説明

エスカレータシステム

【課題】ステップのライザ部分を利用して広告等することを可能とするエスカレータシステムを提供することである。
【解決手段】エスカレータシステム10において、各ステップ12のライザ16に設けられる映写スクリーン部18と、乗客4に報知する映像を映写スクリーン部18に映写させるために、トラス25内部から映写スクリーン部18に向けて映像を出力する映写部24と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エスカレータシステムに係り、特に、乗客等によってライザが視認可能なエスカレータシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、デパートやショッピングセンタ等といった種々の商業施設等において、エスカレータシステムが設置されている。このような商業施設等ではたくさんの乗客がエスカレータシステムを利用することが多いため、エスカレータシステムを用いて乗客に宣伝広告あるいは注意喚起をすることが望まれる。
【0003】
本発明に関連する技術として、例えば、特許文献1には、エスカレータとして、一方の乗降口と他方の乗降口との間に架設され一対の側面部とその側面部を連結する底面部を含んで構成されるトラスであって、少なくとも側面部の一部が透明材質で構成される透明部を有するトラスと、トラスの側面部の近傍に設けられ、トラスの透明部に向けて光を発する光源装置と、を備える構成が開示されている。
【0004】
また、本発明に関連する別の技術として、例えば、特許文献2には、マンコンベアの情報伝達装置として、マンコンベアの両乗降口間を移動する踏段と、音声伝達範囲が所定の範囲に限定され、前記踏段上の利用者に対して各種広告宣伝を音声により提供するスピーカとを備えた構成が開示されている。
【0005】
また、本発明に関連するさらに別の技術として、例えば、特許文献3には、乗客コンベヤー用標示装置として、長手に沿う側面の外側から内側が透視自在に構成された主枠と、無端状をなし上記主枠内を循環移動する搬送帯と、この搬送帯の構成部材に設けられて上記主枠の側面に沿う面に配置された標識体とを備えた構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−203039号公報
【特許文献2】特開2007−45565号公報
【特許文献3】特開2006−143371号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上記各特許文献には、乗客等に対して広告等をするために種々の構成が開示されているが、いずれの構成もステップのライザ部分を利用して広告等しておらず、例えば、昇りエスカレータシステムの乗場付近にいる乗客が容易に広告を把握することができない場合がある。
【0008】
本発明の目的は、ステップのライザ部分を利用して広告等をすることを可能とするエスカレータシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るエスカレータシステムは、各ステップのライザに設けられる映写スクリーン部と、乗客に報知する映像を映写スクリーン部に映写させるために、トラス内部から映写スクリーン部に向けて映像を出力する映写部と、を備えることを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係るエスカレータシステムにおいて、映写スクリーン部は、ライザと同系色の色で構成される映写スクリーンと、映写スクリーンを覆って補強する透明補強板と、 を含むことが好ましい。
【0011】
また、本発明に係るエスカレータシステムにおいて、映写部は、複数の映写スクリーン部に跨って映像を出力することが好ましい。
【0012】
また、本発明に係るエスカレータシステムにおいて、映写部は、エスカレータシステムが作動しているときにのみ映像を出力することが好ましい。
【0013】
また、本発明に係るエスカレータシステムにおいて、映写部は、ステップの動きに同期して映像を出力することが好ましい。
【0014】
また、本発明に係るエスカレータシステムにおいて、車椅子ボタンが押されたときに複数のステップの踏板面が同一平面上となり車椅子が乗車可能となる車椅子対応制御部を備え、映写部は、車椅子ボタンが押されたときに、車椅子利用者に対して乗車に関するメッセージを映像として出力することが好ましい。
【0015】
また、本発明に係るエスカレータシステムにおいて、湿度を量る湿度計と、湿度が予め定められた所定の値を超えると雨が降っていると判断する雨判断部と、を備え、映写部は、 雨が降っていると判断されたときに、乗客に対して注意喚起のメッセージを映像として出力することが好ましい。
【0016】
また、本発明に係るエスカレータシステムにおいて、乗降場付近の乗客を撮影するカメラと、カメラに撮影された乗客数が予め定められた所定の人数を超えると混雑していると判断する混雑判断部と、を備え、映写部は、混雑していると判断されたときに、乗客に対して注意喚起のメッセージを映像として出力することが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
上記構成のエスカレータシステムによれば、各ステップのライザに設けられる映写スクリーン部において乗客に対して報知するための映像が広告等として映写される。これにより、例えば、昇りエスカレータシステムの乗場床付近にいる乗客であっても、ライザに映し出された広告等を容易に見ることができる。したがって、エスカレータシステムのステップのライザ部分を利用して広告あるいは注意喚起等をすることができる。
【0018】
また、上記構成の映写スクリーンと透明補強板とを含むエスカレータシステムによれば、ライザと同系色の色で構成されるであるため、映像が映し出されない場合には、乗客は、通常のライザと区別することなく、換言すれば違和感なく映写スクリーン部をライザ部分であるとして認識することができる。
【0019】
また、上記構成の複数の映写スクリーン部に跨って映像を出力する映写部を有するエスカレータシステムによれば、比較的大きな映像を映し出すことができるため、乗客により分かりやすく広告等することができる。
【0020】
また、上記構成のエスカレータシステムが作動しているときにのみ映像を出力する映写部を有するエスカレータシステムによれば、必要な場合にのみ映像を出力することができる。これにより、余計な消費電力の削減をすることができる。
【0021】
また、上記構成のステップの動きに同期して映像を出力する映写部を有するエスカレータシステムによれば、映写部によって出力された映像がステップの構成部品(映写スクリーン部以外の構成部品)で遮断されることがなく、換言すれば、違和感のある映像が映写スクリーン部に映し出させることない。したがって、違和感なく乗客に広告等することができる。
【0022】
また、上記構成の車椅子対応制御部と映写部とを有するエスカレータシステムによれば、車椅子利用者に対して乗車に関するメッセージを映像として映し出すことができるため、車椅子利用者がエスカレータシステムをより安心して利用しやすくすることができる。
【0023】
また、上記構成の雨判断部と映写部とを有するエスカレータシステムによれば、雨が降っていると判断されたときに、乗客に対して注意喚起のメッセージを映像として映し出すことができるため、乗客がエスカレータシステムをより安全に利用しやすくすることができる。
【0024】
また、上記構成の混雑判断部と映写部とを有するエスカレータシステムによれば、混雑していると判断されたときに、乗客に対して注意喚起のメッセージを映像として映し出すことができるため、乗客がエスカレータシステムをより安全に利用しやすくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明に係る実施の形態において、エスカレータシステムの構成図である。
【図2】図1における各ステップの拡大図である。
【図3】図1におけるステップを乗場床側から見た場合の様子を示す拡大図である。
【図4】本発明に係る実施の形態の第1変形例において、エスカレータシステムの構成図である。
【図5】本発明に係る実施の形態の第2変形例において、エスカレータシステムの構成図である。
【図6】本発明に係る実施の形態の第3変形例において、エスカレータシステムの構成図である。
【図7】複数のステップの映写スクリーン部に跨って映像を映写している様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に、本発明に係る実施の形態について添付図面を参照しながら詳細に説明する。また、以下では、全ての図面において同様の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、本文中の説明においては、必要に応じそれ以前に述べた符号を用いるものとする。
【0027】
図1は、エスカレータシステム10の構成図である。エスカレータシステム10は、高低差のある乗場床8と降場床6との間で乗客4を移動させる装置である。エスカレータシステム10は、乗客4が乗るステップ12と、それぞれのステップ12が連結されるステップチェーン13と、ステップチェーン13を駆動する主駆動装置22と、移動手摺20を駆動する手摺駆動装置(図示しない)とを含んで構成される。
【0028】
ステップ12は、乗客4が一人または二人乗れる程度の大きさを有する。エスカレータシステム10が運転状態にある場合には、複数のステップ12は、地面に対して水平な状態を保ちつつ移動する。ステップ12は、往路側となる部分は乗客4が乗るためにトラス25から露出しているが、復路側はトラス25内部を移動している。ステップ12は、踏板面14と、ライザ16と、ライザ16の一部に設けれらた映写スクリーン部18とを含んで構成される。踏板面14とライザ16には、複数の溝が設けられている。映写スクリーン部18の詳細については後述する。
【0029】
ステップチェーン13は、トラス25内に設けられ、図示されていない適当な軸部材を介して、それぞれのステップ12を連結し、主駆動装置22の駆動力をそれぞれのステップ12に伝達するものである。また、ステップチェーン13は、エスカレータシステム10のステップ12の左右両側に1本ずつ配置されている。
【0030】
主駆動装置22は、トラス25内に設けられ、エスカレータシステム10を駆動する駆動力を出力する装置で、例えば、電動機と減速歯車等から構成される。主駆動装置22により出力された駆動力は、図示されていない駆動伝達手段を介してステップチェーン13に伝達される。
【0031】
無端状の移動手摺20は、乗客4が手を添え、または掴まる部分であり、ステップ12の動きと同期して矢印A方向に移動する。
【0032】
映写部24は、トラス25内に設けられ、乗客4に広告や注意喚起するための情報を映像として出力し、具体的には、ステップ12のライザ16に設けられる映写スクリーン部18に対してその映像を出力(矢印B方向に出力)する機能を有する。そして、映写部24は、エスカレータシステム10が作動(運転)している場合に映像を出力し、エスカレータシステム10が停止している場合は映像を出力しない。
【0033】
さらに、映写部24は、ステップ12の動きに同期して映像を出力する。具体的には、映写部24は、ステップ12の位置情報を取得し、ステップ12が矢印A方向に向かって移動しているときに、映し出す予定の全ての映像が映写スクリーン部18に写し出すことが可能な状態のみのときに映像を出力し、映し出す予定の映像が途切れてしまって全て映写スクリーン部18に写し出すことができない状態のときに映像は出力しない。
【0034】
図2は、図1における各ステップ12の拡大断面図である。図3は、図1におけるステップ12a,12b,12c(複数のステップ12のうち、図1において映写部24によって出力された映像を映写する位置に存在しているステップ12をステップ12bとし、ステップ12bの一つ上段に位置するステップをステップ12aとし、ステップ12bの一つ下段に位置するステップをステップ12cとする)を乗場床8側から見た場合の様子を示す拡大図である。上記のとおり、ステップ12のライザ16には、映写スクリーン部18が設けられている。映写スクリーン部18は、映写スクリーン182と、透明補強板184とを含んで構成される。
【0035】
映写スクリーン182は、ライザ16と同系色(例えば、黒色)の色を有する材質で構成される映写部分を有するプロジェクタスクリーン(例えば、ブラックスクリーン)であり、映写部24から出力された映像を乗場床8側に映し出す。また、映写スクリーン182は、図3に示されるようにライザ16の平面部分よりも少し小さい程度の大きさを有している。
【0036】
透明補強板184は、適当な強度を有する材料を含む材質からなり、映写スクリーン182を覆う状態で配置される。さらに、透明補強板184は、透明度も高い材料を含む材質からなるため、映写スクリーン182で映し出された映像を透過させる。
【0037】
上記構成のエスカレータシステム10の作用について図1〜3を用いて説明する。エスカレータシステム10のトラス25内部には、映写部24が取り付けられており、矢印B方向に向かって乗客4にお知らせする情報(例えば、「バーゲン中」である旨の広告)を映像として出力する。そして、映写部24は、エスカレータシステム10が作動している状態のときであって、各ステップ12が図1に示されるステップ12bの位置に来たときに同期して映像を出力するため、乗場床8側にいる乗客4等がステップ12bに表示された「バーゲン中」の映像を見てバーゲン中であることを認識することができる。
【0038】
このようにエスカレータシステム10によれば、ステップ12のライザ16に設けられる映写スクリーン部18に乗客4に対して報知するための映像が広告等として映写される。これにより、例えば、昇りエスカレータシステム10の乗場床8付近にいる乗客4であっても、ライザ16に映し出された広告等を容易に見ることができる。したがって、エスカレータシステム10のステップ12のライザ16部分を利用して広告あるいは注意喚起等をすることができる。
【0039】
また、エスカレータシステム10によれば、ライザ16と同系色の色で構成されるため、映像が映し出されない場合には、乗客4は、通常のライザ16と区別することなく、換言すれば違和感なく映写スクリーン部18をライザ部分であるとして認識することができる。
【0040】
さらに、エスカレータシステム10によれば、エスカレータシステム10が作動しているときにのみ映像を出力する映写部24を有しているため、必要な場合にのみ映像を出力することができる。これにより、余計な消費電力の削減をすることができる。
【0041】
そして、エスカレータシステム10によれば、映像がステップ12の構成部品(映写スクリーン部18以外の部品)で遮断されることがないため、違和感がより少ない状態で乗客4に広告等することができる。
【0042】
次に、エスカレータシステム10の第1変形例であるエスカレータシステム10aについて説明する。図4は、エスカレータシステム10aの構成図である。エスカレータシステム10aは、エスカレータシステム10とほぼ同様の構成であるため、その相違点を中心に説明する。エスカレータシステム10aとエスカレータシステム10の相違は、車椅子用操作部42と、車椅子対応制御部40と、映写部24である。
【0043】
車椅子用操作部42は、車椅子利用者の乗客5が乗場床8に到着し、エスカレータシステム10aを車椅子利用者が利用できる状態へとモード移行させるための車椅子操作ボタン422が設けられている。
【0044】
車椅子対応制御部40は、車椅子用操作部42の車椅子操作ボタン422が操作されたときに、エスカレータシステム10aの作動を一旦停止させる。そして、車椅子対応制御部40は、乗場床8に最も近いステップ12x,12yの踏板面14x,14yが同一平面上となるようにし、踏板部分の面積を拡大することで車椅子がステップ12x,12yに乗れる状態とする機能を有する。さらに、車椅子対応制御部40は、車椅子の乗客5がステップ12x、12yの踏板面14x,14yに乗ったことを検知して、再びエスカレータシステム10aを作動させる。
【0045】
映写部24は、エスカレータシステム10における映写部24の機能に加え、さらに、車椅子利用者の乗客5が車椅子用操作部42の車椅子操作ボタン422を押したときに連動して、車椅子利用者の乗客5に対して注意喚起を促すメッセージとなる情報を映像として出力する機能を有する。なお、エスカレータシステム10aは、映写部24のメッセージの出力タイミングと車椅子対応制御部40の制御タイミングとは連動している。
【0046】
続いて、上記構成のエスカレータシステム10aの作用について図4を用いて説明する。エスカレータシステム10aにおいて、車椅子利用者の乗客5が車椅子用操作部42の車椅子操作ボタン422を押したときに、「このエスカレータシステムは一旦停止しますのでご注意ください」といったメッセージを映像として映写スクリーン部18に映写させることで乗客5に対して注意喚起を促してから、エスカレータシステム10aを停止させることができる。そして、「このエスカレータシステムのステップを車椅子対応に変更しますのでしばらくお待ちください」といったメッセージを映像として映写スクリーン部18に映写させることで乗客5に対して注意喚起を促してから、ステップ12x,12yの踏板面14x,14yが同一平面上となるようにすることができる。それから、「エスカレータシステムが利用できる状態になりましたので、ステップに乗ってください」といったメッセージを映像として映写スクリーン部18に映写させることで乗客5にお知らせすることができる。
【0047】
このようにエスカレータシステム10aによれば、車椅子利用者の乗客5が車椅子用操作部42の車椅子操作ボタン422を押したときに、車椅子利用者の乗客5に対して乗車に関するメッセージを映像として映し出すことができるため、車椅子利用者の乗客5がエスカレータシステム10aをより安心して利用しやすくすることができる。
【0048】
次に、エスカレータシステム10の第2変形例であるエスカレータシステム10bについて説明する。図5は、エスカレータシステム10bの構成図である。エスカレータシステム10bは、屋外に設置されるエスカレータシステムであるが、エスカレータシステム10とほぼ同様の構成であるため、その相違点を中心に説明する。エスカレータシステム10bとエスカレータシステム10の相違は、湿度計部30と映写部24である。
【0049】
湿度計部30は、降場床6に設けられ、降場床6付近の湿度を計測する湿度計と、湿度計によって計測された湿度が所定の値以上となっているときに雨が降っていると判断する雨判断部とを有する。
【0050】
映写部24は、エスカレータシステム10における映写部24の機能に加え、さらに、湿度計部30によって雨が降っていると判断されたときに、乗客4に対して注意喚起を促すメッセージを出力することができる。
【0051】
続いて、上記構成のエスカレータシステム10bの作用について図5を用いて説明する。エスカレータシステム10bは屋外に設置されているため、雨が降ってきた場合にはステップ等が濡れてしまうこととなる。ここで、一般的には雨が継続的に降ってくると湿度が上昇するため、湿度計部30によって雨が降っていると判断される。そして、湿度計部30によって雨が降っていると判断されたときに、映写部24は、「雨が降っていますので滑らないようにご注意ください」といったメッセージを映像として映写スクリーン部18に映写させることができる。
【0052】
このようにエスカレータシステム10bによれば、雨が降っていると判断されたときに、乗客4に対して注意喚起のメッセージを映像として映し出すことができるため、乗客4がエスカレータシステム10をより安全に利用しやすくすることができる。
【0053】
次に、エスカレータシステム10の第3変形例であるエスカレータシステム10cについて説明する。図6は、エスカレータシステム10cの構成図である。エスカレータシステム10cは、エスカレータシステム10とほぼ同様の構成であるため、その相違点を中心に説明する。エスカレータシステム10cとエスカレータシステム10の相違は、乗場側カメラ部38と降場側カメラ部36と映写部24である。
【0054】
乗場側カメラ部38は、エスカレータシステム10cが設置される建物壁7のうち、乗場側付近に取り付けられて、乗場床8周辺にいる乗客4数をカウントしている。そして、乗場側カメラ部38は、乗客4数が予め定められた所定の人数よりも多い場合には混雑していると判断する。
【0055】
降場側カメラ部36は、エスカレータシステム10cが設置される建物壁7のうち、降場側付近に取り付けられて、降場床6周辺にいる乗客4数をカウントしている。そして、降場側カメラ部36は、乗客4数が予め定められた所定の人数よりも多い場合には混雑していると判断する。
【0056】
映写部24は、エスカレータシステム10における映写部24の機能に加え、さらに、乗場側カメラ部38あるいは降場側カメラ部36によって、乗場床8あるいは降場床6の周辺が乗客4で混雑していると判断された場合に注意喚起を促すメッセージを出力することができる。
【0057】
次に、上記構成のエスカレータシステム10cの作用について図6を用いて説明する。エスカレータシステム10cにおいて、乗場側カメラ部38あるいは降場側カメラ部36によって乗場床8あるいは降場床6周辺の混雑状況が監視されている。そして、乗場側カメラ部38あるいは降場側カメラ部36によって、乗場床8あるいは降場床6周辺が混雑していると判断された場合には、映写部24は、「混雑していますので階段のご利用もお願いします」といったメッセージを映像として出力することができる。
【0058】
このようにエスカレータシステム10cによれば、混雑していると判断されたときに、乗客4に対して注意喚起のメッセージを映像として映し出すことができるため、乗客4がエスカレータシステム10cをより安全に利用しやすくすることができる。
【0059】
図7は、複数のステップの映写スクリーン部に跨って映像を映写している様子を示す図である。上記エスカレータシステム10,10a,10b,10cは、ステップ12bの映写スクリーン部18bのみに映写するものとして説明したが、隣接するステップに跨って表示してもよく、例えば、図7に示されるようにステップ12a〜ステップ12cまでに跨って「婦人服のバーゲン会場3Fです」と表示してもよい。これにより、複数のステップ12の映写スクリーン部18に映像を分けて出力することができるため、一つ一つの映写スクリーン部18に表示する文字を大きくすることができ、乗客4にとって見やすくすることができる。エスカレータ10cでは、複数のステップには1台の映写部24を用いて映写するものとして説明したが、複数台の映写部24を用いて複数のステップに映写することもできる。
【符号の説明】
【0060】
4,5 乗客、6 降場床、7 建物壁、8 乗場床、10,10a,10b,10cエスカレータシステム、12,12a,12b,12c,12x,12y ステップ、13 ステップチェーン、14,14x,14y 踏板面、16 ライザ、18,18b 映写スクリーン部、20 移動手摺、22 主駆動装置、24 映写部、25 トラス、30 湿度計部、36 降場側カメラ部、38 乗場側カメラ部、40 車椅子対応制御部、42 車椅子用操作部、182 映写スクリーン、184 透明補強板、422 車椅子操作ボタン。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各ステップのライザに設けられる映写スクリーン部と、
乗客に報知する映像を映写スクリーン部に映写させるために、トラス内部から映写スクリーン部に向けて映像を出力する映写部と、
を備えることを特徴とするエスカレータシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のエスカレータシステムにおいて、
映写スクリーン部は、
ライザと同系色の色で構成される映写スクリーンと、
映写スクリーンを覆って補強する透明補強板と、
を含むことを特徴とするエスカレータシステム。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のエスカレータシステムにおいて、
映写部は、
複数の映写スクリーン部に跨って映像を出力することを特徴とするエスカレータシステム。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載のエスカレータシステムにおいて、
映写部は、
エスカレータシステムが作動しているときにのみ映像を出力することを特徴とするエスカレータシステム。
【請求項5】
請求項4に記載のエスカレータシステムにおいて、
映写部は、
ステップの動きに同期して映像を出力することを特徴とするエスカレータシステム。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1に記載のエスカレータシステムにおいて、
車椅子ボタンが押されたときに複数のステップの踏板面が同一平面上となり車椅子が乗車可能となる車椅子対応制御部を備え、
映写部は、
車椅子ボタンが押されたときに、車椅子利用者に対して乗車に関するメッセージを映像として出力することを特徴とするエスカレータシステム。
【請求項7】
請求項1から請求項5のいずれか1に記載のエスカレータシステムにおいて、
湿度を量る湿度計と、
湿度が予め定められた所定の値を超えると雨が降っていると判断する雨判断部と、
を備え、
映写部は、
雨が降っていると判断されたときに、乗客に対して注意喚起のメッセージを映像として出力することを特徴とするエスカレータシステム。
【請求項8】
請求項1から請求項5のいずれか1に記載のエスカレータシステムにおいて、
乗降場付近の乗客を撮影するカメラと、
カメラに撮影された乗客数が予め定められた所定の人数を超えると混雑していると判断する混雑判断部と、
を備え、
映写部は、
混雑していると判断されたときに、乗客に対して注意喚起のメッセージを映像として出力することを特徴とするエスカレータシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−105423(P2011−105423A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−260698(P2009−260698)
【出願日】平成21年11月16日(2009.11.16)
【出願人】(000236056)三菱電機ビルテクノサービス株式会社 (1,792)
【Fターム(参考)】