説明

エフイー・ロック鍵管理システム

【課題】鍵管理の煩雑さや鍵複製による不正使用や犯罪に対処したセキュリテイを確保でき、キーレス管理を実現するエフイー・ロック鍵管理システムの提供。
【解決手段】住宅の各室に配置されて玄関扉に設けられた錠本体には端末機能を有するアンテナ基板を備えて、入居者が非接触ICカードの各規格の鍵素材で形成したカードを利用するか、或いは携帯電話を利用して、入居者自身で鍵番号や鍵カード設定枚数を設定登録するモードスイッチのような鍵番号設定入力手段と、設定鍵番号や鍵カード設定枚数を記憶する記憶手段と、カードの鍵番号と記憶した設定鍵番号とを比較して一致したときに施錠或いは解錠信号を出力する比較手段と、この比較手段から出力する解錠信号を受けて施錠或いは解錠する施解錠手段と、新たな入居者に対応できるように、それまで保持していた設定鍵番号を消去する設定鍵番号消去手段を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、賃貸物件の鍵管理の煩雑さや鍵複製による不正使用や犯罪の問題に対処して、入居者が自分で鍵番号を設定登録して利用するエフイー・ロック(Fe-Lock)鍵管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
賃貸物件、例えば賃貸マンションやアパート或いは一戸建て賃貸住宅では、物件の所有するオーナーは、管理会社や仲介業者へ物件管理を依頼しており、これら管理会社や仲介業者では、各賃貸物件のそれぞれの居室や建物の鍵管理を行っていて、その鍵管理数は数百本、数千本などと多数になり、その鍵管理に煩わしく大変な労力を消費している。
【0003】
そして、賃貸物件では、各物件の玄関扉の鍵の管理が、退去後の原状復旧作業や内覧の円滑化や入居後のセキュリテイの確保において重要である。退去のあったときには、退去者が賃貸物件に勝手に入居時に合鍵を作成して使用したりする虞れがないように、シリンダ錠の交換が実施されている現状であり、不動産仲介業者は退去者から鍵を回収したり、賃貸物件の玄関扉のシリンダ錠を予備と交換したりしている。
【0004】
不動産仲介業者は退去後に畳の交換や襖紙の張り替え等の原状復旧作業を直接に工事業者に依頼するときにも、鍵の管理の問題を生じる。また、仲介業務やリフォーム等で鍵を社員や業者が持ち出し、その結果、鍵複製による他人の使用や犯罪等の問題も発生している。
【0005】
更に、不動産仲介業者はマスターキーを管理上で保管していることが一般的であって、不動産仲介業に勤務する者、或いは過去に勤務していた従業員の中に悪意を有してマスターキーの合鍵を作成し、不法侵入する事件も繰り返し発生している現状もある。
【0006】
このような合鍵は、入居者には不法侵入される不安をもたらし、特に一人暮らしの若い女性にとって極めて不安であり、今日の性犯罪の傾向からも、不動産仲介業者には、その不安対応に迫られている現状である。
【0007】
人間には、善悪の心がいつも同居しており、その場の環境が悪の道に誘発する虞れがあり、鍵管理者等に心の悪意をもたらさない環境にすることによって、犯罪の助長を防ぐことにより、警察の犯罪対応拡大を防止することも求められている。
【0008】
これらの問題点を抱えいる管理会社や仲介業者は、安全・利便・快適性を求めるために、「キーレス管理」の実現を行う必要があります。
【0009】
このような現状のもとに、セキュリテイの観点から、カード利用鍵システム(特許文献1)、コンピュータやインターネット利用の管理システム(特許文献2)、暗証番号入力錠装置(特許文献3)或いはIDカード利用管理システム(特許文献4)等の各種のセキュリテイ管理システムが見られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特許第4094028号明細書
【特許文献2】特開2001−73600号公報
【特許文献3】特開2004−183277号公報
【特許文献4】特開2009−80641号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
この発明の課題は、鍵管理の煩雑さや鍵複製による不正使用や犯罪に対処したセキュリテイを確保できて、キーレス管理を実現するように、入居者が自分で鍵番号を設定登録して利用するエフイー・ロック鍵管理システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この課題は、住宅の各室に配置されて玄関扉に設けられた錠本体にはアンテナ基板を備えたエフイー・ロック鍵管理システムであって、入居者がMifare,FeliCa 規格の鍵素材で形成カードを利用するか、或いは携帯電話を利用して入居者自身で鍵カード設定番号や鍵カード設定枚数を登録できるエフイー・ロック鍵管理システムにおいて、入居者が自分で鍵番号を設定登録するモードスイッチのような鍵番号設定入力手段と、鍵カード設定番号や鍵カード設定枚数を記憶する記憶手段と、設定登録された鍵カードが使用される毎に設定登録枚数を錠前に表示させる表示手段と、鍵番号設定入力と鍵番号設定記憶との比較して一致したときに解錠或いは施錠信号を出力する比較手段と、この比較手段から出力する解錠或いは施錠信号を受けて解錠或いは施錠する施解錠手段と、新たな入居者に対応できるように、それまで保持していた設定鍵番号を消去する設定鍵番号消去手段とを備えるエフイー・ロック鍵管理システムによって、解決される。
【0013】
このエフイー・ロック鍵管理システムでは、入居者が自分自身で合鍵の鍵素材であるMifare,FeliCa 規格の素材で形成した素材カードを用いて、或いは携帯電話等のICを備えた手段を用いて、入居者自身で鍵カード設定番号や鍵カード設定枚数をエフイー・ロック内部の記憶手段に入力させる。このような入居者が自分自身で鍵カード設定番号や鍵カード設定枚数を入力できるシステムは、住宅鍵管理システムとして現在まで全く存在していない画期的なシステムである。
【0014】
このエフイー・ロック鍵管理システムでは、入居者が自分で鍵番号をこのシステムのアンテナ基板に設定登録して利用できて、キーレス管理を実現できる。また、鍵渡しの段階で、解錠できる鍵が存在していないという意味において、これこそが入居者に「真の安心」を約束できる業界初の革命的なシステムと言える。このエフイー・ロック鍵管理システムに設定登録された鍵カードが使用される毎に設定枚数もいつもエフイー・ロック錠前に表示される。
【0015】
さらに、このエフイー・ロック鍵管理システムは錠本体に鍵使用状況記録を残す手段を備えていて、錠本体の内部メモリから、鍵使用状況記録をダウンロードカードにダウンロードさせて、それにより犯罪追跡調査に役立てることができる。
【0016】
このエフイー・ロック鍵管理システムは発行管理ウエブシステムと併用して、使用することにより、さらにセキュリテイを向上させることが可能となる。
【0017】
このエフイー・ロック鍵管理システムでは、鍵として携帯電話やICカードを利用できる。錠に鍵番号を設定登録した後には、タッチすることにより鍵の施錠解錠ができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】この発明のエフイー・ロック鍵管理システムのエフイー・ロック(Fe-Lock)基板を示す。
【図2】この発明に付属した発行管理ウエブシステムの概略図を示す。
【図3】この発明のエフイー・ロック鍵管理システムの運用構成図を概略的に示す。
【図4】この発明のエフイー・ロック鍵管理システムに使用されるFe-Lock 錠本体の正面図を示す。
【図5】この発明のエフイー・ロック鍵管理システムを作動させる作業手順のフローチヤートを示す。
【図6】この発明のエフイー・ロック鍵管理システムの図式化した説明図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
この発明は、次に図面に開示された実施例に基づいて詳細に説明される。
【実施例】
【0020】
図1は、この発明のエフイー・ロック鍵管理システムの基礎を成すエフイー・ロックアンテナ基板10を示し、このエフイー・ロック基板10には、表示機能、ブザー機能、直流モータ制御、センサー入力、外部接点出力、時計機能、記憶機能、モードスイッチ、メイン電源駆動スイッチや電池電圧監視回路を備えている。
【0021】
エフイー・ロック基板10は、表示機能のために、7セグメントLDE13と二つの2色LDE14を備えて、この7セグメントLDE13は少数点も可能である。ブザー機能のために、一つのブザー15を有する。DCモータ制御のために一つのDCモータが正転/逆転駆動機能を有する。センサー入力のためにドアの施解錠センサー、スタンドアロンル・プバックセンサー、外部ループバックセンサーの入力ポートをそれぞれ1つを有する。外部接点出力としては一組のC接点ラッチリレーと一組のB接点フォトモスリレーを有する。時計機能としては、時刻表示とカレンダー表示を備える時計12とバックアップ用のリチウム電池12aを備えている。
【0022】
エフイー・ロック基板10は、モードスイッチ11やメイン電源駆動スイッチ17を備えていて、このモードスイッチ11は一つの玄関錠ユニットの外部から操作できるプッシュボタンスイッチとその入力回路を有し、このメイン電源駆動スイッチ17は通常には超低消費電流のスタンドバイ回路18のみ動作し、外部より操作できるプッシュボタンスイッチが押された時にメイン電源が動作開始する。動作終了後は内部CPUのプログラムによりスタンドバイモードに戻る。
【0023】
図2は、発行管理ウエブシステムの概略図を示し、この発行管理ウエブシステムは、管理会社に設置されていて、管理会社のCPU20には、指紋照合装置21、リーダライタ22とバーコードリーダ23が接続されている。この発行管理ウエブシステムは、インターネットで専用サーバに指紋照合で個人認証を行いアクセスし、設置状況・カード貸出管理・登録カードの紛失対応・施解錠の履歴確認を行うシステムである。
【0024】
この指紋照合装置21は、指紋登録済の者がどのPCからでも状況を確認でき、確実な個人照合でアクセスできる。リーダライタ22は退去時に紛失の場合のみ、必要なデータをカードに書き込むために端末機器であり、登録カードを発行する。バーコードリーダ23は空室カード、登録カード、ご利用カードを読み取って引渡し登録する。その他に、管理会社がダウンロードカード24をCPU20に入れて、エフイー・ロック基板10から施解錠の日時詳細ログを取得できる。管理会社では、ご利用カードや登録カードの各在庫としてカード素材25を用意している。
【0025】
図3は、この発明のエフイー・ロック鍵管理システムの運用構成図を概略的に示し、管理会社が発行管理ウエブシステムにより各種のカードを発行して、入居者が入力する前や退去後に管理された住宅の玄関扉などに設置された錠を施解錠する。この登録使用できるのカードはRFID13.56MHzであり、FeliCa規格・Mifare規格により形成し、これは世界各地で使用されているために、カード形状以外にキーホルダー型やシール型が多数ある。
【0026】
Fe-Lock の錠本体は取替えに対応する既存錠前の種類や用途によってレバーハンドルの部分と一体化したロングタイプと、シリンダ部分のみの取替えとなるショートタイプの2種類がある。この錠本体は一度取付けると入退居毎の鍵交換が必要なく、更には、アパート、マンションの様々な既存錠前に加工なしに取替え可能である。
【0027】
このFe-Lock システムでは、マスターカード31は、物件毎の全てのロックの施解錠が行えるカードであって、オーナーが要望した場合に限り作成する。登録カード32はご利用カード33や携帯電話などの登録を行うカードで、施解錠操作が行えなく、契約時に引渡します。また、ご利用カード33は通常の施解錠操作に使用するカードであって、契約時に引渡し、入居者自身で登録して使用する。登録動作で全てのご利用カード33が抹消され、使用する複数の鍵は一度に登録しなければならない。
【0028】
さらに、工事カード34は工事モード時に管理会社が全てのFe-Lock の施解錠操作が行えるカードであって、施工時のみに使用し、引渡し後には使用できなくなり、安全確保のために二度と工事モードに戻すことはできない。空室カード35は、空室モード時に管理会社が全てのFe-Lock の施解錠操作が行えるカードであって、入居時に使用できなくなり、空室モードに戻すためには入居者が所持している登録カードと関連スタッフ所持の空室モードが必要なために、入居者立ち会いが必要となる。
【0029】
図4は、この発明のエフイー・ロック鍵管理システムに使用されるFe-Lock 錠本体1の正面図を示し、錠本体1の正面にある起動ボタン2を押すと、アンテナ基板10の起動スイッチ17が入って主電源起動回路をオンとなり、表示ランプ3が点灯する。方向ランプ4はアンテナ基板10の方向指示LEDによって表示される。Eシリンダを備える操作ノブ6、ファンクションボタン5とレバーハンドル7も錠前に備えられている。この錠本体1は一度取付けると入退居毎の鍵交換が必要なく、更には、アパート、マンションの様々な既存錠前に加工なしに取替え可能である。
【0030】
この発明のエフイー・ロック鍵管理システムでは、先ず最初にこのアンテナ基板10に入居者が登録番号を設定するけれども、この鍵管理システムにおいて、登録の作業は次の手順で行われる。
1)まず、入居者がFe-Lock 錠本体に登録カード32を起動ボタンに当てると、アンテナ基板に登録可能となる。
2)入居者がFe-Lock 錠本体に接続してドア等に設けた表示入力手段或いは携帯電話の入力手段によってご使用カード33に鍵登録番号を入力する。
3)この入力によりアンテナ基板1のモードスイッチ11の入力回路を介してメモリー16に設定鍵番号が記憶される。
【0031】
図5は、この発明のエフイー・ロック鍵管理システムを作動させる作業手順のフローチヤートを示す。
S1)鍵カード所持者がFe-Lock 錠前に鍵カードを起動ボタン2に当てて、カード操作する。
S2)アンテナ基板10の制御部19或いはCUPにおいて、施解錠プログラムが起動する。
S3)IC番号照合をする、即ち鍵カード番号とメモリー16に保管されている設定鍵番号とを比較手段によって照合する。
照合が一致すると、表示ランプ3がカード登録枚数だけ点灯すると共に方向ランプ4が「CLOSE 」( 閉鎖) 又は「OPEN」(解放)を点滅する。
S4)照合が不一致であると、表示ランプ3がエラー表示を点灯し、ブザー15がエラー音を発する(S10)。
S5)Fe-Lock より電流がシリンダ錠に供給されて操作ノブ6が連結される。
S6)操作ノブ6の操作が可能となる。このときに、この比較手段から出力する解錠信号を受けて、解錠手段が解錠或いは施錠するように作動される。
不一致の際には、操作ノブ6の操作ができない。このときに比較手段は解錠信号を送信しないので、解錠手段は作動されず、従って、ドア操作ハンドルによってドアは開かない。
S7)操作ノブ6とレバーハンドル7によってドアは解錠或いは施錠できる。
S8)解錠或いは施錠されると、Fe-Lock より電流が操作ノブ6に供給されて、操作ノブ6を分離されて、ブザー15から終了音が発生される。
S9)施解錠プログラムが終了する。
【0032】
さらに、このエフイー・ロック鍵管理システムは錠本体1に鍵使用状況記録を残す手段を備えているので、CPU20にダウンロードカード24を入れて、鍵使用状況記録をダウンロードさせて、それにより犯罪追跡調査に役立てることが可能である。
このエフイー・ロック鍵管理システムは、発行管理ウエブシステムを併用させて使用することにより、さらにセキュリテイを向上させることが可能である。
【0033】
図6は、この発明のエフイー・ロック鍵管理システムを図式化した説明図である。図6の上部には、登録カード32によりこの鍵管理システムに登録抹消と登録準備を行う機能を図式化している。下部には、携帯電話やFeliCa規格・Mifare規格のカードによりこの鍵管理システムを錠前において使用する態様が図式化されている。
【符号の説明】
【0034】
1.....Fe-Lock 錠本体
2.....起動ボタン
3.....表示ランプ
4.....方向ランプ
5.....ファンクションボタン
6.....操作ノブ
7.....レバーハンドル
10.....アンテナ基板
11.....モードスイッチ
12.....時計
12a....リチウム電池
13.....7セグメントLDE
14.....2色LDE
15.....ブザー
16.....メモリー
17.....メイン電源駆動スイッチ
18.....スタンドバイ回路
19.....制御部
20.....CPU
21.....指紋照合装置
22.....リーダライタ
23.....バーコードリーダ
24.....ダウンロードカード
25.....カード素材
31.....マスターカード
32.....登録カード
33.....ご利用カード
34.....工事カード
35.....空室カード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
住宅の各室に配置されて玄関扉に設けられた錠本体には端末機能を有するアンテナ基板を備えたエフイー・ロック鍵管理システムであって、入居者がMifare,FeliCa 規格の鍵素材で形成したカードを利用するか、或いは携帯電話を利用して入居者自身で鍵カード設定番号や鍵カード設定枚数を登録できるエフイー・ロック鍵管理システムにおいて、入居者が自分で鍵番号を設定登録するモードスイッチのような鍵番号設定入力手段と、鍵カード設定番号や鍵カード設定枚数を記憶する記憶手段と、設定登録された鍵カードが使用される毎に設定登録枚数を錠前に表示させる表示手段と、鍵番号設定入力と鍵番号設定記憶とを比較して一致したときに施錠或いは解錠信号を出力する比較手段と、この比較手段から出力する施錠或いは解錠信号を受けて施錠或いは解錠する施解錠手段と、新たな入居者に対応できるように、それまで保持していた設定鍵番号を消去する設定鍵番号消去手段を備えることを特徴とするエフイー・ロック鍵管理システム。
【請求項2】
鍵使用状況記録を残す記憶手段を備えていて、ダウンロードカードを利用して鍵使用状況記録をダウンロードできること特徴とする請求項1に記載のエフイー・ロック鍵管理システム。
【請求項3】
発行管理ウエブシステムと錠本体内のアンテナ基板と接続して各種鍵カードを使用して鍵管理できること特徴とする請求項1に記載のエフイー・ロック鍵管理システム。
【請求項4】
発行管理ウエブシステムがCPUを指紋照合装置、リーダライタとバーコードリーダと接続しているものであること特徴とする請求項3に記載のエフイー・ロック鍵管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−77590(P2012−77590A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−226677(P2010−226677)
【出願日】平成22年10月6日(2010.10.6)
【出願人】(500166574)株式会社計電産業 (6)
【Fターム(参考)】