説明

エレクトロルミネッセンス装置の製造方法、エレクトロルミネッセンス装置、電子機器

【課題】低い温度で基板を貼り合わせることが可能な擬似トップエミッション構造のエレクトロルミネッセンス装置の製造方法、当該エレクトロルミネッセンス装置、および当該エレクトロルミネッセンス装置を搭載した電子機器を提供すること。
【解決手段】有機EL装置1の製造方法は、TFT側機能層12が形成されたマザーガラス基板11m上に樹脂材料50aを配置する工程と、EL側機能層22が形成されたマザーガラス基板21m上に導電ペースト60、硬化促進剤50bを配置する工程と、両基板を貼り合わせて樹脂材料50aと硬化促進剤50bとを混合することによって、樹脂材料50aを硬化させ、接着剤50とすることによって接着する工程とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、互いに対向して貼り合わされた2枚の基板を有するエレクトロルミネッセンス装置の製造方法、当該エレクトロルミネッセンス装置、および当該エレクトロルミネッセンス装置を搭載した電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、エレクトロルミネッセンス(以下「EL」とも略す)装置は、陽極としての透明電極と陰極との間に有機発光層を備える構成において、両極間に印加された電圧に応じて有機発光層を発光させ、その光を透明電極側から取り出すものである。陰極は、光の取り出し効率を上げるための反射膜としても機能するよう、金属の薄膜によって構成される場合が多い。
【0003】
こうしたEL装置は、ボトムエミッションタイプとトップエミッションタイプに大別される。ボトムエミッションタイプのEL装置は、基板上に透明電極、有機発光層、陰極がこの順に形成された構成を有し、基板側から光を取り出す装置である。一方、トップエミッションタイプのEL装置は、基板上に陰極、有機発光層、透明電極がこの順に形成された構成を有し、基板とは反対側から光を取り出す装置である。
【0004】
ボトムエミッションタイプには、TFT素子等の駆動素子の存在によって開口率が低下するという問題があるが、トップエミッションタイプにおいてはこうした問題は生じない。一方、トップエミッションタイプには、有機発光層の保護のための封止を光の取り出し側において行わなければならないという問題がある。トップエミッションタイプにおいて、効果的な封止を行うことと、良好な光学特性を維持することの両立には技術的な困難が伴う。
【0005】
そこで、上記開口率および封止の問題をともに解消可能な構成が提案されている(特許文献1参照)。これは、ボトムエミッションタイプの基板から駆動素子を除いたEL基板と、駆動素子を備えた別のTFT基板とを貼り合わせたものである(以下本稿では、こうした構成を「擬似トップエミッション」とも呼ぶ)。この構成によれば、EL基板には駆動素子がないため、トップエミッションタイプと同様に高開口率化が可能である。また、EL基板は基本的にボトムエミッション構造であるので、封止は光の取り出し側と反対側において、光学特性に関する制約なく行うことができる。
【0006】
【特許文献1】特開平11−3048号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、こうした擬似トップエミッション構造のEL装置の製造には、両基板を接着する際に、熱硬化性の接着剤を使わなければならないという制約がある。EL基板には金属の陰極が全面に配置され、またTFT基板には素子や配線が高密度で配置されているため、両基板とも光を透過せず、光硬化性の接着剤が使用できないからである。そして、一般に有機発光層は熱に弱いため、接着剤の硬化のための加熱によって劣化し、光学特性が低下してしまうという問題点があった。
【0008】
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、低い温度で基板を貼り合わせることが可能な擬似トップエミッション構造のエレクトロルミネッセンス装置の製造方法、当該エレクトロルミネッセンス装置、および当該エレクトロルミネッセンス装置を搭載した電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明のエレクトロルミネッセンス装置の製造方法は、互いに対向して貼り合わされた第1の基板および第2の基板を有し、複数の画素を含む発光領域において発光を行うエレクトロルミネッセンス装置の製造方法であって、前記第1の基板の対向面に、前記画素ごとに配置されたスイッチング素子を有する第1の機能層を形成する工程と、前記第2の基板の対向面に、透光性を有する電極と、前記電極上に配置された有機発光層と、前記有機発光層上に前記画素ごとに配置された金属の陰極とを有する第2の機能層を形成する工程と、前記第1の機能層上または前記第2の機能層上であって、前記第1の基板と前記第2の基板とが貼り合わされる際に前記陰極と前記スイッチング素子のいずれにも電気的に接続される位置に、導電性を有するペーストを前記画素ごとに配置する工程と、前記第1の基板の対向面または前記第2の基板の対向面に、前記発光領域を囲って樹脂材料を配置する工程と、前記第1の基板の対向面または前記第2の基板の対向面のうち、前記樹脂材料が配置されていない面であって、少なくとも前記第1の基板と前記第2の基板とが貼り合わされる際に前記樹脂材料と接触する位置に、前記樹脂材料を硬化させる硬化促進剤を配置する工程と、前記第1の基板と前記第2の基板とを貼り合わせる工程とを有することを特徴とする。
【0010】
こうした方法によれば、第1の基板と第2の基板とを貼り合わせる工程において樹脂材料と硬化促進剤が混合されるので、50℃程度の低温か、または常温で樹脂材料が硬化する。硬化した樹脂材料は両基板を接着する接着剤として機能する。このように、上記方法によれば、擬似トップエミッション構造のエレクトロルミネッセンス装置の製造に際して、高温に加熱することなく第1の基板と第2の基板とを接着することができるので、熱による有機発光層の劣化、および当該劣化によるエレクトロルミネッセンス装置の表示品位の低下を防止することができる。
【0011】
ここで、貼り合わせの工程以前の、第1の基板、第2の基板それぞれに関する工程は、互いに独立に行うことができる。いずれかの基板に関する工程を先に行ってもよいし、両基板の工程を同時に、あるいは交互に進めてもよい。また、導電性を有するペーストを配置する工程は、樹脂材料を配置する工程、または硬化促進剤を配置する工程の後であってもよい。
【0012】
硬化促進剤は、ペーストを硬化させる機能を併せ持っているものとすることもできる。このとき、当該硬化促進剤を配置する工程は、前記第1の基板の対向面または前記第2の基板の対向面のうち、前記樹脂材料が配置されていない面であって、前記第1の基板と前記第2の基板とが貼り合わされる際に、前記樹脂材料と接触する位置および前記ペーストと接触する位置に少なくとも配置する工程とすることが好ましい。この方法によれば、第1の基板と第2の基板とを貼り合わせる工程においてペーストと硬化促進剤が混合され、50℃程度の低温か、または常温でペーストが硬化し、両基板の接着強度の向上に寄与する。
【0013】
本発明によるエレクトロルミネッセンス装置の製造方法は、互いに対向して貼り合わされた第1の基板および第2の基板を有し、複数の画素を含む発光領域において発光を行うエレクトロルミネッセンス装置の製造方法であって、前記第1の基板の対向面に、前記画素ごとに配置されたスイッチング素子を有する第1の機能層を形成する工程と、前記第2の基板の対向面に、透光性を有する電極と、前記電極上に配置された有機発光層と、前記有機発光層上に前記画素ごとに配置された金属の陰極とを有する第2の機能層を形成する工程と、前記第1の機能層上または前記第2の機能層上であって、前記第1の基板と前記第2の基板とが貼り合わされる際に前記陰極と前記スイッチング素子のいずれにも電気的に接続される位置に、導電性を有するペーストを前記画素ごとに形成する工程と、前記第1の基板の対向面または前記第2の基板の対向面に、前記発光領域を囲って樹脂材料を配置する工程と、前記樹脂材料上に、前記樹脂材料を硬化させる硬化促進剤を配置する工程と、前記第1の基板と前記第2の基板とを貼り合わせる工程とを有することを特徴とする。
【0014】
こうした方法によれば、樹脂材料は、これに重ねて配置された硬化促進剤と混合される。このため、この後の第1の基板と第2の基板とを貼り合わせる工程においては、50℃程度の低温か、または常温で樹脂材料が硬化する。硬化した樹脂材料は両基板を接着する接着剤として機能する。このように、上記方法によれば、高温に加熱することなく第1の基板と第2の基板とを接着することができるので、熱による有機発光層の劣化、および当該劣化によるエレクトロルミネッセンス装置の表示品位の低下を防止することができる。
【0015】
上記製造方法において、前記樹脂材料を配置する工程は、液滴吐出法、スクリーン印刷法、ディスペンサ塗布法、オフセット印刷法のいずれかの方法によって行われることが好ましい。こうした方法によれば、樹脂材料を所望の領域にのみ配置することができる。したがって、当該樹脂材料を硬化させてできる接着剤の形成領域を所望の領域とすることができる。
【0016】
上記製造方法において、前記硬化促進剤を配置する工程は、スプレー法またはスピンコート法によって行ってもよい。こうした方法によれば、硬化促進剤の配置のための正確なアライメントまたはマスク等が不要であるため、製造プロセスを簡略化させることができる。
【0017】
前記硬化促進剤を配置する工程は、液滴吐出法、スクリーン印刷法、ディスペンサ塗布法、オフセット印刷法のいずれかの方法によって行ってもよい。
【0018】
本発明によるエレクトロルミネッセンス装置は、上記製造方法によって製造されたことを特徴とする。このようなエレクトロルミネッセンス装置は、有機発光層が熱による劣化を受けていないため、高品位な表示を行うことができる。
【0019】
本発明による電子機器は、上記エレクトロルミネッセンス装置を搭載したことを特徴とする。こうした構成によれば、熱による劣化のないエレクトロルミネッセンス装置による高品位な表示を行うことが可能な電子機器が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態について説明する。なお、以下に示す各図においては、各構成要素を図面上で認識され得る程度の大きさとするため、各構成要素の寸法や比率を実際のものとは適宜に異ならせてある。
【0021】
(第1の実施形態)
<A.有機EL装置>
図1および図2を用いて、本発明の製造方法によって製造される「エレクトロルミネッセンス装置」としての有機EL装置1について説明する。図1(a)および(b)は、有機EL装置1を示す平面図であり、(b)は全体図、(a)は(b)の左上部分の拡大図である。また、図2は、図1(b)中のA−A線で有機EL装置1を切断したときの断面図である。なお、図1は、各構成要素の平面的な位置関係を説明するための図であり、奥行き方向の相対関係は一部度外視されている。
【0022】
有機EL装置1は、ガラス基板11とガラス基板21とが接着剤50を介して互いに対向して貼り合わされた構成となっている。ガラス基板11上には「第1の機能層」としてのTFT側機能層12が、またガラス基板21上には「第2の機能層」としてのEL側機能層22がそれぞれ形成されている。ガラス基板11上には、ドライバ38が実装されている。TFT側機能層12およびEL側機能層22には、複数の行および列に沿ってマトリクス状に配列された複数の画素5に対応する構成要素が含まれている。画素5は、図1(a)に示すように細長い矩形状であり、赤色の発光を行う画素5R、緑色の発光を行う画素5G、青色の発光を行う画素5Bの3種類がある。画素5R,5G,5Bは、行方向にこの順に繰り返して配列されている。有機EL装置1は、これらのすべての画素5を含む発光領域6において、発光および当該発光に基づく表示を行う装置である。なお、以下では、ガラス基板11およびTFT側機能層12を合わせたものを「TFT基板10」と呼び、ガラス基板21およびEL側機能層22を合わせたものを「EL基板20」と呼ぶ。
【0023】
図2に示すように、ガラス基板11の、ガラス基板21に対向する面(対向面)には、絶縁層42、ゲート絶縁層44、層間絶縁膜46がこの順に積層されている。これらは、SiO2、SiON等の無機絶縁物質からなる。絶縁層42とゲート絶縁層44との間には、ポリシリコンからなるソース領域31、能動層32、ドレイン領域33が形成されており、またゲート絶縁層44と層間絶縁膜46との間には、ゲート電極34が形成されている。以下では、ソース領域31、能動層32、ドレイン領域33、ゲート電極34をまとめて「TFT素子30」と呼ぶ。TFT素子30は、本発明の「スイッチング素子」に対応するものであり、各々の画素5に対応して形成されている。
【0024】
層間絶縁膜46上には、ソース電極35、および本発明における「配線」としてのドレイン電極36が形成されている。ソース電極35、ドレイン電極36は、層間絶縁膜46およびゲート絶縁層44を貫通するコンタクトホールを介して、それぞれソース領域31、ドレイン領域33に電気的に接続されている。また、ドレイン電極36は、導電ペースト60の配置された位置にまで延設されている。この延設部は、本実施形態のようにコンタクトホール部から連なる一体の部材として形成されていてもよいし、ドレイン領域33から層間絶縁膜46上までの領域と、延設部とを別々に形成し、電気的に接続された構成とすることもできる。
【0025】
ゲート電極34およびソース電極35は、ドライバ38に電気的に接続されている。ゲート電極34、ソース電極35には、それぞれドライバ38から走査信号、画像信号が供給され、このうち画像信号はTFT素子30のスイッチング機能によってドレイン電極36に供給される。より詳細には、TFT素子30は、ゲート電極34に供給される走査信号に応じてスイッチを開閉し、当該スイッチが閉じた状態においてゲート電極34に印加された画像信号をドレイン電極36に供給する。
【0026】
上記絶縁層42、ゲート絶縁層44、層間絶縁膜46、TFT素子30、ソース電極35、ドレイン電極36が、上述のTFT側機能層12に相当し、ガラス基板11とともにTFT基板10を構成する。
【0027】
一方、ガラス基板21の、ガラス基板11に対向する面(対向面)には、ほぼ全面にわたってITO(Indium Tin Oxide)からなる「透光性を有する電極」としての透明電極52が形成されている。透明電極52上には、樹脂からなる第1バンク53が形成されているとともに、当該第1バンク53を下地として同じく樹脂からなる第2バンク54が積層されている。第2バンク54は、有機EL装置1において発光の行われない領域に配置される。換言すれば、第2バンク54は、画素5を区画する。また、第2バンク54は一定の高さを有しているため、ガラス基板21上には、各画素5に対応した凹部が形成されることとなる。より詳細には、透明電極52および第1バンク53の一部を底部とし、第2バンク54を側壁とする凹部が、各画素5に形成されている。第2バンク54の上には、逆テーパーレジスト57が形成されている。
【0028】
上記凹部には、正孔輸送層55、有機発光層56がこの順に積層されている。有機発光層56は、エレクトロルミネッセンス現象を発現する有機発光物質の層である。有機発光層56には、赤色の発光を行う有機発光層56R、緑色の発光を行う有機発光層56G、青色の発光を行う有機発光層56Bの3種があり、これらはそれぞれ画素5R,5G,5Bに配置されている。有機発光層56は、図1(a)に示すようにトラック形状をなしている。これは、凹部の側壁、すなわち第2バンク54が、当該トラック形状をなすように形成されていることによる。なお、有機発光層56上にさらに電子輸送層が積層された構成とすることもできる。
【0029】
以上に述べた構成要素がガラス基板21上に形成された状態で、アルミニウム、銀、またはマグネシウム等の金属を蒸着させることによって、有機発光層56上および逆テーパーレジスト57上の全面に金属の陰極58が形成される。ただし、有機発光層56上の陰極58は、逆テーパーレジスト57の効果によって当該逆テーパーレジスト57上の陰極58とは物理的に断絶されている。図1(a)における、有機発光層56の周囲の矩形の枠は、当該断絶を表している。このため、各画素5の陰極58は、他の画素5の陰極58に対して物理的、電気的に独立となっている。
【0030】
上記透明電極52、第1バンク53、第2バンク54、正孔輸送層55、有機発光層56、逆テーパーレジスト57、陰極58が、上述のEL側機能層22に相当し、ガラス基板21とともにEL基板20を構成する。
【0031】
以上のような構成のTFT基板10およびEL基板20は、発光領域6の外部であってEL基板20の外縁部近傍に、発光領域6を囲って配置された接着剤50(図1(b)参照)を介して貼り合わされている。
【0032】
また、各画素5においては、ドレイン電極36と陰極58とが対向する位置に、本発明における「導電性を有するペースト」としての導電ペースト60が配置されており、ドレイン電極36と陰極58とは、当該導電ペースト60によって電気的に接続されている。導電ペースト60には、エポキシ系またはフェノール系熱硬化接着剤中にカーボン粒子、銀粒子あるいは銅粒子のような導電性粒子が分散含有されたものを用いることができる。
【0033】
導電ペースト60の導電性により、上述したドレイン電極36に印加される画像信号は、導電ペースト60を介して陰極58に印加される。そして、有機発光層56には、固定電位とされた透明電極52と陰極58との間にかかる電圧に応じた電流が流れ、発光が行われる。
【0034】
有機発光層56からの光は、一部は直接ガラス基板21を透過し、一部は陰極58によって反射されてからガラス基板21を透過する。いずれにせよ、有機発光層56からの光はガラス基板21の側から射出される。有機EL装置1は、こうした各画素5における発光の集合によって、発光領域6において画像信号に基づく表示を行う。
【0035】
以上のような構造(擬似トップエミッション構造)によれば、有機発光層56とガラス基板21との間にTFT素子30等の障害物がないため、トップエミッションタイプと同様に高開口率化が可能である。また、封止も容易である。すなわち、有機発光層56を含むEL基板20を、TFT基板10および接着剤50によって、光の取り出し側と反対側において光学特性に関する制約なく封止することができる。
【0036】
<B.有機EL装置の製造方法>
次に、図3から図5を用いて、上記有機EL装置1の製造方法について説明する。図3は、有機EL装置1の製造方法を示す工程図であり、図4(a)から(d)は、各工程における有機EL装置1の断面図である。図3において、工程P11および工程P12は複合TFT基板を製造するための工程であり、工程P21から工程P23は複合EL基板を製造するための工程である。工程P31および工程P32は、複合TFT基板および複合EL基板を組み合わせて最終的に有機EL装置1を製造するための工程である。工程P11および工程P12と、工程P21から工程P23とは、それぞれ独立に行われる。
【0037】
ここで、複合TFT基板とは、ガラス基板11を多数含むような大きさのマザーガラス基板11mの上に複数の有機EL装置1に対応するTFT側機能層12をマトリクス状に形成したものであり、複数のTFT基板10を内包する。同様に、複合EL基板は、マザーガラス基板21m上に複数の有機EL装置1に対応するEL側機能層22をマトリクス状に形成したものであり、複数のEL基板20を内包する。個々の有機EL装置1は、複合TFT基板および複合EL基板を貼り合わせて複合基板を形成した後に、これを個々の有機EL装置1に対応する形状にブレイク(分割)する工程を経て製造される。ここで、マザーガラス基板11mが本発明における「第1の基板」に対応し、マザーガラス基板21mが本発明における「第2の基板」に対応する。
【0038】
まず、複合TFT基板の製造工程について説明する。工程P11では、マザーガラス基板11m上に、公知の薄膜形成技術等を用いてTFT側機能層12を形成する(図4(a)参照)。このとき、TFT素子30を画素5ごとに形成するとともに、TFT素子30のドレイン領域33に電気的に接続されたドレイン電極36を最表面に形成する。
【0039】
続く工程P12では、マザーガラス基板11m上の所定の領域に、樹脂材料50aを配置する(図4(b)参照)。ここで所定の領域とは、有機EL装置1となるべき個々の領域の外縁部であって、発光領域6を囲うような領域である。樹脂材料50aは、液状の材料であって、硬化させることによって接着剤50となる材料である。具体的には、アクリル樹脂、エポキシ類樹脂、2官能フェノール化合物類、フェノール類樹脂、ウレタン類樹脂、ポリイミド類樹脂、シリコーン類樹脂、芳香族尿素化合物類、シアノアクリレート類樹脂、メラミン系樹脂、エチレン酢酸ビニル類樹脂、クロロプレン類樹脂、酢酸ビニル類樹脂、ポリエチレン類樹脂、ポリプロピレン類樹脂、シリル基含有ポリマー系樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂類、複数樹脂類のアロイ化、ポリベンゾイミダゾール類樹脂、フッ素化樹脂類等を用いることができる。この工程は、スクリーン印刷法によって行われる。
【0040】
続いて、複合EL基板の製造工程について説明する。工程P21では、マザーガラス基板21m上に、EL側機能層22を形成する(図4(a)参照)。この工程は、より詳細には、公知の薄膜形成技術およびパターニング技術等を用いて、透明電極52、第1バンク53、第2バンク54、逆テーパーレジスト57を形成する工程と、透明電極52、第1バンク53、第2バンク54によって形作られた凹部に液滴吐出法によって正孔輸送層55、有機発光層56を形成する工程と、これらの上に陰極58を蒸着させる工程とを有する。
【0041】
次に、工程P22では、EL側機能層22上の所定の領域に、導電ペースト60を配置する(図4(b)参照)。ここで所定の領域とは、各画素5のうち、後にマザーガラス基板11mとマザーガラス基板21mとが貼り合わされる際にドレイン電極36と陰極58のいずれにも接触する位置を含む領域である。この工程は、スクリーン印刷法によって行う。なお、スクリーン印刷法の他に、液滴吐出法、オフセット印刷法またはディスペンサ塗布法等によって行うこともできる。
【0042】
次に、工程P23では、マザーガラス基板21m上の所定の領域に、硬化促進剤50bを配置する(図4(b)参照)。ここで所定の領域とは、有機EL装置1となるべき個々の領域の外縁部であって、発光領域6を囲うような領域であり、後にマザーガラス基板11mと貼り合せた際に樹脂材料50aと重なる領域である。硬化促進剤50bは、液状の材料であって、樹脂材料50aと混合したときに当該樹脂材料50aの硬化を促進させる効果を有する材料である。具体的には、変性ポリアミド類、オイリチオール類、ポリエチレングリコール類、クラウンエーテル類、フェノール系樹脂、有機リン系、アミン系、イミダゾール系、イミン系、カルボン酸塩系、スルホニウム塩系、ホスホニウム塩系、リン酸エステル系、金属化合物系、ジシアンアジアアミド、リン含有アミン系、無水マレイン酸系、無水コハク酸系、多価カルボン酸のヘミアセタール化、リン・窒素・フッ素、ケイ素を含有する無水物系、リン原子含有エポキシ樹脂、窒素原子含有エポキシ樹脂、ケイ素原子含有エポキシ樹脂、アザビシクロ化合物系等のうち、上記樹脂材料50aの材料に対して硬化を促進させる効果を奏するような組み合わせの材料を用いることができる。この工程は、液滴吐出法によって行われる。より詳細には、硬化促進剤50bを含む機能液の液滴を、インクジェット装置などの液滴吐出装置によってマザーガラス基板21m上の所定位置に吐出していくことによって行われる。
【0043】
当該吐出の前に、マザーガラス基板21mの表面のうち、硬化促進剤50bを吐出すべき領域を親液化処理し、その他の領域を撥水化処理する工程を含んでいてもよい。これにより、硬化促進剤50bをより容易に所望の領域に配置することができるようになる。
【0044】
次に、工程P31では、上記工程で製造された複合TFT基板と複合EL基板とを熱圧着させ、複合基板を製造する(図4(c)参照)。この工程は、複合TFT基板と複合EL基板との間でアライメント(位置合わせ)をした状態で貼り合わせ、約50℃の熱を印加しながら圧着させることによって行う。圧着は、複合TFT基板と複合EL基板とを約50℃に保たれた圧着治具70に挟み込み、当該圧着治具70によって基板間距離を縮める方向に圧力をかけることによって行われる。
【0045】
この工程における樹脂材料50aと硬化促進剤50bの振る舞いについて、図5を用いて説明する。マザーガラス基板11m,21m上に互いに対向する位置に配置された樹脂材料50aおよび硬化促進剤50b(図5(a)参照)は、両基板の貼り合わせと同時に混合される。硬化促進剤50bと混合された樹脂材料50aは、硬化されて接着剤50となる(図5(b)参照)。この硬化は常温でも進行するが、約50℃に加熱することによってさらに硬化速度を速めることができる。圧着時には、マザーガラス基板11mおよび樹脂材料50aは、圧着治具70によって約50℃に保たれているので、樹脂材料50aは急速に硬化されて、マザーガラス基板11m,21mを接着する接着剤50となる。両基板への圧着治具70による熱圧着は、約3分間行う。
【0046】
また、この工程においては、工程P22で配置された導電ペースト60が、マザーガラス基板11m上のドレイン電極36と、マザーガラス基板21m上の陰極58のいずれにも接する状態で固着される。これによって、ドレイン電極36と陰極58との電気的な導通が確保される。
【0047】
樹脂材料50aが硬化されて接着剤50となったところで、得られた複合基板を圧着治具70から取り出し、常温下で静置させる。これにより、硬化をさらに進めて複合基板の接着強度を高めることができる。
【0048】
最後に、工程P32では、上記複合基板を有機EL装置1に対応する大きさにブレイク(分割)する。ブレイクは、マザーガラス基板11m,21mの表面をスクライブした後に、外力を印加して分割することによって行われる。この工程を経て、有機EL装置1が完成する(図4(d)参照)。
【0049】
以上の製造方法によれば、約50℃という低温の加熱でマザーガラス基板11m,21mを接着することができる。このため、熱による有機発光層56の劣化、および当該劣化による有機EL装置1の表示品位の低下を防止することができる。また、単独では硬化しにくい樹脂材料50aを用いることによって、スクリーン印刷法に用いるスキージやスクリーンマスクの寿命を長くすることができるとともに、工程における接着剤50の材料(樹脂材料50a)の保存寿命を延ばすことができる。
【0050】
(第2の実施形態)
上記第1の実施形態は、硬化促進剤50bをスクリーン印刷法によって所定の領域にのみ選択的に配置するものであるが、スプレー法等を用いてより広範囲に配置することもできる。以下ではこうした構成の第2の実施形態について説明する。本実施形態の製造方法で得られる有機EL装置1は、第1の実施形態と同様である。また、その製造方法は、硬化促進剤50bの配置方法、配置位置を除けば第1の実施形態と同様であるので、主に相違点について述べる。
【0051】
本実施形態の有機EL装置1の製造工程は、図3に示されている。ここで、工程P23、すなわち硬化促進剤50bの配置工程は、マザーガラス基板21m上に硬化促進剤50bをスプレー法によって散布することによって行われる。このとき、硬化促進剤50bは、図6の断面図に示すように、後にマザーガラス基板11mと貼り合せた際に樹脂材料50aと重なる領域に少なくとも配置されるとともに、スプレー法という方法の特性から、その他の領域にもかかって配置される。
【0052】
続く工程P31では、複合TFT基板と複合EL基板とを、約50℃に加熱された圧着治具70を用いて熱圧着させ、複合基板を製造する。この工程における樹脂材料50aと硬化促進剤50bの振る舞いについて、図7を用いて説明する。マザーガラス基板11m,21m上に配置された樹脂材料50aおよび硬化促進剤50b(図7(a)参照)は、両基板の貼り合わせと同時に混合される。硬化促進剤50bと混合された樹脂材料50aは、硬化されて接着剤50となる(図7(b)参照)。このとき、硬化促進剤50bのすべてが樹脂材料50aと混合されるわけではないが、樹脂材料50aの硬化のためには、少なくとも樹脂材料50aと対向する位置に硬化促進剤50bが配置されており、当該位置の硬化促進剤50bと混合されれば十分である。
【0053】
以下、工程P32のブレイク工程を経て、有機EL装置1が製造される。以上のように、硬化促進剤50bをスプレー法で塗布する製造方法によれば、硬化促進剤50bの配置のための正確なアライメントまたはマスク等が不要であるため、製造プロセスを簡略化させることができる。
【0054】
(第3の実施形態)
上記各実施形態は、樹脂材料50aおよび硬化促進剤50bを異なるマザーガラス基板上に配置するものであるが、これらを同一のマザーガラス基板上に配置する製造方法によっても有機EL装置1を製造することができる。以下では、このような構成の第3の実施形態について説明する。
【0055】
図8は、本実施形態における有機EL装置1の製造方法を示す工程図であり、図9は、各工程における有機EL装置1の断面図である。これらの図を用いて、まず複合TFT基板の製造工程について説明する。
【0056】
工程P11では、マザーガラス基板11m上に、公知の薄膜形成技術等を用いてTFT側機能層12を形成する(図9(a)参照)。続く工程P12では、マザーガラス基板11m上の所定の領域に、樹脂材料50aを配置する(図9(b)参照)。これらの各工程は、第1の実施形態と同様に行われる。
【0057】
次に、工程P13では、工程P12において配置された樹脂材料50a上に、スプレー法によって硬化促進剤50bを塗布する。このとき、硬化促進剤50bは、図9(c)に示すように、樹脂材料50a上に少なくとも配置されるとともに、スプレー法という方法の特性から、その他の領域にもかかって配置される。以上の工程を経て複合TFT基板が完成する。
【0058】
続いて、複合EL基板の製造工程について説明する。工程P21では、第1の実施形態と同様、マザーガラス基板21m上に、EL側機能層22を形成する(図9(a)参照)。次に、工程P22では、EL側機能層22上の所定の領域に、導電ペースト60を配置する(図9(b)参照)。なお、複合TFT基板の樹脂材料50aは、工程P13において硬化促進剤50bが配置された直後に硬化が始まるので、当該工程P22は、工程P13の終了時以前に終了していることが好ましい。
【0059】
次に、工程P31では、上記工程で製造された複合TFT基板と複合EL基板とを、約50℃に加熱された圧着治具70を用いて熱圧着させ、複合基板を製造する(図9(d)参照)。
【0060】
この工程における樹脂材料50aと硬化促進剤50bの振る舞いについて、図10を用いて説明する。樹脂材料50aおよび硬化促進剤50bは、マザーガラス基板11m上において重ねて配置されているので(図10(a)参照)、当該工程の前から少しずつ混合されており、樹脂材料50aの硬化が始まっている。この混合および硬化は、マザーガラス基板11mおよび21mの貼り合わせと同時にさらに進み、また、約50℃に加熱することによって硬化速度がさらに速まる。こうして、樹脂材料50aは硬化されてマザーガラス基板11m,21mを接着する接着剤50となる。この工程においては、硬化促進剤50bのすべてが樹脂材料50aと混合されるわけではないが、樹脂材料50aの硬化のためには、少なくとも樹脂材料50aに重ねて硬化促進剤50bが配置されており、当該位置の硬化促進剤50bと混合されれば十分である。両基板への圧着治具70による熱圧着は、約3分間行う。
【0061】
また、この工程においては、工程P22において配置された導電ペースト60が、マザーガラス基板11m上のドレイン電極36およびマザーガラス基板21m上の陰極58のいずれにも接する状態で固着される。これによって、ドレイン電極36と陰極58との電気的な導通が確保される。
【0062】
樹脂材料50aが硬化されて接着剤50となったところで、得られた複合基板を圧着治具70から取り出し、常温下で静置させる。これにより、硬化をさらに進めて複合基板の接着強度を高めることができる。
【0063】
最後に、工程P32では、上記複合基板を有機EL装置1に対応する大きさにブレイク(分割)する。この工程を経て、有機EL装置1が完成する(図9(e)参照)。
【0064】
以上の製造方法によれば、硬化促進剤50bをスプレー法で塗布するため、硬化促進剤50bの配置のための正確なアライメントまたはマスク等が不要であり、製造プロセスを簡略化することができる。また、約50℃という低温の加熱でマザーガラス基板11m,21mを接着することができるので、熱による有機発光層56の劣化、および当該劣化による有機EL装置1の表示品位の低下を防止することができる。
【0065】
(電子機器への搭載例)
上述した有機EL装置1は、例えば、図12に示すような「電子機器」としての携帯電話機500に搭載して用いることができる。携帯電話機500は、表示部510および操作ボタン520を有している。表示部510は、内部に組み込まれた有機EL装置1によって、操作ボタン520で入力した内容や着信情報を始めとする様々な情報について、熱による劣化のない、高品位な表示を行うことができる。
【0066】
なお、本発明を適用した有機EL装置1は、上記携帯電話機500の他、モバイルコンピュータ、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、車載機器、オーディオ機器などの各種電子機器に用いることができる。
【0067】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態に対しては、本発明の趣旨から逸脱しない範囲で様々な変形を加えることができる。変形例としては、例えば以下のようなものが考えられる。
【0068】
(変形例1)
上記各実施形態は、2液混合型の接着剤50を使用して有機EL装置1を製造するものであるが、さらに導電ペースト60も2液混合型とすることができる。ここで、2液混合型とは、接着剤の材料と、これに対する硬化促進剤とを混合することによって接着剤の材料を硬化させる形式をいう。
【0069】
図11は、本変形例の製造方法における、熱圧着工程の直前の複合TFT基板および複合EL基板の断面図である。複合TFT基板は、マザーガラス基板11m上にTFT側機能層12、樹脂材料50a、導電ペースト材料60aが配置されたものであり、複合EL基板は、マザーガラス基板21m上にEL側機能層22、硬化促進剤50b,60bが配置されたものである。ここで、硬化促進剤50bおよび60bは、同一の材料からなる。また、導電ペースト材料60aは、樹脂材料50aと同一の材料に導電性粒子を混入させたものである。すなわち、硬化促進剤60bと混合されることによって硬化する。導電ペースト材料60aは、第1の実施形態における導電ペースト60と同一の位置に同一の方法で配置されたものである。硬化促進剤60bは、EL側機能層22上のうち少なくとも導電ペースト材料60aと対向する位置に、液滴吐出法によって配置されたものである。
【0070】
こうした構成の複合TFT基板および複合EL基板を約50℃で熱圧着させると、樹脂材料50aは硬化促進剤50bと混合されることによって硬化が進み、マザーガラス基板11m,21mを接着する接着剤50となる。同様に、導電ペースト材料60aは、硬化促進剤60bと混合されることによって硬化が進み、導電ペースト60となる。当該導電ペースト60は、導電性粒子の効果によってドレイン電極36と陰極58とを導通させるとともに、接着剤50と同様に、マザーガラス基板11m,21mを接着する機能も有する。この後、静置工程、ブレイク工程を経て、有機EL装置1が完成する。このように、導電ペースト60も2液混合型とすることによって、マザーガラス基板11m,21mの接着強度、ひいては有機EL装置1の強度が向上する。
【0071】
上記製造方法においては、効率上、硬化促進剤50b,60bを同一のプロセスで配置するのが好ましく、上述した液滴吐出法の他にも、スクリーン印刷法、オフセット印刷法、ディスペンサ塗布法等によって配置することもできる。また、スピンコート法またはスプレー法によってマザーガラス基板21mの全面に配置してもよい。
【0072】
(変形例2)
上記各実施形態において、樹脂材料50aはスクリーン印刷法によって配置されるが、これに代えて、液滴吐出法、ディスペンサ塗布法、オフセット印刷法を用いて配置することもできる。これらの方法によっても、ガラス基板11,21(マザーガラス基板11m,21m)の接着に必要な所定の領域に樹脂材料50aを配置することができる。また、いずれの方法においても、樹脂材料50aが単独では硬化しにくいことに基づく利点を享受することができる。すなわち、液滴吐出法では液滴吐出装置のヘッド、ディスペンサ塗布法ではディスペンサ、オフセット印刷法では版や転写ローラーに接着剤が硬化して使えなくなるような不具合が起こりにくい。
【0073】
(変形例3)
上記各実施形態の製造方法において、導電ペースト60と樹脂材料50aとは異なるマザーガラス基板上に配置しているが、本発明はこれに限定する趣旨ではなく、同一のマザーガラス基板上に配置してもよい。この場合のマザーガラス基板は、マザーガラス基板11m,21mのどちらでもよい。
【0074】
(変形例4)
上記各実施形態において、正孔輸送層55および有機発光層56は、第1バンク53および第2バンク54によって形作られる凹部に液滴吐出法によって形成されるが、正孔輸送層55および有機発光層56の形成方法はこれに限られない。例えば、凹部を設けずにスピンコート法や印刷法によって形成する方法、あるいは蒸着やスパッタリング等の気相プロセスによって形成する方法も適用可能である。
【0075】
(変形例5)
上記各実施形態において、陰極58は、逆テーパーレジスト57の効果によって隔離されるが、陰極58の隔離方法はこれに限定されず、例えばマスクを用いて部分的に蒸着する方法や、全面に形成した後にレーザーエッチング、ドライエッチング、ウェットエッチング等を用いてパターニングする方法も適用可能である。
【0076】
(変形例6)
上記各実施形態において、樹脂材料50aはマザーガラス基板11m上(複合TFT基板側)に配置されるが、本発明はこれに限定する趣旨ではなく、マザーガラス基板21m上(複合EL基板側)に配置してもよい。この場合、硬化促進剤50bは、マザーガラス基板11m上であって樹脂材料50aに対向する領域に配置するか、樹脂材料50a上に重ねて配置する。
【0077】
また、導電ペースト60の配置位置もEL側機能層22上には限られず、TFT側機能層12上に形成してもよい。
【0078】
これらの製造方法によっても、上記各実施形態と同様の有機EL装置1を製造することができる。
【0079】
(変形例7)
上記各実施形態において、熱圧着時の加熱温度は約50℃であるが、これは例示であって加熱温度の上限または下限を示すものではない。本発明の実施にあたっては、有機発光層56の耐熱特性に応じ、有機発光層56の劣化が起こらない温度であればどのような温度で熱圧着を行ってもよい。また、樹脂材料50a、硬化促進剤50bが、常温で十分に硬化するような材料の組み合わせであれば、熱圧着工程は常温で行うこともできる。
【0080】
(変形例8)
上記実施形態では、「スイッチング素子」としてTFT素子30を用いているが、これに代えて、TFD(Thin Film Diode)素子を始めとするその他のスイッチング素子を用いる構成とすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本発明の実施形態に係る有機EL装置の平面図であり、(a)は拡大図、(b)は全体図。
【図2】本発明の実施形態に係る有機EL装置の断面図。
【図3】第1の実施形態および第2の実施形態に係る有機EL装置の製造方法の工程図。
【図4】(a)から(d)は、第1の実施形態に係る有機EL装置の製造工程における断面図。
【図5】(a)および(b)は、第1の実施形態における樹脂材料および硬化促進剤の振る舞いを説明するための断面図。
【図6】第2の実施形態に係る有機EL装置の製造工程における断面図。
【図7】(a)および(b)は、第2の実施形態における樹脂材料および硬化促進剤の振る舞いを説明するための断面図。
【図8】第3の実施形態に係る有機EL装置の製造方法の工程図。
【図9】(a)から(e)は、第3の実施形態に係る有機EL装置の製造工程における断面図。
【図10】(a)および(b)は、第3の実施形態における樹脂材料および硬化促進剤の振る舞いを説明するための断面図。
【図11】本発明の変形例に係る有機EL装置の製造工程における断面図。
【図12】本発明の実施形態に係る携帯電話機の斜視図。
【符号の説明】
【0082】
1…「エレクトロルミネッセンス装置」としての有機EL装置、5,5R,5G,5B…画素、6…発光領域、10…TFT基板、11,21…ガラス基板、11m…「第1の基板」としてのマザーガラス基板、12…「第1の機能層」としてのTFT側機能層、20…EL基板、21m…「第2のガラス基板」としてのマザーガラス基板、22…「第2の機能層」としてのEL側機能層、30…TFT素子、31…ソース領域、32…能動層、33…ドレイン領域、34…ゲート電極、35…ソース電極、36…「配線」としてのドレイン電極、38…ドライバ、42…絶縁層、44…ゲート絶縁層、46…層間絶縁膜、50…接着剤、50a…樹脂材料、50b,60b…硬化促進剤、52…透明電極、53…第1バンク、54…第2バンク、55…正孔輸送層、56,56R,56G,56B…有機発光層、57…逆テーパーレジスト、58…陰極、60…導電ペースト、60a…導電ペースト材料、70…圧着治具、500…携帯電話機。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向して貼り合わされた第1の基板および第2の基板を有し、複数の画素を含む発光領域において発光を行うエレクトロルミネッセンス装置の製造方法であって、
前記第1の基板の対向面に、
前記画素ごとに配置されたスイッチング素子を有する第1の機能層を形成する工程と、
前記第2の基板の対向面に、
透光性を有する電極と、前記電極上に配置された有機発光層と、前記有機発光層上に前記画素ごとに配置された金属の陰極とを有する第2の機能層を形成する工程と、
前記第1の機能層上または前記第2の機能層上であって、前記第1の基板と前記第2の基板とが貼り合わされる際に前記陰極と前記スイッチング素子のいずれにも電気的に接続される位置に、導電性を有するペーストを前記画素ごとに配置する工程と、
前記第1の基板の対向面または前記第2の基板の対向面に、前記発光領域を囲って樹脂材料を配置する工程と、
前記第1の基板の対向面または前記第2の基板の対向面のうち、前記樹脂材料が配置されていない面であって、少なくとも前記第1の基板と前記第2の基板とが貼り合わされる際に前記樹脂材料と接触する位置に、前記樹脂材料を硬化させる硬化促進剤を配置する工程と、
前記第1の基板と前記第2の基板とを貼り合わせる工程と
を有することを特徴とするエレクトロルミネッセンス装置の製造方法。
【請求項2】
互いに対向して貼り合わされた第1の基板および第2の基板を有し、複数の画素を含む発光領域において発光を行うエレクトロルミネッセンス装置の製造方法であって、
前記第1の基板の対向面に、
前記画素ごとに配置されたスイッチング素子を有する第1の機能層を形成する工程と、
前記第2の基板の対向面に、
透光性を有する電極と、前記電極上に配置された有機発光層と、前記有機発光層上に前記画素ごとに配置された金属の陰極とを有する第2の機能層を形成する工程と、
前記第1の機能層上または前記第2の機能層上であって、前記第1の基板と前記第2の基板とが貼り合わされる際に前記陰極と前記スイッチング素子のいずれにも電気的に接続される位置に、導電性を有するペーストを前記画素ごとに形成する工程と、
前記第1の基板の対向面または前記第2の基板の対向面に、前記発光領域を囲って樹脂材料を配置する工程と、
前記樹脂材料上に、前記樹脂材料を硬化させる硬化促進剤を配置する工程と、
前記第1の基板と前記第2の基板とを貼り合わせる工程と
を有することを特徴とするエレクトロルミネッセンス装置の製造方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載のエレクトロルミネッセンス装置の製造方法であって、
前記樹脂材料を配置する工程は、液滴吐出法、スクリーン印刷法、ディスペンサ塗布法、オフセット印刷法のいずれかの方法によって行われることを特徴とするエレクトロルミネッセンス装置の製造方法。
【請求項4】
請求項1または2に記載のエレクトロルミネッセンス装置の製造方法であって、
前記硬化促進剤を配置する工程は、スプレー法またはスピンコート法によって行われることを特徴とするエレクトロルミネッセンス装置の製造方法。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の製造方法によって製造されたことを特徴とするエレクトロルミネッセンス装置。
【請求項6】
請求項5に記載のエレクトロルミネッセンス装置を搭載したことを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−188704(P2007−188704A)
【公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−4528(P2006−4528)
【出願日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】