エッジ抽出装置、測量機、およびプログラム
【課題】対象物の輪郭以外のノイズ検出を低減すると共に、その操作性を向上する。
【解決手段】
エッジ抽出装置は、画像からエッジ強度を算出してエッジ検出を行うエッジ検出部と、エッジ検出部が検出したエッジをラベリング処理し、かつ、エッジの長さを求めるラベリング処理部と、ラベリング処理部が求めたエッジの長さとエッジ検出部が算出したエッジ強度とを対応付けた値によってエッジの強調処理を行うエッジ強調処理部と、エッジ強調処理部によって強調された画像に対して、調整可能とされる閾値により2値化処理を施し、エッジを抽出するエッジ抽出部とを備える。
【解決手段】
エッジ抽出装置は、画像からエッジ強度を算出してエッジ検出を行うエッジ検出部と、エッジ検出部が検出したエッジをラベリング処理し、かつ、エッジの長さを求めるラベリング処理部と、ラベリング処理部が求めたエッジの長さとエッジ検出部が算出したエッジ強度とを対応付けた値によってエッジの強調処理を行うエッジ強調処理部と、エッジ強調処理部によって強調された画像に対して、調整可能とされる閾値により2値化処理を施し、エッジを抽出するエッジ抽出部とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像から対象物の輪郭などを抽出するエッジ抽出装置に係り、特にエッジの長さと強度に基づいてエッジを抽出するエッジ抽出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像からエッジを検出する種々の方法が知られている。エッジとは、濃淡画像内で輝度が急峻に変化している部分である。通常、急峻な変化は、対象物の輪郭で起きるため、エッジ検出の結果から対象物の輪郭を抽出することができる。
【0003】
エッジ検出は、局所的な画素の輝度値の変化を調べ、その変化が大きい部分をエッジとして検出することで行われる。代表的なエッジの検出方法として、微分フィルタを用いるものがあり、例えば、ソーベル、ラプラシアン、プリューウィット、ロバーツ等のフィルタが用いられる。
【0004】
しかしながら、これらの微分フィルタは、輝度情報のみに基づいてエッジを検出するものであるため、対象物内部の模様や色変化も検出してしまい、対象物の概略形状である輪郭のみを検出するのは困難である。このような課題を解決する手段として、例えば特許文献1が開示されている。特許文献1に記載の発明は、まずエッジ方向を推定し、推定したエッジ方向と各位置におけるグラディエントからエッジ強度を算出するものである。これにより、エッジの指向性を得ることができるため、対象物の輪郭を構成するエッジのみを検出することができる。
【0005】
一方、エッジの長さおよび湾曲度に基づいて対象物の輪郭か否かを判定するエッジ検出方法も開示されている(例えば、特許文献2)。特許文献2に記載の発明によれば、短いエッジや急激に湾曲しているようなエッジをノイズとみなすことで、輪郭のみを検出することができる。
【特許文献1】特開平8−329252号公報
【特許文献2】特開2001−177728号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した特許文献1に記載の発明は、エッジ方向を推定するために、オペレータが指定した輪郭上の点群から3次スプライン曲線を生成するため、自動的に対象物の輪郭のみを検出することは困難である。また、3次またはこれと異なる次数のスプライン曲線を演算する処理は処理時間が掛る。
【0007】
一方、特許文献2に記載の発明は、微分フィルタにより検出したエッジ強度をエッジの長さに関係付けて閾値処理を行う旨を開示していない。このため、エッジの強度が強いにも関わらず、エッジの長さが短いためにエッジが検出されないといった課題が残る。また、エッジの長さおよび湾曲度を別々のパラメータとして閾値処理する場合には、直感的に所望のエッジを抽出するのが困難であり、操作性が悪いものとなってしまう。
【0008】
そこで、本発明は、このような問題に鑑み、対象物の輪郭以外のノイズ検出を低減すると共に、その操作性を向上する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の発明は、画像からエッジ強度を算出してエッジ検出を行うエッジ検出部と、前記エッジ検出部が検出したエッジをラベリング処理し、かつ、前記エッジの長さを求めるラベリング処理部と、前記ラベリング処理部が求めたエッジの長さと前記エッジ検出部が算出したエッジ強度とを対応付けた値によってエッジの強調処理を行うエッジ強調処理部と、前記エッジ強調処理部によって強調された画像に対して、調整可能とされる閾値により2値化処理を施し、エッジを抽出するエッジ抽出部とを備えることを特徴とするエッジ抽出装置である。
【0010】
請求項1に記載の発明によれば、エッジの長さとエッジ強度とを対応付けた値によって画像が2値化される。このため、エッジの長さが相対的に短く、かつ、エッジ強度が相対的に弱いものは、ノイズとして除去され、エッジの長さが短くてもエッジ強度が強いものや、エッジ強度が弱くてもエッジの長さが長いものは、除去されない。この態様により、対象物の輪郭以外のノイズ検出を低減することができる。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記エッジ検出部は、ソーベルフィルターに代表される微分フィルターによりエッジ検出を行うことを特徴とする。請求項2に記載の発明によれば、微分フィルタを用いることで、ノイズ検出を抑えながら、多くのエッジを簡易に検出することができる。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記エッジ抽出部の閾値は、単一の操作部により調整可能に構成されていることを特徴とする。請求項3に記載の発明によれば、1つのパラメータ(エッジの長さとエッジ強度とを対応付けた値)のみで対象物の輪郭を抽出できるため、操作性が向上する。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の発明において、前記操作部は、単一のスライダー操作部により調整可能に構成されていることを特徴とする。請求項4に記載の発明によれば、パラメータ(エッジの長さとエッジ強度とを対応付けた値)が単一のスライダー操作部により調整できるため、操作性が向上する。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記エッジ検出部の処理に先立ち、前処理を行う前処理部を備え、前記前処理部の処理内容は、対象物の特徴に応じて変更可能に構成されていることを特徴とする。請求項5に記載の発明によれば、対象物の輪郭が周辺に比べて暗い場合や、対象物が周辺に比べて輝度の凹凸が激しい場合には、対象物の特徴に応じて前処理の内容を変更することで、対象物の輪郭の検出精度が向上し、ノイズ検出を低減することができる。
【0015】
請求項6に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記エッジ検出部の処理に先立ち、縮小処理を行う前処理部を備えていることを特徴とする。請求項6に記載の発明によれば、縮小処理により解像度を落とすことで、ノイズの検出を抑えると共に、その後の処理時間を短縮することができる。
【0016】
請求項7に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記エッジ抽出部によって抽出された画素数と抽出されなかった画素数の比をS/N比として定義し、前記エッジ検出部は、前記S/N比に基づいてエッジ強度の閾値を自動決定してエッジ検出を行うことを特徴とする。請求項7に記載の発明によれば、エッジ強度が相対的に弱い場合であっても、ノイズの発生を抑えながらエッジを検出することができる。
【0017】
請求項8に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記エッジ抽出部によって抽出されたエッジ同士の交点を検出する交点検出部を備えることを特徴とする。請求項8に記載の発明によれば、エッジ同士の交点を検出することで、対象物の輪郭形状を推定することができる。
【0018】
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の発明において、前記交点検出部は、前記エッジ抽出部によって抽出されたエッジの端点から回帰直線を求め、前記回帰直線同士の交点を検出することを特徴とする。請求項9に記載の発明によれば、エッジの端点から回帰直線を求めることで、エッジ同士の交点の検出を高速に処理することができる。
【0019】
請求項10に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記エッジ検出部が検出したエッジのコーナーを除去するコーナー除去部を備えることを特徴とする。請求項10に記載の発明によれば、対象物の輪郭以外のエッジは、対象物の輪郭エッジと比べてコーナーが多いため、コーナーを除去されて分割されたエッジの長さに基づいてエッジを抽出することで、対象物の輪郭エッジのみが抽出され易くなる。また、コーナー除去による輪郭エッジの抽出は、公知のハフ変換を用いて検出する場合と比べ、高速に処理することができる。
【0020】
請求項11に記載の発明は、請求項10に記載の発明において、前記コーナー除去部が除去するコーナーの角度は調整可能に構成されていることを特徴とする。請求項11に記載の発明によれば、除去するコーナーの角度を調整することで、直線成分で構成される輪郭エッジ、または、曲線成分で構成される輪郭エッジを抽出することができる。
【0021】
請求項12に記載の発明は、請求項8に記載の構成を有する測量機において、前記エッジ抽出部によって抽出されたエッジ、または、前記交点検出部によって検出された交点もしくは端点を視準して測定を行うように構成されていることを特徴とする測量機である。請求項12に記載の発明によれば、測量機は、抽出されたエッジ、交点、または端点のみを測定するため、測定エリア全体を走査して測定する場合と比べ、高速に測定を行うことができる。
【0022】
請求項13に記載の発明は、画像からエッジ強度を算出してエッジ検出を行うエッジ検出ステップと、前記エッジ検出部が検出したエッジをラベリング処理し、かつ、前記エッジの長さを求めるラベリング処理ステップと、前記ラベリング処理部が求めたエッジの長さと前記エッジ検出部が算出したエッジ強度とを対応付けた値によってエッジの強調処理を行うエッジ強調処理ステップと、前記エッジ強調処理部によって強調された画像に対して、調整可能とされる閾値により2値化処理を施し、エッジを抽出するエッジ抽出ステップとをコンピュータに実行させるためのプログラムである。請求項13に記載の発明によれば、対象物の輪郭以外のノイズ検出を低減することができる。
【0023】
請求項14に記載の発明は、請求項8に記載の構成を有する測量機に実行させるためのプログラムであって、前記エッジ抽出部によって抽出されたエッジ、または、前記交点検出部によって検出された交点もしくは端点を視準して測定を行う測定ステップを測量機に実行させるためのプログラムである。請求項14に記載の発明によれば、測量機に抽出されたエッジ、交点、または端点のみを測定させるため、測定エリア全体を走査して測定させる場合と比べ、高速に測定を行わせることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、対象物の輪郭以外のノイズ検出を低減すると共に、その操作性を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
1.第1の実施形態
以下、エッジ抽出装置およびプログラムの一例について説明する。
【0026】
エッジ抽出とは、画像中から対象物の特徴(輪郭線やその端点および交点)を自動で抽出する処理である。図1は、抽出する特徴を説明するための図面代用写真である。図1には対象物である石垣が示されている。抽出する石垣の特徴とは、実線で示される個々の石の輪郭線と、その輪郭線同士の交点(丸印)もしくは輪郭線の端点であり、細部の特徴である石の模様部分はノイズとして判断する。
【0027】
図2は、エッジ抽出プログラムの概略フローチャートである。このエッジ抽出プログラムは、CDROM等の記憶媒体に格納して提供可能である。エッジ抽出プログラムは、まず前処理後(ステップS1)、エッジ検出を行い(ステップS2)、対象物の輪郭であるエッジを抽出し(ステップS3)、抽出したエッジ同士の交点を検出する(ステップS4)。以下、各工程における処理の詳細について説明する。
【0028】
(1)前処理部
前処理部は、様々な対象物や撮影環境を想定して、入力画像をエッジ検出に適した画像に画質調整する。図3は、前処理部のフローチャートである。前処理部は、縮小処理して(ステップS1−1)、明度補正した後(ステップS1−2)、ガウシアンフィルタ(ステップS1−3)を行う。
【0029】
(1−1)縮小処理部
図4は、縮小方法の説明図である。縮小率が1/nである場合(面積比で1/n2)、縮小処理部は、n×nの画素マトリクスにおける輝度の平均値を算出し、算出した平均値でn×nの画素を1画素に置き換える。例えば、図4に示すように縮小率がn=1/3とした場合、3×3の画素は、それらの平均値を輝度とする1画素に置き換えられる。
【0030】
図5は、縮小処理を行った場合におけるエッジ検出比較を示す図面代用写真である。図5(A)は縮小無し、図5(B)は縮小率=1/2、図5(C)は縮小率=1/3である。図5に示すように、石の輪郭部分の検出具合は同程度であるが、石の模様部分(ノイズ)の検出は縮小率=1/3の画像が最も少ない。また、縮小することにより、その後の処理時間の短縮化が図られる。なお、縮小率は、初期値を1/2とし、最終結果を見て、必要であれば、縮小無し、1/3、1/4など縮小率を変更可能とする。
【0031】
(1−2)明度補正部
様々な照明下を想定して、明度補正を行う。明度補正部は、始めにヒストグラムの引き伸ばしを行い、次に引き伸ばした後の輝度の平均値に基づいてγ補正を行うといった2段階の処理で構成する。ただし、入力画像の最小輝度が0で、最大輝度が255の場合には、明度補正部は、ヒストグラムの引き延ばしを行わない。また、輝度の平均値次第で、γ補正が行われない場合もある。
【0032】
ヒストグラムの伸張は、ヒストグラムを拡張してコントラストを強調する処理である。まず、入力画像の輝度の最小値と最大値を求める。そして、最小値が0、最大値が255となるように以下の数1の式を用いて、輝度の線形変換を行う。図6は、入力画像を示す図面代用写真(A)と、ヒストグラム伸張後の画像を示す図面代用写真(B)と、入力画像のヒストグラム(C)と、伸張後のヒストグラム(D)である。
【0033】
【数1】
【0034】
なお、明度補正を実行するか否かは選択可能である。図24は、エッジ抽出プログラムのメニュー画面を示す図である。メニュー画面1の明るさ補正選択部2によって、明度補正の実行非実行が選択可能である。
【0035】
γ補正もコントラストを改善する処理である。図7は、γ補正における入力輝度と出力輝度の関係図(A)と、γ補正後の画像を示す図面代用写真(B)である。γ補正によって、明るすぎる画像は暗くなり(γ>1)、暗すぎる画像は明るくなる(γ<1)。まず、ヒストグラム伸張処理後の画像の平均輝度iを算出し、この平均輝度iに基づいてγ補正の係数(γ値)を決めて輝度の変換を行う。平均輝度iとγ値との関係を以下の表1に示す。なお、このγ値の設定は、変更可能である。γ値を決定後、以下の数2により入力輝度Iから出力輝度I’を算出する。
【0036】
【表1】
【0037】
【数2】
【0038】
(1−3)ガウシアンフィルタ部
ノイズの検出を抑制するため、抽出すべきエッジを保存しながら平滑化が可能なガウシアンフィルタを行う。ガウシアンフィルタ部は、注目画素に近い画素に大きな重みを、注目画素から遠い画素には小さい重みを付けた加重平均を取ることで平滑化を行い、広がりを表す標準偏差σの値を変えることで平滑化の度合いを調節する。数4に示すように、平滑化画像F(x,y)は、数3に示す2次元の等方的なガウス関数G(x,y)を入力画像f(x,y)に畳み込むことで得られる。
【0039】
【数3】
【0040】
【数4】
【0041】
図9は、ガウシアンフィルタの一例を示す図である。図9に示すガウシアンフィルタは、σ値=0.849321800288を数3のガウス関数に代入することで得られる。このとき、図10に示す3×3の画素マトリクスの注目画素b2の平滑化後の輝度I’は、以下の数5により算出される。図8は、入力画像を示す図面代用写真(A)と、ガウシアンフィルタにより平滑化した画像を示す図面代用写真(B)である。
【0042】
【数5】
【0043】
(2)エッジ検出部
図11は、エッジ検出部のフローチャートである。エッジ検出部は、微分フィルタを行い(ステップS2−1)、細線化した後(ステップS2−2)、エッジ強度による閾値処理を行う(ステップS2−3)。
【0044】
(2−1)微分フィルタ部
微分フィルタには、ソーベル(Sobel)、ラプラシアン(Laplacian)、プリューウィット(Prewitt)、ロバーツ(Roberts)等のフィルタを用いる。微分フィルタ部は、微分フィルタを用いてエッジ強度を算出し、エッジ強度画像を作成する。図12は、ソーベルフィルタのx方向の微分フィルタ(A)と、y方向の微分フィルタ(B)である。図10に示す3×3の画素マトリクスの注目画素b2におけるx方向の偏微分Δxf、y方向の偏微分Δyf、および注目画素b2のエッジ強度I’は、以下の数6で算出される。
【0045】
【数6】
【0046】
エッジ強度画像は、注目画素b2の輝度値を上記数6で得られたエッジ強度I’に置き換えることで得られる。図13は、入力画像を示す図面代用写真(A)と、微分フィルタ後のエッジ強度画像を示す図面代用写真(B)である。
【0047】
(2−2)細線化部
細線化部は、エッジ強度画像に対して線幅を1画素とする細線化を行う。細線化を行うことで、後述の処理が容易となる。細線化には、ヒルディッチ(Hilditch)、ドイチュ(Deutsch)、横井、田村等の方法を用いる。
【0048】
例えば、2値化したエッジ強度画像に対して、上下左右4方向から順次ラスタ走査し、白画素(1)の8近傍の画素を調べて、図14に示すパターン条件のうち、少なくとも一つに合致すれば、その白画素(1)を黒画素(0)にして消去する。これを、消去ができなくなるまで繰り返す。なお、図14に示すアスタリスク(*)は、白画素(1)、黒画素(0)のいずれでもよい旨を表している。
【0049】
図14(A)は、左上から右下にラスタ走査する際のパターン条件であり、図14(B)は、右下から左上にラスタ走査する際のパターン条件であり、図14(C)は、右上から左下にラスタ走査する際のパターン条件であり、図14(D)は、左下から右上にラスタ走査する際のパターン条件である。4方向から順次ラスタ走査して処理することにより、エッジは、中央の1画素に細線化される。細線化後のエッジ強度画像を図15に示す。
【0050】
(2−3)閾値処理部
閾値処理部は、細線化したエッジ強度画像に対して閾値処理を行うことでノイズを除去する。ただし、低めの閾値(エッジ強度の最大値の約1%以下)で処理することで多くのエッジを残すようにし、ノイズ除去は、後述するエッジ抽出処理で除去することとする。このため、例えばエッジ強度の閾値を20で2値化する。2値化したエッジ画像を図16に示す。
【0051】
(3)エッジ抽出部
図17は、エッジ抽出部のフローチャートである。エッジ抽出部は、ラベリングを行い(ステップS3−1)、ラベリングしたエッジのコーナーを除去した後(ステップS3−2)、コーナー除去後のエッジに対して再度ラベリングを行って長さを求め(ステップS3−3)、エッジの長さ×エッジ強度の強調画像を作成する(ステップS3−4)。そして、エッジの長さ×エッジ強度による閾値処理を行うことで(ステップS3−5)、対象物の輪郭となるエッジを抽出する。
【0052】
(3−1)第1ラベリング処理部
第1ラベリング処理部は、同じ連結成分に属する画素に同じラベルを割り当て、異なる連結成分には異なるラベルを割り当てる。例えば、8近傍型のラベリング処理は、ラスタ走査して暫定的にラベルを振っていく第1ステップと、第1ステップで作成したルックアップテーブルを参照してラベルを更新する第2ステップとで構成される。図18は、8近傍画素を示す図(A)と、ラベリング処理中の画像とルックアップテーブルを示す図(B)、(C)である。
【0053】
第1ステップでは、図18(A)に示す近傍画素x2〜x5にいずれもラベルが割り当てられていない場合には、x0に新規ラベルが割り当てられ、図18(B)に示すルックアップテーブルに新規ラベルiが追加される。近傍画素x2〜x5に同一のラベルが割り当てられている場合、またはいずれかにラベルが割り当てられている場合には、そのラベルがx0に割り当てられる。近傍画素x2〜x5に異なるラベルが割り当てられている場合には、最も小さいラベルがx0に割り当てられる。例えば、図18(B)に示す丸印で囲まれた注目画素x0の近傍画素x2〜x5のうちx2=2、x4=3、x5=3が割り当てられているため、x0にmin(2、3、3)=2が割り当てられる。この際、ルックアップテーブルは、図18(C)に示すように、ラベル3がラベル2と等価であることを表すため、LUT(3)にラベル2が代入される。
【0054】
第2ステップでは、ルックアップテーブルに基づいて、画像中のラベルが等価なラベルに置き換えられる。例えば、図18(C)の場合、画像中のラベル3は、全てLUT(3)=2に置き換えられる。置き換えるラベルがなくなるまで、この処理が繰り返される。すると、異なる連結成分には異なるラベルが割り当てられる。
【0055】
(3−2)コーナー除去部
コーナー除去部は、ラベル毎にコーナーを検出し、検出したコーナーを除去する。これにより、直線成分で構成される輪郭や、曲線成分で構成される輪郭が抽出される。例えば、三角、四角といった直線成分で構成される輪郭形状は、コーナーを除去することで3直線、4直線に分断され、後述するエッジ抽出部により、その直線が長い場合にはエッジとして抽出され、短い場合にはノイズとして除去される。そして、後述する交点検出部により、この3直線、4直線の交点を検出し、接続することで、三角、四角といった直線成分で構成される輪郭形状が検出される。また、例えば、楕円といった曲線成分で構成される輪郭形状は、コーナーを除去することで2曲線に分断され、後述するエッジ抽出部により、その曲線が長い場合にはエッジとして抽出され、短い場合にはノイズとして除去される。そして、後述する交点検出部により、この2直線の交点を検出し、接続することで、楕円といった曲線成分で構成される形状が検出される。
【0056】
以下、コーナーの除去方法について説明する。図19は、コーナー検出方法を示す図である。コーナーの検出は、注目画素Oとその前後n画素先の画素A、Bとのベクトルa、ベクトルbを求め、ベクトルaとベクトルbの角度差を以下の数7により算出して行う。
【0057】
【数7】
【0058】
例えば、コーナー除去部は、n=2とし、ベクトルの向きの変化が45度以上の場合に注目画素Oをコーナーであると判断し、これを黒画素に置き換えることでコーナーを除去する。また、除去するコーナーの角度(ベクトルaとベクトルbの角度差)は、図24に示すメニュー画面1において、コーナー角度調整部3により調整可能である。これにより、直線成分で構成される輪郭や、曲線成分で構成される輪郭を抽出することができる。
【0059】
コーナー除去部の処理結果を図20〜図22に示す。図20は、コーナー除去後の石垣画像を示す図面代用写真であり、図21は、直線成分で構成される輪郭エッジのサンプル画像を示す図面代用写真であり、図22は、曲線成分で構成される輪郭エッジのサンプル画像を示す図面代用写真である。図20に示すように、コーナー除去前の図16と比べ、石垣の模様部分のエッジはコーナーが多いため、コーナーが除去されることでエッジが短くなり、エッジとして抽出され難くなっている。図21に示す植木の葉の輪郭は、コーナー除去部によってコーナーが除去されてエッジが分断され、エッジの長さが短くなることでノイズとして処理されている。一方、図21に示すパイプは、直線成分で構成される輪郭エッジであるため、コーナーが除去されず、エッジの長さが長いために、輪郭エッジとして抽出されている。
【0060】
同様に、図22に示す道路表面の凹凸は、コーナー除去部によってコーナーが除去されてエッジが分断され、エッジの長さが短くなり、エッジ抽出部によって閾値処理されることで、ノイズとして処理されている。一方、図22に示すタイヤ痕は、曲線成分で構成される輪郭エッジであるため、コーナーの角度調整によってコーナーが除去されず、エッジの長さが長いために、輪郭エッジとして抽出されている。
【0061】
なお、直線成分で構成される輪郭や、曲線成分で構成される輪郭の抽出にハフ変換を用いてもよい。ただし、上述したコーナー除去による抽出は、記憶容量、計算量が少ないためハフ変換よりも高速に処理することができる。
【0062】
(3−3)第2ラベリング処理部
コーナーを除去したことにより同じラベルが連結性を失っているため、第2ラベリング処理部は、コーナー除去後のエッジに対して再度ラベリングを行う。この際、第2ラベリング処理部は、エッジの長さを求めると共に、ステップS2−1で算出したエッジ強度の累積値をラベル毎に算出する。ラベリング方法は、第1ラベリング処理部と同様の方法による。
【0063】
(3−4)エッジ強調処理部
再度ラベリングした後、エッジ強調処理部は、エッジの長さとエッジ強度を掛け合わせた積分値によりエッジの強調処理を行う。各ラベルの輝度は、エッジの長さ×エッジ強度に置き換えられ、エッジの長さ×エッジ強度画像が作成される。
【0064】
(3−5)エッジ抽出部
エッジ抽出部は、エッジの長さ×エッジ強度画像に対して閾値処理を行うことで輪郭となるエッジを抽出する。閾値は、図24に示すメニュー画面1において、スライダー操作部4により調整可能である。スライダー操作部4によってエッジ抽出具合(エッジの長さ×エッジ強度による閾値)を調節すると、その結果であるエッジ抽出画像がリアルタイムに表示される。なお、エッジ抽出具合の調整は、スライダー操作部4に限らず、閾値を直接入力する閾値入力部であってもよい。
【0065】
エッジ抽出部の処理結果について図23を参照して説明する。図23は、積分閾値250の場合のエッジ抽出画像を示す図面代用写真(A)と、積分閾値1000の場合のエッジ抽出画像を示す図面代用写真(B)と、積分閾値4000の場合のエッジ抽出画像を示す図面代用写真(C)である。図23に示すモノクロのチェック格子以外の部分は、エッジの長さは長いが、エッジ強度が微弱であるため、積分閾値を図23(A)から図23(C)へと上げることで、エッジとして抽出されなくなる。しかしながら、モノクロのチェック格子の部分は、エッジの長さが若干短いが、エッジ強度が相対的に強いため、積分閾値を上げたとしてもエッジとして抽出される。
【0066】
(4)交点検出部
交点検出部は、エッジ抽出の結果に基づいて、エッジ同士の交点を検出する。エッジ同士の交点を検出することで、対象物の輪郭を推定することができる。交点検出には、ハフ変換、回帰直線等を用いる。以下、回帰直線による交点検出方法について説明する。図25は、交点検出部のフローチャートである。交点検出部は、まず端点検出を行い(ステップS4−1)、端点座標に基づいて回帰直線を算出後(ステップS4−2)、端点から回帰直線を延長し(ステップS4−3)、延長した回帰直線同士の交点を検出する(ステップS4−4)。
【0067】
(4−1)端点検出部
端点検出部は、エッジ抽出部が抽出したエッジ毎に端点座標を求める。図26は、端点および回帰直線を示す図である。端点検出部は、例えば、注目画素の8近傍のうち1つ画素のみが白画素(1)である場合、注目画素を端点Cであると判断する。
【0068】
(4−2)回帰直線算出部
回帰直線算出部は、各エッジの2つの端点座標に基づいて回帰直線Lの傾きとy切片を求めることで簡易的に算出する。なお、各エッジ内の全ての画素座標(xi,yi)に基づいて、相関係数rを算出し、以下の数8から回帰直線の傾きaとy切片bを求めてもよい。
【0069】
【数8】
【0070】
(4−3)回帰直線の延長部
回帰直線の延長部は、回帰直線の傾きおよびy切片に基づいて、端点から回帰直線を延長する。各端点から1画素ごと延長し、延長した画素に回帰直線用のラベルを割り当てる。図27(A)は、回帰直線を延長した結果を示す図である。
【0071】
(4−4)回帰直線の交点検出部
交点検出部は、延長した画素を注目画素として、その8近傍に3つ以上の回帰直線用ラベルが存在するか否かを調べる。3つ以上の回帰直線用ラベルが存在する場合には、交点検出部は、注目画素を交点として検出し、交点用のラベルを割り当てる。ただし、すでに8近傍に交点用のラベルがある場合には、交点として検出しない。図27(B)は、交点検出結果を示す図である。図27(B)に示す黒画素は、検出された交点である。
【0072】
図24に示すメニュー画面1には、交点・端点選択部5が設けられる。「交点」が選択された場合には交点検出が行われ、「端点」が選択された場合には端点検出のみが行われる。また、端点接続部6によって、端点同士を接続するか否かが選択可能であり、抽出されたエッジ、端点、交点の表示非表示の切替えも可能である。
【0073】
(第1の実施形態の優位性)
第1の実施形態において、エッジ抽出装置およびプログラムは、エッジの長さ×エッジ強度により閾値処理を行う。このため、エッジの長さが相対的に短く、かつ、エッジ強度が相対的に弱いものは、ノイズとして除去され、エッジの長さが短くてもエッジ強度が強いものや、エッジ強度が弱くてもエッジの長さが長いものは、除去されない。この態様により、対象物の輪郭以外のノイズ検出を低減することができる。
【0074】
また、図24に示すように、1つのパラメータ(エッジの長さ×エッジ強度)のみでエッジ抽出具合が調整可能であり、その結果であるエッジ抽出画像がリアルタイムに表示されるため、複数のパラメータを何度か再調整して結果を確認するといった作業を繰り返す必要がない。したがって、所望のエッジを直感的に素早く抽出することができ、操作性が向上している。
【0075】
2.第2の実施形態
以下、エッジ抽出装置またはプログラムの変形例について説明する。第2の実施形態は、対象物の特徴に応じて前処理の処理内容を変更可能とするものである。
【0076】
図24に示すメニュー画面には、オプション機能としてパターン選択部7が設けられる。「無し」を選択した場合の処理は、第1の実施形態に係る前処理と同様となる。
【0077】
「暗輪郭パターン」オプションは、「石垣」の石の輪郭のように、抽出すべき特徴が周辺に比べて暗い場合に用いる。このオプションを選択することで輪郭の検出精度が向上する。「暗輪郭パターン」オプションによって、前処理部は、明度補正後(ステップS1−2)、最小値フィルタを実行する。最小値フィルタは、例えば、注目画素の輝度値を8近傍の輝度値の最小値に置き換えるものである。
【0078】
「凹凸輝度パターン」オプションは、対象物の特徴が道路のように周辺に比べて輝度の凹凸が激しい場合に使用するものである。「凹凸輝度パターン」オプションを選択することで道路部分のザラつきによるノイズの検出を抑えることができる。「凹凸輝度パターン」オプションによって、前処理部は、ぼかしをきつくしたガウシアンフィルタ(ステップS1−3)を実行する。ガウシアンフィルタ部は、σ値=1を数3のガウス関数に代入することで実数型フィルタを生成して処理を行う。
【0079】
(第2の実施形態の優位性)
第2の実施形態によれば、対象物の特徴に応じて画質調整を行うため、対象物の輪郭の検出精度が向上し、ノイズ検出を低減することができる。
【0080】
3.第3の実施形態
以下、エッジ抽出装置またはプログラムの変形例について説明する。第3の実施形態は、S/N(シグナル/ノイズ)比によってエッジ検出におけるエッジ強度の閾値を自動決定するものである。
【0081】
図11に示す閾値処理(ステップS2−3)において、エッジ検出部は、低めの閾値(エッジ強度の最大値の約1%以下、例えば20)を用いてエッジを検出した。しかしながら、この固定閾値では、エッジ強度が弱い対象物の場合、エッジが検出できない場合がある。ステップS2−3においてエッジが検出できない場合、ステップS3−5におけるエッジの長さ×エッジ強度の閾値処理自体が不可能となる。逆に固定閾値を更に下げると、新たなノイズを検出してしまうといった問題がある。
【0082】
そこで、ステップS2−3における閾値をS/N比により自動決定する。S/N比は、例えば、エッジ強度の閾値を20、エッジの長さ×エッジ強度の閾値を2.0に固定した場合に、最終的にエッジとして採用された画素数を「シグナル」とし、採用されなかった画素数を「ノイズ」として、以下の数9により算出するものである。
【0083】
【数9】
【0084】
以下の表2は、複数のサンプル画像(図示省略)についてS/N比を算出したものである。サンプル画像のうちエッジ強度が比較的微弱な「居室」、「工場」は、S/N比が2.0以上であり、これらは3番目にS/N比が大きい「教会」(0.77)の3倍以上の値となった。
【0085】
【表2】
【0086】
S/N比はノイズレベルを示しているため、S/N比によってステップS2−3における閾値を下げてよいか否かを自動決定することができる。例えば、表2の結果によれば、エッジ検出部は、S/N比が2.0以上の場合にはノイズが少ないため、ステップS2−3における閾値を15とすることで多くのエッジを検出し、S/N比が2.0未満の場合にはノイズが多いため、エッジ強度による閾値を20とすることで、ノイズの検出を抑えることができる。
【0087】
(第3の実施形態の優位性)
第3の実施形態において、エッジ強度が弱い対象物であっても、ノイズの発生を抑えながらエッジを検出することができる。
【0088】
4.第4の実施形態
以下、エッジ抽出装置またはプログラムを用いた測量機(トータルステーション)について説明する。第4の実施形態に係る測量機は、抽出されたエッジ、端点、交点を視準して測定を行う画像トータルステーションである。
【0089】
(測量機の構成)
以下、測量機の構成について図28〜図30を参照して説明する。図28は、測量機の断面図(A)および外観図(B)である。測量機10は、三脚に取り付けられた基板部8と、基板部8上で鉛直軸9を中心に回転可能に軸支された測量機本体11と、測量機本体11に設けられた水平軸12を中心に回転可能に軸支された鏡筒部13と、表示装置20とを備えている。
【0090】
測量機本体11には、鏡筒部13を鉛直軸9回りに水平回転させる水平駆動部21が設けられる。水平駆動部21は、水平回転駆動ギア14を介して水平回転モータ15により鏡筒部13を水平回転させる。また、鉛直軸9には水平角エンコーダにより水平角を検出する水平測角部16が設けられる。
【0091】
鏡筒部13には、鏡筒部13を水平軸12回りに鉛直回転させる鉛直駆動部22が設けられる。鉛直駆動部22は、鉛直回転駆動ギア17を介して鉛直回転モータ18により鏡筒部13を鉛直回転させる。また、水平軸12には鉛直角エンコーダにより鉛直角を検出する鉛直測角部19が設けられる。
【0092】
測量機10は、水平駆動部21および鉛直駆動部22を駆動して測定点に視準位置を合わせる。測定点が視準中心となった時、測量機10は、水平測角部16および鉛直測角部19により水平角および鉛直角を検出する。
【0093】
また、鏡筒部13の内部には、望遠鏡部30、測距部31、撮像部32の光学系が設けられる。図29は、鏡筒部内の光学系を示す図である。望遠鏡部30の光軸上には、対物レンズ33、ダイクロイックプリズム34、合焦点レンズ35、正立プリズム36、焦点鏡37、接眼レンズ38を順次配設する。ダイクロイックプリズム34は、プリズム39、プリズム40、プリズム41とから構成され、ダイクロイックミラー面である第1面、第2面を形成する。
【0094】
第1面は、対物レンズ33からの入射光のうち可視光を透過し、赤外光を反射する。一方、第2面は、第1面を透過した可視光を分割する。例えば、第1面は、400〜650nmの可視光を透過し、650〜850nmの赤外光を反射する。また、第2面は、例えば400〜650nmの可視光の40%を透過し、60%を反射する。対物レンズ33から入射して第1面および第2面を透過した可視光は、合焦点レンズ35により焦点鏡37に結像し視準される。また、第1面で反射した反射光軸49上に測距部31を設け、第2面で反射した反射光軸53上に撮像部32を設ける。
【0095】
測距部31は、発光部42と、受光部43とを備えている。発光部42は、レーザ光をパルス発振する固体レーザ装置であり、測定点にコーナーキューブを必要としないノンプリズム測距が可能である。発光部42は、レーザ光源44、集光レンズ45、レーザ媒質46、可飽和吸収体47、共振ミラー48を備える。発光部42からパルス発振したレーザ光は、測距光軸49上に配置された孔明ミラー50とリレーレンズ51を透過して第1面で反射して対物レンズ33から出射する。測定点で反射した反射レーザ光は、第1面と孔明ミラー50で反射してリレーレンズ52を透過し、受光部43に受光する。
【0096】
測量機1が測定点に視準位置を合わせた後、測距部31は発光部42からレーザ光をパルス発振する。測距部31は、発光部42がレーザ光を発光し、このレーザ光を受光部43が受光するまでの時間差と光速により測定点までの距離を演算することで測距を行う。
【0097】
撮像部32は、第2面で分割した可視光を撮像する。第2面で分割した可視光は、リレーレンズ54、反射ミラー55、リレーレンズ56を介して撮像素子57に結像する。撮像素子57は、例えば画素数が640×480のCMOSセンサである。撮像素子57に撮像された画像は、図28(B)に示す表示装置20に表示される。
【0098】
表示装置20は、表示部23と、操作部24とを備えている。表示部23は、撮影部32が撮像した画像やメニュー画面等を表示する。表示部23は、タッチ操作が可能な液晶画面であり、表示した画像上で測定エリア25の設定が可能である。測定エリア25は、例えば、測量者が画像上で対角2点による矩形指定を行い、指定した対角2点を望遠鏡部30で視準して水平角、鉛直角を算出することで設定される。これにより、画像座標に対応する水平角および鉛直角が関連付けられる。一方、操作部24は、測定条件、測定エリアのスキャン開始指令等を入力操作する。
【0099】
図30は、測量機のブロック図である。測量機10は、制御演算部60により統括制御され、制御演算部60は、記憶部61に記憶されたプログラムを読み出して順次実行する。制御演算部60は、まず撮像部32により撮像された画像を表示部23に表示する。測量者は、表示部23に表示された画像上で測定エリア25を設定する。制御演算部60は、測定エリア25の画像からエッジ抽出を行う。
【0100】
その際、制御演算部60は、図24に示すメニュー画面1を表示部23に表示する。測量者は、メニュー画面1のスライダー操作部4でエッジ抽出具合(エッジの長さ×エッジ強度)を調整することで、測定すべき対象物の輪郭を抽出させる。抽出されたエッジ、端点、交点は、図28(B)に示すように表示部23に表示される。
【0101】
制御演算部60は、操作部24からスキャン開始指令を入力すると、測定エリア25内で抽出されたエッジ、端点、または交点のみを自動視準して測定を行う。この際、制御演算部60は、抽出されたエッジ、端点、または交点の画素座標に基づいて鉛直駆動部22および水平駆動部21を制御することで、その画素座標を視準中心にする。そして、制御演算部60は、測距部31に測距させると共に、鉛直測角部19および水平測角部16に測角させることで測定を行う。測距・測角データ(測定データ)は、測定点の画像座標と関連付けて記憶部61に記憶される。
【0102】
1つの測定点について測定が終了すると、制御演算部60は、鉛直駆動部22および水平駆動部21を制御することで、次の画素座標を視準中心にし、測定を行う。以後、測定点がなくなるまで、上記処理を繰り返す。
【0103】
(測量機の動作)
以下、上述した測量機10の動作について詳述する。図31は、測量機の制御プログラムのフローチャートである。まず、撮像部32が測定対象を撮影する(ステップS10)。撮影された画像が表示された表示部23上で、測定エリア25が設定された後(ステップS11)、測量機10は、エッジ抽出を行う。
【0104】
測量者は、まず、表示部23に表示されたメニュー画面1で各種設定を行う。抽出すべき特徴が周辺に比べて暗い場合には、パターン選択部7の「暗輪郭パターン」オプションを選択し、周辺に比べて輝度の凹凸が激しい場合には、「凹凸輝度パターン」オプションを選択し、いずれでもない場合は、「無し」オプションを選択する。また、表示された画像が暗い場合や明るい場合には、明るさ補正選択部2の「明るさ補正」をチェックする。設定が完了すると、測量機10は、測定エリア25の画像に対して前処理を行う(ステップS12)。
【0105】
そして、測量機10は、前処理した画像からエッジ検出を行い(ステップS13)、検出されたエッジから対象物の輪郭となるエッジを抽出する(ステップS14)。この際、測量者は、メニュー画面1のスライダー操作部4でエッジ抽出具合を調整する。また、「交点」オプションが選択されている場合には、抽出されたエッジの端点からエッジ同士の交点を検出する(ステップS15)。
【0106】
所望のエッジが抽出されない場合には(ステップS16のNO)、メニュー画面1で設定を再調整してエッジを再抽出する。所望のエッジが抽出された場合には(ステップS16のYES)、測量者は、操作部24を操作することで、スキャン開始指令を入力する(ステップS17)。この際、測量者は、操作部24を操作することで、抽出されたエッジ、端点、交点、またはこれら全ての中から視準目標を設定する。
【0107】
スキャンが開始すると、測量機10は、水平回転および鉛直回転して測定点(エッジ、端点、または交点)に視準位置を合わせる(ステップS18)。測定点が視準中心になると、測距部31は測距を行い、鉛直測角部22および水平測角部21は、測角を行う(ステップS19)。
【0108】
測定点が残っている場合には、ステップS18、ステップS19の処理を繰り返す(ステップS20のYES)。測定点がない場合には、測量機10は、測定を終了する(ステップS20のNO)。
【0109】
(第4の実施形態の優位性)
第4の実施形態によれば、測量機10は、抽出したエッジ、端点、または交点のみを測定するため、測定エリア全体を走査して測定する場合と比べ、ステップS18〜ステップS20のループ処理が減り、高速に測定を行うことができる。
【0110】
また、1つのパラメータ(エッジの長さ×エッジ強度)のみでエッジ抽出具合を調整できるため、ステップS12〜ステップS16の繰り返し作業が減り、測量機10の操作性が向上する。
【産業上の利用可能性】
【0111】
本発明は、画像からエッジ抽出を行うエッジ抽出装置、これを用いた測量機、およびこれらのプログラムに利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0112】
【図1】抽出する特徴を説明するための図面代用写真である。
【図2】エッジ抽出プログラムの概略フローチャートである。
【図3】前処理部のフローチャートである。
【図4】縮小方法の説明図である。
【図5】縮小処理を行った場合におけるエッジ検出比較を示す図面代用写真である。
【図6】入力画像を示す図面代用写真(A)と、ヒストグラム伸張後の画像を示す図面代用写真(B)と、元画像のヒストグラム(C)と、伸張後のヒストグラム(D)である。
【図7】γ補正における入力輝度と出力輝度の関係図(A)と、γ補正後の画像を示す図面代用写真(B)である。
【図8】入力画像を示す図面代用写真(A)と、ガウシアンフィルタにより平滑化した画像を示す図面代用写真(B)である。
【図9】ガウシアンフィルタの一例を示す図である。
【図10】3×3の画素マトリクスを示す図である。
【図11】エッジ検出部のフローチャートである。
【図12】x方向の微分フィルタ(A)と、y方向の微分フィルタ(B)である。
【図13】入力画像を示す図面代用写真(A)と、微分フィルタ後のエッジ強度画像を示す図面代用写真(B)である。
【図14】左上から右下にラスタ走査する際のパターン条件(A)と、右下から左上にラスタ走査する際のパターン条件(B)と、右上から左下にラスタ走査する際のパターン条件(C)と、左下から右上にラスタ走査する際のパターン条件(D)である。
【図15】細線化後のエッジ強度画像を示す図面代用写真である。
【図16】2値化したエッジ画像を示す図面代用写真である。
【図17】エッジ抽出部のフローチャートである。
【図18】8近傍画素を示す図(A)と、ラベリング処理中の画像とルックアップテーブルを示す図(B)、(C)である。
【図19】コーナー検出方法を示す図である。
【図20】コーナー除去後の石垣画像を示す図面代用写真である。
【図21】直線成分で構成される輪郭エッジのサンプル画像を示す図面代用写真である。
【図22】曲線成分で構成される輪郭エッジのサンプル画像を示す図面代用写真である。
【図23】積分閾値250の場合のエッジ抽出画像を示す図面代用写真(A)と、積分閾値1000の場合のエッジ抽出画像を示す図面代用写真(B)と、積分閾値4000の場合のエッジ抽出画像を示す図面代用写真(C)である。
【図24】エッジ抽出プログラムのメニュー画面である。
【図25】交点検出部のフローチャートである。
【図26】端点および回帰直線を示す図である。
【図27】回帰直線を延長した結果を示す図面代用写真(A)と、交点検出結果を示す図面代用写真(B)である。
【図28】測量機の断面図(A)および外観図(B)である。
【図29】鏡筒部内の光学系を示す図である。
【図30】測量機のブロック図である。
【図31】測量機の制御プログラムのフローチャートである。
【符号の説明】
【0113】
1…メニュー画面、2…明るさ補正選択部、3…コーナー角度調整部、4…スライダー操作部、5…交点・端点選択部、6…端点接続部、7…パターン選択部、8…基板部、9…鉛直軸、10…測量機、11…測量機本体、12…水平軸、13…鏡筒部、14…水平回転駆動ギア、15…水平回転モータ、16…水平測角部、17…鉛直回転駆動ギア、18…鉛直回転モータ、19…鉛直測角部、20…表示装置、21…水平駆動部、22…鉛直駆動部、23…表示部、24…操作部、25…測定エリア、30…望遠鏡部、31…測距部、32…撮像部、33…対物レンズ、34…ダイクロイックプリズム、35…合焦点レンズ、36…正立プリズム、37…焦点鏡、38…接眼レンズ、39…プリズム、40…プリズム、41…プリズム、42…発光部、43…受光部、44…レーザ光源、45…集光レンズ、46…レーザ媒質、47…可飽和吸収体、48…共振ミラー、49…測距光軸、50…孔明ミラー、51…リレーレンズ、52…リレーレンズ、53…撮像光軸、54…リレーレンズ、55…反射ミラー、56…リレーレンズ、57…撮像素子、60…制御演算部、61…記憶部。
【技術分野】
【0001】
本発明は画像から対象物の輪郭などを抽出するエッジ抽出装置に係り、特にエッジの長さと強度に基づいてエッジを抽出するエッジ抽出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像からエッジを検出する種々の方法が知られている。エッジとは、濃淡画像内で輝度が急峻に変化している部分である。通常、急峻な変化は、対象物の輪郭で起きるため、エッジ検出の結果から対象物の輪郭を抽出することができる。
【0003】
エッジ検出は、局所的な画素の輝度値の変化を調べ、その変化が大きい部分をエッジとして検出することで行われる。代表的なエッジの検出方法として、微分フィルタを用いるものがあり、例えば、ソーベル、ラプラシアン、プリューウィット、ロバーツ等のフィルタが用いられる。
【0004】
しかしながら、これらの微分フィルタは、輝度情報のみに基づいてエッジを検出するものであるため、対象物内部の模様や色変化も検出してしまい、対象物の概略形状である輪郭のみを検出するのは困難である。このような課題を解決する手段として、例えば特許文献1が開示されている。特許文献1に記載の発明は、まずエッジ方向を推定し、推定したエッジ方向と各位置におけるグラディエントからエッジ強度を算出するものである。これにより、エッジの指向性を得ることができるため、対象物の輪郭を構成するエッジのみを検出することができる。
【0005】
一方、エッジの長さおよび湾曲度に基づいて対象物の輪郭か否かを判定するエッジ検出方法も開示されている(例えば、特許文献2)。特許文献2に記載の発明によれば、短いエッジや急激に湾曲しているようなエッジをノイズとみなすことで、輪郭のみを検出することができる。
【特許文献1】特開平8−329252号公報
【特許文献2】特開2001−177728号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した特許文献1に記載の発明は、エッジ方向を推定するために、オペレータが指定した輪郭上の点群から3次スプライン曲線を生成するため、自動的に対象物の輪郭のみを検出することは困難である。また、3次またはこれと異なる次数のスプライン曲線を演算する処理は処理時間が掛る。
【0007】
一方、特許文献2に記載の発明は、微分フィルタにより検出したエッジ強度をエッジの長さに関係付けて閾値処理を行う旨を開示していない。このため、エッジの強度が強いにも関わらず、エッジの長さが短いためにエッジが検出されないといった課題が残る。また、エッジの長さおよび湾曲度を別々のパラメータとして閾値処理する場合には、直感的に所望のエッジを抽出するのが困難であり、操作性が悪いものとなってしまう。
【0008】
そこで、本発明は、このような問題に鑑み、対象物の輪郭以外のノイズ検出を低減すると共に、その操作性を向上する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の発明は、画像からエッジ強度を算出してエッジ検出を行うエッジ検出部と、前記エッジ検出部が検出したエッジをラベリング処理し、かつ、前記エッジの長さを求めるラベリング処理部と、前記ラベリング処理部が求めたエッジの長さと前記エッジ検出部が算出したエッジ強度とを対応付けた値によってエッジの強調処理を行うエッジ強調処理部と、前記エッジ強調処理部によって強調された画像に対して、調整可能とされる閾値により2値化処理を施し、エッジを抽出するエッジ抽出部とを備えることを特徴とするエッジ抽出装置である。
【0010】
請求項1に記載の発明によれば、エッジの長さとエッジ強度とを対応付けた値によって画像が2値化される。このため、エッジの長さが相対的に短く、かつ、エッジ強度が相対的に弱いものは、ノイズとして除去され、エッジの長さが短くてもエッジ強度が強いものや、エッジ強度が弱くてもエッジの長さが長いものは、除去されない。この態様により、対象物の輪郭以外のノイズ検出を低減することができる。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記エッジ検出部は、ソーベルフィルターに代表される微分フィルターによりエッジ検出を行うことを特徴とする。請求項2に記載の発明によれば、微分フィルタを用いることで、ノイズ検出を抑えながら、多くのエッジを簡易に検出することができる。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記エッジ抽出部の閾値は、単一の操作部により調整可能に構成されていることを特徴とする。請求項3に記載の発明によれば、1つのパラメータ(エッジの長さとエッジ強度とを対応付けた値)のみで対象物の輪郭を抽出できるため、操作性が向上する。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の発明において、前記操作部は、単一のスライダー操作部により調整可能に構成されていることを特徴とする。請求項4に記載の発明によれば、パラメータ(エッジの長さとエッジ強度とを対応付けた値)が単一のスライダー操作部により調整できるため、操作性が向上する。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記エッジ検出部の処理に先立ち、前処理を行う前処理部を備え、前記前処理部の処理内容は、対象物の特徴に応じて変更可能に構成されていることを特徴とする。請求項5に記載の発明によれば、対象物の輪郭が周辺に比べて暗い場合や、対象物が周辺に比べて輝度の凹凸が激しい場合には、対象物の特徴に応じて前処理の内容を変更することで、対象物の輪郭の検出精度が向上し、ノイズ検出を低減することができる。
【0015】
請求項6に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記エッジ検出部の処理に先立ち、縮小処理を行う前処理部を備えていることを特徴とする。請求項6に記載の発明によれば、縮小処理により解像度を落とすことで、ノイズの検出を抑えると共に、その後の処理時間を短縮することができる。
【0016】
請求項7に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記エッジ抽出部によって抽出された画素数と抽出されなかった画素数の比をS/N比として定義し、前記エッジ検出部は、前記S/N比に基づいてエッジ強度の閾値を自動決定してエッジ検出を行うことを特徴とする。請求項7に記載の発明によれば、エッジ強度が相対的に弱い場合であっても、ノイズの発生を抑えながらエッジを検出することができる。
【0017】
請求項8に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記エッジ抽出部によって抽出されたエッジ同士の交点を検出する交点検出部を備えることを特徴とする。請求項8に記載の発明によれば、エッジ同士の交点を検出することで、対象物の輪郭形状を推定することができる。
【0018】
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の発明において、前記交点検出部は、前記エッジ抽出部によって抽出されたエッジの端点から回帰直線を求め、前記回帰直線同士の交点を検出することを特徴とする。請求項9に記載の発明によれば、エッジの端点から回帰直線を求めることで、エッジ同士の交点の検出を高速に処理することができる。
【0019】
請求項10に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記エッジ検出部が検出したエッジのコーナーを除去するコーナー除去部を備えることを特徴とする。請求項10に記載の発明によれば、対象物の輪郭以外のエッジは、対象物の輪郭エッジと比べてコーナーが多いため、コーナーを除去されて分割されたエッジの長さに基づいてエッジを抽出することで、対象物の輪郭エッジのみが抽出され易くなる。また、コーナー除去による輪郭エッジの抽出は、公知のハフ変換を用いて検出する場合と比べ、高速に処理することができる。
【0020】
請求項11に記載の発明は、請求項10に記載の発明において、前記コーナー除去部が除去するコーナーの角度は調整可能に構成されていることを特徴とする。請求項11に記載の発明によれば、除去するコーナーの角度を調整することで、直線成分で構成される輪郭エッジ、または、曲線成分で構成される輪郭エッジを抽出することができる。
【0021】
請求項12に記載の発明は、請求項8に記載の構成を有する測量機において、前記エッジ抽出部によって抽出されたエッジ、または、前記交点検出部によって検出された交点もしくは端点を視準して測定を行うように構成されていることを特徴とする測量機である。請求項12に記載の発明によれば、測量機は、抽出されたエッジ、交点、または端点のみを測定するため、測定エリア全体を走査して測定する場合と比べ、高速に測定を行うことができる。
【0022】
請求項13に記載の発明は、画像からエッジ強度を算出してエッジ検出を行うエッジ検出ステップと、前記エッジ検出部が検出したエッジをラベリング処理し、かつ、前記エッジの長さを求めるラベリング処理ステップと、前記ラベリング処理部が求めたエッジの長さと前記エッジ検出部が算出したエッジ強度とを対応付けた値によってエッジの強調処理を行うエッジ強調処理ステップと、前記エッジ強調処理部によって強調された画像に対して、調整可能とされる閾値により2値化処理を施し、エッジを抽出するエッジ抽出ステップとをコンピュータに実行させるためのプログラムである。請求項13に記載の発明によれば、対象物の輪郭以外のノイズ検出を低減することができる。
【0023】
請求項14に記載の発明は、請求項8に記載の構成を有する測量機に実行させるためのプログラムであって、前記エッジ抽出部によって抽出されたエッジ、または、前記交点検出部によって検出された交点もしくは端点を視準して測定を行う測定ステップを測量機に実行させるためのプログラムである。請求項14に記載の発明によれば、測量機に抽出されたエッジ、交点、または端点のみを測定させるため、測定エリア全体を走査して測定させる場合と比べ、高速に測定を行わせることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、対象物の輪郭以外のノイズ検出を低減すると共に、その操作性を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
1.第1の実施形態
以下、エッジ抽出装置およびプログラムの一例について説明する。
【0026】
エッジ抽出とは、画像中から対象物の特徴(輪郭線やその端点および交点)を自動で抽出する処理である。図1は、抽出する特徴を説明するための図面代用写真である。図1には対象物である石垣が示されている。抽出する石垣の特徴とは、実線で示される個々の石の輪郭線と、その輪郭線同士の交点(丸印)もしくは輪郭線の端点であり、細部の特徴である石の模様部分はノイズとして判断する。
【0027】
図2は、エッジ抽出プログラムの概略フローチャートである。このエッジ抽出プログラムは、CDROM等の記憶媒体に格納して提供可能である。エッジ抽出プログラムは、まず前処理後(ステップS1)、エッジ検出を行い(ステップS2)、対象物の輪郭であるエッジを抽出し(ステップS3)、抽出したエッジ同士の交点を検出する(ステップS4)。以下、各工程における処理の詳細について説明する。
【0028】
(1)前処理部
前処理部は、様々な対象物や撮影環境を想定して、入力画像をエッジ検出に適した画像に画質調整する。図3は、前処理部のフローチャートである。前処理部は、縮小処理して(ステップS1−1)、明度補正した後(ステップS1−2)、ガウシアンフィルタ(ステップS1−3)を行う。
【0029】
(1−1)縮小処理部
図4は、縮小方法の説明図である。縮小率が1/nである場合(面積比で1/n2)、縮小処理部は、n×nの画素マトリクスにおける輝度の平均値を算出し、算出した平均値でn×nの画素を1画素に置き換える。例えば、図4に示すように縮小率がn=1/3とした場合、3×3の画素は、それらの平均値を輝度とする1画素に置き換えられる。
【0030】
図5は、縮小処理を行った場合におけるエッジ検出比較を示す図面代用写真である。図5(A)は縮小無し、図5(B)は縮小率=1/2、図5(C)は縮小率=1/3である。図5に示すように、石の輪郭部分の検出具合は同程度であるが、石の模様部分(ノイズ)の検出は縮小率=1/3の画像が最も少ない。また、縮小することにより、その後の処理時間の短縮化が図られる。なお、縮小率は、初期値を1/2とし、最終結果を見て、必要であれば、縮小無し、1/3、1/4など縮小率を変更可能とする。
【0031】
(1−2)明度補正部
様々な照明下を想定して、明度補正を行う。明度補正部は、始めにヒストグラムの引き伸ばしを行い、次に引き伸ばした後の輝度の平均値に基づいてγ補正を行うといった2段階の処理で構成する。ただし、入力画像の最小輝度が0で、最大輝度が255の場合には、明度補正部は、ヒストグラムの引き延ばしを行わない。また、輝度の平均値次第で、γ補正が行われない場合もある。
【0032】
ヒストグラムの伸張は、ヒストグラムを拡張してコントラストを強調する処理である。まず、入力画像の輝度の最小値と最大値を求める。そして、最小値が0、最大値が255となるように以下の数1の式を用いて、輝度の線形変換を行う。図6は、入力画像を示す図面代用写真(A)と、ヒストグラム伸張後の画像を示す図面代用写真(B)と、入力画像のヒストグラム(C)と、伸張後のヒストグラム(D)である。
【0033】
【数1】
【0034】
なお、明度補正を実行するか否かは選択可能である。図24は、エッジ抽出プログラムのメニュー画面を示す図である。メニュー画面1の明るさ補正選択部2によって、明度補正の実行非実行が選択可能である。
【0035】
γ補正もコントラストを改善する処理である。図7は、γ補正における入力輝度と出力輝度の関係図(A)と、γ補正後の画像を示す図面代用写真(B)である。γ補正によって、明るすぎる画像は暗くなり(γ>1)、暗すぎる画像は明るくなる(γ<1)。まず、ヒストグラム伸張処理後の画像の平均輝度iを算出し、この平均輝度iに基づいてγ補正の係数(γ値)を決めて輝度の変換を行う。平均輝度iとγ値との関係を以下の表1に示す。なお、このγ値の設定は、変更可能である。γ値を決定後、以下の数2により入力輝度Iから出力輝度I’を算出する。
【0036】
【表1】
【0037】
【数2】
【0038】
(1−3)ガウシアンフィルタ部
ノイズの検出を抑制するため、抽出すべきエッジを保存しながら平滑化が可能なガウシアンフィルタを行う。ガウシアンフィルタ部は、注目画素に近い画素に大きな重みを、注目画素から遠い画素には小さい重みを付けた加重平均を取ることで平滑化を行い、広がりを表す標準偏差σの値を変えることで平滑化の度合いを調節する。数4に示すように、平滑化画像F(x,y)は、数3に示す2次元の等方的なガウス関数G(x,y)を入力画像f(x,y)に畳み込むことで得られる。
【0039】
【数3】
【0040】
【数4】
【0041】
図9は、ガウシアンフィルタの一例を示す図である。図9に示すガウシアンフィルタは、σ値=0.849321800288を数3のガウス関数に代入することで得られる。このとき、図10に示す3×3の画素マトリクスの注目画素b2の平滑化後の輝度I’は、以下の数5により算出される。図8は、入力画像を示す図面代用写真(A)と、ガウシアンフィルタにより平滑化した画像を示す図面代用写真(B)である。
【0042】
【数5】
【0043】
(2)エッジ検出部
図11は、エッジ検出部のフローチャートである。エッジ検出部は、微分フィルタを行い(ステップS2−1)、細線化した後(ステップS2−2)、エッジ強度による閾値処理を行う(ステップS2−3)。
【0044】
(2−1)微分フィルタ部
微分フィルタには、ソーベル(Sobel)、ラプラシアン(Laplacian)、プリューウィット(Prewitt)、ロバーツ(Roberts)等のフィルタを用いる。微分フィルタ部は、微分フィルタを用いてエッジ強度を算出し、エッジ強度画像を作成する。図12は、ソーベルフィルタのx方向の微分フィルタ(A)と、y方向の微分フィルタ(B)である。図10に示す3×3の画素マトリクスの注目画素b2におけるx方向の偏微分Δxf、y方向の偏微分Δyf、および注目画素b2のエッジ強度I’は、以下の数6で算出される。
【0045】
【数6】
【0046】
エッジ強度画像は、注目画素b2の輝度値を上記数6で得られたエッジ強度I’に置き換えることで得られる。図13は、入力画像を示す図面代用写真(A)と、微分フィルタ後のエッジ強度画像を示す図面代用写真(B)である。
【0047】
(2−2)細線化部
細線化部は、エッジ強度画像に対して線幅を1画素とする細線化を行う。細線化を行うことで、後述の処理が容易となる。細線化には、ヒルディッチ(Hilditch)、ドイチュ(Deutsch)、横井、田村等の方法を用いる。
【0048】
例えば、2値化したエッジ強度画像に対して、上下左右4方向から順次ラスタ走査し、白画素(1)の8近傍の画素を調べて、図14に示すパターン条件のうち、少なくとも一つに合致すれば、その白画素(1)を黒画素(0)にして消去する。これを、消去ができなくなるまで繰り返す。なお、図14に示すアスタリスク(*)は、白画素(1)、黒画素(0)のいずれでもよい旨を表している。
【0049】
図14(A)は、左上から右下にラスタ走査する際のパターン条件であり、図14(B)は、右下から左上にラスタ走査する際のパターン条件であり、図14(C)は、右上から左下にラスタ走査する際のパターン条件であり、図14(D)は、左下から右上にラスタ走査する際のパターン条件である。4方向から順次ラスタ走査して処理することにより、エッジは、中央の1画素に細線化される。細線化後のエッジ強度画像を図15に示す。
【0050】
(2−3)閾値処理部
閾値処理部は、細線化したエッジ強度画像に対して閾値処理を行うことでノイズを除去する。ただし、低めの閾値(エッジ強度の最大値の約1%以下)で処理することで多くのエッジを残すようにし、ノイズ除去は、後述するエッジ抽出処理で除去することとする。このため、例えばエッジ強度の閾値を20で2値化する。2値化したエッジ画像を図16に示す。
【0051】
(3)エッジ抽出部
図17は、エッジ抽出部のフローチャートである。エッジ抽出部は、ラベリングを行い(ステップS3−1)、ラベリングしたエッジのコーナーを除去した後(ステップS3−2)、コーナー除去後のエッジに対して再度ラベリングを行って長さを求め(ステップS3−3)、エッジの長さ×エッジ強度の強調画像を作成する(ステップS3−4)。そして、エッジの長さ×エッジ強度による閾値処理を行うことで(ステップS3−5)、対象物の輪郭となるエッジを抽出する。
【0052】
(3−1)第1ラベリング処理部
第1ラベリング処理部は、同じ連結成分に属する画素に同じラベルを割り当て、異なる連結成分には異なるラベルを割り当てる。例えば、8近傍型のラベリング処理は、ラスタ走査して暫定的にラベルを振っていく第1ステップと、第1ステップで作成したルックアップテーブルを参照してラベルを更新する第2ステップとで構成される。図18は、8近傍画素を示す図(A)と、ラベリング処理中の画像とルックアップテーブルを示す図(B)、(C)である。
【0053】
第1ステップでは、図18(A)に示す近傍画素x2〜x5にいずれもラベルが割り当てられていない場合には、x0に新規ラベルが割り当てられ、図18(B)に示すルックアップテーブルに新規ラベルiが追加される。近傍画素x2〜x5に同一のラベルが割り当てられている場合、またはいずれかにラベルが割り当てられている場合には、そのラベルがx0に割り当てられる。近傍画素x2〜x5に異なるラベルが割り当てられている場合には、最も小さいラベルがx0に割り当てられる。例えば、図18(B)に示す丸印で囲まれた注目画素x0の近傍画素x2〜x5のうちx2=2、x4=3、x5=3が割り当てられているため、x0にmin(2、3、3)=2が割り当てられる。この際、ルックアップテーブルは、図18(C)に示すように、ラベル3がラベル2と等価であることを表すため、LUT(3)にラベル2が代入される。
【0054】
第2ステップでは、ルックアップテーブルに基づいて、画像中のラベルが等価なラベルに置き換えられる。例えば、図18(C)の場合、画像中のラベル3は、全てLUT(3)=2に置き換えられる。置き換えるラベルがなくなるまで、この処理が繰り返される。すると、異なる連結成分には異なるラベルが割り当てられる。
【0055】
(3−2)コーナー除去部
コーナー除去部は、ラベル毎にコーナーを検出し、検出したコーナーを除去する。これにより、直線成分で構成される輪郭や、曲線成分で構成される輪郭が抽出される。例えば、三角、四角といった直線成分で構成される輪郭形状は、コーナーを除去することで3直線、4直線に分断され、後述するエッジ抽出部により、その直線が長い場合にはエッジとして抽出され、短い場合にはノイズとして除去される。そして、後述する交点検出部により、この3直線、4直線の交点を検出し、接続することで、三角、四角といった直線成分で構成される輪郭形状が検出される。また、例えば、楕円といった曲線成分で構成される輪郭形状は、コーナーを除去することで2曲線に分断され、後述するエッジ抽出部により、その曲線が長い場合にはエッジとして抽出され、短い場合にはノイズとして除去される。そして、後述する交点検出部により、この2直線の交点を検出し、接続することで、楕円といった曲線成分で構成される形状が検出される。
【0056】
以下、コーナーの除去方法について説明する。図19は、コーナー検出方法を示す図である。コーナーの検出は、注目画素Oとその前後n画素先の画素A、Bとのベクトルa、ベクトルbを求め、ベクトルaとベクトルbの角度差を以下の数7により算出して行う。
【0057】
【数7】
【0058】
例えば、コーナー除去部は、n=2とし、ベクトルの向きの変化が45度以上の場合に注目画素Oをコーナーであると判断し、これを黒画素に置き換えることでコーナーを除去する。また、除去するコーナーの角度(ベクトルaとベクトルbの角度差)は、図24に示すメニュー画面1において、コーナー角度調整部3により調整可能である。これにより、直線成分で構成される輪郭や、曲線成分で構成される輪郭を抽出することができる。
【0059】
コーナー除去部の処理結果を図20〜図22に示す。図20は、コーナー除去後の石垣画像を示す図面代用写真であり、図21は、直線成分で構成される輪郭エッジのサンプル画像を示す図面代用写真であり、図22は、曲線成分で構成される輪郭エッジのサンプル画像を示す図面代用写真である。図20に示すように、コーナー除去前の図16と比べ、石垣の模様部分のエッジはコーナーが多いため、コーナーが除去されることでエッジが短くなり、エッジとして抽出され難くなっている。図21に示す植木の葉の輪郭は、コーナー除去部によってコーナーが除去されてエッジが分断され、エッジの長さが短くなることでノイズとして処理されている。一方、図21に示すパイプは、直線成分で構成される輪郭エッジであるため、コーナーが除去されず、エッジの長さが長いために、輪郭エッジとして抽出されている。
【0060】
同様に、図22に示す道路表面の凹凸は、コーナー除去部によってコーナーが除去されてエッジが分断され、エッジの長さが短くなり、エッジ抽出部によって閾値処理されることで、ノイズとして処理されている。一方、図22に示すタイヤ痕は、曲線成分で構成される輪郭エッジであるため、コーナーの角度調整によってコーナーが除去されず、エッジの長さが長いために、輪郭エッジとして抽出されている。
【0061】
なお、直線成分で構成される輪郭や、曲線成分で構成される輪郭の抽出にハフ変換を用いてもよい。ただし、上述したコーナー除去による抽出は、記憶容量、計算量が少ないためハフ変換よりも高速に処理することができる。
【0062】
(3−3)第2ラベリング処理部
コーナーを除去したことにより同じラベルが連結性を失っているため、第2ラベリング処理部は、コーナー除去後のエッジに対して再度ラベリングを行う。この際、第2ラベリング処理部は、エッジの長さを求めると共に、ステップS2−1で算出したエッジ強度の累積値をラベル毎に算出する。ラベリング方法は、第1ラベリング処理部と同様の方法による。
【0063】
(3−4)エッジ強調処理部
再度ラベリングした後、エッジ強調処理部は、エッジの長さとエッジ強度を掛け合わせた積分値によりエッジの強調処理を行う。各ラベルの輝度は、エッジの長さ×エッジ強度に置き換えられ、エッジの長さ×エッジ強度画像が作成される。
【0064】
(3−5)エッジ抽出部
エッジ抽出部は、エッジの長さ×エッジ強度画像に対して閾値処理を行うことで輪郭となるエッジを抽出する。閾値は、図24に示すメニュー画面1において、スライダー操作部4により調整可能である。スライダー操作部4によってエッジ抽出具合(エッジの長さ×エッジ強度による閾値)を調節すると、その結果であるエッジ抽出画像がリアルタイムに表示される。なお、エッジ抽出具合の調整は、スライダー操作部4に限らず、閾値を直接入力する閾値入力部であってもよい。
【0065】
エッジ抽出部の処理結果について図23を参照して説明する。図23は、積分閾値250の場合のエッジ抽出画像を示す図面代用写真(A)と、積分閾値1000の場合のエッジ抽出画像を示す図面代用写真(B)と、積分閾値4000の場合のエッジ抽出画像を示す図面代用写真(C)である。図23に示すモノクロのチェック格子以外の部分は、エッジの長さは長いが、エッジ強度が微弱であるため、積分閾値を図23(A)から図23(C)へと上げることで、エッジとして抽出されなくなる。しかしながら、モノクロのチェック格子の部分は、エッジの長さが若干短いが、エッジ強度が相対的に強いため、積分閾値を上げたとしてもエッジとして抽出される。
【0066】
(4)交点検出部
交点検出部は、エッジ抽出の結果に基づいて、エッジ同士の交点を検出する。エッジ同士の交点を検出することで、対象物の輪郭を推定することができる。交点検出には、ハフ変換、回帰直線等を用いる。以下、回帰直線による交点検出方法について説明する。図25は、交点検出部のフローチャートである。交点検出部は、まず端点検出を行い(ステップS4−1)、端点座標に基づいて回帰直線を算出後(ステップS4−2)、端点から回帰直線を延長し(ステップS4−3)、延長した回帰直線同士の交点を検出する(ステップS4−4)。
【0067】
(4−1)端点検出部
端点検出部は、エッジ抽出部が抽出したエッジ毎に端点座標を求める。図26は、端点および回帰直線を示す図である。端点検出部は、例えば、注目画素の8近傍のうち1つ画素のみが白画素(1)である場合、注目画素を端点Cであると判断する。
【0068】
(4−2)回帰直線算出部
回帰直線算出部は、各エッジの2つの端点座標に基づいて回帰直線Lの傾きとy切片を求めることで簡易的に算出する。なお、各エッジ内の全ての画素座標(xi,yi)に基づいて、相関係数rを算出し、以下の数8から回帰直線の傾きaとy切片bを求めてもよい。
【0069】
【数8】
【0070】
(4−3)回帰直線の延長部
回帰直線の延長部は、回帰直線の傾きおよびy切片に基づいて、端点から回帰直線を延長する。各端点から1画素ごと延長し、延長した画素に回帰直線用のラベルを割り当てる。図27(A)は、回帰直線を延長した結果を示す図である。
【0071】
(4−4)回帰直線の交点検出部
交点検出部は、延長した画素を注目画素として、その8近傍に3つ以上の回帰直線用ラベルが存在するか否かを調べる。3つ以上の回帰直線用ラベルが存在する場合には、交点検出部は、注目画素を交点として検出し、交点用のラベルを割り当てる。ただし、すでに8近傍に交点用のラベルがある場合には、交点として検出しない。図27(B)は、交点検出結果を示す図である。図27(B)に示す黒画素は、検出された交点である。
【0072】
図24に示すメニュー画面1には、交点・端点選択部5が設けられる。「交点」が選択された場合には交点検出が行われ、「端点」が選択された場合には端点検出のみが行われる。また、端点接続部6によって、端点同士を接続するか否かが選択可能であり、抽出されたエッジ、端点、交点の表示非表示の切替えも可能である。
【0073】
(第1の実施形態の優位性)
第1の実施形態において、エッジ抽出装置およびプログラムは、エッジの長さ×エッジ強度により閾値処理を行う。このため、エッジの長さが相対的に短く、かつ、エッジ強度が相対的に弱いものは、ノイズとして除去され、エッジの長さが短くてもエッジ強度が強いものや、エッジ強度が弱くてもエッジの長さが長いものは、除去されない。この態様により、対象物の輪郭以外のノイズ検出を低減することができる。
【0074】
また、図24に示すように、1つのパラメータ(エッジの長さ×エッジ強度)のみでエッジ抽出具合が調整可能であり、その結果であるエッジ抽出画像がリアルタイムに表示されるため、複数のパラメータを何度か再調整して結果を確認するといった作業を繰り返す必要がない。したがって、所望のエッジを直感的に素早く抽出することができ、操作性が向上している。
【0075】
2.第2の実施形態
以下、エッジ抽出装置またはプログラムの変形例について説明する。第2の実施形態は、対象物の特徴に応じて前処理の処理内容を変更可能とするものである。
【0076】
図24に示すメニュー画面には、オプション機能としてパターン選択部7が設けられる。「無し」を選択した場合の処理は、第1の実施形態に係る前処理と同様となる。
【0077】
「暗輪郭パターン」オプションは、「石垣」の石の輪郭のように、抽出すべき特徴が周辺に比べて暗い場合に用いる。このオプションを選択することで輪郭の検出精度が向上する。「暗輪郭パターン」オプションによって、前処理部は、明度補正後(ステップS1−2)、最小値フィルタを実行する。最小値フィルタは、例えば、注目画素の輝度値を8近傍の輝度値の最小値に置き換えるものである。
【0078】
「凹凸輝度パターン」オプションは、対象物の特徴が道路のように周辺に比べて輝度の凹凸が激しい場合に使用するものである。「凹凸輝度パターン」オプションを選択することで道路部分のザラつきによるノイズの検出を抑えることができる。「凹凸輝度パターン」オプションによって、前処理部は、ぼかしをきつくしたガウシアンフィルタ(ステップS1−3)を実行する。ガウシアンフィルタ部は、σ値=1を数3のガウス関数に代入することで実数型フィルタを生成して処理を行う。
【0079】
(第2の実施形態の優位性)
第2の実施形態によれば、対象物の特徴に応じて画質調整を行うため、対象物の輪郭の検出精度が向上し、ノイズ検出を低減することができる。
【0080】
3.第3の実施形態
以下、エッジ抽出装置またはプログラムの変形例について説明する。第3の実施形態は、S/N(シグナル/ノイズ)比によってエッジ検出におけるエッジ強度の閾値を自動決定するものである。
【0081】
図11に示す閾値処理(ステップS2−3)において、エッジ検出部は、低めの閾値(エッジ強度の最大値の約1%以下、例えば20)を用いてエッジを検出した。しかしながら、この固定閾値では、エッジ強度が弱い対象物の場合、エッジが検出できない場合がある。ステップS2−3においてエッジが検出できない場合、ステップS3−5におけるエッジの長さ×エッジ強度の閾値処理自体が不可能となる。逆に固定閾値を更に下げると、新たなノイズを検出してしまうといった問題がある。
【0082】
そこで、ステップS2−3における閾値をS/N比により自動決定する。S/N比は、例えば、エッジ強度の閾値を20、エッジの長さ×エッジ強度の閾値を2.0に固定した場合に、最終的にエッジとして採用された画素数を「シグナル」とし、採用されなかった画素数を「ノイズ」として、以下の数9により算出するものである。
【0083】
【数9】
【0084】
以下の表2は、複数のサンプル画像(図示省略)についてS/N比を算出したものである。サンプル画像のうちエッジ強度が比較的微弱な「居室」、「工場」は、S/N比が2.0以上であり、これらは3番目にS/N比が大きい「教会」(0.77)の3倍以上の値となった。
【0085】
【表2】
【0086】
S/N比はノイズレベルを示しているため、S/N比によってステップS2−3における閾値を下げてよいか否かを自動決定することができる。例えば、表2の結果によれば、エッジ検出部は、S/N比が2.0以上の場合にはノイズが少ないため、ステップS2−3における閾値を15とすることで多くのエッジを検出し、S/N比が2.0未満の場合にはノイズが多いため、エッジ強度による閾値を20とすることで、ノイズの検出を抑えることができる。
【0087】
(第3の実施形態の優位性)
第3の実施形態において、エッジ強度が弱い対象物であっても、ノイズの発生を抑えながらエッジを検出することができる。
【0088】
4.第4の実施形態
以下、エッジ抽出装置またはプログラムを用いた測量機(トータルステーション)について説明する。第4の実施形態に係る測量機は、抽出されたエッジ、端点、交点を視準して測定を行う画像トータルステーションである。
【0089】
(測量機の構成)
以下、測量機の構成について図28〜図30を参照して説明する。図28は、測量機の断面図(A)および外観図(B)である。測量機10は、三脚に取り付けられた基板部8と、基板部8上で鉛直軸9を中心に回転可能に軸支された測量機本体11と、測量機本体11に設けられた水平軸12を中心に回転可能に軸支された鏡筒部13と、表示装置20とを備えている。
【0090】
測量機本体11には、鏡筒部13を鉛直軸9回りに水平回転させる水平駆動部21が設けられる。水平駆動部21は、水平回転駆動ギア14を介して水平回転モータ15により鏡筒部13を水平回転させる。また、鉛直軸9には水平角エンコーダにより水平角を検出する水平測角部16が設けられる。
【0091】
鏡筒部13には、鏡筒部13を水平軸12回りに鉛直回転させる鉛直駆動部22が設けられる。鉛直駆動部22は、鉛直回転駆動ギア17を介して鉛直回転モータ18により鏡筒部13を鉛直回転させる。また、水平軸12には鉛直角エンコーダにより鉛直角を検出する鉛直測角部19が設けられる。
【0092】
測量機10は、水平駆動部21および鉛直駆動部22を駆動して測定点に視準位置を合わせる。測定点が視準中心となった時、測量機10は、水平測角部16および鉛直測角部19により水平角および鉛直角を検出する。
【0093】
また、鏡筒部13の内部には、望遠鏡部30、測距部31、撮像部32の光学系が設けられる。図29は、鏡筒部内の光学系を示す図である。望遠鏡部30の光軸上には、対物レンズ33、ダイクロイックプリズム34、合焦点レンズ35、正立プリズム36、焦点鏡37、接眼レンズ38を順次配設する。ダイクロイックプリズム34は、プリズム39、プリズム40、プリズム41とから構成され、ダイクロイックミラー面である第1面、第2面を形成する。
【0094】
第1面は、対物レンズ33からの入射光のうち可視光を透過し、赤外光を反射する。一方、第2面は、第1面を透過した可視光を分割する。例えば、第1面は、400〜650nmの可視光を透過し、650〜850nmの赤外光を反射する。また、第2面は、例えば400〜650nmの可視光の40%を透過し、60%を反射する。対物レンズ33から入射して第1面および第2面を透過した可視光は、合焦点レンズ35により焦点鏡37に結像し視準される。また、第1面で反射した反射光軸49上に測距部31を設け、第2面で反射した反射光軸53上に撮像部32を設ける。
【0095】
測距部31は、発光部42と、受光部43とを備えている。発光部42は、レーザ光をパルス発振する固体レーザ装置であり、測定点にコーナーキューブを必要としないノンプリズム測距が可能である。発光部42は、レーザ光源44、集光レンズ45、レーザ媒質46、可飽和吸収体47、共振ミラー48を備える。発光部42からパルス発振したレーザ光は、測距光軸49上に配置された孔明ミラー50とリレーレンズ51を透過して第1面で反射して対物レンズ33から出射する。測定点で反射した反射レーザ光は、第1面と孔明ミラー50で反射してリレーレンズ52を透過し、受光部43に受光する。
【0096】
測量機1が測定点に視準位置を合わせた後、測距部31は発光部42からレーザ光をパルス発振する。測距部31は、発光部42がレーザ光を発光し、このレーザ光を受光部43が受光するまでの時間差と光速により測定点までの距離を演算することで測距を行う。
【0097】
撮像部32は、第2面で分割した可視光を撮像する。第2面で分割した可視光は、リレーレンズ54、反射ミラー55、リレーレンズ56を介して撮像素子57に結像する。撮像素子57は、例えば画素数が640×480のCMOSセンサである。撮像素子57に撮像された画像は、図28(B)に示す表示装置20に表示される。
【0098】
表示装置20は、表示部23と、操作部24とを備えている。表示部23は、撮影部32が撮像した画像やメニュー画面等を表示する。表示部23は、タッチ操作が可能な液晶画面であり、表示した画像上で測定エリア25の設定が可能である。測定エリア25は、例えば、測量者が画像上で対角2点による矩形指定を行い、指定した対角2点を望遠鏡部30で視準して水平角、鉛直角を算出することで設定される。これにより、画像座標に対応する水平角および鉛直角が関連付けられる。一方、操作部24は、測定条件、測定エリアのスキャン開始指令等を入力操作する。
【0099】
図30は、測量機のブロック図である。測量機10は、制御演算部60により統括制御され、制御演算部60は、記憶部61に記憶されたプログラムを読み出して順次実行する。制御演算部60は、まず撮像部32により撮像された画像を表示部23に表示する。測量者は、表示部23に表示された画像上で測定エリア25を設定する。制御演算部60は、測定エリア25の画像からエッジ抽出を行う。
【0100】
その際、制御演算部60は、図24に示すメニュー画面1を表示部23に表示する。測量者は、メニュー画面1のスライダー操作部4でエッジ抽出具合(エッジの長さ×エッジ強度)を調整することで、測定すべき対象物の輪郭を抽出させる。抽出されたエッジ、端点、交点は、図28(B)に示すように表示部23に表示される。
【0101】
制御演算部60は、操作部24からスキャン開始指令を入力すると、測定エリア25内で抽出されたエッジ、端点、または交点のみを自動視準して測定を行う。この際、制御演算部60は、抽出されたエッジ、端点、または交点の画素座標に基づいて鉛直駆動部22および水平駆動部21を制御することで、その画素座標を視準中心にする。そして、制御演算部60は、測距部31に測距させると共に、鉛直測角部19および水平測角部16に測角させることで測定を行う。測距・測角データ(測定データ)は、測定点の画像座標と関連付けて記憶部61に記憶される。
【0102】
1つの測定点について測定が終了すると、制御演算部60は、鉛直駆動部22および水平駆動部21を制御することで、次の画素座標を視準中心にし、測定を行う。以後、測定点がなくなるまで、上記処理を繰り返す。
【0103】
(測量機の動作)
以下、上述した測量機10の動作について詳述する。図31は、測量機の制御プログラムのフローチャートである。まず、撮像部32が測定対象を撮影する(ステップS10)。撮影された画像が表示された表示部23上で、測定エリア25が設定された後(ステップS11)、測量機10は、エッジ抽出を行う。
【0104】
測量者は、まず、表示部23に表示されたメニュー画面1で各種設定を行う。抽出すべき特徴が周辺に比べて暗い場合には、パターン選択部7の「暗輪郭パターン」オプションを選択し、周辺に比べて輝度の凹凸が激しい場合には、「凹凸輝度パターン」オプションを選択し、いずれでもない場合は、「無し」オプションを選択する。また、表示された画像が暗い場合や明るい場合には、明るさ補正選択部2の「明るさ補正」をチェックする。設定が完了すると、測量機10は、測定エリア25の画像に対して前処理を行う(ステップS12)。
【0105】
そして、測量機10は、前処理した画像からエッジ検出を行い(ステップS13)、検出されたエッジから対象物の輪郭となるエッジを抽出する(ステップS14)。この際、測量者は、メニュー画面1のスライダー操作部4でエッジ抽出具合を調整する。また、「交点」オプションが選択されている場合には、抽出されたエッジの端点からエッジ同士の交点を検出する(ステップS15)。
【0106】
所望のエッジが抽出されない場合には(ステップS16のNO)、メニュー画面1で設定を再調整してエッジを再抽出する。所望のエッジが抽出された場合には(ステップS16のYES)、測量者は、操作部24を操作することで、スキャン開始指令を入力する(ステップS17)。この際、測量者は、操作部24を操作することで、抽出されたエッジ、端点、交点、またはこれら全ての中から視準目標を設定する。
【0107】
スキャンが開始すると、測量機10は、水平回転および鉛直回転して測定点(エッジ、端点、または交点)に視準位置を合わせる(ステップS18)。測定点が視準中心になると、測距部31は測距を行い、鉛直測角部22および水平測角部21は、測角を行う(ステップS19)。
【0108】
測定点が残っている場合には、ステップS18、ステップS19の処理を繰り返す(ステップS20のYES)。測定点がない場合には、測量機10は、測定を終了する(ステップS20のNO)。
【0109】
(第4の実施形態の優位性)
第4の実施形態によれば、測量機10は、抽出したエッジ、端点、または交点のみを測定するため、測定エリア全体を走査して測定する場合と比べ、ステップS18〜ステップS20のループ処理が減り、高速に測定を行うことができる。
【0110】
また、1つのパラメータ(エッジの長さ×エッジ強度)のみでエッジ抽出具合を調整できるため、ステップS12〜ステップS16の繰り返し作業が減り、測量機10の操作性が向上する。
【産業上の利用可能性】
【0111】
本発明は、画像からエッジ抽出を行うエッジ抽出装置、これを用いた測量機、およびこれらのプログラムに利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0112】
【図1】抽出する特徴を説明するための図面代用写真である。
【図2】エッジ抽出プログラムの概略フローチャートである。
【図3】前処理部のフローチャートである。
【図4】縮小方法の説明図である。
【図5】縮小処理を行った場合におけるエッジ検出比較を示す図面代用写真である。
【図6】入力画像を示す図面代用写真(A)と、ヒストグラム伸張後の画像を示す図面代用写真(B)と、元画像のヒストグラム(C)と、伸張後のヒストグラム(D)である。
【図7】γ補正における入力輝度と出力輝度の関係図(A)と、γ補正後の画像を示す図面代用写真(B)である。
【図8】入力画像を示す図面代用写真(A)と、ガウシアンフィルタにより平滑化した画像を示す図面代用写真(B)である。
【図9】ガウシアンフィルタの一例を示す図である。
【図10】3×3の画素マトリクスを示す図である。
【図11】エッジ検出部のフローチャートである。
【図12】x方向の微分フィルタ(A)と、y方向の微分フィルタ(B)である。
【図13】入力画像を示す図面代用写真(A)と、微分フィルタ後のエッジ強度画像を示す図面代用写真(B)である。
【図14】左上から右下にラスタ走査する際のパターン条件(A)と、右下から左上にラスタ走査する際のパターン条件(B)と、右上から左下にラスタ走査する際のパターン条件(C)と、左下から右上にラスタ走査する際のパターン条件(D)である。
【図15】細線化後のエッジ強度画像を示す図面代用写真である。
【図16】2値化したエッジ画像を示す図面代用写真である。
【図17】エッジ抽出部のフローチャートである。
【図18】8近傍画素を示す図(A)と、ラベリング処理中の画像とルックアップテーブルを示す図(B)、(C)である。
【図19】コーナー検出方法を示す図である。
【図20】コーナー除去後の石垣画像を示す図面代用写真である。
【図21】直線成分で構成される輪郭エッジのサンプル画像を示す図面代用写真である。
【図22】曲線成分で構成される輪郭エッジのサンプル画像を示す図面代用写真である。
【図23】積分閾値250の場合のエッジ抽出画像を示す図面代用写真(A)と、積分閾値1000の場合のエッジ抽出画像を示す図面代用写真(B)と、積分閾値4000の場合のエッジ抽出画像を示す図面代用写真(C)である。
【図24】エッジ抽出プログラムのメニュー画面である。
【図25】交点検出部のフローチャートである。
【図26】端点および回帰直線を示す図である。
【図27】回帰直線を延長した結果を示す図面代用写真(A)と、交点検出結果を示す図面代用写真(B)である。
【図28】測量機の断面図(A)および外観図(B)である。
【図29】鏡筒部内の光学系を示す図である。
【図30】測量機のブロック図である。
【図31】測量機の制御プログラムのフローチャートである。
【符号の説明】
【0113】
1…メニュー画面、2…明るさ補正選択部、3…コーナー角度調整部、4…スライダー操作部、5…交点・端点選択部、6…端点接続部、7…パターン選択部、8…基板部、9…鉛直軸、10…測量機、11…測量機本体、12…水平軸、13…鏡筒部、14…水平回転駆動ギア、15…水平回転モータ、16…水平測角部、17…鉛直回転駆動ギア、18…鉛直回転モータ、19…鉛直測角部、20…表示装置、21…水平駆動部、22…鉛直駆動部、23…表示部、24…操作部、25…測定エリア、30…望遠鏡部、31…測距部、32…撮像部、33…対物レンズ、34…ダイクロイックプリズム、35…合焦点レンズ、36…正立プリズム、37…焦点鏡、38…接眼レンズ、39…プリズム、40…プリズム、41…プリズム、42…発光部、43…受光部、44…レーザ光源、45…集光レンズ、46…レーザ媒質、47…可飽和吸収体、48…共振ミラー、49…測距光軸、50…孔明ミラー、51…リレーレンズ、52…リレーレンズ、53…撮像光軸、54…リレーレンズ、55…反射ミラー、56…リレーレンズ、57…撮像素子、60…制御演算部、61…記憶部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像からエッジ強度を算出してエッジ検出を行うエッジ検出部と、
前記エッジ検出部が検出したエッジをラベリング処理し、かつ、前記エッジの長さを求めるラベリング処理部と、
前記ラベリング処理部が求めたエッジの長さと前記エッジ検出部が算出したエッジ強度とを対応付けた値によってエッジの強調処理を行うエッジ強調処理部と、
前記エッジ強調処理部によって強調された画像の値に対して、調整可能とされる閾値により2値化処理を施し、所定のエッジを抽出するエッジ抽出部とを備えることを特徴とするエッジ抽出装置。
【請求項2】
前記エッジ検出部は、ソーベルフィルターに代表される微分フィルターによりエッジ検出を行うことを特徴とする請求項1に記載のエッジ抽出装置。
【請求項3】
前記エッジ抽出部の閾値は、単一の操作部により調整可能に構成されていることを特徴とする請求項1に記載のエッジ抽出装置。
【請求項4】
前記操作部は、単一のスライダー操作部により調整可能に構成されていることを特徴とする請求項3に記載のエッジ抽出装置。
【請求項5】
前記エッジ検出部の処理に先立ち、前処理を行う前処理部を備え、
前記前処理部の処理内容は、対象物の特徴に応じて変更可能に構成されていることを特徴とする請求項1に記載のエッジ抽出装置。
【請求項6】
前記エッジ検出部の処理に先立ち、縮小処理を行う前処理部を備えていることを特徴とする請求項1に記載のエッジ抽出装置。
【請求項7】
前記エッジ抽出部によって抽出された画素数と抽出されなかった画素数の比をS/N比として定義し、
前記エッジ検出部は、前記S/N比に基づいてエッジ強度の閾値を自動決定してエッジ検出を行うことを特徴とする請求項1に記載のエッジ抽出装置。
【請求項8】
前記エッジ抽出部によって抽出されたエッジ同士の交点を検出する交点検出部を備えることを特徴とする請求項1に記載のエッジ抽出装置。
【請求項9】
前記交点検出部は、前記エッジ抽出部によって抽出されたエッジの端点から回帰直線を求め、前記回帰直線同士の交点を検出することを特徴とする請求項8に記載のエッジ抽出装置。
【請求項10】
前記エッジ検出部が検出したエッジのコーナーを除去するコーナー除去部を備えることを特徴とする請求項1に記載のエッジ抽出装置。
【請求項11】
前記コーナー除去部が除去するコーナーの角度は調整可能に構成されていることを特徴とする請求項10に記載のエッジ抽出装置。
【請求項12】
請求項8に記載の構成を有する測量機において、
前記エッジ抽出部によって抽出されたエッジ、または、前記交点検出部によって検出された交点もしくは端点を視準して測定を行うように構成されていることを特徴とする測量機。
【請求項13】
画像からエッジ強度を算出してエッジ検出を行うエッジ検出ステップと、
前記エッジ検出部が検出したエッジをラベリング処理し、かつ、前記エッジの長さを求めるラベリング処理ステップと、
前記ラベリング処理部が求めたエッジの長さと前記エッジ検出部が算出したエッジ強度とを対応付けた値によってエッジの強調処理を行うエッジ強調処理ステップと、
前記エッジ強調処理部によって強調された画像に対して、調整可能とされる閾値により2値化処理を施し、エッジを抽出するエッジ抽出ステップとをコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項14】
請求項8に記載の構成を有する測量機に実行させるためのプログラムであって、
前記エッジ抽出部によって抽出されたエッジ、または、前記交点検出部によって検出された交点もしくは端点を視準して測定を行う測定ステップを測量機に実行させるためのプログラム。
【請求項1】
画像からエッジ強度を算出してエッジ検出を行うエッジ検出部と、
前記エッジ検出部が検出したエッジをラベリング処理し、かつ、前記エッジの長さを求めるラベリング処理部と、
前記ラベリング処理部が求めたエッジの長さと前記エッジ検出部が算出したエッジ強度とを対応付けた値によってエッジの強調処理を行うエッジ強調処理部と、
前記エッジ強調処理部によって強調された画像の値に対して、調整可能とされる閾値により2値化処理を施し、所定のエッジを抽出するエッジ抽出部とを備えることを特徴とするエッジ抽出装置。
【請求項2】
前記エッジ検出部は、ソーベルフィルターに代表される微分フィルターによりエッジ検出を行うことを特徴とする請求項1に記載のエッジ抽出装置。
【請求項3】
前記エッジ抽出部の閾値は、単一の操作部により調整可能に構成されていることを特徴とする請求項1に記載のエッジ抽出装置。
【請求項4】
前記操作部は、単一のスライダー操作部により調整可能に構成されていることを特徴とする請求項3に記載のエッジ抽出装置。
【請求項5】
前記エッジ検出部の処理に先立ち、前処理を行う前処理部を備え、
前記前処理部の処理内容は、対象物の特徴に応じて変更可能に構成されていることを特徴とする請求項1に記載のエッジ抽出装置。
【請求項6】
前記エッジ検出部の処理に先立ち、縮小処理を行う前処理部を備えていることを特徴とする請求項1に記載のエッジ抽出装置。
【請求項7】
前記エッジ抽出部によって抽出された画素数と抽出されなかった画素数の比をS/N比として定義し、
前記エッジ検出部は、前記S/N比に基づいてエッジ強度の閾値を自動決定してエッジ検出を行うことを特徴とする請求項1に記載のエッジ抽出装置。
【請求項8】
前記エッジ抽出部によって抽出されたエッジ同士の交点を検出する交点検出部を備えることを特徴とする請求項1に記載のエッジ抽出装置。
【請求項9】
前記交点検出部は、前記エッジ抽出部によって抽出されたエッジの端点から回帰直線を求め、前記回帰直線同士の交点を検出することを特徴とする請求項8に記載のエッジ抽出装置。
【請求項10】
前記エッジ検出部が検出したエッジのコーナーを除去するコーナー除去部を備えることを特徴とする請求項1に記載のエッジ抽出装置。
【請求項11】
前記コーナー除去部が除去するコーナーの角度は調整可能に構成されていることを特徴とする請求項10に記載のエッジ抽出装置。
【請求項12】
請求項8に記載の構成を有する測量機において、
前記エッジ抽出部によって抽出されたエッジ、または、前記交点検出部によって検出された交点もしくは端点を視準して測定を行うように構成されていることを特徴とする測量機。
【請求項13】
画像からエッジ強度を算出してエッジ検出を行うエッジ検出ステップと、
前記エッジ検出部が検出したエッジをラベリング処理し、かつ、前記エッジの長さを求めるラベリング処理ステップと、
前記ラベリング処理部が求めたエッジの長さと前記エッジ検出部が算出したエッジ強度とを対応付けた値によってエッジの強調処理を行うエッジ強調処理ステップと、
前記エッジ強調処理部によって強調された画像に対して、調整可能とされる閾値により2値化処理を施し、エッジを抽出するエッジ抽出ステップとをコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項14】
請求項8に記載の構成を有する測量機に実行させるためのプログラムであって、
前記エッジ抽出部によって抽出されたエッジ、または、前記交点検出部によって検出された交点もしくは端点を視準して測定を行う測定ステップを測量機に実行させるためのプログラム。
【図2】
【図3】
【図4】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図14】
【図17】
【図18】
【図19】
【図24】
【図25】
【図26】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図1】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図13】
【図15】
【図16】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図27】
【図3】
【図4】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図14】
【図17】
【図18】
【図19】
【図24】
【図25】
【図26】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図1】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図13】
【図15】
【図16】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図27】
【公開番号】特開2009−282928(P2009−282928A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−137136(P2008−137136)
【出願日】平成20年5月26日(2008.5.26)
【出願人】(000220343)株式会社トプコン (904)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年5月26日(2008.5.26)
【出願人】(000220343)株式会社トプコン (904)
【Fターム(参考)】
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