説明

エチレン/α−オレフィンの共重合体から作製される発泡体

発泡性組成物および発泡体は少なくともエチレン/α−オレフィン共重合体を含む。発泡体は150kg/m3超〜約500kg/m3の密度を有する。発泡性組成物はさらに、発泡剤および架橋剤を含む。エチレン/α−オレフィン共重合体は、少なくとも1つのソフトブロックおよび少なくとも1つのハードブロックを含むマルチブロックコポリマーである。発泡性組成物および発泡体を作製する方法、ならびに、発泡体から作製される発泡品もまた記載される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つのエチレン/α−オレフィン共重合体を含む発泡体、ならびに、そのような発泡体を作製する方法、および、そのような発泡体を様々な用途(具体的には、履き物用途)において使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
加硫ゴム(例えば、加硫されたスチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)および天然ゴム(NR)など)は、望ましい特性(例えば、耐摩耗性、引張強度、引裂強度および柔軟性など)の良好なバランスを有するので、一般的な靴底材料である。しかしながら、加硫ゴムは、加工することが困難であり得るし、また、発泡成形されたとき、その望ましい特性を失う場合がある。
【0003】
エチレン−酢酸ビニルコポリマー(EVA)、ポリオレフィン(PO)およびそれらの配合物は、履き物用途における発泡体製造物(例えば、中底、間底(midsole)、外底、ユニソールおよび中敷きなど)を製造するために使用される。これらの発泡体を配合する際には、多くの場合、望ましい特性(例えば、圧縮永久ひずみ抵抗性、反発弾性、収縮、硬度、摩耗、柔軟性、グリップ力(grip)および割裂(split tear)などの特性)の間での妥協が要求される。例えば、低い発泡体密度が、柔軟性および良好なグリップ力の特性が必要とされるいくつかの用途では望ましいと考えられ得る。しかしながら、低い発泡体密度は一般には、低い圧縮永久ひずみ、低い耐摩耗性および大きい発泡体収縮をもたらす。
【0004】
低い圧縮永久ひずみ(大きい圧縮永久ひずみ抵抗性)を有する発泡体が、履き物用品(例えば、靴、ブーツおよびサンダルなど)などのいくつかの用途では望ましいと考えられ得る。しかしながら、低い圧縮永久ひずみを達成するためには、一般には、発泡体密度、発泡体の架橋密度および/またはポリマー結晶性を増大させることが要求される。発泡体の架橋密度を増大させることは発泡体の収縮を増大させることがあり、また、ポリマー結晶性を増大させることは反発弾性を低下させ、「より硬い」発泡体をもたらす場合がある。そのうえ、ほとんどの履き物用発泡体は、完成した形状に熱成形するための十分な熱可塑性を保持しなければならないので、履き物用品のための発泡体の架橋密度は一般には実用的な上限がある。
【0005】
大きい反発弾性を有する発泡体は一般に、着用者へのエネルギーの逆戻りを最大限するための履き物用発泡体として使用するために望ましい。反発弾性は、ポリマー結晶性を低下させることによって、また、架橋密度を増大させることによって増大させることができる。しかしながら、低いポリマー結晶性と、大きい架橋密度との組合せは、大きい発泡体収縮および低い割裂抵抗性の一因になり得る。
【0006】
履き物用途のほとんどについての圧縮永久ひずみ抵抗性および反発弾性の特性の重要性のために、そのような用途のための発泡体は一般には、理想的なレベルを超えて硬化処理される。しかしながら、上記で述べられたように、大きい硬化レベル(すなわち、大きい架橋密度)は、発泡体の割裂特性および収縮特性に負の影響を及ぼし得る。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記理由のために、望ましい発泡体特性(例えば、圧縮永久ひずみ抵抗性、反発弾性、収縮、硬度、摩耗、柔軟性、グリップ力および/または割裂などの特性)の良好なバランスを有する改善された発泡体が依然として求められている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記要求は本発明の様々な態様によって満たされる。1つの態様において、本発明は、本明細書中に開示される少なくとも1つのエチレン/α−オレフィン共重合体を含み、その密度が150kg/m3超〜500kg/m3である発泡体に関する。1つの実施形態において、エチレン/α−オレフィン共重合体は、約1.7〜約3.5のMw/Mn、少なくとも1つの融点Tm(℃)、および、密度d(g/cm3)を有し、この場合、Tmおよびdの数値は下記の関係に対応する:
m≧−2002.9+4538.5(d)−2422.2(d)2
【0009】
別の実施形態において、エチレン/α−オレフィン共重合体は約1.7〜約3.5のMw/Mnを有し、かつ、融解熱ΔH(J/g)、および、最高DSCピークと最高CRYSTAFピークとの温度差として定義されるデルタ量ΔT(℃)によって特徴づけられ、この場合、ΔTおよびΔHの数値は下記の関係を有する:
ΔT>−0.1299(ΔH)+62.81(ΔHが0よりも大きく、130J/gまでである場合)、
ΔT≧48℃(ΔHが130J/gよりも大きい場合)、
ここで、CRYSTAFピークは、累積ポリマーの少なくとも5パーセントを使用して求められ、ポリマーの5パーセント未満が特定可能なCRYSTAFピークを有するならば、CRYSTAF温度は30℃である。
【0010】
別の実施形態において、エチレン/α−オレフィン共重合体は、エチレン/α−オレフィン共重合体の圧縮成形フィルムを用いて測定された弾性回復率Re(300パーセントのひずみおよび1サイクルでのパーセント)、および、密度d(g/cm3)によって特徴づけられ、この場合、Reおよびdの数値は、エチレン/α−オレフィン共重合体が架橋相を実質的に有しないとき、下記の関係を満たす:
Re>1481−1629(d)。
【0011】
別の実施形態において、エチレン/α−オレフィン共重合体は、TREFを使用して分画されたとき、40℃と130℃との間で溶出する分子分画を有し、この場合、分子分画は、同じ温度間で溶出する比較対象となるランダムエチレン共重合体分画のコモノマーモル含有量よりも少なくとも5パーセント大きいコモノマーモル含有量を有することを特徴とし、ここで、前記比較対象となるランダムエチレン共重合体は同じコモノマーを含み、かつ、メルトインデックス、密度およびコモノマーモル含有量(ポリマー全体に基づく)を、エチレン/α−オレフィン共重合体のメルトインデックス、密度およびコモノマーモル含有量から10パーセント以内で有する。
【0012】
別の実施形態において、エチレン/α−オレフィン共重合体は、25℃での貯蔵弾性率G’(25℃)と、100℃での貯蔵弾性率G’(100℃)とを有し、G’(25℃)対G’(100℃)の比率が約1:1〜約10:1の範囲にある。
【0013】
別の実施形態において、エチレン/α−オレフィン共重合体は、TREFを使用して分画されたとき、40℃と130℃との間で溶出する少なくとも1つの分子分画を有し、この場合、分子分画は、少なくとも0.5で、かつ約1までのブロックインデックスと、約1.3よりも大きい分子量分布Mw/Mnとを有することを特徴とする。別の実施形態において、エチレン/α−オレフィン共重合体は、ゼロよりも大きく、かつ約1.0までの平均ブロックインデックス、および、約1.3よりも大きい分子量分布Mw/Mnを有する。
【0014】
別の実施形態において、エチレン/α−オレフィン共重合体におけるα−オレフィンは、スチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン、ノルボルネン、1−デセン、1,5−ヘキサジエン、または、それらの組合せである。別の実施形態において、エチレン/α−オレフィン共重合体は架橋剤または放射線によって架橋される。別の実施形態において、発泡体は架橋され、および/または、5%を超えるゲルをASTM D−2765−84の方法Aにより含有する。
【0015】
別の実施形態において、発泡体はさらに、発泡剤、架橋剤、安定性制御剤、核剤、フィラー、顔料、酸化防止剤、酸スカベンジャー、UV安定化剤、難燃剤、滑剤、加工助剤、押出し助剤、発泡剤活性化剤、架橋助剤、または、それらの組合せである添加剤を少なくとも含む。別の実施形態において、発泡体はさらに、エチレン−酢酸ビニルコポリマー(EVA)を含む。別の実施形態において、EVA対エチレン/α−オレフィン共重合体の比率が約1:10〜約10:1である。
【0016】
別の態様において、本発明は、本明細書中に開示されるエチレン/α−オレフィン共重合体と、発泡剤と、架橋剤とを含む発泡性組成物に関する。
【0017】
別の態様において、本発明は、本明細書中に開示されるエチレン/α−オレフィン共重合体を含む発泡体から作製される発泡品に関する。1つの実施形態において、発泡品は履き物用品である。
【0018】
本発明のさらなる態様、ならびに、本発明の様々な実施形態のさらなる特徴および特性が下記の説明により明らかになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
一般的定義
「ポリマー」は、モノマー(同じタイプまたは異なるタイプのモノマーのどちらであっても)を重合することによって調製される高分子化合物を意味する。総称である「ポリマー」は、「ホモポリマー」、「コポリマー」、「ターポリマー」、ならびに、「共重合体(interpolymer)」の各用語を包含する。
【0020】
「共重合体」は、少なくとも2つの異なるタイプのモノマーの重合によって調製されるポリマーを意味する。総称である「共重合体」は、用語「コポリマー」(これは通常、2つの異なるモノマーから調製されるポリマーを示すために用いられる)、ならびに、用語「ターポリマー」(これは通常、3つの異なるタイプのモノマーから調製されるポリマーを示すために用いられる)を包含する。総称である「共重合体」はまた、4つまたはそれ以上のタイプのモノマーを重合することによって作製されるポリマーを包含する。
【0021】
用語「エチレン/α−オレフィン共重合体」は一般には、エチレンと、3個以上の炭素原子を有するα−オレフィンとを含むポリマーを示す。好ましくは、エチレンがポリマー全体の主要なモル分率を構成する。すなわち、エチレンがポリマー全体の少なくとも約50モルパーセントを含む。より好ましくは、エチレンが、少なくとも約60モルパーセント、少なくとも約70モルパーセント、または、少なくとも約80モルパーセントを含み、ポリマー全体の実質的な残りが、好ましくは3個以上の炭素原子を有するα−オレフィンである少なくとも1つの他のモノマーを含む。多くのエチレン/オクテンコポリマーについては、好ましい組成は、ポリマー全体の約80モルパーセントを超えるエチレン含有量と、ポリマー全体の約10モルパーセント〜約15モルパーセント(好ましくは約15モルパーセント〜約20モルパーセント)のオクテン含有量とを含む。いくつかの実施形態において、エチレン/α−オレフィン共重合体は、低収率で、または微量で、または化学プロセスの副産物として生成される共重合体を含まない。エチレン/α−オレフィン共重合体は1つまたは複数のポリマーと配合することができる一方で、製造時のエチレン/α−オレフィン共重合体は実質的に純粋であり、多くの場合、重合プロセスの反応生成物の主要成分を構成する。
【0022】
エチレン/α−オレフィン共重合体は、エチレンおよび1つまたはそれ以上の共重合可能なα−オレフィンコモノマーを、化学的特性または物理的特性において異なる2つまたはそれ以上の重合したモノマーユニットの多数のブロックまたはセグメントによって特徴づけられる重合形態で含む。すなわち、エチレン/α−オレフィン共重合体はブロック共重合体であり、好ましくは、マルチブロック共重合体またはマルチブロックコポリマーである。用語「共重合体」および用語「コポリマー」は本明細書中では交換可能に使用される。いくつかの実施形態において、マルチブロックコポリマーは下記の式によって表すことができる:
(AB)n
式中、nは少なくとも1であり、好ましくは、1よりも大きい整数であり、例えば、2、3、4、5、10、15、20、30、40、50、60、70、80、90、100またはそれ以上などであり、「A」はハードブロックまたはハードセグメントを表し、「B」はソフトブロックまたはソフトセグメントを表す。好ましくは、AおよびBは、実質的に枝分かれした様式または実質的に星型形状の様式ではなく、実質的に線状の様式で連結される。他の実施形態において、AブロックおよびBブロックはポリマー鎖に沿ってランダムに分布する。別の言い方をすれば、ブロックコポリマーは通常、下記のような構造を有しない:
AAA−AA-BBB−BB。
さらに他の実施形態において、ブロックコポリマーは通常、異なるコモノマーを含む第3のタイプのブロックを有しない。さらに他の実施形態において、ブロックAおよびブロックBのそれぞれが、ブロック内に実質的にランダムに分布するモノマーまたはコモノマーを有する。別の言い方をすれば、ブロックAまたはブロックBはいずれも、異なった組成の2つまたはそれ以上のセグメント(またはサブブロック)(例えば、ブロックのその他の部分とは実質的に異なる組成を有する先端セグメントなど)を含まない。
【0023】
マルチブロックポリマーは典型的には、様々な量の「ハード」セグメントおよび「ソフト」セグメントを含む。「ハード」セグメントは、エチレンが、ポリマーの重量に基づいて約95重量パーセントを超える量で、好ましくは、約98重量パーセントを超える量で存在する重合ユニットのブロックを示す。別の言い方をすれば、ハードセグメントにおけるコモノマー含有量(エチレン以外のモノマーの含有量)が、ポリマーの重量に基づいて約5重量パーセント未満であり、好ましくは、約2重量パーセント未満である。いくつかの実施形態において、ハードセグメントはすべてまたは実質的にすべてがエチレンから構成される。他方で、「ソフト」セグメントは、コモノマー含有量(エチレン以外のモノマーの含有量)が、ポリマーの重量に基づいて約5重量パーセントを超えるか、好ましくは約8重量パーセントを超えるか、約10重量パーセントを超えるか、または、約15重量パーセントを超える重合ユニットのブロックを示す。いくつかの実施形態において、ソフトセグメントにおけるコモノマー含有量は約20重量パーセントを越えることができ、または、約25重量パーセントを越えることができ、または、約30重量パーセントを越えることができ、または、約35重量パーセントを越えることができ、または、約40重量パーセントを越えることができ、または、約45重量パーセントを越えることができ、または、約50重量パーセントを越えることができ、または、約60重量パーセントを越えることができる。
【0024】
ソフトセグメントを、ブロック共重合体において、ブロック共重合体の総重量の約1重量パーセント〜約99重量パーセントで、好ましくは、ブロック共重合体の約5重量パーセント〜約95重量パーセントで、ブロック共重合体の総重量の約10重量パーセント〜約90重量パーセントで、ブロック共重合体の総重量の約15重量パーセント〜約85重量パーセントで、ブロック共重合体の総重量の約20重量パーセント〜約80重量パーセントで、ブロック共重合体の総重量の約25重量パーセント〜約75重量パーセントで、ブロック共重合体の総重量の約30重量パーセント〜約70重量パーセントで、ブロック共重合体の総重量の約35重量パーセント〜約65重量パーセントで、ブロック共重合体の総重量の約40重量パーセント〜約60重量パーセントで、または、ブロック共重合体の総重量の約45重量パーセント〜約55重量パーセントで存在させることができる。逆に、ハードセグメントを類似する範囲で存在させることができる。ソフトセグメントの重量百分率およびハードセグメントの重量百分率は、DSCまたはNMRから得られるデータに基づいて計算することができる。そのような方法および計算が、同時出願の米国特許出願第 号(判明時には記入のこと)(代理人文書番号385063−999558)(発明の名称:「エチレン/α−オレフィンブロック共重合体」、Colin L.P.Shan、Lonnie Hazlitt他の名で2006年3月15日出願、Dow Global Technologies Inc.に譲渡)に開示される(その開示はその全体が本明細書中に参考として組み込まれる)。
【0025】
用語「結晶質」は、用いられるならば、示差走査熱量測定法(DCS)または同等な技術によって測定されるような一次転移点または結晶の融点(Tm)を有するポリマーを示す。この用語は用語「半結晶質」と交換可能に使用することができる。用語「非晶質」は、示差走査熱量測定法(DCS)または同等な技術によって測定されるような結晶の融点を有しないポリマーを示す。
【0026】
用語「マルチブロックコポリマー」または用語「セグメント化コポリマー」は、好ましくは線状様式で接合された2つまたはそれ以上の化学的に異なった領域またはセグメント(これは「ブロック」と呼ばれる)を含むポリマー、すなわち、ペンダント様式またはグラフト化された様式ではなく、むしろ、重合したエチレン性官能基に関して端と端で接合される化学的に区別されるユニットを含むポリマーを示す。好ましい実施形態において、ブロックは、ブロックに取り込まれたコモノマーの量またはタイプ、そのような組成のポリマーに起因する密度、結晶化度の量、結晶子サイズ、タクチシティのタイプまたは程度(アイソタクチックまたはシンジオタクチック)、レジオ規則性またはレジオ不規則性、枝分かれ(長鎖枝分かれまたは超枝分かれを含む)の程度、均一性、あるいは、何らかの他の化学的特性または物理的特性において異なる。マルチブロックコポリマーは、コポリマーを作製する特有のプロセスのために、多分散性指数(PDIまたはMw/Mn)、ブロック長分布および/またはブロック数分布の両方の特有の分布によって特徴づけられる。より具体的には、連続プロセスで製造されたとき、ポリマーは望ましくは、1.7〜2.9のPDIを有し、好ましくは1.8〜2.5のPDI、より好ましくは1.8〜2.2のPDI、最も好ましくは1.8〜2.1のPDIを有する。回分プロセスまたは半回分プロセスで製造されたとき、ポリマーは1.0〜2.9のPDIを有し、好ましくは1.3〜2.5のPDI、より好ましくは1.4〜2.0のPDI、最も好ましくは1.4〜1.8のPDIを有する。
【0027】
下記の説明において、本明細書中に開示されるすべての数字は、「約」または「おおよそ」の語がそれに関連して使用されるかどうかにかかわらず、おおよその値である。本明細書中に開示される数字は、1パーセント、2パーセント、5パーセント、または、時には10パーセント〜20パーセント異なる場合がある。下限(RL)および上限(RU)を伴う数値範囲が開示されるときは常に、その範囲に含まれる任意の数字が具体的には開示される。特に、範囲に含まれる下記の数字が具体的には開示される:R=RL+k*(RU−RL)、式中、kは1パーセント刻みで1パーセントから100パーセントに及ぶ変数であり、すなわち、kは、1パーセント、2パーセント、3パーセント、4パーセント、5パーセント、・・・、50パーセント、51パーセント、52パーセント、・・・、95パーセント、96パーセント、97パーセント、98パーセント、99パーセントまたは100パーセントである。そのうえ、上記で定義されたように2つのRの数字によって定義される任意の数値範囲もまた、具体的に開示される。
【0028】
本発明の実施形態により、本明細書中に開示される少なくとも1つのエチレン/α−共重合体を含み、150kg/m3超〜約500kg/m3の密度を有する発泡体が提供される。本明細書中に開示される発泡体は、少なくとも1つのエチレン/α−共重合体、発泡剤および架橋剤を含む発泡性組成物から調製することができる。発泡体は、様々な用途(例えば、履き物用途など)のために好適である望ましい特性の良好なバランスを有する。いくつかの実施形態において、エチレン/α−共重合体は、少なくとも1つのソフトブロックおよび少なくとも1つのハードブロックを含むマルチブロックコポリマーである。他の実施形態において、発泡体は架橋される。架橋されたとき、発泡体は、ASTM D−2765−84の方法Aに従って、約5重量パーセントを超えるゲル含有量を有し、好ましくは、約5重量〜約90重量パーセントのゲル含有量、最も好ましくは、約30重量〜約70重量パーセントのゲル含有量を有する。
【0029】
エチレン/α−オレフィン共重合体
本発明の実施形態において用いられるエチレン/α−オレフィン共重合体(「本発明の共重合体」、「本発明のポリマー」とも呼ばれる)は、エチレンおよび1以上の共重合可能なα−オレフィンコモノマーを重合化された形態で含み、化学的または物理的な特性が異なる2つ以上の重合化されたモノマー単位の複数のブロックまたはセグメント(ブロック共重合体)、好ましくはマルチブロックコポリマーによって特徴付けられる。このエチレン/α−オレフィン共重合体は、下に記載されるような1つまたはそれ以上の態様によって特徴付けられる。
【0030】
一態様では、本発明の実施形態で用いられるエチレン/α−オレフィン共重合体は、約1.7〜約3.5のMw/Mn、少なくとも1つの融点Tm(℃)、および密度d(グラム/立方センチメートル)を有し、この変数の数値は:
Tm>−2002.9+4538.5(d)−2422.2(d)2、そして好ましくは、
Tm≧−6288.1+13141(d)−6720.3(d)2、そして好ましくは、
Tm≧858.91−1825.3(d)+1112.8(d)2
の関係に相当する。
【0031】
このような融点/密度の関係は、図1に図示される。融点が密度とともに低下するエチレン/α−オレフィンの従来のランダムコポリマーとは異なり、特に密度が約0.87g/cc〜約0.95g/ccである場合、本発明の共重合体(ひし形で示す)は、密度とは実質的に独立した融点を示す。例えば、このようなポリマーの融点は、密度が約0.875g/cc〜約0.945g/ccにわたる場合、約110℃〜約130℃の範囲である。ある実施形態では、このようなポリマーの融点は、密度が約0.875g/cc〜約0.945g/ccにわたる場合、約115℃〜約125℃の範囲である。
【0032】
別の態様では、このエチレン/α−オレフィン共重合体は、重合化された形態で、エチレンおよび1以上のα−オレフィンを含み、そして最高の示差走査熱量測定(「DSC」)ピーク温度から最高の結晶分析分別(Crystallization Analysis Fractionation)(「CRYSTAF」)ピークの温度を減算した温度として規定されるΔT(℃)および融解熱ΔH(J/g)によって特徴付けられ、そしてΔTおよびΔHの数値が、ΔHが130J/g以下の場合、以下の関係:
ΔT>−0.1299(ΔH)+62.81、そして好ましくは、
ΔT≧−0.1299(ΔH)+64.38、そしてより好ましくは、
ΔT≧−0.1299(ΔH)+65.95
を満たす。さらに、ΔTは、ΔHが130J/gより大きい場合、48℃以上である。CRYSTAFピークは、累積ポリマーのうちの少なくとも5%を用いて決定され(すなわち、このピークは、累積ポリマーの少なくとも5%に相当するはずである)、そしてこのポリマーの5パーセント未満が同定可能なCRYSTAFピークを有するならば、CRYSTAF温度が30℃であり、そしてΔHは、J/gである融解熱の数値である。より好ましくは、最高のCRYSTAFピークは、累積ポリマーの少なくとも10パーセントを含む。図2は、本発明のポリマーのプロットされたデータ、および比較例を示す。積分されたピーク面積およびピーク温度は、機器製造業者によって供給されるコンピュータ図形作成プログラムによって算出される。ランダムエチレン・オクテン比較例について示される対角線は、方程式ΔT=−0.1299(ΔH)+62.81に相当する。
【0033】
さらに別の態様では、このエチレン/α−オレフィン共重合体は、昇温溶離分別法(Temperature Rising Elution Fractionation)(「TREF」)を用いて分画される場合に40℃と130℃との間で溶離する分子画分を有し、この同じ温度の間で溶離する比較対象となるランダムエチレン共重合体画分のコモノマーモル含量よりも好ましくは少なくとも5パーセント高い、より好ましくは少なくとも10パーセント高いコモノマーモル含量を有するという点で特徴付けられ、ここで、この比較対象となるランダムエチレン共重合体は、同じコモノマー(単数または複数)を有し、かつメルトインデックス、密度、およびコモノマーモル含量(ポリマー全体に基づく)をそのブロック共重合体のものから10パーセント以内に有する。好ましくは、この比較対象となる共重合体のMw/Mnはまた、そのブロック共重合体のMw/Mnから10パーセント以内にあり、そして/またはこの比較対象となる共重合体は、そのブロック共重合体のMw/Mnから10パーセント以内にMw/Mnを有する。
【0034】
さらに別の態様では、このエチレン/α−オレフィン共重合体は、エチレン/α−オレフィン共重合体の圧縮成形フィルムで測定された、300パーセントのひずみかつ1サイクルでの弾性回復Re(パーセント)によって特徴付けられ、かつ密度d(グラム/立方センチメートル)を有し、このReおよびdの数値は、エチレン/α−オレフィン共重合体が実質的に架橋相を有さない場合、以下の関係、
Re>1481−1629(d);そして好ましくは、
Re≧1491−1629(d);そしてさらに好ましくは、
Re≧1501−1629(d);そしてよれより好ましくは、
Re≧1511−1629(d)
を満たす。
【0035】
図3は、特定の本発明の共重合体および従来のランダムコポリマーから作製された未延伸フィルムについての弾性回復率に対する密度の効果を示す。同じ密度について、本発明の共重合体は、実質的により高い弾性回復率を有する。
【0036】
ある実施形態では、エチレン/α−オレフィン共重合体は、10MPaを超える引張強度、好ましくは11MPa以上の引張強度、より好ましくは13Mpa以上の引張強度、および/または、11cm/分のクロスヘッド分離速度で、少なくとも600パーセント、より好ましくは少なくとも700パーセント、特に好ましくは少なくとも800パーセント、そして最も高度に好ましくは少なくとも900パーセントの破断点伸度を有する。
【0037】
他の実施形態では、このエチレン/α−オレフィン共重合体は、(1)1〜50、好ましくは1〜20、より好ましくは1〜10という貯蔵弾性率G’(25℃)/G’(100℃);および/または(2)80パーセント未満、好ましくは70パーセント未満、特に60パーセント未満、50パーセント未満、または40パーセント未満という70℃圧縮永久ひずみを、0パーセントの圧縮永久ひずみまで下がって、有する。
【0038】
さらに他の実施形態では、このエチレン/α−オレフィン共重合体は、80パーセント未満、70パーセント未満、60パーセント未満、または50パーセント未満、という70℃圧縮永久ひずみを有する。好ましくは、共重合体の70℃圧縮永久ひずみは、40パーセント未満、30パーセント未満、20パーセント未満であり、そして約0パーセントまで下がってもよい。
【0039】
ある実施形態では、このエチレン/α−オレフィン共重合体は、85J/g未満の融解熱、および/または100ポンド/フィート2(4800Pa)以下、好ましくは50ポンド/フィート2(2400Pa)以下、特に、5ポンド/フィート2(240Pa)以下、そして0ポンド/フィート2(0Pa)程度のペレットブロッキング強度を有する。
【0040】
他の実施形態では、このエチレン/α−オレフィン共重合体は、重合型で、少なくとも50モルパーセントのエチレンを含み、そして80パーセント未満、好ましくは70パーセント未満、または60パーセント未満、最も好ましくは40〜50パーセント、そしてゼロパーセント近くまで下がるという70℃圧縮永久ひずみを有する。
【0041】
ある実施形態では、このマルチブロックコポリマーは、ポアソン分布よりもシュルツ・フローリー分布にあてはまるPDIを保有する。このコポリマーはさらに、多分散性ブロック分布と多分散性ブロックサイズ分布との両方を有し、かつブロック長の最確分布を保有すると特徴付けられる。好ましいマルチブロックコポリマーは、末端ブロックを含めて、4以上のブロックまたはセグメントを含むものである。さらに好ましくは、このコポリマーは、末端ブロックを含めて、少なくとも5、10もしくは20のブロックまたはセグメントを含む。
【0042】
コモノマー含量は、任意の適切な技術を用いて測定され得、好ましくは核磁気共鳴(「NMR」)分光法に基づく技術による。さらに、比較的広範なTREF曲線を有するポリマーまたはポリマーの混合物については、ポリマーは望ましくは、TREFを用いて、各々が10℃以下の溶離温度範囲を有する画分に最初に分画される。すなわち、各々の溶離画分は、10℃以下という収集温度領域(ウィンドウ)を有する。この技術を用いて、このようなブロック共重合体は、比較対象となる共重合体の対応する画分よりも高モルのコモノマー含量を有する画分を、少なくとも1つ有する。
【0043】
別の態様では、本発明のポリマーはオレフィン共重合体であって、好ましくは、重合化された形態でエチレンおよび1以上の共重合性コモノマーを含み、化学的または物理的な特性が異なる2以上の重合化されたモノマー単位の複数のブロック(すなわち、少なくとも2つのブロック)またはセグメント(ブロック化された共重合体)によって特徴付けられ、最も好ましくはマルチブロックコポリマーである。このブロック共重合体は、40℃〜130℃間に溶離するピーク(ただし単なる分子画分ではない)を有し(しかし、個々の画分を収集および/または単離しない)、このピークが、半値全幅(full width/half maximum)(FWHM)面積計算を用いて展開される場合に赤外線分光法によって評価されるコモノマー含量を有し、同じ溶離温度において半値全幅(FWHM)面積計算を用いて展開された比較対象となるランダムエチレン共重合体のピークのコモノマー含量よりも高いコモノマー平均モル含量、好ましくは少なくとも5パーセント高い、より好ましくは少なくとも10パーセント高いコモノマー平均モル含量を有する点で特徴づけられる。ここで、この比較対象となるランダムエチレン共重合体は、同じコモノマー(単数または複数)を有し、かつメルトインデックス、密度、およびコモノマーのモル含量(ポリマー全体に基づく)をそのブロック化共重合体のものから10パーセント以内に有する。好ましくは、この比較対象となる共重合体のMw/Mnはまた、ブロック化共重合体のMw/Mnから10パーセント以内にあるか、そして/またはこの比較対象となる共重合体は、ブロック化共重合体の総コモノマー含量から10重量パーセント以内に総コモノマー含量を有する。半値全幅(FWHM)計算は、ATREF赤外検出器由来のメチレンに対するメチルの応答面積の比[CH3/CH2]に基づき、ここで、最も高(最高)のピークがベースラインから特定され、次いでこのFWHM面積が決定される。ATREFピークを用いて測定された分布については、FWHM面積は、T1とT2との間の曲線下面積として規定され、このT1とT2は、ピーク高さを2で割ること、次にATREF曲線の左部分および右部分を横切る、ベースラインに対して水平な線を引くことによって、ATREFピークの左右に対してポイント決定される。コモノマー含量についての検量線は、ランダムエチレン/α−オレフィンコポリマーを用い、TREFのピークのNMR対FWHM面積の比からコモノマー含量をプロットして作成される。この赤外方法については、この検量線は、目的の同じコモノマータイプについて作成される。本発明のポリマーのTREFピークのコモノマー含量は、TREFピークのFWHMのメチル:メチレン面積比[CH3/CH2]を用いてこの検量線を参照することによって決定され得る。
【0044】
コモノマー含量は、任意の適切な技術を用いて測定され得、好ましくは核磁気共鳴(「NMR」)分光法に基づく技術による。この技術を用いて、このブロック化共重合体は、対応する比較対象となる共重合体よりも高モルのコモノマー含量を有する。
【0045】
好ましくは、エチレンおよび1−オクテンの共重合体について、このブロック共重合体は、40℃と130℃の間で溶離するTREF画分のコモノマー含量を量(−0.2013)T+20.07以上、より好ましくは量(−0.2013)T+21.07以上有し、このTとは、℃で測定した、比較されているTREF画分のピーク溶離温度の数値である。
【0046】
図4はエチレンおよび1−オクテンのブロック共重合体の実施形態をグラフ表示しており、ここではいくつかの比較対象となるエチレン/1−オクテン共重合体(ランダムコポリマー)についてのコモノマー含量対TREF溶離温度のプロットが、(−0.2013)T+20.07(実線)に相当する線に適合する。この式(−0.2013)T+21.07についての線は、破線で示される。本発明のいくつかのブロックエチレン/1−オクテン共重合体(マルチブロックコポリマー)の画分のコモノマー含量も示される。ブロック共重合体画分の全てが、同等の溶離温度でいずれの線より有意に高い1−オクテン含量を有する。この結果は、本発明の共重合体の特徴であって、結晶性および非晶質の両方の性質を有する、ポリマー鎖内の分化型のブロックの存在に起因すると考えられる。
【0047】
図5は、実施例5および下で考察される比較例F*についてのポリマー画分のTREF曲線およびコモノマー含量をグラフ表示する。両方のポリマーについて40〜130℃、好ましくは60℃〜95℃で溶離するピークを、各々の部分が10℃未満の温度範囲にわたって溶離する3つの部分に分画する。実施例5についての実際のデータは三角で示す。異なるコモノマーを含有する共重合体について適切な検量線を作成することができ、それが、同じモノマーの比較の共重合体、好ましくはメタロセンまたは他の均一系触媒組成物を用いて製造されるランダムコポリマーから得られたTREF値とフィッティングさせる比較として用いられる線であり得ることは、当業者には理解され得る。本発明の共重合体は、同じTREF溶離温度で検量線から決定された値より大きい、好ましくは、少なくとも5パーセント大きい、より好ましくは少なくとも10パーセント大きい、コモノマーのモル含量で特徴付けられる。
【0048】
上記の態様および本明細書に記載される特性に加えて、本発明のポリマーは、1以上のさらなる特徴によって特徴付けられ得る。一態様では、本発明のポリマーは、オレフィン共重合体であり、好ましくは、エチレンおよび1以上の共重合性コモノマーを重合化された形態で含み、化学的または物理的な特性において異なる2またはそれ以上の重合モノマー単位の複数のブロックまたはセグメント(ブロック化された共重合体)によって特徴付けられ、最も好ましくはマルチブロックコポリマーである。このブロック共重合体は、TREF増分を用いて分画した場合に40℃〜130℃で溶離する分子画分を有し、この画分が、同じ温度の間に溶離する比較対象となるランダムエチレン共重合体画分のコモノマーモル含量よりも高いコモノマーモル含量、好ましくは少なくとも5パーセント高い、より好ましくは少なくとも10、15または25パーセント高いコモノマーモル含量を有するという点で特徴づけられる。ここで、この比較対象となるランダムエチレン共重合体は、同じコモノマー(単数または複数)(好ましくは、これは同じコモノマー(単数または複数)である)およびメルトインデックス、密度、およびコモノマーモル含量(ポリマー全体に基づく)をそのブロック化された共重合体のものから10パーセント以内に含む。好ましくは、この比較対象となる共重合体のMw/Mnはまた、ブロック化された共重合体のMw/Mnから10パーセント以内であるか、そして/またはこの比較対象となる共重合体は、ブロック化された共重合体の総コモノマー含量から10パーセント以内の総コモノマー含量を有する。
【0049】
好ましくは、上記の共重合体は、エチレンおよび少なくとも1つのα−オレフィンの共重合体であり、特に、それらの共重合体は、約0.855〜約0.935g/cm3の全体ポリマー密度を有し、そしてより詳細には、約1モルパーセントを超えるコモノマーを有するポリマーについては、このブロック化された共重合体は、40〜130℃間に溶離するTREF画分のコモノマー含量を、量(−0.1356)T+13.89以上、より好ましくは量(−0.1356)T+14.93以上、そして最も好ましくは、量(−0.2013)T+21.07以上有し、ここでTは、℃で測定した、比較されているTREF画分のピークATREF溶離温度の数値である。
【0050】
好ましくは、エチレンおよび少なくとも1つのα−オレフィンの上記の共重合体、特に、0.855〜約0.935g/cm3というポリマー全体密度を有する共重合体について、そしてさらに詳細には、約1モルパーセントを超えるコモノマーを有するポリマーについて、ブロック化された共重合体は、40℃〜130℃間に溶離するTREF画分のコモノマー含量を、量(−0.2013)T+20.07以上、より好ましくは量(−0.2013)T+21.07以上有し、ここでTは、℃で測定した、比較されているTREF画分のピーク溶離温度の数値である。
【0051】
さらに別の態様では、本発明のポリマーは、オレフィン共重合体であり、好ましくは重合化された形態でエチレンおよび1以上の共重合性コモノマーを含み、化学的または物理的な特性が異なる2以上の重合化されたモノマー単位の複数のブロックまたはセグメント(ブロック化された共重合体)によって特徴付けられ、最も好ましくはマルチブロックコポリマーである。このブロック共重合体は、TREF増分を用いて分画した場合に40℃〜130℃間に溶離する分子画分を有し、少なくとも約6モルパーセントのコモノマー含量を有するあらゆる画分が約100℃より大きい融点を有するという点で特徴付けられる。約3モルパーセント〜約6モルパーセントのコモノマー含量を有する画分については、あらゆる画分が約110℃以上というDSC融点を有する。より好ましくは、このポリマー画分は、少なくとも1モルパーセントのコモノマーを有し、式:
Tm≧(−5.5926)(画分中のコモノマーのモルパーセント)+135.90
に相当するDSC融点を有する。
【0052】
さらに別の態様では、本発明のポリマーは、オレフィン共重合体であり、好ましくは、重合化された形態でエチレンおよび1以上の共重合性コモノマーを含み、化学的または物理的な特性が異なる2以上の重合化されたモノマー単位の複数のブロックまたはセグメント(ブロック化された共重合体)によって特徴付けられ、最も好ましくはマルチブロックコポリマーである。このブロック共重合体は、TREF増分を用いて分画した場合に40℃〜130℃間に溶離する分子画分を有し、約76℃以上のATREF溶離温度を有するあらゆる画分が、式:
融解熱(J/gm)≦(3.1718)(ATREF溶離温度(℃))−136.58
に相当する、DSCによって測定された融解エンタルピー(融解熱)を有するという点で、特徴付けられる。
【0053】
本発明のブロック共重合体は、TREF増分を用いて分画された場合に40℃〜130℃間に溶離する分子画分を有し、40℃と約76℃未満との間のATREF溶離温度を有するあらゆる画分が、式:
融解熱(J/gm)≦(1.1312)(ATREF溶離温度(℃))+22.97
に相当する、DSCによって測定された融解エンタルピー(融解熱)を有するという点で特徴付けられる。
【0054】
赤外線検出器によるATREFピークのコモノマー組成測定
TREFピークのコモノマー組成は、Polymer Char,Valencia,Spain(http://www.polymerchar.com/)から入手可能なIR4赤外検出器を用いて測定され得る。
【0055】
検出器の「組成モード」は、測定センサー(CH2)および組成センサー(CH3)を装備しており、これは2800〜3000cm-1の領域における狭帯域固定型赤外線フィルタである。この測定センサーは、ポリマー上のメチレン(CH2)カーボン(これは、溶液中のポリマー濃度に直接関係する)を検出するが、組成センサーは、ポリマーのメチル(CH3)基を検出する。組成シグナル(CH3)を測定シグナル(CH2)によって除算した算術比は、溶液中の測定されるポリマーのコモノマー含量の影響を受けやすく、その応答は、公知のエチレンα−オレフィンコポリマー標準を用いて較正される。
【0056】
ATREF装置を用いる場合、検出器によって、TREFプロセスの間に溶離されたポリマーの濃度(CH2)および組成(CH3)シグナルの応答の両方が得られる。ポリマー特異的な較正は、コモノマー含量が分かっている(好ましくはNMRによって測定される)を有するポリマーについてCH3対CH2の面積比を測定することによって作成され得る。ポリマーのATREFピークのコモノマー含量は、個々のCH3およびCH2応答に対して面積比の比較較正を適用すること(すなわち、面積比CH3/CH2 対 コモノマー含量)によって推定され得る。
【0057】
ピーク面積は、適切なベースラインを適用してTREFクロマトグラムからの個々のシグナル応答を積分した後、半値全幅(FWHM)計算を用いて算出することができる。この半値全幅算出は、ATREF赤外検出器からのメチル対メチレンの応答面積比[CH3/CH2]の比に基づき、この最も高い(最高の)ピークはベースラインから特定され、次いでFWHM面積が決定される。ATREFピークを用いて測定される分布については、FWHM面積は、T1とT2との間の曲線下面積として規定され、ここでT1およびT2は、ピーク高さを2で割ること、次にATREF曲線の左部分および右部分を横切る、ベースラインに対して水平な線を引くことによって、ATREFピークの左右に対してポイント測定される。
【0058】
このATREF赤外方法においてポリマーのコモノマー含量を測定するための赤外線分光法の適用は、原理的には、以下の引用文献:Markovich,Ronald P.;Hazlitt,Lonnie G.;Smith,Linley;「Development of gel-permeation chromatography-Fourier transform infrared spectroscopy for characterization of ethylene-based polyolefin copolymers」.Polymeric Materials Science and Engineering(1991),65,98-100;およびDeslauriers,P.J.;Rohlfing,D.C.;Shieh,E.T.;「Quantifying short chain branching microstructures in ethylene-1-olefin copolymers using size exclusion chromatography and Fourier transform infrared spectroscopy(SEC-FTIR)」,Polymer(2002),43,59-170、に記載されるようなGPC/FTIRシステムのものと同様であり、その両方の引用文献とも、その全体が本明細書において参照によって援用される。
【0059】
他の実施形態では、本発明のエチレン/α−オレフィン共重合体は、ゼロより大きくかつ約1.0までである平均ブロックインデックス、および約1.3より大きい分子量分布Mw/Mnによって特徴付けられる。この平均ブロックインデックスABIは、5℃の増分で、20℃〜110℃の分取TREFで得られたポリマー画分の各々についてのブロックインデックス(「BI」)の重量平均であり:
ABI=Σ(wiBIi
ここでBIiは、分取TREFで得られた本発明のエチレン/α−オレフィン共重合体のi番目の画分についてのブロックインデックスであり、そしてwiは、i番目の画分の重量パーセンテージである。
【0060】
各々のポリマー画分について、BIは、以下の2つの式(その両方とも同じBI値を与える)のうちの1つによって規定され:
BI=(1/TX−1/TXO)/(1/TA−1/TAB)またはBI=−(LnPX−LnPXO)/(LnPA−LnPAB
ここでTxはi番目の画分についての分取ATREF溶離温度(好ましくはケルビン温度で表される)であり、Pxは、i番目の画分のエチレンモル画分であって、上記のようなNMRまたはIRによって測定され得る。PABは、エチレン/α−オレフィン共重合体全体のエチレンモル分率(前の画分)であり、これもNMRまたはIRによって測定され得る。TAおよびPAは、純粋な「ハードセグメント(hard segments)」(これは共重合体の結晶セグメントをいう)についてのATREF溶離温度およびエチレンモル画分である。一次の近似として、このTAおよびPAの値は、この「ハードセグメント」についての実測値を得ることができない場合、高密度ポリエチレン・ホモポリマーについての値に設定される。本明細書において行われる計算については、TAは372°Kであって、PAは1である。
【0061】
ABは、同じ組成であって、PABというエチレンモル画分を有するランダムコポリマーについてのATREF温度である。TABは、以下の式:
LnPAB=αTAB+β
から計算されてもよく、
ここでαおよびβは多数の公知のランダムエチレンコポリマーを用いる検量によって決定され得る2つの定数である。αおよびβは、装置間で変化し得ることに注意すべきである。さらに、目的のポリマー組成を用いて、そしてそれらの画分と同様の分子量範囲に関しても、それら自体の検量線を作成する必要がある。わずかな分子量効果がある。この検量線が、類似の分子量範囲から得られる場合、このような効果は、本質的に無視できる。ある実施形態では、ランダムエチレンコポリマーは、以下の関係:
LnP=−237.83/TATREF+0.639
を満たし、
xoは、同じ組成であって、PXというエチレンモル画分を有するランダムコポリマーについてのATREF温度である。TXOは、LnPX=α/TXO+βから算出されてもよい。逆に、PXOは、同じ組成であって、LnPXO=α/TX+βから算出され得る、TXというATREF温度を有するランダムコポリマーについてのエチレンモル画分である。
【0062】
一旦、各々の分取TREF画分についてブロックインデックス(BI)が得られれば、ポリマー全体についての重量平均ブロックインデックスABIが算出され得る。ある実施形態では、ABIは、ゼロより大きいが、約0.3未満、または約0.1〜約0.3である。他の実施形態では、ABIは、約0.3より大きく約1.0までである。好ましくは、ABIは、約0.4〜約0.7、約0.5〜約0.7、約0.6〜約0.9の範囲であるべきである。ある実施形態では、ABIは、約0.3〜約0.9、約0.3〜約0.8、または約0.3〜約0.7、約0.3〜約0.6、約0.3〜約0.5、または約0.3〜約0.4の範囲である。他の実施形態では、ABIは、約0.4〜約1.0、約0.5〜約1.0、または約0.6〜約1.0、約0.7〜約1.0、約0.8〜約1.0、または約0.9〜約1.0の範囲である。
【0063】
本発明のエチレン/α−オレフィン共重合体の別の特徴は、この本発明のエチレン/α−オレフィン共重合体が、分取TREFによって得られ得る少なくとも1つのポリマー画分を含み、この画分は約0.1より大きくかつ約1.0までのブロックインデックス、約1.3より大きい分子量分布MW/Mnを有する。ある実施形態では、このポリマー画分は、約0.6より大きくかつ約1.0まで、約0.7より大きくかつ約1.0まで、約0.8より大きくかつ約1.0まで、または約0.9より大きくかつ約1.0までのブロックインデックスを有する。他の実施形態では、このポリマー画分は、約0.1より大きくかつ約1.0まで、約0.2より大きくかつ約1.0まで、約0.3より大きくかつ約1.0まで、約0.4より大きくかつ約1.0まで、または約0.4より大きくかつ約1.0までのブロックインデックスを有する。さらに他の実施形態では、このポリマー画分は、約0.1より大きくかつ約0.5まで、約0.2より大きくかつ約0.5まで、約0.3より大きくかつ約0.5まで、または約0.4より大きくかつ約0.5までのブロックインデックスを有する。さらに他の実施形態では、このポリマー画分は、約0.2より大きくかつ約0.9まで、約0.3より大きくかつ約0.8まで、約0.4より大きくかつ約0.7まで、または約0.5より大きくかつ約0.6までのブロックインデックスを有する。
【0064】
エチレンおよびα−オレフィンのコポリマーについては、本発明のポリマーは好ましくは、
(1)少なくとも1.3、より好ましくは少なくとも1.5、少なくとも1.7、または少なくとも2.0、そして最も好ましくは少なくとも2.6、5.0という最大値まで、より好ましくは3.5の最大値まで、そして特に2.7という最大値までのPDI;
(2)80J/g以下の融解熱;
(3)少なくとも50重量パーセントのエチレン含量;
(4)−25℃未満、より好ましくは−30℃未満というガラス転移温度Tg、および/または
(5)唯一のTm
を保有する。
【0065】
さらに、本発明のポリマーは、log(G’)が100℃の温度で400kPa以上、好ましくは1.0MPa以上であるような貯蔵弾性率G’を単独で、または本明細書に開示される任意の他の特性と組み合わせて有することができる。さらに、本発明のポリマーは、0〜100℃の範囲で温度の関数として比較的平坦な貯蔵弾性率を保有し(図6に図示される)、これは、ブロックコポリマーの特徴であるが、オレフィンコポリマー、特に、エチレンおよび1またはそれ以上のC3-8脂肪族α−オレフィンのコポリマーについては今まで知られていない。((この文脈での「比較的平坦な」という用語は、50と100℃の間、好ましくは0℃と100℃の間でのlogG’(パスカル)の減少が、1ケタ未満であることを意味する)。)。
【0066】
本発明の共重合体は、少なくとも90℃の温度で1mmという熱機械分析針入深度、および3kpsi(20MPa)〜13kpsi(90MPa)という曲げ弾性率によってさらに特徴付けられ得る。あるいは、本発明の共重合体は、少なくとも104℃の温度で1mmという熱機械分析針入深度、そして少なくとも3kpsi(20MPa)という曲げ弾性率を有し得る。それらは、90mm3未満という耐摩耗性(または容積減少)を有することで特徴づけられ得る。図7は、他の公知のポリマーと比較した場合の、本発明のポリマーについてのTMA(1mm)対屈曲弾性率を示す。本発明のポリマーは有意に、他のポリマーよりもずっとよい可撓性−耐熱性のバランスを有する。
【0067】
さらに、エチレン/α−オレフィン共重合体は、0.01〜2000g/10分、好ましくは0.01〜1000g/10分、さらに好ましくは0.01〜500g/10分、そして特に0.01〜100g/10分というメルトインデックスI2を有し得る。特定の実施形態では、このエチレン/α−オレフィン共重合体は、0.01〜10g/10分、0.5〜50g/10分、1〜30g/10分、1〜6g/10分または0.3〜10g/10分というメルトインデックスI2を有する。特定の実施形態では、このエチレン/α−オレフィン・ポリマーのメルトインデックスは、1g/10分、3g/10分または5g/10分である。
【0068】
このポリマーは、1,000g/モル〜5,000,000g/モル、好ましくは1,000g/モル〜1,000,000g/モル、より好ましくは10,000g/モル〜500,000g/モル、そして特に10,000g/モル〜300,000g/モルの分子量MWを有し得る。本発明のポリマーの密度は、0.80〜0.99g/cm3であり得、そして好ましくは、エチレン含有ポリマーについては0.85g/cm3〜0.97g/cm3であり得る。特定の実施形態では、このエチレン/α−オレフィンポリマーの密度は、0.860〜0.925g/cm3または0.867g/cm3〜0.910g/cm3におよぶ。
【0069】
このポリマーを作製するプロセスは、以下の特許出願に開示されている:2004年3月17日出願の米国仮出願第60/553,906号;2005年3月17日出願の米国仮出願第60/662,937号;2005年3月17日出願の米国仮出願第60/662,939号;2005年3月17日出願の米国仮出願第60/5662938号;2005年3月17日出願のPCT出願第PCT/US2005/008916号;2005年3月17日出願のPCT出願第2005/008915号;および2005年3月17日出願のPCT出願第PCT/US2005/008917号;これらの全てはその全体が本明細書において参照によって援用される。例えば、1つのこうした方法は、エチレンおよび場合によっては1つまたはそれ以上のエチレン以外の付加重合可能なモノマーを付加重合条件下で触媒組成物と接触させることを含み:
この触媒組成物は、
(A)高いコモノマー組み込みインデックスを有する第一のオレフィン重合触媒、
(B)触媒(A)のコモノマー組み込みインデックスの90パーセント未満、好ましくは50パーセント未満、最も好ましくは5パーセント未満のコモノマー組み込みインデックスを有する第二のオレフィン重合触媒、および
(C)可逆的連鎖移動剤(chain shuttling agent)
を併せることによって得られる混合物または反応生成物を含有する。
【0070】
代表的な触媒および可逆的連鎖移動剤は以下のとおりである。
【0071】
触媒(A1)は、WO03/40195、2003US0204017、USSN10/429,024(2003年5月2日出願)、およびWO04/24740の教示に従って調製した、[N−(2,6−ジ(1−メチルエチル)フェニル)アミド)(2−イソプロピルフェニル)(α−ナフタレン−2−ジイル(6−ピリジン−2−ジイル)メタン)]ハフニウムジメチルである。
【0072】
【化1】

触媒(A2)は、WO03/40195、2003US0204017、USSN10/429,024(2003年5月2日出願)、およびWO04/24740の教示に従って調製した、[N−2,6−ジ(1−メチルエチル)フェニル)アミド)(2−メチルフェニル)(1,2−フェニレン−(6−ピリジン−2−ジイル)メタン)]ハフニウムジメチルである。
【0073】
【化2】

触媒(A3)は、ビス[N,N’’’−(2,4,6−トリ(メチルフェニル)アミド)エチレンジアミン]ハフニウムジベンジルである。
【0074】
【化3】

触媒(A4)は、US−A−2004/0010103の教示に実質的に従って調製された、ビス((2−オキソイル−3−(ジベンゾ−1H−ピロール−1−イル)−5−(メチル)フェニル)−2−フェノキシメチル)シクロヘキサン−1,2−ジイルジルコニウム(IV)ジベンジルである。
【0075】
【化4】

触媒(B1)は、1,2−ビス−(3,5−ジ−t−ブチルフェニレン)(1−(N−(1−メチルエチル)イミノ)メチル)(2−オキソイル)ジルコニウムジベンジル
【0076】
【化5】

である。
【0077】
触媒(B2)は、1,2−ビス−(3,5−ジ−t−ブチルフェニレン)(1−(N−(2−メチルシクロヘキシル)−イミノ)メチル)(2−オキソイル)ジルコニウムジベンジル
【0078】
【化6】

である。
【0079】
触媒(C1)は、米国特許第6,268,444号の教示に実質的に従って調製された、(t−ブチルアミド)ジメチル(3−N−ピロリル−1,2,3,3a,7a−η−インデン−1−イル)シランチタニウムジメチル
【0080】
【化7】

である。
【0081】
触媒(C2)は、US−A−2003/004286の教示に実質的に従って調製された、(t−ブチルアミド)ジ(4−メチルフェニル)(2−メチル−1,2,3,3a,7a−η−インデン−1−イル)シランチタニウムジメチル
【0082】
【化8】

である。
【0083】
触媒(C3)は、US−A−2003/004286の教示に実質的に従って調製された、(t−ブチルアミド)ジ(4−メチルフェニル)(2−メチル−1,2,3,3a,8a−η−s−インダセン−1−イル)シランチタニウムジメチル
【0084】
【化9】

である。
【0085】
触媒(D1)は、Sigma−Aldrichから入手可能なビス(ジメチルジシロキサン)(インデン−1−イル)塩化ジルコニウム
【0086】
【化10】

である。
【0087】
可逆的移動剤(shuttling agent)。使用される可逆的移動剤としては、ジエチル亜鉛、ジ(i−ブチル)亜鉛、ジ(n−ヘキシル)亜鉛、トリエチルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、トリエチルガリウム、i−ブチルアルミニウムビス(ジメチル(t−ブチル)シロキサン)、i−ブチルアルミニウムビス(ジ(トリメチルシリル)アミド)、n−オクチルアルミニウムジ(ピリジン−2−メトキシド)、ビス(n−オクタデシル)i−ブチルアルミニウム、i−ブチルアルミニウムビス(ジ(n−ペンチル)アミド)、n−オクチルアルミニウムビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノキシド、n−オクチルアルミニウムジ(エチル(1−ナフチル)アミド)、エチルアルミニウムビス(t−ブチルジメチルシロキシド)、エチルアルミニウム(ジ(ビス(トリメチルシリル)アミド)、エチルアルミニウムビス(2,3,6,7−ジベンゾ−1−アザシクロヘプタンアミド)、n−オクチルアルミニウムビス(2,3,6,7−ジベンゾ−1−アザシクロヘプタンアミド)、n−オクチルアルミニウムビス(ジメチル(t−ブチル)シロキシド、エチル亜鉛(2,6−ジフェニルフェノキシド)およびエチル亜鉛(t−ブトキシド)が挙げられる。
【0088】
好ましくは、前述のプロセスは、相互に交換できない複数の触媒を用いる、ブロックコポリマー、特にマルチブロックコポリマー、好ましくは2以上のモノマーの線状マルチブロックコポリマー、さらに詳細にはエチレンおよびC3-20オレフィンまたはシクロオレフィンの線状マルチブロックコポリマー、そして最も詳細にはエチレンおよびC4-20α−オレフィンの線状マルチブロックコポリマーを形成するための連続溶液プロセスの形態をとる。すなわち、これらの触媒は化学的に別個である。連続的な溶液重合条件のもとで、このプロセスは理想的には、高いモノマー変換でのモノマーの混合物の重合に適している。これらの重合条件のもとで、可逆的連鎖移動剤から触媒への可逆的移動(shuttling)は、鎖成長に比較して有先され、そしてマルチブロックコポリマー、詳細には線状マルチブロックコポリマーが高い効率で形成される。
【0089】
本発明の共重合体は、逐次的モノマー付加、流動触媒、アニオンリビング重合技術またはカチオンリビング重合技術により調製された、従来のランダムコポリマー、ポリマーの物理的混合物、およびブロックコポリマーとは区別することができる。詳細には、同等の結晶性または弾性率で同じモノマーおよびモノマー含量のランダムコポリマーと比較して、本発明の共重合体は、融点で測定した場合にはより優れた(より高い)耐熱性を、動的機械分析によって判定した場合にはより高いTMA針入温度、より高い高温引張強度、および/またはより高い高温ねじり貯蔵弾性率(torsion storage modulus)を有する。同じモノマーおよびモノマー含量を含有するランダムコポリマーと比較して、本発明の共重合体は、より低い圧縮永久ひずみ(特に、高温で)、より低い応力緩和、より高い耐クリープ性、より高い引裂強度、より高い耐ブロッキング性、より高い結晶化(固化)温度に起因する迅速な硬化、より高い回復(特に高温で)、より良好な耐摩耗性、より高い収縮力、ならびにより良好な油および充填剤の受け入れを有する。
【0090】
本発明の共重合体はまた、固有の結晶化および分枝分布関係を示す。すなわち、本発明の共重合体は、特に、同じモノマーおよびモノマーレベルを含むランダムコポリマーまたは等価の総合密度でのポリマーの物理的ブレンド、例えば、高密度ポリマーと低密度コポリマーとのブレンドと比較して、CRYSTAFおよびDSCを用いて測定した融解熱の関数として最高のピーク温度の間に比較的大きな差を有する。本発明の共重合体のこの固有の特徴は、ポリマーの主鎖内のブロックにおけるコモノマーの独特の分布に起因すると考えられる。詳細には、本発明の共重合体は、異なるコモノマー含量(ホモポリマーブロックを含む)の交互のブロックを含んでもよい。本発明の共重合体はまた、異なる密度またはコモノマー含量のポリマーブロックの数および/またはブロックサイズの分布を含んでもよく、これは、シュルツ−フローリー(Schultz-Flory)型の分布である。さらに、本発明の共重合体はまた、固有のピーク融点および結晶化温度プロフィールを有し、これは実質的には、ポリマーの密度、弾性率(modulus)および形態とは独立している。好ましい実施形態では、ポリマーの微結晶性秩序は、特徴的な球晶およびラメラを示し、これは1.7未満、または1.5未満、1.3未満までのPDI値においてでさえ、ランダムコポリマーまたはブロックコポリマーとは区別できる。
【0091】
さらに、本発明の共重合体は、ブロッキネス(blockiness)の程度またはレベルに影響する技術を用いて調製され得る。すなわち、コモノマーの量および各々のポリマーブロックまたはセグメントの長さは、触媒および可逆的移動剤の比およびタイプ、ならびに重合の温度および他の重合の変数を制御することによって変更され得る。この現象の驚くべき利点は、ブロッキネスの程度が増大されるほど、得られたポリマーの光学的特性、引裂強度および高温回復の特性が改善されるという発見である。詳細には、曇りは減少するが、透明度、引裂強度および高温回復の特性は、ポリマーにおけるブロックの平均数の増大につれて増大する。所望の連鎖移送能力(高い可逆的移動(shuttling)速度、低レベルの連鎖停止を伴う)を有する可逆的移動剤および触媒の組み合わせを選択することによって、他の形態のポリマー停止は効率的に抑制される。従って、β水素化物脱離が、本発明の実施形態によるエチレン/α−オレフィンコモノマー混合物の重合でほとんど観察されず、そして得られた結晶ブロックは高度に、または実質的に完全に、線状であり、長鎖分枝をほとんどまたはまったく保有しない。
【0092】
高結晶性連鎖末端を有するポリマーは、本発明に実施形態によって選択的に調製され得る。弾性用途では、非結晶性のブロックで終わるポリマーの相対量を減少させることによって、結晶性領域に対する分子間希薄化効果が減少される。この結果は、水素または他の可逆的連鎖停止因子に対して適切な応答を有する可逆的連鎖移動剤および触媒を選択することによって得ることができる。詳細には、高結晶性ポリマーを生成する触媒が、(例えば、より高いコモノマー組み込み、レジオ−エラー(regio-error)、またはアタクチックポリマー形成によって)より少ない結晶性ポリマーセグメントを生成する原因となる触媒よりも、(例えば、水素の使用により)連鎖停止を受けやすい場合には、高結晶性ポリマーセグメントが、そのポリマーの末端部分を優先的に占める。得られる末端基が結晶性であるだけでなく、高結晶性のポリマー形成触媒部位は、停止の際にポリマー形成の再開始にもう一度利用可能である。従って、最初に形成されたポリマーは、別の高結晶性のポリマーセグメントである。従って、得られたマルチブロックコポリマーの両方の末端は優先的に高度に結晶性である。
【0093】
本発明の実施形態で用いられるエチレンα−オレフィン共重合体は好ましくは、少なくとも1つのC3−C20α−オレフィンを有するエチレンの共重合体である。エチレンおよびC3−C20α−オレフィンのコポリマーが特に好ましい。この共重合体はさらに、C4−C18ジオレフィンおよび/またはアルケニルベンゼンを含んでもよい。エチレンとの重合のために有用な適切な不飽和コモノマーとしては、例えば、エチレン性不飽和モノマー、共役または非共役ジエン、ポリエン、アルケニルベンゼンなどが挙げられる。このようなコモノマーの例としては、C3−C20α−オレフィン、例えば、プロピレン、イソブチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセンなどが挙げられる。1−ブテンおよび1−オクテンが特に好ましい。他の適切なモノマーとしては、スチレン、ハロ−またはアルキル−置換スチレン、ビニルベンゾシクロブタン、1,4−ヘキサジエン、1,7−オクタジエン、およびナフテン類(naphthenics)(例えば、シクロペンテン、シクロヘキセンおよびシクロオクテン)が挙げられる。
【0094】
エチレン/α−オレフィン共重合体が好ましいポリマーであるが、他のエチレン/オレフィンポリマーも用いられ得る。本明細書において用いられるオレフィンとは、少なくとも1つの炭素間二重結合を有する不飽和の炭化水素系化合物のファミリーをいう。触媒の選択に依存して、オレフィンは、本発明の実施形態で用いられ得る。好ましくは、適切なオレフィンは、ビニル不飽和を含むC3−C20脂肪族および芳香族化合物、ならびに環状化合物、例えば、シクロブテン、シクロペンテン、ジシクロペンタジエン、およびノルボルネンであって、これには、限定はしないが、C1−C20ヒドロカルビル基またはシクロヒドロカルビル基で5位および6位で置換されたノルボルネンが挙げられる。このようなオレフィンの混合物、およびこのようなオレフィンとC4−C40ジオレフィン化合物との混合物も挙げられる。
【0095】
オレフィンモノマーの例としては、限定はしないが、プロピレン、イソブチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセンおよび1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4,6−ジメチル−1−ヘプテン、4−ビニルシクロヘキセン、ビニルシクロヘキセン、ノルボルナジエン、エチルイデンノルボルネン、シクロペンテン、シクロヘキセン、ジシクロペンタジエン、シクロオクテン、C4−C40ジエンが挙げられ、これには限定はしないが、1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、1,5−ヘキサジエン、1,7−オクタジエン、1,9−デカジエン、他のC4−C40α−オレフィンなどが挙げられる。特定の実施形態では、α−オレフィンは、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテンまたはそれらの組み合わせである。ビニル基を含む任意の炭化水素が本発明の実施形態で用いられてもよいが、実際的な問題、例えば、モノマーの有効性、コスト、および得られたポリマーから未反応のモノマーを都合よく除去する能力は、このモノマーの分子量が大きくなり過ぎると、さらに問題となり得る。
【0096】
本明細書に記載される重合プロセスは、スチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、t−ブチルスチレンなどのモノビニリデン芳香族モノマーを含むオレフィンポリマーの生成に十分適している。詳細には、エチレンおよびスチレンを含む共重合体は、本明細書の教示に従うことによって調製され得る。必要に応じて、エチレン、スチレンおよびC3−C20αオレフィンを含み、必要に応じてC4−C20ジエンを含み、改善された特性を有するコポリマーが調製され得る。
【0097】
適切な非共役ジエンモノマーは、6〜15個の炭素原子を有する直鎖、分枝鎖または環状炭化水素ジエンであり得る。適切な非共役ジエンの例としては、限定はしないが、直鎖非環式ジエン、例えば、1,4−ヘキサジエン、1,6−オクタジエン、1,7−オクタジエン、1,9−デカジエン、分枝鎖非環式ジエン(例えば、5−メチル−1,4−ヘキサジエン;3,7−ジメチル−1,6−オクタジエン;3,7−ジメチル−1,7−オクタジエンならびにジヒドロミリセンおよびジヒドロオシネンの混合異性体)、単環脂環式ジエン(例えば、1,3−シクロペンタジエン;1,4−シクロヘキサジエン;1,5−シクロオクタジエンおよび1,5−シクロドデカジエン)、ならびに多環脂環式縮合および架橋環ジエン、例えば、テトラヒドロインデン、メチルテトラヒドロインデン、ジシクロペンタジエン、ビシクロ−(2,2,1)−ヘプタ−2,5−ジエン;アルケニルノルボルネン、アルキリデンノルボルネン、シクロアルケニルノルボルネンおよびシクロアルキリデンノルボルネン(例えば、5−メチレン−2−ノルボルネン(MNB);5−プロペニル−2−ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、5−(4−シクロペンテニル)−2−ノルボルネン、5−シクロヘキシリデン−2−ノルボルネン、5−ビニル−2−ノルボルネンおよびノルボルナジエン)が挙げられる。EPDMを調製するために代表的に用いられるジエンのうち、特に好ましいジエンは1,4−ヘキサジエン(HD)、5−エチリデン−2−ノルボルネン(ENB)、5−ビニリデン−2−ノルボルネン(VNB)、5−メチレン−2−ノルボルネン(MNB)およびジシクロペンタジエン(DCPD)である。特に好ましいジエンは、5−エチリデン−2−ノルボルネン(ENB)および1,4−ヘキサジエン(HD)である。
【0098】
本発明の実施形態に従って作製され得る所望のポリマーの1クラスは、エチレン、C3−C20α−オレフィン(特にプロピレン)および必要に応じて1またはそれ以上のジエンモノマーのエラストマー系共重合体である。本発明の実施形態で用いるための好ましいα−オレフィンは、式CH2=CHR*で示され、R*は、1〜12個の炭素原子の直鎖状または分枝したアルキル基である。適切なα−オレフィンの例としては、限定はしないが、プロピレン、イソブチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテンおよび1−オクテンが挙げられる。特に好ましいα−オレフィンは、プロピレンである。プロピレン系ポリマーは一般に、当分野では、EPポリマーまたはEPDMポリマーと呼ばれる。このようなポリマーを調製する際に使用する適切なジエン、特にマルチブロックEPDM型のポリマーとしては、4〜20個の炭素を含む、共役または非共役の、直鎖または分枝鎖の、環状または多環式のジエンが挙げられる。好ましいジエンとしては、1,4−ペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、シクロヘキサジエンおよび5−ブチリデン−2−ノルボルネンが挙げられる。特に好ましいジエンは5−エチリデン−2−ノルボルネンである。
【0099】
ジエン含有ポリマーは交互のセグメントまたはブロックであって、より大量もしくは少量のジエン(なしも含む)およびα−オレフィン(なしも含む)を含むセグメントまたはブロックを含むので、ジエンおよびα−オレフィンの総量は、その後にポリマーの特性を失うことなく軽減され得る。すなわち、ジエンおよびα−オレフィンのモノマーは、ポリマー全体にわたって均一でもまたはランダムに組み込まれるよりもむしろ、ポリマーのブロックの1タイプに優先的に組み込まれるので、それらは、より効率的に利用され、そして引き続きこのポリマーの架橋密度は、さらに良好に制御され得る。このような架橋可能な弾性および硬化した生成物は、より高い引張強度およびより良好な弾性回復率が挙げられる有利な特性を有する。
【0100】
ある実施形態では、種々の量のコモノマーを組み込んでいる2つの触媒で作製された本発明の共重合体は、それによって形成されたブロックの重量比95:5〜5:95を有する。所望の弾性ポリマーは、ポリマーの総重量に基づいて、20〜90パーセントのエチレン含量、0.1〜10パーセントのジエン含量、そして10〜80パーセントのα−オレフィン含量を有する。さらに好ましくは、マルチブロック弾性ポリマーは、ポリマーの総重量に対して、60〜90パーセントのエチレン含量、0.1〜10パーセントのジエン含量、そして10〜40パーセントのα−オレフィン含量を有する。好ましいポリマーは、高分子量のポリマーであって、これは、10,000〜約2,500,000、好ましくは、20,000〜500,000、より好ましくは20,000〜350,000という平均分子量(Mw)、および3.5未満、より好ましくは3.0未満という多分散性、そして1〜250のムーニー粘度(ML(1+4)125℃)を有する高分子量ポリマーである。さらに好ましくは、このようなポリマーは、65〜75パーセントのエチレン含量、0〜6パーセントのジエン含量、および20〜35パーセントのα−オレフィン含量を有する。
【0101】
エチレン/α−オレフィン共重合体は、そのポリマー構造中に少なくとも1つの官能基を組み込むことによって官能化され得る。例示的な官能基としては、例えば、エチレン不飽和単官能性および二官能性のカルボン酸、エチレン不飽和単官能性および二官能性のカルボン酸無水物、その塩およびそのエステルが挙げられ得る。このような官能基は、エチレン/α−オレフィン共重合体にグラフトされてもよいし、またはこれは、エチレンおよび任意のさらなるコモノマーと共重合されて、エチレンの共重合体、官能コモノマーおよび必要に応じて他のコモノマー(単数または複数)を形成してもよい。ポリエチレンに官能基をグラフトする手段は、例えば、それらの特許の開示がその全体が参照によって本明細書に援用される、米国特許第4,762,890号、同第4,927,888号および同第4,950,541号に記載される。特に有用な官能基の1つは、リンゴ酸無水物である。
【0102】
官能性共重合体に存在する官能基の量は、変化し得る。官能基は代表的には、少なくとも約1.0重量パーセント、好ましくは少なくとも約5重量パーセント、そしてさらに好ましくは少なくとも約7重量パーセントの量でコポリマー型官能化共重合体に存在し得る。この官能基は代表的には、コポリマー型官能化共重合体中に、約40重量パーセント未満、好ましくは約30重量パーセント未満、そして最も好ましくは約25重量パーセント未満の量で存在する。
【0103】
発泡体の調製
本明細書中に開示される発泡体は、少なくとも1つの発泡剤、少なくとも1つの架橋剤、および、本明細書中に開示される少なくとも1つのエチレン/α−オレフィン共重合体を含む発泡性組成物から調製することができる。場合により、発泡性組成物はさらに、少なくとも第2のポリマー成分、少なくとも1つの他の添加剤またはその組合せを含むことができる。好適な他の添加剤の限定されない例には、グラフト化開始剤、架橋触媒、発泡剤活性化剤(例えば、酸化亜鉛およびステアリン酸亜鉛など)、架橋助剤(例えば、トリアリルシアヌラート)、可塑剤、着色剤または顔料、安定性制御剤、核剤、フィラー、酸化防止剤、酸スカベンジャー、紫外線安定化剤、難燃剤、滑剤、加工助剤、押出し助剤、および、それらの組合せが含まれる。
【0104】
本明細書中に開示される発泡体は、当分野で公知の任意の物理的形態を取ることができ、例えば、球体形状、円筒形状、円板形状、立方体形状、角柱形状、シート形状、厚板(plank)形状、発泡体スラブ材形状または不規則な形状などを取ることができる。さらに、本明細書中に開示される発泡体は、射出成形品、圧縮成形品または押出し成形品であり得る。他の有用な形態が、膨張性粒子または発泡性粒子、成形可能な発泡体粒子、または、ビーズ、ならびに、そのような粒子の膨張および/または合体化および溶着によって形成される物品である。
【0105】
いくつかの履き物用途(例えば、中底、間底、外底、ユニソールおよび中敷きなど)において、本明細書中に開示される発泡体は実質的に架橋され得る。発泡体は、5%を超えるゲルをASTM D−2765−84の方法Aにより含有するとき、実質的に架橋される。いくつかの実施形態において、本明細書中に開示される発泡体は、約5%を超えるゲル、約10%を超えるゲル、約15%を超えるゲル、約20%を超えるゲル、約25%を超えるゲル、約30%を超えるゲル、約35%を超えるゲル、または、約40%を超えるゲルをASTM D−2765−84の方法Aにより含有する。他の実施形態において、本明細書中に開示される発泡体は約95%未満のゲルを含有する。さらなる実施形態において、本明細書中に開示される発泡体は約85%未満のゲルを含有する。さらなる実施形態において、本明細書中に開示される発泡体は約75%未満のゲルを含有する。
【0106】
本明細書中に開示される発泡体または発泡性組成物は、150kg/m3〜約600kg/m3の密度、150kg/m3〜約500kg/m3の密度、150kg/m3〜約400kg/m3の密度、150kg/m3〜約350kg/m3の密度、150kg/m3〜約300kg/m3の密度、または、150kg/m3〜約250kg/m3の密度を有することができる。いくつかの実施形態において、本明細書中に開示される発泡体は150kg/m3〜約500kg/m3の密度を有する。他の実施形態において、本明細書中に開示される発泡体は175kg/m3〜約500kg/m3の密度を有する。さらなる実施形態において、本明細書中に開示される発泡体は200kg/m3〜約500kg/m3の密度を有する。本明細書中に開示される発泡体は、ASTM D3576に従って、約0.05mm〜約5.0mmの平均セルサイズ、約0.2mm〜約2.0mmの平均セルサイズ、約0.1mm〜約1.5mmの平均セルサイズ、約0.1mm〜約1.0mmの平均セルサイズ、または、約0.2mm〜約0.6mmの平均セルサイズを有することができる。
【0107】
本明細書中に開示される発泡体または発泡性組成物は独立気泡型または連続気泡型のどちらも可能である。本明細書中に開示される場合、発泡体がASTM D2856−Aに従って80%以上の独立気泡または20%未満の連続気泡を含有するとき、その発泡体は独立気泡発泡体である。いくつかの実施形態において、本明細書中に開示される発泡体は、約1%未満の連続気泡、約10%未満の連続気泡、約20%未満の連続気泡、約30%未満の連続気泡、約40%未満の連続気泡、約50%未満の連続気泡、約60%未満の連続気泡、約10%未満の連続気泡、約70%未満の連続気泡、約80%未満の連続気泡、または、約90%未満の連続気泡を有することができる。他の実施形態において、本明細書中に開示される発泡体は、約10%〜約90%の間の連続気泡、約10%〜約50%の間の連続気泡、約50%〜約90%の間の連続気泡、または、約10%〜約30%の間の連続気泡を有することができる。
【0108】
いくつかの実施形態において、発泡性組成物は、本明細書中に開示されるエチレン/α−オレフィン共重合体を含む。他の実施形態において、発泡性組成物は、エチレン/α−オレフィン共重合体および第2のポリマー成分を含むポリマー配合物(以降、「ポリマー配合物」)を含む。第2のポリマー成分のいくつかの限定されない例には、EVA、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレンおよびポリプロピレン)、発泡性ポリマー(例えば、ポリスチレン、ABSおよびSBSなど)、および、それらの組合せが含まれる。いくつかの実施形態において、第2のポリマー成分は、EVA、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ABS、SBS、または、それらの組合せである。第2のポリマー成分は、それが発泡性組成物に添加される前に、エチレン/α−オレフィン共重合体と配合することができる。いくつかの実施形態において、第2のポリマー成分は、エチレン/α−オレフィン共重合体と事前に配合されることなく、発泡性組成物に直接に加えられる。
【0109】
ポリマー配合物におけるエチレン/α−オレフィン共重合体対第2のポリマー成分の重量比は、約1:99〜約99:1の間、約1:50〜約50:1の間、約1:25〜約25:1の間、約1:10〜約10:1の間、約1:9〜約9:1の間、約1:8〜約8:1の間、約1:7〜約7:1の間、約1:6〜約6:1の間、約1:5〜約5:1の間、約1:4〜約4:1の間、約1:3〜約3:1の間、約1:2〜約2:1の間、約3:7〜約7:3の間、または、約2:3〜約3:2の間が可能である。
【0110】
いくつかの実施形態において、第2のポリマー成分はポリオレフィンである。エチレン/α−オレフィン共重合体との部分的または完全な適合性を有する任意のポリオレフィンを使用することができる。好適なポリオレフィンの限定されない例には、各種のポリエチレン、各種のポリプロピレン、各種のポリブチレン(例えば、ポリブテン−1)、ポリペンテン−1、ポリヘキセン−1、ポリオクテン−1、ポリデセン−1、ポリ−3−メチルブテン、ポリ−4−メチルペンテン−1、ポリイソプレン、ポリブタジエン、ポリ−1,5−ヘキサジエン、オレフィンに由来する共重合体、オレフィンおよび他のポリマー(ポリ塩化ビニル、ポリスチレンおよびポリウレタンなど)に由来する共重合体、および、それらの混合物が含まれる。いくつかの実施形態において、ポリオレフィンはホモポリマーであり、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリペンテン−1、ポリ−3−メチルブテン、ポリ−4−メチルペンテン−1、ポリイソプレン、ポリブタジエン、ポリ−1,5−ヘキサジエン、ポリヘキセン−1、ポリオクテン−1およびポリデセン−1などである。
【0111】
好適なポリエチレンのいくつかの限定されない例には、超低密度ポリエチレン(ULDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、高分子量高密度ポリエチレン(HMW−HDPE)、超高分子量ポリエチレン(UHMW−PE)、および、それらの組合せが含まれる。ポリプロピレンのいくつかの限定されない例には、低密度ポリプロピレン(LDPP)、高密度ポリプロピレン(HDPP)、高溶融強度ポリプロピレン(HMS−PP)、および、それらの組合せが含まれる。いくつかの実施形態において、第2のポリマー成分は、高溶融強度ポリプロピレン(HMS−PP)、低密度ポリプロピレン(LDPP)、または、それらの組合せであるか、あるいは、高溶融強度ポリプロピレン(HMS−PP)、低密度ポリプロピレン(LDPP)、または、それらの組合せを含む。
【0112】
本明細書中に開示される発泡体を作製するために好適な発泡剤には、無機発泡剤、有機発泡剤、化学的発泡剤、および、それらの組合せが含まれ得るが、これらに限定されない。いくつかの発泡剤が、Sendijarevic他、"Polymeric Foams And Foam Technology"(Hanser Gardner Publications、Cincinnati、Ohio、第2版、第18章、505頁〜547頁(2004))(これは参考として本明細書中に組み込まれる)に開示される。
【0113】
好適な無機発泡剤の限定されない例には、二酸化炭素、窒素、アルゴン、水、空気、窒素およびヘリウムが含まれる。好適な有機発泡剤の限定されない例には、1個〜6個の炭素原子を有する脂肪族炭化水素、1個〜3個の炭素原子を有する脂肪族アルコール、ならびに、1個〜4個の炭素原子を有する完全ハロゲン化脂肪族炭化水素および部分ハロゲン化脂肪族炭化水素が含まれる。好適な脂肪族炭化水素の限定されない例には、メタン、エタン、プロパン、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、イソペンタンおよびネオペンタンなどが含まれる。好適な脂肪族アルコールの限定されない例には、メタノール、エタノール、n−プロパノールおよびイソプロパノールが含まれる。好適な完全ハロゲン化脂肪族炭化水素および部分ハロゲン化脂肪族炭化水素の限定されない例には、フルオロカーボン、クロロカーボンおよびクロロフルオロカーボンが含まれる。好適なフルオロカーボンの限定されない例には、フッ化メチル、ペルフルオロメタン、フッ化エチル、1,1−ジフルオロエタン(HFC−152a)、1,1,1−トリフルオロエタン(HFC−143a)、1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFC−134a)、ペンタフルオロエタン、ジフルオロメタン、ペルフルオロエタン、2,2−ジフルオロプロパン、1,1,1−トリフルオロプロパン、ペルフルオロプロパン、ジクロロプロパン、ジフルオロプロパン、ペルフルオロブタン、ペルフルオロシクロブタンが含まれる。好適な部分ハロゲン化クロロカーボンおよび部分ハロゲン化クロロフルオロカーボンの限定されない例には、塩化メチル、塩化メチレン、塩化エチル、1,1,1−トリクロロエタン、1,1−ジクロロ−1−フルオロエタン(HCFC−141b)、1−クロロ−1,1−ジフルオロエタン(HCFC−142b)、1,1−ジクロロ−2,2,2−トリフルオロエタン(HCFC−123)および1−クロロ−1,2,2,2−テトラフルオロエタン(HCFC−124)が含まれる。好適な完全ハロゲン化クロロフルオロカーボンの限定されない例には、トリクロロモノフルオロメタン(CFC−11)、ジクロロジフルオロメタン(CFC−12)、トリクロロトリフルオロエタン(CFC−113)、1,1,1−トリフルオロエタン、ペンタフルオロエタン、ジクロロテトラフルオロエタン(CFC−114)、クロロヘプタフルオロプロパンおよびジクロロヘキサフルオロプロパンが含まれる。好適な化学的発泡剤の限定されない例には、アゾジカルボンアミド、アジゾイソブチロニトリル、ベンゼンスルホンヒドラジド、4,4−オキシベンゼンスルホニル−セミカルバジド、p−トルエンスルホニルセミカルバジド、バリウムアゾジカルボキシラート、N,N’−ジメチル−N,N’−ジニトロソテレフタルアミド、および、トリヒドラジノトリアジンが含まれる。いくつかの実施形態において、発泡剤は、アゾジカルボンアミド、イソブタン、CO2、または、それらの混合物である。
【0114】
本明細書中に開示される発泡性組成物における発泡剤の量は、エチレン/α−オレフィン共重合体またはポリマー配合物の重量に基づいて、約0.1wt%〜約20wt%、約0.1wt%〜約10wt%、または、約0.1wt%〜約5wt%であり得る。他の実施形態において、発泡剤の量は、共重合体またはポリマー配合物の1キログラムあたり約0.2モル〜約5.0モル、共重合体またはポリマー配合物の1キログラムあたり約0.5モル〜約3.0モル、または、共重合体またはポリマー配合物の1キログラムあたり約1.0モル〜約2.50モルである。
【0115】
本明細書中に開示される発泡体は、発泡体セルからの発泡剤の浸透および/または発泡体セル内への空気の浸透を強化または促進するために孔を開けることができる。いくつかの実施形態において、発泡体は、発泡体の中を完全に貫いて1つの表面から別の表面に広がるか、または、発泡体の中を部分的に貫いて広がる通路を形成するために孔が開けられる。そのような通路は、約2.5センチメートルまでの間隔で、または、約1.3センチメートルまでの間隔で配置することができる。そのような通路は発泡体の実質的に表面全体に存在させることができ、好ましくは、表面全体に一様に分散される。他の実施形態において、発泡体は、寸法的に安定な発泡体を維持しながら、発泡剤の促進された浸透または放出を可能にするために、孔あけとの組合せで、下記に記載されるタイプの安定性制御剤を用いることができる。発泡体の孔あけの教示が米国特許第5,424,016号および同第5,585,058号に開示される(これらはともに参考として本明細書中に組み込まれる)。
【0116】
本明細書中に開示される発泡性組成物は架橋剤を含む。本明細書中に開示されるエチレン/α−オレフィン共重合体またはポリマー配合物を架橋することができる任意の架橋剤を使用することができる。架橋剤は、発泡剤と同じ様式でエチレン/α−オレフィン共重合体またはポリマー配合物に配合することができる。発泡性組成物または発泡体における架橋剤の量は、エチレン/α−オレフィン共重合体またはポリマー配合物の重量に基づいて約0wt%超〜約10wt%、約0.1wt%〜約7.5wt%、または、約1wt%〜約5wt%が可能である。
【0117】
架橋剤が使用されるとき、発泡体の架橋を、発泡性組成物における架橋剤を活性化することによって誘導することができる。架橋剤は、架橋剤をその分解温度を超える温度にさらすことによって活性化することができる。あるいは、架橋剤は、架橋剤からのフリーラジカルの生成を生じさせる放射線に架橋剤をさらすことによって活性化することができる。同様に、本明細書中に開示される発泡体の発泡または膨張を、発泡性組成物における架橋剤を活性化することによって誘導することができる。いくつかの実施形態において、発泡剤は、発泡剤をその活性化温度を超える温度にさらすことによって活性化される。一般に、架橋および発泡の活性化を同時または逐次的のどちらでも行うことができる。いくつかの実施形態において、活性化が同時に行われる。他の実施形態において、架橋の活性化が最初に行われ、発泡の活性化が次に行われる。さらなる実施形態において、発泡の活性化が最初に行われ、架橋の活性化が次に行われる。
【0118】
発泡性組成物は、発泡剤および架橋剤の分解を防止するために150℃未満の温度で調製または加工することができる。放射線架橋が使用されるとき、発泡性組成物は、発泡剤の分解を防止するために160℃未満の温度で調製または加工することができる。いくつかの実施形態において、発泡性組成物は、発泡成形可能な構造体を形成するために、所望される形状のダイに通して押出し成形または加工することができる。次いで、発泡成形可能な構造体は、発泡剤および架橋剤を活性化して発泡体構造体を形成するために、高い温度(例えば、約150℃〜約250℃)で膨張および架橋することができる。いくつかの実施形態において、発泡成形可能な構造体には、ポリマー材を架橋するために照射することができ、その後、ポリマー材を、上記で記載されたように高い温度で膨張させることができる。
【0119】
いくつかの好適な架橋剤が、Zweifel Hans他、"Plastics Additives Handbook"(Hanser Gardner Publications、Cincinnati、Ohio、第5版、第14章、725頁〜812頁、2001);Encyclopdia of Chemical Technology(第17巻、第2版、Interscience Publishers、1968);および、Daniel Seern、"Organic Peroxides"(第1巻、Wiley-Interscience、1970)に開示されている(これらはすべてが参考として本明細書中に組み込まれる)。いくつかの実施形態において、本明細書中に開示される発泡性組成物または発泡体には架橋剤が存在しない。
【0120】
好適な架橋剤の限定されない例には、過酸化物、フェノール系化合物、アジド、アルデヒド−アミン反応生成物、置換ウレア、置換グアニジン、置換キサンテート、置換ジチオカルバマート、イオウ含有化合物(例えば、チアゾール系化合物など)、スルフェンアミド、チウラミジスルフィド、パラキノンジオキシム、ジベンゾパラキノンジオキシム、イオウ、イミダゾール系化合物、シラン系化合物、および、それらの組合せが含まれる。
【0121】
好適な有機過酸化物架橋剤の限定されない例には、アルキルペルオキシド、アリールペルオキシド、ペルオキシエステル、ペルオキシカーボナート、ジアシルペルオキシド、ペルオキシケタール、環状ペルオキシド、および、それらの組合せが含まれる。いくつかの実施形態において、有機過酸化物は、ジクミルペルオキシド、t−ブチルイソプロピリデンペルオキシベンゼン、1,1−ジ−t−ブチルペルオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、t−ブチル−クミルペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキシン、または、それらの組合せである。1つの実施形態において、有機過酸化物はジクミルペルオキシドである。有機過酸化物架橋剤に関するさらなる教示が、C.P. Park、"Polyolefin Foam"、Handbook of Polymer Foams and Technologyの第9章(編集:D. KlempnerおよびK.C. Frisch、Hanser Publishers、198頁〜204頁、Munich、1991)に開示される(これは参考として本明細書中に組み込まれる)。
【0122】
好適なアジド系架橋剤の限定されない例には、アジドホルマート系化合物、例えば、テトラメチレンビス(アジドホルマート)など、芳香族ポリアジド、例えば、4,4’−ジフェニルメタンアジドなど、および、スルホンアジド系化合物、例えば、p,p’−オキシビス(ベンゼンスルホニルアジド)などが含まれる。アジド系架橋剤の開示が米国特許第3,284,421号および同第3,297,674号に見出され得る(これらはともに参考として本明細書中に組み込まれる)。
【0123】
ポリ(スルホニルアジド)は、本明細書中に開示されるエチレン/α−オレフィン共重合体に対して反応性である少なくとも2つのスルホニルアジド基(すなわち、−SO23)を有する任意の化合物である。いくつかの実施形態において、ポリ(スルホニルアジド)はX−R−Xの構造を有する(式中、それぞれのXが−SO23であり、Rは、非置換または不活性に置換されたヒドロカルビル基、ヒドロカルビルエーテル基またはケイ素含有基を表す)。いくつかの実施形態において、R基は、エチレン/α−オレフィン共重合体とスルホニルアジド基との間での容易な反応を十分に可能にするためにスルホニルアジド基を隔てるための十分な炭素原子、酸素原子またはケイ素原子(好ましくは、炭素原子)を有する。他の実施形態において、R基は、少なくとも1個、少なくとも2個または少なくとも3個の炭素原子、酸素原子またはケイ素原子(好ましくは、炭素原子)をスルホニルアジド基の間に有する。用語「不活性に置換された」は、所望する反応、または、得られた架橋ポリマーの所望する特性を望ましくないほどに妨害しない原子または基による置換を示す。そのような基には、フッ素、脂肪族または芳香族のエーテルおよびシロキサンなどが含まれる。Rの好適な構造の限定されない例には、アリール基、アルキル基、アルカリール基、アリールアルキル基、シラニル基、ヘテロシクリル基および他の不活性な基が含まれる。いくつかの実施形態において、R基は少なくとも1つのアリール基をスルホニル基の間に有する。他の実施形態において、R基は少なくとも2つのアリール基を有する(例えば、Rが4,4’−ジフェニルエーテルまたは4,4’−ビフェニルであるときなど)。Rが1つのアリール基であるとき、アリール基は、ナフタレンビス(スルホニルアジド)系化合物の場合でのように、2つ以上の環を有することが好ましい。いくつかの実施形態において、ポリ(スルホニルアジド)には、1,5−ペンタンビス(スルホニルアジド)、1,8−オクタンビス(スルホニルアジド)、1,10−デカンビス(スルホニルアジド)、1,10−オクタデカンビス(スルホニルアジド)、1−オクチル−2,4,6−ベンゼントリス(スルホニルアジド)、4,4’−ジフェニルエーテルビス(スルホニルアジド)、1,6−ビス(4’−スルホンアジドフェニル)ヘキサン、2,7−ナフタレンビス(スルホニルアジド)、および、分子あたり平均して1個〜8個の塩素原子および約2個〜5個のスルホニルアジド基を含有する塩素化脂肪族炭化水素の混合型スルホニルアジド、ならびに、それらの組合せが含まれる。他の実施形態において、ポリ(スルホニルアジド)には、オキシ−ビス(4−スルホニルアジドベンゼン)、2,7−ナフタレンビス(スルホニルアジド)、4,4’−ビス(スルホニルアジド)ビフェニル、4,4’−ジフェニルエーテルビス(スルホニルアジド)およびビス(4−スルホニルアジドフェニル)メタン、および、それらの組合せが含まれる。
【0124】
好適なアルデヒド−アミン反応生成物の限定されない例には、ホルムアルデヒド−アンモニア、ホルムアルデヒド−エチルクロリド−アンモニア、アセトアルデヒド−アンモニア、ホルムアルデヒド−アニリン、ブチルアルデヒド−アニリン、ヘプトアルデヒド−アニリン、および、それらの組合せが含まれる。
【0125】
好適な置換ウレアの限定されない例には、トリメチルチオウレア、ジエチルチオウレア、ジブチルチオウレア、トリペンチルチオウレア、1,3−ビス(2−ベンゾチアゾリルメルカプトメチル)ウレア、N,N−ジフェニルチオウレア、および、それらの組合せが含まれる。
【0126】
好適な置換グアニジンの限定されない例には、ジフェニルグアニジン、ジ−o−トリルグアニジン、ジフェニルグアニジンフタラート、ジカテコールボラートのジ−o−トリルグアニジン塩、および、それらの組合せが含まれる。
【0127】
好適な置換キサンテートの限定されない例には、エチルキサントゲン酸亜鉛、イソプロピルキサントゲン酸ナトリウム、ブチルキサントゲン酸ジスルフィド、イソプロピルキサントゲン酸カリウム、ブチルキサントゲン酸亜鉛、および、それらの組合せが含まれる。
【0128】
好適なジチオカルバマートの限定されない例には、ジメチルジチオカルバミン酸銅、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸テルル、ジシクロヘキシルジチオカルバミン酸カドミウム、ジメチルジチオカルバミン酸鉛、ジメチルジチオカルバミン酸鉛、ジブチルジチオカルバミン酸セレン、ペンタメチレンジチオカルバミン酸亜鉛、ジデシルジチオカルバミン酸亜鉛、イソプロピルオクチルジチオカルバミン酸亜鉛、および、それらの組合せが含まれる。
【0129】
好適なチアゾール系化合物の限定されない例には、2−メルカプトベンゾチアゾール、亜鉛メルカプトチアゾリルメルカプチド、2−ベンゾチアゾリル−N,N−ジエチルチオカルバミルスルフィド、2,2’−ジチオビス(ベンゾチアゾール)、および、それらの組合せが含まれる。
【0130】
好適なイミダゾール系化合物の限定されない例には、2−メルカプトイミダゾリン、2−メルカプト−4,4,6−トリメチルジヒドロピリミジン、および、それらの組合せが含まれる。
【0131】
好適なスルフェンアミドの限定されない例には、N−t−ブチル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N−シクロヘキシルベンゾチアゾールスルフェンアミド、N,N−ジイソプロピルベンゾチアゾールスルフェンアミド、N−(2,6−ジメチルモルホリノ)−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N,N−ジエチルベンゾチアゾールスルフェンアミド、および、それらの組合せが含まれる。
【0132】
好適なチウラミジスルフィドの限定されない例には、N,N’−ジエチルチウラミジスルフィド、テトラブチルチウラミジスルフィド、N,N’−ジイソプロピルジオクチルチウラミジスルフィド、テトラメチルチウラミジスルフィド、N,N’−ジシクロヘキシルチウラミジスルフィド、N,N’−テトララウリルチウラミジスルフィド、および、それらの組合せが含まれる。
【0133】
いくつかの実施形態において、架橋剤はシラン系化合物である。本明細書中に開示されるエチレン/α−オレフィン共重合体またはポリマー配合物へのグラフト化、および/または、本明細書中に開示されるエチレン/α−オレフィン共重合体またはポリマー配合物の架橋を効果的に行うことができる任意のシラン系化合物を使用することができる。好適なシラン系架橋剤の限定されない例には、エチレン性不飽和ヒドロカルビル基(例えば、ビニル基、アリル基、イソプロペニル基、ブテニル基、シクロヘキセニル基またはγ−(メタ)アクリルオキシアリル基など)、および、加水分解可能な基(例えば、ヒドロカルビオルオキシ基、ヒドロカルボニルオキシ基およびヒドロカルビルアミノ基)を含む不飽和シランが含まれる。好適な加水分解可能な基の限定されない例には、メトキシ基、エトキシ基、ホルミルオキシ基、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、アルキルアミノ基およびアリールアミノ基が含まれる。他の実施形態において、シラン系化合物は、共重合体にグラフト化することができる不飽和アルコキシシランである。これらのシラン系化合物のいくつかおよびそれらの調製方法がより詳しくは、米国特許第5,266,627号に記載される(これは参考として本明細書中に組み込まれる)。さらなる実施形態において、シラン系架橋剤は、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、および、それらの組合せである。
【0134】
シラン系架橋剤の量は、エチレン/α−オレフィン共重合体またはポリマー配合物の性質、用いられるシラン、プロセス処理条件、グラフト化開始剤の量、最終的な用途および他の要因に依存して広範囲に変化し得る。ビニルトリメトキシシラン(VTMOS)が使用されるとき、VTMOSの量は一般に、シラン系架橋剤および共重合体またはポリマー配合物の合わせた重量に基づいて少なくとも約0.1重量パーセント、少なくとも約0.5重量パーセント、または、少なくとも約1重量パーセントである。
【0135】
場合により、本明細書中に開示される発泡性組成物はグラフト化開始剤を含むことができる。当業者は、架橋増強助剤および添加剤などの存在だけでなく、エチレン/α−オレフィン共重合体またはポリマー配合物の特徴(例えば、分子量、分子量分布、コモノマー含有量など)に基づいて、グラフト化開始剤の量を容易に選択することができる。
【0136】
場合により、本明細書中に開示される発泡性組成物は触媒を含むことができる。エチレン/α−オレフィン共重合体またはポリマー配合物の架橋を促進させることができる任意の架橋触媒を使用することができる。好適な触媒の限定されない例には、有機塩基、カルボン酸および有機金属化合物が含まれる。いくつかの実施形態において、触媒には、有機チタン酸塩、ならびに、鉛、コバルト、鉄、ニッケル、亜鉛およびスズの錯体またはカルボキシラートが含まれる。他の実施形態において、触媒は、ジブチルスズジラウラート、ジオクチルスズマレアート、ジブチルスズジアセタート、ジブチルスズジオクタノアート、酢酸第一スズ、オクタン酸第一スズ、ナフテン酸鉛、カプリル酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、または、それらの組合せであるか、あるいは、それらを含む。さらなる実施形態において、触媒はスズカルボキシラート(例えば、ジブチルスズジラウラートおよびジオクチルスズマレアートなど)であるか、または、スズカルボキシラート(例えば、ジブチルスズジラウラートおよびジオクチルスズマレアートなど)を含む。
【0137】
あるいは、本明細書中に開示される発泡体または発泡性組成物の架橋は、放射線を使用することによって達成することができる。好適な放射線の限定されない例には、電子ビームまたはベータ線、ガンマ線、X線あるいは中性子線が含まれる。放射線は、結合および架橋をその後に行うことができるラジカルをポリマーにおいて生じさせることによって架橋を活性化すると考えられる。放射線架橋に関するさらなる教示が、C.P. Park(上掲、198頁〜204頁)に開示される(これは参考として本明細書中に組み込まれる)。いくつかの実施形態において、発泡体または発泡性組成物は放射線によって架橋されない。
【0138】
放射線線量は一般に、多くの要因に依存する。当業者は、照射される物品の厚さおよび幾何形状、ならびに、エチレン/α−共重合体またはポリマー配合物の特徴(例えば、分子量、分子量分布、コモノマー含有量、架橋増強助剤の存在、添加剤(例えば、オイル)など)に基づいて、好適な放射線レベルを容易に選択することができる。一般には、線量は、架橋の所望するレベルを達成するために要求される線量を超えない。いくつかの実施形態において、線量は、ASTM D−2765−85の方法Aにより、発泡体において5%を超えるゲルを生じさせる。
【0139】
いくつかの実施形態において、架橋剤および放射線から選択される少なくとも2つの活性化方法を含む二重硬化システムを効果的に用いることができる。例えば、シラン系架橋剤との併用での酸化物系架橋剤、または、放射線との併用での酸化物系架橋剤、または、シラン系架橋剤との併用でのイオウ含有架橋剤などを用いることが望ましい場合がある。
【0140】
当業者は、所望する架橋レベル、ポリマーの特徴(例えば、分子量、分子量分布、コモノマー含有量、架橋増強助剤の存在、および、他の添加剤など)に基づいて、架橋剤の量を容易に選択することができる。エチレン/α−オレフィン共重合体は架橋前に他のポリマー(例えば、EVAおよびポリオレフィンなど)と配合され得ることが明確に意図されるので、当業者は、問題としている特定のポリマーについて架橋剤の量を最適化する際の基準点として本明細書中の開示を使用することができる。
【0141】
場合により、本明細書中に開示される発泡体または発泡性組成物は少なくとも1つの添加剤を含むことができる。発泡体の構造物または物品の加工性、外見、物理的特性、化学的特性および/または機械的特性を改善および/または制御することができる任意の発泡体用添加剤を使用することができる。好適な他の添加剤の限定されない例には、グラフト化開始剤、架橋触媒、発泡剤活性化剤(例えば、酸化亜鉛およびステアリン酸亜鉛など)、架橋助剤(例えば、トリアリルシアヌラート)、可塑剤、着色剤または顔料、安定性制御剤、核剤、フィラー、酸化防止剤、酸スカベンジャー、紫外線(UV)安定化剤、難燃剤、滑剤、加工助剤、押出し助剤、および、それらの組合せが含まれる。そのような他の添加剤の総量は、発泡体の総重量の約0%超〜約80%、約0.001%〜約70%、約0.01%〜約60%、約0.1%〜約50%、約1%〜約40%、または、約10%〜約50%の範囲が可能である。いくつかの好適な添加剤が、Zweifel Hans他、"Plastics Additives Handbook"(Hanser Gardner Publications、Cincinnati、Ohio、第5版、2001)に記載されている(これは参考としてその全体が本明細書中に組み込まれる)。
【0142】
本明細書中に開示される発泡体または発泡性組成物は場合により、安定性制御剤またはガス透過調整剤を含むことができる。発泡体の寸法安定性を強化することができる任意の安定性制御剤を使用することができる。好適な安定性制御剤の限定されない例には、C1024脂肪酸のアミドおよびエステルが含まれる。そのような薬剤が米国特許第3,644,230号および同第4,212,054号に記載される(これらはともに参考として本明細書中に組み込まれる)。いくつかの実施形態において、安定性制御剤には、ステアリルステアルアミド、グリセロールモノステアラート、グリセロールモノベヘナート、ソルビトールモノステアラート、および、それらの組合せが含まれる。一般には、安定性制御剤の量は、ポリマーの重量比で100部あたりの重量比で、約0.1部〜約10部、約0.1部〜約5部、または、約0.1部〜約3部である。いくつかの実施形態において、安定性制御剤はグリセロールモノステアラートである。
【0143】
本明細書中に開示される発泡体または発泡性組成物は場合により、核剤を含むことができる。発泡体セルのサイズを制御することができる任意の核剤を使用することができる。好適な核剤の限定されない例には、無機物質が含まれ、例えば、炭酸カルシウム、タルク、粘土、チタン酸化物、シリカ、硫酸バリウム、珪藻土、クエン酸、重炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウムなど、および、それらの組合せが含まれる。いくつかの実施形態において、核剤は、クエン酸および重炭酸ナトリウムの組合せ、または、クエン酸および炭酸ナトリウムの組合せである。他の実施形態において、核剤は、Clariant Corporation(Charlotte、NC)から得られるHYDROCEROL(登録商標)CF20である。用いられる核剤の量は、ポリマーの重量比で100部あたりの重量比で約0.01部〜約5部の範囲が可能である。
【0144】
いくつかの実施形態において、本明細書中に開示される発泡体または発泡性組成物は酸化防止剤を含む。発泡体におけるポリマー成分および有機添加物の酸化を防止することができる任意の酸化防止剤を、本明細書中に開示される発泡体に加えることができる。好適な酸化防止剤の限定されない例には、芳香族アミンまたはヒンダードアミン、例えば、アルキルジフェニルアミン、フェニル−α−ナフチルアミン、アルキル置換またはアラルキル置換のフェニル−α−ナフチルアミン、アルキル化p−フェニレンジアミンおよびテトラメチル−ジアミノジフェニルアミンなど;フェノール系化合物、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノールなど;1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンジル)ベンゼン;テトラキス[(メチレン(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナマート)]メタン(例えば、IRGANOX(商標)1010、これはCiba Geigy(New York)から得られる);アクリロイル修飾フェノール;オクタデシル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシシンナマート(例えば、IRGANOX(商標)1076、これはCiba Geigy(New York)から市販されている);ホスフィト系化合物およびホスホニト系化合物;ヒドロキシアミン系化合物;ベンゾフラノン誘導体;およびそれらの組合せが含まれる。使用される場合、発泡体における酸化防止剤の量は、発泡体の総重量の約0wt%超〜約5wt%、約0.0001wt%〜約2.5wt%、約0.001wt%〜約1wt%、または、約0.001wt%〜約0.5wt%が可能である。いくつかの酸化防止剤が、Zweifel Hans他、"Plastics Additives Handbook"(Hanser Gardner Publications、Cincinnati、Ohio、第5版、第1章、1頁〜140頁(2001))に記載されている(これは参考として本明細書中に組み込まれる)。
【0145】
他の実施形態において、本明細書中に開示される発泡体または発泡性組成物はUV安定化剤を含む。UV線による発泡体の分解を防止または軽減することができる任意のUV安定化剤を、本明細書中に開示される発泡体に加えることができる。好適なUV安定化剤の限定されない例には、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、アリールエステル、オキサニリド、アクリル酸エステル、ホルムアミジン系化合物、カーボンブラック、ヒンダードアミン、ニッケル系クエンチャー、ヒンダードアミン、フェノール系酸化防止剤、金属塩、亜鉛化合物、および、それらの組合せが含まれる。使用される場合、発泡体におけるUV安定化剤の量は、発泡体の総重量の約0wt%超〜約5wt%、約0.01wt%〜約3wt%、約0.1wt%〜約2wt%、または、約0.1wt%〜約1wt%が可能である。いくつかのUV安定化剤が、Zweifel Hans他、"Plastics Additives Handbook"(Hanser Gardner Publications、Cincinnati、Ohio、第5版、第2章、141頁〜426頁(2001))に記載されている(これは参考として本明細書中に組み込まれる)。
【0146】
さらなる実施形態において、本明細書中に開示される発泡体または発泡性組成物は着色剤または顔料を含む。ヒトの目に対する発泡体の外観を変化させることができる任意の着色剤または顔料を、本明細書中に開示される発泡体に加えることができる。好適な着色剤または顔料の限定されない例には、無機顔料、例えば、金属酸化物(例えば、酸化鉄、酸化亜鉛および二酸化チタンなど)、混合金属酸化物、カーボンブラックなど、有機顔料、例えば、アントラキノン系化合物、アンサントロン(anthanthrone)系化合物、アゾ化合物およびモノアゾ化合物、アリールアミド、ベンゾイミダゾロン系化合物、BONAレーキ、ジケトピロロピロール系化合物、ジオキサジン系化合物、ジサゾ(disazo)化合物、ジアリーリド化合物、フラバントロン系化合物、インダントロン系化合物、イソインドリノン系化合物、イソインドリン系化合物、金属錯体、モノアゾ塩、ナフトール系化合物、b−ナフトール系化合物、ナフトールAS、ナフトールレーキ、ペリレン系化合物、ペリノン系化合物、フタロシアニン系化合物、ピラントロン系化合物、キナクリドン系化合物およびキノフタロン系化合物など、および、それらの組合せが含まれる。使用される場合、発泡体における着色剤または顔料の量は、発泡体の総重量の約0wt%超〜約10wt%、約0.1wt%〜約5wt%、または、約0.25wt%〜約2wt%が可能である。いくつかの着色剤が、Zweifel Hans他、"Plastics Additives Handbook"(Hanser Gardner Publications、Cincinnati、Ohio、第5版、第15章、813頁〜882頁(2001))に記載されている(これは参考として本明細書中に組み込まれる)。
【0147】
場合により、本明細書中に開示される発泡体または発泡性組成物はフィラーを含むことができる。なかでも、体積、重量、コストおよび/または技術的性能を調節するために使用することができる任意のフィラーを、本明細書中に開示される発泡体に加えることができる。好適なフィラーの限定されない例には、タルク、炭酸カルシウム、チョーク、硫酸カルシウム、粘度、カオリン、シリカ、ガラス、ヒュームドシリカ、雲母、珪灰石、長石、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸カルシウム、アルミナ、水和アルミナ(例えば、アルミナ三水和物など)、ガラスミクロスフェア、セラミックミクロスフェア、熱可塑性ミクロスフェア、重晶石、木紛、ガラス繊維、炭素繊維、大理石紛、セメント紛、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、酸化アンチモン、酸化亜鉛、硫酸バリウム、二酸化チタン、チタン酸塩、および、それらの組合せが含まれる。いくつかの実施形態において、フィラーは、硫酸バリウム、タルク、炭酸カルシウム、シリカ、ガラス、ガラス繊維、アルミナ、二酸化チタン、または、それらの混合物である。他の実施形態において、フィラーは、タルク、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、ガラス繊維、または、それらの混合物である。使用される場合、発泡体におけるフィラーの量は、発泡体の総重量の約0wt%超〜約80wt%、約0.1wt%〜約60wt%、約0.5wt%〜約40wt%、約1wt%〜約30wt%、または、約10wt%〜約40wt%が可能である。いくつかのフィラーが、米国特許第6,103,803号、および、Zweifel Hans他、"Plastics Additives Handbook"(Hanser Gardner Publications、Cincinnati、Ohio、第5版、第17章、901頁〜948頁(2001))に開示されている(これらはともに参考として本明細書中に組み込まれる)。
【0148】
場合により、本明細書中に開示される発泡体または発泡性組成物は滑剤を含むことができる。とりわけ、溶融した発泡性組成物のレオロジーを改変するために、および/または、成形された発泡品の表面仕上げを改善するために、および/または、フィラーもしくは顔料の分散を容易にするために使用することができる任意の滑剤を、本明細書中に開示される発泡体に加えることができる。好適な滑剤の限定されない例には、脂肪アルコールおよびそのジカルボン酸エステル、短鎖アルコールの脂肪酸エステル、脂肪酸、脂肪酸アミド、金属石けん、オリゴマー状脂肪酸エステル、長鎖アルコールの脂肪酸エステル、モンタンワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、天然および合成のパラフィンワックス、フルオロポリマー、ならびに、それらの組合せが含まれる。使用される場合、発泡体における滑剤の量は、発泡体の総重量の約0wt%超〜約5wt%、約0.1wt%〜約4wt%、または、約0.1wt%〜約3wt%が可能である。いくつかの好適な滑剤がZweifel Hans他、"Plastics Additives Handbook"(Hanser Gardner Publications、Cincinnati、Ohio、第5版、第5章、511頁〜552頁(2001))に開示されている(これらはともに参考として本明細書中に組み込まれる)。
【0149】
場合により、本明細書中に開示される発泡体または発泡性組成物は帯電防止剤を含むことができる。発泡体の導電性を増大させ、かつ、静電荷の蓄積を防止することができる任意の帯電防止剤を、本明細書中に開示される発泡体に加えることができる。好適な帯電防止剤の限定されない例には、伝導性フィラー(例えば、カーボンブラック、金属粒子および他の伝導性粒子)、脂肪酸エステル(例えば、グリセロールモノステアラート)、エトキシル化アルキルアミン、ジエタノールアミド系化合物、エトキシル化アルコール、アルキルスルホナート、アルキルホスホナート、第四級アンモニウム塩、アルキルベタイン、および、これらの組合せが含まれる。使用される場合、発泡体における帯電防止剤の量は、発泡体の総重量の約0wt%超〜約5wt%、約0.01wt%〜約3wt%、または、約0.1wt%〜約2wt%が可能である。いくつかの好適な帯電防止剤がZweifel Hans他、"Plastics Additives Handbook"(Hanser Gardner Publications、Cincinnati、Ohio、第5版、第10章、627頁〜646頁(2001))に開示されている(これらはともに参考として本明細書中に組み込まれる)。
【0150】
ポリオレフィン発泡体を作製するプロセスが、C.P. Park、"Polyolefin Foam"、Handbook of Polymer Foams and Technologyの第9章(編集:D. KlempnerおよびK.C. Frisch、Hanser Publishers、Munich、1991)に記載される(これは参考として本明細書中に組み込まれる)。
【0151】
発泡性組成物の成分は、当業者に公知の任意の好適な混合装置または配合装置で混合または配合することができる。従って、発泡性組成物における成分は、すべての成分が均一に混合され、かつ、無傷である続けることを確実にするために、発泡剤および架橋剤の分解温度よりも低い温度で混合することができる。発泡性組成物が比較的均一に混合された後、組成物は形状化され、その後、発泡体を作製するために発泡剤および架橋剤を活性化させるための十分な期間にわたる条件(例えば、熱、圧力、剪断など)にさらされる。
【0152】
いくつかの実施形態において、発泡性組成物の成分は、当業者に公知の任意の混合装置または配合装置によって混合および溶融配合することができる。好適な混合装置または配合装置の限定されない例には、押出し機、ミキサー、ブレンダー、ミル、ディスパーサーおよびホモジナイザーなどが含まれる。他の実施形態において、発泡剤は、発泡性組成物が溶融状態に加熱される前に、エチレン/α−オレフィン共重合体またはポリマー配合物と乾式混合される。さらなる実施形態において、発泡剤は、発泡性組成物が溶融相にあるときに加えられる。いくつかの実施形態において、本明細書中に開示される発泡性組成物は、架橋剤が活性化されるダイを通って押し出される。次いで、押し出された発泡性組成物は、発泡剤を活性化させて発泡体を形成するために高い温度にさらすことができる。
【0153】
本明細書中に開示される発泡体は従来の押出し発泡成形プロセスによって調製することができる。発泡体は一般には、可塑化または溶融されたポリマー物質を形成するためにエチレン/α−オレフィン共重合体またはポリマー配合物を加熱すること、発泡性組成物を形成するために発泡剤をその中に配合すること、および、発泡体製造物を形成するために発泡性組成物をダイから押し出すことによって調製することができる。発泡剤と混合する前に、エチレン/α−オレフィン共重合体は、そのガラス転移温度または融点での温度またはそれよりも高い温度に加熱することができる。発泡剤は、当分野で公知の任意の手段によって、例えば、押出し機、ミキサーおよびブレンダーなどを用いて、溶融エチレン/α−オレフィン共重合体に配合または混合することができる。発泡剤は、溶融エチレン/α−オレフィン共重合体の実質的な膨張を防止し、かつ、一般には、発泡剤を溶融エチレン/α−オレフィン共重合体に均一に分散させるために十分な高い圧力で、溶融エチレン/α−オレフィン共重合体と混合することができる。場合により、核剤を共重合体溶融物に配合することができ、または、可塑化または溶融の前にエチレン/α−オレフィン共重合体と乾式配合することができる。発泡性組成物は、発泡体構造体の物理的特徴を最適化するために、より低い温度に冷却することができる。発泡性組成物は、その後、発泡体構造体を形成するために、所望する形状のダイを通って、低下した圧力またはより低い圧力の帯域に押出しまたは搬送することができる。より低い圧力の帯域は、発泡性組成物がダイからの押し出しの前に維持される圧力よりも低い圧力であり得る。このより低い圧力は大気圧よりも高い圧力または低い圧力(真空)が可能であり、しかし、好ましくは大気圧レベルである。
【0154】
いくつかの実施形態において、本明細書中に開示される発泡体は、エチレン/α−オレフィン共重合体をマルチオリフィスダイから押出すことによって合体ストランド形態で形成される。オリフィスは、溶融した押出し物の隣接する流れの間での接触が発泡成形プロセス期間中に生じ、かつ、接触している表面が十分な接着により互いに接着して一体となった発泡体構造体を生じさせるように配置される。ダイから出る溶融した押出し物の流れは様々なストランドまたは形材の形態を取ることができ、これらは、その後、望ましくは、発泡、合体、および、互いに接着して一体となった構造体を形成することができる。望ましくは、合体した個々のストランドまたは形材は、発泡体を調製、形状化および使用する際に遭遇する応力のもとでのストランドの層間剥離を防止するために、一体となった構造体において接着されたままでなければならない。発泡体構造体を合体ストランド形態で製造するための装置および方法が米国特許第3,573,152号および同第4,824,720号に開示される(これらはともに参考として本明細書中に組み込まれる)。
【0155】
他の実施形態において、本明細書中に開示される発泡体は、米国特許第4,323,528号(これは参考として本明細書中に組み込まれる)において見られるような積層化押出しプロセス(accumulating extrusion process)によって形成される。積層化押出しプロセスにおいて、大きい横断面積を有する低密度発泡体が、1)エチレン/α−オレフィン共重合体および発泡剤からなる発泡性組成物を、発泡性組成物が膨張させられるとき、発泡性組成物の粘度が、発泡剤を保持するために十分である温度において加圧下で成形すること;2)発泡性組成物を、発泡性組成物を発泡させない温度および圧力で維持された保持域の中に押出すこと(この場合、保持域は、発泡性組成物が発泡する低圧側域に開くオリフィスを規定する出口ダイと、ダイのオリフィスを閉じる開放可能なゲートとを有する);3)ゲートを周期的に開けること;4)発泡性組成物に可動ラムによって機械的圧力を実質的に同時に加えて、ダイオリフィスにおける実質的な発泡が生じる速度よりも大きい速度で、かつ、断面領域または断面形状における実質的な不規則性が生じる速度よりも小さい速度で、保持域からダイオリフィスを通って低圧側域の中に発泡性組成物を押し出しこと;および5)押し出された発泡性組成物を少なくとも1つの次元での非緊張状態で膨張させて、発泡体構造体を製造することによって調製される。
【0156】
いくつかの実施形態において、本明細書中に開示される発泡体は、様々な物品に成形するために好適な非架橋の発泡体ビーズに形成される。そのような発泡体ビーズを作製するために、個々のエチレン/α−オレフィン共重合体粒子(例えば、顆粒状のエチレン/α−オレフィン共重合体ペレットなど)は、(1)それらが実質的に不溶性である液体媒体(例えば、水など)に懸濁され;(2)発泡剤が、発泡剤をオートクレーブまたは他の圧力容器において高圧および高温で液体媒体に導入することによって含浸され;その後、(3)膨張させて発泡体ビーズを形成するために、大気圧または減圧された領域に迅速に放出される。このプロセスは、米国特許第4,379,859号および同第4,464,484号において十分に教示される(これらは参考として本明細書中に組み込まれる)。
【0157】
上記プロセスの派生法では、スチレンモノマーを、発泡剤が含浸される前の懸濁されたエチレン/α−オレフィン共重合体ペレットに含浸させて、エチレン/α−オレフィン共重合体とのグラフト共重合体を形成させることができる。得られたグラフト共重合体ビーズは冷却され、実質的に膨張させないで容器から取り出すことができる。その後、ビーズは、従来の発泡ポリスチレンビーズ成形プロセスによって発泡および成形される。いくつかのグラフト共重合体ビーズを作製するプロセスが米国特許第4,168,353号に記載される(これは参考として本明細書中に組み込まれる)。
【0158】
発泡体ビーズは、当業者に公知の任意の方法によって様々な物品に成形することができる。いくつかの実施形態において、発泡体ビーズは、発泡体ビーズを合体および溶着させて物品を形成するために、鋳型に装入され、鋳型を圧縮することによって圧縮成形され、熱源(例えば、スチームなど)により加熱される。他の実施形態において、発泡体ビーズには、鋳型への装入の前に、空気または他の発泡剤が高い圧力および温度で含浸される。さらなる実施形態において、発泡体ビーズは鋳型への装入の前に加熱される。その後、ビーズは、当分野で公知の好適な成形方法によってブロック体または形状化品に成形することができる。そのような方法のいくつかが、米国特許第3,504,068号および同第3,953,558号に、また、C.P.Park(上掲、191頁、197頁〜198頁および227頁〜229頁)に教示される(これらのすべてが参考として本明細書中に組み込まれる)。
【0159】
いくつかの実施形態において、本明細書中に開示される発泡体は、圧縮成形または射出成形のいずれかによって調製することができる。他の実施形態において、発泡体は、過酸化物および発泡剤の分解温度よりも高い温度で圧縮成形すること、その後、鋳型が開けられたときに二次発泡することによって調製される。さらなる実施形態において、発泡体は、エチレン/α−オレフィン共重合体溶融物を、過酸化物および発泡剤の分解温度よりも低い温度で、過酸化物および発泡剤の分解温度よりも高い温度の鋳型の中に射出成形すること、その後、鋳型を開けた後で(約160℃〜約190℃で)二次発泡することによって調製される。
【0160】
いくつかの実施形態において、微孔性の熱可塑性加硫物(「TPV」)の発泡体を、超臨界流体(例えば、COまたはN2)を使用して作製することができる。そのような技術が、米国特許第5,158,986号、同第5,160,674号、同第5,334,356号、同第5,866,053号、同第6,169,122号、同第6,284,810号および同第6,294,115号に教示される(これらはその全体が参考として本明細書中に組み込まれる)。それらに開示される方法は、改変とともに、または、改変を伴うことなく、本発明の実施形態において使用することができる。本明細書中に開示される本発明のポリマーに基づくTPV組成物が、米国仮特許出願第60/718,186号(2005年9月16日出願)に教示される(これはその全体が参考として本明細書中に組み込まれる)。そのようなTPV組成物は、微孔性のTPV発泡体を作製するために本発明の実施形態において使用することができる。
【0161】
発泡体の成分の配合
発泡体の成分、すなわち、エチレン/α−オレフィン共重合体、発泡剤、場合により使用される第2のポリマー成分(例えば、EVA、ポリエチレンおよびポリプロピレン)、および、添加剤(例えば、架橋剤)は、当業者に公知の方法を使用して混合または配合することができる。好適な配合方法の限定されない例には、溶融配合、溶媒配合および押出し加工などが含まれる。
【0162】
いくつかの実施形態において、発泡体の成分は、Guerin他により米国特許第4,152,189号に記載されるような方法によって溶融配合される。最初に、もし何らかの溶媒が存在するならば、すべての溶媒が約5torr(667Pa)〜約10torr(1333Pa)の圧力で約100℃〜約200℃または約150℃〜約175℃の適切な高い温度に加熱することによって成分から除かれる。次いで、成分は所望の割合で容器に計量され、発泡体が、撹拌しながら容器の内容物を溶融状態に加熱することによって形成される。
【0163】
他の実施形態において、発泡体の成分は、溶媒配合を使用して処理される。最初に、所望する発泡体の成分が好適な溶媒に溶解され、その後、混合物が混合または配合される。次いで、溶媒が、発泡体を提供するために除かれる。
【0164】
さらなる実施形態において、分散的混合、分配的混合、または、分散的混合および分配的混合の組合せを提供し得る物理的な配合装置を、均質な配合物を調製する際に使用することができる。物理的配合の回分法および連続法の両方を使用することができる。回分法の限定されない例には、BRABENDER(登録商標)混合装置(例えば、BRABENDER PREP CENTER(登録商標)、これはC.W.Brabender Instruments,Inc.(South Hackensack、N.J.)から入手可能である)またはBANBURY(登録商標)内部混合・ロールミリング装置(これはFarrel Company(Ansonia、Conn.)から入手可能である)を使用する方法が含まれる。連続法の限定されない例には、一軸スクリュー押出し、二軸スクリュー押出し、ディスク押出し、往復一軸スクリュー押出しおよびピンバレル一軸スクリュー押出しが含まれる。いくつかの実施形態において、添加剤を、エチレン/α−オレフィン共重合体、場合により使用される第2のポリマー成分、または、発泡体の押出し時において供給ホッパーまたは供給口から押出し機の中に加えることができる。押出しによるポリマーの混合または配合が、C. Rauwendaal、"Polymer Extrusion"(Hanser Publishers、New York、NY、322頁〜334頁(1986))に記載されている(これは参考として本明細書中に組み込まれる)。
【0165】
1つまたは複数の添加剤が発泡体において要求されるとき、添加剤の所望量を、エチレン/α−オレフィン共重合体、第2のポリマー成分、または、ポリマー配合物に1回または複数回の装入で加えることができる。さらに、添加は任意の順序で行うことができる。いくつかの実施形態において、添加剤が最初に加えられ、エチレン/α−オレフィン共重合体と混合または配合され、その後、添加剤を含有する共重合体が第2のポリマー成分と配合される。他の実施形態において、添加剤が最初に加えられ、第2のポリマー成分と混合または配合され、その後、添加剤を含有する第2のポリマー成分がエチレン/α−オレフィン共重合体と配合される。さらなる実施形態において、エチレン/α−オレフィン共重合体が最初に第2のポリマー成分と配合され、次いで、添加剤がポリマー配合物と配合される。
【0166】
下記の実施例は、本発明の実施形態を例示するために示される。すべての数値はおおよそである。数値範囲が示されるとき、言及された範囲の外側の実施形態が依然として本発明の範囲に含まれ得ることを理解しなければならない。それぞれの実施例において記載される具体的な細部は、本発明の必要な特徴として解釈してはならない。
【実施例】
【0167】
試験方法
以下の実施例では、以下の分析技術が使用される:
サンプル1〜4およびA〜CについてGPC法
160℃に設定された加熱針を装備した自動化液体処理ロボットを用いて、各々の乾燥ポリマーサンプルに対して300ppmのIonolで安定化した十分な1,2,4−トリクロロベンゼンを添加して、30mg/mLという最終濃度を得る。小さいガラス撹拌ロッドを各々のチューブに入れて、そのサンプルを、250rpmで回転する加熱式旋回シェーカーを用いて160℃で2時間加熱する。次いで濃縮されたポリマー溶液を、自動化液体処理ロボットおよび160℃に設定された加熱針を用いて1mg/mlに希釈する。
【0168】
Symyx Rapid GPCシステムを用いて各々のサンプルについての分子量データを決定する。2.0ml/分の流量に設定したGilson 350ポンプを用いて、直列に配置され、160℃に加熱された3つのPlgel10マイクロメーター(μm)MixedB300mm×7.5mmカラムを通して300ppmのIonolで安定化させヘリウムでパージした1,2−ジクロロベンゼンを移動相としてポンプで送る。エバポレーターを250℃に設定し、ネブライザーを165℃に設定し、および窒素流量を60〜80psi(400〜600kPa)N2の圧で1.8SLMに設定したPolymer Labs ELS 1000 Detectorを用いる。ポリマーサンプルを160℃に加熱して、各々のサンプルを、液体処理ロボットおよび加熱ニードルを用いて250μlのループに注入した。2つの切り替えループおよび重複注入を用いるポリマーサンプルの連続的分析を用いる。このサンプルデータを収集して、Symyx Epoch(商標)ソフトウェアを用いて分析する。ピークを手技的に積分するが、報告された分子量情報は、ポリスチレン標準検量線に対して未補正である。
【0169】
標準的なCRYSTAF方法
分枝分布は、PolymerChar,Valencia,Spainから市販されているCRYSTAF 200ユニットを用いて結晶分析分画(crystallization analysis fractionation:CRYSTAF)によって決定する。このサンプルは、160℃で1,2,4トリクロロベンゼン(0.66mg/mL)に1時間溶解させ、そして95℃で45分間安定化させる。サンプリング温度は、0.2℃/分の冷却速度で95〜30℃におよぶ。赤外線検出器を用いて、ポリマー溶液の濃度を測定する。累積溶解濃度は、温度の低下と同時にポリマーが結晶化する間に測定する。累積されたプロフィールの分析導関数は、そのポリマーの短鎖分枝分布を反映する。
【0170】
CRYSTAFのピーク温度および面積は、CRYSTAFソフトウェア(Version 2001.b,PolymerChar,Valencia,Spain)に含まれるピーク分析モジュールによって特定される。CRYSTAFピーク検出ルーチン(finding routine)は、ピーク温度をdW/dT曲線の最大値として特定し、そしてこの微分曲線におけるその特定したピークの片側の正の最大変曲間の面積を特定する。CRYSTAF曲線を算出するために、好ましい処理パラメーターは、70℃の温度限界を有し、ならびにその温度限界より上では0.1の、およびその温度限界より下では0.3の平滑化パラメーターを有するものである。
【0171】
DSC標準法(サンプル1〜4およびA〜Cを除く)
示差走査熱量測定法の結果は、RCS冷却アクセサリおよびオートサンプラーを装備したTAIモデルQ1000 DSCを用いて決定する。50ml/分という窒素パージガス流を用いる。このサンプルを、薄膜にプレスして、約175℃でプレス内で溶融し、次いで室温(25℃)まで空冷する。次いで3〜10mgの物質を6mmの直径のディスクに切断し、正確に秤量し、軽量アルミのパンに入れ(約50mg)、次いで圧着する。サンプルの熱挙動は、以下の温度プロフィールで検討する。このサンプルを180℃まで急速に加熱して、3分間恒温に保持して、以前の熱履歴を除く。次いで、このサンプルを10℃/分の冷却速度で−40℃まで冷却し、−40℃で3分間保持する。次いで、このサンプルを10℃/分の加熱速度で150℃まで加熱する。その冷却および第二の加熱曲線を記録する。
【0172】
DSC融解ピークは、−30℃と融解終点との間にひいた直線のベースラインに関する熱流量(W/g)における最大として測定される。融解熱は直線のベースラインを用いて−30℃と融解終点との間の融解曲線の下の面積として測定される。
【0173】
GPC法(サンプル1〜4およびA〜Cを除く)
このゲル浸透クロマトグラフィーシステムは、Polymer Laboratories Model PL−210またはPolymer Laboratories Model PL−220のいずれかの装置から構成される。このカラムおよびカルーセルの区画は、140℃で操作される。3つのPolymer Laboratories 10ミクロン Mixed−Bカラムを用いる。この溶媒は、1,2,4トリクロロベンゼンである。サンプルは、200ppmのブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)を含有する50ミリリットルの溶媒中に0.1グラムというポリマー濃度で調製する。サンプルは、160℃で2時間、軽く撹拌することによって調製する。用いられる注入容積は、100μlであり、そして流量は1.0ml/分である。
【0174】
GPCカラムセットの較正は、個々の分子量の間の少なくとも10の隔たりがある6つの「カクテル(cocktail)」混合物で準備した、580〜8,400,000におよぶ分子量を有する、21個の狭い分子量分布のポリスチレン標準物質で行われる。この標準物質は、Polymer Laboratories(Shropshire,UK)から購入する。ポリスチレン標準物質は、分子量1,000,000以上については、50ミリリットルの溶媒中に0.025グラムで、そして分子量1,000,000未満については50ミリリットル中に0.05グラムで調製する。このポリスチレン標準物質は、穏やかに撹拌しながら80℃で30分間溶解する。狭い標準物質混合物を最初にランし、そして分解を最小にするために最も高い分子量の成分から低いものへと順番にランする。ポリスチレン標準物質ピーク分子量を、以下の式を用いてポリスチレン分子量に変換する(Williams and Ward,J.Polym.Sci.,Polym.Let.,6,621(1968)に記載のとおり):Mホ゜リエチレン=0.431(Mホ゜リスチレン)。
【0175】
ポリエチレン等量分子量の計算は、Viscotek TriSECソフトウェアのVersion3.0を用いて行う。
【0176】
圧縮永久ひずみ
圧縮永久ひずみは、ASTMD395に従って測定する。このサンプルは、総厚みが12.7mmに達するまで、3.2mm、2.0mmおよび0.25mmという厚みの25.4mmの直径の丸いディスクを重ねることによって調製する。このディスクは、以下の条件下においてホットプレスで成形した12.7cm×12.7cmの圧縮成形プラックから切り出す:190℃で3分間ゼロ圧、続いて190℃で2分間86MPa、続いてプレス内部で冷水を流しながら86MPaで冷却。
【0177】
密度
密度測定のためのサンプルは、ASTMD1928に従って調製する。測定は、ASTMD792、方法Bを用いて1時間内のサンプルプレスで行う。
【0178】
屈曲/割線弾性率/貯蔵弾性率
サンプルは、ASTMD1928を用いて圧縮成形する。曲げ弾性率および2%の割線弾性率を、ASTM D−790に従って測定する。貯蔵弾性率はASTM D5026−01または等価な技術に従って測定する。
【0179】
光学的特性
0.4mmの厚みのフィルムを、ホットプレス(Carver Model#4095−4PR1001R)を用いて圧縮成形する。このペレットは、ポリテトラフルオロエチレンシートの間に置いて、190℃で55psi(380kPa)で3分間、続いて1.3MPaで3分間、次いで2.6MPaで3分間加熱する。次いで、このフィルムを、1.3Mpaで1分間、冷水を流しながらプレス中で冷却する。この圧縮成形フィルムを、光学測定、引張挙動、回復および応力緩和のために用いる。
【0180】
透明度は、ASTMD1746で特定されたようにBYK Gardner Haze−gardを用いて測定する。
【0181】
45°光沢(gloss)は、ASTM D−2457に特定されたように、BYK Gardner Glossmeter Microgloss45°を用いて測定する。
【0182】
内部の曇り(internal haze)は、ASTMD1003手順Aに基づいてBYK Gardner Haze−gardを用いて測定する。鉱油をこのフィルムの表面に塗布して、表面のスクラッチを除去する。
【0183】
機械的特性−引張、ヒステリシス(履歴現象)および引裂
短軸引張における応力−ひずみ挙動を、ASTMD1708微小引張試験片(microtensile specimens)を用いて測定する。サンプルは、21℃で1分あたり500%でInstronを用いて延伸する。引張強度および破断点伸度は、5つの試験片の平均から報告される。
【0184】
100%および300%のヒステリシスは、Instron(商標)装置でASTMD1708微小引張試験片を用いて100%ひずみおよび300%ひずみまでの循環荷重から決定される。サンプルに、21℃で3サイクル、1分あたり267%で荷重を負荷し、除荷する。300%および80℃でのサイクル実験は、環境チャンバを用いて行う。80℃の実験では、サンプルは、試験の前に試験温度で45分間、平衡化させる。21℃、300%ひずみのサイクル実験では、第一の除荷のサイクルからの150%のひずみでの収縮性応力を記録する。全ての実験についての回復パーセントは、荷重がベースラインに戻るひずみを用いて第一の除荷サイクルから算出する。回復パーセントは以下に規定される:
回復%=(εf−εs)/εf×100
ここでεfは、循環荷重に対してとったひずみであり、εsは、1回目の除荷サイクルの間に荷重がベースラインに戻る場合のひずみである。
【0185】
応力緩和は、環境チャンバを装備したInstron(商標)装置を用いて、50%のひずみおよび37℃で12時間、測定する。ゲージの形状は76mm×25mm×0.4mmであった。環境チャンバ中で37℃で45分間の平衡させた後、サンプルを1分あたり333%で50%ひずみまで延伸した。応力は、時間の関数として12時間記録した。12時間後の応力緩和パーセントは式:
応力緩和%=(L0−L12)/L0×100
を用いて算出した。
【0186】
ここでL0は、0時点での50%ひずみの荷重であり、そしてL12は、12時間後時点の50%ひずみの荷重である。
【0187】
引張ノッチ付引裂実験(tensile notched tear experiments)は、Instron(商標)装置を用いて0.88g/cc以下の密度を有するサンプルで行う。この形状は、76mm×13mm×0.4mmのゲージ部分からなり、このサンプルにはその試験片の長さの半分の位置に2mmの切込みが入っている。そのサンプルが壊れるまで、21℃で1分あたり508mmで延伸させる。この引裂エネルギーは、最大荷重でのひずみまでの応力−伸長曲線下面積として算出する。少なくとも3つの試験片の平均が報告される。
【0188】
TMA
熱機械的分析(Thermal Mechanical Analysis)(針入温度)は、180℃および10MPa成形圧で5分間形成され、次いで風で急速冷却された、30mm直径×3.3mm厚みの圧縮成形ディスクで行う。用いた装置は、Perkin−Elmerから入手可能なブランド、TMA7である。この試験では、1.5mmの半径の先端を有するプローブ(P/N N519−0416)を、1Nの力を用いてサンプルディスクの表面に適用する。その温度を25℃から1分あたり5℃上昇させる。このプローブ針入距離は、温度の関数として測定される。このプローブがサンプルに1mm針入した時、実験が終わる。
【0189】
DMA
動的機械分析(Dynamic Mechanical Analysis)(DMA)は、180℃で10MPaの圧力で5分間、ホットプレス中において成形され、次いで1分あたり90℃でこのプレス中で水冷された圧縮成形ディスクで測定する。試験は、ねじり試験のための二重カンチレバー固定具を装備したARES制御ひずみレオメーター(TA instrument)を用いて行う。
【0190】
1.5mmのプラックをプレスして、32×12mmの寸法のバーに切断する。そのサンプルを10mm(グリップ間隔ΔL)ずつ隔てた固定具の間において両端でクランプして、−100℃〜200℃の逐次的温度段階(1段階あたり5℃)に供する。各々の温度でねじり弾性率G’を、10rad/sの角周波数で測定し、このひずみ振幅は、トルクが十分であること、そして測定値が直線状態のままあることを保証するために0.1パーセント〜4パーセントの間で維持される。
【0191】
10gという最初の静止力を維持して(自動引っ張り方式)、熱膨張が生じる時のサンプル中のゆるみを防ぐ。結果として、グリップ間隔ΔLは、温度とともに、特に、ポリマーサンプルの融点または軟化点より上で、増大する。試験は、最大温度か、または固定具の間の隙間が65mmに達した時に終わる。
【0192】
メルトインデックス
メルトインデックスI2は、ASTM D1238,条件190℃/2.16kgに従って測定する。メルトインデックスI10はまた、ASTM D1238、条件190℃/10kgに従って測定する。
【0193】
ATREF
分析的昇温溶離分画(analytical temperature rising elution fractionation)(ATREF)分析を、その全体が参照によって本明細書に援用される、米国特許第4,798,081号およびWilde,L.;Ryle,T.R.;Knobeloch,D.C.;Peat,I.R.;Determination of Branching Distributions in Polyethylene and Ethylene Copolymer,J.Polym.Sci.,20,441〜455(1982)に記載された方法に従って行う。分析されるべき組成物を、トリクロロベンゼンに溶解して、1分あたり0.1℃の冷却速度で20℃までゆっくり温度を下げることによって、不活性支持体(ステンレス鋼ショット)を含むカラム中で結晶させる。このカラムには、赤外線検出器が装備されている。次いで、1分あたり1.5℃の速度で20から120℃へ溶離溶媒(トリクロロベンゼン)の温度をゆっくり上昇させることによりカラムから結晶化ポリマーサンプルを溶離することによって、ATREFのクロマトグラフィー曲線を作成する。
【0194】
13C NMR分析
サンプルを、10mmのNMRチューブ中で0.4gのサンプルに対してテトラクロロエタン−d2/オルトジクロロベンゼンの50/50の混合物の約3gを添加することによって調製する。そのサンプルを、このチューブおよびその内容物を150℃に加熱することによって溶解して、均質化する。100.5MHzという13Cの共鳴周波数に相当する、JEOL ECLIPSE(商標)400MHz分光計、またはVarian Unity PLUS(商標)400MHz分光計を用いてデータを収集する。そのデータを、6秒のパルス繰り返し時間遅延により1データ・ファイルについて4000の減衰シグナルを用いて得る。定量的分析のための最小のシグナル対ノイズ比を達成するために、複数のデータファイルを一緒に加える。スペクトルの幅は25,000Hzであり、最小のファイルサイズは32Kのデータ・ポイントである。このサンプルは、10mmの広帯域プローブ中で130℃で分析する。コモノマーの取り込みは、Randallのトライアッド法(Randall,J.C.;JMS-Rev.Macromol.Chemを用いて決定される。
【0195】
TREFによるポリマー分画
大規模なTREF分画は、160℃で4時間撹拌することによって2リットルの1,2,4−トリクロロベンゼン(TCB)中に15〜20gのポリマーを溶解することによって行う。このポリマー溶液は、30−40メッシュ(600〜425μm)球状の、技術的品質のガラスビーズ(Potters Industries,HC30 Box20,Brownwood,TX,76801から入手可能)およびステンレス鋼、0.028”(0.7mm)の直径のカット・ワイア・ショット(Pellets,Inc.63 Industrial Drive,North Tonawanda,NY,14120から入手可能)の60:40(v:v)混合物をパックした3インチ×4フィート(7.6cm×12cm)のスチール・カラム上に15psig(100kPa)窒素によって圧入する。このカラムを、160℃に最初に設定した、熱制御されたオイルジャケットに浸す。このカラムを125℃に弾道的に最初に冷却し、次いで1分あたり0.04℃で20℃までゆっくり冷却して、1時間保持する。温度を1分あたり0.167℃で上昇させながら、新鮮なTCBを1分あたり約65mlで導入する。
【0196】
分取TREFカラムからの約2000mL分の溶離液を、16のステーションの加熱されたフラクションコレクターに収集する。このポリマーを、約50〜100mlのポリマー溶液が残るまで、ロータリーエバポレーターを用いて各々の画分中で濃縮させる。この濃縮溶液を、一晩静置させて、その後に、過剰のメタノールを添加し、濾過して、洗浄する(最終の洗浄を含む約300〜500mlのメタノール)。濾過工程を、5.0μmのポリテトラフルオロエチレンコーティング濾紙(Osmonics Inc.から入手可能、カタログ番号Z50WP04750)を用いて、3位置の真空利用濾過ステーションで行う。濾過された画分を、60℃で真空オーブン中において一晩乾燥させて、さらなる試験の前に化学天秤で秤量する。
【0197】
溶融強度
溶融強度(MS)を、2.1mmの直径、約45度の入口角を有する20:1のダイと適合されたキャピラリー・レオメータを用いることによって測定する。190℃で10分間サンプルを平衡化した後、このピストンを1分あたり1インチ(2.54cm/分)の速度で動かす。標準試験温度は190℃である。サンプルを2.4mm/秒2の加速を有するダイの100mm下に配置される1セットの加速ニップに一軸に圧伸する。必要な張力を、ニップ・ロールの巻き取り速度の関数として記録する。試験の間に到達する最大張力が、溶融強度として規定される。引取共振を示すポリマー溶融の場合、引取共振の発生の前の張力を溶融強度とした。溶融強度は、センチニュートン(centiNewton)(「cN」)で記録される。
【0198】
触媒
「一晩」という用語を用いる場合、約16〜18時間の時間をいい、「室温」とは、20〜25℃の温度をいい、そして「混合アルカン」という用語は、ExxonMobil Chemical Companyから、IsoparE(登録商標)という商品名で利用可能なC6-9脂肪族炭化水素の商業的に得られる混合物を指す。本明細書において化合物の名称がその構造図に従わない場合には、構造図が優先するものとする。全ての金属錯体の合成および全てのスクリーニング実験の準備を、ドライ・ボックス技術を用いて乾燥窒素雰囲気で行った。用いた全ての溶媒は、HPLC等級であって、その使用前に乾燥させた。
【0199】
MMAOとは、Akzo−Noble Corporationから市販されている、修飾メチルアルモキサン、トリイソブチルアルミニウム修飾メチルアルモキサンをいう。
【0200】
触媒(B1)の調製は、以下のとおり行う。
【0201】
a)(1−メチルエチル)(2−ヒドロキシ−3,5−ジ(t−ブチル)フェニル)メチルイミンの調製
3,5−ジ−t−ブチルサリチルアルデヒド(3.00g)を10mLのイソプロピルアミンに添加する。この溶液は急速に鮮黄色に変わる。周囲温度での3時間の撹拌後、揮発性物質を減圧下で除去して、鮮黄色の結晶性固体を得る(97パーセント収率)。
【0202】
b)1,2−ビス−(3,5−ジ−t−ブチルフェニレン)(1−(N−(1−メチルエチル)イミノ)メチル)(2−オキソイル)ジルコニウムジベンジルの調製
(1−メチルエチル)(2−ヒドロキシ−3,5−ジ(t−ブチル)フェニル)イミン(605mg、2.2ミリモル)を5mLのトルエンに含有する溶液を、50mLのトルエンにZr(CH2Ph)4(500mg、1.1mmol)を含む溶液にゆっくり添加する。得られた濃黄色の溶液を30分間撹拌する。溶媒を減圧下で除去して、所望の生成物を赤褐色固体として得る。
【0203】
触媒(B2)の調製は以下のとおり行う。
【0204】
a)(1−(2−メチルシクロヘキシル)エチル)(2−オキソイル−3,5−ジ(t−ブチル)フェニル)イミンの調製
2−メチルシクロヘキシルアミン(8.44mL、64.0mmol)をメタノール(90mL)に溶解して、ジ−t−ブチルサリチルアルデヒド(10.00g、42.67mmol)を添加する。その反応混合物を3時間撹拌し、次いで−25℃で12時間冷却する。得られた黄色固体沈殿物を濾過によって収集して、冷メタノール(2×15mL)で洗浄し、次いで、減圧下で乾燥させる。収量は、11.17gの黄色固体である。1H NMRは、異性体の混合物として所望の生成物と一致する。
【0205】
b)ビス−(1−(2−メチルシクロヘキシル)エチル)(2−オキソイル−3,5−ジ(t−ブチル)フェニル)イミノ)ジルコニウムジベンジルの調製
(1−(2−メチルシクロヘキシル)エチル)2−オキソイル−3,5−ジ(t−ブチル)フェニル)イミン(7.63g、23.2mmol)を含有する200mLのトルエンの溶液を、600mLのトルエンに含有されるZr(CH2Ph)4(5.28g、11.6mmol)の溶液にゆっくり添加する。得られた濃黄色の溶液を25℃で1時間撹拌する。その溶液を680mLのトルエンでさらに希釈して、0.00783Mの濃度を有する溶液を得る。
【0206】
触媒1.実質的に米国特許第5,919,9883号、実施例2に開示されるように、長鎖トリアルキルアミン(Armeen(商標)M2HT、Akzo−Nobel,Incから入手可能)、HClおよびLi[B(C654]の反応によって調製される、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラート(本明細書において以降ではホウ酸アーメーニウム(armeenium))のメチルジ(C14-18アルキル)アンモニウム塩の混合物。
【0207】
触媒2.米国特許第6,395,671号、実施例16に従って調製された、ビス(トリス(ペンタフルオロフェニル)−アルマネ)−2−ウンデシルイミダゾリドの混合C14-18アルキルジメチルアンモニウム塩。
【0208】
可逆的移動剤。使用される可逆的移動剤としては、ジエチル亜鉛(DEZ、SA1)、ジ(i−ブチル)亜鉛(SA2)、ジ(n−ヘキシル)亜鉛(SA3)、トリエチルアルミニウム(TEA,SA4)、トリオクチルアルミニウム(SA5)、トリエチルガリウム(SA6)、i−ブチルアルミニウム ビス(ジメチル(t−ブチル)シロキサン)(SA7)、i−ブチルアルミニウム ビス(ジ(トリメチルシリル)アミド)(SA8)、n−オクチルアルミニウム ジ(ピリジン−2−メトキシド)(SA9)、ビス(n−オクタデシル)i−ブチルアルミニウム(SA10)、i−ブチルアルミニウム ビス(ジ(n−ペンチル)アミド)(SA11)、n−オクチルアルミニウム ビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノキシド)(SA12)、n−オクチルアルミニウム ジ(エチル(1−ナフチル)アミド)(SA13)、エチルアルミニウム ビス(t−ブチルジメチルシロキシド)(SA14)、エチルアルミニウム ジ(ビス(トリメチルシリル)アミド)(SA15)、エチルアルミニウム ビス(2,3,6,7−ジベンゾ−1−アザシクロヘプタンアミド)(SA16)、n−オクチルアルミニウム ビス(2,3,6,7−ジベンゾ−1−アザシクロヘプタンアミド)(SA17)、n−オクチルアルミニウム ビス(ジメチル(t−ブチル)シロキシド(SA18)、エチル亜鉛(2,6−ジフェニルフェノキシド)(SA19)およびエチル亜鉛(t−ブトキシド)(SA20)が挙げられる。
【0209】
実施例1−4、比較例A−C
一般的なハイスループット並列重合条件
重合を、Symyx technologies,Inc.から入手可能なハイスループットの並列式重合反応装置(parallel polymerization reactor)(PPR)を用いて行い、そして米国特許の6,248,540号、同第6,030,917号、同第6,362,309号、同第6,306,658号および同第6,316,663号に実質的に従って操作する。エチレン共重合を、用いた総触媒に基づいて共触媒1の1.2当量(MMAOが存在する場合1.1当量)を用いて、必要時にエチレンを用いて130℃かつ200psi(1.4MPa)で行う。一連の重合を、予め秤量したガラスチューブが取り付けられている48の個々の反応セルを6×8配列で備えている並列式耐圧反応装置(PPR)で行う。各々の反応装置セル中の作業容積は6000μLである。各々のセルは、個々の撹拌パドルによって撹拌されながら、温度および圧力が制御される。モノマーのガスおよびクエンチガスをPPRユニットに直接配管して、自動バルブで制御する。液体試薬を、シリンジによって各々の反応装置セルにロボット制御により添加して、そのリザーバー溶媒は混合アルカンである。添加の順序は、混合アルカン溶媒(4ml)、エチレン、1−オクテンコモノマー(1ml)、共触媒1または共触媒1/MMAO混合物、可逆的移動剤、および触媒または触媒混合物である。共触媒1およびMMAOの混合物、または2つの触媒の混合物を用いる場合、それらの試薬を、反応装置への添加の直前に小さいバイアル中で事前に混合する。実験で試薬が省略される場合、その他は上記の順序の添加が維持される。重合を、所定のエチレン消費に到達するまで、約1〜2分間行う。COでのクエンチング後、その反応装置を冷却して、ガラスチューブを取り外す。そのチューブを遠心分離/真空乾燥ユニットに移して、60℃で12時間乾燥する。乾燥されたポリマーを含むチューブを秤量して、その重量と風袋重量との間の差違で、ポリマーの正味の収量が得られる。結果は表1に含まれる。表1で、そして本出願のどこかでは、比較化合物は、星印(*)によって示される。
【0210】
実施例1〜4は、極めて狭いMWDの形成によって証明される、本発明による線状ブロックコポリマー、特にDEZが存在する場合は単頂性のコポリマー、そしてDEZの非存在下における二頂性の広い分子量分布の生成物(別々に生成されたポリマーの混合物)の合成を実証する。触媒(A1)が触媒(B1)よりもオクテンを多く組み込むことが公知であるという事実に起因して、本発明の得られたコポリマーの種々のブロックまたはセグメントは、分枝または密度に基づいて識別可能である。
【0211】
【表1】

本発明に従って生成されるポリマーは、可逆的移動剤の非存在下で調製したポリマーよりも比較的狭い多分散性(Mw/Mn)および比較的大きいブロック−コポリマー含量(三量体、四量体またはそれ以上)を有することが示され得る。
【0212】
さらなる特性付けのために、図を参照して、表1のポリマーについてのデータを判定する。さらに詳細にはDSCおよびATREFの結果によって、以下が示される:
実施例1のポリマーについてのDSC曲線は、158.1J/gという融解熱で115.7℃の融点(Tm)を示す。対応するCRYSTAF曲線は、34.5℃で最高のピークを示し、52.9パーセントのピーク面積である。DSC TmとTcrystafとの間の相違は81.2℃である。
【0213】
実施例2のポリマーのDSC曲線は、214.0J/gの融解熱で109.7℃の融点(Tm)を有するピークを示す。対応するCRYSTAF曲線は、46.2℃で最高のピークを示し、57.0パーセントのピーク面積である。DSC TmとTcrystafとの間の相違は63.5℃である。
【0214】
実施例3のポリマーのDSC曲線は、160.1J/gの融解熱で120.7℃の融点(Tm)を有するピークを示す。対応するCRYSTAF曲線は、66.1℃で最高のピークを示し、71.8パーセントのピーク面積である。DSC TmとTcrystafとの間の相違は54.6℃である。
【0215】
実施例4のポリマーのDSC曲線は、170.7J/gの融解熱で104.5℃の融点(Tm)を有するピークを示す。対応するCRYSTAF曲線は、30℃で最高のピークを示し、18.2パーセントのピーク面積である。DSC TmとTcrystafとの間の相違は74.5℃である。
【0216】
比較例A*のDSC曲線は、86.7J/gの融解熱で90.0℃の融点(Tm)を示す。対応するCRYSTAF曲線は、48.5℃で最高のピークを示し、29.4パーセントのピーク面積である。これらの値の両方とも、密度が低い樹脂と一致する。DSC TmとTcrystafとの間の相違は41.8℃である。
【0217】
比較例B*のDSC曲線は、237.0J/gの融解熱で129.8℃の融点(Tm)を示す。対応するCRYSTAF曲線は、82.4℃で最高のピークを示し、83.7パーセントのピーク面積である。これらの値の両方とも、密度が高い樹脂と一致する。DSC TmとTcrystafとの間の相違は47.4℃である。
【0218】
比較例C*のDSC曲線は、143.0J/gの融解熱で125.3℃の融点(Tm)を示す。対応するCRYSTAF曲線は、34.7パーセントのピーク面積で81.8℃で最高のピークを、そして52.4℃でより低い結晶ピークを示す。この2つのピークの間の分離は、高結晶性および低結晶性のポリマーの存在と一致する。DSC TmとTcrystafとの間の相違は43.5℃である。
【0219】
実施例5−19、比較例D*−F*、連続的溶液重合、触媒A1/B2+DEZ
連続溶液重合は、内部スターラーを装備したコンピュータ制御のオートクレーブ反応装置で行う。精製された混合アルカン溶媒(ExxonMobil Chemical Companyから入手可能なIsopar(商標)E)、エチレン2.70lbs/時間(1.22kg/時間)、1−オクテンおよび水素(用いる場合)を、温度制御のためのジャケットおよび内部熱電対を装備した3.8Lの反応装置に供給する。この反応装置へ供給された溶媒は、マスフローコントローラーによって測定する。変速ダイヤフラムポンプが、溶媒流量および反応装置に対する圧を制御する。ポンプの排出の際に、側流をとって触媒および共触媒1注入ラインのためのフラッシュフローならびに反応装置撹拌を設ける。これらのフローは、Micro−Motionマスフローメーターによって測定して、制御バルブによって、またはニードルバルブの手動調節によって制御する。得られた溶媒を、1−オクテン、エチレンおよび水素(用いる場合)と合わせて、反応装置に供給する。マスフローコントローラーを用いて、必要な場合反応装置に水素を供給する。溶媒/モノマー溶液の温度は、反応装置に入れる前、熱交換器の使用によって制御する。この流れを反応装置の底に入れる。触媒成分溶液を、ポンプおよびマスフロー計を用いて測定して、触媒フラッシュ溶媒とあわせ、そして反応装置の底に入れる。その反応装置を激しく撹拌しながら500psig(3.45MPa)で液体を満たして反応させる。生成物を反応装置の頂部の出口ラインから取り出す。反応装置からの全ての出口ラインは蒸気トレースおよび絶縁が施されている。重合を、任意の安定化剤または他の添加物とともに出口ラインに少量の水を添加すること、および静的ミキサーを通じた混合物の通過によって、停止させる。次いで、この生成物の流れを、揮発分除去(devolatilization)の前に熱交換器を通過させることによって加熱する。ポリマー生成物は、揮発分除去押出機および水冷ペレタイザーを用いる押出によって回収する。プロセスの詳細および結果は表2に含まれる。選択されたポリマーの特性を表3に提供する。
【0220】
【表2】

【0221】
【表3】

得られたポリマーは、前の実施例と同様に、DSCおよびATREFによって試験される。
結果は以下のとおりである:
実施例5のポリマーのDSC曲線は、60.0J/gの融解熱で119.6℃の融点(Tm)を有するピークを示す。対応するCRYSTAF曲線は、47.6℃で最高のピークを示し、59.5パーセントのピーク面積である。DSC TmとTcrystafとの間のΔは72.0℃である。
【0222】
実施例6のポリマーのDSC曲線は、60.4J/gの融解熱で115.2℃の融点(Tm)を有するピークを示す。対応するCRYSTAF曲線は、44.2℃で最高のピークを示し、62.7パーセントのピーク面積である。DSC TmとTcrystafとの間のΔは71.0℃である。
【0223】
実施例7のポリマーのDSC曲線は、69.1J/gの融解熱で121.3℃の融点を有するピークを示す。対応するCRYSTAF曲線は、49.2℃で最高のピークを示し、29.4パーセントのピーク面積である。DSC TmとTcrystafとの間のΔは72.1℃である。
【0224】
実施例8のポリマーのDSC曲線は、67.9J/gの融解熱で123.5℃の融点(Tm)を有するピークを示す。対応するCRYSTAF曲線は、80.1℃で最高のピークを示し、12.7パーセントのピーク面積である。DSC TmとTcrystafとの間のΔは43.4℃である。
【0225】
実施例9のポリマーのDSC曲線は、73.5J/gの融解熱で124.6℃の融点(Tm)を有するピークを示す。対応するCRYSTAF曲線は、80.8℃で最高のピークを示し、16.0パーセントのピーク面積である。DSC TmとTcrystafとの間のΔは43.8℃である。
【0226】
実施例10のポリマーのDSC曲線は、60.7J/gの融解熱で115.6℃の融点(Tm)を有するピークを示す。対応するCRYSTAF曲線は、40.9℃で最高のピークを示し、52.4パーセントのピーク面積である。DSC TmとTcrystafとの間のΔは74.7℃である。
【0227】
実施例11のポリマーについてのDSC曲線は、70.4J/gの融解熱で113.6℃の融点(Tm)を有するピークを示す。対応するCRYSTAF曲線は、25.2パーセントのピーク面積で39.6℃で最高のピークを示す。DSC TmとTcrystafとの間のΔは74.1℃である。
【0228】
実施例12のポリマーについてのDSC曲線は、48.9J/gという融解熱で113.2℃の融点(Tm)を有するピークを示す。対応するCRYSTAF曲線は、30℃以上のピークを示さない。(従って、さらなる計算の目的のためのTcystafは30℃に設定する)。DSC TmとTcrystafとの間のΔは83.2℃である。
【0229】
実施例13のポリマーのDSC曲線は、49.4J/gの融解熱で114.4℃の融点(Tm)を有するピークを示す。対応するCRYSTAF曲線は、33.8℃で最高のピークを示し、7.7パーセントのピーク面積である。DSC TmとTcrystafとの間のΔは84.4℃である。
【0230】
実施例14のポリマーのDSC曲線は、127.9J/gの融解熱で120.8℃の融点(Tm)を有するピークを示す。対応するCRYSTAF曲線は、72.9℃で最高のピークを示し、92.2パーセントのピーク面積である。DSC TmとTcrystafとの間のΔは47.9℃である。
【0231】
実施例15のポリマーのDSC曲線は、36.2J/gの融解熱で114.3℃の融点(Tm)を有するピークを示す。対応するCRYSTAF曲線は、32.3℃で最高のピークを示し、9.8パーセントのピーク面積である。DSC TmとTcrystafとの間のΔは82.0℃である。
【0232】
実施例16のポリマーのDSC曲線は、44.9J/gの融解熱で116.6℃の融点(Tm)を有するピークを示す。対応するCRYSTAF曲線は、48.0℃で最高のピークを示し、65.0パーセントのピーク面積である。DSC TmとTcrystafとの間のΔは68.6℃である。
【0233】
実施例17のポリマーについてのDSC曲線は、47.0J/gの融解熱で116.0℃の融点(Tm)を有するピークを示す。対応するCRYSTAF曲線は、56.8パーセントのピーク面積で43.1℃で最高のピークを示す。DSC TmとTcrystafとの間のΔは72.9℃である。
【0234】
実施例18のポリマーについてのDSC曲線は、141.8J/gという融解熱で120.5℃の融点(Tm)を有するピークを示す。対応するCRYSTAF曲線は、70.0℃で最高のピークを示し、94.0パーセントのピーク面積である。DSC TmとTcrystafとの間のΔは50.5℃である。
【0235】
実施例19のポリマーのDSC曲線は、174.8J/gの融解熱で124.8℃の融点(Tm)を有するピークを示す。対応するCRYSTAF曲線は、79.9℃で最高のピークを示し、87.9パーセントのピーク面積である。DSC TmとTcrystafとの間のΔは45.0℃である。
【0236】
比較例D*のポリマーについてのDSC曲線は、31.6J/gの融解熱で37.3℃の融点(Tm)を有するピークを示す。対応するCRYSTAF曲線は、30℃以上のピークを示さない。これらの値の両方とも、低密度である樹脂と一致する。DSC TmとTcrystafとの間のΔは7.3℃である。
【0237】
比較例E*のポリマーについてのDSC曲線は、179.3J/gの融解熱で124.0℃の融点(Tm)を有するピークを示す。対応するCRYSTAF曲線は、79.3℃で最高のピークを示し、94.6パーセントのピーク面積である。これらの値の両方とも、高密度である樹脂と一致する。DSC TmとTcrystafとの間のΔは44.6℃である。
【0238】
比較例F*のポリマーについてのDSC曲線は、90.4J/gの融解熱で124.8℃の融点(Tm)を有するピークを示す。対応するCRYSTAF曲線は、77.6℃で最高のピークを示し、19.5パーセントのピーク面積である。2つのピークの間の隔たりは、高結晶性ポリマーと低結晶性ポリマーの両方の存在と一致する。DSC TmとTcrystafとの間のΔは47.2℃である。
【0239】
物理的特性試験
ポリマーサンプルは、物理的特性、例えば、TMA温度試験によって証明されるような高温耐性の特性、ペレットブロックキング強度、高温回復、高温圧縮永久ひずみ、および貯蔵弾性率G’(25℃)/G’(100℃)について評価される。いくつかの市販のポリマーが、試験に含まれる:比較例G*は実質的に線状のエチレン/1−オクテンコポリマー(AFFINITY(登録商標)、The Dow Chemical Companyから入手可能)であり、比較例H*は、弾性の実質的に線状のエチレン/1−オクテンコポリマー(AFFINITY(登録商標)EG8100、The Dow Chemical Companyから入手可能)であり、比較例I*は、実質的に線状のエチレン/1−オクテンコポリマー(AFFINITY(登録商標)PL1840、The Dow Chemical Companyから入手可能)であり、比較例J*は、水素化スチレン/ブタジエン/スチレントリブロックコポリマー(KRATON(商標)G1652,KRATON Polymersから入手可能)であり、比較例K*は、熱可塑性加硫物(TPV,架橋されたエラストマーをその中に分散して含むポリオレフィンブレンド)である。結果は表4に示す。
【0240】
【表4】

表4では、比較例F*(触媒A1およびB1を用いる同時の重合から生じる2つのポリマーの物理的な混合物である)は、約70℃という1mm針入温度であるが、実施例5〜9は、100℃以上の1mm針入温度を有する。さらに実施例10〜19は全てが、85℃より大きい1mm針入温度を有し、ほとんどが、90℃を超えるかまたはさらには100℃より大きい1mmのTMA温度を有する。これによって、新規なポリマーは、物理的な混合物に比較して、より高い温度でより良好な寸法安定性を有することが示される。比較例J*(市販のSEBS)は、約107℃という良好な1mmのTMA温度を有し、ただし、これは約100パーセントという極めて乏しい(高温70℃)圧縮永久ひずみを有し、そしてまた高温(80℃)300パーセントひずみ回復の間に回復できない(サンプルが壊れた)。従って、例示されたポリマーは、いくつかの市販の高性能の熱可塑性エラストマーにおいてでさえ得ることができない特性の固有の組み合わせを有する。
【0241】
同様に、表4は、本発明のポリマーについて、6以下という低い(良好な)貯蔵弾性率G’(25℃)/G’(100℃)を示すが、物理的混合物(比較例F*)は、9という貯蔵弾性率比を有し、そして同様の密度のランダムなエチレン/オクテンコポリマー(比較例G*)は、1桁大きい貯蔵弾性率比を有する(89)。ポリマーの貯蔵弾性率比はできるだけ1に近いことが所望される。このようなポリマーは比較的温度によって影響されないし、このようなポリマーから作製される二次加工品は、広範な温度範囲にわたって有用に使用され得る。低い貯蔵弾性率比および温度独立性のこの特徴は、弾性用途において、例えば、感圧粘着剤配合物において、特に有用である。
【0242】
表4のデータによってまた、本発明のポリマーが改善されたペレットブロッキング強度を保有することが実証される。詳細には、実施例5は、0MPaというペレットブロッキング強度を有し、このことは、このポリマーが、かなりのブロッキングを示す比較例F*および比較例G*に比較して、試験された条件下で自由流動することを意味する。ブロッキング強度は、重要である。なぜなら、大きいブロッキング強度を有するポリマーの貨物輸送は、貯蔵または出荷の際に製品同上のくっつきまたは粘着を生じ、取り扱いの特性が劣る。
【0243】
本発明のポリマーの高温(70℃)圧縮永久ひずみは一般に良好であって、このことは一般に約80パーセント未満、好ましくは約70%未満、そして特に約60パーセント未満を意味する。対照的に、比較例F*、G*、H*およびJ*は全てが、100パーセントという70℃圧縮永久ひずみを有する(最大可能値、回復がないことを示す)。ガスケット、窓枠、O−リングなどのような用途には、良好な高温圧縮永久ひずみ(低い数値)が特に必要である。
【0244】
【表5】

表5は、新規なポリマーについての機械的特性について、そして周囲温度での種々の比較ポリマーについての結果を示す。本発明のポリマーは、ISO4649に従って試験した場合、極めて良好な耐磨耗性を有することが示され得、これは一般に、約90mm3未満、好ましくは約80mm3未満、そして特に、約50mm3未満という容積減少を示す。この試験では、数が大きいほど、大きい容積減少を示し、そして結果として低い耐磨耗性を示す。
【0245】
本発明のポリマーの引張ノッチ付引裂強度によって測定した引裂強度は一般に、表5に示されるように、1000mJ以上である。本発明のポリマーの引裂強度は、3000mJ程度の高さ、または5000mJ程度の高さであってさえよい。比較ポリマーは一般に、750mJ以下の引裂強度を有する。
【0246】
表5によってまた、本発明のポリマーが、いくつかの比較例よりも150パーセントひずみでより良好な収縮応力を有する(より高い収縮応力値によって実証される)ことが示される。比較例F*、G*およびH*は、400kPa以下という150パーセントひずみでの収縮応力値を有するが、本発明のポリマーは、500kPa(実施例11)から約1100kPa(実施例17)程度の高さという150パーセントひずみでの収縮応力値を有する。150パーセント収縮応力値よりも高い値を有するポリマーは、弾性を有する用途、例えば、弾性の繊維および織物、特に不織物にかなり有用である。他の用途としては、オムツ(diaper)、衛生および医療用衣類ウエストバンドの用途、例えば、タブおよび弾性バンドが挙げられる。
【0247】
表5によってまた、応力緩和(50パーセントひずみ)がまた、例えば、比較例G*に対して比較した場合、本発明のポリマーについて改善される(少ない)ことが示される。応力緩和が低いとは、ポリマーがその力を、長期間にわたって体温における弾性特性の保持が所望されるオムツおよび他の衣類のような用途において、より良好に保持しているということを意味する。
【0248】
光学的試験
【0249】
【表6】

表6に報告される光学的特性は、実質的に配向性を欠く圧縮成形フィルムに基づく。ポリマーの光学的な特性は、重合において使用される可逆的連鎖移動剤の量の変動から生じる、結晶化サイズにおけるバリエーションに起因して広範な範囲で変化し得る。
【0250】
マルチブロックコポリマーの抽出
実施例5、7のポリマーおよび比較例E*のポリマーの抽出研究を行う。この実験では、ポリマーサンプルは、ガラス円筒濾紙(glass fritted extraction thimble)に秤量して、Kumagawa型の抽出機(extractor)に取り付ける。サンプルを含む抽出機を窒素でパージして、500mLの丸底フラスコに350mLのジエチルエーテルを充填する。次いでフラスコをこの抽出機に取付ける。エーテルを撹拌しながら加熱する。エーテルが円筒濾紙に凝縮し始める時点を書き留めて、抽出を窒素下で24時間進行させる。この時点で、加熱を停止して、溶液を冷却させる。抽出機中に残っている全てのエーテルをフラスコに戻す。フラスコ中のエーテルを周囲温度で減圧下でエバポレートして、得られた固体を窒素でパージ乾燥(purged dry)させる。残渣をヘキサンの連続的な洗浄を用いて秤量ボトルに移す。次いで、合わせたヘキサン洗浄液を別の窒素パージしながらエバポレートさせて、残渣を40℃において減圧下で一晩乾燥させる。抽出機中に残留するエーテルを窒素でパージ乾燥させる。
【0251】
次いで350mLのヘキサンを充填した第二の清浄な丸底フラスコを、この抽出機に接続する。円筒濾紙中でヘキサンの凝縮に最初に気付いた後、ヘキサンを撹拌しながら加熱還流して、還流下で24時間維持する。次いで加熱を停止して、フラスコを冷却させる。抽出機中に残っているヘキサンをフラスコに戻す。そのヘキサンを周囲温度で減圧下でのエバポレーションによって除去して、フラスコ中に残っている残渣を連続的なヘキサン洗浄を用いて秤量ボトルに移す。フラスコ中のヘキサンを窒素パージによってエバポレートして、その残渣を40℃で一晩減圧下で乾燥させる。
【0252】
抽出後に円筒濾紙中に残っているポリマーサンプルを、円筒濾紙から秤量ボトルに移して、40℃で一晩減圧乾燥する。結果は表7に含まれる。
【0253】
【表7】

さらなるポリマー実施例19A〜F、連続溶液重合、触媒A1/B2+DEZ
連続溶液重合をコンピューター制御の十分に撹拌されるリアクターで行う。精製された混合アルカン溶媒(ISOPAR(商標)E、これはExxonMobil Chemical Companyから入手可能である)、エチレン、1−オクテン、および、(使用される場合には)水素を一緒にし、27ガロンのリアクターに供給する。リアクターへの供給物はマスフローメーターによって測定される。供給蒸気の温度が、リアクターに入る前に、グリコールにより冷却される熱交換器の使用によって制御される。触媒成分溶液が、ポンプおよびマスフローコントローラーを使用して計量される。リアクターは、おおよそ550psigの圧力で、液体が満たされて操作される。リアクターから排出されるとき、水および添加剤がポリマー溶液に注入される。水により、触媒が加水分解され、重合反応が停止させられる。その後、ポストリアクター溶液は2段階の揮発物除去のための準備で加熱される。溶媒および未反応モノマーが揮発物除去プロセスの期間中に除かれる。ポリマー溶融物が水中ペレット切断のためにダイにポンプで送られる。
【0254】
プロセスの詳細および結果が表8に含まれる。選択されたポリマーの特性が表9に提供される。
【0255】
【表8】

【0256】
【表9】

【0257】
【表10】

比較例L〜Q
比較例Lは、ENGAGE(登録商標)8842(DuPont Dow Elastomers(Wilmington、DE)から得られるポリオレフィンエラストマー)とDOWLEX(登録商標)2042(The Dow Chemical Company(Midland、MI)から得られるポリエチレン樹脂)との70/30の配合物であった。比較例Mは、ENGAGE(登録商標)8842とDOWLEX(登録商標)2042との50/50の配合物であった。比較例NはAFFINITY(登録商標)8100(The Dow Chemical Company(Midland、MI)から得られるポリオレフィンプラストマー)であった。比較例OはAFFINITY(登録商標)8200(The Dow Chemical Company(Midland、MI)から得られるポリオレフィンプラストマー)であった。比較例PはAFFINITY(登録商標)PF1140(The Dow Chemical Company(Midland、MI)から得られるポリオレフィンプラストマー)であった。比較例QはELVAX(登録商標)460(DuPont Industrial Polymers(Wilmington、DE)から得られる、エチレンと酢酸ビニル(EVA)とのコポリマー)であった。
【0258】
ポリマー特性の測定
本発明のポリマー(19a、19b、19kおよび19l)および比較例L〜比較例QのZnレベル、推定される全体的密度、ソフトセグメント%、ソフトセグメント密度、ハードセグメント%、推定されるハードセグメント密度、および、メルトインデックスが下記の表10に示される。ポリマー19kおよびポリマー19lは、実施例1〜実施例19および実施例19a〜実施例19hと実質的に類似して調製された、エチレンとオクテンとのコポリマーであった。
【0259】
ポリマー(19a、19b、19kおよび19l)のZnレベルを標準的な工業的手順によって測定した。ポリマー(19a、19b、19kおよび19l)ならびに比較例L〜比較例Qのメルトインデックス(I2)をASTM D−1238の条件(190℃/2.16kg)に従って測定した。ポリマー(19a、19b、19kおよび19l)のソフトセグメント%およびハードセグメント%を、エチレン/α−オレフィン共重合体におけるα−オレフィンおよびエチレンの%に基づいてそれぞれ計算した。ポリマー(19a、19b、19kおよび19l)のハードセグメント密度を低密度ポリエチレンの密度に基づいて推定した。ポリマー(19a、19b、19kおよび19l)の全体的密度を、ソフトセグメント%xソフトセグメント密度(すなわち、0.855)およびハードセグメント%xハードセグメント密度(すなわち、0.932)の和によって推定した。比較例L〜比較例Qの密度は供給者によって提供された。
【0260】
【表11】

実施例20〜実施例27、ならびに、比較例R〜比較例Z、比較例AAおよび比較例AB
実施例20〜実施例22および比較例R〜比較例Vは、表11に示されるような配合を有し、かつ、表14に示されるような条件に従って調製された中密度発泡体であった。これらの発泡体は、ポリマー密度が類似する異なるポリマーから作製された。これらの例は、約0.300g/ccの中程度の発泡体密度を有する架橋発泡体の収縮%、圧縮永久ひずみ抵抗性および割裂特性のバランスを示すために使用される。
【0261】
実施例23〜実施例24ならびに比較例W〜比較例Zおよび比較例AAは、表12に示されるような配合を有し、かつ、表14に示されるような条件に従って調製された低密度発泡体であった。これらの発泡体は、ポリマー密度が類似する異なるポリマーから作製された。これらの例は、約0.200g/ccの低い発泡体密度を有する架橋発泡体の収縮%、圧縮永久ひずみ抵抗性および割裂特性のバランスを示すために使用される。
【0262】
実施例25〜実施例27および比較例ABは、表13に示されるような配合を有し、かつ、実施例20〜実施例24についての条件と類似する条件に従って処理された発泡体であった。これらの発泡体は、EVAと、EVAおよびエチレン/α−オレフィン共重合体の異なる配合物とから作製された。これらの例は、約0.370g/ccの中程度の発泡体密度を有する架橋発泡体の収縮%、圧縮永久ひずみ抵抗性および割裂特性のバランスを示すために使用される。
【0263】
【表12】

【0264】
【表13】

【0265】
【表14】

【0266】
【表15】

【0267】
【表16】

実施例20〜実施例27、ならびに、比較例R〜比較例Z、比較例AAおよび比較例ABは、下記の手順に従って、表14に示される条件のもとで調製された。それぞれの例についての配合された材料をシート上にロール練りした。鋳型を満たすための要求された量の材料をシートから切断した後、材料を対流式オーブンにおいて100℃に10分間予熱した。予熱された材料を、180℃である成形型に入れ、プレス機を閉じた。次いで、材料を、要求される硬化時間の間、180℃で硬化させた。硬化後、プレス機を開け、プラク(plaque)を膨張させ、室温に冷却した。
【0268】
実施例20〜実施例27、ならびに、比較例R〜比較例Z、比較例AAおよび比較例ABの発泡体密度を、重量比による蒸留水でのアルキメデス測定によって計算した。
【0269】
発泡体の特性の測定
実施例20〜実施例27、ならびに、比較例R〜比較例Z、比較例AAおよび比較例ABの発泡体密度をASTM D−792(これは参考として本明細書中に組み込まれる)に従って測定した。実施例20〜実施例22および比較例R〜比較例Vの発泡体密度が表15に示される。実施例23〜実施例24ならびに比較例W〜比較例Zおよび比較例AAの発泡体密度が表16に示される。実施例25〜実施例27および比較例ABの発泡体密度が表19に示される。
【0270】
50℃で24時間後における発泡体サンプルの圧縮永久ひずみ特性をSATRA試験法TM64(これは参考として本明細書中に組み込まれる)に従って測定した。実施例20〜実施例22および比較例R〜比較例Vの圧縮永久ひずみ結果および試験条件が表15に示される。実施例23〜実施例24ならびに比較例W〜比較例Zおよび比較例AAの圧縮永久ひずみ結果および試験条件が表16に示される。実施例25〜実施例27および比較例ABの圧縮永久ひずみ結果および試験条件が表19に示される。
【0271】
発泡体サンプルの割裂特性をSATRA試験法TM65(これは参考として本明細書中に組み込まれる)に従って測定した。サンプルを外皮とともに試験した。実施例20〜実施例22および比較例R〜比較例Vの割裂結果が表15に示される。実施例23〜実施例24ならびに比較例W〜比較例Zおよび比較例AAの割裂結果が表16に示される。実施例25〜実施例27および比較例ABの割裂結果が表19に示される。
【0272】
70℃で6時間後および50℃で24時間後における発泡体サンプルの収縮率をSATRA試験法PM70(これは参考として本明細書中に組み込まれる)に従って測定した。実施例20〜実施例22および比較例R〜比較例Vの収縮%結果および試験条件が表15に示される。実施例23〜実施例24ならびに比較例W〜比較例Zおよび比較例AAの収縮%結果および試験条件が表16に示される。実施例25〜実施例27および比較例ABの収縮%結果および試験条件が表19に示される。
【0273】
発泡体サンプルの極限引張強度および極限伸度をASTM D412(これは参考として本明細書中に組み込まれる)に従って測定した。サンプルを、外皮を伴うことなく極限引張強度について試験した。実施例20〜実施例22および比較例R〜比較例Vの引張および伸度の結果が表17に示される。実施例23〜実施例24ならびに比較例W〜比較例Zおよび比較例AAの引張および伸度の結果が表18に示される。
【0274】
発泡体サンプルの摩耗をDIN53516(これは参考として本明細書中に組み込まれる)に従って測定した。サンプルを外皮とともに試験した。実施例20〜実施例22および比較例R〜比較例Vの摩耗結果が表17に示される。実施例25〜実施例27および比較例ABの摩耗結果が表19に示される。
【0275】
発泡体サンプルの最終的な反発弾性をDIN53512(これは参考として本明細書中に組み込まれる)に従って測定した。サンプルを、外皮を伴うことなく試験した。実施例20〜実施例22および比較例R〜比較例Vの最終的な反発弾性の結果が表17に示される。実施例23〜実施例24ならびに比較例W〜比較例Zおよび比較例AAの最終的な反発弾性の結果が表18に示される。
【0276】
発泡体サンプルのショアA硬度をISO868(これは参考として本明細書中に組み込まれる)に従って測定した。プローブとサンプルとの間での接触時間は3秒であった。サンプルを外皮とともに試験した。実施例20〜22および比較例R〜比較例VのショアA硬度結果が表17に示される。実施例23〜実施例24ならびに比較例W〜比較例Zおよび比較例AAのショアA硬度結果が表18に示される。実施例25〜実施例27および比較例ABのショアA硬度結果が表19に示される。
【0277】
アスカー(asker)Cは発泡体の硬さ(または柔らかさ)の尺度であり、数字が大きいほど、発泡体は硬くなる。50のアスカーC硬度は間底用途に典型的であり、一方、30のアスカーC硬度は中敷きに典型的である。発泡体サンプルのアスカーC硬度をASTM D2240(これは参考として本明細書中に組み込まれる)に従って測定した。サンプルを外皮とともに試験した。実施例20〜実施例22および比較例R〜比較例VのアスカーC硬度結果が表17に示される。実施例23〜実施例24ならびに比較例W〜比較例Zおよび比較例AAのアスカーC硬度結果が表18に示される。
【0278】
【表17】

表15におけるデータは、本明細書中に開示されるエチレン/α−オレフィン共重合体から作製された実施例20〜実施例22が、ELVAX(登録商標)460、AFFINITY(登録商標)1140およびENGAGE(登録商標)8100から作製された比較例R〜比較例Vよりも、圧縮永久ひずみ特性、割裂特性および収縮特性のより良好なバランスを提供することを示す。
【0279】
【表18】

表16におけるデータは、本明細書中に開示されるエチレン/α−オレフィン共重合体から作製された実施例23〜実施例24が、ELVAX(登録商標)460、AFFINITY(登録商標)1140およびENGAGE(登録商標)8100から作製された比較例W〜比較例AAよりも、圧縮永久ひずみ特性、割裂特性および収縮特性の良好なバランスを提供することを示す。
【0280】
【表19】

表17におけるデータは、本明細書中に開示されるエチレン/α−オレフィン共重合体から作製された実施例20〜実施例22が、ELVAX(登録商標)460から作製された比較例Rよりも弾性であること、実施例21の耐摩耗性が、Affinity1140から作製された比較例R、ならびに、ENGAGE(登録商標)8842およびDOWLEX(登録商標)2042から作製された比較例Vと類似すること、および、実施例21が、ENGAGE(登録商標)8100およびENGAGE(登録商標)8842から作製された比較例Tおよび比較例Uよりも良好な耐摩耗性を提供することを示す。
【0281】
【表20】

表18は、本明細書中に開示されるエチレン/α−オレフィン共重合体から作製された実施例24が、ELVAX(登録商標)460から作製された比較例Wの同じ硬度のわりには、比較例Wよりも弾性であり、かつ、大きい伸度および極限強度を有することを示す。Affinity1140から作製された比較例Y、ならびに、ENGAGE(登録商標)8842およびDOWLEX(登録商標)2042から作製された比較例Zもまた、大きい弾性および伸度を示す。実施例24は、硬度、伸度、極限強度および硬度の良好なバランスを明らかにする。
【0282】
【表21】

EVAおよびエチレン/α−オレフィン共重合体から作製された実施例25は、類似する収縮、摩耗および割裂のわりには、比較例ABよりも低い圧縮永久ひずみを示す。
【0283】
本発明が、限定された数の実施形態に関して記載されているが、1つの実施形態の具体的な特徴は本発明の他の実施形態の属性であると考えてはならない。1つだけの実施形態により、本発明のすべての態様は表されない。いくつかの実施形態において、その組成物または方法は、本明細書中に述べられていない数多くの化合物または工程を含む場合がある。他の実施形態において、その組成物または方法は、本明細書中に列挙されていない何らかの化合物または工程を含まないか、または、実質的に有しない。記載された実施形態からの様々な変化および改変が存在する。最後に、本明細書中に開示された数字はどれも、「約」または「おおよそ」の語句が、その数字を記述する際に使用されるかどうかにかかわらず、概数を意味するように解釈されなければならない。添付された請求項は、本発明の範囲に含まれるようなすべてのそのような改変および変化を包含することを意図する。
【図面の簡単な説明】
【0284】
【図1】従来のランダムコポリマー(丸によって表される)およびチーグラー・ナッタコポリマー(三角によって表される)と比較したときの、本発明のポリマー(ひし形によって表される)についての融点/密度の関係を示す。
【図2】様々なポリマーについて、DSC融解エンタルピーの関数としてのデルタDSC−CRYSTAFのプロットを示す。ひし形はランダムエチレン/オクテンコポリマーを表し、四角はポリマー実施例1〜4を表し、三角はポリマー実施例5〜9を表し、丸はポリマー実施例10〜19を表す。「X」の記号はポリマー比較例A*〜F*を表す。
【図3】本発明の共重合体から作製された未延伸フィルム(四角および丸によって表される)および従来のコポリマーから作製された未延伸フィルム(三角によって表され、様々なDow AFFINITY(登録商標)ポリマーである)について、弾性回復率に対する密度の影響を示す。四角は本発明のエチレン/ブテンコポリマーを表し、丸は本発明のエチレン/オクテンコポリマーを表す。
【図4】実施例5のポリマー(丸によって表される)ならびに比較用ポリマーの比較例E*および比較例F*(「X」の記号によって表される)について、TREF分画されたエチレン/1−オクテンコポリマー分画のオクテン含有量の、分画のTREF溶出温度に対するプロットを示す。ひし形は従来のランダムエチレン/オクテンコポリマーを表す。
【図5】実施例5のポリマー(曲線1)およびポリマー比較例F*(曲線2)について、TREF分画されたエチレン/1−オクテンコポリマー分画のオクテン含有量の、分画のTREF溶出温度に対するプロットを示す。四角はポリマー比較例F*を表し、三角は実施例5を表す。
【図6】比較用のエチレン/1−オクテンコポリマー(曲線2)およびエチレン/プロピレンコポリマー(曲線3)、ならびに、異なる量の連鎖移動剤を用いて作製された本発明の2つのエチレン/1−オクテンブロックコポリマー(曲線1)について、温度の関数としての貯蔵弾性率の対数グラフである。
【図7】いくつかの公知のポリマーと比較して、いくつかの本発明のポリマー(ひし形によって表される)についてのTMA(1mm)対曲げ弾性率のプロットを示す。三角は様々なDow VERSIFY(登録商標)ポリマーを表し、丸は様々なランダムエチレン/スチレンコポリマーを表し、四角は様々なDow AFFINITY(登録商標)ポリマーを表す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのエチレン/α−オレフィン共重合体を含む発泡体であって、発泡体の密度が150kg/m3超〜500kg/m3であり、かつ、前記エチレン/α−オレフィン共重合体が、
(a)約1.7〜約3.5のMw/Mn、少なくとも1つの融点Tm(℃)、および、密度d(g/cm3)を有し、この場合、Tmおよびdの数値は下記の関係に対応する:
m≧−2002.9+4538.5(d)−2422.2(d)2;または
(b)約1.7〜約3.5のMw/Mnを有し、かつ、融解熱ΔH(J/g)、および、最高DSCピークと最高CRYSTAFピークとの温度差として定義されるデルタ量ΔT(℃)によって特徴づけられ、この場合、ΔTおよびΔHの数値は下記の関係を有する:
ΔHが0よりも大きく、130J/gまでである場合、ΔT>−0.1299(ΔH)+62.81
ΔHが130J/gよりも大きい場合、ΔT≧48℃
ここで、CRYSTAFピークは、累積ポリマーの少なくとも5パーセントを使用して求められ、ポリマーの5パーセント未満が特定可能なCRYSTAFピークを有するならば、CRYSTAF温度は30℃である;または
(c)エチレン/α−オレフィン共重合体の圧縮成形フィルムを用いて測定された、300パーセントのひずみおよび1サイクルでの弾性回復率Re(パーセント)によって特徴づけられ、および、密度d(g/cm3)を有し、この場合、Reおよびdの数値は、エチレン/α−オレフィン共重合体が架橋相を実質的に有しないとき、下記の関係を満たす:
Re>1481−1629(d);または
(d)TREFを使用して分画されたとき、40℃と130℃との間で溶出する分子分画を有し、この場合、分子分画は、同じ温度間で溶出する比較対象となるランダムエチレン共重合体分画のコモノマーモル含有量よりも少なくとも5パーセント大きいコモノマーモル含有量を有することを特徴とし、ここで、前記比較対象となるランダムエチレン共重合体は同じコモノマーを含み、かつ、メルトインデックス、密度およびコモノマーモル含有量(ポリマー全体に基づく)を、エチレン/α−オレフィン共重合体のメルトインデックス、密度およびコモノマーモル含有量から10パーセント以内で有する;または
(e)25℃での貯蔵弾性率G’(25℃)と、100℃での貯蔵弾性率G’(100℃)とを有し、G’(25℃)対G’(100℃)の比率が約1:1〜約9:1の範囲にある、
発泡体。
【請求項2】
前記エチレン/α−オレフィン共重合体が、約1.7〜約3.5のMw/Mn、少なくとも1つの融点Tm(℃)、および、密度d(g/cm3)を有し、この場合、Tmおよびdの数値は、下記の関係:
m≧858.91−1825.3(d)+1112.8(d)2
に対応する、請求項1に記載の発泡体。
【請求項3】
前記エチレン/α−オレフィン共重合体が約1.7〜約3.5のMw/Mnを有し、かつ、融解熱ΔH(J/g)、および、最高DSCピークと最高CRYSTAFピークとの温度差として定義されるデルタ量ΔT(℃)によって特徴づけられ、この場合、ΔTおよびΔHの数値は下記の関係を有する:
ΔHが0よりも大きく、130J/gまでである場合、ΔT>−0.1299(ΔH)+62.81
ΔHが130J/gよりも大きい場合、ΔT≧48℃
ここで、CRYSTAFピークは、累積ポリマーの少なくとも5パーセントを使用して求められ、ポリマーの5パーセント未満が特定可能なCRYSTAFピークを有するならば、CRYSTAF温度は30℃である、請求項1に記載の発泡体。
【請求項4】
前記エチレン/α−オレフィン共重合体が、エチレン/α−オレフィン共重合体の圧縮成形フィルムを用いて測定された、300パーセントのひずみおよび1サイクルでの弾性回復率Re(パーセント)によって特徴づけられ、および、密度d(g/cm3)を有し、この場合、Reおよびdの数値は、エチレン/α−オレフィン共重合体が架橋相を実質的に有しないとき、下記の関係:
Re>1481−1629(d)
を満たす、請求項1に記載の発泡体。
【請求項5】
Reおよびdの数値が、下記の関係:
Re>1481−1629(d)
を満たす、請求項1に記載の発泡体。
【請求項6】
Reおよびdの数値が、下記の関係:
Re>1501−1629(d)
を満たす、請求項1に記載の発泡体。
【請求項7】
Reおよびdの数値が、下記の関係:
Re>1511−1629(d)
を満たす、請求項1に記載の発泡体。
【請求項8】
少なくとも1つのエチレン/α−オレフィン共重合体を含む発泡体であって、柔軟な発泡体の密度が150kg/m3超〜約500kg/m3であり、かつ、前記エチレン/α−オレフィン共重合体が、
(a)TREFを使用して分画されたとき、40℃と130℃との間で溶出する少なくとも1つの分子分画であって、少なくとも0.5で、かつ約1までのブロックインデックスと、約1.3よりも大きい分子量分布Mw/Mnとを有することを特徴とする分子分画、または
(b)ゼロよりも大きく、かつ約1.0までの平均ブロックインデックス、および、約1.3よりも大きい分子量分布Mw/Mn
を有する発泡体。
【請求項9】
前記エチレン/α−オレフィン共重合体が、TREFを使用して分画されたとき、40℃と130℃との間で溶出する分子分画を有し、この場合、分子分画は、同じ温度間で溶出する比較対象となるランダムエチレン共重合体分画のコモノマーモル含有量よりも少なくとも5パーセント大きいコモノマーモル含有量を有することを特徴とし、ここで、前記比較対象となるランダムエチレン共重合体は同じコモノマーを含み、かつ、メルトインデックス、密度およびコモノマーモル含有量(ポリマー全体に基づく)を、エチレン/α−オレフィン共重合体のメルトインデックス、密度およびコモノマーモル含有量から10パーセント以内で有する、請求項1または8に記載の発泡体。
【請求項10】
前記エチレン/α−オレフィン共重合体が、25℃での貯蔵弾性率G’(25℃)と、100℃での貯蔵弾性率G’(100℃)とを有し、G’(25℃)対G’(100℃)の比率が約1:1〜約9:1の範囲にある、請求項1または8に記載の発泡体。
【請求項11】
前記エチレン/α−オレフィン共重合体におけるα−オレフィンが、スチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン、ノルボルネン、1−デセン、1,5−ヘキサジエン、または、それらの組合せである、請求項1または8に記載の発泡体。
【請求項12】
前記エチレン/α−オレフィン共重合体が架橋剤または放射線によって架橋される、請求項1または8に記載の発泡体。
【請求項13】
5%を超えるゲルをASTM D−2765−84の方法Aにより含有する、請求項12の発泡体。
【請求項14】
発泡剤、架橋剤、安定性制御剤、核剤、フィラー、顔料、酸化防止剤、酸スカベンジャー、UV安定化剤、難燃剤、滑剤、加工助剤、押出し助剤、発泡剤活性化剤、架橋助剤、または、それらの組合せである添加剤を少なくともさらに含む、請求項1または8に記載の発泡体。
【請求項15】
エチレン−酢酸ビニルコポリマー(EVA)をさらに含む、請求項1または8に記載の発泡体。
【請求項16】
EVA対エチレン/α−オレフィン共重合体の比率が約1:10〜約10:1である、請求項15に記載の発泡体。
【請求項17】
(i)発泡剤;
(ii)架橋剤;および
(iii)少なくとも1つのエチレン/α−オレフィン共重合体
を含む発泡性組成物であって、前記エチレン/α−オレフィン共重合体が、
(a)約1.7〜約3.5のMw/Mn、少なくとも1つの融点Tm(℃)、および、密度d(g/cm3)を有し、この場合、Tmおよびdの数値は下記の関係に対応する:
m≧−2002.9+4538.5(d)−2422.2(d)2;または
(b)約1.7〜約3.5のMw/Mnを有し、かつ、融解熱ΔH(J/g)、および、最高DSCピークと最高CRYSTAFピークとの温度差として定義されるデルタ量ΔT(℃)によって特徴づけられ、この場合、ΔTおよびΔHの数値は下記の関係を有する:
ΔHが0よりも大きく、130J/gまでである場合、ΔT>−0.1299(ΔH)+62.81
ΔHが130J/gよりも大きい場合、ΔT≧48℃
ここで、CRYSTAFピークは、累積ポリマーの少なくとも5パーセントを使用して求められ、ポリマーの5パーセント未満が特定可能なCRYSTAFピークを有するならば、CRYSTAF温度は30℃である;または
(c)エチレン/α−オレフィン共重合体の圧縮成形フィルムを用いて測定された、300パーセントのひずみおよび1サイクルでの弾性回復率Re(パーセント)によって特徴づけられ、および、密度d(g/cm3)を有し、この場合、Reおよびdの数値は、エチレン/α−オレフィン共重合体が架橋相を実質的に有しないとき、下記の関係を満たす:
Re>1481−1629(d);または
(d)TREFを使用して分画されたとき、40℃と130℃との間で溶出する分子分画を有し、この場合、分子分画は、同じ温度間で溶出する比較対象となるランダムエチレン共重合体分画のコモノマーモル含有量よりも少なくとも5パーセント大きいコモノマーモル含有量を有することを特徴とし、ここで、前記比較対象となるランダムエチレン共重合体は同じコモノマーを含み、かつ、メルトインデックス、密度およびコモノマーモル含有量(ポリマー全体に基づく)を、エチレン/α−オレフィン共重合体のメルトインデックス、密度およびコモノマーモル含有量から10パーセント以内で有する;または
(e)25℃での貯蔵弾性率G’(25℃)と、100℃での貯蔵弾性率G’(100℃)とを有し、G’(25℃)対G’(100℃)の比率が約1:1〜約9:1の範囲にある、
発泡性組成物。
【請求項18】
(i)発泡剤;
(ii)架橋剤;および
(iii)少なくとも1つのエチレン/α−オレフィン共重合体
を含む発泡性組成物であって、前記エチレン/α−オレフィン共重合体が、
(a)TREFを使用して分画されたとき、40℃と130℃との間で溶出する少なくとも1つの分子分画であって、少なくとも0.5で、かつ約1までのブロックインデックスと、約1.3よりも大きい分子量分布Mw/Mnとを有することを特徴とする分子分画、または
(b)ゼロよりも大きく、かつ約1.0までの平均ブロックインデックス、および、約1.3よりも大きい分子量分布Mw/Mn
を有する、発泡性組成物。
【請求項19】
請求項1または8に記載される発泡体を含む発泡品。
【請求項20】
履き物用品である、請求項19に記載の発泡品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2008−533289(P2008−533289A)
【公表日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−502147(P2008−502147)
【出願日】平成18年3月15日(2006.3.15)
【国際出願番号】PCT/US2006/010081
【国際公開番号】WO2006/099631
【国際公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ インコーポレイティド (1,383)
【Fターム(参考)】