説明

エラー補正装置及び画像形成装置

【課題】既存の装置を利用して画像データに生じたエラーを補正するエラー補正装置及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】エラー補正装置は、1ラインに対応する画像データを順に受け付ける受付部101と、受付部101によって受け付けられた画像データにエラーが生じている場合に、エラーを検出するエラー検出部102と、受付部101によって受け付けられた画像データを順に記憶して、複数のラインに対応する画像データを記憶するラインメモリー103と、エラー検出部102によってエラーが検出されない場合に第1のフィルター係数を選択し、エラー検出部102によってエラーが検出された場合に第2のフィルター係数を選択し、ラインメモリー103に記憶された複数のラインに対応する画像データ、及び受付部101から直接に入力された画像データに対して選択したフィルター係数を適用してフィルター処理を行うフィルター処理部104とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像データに生じたエラーを補正するエラー補正装置、及びそのエラー補正装置を備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像データに生じたエラーを補正する装置の一例には、次のようなものがある。すなわち、その装置は、通信回線(一例として電話回線)を介して入力された画像データを復号する復号部と、復号された画像データを1ライン毎に記憶部に書き込む記憶制御部とを備える。ここで、画像データには、通信回線を伝送されている間に、ノイズに起因してエラーが生じる可能性がある。このため、記憶制御部は、画像データにエラーが生じている場合には、そのエラーが生じているライン(Nライン)の画像データを破棄して、直前のライン((N−1)ライン)の画像データを記憶部から読み出してNラインの画像データの代わりに記憶部に記憶させる(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−261216号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、コピー機や複合機等の画像形成装置は、原稿読取部によって読み取った原稿の画像についての画像データを、伝送路を介して制御部に伝送している。近年は、原稿読取部の読み取り性能の高速化に伴い、原稿読取部から制御部に画像データを伝送するときのエラーの発生が大きな問題になっている。
【0005】
上述した特許文献1に記載された装置を画像形成装置に適用した場合には、エラーが生じた画像データについてエラー訂正を行うために、記憶容量の大きな記憶部又はエラー訂正専用の記憶部が必要である。エラー訂正専用の記憶部を設ける場合には、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)の中にSRAM(Static Random Access Memory)を配置することになるため、コストが増加してしまう。
【0006】
本発明は、簡易な構成で画像データに生じたエラーを補正するエラー補正装置を提供することを目的とする。
また、本発明は、そのエラー補正装置を備える画像形成装置に関する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、1ラインに対応する画像データを順に受け付ける受付部と、前記受付部によって受け付けられた画像データにエラーが生じている場合に、当該エラーを検出するエラー検出部と、前記受付部によって受け付けられた画像データを順に記憶して、複数のラインに対応する画像データを記憶する記憶部と、前記エラー検出部によってエラーが検出されない場合に、画像データに基づく画像を平滑化する第1のフィルター係数を選択し、前記エラー検出部によってエラーが検出された場合に、画像データに生じたエラーの影響を低減する第2のフィルター係数を選択し、前記記憶部に記憶された複数のラインに対応する画像データ、及び前記受付部から直接に入力された画像データに対して選択したフィルター係数を適用してフィルター処理を行うフィルター処理部と、を備えるエラー補正装置に関する。
【0008】
また、前記第2のフィルター係数は、前記フィルター処理部に入力される複数の画像データのうち、エラーが検出された画像データを消去し、エラーが検出されていない他の画像データで補完するフィルター係数である。
【0009】
また、本発明は、上述したエラー補正装置と、原稿の画像を読み取って1ラインに対応する画像データを複数生成し、当該画像データを順に出力する原稿読取部と、前記原稿読取部から出力された画像データを前記受付部に伝送する伝送路と、を備える画像形成装置に関する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、簡易な構成で画像データに生じたエラーを補正するエラー補正装置及び画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】画像形成装置の一実施形態に係るコピー機の全体構成を説明するための図である。
【図2】コピー機の機能構成を示すブロック図である。
【図3】エラー補正部の構成を示すブロック図である。
【図4】第1のフィルター係数の一例について説明するための図である。
【図5】第2のフィルター係数の一例について説明するための図である。
【図6】コピー機の動作について説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明の画像形成装置の一実施形態に係るコピー機について説明する。まず、コピー機1の全体構成について説明する。図1は、画像形成装置の一実施形態に係るコピー機1の全体構成を説明するための図である。
【0013】
図1に示すように、コピー機1は、原稿搬送部10と、原稿読取部20と、用紙搬送部30と、画像形成部40と、転写部50と、定着部60とを備える。
原稿搬送部10は、ADF(Automatic Document Feeder)であり、原稿載置部11と、第1送りローラー12と、ガイド13と、タイミングローラー対14と、原稿排出部15とを備える。第1送りローラー12は、原稿載置部11に載置された原稿Gを1枚ずつ順にタイミングローラー対14に供給する。タイミングローラー対14は、原稿読取部20が原稿Gの画像を読み取るタイミングと、原稿Gの画像が原稿読取部20によって読み取られる位置(ガイド13が配置されている位置)に原稿Gを供給するタイミングとを合わせるために、原稿Gの搬送又は原稿Gの搬送停止を行う。ガイド13は、搬送された原稿Gを後述する第1読取面21aに導く。原稿排出部15は、原稿読取部20によって画像が読み取られた(ガイド13を通過した)原稿Gをコピー機本体2の外部に排出する。
原稿排出部15におけるコピー機本体2の外側には、原稿集積部16が形成される。原稿集積部16には、原稿排出部15から排出された原稿Gが積層して集積される。
【0014】
原稿読取部20は、第1読取面21aと、第2読取面22aとを備える。第1読取面21aは、ガイド13に対向して配置された第1コンタクトガラス21の上面に沿って形成され、原稿Gの画像を読み取る面となる。第2読取面22aは、第1読取面21aに隣接して(図1に示す場合では、第1読取面21aの右側の大部分に亘って)配置される。第2読取面22aは、原稿搬送部10を用いずに原稿Gの画像を読み取る場合に用いられる。第2読取面22aは、原稿Gが載置される第2コンタクトガラス22の上面に沿って形成され、原稿Gの画像を読み取る面となる。
【0015】
また、原稿読取部20は、照明部23と、第1ミラー24と、第2ミラー25と、第3ミラー26と、結像レンズ27と、撮像部28とをコピー機本体2の内部に備える。照明部23と第1ミラー24とは、それぞれ副走査方向Xに移動する。第2ミラー25と第3ミラー26とは、図1において照明部23及び第1ミラー24の左側に配置される。さらに、第2ミラー25及び第3ミラー26は、第1ミラー24と、第2ミラー25と、第3ミラー26と、結像レンズ27とを介した第1読取面21a又は第2読取面22aから撮像部28までの距離(光路長)を一定に保ちつつ、それぞれ副走査方向Xに移動する。
【0016】
照明部23は、原稿Gに光を照射する光源である。第1ミラー24、第2ミラー25及び第3ミラー26は、光路長を一定に保ちつつ、原稿Gによって反射された光を結像レンズ27に導くためのミラーである。結像レンズ27は、第3ミラー26から入射した光を撮像部28に結像させる。撮像部28は、入射された光を電気信号に変換することにより、結像された光像に基づいて画像データを得るための撮像素子であり、例えば、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等のイメージセンサーである。
【0017】
用紙搬送部30は、第2送りローラー31と、第3送りローラー32と、レジストローラー対33と、用紙排出部34とを備える。第2送りローラー31は、給紙カセット36に収容される用紙T(被画像形成媒体)を転写部50に供給する。第3送りローラー32は、手差しトレイ37に載置される用紙T(被画像形成媒体)を転写部50に供給する。レジストローラー対33は、転写部50にトナー画像が到達するタイミングと、転写部50に用紙Tを供給するタイミングとを合わせるために、用紙Tの搬送又は用紙Tの搬送停止を行う。また、レジストローラー対33は、用紙Tのスキュー(斜め給紙)補正を行う。用紙排出部34は、トナー画像が定着された用紙Tをコピー機本体2の外部に排出する。
用紙排出部34におけるコピー機本体2の外側には、排紙集積部35が形成される。排紙集積部35には、用紙排出部34から排出された用紙Tが積層して集積される。
【0018】
画像形成部40は、トナー画像を形成するためのものであり、感光体ドラム41と、帯電部42と、レーザースキャナーユニット43と、現像器44と、クリーニング部45と、トナーカートリッジ46と、1次転写ローラー47と、中間転写ベルト48と、対向ローラー49とを備える。
感光体ドラム41(41a,41b,41c,41d)は、ブラック、シアン、マゼンタ及びイエローそれぞれのトナー画像を形成するために、感光体又は像担持体として機能する。各感光体ドラム41a,41b,41c,41dの周囲には、感光体ドラム41の回転方向に沿って上流側から下流側へ順に、帯電部42と、レーザースキャナーユニット43と、現像器44と、クリーニング部45とが配置される。帯電部42は、感光体ドラム41の表面を帯電させる。レーザースキャナーユニット43は、感光体ドラム41の表面から離れて配置され、原稿読取部20によって読み取られた原稿Gに関する画像データに基づいて感光体ドラム41の表面を走査露光する。これにより、感光体ドラム41の表面には、露光された部分の電荷が除去されて静電潜像が形成される。現像器44は、感光体ドラム41の表面に形成された静電潜像にトナーを付着させてトナー画像を形成する。クリーニング部45は、除電器(図示せず)によって感光体ドラム41の表面が除電された後のその表面に残るトナー等を除去する。
トナーカートリッジ46は、現像器44に供給される各色のトナーを収容する。トナーカートリッジ46と現像器44とは、トナー供給路(図示せず)により接続されている。
【0019】
1次転写ローラー47(47a,47b,47c,47d)は、中間転写ベルト48における各感光体ドラム41a,41b,41c,41dとは反対側にそれぞれ配置される。中間転写ベルト48は、画像形成部40及び転写部50を通過するベルトである。中間転写ベルト48の一部分は、各感光体ドラム41a,41b,41c,41dと各1次転写ローラー47a,47b,47c,47dとの間に挟み込まれ、各感光体ドラム41a,41b,41c,41dの表面に形成されたトナー画像が1次転写される。対向ローラー49は、環状形状の中間転写ベルト48の内側に配置され、中間転写ベルト48を図1に示す矢印A方向に進行させるための駆動ローラーである。
【0020】
転写部50は、2次転写ローラー51を備える。2次転写ローラー51は、中間転写ベルト48における対向ローラー49とは反対側に配置され、中間転写ベルト48の一部分を対向ローラー49との間に挟みこむ。さらに、2次転写ローラー51は、中間転写ベルト48に1次転写されたトナー画像を用紙Tに2次転写させる。
【0021】
定着部60は、加熱回転体61と、加圧回転体62とを備える。加熱回転体61と加圧回転体62とは、トナー画像が2次転写された用紙Tを挟み込んで、トナーを溶融及び加圧し、そのトナーを用紙Tに定着させる。
【0022】
次に、コピー機1の機能構成について説明する。図2は、コピー機1の機能構成を示すブロック図である。
図2に示すように、コピー機1は、上述した構成要素(原稿搬送部10、原稿読取部20、用紙搬送部30、画像形成部40、転写部50及び定着部60)を備える。用紙搬送部30、画像形成部40、転写部50及び定着部60によりエンジン部3が構成される。なお、図1を用いて説明した構成要素については、その説明を省略する。
さらに、コピー機1は、上述した機能構成に加えて、操作部70と、メインメモリー80と、制御部90とを備える。
【0023】
操作部70は、テンキー(図示せず)、タッチパネル(図示せず)及びスタートキー(図示せず)等を備える。テンキーは、印刷部数等の数字を入力するために操作される。タッチパネルは、種々の機能(一例として、印刷倍率の設定機能や、複数のページを1枚の用紙Tに割り付ける機能(2in1等))が割り当てられた複数のキー等を表示する。タッチパネルに表示されたキーは、種々の機能のうちのいずれかをコピー機1に実行させるために操作される。スタートキーは、印刷を実行させるために操作される。操作部70は、いずれかのキーが操作されることにより、このキーが操作されたことを表す信号を制御部90に供給する。
【0024】
メインメモリー80は、半導体メモリー等から構成される。メインメモリー80は、原稿読取部20によって読み取られた原稿Gに基づく画像データを記憶する。また、メインメモリー80は、コピー機1において利用される制御プログラム、及びこの制御プログラムによって利用されるデータ等を記憶する。
【0025】
制御部90は、原稿搬送部10、原稿読取部20、エンジン部3、操作部70等を制御する。
また、制御部90は、エラー補正装置としてのエラー補正部100を備える。
【0026】
図3は、エラー補正部100の構成を示すブロック図である。図4は、第1のフィルター係数の一例について説明するための図である。図5は、第2のフィルター係数の一例について説明するための図である。
【0027】
図3に示すように、エラー補正部100は、受付部101と、エラー検出部102と、記憶部としてのラインメモリー103と、フィルター処理部104と、画像処理部105とを備える。
【0028】
受付部101は、原稿読取部20から出力された1ラインに対応する画像データを順に受け付ける。ここで、原稿読取部20は、原稿Gの画像を読み取って1ラインに対応する画像データを複数生成する。例えば、原稿読取部20は、原稿Gの画像を読み取ることにより、(N−2)ラインの画像データ、(N−1)ラインの画像データ、Nラインの画像データ、…を順次生成する。さらに、原稿読取部20は、生成した画像データを順に出力する。例えば、原稿読取部20は、(N−2)ラインの画像データ、(N−1)ラインの画像データ、Nラインの画像データ、…をこの順に順次出力する。画像データは、複数の画素データによって構成される。受付部101は、原稿読取部20から出力された画像データを、伝送路110を介して順次受け付ける。受付部101によって受け付けられた画像データは、エラー検出部102、ラインメモリー103及びフィルター処理部104に入力される。伝送路110は、原稿読取部20から出力された画像データを受付部101に伝送する。ここで、画像データが伝送路110を伝送されているときに、その画像データには、ノイズが重畳する可能性がある。
【0029】
エラー検出部102は、受付部101によって受け付けられた画像データにエラーが生じている場合に、そのエラーを検出する。エラー検出部102は、エラー検出方法として、例えば、巡回冗長検査(CRC:Cyclic Redundancy Check)を利用する。エラー検出部102は、画像データのエラーを検出した場合には、エラーを検出したことを示すエラー検出信号をフィルター処理部104に出力する。
【0030】
ラインメモリー103は、複数配置される。本実施形態では、2つのラインメモリー103(103a,103b)が配置される。なお、本発明では、ラインメモリー103の数が2つに限定されることはない。
【0031】
ラインメモリー103は、受付部101によって受け付けられた画像データを順に記憶して、複数のラインに対応する画像データを記憶する。
ラインメモリー103aは、例えば、(N−2)ラインの画像データが受付部101によって受け付けられた場合に、(N−2)ラインの画像データを記憶する。また、ラインメモリー103aは、例えば、(N−1)ラインの画像データが受付部101によって受け付けられた場合に、記憶している(N−2)ラインの画像データを出力する。ここで、ラインメモリー103aは、画像データを出力する場合、その画像データを構成する画素データを順次出力する。
【0032】
ラインメモリー103bは、例えば、ラインメモリー103aから(N−2)ラインの画像データが出力された場合には、その(N−2)ラインの画像データを記憶する。また、例えば、Nラインの画像データが受付部101によって受け付けられた場合には、ラインメモリー103aが(N−1)ラインの画像データを出力するのと同時に、ラインメモリー103bは、記憶している(N−2)ラインの画像データを出力する。ここで、ラインメモリー103bは、画像データを出力する場合、その画像データを構成する画素データを順次出力する。
【0033】
フィルター処理部104は、エラー検出部102から出力されたエラー検出信号に基づいて、フィルター係数を選択する。すなわち、フィルター処理部104は、エラー検出部102によってエラーが検出されない場合に、画像データに基づく画像を平滑化する第1のフィルター係数を選択する。第1のフィルター係数は、図4に一例を示すようになっている。具体的には、第1のフィルター係数における1行目のフィルター係数は、受付部101から直接的に入力される画像データに適用される。また、第1のフィルター係数における2行目のフィルター係数は、ラインメモリー103aから入力される画像データに適用される。さらに、第1のフィルター係数における3行目のフィルター係数は、ラインメモリー103bから入力される画像データに適用される。また、第1のフィルター係数における1列目、2列目、3列目のフィルター係数それぞれは、互いに異なる画素データに適用される。そして、図4に一例を示す第1のフィルター係数では、2行1列目及び2行3列目が「2/16」に設定され、2行2列目が「4/16」に設定されている。このため、図4に一例を示す第1のフィルター係数では、ラインメモリー103aから出力される画像データが他の画像データよりも重み付けされるようになっている。また、第1のフィルター係数では、フィルター処理部104に入力された複数の画素データのうちの中央部の画素データが他の画素データよりも重み付けされるようになっている。
【0034】
また、フィルター処理部104は、エラー検出部102によってエラーが検出された場合に、画像データに生じたエラーの影響を低減する第2のフィルター係数を選択する。第2のフィルター係数は、フィルター処理部104に入力される複数の画像データのうち、エラーが検出された画像データを消去し、エラーが検出されていない他の画像データで補完するフィルター係数である。第2のフィルター係数における1行目のフィルター係数は、受付部101から直接的に入力される画像データに適用される。また、第2のフィルター係数における2行目のフィルター係数は、ラインメモリー103aから入力される画像データに適用される。さらに、第2のフィルター係数における3行目のフィルター係数は、ラインメモリー103bから入力される画像データに適用される。また、第2のフィルター係数における1列目、2列目、3列目のフィルター係数それぞれは、互いに異なる画素データに適用される。
【0035】
具体的な一例としては、第2のフィルター係数は、図5に示すようになっており、中央のラインに対応する画像データ(ラインメモリー103aから出力された画像データ)を消去して、上のラインに対応する画像データ(受付部101から直に入力された画像データ)、及び下のラインに対応する画像データ(ラインメモリー103bから出力された画像データ)で補完するようなフィルター係数である。すなわち、図5に一例を示す第2のフィルター係数では、2行目が「0」に設定されている。このため、その第2のフィルター係数は、ラインメモリー103aから入力された画像データの影響を排除する。一方、図5に一例を示す第2のフィルター係数は、1行2列目及び3行2列目が「1/2」に設定され、他が「0」に設定される。このため、その第2のフィルター係数は、受付部101から直接的に入力された画像データ及びラインメモリー103bから入力された画像データ(画素データ)であって、フィルター処理部104に入力された複数の画素データのうちの中央部の画素データを利用して補完する。
なお、本発明のフィルター係数は、図4及び図5に一例を示すような3×3のフィルター係数に限定されることはない。
【0036】
さらに、フィルター処理部104は、ラインメモリー103に記憶された複数のラインに対応する画像データ、及び受付部101から直接に入力された画像データに対して選択したフィルター係数を適用してフィルター処理を行う。例えば、フィルター処理部104には、受付部101から直にNラインの画像データが入力され、ラインメモリー103aから(N−1)ラインの画像データが入力され、ラインメモリー103bから(N−2)ラインの画像データが入力される。詳細には、フィルター処理部104には、複数のラインの画像データそれぞれを構成する画素データが順に入力される。すなわち、フィルター処理部104には、Nラインの画像データを構成する画素データa1,a2,a3…が順に入力され、(N−1)ラインの画像データを構成する画素データb1,b2,b3…が順に入力され、(N−2)ラインの画像データを構成する画素データc1,c2,c3…が順に入力される。
【0037】
そして、フィルター処理部104は、第1のフィルター係数が選択された場合、一例として、画素データa1,a2,a3、画素データb1,b2,b3、及び画素データc1,c2,c3に対して第1のフィルター係数を適用し、適用後の結果を加算して出力する。一方、フィルター処理部104は、第2のフィルター係数が選択された場合、一例として、画素データa1,a2,a3、画素データb1,b2,b3、及び画素データc1,c2,c3に対して第2のフィルター係数を適用し、適用後の結果を加算して出力する。
【0038】
より具体的な一例として、図5に一例を示す第2のフィルター係数が選択されている場合、フィルター処理部104は、画素データa1,a2,a3に対して、フィルター係数としてそれぞれ1行3列目の「0」、1行2列目の「1/2」、1行1列目の「0」を適用する。同様に、フィルター処理部104は、画素データb1,b2,b3に対して、フィルター係数としてそれぞれ2行3列目の「0」、2行2列目の「0」、2行1列目の「0」を適用する。同様に、フィルター処理部104は、画素データc1,c2,c3に対して、フィルター係数としてそれぞれ3行3列目の「0」、3行2列目の「1/2」、3行1列目の「0」を適用する。
【0039】
画像処理部105は、フィルター処理部104から入力された画像データに基づく画像に対して、例えば、ズーム等の画像処理を行う。さらに、画像処理部105は、画像処理後の画像データをメインメモリー80に供給する。
【0040】
次に、本実施形態におけるコピー機1の動作について説明する。図6は、コピー機1の動作について説明するためのフローチャートである。
【0041】
ステップST1において、エラー検出部102は、受付部101によって受け付けられた画像データからエラーが検出されたか否かを判断する。エラーが検出されていない場合(No)には、処理は、ステップST2に進む。エラーが検出された場合(Yes)には、処理は、ステップST3に進む。
【0042】
ステップST2において、フィルター処理部104は、第1のフィルター係数を選択する。
一方、ステップST3において、フィルター処理部104は、第2のフィルター係数を選択する。
【0043】
ステップST4において、フィルター処理部104は、選択したフィルター係数を適用して、画像データについてフィルター処理を行う。すなわち、フィルター処理部104は、第1のフィルター係数を選択した場合には、その第1のフィルター係数を画像データに適用してフィルター処理を行う。一方、フィルター処理部104は、第2のフィルター係数を選択した場合には、その第2のフィルター係数を画像データに適用してフィルター処理を行う。
【0044】
以上説明したように、本実施形態のコピー機1によれば、以下の効果が奏される。
すなわち、本実施形態のコピー機1は、エラー検出部102によってエラーが検出されない場合に第1のフィルター係数を選択し、エラー検出部102によってエラーが検出された場合に第2のフィルター係数を選択する。ここで、第2のフィルター係数は、フィルター処理部104に入力される複数の画像データのうち、エラーが検出された画像データを消去し、エラーが検出されていない他の画像データで補完するフィルター係数である。そして、コピー機1は、記憶部に記憶された複数のラインに対応する画像データ、及び受付部101から直接に入力された画像データに対して選択したフィルター係数を適用してフィルター処理を行う。これにより、コピー機1は、簡易な構成により、画像データに生じたエラーを補正することができる。さらに、コピー機1は、簡易な構成であるため、コストの増加を抑えることができる。
【0045】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されることはなく、種々の形態で実施することができる。
本実施形態のコピー機1は、カラーコピー機であるが、この形態に限定されることはなく、モノクロコピー機であってもよい。
また、本実施形態のコピー機1は、中間転写ベルト48を介して用紙Tにトナー画像を転写している(間接転写方式)が、この形態に限定されることはなく、感光体ドラムに形成されたトナー画像を直接に用紙Tに転写してもよい(直接転写方式)。
また、本実施形態のコピー機1は、用紙Tの片面を印刷する構成であるが、これに限定されることはなく、用紙の両面を印刷する構成であってもよい。
【0046】
また、本発明の画像形成装置は、上述したコピー機1に限定されることはない。すなわち、本発明の画像形成装置は、コピー機能、ファクシミリ機能、プリンター機能及びスキャナ機能を備える複合機であってもよい。
また、本実施形態で説明したコピー1は、トナーを利用する形態であるが、本発明はこの形態に限定されることはない。すなわち、画像形成装置は、インクジェットヘッドからインクを吐出して、そのインクを用紙に付着させるインクジェット式の複合機であってもよい。
【0047】
また、本発明の画像形成装置によってトナー画像が定着される被画像形成媒体は用紙Tに限定されることはなく、例えば、OHP(オーバーヘッドプロジェクター)シート等のフィルムシートであってもよい。また、被画像形成媒体は、シート状のものに限定されることはなく、ロール状のものであってもよい。
【符号の説明】
【0048】
1…コピー機(画像形成装置)、100…エラー補正部(エラー補正装置)、101…受付部、102…エラー検出部、103…ラインメモリー(記憶部)、104…フィルター処理部、110…伝送路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1ラインに対応する画像データを順に受け付ける受付部と、
前記受付部によって受け付けられた画像データにエラーが生じている場合に、当該エラーを検出するエラー検出部と、
前記受付部によって受け付けられた画像データを順に記憶して、複数のラインに対応する画像データを記憶する記憶部と、
前記エラー検出部によってエラーが検出されない場合に、画像データに基づく画像を平滑化する第1のフィルター係数を選択し、前記エラー検出部によってエラーが検出された場合に、画像データに生じたエラーの影響を低減する第2のフィルター係数を選択し、前記記憶部に記憶された複数のラインに対応する画像データ、及び前記受付部から直接に入力された画像データに対して選択したフィルター係数を適用してフィルター処理を行うフィルター処理部と、
を備えるエラー補正装置。
【請求項2】
前記第2のフィルター係数は、前記フィルター処理部に入力される複数の画像データのうち、エラーが検出された画像データを消去し、エラーが検出されていない他の画像データで補完するフィルター係数である
請求項1に記載のエラー補正装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のエラー補正装置と、
原稿の画像を読み取って1ラインに対応する画像データを複数生成し、当該画像データを順に出力する原稿読取部と、
前記原稿読取部から出力された画像データを前記受付部に伝送する伝送路と、
を備える画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−17081(P2013−17081A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−149151(P2011−149151)
【出願日】平成23年7月5日(2011.7.5)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】