説明

エレベータのかご位置知らせシステム

【課題】エレベータの事故の場合に、乗りかご位置がどの階の付近であるかを迅速に保守作業員に知らせることである。
【解決手段】かご位置知らせシステム10は、作業者8が携帯するIDカード20、各乗場に設けられるIDカード読取器22と昇降表示器40、主制御装置50、かご位置検出手段を含む。主制御装置50のCPU52は、事故判断モジュール60、乗りかご位置取得モジュール62、作業者階特定モジュール64、判断部66、判断結果を作業者階の昇降表示器40に出力させる出力部68とを含む。ここで判断部66は、乗りかごの停止位置が作業者階と一致するか否か、乗りかごの停止位置が作業者階に対し上層階側か下層階側か、一致している場合に、乗りかごの位置と作業者階の設定停止位置との差が許容範囲である閾値範囲を超えるか否かを判断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベータのかご位置知らせシステムに係り、特に、事故の際にエレベータのかごの停止位置を知らせるエレベータのかご位置知らせシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
エレベータは、ビル内の昇降路内に乗りかごを昇降させる装置である。近年では、昇降路がガラス張りのものが現れ、昇降路内のどこに乗りかごが位置するかは容易に認識できるものがあるが、ほとんどのエレベータの昇降路はコンクリート壁等に囲まれ、乗りかごの位置は外部から見ることができない。
【0003】
エレベータにおける乗りかごの位置は、運行上、乗場にきちんと停止させる必要があるほか、高層ビル等のように長い行程を昇降する場合の速度、加速度制御等を行う場合にも必要である。そこで、一般的には、乗りかごを昇降させる巻上機または昇降速度を制御する調速機にエンコーダが取り付けられ、エンコーダの出力によって乗りかごの位置を取得することが行われる。また、位置検出精度を向上させるため、エンコーダの検出結果を補正するため昇降路内の各階に対応する位置に乗りかご自体の位置を検出するかご位置検出装置が設けられる。
【0004】
例えば、特許文献1には、エレベータ装置のかご位置の検出について、従来技術のエンコーダの他に、かご位置検出装置を用いると、部品点数の増加、位置検出装置の取付作業の手間がかかることが述べられている。そこで、かご位置を正確に検出するために調速機ロープに位置情報を書き込んだICタグを複数埋め込み、昇降壁あるいはかごにタグリーダを設けて、タグリーダでICタグの位置情報を読み取ることが開示されている。
【0005】
【特許文献1】特開2006−36430号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のように、乗りかごの位置検出の精度向上等についていくつかの従来技術がある。ところで、これらの技術において取得される乗りかごの位置データは、もっぱらエレベータの運行制御等に用いられていて、例えば、エレベータに何らかの事故があり、乗りかごの位置を知りたい場合に用いることが不便なことがある。
【0007】
例えば、エレベータに乗りかごの停止事故があり、しかもその乗りかごに乗客が乗っていた場合、これはいわゆる閉じ込め事故となる。この閉じ込め状態は、乗りかごの乗客等から非常電話等で管理センタ等に通報され、直ちに救出のため保守作業員が赴くことになるが、保守作業員には、どの階の付近に乗りかごが停止しているかが直ちには分からないことがある。すなわち、乗りかご位置情報が現場に駆けつけた保守作業員に直ちには伝わらず、救出に時間がかかることになる。
【0008】
本発明の目的は、エレベータの事故の場合に、乗りかご位置がどの階の付近であるかを迅速に保守作業員に知らせることのできるエレベータのかご位置知らせシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るエレベータのかご位置知らせシステムは、各階の乗場ごとに設けられ、保守作業者の有無を検出する作業者検出手段と、各階ごとの作業者検出手段のそれぞれと接続される制御部と、を備え、制御部は、乗りかごの事故の有無を判断する事故判断手段と、事故であると判断したときに、乗りかごの停止位置を取得する乗りかご位置取得手段と、事故であると判断したときに、各階ごとの作業者検出手段の検出結果に基づいて、保守作業者のいる乗場階である作業者階を特定する作業者階特定手段と、乗りかご位置取得手段によって取得された乗りかご停止位置と、作業者階特定手段によって特定された作業者階における停止設定位置とが所定の範囲で一致しているか否かを判断する一致判断手段と、一致判断手段によって一致していると判断されたときに、作業者階が乗りかご停止位置であることを知らせる一致信号を作業者階に対し出力する出力手段と、を有することを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係るエレベータのかご位置知らせシステムにおいて、制御部は、一致判断手段によって乗りかご停止位置と作業者階における停止設定位置とが所定範囲で一致していると判断されない場合、さらに、乗りかご停止位置が作業者階に対し上層階側か下層階側かを判断する上下階判断手段を有し、出力手段は、上下階判断手段の判断に従って、乗りかご位置が作業者階に対し上層階側か下層階側かを知らせる上下階知らせ信号を作業者階に対し出力することが好ましい。
【0011】
また、本発明に係るエレベータのかご位置知らせシステムにおいて、制御部は、乗りかご停止位置が作業者階の停止設定位置から予め定めた閾値範囲を超えるか否かを判断する停止位置閾値判断手段と、閾値範囲を超えると判断されたときに、警報信号を出力する警報出力手段を有することが好ましい。
【0012】
また、本発明に係るエレベータのかご位置知らせシステムにおいて、乗りかごに設けられたかご位置発信器と、各乗場階ごとに設けられ、かご位置発信器からの信号を受信するかご位置受信器と、を備え、停止位置閾値判断手段は、各階のかご位置受信器の受信信号レベルに基づいて、乗りかご停止位置と作業者階における停止設定位置とが閾値範囲を超えるか否かを判断することが好ましい。
【0013】
また、本発明に係るエレベータのかご位置知らせシステムにおいて、乗りかご位置取得手段は、複数のかご位置受信器がそれぞれ受信した複数の受信信号レベルの間の比較に基づいて、乗りかごの停止位置を取得することが好ましい。
【0014】
また、本発明に係るエレベータのかご位置知らせシステムにおいて、出力手段は、一致信号として、昇降方向を表示する昇降表示器に対し、昇階表示と降階表示とを点灯させる信号を出力することが好ましい。
【0015】
また、本発明に係るエレベータのかご位置知らせシステムにおいて、出力手段は、上下階知らせ信号として、乗りかご停止位置と作業者階との関係に応じ、昇降方向を表示する昇降表示器に対し、昇階表示または降階表示を点灯させる信号を出力することが好ましい。
【0016】
また、本発明に係るエレベータのかご位置知らせシステムにおいて、作業者検出手段は、保守作業者ごとに保持され保守作業者身分を示す識別情報を有する識別カードを読み取る識別カード読取器であることが好ましい。
【0017】
また、本発明に係るかご位置知らせシステムにおいて、作業者検出手段は、非接触式の識別カードを読み取る識別カード読取器であることが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
上記構成の少なくとも1つにより、事故であると判断したときに、乗りかごの停止位置を取得し、また、各階ごとの作業者検出手段の検出結果に基づいて、保守作業者のいる乗場階である作業者階を特定し、乗りかご停止位置と作業者階における停止設定位置とが所定の範囲で一致しているか否かを判断し、一致していると判断されたときに、一致信号を作業者階に対し出力する。これにより、現在作業者がいる作業者階に、その階の付近に乗りかごが停止していることを知らせることができ、作業者はその階において、直ちに停止している乗りかごに向かうことができる。
【0019】
また、乗りかご停止位置と作業者階における停止設定位置とが所定範囲で一致していると判断されない場合、さらに、乗りかご停止位置が作業者階に対し上層階側か下層階側かを判断し、その判断に従って、乗りかご位置が作業者階に対し上層階側か下層階側かを知らせる上下階知らせ信号を作業者階に対し出力する。これにより、現在作業者がいる作業者階において、乗りかごが停止している階がその上層階側か下層階側かを知らせることができ、作業者は、直ちに知らされた方向に向かうことができる。例えば、上層階側であることが知らされると、1階上の階に向かい、その階の乗場において、再び一致信号あるいは上下階信号の出力を受ける。その階において一致信号が出力されていない場合には、さらにもう1階上の階に向かうことができる。このように、作業者がその階に向かうごとに、その階が作業者階となって、作業者階と乗りかご位置との関係が出力されるので、作業者は、停止している乗りかごに効率よく迅速に向かうことができる。
【0020】
また、乗りかご停止位置が作業者階の停止設定位置から予め定めた閾値範囲を超えると判断されたときに、警報信号を出力するので、乗りかごのいる階において乗場扉を開けたときの段差の程度を予め知ることができる。これにより段差があっても、迅速に対応が可能になる。
【0021】
また、乗りかごにかご位置発信器を設け、各乗場階ごとにかご位置受信器を設ける。そして、各階のかご位置受信器の受信信号レベルに基づいて、乗りかご停止位置と作業者階における停止設定位置とが閾値範囲を超えるか否かを判断する。これによって、従来技術による手段ではかご停止位置が正確に取得できない場合でも、それを補って、乗りかご停止位置と作業者階における停止設定位置との間の段差が閾値範囲を超えるか否かが判断できる。
【0022】
また、複数のかご位置受信器がそれぞれ受信した複数の受信信号レベルの間の比較に基づいて、乗りかごの停止位置を取得する。これにより、従来技術による手段ではかご停止位置が取得できない場合、例えば、乗りかご位置を検出するエンコーダ、かご位置センサ等の事故の場合でも、それを補って、乗りかごの停止位置を取得できる。
【0023】
また、一致信号として、昇降方向を表示する昇降表示器に対し、昇階表示と降階表示とを点灯させる信号を出力する。また、上下階知らせ信号として、乗りかご停止位置と作業者階との関係に応じ、昇降方向を表示する昇降表示器に対し、昇階表示または降階表示を点灯させる信号を出力する。これによって、簡単な構成で、作業者階において、乗りかご位置を作業者に知らせることができる。
【0024】
また、識別カードを用いて作業者の検出を行うので、作業者身分のある者に対して、乗りかご位置を知らせることができる。また、非接触式の識別カードを用いて作業者の検出を行うので、作業者は識別カード読取器の付近に行くだけで、乗りかご位置を知ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下に図面を用いて、本発明に係る実施の形態に付き詳細に説明する。以下では、エレベータとして、最上階に機械室がある構成として説明するが、機械室を特に置かない構成としてもよい。また、かご位置知らせを制御する制御部は、機械室に置かれエレベータシステムの運行全体を制御するいわゆる主制御装置であるとして説明するが、主制御装置と別に設けられるものとしてもよい。その場合には、かご位置知らせの制御部は、かご位置取得等のために、主制御装置と接続されることが望ましい。
【実施例1】
【0026】
図1は、エレベータのかご位置知らせシステム10の概要を説明する図で、図2は、エレベータのかご位置知らせシステム10の構成図である。なお、以下では、エレベータのかご位置知らせシステム10を、特に断らない限り、単に、かご位置知らせシステム10として述べることとする。
【0027】
かご位置知らせシステム10は、例えばビル等の建物内に設けられた昇降路12の中を昇降する乗りかご14に関連して何かの事故が生じ、乗りかご14が停止したとき、その乗りかご14の位置を、保守担当の作業者8に知らせる機能を有するシステムである。したがって、かご位置知らせシステム10の基本的構成は、エレベータ運行システムと同じで、そのシステムにおいて、事故処理モードを設け、事故発生を検出すると、その事故処理モードによって、乗りかご14の位置を作業者8に迅速に知らせる機能を有するものである。
【0028】
図1に示されるかご位置知らせシステム10は、エレベータ運行システムの基本的要素として、昇降路12、昇降路12を昇降する乗りかご14、昇降路12の上部、例えばビルの最上階の機械室に設けられ、乗りかご14を主ロープ15によって昇降させる巻上機16、乗りかご14の運行等を制御する主制御装置50を含んで構成される。
【0029】
図1では、昇降路12の中に停止した乗りかご14があり、その中には乗客が閉じ込められている一方で、乗客等からの事故通報により、3階にとりあえず駆けつけた作業者8は、どの階の付近に乗りかご14がいるのか分からないために困惑している様子が示されている。なお、作業者8は、保守担当の作業者8である身分を示すためのIDカード20を携帯している。
【0030】
図2は、かご位置知らせシステム10の構成を示す図で、ここでは、乗りかご14の停止位置が、作業者8がいる乗場13のある階の付近であり、その階の設定停止位置からSだけ離れて停止している場合とされている。なお、乗りかご14の停止位置が、作業者8のいる階と全く異なる場所である場合の処理等については後述する。かご位置知らせシステム10は、作業者8が携帯するIDカード20、各乗場に設けられるIDカード読取器22と昇降表示器40、主制御装置50とを含み、さらに図示されていないが、かご位置検出手段を含んで構成される。
【0031】
ここで、かご位置検出手段は、図1で説明した巻上機16またはそれに関連して設けられる調速機に備えられるエンコーダを用いることができる。また、昇降路12内の各階停止位置付近に設けられるかご位置センサを用いてもよい。あるいはエンコーダ及びかご位置センサとを組合せて、かご位置を検出するものとしてもよい。いずれにせよ、ここで述べるかご位置検出手段とは、一般的にエレベータの運行制御等に既に用いられているかご位置検出手段のことである。図2では、これを代表的に示すために、乗りかご14から主制御装置50にかご位置I/F58を介して信号が伝達されるものとされている。上記のように、例えば、エンコーダのみを使用する場合には、巻上機16等から主制御装置50にかご位置I/F58を介して信号が伝達されることになる。
【0032】
作業者8が携帯するIDカード20は、保守担当の作業者8ごとに保持され、保守作業者身分を有することを示す識別情報が書き込まれた識別カードである。例えば、顔写真と社員コードと氏名が記載され、さらに詳細な識別データが書き込まれ無線によってデータの送受信が可能なICチップが埋め込まれた非接触型IDカードを用いることができる。かかるICチップとしては、送受信アンテナと、受け取った無線信号を電力に変換する機能と共にデータを送受信する送受信回路と、変換された電力を蓄える2次電池と、電気的に書き換え可能なメモリ等を集積化した半導体チップを用いることができる。
【0033】
IDカード読取器22は、IDカード20が近接したことを検出して、検出されたIDカード20と無線で交信する装置で、いわゆる非接触式カードリーダライタである。交信によってIDカード20との間でデータの送受信が行われ、必要な場合にはIDカード20に電力を送信することができる。ここでは特に、IDカード20の近接を検出し、IDカード20に書き込まれている識別情報を読み取る機能を有する。これによって、IDカード20を保持する者、すなわち作業者8がIDカード読取器22の近傍にいることを検出できる。すなわち、IDカード読取器22は、作業者検出器、あるいは作業者検出手段に相当する。
【0034】
IDカード読取器22は、信号線によって作業者検出器I/F56を介して主制御装置50に接続される。IDカード読取器22は、エレベータの各階乗場13のそれぞれ設けられる。具体的な配置位置として、図2では、乗場13の上部の昇降表示器40の近傍が示されている。これは、後述するように、昇降表示器40も信号線によって主制御装置50に接続されているので、各階の乗場13から主制御装置50へ向かう信号線をまとめやすいからである。このほかに、各階の乗場13から主制御装置50へ向かう信号線を有するものに、乗場ボタンがあるので、この乗場ボタンの近傍にIDカード読取器22を配置するものとしてもよい。なお、乗場ボタンとは、乗客が乗りかご14を呼ぶために押すボタンのことで、呼びボタンとも言われるボタンである。
【0035】
昇降表示器40は、乗りかご14の運行状態を表示するもので、ここでは、乗りかご14が上昇中であることを示す昇階表示ランプと、乗りかご14が下降中であることを示す降階表示ランプを含む表示器のことである。昇降表示器40は、主制御装置50と表示器I/F54を介して接続され、主制御装置50の制御の下で表示が行われる。
【0036】
主制御装置50は、エレベータの運行制御を全般的に行う装置であり、ここでは特に、事故処理モードのときに、停止した乗りかごの位置を作業者に知らせる機能を有する。主制御装置50は、CPU52と、上記の表示器I/F54、作業者検出器I/F56、かご位置I/F58と、図示されていないが、制御入力ボタン等の入力部、エレベータの運行状況を表示する出力部、外部の管理センタとネットワークを介して交信するための通信制御部等を含んで構成される。かかる主制御装置50は、適当なコンピュータで構成することができる。勿論、複数の信号処理電子回路および駆動電気回路等の電気回路要素を組み合わせて構成することもできる。
【0037】
CPU52は、エレベータ全体の運行を制御する機能を有するが、ここでは特にかご位置知らせ機能に関するものが図2に示されている。すなわち、CPU52は、乗りかごの事故の有無を判断する事故判断モジュール60と、乗りかごの停止位置を取得する乗りかご位置取得モジュール62と、各階乗場ごとのIDカード読取器22の作業者検出結果に基づいて、保守作業者のいる乗場階である作業者階を特定する作業者階特定モジュール64と、乗りかごの位置の状態を判断する判断部66と、判断された乗りかごの位置の状態を作業者階の昇降表示器40に出力させる出力部68とを含んで構成される。
【0038】
判断部66は、乗りかごの停止位置が作業者階と一致するか否かを判断する一致判断モジュール70と、一致しないときに、乗りかごの停止位置が作業者階に対し上層階側か下層階側かを判断する上下階判断モジュール72と、一致している場合に、乗りかごの位置と作業者階の設定停止位置との差が許容範囲である閾値範囲を超えるか否かを判断する閾値範囲判断モジュール74とを含む。
【0039】
また、出力部68は、判断部66の各判断モジュールの判断内容に対応し、一致信号出力モジュール76、上下階知らせ信号出力モジュール78、閾値範囲を超える場合に警報信号を出力する警報出力モジュール80を含む。
【0040】
これらの各機能は、ソフトウェアを実行することで実現でき、具体的には、対応するかご位置知らせプログラムを実行することで実現できる。かかる機能の一部あるいは全部をハードウェアで実現するものとしてもよい。
【0041】
かかる構成を図3のフローチャート、図4の昇降表示器の様子を示す図を用いて以下に説明する。以下では、図1、図2の符号を用いて説明する。また、図4の昇降表示器には図2の符号を用い、重複する説明を省略する。図3は、事故のときのかご位置知らせの手順を示すフローチャートで、後述するように、S14以下の各手順が、かご位置知らせプログラムの各処理手順に対応する。
【0042】
図3において、まず事故発生か否かが判断される(S10)。この判断工程は、CPU52の事故判断モジュール60の機能によって実行されるが、実際には、主制御装置50におけるエレベータ運行処理手順の中で、常時行われるものである。具体的には、各種センサによってエレベータの運行が標準状態から逸脱していないか、常時あるいは定期的間隔で監視され、標準状態から逸脱している場合には、事故発生と判断される。また、乗りかご14が所定の位置以外で停止したときには、中の乗客は乗りかご14から外に出ることができず、いわゆる閉じ込め状態となる。この場合には、緊急通報手段等で、乗客から管理センタに連絡が入り、この連絡に基づいて、管理センタから主制御装置50に事故発生の信号が伝送されるので、この場合にも、事故発生と判断される。
【0043】
事故発生と判断されると、主制御装置50は、通常運行処理モードから事故処理モードに処理を切り換える(S12)。ここでは、かご位置知らせ処理として、対応するかご位置知らせプログラムが起動され、S14以下の手順が実行される。
【0044】
事故発生とされると、最初に乗りかご位置が取得される(S14)。この行程は、CPU52の乗りかご位置取得モジュールの機能によって実行される。上記のように、通常の運行制御処理の中では、エンコーダ、かご位置センサ等によって、常時、乗りかご位置が検出されているので、その情報を取得する。乗りかご位置は、例えば、各階の設定停止位置に対し、数mm程度の精度で常時検出されているので、S14で取得される乗りかご位置も、各階の設定停止位置に対しての値が取得される。
【0045】
次に作業者検出器であるIDカード読取器22に、制御信号が送信される(S16)。この制御信号は、IDカード読取器22を作動可能とし、作動後の検出データを伝送するように指令する信号である。すなわち、IDカード読取器22は、通常の運行制御の中では使用されず、事故処理モードになって初めて使用されるものである。この工程は、後のS18,S20と共に、CPU52の作業者階特定モジュールの機能によって実行される。
【0046】
そして、作業者検出器がID信号を受信したか否かが判断される(S18)。具体的には、IDカード読取器22から伝送された検出データを所定のフォーマット等と比較し、登録されているIDカード形式からの識別信号であるか否かを判断する。作業者個人が登録された作業者8であるか否かまでの判断は通常は不要であるが、必要な場合には、例えば、ネットワークを介し、図示されていない管理センタにデータを送付し、判断を仰ぐこともできる。
【0047】
IDカード読取器22が検出したデータが所定のIDカード20のものであると判断されると、そのIDカード読取器22が設置されている乗場13の階が、IDカード20を保持する作業者8がいる乗場階、すなわち作業者階として特定される(S20)。図1の例では、3階が作業者階として特定される。
【0048】
S14で乗りかご位置が取得され、S20において作業者階が特定されると、昇降路12内で停止している乗りかご14の乗りかご停止位置が、作業者階と一致しているか否かが判断される(S22)。この工程はCPU52の判断部66において一致判断モジュール70の機能によって実行される。上記のように、乗りかご位置は、各階の設定停止位置を基準に取得されているが、事故によって停止した乗りかご14の停止位置は必ずしも設定停止位置と一致していない。ここでは、乗りかご14の中の乗客の救出等の事故処理のために、乗りかご停止位置を知りたいのであるから、どの乗場13に最も近いかが分かればよい。どの乗場13に近いかは、乗りかご停止位置に最も近い設定停止位置に相当する階を知ればよい。最も判断が厳しい場合は、境界は、乗りかご14が、隣接する設定停止位置のちょうど中間にある場合で、このときは、どちらの階も乗りかご停止位置に最も近い階とされる。
【0049】
したがって、一致判断は、乗りかご停止位置に最も近接した設定停止位置に相当する階が、作業者階か否かを判断することになる。例えば、隣接する設定停止位置の間隔、すなわちビルの各階の床高さの間隔を5mとして、乗りかご停止位置が、作業者階の設定停止位置から±2.5m以下であれば、乗りかご停止位置は作業者階と一致していると判断される。あるいは、救出のことを考えると、乗場13の床から乗りかご14の床に下りるのと、上るのとを比較し、下りる方が安全と考えるときは、下る方のみを考えて判断することができる。上記の例では、乗りかご停止位置が、作業者階の設定停止位置から−2.5m以下であれば、乗りかご停止位置は作業者階と一致していると判断してよい。このように、一致判断は、乗りかご停止位置と作業者階とが所定の範囲で一致しているか否かで判断される。
【0050】
S22で、作業者階が乗りかご停止位置と一致していると判断されると、S24に進む。一方S22で作業者階が乗りかご停止位置と一致していると判断されないときは、次に、作業者階が乗りかご停止位置より上層階側か否かが判断される(S32)。この工程は、CPU52の判断部66において上下階判断モジュール72の機能によって実行される。具体的には、乗りかご停止位置に最も近い設定停止位置に相当する階を特定し、その階が、作業者階より下層階側か否かが判断される。S32で判断が肯定されれば、作業者階は乗りかご停止位置の上層階側にあり、判断が否定されれば、作業者階は乗りかご停止位置の下層階側にあることになる。
【0051】
このようにして、S22とS32の判断によって、作業者階と乗りかご停止位置との関係が、乗場13の関係で判断される。すなわち、S22で判断が肯定されると、作業者階と乗りかご停止階とは一致している。S22で判断が否定され、S32で判断が肯定されると、作業者階は乗りかご停止位置の上層階側にあり、換言すれば、乗りかご停止位置は、作業者階の下層階側にある。S22で判断が否定され、S32でも判断が否定されると、作業者階は乗りかご停止位置の下層階側にあり、換言すれば、乗りかご停止位置は、作業者階の上層階側にある。
【0052】
そこで、これらの判断に従って、昇降表示器40の表示に対する指示が行われる。S22の判断が肯定されると、昇階表示も降階表示も点灯する指示が出される(S24)。この指示を、昇降表示器40に対する一致表示指示信号、あるいは簡単に一致信号と呼ぶことができる。この工程は、CPU52の出力部68において一致信号出力モジュール76の機能によって実行される。
【0053】
S22の判断が否定、S32の判断が肯定のときは、降階表示のみの点灯が指示される(S34)。すなわち、この場合には、作業者階が乗りかご停止位置の上層階側にあるので、作業者8は、今の階より下層側に降りる必要があるので、降階表示を点灯し、作業者8に降りる必要を知らせるためである。S22の判断が否定、S32の判断が否定のときは、昇階表示のみの点灯が指示される(S36)。この場合には、作業者階が乗りかご停止位置の下層階側にあるので、作業者8に昇る必要を知らせるためである。これらの指示を、昇降表示器40に対する上下階知らせ表示指示信号、あるいは簡単に上下階知らせ信号と呼ぶことができる。これらの工程は、CPU52の出力部68において上下階知らせ信号出力モジュール78の機能によって実行される。
【0054】
図4(a)から(d)に昇降表示器の点灯の様子を示す。なお、以下では、図1から図3の要素と同様の要素には同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。また、以下では、図1から図3の符号を用いて説明する。図4の各図において、昇降表示器40は、昇階表示ランプ42、降階表示ランプ44、警報ランプ46が横一列に並んで配置される。そして、昇階表示ランプ42は、三角形の頂点が上方を向き、降階表示ランプ44は、三角形の頂点が下方を向いているものとして示されている。警報ランプ46は、通常の場合には、緑色に点灯しているランプである。
【0055】
図4(a)は、昇階表示ランプ42、降階表示ランプ44の双方とも点灯する場合で、上記のS24において、昇降表示器40に一致信号が出力された場合に相当する。図4(b)は、昇階表示ランプ42のみが点灯する場合で、上記のS36において、昇降表示器40に上下階知らせ信号として昇階表示の出力が出力された場合に相当する。図4(c)は、降階表示ランプ44のみが点灯する場合で、上記のS34において、昇降表示器40に上下階知らせ信号として降階表示の出力が出力された場合に相当する。
【0056】
図4(d)は、図3のS24の後に行われる処理において、乗りかご停止位置と設定停止位置との差が予め設定された閾値範囲を超えるとき(S26)に、警報表示として、警報ランプ46が赤色に点灯する様子を示す図である。なお、乗りかご停止位置と設定停止位置との差は、間隔Sとして図2に示されている。S26の工程は、S24の表示に従って、作業者8が、その乗場13に乗りかご14がいるものと考えて、乗場扉を開けたところ、意外に間隔Sが大きすぎることがあるので、その場合に予め警報ランプ46の点灯で注意を喚起するためである。かかるS26の工程は、CPU52の判断部66の閾値範囲判断モジュール74の機能によって実行される。具体的には、エンコーダ、かご位置センサ等によって、設定停止位置を基準に乗りかご停止位置が取得されるので、これを間隔Sとし、予め設定された閾値範囲と比較することで、S26の工程が実行される。
【0057】
上記のように、S22で判断が肯定されるのは、Sが最大で2.5mもある。そこで、S26における閾値範囲は、乗場13から乗りかご14に乗り移る危険の大きさで設定することができる。例えば50cmを閾値範囲とすることができる。この場合、間隔Sが50cmを超えるときはS26の判断が肯定され、S28において赤ランプが点灯し、図4(d)の状態となる。S28の工程は、CPU52の出力部68の警報出力モジュール80の機能によって実行される。具体的には、S26で判断が肯定されると、昇降表示器40に警報信号が出力され、これにより、緑ランプ表示から赤ランプ表示に切り換わる。
【0058】
なお、図4における昇降表示器40の各ランプの配置は、一例であって、これ以外の配置とすることもできる。例えば、横配置ではなく縦配置とすることができる。また、各ランプの並び方の順序も図4と異なってもよい。昇階表示ランプ42、降階表示ランプ44の形状も三角形以外とし、あるいは記号等で昇降の区別をするものとできる。警報の表示も、赤と緑の色違いとするのではなく、単に警報ランプを常時は消灯とし、異常時に点灯するものとできる。また、警報の出力は、ランプ表示以外の表示でもよい。例えばブザー等の音声であってもよい。
【実施例2】
【0059】
上記では、乗りかご位置の取得は、通常のエレベータ運行に用いられているエンコーダ、かご位置センサの情報を転用するものとした。しかし、事故の原因として、これらのかご位置検出手段が故障している場合もある。以下では、従来用いられているかご位置検出手段と別に、事故発生判断がされたときに、乗りかご位置を取得する方法について、図5から図7を用いて説明する。なお、以下では、図1から図4の要素と同様の要素には同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。また、以下では、図1から図4の符号を用いて説明する。
【0060】
図5は、乗りかごに信号発信器、乗場に信号受信器を設け、信号の送受信において乗りかご位置を取得するシステムの構成図、図6は、この方法によって乗りかご位置を取得し、特に、乗りかご位置と設定停止位置との間の間隔を取得する手順を示すフローチャート、図7は、受信信号の様子を説明する図である。
【0061】
図5に示すかご位置知らせシステム11は、乗りかご14にかご位置発信器24を設け、各階の乗場13にそれぞれ、かご位置受信器26を設けて、かご位置発信器24からの信号を複数のかご位置受信器26で受信し、これに基づいて乗りかご位置を取得するものである。
【0062】
図5において、かご位置発信器24は、例えば乗りかご14の外部の天井部等に設けられ、所定の電波を出力する送信器である。調整器25は、送信電波の強度等を適当に調整設定するためのものである。また、かご位置受信器26は、各階の乗場13に設けられ、かご位置発信器24からの電波を受信する受信器であり、調整器27は、受信電波の強度等を適当に調整設定するためのものである。かご位置受信器26は、既に述べた昇降表示器40、IDカード読取器22等と同様に、主制御装置50に信号線を介して接続されるので、IDカード読取器22等の近傍に配置されるのが好ましい。
【0063】
IDカード読取器22も無線機器であり、かご位置受信器26も無線機器であるので、混信、干渉等の障害を避けるため、互いに指向性を異ならせることがよい。例えば、IDカード読取器22は、乗場13の方に受信面を向ける一方で、かご位置受信器26の受信面は昇降路12の側を向くようにすることが好ましい。これらの機器の間にシールド部材を設けてもよい。また、これらの機器の間で、使用電波の帯域を相互に異なるものとしてもよい。また、かご位置検出と、作業者検出とは同時に行う必要は必ずしもないので、これらの機器を同時には作動しないようにしてもよい。
【0064】
図5の場合に乗りかご14の停止位置を見ると、乗りかご停止位置と、作業者8がいる乗場13の設定停止位置との間隔Sは、乗りかご停止位置と、作業者8がいる乗場13の1階下の乗場における設定停止位置との間隔Tよりも小さい。したがって、このような場合、図3で説明したS22の一致判断は肯定される。逆に間隔Tが間隔Sよりも小さいと、S22の一致判断が否定されることになる。以下では間隔Sが間隔Tよりも小さく、S22の判断が肯定されたものとして説明を続ける。
【0065】
図6、図7は、乗りかご14について、乗りかご停止位置の取得ができ、S22、S32の判断はできるが、正確な位置の検出が困難な場合に、乗りかご停止位置と設定停止位置との間隔Sを検出する方法を説明する図である。具体的には、図3のフローチャートにおけるS26の判断に障害がある場合に、かご位置発信器24とかご位置受信器26の機能を用いて、これを補う方法である。
【0066】
図6は、図3のフローチャートの修正手順を示す図である。ここでは、図3のフローチャートにおいて、S24までは同様の手順であり、次の工程が異なる。S24において昇階表示と降階表示を共に点灯することで、乗りかご停止位置が作業者階と一致していることを作業者8に示した後、ここでは、作業者階におけるかご位置受信器26の受信信号レベルを取得し(S40)、標準的な受信信号レベルである閾値受信レベルの範囲か否かが判断される(S42)。
【0067】
図7は、かご位置受信器26が受信した信号の受信信号レベルを模式的に説明する図である。ここでは横軸に時間、縦軸に受信信号レベル90、例えば、受信信号の振幅が示されている。斜線で示した範囲が、標準的な受信信号レベルである閾値受信レベル92である。閾値受信レベルは、乗りかご停止位置が、(作業者階の設定停止位置±閾値範囲位置)のときの受信信号レベルである。閾値範囲位置は、図3のS26において説明した間隔Sに対する閾値範囲である。したがって、上記の例では、作業者階の設定停止位置に対し、±50cmのときのかご位置受信器26の受信信号レベルが、閾値受信レベル92である。閾値受信レベル92の設定は、調整器25,27の調整により、適当な検出感度とすることができる。
【0068】
したがって、S42の判断は、受信信号レベル90が閾値受信レベル92の範囲外か否かによって行われる。図7の例では、受信信号レベル90が閾値受信レベル92の範囲外であるので、S42の判断が肯定され、警報信号が出力され、S28に進んで赤ランプが点灯される。
【0069】
このように、かご位置検出手段が間隔Sを正確に検出できない場合には、かご位置発信器24とかご位置受信器26とを用いて、間隔Sを検出し、警報信号を出力すべきか否かの判断が可能となる。また、かご位置検出手段が間隔Sを検出できる場合にも、かご位置発信器24とかご位置受信器26とにより検出される結果を併せ用いることで、警報信号を出力すべきか否かの判断の精度を高めることができる。
【実施例3】
【0070】
上記では、乗りかご停止位置の取得ができるものとしている。仮に、エンコーダ等のかご位置検出手段の故障が生じると、乗りかご停止位置そのものの取得ができない。このような場合でも、上記のかご位置発信器とかご位置受信器とを用いることで、乗りかご停止位置を取得するようにできる。なお、以下では、図1から図7の要素と同様の要素には同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。また、以下では、図1から図7の符号を用いて説明する。
【0071】
図8は、乗りかご14について、エンコーダ等のかご位置検出手段によっては乗りかご停止位置の取得ができない場合に、複数のかご位置受信器26がそれぞれ受信した複数の受信信号レベルの間の比較に基づいて、乗りかご14の停止位置を取得する手順を示すフローチャートである。なお、かご位置発信器24、かご位置受信器26の内容、配置等は、図5で説明したものと同じである。
【0072】
図8は、図3のフローチャートの修正手順を示す図である。ここでは、図3のフローチャートにおいて、S12において事故処理モードに切り換えられると、次に乗りかご位置が検出されたか否かが判断される(S50)。この工程は、図3においては図示されていないが、実際にはこの判断が実行され、肯定判断とされると、図3で説明したように、S14の乗りかご位置取得の工程に進む。したがって、S50の工程における乗りかご位置の検出とは、通常運行処理モードで用いられるかご位置検出手段によって、乗りかご位置が検出されたか否かの判断を意味するものである。
【0073】
S50で判断が否定されると、複数階のかご位置受信器26の受信信号レベルがそれぞれ取得され、比較される(S52)。ここで、例えば、乗りかご14の状態が図5の状態であるとすると、作業者8のいる乗場13のかご位置受信器26の方が、もう1階下の乗場のかご位置受信器26よりも、乗りかご14に設けられたかご位置発信器24に近い。複数のかご位置受信器26の受信感度が同じであれば、乗りかご14に設けられたかご位置受信器26に最も近いかご位置受信器26の受信信号レベルが最も高くなる。この原理を用いて、乗りかご14が、どの乗場13に最も近いかを判断できる。
【0074】
その様子を図9に示す。図9の横軸、縦軸は図7と同様である。ここでは、図5の例で、作業者8がいる乗場13に設けられたかご位置受信器26の受信信号レベル90、その一階下の乗場に設けられたかご位置受信器26の受信信号レベル94、その他の階の乗場に設けられたかご位置受信器26の受信信号レベル96が示されている。この例では、受信信号レベル90が最も高い受信信号レベルであるので、これにより、乗りかご位置は、作業者8がいる乗場13が最も近い階であることが分かる。
【0075】
このように、複数階のかご位置受信器26の受信信号レベルの比較によって、乗りかご位置の特定がなされる(S54)。S54の後は、再びS14に復帰し、以後は図3のフローチャートの手順に従って処理が行われる。ただし、エンコーダ等のかご位置検出手段が故障しているので、図3のS26も実行ができないので、ここでは、S26に代わって、図6で説明した手順が実行されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明に係る実施の形態におけるエレベータのかご位置知らせシステムの概要を説明する図である。
【図2】本発明に係る実施の形態におけるエレベータのかご位置知らせシステムの構成図である。
【図3】本発明に係る実施の形態において、かご位置知らせの手順を示すフローチャートである。
【図4】本発明に係る実施の形態において、昇降表示器の点灯の様子を示す図である。
【図5】別の実施の形態において、かご位置発信器、かご位置受信器を用いて乗りかご位置を取得する際の構成図である。
【図6】別の実施の形態において、乗りかご位置を取得し、特に、乗りかご位置と設定停止位置との間の間隔を取得する手順を示すフローチャートである。
【図7】別の実施の形態において、受信信号の様子を説明する図である。
【図8】他の実施の形態において、乗りかご位置を取得する手順を示すフローチャートである。
【図9】他の実施の形態において、受信信号の様子を説明する図である。
【符号の説明】
【0077】
8 作業者、10,11 かご位置知らせシステム、12 昇降路、13 乗場、14乗りかご、15 主ロープ、16 巻上機、20 IDカード、22 IDカード読取器、24 かご位置発信器、25,27 調整器、26 かご位置受信器、40 昇降表示器、42 昇階表示ランプ、44 降階表示ランプ、46 警報ランプ、50 主制御装置、52 CPU、54 表示器I/F、56 作業者検出器I/F、58 かご位置I/F、60 事故判断モジュール、62 かご位置取得モジュール、64 作業者階特定モジュール、66 判断部、68 出力部、70 一致判断モジュール、72 上下階判断モジュール、74 閾値範囲判断モジュール、76 一致信号出力モジュール、78 上下階知らせ信号出力モジュール、80 警報出力モジュール、90,94,96 受信信号レベル、92 閾値受信レベル。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各階の乗場ごとに設けられ、保守作業者の有無を検出する作業者検出手段と、
各階ごとの作業者検出手段のそれぞれと接続される制御部と、
を備え、
制御部は、
乗りかごの事故の有無を判断する事故判断手段と、
事故であると判断したときに、乗りかごの停止位置を取得する乗りかご位置取得手段と、
事故であると判断したときに、各階ごとの作業者検出手段の検出結果に基づいて、保守作業者のいる乗場階である作業者階を特定する作業者階特定手段と、
乗りかご位置取得手段によって取得された乗りかご停止位置と、作業者階特定手段によって特定された作業者階における停止設定位置とが所定の範囲で一致しているか否かを判断する一致判断手段と、
一致判断手段によって一致していると判断されたときに、作業者階が乗りかご停止位置であることを知らせる一致信号を作業者階に対し出力する出力手段と、
を有することを特徴とするエレベータのかご位置知らせシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のエレベータのかご位置知らせシステムにおいて、
制御部は、
一致判断手段によって乗りかご停止位置と作業者階における停止設定位置とが所定範囲で一致していると判断されない場合、さらに、乗りかご停止位置が作業者階に対し上層階側か下層階側かを判断する上下階判断手段を有し、
出力手段は、上下階判断手段の判断に従って、乗りかご位置が作業者階に対し上層階側か下層階側かを知らせる上下階知らせ信号を作業者階に対し出力することを特徴とするエレベータのかご位置知らせシステム。
【請求項3】
請求項1に記載のエレベータのかご位置知らせシステムにおいて、
制御部は、
乗りかご停止位置が作業者階の停止設定位置から予め定めた閾値範囲を超えるか否かを判断する停止位置閾値判断手段と、
閾値範囲を超えると判断されたときに、警報信号を出力する警報出力手段を有することを特徴とするエレベータのかご位置知らせシステム。
【請求項4】
請求項3に記載のエレベータのかご位置知らせシステムにおいて、
乗りかごに設けられたかご位置発信器と、
各乗場階ごとに設けられ、かご位置発信器からの信号を受信するかご位置受信器と、
を備え、
停止位置閾値判断手段は、
各階のかご位置受信器の受信信号レベルに基づいて、乗りかご停止位置と作業者階における停止設定位置とが閾値範囲を超えるか否かを判断することを特徴とするエレベータのかご位置知らせシステム。
【請求項5】
請求項4に記載のエレベータのかご位置知らせシステムにおいて、
乗りかご位置取得手段は、
複数のかご位置受信器がそれぞれ受信した複数の受信信号レベルの間の比較に基づいて、乗りかごの停止位置を取得することを特徴とするエレベータのかご位置知らせシステム。
【請求項6】
請求項1に記載のエレベータのかご位置知らせシステムにおいて、
出力手段は、一致信号として、昇降方向を表示する昇降表示器に対し、昇階表示と降階表示とを点灯させる信号を出力することを特徴とするエレベータのかご位置知らせシステム。
【請求項7】
請求項2に記載のエレベータのかご位置知らせシステムにおいて、
出力手段は、上下階知らせ信号として、乗りかご停止位置と作業者階との関係に応じ、昇降方向を表示する昇降表示器に対し、昇階表示または降階表示を点灯させる信号を出力することを特徴とするエレベータのかご位置知らせシステム。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか1に記載のエレベータのかご位置知らせシステムにおいて、
作業者検出手段は、保守作業者ごとに保持され保守作業者身分を示す識別情報を有する識別カードを読み取る識別カード読取器であることを特徴とするエレベータのかご位置知らせシステム。
【請求項9】
請求項8に記載のエレベータのかご位置知らせシステムにおいて、
作業者検出手段は、非接触式の識別カードを読み取る識別カード読取器であることを特徴とするエレベータのかご位置知らせシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−280123(P2008−280123A)
【公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−125030(P2007−125030)
【出願日】平成19年5月9日(2007.5.9)
【出願人】(000236056)三菱電機ビルテクノサービス株式会社 (1,792)
【Fターム(参考)】