説明

エネルギ消費効率を制御するシステム及び方法

制御装置は、ビルディングオートメーションシステムと情報を交換するように構成されている。制御装置は、実時間の動作効率を決定して、予測又は理論上の動作効率をシミュレートして、これらを比較して、次に、建物のHVACシステムによって利用されている機器に対する1つ以上の動作パラメータを調節するために、様々な実行可能命令を含んでいる。制御装置は、HVACシステムの動作効率を調節するように動作する。制御装置によって利用される調節モジュールは、様々なHVACの機器が、自然動作曲線近くで、オンラインで、並列に動作する可能性に基づいて、HVACの機器のパラメータを修正し得る。更に、調節モジュールは自己学習の態様を含み得る。自己学習の態様により、制御装置は、同様の将来の調節を必要に応じてより効率的に行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2008年10月31日に出願された米国仮特許出願61/110,353号に対して優先権を主張している。米国仮特許出願61/110,353号の内容は、全てここに組み込まれている。
【0002】
本発明は、概して、エネルギ消費量を制御するシステム及び方法に関し、より具体的には、ビルディングオートメーションシステム(building automation system, BAS)を通して、暖房、換気、及び空調(heating, ventilation, and air conditioning, HVAC)システムのエネルギ消費量を制御することに関する。
【背景技術】
【0003】
建物のエネルギ消費量、特に、HVACシステムのエネルギ消費量のモニタリングと制御は、BASを通して達成される。BASは、ソフトウェア実行可能アルゴリズムを有し、ソフトウェア実行可能アルゴリズムは、機器の動作特性に対応する定数値を組み込んでいる。HVACシステムの機器は、チラー(冷却装置、chiller)、ポンプ、凝縮装置(condenser)、フィルタ、空調装置、ヒータ、等を含み得るが、これらに制限されない。BASによって利用される値は、一般に、HVACシステムの設置中にプログラムされ、地域の気候と周囲の条件とに従って設定される。地域の気候と周囲の条件とにおける予想される変化に対して、BASを手動で評価して再プログラムすることによって、これらの値を定期的に変更することができる。
【0004】
時間の経過と共に、地域の気候、周囲の条件、及び/又は、建物とHVACシステムとの動作特性は、変化し得る。例えば、ポンプを、異なる特性を有するポンプに交換すると、HVACシステムの動作特性は変化し得る。より高度なタイプのBASは、HVACシステムを制御するために最適化ソフトウェアを利用する場合がある。機器の各部分が最適又はほぼ最適な条件で動作して、建物の冷却負荷を、均等限界性能の原理に基づく最低総エネルギ消費量で満足させるように、このタイプのBASは、1つ以上の動作パラメータを調節し続ける。しかしながら、最適化ソフトウェアは機器の各部分に焦点を当てているので、最適化ソフトウェアで使用されている数値定数を、定期的に手動で調節することが、依然として必要であり得る。通常は、機器の動作特性を計算し直して、最適化ソフトウェアを修正して、BASを再スタートさせて、HVACシステムの動作効率を観測して、HVACシステムの全体的な動作効率が全体として望ましい効率の範囲内になるまで繰り返すことによって、調節を行なう。
【発明の概要】
【0005】
HVACシステムの動作効率を自動的に制御するように、ビルディングオートメーションシステム(BAS)と通信する制御装置を構成することができる。制御装置は、実時間の動作データを利用して、予測又は理論情報と比較して、HVACの機器に対する動作パラメータを同時に調節して、調節の妥当性を検査して、自己学習の特徴を呼び出して、将来における同様の調節に要する時間をできるだけ少なくすることによって、建物のエネルギ消費量を自動的に確認して調節する。一例として、制御装置は、BASと協働して、エネルギの無駄を最小限にしながら、一般的なエネルギ需要のあるHVACシステムをモニタして、建物のエネルギ管理システムの効率を改善する。
【0006】
本発明の1つの態様では、BASと通信する制御装置は、HVACシステムに配置されている機器の動作パラメータに対応するデータを保持している情報を、前記制御装置と前記ビルディングオートメーションシステムとの間で、同時に交換するように動作可能な通信インターフェイスと、前記機器の現在の動作状態に基づいて、前記HVACシステムの動作効率を決定する実行可能命令を有する最適化モジュールと、前記HVACの機器に提供された設置仕様から計算される、前記HVACシステムの予測動作効率を決定する実行可能命令を有するシミュレーションモジュールと、前記最適化モジュール及び前記シミュレーションモジュールとデータ通信する比較モジュールであって、前記動作効率が前記予測動作効率に対する望ましい閾値よりも低いかどうかを決定するように構成されている、前記比較モジュールと、前記比較モジュールとデータ通信する調節モジュールであって、前記HVACシステムの機器の少なくとも1つの部分に対する前記動作パラメータのうちの少なくとも1つの動作パラメータを変更するために、前記ビルディングオートメーションシステムに命令を送信するように構成されていて、更に、前記動作効率が前記予測動作効率に対する前記望ましい閾値よりも低いと、前記比較モジュールがその後に決定した場合に、自己学習の態様を変更するために、前記命令を処理するように構成されている、前記調節モジュールと、を含む。
【0007】
本発明の別の態様において、ビルディングオートメーションシステムと通信するHVACシステムの動作効率を制御する方法であって、(1)前記HVACシステムに配置されている機器の動作パラメータに対応するデータを保持している情報を、前記制御装置と前記ビルディングオートメーションシステムとの間で、同時に交換するステップと、(2)前記機器の現在の動作状態に基づいて、前記HVACシステムの動作効率を決定するステップと、(3)前記HVACの機器に提供された設置仕様から計算される、前記HVACシステムの予測動作効率を決定するステップと、(4)前記動作効率が前記予測動作効率に対する望ましい閾値よりも低いかどうかを比較するステップと、(5)前記HVACシステムの機器の少なくとも1つの部分に対する前記動作パラメータのうちの少なくとも1つの動作パラメータを調節するステップと、(6)前記少なくとも1つの動作パラメータの調節を、前記ビルディングオートメーションシステムに送信するステップと、(7)その後に、前記動作効率が前記望ましい閾値よりも再び低くなったときに、前記少なくとも1つの動作パラメータの調節を自動的に再び呼び出すために、前記制御装置の自己学習の特徴をトリガするステップと、を含む。
【0008】
例示的な代わりの実施形態を、以下の図面を参照して詳しく別途記載する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施形態に従って、HVACシステムの動作効率を制御するために、ビルディングオートメーションシステムと通信する制御装置のブロック図である。
【図2】本発明の実施形態に従って、ビルディングオートメーションシステムによってHVACシステムの機器パラメータを調節するために制御装置が行なう決定を示す、制御装置の別のブロック図である。
【図3】本発明の実施形態に従って、図1の制御装置を使用して、HVACシステムの機器パラメータを調節する方法を示すブロック図である。
【図4】図1の制御装置によって制御される建物におけるHVACシステムに対する電力効率曲線のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の様々な実施形態の完全な理解をもたらすために、以下の記載において、特定の具体的な詳細を提示する。しかしながら、これらの詳細なくても、本発明を実行できることが、当業者に分かるであろう。他の例において、HVACシステムと個々のHVACコンポーネントとに関連する周知の構造と、建物の気候又は環境制御システムと、ビルディングオートメーションシステムと、ビルディングオートメーションシステムの、様々なプロセス、パラメータ、及び動作は、本発明の実施形態の記載を不必要に不明瞭にするのを避けるために、必ずしも詳しく記載又は示されていない。本発明の少なくとも1つの実施形態は、BASと通信して、選択された入力を受信して、次に、自動的に調整するか、又はさもなければ、建物のHVACシステムの1つ以上の態様を最適化するために、自己学習又は自己訂正することを含む。
【0011】
明細書及び請求項の全体を通して、単語「具備する」とその活用形、例えば、「具備し」、「具備している」は、文脈上異なる解釈をする必要がない限り、「限定されることなく、含む」といった、開かれた包含的な意味であると解釈されるべきである。
【0012】
コンポーネントが全負荷にできるだけ近い状態で動作している場合に、一定速度のチラーと、ポンプと、塔のエネルギ性能は最大になる。従って、通常は、チラープラントの稼動方式は、プラントの機器を順番に並べて、全負荷で動作するオンラインの機器の量を最小限にすることを含む。全て可変速度のチラープラントでは、現在の外部条件に応じた特定の部分負荷で機器が動作している場合に、最適性能を達成する。外部条件(気圧又は気温)の変化に従って、可変速度の各コンポーネントが最大効率を達成する負荷曲線は、そのコンポーネントの「自然曲線(natural curve)」と呼ばれる。最適化システムは、一連の機器に対して制御方法を用いて、プラント内の機器の自然曲線に常にできるだけ近付くように、プラントを動作させる。
【0013】
一般に、冷水の配水ポンプは、特定の配分の差圧を維持するように動作している。システムによって供給される負荷に対する、バルブのうちの1つ又は幾つかの最大位置に基づいて、この圧力設定点を時々リセットする。しかしながら、特に低負荷期間中に、ポンピングエネルギがかなり無駄になるということは、継続的な毎日のスケジュールで動作しているシステムではよくあることであり、最低圧力設定点を使用すると、これに役立ち得る。ここに記載されている制御装置は、配水ポンプを制御することができる。大型の配水系統は、異なる条件又は異なる時間のもとで、異なるクリティカルフローセグメント(critical flow segment)を有する場合があり、配水ポンプの制御は、大型の配水系統において特に効果的である。HVACコンポーネント及び/又は機器は、製造業者の推奨制限値内で動作することに留意すべきである。制御装置は、凝縮装置の冷水の流れと流量の変化と、凝縮する水の温度とをモニタし続けて、制御される特定の機器に対して、製造業者によって推奨された範囲内にこれらのパラメータを確実に維持するように、動作を制限する。
【0014】
制御装置は、BASと情報を交換するように構成されている。更に、制御装置は、実時間の動作効率を決定して、予測又は理論上の動作効率をシミュレートして、これらを比較して、建物のHVACシステムによって利用されている機器に対する1つ以上の動作パラメータを調節するために、様々な実行可能プログラムを含んでいる。1つの実施形態において、実行可能プログラムは、可変速度のループ冷却プラント(variable speed loop cooling plant)を制御して、電力を利用するシステム、例えば建物全体にわたるHVACシステム、のエネルギ使用量の低減を確立する。更に、制御装置、又は制御装置によって用いられている実行可能アルゴリズムのうちの少なくとも1つ以上は、特定のシステムに対する均等限界性能の原理に適合し得る。特定のシステムに対する均等限界性能の原理は、トマス ハルトマン(Thomas Hartman)に対する米国特許6,185,946号に開示されている教示と、アシュレジャーナル、第47巻、第7号、2005年7月の「均等限界性能の原理を用いた効率的なシステムの設計」("Designing Efficient Systems with the Equal Marginal Performance Principle", ASHRAE Journal, Vol. 47, No. 7, July 2005)という名称の同一人が著作した論文とに従う。両者の文献は、参照によって全てここに組み込まれる。ハルトマンは、数値定数をHVACシステムの機器の動作に関連付けることを記載している。HVACシステムの機器は、例えば、遠心ポンプと、ファンと、可変速駆動の遠心冷却装置であるが、これらに制限されない。数値は、より多くのHVACの機器が、その自然動作曲線の近くで、オンラインで、並列に動作する可能性に基づいている。
【0015】
幾つかの実施形態では、BASは、全て可変速度のシステムと通信して、自己訂正するコンピュータ実行可能命令を使用して、機器又は動作条件に対する変化を自動的に補償することができる。制御装置は、HVACシステムを調整するために使用されている現在の手動の調整方法に代わる自動化された技術を提供するという長所を有し得る。他の実施形態では、建物と地域の気候とに起因し得る建物の外部の負荷特性又はHVACの機器の特性における変化を補償するために、制御装置はBASの動作を自動的に訂正する。
【0016】
1つの実施形態では、制御装置は、BASとデータ通信する、自己学習型制御装置である。自己学習型制御装置は、実時間のエネルギ使用量の監視と、エネルギ分析と、シミュレーションと、比較分析と、妥当性検査技術とを利用して、エネルギ使用量を制御装置に自己確認及び自己調節させる。自己調整の特徴は、実行可能命令を取り入れ得る。実行可能命令は、電力を利用するシステム、例えば冷水プラント(chilled water plant, CHW)内で処理される。制御装置は、計算されたシステム入力値に基づいて、HVACシステムの動作をシミュレートするために、HVACシステムからデータを受信する。計算されたシステム入力値は、例えば、全システムの使用キロワット(total system kilowatts used, TSkW)と、システムを冷却する出力トン数(トン)とであり、これらが組み合わされると、エネルギ効率の測度を提供する。更に、制御装置は、HVACシステムからのデータを処理して、予測エネルギ効率(kW/トン)を提供し得る。
【0017】
1つの実施形態において、制御装置の自己学習又は自己調整の態様は、HVACシステムの最適化に使用されるハルトマンのアルゴリズムを修正したものを含み得る。従って、制御出力を処理して、制御出力と、シミュレートされる出力とを比較して、最適化アルゴリズムの値を修正する(例えば、インクリメンタルに調節する)か、或いはシミュレートされる(例えば、予測又は理論上の)動作効率に対して、実時間の動作効率を検証することによって、HVACの適応性のある振る舞いを可能にする。制御装置の自己学習又は自己調整の態様は、ニューラルネットワークプロセスと称され得る。
【0018】
ニューラルネットワーキングプロセスは、HVACシステムの入力と、出力と、制御と、情報点との間における設定パターンの隠れた関係性を検出する実行可能命令を含んでいる。実行可能命令は、「訓練期間」を与えられる。「訓練期間」中に、最適又は最良の電力消費効率に基づくモデルによって決定される規定出力又は望ましい出力と、制御パラメータの出力とを比較する。モデル計算出力は、誤差、或いは最適又は最良の電力消費効率を下げる他のパターンを示す。モデル計算出力を制御モデル入力に逆伝搬又はループバックして、数値又は加重値を適用して調節して、計算上の誤差を低減して、システムによる最適エネルギ消費量に関連する最適電力使用量のシステムパターンを示す予測を得る。
【0019】
制御装置は、例えば、ディスクリートなタスクに専用の1つ以上のプロセッサを含み得る。例えば、1つのプロセッサは、HVACシステムを調節することを決定した後に、「訓練期間」を取り入れ得る。別のプロセッサは、予測、理論、又は最良の場合のデータと、実時間データとを比較し得る。更に別のプロセッサは、システムにおける誤差を評価して、誤差の減らし方を示唆し得る。1つの実施形態では、自己調整は、2つの期間、即ち、「訓練期間」の後に「検証期間」を含んでいる。第1の「訓練期間」中に、入力と望ましい出力との両者を含んでいる(システムモデルからの)サンプルデータを処理して、望ましいエネルギ利用効率を達成するまで、実際の制御出力を最適化する。妥当性検査又は「検証期間」中は、誤差は、入力パラメータに最早逆伝搬されないが、エネルギに関するイベント又は一連の値を予測又は出力するために使用されて、ビルディングオートメーションシステムにおいて動作している様々な機器に対する入力の役割を果たす。
【0020】
実際の制御とシステムのモデルとの間に、大きなずれが生じた場合に、システムが正しく最適化されるまで、システムは「訓練期間」に自動的に戻って、その後で、「検証期間」に再び切り替わって、ずれが再び生じなければ、そこに留まる。これは、HVACシステムにおける変化と極端な環境の変化とに適応できる自己学習型制御装置を提供する。
【0021】
図1は、エネルギ制御システム又は制御装置10を示している。エネルギ制御システム又は制御装置10は、ビルディングオートメーションシステム(BAS)12を含んでいる。BAS12は、HVACシステム14及び制御装置16とそれぞれデータ通信する。BAS12とHVACシステム14との間のデータは、HVACシステムの機器についての、エネルギに関する動作データ18を含み得るが、これに制限されない。このような動作データ18は、HVACシステム14の全体的なエネルギ効率に影響を及ぼす。制御装置16は、実行可能命令を含む。実行可能命令は、異なるプログラム又はモジュールの中に配置され、更に、独立した処理手段によって処理され得る。1つの実施形態では、制御装置16は、最適化モジュール20と、比較モジュール22と、シミュレーションモジュール24と、調節(例えば、自己学習及び/又は自己調整)モジュール26とを含む。制御装置16は、様々なモジュールを含む。様々なモジュールは、実行可能命令、プログラム、ソフトウェア、等の形式をとることができ、協調的に相互に作用して、異なるタイプのHVACの機器に対する動作パラメータを調整又は自己調節して、消費者の需要と、悪い天候条件と、他の状況とにおける変化を補う。一例として、制御装置16がBAS12と双方向通信して、次に、BAS12がHVACシステム14と通信して、ポンプの流量の調節、ファンの回転速度の調節、空調ユニットの温度設定の調節、等をする。
【0022】
最適化モジュール20は、上述のハルトマンの文献によって教示されている実行可能命令の形式をとり得る。一例として、最適化モジュール20は、実時間の動作データを受信して、HVACシステム14の機器の現在の動作状態に基づいて、HVACシステム14の実時間の動作効率28を決定する。シミュレーションモジュール24は、シミュレーションのシナリオを実行するために、データ30を受信する。データ30は、計算された入力の形式をとり得る。一例として、シミュレーションモジュール24は、実行可能命令を含む。この実行可能命令は、HVACシステム14のシミュレートされる(例えば、予測、理論、又は最良の場合の)動作効率32を決定する。シミュレートされる動作効率32は、設置仕様値から計算又は算出される。設置仕様値は、HVACシステム14の機器の個々の部分に対する所定の動作範囲に対応する。
【0023】
それぞれの効率28、32は、比較モジュール22によって受信される。比較モジュール22は、HVACシステム14の機器の1つ以上の部分に適用される調節値34を決定する。1つの実施形態では、比較モジュール22は、最適化モジュール20及びシミュレーションモジュール24とデータ通信する。HVACシステム14の実時間の動作効率28が、シミュレートされる動作効率32に対する望ましい閾値よりも低いかどうかを決定するように、比較モジュール22は構成されている。
【0024】
調節モジュール26は、調節値34を受信して、新たなエネルギに関する一連の値36を生成又は定義する。HVACシステム14が、シミュレートされる動作効率32を満たすか、又はシミュレートされる動作効率32に少なくとも近付くように、新たなエネルギに関する一連の値36により、実際のエネルギ利用効率を改善する。既に記載したように、調節モジュール26は、調節値34を自己学習するための実行可能命令と、一連の値36に基づいてBAS12を自己調整するための実行可能命令とを含み得る。1つの実施形態において、調節モジュール26は、ニューラルネットワーク処理モジュールとして動作する。ニューラルネットワーク処理モジュールは、ローカルな又は遠隔のコンピュータ処理を使用して様々な機能を実行する命令を有するコンピュータ読出し可能媒体を含んでいる。一方で、遠隔処理は、例として、ローカルネットワーク又はインターネットを経由し得る。更に、調節値34は、乗算器によって処理されて、加重されて、及び/又は正規化され得る。
【0025】
図2は、制御装置16(図1)を用いて、BAS12からのデータを処理する方法100を示している。ステップ102において、BASから、HVACシステムに関する実時間の動作データを取得する。制御装置は、制御装置とBASとの間で情報を同時に交換するように動作可能な通信インターフェイスを含んでいる。既に記載したように、交換情報は、HVACシステム中に配置されている機器の実時間の動作パラメータ又は特性に対応するデータを含んでいる。ステップ104において、実時間の動作データを最適化モジュールで受信又は入力する。最適化モジュールは、例えば、上述の最適化モジュールである。ステップ106において、最適化モジュールによって処理される実行可能命令に基づいて、且つ一般的な機器の動作と天候条件とのもとで、HVACシステムの全体的な実時間の動作効率と個々の機器の効率とを計算する。
【0026】
これと同時に又は同期して、ステップ108において、HVACシステムのシミュレートされる(例えば、予測又は最良の場合の)動作効率を決定するデータが、シミュレーションモジュールによって受信される。データは、HVACの機器の個々の部分に対する所定の動作範囲に対応する設置仕様値の形式をとり得る。ステップ110において、シミュレーションモジュールは、HVACシステムのシミュレートされる動作効率を決定する。
【0027】
ステップ112において、比較モジュールは、決定ゲートを処理して、実時間の動作効率が、シミュレートされる動作効率の望ましい閾値内であるかどうかを決定する。肯定的な答え(例えば、「はい」又は「真」)が出された場合は、これをBASに通信して、調節を行なわない。否定的な答え(例えば、「いいえ」又は「誤」)が出された場合は、HVACシステムの機器の設置仕様データと共に、実時間の動作データを、調節モジュールに渡す。従って、ステップ114において、HVACの機器の1つ以上の部分に対する調節値を決定して、自己学習又は訓練プロセスを始動又は開始する。
【0028】
ステップ116において、妥当性検査モジュールを使用して、調節値のテスト又は妥当性を検査する。このステップでは、調節値又は機器パラメータを処理して、これらが、望ましい全体的なHVACシステムの動作効率を達成しているかどうかを決定する。異なる記載がなければ、HVACの機器に対して変更を行なって、全体的なシステムのエネルギ消費量、従って、BASを通して通信されるHVACシステムに対する全体的な動作効率を実際に改善する。結果が肯定的である場合は、天候又は他の変化により別の調節が当然に必要とされるまで、HVACシステムを永続的に実施するように、調節値をBASに送信する。
【0029】
図3は、図2からの調節モジュールのためのプロセス図200の実施形態を示している。ステップ202において、HVACの機器に対する機器の調節値を決定して設定する。ステップ204において、調節モジュールは、調節値のテスト又はさもなければ妥当性を検査する命令を妥当性検査モジュールに提供するために通信する。ステップ206において、制御装置は、調節の妥当性が確認されたかどうかを決定する。妥当性が確認されない場合は、HVACの動作効率を改善するために、調節モジュールによって調節値をリセットする。値の妥当性が確認された場合は、調節値を実施するために、これらの値をBASに提供する。
【0030】
図4は、上述のように、実行可能命令を用いる制御装置の実施形態によって、HVACの機器を制御し続ける場合に、BASを通して通信されるデータからのHVACシステムのための24時間の電力効率曲線を示している。HVACの機器の1つ以上のパラメータを少なくとも増加するように調節することによって、制御装置がエネルギ消費量を最適化するので、HVACシステムは、24時間中、変動効率で動作する。
【0031】
上述のように、本発明の好ましい実施形態を例示して記載したが、本発明の意図と範囲から逸脱することなく、多くの変更を行なうことができる。従って、本発明の範囲は、好ましい実施形態の開示によって制限されない。その代わりに、本発明は、請求項を参照することによって決定されるべきである。
【0032】
独占権利又は特権を請求している本発明の実施形態は、以下の通りである。
【符号の説明】
【0033】
10,16・・・制御装置、14・・・HVACシステム、30・・・データ、34・・・調節値、36・・・一連の値、100・・・データを処理する方法、200・・・調節モジュールのためのプロセス図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビルディングオートメーションシステムと通信する制御装置であって、
HVACシステムに配置されている機器の動作パラメータに対応するデータを保持している情報を、前記制御装置と前記ビルディングオートメーションシステムとの間で、同時に交換するように動作可能な通信インターフェイスと、
前記機器の現在の動作状態に基づいて、前記HVACシステムの動作効率を決定する実行可能命令を有する最適化モジュールと、
前記HVACの機器に提供された設置仕様から計算される、前記HVACシステムの予測動作効率を決定する実行可能命令を有するシミュレーションモジュールと、
前記最適化モジュール及び前記シミュレーションモジュールとデータ通信する比較モジュールであって、
前記動作効率が前記予測動作効率に対する望ましい閾値よりも低いかどうかを決定するように構成されている、前記比較モジュールと、
前記比較モジュールとデータ通信する調節モジュールであって、
前記HVACシステムの機器の少なくとも1つの部分に対する前記動作パラメータのうちの少なくとも1つの動作パラメータを変更するために、前記ビルディングオートメーションシステムに命令を送信するように構成されていて、
更に、前記動作効率が前記予測動作効率に対する前記望ましい閾値よりも低いと、前記比較モジュールがその後に決定した場合に、自己学習の態様を変更するために、前記命令を処理するように構成されている、前記調節モジュールと、
を具備する、制御装置。
【請求項2】
前記HVACシステムの機器の少なくとも1つの部分に対する前記動作パラメータのうちの少なくとも1つの動作パラメータに対して行われる調節が、前記ビルディングオートメーションシステムに通信される前記HVACシステムに対する望ましい全体的な効率をもたらすかどうかを決定するように構成されている妥当性検査モジュール、を更に具備する、請求項1の制御装置。
【請求項3】
前記HVACシステムは、可変速度のチラー冷却システムを含む、請求項1の制御装置。
【請求項4】
前記HVACシステムの前記予測動作効率は、前記HVACの機器に対する自然動作曲線に対応する情報を含む、請求項1の制御装置。
【請求項5】
ビルディングオートメーションシステムと通信するHVACシステムの動作効率を制御する方法であって、
前記HVACシステムに配置されている機器の動作パラメータに対応するデータを保持している情報を、前記制御装置と前記ビルディングオートメーションシステムとの間で、同時に交換するステップと、
前記機器の現在の動作状態に基づいて、前記HVACシステムの動作効率を決定するステップと、
前記HVACの機器に提供された設置仕様から計算される、前記HVACシステムの予測動作効率を決定するステップと、
前記動作効率が前記予測動作効率に対する望ましい閾値よりも低いかどうかを比較するステップと、
前記HVACシステムの機器の少なくとも1つの部分に対する前記動作パラメータのうちの少なくとも1つの動作パラメータを調節するステップと、
前記少なくとも1つの動作パラメータの調節を、前記ビルディングオートメーションシステムに送信するステップと、
その後に、前記動作効率が前記望ましい閾値よりも再び低くなったときに、前記少なくとも1つの動作パラメータの調節を自動的に再び呼び出すために、前記制御装置の自己学習の特徴をトリガするステップと、
を具備する、方法。
【請求項6】
前記HVACシステムの機器の少なくとも1つの部分に対する前記動作パラメータのうちの少なくとも1つの動作パラメータに対して行われる前記調節が、前記ビルディングオートメーションシステムに通信される前記HVACシステムに対する望ましい全体的な効率をもたらすかどうかについて、妥当性を検査するステップ、を更に具備する、請求項5の方法。
【請求項7】
前記HVACシステムの前記動作効率を決定するステップは、可変速度のチラー冷却システムの前記動作効率を決定するステップを含む、請求項5の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公表番号】特表2012−507807(P2012−507807A)
【公表日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−534815(P2011−534815)
【出願日】平成21年10月30日(2009.10.30)
【国際出願番号】PCT/US2009/062807
【国際公開番号】WO2010/051466
【国際公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【出願人】(511109249)オプティマム・エナジー,エルエルシー (2)
【Fターム(参考)】