説明

エギゾーストマニホルド

【課題】触媒の早期活性化を図ることができると共に、生産性がよいエギゾーストマニホルドを得る。
【解決手段】第1〜第4排気ポートの排気順序が第1、第3、第4、第2で、排気順序が連続しない第1排気ポートと第4排気ポートとの排気ポート群及び第2排気ポートと第3排気ポートとの排気ポート群に分ける。それぞれ板材からプレス成形した第1上側外殻部材38と下側外殻部材24とを重ね合わせて第2排気ポートと第3排気ポートとの排気ポート群に接続する第1流路32を形成する。第1上側外殻部材38及び下側外殻部材24に板材からプレス成形した第2上側外殻部材50を重ね合わせて第1排気ポートと第4排気ポートとの排気ポート群に接続する第2流路57を形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関の各排気ポートからの排気を下流側の排気管に導くエギゾーストマニホルドに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、内燃機関の各排気ポートにそれぞれ接続され、各排気ポートからの排気を下流側の排気管に導く種々のエギゾーストマニホルドが知られている。
例えば、触媒の早期活性化と、内燃機関出力性能の向上との両立を図るために、特許文献1にあるように、表半体、仕切体、裏半体の3枚の板金製部材を重ね合わせて、表半体と仕切体との間に、第2排気ポートと第3排気ポートに連通した第2排気管と第3排気管を形成し、仕切体と裏半体との間に、第1排気ポートと第4排気ポートに連通した第1排気管と第4排気管とを形成したエギゾーストマニホルドが提案されている。
【0003】
また、特許文献2にあるように、プレス成形した上側外殻部材と下側外殻部材とを重ね合わせて第1〜第4枝管部と集合管部とを形成し、また、第1、第2枝管部から集合管部に流入する排気、及び第3、第4枝管部から集合管部に流入する排気を仕切る仕切板を、下側外殻部材に取り付け、更に、仕切板は、第2排気ポート及び第3排気ポートに接続された一対の第2、第3枝管部を合流させて、集合管部内に開口する排気流路を形成したエギゾーストマニホルドも提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−89064号公報
【特許文献2】特開2007−154660号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、こうした従来の前者のものでは、表半体と仕切体とを溶接した後、これを裏返して裏半体と仕切体とを溶接するので、生産性が低く、溶接箇所が多くなり、しかも、仕切体により第1〜第4排気管を仕切るので仕切体が大型化し、仕切体の平坦部が大きくなり、これにより、仕切体の剛性が低くなって振動対策上不利になると共に、触媒の早期活性化にも不利になるという問題があった。
【0006】
また、後者のものでは、仕切板を下側外殻部材に取り付ける際、板厚が薄い仕切板を用いるのでレーザー溶接を必要とし、溶接設備が大型化すると共に、仕切板により部分的に二重管構造となり、しかも、各枝管部に応じた形状の上側外殻部材と下側外殻部材とを重ね合わせて溶接するので溶接線が三次元的で複雑になり生産性が低いという問題があった。
【0007】
本発明の課題は、触媒の早期活性化と、内燃機関出力性能の向上との両立を図ることができると共に、生産性がよいエギゾーストマニホルドを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる課題を達成すべく、本発明は課題を解決するため次の手段を取った。即ち、
多気筒内燃機関の各排気ポートにそれぞれ接続され、前記各排気ポートからの排気を下流側に送るエギゾーストマニホルドにおいて、
前記多気筒内燃機関の前記各排気ポートを排気順序が連続しない2つの排気ポート群に分け、
それぞれ板材からプレス成形した第1上側外殻部材と下側外殻部材とを重ね合わせて2つの前記排気ポート群の一方に接続する第1流路を形成し、
前記第1上側外殻部材及び前記下側外殻部材に板材からプレス成形した第2上側外殻部材を重ね合わせて2つの前記排気ポート群の他方に接続する第2流路を形成したことを特徴とするエギゾーストマニホルドがそれである。
【0009】
また、4気筒内燃機関の第1〜第4排気ポートにそれぞれ接続され、前記各排気ポートからの排気を下流側に送るエギゾーストマニホルドにおいて、
前記第1〜第4排気ポートの排気順序が第1、第3、第4、第2で、排気順序が連続しない前記第1排気ポートと前記第4排気ポートとの排気ポート群及び前記第2排気ポートと前記第3排気ポートとの排気ポート群に分け、
それぞれ板材からプレス成形した第1上側外殻部材と下側外殻部材とを重ね合わせて前記第2排気ポートと前記第3排気ポートとの排気ポート群に接続する第1流路を形成し、
前記第1上側外殻部材及び前記下側外殻部材に板材からプレス成形した第2上側外殻部材を重ね合わせて前記第1排気ポートと前記第4排気ポートとの排気ポート群に接続する第2流路を形成したことを特徴とするエギゾーストマニホルドがそれである。
【0010】
前記第1上側外殻部材を挟んで前記第2上側外殻部材と前記下側外殻部材とを重ね合わせて、前記第1流路と前記第2流路とを仕切った構成としてもよい。また、前記下側外殻部材に前記第1上側外殻部材の外周に応じた段部を形成し、前記段部に前記第1上側外殻部材を重ね合わせた構成としてもよい。更に、前記第1上側外殻部材は前記第2上側外殻部材と前記下側外殻部材との下流側端まで形成した構成としてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明のエギゾーストマニホルドは、第1上側外殻部材と下側外殻部材とを重ね合わせ、その上に第2上側外殻部材を重ね合わせるので、溶接を同じ方向からできるので生産性がよく、第1上側外殻部材は排気ポート群の一方に接続する第1流路を形成すればよく、コンパクトにでき、また、触媒の早期活性化に有利であるという効果を奏する。
【0012】
第1上側外殻部材を挟んで第2上側外殻部材と下側外殻部材とを重ね合わせて、第1流路と第2流路とを仕切った構成とし、排気順序が連続した排気ポートを仕切ることで、内燃機関出力性能を向上させることに有利である。また、第1上側外殻部材の平坦部を小さくでき、剛性が高く、振動に有利となり薄肉化が可能で、この点からも触媒の早期活性化に有利となる。下側外殻部材に第1上側外殻部材の外周に応じた段部を形成し、段部に第1上側外殻部材を重ね合わせることにより、組立が容易になり、生産性が向上すると共に、排気抵抗が減少し、圧力損失を抑制できる。更に、第1上側外殻部材を第2上側外殻部材と下側外殻部材との下流側端まで形成すると、より確実に排気干渉を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態としてのエギゾーストマニホルドの平面図である。
【図2】本実施形態のエギゾーストマニホルドの側面図である。
【図3】本実施形態の大フランジの正面図である。
【図4】本実施形態のエギゾーストマニホルドの分解平面図である。
【図5】本実施形態のエギゾーストマニホルドの分解側面図である。
【図6】図1のA−A拡大断面図である。
【図7】図1のB−B拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下本発明を実施するための形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1に示すように、1はエギゾーストマニホルドで、本実施形態では4気筒の内燃機関100に用いられるものである。内燃機関100は、第1〜第4気筒#1〜#4に連通した第1〜第4排気ポートP1〜P4を備えている。本実施形態では、第1気筒#1、第3気筒#3、第4気筒#4、第2気筒#2の順に点火され、この順序で排気される。
【0015】
エギゾーストマニホルド1は、大フランジ2、外殻部材4を備え、エギゾーストマニホルド1の排出側には、コンバータ6が外殻部材4に接続されている。コンバータ6内には図示しない触媒が収納されており、流入する排気を浄化して下流側に排出する。
【0016】
大フランジ2には、図3に示すように、第1〜第4排気ポートP1〜P4に対応した4個の貫通孔10〜13が穿設されており、また、大フランジ2を内燃機関100に図示しないボルトにより取り付けるための複数の取付穴14〜18が形成されている。4個の貫通孔10〜13の周囲には、外殻部材4側に突出した環状突部20〜23が形成されている。
【0017】
外殻部材4は、図4、図5に示すように、板材からプレス成形した下側外殻部材24を備え、下側外殻部材24には大フランジ2側に第1下側枝管部26、第2下側枝管部27、第3下側枝管部28、第4下側枝管部29が形成されている。各第1〜第4下側枝管部26〜29は半円状や半楕円状等に下側に窪まされて形成されている。
【0018】
また、下側外殻部材24は、図2に示すように、大フランジ2側からコンバータ6側に「く」字状に、屈曲形成されており、下側外殻部材24にはコンバータ6側に下側集合管部30が形成されている。下側集合管部30は半円状や半楕円状等に窪まされて形成されており、第2下側枝管部27と第3下側枝管部28とから下側集合管部30に至る下側外殻部材24が「Y」字状に窪まされて、第2下側枝管部27と第3下側枝管部28とを下側集合管部30に連通する第1流路32が形成されている。
【0019】
一方、第1下側枝管部26は、下側に窪まされて形成されているが、隣の第2下側枝管部27との間や下側外殻部材24の外周側は窪まされていない平坦なフランジ部34が設けられている。このフランジ部34により、第1下側枝管部26は大フランジ2の貫通孔10に挿入される箇所を除き3方向が囲まれて他と連通していない状態で、単独で窪まされている。
【0020】
また、第4下側枝管部29も同様に、下側に窪まされて形成されているが、隣の第3下側枝管部28との間には窪まされていない平坦なフランジ部36が設けられている。このフランジ部36により、第4下側枝管部29は大フランジ2の貫通孔13に挿入される箇所を除き3方向が囲まれて他と連通していない状態で、単独で窪まされている。
【0021】
第2下側枝管部27と第3下側枝管部28とに対応して、下側外殻部材24には板材からプレス成形した第1上側外殻部材38が重ね合わされている。第1上側外殻部材38は第2下側枝管部27と第3下側枝管部28とから下側集合管部30にかけての第1流路32の上側を覆うように形成されている。
【0022】
第1上側外殻部材38には、第2下側枝管部27に対応して、半円状や半楕円状等に上側に膨らまされた第2上側枝管部40が形成されると共に、第3下側枝管部28に対応して、半円状や半楕円状等に上側に膨らまされた第3上側枝管部41が形成されている。
【0023】
第1上側外殻部材38を下側外殻部材24に重ね合わせた際に、第2下側枝管部27と第2上側枝管部40とが合致して内部に第1流路32が形成されると共に、大フランジ2の貫通孔11に嵌入可能に構成されている。また、第3下側枝管部28と第3上側枝管部41とが合致して内部に第1流路32が形成されると共に、大フランジ2の貫通孔12に嵌入可能に構成されている。
【0024】
第2上側枝管部40と第3上側枝管部41とは、第1上側外殻部材38の大フランジ2側近傍にのみ形成され、下側集合管部30に至る途中で第1上側外殻部材38はほぼ平坦になり、下側集合管部30に至るまでの平坦部42が形成されている。平坦部42は下側外殻部材24の形状に沿って湾曲しているが、窪みや膨らみがない平坦面に形成されている。
【0025】
下側外殻部材24には、第1上側外殻部材38の外周に応じた段部44,46が形成されており、図6及び図7に示すように、段部44,46はフランジ部34,36から上側外殻部材38の板厚に応じて下側に窪まされている。
【0026】
一方の段部44は、第1下側枝管部26と第2下側枝管部27との間に形成されると共に、他方の段部46は、第3下側枝管部28と第4下側枝管部29との間に形成されている。両段部44,46に第1上側外殻部材38の平坦部42を重ね合わせると、第1上側外殻部材38により第1流路32の上側が覆われる。
【0027】
第2下側枝管部27と第3下側枝管部28と間の下側外殻部材24には、平坦なフランジ部48が形成されており、下側外殻部材24に第1上側外殻部材38を重ね合わせた際に、フランジ部48に第1上側外殻部材38の平坦部42が密着するように形成されている。下側外殻部材24の段部44,46とフランジ部48とに第1上側外殻部材38の平坦部42を重ね合わせて、溶接により固定する。
【0028】
更に、第1下側枝管部26と第4下側枝管部29とに対応して、下側外殻部材24と第1上側外殻部材38とには板材からプレス成形した第2上側外殻部材50が重ね合わされている。
【0029】
第2上側外殻部材50には、第1下側枝管部26に対応して、半円状や半楕円状等に上側に膨らまされた第1上側枝管部52が形成されると共に、第4下側枝管部29に対応して、半円状や半楕円状等に上側に膨らまされた第4上側枝管部54が形成されている。
【0030】
第2上側外殻部材50を下側外殻部材24に重ね合わせた際に、第1下側枝管部26と第1上側枝管部52とが合致して、大フランジ2の貫通孔10に嵌入可能に構成されている。また、第4下側枝管部29と第4上側枝管部54とが合致して、大フランジ2の貫通孔13に嵌入可能に構成されている。
【0031】
第1上側枝管部52と第4上側枝管部54とは、それぞれ第1下側枝管部26と第4下側枝管部29とを覆うようにして、第1下側枝管部26と第4下側枝管部29とに沿ってコンバータ6側に延出されている。第1上側枝管部52と第4上側枝管部54とは、第1上側外殻部材38の平坦部42上で合わさって、第2上側外殻部材50には半円状や半楕円状等に膨らまされた上側集合管部56が形成されている。
【0032】
第2上側外殻部材50は略「Y」字状に形成され、第2上側外殻部材50には第1上側枝管部52と第4上側枝管部54とから上側集合管部56に至る第2流路57が形成されている。
【0033】
上側集合管部56は、第1上側外殻部材38の平坦部42を間にして、下側外殻部材24の下側集合管部30に対応して形成されており、上側集合管部56と下側集合管部30とを合わせると、ほぼ楕円状になり、コンバータ6の入口管部6aに嵌入可能に形成されている。
【0034】
第2上側外殻部材50の外周には、大フランジ2の貫通孔10,13とコンバータ6の入口管部6aとの嵌入箇所を除いて、フランジ部58が形成されている。第2上側外殻部材50を下側外殻部材24と第1上側外殻部材38とに重ね合わせた際に、第2上側外殻部材50のフランジ部58が下側外殻部材24のフランジ部34,36に密着すると共に、第1上側外殻部材38の平坦部42に密着する。
【0035】
これにより、第1下側枝管部26と第4下側枝管部29とに、第1上側枝管部52と第4上側枝管部54とが重ね合わされ、第2上側外殻部材50の下側が第1上側外殻部材38の平坦部42により塞がれて、第2流路57が形成される。
【0036】
本実施形態では、第1上側外殻部材38の平坦部42の端は、下側外殻部材24の下側集合管部30と第2上側外殻部材50の上側集合管部56との端に達するまで形成されている。尚、平坦部42は下側集合管部30と上側集合管部56との端の手前まで形成して、下側集合管部30と上側集合管部56との内部で第1流路32と第2流路57とが集合するように形成してもよい。
【0037】
第2上側外殻部材50のフランジ部58と各フランジ部34,36,42とを重ね合わせて、溶接により固定する。その際、一部の箇所では、3枚重ねの状態となるが、図7(イ)に示すように、下側外殻部材24のフランジ部34,36の段部44,46内に第1上側外殻部材38の平坦部42を重ね合わせ、第2上側外殻部材50のフランジ部58を下側外殻部材24のフランジ部34,36に重ね合わせて溶接するようにしてもよい。
【0038】
また、図7(ロ)に示すように、第2上側外殻部材50にフランジ部58を形成せずに、下側外殻部材24に第1上側外殻部材38の平坦部42を重ね、平坦部42に第2上側外殻部材50の第1上側枝管部52と第4上側枝管部54とを重ねる。そして、下側外殻部材24のフランジ部34,36を上側に折り曲げて、溶接するようにしてもよい。
【0039】
下側外殻部材24、第1上側外殻部材38、第2上側外殻部材50からなる外殻部材4を大フランジ2の各貫通孔10〜13に嵌入してその周囲を溶接する。また、上側集合管部56と下側集合管部30とにコンバータ6の入口管部6aを嵌入してその周囲を溶接する。
【0040】
次に、前述した本実施形態のエギゾーストマニホルドの作動について説明する。
第1気筒#1での燃焼による排気は、第1排気ポートP1から貫通孔10を通って第1下側枝管部26と第1上側枝管部52とによる第2流路57に流入し、次に、平坦部42と第1上側枝管部52との間の第2流路57から、平坦部42と上側集合管部56との間の第2流路57を通り、コンバータ6に送られ、コンバータ6から下流側の図示しない排気管に送られる。
【0041】
第3気筒#3での燃焼による排気は、第3排気ポートP3から貫通孔12を通って第3下側枝管部28と第3上側枝管部41とによる第1流路32に流入し、次に、平坦部42と第3下側枝管部28との間の第1流路32から、平坦部42と下側集合管部30との間の第1流路32を通り、コンバータ6に送られ、コンバータ6から下流側の図示しない排気管に送られる。
【0042】
続いて、第4気筒#4での燃焼による排気は、第4排気ポートP4から貫通孔13を通って第4下側枝管部29と第4上側枝管部54とによる第2流路57に流入し、次に、平坦部42と第4上側枝管部54との間の第2流路57から、平坦部42と上側集合管部56との間の第2流路57を通り、コンバータ6に送られ、コンバータ6から下流側の図示しない排気管に送られる。
【0043】
その際、第3気筒#3と第4気筒#4とでは燃焼が連続し、第3排気ポートP3と第4排気ポートP4とでは排気順序が連続すると共に、両排気ポートP3,P4は隣合っている。しかし、第3排気ポートP3からの排気は、平坦部42と第3下側枝管部28との間の第1流路32、及び平坦部42と下側集合管部30との間の第1流路32を通るので、第3排気ポートP3から第4排気ポートP4側への流入はなく、排気干渉が防止される。
【0044】
第2気筒#2での燃焼による排気は、第2排気ポートP2から貫通孔11を通って第2下側枝管部27と第2上側枝管部40とによる第1流路32に流入し、次に、平坦部42と第2下側枝管部27との間の第1流路32から、平坦部42と下側集合管部30との間の第1流路32を通り、コンバータ6に送られ、コンバータ6から下流側の図示しない排気管に送られる。
【0045】
その際、第2排気ポートP2と第1排気ポートP1とでは、排気順序が連続し、両排気ポートP1,P2同士は隣合っている。しかし、第2排気ポートP2からの排気は、平坦部42と第2下側枝管部27との間の第1流路32、及び平坦部42と下側集合管部30との間の第1流路32を通るので、第2排気ポートP2から第1排気ポートP1側への流入はなく、排気干渉が防止される。
【0046】
このように、第1上側外殻部材38と下側外殻部材24とを重ね合わせ、その上に第2上側外殻部材50を重ね合わせるので、溶接を同じ方向からできるので生産性がよく、第1上側外殻部材38は排気ポート群の一方に接続する第1流路32を形成すればよく、コンパクトにできる。また、コンパクトに形成しても、排気干渉が防止されるので、エギゾーストマニホルド1の熱容量を小さくでき、エギゾーストマニホルド1を通る排気の温度は、短時間で回復し、排気の温度低下が抑制され、排気浄化効率を向上させることができる。
【0047】
第1上側外殻部材38を挟んで第2上側外殻部材50と下側外殻部材24とを重ね合わせて、第1流路32と第2流路57とを仕切った構成とすることにより、第1上側外殻部材38の平坦部42を小さくでき、剛性が高く、振動に有利となり薄肉化が可能で、触媒の早期活性化に有利となる。また、下側外殻部材24に第1上側外殻部材38の外周に応じた段部44,46を形成し、段部44,46に第1上側外殻部材38を重ね合わせることにより、組立が容易になり、生産性が向上すると共に、排気抵抗が減少し、圧力損失を抑制できる。更に、第1上側外殻部材38を第2上側外殻部材50と下側外殻部材24との下流側端まで形成すると、より確実に排気干渉を抑制できる。
【0048】
尚、下側外殻部材24、第1上側外殻部材38、第2上側外殻部材50の構成を上下逆にして、溶接時にはこれを裏返して、溶接するようにしてもよい。
以上本発明はこの様な実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々なる態様で実施し得る。
【符号の説明】
【0049】
1…エギゾーストマニホルド 2…大フランジ
4…外殻部材 6…コンバータ
10〜13…貫通孔 24…下側外殻部材
26…第1下側枝管部 27…第2下側枝管部
28…第3下側枝管部 29…第4下側枝管部
30…下側集合管部 32…第1流路
34,36…フランジ部 38…第1上側外殻部材
40…第2上側枝管部 41…第3上側枝管部
42…平坦部 44,46…段部
48…フランジ部 50…第2上側外殻部材
52…第1上側枝管部 54…第4上側枝管部
56…上側集合管部 57…第2流路
58…フランジ部 100…内燃機関

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多気筒内燃機関の各排気ポートにそれぞれ接続され、前記各排気ポートからの排気を下流側に送るエギゾーストマニホルドにおいて、
前記多気筒内燃機関の前記各排気ポートを排気順序が連続しない2つの排気ポート群に分け、
それぞれ板材からプレス成形した第1上側外殻部材と下側外殻部材とを重ね合わせて2つの前記排気ポート群の一方に接続する第1流路を形成し、
前記第1上側外殻部材及び前記下側外殻部材に板材からプレス成形した第2上側外殻部材を重ね合わせて2つの前記排気ポート群の他方に接続する第2流路を形成したことを特徴とするエギゾーストマニホルド。
【請求項2】
4気筒内燃機関の第1〜第4排気ポートにそれぞれ接続され、前記各排気ポートからの排気を下流側に送るエギゾーストマニホルドにおいて、
前記第1〜第4排気ポートの排気順序が第1、第3、第4、第2で、排気順序が連続しない前記第1排気ポートと前記第4排気ポートとの排気ポート群及び前記第2排気ポートと前記第3排気ポートとの排気ポート群に分け、
それぞれ板材からプレス成形した第1上側外殻部材と下側外殻部材とを重ね合わせて前記第2排気ポートと前記第3排気ポートとの排気ポート群に接続する第1流路を形成し、
前記第1上側外殻部材及び前記下側外殻部材に板材からプレス成形した第2上側外殻部材を重ね合わせて前記第1排気ポートと前記第4排気ポートとの排気ポート群に接続する第2流路を形成したことを特徴とするエギゾーストマニホルド。
【請求項3】
前記第1上側外殻部材を挟んで前記第2上側外殻部材と前記下側外殻部材とを重ね合わせて、前記第1流路と前記第2流路とを仕切ったことを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載のエギゾーストマニホルド。
【請求項4】
前記下側外殻部材に前記第1上側外殻部材の外周に応じた段部を形成し、前記段部に前記第1上側外殻部材を重ね合わせたことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のエギゾーストマニホルド。
【請求項5】
前記第1上側外殻部材は前記第2上側外殻部材と前記下側外殻部材との下流側端まで形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のエギゾーストマニホルド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−185120(P2011−185120A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−49283(P2010−49283)
【出願日】平成22年3月5日(2010.3.5)
【出願人】(391002498)フタバ産業株式会社 (110)
【Fターム(参考)】