説明

エレクタ装置及びシリンダ

【課題】 シールド掘進機のエレクタ装置の摺動フレーム用シリンダの収容スペースを小さくすることで、シールドフレーム内のスペース効率を向上させる。
【解決手段】 摺動用シリンダにおいて、第1シリンダ本体55と、第1シリンダ本体55内に前後方向へ相対的に移動可能に設けられた第1ピストン57と、後端部が第1ピストン57に一体的に連結された前端部が吊りビーム31に連結された第1ピストンロッド63と、第1シリンダ本体55に前後方向へ沿って並列になるように一体的に接合された第2シリンダ本体65と、第2シリンダ本体65内に前後方向へ相対的に移動可能に設けられた第2ピストン67と、前端部が第2ピストン67に一体的に連結されると共に後端部が摺動フレーム39に連結された第2ピストンロッド73とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シールド掘進機に用いられかつ掘削した穴の壁面にセグメントを組付けるエレクタ装置、及び該エレクタ装置と共通の技術的特徴を有するシリンダに関する。
【背景技術】
【0002】
シールド掘進機には、掘削した穴の壁面にセグメントを組付けるエレクタ装置が用いられており、前記エレクタ装置の先行技術としては特許文献1に示すものがあって、この先行技術の構成は、次のようになる。なお、前記シールド掘進機は、前記セグメントから反力によって掘進するものである。
【0003】
即ち、前記シールド掘進機における筒状のシールドフレーム内の後部には、リング状の旋回フレームが前記シールドフレームの軸心を中心として旋回可能に設けられいる。また、前記シールドフレーム内には、前記旋回フレームを旋回させる複数の旋回フレーム用モータが周方向へ間隔を置いて配設されている。
【0004】
前記旋回フレームの後側には、弓形状の吊りビームが前記シールドフレームの径方向へ移動可能に設けられている。また、前記旋回フレームには、前記吊りビームを前記径方向へ移動させる一対の吊りビーム用シリンダが設けられており、一対の前記吊りビーム用シリンダは、前記径方向へ移動可能なピストンロッドをそれぞれ備えてあって、一対の前記吊りビーム用シリンダにおけるピストンロッドの先端部は、前記旋回フレームにそれぞれ連結してある。
【0005】
前記吊りビームには、摺動フレームが前後方向へ移動可能に設けられており、前記摺動フレームは、前記セグメントの被把持部を把持する把持機構を備えている。また、前記吊りビームには、前記摺動フレームを前後方向へ移動させる一対の前記摺動フレーム用シリンダが設けられており、一対の前記摺動フレーム用シリンダは、前後方向へ移動可能なピストンロッドをそれぞれ備えてあって、一対の前記摺動フレーム用シリンダにおける前記ピストンロッドの先端部は、前記摺動フレームにそれぞれ連結してある。ここで、前記セグメントには、キーセグメントと、該キーセグメント以外の通常のセグメントがある。
【0006】
従って、前記エレクタ装置によって前記通常のセグメントを前記壁面に組付ける場合には、まず、前記把持機構によって前記通常のセグメントの被把持部を把持した状態の下で、複数の前記旋回フレーム用モータの駆動により前記旋回フレームを前記摺動フレームと一体的に旋回させることにより、前記通常のセグメントを前記壁面のセグメント組付箇所に対向させる。次に、一対の前記吊りビーム用シリンダの駆動により前記吊りビームを前記壁面に接近する前記径方向(外側径方向)へ前記摺動フレームと一体的に移動させることにより、前記通常のセグメントを前記壁面の前記セグメント組付箇所に位置決めする。ここで、前記通常のセグメントを位置決めする際に、一対の前記摺動フレーム用シリンダの駆動により前記摺動フレームを前後方向へ僅かに移動させることにより、前記通常のセグメントを前後方向へ位置調節することもある。そして、ボルト等によって前記通常のセグメントを既設の前記セグメントに一体的に接合することにより、前記通常のセグメントを前記壁面の前記セグメント組付箇所に組付けることができる。
【0007】
一方、前記エレクタ装置によって前記キーセグメントを前記壁面に組付ける場合には、まず、前記把持機構によって前記キーセグメントの被把持部を把持した状態の下で、複数の前記旋回フレーム用モータの駆動により前記旋回フレームを前記摺動フレームと一体的に旋回させると共に、前記摺動フレーム用シリンダの駆動により前記摺動フレームを前方向へ移動させることにより、前記キーセグメントを前記壁面のキーセグメント組付箇所の前側近傍に対向させる。次に、一対の前記吊りビーム用アクチュエータの駆動により前記吊りビームを前記壁面に前記外側径方向へ前記摺動フレームと一体的に移動させることにより、前記キーセグメントを前記壁面の前記キーセグメント組付箇所の前側近傍に位置させる。そして、前記摺動フレーム用シリンダの駆動により前記摺動フレームを後方向へ移動させることにより、前記キーセグメントを隣接する一対の前記セグメント間に挿入させつつ、前記壁面のキーセグメント組付箇所の位置決めする。そして、ボルト等によって前記キーセグメントを既設の前記セグメントに一体的に接合することにより、前記キーセグメントを前記壁面の前記キーセグメント組付箇所に組付けることができる。
【0008】
なお、前記セグメント(前記通常のセグメント、前記キーセグメント)を組付けた後には、前記把持機構の把持状態を解除して、一対の前記吊りビーム用シリンダの駆動により前記吊りビームを前記壁面に離反する前記径方向(内側径方向)へ前記摺動フレームと一体的に移動させることにより、次の前記セグメントを組付けるための準備態勢に入ることができる。
【特許文献1】特開平9−242494号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、近年、前記シールド掘進機による掘進サイクルタイムの短縮化を図るために、前記セグメント(前記通常のセグメント、前記キーセグメント)の幅(前後方向の長さ)が長くなる傾向にあり、それに応じて、前記キーセグメントを組付ける過程における前記摺動フレームの前後方向の移動量、換言すれば、前記摺動フレーム用シリンダの前後方向のストローク量が長くなって、前記摺動フレーム用シリンダの全長が長くなる。そのため、前記摺動フレーム用シリンダが前記旋回フレームと一体的に旋回することもあって、前記摺動フレーム用シリンダの収容に必要なスペース(収容スペース)が大きくなり、前記シールドフレーム内のスペース効率が低下すると共に、前記シールド掘進機の全長が長くなって、前記シールド掘進機の重量が増大するという問題がある。
【0010】
そこで、本発明は、前記摺動フレーム用シリンダの前後方向のストローク量を十分に確保しつつ、前記摺動フレーム用シリンダの全長が長くなることを抑えることができる、新規な構成のエレクタ装置を提供することを第1の目的とし、更に、前記新規な構成のエレクタ装置と共通の技術的特徴を有する、新規な構成のシリンダを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1の特徴は、シールド掘進機に用いられ、掘削した穴の壁面にセグメント組付けるエレクタ装置において、
前記シールド掘進機における筒状のシールドフレーム内の後部に該シールドフレームの軸心を中心として旋回可能に設けられた旋回フレームと、
前記旋回フレームを旋回させる旋回フレーム用アクチュエータと、
前記旋回フレームに前記シールドフレームの径方向へ移動可能に設けられた吊りビームと、
前記吊りビームを前記径方向へ移動させる吊りビーム用アクチュエータと、
前記吊りビームに前後方向へ移動可能に設けられ、前記セグメントの被把持部を把持する把持機構を備えた摺動フレームと、
前記吊りビームに前後方向へ移動可能に設けられた第1シリンダ本体と、該第1シリンダ本体内に前後方向へ相対的に移動可能に設けられかつ前記第1シリンダ本体内を第1ロッド室と第1ヘッド室に前後に区画する第1ピストンと、後端部が前記第1ピストンに一体的に連結されると共に前端部が前記吊りビームに連結されてあって更に前記第1シリンダ本体から前方向へ突出した第1ピストンロッドと、前記第1シリンダ本体に前後方向へ沿って並列になるように一体的に接合された第2シリンダ本体と、該第2シリンダ本体内に前後方向へ相対的に移動可能に設けられかつ前記第2シリンダ本体内を第2ヘッド室と第2ロッド室に前後に区画する第2ピストンと、前端部が前記第2ピストンに一体的に連結されると共に後端部が前記摺動フレームに連結されてあって更に前記第2シリンダ本体から後方向へ突出した第2ピストンロッドとを備え、前記摺動フレームを前後方向へ移動させる摺動フレーム用アクチュエータと、を具備したことである。
【0012】
ここで、「設けられ」とは、直接的に設けられたことの他に、別の部材を介して間接的に設けられたことを含むものであって、例えば、前記第1シリンダ本体が直接的に前記吊りビームに前後方向へ移動可能に設けられる代わりに、前記第1シリンダ本体が前記第2シリンダ本体を介して間接的に前記吊りビームに前後方向へ移動可能に設けられるようにしてもよい。また、前記セグメントには、キーセグメントと、該キーセグメント以外の通常のセグメントがある。
【0013】
続いて、本発明の第1の特徴に係わる前記エレクタ装置の一般的な作用について説明する。
【0014】
即ち、前記エレクタ装置によって前記通常のセグメントを前記壁面に組付ける場合には、まず、前記把持機構によって前記通常のセグメントの被把持部を把持した状態の下で、前記旋回フレーム用アクチュエータの駆動により前記旋回フレームを前記摺動フレームと一体的に旋回させることにより、前記通常のセグメントを前記壁面のセグメント組付箇所に対向させる。次に、前記吊りビーム用アクチュエータの駆動により前記吊りビームを前記壁面に接近する前記径方向(外側径方向)へ前記摺動フレームと一体的に移動させることにより、前記通常のセグメントを前記壁面の前記セグメント組付箇所に位置決めする。ここで、前記通常のセグメントを位置決めする際に、前記摺動フレーム用シリンダの駆動により前記摺動フレームを前後方向へ僅かに移動させることにより、前記通常のセグメントを前後方向へ位置調節することもある。そして、ボルト等によって前記通常のセグメントを既設の前記セグメントに一体的に接合することにより、前記通常のセグメントを前記壁面の前記セグメント組付箇所に組付けることができる。
【0015】
一方、前記エレクタ装置によって前記キーセグメントを前記壁面に組付ける場合には、まず、前記把持機構によって前記キーセグメントの被把持部を把持した状態の下で、前記旋回フレーム用アクチュエータの駆動により前記摺動フレームと一体的に旋回させると共に、前記摺動フレーム用シリンダの駆動により前記摺動フレームを前方向へ移動させることにより、前記キーセグメントを前記壁面のキーセグメント組付箇所の前側近傍に対向させる。次に、前記吊りビーム用アクチュエータの駆動により前記吊りビームを前記壁面に前記外側径方向へ前記摺動フレームと一体的に移動させることにより、前記キーセグメントを前記壁面の前記キーセグメント組付箇所の前側近傍に位置させる。そして、前記摺動フレーム用シリンダの駆動により前記摺動フレームを後方向へ移動させることにより、前記キーセグメントを隣接する一対の前記セグメント間に挿入させつつ、前記壁面の前記キーセグメント組付箇所の位置決めする。そして、ボルト等によって前記キーセグメントを既設の前記セグメントに一体的に接合することにより、前記キーセグメントを前記壁面の前記キーセグメント組付箇所に組付けることができる。
【0016】
なお、前記セグメント(前記通常のセグメント、前記キーセグメント)を組付けた後には、前記把持機構の把持状態を解除して、前記吊りビーム用アクチュエータの駆動により前記吊りビームを前記壁面に離反するように前記径方向(内側径方向)へ前記摺動フレームと一体的に移動させることにより、次の前記セグメントを組付けるための準備態勢に入ることができる。
【0017】
続いて、本発明の第1の特徴に係わる前記エレクタ装置の要部である前記摺動フレーム用シリンダの作用について説明する。
【0018】
即ち、前記第1ロッド室及び前記第2ロッド室に作動流体を供給すると共に、前記第1ヘッド室及び前記第2ヘッド室から作動流体を排出することにより、前記第1ピストンを前記第1シリンダ本体に対して相対的に後方向へ、前記第2ピストンを前記第2シリンダ本体に対して相対的に前方向へそれぞれ移動させる。これにより、前記第1ピストンの相対的な移動量と前記第2ピストンの相対的な移動量との和に相当する量だけ前記摺動フレームを前方向へ移動させることができる。
【0019】
一方、前記第1ヘッド室及び前記第2ヘッド室に作動流体を供給すると共に、前記第1ロッド室及び前記第2ロッド室から作動流体を排出することにより、前記第1ピストンを前記第1シリンダ本体に対して相対的に前方向へ、前記第2ピストンを前記第2シリンダ本体に対して相対的に後方向へそれぞれ移動させる。これにより、前記第1ピストンの相対的な移動量と前記第2ピストンの相対的な移動量との和に相当する量だけ前記摺動フレームを後方向へ移動させることができる。
【0020】
要するに、前記吊りビームに前記第1シリンダ本体が前後方向へ移動可能に設けられ、前記第1シリンダ本体から前方向へ突出した前記第1ピストンロッドの前端部が前記吊りビームに連結されてあって、前記第1シリンダ本体に前記第2シリンダ本体が前後方向へ沿って並列になるように一体的に接合され、前記第2シリンダ本体から後方向へ突出した前記第2ピストンロッドの後端部が前記摺動フレームに連結されているため、前記摺動フレーム用シリンダの前後方向のストローク量を十分に確保しつつ、前記摺動フレーム用シリンダの全長が長くなることを抑えることができる。
【0021】
本発明の第2の特徴は、前記第1ピストンロッドに形成され、作動流体を供給,排出可能なロッド室用ポートと、
前記第1ピストンロッドの内部に形成され、前記ロッド室用ポートと前記第1ロッド室を連通するロッド室用連絡通路と、
前記第1ピストンロッドに形成され、作動流体を供給,排出可能なヘッド室用ポートと、
前記第1ピストンロッドの内部から前記第1ピストンの内部にかけて形成され、前記ヘッド室用ポートと前記第1ヘッド室を連通するヘッド室用連絡通路と、を具備しており、
更に、前記第1ロッド室と前記第2ロッド室は連通してあって、記第1ヘッド室と前記第2ヘッド室は連通してあることである。
【0022】
ここで、「設けられ」とは、直接的に設けられたことの他に、別の部材を介して間接的に設けられたことを含むものであって、例えば、前記第1シリンダ本体が直接的に前記支持部材に前記所定方向へ移動可能に設けられる代わりに、前記第1シリンダ本体が前記第2シリンダ本体を介して間接的に前記支持部材に前記所定方向へ移動可能に設けられるようにしてもよい。
【0023】
続いて、本発明の第2の特徴に係わる前記シリンダの作用について説明する。
【0024】
即ち、前記第1ピストンを前記第1シリンダ本体に対して相対的に他方向へ、前記第2ピストンを前記第2シリンダ本体に対して相対的に一方向へそれぞれ移動させる。これにより、前記第1ピストンの相対的な移動量と前記第2ピストンの相対的な移動量との和に相当する量だけ前記移動体を一方向へ移動させることができる。
【0025】
一方、前記第1ピストンを前記第1シリンダ本体に対して相対的に一方向へ、前記第2ピストンを前記第2シリンダ本体に対して相対的に他方向へそれぞれ移動させる。これにより、前記第1ピストンの相対的な移動量と前記第2ピストンの相対的な移動量との和に相当する量だけ前記移動体を他方向へ移動させることができる。
【0026】
要するに、前記支持部材に前記第1シリンダ本体が前記所定方向へ移動可能に設けられ、前記第1シリンダ本体から一方向へ突出した前記第1ピストンロッドの先端部が前記支持部材に連結されてあって、前記第1シリンダ本体に前記第2シリンダ本体が前記所定方向へ沿って並列になるように一体的に接合され、前記第2シリンダ本体から他方向へ突出した前記第2ピストンロッドの先端部が前記移動体に連結されているため、前記移動体の前記所定方向のストローク量を十分に確保しつつ、前記シリンダの全長が長くなることを抑えることができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明の第1の特徴によれば、前記摺動フレーム用シリンダの前後方向のストローク量を十分に確保しつつ、前記摺動フレーム用シリンダの全長が長くなることを抑えることができるため、前記摺動フレーム用シリンダの収容に必要なスペース(収容スペース)を小さくすることができ、前記シールドフレーム内のスペース効率を向上させることができると共に、前記シールド掘進機の全長が短くなって、前記シールド掘進機の軽量化を図ることができる。
【0028】
また、本発明の第2の特徴によれば、前記移動体の前記所定方向のストローク量を十分に確保しつつ、前記シリンダの全長が長くなることを抑えることができるため、前記シリンダの収容に必要なスペース(収容スペース)を小さくすることができ、前記シリンダ周辺のスペース効率を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
(第1実施形態)
第1実施形態について図1から図4を参照して説明する。
【0030】
ここで、図1は、第1実施形態に係わるエレクタ装置の側面図であって、図2は、第1実施形態に係わるエレクタ装置の要部である摺動フレーム用シリンダの模式的な断面図であって、図3は、図1におけるIII-III線に沿った図であって、図4は、第1実施形態に係わる摺動フレームを後からみた図である。なお、図面中、「FF」は、前方向を指してあって、「FR」は、後方向を指してある。
【0031】
図1及び図3に示すように、第1実施形態に係わるエレクタ装置1は、シールド掘進機3に用いられ、かつ掘削した穴の壁面5にセグメント7を組付けるものである。なお、シールド掘進機3は、筒状のシールドフレーム9を掘進機本体として具備してあって、シールドフレーム9内に配設された複数のシールドジャッキ11の駆動によって既設のセグメント7(7’)から反力を得て前進するものである。また、セグメント7(7’)には、キーセグメント7’と、キーセグメント7’以外の通常のセグメント7がある。
【0032】
続いて、第1実施形態に係わるエレクタ装置1の具体的な構成について説明する。
【0033】
シールドフレーム9内の後部には、回転自在な複数の支持ローラ13がブラケット15を介して周方向へ間隔を置いて配設されており、複数の支持ローラ13には、リング状の旋回フレーム17がシールドフレーム9の軸心を中心として旋回可能に設けられてあって、換言すれば、シールドフレーム9内の後部には、リング状の旋回フレーム17がシールドフレーム9の軸心を中心として旋回可能かつ複数の支持ローラ13を介して間接的に設けられている。また、旋回フレーム17は、後方向へ突出した一対の突出部19を備えており、一対の突出部19は、シールドフレーム9の軸心を基準として対称関係にある。
【0034】
更に、シールドフレーム9内には、旋回フレーム17を旋回させる複数の旋回フレーム用モータ(旋回フレーム用アクチュエータの一例)21がブラケット23を介して周方向に間隔を置いて配設されており、複数の旋回フレーム用モータ21の出力軸には、主動ピニオン25が一体的にそれぞれ設けられてあって、旋回フレーム17の前側には、複数の主動ピニオン25に噛合したリング状の従動ギア27が一体的に設けられている。
【0035】
旋回フレーム17における一対の突出部19には、スライドバー29がシールドフレーム9の径方向へ移動可能かつ離脱不能にそれぞれ設けられており、一対のスライドバー29の先端部には、弓形状の吊りビーム31が連結するように一体的に設けられてあって、換言すれば、旋回フレーム17には、弓形状の吊りビーム31が前記径方向へ移動可能かつスライドバー29を介して間接的に設けられている。
【0036】
また、旋回フレーム17における突出部19の前側には、吊りビーム31を前記径方向へ移動させる一対の吊りビーム用シリンダ(吊りビーム用アクチュエータの一例)33がそれぞれ設けられており、一対の吊りビーム用シリンダ33は、前記径方向へ移動可能なピストンロッド35をそれぞれ備えてあって、一対の吊りビーム用シリンダ33におけるピストンロッド35の先端部は、吊りビーム31の端部にそれぞれ連結されている。
【0037】
吊りビーム31の中央部には、前後方向へ延びた一対のガイドバー37が設けられており、一対のガイドバー37には、摺動フレーム39が前後方向へ移動可能に設けられてあって、換言すれば、吊りビーム31の中央部には、摺動フレーム39が前後方向へ移動可能かつ一対のガイドバー37を介して間接的に設けられている。また、摺動フレーム39は、一対のガイドバー37に前後方向へ移動可能に案内される摺動フレーム本体41と、この摺動フレーム本体41に設けられかつセグメント7(7’)の被把持金具(被把持部)43を把持する把持機構45と、摺動フレーム本体41における把持機構45の両側に設けられかつセグメント7(7’)の内面を押圧する押圧ジャッキ47とを備えている。ここで、把持機構45は、被把持金具43を挟み込む一対の把持アーム49と、被把持金具43の係合穴(図示省略)及び把持アーム49の係合穴(図示省略)に係合可能なセグメントピン51とを備えている。
【0038】
なお、被把持金具43は、セグメント7(7’)に螺合してあって、セグメント7(7’)の組付が終了した後においてはセグメント7(7’)から取り外される。また、把持機構45は、前述のようにセグメントピン51の係合によって一対の把持アーム49により被把持金具43を把持する代わりに、一対の把持アーム49を接近・離反する方向へ移動させることによって一対の把持アーム49により被把持金具43を把持するようにしても差し支えない。
【0039】
図1及び図4に示すように、吊りビーム31には、摺動フレーム39を前後方向へ移動させる摺動フレーム用シリンダ53が設けられており、摺動フレーム用シリンダ53の具体的な構成は、次のようになる。
【0040】
即ち、図1及び図2に示すように、吊りビーム31には、第1シリンダ本体55が前後方向へ移動可能に設けれており、この第1シリンダ本体55内には、第1ピストン57が前後方向へ相対的に移動可能に設けられてあって、この第1ピストン57は、第1シリンダ本体55内を第1ロッド室59と第1ヘッド室61に前後に区画するものである。そして、第1ピストン57には、第1ピストンロッド63の後端部(基端部)が一体的に連結されており、第1ピストンロッド63の前端部(先端部)は、第1シリンダ本体55から前方向へ突出してあって、吊りビーム31の前部に連結されている。
【0041】
吊りビーム31には、第2シリンダ本体65が前後方向へ移動可能に設けられており、この第2シリンダ本体65は、第1シリンダ本体55に前後方向へ沿って並列になるように一体的に接合されている。また、第2シリンダ本体65内には、第2ピストン67が前後方向へ相対的に移動可能に設けられてあって、この第2ピストン67は、第2シリンダ本体65内を第2ヘッド室69と第2ロッド室71に前後に区画するものである。そして、第2ピストン67には、第2ピストンロッド73の前端部(基端部)が一体的に連結されており、第2ピストンロッド73の後端部(先端部)は、第2シリンダ本体65から後方向へ突出してあって、摺動フレーム39に連結されている。
【0042】
第1ピストンロッド63の前端付近には、作動油(作動流体の一例)を供給,排出可能なロッド室用ポート75が形成されており、第1ピストンロッド63の内部には、ロッド室用ポート75と第1ロッド室59を連通するロッド室用連絡通路77が形成されている。また、第1ピストンロッド63の前端付近には、作動油を供給,排出可能なヘッド室用ポート79が形成されており、第1ピストンロッド63の内部から第1ピストン57の内部にかけて、ヘッド室用ポート79と第1ヘッド室61を連通するヘッド室用連絡通路81が形成されている。更に、第1シリンダ本体55の内部から第2シリンダ本体65の内部にかけて、第1ロッド室59と第2ロッド室71を連通するロッド室用連絡通路83、及び第1ヘッド室61と第2ヘッド室69を連通するヘッド室用連絡通路85がそれぞれ形成されている。なお、ロッド室用連絡通路83及びヘッド室用連絡通路85の代わりに、第1ロッド室59と第2ロッド室71を連通するロッド室用連絡配管、及び第1ヘッド室61と第2ヘッド室69を連通するヘッド室用連絡配管を用いても差し支えない。
【0043】
続いて、第1実施形態に係わるエレクタ装置1の一般的な作用について説明する。
【0044】
即ち、エレクタ装置1によって通常のセグメント7を壁面5に組付ける場合には、まず、把持機構45によって通常のセグメント7の被把持部43を把持しかつ複数の押圧ジャッキ47によって通常のセグメント7の内面を押圧した状態の下で、複数の旋回フレーム用モータ21の駆動により旋回フレーム17を摺動フレーム39と一体的に旋回させることにより、通常のセグメント7を壁面5のセグメント組付箇所に対向させる。次に、一対の吊りビーム用シリンダ33の駆動により吊りビーム31を壁面5に接近する前記径方向(外側径方向)へ摺動フレーム39と一体的に移動させることにより、通常のセグメント7を壁面5の前記セグメント組付箇所に位置決めする。ここで、通常のセグメント7を位置決めする際に、摺動フレーム用シリンダ53の駆動により摺動フレーム39を前後方向へ僅かに移動させることにより、通常のセグメント7を前後方向へ位置調節することもある。そして、ボルト等によって通常のセグメント7を既設のセグメント7(7’)に一体的に接合することにより、通常のセグメント7を壁面5の前記セグメント組付箇所に組付けることができる。
【0045】
一方、エレクタ装置1によってキーセグメント7’を壁面5に組付ける場合には、まず、把持機構45によってキーセグメント7’の被把持部43を把持しかつ複数の押圧ジャッキ47によって通常のセグメント7の内面を押圧した状態の下で、複数の旋回フレーム用モータ21の駆動により旋回フレーム17を摺動フレーム39と一体的に旋回させると共に、摺動フレーム用シリンダ53の駆動により摺動フレーム39を前方向へ移動させることにより、キーセグメント7’を壁面5のキーセグメント組付箇所の前側近傍に対向させる。次に、一対の吊りビーム用シリンダ33の駆動により吊りビーム31を壁面5に前記外側径方向へ摺動フレーム39と一体的に移動させることにより、キーセグメント7’を壁面5の前記キーセグメント組付箇所の前側近傍に位置させる。そして、摺動フレーム用シリンダ53の駆動により摺動フレーム39を後方向へ移動させることにより、キーセグメント7’を隣接する一対のセグメント7間に挿入させつつ、壁面5の前記キーセグメント組付箇所の位置決めする。そして、ボルト等によってキーセグメント7’を既設のセグメント7(7’)に一体的に接合することにより、キーセグメント7’を壁面5の前記キーセグメント組付箇所に組付けることができる。
【0046】
なお、セグメント(通常のセグメント7、キーセグメント7’)を組付けた後には、把持機構45の把持状態を解除して、一対の吊りビーム用シリンダ33の駆動により吊りビーム31を壁面5に離反するように前記径方向(内側径方向)へ摺動フレーム39と一体的に移動させることにより、次のセグメント7(7’)を組付けるための準備態勢に入ることができる。
【0047】
続いて、エレクタ装置1の要部である摺動フレーム用シリンダ53の作用について説明する。
【0048】
即ち、ロッド室用ポート75からロッド室用連絡通路77,83を介して第1ロッド室59内及び第2ロッド室71内に作動流体を供給すると共に、第1ヘッド室61内及び第2ヘッド室69内の作動油をヘッド室用連絡通路81,85を介してヘッド室用ポート79から排出することにより、第1ピストン57を第1シリンダ本体55に対して相対的に後方向へ、第2ピストン67を第2シリンダ本体65に対して相対的に前方向へそれぞれ移動させる。これにより、第1ピストン57の相対的な移動量と第2ピストン67の相対的な移動量との和に相当する量だけ摺動フレーム39を前方向へ移動させることができる。
【0049】
一方、ヘッド室用ポート79からヘッド室用連絡通路81,85を介して第1ヘッド室61内及び第2ヘッド室69内に作動油を供給すると共に、第1ロッド室59内及び第2ロッド室71内の作動油をロッド室用連絡通路77,83を介してロッド室用ポート75から排出することにより、第1ピストン57を第1シリンダ本体55に対して相対的に前方向へ、第2ピストン67を第2シリンダ本体65に対して相対的に後方向へそれぞれ移動させる。これにより、第1ピストン57の相対的な移動量と第2ピストン67の相対的な移動量との和に相当する量だけ摺動フレーム39を後方向へ移動させることができる。
【0050】
要するに、吊りビーム31に第1シリンダ本体55が前後方向へ移動可能に設けられ、第1シリンダ本体55から前方向へ突出した第1ピストンロッド63の前端部が吊りビーム31に連結されてあって、第1シリンダ本体55に第2シリンダ本体65が前後方向へ沿って並列になるように一体的に接合され、第2シリンダ本体65から後方向へ突出した第2ピストンロッド73の後端部が摺動フレーム39に連結されているため、摺動フレーム用シリンダ53の前後方向のストローク量を十分に確保しつつ、摺動フレーム用シリンダ53の全長が長くなることを抑えることができる。
【0051】
また、第1ピストンロッド63の内部にロッド室用ポート75と第1ロッド室59を連通するロッド室用連絡通路77が形成され、第1ピストンロッド63の内部から第1ピストン57の内部にかけてヘッド室用ポート79と第1ヘッド室61を連通するヘッド室用連絡通路81が形成され、2つのロッド室(第1ロッド室59と第2ロッド室71)が連通してあって、2つのヘッド室(第1ヘッド室61と第2ヘッド室69)が連通してあるため、第1ピストンロッド63に形成された2つのポート(ロッド室用ポート75とヘッド室用ポート79)から作動油を供給,排出することによって、 2つのロッド室59,71内及び2つのヘッド室61,69内に対して作動油をそれぞれ供給,排出することができる。
【0052】
以上の如き、第1実施形態によれば、摺動フレーム用シリンダ53の前後方向のストローク量を十分に確保しつつ、摺動フレーム用シリンダ53の全長が長くなることを抑えることができるため、摺動フレーム用シリンダ53の収容に必要なスペース(収容スペース)を小さくすることができ、シールドフレーム9内のスペース効率を向上させることができると共に、シールド掘進機3の全長が短くなって、シールド掘進機3の軽量化を図ることができる。
【0053】
また、第1ピストンロッド63に形成された2つのポート(ロッド室用ポート75とヘッド室用ポート79)から作動油を供給,排出することによって、 2つのロッド室59,71内及び2つのヘッド室61,69内に対して作動油をそれぞれ供給,排出することができるため、作動油の配管ユニットを2つポート75,79、換言すれば、吊りビーム31に対する固定側に接続すれば足り、作動油の配管ユニットのメンテナンス性が向上する。
【0054】
(第2実施形態)
第2実施形態について図5を参照して説明する。
【0055】
ここで、図5は、第2実施形態に係わるシリンダを示す模式的な図である。なお、図面中、「FF」は、前方向を指してあって、「FR」は、後方向を指してある。
【0056】
図5に示すように、第2実施形態に係わるシリンダ87は、支持部材89に対して移動体91を前後方向へ移動させるアクチュエータであって、前述のエレクタ装置1等の他、種々の装置に用いられる。そして、第2実施形態に係わるシリンダ87の具体的な構成は次のようになる。
【0057】
即ち、支持部材89には、第1シリンダ本体93が前後方向へ移動可能に設けられており、この第1シリンダ本体93内には、第1ピストン95が前後方向へへ相対的に移動可能に設けられてあって、この第1ピストン95は、第1シリンダ本体93内を第1ロッド室97と第1ヘッド室99に前後に区画するものである。そして、第1ピストン95には、第1ピストンロッド101の後端部(基端部)が一体的に連結されており、第1ピストンロッド101の前端部(先端部)は、第1シリンダ本体93から前方向(一方向)へ突出してあって、支持部材89の連結部89aに連結されている。
【0058】
第1シリンダ本体93には、第2シリンダ本体103が前後方向へ沿って並列になるように一体的に接合されており、この第2シリンダ本体103内には、第2ピストン105が前後方向へ相対的に移動可能に設けられあって、第2ピストン105は、第2シリンダ本体103内を第2ヘッド室107と第2ロッド室109に区画するものである。そして、第2ピストン105には、第2ピストンロッド111の前端部(基端部)が一体的に連結されおり、第2ピストンロッド111の後端部(先端部)は、第2シリンダ本体103から後方向(他方向)へ突出してあって、移動体91に連結されている。
【0059】
第1ピストンロッド101の前端付近には、作動流体を供給,排出可能なロッド室用ポート113が形成されており、第1ピストンロッド101の内部には、ロッド室用ポート113と第1ロッド室97を連通するロッド室用連絡通路115が形成されている。また、第1ピストンロッド101の前端付近には、作動油を供給,排出可能なヘッド室用ポート117が形成されており、第1ピストンロッド101の内部から第1ピストン95の内部にかけて、ヘッド室用ポート117と第1ヘッド室99を連通するヘッド室用連絡通路119が形成されている。更に、第1シリンダ本体93の内部から第2シリンダ本体103の内部にかけて、第1ロッド室97と第2ロッド室109を連通するロッド室用連絡通路121、及び第1ヘッド室99と第2ヘッド室107を連通するヘッド室用連絡通路123がそれぞれ形成されている。なお、ロッド室用連絡通路121及びヘッド室用連絡通路123の代わりに、第1ロッド室97と第2ロッド室109を連通するロッド室用連絡配管、及び第1ヘッド室99と第2ヘッド室107を連通するヘッド室用連絡配管を用いても差し支えない。
【0060】
続いて、第2実施形態に係わるシリンダ87の作用について説明する。
【0061】
即ち、ロッド室用ポート113からロッド室用連絡通路115,121を介して第1ロッド室97内及び第2ロッド室109内に作動流体を供給すると共に、第1ヘッド室99内及び第2ヘッド室107内の作動油をヘッド室用連絡通路119,123を介してヘッド室用ポート117から排出することにより、第1ピストン95を第1シリンダ本体93に対して相対的に後方向へ、第2ピストン105を第2シリンダ本体103に対して相対的に前方向へそれぞれ移動させる。これにより、第1ピストン95の相対的な移動量と第2ピストン105の相対的な移動量との和に相当する量だけ移動体91を前方向へ移動させることができる。
【0062】
一方、ヘッド室用ポート117からヘッド室用連絡通路119,123を介して第1ヘッド室99内及び第2ヘッド室107内に作動油を供給すると共に、第1ロッド室97内及び第2ロッド室109内の作動油をロッド室用連絡通路115,121を介してロッド室用ポート113から排出することにより、第1ピストン95を第1シリンダ本体93に対して相対的に前方向へ、第2ピストン105を第2シリンダ本体103に対して相対的に後方向へそれぞれ移動させる。これにより、第1ピストン95の相対的な移動量と第2ピストン105の相対的な移動量との和に相当する量だけ移動体91を後方向へ移動させることができる。
【0063】
要するに、支持部材89に第1シリンダ本体93が前後方向へ移動可能に設けられ、第1シリンダ本体93から前方向へ突出した第1ピストンロッド101の前端部が支持部材89の連結部89aに連結されてあって、第1シリンダ本体93に第2シリンダ本体103が前後方向へ沿って並列になるように一体的に接合され、第2シリンダ本体103から後方向へ突出した第2ピストンロッド111の後端部が移動体91に連結されているため、シリンダ87の前後方向のストローク量を十分に確保しつつ、シリンダ87の全長が長くなることを抑えることができる。
【0064】
また、第1ピストンロッド101の内部にロッド室用ポート113と第1ロッド室97を連通するロッド室用連絡通路115が形成され、第1ピストンロッド101の内部から第1ピストン95の内部にかけてヘッド室用ポート117と第1ヘッド室99を連通するヘッド室用連絡通路119が形成され、2つのロッド室(第1ロッド室97と第2ロッド室109)が連通してあって、2つのヘッド室(第1ヘッド室99と第2ヘッド室107)が連通してあるため、第1ピストンロッド101に形成された2つのポート(ロッド室用ポート113とヘッド室用ポート117)から作動油を供給,排出することによって、 2つのロッド室97,109内及び2つのヘッド室99,107内に対して作動油をそれぞれ供給,排出することができる。
【0065】
以上の如き、第2実施形態によれば、シリンダ87の前後方向のストローク量を十分に確保しつつ、シリンダ87の全長が長くなることを抑えることができるため、シリンダ87の収容に必要なスペース(収容スペース)を小さくすることができ、シリンダ87周辺のスペース効率を向上させることができる。
【0066】
また、第1ピストンロッド101に形成された2つのポート113,117から作動油を供給,排出することによって、 2つのロッド室97,109内及び2つのヘッド室99,107内に対して作動油をそれぞれ供給,排出することができるため、作動油の配管ユニットを2つポート113,117、換言すれば、支持部材89側に接続すれば足り、作動油の配管ユニットのメンテナンス性が向上する。
【0067】
(第2実施形態の変形例)
第2実施形態の変形例について図6を参照して説明する。
【0068】
ここで、図6は、第2実施形態の変形例に係わるシリンダの変形例を示す模式的な図である。なお、図面中、「FF」は、前方向を指してあって、「FR」は、後方向を指してある。
【0069】
図6に示すように、第2実施形態の変形例に係わるシリンダ125の構成は、シリンダ87の構成と略同じであるが、第2実施形態の変形例に係わるシリンダ125は、第2実施形態に係わるシリンダ87の構成要素であるロッド室用ポート113とロッド室用連絡通路115,121を省略して、第1ロッド室97に設けられかつ第1ピストン95を前方向へ付勢する第1スプリング127と、第2ロッド室109に設けられかつ第2ピストン105を後方向へ付勢する第2スプリング129とを具備している。
【0070】
なお、ロッド室用ポート113とロッド室用連絡通路115,121を省略して、第1ピストン95を前方向へ付勢する第1スプリング127と、第2ピストン105を後方向へ付勢する第2スプリング129とを具備する代わりに、ヘッド室用ポート117とヘッド室用連絡通路119,123とを省略して、第1ヘッド室99に設けられかつ第1ピストン95を前方向へ付勢する別の第1スプリングと、第2ヘッド室107に設けられかつ第2ピストン105を後方向へ付勢する別の第2スプリングとを具備しても差し支えない。
【0071】
そして、第2実施形態の変形例に係わるシリンダ125は、前述の第2実施形態に係わるシリンダ87の作用と同様の作用を有し、第2実施形態の変形例においても、前述の第2実施形態の効果と同様の効果を奏する。
【0072】
なお、本発明は、前述の実施形態の説明に限るものではなく、適宜の変更を行うことにより、その他種々の態様で実施可能である。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】第1実施形態に係わるエレクタ装置の側面図である。
【図2】第1実施形態に係わるエレクタ装置の要部である摺動フレーム用シリンダの模式的な断面図である。
【図3】図1におけるIII-III線に沿った図である
【図4】第1実施形態に係わる摺動フレームを後からみた図である。
【図5】第2実施形態に係わるシリンダを示す模式的な図である。
【図6】第2実施形態の変形例に係わるシリンダを示す模式的な図である。
【符号の説明】
【0074】
1 エレクタ装置
3 シールド掘進機
5 壁面
7 セグメント
7’ キーセグメント
9 シールドフレーム
17 旋回フレーム
21 旋回フレーム用モータ
31 吊りビーム
31 吊りビーム用シリンダ
39 摺動フレーム
45 把持機構
53 摺動フレーム用シリンダ
55 第1シリンダ本体
57 第1ピストン
59 第1ロッド室
61 第1ヘッド室
63 第1ピストンロッド
65 第2シリンダ本体
67 第2ピストン
69 第2ヘッド室
71 第2ロッド室
73 第2ピストンロッド
75 ロッド室用ポート
77 ロッド室用連絡通路
79 ヘッド室用ポート
81 ヘッド室用連絡通路
87 シリンダ
89 支持部材
91 移動体
93 第1シリンダ本体
95 第1ピストン
97 第1ロッド室
99 第1ヘッド室
101 第1ピストンロッド
103 第2シリンダ本体
105 第2ピストン
107 第2ヘッド室
109 第2ロッド室
111 第2ピストンロッド
113 ロッド室用ポート
115 ロッド室用連絡通路
117 ヘッド室用ポート
119 ヘッド室用連絡通路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シールド掘進機に用いられ、掘削した穴の壁面にセグメント組付けるエレクタ装置において、
前記シールド掘進機における筒状のシールドフレーム内の後部に該シールドフレームの軸心を中心として旋回可能に設けられた旋回フレームと、
前記旋回フレームを旋回させる旋回フレーム用アクチュエータと、
前記旋回フレームに前記シールドフレームの径方向へ移動可能に設けられた吊りビームと、
前記吊りビームを前記径方向へ移動させる吊りビーム用アクチュエータと、
前記吊りビームに前後方向へ移動可能に設けられ、前記セグメントの被把持部を把持する把持機構を備えた摺動フレームと、
前記吊りビームに前後方向へ移動可能に設けられた第1シリンダ本体と、該第1シリンダ本体内に前後方向へ相対的に移動可能に設けられかつ前記第1シリンダ本体内を第1ロッド室と第1ヘッド室に前後に区画する第1ピストンと、後端部が前記第1ピストンに一体的に連結されると共に前端部が前記第1シリンダ本体から前方向へ突出してあって前記吊りビームに連結された第1ピストンロッドと、前記第1シリンダ本体に前後方向へ沿って並列になるように一体的に接合された第2シリンダ本体と、該第2シリンダ本体内に前後方向へ相対的に移動可能に設けられかつ前記第2シリンダ本体内を第2ヘッド室と第2ロッド室に前後に区画する第2ピストンと、前端部が前記第2ピストンに一体的に連結されると共に後端部が前記第2シリンダ本体から後方向へ突出してあって前記摺動フレームに連結された第2ピストンロッドとを備え、前記摺動フレームを前後方向へ移動させる摺動フレーム用シリンダと、を具備したことを特徴とするエレクタ装置。
【請求項2】
前記第1ピストンロッドに形成され、作動流体を供給,排出可能なロッド室用ポートと、
前記第1ピストンロッドの内部に形成され、前記ロッド室用ポートと前記第1ロッド室を連通するロッド室用連絡通路と、
前記第1ピストンロッドに形成され、作動流体を供給,排出可能なヘッド室用ポートと、
前記第1ピストンロッドの内部から前記第1ピストンの内部にかけて形成され、前記ヘッド室用ポートと前記第1ヘッド室を連通するヘッド室用連絡通路と、を具備しており、
更に、前記第1ロッド室と前記第2ロッド室が連通してあって、記第1ヘッド室と前記第2ヘッド室が連通してあることを特徴とする請求項1に記載のエレクタ装置。
【請求項3】
支持部材に対して移動体を所定方向へ移動させるシリンダにおいて、
前記支持部材に前記所定方向へ移動可能に設けられた第1シリンダ本体と、
前記第1シリンダ本体内に前記所定方向へ相対的に移動可能に設けられ、前記第1シリンダ本体内を第1ロッド室と第1ヘッド室に区画する第1ピストンと、
基端部が前記第1ピストンに一体的に連結され、先端部が前記第1シリンダ本体から一方向へ突出してあって前記支持部材に連結された第1ピストンロッドと、
前記第1シリンダ本体に前記所定方向へ沿って並列になるように一体的に接合された第2シリンダ本体と、
前記第2シリンダ本体内に前記所定方向へ相対的に移動可能に設けられ、前記第2シリンダ本体内を第2ヘッド室と第2ロッド室に区画する第2ピストンと、
基端部が前記第2ピストンに一体的に連結され、先端部が前記第2シリンダ本体から他方向へ突出してあって前記移動体に連結された第2ピストンロッドと、を具備したことを特徴とするシリンダ。
【請求項4】
前記第1ピストンロッドに形成され、作動流体を供給,排出可能なロッド室用ポートと、
前記第1ピストンロッドの内部に形成され、前記ロッド室用ポートと前記第1ロッド室を連通するロッド室用連絡通路と、
前記第1ピストンロッドに形成され、作動流体を供給,排出可能なヘッド室用ポートと、
前記第1ピストンロッドの内部から前記第1ピストンの内部にかけて形成され、前記ヘッド室用ポートと前記第1ヘッド室を連通するヘッド室用連絡通路と、を具備しており、
更に、前記第1ロッド室と前記第2ロッド室が連通してあって、記第1ヘッド室と前記第2ヘッド室が連通してあることを特徴とする請求項3に記載のシリンダ。
【請求項5】
前記第1ピストンロッドに形成され、作動流体を供給,排出可能なヘッド室用ポートと、
前記第1ピストンロッドの内部から前記第1ピストンの内部にかけて形成され、前記ヘッド室用ポートと前記第1ヘッド室を連通するヘッド室用連絡通路と、
前記第1ロッド室内に設けられ、前記第1ピストンを他方向へ付勢する第1スプリングと、
前記第2ロッド室内に設けられ、前記第2ピストンを一方向へ付勢する第2スプリングと、を具備しており、
更に、記第1ヘッド室と前記第2ヘッド室が連通してあることを特徴とする請求項3に記載のシリンダ。
【請求項6】
前記第1ピストンロッドに形成され、作動流体を供給,排出可能なロッド室用ポートと、
前記第1ピストンロッドの内部にかけて形成され、前記ロッド室用ポートと前記第1ロッド室を連通するロッド室用連絡通路と、
前記第1ヘッド室内に設けられ、前記第1ピストンを一方向へ付勢する第1スプリングと、
前記第2ヘッド室内に設けられ、前記第2ピストンを他方向へ付勢する第2スプリングと、を具備しており、
更に、記第1ロッド室と前記第2ロッド室が連通してあることを特徴とする請求項3に記載のシリンダ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−274716(P2006−274716A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−97680(P2005−97680)
【出願日】平成17年3月30日(2005.3.30)
【出願人】(000000099)石川島播磨重工業株式会社 (5,014)
【Fターム(参考)】