハイブリッドの製造は、最初に、エアロジェル構造を促進する条件下で蒸発させ、xerogelの促進条件下での仕上げの蒸発によって、生じるであろう。
【0025】
上述したように、有機エアロジェルを形成するために、ヒドロゲルから水を除去するための1つの手段は、超臨界条件下でのゲルの抽出である。ここに使用されるように、“超臨界流体”(その分野では“超臨界溶液”又は“超臨界溶媒”とも呼ばれる)は、流体の温度及び圧力が各臨界の温度及び圧力よりも大きな流体の一つである。特定の流体の超臨界条件は、特定の流体の温度及び圧力のそれぞれ両方ともが臨界温度及び臨界圧力より大きな状態に関係がある。
【0026】
“ほぼ超臨界流体”は、ある1つの流体の換算温度(ケルヴィンで測定された実際の温度を、ケルヴィンで測定された溶液(又は溶媒)の臨界温度で割ったもの)、及び換算圧力(実際の圧力を流体の臨界圧力で割ったもの)が、両方とも0.8を超えるものである。しかし、その流体は超臨界流体ではない。特定の流体のほぼ超臨界状態は、換算温度及び換算圧力のそれぞれ両方ともが0.8を超える状態に関係がある。しかし、その状態は超臨界ではない。環境条件(ambient conditions)下では、流体は気体又は液体である。流体という用語は、また、2つ以上の異なる個々の流体の混合物を含んでいることを意味する。ここに使用されるように、用語“超臨界流体”、及び“超臨界状態”は、それぞれ、ほぼ超臨界流体、及びほぼ超臨界状態を含んでいることを意味する。
【0027】
抽出過程の温度及び圧力は、超臨界流体の選択に左右される。典型的には、温度は、250℃未満であり、そして、大抵の場合、圧力が典型的な50〜500気圧の間は100℃未満である。
【0028】
超臨界流体として使用することができる溶媒は、その分野で周知であり、しばしば密ガス(dense gases)とも呼ばれる(ソンタグ(Sonntag)外,熱力学への入門,古典統計(Classical and Statistical),第2版,ジョン・ワイリー・アンド・サンズ,1982年,P.40)。超臨界流体として使用される適切な溶媒は、例えば、二酸化炭素、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ジメチルエーテル、エタノール、水、及びそれらの混合物を含んでいる。本発明での使用において、二酸化炭素は好ましい超臨界流体である。例えば、333K及び150気圧におけるCO2の密度は0.60g/cm3であり、したがって、CO2に関して、換算温度は1.09であり、換算圧力は2.06であり、換算密度は1.28である。二酸化炭素は、超臨界流体の特によい選択である。その臨界温度(31.1℃)は、環境温度(ambient temperature)と近く、適度なプロセス温度(process temperatures(<80℃))の使用を可能にする。超臨界乾燥に必要な時間は、ゲルの濃度に左右される。適切な超臨界流体及び抽出条件の選択に関するその他の詳細は、当業者に知られている(例えば、マッキュー(McHugh)外,超臨界抽出法(Supercritical Fluid Extraction),法則と実践(Principles and Practice),バターワース,ボストン,1986年を参照)。
【0029】
硬化されたヒドロゲルが、中実度が約40wt%以上というように、十分に高密度である時、空孔網は、超臨界の乾燥状態に頼らずに乾燥プロセスに耐えるための十分な固有の強さ(inherent strength)を有しているであろう。したがって、二酸化炭素は、非超臨界の状態下で容器から除去されるであろう。非超臨界の乾燥は、処理時間の短縮のために特に好ましい。架橋を最大限にし、かつ、さらにゲルの密度を増加させるために、硬化サイクルが望ましいであろう。
【0030】
溶媒の交換/抽出ステップ及び任意の硬化サイクルに続いて、有機エアロジェルは、典型的には、約400〜2000℃という高い温度で、窒素、アルゴン、ネオン、又はヘリウムといった従来の典型的な不活性雰囲気中で熱分解され、熱分解されたエアロジェル(例えば、炭素エアロジェル)を形成する。熱分解温度は、熱分解されたエアロジェルの表面積及び構造を変えることができる。特に、より広い表面積は、より低い温度で達成される。生成したエアロジェルは、それらが熱分解される手順と無関係に、炭素マトリックスの可視光線の吸収特性によって黒色であり、透明ではない。
【0031】
本発明のエアロジェルは、具体的に、1グラム当たり約100〜2000平方メートル(“m2/g”)の表面積、1グラム当たり約0.5〜10立方センチメートル(“cm3/g”)の空孔容積、及び1立方センチメートル当たり約0.01〜2.0グラム(“g/cm3”)の密度を有している。そのような特性は、当業者であれば容易に決定することができる。例えば、表面積と空孔容積は、BET法(S.ブルノイア(S.Brunauer),P.H.エメット(P.H.Emmett),及びE.テラー(E.Teller),米国化学学会誌(J.Am.Chem.Soc.)60,309(1938))により決定することができる。また、密度は比重瓶(pycnometer)の使用により決定することができる。それらの詳細は当業者に知られている。
【0032】
本発明における金属エアロジェル組成物中のエアロジェルの量は、具体的には、組成物(すなわち、全固形物(すべての液体を除いた金属粒子とエアロジェル))の全重量に基づいて、約20〜99.9wt%、より具体的には約40〜99wt%、及び大抵の場合は約50〜90wt%である。本発明における金属エアロジェル組成物中の金属粒子の量は、具体的には、組成物の全重量に基づいて、約0.1〜80wt%、より具体的には約1〜60wt%、及び大抵の場合は約10〜50wt%である。
【0033】
本発明における組成物の中で使用される特定の金属粒子は、特に決まったものではない。金属粒子は、自由金属(すなわち、0の原子価)の形態又はイオンの形態(例えば、金属化合物の形態)であってもよい。本発明は特定の金属について限定してないが、適切な金属の例は、触媒作用の際に使用される典型的な金属を含んでいる。典型的な金属は鉄、コバルト、マグネシウム、ニッケル、チタン、クロム、銅、プラチナ、金、銀、ロジウム、ルテニウム、パラジウム、イリジウム、及び同種のものを含んでいる。好ましい金属はプラチナ、ロジウム、パラジウム、イリジウム、銀、金およびそれらの混合物を含んでいる。
【0034】
好ましくは、金属化合物(前駆物質)は、有機金属化合物の形態で供給される。典型的には、有機金属化合物は、1つ以上の有機配位子と結合した遷移金属で構成される。有用な有機金属化合物のいくつかの例は、以下の種類(classes)の配位子、
ベータ−ジケトネート(diketonates:例えば、銅(hfac)2又は白金(hfac)2、hfacは1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロアセチルアセトネート(hexafluoroacetylacetonateの略語である))、
アルキル(例えば、亜鉛(エチル)2、又はジメチル(シクロオクタジエン)白金(II)(CODPtMe2))、
アリル(例えば、ビス(アリル)亜鉛、又はタングステン(π4−アリル)4)、
ジエン(例えば、CODPtMe2)、
又はメタロセン(例えば、チタン(π5−C5H5)2、又はニッケル(π5−C5H5)2)、
を含んでいる。
好ましい有機金属化合物は、
ジメチル(シクロオクタジエン)白金(II)、
テトラアミン白金(II)塩化物、
プラチナ(II)ヘキサフルオロアセチルアセトネート、
(トリメチル)メチルシクロペンタジエニル白金(IV)、
ビス(シクロペンタジエニル)ルテニウム、
ビス(エチルシクロペンタジエニル)ルテニウム(II)、
ビス(ペンタメチルシクロジエニル)ルテニウム、
(メチルシクロペンタジエニル)(1,5−シクロオクタジエン)イリジウム(I)、
及びそれらの混合物を含んでいる。
新たな潜在的な有機金属化合物のリストに関しては、例えば、M.J.ハンプデン−スミス(M.J.Hampden−Smith)及びT.T.コダス(T.T.Kodas)、化学蒸着、1:8(1995)を参照。所望のエアロジェル組成物を作るための、適切な有機金属化合物の選択に関するその他の詳細は、当業者に知られている。そのような材料は商業上利用可能である。
【0035】
本発明によれば、金属粒子は、金属粒子の数に基づいて、約4ナノメートル以下の平均粒径を有している。具体的に、金属粒子の平均粒径は、約3ナノメートル以下、好ましくは1〜2ナノメートル、より好ましくは約1ナノメートルである。ここに使用されるように、用語“平均粒径”は平均直径(その分野では“有効径”とも呼ばれる)を意味する。平均粒径を測定するための好ましい技術は、電子顕微鏡写真、例えば、透過型電子顕微鏡(“TEM”)から、代表的ないくつかの粒子の直径を測定し、平均値を計算することである。別の方法は、金属表面積の合計が測定される水素又はCOの化学吸着である。この情報は、その後、金属直径の平均値を計算するために使用される。金属粒子の平均粒径を測定するための技術に関するその他の詳細は、当業者に知られている。
【0036】
更に、本発明によれば、化学蒸着法又は化学液体析出法において必要とされるような、エアロジェルの表面上に金属化合物の析出を促進するための反応試薬(例えば、H2、H2S、O2、又はN2O)を含むことは必要ではない。好ましくは、本発明によれば、金属化合物は実質的に(金属化合物の)反応試薬がない部分に析出される。好ましくは、金属化合物を含んでいる超臨界流体は、超臨界流体、反応試薬、及び金属化合物の全重量に基づいて、5wt%未満、より好ましくは1wt%未満、最も好ましくは0.1wt%未満の反応試薬を備えている。好ましくは、本発明によれば、エアロジェル表面上における金属化合物の超臨界析出中に、金属化合物に化学変化はない。以下に述べるように、化学変化、例えば水素による還元が望まれる時、金属化合物がエアロジェル上に析出された後まで、化学変化は行われない。
【0037】
非常に驚くべきことに、本発明によれば、エアロジェル組成物は、非常に狭い金属粒子の粒径分布を有しうるということが見いだされた。典型的には、金属粒子が、金属粒子の数に基づいて、約4ナノメートル以下の平均粒径を有している場合、約20%未満の金属粒子は約5ナノメートル以上の粒径を有している。典型的には、金属粒子が、約3ナノメートルの平均粒径を有している場合、約20%未満の金属粒子は約4ナノメートル以上の粒径を有しており、また、約20%未満の金属粒子は約2ナノメートル以下の粒径を有している。典型的には、金属粒子が、約2ナノメートルの平均粒径を有している場合、約20%未満の金属粒子は約3ナノメートル以上の粒径を有しており、また、約20%未満の金属粒子は約1ナノメートル以下の粒径を有している。好ましくは、約20%未満の金属粒子は約3ナノメートル以上の粒径を有しており、また、約20%未満の粒子は約1ナノメートル未満の粒径を有している。より好ましくは、金属粒子が、金属粒子の数に基づいて、約1ナノメートルの平均粒径を有している場合、約20%未満の金属粒子は約2ナノメートル以上の粒径を有しており、また、約20%未満の金属粒子は約1ナノメートル未満の粒径を有している。粒径分布は、上述されたTEM顕微鏡写真図から粒径のヒストグラムを生成することにより、容易に決定される。
【0038】
発明の好適態様によれば、金属エアロジェル組成物の製造方法を提供する。金属エアロジェル組成物は、エアロジェルを金属化合物を含んでいる超臨界流体に接触させることで構成される。金属化合物の濃度は、エアロジェル内に分散された所望量の金属粒子を提供するのに十分であるべきである。
【0039】
発明の別の態様では、ヒドロゲル・ゾルの製造方法において、金属化合物は、反応物、例えばモノマーと共に加えることができる。これは、エアロジェルを金属化合物を含んでいる超臨界流体に接触させるのに加えて、又はこの接触の代わりに、行うことができる。発明のさらに別の態様では、金属粒子をエアロジェルの表面に含浸させうることは、当業者に知られた技術である。
【0040】
金属エアロジェル組成物は、イオンの状態又は自由金属の状態にある金属と共に使用することができる。自由金属の状態が望まれる場合、当業者に知られた任意の方法(例えば、第2の熱分解ステップ(例えば、約50℃から2000℃の温度)を行ったり、又は金属エアロジェル組成物を、例えば水素のような還元ガスと接触させたる)によって、イオン形態の金属を還元することができ、還元された金属エアロジェルを形成する。好ましくは、金属粒子は、少なくとも約50m2/g、好ましくは少なくとも100m2/g、より好ましくは少なくとも200m2/g、最も好ましくは少なくとも300m2/gの表面積を有している。
【0041】
発明の1つの好適態様においては、金属エアロジェル組成物の製造方法は、
液体培地中で少なくとも2つのモノマーを重合し、ヒドロゲル・ゾルおよび液体培地を含んでいる重合製品を形成すること、
ヒドロゲル・ゾルを硬化させ、硬化されたヒドロゲルを形成すること、
硬化されたヒドロゲルから液体培地の少なくと一部を除去し、有機エアロジェルを形成すること、
有機エアロジェルを熱分解し、熱分解されたエアロジェルを形成すること、
及び、熱分解されたエアロジェルを金属化合物を含んでいる超臨界流体に接触させ、金属エアロジェルを形成すること、
を含んでいる。
【0042】
発明の別の好適態様においては、金属エアロジェル組成物の製造方法は、
液体培地中で少なくとも2つのモノマーを重合し、ヒドロゲル・ゾルおよび液体培地を含んでいる重合製品を形成すること、
ヒドロゲル・ゾルを硬化させ、硬化されたヒドロゲルを形成すること、
硬化されたヒドロゲルから液体培地の少なくとも一部を任意に除去し、乾いたエアロジェルを形成すること、
乾いたエアロジェル又は硬化されたエアロジェルを第1の超臨界流体に接触させ、有機エアロジェルを形成すること、
有機エアロジェルを熱分解し、熱分解されたエアロジェルを形成すること、
及び、熱分解されたエアロジェルを第2の超臨界流体に任意に接触させ、金属エアロジェルを形成すること、
を含んでおり、
上記第1の超臨界流体又は上記第2の超臨界流体の少なくとも一方は、金属化合物を備えることにおいて特徴づけられる。
【0043】
したがって、本発明のこの態様によれば、第1の超臨界流体又は第2の超臨界流体のいずれか、又はそれらの両方は、金属化合物を含む。
【0044】
本発明の方法は、必要であれば、さらなるステップを含んでいてもよい。例えば、発明の好適態様は、金属エアロジェルをポリマー電解質に接触させるステップをさらに含んでいる。ポリマー電解質としては、例えば、ナフィオン(Nafion(登録商標))溶液、(H+)形態の過フルオロスルホン酸(perfluorosulfonic asid)/PTFE共重合体の5%溶液として、E.I.デュポン・ヌムール・アンド・カンパニー(E.I.du Pont de Nemours and Company)、ウィルミントン、デラウェア州から入手可能なポリマー電解質がある。好ましくは、接触はエアロジェルに金属粒子を混入した後に行う。
【0045】
本発明の組成物の形態は、特に決まったものではない。典型的な形態は、粒子、押出物(extrudate)、小球(pellets)、薄膜、コーティング、ファイバー、および同様なものを含んでいる。同様に、本発明の組成物は、様々な最終用途に適用することができ、例えば、燃料電池電極において、化学反応(例えば、水素化あるいは脱水素反応、酸化、異性化、改質、水素化分解、重合など)用の触媒として使用される。本発明の組成物を、燃料電池電極、例えばPEM電極として使用することは、特に好ましい。
【0046】
本発明のある好適態様は、以下のように例示される。
【0047】
プラチナが担持された炭素エアロジェルを製造するための本発明の1つの例示は、プラチナ前駆物質(例えば、Pt(NH3)4Cl2)を、レソルシノール、ホルムアルデヒド、及び炭酸ナトリウムと共に、溶液中に入れることを含んでいる。レソルシノール及びホルムアルデヒドは重合し、その後硬化される。その後、アセトンを使用し、水がマトリックスから抽出される。次に、アセトンの超臨界二酸化炭素抽出は、結果として、プラチナ錯体を、有機的なレソルシノール−ホルムアルデヒド(RF)エアロジェルのマトリックス中に、均一に分散させる。次に、そのマトリックスは、窒素雰囲気下で熱分解に晒され、結果として、プラチナ金属が担持された炭素エアロジェルが得られる。
【0048】
RFエアロジェルの硬化時間は、約50℃−200℃、好ましくは約100℃−200℃、より好ましくは約110℃−140℃の温度範囲で硬化を行い、例えば、ガラスライニングされた鋼容器中、1気圧以上(例えば、1−5気圧)の圧力下でプロセスを実行することによって、減少させることができる。さらに、アセトン交換を必要とすることなく、RFエアロジェルから水を直接除去するため、界面活性剤を使用してもよい。
【0049】
プラチナが担持された炭素エアロジェルを製造するための本発明の別の例示は、RFエアロジェルのサンプルを、内部に溶解され、プラチナ前駆物質(例えば、CODPt(CH3)2)を含んでいる超臨界CO2溶液に接触させることを含んでいる。プラチナ前駆物質はエアロジェルの表面に吸着される。その後、水素はプラチナ前駆物質を還元し、プラチナ金属とするために使用される。その後、RFエアロジェルは減圧され、熱分解に晒され、結果として、プラチナ金属が担持された炭素エアロジェルが得られる。
【0050】
この例示では、プラチナ前駆物質を還元し、プラチナ金属とするための水素を使用する代わりに、RFエアロジェルを減圧し、その後、窒素雰囲気下の熱分解に晒すようにしてもよい。プラチナ金属は、プラチナ前駆物質の熱還元により生じる。
【0051】
本発明の別の例示は、炭素エアロジェルにプラチナ前駆物質(例えば、CODPtMe2)を含浸させることを含む。プラチナ前駆物質は、窒素雰囲気下で熱分解することにより、エアロジェルのマトリックス内に細かく分散したプラチナ金属に変わる。また、雰囲気は、水素と任意の不活性ガスとの混合物であってもよい。
【0052】
本発明の別の例示は、溶剤の媒体として超臨界の二酸化炭素(scCO2)を使用し、プラチナ(Pt)を含んでいる有機金属の錯体が含浸されたシリカエアロジェルを含む。
【0053】
反応物(モノマー)の濃度、硬化時間及び温度、含浸状態、熱分解温度及び圧力のような製造条件は、すべて適切に変更することができ、結果として生じる材料の特性をコントロールする。例えば、第2の例示による方法を使用して製造されたプラチナ担持のRFエアロジェルは、200℃の脱ガス中に黒色に変色した。これは、熱分解中、プラチナが触媒として作用していたことを示していた。したがって、本発明に従えば、実質的により低い熱分解温度を用いてもよい。これは、通常の高い熱分解温度にはほとんど耐えられない薄膜のような他の材料に、エアロジェルを組み込む際に重要である。
【0054】
本発明は、実施例に関して以下に詳述するが、この実施例は、その後に示す請求項の範囲を制限することを意図するものではない。
【実施例1】
【0055】
(例1)
RFエアロジェルの製造方法
RFエアロジェルは、レソルシノールをホルムアルデヒドと反応させることによって合成された。各実行については、2グラム(g)のレソルシノールを、試験管中の2.38gの水に溶かした。続いて、0.019gの炭酸ナトリウム及び2.95gのホルムアルデヒドの溶液が加えられた。
【0056】
その後、管をゴム栓によって密閉し、揺動により内容物を混合した。チューブは、室温で一(1)日間、50℃で一(1)日間、および90℃で三(3)日間保持された。1日目の終わりに、管中の溶液はゲル化し、黄−オレンジ色を呈した。硬化期間中、ゲルは次第により黒っぽくなり、最終的に濃い赤−黒色となった。90℃期間の終わりに、モノリス(monolith)は試験管から取り出され、およそ200ミリリットル(ml)のアセトン中に浸漬された。そこで、それは二(2)日の期間の間、保持された。続いて、アセトンは超臨界的に抽出された。
【0057】
超臨界の二酸化炭素抽出は、高圧容器(54cm3の内容積)を用いて行った。高圧容器は、316ステンレス鋼でカスタム製造され、ポリ(エーテルエーテルケトン)(PEEK)シールで両側が密閉された2つのサファイア製窓(直径=1.25インチ(約3.18cm)、厚さ=0.5インチ(約1.27cm))を有していた。
【0058】
典型的な実験では、その容器はアセトンで満たされ、モノリスは容器内に配置された。その容器は、シリンジ・ポンプ(ISCO、リンカーン、ネブラスカ州、モデル・260D)からのCO2で、非常にゆっくりと満たされた。容器は、背圧調整装置に接続された。背圧調整装置は、系の圧力を200バール(20MPa)に保持した。アセトンは液体のCO2によって置き換えられた。これは、2相系から単相系への変化から明白である。その後、容器は、再循環ヒーター/冷却器(フィッシャー)により、機械加工された内部コイルを通じて、所望の温度(50℃)に加熱された。
【0059】
抽出は、排出液の流れ中にアセトンを検知できなくなるまで、四(4)時間の期間の間、継続された。この方法は、通常、およそ400gのCO2を必要とする。温度は、各実験中、0.5℃の変動量でコントロールされた。圧力は、圧力変換器(オメガ・エンジニアリング、スタンフォード、コネチカット州、モデル・PX01K1-5KGV)を用いて測定された。抽出期間の終わりに、容器は、50℃の温度でゆっくりと減圧された。減圧は、およそ三(3)時間を要した。
【0060】
一旦減圧が完了したら、容器は開けられ、モノリスはRFエアロジェルとして取り出された。それは2.9g(理論的収量=3.09g)の重さであり、このことは、ほとんど全てのレソルシノールおよびホルムアルデヒドが重合され、処理中に極僅かの重量損失が生じたことを示している。モノリスの形状および体積は、抽出及び減圧工程の間中、一定に保たれた。
【0061】
RFエアロジェルの特性は、BET窒素吸着法によって調べられた。エアロジェルの一部は、粉砕されて粉末とされ、分析された。エアロジェルの一部は大きな片群に砕かれ、その片の1つが分析された。RFエアロジェル及び炭素エアロジェル(CA)の、BETの表面積(SA)及び間隙径分布は、マイクロメリティックス(Micromeritics)・ASAP2010計器で、少なくとも九十(90)ポイントの窒素吸着/脱着分析により得られた。全てのサンプルは、任意の吸着−脱着測定に先立って、100℃(RF用)及び200℃(CA用)で脱ガスされた。BETのSAは、0.03〜0.30の相対圧力範囲に関するBET方程式の線形部分から計算された。間隙径分布は、バレット、ジョイナー、およびハレンダ(Halenda)(BJH)法を用い、計器のソフトウェアに組み入れることで導き出された。それらの詳細は当業者に知られている。
粉末形態:
BETの表面積: 888m2/g
空孔容積: 1.24cm3/g
平均空孔直径: 5.5ナノメートル(“nm”)、(BJH脱着法から)
大きな片の形態:
BETの表面積: 873m2/g
空孔容積: 1.49cm3/g
平均空孔直径: 6.3nm(BJH脱着法から)
【0062】
データは、粉砕された時、空孔構造が実質上損なわれなかったことを示している。粉砕に際して、空孔容積及び平均空孔直径の軽微な減少があるように見える。粉砕及び非粉砕の両サンプルの、ヒステリシスループ形状は、タイプEである。
【実施例2】
【0063】
(例2)
アセトン−水交換
アセトン中の浸漬時間の影響を調べるために、3つのモノリスが、上述の例1において与えられた手順と反応組成物を使用し、準備された。あるサンプルは一(1)日の間、あるサンプルは二(2)日の間、及びあるサンプルは5日の間、アセトン浴中に放置され、その後、フレッシュなアセトン中で、1時間、超音波処理した。続いて、例1において上述した超臨界の二酸化炭素を使用し、アセトンが、サンプルから抽出された。
【0064】
減圧後、ペレットの重量は、2.84〜2.90gの間で変動した。このことは、アセトン中の浸漬時間が、水置換重量に対して影響がないことを示している。アセトン中でのサンプルの超音波処理は、アセトン−水交換工程を劇的に促進させたと考えられる。
【実施例3】
【0065】
(例3)
炭素エアロジェルの製造方法
例1に従って作られたRFエアロジェルは、不活性な窒素雰囲気中での熱分解によって、炭素エアロジェルに変換された。モノリシック(monolithic)形態のRFエアロジェルは、石英管内に配置された。石英管は、管状の炉内に配置された。その管の一端は、窒素シリンダに接続された。
【0066】
窒素の流量は、調整装置の後段に置かれたニードル弁を使用してコントロールされた。その管の他端は、窒素の流量を測定するために、石鹸泡計(soap bubble meter)に接続された。窒素の流量は、100cm3/minに調節された。また、炉は、窒素流下において1000℃まで加熱された。加熱速度は、ほぼ5℃/minであった。炉の内部温度は、およそ六(6)時間で1020℃に達した。
【0067】
炉は、さらに五(5)時間、この温度で保持された。続いて、炉は止められ、窒素流で夜通し冷却された。管から取り出された材料は黒色であった。また、そのサイズは、原材料と比較して縮んだように見えた。
大きな片の形態:
BETの表面積: 741m2/g
空孔容積: 0.77cm3/g
平均空孔直径: 3.4nm(BJH脱着法から)
【0068】
その分析は、熱分解中において、表面積の損失が深刻ではなかったことを示している。しかしながら、観察された量の縮小に応じて、空孔容積は減少し、平均空孔直径も同様に減少した。
【実施例4】
【0069】
(例4−11)
エアロジェルの特性に対する反応物濃度の影響
エアロジェルの特性に対する反応物の濃度及び触媒の影響を調べるために、上に説明したように、様々な溶液を準備し、処理を行った。エアロジェルの特性は表1に示される。
【0070】
【表1】

エアロジェルの特性に対する反応組成物の影響
【実施例5】
【0071】
(例12)
エアロジェル表面のプラチナの含浸
例1に従って作られたRFエアロジェルは、プラチナを含んでいる有機金属の錯体で含浸され、続いて、熱分解によってプラチナ金属及び炭素エアロジェルに還元された。
【0072】
0.8gのRFエアロジェル(2片)は、細かく粉砕された0.150gのジメチル(シクロオクタジエン)白金(II)(CODPtMe2)と共に、例1に上述された容器内に配置された。その容器は、80℃に熱され、2250psig(約15.50MPa)になるまで二酸化炭素で満たされた。その系は6時間後に減圧され、0.85gの重さとなった。これは、50ミリグラム(mg)のプラチナ錯体がRFエアロジェル上に吸着されたことを示している。そのRFエアロジェル片は、例3において述べたように、熱分解され、プラチナが担持された0.42gの炭素エアロジェルが生じる。概算のプラチナ含有量は7wt%であった。
【0073】
サンプルも同様に、そのプラチナ含有量によって特徴づけられた。サンプルは、最初に、EPA3010の方法に基づいて、窒素及び塩化水素で消化(digest)された。続いて、サンプルは約四(4)時間、熱い窯(block)内に入れられた。次に、溶液は、EPA法6010Bに基づいて、電磁結合質量分析(Inductively Coupled Mass Spectrometry)(パーキン・エルマー、ノーウォーク、コネチカット州、AS91・オートサンプラー(Autosampler)を備えたモデル・オプティマ・3300XL)によって分析された。サンプルは、5.6wt%のプラチナ含有量を持っていた。その値は重量測定で計算された値に近い。
【実施例6】
【0074】
(例13)
ゾルに添加された金属化合物
2gのレソルシノールは、試験管内の1.5gの水に溶かされた。この溶液に、0.019gの炭酸ナトリウムが添加された。また、透明な溶液が得られるまで、その管は揺動された。個別のガラス瓶の中で、0.05gのテトラアミン白金(II)塩化物、Pt(NH3)4Cl2は1.18gの水に溶かされ、その溶液は管内に加えられた。その管はゴム栓によって密閉された。
【0075】
その管は、室温で一(1)日間、50℃で一(1)日間、及び90℃で三(3)日間、保持された。1日目の終わりには、管内の溶液はゲル化し、褐色を帯びた色を呈した。90℃での3日後に、管は炉から取り出され、冷却された。モノリスはオレンジ色を呈しており、重量損失はなかった。モノリスは2日間アセトン浴に浸漬された。1時間のフレッシュなアセトン中での超音波処理の後、アセトンは上述したscCO2によって抽出された。プラチナが担持されたRFエアロジェルは、例3において上述したように熱分解され、プラチナが担持された炭素エアロジェルが生じる。BETの分析及び水素化学吸着研究の結果は、以下に与えられる。
粉末の形態:
BETの表面積: 545m2/g
空孔容積: 1.34cm3/g
平均空孔直径: 20.5nm
水素化学吸着:
金属の分散:31%(ゾル内に入れられたプラチナのオリジナル量に基づく)
金属の表面積:0.79m2/g(サンプル)
【実施例7】
【0076】
(例14)
ゾルに添加された金属化合物
2gのレソルシノールは、試験管内の1.5gの水に溶かされた。この溶液に、0.019gの炭酸ナトリウムが添加された。また、透明な溶液が得られるまで、その管は揺動された。個別のガラス瓶の中で、0.05gのテトラクロロ白金酸カリウム(potassium tetrachloroplatinate)は1.18gの水に溶かされ、その溶液は管内に加えられた。その管はゴム栓によって密閉された。その管は、室温で一(1)日間、50℃で一(1)日間、及び90℃で三(3)日間、保持された。1日目の終わりには、管内の溶液はゲル化し、褐色を帯びた色を呈した。90℃での3日後に、管は炉から取り出され、冷却された。モノリスはオレンジ色を呈しており、重量損失はなかった。モノリスは2日間アセトン浴に浸漬された。1時間のフレッシュなアセトン中での超音波処理の後、アセトンは上述した超臨界のCO2によって抽出され、サンプルは熱分解された。
【実施例8】
【0077】
(例15)
二酸化炭素によるエアロジェル表面のプラチナ析出
例3に上述したのと同様にして準備された炭素エアロジェルは、小さな片に砕かれた。1.229gの炭素エアロジェルの小さな片、250mgの細かく粉砕されたジメチル(シクロオクタジエン)白金(II)(CODPtMe2)、及び磁気撹拌棒が、破裂板(rupture disk)アセンブリー、2つのサファイア製窓、及び1台の圧力変換器を備えた50MLの高圧容器内に入れられた。その容器は、電磁撹拌機上に載せられ、80℃まで熱せられ、また、4000psig(約27.56MPa)になるまで二酸化炭素で満たされた。その容器は、24時間の間、これらの状態に保たれた。24時間後、その容器は減圧され、CODPtMe2が担持された炭素エアロジェルは、容器外に取り出された。その重さは1.449gであった。このことは、220mgの前駆物質が炭素エアロジェルに吸着されたことを示している。
【実施例9】
【0078】
(例16)
プラチナの還元
例15におけるCODPtMe2が担持された593.2mgの炭素エアロジェルは、例3の熱分解に使用されたように、石英管内に配置され、炉内で窒素流下、350℃まで加熱された。それは6時間の間、350℃で保持された。この期間中、CODPtMe2はプラチナ金属に変換された。続いて、炉は止められ、管は、窒素流下で冷却された。プラチナが担持された炭素エアロジェルの片は、管から取り出され、粉砕されて粒子とされた。TEMによる粒子の分析は、炭素エアロジェルマトリックス内に、1nmの平均粒径を備えた小さなPt晶子(crystallites)が均一に分散していることを示していた。
【0079】
別のサンプルは、例15および16において前述した手順に従って準備され、それらの結果は、以後の表2に述べられる。
【0080】
【表2】

プラチナが担持された炭素エアロジェル粒子の特性
【0081】
プラチナ粒径は、透過型電子顕微鏡(TEM)(モデル・2010、FAS JEOL)を用いて測定された。
【実施例10】
【0082】
(例17)
プラチナの還元
例15におけるCODPtMe2が担持された614.1mgの炭素エアロジェルは、例3の熱分解に使用されたように、石英管内に配置され、炉内で窒素流下、500℃まで加熱された。それは6時間の間、500℃で保持された。この期間中、CODPtMe2はプラチナ金属に変換された。続いて、炉は止められ、管は、窒素流下で冷却された。プラチナが担持された炭素エアロジェルの片は、管から取り出され、粉砕されて粒子とされた。TEMによる粒子の分析は、炭素エアロジェル・マトリックス内に、1.2nmの平均粒径を備えた小さなPt晶子(crystallites)が均一に分散していることを示していた。
【実施例11】
【0083】
(例18)
シリカ・エアロジェル表面のプラチナ担持
ランダムサイズのシリカエアロジェルは、マーケテック(Marketech)・インターナショナル社から購入された。また、有機的な前駆物質、ジメチル(シクロオクタジエン)白金(II)(CODPtMe2)は、STREMケミカルズから購入され、全く精製することなく、使用された。シリカエアロジェルは白っぽい色調を呈しており、透明であった。
【0084】
一定量のこのモノリシックエアロジェル(842.5mg)は、細かく粉砕された374.6mgのプラチナ前駆物質と共に、高圧容器(54ccの内容積)内に配置された。高圧容器は、316ステンレス鋼でカスタム製造され、その両端がPEEKシールで密閉された2つのサファイア製窓(直径=1.25インチ(約3.18cm)、厚さ=0.5インチ(約1.27cm))を備えていた。
【0085】
容器は、80℃まで加熱され、また、4000psig(約27.56MPa)になるまで二酸化炭素で満たされた。およそ2.5時間で、全てのCODPtMe2は溶け、エアロジェル内に吸着された。その容器は、吸着平衡が達成されたことを保証するために、24時間の間、これらの状態に保たれた。その系は、60℃で3時間の間、ゆっくりと減圧され、次に、室温まで冷却された。そのサンプルは、容器外に取り出され、重量測定された。最終重量は1059.3mgであり、これは216.8mgの前駆物質(およそ20wt%)が担持されていることに相当する。エアロジェル複合材料は依然として損なわれていなかった。また、その色は黒く変色していたが、依然として、ぼんやりと透明であった。このことは、これらの条件下で前駆物質のプラチナ金属への転化が若干生じたことを示している。
【0086】
この(804.4mgの)エアロジェル複合材料の塊は、石英管内に配置され、次に、サーモライン(Thermolyne)環状炉(モデル・F21125)を用い、100ml/minの窒素ガス流下で、6時間、300℃まで加熱した。エアロジェルは室温まで冷却され、重量測定された。最終重量は736.0mgであり、プラチナ担持の13%に相当しており、前駆物質のプラチナ金属への転化が完了していたことを示している。複合材料の色は真っ黒であり、色は全体に均一であった。それは不透明であったが、損なわれていなかった。
【0087】
当業者は、発明が特定の態様に関して記述されており、他の態様が、以下の請求項の範囲内にあることが意図されることを認識するであろう。例えば、所望の特性、例えば伝導率を達成するために、さらなる材料を、エアロジェルの製造中にエアロジェルに組込む又はエアロジェルの生成後にエアロジェルに組込んでもよい。さらに、他に定義されなかった場合、ここに使用される全ての技術・科学用語は、この発明が属する技術の当業者によって一般に理解されることと同じ意味を持っている。ここに記述されたものと同様又は均等の方法及び材料が、本発明の実施又は試験の際に使用されうるが、好ましい方法及び材料は上述された。ここで述べられた全ての出版物、特許出願、特許、及び他の参照文献は、それらの全体が参照により組込まれる。抵触の場合、本明細書は定義を含んでおり、コントロールするであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも約0.5cm3/gの空孔容積を有する空孔を含むエアロジェルと、少なくとも100m2/gの表面積を有する表面と、その表面上に分散された金属粒子とを備え、上記金属粒子が、金属粒子の数に基づいて、約4ナノメートル以下の平均粒径を有する組成物。
【請求項2】
金属粒子の数に基づいて、約20%未満の金属粒子が約5ナノメートル以上の粒径を有している請求項1記載の組成物。
【請求項3】
上記金属粒子が、金属粒子の数に基づいて、約3ナノメートル以下の平均粒径を有し、約20%未満の金属粒子が約4ナノメートル以上の粒径を有している請求項1記載の組成物。
【請求項4】
上記金属粒子が、金属粒子の数に基づいて、約1〜2ナノメートルの平均粒径を有しており、約20%未満の金属粒子が約3ナノメートル以上の粒径を有しており、また、約20%未満の粒子が約1ナノメートル未満の粒径を有している請求項1記載の組成物。
【請求項5】
上記金属粒子が、金属粒子の数に基づいて、約1ナノメートルの平均粒径を有しており、約20%未満の金属粒子が約2ナノメートル以上の粒径を有しており、約20%未満の金属粒子が約1ナノメートル未満の粒径を有している請求項1記載の組成物。
【請求項6】
組成物の全重量に基づいて、約0.1〜80wt%の割合で金属粒子を備える請求項1記載の組成物。
【請求項7】
金属粒子が、少なくとも50m2/gの表面積を有する請求項1記載の組成物。
【請求項8】
金属粒子が、自由金属又は金属化合物の形態である請求項1記載の組成物。
【請求項9】
その金属が、鉄、コバルト、マグネシウム、ニッケル、チタン、クロム、銅、プラチナ、金、銀、ロジウム、ルテニウム、パラジウム、イリジウム、及びそれらの混合物から成る群から選択される請求項8記載の組成物。
【請求項10】
エアロジェルが、約100〜2000m2/gの表面積を有する請求項1記載の組成物。
【請求項11】
エアロジェルが、約0.5〜10cm3/gの空孔容積を有する請求項1記載の組成物。
【請求項12】
エアロジェルが、約0.01〜2.0g/cm3の密度を有する請求項1記載の組成物。
【請求項13】
エアロジェルが炭素を含む請求項1記載の組成物。
【請求項14】
エアロジェルが、シリカ、アルミナ、チタニア、バナジア(vanadia)、ニオビア(niobia)、ジルコニア、タンタラ(tantala)、及びそれらの混合物から成る群から選択される少なくとも1つの酸化物を含む請求項1記載の組成物。
【請求項15】
さらに高分子電解質を含む請求項1記載の組成物。
【請求項16】
粒子、薄膜、又はファイバーの形態である請求項1記載の組成物。
【請求項17】
金属エアロジェル組成物を製造するための方法であり、エアロジェルを、金属化合物を含んでいる超臨界流体に接触させることを備える方法。
【請求項18】
金属化合物が有機金属化合物である請求項17記載の方法。
【請求項19】
有機金属化合物が、
ジメチル(シクロオクタジエン)白金(II)、
テトラアミン白金(II)塩化物、
プラチナ(II)ヘキサフルオロアセチルアセトネート、
(トリメチル)メチルシクロペンタジエニル白金(IV)、
ビス(シクロペンタジエニル)ルテニウム、
ビス(エチルシクロペンタジエニル)ルテニウム(II)、
ビス(ペンタメチルシクロジエニル)ルテニウム、
(メチルシクロペンタジエニル)(1,5−シクロオクタジエン)イリジウム(I)、
及びそれらの混合物、
から成る群から選択される請求項17記載の方法。
【請求項20】
超臨界流体が、二酸化炭素、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ジメチルエーテル、エタノール、水、及びそれらの混合物から成る群から選択される請求項17記載の方法。
【請求項21】
さらに、金属化合物を自由金属に有効に還元する温度まで、金属エアロジェル組成物を加熱することを含んでいる請求項17記載の方法。
【請求項22】
その温度が、約50℃〜2000℃である請求項21記載の方法。
【請求項23】
金属エアロジェル組成物を製造するための方法であり、
液体培地中で少なくとも2つのモノマーを重合させ、ヒドロゲル・ゾル及び液体培地を含んでいる重合製品を形成すること、
ヒドロゲル・ゾルを硬化させ、硬化されたヒドロゲルを形成すること、
硬化されたヒドロゲルから液体培地の少なくとも一部を取り除き、有機エアロジェルを形成すること、
有機エアロジェルを熱分解し、熱分解されたエアロジェルを形成すること、
及び熱分解されたエアロジェルを、金属化合物を含んでいる超臨界流体に接触させ、金属エアロジェルを形成すること、
を備える方法。
【請求項24】
さらに、金属エアロジェルを還元し、還元された金属エアロジェルを形成することを備える請求項23記載の方法。
【請求項25】
上記熱分解が、400℃〜2000℃の温度で行なわれる請求項23記載の方法。
【請求項26】
金属エアロジェル組成物を製造するための方法であり、
(a) 液体培地中で少なくとも2つのモノマーを重合させ、ヒドロゲル・ゾル及び液体培地を含んでいる重合製品を形成すること、
(b) ヒドロゲル・ゾルを硬化させ、硬化されたヒドロゲルを形成すること、
(c) 硬化されたヒドロゲルから液体培地の少なくとも一部を任意に除去し、乾いたエアロジェルを形成すること、
(d) 乾いたエアロジェル又は硬化されたエアロジェルを第1の超臨界流体に接触させ、有機エアロジェルを形成すること、
(e) 有機エアロジェルを熱分解し、熱分解されたエアロジェルを形成すること、
及び(f) 熱分解されたエアロジェルを第2の超臨界流体に任意に接触させ、金属エアロジェルを形成すること、
を備え、
上記第1の超臨界流体又は上記第2の超臨界流体の少なくとも一方が、金属化合物を含むことを特徴とする方法。
【請求項27】
さらに、金属エアロジェルを還元し、還元された金属エアロジェルを形成することを備える請求項26記載の方法。
【請求項28】
上記第1の超臨界流体が金属化合物を含む請求項26記載の方法。
【請求項29】
上記第2の超臨界流体が金属化合物を含む請求項26記載の方法。
【請求項30】
重合が、金属化合物の存在下で行われる請求項26記載の方法。
【請求項31】
上記硬化が、約50℃〜200℃の温度で行われる請求項26記載の方法。
【請求項32】
さらに、金属エアロジェルを高分子電解質に接触させることを備える請求項26記載の方法。

【公表番号】特表2006−504508(P2006−504508A)
【公表日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2003−557714(P2003−557714)
【出願日】平成14年12月20日(2002.12.20)
【国際出願番号】PCT/US2002/041205
【国際公開番号】WO2003/057367
【国際公開日】平成15年7月17日(2003.7.17)
【出願人】(504240153)エアロジェル・コンポジット・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー (1)
【出願人】(502139046)ユニヴァーシティ オブ コネチカット (2)
【Fターム(参考)】