エンコーダ装置、及び駆動装置
【課題】検出精度を向上する。
【解決手段】エンコーダ装置は、被駆動体の位置に対応する信号を出力する検出部と、位置を示す第1位置情報を補正する補正値情報を記憶する記憶部と、被駆動体の位置に対応する信号に基づいて第1位置情報を生成し、生成した第1位置情報を、記憶部から読み出した補正値情報に基づいて補正する信号処理部とを備える。また、補正値情報は、位置に対応して測定された位置情報の誤差を示す誤差特性に基づいて生成された情報であって、誤差特性を所定の位置情報における複数の区間に分割し、分割した区間の境界ごとに、当該境界の前後の区間における誤差特性に基づいて生成された境界における近似値を平均して生成された誤差情報と、境界の位置を示す第2位置情報とが関連付けられた情報を有する。
【解決手段】エンコーダ装置は、被駆動体の位置に対応する信号を出力する検出部と、位置を示す第1位置情報を補正する補正値情報を記憶する記憶部と、被駆動体の位置に対応する信号に基づいて第1位置情報を生成し、生成した第1位置情報を、記憶部から読み出した補正値情報に基づいて補正する信号処理部とを備える。また、補正値情報は、位置に対応して測定された位置情報の誤差を示す誤差特性に基づいて生成された情報であって、誤差特性を所定の位置情報における複数の区間に分割し、分割した区間の境界ごとに、当該境界の前後の区間における誤差特性に基づいて生成された境界における近似値を平均して生成された誤差情報と、境界の位置を示す第2位置情報とが関連付けられた情報を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンコーダ装置、及び駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、被駆動体の位置を検出するエンコーダ装置が広く使用されている。このようなエンコーダ装置には、検出部の配置や検出感度のばらつきなどに伴って検出精度に影響を与える誤差特性が存在している。そのため、このようなエンコーダ装置において、補正値情報を用いて検出精度を向上する技術が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平03−167419号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述のようなエンコーダ装置は、被駆動体の予め定められた位置において測定された補正値情報を用いて誤差を補正しているため、例えば誤差特性の形状が複雑な場合には、誤差特性における検出誤差を補正しきれずに、被駆動体の位置を高精度に検出することができないことがある。
つまり、上述のようなエンコーダ装置では、検出精度を向上することが困難であった。
【0005】
本発明は、上記問題を解決すべくなされたもので、その目的は、検出精度を向上することができるエンコーダ装置、及び駆動装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題を解決するために、本発明の一実施形態は、被駆動体の位置に対応する信号を出力する検出部と、前記位置を示す第1位置情報を補正する補正値情報を記憶する記憶部と、前記信号に基づいて前記第1位置情報を生成し、生成した前記第1位置情報を、前記記憶部から読み出した前記補正値情報に基づいて補正する信号処理部とを備え、前記補正値情報は、前記位置に対応して測定された位置情報の誤差を示す誤差特性に基づいて生成された情報であって、前記誤差特性を所定の位置情報における複数の区間に分割し、分割した前記区間の境界ごとに、当該境界の前後の区間における前記誤差特性に基づいて生成された前記境界における近似値を平均して生成された誤差情報と、前記境界の位置を示す第2位置情報とが関連付けられた情報を有する、ことを特徴とするエンコーダ装置である。
【0007】
また、本発明の一実施形態は、被駆動体の位置に対応する信号を出力する検出部と、前記位置を示す第1位置情報を補正する補正値情報を記憶する記憶部と、前記信号に基づいて前記第1位置情報を生成し、生成した前記第1位置情報を、前記記憶部から読み出した前記補正値情報に基づいて補正する信号処理部とを備え、前記補正値情報は、前記位置に対応して測定された位置情報の誤差を示す誤差特性に基づいて生成された情報であって、前記誤差特性の形状に応じて前記誤差特性を所定の位置情報における複数の区間に分割し、分割した前記区間の境界の位置を示す第2位置情報と、前記境界において測定された誤差情報とが関連付けられた情報を有する、ことを特徴とするエンコーダ装置である。
【0008】
また、本発明の一実施形態は、上記のエンコーダ装置を備えることを特徴とする駆動装置である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、検出精度を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本実施形態によるエンコーダ装置の構成の一例を示す概略構成図である。
【図2】本実施形態におけるエンコーダ装置の出力部を示す概略ブロック図である。
【図3】本実施形態におけるエンコーダ装置を示す概略ブロック図である。
【図4】本実施形態におけるエンコーダ装置の誤差特性の一例を示す図である。
【図5】第1実施形態による補正値情報の一例を示す概念図である。
【図6】本実施形態における誤差曲線と第2の生成方法による補正値情報との関係の一例を示す図である。
【図7】第1実施形態による補正値情報と補正後誤差との一例を示す図である。
【図8】従来のエンコーダ装置における補正値情報と補正後の誤差との一例を示す図である。
【図9】第2実施形態による補正値情報の一例を示す第2の概念図である。
【図10】第3実施形態による補正値情報の一例を示す第3の概念図である。
【図11】本実施形態における駆動装置の概略図である。
【図12】本実施形態における減速機を備える駆動装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態によるエンコーダ装置について図面を参照して説明する。
なお、本実施形態において、エンコーダ装置は、回転角度検出装置である磁気式エンコーダである場合について説明する。
【0012】
まず、本実施形態におけるエンコーダ装置100の構成について説明する。
図1は、本実施形態によるエンコーダ装置100の構成の一例を示す概略構成図である。
この図において、エンコーダ装置100は、磁石5を有する回転子6と、この回転子6の近傍に配置された複数の磁気検出素子1(MS1),2(MS2),3(MS3),4(MS4)と、その磁気検出素子1,2,3,4やその他の制御部品を搭載した基板組9とを備えている。ここで、回転子6の近傍とは、例えば、この回転子6の周囲、又は、回転子6の円周上のことである。
【0013】
磁石5は、例えば、永久磁石である。磁気検出素子1,2,3,4は、例えば、それぞれホール素子である。以降、磁気検出素子1,2,3,4を、ホール素子1,2,3,4と称して説明する。
【0014】
この図1において、回転子6(被駆動体)が紙面に対して垂直となる回転軸を中心として回転すると、回転子6の回転に伴い磁石5が回転し、ホール素子1,2,3,4で検出される磁石5からの磁界が変化する。エンコーダ装置100は、この磁界の変化を、ホール素子1,2,3,4の4個のホール素子によりそれぞれ検出し、この検出した磁界の変化量から回転子6の回転位置を検出する。
ここで、本実施形態における「回転位置」とは、回転角度、回転位置を示す位置情報、又は回転角度などを示す角度情報のことである。
【0015】
なお、図1を用いて説明した4個のホール素子1,2,3,4は、例えば、それぞれが同様の検出感度を有しており、それぞれが同様の出力レベルを有している。また、4個のホール素子1,2,3,4は、例えば、それぞれ基板組9の平面上であって、回転子6の回転軸と法線ベクトルの方向を同一とする平面上に配置されており、回転子6の回転軸から等距離となる円周上に配置されている。また、各ホール素子1,2,3,4は、等間隔(この場合は、回転子6の回転軸を中心として90度の等角度)で配置されている。
また、組とされるホール素子1及び3と、ホール素子2及び4とは、回転子6の回転軸を中心として、互いに対向して配置されており、回転子6の回転軸を中心として180度の角度になるように配置されている。
【0016】
ホール素子1,2,3,4は、2つの出力端子(out+とout−)をそれぞれ有している。この2つの出力端子は、後述するアナログSW(アナログスイッチ)2、SW3の端子に接続されている(図2参照)。なお、この図2における符号「MS1out−」は、図1におけるホール素子1の出力端子out−に接続されていることを示している。
【0017】
以降、例えば、ホール素子1の出力端子out+から出力される信号を「信号MS1out+」と称し、ホール素子1の出力端子out−から出力される信号を「信号MS1out−」と称して説明する。ホール素子2,3,4から出力される信号も、ホール素子1から出力される信号と同様に称して説明する。
【0018】
また、ホール素子1,2,3,4は、電流又は電圧が印加される2つの入力端子(in+とin−)をそれぞれ有している。この2つの入力端子は、後述するアナログSW1、SW4の端子に接続されている(図2参照)。なお、この図2における符号「MS1in−」は、図1におけるホール素子1の入力端子in−に接続されていることを示している。
【0019】
以降、例えば、ホール素子1の入力端子in+から出力される信号を「信号MS1in+」と称し、ホール素子1の入力端子in−から出力される信号を「信号MS1in−」と称して説明する。ホール素子2,3,4から出力される信号も、ホール素子1から出力される信号と同様に称して説明する。
【0020】
次に、図2を用いて、上述した4個のホール素子により検出した磁界の変化量から、回転子6の回転位置に対応する信号(A相信号及びB相信号)を生成する出力部200について説明する。
図2は、本実施形態におけるエンコーダ装置100の出力部200を示す概略ブロック図である。この図において、出力部200は、切り替え部260(アナログSW1、SW2、SW3、及びSW4)と、電源部210と、差動増幅部220と、A/D変換部(A/D変換器)230と、信号生成部240とを備えている。
【0021】
アナログSW1、SW2、SW3、及びSW4を有する切り替え部260は、ホール素子1,2,3,4と電源部210との間の接続、及び、ホール素子1,2,3,4と差動増幅部220との間の接続を、ホール素子1,2,3,4に対して順に切り替える。
アナログSW1、SW2、SW3、及びSW4は、それぞれ、4つの第1の端子と、1つの第2の端子とを備えている。アナログSW1の4つの第1の端子には、ホール素子1,2,3,4の入力端子in+が、それぞれ対応して接続されている。アナログSW1の1つの第2の端子には、電源部210が接続されている。
また、アナログSW1には、アドレスセレクト信号S0とS1とが入力されている。アナログSW1においては、このアドレスセレクト信号S0とS1との組み合わせにより、4つの第1の端子のうちのいずれか1つの端子が選択され、この選択された第1の端子と、第2の端子とが接続される。このアドレスセレクト信号S0とS1とは、例えば、信号生成部240(信号生成部240が備える切り替え制御部241)から供給される選択信号であり、4つの第1の端子のうちのいずれか1つの端子を選択する選択信号である。
【0022】
このようにアドレスセレクト信号S0とS1との組み合わせに基づいて、ホール素子1,2,3,4のうちから選択されたいずれか1つのホール素子の入力端子in+が、アナログSW1を介して、電源部210に接続される。
【0023】
アナログSW1と同様に、アドレスセレクト信号S0とS1との組み合わせに基づいて、ホール素子1,2,3,4のうちから選択されたいずれか1つのホール素子の出力端子out+が、アナログSW2を介して、差動増幅部220の入力端子+に接続される。
また、同様に、アドレスセレクト信号S0とS1との組み合わせに基づいて、ホール素子1,2,3,4のうちから選択されたいずれか1つのホール素子の出力端子out−が、アナログSW3を介して、差動増幅部220の入力端子−に接続される。
また、同様に、アドレスセレクト信号S0とS1との組み合わせに基づいて、ホール素子1,2,3,4のうちから選択されたいずれか1つのホール素子の入力端子in−が、アナログSW4を介して、接地される。なお、アナログSW4の第2の端子は、抵抗R1を介して接地されてもよい。
【0024】
電源部210は、アドレスセレクト信号S0とS1との組み合わせに基づいて、ホール素子1,2,3,4のうちから選択されたいずれか1つのホール素子に、上述したようにアナログSW1とアナログSW4とを介して、電流又は電圧を供給する。
【0025】
差動増幅部220は、アドレスセレクト信号S0とS1との組み合わせに基づいて、ホール素子1,2,3,4のうちから選択されたいずれか1つのホール素子の出力端子out+と出力端子out−からの信号を、上述したアナログSW2とアナログSW3とを介して入力される。そして、この差動増幅部220は、入力されたホール素子の出力端子out+と出力端子out−とを差動増幅して、A/D変換部230に出力する。
【0026】
A/D変換部230は、差動増幅部220からの出力をA/D変換して、信号生成部240に出力する。なお、A/D変換部230は、供給されるA/D制御信号に基づいたタイミングで、差動増幅部220からの出力をA/D変換して、信号生成部240に出力する。このA/D制御信号は、例えば、切り替え制御部241から供給される制御信号であり、A/D変換するタイミングを示す制御信号である。
【0027】
以上のようにして、電源部210は、アドレスセレクト信号S0とS1との組み合わせに基づいて、ホール素子1,2,3,4に順に電流又は電圧を供給する。また、差動増幅部220及びA/D変換部230は、電源部210により順に電流又は電圧を供給するホール素子が検出した検出信号を、差動増幅して順に出力する。
【0028】
信号生成部240は、上述したアドレスセレクト信号S0及びS1と、上述したA/D制御信号とを生成する、また、信号生成部240は、A/D変換部230から供給された検出信号に基づいて、A相信号及びB相信号を生成する。なお、A相信号とB相信号とは、互いに位相が90度ずれた正弦波信号である。
信号生成部240は、切り替え制御部241、A相信号生成部242、及びA相信号生成部243を備えている。
【0029】
切り替え制御部241は、上述したアドレスセレクト信号S0及びS1を生成して、アナログSW1、SW2、SW3、及びSW4に供給する。また、切り替え制御部241は、上述したA/D制御信号を生成して、A/D変換部230に供給する。
【0030】
A相信号生成部242は、例えば、ホール素子1の出力Vms1と、ホール素子3の出力Vms3とに基づいて、A相信号を生成して、生成したA相信号を信号処理部30(図3参照)に出力する。なお、A相信号は、例えば、式(1)に示される演算処理により算出される。
【0031】
A相信号=[Vms1−Vms3] … (1)
【0032】
B相信号生成部243は、例えば、ホール素子2の出力Vms2と、ホール素子4の出力Vms4とに基づいて、B相信号を生成して、生成したB相信号を信号処理部30(図3参照)に出力する。なお、B相信号は、例えば、式(2)に示される演算処理により算出される。
【0033】
B相信号=[Vms2−Vms4] … (2)
【0034】
次に、図3を参照して、上述した出力部200を備えたエンコーダ装置100の構成について説明する。
図3は、本実施形態におけるエンコーダ装置100を示す概略ブロック図である。
この図において、エンコーダ装置100は、検出部20及び信号処理部30を備えている。なお、この図において、図1及び図2と同一の構成については同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0035】
検出部20は、回転子6の位置に対応する信号(A相信号及びB相信号)を信号処理部30に出力する。検出部20は、ホール素子1,2,3,4を有する上述した基板組9と、上述した出力部200とを備えている。
【0036】
信号処理部30は、検出部20から供給された二相信号であるA相信号及びB相信号に基づいて回転子6の位置情報(第1位置情報)を生成し、生成した回転子6の位置情報を、後述する補正値情報に基づいて補正する。信号処理部30は、補正した位置情報を出力部(不図示)を介して、コントローラなどの上位装置に出力する。ここで、補正値情報は、補正値記憶部33(記憶部)から読み出される。
【0037】
この補正値情報は、回転子6の回転位置(角度位置)に対応して測定された位置情報の誤差を示す誤差特性に基づいて生成された情報である。また、補正値情報は、この誤差特性を所定の位置情報における複数の区間に分割し、分割した区間の境界(補正ポイント)における補正値と、境界(補正ポイント)の位置を示す第2位置情報とが関連付けられた情報を有している。つまり、補正値情報は、分割した区間の境界(補正ポイント)における補正値であるため、補正値情報の情報量は、全位置情報に対応する補正値を持つ場合に比べて低減される。ここで、区間とは、補正値の間隔を示す補正間隔である。また、区間の分割は、例えば、誤差特性における0度〜360度の1周期を分割する。
【0038】
なお、本実施形態において、信号処理部30は、上述の二相信号に基づいた内挿処理において発生する誤差を示す内挿誤差を、補正値情報に基づいて補正する。
また、信号処理部30は、位置情報生成部31、角度シフト情報記憶部32、補正値記憶部33、補正算出部34、及び補正処理部35を備えている。
【0039】
位置情報生成部31は、出力部200から供給された二相信号に基づいて、内挿処理を実行して、回転子6の位置情報(第1位置情報)を生成する。なお、この第1位置情報は、補正前のエンコーダ値(位置情報)であり、後述する誤差を含んだ情報である。位置情報生成部31は、生成した補正前のエンコーダ値を補正処理部35に供給する。
また、位置情報生成部31は、生成した補正前のエンコーダ値に基づいて、現在の区間情報を生成し、生成した現在の区間情報を補正値記憶部33に供給する。ここで、現在の区間情報とは、補正生成されたエンコーダ値が上述のいずれの区間に相当するかを示す情報であり、例えば、相当する区間(現在の区間)の両端(境界)である2つの補正ポイントに対応する補正値を読み出すためのアドレス情報である。
【0040】
また、位置情報生成部31は、生成した補正前のエンコーダ値に基づいて、現在の区間内位置情報を生成し、生成した現在の区間内位置情報を補正量算出部34に供給する。ここで、現在の区間内位置情報とは、生成した補正前のエンコーダ値が上述した現在の区間のいずれの位置に相当するかを示す情報である。
【0041】
角度シフト情報記憶部32は、予め測定されている角度シフト情報を記憶する。ここで、角度シフト情報とは、例えば、回転子6の基準位置(例えば、0度)に対して、検出されたエンコーダ値のオフセット値を示すシフト値である。角度シフト情報記憶部32は、角度シフト情報を補正値記憶部33にアドレス情報の一部として供給する。
【0042】
補正値記憶部33は、回転子6の回転位置を示す第1位置情報を補正する上述した補正値情報を記憶する。補正値記憶部33は、位置情報生成部31から供給された現在の区間情報と、角度シフト情報記憶部32に記憶された角度シフト情報とに基づいて、補正する区間に対応する区間両端補正値を補正量算出部34に出力する。ここで、区間両端補正値とは、補正する区間の境界(補正ポイント)における補正値情報であり、2つの補正ポイントに対応した補正値である。
【0043】
補正量算出部34は、位置情報生成部31から供給された現在の区間内位置情報と、補正値記憶部33から読み出された区間両端補正値とに基づいて、上述の第1位置情報に対応する補正量(補正値)を算出する。一例として、補正量算出部34は、区間両端補正値である2つの補正ポイントに対応した補正値を直線補間(直線補正)し、現在の区間内位置情報に対応する補正量を算出する。つまり、補正量算出部34は、補正ポイント間の直線補正を実行して、上述の第1位置情報に対応する補正量(補正値)を算出する。補正量算出部34は、算出した補正量(補正値)を補正処理部35に供給する。
【0044】
補正処理部35は、補正量算出部34によって算出された補正値に基づいて、位置情報生成部31から供給された補正前のエンコーダ値(第1位置情報)を補正する。つまり、補正処理部35は、補正値記憶部33から読み出した補正値情報に基づいて、位置情報生成部31が生成した第1位置情報を補正する。補正処理部35は、補正した位置情報を出力部(不図示)を介してコントローラなどの上位装置に出力する。
【0045】
次に、本実施形態におけるエンコーダ装置100の動作について説明する。
エンコーダ装置100において回転子6の回転位置を検出する場合に、出力部200は、ホール素子1,2,3,4によって検出された磁石5からの磁界の変化を電気信号に変換し、回転子6の回転位置に対応する二相信号を生成する。そして、出力部200は、生成した二相信号を信号処理部30に出力する。
次に、信号処理部30の位置情報生成部31は、出力部200から供給された二相信号に基づいて、内挿処理を実行して、回転子6の位置情報(第1位置情報)を生成する。位置情報生成部31は、生成した補正前のエンコーダ値を補正処理部35に供給する。また、位置情報生成部31は、補正前のエンコーダ値に基づいて、現在の区間情報を補正値記憶部33に供給し、現在の区間内位置情報を補正値記憶部33に供給する。
【0046】
次に、補正値記憶部33は、位置情報生成部31から供給された現在の区間情報に基づいて、補正する区間に対応する区間両端補正値を補正量算出部34に出力する。次に、補正量算出部34は、補正値記憶部33から読み出した区間両端補正値と、位置情報生成部31から供給された現在の区間内位置情報とに基づいて、第1位置情報に対応する補正量(補正値)を算出する。そして、補正処理部35は、補正量算出部34によって算出された補正値に基づいて、位置情報生成部31から供給された補正前のエンコーダ値(第1位置情報)を補正する。
以上により、エンコーダ装置100は、補正された高精度な位置情報を検出することができる。エンコーダ装置100は、検出した位置情報をコントローラなどの上位装置に出力する。
【0047】
次に、上述した補正値情報の生成方法について詳細に説明する。
図4は、エンコーダ装置100の誤差特性の一例を示す図である。
この図において、横軸は、回転子6の回転位置である角度(deg)を示し、縦軸は、エンコーダ誤差(A.U.:Arbitrary Unit)を示している。また、波形W1は、回転子6と同軸に取り付けられた外部校正された基準エンコーダ装置の出力値と、エンコーダ装100置の補正前の出力値との出力差を示す波形である。この波形W1は、精度特性、誤差曲線又は誤差特性と呼ばれ、この出力差の値を加算又は減算したものが真値(外部校正された基準エンコーダ出力)である。つまり、回転子6の各角度における誤差量を補正値とみなすことができる。
【0048】
本実施形態では、回転子6の回転位置に対応して測定された位置情報の誤差を示すこの誤差特性(誤差曲線)の形状に基づいて、補正値情報が生成される。また、本実施形態では、補正値情報を生成する以下の4つの生成方法について説明する。
【0049】
(1)第1の生成方法は、補正ポイントの位置(角度)をシフトさせて、補正ポイントと誤差曲線の極値とを一致するように設定して補正値情報を生成する。
(2)第2の生成方法は、各補正区間において最小二乗法などにより直線近似を行い、各区間の境界(補正ポイント)において算出された2つの補正値(近似値)の平均を補正値として補正値情報を生成する。
(3)第3の生成方法は、補正区間を位置情報の誤差の大きさに応じた区間幅にそれぞれ定めて補正値情報を生成する。
(4)第4の生成方法は、誤差特性が繰り返し周期を有している場合に、誤差特性を繰り返し周期に基づいて分割し、分割した複数の領域のうちの1つの領域において補正区間を定めて補正値情報を生成する。
【0050】
なお、ここでは、補正値情報が、エンコーダ装置100に接続された校正装置によって生成される実施形態について説明する。
【0051】
[第1実施形態]
まず、第1実施形態として、第1の生成方法と第2の生成方法とを組み合わせて補正値情報を生成する実施形態を説明する。
図5は、第1実施形態による補正値情報の一例を示す概念図である。
この図において、横軸は、回転子6の回転位置である角度(deg)を示し、縦軸は、エンコーダ誤差(A.U.)を示している。また、波形W2は、図4に示されるような誤差曲線を示している。
第1実施形態では、まず、校正装置は、図5(a)に示すように、所定の区間間隔ΔD1により、波形W2を複数の補正区間(区間)に分割する。ここで、分割した補正区間の境界は、補正ポイントD1、D2、D3、及びD4として示される。なお、各補正ポイントの間隔(区間間隔)ΔD1は、均等とする。また、補正ポイントの数は、位置情報の1周期(360度)に対して、例えば、36とする。
【0052】
次に、校正装置は、図5(b)に示すように、補正ポイントの位置(角度)をシフトさせて、補正ポイントと波形W2の極値P1とを一致するように設定する。この図において、各補正ポイントD5〜D8は、波形W2の極値P1を基準に、区間間隔ΔD1の等間隔によって設定される。すなわち、この補正区間は、誤差特性の一例である誤差曲線(波形W2)の形状に応じて定められる。また、複数の補正区間のうち少なくとも1つは、補正ポイントと誤差曲線(波形W2)の極値(P1)とを一致させて設定される(第1の生成方法)。
【0053】
次に、校正装置は、図5(c)に示すように、各補正区間において最小二乗法などにより直線近似を行い、各区間の境界(補正ポイント)において算出された2つの補正値(近似値)の平均を取り、最終的な補正値を算出する(第2の生成方法)。この図において、直線L1及びL2は、直線近似による近似線を示す。
【0054】
この最終的な補正値の算出方法について、図6を参照して説明する。
図6は、誤差特性の一例である誤差曲線と第2の生成方法による補正値情報との関係の一例を示す図である。また、この図は、図5(c)を補正ポイントD6〜D8の部分を拡大した図である。
この図において、直線L1は、補正ポイントD6及びD7を境界とする補正区間における誤差曲線を最小二乗法により近似した近似線を示す。そして、近似値P2は、近似線L1により生成された補正ポイントD7における近似値である。また、直線L2は、補正ポイントD7及びD8を境界とする補正区間における誤差曲線を最小二乗法により近似した近似線を示す。そして、近似値P3は、近似線L2により生成された補正ポイントD7における近似値である。
【0055】
校正装置は、上述の近似値P2及びP3を算出した後、近似値P2と近似値P3との平均値P4を算出する。この近似値P2と近似値P3との平均値P4であるこの誤差情報が、補正ポイントD7における補正値情報である。校正装置は、補正ポイントD7と同様に、他の補正ポイントについても誤差情報を算出して、算出した誤差情報と各補正ポイントの位置を示す第2位置情報とを関連付けられた情報(補正値情報)として、補正値記憶部33に記憶させる。
すなわち、補正値記憶部33に記憶されている補正値情報は、分割した補正区間の境界(補正ポイント)ごとに、当該境界の前後の区間における誤差曲線に基づいて生成された境界における近似値を平均して生成された誤差情報と、境界の位置を示す第2位置情報とが関連付けられた情報を有している。
【0056】
次に、本実施形態によって生成された補正値情報を適用した場合の効果について説明する。
図7は、第1実施形態による補正値情報と補正後誤差との一例を示す図である。
図7(a)において、横軸は、回転子6の回転位置である角度(deg)を示し、縦軸は、エンコーダ誤差(A.U.)を示している。また、波形W3は、誤差曲線の一例を示し、白四角は、各補正ポイントに対応する補正値(補正点)を示している。なお、波形W3a及びW3bは、波形W3の拡大波形を示す。
また、図7(b)において、横軸は、回転子6の回転位置である角度(deg)を示し、縦軸は、第1実施形態による補正値情報を適用した場合の補正後誤差(A.U.)を示している。なお、この補正後誤差を示す波形W4は、シミュレーション波形である。
なお、比較のための参考として、図8に従来のエンコーダ装置における補正値情報と補正後の誤差との一例を示す。図7(b)において、波形W5は、従来のエンコーダ装置における補正後誤差のシミュレーション波形を示す。
【0057】
図8(a)に示すように、従来のエンコーダ装置における補正値は、波形W3(W3a及びW3b)上の値となる。そのため、図8(b)に示すように、補正後誤差を示す波形W5では、誤差の値が補正ポイントにおいて“0”になり、各補正区間における誤差は、正の値、又は負の値のいずれか一方である。
これに対して、図7(a)に示すように、本実施形態によって生成された補正値は、上述のように各区間近似値の平均であるため、必ずしも波形W3(W3a及びW3b)上の値とならない(例えば、補正点P5参照)。そのため、図7(b)に示すように、補正後誤差を示す波形W4では、誤差の値が補正ポイントにおいて“0”にならずに、各補正区間における誤差が正負に均等化される。これにより、図7(b)の波形W4に示すように、本実施形態による補正値情報を適用したエンコーダ装置100は、従来のエンコーダ装置(図8(b)の波形W5参照)に比べて、誤差を低減することができる。
【0058】
以上のように、本実施形態におけるエンコーダ装置100は、検出部20が回転子6の回転位置に対応する信号(二相信号)を出力する。補正値記憶部33が、回転子6の回転位置を示す第1位置情報を補正する補正値情報を記憶する。そして、信号処理部30が、二相信号に基づいて第1位置情報を生成し、生成した第1位置情報を、補正値記憶部33から読み出した補正値情報に基づいて補正する。この補正値情報は、位置に対応して測定された位置情報の誤差を示す誤差特性に基づいて生成された情報である。また、誤差情報は、誤差特性を所定の位置情報における複数の補正区間に分割し、分割した補正区間の境界(補正ポイント)ごとに、当該境界の前後の補正区間における誤差特性に基づいて生成された境界における近似値を平均して生成される(第2の生成方法)。補正値記憶部33に記憶されている補正値情報は、このように生成された誤差情報と、境界の回転位置を示す第2位置情報とが関連付けられた情報を有する。
【0059】
これにより、エンコーダ装置100は、図7(a)に示すように、各補正区間における誤差が正負に均等化される。また、補正値情報は、補正区間の境界(補正ポイント)に対応する補正値である。よって、本実施形態におけるエンコーダ装置100は、補正値情報量の増大を抑えつつ、検出精度を向上することができる。また、本実施形態におけるエンコーダ装置100は、例えば、誤差特性の形状が複雑な場合においても、検出精度を向上することができる。
【0060】
また、本実施形態において、信号処理部30は、補正量算出部34が補正ポイント間の直線補正(直線補間)を実行して、上述の第1位置情報に対応する補正量(補正値)を算出する。そして、信号処理部30は、補正処理部35が補正量算出部34によって算出された補正値に基づいて、位置情報生成部31から供給された補正前のエンコーダ値(第1位置情報)を補正する。
これにより、本実施形態におけるエンコーダ装置100は、検出誤差を低減することができ、検出精度を向上することができる。
【0061】
また、本実施形態において、上述の補正区間は、誤差特性の形状に応じて定められる。これにより、誤差特性の形状に応じて補正区間を変更するため、検出誤差を低減できる補正値情報を生成することができる。つまり、本実施形態では、誤差特性の計測した後に、検出誤差が低減されるように補正ポイントを定めることができる。したがって、本実施形態におけるエンコーダ装置100は、検出精度を向上することができる。
【0062】
また、複数の補正区間のうち少なくとも1つは、補正区間の境界(補正ポイント)と誤差特性の極値(極大値又は極小値)とを一致させて定められる(第1の生成方法)。
これにより、誤差が大きい極大値又は極小値が補正ポイントに定められるため、検出誤差を低減できる補正値情報を生成することができる。したがって、本実施形態におけるエンコーダ装置100は、検出精度を向上することができる。
【0063】
また、本実施形態において、信号処理部30は、二相信号(A相信号及びB相信号)に基づいた内挿処理において発生する誤差を示す内挿誤差を、補正値情報に基づいて補正する。
これにより、内挿誤差を低減することができる。そのため、本実施形態におけるエンコーダ装置100は、検出精度を向上することができる。
【0064】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態として、第3の生成方法により補正値情報を生成する実施形態を説明する。
第2実施形態は、補正区間の区間幅を任意とする実施形態である。第1実施形態における補正値情報の生成方法では、補正区間の区間幅を等間隔としている。そのため、補正後の誤差が大きい箇所(区間又は補正ポイント)は、誤差特性(例えば、図4の波形W1)における誤差が大きい箇所(区間又は補正ポイント)となっている。そこで、本実施形態では、補正区間の分割の指針として、誤差特性の形状を利用して、補正区間の区間幅を変更する。
例えば、誤差特性の形状における極大値、極小値、及び変曲点を利用して誤差の大きさに応じて、補正区間の区間幅に重み付けをする方式等が考えられる。本実施形態では、誤差の大きさに応じて補正区間の区間幅に重み付けを行う実施形態について説明する。
なお、本実施形態における補正ポイントの数は、第1実施形態と同様に、位置情報の1周期(360度)に対して、例えば、36とする。
【0065】
図9は、第2実施形態による補正値情報の一例を示す概念図である。
図9(a)において、横軸は、回転子6の回転位置である角度(deg)を示している。また、波形W6は、上述した図4に示されるような誤差特性の波形W1における絶対値を、2回微分した波形を示している。波形W6において、縦軸が“0”となる場所は、波形W1における変曲点を示し、各ピークとなる場所は、誤差量を反映した極大値、又は極小値を示している。
【0066】
また、図9(b)において、横軸は、回転子6の回転位置である角度(deg)を示し、縦軸は、エンコーダ誤差(A.U.)を示している。また、波形W3は、誤差曲線の一例を示し、白四角は、各補正ポイントに対応する補正値(補正点)を示している。
また、図9(c)において、横軸は、回転子6の回転位置である角度(deg)を示し、縦軸は、第2実施形態による補正値情報を適用した場合の補正後誤差(A.U.)を示している。なお、この補正後誤差を示す波形W7は、シミュレーション波形である。
【0067】
第3の生成方法では、まず、校正装置は、図9(a)に示すように、誤差特性の波形W1における絶対値を2回微分して、波形W6を生成する。次に、校正装置は、波形W6における縦軸の値(誤差量に対応)の大きさに応じて、補正区間の区間幅を変更する。すなわち、第3の生成方法において、この補正区間は、補正区間における位置情報の誤差の大きさに応じた、区間幅にそれぞれ定められる。例えば、校正装置は、誤差の大きい箇所には補正区間の区間幅を狭く定め、誤差の小さい箇所には補正区間の区間幅を広く定める。
【0068】
図9(b)では、白四角が、誤差の大きさに基づいて重み付けを行った場合の補正ポイントの一例を示している。この実施形態では、校正装置は、補正区間の最大区間幅を約15度とし、最小区間幅を約8度として、誤差の大きさに基づいて重み付けを行う。例えば、波形W6において変曲点に対応する角度200度付近における区間幅ΔD2は、波形W6において極大値に対応する角度270度付近における区間幅ΔD3より狭く定められている。校正装置は、重み付けにより区間幅を変更して分割した補正区間の境界(補正ポイント)に対応する誤差値を補正値(上述した誤差情報)として補正値情報を生成する。つまり、補正値情報は、分割した補正区間の境界(補正ポイント)の位置を示す第2位置情報と、境界において測定された誤差情報とが関連付けられた情報を有する。そして、校正装置は、生成した補正値情報を補正値記憶部33に記憶させる。
【0069】
なお、第3の生成方法は、第1の生成方法及び第2の生成方法と組み合わせて補正値情報を生成してもよい。図9(c)において、波形W7は、第3の生成方法における効果を説明するために、第1〜3の生成方法を組み合わせて適用した場合の補正後誤差を示している。補正後誤差は、補正区間幅が狭い程、低減される傾向がある。そのため、波形W7では、270度付近の補正後誤差が低減され、全体的に誤差量が均一化される。図9(c)に示すように、波形W7における補正後誤差は、図7(b)に示される第1実施形態(第1の生成方法と第2の生成方法との組み合わせ)における補正後誤差(波形W4)に比べて低減される(270度付近を参照)。
【0070】
以上のように、本実施形態では、補正区間が、補正区間における位置情報の誤差の大きさに応じた区間幅にそれぞれ定められる。補正値記憶部33に記憶されている補正値情報は、定められた補正区間に基づいて生成される。補正後誤差は、補正区間幅が狭い程、低減される傾向にある。そのため、誤差特性における誤差値が大きい補正区間の区間幅を狭く定めることにより、誤差値が大きい補正区間における検出誤差を低減することができる。つまり、本実施形態におけるエンコーダ装置100は、補正値情報量の増大を抑えつつ、検出精度を向上することができる。また、本実施形態におけるエンコーダ装置100は、誤差の大きさに応じて区間幅を変更するため、例えば誤差特性の形状が複雑な場合においても、検出精度を向上することができる。
【0071】
[第3実施形態]
次に、第3実施形態として、第4の生成方法により補正値情報を生成する実施形態を説明する。
【0072】
ところで、エンコーダ装置の誤差特性は、偶数次成分から構成されている場合がある。誤差特性の2次成分は、主に磁気検出素子(1、2、3、4)の位置関係のずれや振幅差が原因で出現している。そのため、誤差特性は、回転位置0度〜180度(第1、2象限)と、180度〜360度(第3、4象限)とのそれぞれの範囲でほぼ同じ形状をしている場合がある。
【0073】
第3実施形態では、このように誤差特性が繰り返し周期を有している場合(繰り返し誤差波形である場合)に、繰り返し周期に基づいて補正区間を定める実施形態である。
【0074】
図10は、第3実施形態による補正値情報の一例を示す概念図である。
図10(a)及び(b)では、比較のために、誤差曲線(誤差特性)が繰り返し周期を有している場合に、第1実施形態による補正値情報を適用した場合の一例を示し、図10(c)及び(d)では、第3実施形態による補正値情報の一例を示す。
【0075】
図10(a)及び(c)において、横軸は、回転子6の回転位置である角度(deg)を示し、縦軸は、エンコーダ誤差(A.U.)を示している。また、波形W8は、誤差特性が繰り返し周期を有している場合の一例を示している。波形W8において、白四角は、各補正ポイントに対応する補正値(補正点)を示している。
また、図10(b)及び(d)において、横軸は、回転子6の回転位置である角度(deg)を示し、縦軸は、補正後誤差(A.U.)を示している。ここで、図10(b)の波形W9は、第1実施形態による補正値情報を適用した場合の補正後誤差を示し、図10(d)の波形W10は、第3実施形態による補正値情報を適用した場合の補正後誤差を示している。
【0076】
図10(a)において、白四角は、第1実施形態による補正値情報である場合の各補正ポイントに対応する補正値(補正点)を示している。ここで、補正ポイントの数は、位置情報の1周期(360度)に対して、例えば、36である。
これに対して、第3実施形態では、まず、校正装置は、図10(c)に示すように、誤差特性を繰り返し周期に基づいて、複数の領域T1及びT2に分割する。校正装置は、分割した複数の領域のうちの1つの領域(例えば、領域T1)において、補正区間を定めて、補正値情報を生成する(第4の生成方法)。すなわち、第4の生成方法において、この補正区間は、誤差特性を繰り返し周期に基づいて分割した複数の領域のうちの1つの領域において定められる。ここで、補正ポイントの数は、領域T1(波形W8a)に対して、例えば、36である。
【0077】
次に、校正装置は、上述のように領域T1において定めた補正区間の境界(補正ポイント)に対応する誤差値を補正値(上述した誤差情報)として補正値情報を生成する。つまり、補正値情報は、分割した補正区間の境界(補正ポイント)の位置を示す第2位置情報と、境界において測定された誤差情報とが関連付けられた情報を有する。そして、校正装置は、生成した補正値情報を補正値記憶部33に記憶させる。
なお、本実施形態では、信号処理部30(補正処理部35)は、繰り返し周期に基づいて分割した複数の領域に対して、1つの領域(領域T1)において生成された補正値情報に基づいて補正する。つまり、信号処理部30(補正処理部35)は、領域T2に対して補正処理を行う際にも、領域T1において生成された補正値情報に基づいて、第1位置情報を補正する。
【0078】
なお、図10(c)において、波形W8bの領域T2における補正ポイント(白丸)及び補正値は、波形W8bが、波形W8aの繰り返し波形であるため、波形W8aの領域T1における補正ポイント(白四角)及び補正値と同一としてよい。そのため、領域T2に対して補正処理を行う際にも、領域T1において生成された補正値情報に基づいて、第1位置情報を補正することができる。
【0079】
また、第4の生成方法は、第1の生成方法及び第2の生成方法と組み合わせて補正値情報を生成してもよい。図10(d)において、波形W10は、第3の生成方法における効果を説明するために、第1、第2、及び第4の生成方法を組み合わせて適用した場合の補正後誤差を示している。補正後誤差は、補正区間幅が狭い程、低減される傾向がある。本実施形態では、領域T1に対して36の補正ポイントが設定されている。そのため、波形W10では、図10(b)の波形W9に比べて、全領域において誤差が低減される。
【0080】
以上のように、本実施形態では、誤差特性が繰り返し周期を有している場合に、補正区間が、誤差特性を繰り返し周期に基づいて分割した複数の領域のうちの1つの領域において定められる。補正値記憶部33に記憶されている補正値情報は、定められた補正区間に基づいて生成される。また、信号処理部30(補正処理部35)は、繰り返し周期に基づいて分割した複数の領域に対して、1つの領域(領域T1)において生成された補正値情報に基づいて、第1位置情報を補正する。
補正後誤差は、補正区間幅が狭い程、低減される傾向にある。本実施形態では、繰り返し周期に基づいて分割した領域に対して補正区間を定めることにより、補正区間の区間幅を狭く定めることができる。そのため、本実施形態におけるエンコーダ装置100は、検出誤差を低減することができる。つまり、本実施形態におけるエンコーダ装置100は、補正値情報量の増大を抑えつつ、検出精度を向上することができる。また、本実施形態におけるエンコーダ装置100は、誤差の大きさに応じて区間幅を変更するため、例えば誤差特性の形状が複雑な場合においても、検出精度を向上することができる。
【0081】
次に、上述の実施形態におけるエンコーダ装置100を備える駆動装置(モータ装置、アクチュエータ)について説明する。
図11は、本実施形態における駆動装置DRの概略図である。本実施形態における駆動装置DRは、入力軸IAXを回転させるモータMTRと、入力軸IAXに設けられたエンコーダ装置100と、を備える。
【0082】
エンコーダ装置100は、入力軸IAX(被駆動体)の回転位置(角度位置)を検出し、駆動装置DRを制御する上位のコントローラに対して回転位置を含む情報をエンコーダ信号として出力する。上位のコントローラは、エンコーダ装置100から受信したエンコーダ信号をもとに、駆動装置DRを制御する。本実施形態におけるエンコーダ装置100は回転位置を高精度に検出することができるため、本実施形態における駆動装置DRはモータMTRの入力軸IAXを高精度に位置制御することができる。
【0083】
なお、本実施形態における駆動装置DRは、図12に示すように、モータMTRの入力軸IAXに減速機RG(例、遊星歯車式機構)を設ける構成としてもよい。この場合、本実施形態におけるエンコーダ装置100は、その減速機RGの出力軸OAXに配置するようにしてもよいし、モータMTRの入力軸IAXと減速機RGの出力軸OAXとの両方に配置するようにしてもよい。
【0084】
なお、本発明は、上記の各実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
上記の各実施形態において、第1及び第2の生成方法を組み合わせた形態、第1〜第3の生成方法を組み合わせた形態、及び、第1、第2及び第4の生成方法を組み合わせた形態について説明したが、これに限定されるものではない。第1〜第4の生成方法のうちのいずれか1つ単独で適用する形態でもよいし、第1〜第4の生成方法のうちの複数を組み合わせて適用する形態でもよい。
例えば、第1の生成方法単独により、補正値情報を生成する形態でもよい。この場合、補正値情報は、誤差特性の形状に応じて分割した補正区間の境界(補正ポイント)の位置を示す第2位置情報と、境界において測定された誤差情報とが関連付けられた情報を有する。
【0085】
また、第1の生成方法において、補正ポイントと誤差特性の極値とを一致させる形態を説明したが、補正後の誤差特性結果が最小になるように補正ポイントの位相をずらす形態でもよい。
また、第2の生成方法において、最小二乗法による直線近似を用いる形態を説明したが、対数近似、多項式近似などを用いる形態でもよいし、他の近似方式を用いる形態でもよい。
また、第4の生成方法において、繰り返し周期に基づいて分割した領域の数(分割数N)を“2”とした形態を説明したが、これに限定されるものでなかく、分割数Nは、“3”以上とする形態でもよい。
また、上記の各実施形態において、補正値情報を校正装置が生成する形態を説明したが、エンコーダ装置100が補正値情報を生成する形態でもよいし、人の手によって補正値情報が生成される形態でもよい。また、本実施形態におけるエンコーダ装置100が上述の校正装置を備える形態でもよい。
【0086】
また、上記の各実施形態において、エンコーダ装置100は、ホール素子を4個備える形態を説明したが、2個備える形態でもよい。また、エンコーダ装置100は、磁気式に限定されるものではなく、光学式のセンサーを備える光検出式や、磁気式と光検出式との両方を備える形態でもよい。
【0087】
また、エンコーダ装置100は、絶対位置情報を示すアブソリュートパターンと、相対位置情報を示すインクリメンタルパターンとを備える形態でもよい。この場合、インクリメンタルパターンによって検出された二相信号に基づいて内挿処理して生成した相対位置情報と、アブソリュートパターンによって検出された信号に基づいて生成された位置情報とを合成して第1位置情報を生成する。信号処理部30は、この内挿処理において発生する誤差を示す内挿誤差を、上記の各実施形態における補正値情報に基づいて補正する形態でもよいし、第1位置情報における累積誤差を、上記の各実施形態における補正値情報に基づいて補正する形態でもよい。
この内挿誤差と累積誤差とのいずれか、又は両方を上記の各実施形態における補正値情報に基づいて補正することにより、本実施形態におけるエンコーダ装置100は、補正値情報量の増大を抑えつつ、検出精度を向上することができる。なお、この場合の内挿誤差に適用する場合には、補正値情報量は、各補正ポイントにおける誤差情報と、内装処理における一周期のうちのID(アイディ)情報を第2位置情報として関連つけて、補正値記憶部33に記憶される。
【0088】
また、上記の各実施形態において、エンコーダ装置100は、回転角度を検出するロータリ式のエンコーダの形態について説明したが、リニア式のエンコーダに適用してもよい。
また、上記の各実施形態において、信号処理部30が補正値記憶部33を備える形態を説明したが、信号処理部30の外部に補正値記憶部33を備える形態でもよい。また、角度シフト情報部32は、補正値記憶部33に角度シフト情報を出力する形態を説明したが、位置情報生成部31又は補正処理部35に出力する形態でもよい。また、信号処理部30は、角度シフト情報部32を備えない形態でもよい。
【0089】
また、上記の各実施形態において、補正量算出部34は、直線補間の手法を用いて、補正値を算出する形態を説明したが、多項式補間などの他の手法を用いて補正値を算出する形態でもよい。
また、上記の各実施形態において、信号処理部30の各部は専用のハードウェアにより実現されるものであってもよく、また、メモリ及びCPU(Central Processing Unit)を備えて、プログラムによって実現されてもよい。
【符号の説明】
【0090】
6…回転子、20…検出部、30…信号処理部、33…補正値記憶部、100…エンコーダ装置、DR…駆動装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンコーダ装置、及び駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、被駆動体の位置を検出するエンコーダ装置が広く使用されている。このようなエンコーダ装置には、検出部の配置や検出感度のばらつきなどに伴って検出精度に影響を与える誤差特性が存在している。そのため、このようなエンコーダ装置において、補正値情報を用いて検出精度を向上する技術が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平03−167419号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述のようなエンコーダ装置は、被駆動体の予め定められた位置において測定された補正値情報を用いて誤差を補正しているため、例えば誤差特性の形状が複雑な場合には、誤差特性における検出誤差を補正しきれずに、被駆動体の位置を高精度に検出することができないことがある。
つまり、上述のようなエンコーダ装置では、検出精度を向上することが困難であった。
【0005】
本発明は、上記問題を解決すべくなされたもので、その目的は、検出精度を向上することができるエンコーダ装置、及び駆動装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題を解決するために、本発明の一実施形態は、被駆動体の位置に対応する信号を出力する検出部と、前記位置を示す第1位置情報を補正する補正値情報を記憶する記憶部と、前記信号に基づいて前記第1位置情報を生成し、生成した前記第1位置情報を、前記記憶部から読み出した前記補正値情報に基づいて補正する信号処理部とを備え、前記補正値情報は、前記位置に対応して測定された位置情報の誤差を示す誤差特性に基づいて生成された情報であって、前記誤差特性を所定の位置情報における複数の区間に分割し、分割した前記区間の境界ごとに、当該境界の前後の区間における前記誤差特性に基づいて生成された前記境界における近似値を平均して生成された誤差情報と、前記境界の位置を示す第2位置情報とが関連付けられた情報を有する、ことを特徴とするエンコーダ装置である。
【0007】
また、本発明の一実施形態は、被駆動体の位置に対応する信号を出力する検出部と、前記位置を示す第1位置情報を補正する補正値情報を記憶する記憶部と、前記信号に基づいて前記第1位置情報を生成し、生成した前記第1位置情報を、前記記憶部から読み出した前記補正値情報に基づいて補正する信号処理部とを備え、前記補正値情報は、前記位置に対応して測定された位置情報の誤差を示す誤差特性に基づいて生成された情報であって、前記誤差特性の形状に応じて前記誤差特性を所定の位置情報における複数の区間に分割し、分割した前記区間の境界の位置を示す第2位置情報と、前記境界において測定された誤差情報とが関連付けられた情報を有する、ことを特徴とするエンコーダ装置である。
【0008】
また、本発明の一実施形態は、上記のエンコーダ装置を備えることを特徴とする駆動装置である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、検出精度を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本実施形態によるエンコーダ装置の構成の一例を示す概略構成図である。
【図2】本実施形態におけるエンコーダ装置の出力部を示す概略ブロック図である。
【図3】本実施形態におけるエンコーダ装置を示す概略ブロック図である。
【図4】本実施形態におけるエンコーダ装置の誤差特性の一例を示す図である。
【図5】第1実施形態による補正値情報の一例を示す概念図である。
【図6】本実施形態における誤差曲線と第2の生成方法による補正値情報との関係の一例を示す図である。
【図7】第1実施形態による補正値情報と補正後誤差との一例を示す図である。
【図8】従来のエンコーダ装置における補正値情報と補正後の誤差との一例を示す図である。
【図9】第2実施形態による補正値情報の一例を示す第2の概念図である。
【図10】第3実施形態による補正値情報の一例を示す第3の概念図である。
【図11】本実施形態における駆動装置の概略図である。
【図12】本実施形態における減速機を備える駆動装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態によるエンコーダ装置について図面を参照して説明する。
なお、本実施形態において、エンコーダ装置は、回転角度検出装置である磁気式エンコーダである場合について説明する。
【0012】
まず、本実施形態におけるエンコーダ装置100の構成について説明する。
図1は、本実施形態によるエンコーダ装置100の構成の一例を示す概略構成図である。
この図において、エンコーダ装置100は、磁石5を有する回転子6と、この回転子6の近傍に配置された複数の磁気検出素子1(MS1),2(MS2),3(MS3),4(MS4)と、その磁気検出素子1,2,3,4やその他の制御部品を搭載した基板組9とを備えている。ここで、回転子6の近傍とは、例えば、この回転子6の周囲、又は、回転子6の円周上のことである。
【0013】
磁石5は、例えば、永久磁石である。磁気検出素子1,2,3,4は、例えば、それぞれホール素子である。以降、磁気検出素子1,2,3,4を、ホール素子1,2,3,4と称して説明する。
【0014】
この図1において、回転子6(被駆動体)が紙面に対して垂直となる回転軸を中心として回転すると、回転子6の回転に伴い磁石5が回転し、ホール素子1,2,3,4で検出される磁石5からの磁界が変化する。エンコーダ装置100は、この磁界の変化を、ホール素子1,2,3,4の4個のホール素子によりそれぞれ検出し、この検出した磁界の変化量から回転子6の回転位置を検出する。
ここで、本実施形態における「回転位置」とは、回転角度、回転位置を示す位置情報、又は回転角度などを示す角度情報のことである。
【0015】
なお、図1を用いて説明した4個のホール素子1,2,3,4は、例えば、それぞれが同様の検出感度を有しており、それぞれが同様の出力レベルを有している。また、4個のホール素子1,2,3,4は、例えば、それぞれ基板組9の平面上であって、回転子6の回転軸と法線ベクトルの方向を同一とする平面上に配置されており、回転子6の回転軸から等距離となる円周上に配置されている。また、各ホール素子1,2,3,4は、等間隔(この場合は、回転子6の回転軸を中心として90度の等角度)で配置されている。
また、組とされるホール素子1及び3と、ホール素子2及び4とは、回転子6の回転軸を中心として、互いに対向して配置されており、回転子6の回転軸を中心として180度の角度になるように配置されている。
【0016】
ホール素子1,2,3,4は、2つの出力端子(out+とout−)をそれぞれ有している。この2つの出力端子は、後述するアナログSW(アナログスイッチ)2、SW3の端子に接続されている(図2参照)。なお、この図2における符号「MS1out−」は、図1におけるホール素子1の出力端子out−に接続されていることを示している。
【0017】
以降、例えば、ホール素子1の出力端子out+から出力される信号を「信号MS1out+」と称し、ホール素子1の出力端子out−から出力される信号を「信号MS1out−」と称して説明する。ホール素子2,3,4から出力される信号も、ホール素子1から出力される信号と同様に称して説明する。
【0018】
また、ホール素子1,2,3,4は、電流又は電圧が印加される2つの入力端子(in+とin−)をそれぞれ有している。この2つの入力端子は、後述するアナログSW1、SW4の端子に接続されている(図2参照)。なお、この図2における符号「MS1in−」は、図1におけるホール素子1の入力端子in−に接続されていることを示している。
【0019】
以降、例えば、ホール素子1の入力端子in+から出力される信号を「信号MS1in+」と称し、ホール素子1の入力端子in−から出力される信号を「信号MS1in−」と称して説明する。ホール素子2,3,4から出力される信号も、ホール素子1から出力される信号と同様に称して説明する。
【0020】
次に、図2を用いて、上述した4個のホール素子により検出した磁界の変化量から、回転子6の回転位置に対応する信号(A相信号及びB相信号)を生成する出力部200について説明する。
図2は、本実施形態におけるエンコーダ装置100の出力部200を示す概略ブロック図である。この図において、出力部200は、切り替え部260(アナログSW1、SW2、SW3、及びSW4)と、電源部210と、差動増幅部220と、A/D変換部(A/D変換器)230と、信号生成部240とを備えている。
【0021】
アナログSW1、SW2、SW3、及びSW4を有する切り替え部260は、ホール素子1,2,3,4と電源部210との間の接続、及び、ホール素子1,2,3,4と差動増幅部220との間の接続を、ホール素子1,2,3,4に対して順に切り替える。
アナログSW1、SW2、SW3、及びSW4は、それぞれ、4つの第1の端子と、1つの第2の端子とを備えている。アナログSW1の4つの第1の端子には、ホール素子1,2,3,4の入力端子in+が、それぞれ対応して接続されている。アナログSW1の1つの第2の端子には、電源部210が接続されている。
また、アナログSW1には、アドレスセレクト信号S0とS1とが入力されている。アナログSW1においては、このアドレスセレクト信号S0とS1との組み合わせにより、4つの第1の端子のうちのいずれか1つの端子が選択され、この選択された第1の端子と、第2の端子とが接続される。このアドレスセレクト信号S0とS1とは、例えば、信号生成部240(信号生成部240が備える切り替え制御部241)から供給される選択信号であり、4つの第1の端子のうちのいずれか1つの端子を選択する選択信号である。
【0022】
このようにアドレスセレクト信号S0とS1との組み合わせに基づいて、ホール素子1,2,3,4のうちから選択されたいずれか1つのホール素子の入力端子in+が、アナログSW1を介して、電源部210に接続される。
【0023】
アナログSW1と同様に、アドレスセレクト信号S0とS1との組み合わせに基づいて、ホール素子1,2,3,4のうちから選択されたいずれか1つのホール素子の出力端子out+が、アナログSW2を介して、差動増幅部220の入力端子+に接続される。
また、同様に、アドレスセレクト信号S0とS1との組み合わせに基づいて、ホール素子1,2,3,4のうちから選択されたいずれか1つのホール素子の出力端子out−が、アナログSW3を介して、差動増幅部220の入力端子−に接続される。
また、同様に、アドレスセレクト信号S0とS1との組み合わせに基づいて、ホール素子1,2,3,4のうちから選択されたいずれか1つのホール素子の入力端子in−が、アナログSW4を介して、接地される。なお、アナログSW4の第2の端子は、抵抗R1を介して接地されてもよい。
【0024】
電源部210は、アドレスセレクト信号S0とS1との組み合わせに基づいて、ホール素子1,2,3,4のうちから選択されたいずれか1つのホール素子に、上述したようにアナログSW1とアナログSW4とを介して、電流又は電圧を供給する。
【0025】
差動増幅部220は、アドレスセレクト信号S0とS1との組み合わせに基づいて、ホール素子1,2,3,4のうちから選択されたいずれか1つのホール素子の出力端子out+と出力端子out−からの信号を、上述したアナログSW2とアナログSW3とを介して入力される。そして、この差動増幅部220は、入力されたホール素子の出力端子out+と出力端子out−とを差動増幅して、A/D変換部230に出力する。
【0026】
A/D変換部230は、差動増幅部220からの出力をA/D変換して、信号生成部240に出力する。なお、A/D変換部230は、供給されるA/D制御信号に基づいたタイミングで、差動増幅部220からの出力をA/D変換して、信号生成部240に出力する。このA/D制御信号は、例えば、切り替え制御部241から供給される制御信号であり、A/D変換するタイミングを示す制御信号である。
【0027】
以上のようにして、電源部210は、アドレスセレクト信号S0とS1との組み合わせに基づいて、ホール素子1,2,3,4に順に電流又は電圧を供給する。また、差動増幅部220及びA/D変換部230は、電源部210により順に電流又は電圧を供給するホール素子が検出した検出信号を、差動増幅して順に出力する。
【0028】
信号生成部240は、上述したアドレスセレクト信号S0及びS1と、上述したA/D制御信号とを生成する、また、信号生成部240は、A/D変換部230から供給された検出信号に基づいて、A相信号及びB相信号を生成する。なお、A相信号とB相信号とは、互いに位相が90度ずれた正弦波信号である。
信号生成部240は、切り替え制御部241、A相信号生成部242、及びA相信号生成部243を備えている。
【0029】
切り替え制御部241は、上述したアドレスセレクト信号S0及びS1を生成して、アナログSW1、SW2、SW3、及びSW4に供給する。また、切り替え制御部241は、上述したA/D制御信号を生成して、A/D変換部230に供給する。
【0030】
A相信号生成部242は、例えば、ホール素子1の出力Vms1と、ホール素子3の出力Vms3とに基づいて、A相信号を生成して、生成したA相信号を信号処理部30(図3参照)に出力する。なお、A相信号は、例えば、式(1)に示される演算処理により算出される。
【0031】
A相信号=[Vms1−Vms3] … (1)
【0032】
B相信号生成部243は、例えば、ホール素子2の出力Vms2と、ホール素子4の出力Vms4とに基づいて、B相信号を生成して、生成したB相信号を信号処理部30(図3参照)に出力する。なお、B相信号は、例えば、式(2)に示される演算処理により算出される。
【0033】
B相信号=[Vms2−Vms4] … (2)
【0034】
次に、図3を参照して、上述した出力部200を備えたエンコーダ装置100の構成について説明する。
図3は、本実施形態におけるエンコーダ装置100を示す概略ブロック図である。
この図において、エンコーダ装置100は、検出部20及び信号処理部30を備えている。なお、この図において、図1及び図2と同一の構成については同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0035】
検出部20は、回転子6の位置に対応する信号(A相信号及びB相信号)を信号処理部30に出力する。検出部20は、ホール素子1,2,3,4を有する上述した基板組9と、上述した出力部200とを備えている。
【0036】
信号処理部30は、検出部20から供給された二相信号であるA相信号及びB相信号に基づいて回転子6の位置情報(第1位置情報)を生成し、生成した回転子6の位置情報を、後述する補正値情報に基づいて補正する。信号処理部30は、補正した位置情報を出力部(不図示)を介して、コントローラなどの上位装置に出力する。ここで、補正値情報は、補正値記憶部33(記憶部)から読み出される。
【0037】
この補正値情報は、回転子6の回転位置(角度位置)に対応して測定された位置情報の誤差を示す誤差特性に基づいて生成された情報である。また、補正値情報は、この誤差特性を所定の位置情報における複数の区間に分割し、分割した区間の境界(補正ポイント)における補正値と、境界(補正ポイント)の位置を示す第2位置情報とが関連付けられた情報を有している。つまり、補正値情報は、分割した区間の境界(補正ポイント)における補正値であるため、補正値情報の情報量は、全位置情報に対応する補正値を持つ場合に比べて低減される。ここで、区間とは、補正値の間隔を示す補正間隔である。また、区間の分割は、例えば、誤差特性における0度〜360度の1周期を分割する。
【0038】
なお、本実施形態において、信号処理部30は、上述の二相信号に基づいた内挿処理において発生する誤差を示す内挿誤差を、補正値情報に基づいて補正する。
また、信号処理部30は、位置情報生成部31、角度シフト情報記憶部32、補正値記憶部33、補正算出部34、及び補正処理部35を備えている。
【0039】
位置情報生成部31は、出力部200から供給された二相信号に基づいて、内挿処理を実行して、回転子6の位置情報(第1位置情報)を生成する。なお、この第1位置情報は、補正前のエンコーダ値(位置情報)であり、後述する誤差を含んだ情報である。位置情報生成部31は、生成した補正前のエンコーダ値を補正処理部35に供給する。
また、位置情報生成部31は、生成した補正前のエンコーダ値に基づいて、現在の区間情報を生成し、生成した現在の区間情報を補正値記憶部33に供給する。ここで、現在の区間情報とは、補正生成されたエンコーダ値が上述のいずれの区間に相当するかを示す情報であり、例えば、相当する区間(現在の区間)の両端(境界)である2つの補正ポイントに対応する補正値を読み出すためのアドレス情報である。
【0040】
また、位置情報生成部31は、生成した補正前のエンコーダ値に基づいて、現在の区間内位置情報を生成し、生成した現在の区間内位置情報を補正量算出部34に供給する。ここで、現在の区間内位置情報とは、生成した補正前のエンコーダ値が上述した現在の区間のいずれの位置に相当するかを示す情報である。
【0041】
角度シフト情報記憶部32は、予め測定されている角度シフト情報を記憶する。ここで、角度シフト情報とは、例えば、回転子6の基準位置(例えば、0度)に対して、検出されたエンコーダ値のオフセット値を示すシフト値である。角度シフト情報記憶部32は、角度シフト情報を補正値記憶部33にアドレス情報の一部として供給する。
【0042】
補正値記憶部33は、回転子6の回転位置を示す第1位置情報を補正する上述した補正値情報を記憶する。補正値記憶部33は、位置情報生成部31から供給された現在の区間情報と、角度シフト情報記憶部32に記憶された角度シフト情報とに基づいて、補正する区間に対応する区間両端補正値を補正量算出部34に出力する。ここで、区間両端補正値とは、補正する区間の境界(補正ポイント)における補正値情報であり、2つの補正ポイントに対応した補正値である。
【0043】
補正量算出部34は、位置情報生成部31から供給された現在の区間内位置情報と、補正値記憶部33から読み出された区間両端補正値とに基づいて、上述の第1位置情報に対応する補正量(補正値)を算出する。一例として、補正量算出部34は、区間両端補正値である2つの補正ポイントに対応した補正値を直線補間(直線補正)し、現在の区間内位置情報に対応する補正量を算出する。つまり、補正量算出部34は、補正ポイント間の直線補正を実行して、上述の第1位置情報に対応する補正量(補正値)を算出する。補正量算出部34は、算出した補正量(補正値)を補正処理部35に供給する。
【0044】
補正処理部35は、補正量算出部34によって算出された補正値に基づいて、位置情報生成部31から供給された補正前のエンコーダ値(第1位置情報)を補正する。つまり、補正処理部35は、補正値記憶部33から読み出した補正値情報に基づいて、位置情報生成部31が生成した第1位置情報を補正する。補正処理部35は、補正した位置情報を出力部(不図示)を介してコントローラなどの上位装置に出力する。
【0045】
次に、本実施形態におけるエンコーダ装置100の動作について説明する。
エンコーダ装置100において回転子6の回転位置を検出する場合に、出力部200は、ホール素子1,2,3,4によって検出された磁石5からの磁界の変化を電気信号に変換し、回転子6の回転位置に対応する二相信号を生成する。そして、出力部200は、生成した二相信号を信号処理部30に出力する。
次に、信号処理部30の位置情報生成部31は、出力部200から供給された二相信号に基づいて、内挿処理を実行して、回転子6の位置情報(第1位置情報)を生成する。位置情報生成部31は、生成した補正前のエンコーダ値を補正処理部35に供給する。また、位置情報生成部31は、補正前のエンコーダ値に基づいて、現在の区間情報を補正値記憶部33に供給し、現在の区間内位置情報を補正値記憶部33に供給する。
【0046】
次に、補正値記憶部33は、位置情報生成部31から供給された現在の区間情報に基づいて、補正する区間に対応する区間両端補正値を補正量算出部34に出力する。次に、補正量算出部34は、補正値記憶部33から読み出した区間両端補正値と、位置情報生成部31から供給された現在の区間内位置情報とに基づいて、第1位置情報に対応する補正量(補正値)を算出する。そして、補正処理部35は、補正量算出部34によって算出された補正値に基づいて、位置情報生成部31から供給された補正前のエンコーダ値(第1位置情報)を補正する。
以上により、エンコーダ装置100は、補正された高精度な位置情報を検出することができる。エンコーダ装置100は、検出した位置情報をコントローラなどの上位装置に出力する。
【0047】
次に、上述した補正値情報の生成方法について詳細に説明する。
図4は、エンコーダ装置100の誤差特性の一例を示す図である。
この図において、横軸は、回転子6の回転位置である角度(deg)を示し、縦軸は、エンコーダ誤差(A.U.:Arbitrary Unit)を示している。また、波形W1は、回転子6と同軸に取り付けられた外部校正された基準エンコーダ装置の出力値と、エンコーダ装100置の補正前の出力値との出力差を示す波形である。この波形W1は、精度特性、誤差曲線又は誤差特性と呼ばれ、この出力差の値を加算又は減算したものが真値(外部校正された基準エンコーダ出力)である。つまり、回転子6の各角度における誤差量を補正値とみなすことができる。
【0048】
本実施形態では、回転子6の回転位置に対応して測定された位置情報の誤差を示すこの誤差特性(誤差曲線)の形状に基づいて、補正値情報が生成される。また、本実施形態では、補正値情報を生成する以下の4つの生成方法について説明する。
【0049】
(1)第1の生成方法は、補正ポイントの位置(角度)をシフトさせて、補正ポイントと誤差曲線の極値とを一致するように設定して補正値情報を生成する。
(2)第2の生成方法は、各補正区間において最小二乗法などにより直線近似を行い、各区間の境界(補正ポイント)において算出された2つの補正値(近似値)の平均を補正値として補正値情報を生成する。
(3)第3の生成方法は、補正区間を位置情報の誤差の大きさに応じた区間幅にそれぞれ定めて補正値情報を生成する。
(4)第4の生成方法は、誤差特性が繰り返し周期を有している場合に、誤差特性を繰り返し周期に基づいて分割し、分割した複数の領域のうちの1つの領域において補正区間を定めて補正値情報を生成する。
【0050】
なお、ここでは、補正値情報が、エンコーダ装置100に接続された校正装置によって生成される実施形態について説明する。
【0051】
[第1実施形態]
まず、第1実施形態として、第1の生成方法と第2の生成方法とを組み合わせて補正値情報を生成する実施形態を説明する。
図5は、第1実施形態による補正値情報の一例を示す概念図である。
この図において、横軸は、回転子6の回転位置である角度(deg)を示し、縦軸は、エンコーダ誤差(A.U.)を示している。また、波形W2は、図4に示されるような誤差曲線を示している。
第1実施形態では、まず、校正装置は、図5(a)に示すように、所定の区間間隔ΔD1により、波形W2を複数の補正区間(区間)に分割する。ここで、分割した補正区間の境界は、補正ポイントD1、D2、D3、及びD4として示される。なお、各補正ポイントの間隔(区間間隔)ΔD1は、均等とする。また、補正ポイントの数は、位置情報の1周期(360度)に対して、例えば、36とする。
【0052】
次に、校正装置は、図5(b)に示すように、補正ポイントの位置(角度)をシフトさせて、補正ポイントと波形W2の極値P1とを一致するように設定する。この図において、各補正ポイントD5〜D8は、波形W2の極値P1を基準に、区間間隔ΔD1の等間隔によって設定される。すなわち、この補正区間は、誤差特性の一例である誤差曲線(波形W2)の形状に応じて定められる。また、複数の補正区間のうち少なくとも1つは、補正ポイントと誤差曲線(波形W2)の極値(P1)とを一致させて設定される(第1の生成方法)。
【0053】
次に、校正装置は、図5(c)に示すように、各補正区間において最小二乗法などにより直線近似を行い、各区間の境界(補正ポイント)において算出された2つの補正値(近似値)の平均を取り、最終的な補正値を算出する(第2の生成方法)。この図において、直線L1及びL2は、直線近似による近似線を示す。
【0054】
この最終的な補正値の算出方法について、図6を参照して説明する。
図6は、誤差特性の一例である誤差曲線と第2の生成方法による補正値情報との関係の一例を示す図である。また、この図は、図5(c)を補正ポイントD6〜D8の部分を拡大した図である。
この図において、直線L1は、補正ポイントD6及びD7を境界とする補正区間における誤差曲線を最小二乗法により近似した近似線を示す。そして、近似値P2は、近似線L1により生成された補正ポイントD7における近似値である。また、直線L2は、補正ポイントD7及びD8を境界とする補正区間における誤差曲線を最小二乗法により近似した近似線を示す。そして、近似値P3は、近似線L2により生成された補正ポイントD7における近似値である。
【0055】
校正装置は、上述の近似値P2及びP3を算出した後、近似値P2と近似値P3との平均値P4を算出する。この近似値P2と近似値P3との平均値P4であるこの誤差情報が、補正ポイントD7における補正値情報である。校正装置は、補正ポイントD7と同様に、他の補正ポイントについても誤差情報を算出して、算出した誤差情報と各補正ポイントの位置を示す第2位置情報とを関連付けられた情報(補正値情報)として、補正値記憶部33に記憶させる。
すなわち、補正値記憶部33に記憶されている補正値情報は、分割した補正区間の境界(補正ポイント)ごとに、当該境界の前後の区間における誤差曲線に基づいて生成された境界における近似値を平均して生成された誤差情報と、境界の位置を示す第2位置情報とが関連付けられた情報を有している。
【0056】
次に、本実施形態によって生成された補正値情報を適用した場合の効果について説明する。
図7は、第1実施形態による補正値情報と補正後誤差との一例を示す図である。
図7(a)において、横軸は、回転子6の回転位置である角度(deg)を示し、縦軸は、エンコーダ誤差(A.U.)を示している。また、波形W3は、誤差曲線の一例を示し、白四角は、各補正ポイントに対応する補正値(補正点)を示している。なお、波形W3a及びW3bは、波形W3の拡大波形を示す。
また、図7(b)において、横軸は、回転子6の回転位置である角度(deg)を示し、縦軸は、第1実施形態による補正値情報を適用した場合の補正後誤差(A.U.)を示している。なお、この補正後誤差を示す波形W4は、シミュレーション波形である。
なお、比較のための参考として、図8に従来のエンコーダ装置における補正値情報と補正後の誤差との一例を示す。図7(b)において、波形W5は、従来のエンコーダ装置における補正後誤差のシミュレーション波形を示す。
【0057】
図8(a)に示すように、従来のエンコーダ装置における補正値は、波形W3(W3a及びW3b)上の値となる。そのため、図8(b)に示すように、補正後誤差を示す波形W5では、誤差の値が補正ポイントにおいて“0”になり、各補正区間における誤差は、正の値、又は負の値のいずれか一方である。
これに対して、図7(a)に示すように、本実施形態によって生成された補正値は、上述のように各区間近似値の平均であるため、必ずしも波形W3(W3a及びW3b)上の値とならない(例えば、補正点P5参照)。そのため、図7(b)に示すように、補正後誤差を示す波形W4では、誤差の値が補正ポイントにおいて“0”にならずに、各補正区間における誤差が正負に均等化される。これにより、図7(b)の波形W4に示すように、本実施形態による補正値情報を適用したエンコーダ装置100は、従来のエンコーダ装置(図8(b)の波形W5参照)に比べて、誤差を低減することができる。
【0058】
以上のように、本実施形態におけるエンコーダ装置100は、検出部20が回転子6の回転位置に対応する信号(二相信号)を出力する。補正値記憶部33が、回転子6の回転位置を示す第1位置情報を補正する補正値情報を記憶する。そして、信号処理部30が、二相信号に基づいて第1位置情報を生成し、生成した第1位置情報を、補正値記憶部33から読み出した補正値情報に基づいて補正する。この補正値情報は、位置に対応して測定された位置情報の誤差を示す誤差特性に基づいて生成された情報である。また、誤差情報は、誤差特性を所定の位置情報における複数の補正区間に分割し、分割した補正区間の境界(補正ポイント)ごとに、当該境界の前後の補正区間における誤差特性に基づいて生成された境界における近似値を平均して生成される(第2の生成方法)。補正値記憶部33に記憶されている補正値情報は、このように生成された誤差情報と、境界の回転位置を示す第2位置情報とが関連付けられた情報を有する。
【0059】
これにより、エンコーダ装置100は、図7(a)に示すように、各補正区間における誤差が正負に均等化される。また、補正値情報は、補正区間の境界(補正ポイント)に対応する補正値である。よって、本実施形態におけるエンコーダ装置100は、補正値情報量の増大を抑えつつ、検出精度を向上することができる。また、本実施形態におけるエンコーダ装置100は、例えば、誤差特性の形状が複雑な場合においても、検出精度を向上することができる。
【0060】
また、本実施形態において、信号処理部30は、補正量算出部34が補正ポイント間の直線補正(直線補間)を実行して、上述の第1位置情報に対応する補正量(補正値)を算出する。そして、信号処理部30は、補正処理部35が補正量算出部34によって算出された補正値に基づいて、位置情報生成部31から供給された補正前のエンコーダ値(第1位置情報)を補正する。
これにより、本実施形態におけるエンコーダ装置100は、検出誤差を低減することができ、検出精度を向上することができる。
【0061】
また、本実施形態において、上述の補正区間は、誤差特性の形状に応じて定められる。これにより、誤差特性の形状に応じて補正区間を変更するため、検出誤差を低減できる補正値情報を生成することができる。つまり、本実施形態では、誤差特性の計測した後に、検出誤差が低減されるように補正ポイントを定めることができる。したがって、本実施形態におけるエンコーダ装置100は、検出精度を向上することができる。
【0062】
また、複数の補正区間のうち少なくとも1つは、補正区間の境界(補正ポイント)と誤差特性の極値(極大値又は極小値)とを一致させて定められる(第1の生成方法)。
これにより、誤差が大きい極大値又は極小値が補正ポイントに定められるため、検出誤差を低減できる補正値情報を生成することができる。したがって、本実施形態におけるエンコーダ装置100は、検出精度を向上することができる。
【0063】
また、本実施形態において、信号処理部30は、二相信号(A相信号及びB相信号)に基づいた内挿処理において発生する誤差を示す内挿誤差を、補正値情報に基づいて補正する。
これにより、内挿誤差を低減することができる。そのため、本実施形態におけるエンコーダ装置100は、検出精度を向上することができる。
【0064】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態として、第3の生成方法により補正値情報を生成する実施形態を説明する。
第2実施形態は、補正区間の区間幅を任意とする実施形態である。第1実施形態における補正値情報の生成方法では、補正区間の区間幅を等間隔としている。そのため、補正後の誤差が大きい箇所(区間又は補正ポイント)は、誤差特性(例えば、図4の波形W1)における誤差が大きい箇所(区間又は補正ポイント)となっている。そこで、本実施形態では、補正区間の分割の指針として、誤差特性の形状を利用して、補正区間の区間幅を変更する。
例えば、誤差特性の形状における極大値、極小値、及び変曲点を利用して誤差の大きさに応じて、補正区間の区間幅に重み付けをする方式等が考えられる。本実施形態では、誤差の大きさに応じて補正区間の区間幅に重み付けを行う実施形態について説明する。
なお、本実施形態における補正ポイントの数は、第1実施形態と同様に、位置情報の1周期(360度)に対して、例えば、36とする。
【0065】
図9は、第2実施形態による補正値情報の一例を示す概念図である。
図9(a)において、横軸は、回転子6の回転位置である角度(deg)を示している。また、波形W6は、上述した図4に示されるような誤差特性の波形W1における絶対値を、2回微分した波形を示している。波形W6において、縦軸が“0”となる場所は、波形W1における変曲点を示し、各ピークとなる場所は、誤差量を反映した極大値、又は極小値を示している。
【0066】
また、図9(b)において、横軸は、回転子6の回転位置である角度(deg)を示し、縦軸は、エンコーダ誤差(A.U.)を示している。また、波形W3は、誤差曲線の一例を示し、白四角は、各補正ポイントに対応する補正値(補正点)を示している。
また、図9(c)において、横軸は、回転子6の回転位置である角度(deg)を示し、縦軸は、第2実施形態による補正値情報を適用した場合の補正後誤差(A.U.)を示している。なお、この補正後誤差を示す波形W7は、シミュレーション波形である。
【0067】
第3の生成方法では、まず、校正装置は、図9(a)に示すように、誤差特性の波形W1における絶対値を2回微分して、波形W6を生成する。次に、校正装置は、波形W6における縦軸の値(誤差量に対応)の大きさに応じて、補正区間の区間幅を変更する。すなわち、第3の生成方法において、この補正区間は、補正区間における位置情報の誤差の大きさに応じた、区間幅にそれぞれ定められる。例えば、校正装置は、誤差の大きい箇所には補正区間の区間幅を狭く定め、誤差の小さい箇所には補正区間の区間幅を広く定める。
【0068】
図9(b)では、白四角が、誤差の大きさに基づいて重み付けを行った場合の補正ポイントの一例を示している。この実施形態では、校正装置は、補正区間の最大区間幅を約15度とし、最小区間幅を約8度として、誤差の大きさに基づいて重み付けを行う。例えば、波形W6において変曲点に対応する角度200度付近における区間幅ΔD2は、波形W6において極大値に対応する角度270度付近における区間幅ΔD3より狭く定められている。校正装置は、重み付けにより区間幅を変更して分割した補正区間の境界(補正ポイント)に対応する誤差値を補正値(上述した誤差情報)として補正値情報を生成する。つまり、補正値情報は、分割した補正区間の境界(補正ポイント)の位置を示す第2位置情報と、境界において測定された誤差情報とが関連付けられた情報を有する。そして、校正装置は、生成した補正値情報を補正値記憶部33に記憶させる。
【0069】
なお、第3の生成方法は、第1の生成方法及び第2の生成方法と組み合わせて補正値情報を生成してもよい。図9(c)において、波形W7は、第3の生成方法における効果を説明するために、第1〜3の生成方法を組み合わせて適用した場合の補正後誤差を示している。補正後誤差は、補正区間幅が狭い程、低減される傾向がある。そのため、波形W7では、270度付近の補正後誤差が低減され、全体的に誤差量が均一化される。図9(c)に示すように、波形W7における補正後誤差は、図7(b)に示される第1実施形態(第1の生成方法と第2の生成方法との組み合わせ)における補正後誤差(波形W4)に比べて低減される(270度付近を参照)。
【0070】
以上のように、本実施形態では、補正区間が、補正区間における位置情報の誤差の大きさに応じた区間幅にそれぞれ定められる。補正値記憶部33に記憶されている補正値情報は、定められた補正区間に基づいて生成される。補正後誤差は、補正区間幅が狭い程、低減される傾向にある。そのため、誤差特性における誤差値が大きい補正区間の区間幅を狭く定めることにより、誤差値が大きい補正区間における検出誤差を低減することができる。つまり、本実施形態におけるエンコーダ装置100は、補正値情報量の増大を抑えつつ、検出精度を向上することができる。また、本実施形態におけるエンコーダ装置100は、誤差の大きさに応じて区間幅を変更するため、例えば誤差特性の形状が複雑な場合においても、検出精度を向上することができる。
【0071】
[第3実施形態]
次に、第3実施形態として、第4の生成方法により補正値情報を生成する実施形態を説明する。
【0072】
ところで、エンコーダ装置の誤差特性は、偶数次成分から構成されている場合がある。誤差特性の2次成分は、主に磁気検出素子(1、2、3、4)の位置関係のずれや振幅差が原因で出現している。そのため、誤差特性は、回転位置0度〜180度(第1、2象限)と、180度〜360度(第3、4象限)とのそれぞれの範囲でほぼ同じ形状をしている場合がある。
【0073】
第3実施形態では、このように誤差特性が繰り返し周期を有している場合(繰り返し誤差波形である場合)に、繰り返し周期に基づいて補正区間を定める実施形態である。
【0074】
図10は、第3実施形態による補正値情報の一例を示す概念図である。
図10(a)及び(b)では、比較のために、誤差曲線(誤差特性)が繰り返し周期を有している場合に、第1実施形態による補正値情報を適用した場合の一例を示し、図10(c)及び(d)では、第3実施形態による補正値情報の一例を示す。
【0075】
図10(a)及び(c)において、横軸は、回転子6の回転位置である角度(deg)を示し、縦軸は、エンコーダ誤差(A.U.)を示している。また、波形W8は、誤差特性が繰り返し周期を有している場合の一例を示している。波形W8において、白四角は、各補正ポイントに対応する補正値(補正点)を示している。
また、図10(b)及び(d)において、横軸は、回転子6の回転位置である角度(deg)を示し、縦軸は、補正後誤差(A.U.)を示している。ここで、図10(b)の波形W9は、第1実施形態による補正値情報を適用した場合の補正後誤差を示し、図10(d)の波形W10は、第3実施形態による補正値情報を適用した場合の補正後誤差を示している。
【0076】
図10(a)において、白四角は、第1実施形態による補正値情報である場合の各補正ポイントに対応する補正値(補正点)を示している。ここで、補正ポイントの数は、位置情報の1周期(360度)に対して、例えば、36である。
これに対して、第3実施形態では、まず、校正装置は、図10(c)に示すように、誤差特性を繰り返し周期に基づいて、複数の領域T1及びT2に分割する。校正装置は、分割した複数の領域のうちの1つの領域(例えば、領域T1)において、補正区間を定めて、補正値情報を生成する(第4の生成方法)。すなわち、第4の生成方法において、この補正区間は、誤差特性を繰り返し周期に基づいて分割した複数の領域のうちの1つの領域において定められる。ここで、補正ポイントの数は、領域T1(波形W8a)に対して、例えば、36である。
【0077】
次に、校正装置は、上述のように領域T1において定めた補正区間の境界(補正ポイント)に対応する誤差値を補正値(上述した誤差情報)として補正値情報を生成する。つまり、補正値情報は、分割した補正区間の境界(補正ポイント)の位置を示す第2位置情報と、境界において測定された誤差情報とが関連付けられた情報を有する。そして、校正装置は、生成した補正値情報を補正値記憶部33に記憶させる。
なお、本実施形態では、信号処理部30(補正処理部35)は、繰り返し周期に基づいて分割した複数の領域に対して、1つの領域(領域T1)において生成された補正値情報に基づいて補正する。つまり、信号処理部30(補正処理部35)は、領域T2に対して補正処理を行う際にも、領域T1において生成された補正値情報に基づいて、第1位置情報を補正する。
【0078】
なお、図10(c)において、波形W8bの領域T2における補正ポイント(白丸)及び補正値は、波形W8bが、波形W8aの繰り返し波形であるため、波形W8aの領域T1における補正ポイント(白四角)及び補正値と同一としてよい。そのため、領域T2に対して補正処理を行う際にも、領域T1において生成された補正値情報に基づいて、第1位置情報を補正することができる。
【0079】
また、第4の生成方法は、第1の生成方法及び第2の生成方法と組み合わせて補正値情報を生成してもよい。図10(d)において、波形W10は、第3の生成方法における効果を説明するために、第1、第2、及び第4の生成方法を組み合わせて適用した場合の補正後誤差を示している。補正後誤差は、補正区間幅が狭い程、低減される傾向がある。本実施形態では、領域T1に対して36の補正ポイントが設定されている。そのため、波形W10では、図10(b)の波形W9に比べて、全領域において誤差が低減される。
【0080】
以上のように、本実施形態では、誤差特性が繰り返し周期を有している場合に、補正区間が、誤差特性を繰り返し周期に基づいて分割した複数の領域のうちの1つの領域において定められる。補正値記憶部33に記憶されている補正値情報は、定められた補正区間に基づいて生成される。また、信号処理部30(補正処理部35)は、繰り返し周期に基づいて分割した複数の領域に対して、1つの領域(領域T1)において生成された補正値情報に基づいて、第1位置情報を補正する。
補正後誤差は、補正区間幅が狭い程、低減される傾向にある。本実施形態では、繰り返し周期に基づいて分割した領域に対して補正区間を定めることにより、補正区間の区間幅を狭く定めることができる。そのため、本実施形態におけるエンコーダ装置100は、検出誤差を低減することができる。つまり、本実施形態におけるエンコーダ装置100は、補正値情報量の増大を抑えつつ、検出精度を向上することができる。また、本実施形態におけるエンコーダ装置100は、誤差の大きさに応じて区間幅を変更するため、例えば誤差特性の形状が複雑な場合においても、検出精度を向上することができる。
【0081】
次に、上述の実施形態におけるエンコーダ装置100を備える駆動装置(モータ装置、アクチュエータ)について説明する。
図11は、本実施形態における駆動装置DRの概略図である。本実施形態における駆動装置DRは、入力軸IAXを回転させるモータMTRと、入力軸IAXに設けられたエンコーダ装置100と、を備える。
【0082】
エンコーダ装置100は、入力軸IAX(被駆動体)の回転位置(角度位置)を検出し、駆動装置DRを制御する上位のコントローラに対して回転位置を含む情報をエンコーダ信号として出力する。上位のコントローラは、エンコーダ装置100から受信したエンコーダ信号をもとに、駆動装置DRを制御する。本実施形態におけるエンコーダ装置100は回転位置を高精度に検出することができるため、本実施形態における駆動装置DRはモータMTRの入力軸IAXを高精度に位置制御することができる。
【0083】
なお、本実施形態における駆動装置DRは、図12に示すように、モータMTRの入力軸IAXに減速機RG(例、遊星歯車式機構)を設ける構成としてもよい。この場合、本実施形態におけるエンコーダ装置100は、その減速機RGの出力軸OAXに配置するようにしてもよいし、モータMTRの入力軸IAXと減速機RGの出力軸OAXとの両方に配置するようにしてもよい。
【0084】
なお、本発明は、上記の各実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
上記の各実施形態において、第1及び第2の生成方法を組み合わせた形態、第1〜第3の生成方法を組み合わせた形態、及び、第1、第2及び第4の生成方法を組み合わせた形態について説明したが、これに限定されるものではない。第1〜第4の生成方法のうちのいずれか1つ単独で適用する形態でもよいし、第1〜第4の生成方法のうちの複数を組み合わせて適用する形態でもよい。
例えば、第1の生成方法単独により、補正値情報を生成する形態でもよい。この場合、補正値情報は、誤差特性の形状に応じて分割した補正区間の境界(補正ポイント)の位置を示す第2位置情報と、境界において測定された誤差情報とが関連付けられた情報を有する。
【0085】
また、第1の生成方法において、補正ポイントと誤差特性の極値とを一致させる形態を説明したが、補正後の誤差特性結果が最小になるように補正ポイントの位相をずらす形態でもよい。
また、第2の生成方法において、最小二乗法による直線近似を用いる形態を説明したが、対数近似、多項式近似などを用いる形態でもよいし、他の近似方式を用いる形態でもよい。
また、第4の生成方法において、繰り返し周期に基づいて分割した領域の数(分割数N)を“2”とした形態を説明したが、これに限定されるものでなかく、分割数Nは、“3”以上とする形態でもよい。
また、上記の各実施形態において、補正値情報を校正装置が生成する形態を説明したが、エンコーダ装置100が補正値情報を生成する形態でもよいし、人の手によって補正値情報が生成される形態でもよい。また、本実施形態におけるエンコーダ装置100が上述の校正装置を備える形態でもよい。
【0086】
また、上記の各実施形態において、エンコーダ装置100は、ホール素子を4個備える形態を説明したが、2個備える形態でもよい。また、エンコーダ装置100は、磁気式に限定されるものではなく、光学式のセンサーを備える光検出式や、磁気式と光検出式との両方を備える形態でもよい。
【0087】
また、エンコーダ装置100は、絶対位置情報を示すアブソリュートパターンと、相対位置情報を示すインクリメンタルパターンとを備える形態でもよい。この場合、インクリメンタルパターンによって検出された二相信号に基づいて内挿処理して生成した相対位置情報と、アブソリュートパターンによって検出された信号に基づいて生成された位置情報とを合成して第1位置情報を生成する。信号処理部30は、この内挿処理において発生する誤差を示す内挿誤差を、上記の各実施形態における補正値情報に基づいて補正する形態でもよいし、第1位置情報における累積誤差を、上記の各実施形態における補正値情報に基づいて補正する形態でもよい。
この内挿誤差と累積誤差とのいずれか、又は両方を上記の各実施形態における補正値情報に基づいて補正することにより、本実施形態におけるエンコーダ装置100は、補正値情報量の増大を抑えつつ、検出精度を向上することができる。なお、この場合の内挿誤差に適用する場合には、補正値情報量は、各補正ポイントにおける誤差情報と、内装処理における一周期のうちのID(アイディ)情報を第2位置情報として関連つけて、補正値記憶部33に記憶される。
【0088】
また、上記の各実施形態において、エンコーダ装置100は、回転角度を検出するロータリ式のエンコーダの形態について説明したが、リニア式のエンコーダに適用してもよい。
また、上記の各実施形態において、信号処理部30が補正値記憶部33を備える形態を説明したが、信号処理部30の外部に補正値記憶部33を備える形態でもよい。また、角度シフト情報部32は、補正値記憶部33に角度シフト情報を出力する形態を説明したが、位置情報生成部31又は補正処理部35に出力する形態でもよい。また、信号処理部30は、角度シフト情報部32を備えない形態でもよい。
【0089】
また、上記の各実施形態において、補正量算出部34は、直線補間の手法を用いて、補正値を算出する形態を説明したが、多項式補間などの他の手法を用いて補正値を算出する形態でもよい。
また、上記の各実施形態において、信号処理部30の各部は専用のハードウェアにより実現されるものであってもよく、また、メモリ及びCPU(Central Processing Unit)を備えて、プログラムによって実現されてもよい。
【符号の説明】
【0090】
6…回転子、20…検出部、30…信号処理部、33…補正値記憶部、100…エンコーダ装置、DR…駆動装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被駆動体の位置に対応する信号を出力する検出部と、
前記位置を示す第1位置情報を補正する補正値情報を記憶する記憶部と、
前記信号に基づいて前記第1位置情報を生成し、生成した前記第1位置情報を、前記記憶部から読み出した前記補正値情報に基づいて補正する信号処理部と
を備え、
前記補正値情報は、
前記位置に対応して測定された位置情報の誤差を示す誤差特性に基づいて生成された情報であって、
前記誤差特性を所定の位置情報における複数の区間に分割し、分割した前記区間の境界ごとに、当該境界の前後の区間における前記誤差特性に基づいて生成された前記境界における近似値を平均して生成された誤差情報と、前記境界の位置を示す第2位置情報とが関連付けられた情報を有する、
ことを特徴とするエンコーダ装置。
【請求項2】
前記区間は、前記誤差特性の形状に応じて定められる
ことを特徴とする請求項1に記載のエンコーダ装置。
【請求項3】
前記複数の区間のうち少なくとも1つは、前記境界と前記誤差特性の極値とを一致させて定められる
ことを特徴にする請求項1又は請求項2に記載のエンコーダ装置。
【請求項4】
前記区間は、前記区間における位置情報の誤差の大きさに応じた区間幅にそれぞれ定められる
ことを特徴とする請求項2に記載のエンコーダ装置。
【請求項5】
前記区間は、
前記誤差特性が繰り返し周期を有している場合に、前記誤差特性を前記繰り返し周期に基づいて分割した複数の領域のうちの1つの領域において定められ、
前記信号処理部は、
前記1つの領域において生成された前記補正値情報に基づいて補正する
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のエンコーダ装置。
【請求項6】
前記信号処理部は、
前記信号に基づいた内挿処理において発生する誤差を示す内挿誤差を、前記補正値情報に基づいて補正する
ことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のエンコーダ装置。
【請求項7】
前記信号処理部は、
前記第1位置情報における累積誤差を、前記補正値情報に基づいて補正する
ことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のエンコーダ装置。
【請求項8】
被駆動体の位置に対応する信号を出力する検出部と、
前記位置を示す第1位置情報を補正する補正値情報を記憶する記憶部と、
前記信号に基づいて前記第1位置情報を生成し、生成した前記第1位置情報を、前記記憶部から読み出した前記補正値情報に基づいて補正する信号処理部と
を備え、
前記補正値情報は、
前記位置に対応して測定された位置情報の誤差を示す誤差特性に基づいて生成された情報であって、
前記誤差特性の形状に応じて前記誤差特性を所定の位置情報における複数の区間に分割し、分割した前記区間の境界の位置を示す第2位置情報と、前記境界において測定された誤差情報とが関連付けられた情報を有する、
ことを特徴とするエンコーダ装置。
【請求項9】
前記複数の区間のうち少なくとも1つは、前記境界と前記誤差特性の極値とを一致させて定められる
ことを特徴にする請求項8に記載のエンコーダ装置。
【請求項10】
前記区間は、前記区間における位置情報の誤差の大きさに応じた区間幅にそれぞれ定められる
ことを特徴とする請求項8に記載のエンコーダ装置。
【請求項11】
前記区間は、
前記誤差特性が繰り返し周期を有している場合に、前記誤差特性を前記繰り返し周期に基づいて分割した複数の領域のうちの1つの領域において定められ、
前記信号処理部は、
前記1つの領域において生成された前記補正値情報に基づいて補正する
ことを特徴とする請求項8から請求項10のいずれか1項に記載のエンコーダ装置。
【請求項12】
請求項1から請求項11のいずれか1項に記載のエンコーダ装置を備えることを特徴とする駆動装置。
【請求項1】
被駆動体の位置に対応する信号を出力する検出部と、
前記位置を示す第1位置情報を補正する補正値情報を記憶する記憶部と、
前記信号に基づいて前記第1位置情報を生成し、生成した前記第1位置情報を、前記記憶部から読み出した前記補正値情報に基づいて補正する信号処理部と
を備え、
前記補正値情報は、
前記位置に対応して測定された位置情報の誤差を示す誤差特性に基づいて生成された情報であって、
前記誤差特性を所定の位置情報における複数の区間に分割し、分割した前記区間の境界ごとに、当該境界の前後の区間における前記誤差特性に基づいて生成された前記境界における近似値を平均して生成された誤差情報と、前記境界の位置を示す第2位置情報とが関連付けられた情報を有する、
ことを特徴とするエンコーダ装置。
【請求項2】
前記区間は、前記誤差特性の形状に応じて定められる
ことを特徴とする請求項1に記載のエンコーダ装置。
【請求項3】
前記複数の区間のうち少なくとも1つは、前記境界と前記誤差特性の極値とを一致させて定められる
ことを特徴にする請求項1又は請求項2に記載のエンコーダ装置。
【請求項4】
前記区間は、前記区間における位置情報の誤差の大きさに応じた区間幅にそれぞれ定められる
ことを特徴とする請求項2に記載のエンコーダ装置。
【請求項5】
前記区間は、
前記誤差特性が繰り返し周期を有している場合に、前記誤差特性を前記繰り返し周期に基づいて分割した複数の領域のうちの1つの領域において定められ、
前記信号処理部は、
前記1つの領域において生成された前記補正値情報に基づいて補正する
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のエンコーダ装置。
【請求項6】
前記信号処理部は、
前記信号に基づいた内挿処理において発生する誤差を示す内挿誤差を、前記補正値情報に基づいて補正する
ことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のエンコーダ装置。
【請求項7】
前記信号処理部は、
前記第1位置情報における累積誤差を、前記補正値情報に基づいて補正する
ことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のエンコーダ装置。
【請求項8】
被駆動体の位置に対応する信号を出力する検出部と、
前記位置を示す第1位置情報を補正する補正値情報を記憶する記憶部と、
前記信号に基づいて前記第1位置情報を生成し、生成した前記第1位置情報を、前記記憶部から読み出した前記補正値情報に基づいて補正する信号処理部と
を備え、
前記補正値情報は、
前記位置に対応して測定された位置情報の誤差を示す誤差特性に基づいて生成された情報であって、
前記誤差特性の形状に応じて前記誤差特性を所定の位置情報における複数の区間に分割し、分割した前記区間の境界の位置を示す第2位置情報と、前記境界において測定された誤差情報とが関連付けられた情報を有する、
ことを特徴とするエンコーダ装置。
【請求項9】
前記複数の区間のうち少なくとも1つは、前記境界と前記誤差特性の極値とを一致させて定められる
ことを特徴にする請求項8に記載のエンコーダ装置。
【請求項10】
前記区間は、前記区間における位置情報の誤差の大きさに応じた区間幅にそれぞれ定められる
ことを特徴とする請求項8に記載のエンコーダ装置。
【請求項11】
前記区間は、
前記誤差特性が繰り返し周期を有している場合に、前記誤差特性を前記繰り返し周期に基づいて分割した複数の領域のうちの1つの領域において定められ、
前記信号処理部は、
前記1つの領域において生成された前記補正値情報に基づいて補正する
ことを特徴とする請求項8から請求項10のいずれか1項に記載のエンコーダ装置。
【請求項12】
請求項1から請求項11のいずれか1項に記載のエンコーダ装置を備えることを特徴とする駆動装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−163436(P2012−163436A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−24036(P2011−24036)
【出願日】平成23年2月7日(2011.2.7)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月7日(2011.2.7)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】
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