説明

エンジンの始動制御装置

【課題】エンジンが初爆から完爆に至る始動途上にあるときは、クランキング継続時間を延長して良好な始動性を得ることができるようにし、エンジンが初爆に至らない場合は、設定時間内でのクランキング継続時間としてバッテリへの負担を軽減する。
【解決手段】運転者がプッシュスイッチ12をONすると、グロープラグ4の発熱により予熱が開始され、所定に予熱が終了した後、スタータリレー6がONされる。するとクランキングが開始され(S2)、その際、エンジン回転数の変動により始動途上にあるか否かを調べる(S4)。そして始動途上にある場合は、基準始動時間Toに、予め設定されている延長時間αを加算した値で、クランキング継続時間timを制限する。エンジンが始動途上にある場合は、クランキング継続時間timを基準始動時間Toよりも延長時間αだけ延長されるため、良好な始動性を得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、始動ボタンの操作でエンジンを始動させる始動制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、運転者がキーシリンダに鍵を挿入することなく所定の始動ボタンを押すだけで内燃機関を始動させることができるプッシュスタートシステムが実用化されている。このプッシュスタートシステムは、従来のイグニッションキーに代わって、始動ボタン(いわゆるプッシュスイッチ)を押すだけで、クランキングからエンジン始動(完爆)までの一連の動作を実施するものであり、例えば特許文献1(特開2003−83210号公報)には、始動ボタンを押した後、エンジンが完爆と判定されるまで、クランキングが継続される技術が開示されている。
【0003】
ところで、ディーゼルエンジン等、始動時においてエンジン予熱を必要とするものでは、エンジンが始動(完爆)するまでに要する時間が長く、又、エンジン予熱時間も外気温によって変化する。従って、この種のエンジンでは、−20[℃]以下などの極低温時では、クランキング終了後、直ちに始動(完爆)には至らない場合も多い。
【0004】
このような低温始動が困難な状況においても、上述した特許文献1に開示されているように、エンジンが完爆するまでスタータモータの作動を継続させると、クランキング時間が必要以上に長くなり、バッテリ上がりを引き起こしてしまう可能性がある。
【0005】
そのため、例えば特許文献2(特開2005−207263号公報)では、始動ボタンを一回押すとクランキングが開始され、所定時間(例えば10[sec])内にエンジンが始動(完爆)した場合は、その時点でクランキングが停止され、一方、極低温始動等において、所定時間が経過してもエンジンが始動(完爆)しない場合は、クランキングを停止し、再度始動ボタンが押されるまで、リスタートさせない技術が開示されている。
【特許文献1】特開2003−83210号公報
【特許文献2】特開2005−207263号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上述した特許文献2に開示されている技術では、一回のクランキング継続時間が予め決められているので、例えばエンジンが初爆から連爆状態に移りつつ、もう少しで始動(完爆)しそうな状況においても、所定時間が経過した場合には、一律にクランキングが停止されてしまう。そのため、マニュアル制御でクランキングを行う場合に比し、確実な始動性を得ることができないという問題がある。
【0007】
又、所定時間経過したときにエンジンが始動しない場合は、一旦停止させた後、始動ボタンの操作で再度クランキングを開始させなければならないため、バッテリ消費が増長されてしまう問題がある。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑み、エンジンが初爆から完爆に至る始動途上にあるときは、クランキング継続時間を延長して良好な始動性を得ることができるようにし、又、エンジンが初爆に至らない場合は、設定時間内でのクランキング継続時間として、運転者に始動困難であることを伝達しながらバッテリへの負担を軽減することのできるエンジンの始動制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため本発明によるエンジンの始動制御装置は、始動ボタンの操作を検知したときエンジンのクランキングを開始するクランキング開始手段と、クランキング継続時間を計時するクランキング継続時間計時手段と、エンジンの完爆を検出する完爆検出手段と、前記クランキング継続時間計時手段で計時した前記クランキング継続時間が予め設定した基準始動時間に到達し、或いは該基準始動時間内に前記エンジンが完爆した場合、クランキングを停止させるクランキング停止手段と、前記エンジンが初爆から完爆に至る始動途上にあるか否かを検出する始動途上検出手段とを有し、前記クランキング停止手段は、前記始動途上検出手段で前記エンジンが始動途上にあると判定した場合、前記基準始動時間を設定時間だけ延長させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、エンジンが初爆から完爆に至る始動途上にあるときは、クランキング継続時間を延長するようにしたので、クランキングが継続的に行われて良好な始動性を得ることができる。又、エンジンが初爆に至らない場合は、設定時間内でのクランキング継続時間とすることで、運転者に始動困難であることを伝達することができると共に、バッテリへの負担を軽減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面に基づいて本発明の一実施形態を説明する。図1にエンジン制御装置のシステム構成図を示す。尚、本実施形態では、エンジンとしてディーゼルエンジンを例示して説明するが、本実施形態をガソリンエンジンに適用することは可能である。
【0012】
ディーゼルエンジンを搭載する車両には、始動制御を実行する制御装置として、エンジン制御装置(E/G_ECU)1、プッシュスタート制御装置(P/S_ECU)11が設けられている。この両ECU1,11は、図示しないCPU、ROM、RAM、入出力インターフェース等を備えたマイクロコンピュータを主体に構成されており、互いがCAN(Controller Area Network)通信等の車内通信回線を通じて相互通信可能に接続されている。
【0013】
E/G_ECU1の入力側に、クランク軸の回転からエンジン回転数や始動時の燃料噴射タイミング等を検出するクランク角センサ2、バッテリ電圧を検出する電圧センサ3等が接続されている。又、このE/G_ECU1の出力側に、始動時に燃焼室を予熱するグロープラグ4、インジェクタ5等が接続されていると共に、スタータリレー6を介してスタータモータ7が接続されている。尚、グロープラグ4、インジェクタ5は気筒毎に配設されており、各インジェクタ5からは所定クランク角タイミング毎に燃料が噴射される。
【0014】
又、P/S_ECU11の入力側には、始動ボタンとしてのプッシュスイッチ12等が接続されている。このプッシュスイッチ12は、それを押圧したときだけ接点が閉成(ON)される常時接点開放型スイッチである。
【0015】
又、P/S_ECU11は、イグニッションスイッチがONされた後、運転者によりプッシュスイッチ12がONされたことを検知すると、スタータリレー6をONする。すると、スタータモータ7に電力が供給され、エンジンのクランキングが開始される。同時に、クランキング時間を計時し、設定時間内にエンジンが始動(完爆)した場合、或いは完爆することなく設定時間が経過した場合は、スタータリレー6をOFFさせて、クランキングを自動的に停止させる。
【0016】
このP/S_ECU11で実行されるエンジンの始動制御は、具体的には、図2に示す始動制御ルーチンに従って処理される。このルーチンは、予め設定されている始動許可条件(例えばセレクトレバーがPレンジにセットされ、且つ、ブレーキペダルが踏み込まれていた状態でプッシュスイッチ12からON信号が出力された)が満足された場合に起動される。
【0017】
そして、ステップS1で、グロープラグ4による予熱が完了したか否かが判定される。グロープラグ4による燃焼室内の予熱は、E/G_ECU1において制御される。E/G_ECU1は、P/S_ECU11から出力される始動条件が満足されたことを示す始動許可信号を受信すると、グロープラグ4に通電し発熱させて、予熱を開始する。そして、予熱が所定に終了した場合、P/S_ECU11に対して予熱完了信号を出力する。
【0018】
ステップS1では、P/S_ECU11から予熱完了信号が出力されるまで待機し、予熱完了信号を受信した場合、ステップS2へ進む。ステップS2では、スタータリレー6をONさせる。すると、このスタータリレー6を介してスタータモータ7に通電され、このスタータモータ7の駆動によりクランキングが開始される。従って、このステップでの処理が本発明のクランキング開始手段に対応する。
【0019】
クランキングが開始されると、クランク角センサ2から検知信号が出力されるため、E/G_ECU1では、当該クランク角センサ2からの信号に基づき燃料噴射対象気筒のインジェクタ5から燃料を噴射させる。
【0020】
その後、ステップS3へ進み、クランキング継続時間timを計時する(tim←tim+1)。このクランキング継続時間timは、スタータリレー6がOFFからONに切り替わったときにクリアされる。尚、このステップでの処理が、本発明のクランキング継続時間計時手段に対応する。
【0021】
その後、ステップS4へ進むと、E/G_ECU1にてクランク角センサ2からの検知信号に基づいて算出したエンジン回転数Neを読み込み、このエンジン回転数Neと予め設定した完爆判定回転数Nestとを比較する。尚、このステップでの処理が、本発明の完爆検出手段に対応する。
【0022】
この完爆判定回転数Nestは、スタータモータ7を停止させても自律的に回転し始める回転数であり、予め実験などに基づいて設定される。因みに、本実施形態では、600[rpm]程度に設定しているが、採用するエンジン毎に相違する。又、この完爆判定回転数Nestをエンジン温度に基づいて可変設定するようにしてもよい。尚、エンジンが完爆すると、エンジンストールを防止するため、エンジン回転数Neは目標アイドル回転数よりも高い値まで一瞬上昇するが、その後、フィードバック制御によりエンジン回転数Neは目標アイドル回転数に収束される。
【0023】
そして、ステップS4で、Ne≧Nestの完爆と判定したときは、ステップS10へジャンプする。又、Ne<Nestの未だ完爆に達していないときは、ステップS5へ進み、エンジンが始動途上か否かを調べる。このステップS5での処理が、本発明の始動途上検出手段に対応している。
【0024】
始動途上か否かは、エンジン回転数Ne、及び、このエンジン回転数Ne(今回のルーチン実行時に算出したエンジン回転数Ne)と前回の演算実行時に算出したエンジン回転数Ne(n-1)との差分、すなわち、エンジン回転数Neの変動に基づいて判定する。例えばエンジン回転数Neが、スタータモータ7によるクランキング回転数(エンジンを駆動させるための回転数)より高く、且つ完爆判定回転数Nestよりも低く、且つエンジン回転数Neの変動が予め設定した変動幅よりも大きい場合、始動途上と判定する。或いは、各気筒に筒内圧センサを備えている場合は、この筒内圧の上昇により気筒内燃焼状態を検出し、且つエンジン回転数Neが完爆判定回転数Nestに達していない場合、始動途上と判定する。エンジン回転数Neの変動から始動途上か否かを判定する場合、クランク角センサ2が燃焼状態検出手段となる。又、筒内圧センサにより筒内の燃焼状態を検出する場合は、この筒内圧センサが燃焼状態検出手段となる。
【0025】
より具体的には、例えばクランク角センサ2を燃焼状態検出手段として用いた場合、燃焼気筒が着火した場合は膨張行程中のエンジン回転Neが上昇し、失火した場合は低下する。従って、膨張行程中のエンジンジン回転数Neの上昇が所定値よりも大きい場合、燃焼と判定し、それ以下の場合は失火と判定する。
【0026】
又、各気筒に筒内圧センサを備えているエンジンでは、各気筒の燃焼状態を筒内圧の変動から直接検出することができる。この場合、各気筒の膨脹行程における筒内圧の平均値、或いはピーク値を検出し、この値が所定値よりも大きい場合は燃焼と判定し、それ以下の場合は失火と判定する。
【0027】
そして、各気筒の燃焼状態を所定燃焼サイクル毎に検出し、予め設定したサイクル数内で燃焼と判定した数の割合が設定範囲内にある場合、始動途上と判定する。尚、この燃焼サイクル毎に燃焼状態を検出する処理が、本発明のサイクル毎燃焼検出手段に対応している。或いは、各気筒の燃焼状態を気筒別に検出し、全気筒中の設定気筒数以上が燃焼と判定した場合に、始動途上と判断する。尚、この気筒別に燃焼状態を検出する処理が、本発明の気筒別燃焼検出手段に対応している。
【0028】
そして、ステップS5で、エンジンが始動途上に無いと判定した場合、ステップS6へ進み、又、エンジンが始動途上にあると判定した場合は、ステップS7へ分岐する。
【0029】
ステップS6へ進むと、クランキング継続時間timと、予め設定した基準始動時間Toとを比較する。この基準始動時間Toは、通常行うクランキング操作であれば充分に完爆させることのできる時間であり、本実施形態では、10[sec]程度に設定されている。
【0030】
そして、クランキング継続時間timが基準始動時間Toに達していないとき(tim<To)は、ステップS3へ戻り、ルーチンを繰り返し実行得する。又、クランキング継続時間timが基準始動時間Toに達しても(tim≧To)、エンジン回転数Neが始動途上に至らない場合は、ステップS10へ進む。
【0031】
ステップS4或いはステップS6からステップS10へ進むと、スタータリレー6をOFFさせて、ルーチンを終了する。スタータリレー6がOFFされると、スタータモータ7に対する通電が遮断されるため、エンジンのクランキングが停止される。従って、この場合、上述した始動許可条件が満足されている状態で、プッシュスイッチ12を再度ONするまで、リスタートされない。尚、ステップS6,S8,S10での処理が、本発明のクランキング停止手段に対応している。
【0032】
一方、ステップS5で、始動途上と判定して、ステップS7へ進むと、電圧センサ3で検出したバッテリ電圧VBを読み込み、このバッテリ電圧VBと予め設定されている電圧判定値VBOとを比較する。この電圧判定値VBOは、クランキング時のバッテリ上がりを防止するために設定されている値で、予め実験などに基づいて設定されている。
【0033】
そして、VB≧VBOのバッテリ電圧に余裕がある場合は、ステップS8へ進み、又、VB<VBOのバッテリ電圧に余裕が無い場合は、ステップS6へ戻る。ステップS6へ戻ると、クランキング継続時間timと基準始動時間Toとが比較されるため、例えば、後述するように、基準始動時間Toが延長時間α分だけ延長されていた場合、tim≧Toであるため、ステップS10へ進み、スタータモータ7への通電が遮断され、エンジンは停止される。
【0034】
一方、ステップS8へ進むと、クランキング継続時間timと基準始動時間Toに延長時間αを加算した値とを比較する(この場合、(To+α)が基準始動時間となる)。そして、tim<To+αのときは、ステップS9へ進む。又、tim≧To+αのときは、基準始動時間Toを延長時間αで延長してもエンジンが完爆しないため、ステップS10へ進み、スタータリレー6をOFFとし、スタータモータ7への通電を遮断して、エンジンを停止する。
【0035】
この延長時間αは、例えばエンジンが初爆から連爆状態へ移行し、もう少しで完爆しそうな状況が、基準始動時間Toを過ぎている場合であっても、この基準始動時間Toを延長することで、完爆させることが可能な場合は、クランキングを継続させるようにするための時間であり、予め実権など求めて設定されている。尚、本実施形態では、この延長時間αを2〜5[sec]程度に設定している。
【0036】
そして、ステップS9へ進むと、E/G_ECU1に対し始動途上指令信号を出力して、ステップS3へ戻る。
【0037】
尚、エンジンが自律回転している状態で、車両が完全に停車している場合、プッシュスイッチを押すと、P/S_ECU11からE/G_ECU1に対して、エンジン停止信号が出力され、E/G_ECU1において燃料カット(ガソリンエンジンでは、燃料カット且つ点火カット)が行われてエンジンが停止する。
【0038】
次に、E/G_ECU1で実行されるエンジン始動途上処理について、図3に示すエンジン始動途上処理ルーチンに従って説明する。
【0039】
このルーチンでは、ステップS11で、P/S_ECU11からの始動途上指令信号を受信したか否かが調べられ、始動途上指令信号を受信したときは、ステップS12へ進み、又、始動途上指令信号が受信されていない場合は、そのままルーチンを抜ける。従って、例えばP/S_ECU11から始動途上指令信号が出力された後、当該始動途上指令信号の出力が遮断された場合、ステップS11から、そのままルーチンを抜けるため、E/G_ECU1では、アイドル制御、及び暖機制御を含む通常の燃料噴射制御が実行される。
【0040】
又、ステップS12へ進むと、始動途上エンジン制御を実行して、ルーチンを抜ける。この始動途上エンジン制御は、インジェクタ5からの燃料噴射時期、燃料噴射量、及びグロープラグ4に対する通電電流値を、始動途上時の混合気の燃焼に対応した最適な値に設定する。
【0041】
この最適な値とは、始動途上においては、各気筒内で既に燃焼が起きているため、各気筒の燃焼室内の温度は上昇していると推測でき、このような状態で、通常の始動時制御を行うと、燃料過多となり、逆に始動性が悪化してしまう可能性がある。そのため、始動途上においては、燃料噴射制御における燃料噴射タイミングを、通常の始動時に設定されるものに比し、遅めに設定し(遅角させ)、且つ多段噴射における燃料噴射回数、及び始動時増量によって増量された燃料噴射量を減少させる。又、始動途上時において、燃料噴射回数、及び燃料噴射量を減少させることで、排気エミッションの低減、及び燃費改善を実現することができる。その結果、この始動途上はクランキング開始直後から開始されるため、実質的にクランキング開始直後より最適な燃料制御が行われることになる。
【0042】
尚、本実施形態では、この燃料噴射タイミングの進角量、多段噴射における燃料噴射回数の減少数、及び燃料噴射量の減少量を固定値としているが、エンジン回転数、冷却水温等のエンジン運転状態を検出するパラメータに基づいて可変させても良い。この場合、始動途上における燃料噴射タイミング、燃料噴射回数、燃料噴射量は、上述したエンジン運転状態パラメータに基づき、予め実験などから求め、E/G_ECU1の記憶手段にマップ形式で格納する。又、始動登城における燃料噴射タイミング、燃料噴射回数、燃料噴射量は、エンジン運転状態を検出するパラメータに基づき、予め実験などから求めた近似式を用いて算出するようにしても良い。
【0043】
このように、本実施形態によれば、クランキング時のエンジンが始動途上にある場合、クランキング継続時間timが延長時間αだけ実質的に長くなるため、基準始動時間To内では始動の困難な極低温始動等においても良好な始動性を得ることができる。
【0044】
又、クランキング継続時間tim内でエンジンが始動途上までに至らない場合は、クランキング継続時間timが経過したときに、クランキングが停止されるため、運転者に始動困難であることが伝達され、しかも、クランキングを停止することで、バッテリへの負担を軽減することができる。同様に、クランキング継続時間timが延長時間αだけ延長する場合も、バッテリ電圧VBが低い場合は、クランキング継続時間timが延長されないため、バッテリへ負担が軽減され、良好にリスタートさせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】エンジン制御装置のシステム構成図
【図2】始動制御ルーチンを示すフローチャート
【図3】エンジン始動途上処理ルーチンを示すフローチャート
【符号の説明】
【0046】
1…エンジン制御装置、
3…電圧センサ、
4…グロープラグ、
5…インジェクタ、
6…スタータリレー、
7…スタータモータ、
11プッシュスタート制御装置、
12…プッシュスイッチ、
α…延長時間、
Ne…エンジン回転数、
Nest…完爆判定回転数、
To…基準始動時間、
VB…バッテリ電圧、
VBO…電圧判定値、
tim…クランキング継続時間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
始動ボタンの操作を検知したときエンジンのクランキングを開始するクランキング開始手段と、
クランキング継続時間を計時するクランキング継続時間計時手段と、
エンジンの完爆を検出する完爆検出手段と、
前記クランキング継続時間計時手段で計時した前記クランキング継続時間が予め設定した基準始動時間に到達し、或いは該基準始動時間内に前記エンジンが完爆した場合、クランキングを停止させるクランキング停止手段と、
前記エンジンが初爆から完爆に至る始動途上にあるか否かを検出する始動途上検出手段と
を有し、
前記クランキング停止手段は、前記始動途上検出手段で前記エンジンが始動途上にあると判定した場合、前記基準始動時間を設定時間だけ延長させる
ことを特徴とするエンジンの始動制御装置。
【請求項2】
前記基準始動時間が延長された場合、少なくとも燃料噴射制御における燃料噴射量及び燃料噴射タイミングを変更する
ことを特徴とする請求項1記載のエンジンの始動制御装置。
【請求項3】
前記クランキング停止手段は、バッテリ電圧が予め設定されている電圧判定値以下の場合は前記基準始動時間の延長を禁止する
ことを特徴とする請求項1記載のエンジンの始動制御装置。
【請求項4】
前記始動途上検出手段は、前記エンジンが始動途上にあるか否かを、クランキング中のエンジン回転数の変動に基づいて判定する
ことを特徴とする請求項1記載のエンジンの始動制御装置。
【請求項5】
各気筒内の燃焼状態を検出する燃焼状態検出手段と、
前記燃焼状態検出手段で検出した前記各気筒の筒内の燃焼状態に基づいて該各気筒が燃焼状態にあるか否かを燃焼サイクル毎に検出するサイクル毎燃焼検出手段と
を有し、
前記始動途上検出手段は、前記サイクル毎燃焼検出手段で予め設定したサイクル数内で燃焼と判定した数の割合が設定範囲内にある場合、始動途上と判定する
ことを特徴とする請求項1記載のエンジンの始動制御装置。
【請求項6】
各気筒内の燃焼状態を検出する燃焼状態検出手段と、
前記燃焼状態検出手段で検出した前記筒内の燃焼状態に基づいて該筒内が燃焼状態にあるか否かを気筒別に検出する気筒別燃焼検出手段と
を有し、
前記始動途上検出手段は、前記気筒別燃焼検出手段で全気筒中の設定気筒数以上が燃焼と判定した場合に、始動途上と判断する
ことを特徴とする請求項1記載のエンジンの始動制御装置。
【請求項7】
前記燃焼状態検出手段は、所定クランク角度におけるエンジン回転数を検出するクランク角センサであり、
前記サイクル毎燃焼検出手段は、膨張行程中の前記エンジン回転数の上昇が所定値よりも大きい場合、燃焼と判定する
ことを特徴とする請求項5記載のエンジンの始動制御装置。
【請求項8】
前記燃焼状態検出手段は、所定クランク角度におけるエンジン回転数を検出するクランク角センサであり、
前記気筒別燃焼検出手段は、膨張行程中の前記エンジン回転数の上昇が所定値よりも大きい場合、燃焼と判定する
ことを特徴とする請求項6記載のエンジンの始動制御装置。
【請求項9】
前記燃焼状態検出手段は、各気筒の筒内圧を検出する筒内圧センサであり、
前記サイクル毎燃焼検出手段は、膨張行程中の前記筒内圧の上昇が所定値よりも大きい場合、燃焼と判定する
ことを特徴とする請求項5記載のエンジンの始動制御装置。
【請求項10】
前記燃焼状態検出手段は、各気筒の筒内圧を検出する筒内圧センサであり、
前記気筒別燃焼検出手段は、膨張行程中の前記筒内圧の上昇が所定値よりも大きい場合、燃焼と判定する
ことを特徴とする請求項6記載のエンジンの始動制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−144619(P2010−144619A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−322744(P2008−322744)
【出願日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【出願人】(000005348)富士重工業株式会社 (3,010)
【Fターム(参考)】