説明

エンジンの排気管噴射装置

【課題】ディーゼルエンジンのDPF再生のために、排気管内に燃料を噴射する排気管噴射装置において、触媒性能の一時的低下、燃料の無駄な消費、及び、噴射開始の遅れを抑制しつつ、残量燃料の炭化などによる燃料配管の詰まりを防止できるようにする。
【解決手段】噴射ノズル101の直前の燃料供給配管102に遮断バルブ111を設けると共に、遮断バルブ111上流の燃料供給配管102に蓄圧バルブ113を介してアキュムレータ114を接続する。そして、DPF再生のための燃料噴射後に、燃料供給バルブ105,108及び遮断バルブ111を閉じ、蓄圧バルブ113及び空気供給バルブ112を開き、燃料供給配管102内に残留する燃料を加圧空気によってアキュムレータ114内に押し込む。DPF再生の開始時には、蓄圧バルブ113を開き、アキュムレータ114に蓄積しておいた燃料を噴出させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンの排気管内に燃料を噴射する排気管噴射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ディーゼルエンジンにおいて、排気中の微粒子を捕集する排気浄化フィルタ(ディーゼル・パティキュレート・フィルタ:DPF)を排気管途中に配置すると共に、排気浄化フィルタの上流側の排気管内に燃料を噴射する噴射ノズルを設け、この噴射ノズルから噴射した燃料の酸化反応熱によって、排気浄化フィルタに捕集された微粒子を燃焼除去して、排気浄化フィルタを再生させる再生処理が行われている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−150941号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、噴射ノズルからの燃料噴射の後に、噴射ノズルに燃料を供給する燃料供給配管中に燃料が残っていると、この残留燃料の炭化などによって燃料供給配管が詰まる可能性がある。
ここで、燃料供給配管内の残留燃料を空気で押し出して噴射ノズルから噴射させ、燃料供給配管内に残留する燃料を減らせば、燃料供給配管の詰まりを防止することができるが、係る構成とした場合、以下のような問題が生じる。
【0005】
即ち、残留燃料を一度に排気管内に噴射することで、排気浄化フィルタの下流に配置される触媒(例えば、SCR(Selective catalytic reduction)触媒)の触媒性能が、燃料軽油中の硫黄分(S)により一時的に低下し、また、再生処理後に燃料供給配管中の残留燃料を噴射させることは余分な燃料を無駄に消費することになり、また、噴射ノズルからの燃料噴射を開始しようとしたときに、燃料供給配管内が空になっていることで、燃料噴射開始までに遅れが生じるという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は上記従来技術の問題点に鑑み、触媒性能の一時的低下、燃料の無駄な消費、及び、噴射開始の遅れを抑制しつつ、残量燃料の炭化などによる燃料配管の詰まりを防止できるエンジンの排気管噴射装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このため、本発明では、エンジンの排気管内に燃料を噴射する噴射ノズルと、前記噴射ノズルへ燃料を供給する燃料供給配管と、前記燃料供給配管に介装され前記噴射ノズルへの燃料供給を制御する燃料供給バルブと、前記噴射ノズルと前記燃料供給バルブとの間の前記燃料供給配管に設けたアキュムレータと、前記噴射ノズルと前記アキュムレータとの間の前記燃料供給配管に設けた遮断バルブと、前記遮断バルブと前記燃料供給バルブとの間の前記燃料供給配管内に空気を送り込む空気供給手段とを備え、前記噴射ノズルによる燃料噴射後に、前記燃料供給バルブ及び遮断バルブを閉じ、前記空気供給手段により前記遮断バルブと前記燃料供給バルブとの間の前記燃料供給配管内に空気を送り込むことで、前記遮断バルブと前記燃料供給バルブとの間の前記燃料供給配管内に残存する燃料を、前記アキュムレータ内に押し込むようにした。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、噴射ノズルからの燃料噴射後に、燃料供給配管内の残留燃料をアキュムレータ内に蓄積し、残留燃料を排気管内に噴射させないので、残留燃料による燃料配管の詰まりを防止できると共に、触媒性能の一時的低下、燃料の無駄な消費を抑制でき、また、アキュムレータ内に蓄積した燃料を用いることで噴射開始の遅れを抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施形態におけるディーゼルエンジンのシステム構成図
【図2】実施形態における排気管噴射装置の構造を示す回路図
【図3】実施形態における排気管噴射装置の制御を示すフローチャート
【図4】実施形態における排気管噴射装置におけるバルブの開閉特性を示すタイミングチャート
【図5】実施形態におけるアキュムレータの作用を説明するための図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付した図面を参照して本発明の実施形態を詳述する。
図1は、本願発明に係る排気管噴射装置を適用する、車両用のディーゼルエンジン(内燃機関)10を示す。
【0011】
ディーゼルエンジン10は、吸気管14及び吸気マニホールド12を介して空気を吸引する。吸気管14には、上流側から順に、空気中の埃などをろ過するエアクリーナ16、吸気過給を行うターボチャージャ18のコンプレッサ18A、コンプレッサ18Aを通過して高温になった吸気を冷却するインタークーラ20を設けてある。
【0012】
一方、ディーゼルエンジン10は、排気マニホールド22及び排気管24を介して排気を放出する。排気管24には、上流側から順に、ターボチャージャ18の排気タービン18B、燃料軽油を排気管24内に噴射する噴射ノズルを有する排気管噴射装置25、連続再生式DPF装置26、還元剤前駆体としての尿素水溶液を噴射供給する噴射ノズルを有する還元剤噴射装置28、尿素水溶液から生成されるアンモニア(還元剤)を用いてNOxを選択還元浄化するSCR触媒30、SCR触媒30を通過したアンモニアを酸化させるアンモニア酸化触媒32を設けてある。
【0013】
連続再生式DPF装置26は、NO(一酸化窒素)をNO2(二酸化窒素)へと酸化させるDOC(Diesel Oxidation Catalyst)26Aと、排気中のPM(Particulate Matter)を捕集・除去するDPF(Diesel Particulate Filter)26Bとを備える。
尚、排気浄化フィルタとして、前記DPF26Bの代わりに、フィルタ表面に触媒(活性成分及び添加成分)を担持させたCSF(Catalyzed Soot Filter)を使用できる。
【0014】
また、ディーゼルエンジン10は、排気の一部を吸気側に還流させることで燃焼温度を低下させ、排気中のNOx濃度を低減するEGR(Exhaust Gas Recirculation)装置34を備えている。
EGR装置34は、排気管24を流れる排気の一部を吸気管14に還流させるEGR管34Aと、EGR管34Aを流れる排気を冷却するEGRクーラ34Bと、吸気管14に還流させる排気量(EGR率)を制御するEGR制御弁34Cとを備える。
【0015】
コンピュータを内蔵したコントロールユニット42は、ディーゼルエンジン10の回転速度NEを検出する回転速度センサ44、及び、ディーゼルエンジン10の負荷Qを検出する負荷センサ46の出力信号などを入力する。
ここで、負荷センサ46は、ディーゼルエンジン10の負荷Qを示す状態量として、吸気流量、吸気圧力、過給圧力、アクセル開度、吸気絞り弁の開度など、ディーゼルエンジン10のトルクと密接に関連する状態量を検出する。
【0016】
コントロールユニット42は、内蔵するROM(Read Only Memory)などの不揮発性メモリに記憶した制御プログラムを実行することで、各種センサからの信号に基づいて、DPF26Bの再生処理などを制御する。
コントロールユニット42は、例えば、エンジンの積算運転時間や、エンジン運転条件から推定した微粒子の排出量の積算値や、DPF26Bの上下流間の差圧などから、DPF26Bの再生要求の有無を判断する。
【0017】
そして、コントロールユニット42は、DPF26Bの再生開始信号に基づき、排気管噴射装置25によって連続再生式DPF装置26の上流側の排気管24内に燃料軽油を噴射させる。排気管24に噴射された燃料軽油がDOC26A(酸化触媒)で酸化し、この酸化反応熱によって、DPF26Bに堆積した微粒子(煤)が燃焼して、DPF26Bが再生する。
【0018】
図2は、排気管噴射装置25の詳細を示す回路図である。
排気管噴射装置25は、燃料軽油を排気管24内に噴射する噴射ノズル101と、該噴射ノズル101に加圧燃料を導く燃料供給配管102と、燃料供給配管102の途中に合流し、加圧空気を燃料供給配管102内に導く空気供給配管103とを備える。
【0019】
燃料供給配管102は、図示しない燃料ポンプを介して燃料タンクに連通し、燃料ポンプが吐出する加圧燃料が供給される。
燃料供給配管102には、上流側から順に、上流側燃料供給バルブ105、チェックバルブ106、圧力センサ107、下流側燃料供給バルブ108が配置され、下流側燃料供給バルブ108をバイパスするバイパス配管109にチェックバルブ110を配置してあり、これらのバルブは噴射ノズル101への加圧燃料の供給を制御する。
【0020】
また、噴射ノズル101の直前の燃料供給配管102には、遮断バルブ111を配置してある。
上流側燃料供給バルブ105、下流側燃料供給バルブ108及び遮断バルブ111は、電磁式のバルブであって、コントロールユニット42から送られる駆動電流によって開閉作動する。
【0021】
チェックバルブ106及びチェックバルブ110は、燃料供給配管21及びバイパス配管109における燃料の逆流を遮断する。
圧力センサ107は、チェックバルブ106と下流側燃料供給バルブ108との間の燃料供給配管102における燃料圧力を検出し、その検出信号をコントロールユニット42に出力する。
【0022】
空気供給配管103には、図示しない空気ポンプが吐出する加圧空気又はエアリザーバに蓄えられている加圧空気が供給される。
空気供給配管103には、空気供給バルブ112が介装される。尚、空気供給バルブ112の下流側に、加圧空気の逆流を止めるチェックバルブを備えることができる。
空気供給バルブ112は、電磁式のバルブであって、コントロールユニット42から送られる駆動電流によって開閉作動する。
【0023】
尚、圧力センサ107は、コントロールユニット42が行う、上流側燃料供給バルブ105、下流側燃料供給バルブ108及び空気供給バルブ112の故障診断に用いられる。
具体的には、コントロールユニット42は、上流側燃料供給バルブ105、下流側燃料供給バルブ108、空気供給バルブ112の開閉制御状態の組み合わせから想定される、上流側燃料供給バルブ105と下流側燃料供給バルブ108との間の圧力と、実際に圧力センサ107が検出した圧力とを比較することで、上流側燃料供給バルブ105、下流側燃料供給バルブ108、空気供給バルブ112の閉固着故障や開固着故障の有無を診断する。
【0024】
噴射ノズル101は、燃料供給配管21の下流端の通路断面積を縮小する噴口(絞り)を有し、この噴口が排気管24内に臨み、排気管24内を流れる排気中に燃料軽油を噴霧状にして噴射する。
また、遮断バルブ111の直前の燃料供給配管21には、蓄圧バルブ113を介してアキュムレータ(蓄圧器)114を接続してある。
【0025】
アキュムレータ114は、燃料の圧力エネルギーを、圧縮性流体である気体(窒素ガス)の圧力エネルギーに変換して蓄える装置であり、容器の中に燃料を押し込むと、隔壁を介して気体が圧縮して、燃料の圧力に相当する量の燃料が容器内に入り込み、その後、蓄圧バルブ113を開くことで燃料を押し込む力を開放すると、容器内に入っていた燃料が、気体が膨張する力によって容器外部に噴出する。
蓄圧バルブ113は、電磁式のバルブであって、コントロールユニット42から送られる駆動電流によって開閉作動する。
【0026】
次に、コントロールユニット42による排気管噴射装置25の制御を、図4のタイミングチャートを参照しつつ、図3のフローチャートに従って説明する。
尚、図3のフローチャートに示すルーチンは、ディーゼルエンジン10の運転中に実行される制御プログラムを示す。
まず、ステップS81では、通常モードで排気管噴射装置25を制御する。
【0027】
通常モードとは、DPFの再生要求がなく、噴射ノズル101から燃料を噴射しない期間において、定期的(例えば、一定時間毎)に、噴射ノズル101から空気を噴射させることで、噴射ノズル101の詰まりを防止するモードである。
通常モードにおいては、図4に示すように、上流側燃料供給バルブ105、下流側燃料供給バルブ108及び蓄圧バルブ113を閉状態に保持する一方、遮断バルブ111を開状態に保持し、定期的に一定時間だけ空気供給バルブ112を開弁させることで、空気供給配管103及び空気供給配管103が合流した後の燃料供給配管21、更に、噴射ノズル101を介して排気管24内に空気を間欠的に噴射する。
【0028】
上記のように、定期的に噴射ノズル101から空気を噴射させることで、燃料噴射直後であれば、燃料供給配管21(遮断バルブ111と噴射ノズル101との間の燃料供給配管21)に残存する燃料軽油を排出させることができ、その後は、排気微粒子などが噴射ノズル101に付着して詰まりが生じることを防止できる。
上記の通常モードで排気管噴射装置25を制御している状態で、ステップS82では、DPF26Bの再生開始信号が発生したか否かを判断する。
【0029】
再生開始信号は、DPF26Bにおける再生要求の警告に基づいて運転者がボタン操作を行うことにより手動で出力させる構成あってもよく、また、コントロールユニット42が再生要求に基づき自動的に出力する構成であってもよい。
再生開始信号が出力されると、噴射ノズル101から燃料軽油を噴射させることでDPF26Bを再生する、再生処理モードに移行する。
【0030】
まず、ステップS83では、再生処理モードの第1段階として、図4に示すように、上流側燃料供給バルブ105、下流側燃料供給バルブ108及び空気供給バルブ112を閉状態、遮断バルブ111を開状態に保持した状態で、蓄圧バルブ113を一定時間だけ開弁させる。
後述するように、DPF再生のための燃料噴射を終了させた直後に、燃料供給配管21に残存する燃料軽油をアキュムレータ114内に押し込む処理がなされ、通常モードにおいては、蓄圧バルブ113を閉状態に保持することで、アキュムレータ114内に燃料軽油が押し込まれている状態を保持するようになっている。
【0031】
従って、ステップS83で、蓄圧バルブ113を開弁させると、アキュムレータ114内の気体(窒素)が膨張することで、アキュムレータ114内に押し込まれていた燃料軽油がアキュムレータ114の外部に噴出し、アキュムレータ114内に蓄積していた燃料が、燃料供給配管21及び噴射ノズル101を介して排気管24内に噴射される。
【0032】
アキュムレータ114内に押し込まれていた燃料軽油の噴射を終了すると、ステップS84へ進み、再生処理モードの第2段階に移行する。
具体的には、図4に示すように、空気供給バルブ112及び蓄圧バルブ113を閉状態に保持する一方、上流側燃料供給バルブ105、下流側燃料供給バルブ108及び遮断バルブ111を開状態に保持することで、加圧燃料を、燃料供給配管21及び噴射ノズル101を介して排気管24内に噴射させる。
【0033】
排気管24内に噴射された燃料軽油は、DOC26A(酸化触媒)で酸化し、この酸化反応熱によってDPF26Bに堆積した微粒子(煤)が燃焼して、DPF26Bが再生する。
燃料軽油の噴射を一定時間継続させ、DPF再生処理が完了すると、ステップS85へ進み、燃料供給配管21内に残留する燃料を処理する残留燃料処理モードに移行する。
【0034】
残留燃料処理モードにおいては、図4に示すように、まず、上流側燃料供給バルブ105、下流側燃料供給バルブ108、遮断バルブ111及び蓄圧バルブ113を閉状態に保持し、空気供給バルブ112を開いた状態に保持する状態を一定時間だけ継続させることで、燃料供給配管21内の圧力を高める。
上記のようにして予め燃料供給配管21内の圧力を高めておけば、蓄圧バルブ113を遅れて開いたときに、アキュムレータ114内の残圧でアキュムレータ114から燃料が放出されることを阻止できる。
【0035】
その後、上流側燃料供給バルブ105、下流側燃料供給バルブ108及び遮断バルブ111を閉状態に保持し、空気供給バルブ112及び蓄圧バルブ113を開状態に保持する状態に切り替えることで、加圧空気の圧力で、燃料供給配管21内、詳しくは、下流側燃料供給バルブ108と遮断バルブ111との間の燃料供給配管21内に残留する燃料をアキュムレータ114内に押し込む処理を一定時間実施する。
これにより、燃料供給配管21内の残留燃料は、加圧空気に押されてアキュムレータ114内に押し込まれ、燃料がアキュムレータ114内に押し込まれると、アキュムレータ114内の気体(窒素)が圧縮し、気体が圧縮して空いた容積部分に燃料が流入する。
【0036】
ここで、空気供給配管103は、遮断バルブ111と下流側燃料供給バルブ108との間の燃料供給配管102の上流側に接続され、残留燃料処理モードにおいて、空気供給配管103を介して供給される加圧空気が、空気供給配管103が合流する部分から下流側に残留している燃料をアキュムレータ114に押し込むことで、大部分の残留燃料をアキュムレータ114内に押し込むことができるようにしてある。
アキュムレータ114内に燃料を押し込む処理を一定時間実施すると、通常モードに復帰させる。
【0037】
通常モードでは、蓄圧バルブ113は閉状態に保持されるので、燃料がアキュムレータ114内に押し込まれた状態を保持することになり、前述のDPF再生モードの第1段階で、蓄圧バルブ113を開放することで、アキュムレータ114内に押し込まれていた燃料が気体の膨張に伴って噴出し、排気管24内に噴射されることになる。
【0038】
図5は、各モードにおけるアキュムレータ114内での気体(窒素)及び燃料の状態、更に、蓄圧バルブ113の開閉状態を示す。
まず、通常モードでは、アキュムレータ114内に燃料が押し込まれて気体が圧縮された状態を保持し、再生処理モードの第1段階で蓄圧バルブ113を開くと、圧縮されていた気体(窒素)が膨張することで、燃料は、アキュムレータ114の外部に噴出し、噴射ノズル101を介して排気管24内に噴射される。
【0039】
再生処理モードの第2段階では蓄圧バルブ113を閉じるので、アキュムレータ114内の気体(窒素)は、膨張した状態を保持する。
残留燃料処理モードでは、蓄圧バルブ113を開き、燃料がアキュムレータ114内に押し込まれると、気体(窒素)が圧縮され、この状態で蓄圧バルブ113を閉じる通常モードに復帰することで、次回のDPF再生処理において、アキュムレータ114内に閉じ込めておいた燃料を排気管24内に噴射させることができる状態で待機する。
【0040】
上記の排気管噴射装置25によると、DPF再生のための燃料噴射の後に、燃料供給配管21内の燃料をアキュムレータ114内に押し込むので、燃料供給配管21内に残留する燃料量を充分に減らして、残留燃料の炭化などによる噴射ノズル101の詰まりを防止できる。
また、燃料供給配管21内に残った燃料をアキュムレータ114内に移すので、燃料供給配管21内に残留する燃料量を減らすために、排気管24内に多量の燃料が一度に噴射されることがなく、多量の燃料が噴射されることで、SCR触媒30の触媒性能が一時的に低下することを回避できる。
【0041】
また、DPF再生が終了した後に、DPF再生に寄与しない燃料が排気管24内に噴射され、燃料が無駄に消費されることを抑制できる。
また、DPF再生の開始時(排気管24に対する燃料噴射の開始時)において、燃料供給配管21内に燃料が残留していないものの、噴射ノズル101近傍の燃料供給配管21に接続させたアキュムレータ114が蓄えていた燃料を噴射させるので、排気管24内に対する燃料の噴射が遅れることを抑制できる。
【0042】
尚、上記実施形態では、噴射ノズル101と遮断バルブ111とを別体としたが、噴射ノズル101と遮断バルブ111とを一体的に備える噴射バルブを用いることができる。
また、DPF再生モードにおいて、燃料と空気とを混合させて噴射ノズル101から噴射させる構成であってもよい。
【符号の説明】
【0043】
10 ディーゼルエンジン
24 排気管
25 排気管噴射装置
26 連続再生式DPF装置
26A DOC
26B DPF
28 還元剤噴射装置
30 SCR触媒
32 アンモニア酸化触媒
42 コントロールユニット
101 噴射ノズル
102 燃料供給配管
103 空気供給配管
105 上流側燃料供給バルブ
108 下流側燃料供給バルブ
111 遮断バルブ
112 空気供給バルブ
113 蓄圧バルブ
114 アキュムレータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンの排気管内に燃料を噴射する噴射ノズルと、前記噴射ノズルへ燃料を供給する燃料供給配管と、前記燃料供給配管に介装され前記噴射ノズルへの燃料供給を制御する燃料供給バルブと、前記噴射ノズルと前記燃料供給バルブとの間の前記燃料供給配管に設けたアキュムレータと、前記噴射ノズルと前記アキュムレータとの間の前記燃料供給配管に設けた遮断バルブと、前記遮断バルブと前記燃料供給バルブとの間の前記燃料供給配管内に空気を送り込む空気供給手段とを備え、
前記噴射ノズルによる燃料噴射後に、前記燃料供給バルブ及び遮断バルブを閉じ、前記空気供給手段により前記遮断バルブと前記燃料供給バルブとの間の前記燃料供給配管内に空気を送り込むことで、前記遮断バルブと前記燃料供給バルブとの間の前記燃料供給配管内に残存する燃料を、前記アキュムレータ内に押し込むことを特徴とするエンジンの排気管噴射装置。
【請求項2】
前記空気供給手段による空気の供給開始から遅れて前記アキュムレータを開放させることを特徴とする請求項1記載のエンジンの排気管噴射装置。
【請求項3】
前記噴射ノズルから燃料を噴射させるときに、前記アキュムレータ内の燃料を放出させてから、前記燃料供給バルブを開いて前記噴射ノズルに対する燃料の供給を開始させることを特徴とする請求項1又は2記載のエンジンの排気管噴射装置。
【請求項4】
前記噴射ノズルから燃料を噴射しない期間において、定期的に前記空気供給手段によって空気を前記燃料供給配管内に送り込んで、前記噴射ノズルから空気を噴射させることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載のエンジンの排気管噴射装置。
【請求項5】
前記エンジンの排気管に排気浄化フィルタを備え、前記噴射ノズルが前記排気浄化フィルタの上流側の排気管に配設され、
前記排気浄化フィルタの再生開始信号に基づき、前記噴射ノズルから燃料を噴射させることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載のエンジンの排気管噴射装置。

【図1】
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【図3】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−127287(P2012−127287A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−280292(P2010−280292)
【出願日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【出願人】(000003908)UDトラックス株式会社 (1,028)
【Fターム(参考)】