説明

エンジンの自動停止機能を備えた車両

【課題】エンジンの自動停止中におけるスロットル開度に払う注意を軽減し、且つ、坂道発進も容易に行えるエンジンの自動停止機能を備えた車両を提供する。
【解決手段】エンジン(38)の自動停止機能を備えた車両(10)は、車速を検出する車速検出手段(112)と、スロットルバルブ(100)のスロットル開度を検出するスロットルバルブ開度検出手段(114)と、ブレーキ操作子(66、68)の操作量を検出する操作量検出手段(70)と、エンジン(38)の自動停止状態において、操作量が第1設定値(V1)以下となり、その後第1設定値(V1)を再度越え、且つ、スロットル開度が第2所定開度(θ2)を超えた場合は、前記エンジン(38)を再始動させる制御手段(28)とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンの自動停止中にエンジンの再始動を行うエンジンの自動停止機能を備えた車両に関する。
【背景技術】
【0002】
下記に示す特許文献1には、アイドルストップ(エンジンの自動停止)を行う車両において、運転者がブレーキ操作を解除した場合はエンジンを再始動させ、ブレーキ操作が解除されなくても、運転者が坂道発進のときのようにブレーキを操作したままスロットルグリップ(アクセルグリップ)を操作した場合にはエンジンを再始動させることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−264929号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術では、ブレーキ操作が行われたか否かをブレーキスイッチによって検出しているので、運転者が停止したくてブレーキを操作しているのか、坂道発進するつもりでブレーキを操作しているのかを判別することはできない。したがって、運転者は停止状態を続けたい場合には、スロットルグリップを全閉状態に維持することに注意しなければならない。
【0005】
そこで、本発明は、エンジンの自動停止中におけるスロットルグリップ操作に払う注意を軽減し、且つ、坂道発進も容易に行えるエンジンの自動停止機能を備えた車両を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、エンジン(38)の自動停止機能を備えた車両(10)において、車速を検出する車速検出手段(112)と、エンジン(38)のスロットルバルブ(100)のスロットル開度を検出するスロットルバルブ開度検出手段(114)と、ブレーキ操作子(66、68)の操作量を検出する操作量検出手段(70)と、前記車速が所定速度以下で、且つ、前記スロットル開度が第1所定開度(θ1)以下の場合であって、前記操作量が第1設定値(V1)を超えた場合は前記エンジン(38)を自動停止させ、前記エンジン(38)の自動停止状態において、前記操作量が前記第1設定値(V1)以下となり、その後該第1設定値(V1)を再度越え、且つ、前記スロットル開度が第2所定開度(θ2)を超えた場合は、前記エンジン(38)を再始動させる制御手段(28)と、を備えることを特徴とする。
【0007】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載のエンジン(38)の自動停止機能を備えた車両(10)において、前記制御手段(28)は、前記エンジン(38)に自動停止状態において、前記操作量が前記第1設定値(V1)より小さい第2設定値(V2)以下になった場合は、前記エンジン(38)を再始動させることを特徴とする。
【0008】
請求項3に係る発明は、エンジン(38)の自動停止機能を備えた車両(10)において、車速を検出する車速検出手段(112)と、エンジン(38)のスロットルバルブ(100)のスロットル開度を検出するスロットルバルブ開度検出手段(114)と、ブレーキ操作子(66、68)の操作量を検出する操作量検出手段(70)と、前記車速が所定速度以下で、且つ、前記スロットル開度が第1所定開度(θ1)以下の場合であって、前記操作量が第1設定値(V1)を超えた場合は前記エンジン(38)を自動停止させ、前記エンジン(38)の自動停止状態において、前記操作量が前記第1設定値(V1)より小さい第2設定値(V2)より小さい場合は、前記エンジン(38)を再始動させ、前記操作量が前記第2設定値(V2)以上で前記第1設定値(V1)以下であり、且つ、前記スロットル開度が第2所定開度(θ2)を超えた場合は、前記エンジン(38)を再始動させる制御手段(28)と、を備えることを特徴とする。
【0009】
請求項4に係る発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載のエンジン(38)の自動停止機能を備えた車両(10)において、前記第1設定値(V1)は、前記ブレーキ操作子(66、68)の最大操作量の50%以上の値に設定されることを特徴とする。
【0010】
請求項5に係る発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載のエンジン(38)の自動停止機能を備えた車両(10)において、前記第2設定値(V2)は、前記ブレーキ操作子(66、68)の最大操作量の50%付近又は50%以下の値に設定されることを特徴とする。
【0011】
請求項6に係る発明は、請求項1〜5のいずれか1項に記載のエンジン(38)の自動停止機能を備えた車両(10)であって、前記ブレーキ操作子(66、68)が操作されると点灯する制動灯(118)を備え、前記制御手段(28)は、前記エンジン(38)の自動停止状態時に前記制動灯(118)を点滅させることを特徴とする。
【0012】
請求項7に係る発明は、請求項1〜6のいずれか1項に記載のエンジン(38)の自動停止機能を備えた車両(10)であって、ハザードランプ(120)を備え、前記制御手段(28)は、前記エンジン(38)の自動停止状態時に前記ハザードランプ(120)を点滅させることを特徴とする。
【0013】
請求項8に係る発明は、請求項1〜5のいずれか1項に記載のエンジン(38)の自動停止機能を備えた車両(10)であって、前記ブレーキ操作子(66、68)が操作されると点灯する制動灯(118)を備え、前記制御手段(28)は、単位時間当りの前記操作量の変化が閾値以上の場合は、前記制動灯(118)を点滅させることを特徴とする。
【0014】
請求項9に係る発明は、請求項8に記載のエンジン(38)の自動停止機能を備えた車両(10)であって、ハザードランプ(120)を備え、前記制御手段(28)は、単位時間当りの前記操作量の変化が閾値以上の場合であって、車速が所定値より大きい場合は、さらに前記ハザードランプ(120)を点滅させることを特徴とする。
【0015】
請求項10に係る発明は、請求項8又は9に記載のエンジン(38)の自動停止機能を備えた車両(10)であって、前記第1設定値(V1)及び前記第2設定値(V2)の少なくとも一方は、運転者が任意に変更可能であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に記載の発明によれば、エンジンの自動停止状態中において、ブレーキ操作子を強く握らなければ、スロットル開度を変更させるスロットルグリップを操作してもエンジンが始動することはなく、スロットルグリップ操作に払う注意を軽減することができる。また、ブレーキ操作子とスロットルグリップとを操作する坂道発進もスムーズに行うことができる。
【0017】
請求項2に記載の発明によれば、エンジンの自動停止状態中に、操作量が第2設定値以下となるようにブレーキ操作子を軽く握った場合は、エンジンを再始動させるので、車両の発進を素早く行うことができる。また、操作量が第2設定値より大きく、第1設定値以下の場合は、スロットル開度の大きさにかかわらずエンジンの自動停止状態が継続されるので、自動停止状態におけるスロットルグリップ操作に払う注意を軽減することができる。
【0018】
請求項3に記載の発明によれば、エンジンの自動停止状態中において、ブレーキ操作子を強く握っている場合は、スロットルグリップを操作してもエンジンが始動することはなく、スロットルグリップ操作に払う注意を軽減することができる。また、操作量が第2設定値より小さくなるようにブレーキ操作子を軽く握った場合は、エンジンを再始動させるので、車両の発進を素早く行うことができる。さらに、ブレーキ操作子とスロットルグリップとを操作する坂道発進もスムーズに行うことができる。
【0019】
請求項4及び5に記載の発明によれば、運転者が意思をもってブレーキ操作子を操作した、又は、操作していないということを判断することができる。
【0020】
請求項6及び7に記載の発明によれば、後続車両にエンジンが自動停止状態中であることを報知することができる。
【0021】
請求項8に記載の発明によれば、急減速していることを後続車両に報知することができる。
【0022】
請求項9に記載の発明によれば、高速走行から急減速していることを後続車両に報知することができる。
【0023】
請求項10に記載の発明によれば、運転者は、エンジンが自動停止する条件、エンジンが再始動する条件を自分仕様に設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】実施の形態に係るエンジン自動停止機能を備えたスクータ型の自動二輪車の外観左側面図である。
【図2】図1に示すハンドルを示す平面図である。
【図3】図2に示すリアブレーキセンサを示す図である。
【図4】実施の形態に係る自動二輪車の電気的な概略構成図である。
【図5】自動二輪車の走行中にエンジンを自動停止するか否かを判断する動作を示すフローチャートである。
【図6】エンジンの自動停止中に、エンジンを再始動させるか否かを判断する第1パターンの動作を示すフローチャートである。
【図7】エンジンの自動停止中に、エンジンを再始動させるか否かを判断する第2パターンの動作を示すフローチャートである。
【図8】エンジンの自動停止中に、エンジンを再始動させるか否かを判断する第3パターンの動作を示すフローチャートである。
【図9】自動停止状態中の点灯器の点滅動作を示すフローチャートである。
【図10】走行中における制動灯の点灯及び点滅動作を示すフローチャートである。
【図11】本実施の形態の第1設定値V1、第2設定値V2の関係を示す図である。
【図12】図1に示すハンドルカバーに設けられた表示部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明に係るエンジンの自動停止機能(アイドルストップ機能)を備えた車両について、好適な実施の形態を掲げ、添付の図面を参照しながら以下、詳細に説明する。
【0026】
図1は、実施の形態に係るアイドルストップ機能を備えたスクータ型の自動二輪車(原動付き自転車も含む)10の外観左側面図である。自動二輪車(車両)10の車体フレームは、ヘッドパイプ12と、ヘッドパイプ12から後下がりに延びるダウンフレーム14と、該ダウンフレーム14の後端に連設されて後上がりに延びるメインフレーム16とを有する。メインフレーム16の上方には、シート18が配置されている。
【0027】
ヘッドパイプ12は、前輪(操舵輪)WFを軸支するフロントフォーク22を操向可能に軸支し、フロントフォーク22の上端には、バー状のハンドル24が連結される。ハンドル24の上部には、表示部を有するハンドルカバー26が取り付けられている。ヘッドパイプ12の前方には、エンジン制御装置としてのECU(制御手段)28が配設されている。
【0028】
ダウンフレーム14の後端で、メインフレーム16の立ち上がり部には、ブラケット30が設けられ、ブラケット30には、スイングユニット32のハンガーブラケット34がリンク部材36を介して揺動自在に支持されている。
【0029】
スイングユニット32の前部には、エンジン38が配設され、エンジン38の後方には変速機40が配設され、減速機構42の出力軸には後輪(駆動輪)WRが軸支されている。減速機構42は、リアショックユニット44によってメインフレーム16に懸架されている。スイングユニット32の上方には、エンジン38から延出した吸気管46に接続されるインジェクタ(燃料噴射装置)のスロットルボディ48及びエアクリーナ50が配設されている。また、後輪WRと前輪WFには、それぞれ後輪ブレーキ装置52と前輪ブレーキ装置54とが設けられている。
【0030】
図2は、ハンドル24を示す平面図である。ハンドル24は、左右に延びたハンドル軸60と、ハンドル軸60の左端部に配置された左グリップ62と、ハンドル軸60の右端部に配置され右グリップ64とを有する。右グリップ64は、ハンドル軸60に対して回動(回転)可能であり、加速を指示するものである。以下、右グリップ64をスロットルグリップ(アクセルグリップ)64と言う。ハンドル軸60の左側に設けられたブレーキブラケット65は、リアブレーキレバー(ブレーキ操作子)66を回動可能に支持し、ハンドル軸60の右側に設けられたブレーキブラケット67は、フロントブレーキレバー(ブレーキ操作子)68を回動可能に支持する。
【0031】
運転者が、リアブレーキレバー66を操作することで、後輪ブレーキ装置52が作動し後輪WRに制動力が与えられ、フロントブレーキレバー68を操作することで、前輪ブレーキ装置54が作動し前輪WFに制動力が与えられる。ブレーキブラケット65に設けられたリアブレーキセンサ(操作量検出手段)70は、リアブレーキレバー66の操作量を検出する。ハンドルカバー26の中央には、表示部76が設けられており、車速等が表示される。
【0032】
図3は、リアブレーキセンサ70を示す図である。リアブレーキセンサ70は、リアブレーキレバー66に取り付けられたリブ80と、リブ80に接続された被検出ピン82と、ブレーキブラケット65に設けられ、被検出ピン82のストローク量(突出量)を検出する検出部84とを有する。運転者がリアブレーキレバー66を操作すると(握ると)、リアブレーキレバー66の操作量(握り量)に応じて被検出ピン82がリアブレーキレバー66方向に突出し、検出部84が被検出ピン82のストローク量を検出する。これにより、リアブレーキセンサ70は、リアブレーキレバー66の操作量を検出することができる。
【0033】
なお、本実施の形態では、操作量を検出することができるリアブレーキセンサ70を採用しているが、エンジン38の自動停止、再始動の用途に限定すれば、比較的安価なオン/オフスイッチをリアブレーキセンサ70として採用することもできる。この場合は、オン/オフスイッチのオンとオフとの切り換わり位置は、変えることができないので、取付穴を変更したり、ネジで調整することで(不図示)、オン/オフスイッチ(リアブレーキセンサ70)の取付位置を調整できるようにすると良い。図3に示す点線の丸は、位置調整用の取付穴86を示す。
【0034】
図4は、自動二輪車10の電気的な概略構成図である。自動二輪車10は、吸気管46に設けられたスロットルバルブ100と、エンジン38の図示しない燃焼室に吸気される混合気を生成するために燃料を噴射するインジェクタ102と、前記燃焼室内の混合気に点火する点火プラグ(点火装置)104とを備える。混合気は、空気と燃料とが混合されたものである。
【0035】
インジェクタ102は、前記燃焼室への吸気空気量を調整するスロットルバルブ100を介して吸入された空気に燃料を噴射して混合気を生成する。生成された混合気がエンジン38の燃焼室に流入されて、点火プラグ104によって点火されて混合気が燃焼することで、エンジン38は、燃料エネルギーを動力に変換する。
【0036】
スロットルバルブ100は、スロットルグリップ64とワイヤによって接続されており、スロットルグリップ64の回動操作に応じて開く。スロットルグリップ64の開度が大きくなるほど、スロットルバルブ100の開度は大きくなる。スロットルグリップ64の開度が零の場合(つまり、スロットルグリップ64が操作されていない場合)であっても、スロットルバルブ100は多少開かれており、このときのスロットルバルブの開度を初期開度と呼ぶ。
【0037】
ECU(Engine Control Unit)28は、図示しないスタータスイッチが操作されると、エンジン38の出力軸であるクランク軸38aを回転させるスタータモータ106を駆動させることでエンジンを始動させる。
【0038】
また、自動二輪車10は、車速を検出するために後輪タイヤ等に設けられた車速センサ(車速検出手段)112、スロットルバルブ100の開度(以下、スロットル開度)を検出するスロットルバルブ開度センサ(スロットルバルブ開度検出手段)114、エンジン38のクランク軸38aの回転数(以下、エンジン回転数)を検出する回転数センサ116、リアブレーキレバー66及びフロントブレーキレバー68が操作されたことを後続車両に報知するための制動灯118と、ハザードランプ120とを備える。なお、方向指示器をハザードランプ120として用いてもよい。
【0039】
クランク軸38aは、エンジン38の図示しないピストンの往復運動を回転力に変換する。クランク軸38aの回転力は変速機40に伝達され、変速機40は伝達された回転力の変速比(減速比)を変えて、後輪WRに伝達する。
【0040】
ECU28は、図示しないCPU及びメモリ等を有し、前記メモリには、プログラムが記憶されており、前記CPUが該プログラムを読み込むことによって、本実施の形態のECU28として機能する。ECU28は、スロットル開度に応じて、インジェクタ102と、点火プラグ104とを制御する。詳しくは、スロットル開度等に応じて、インジェクタ102によって噴射される燃料の噴射量及び噴射タイミングと、点火プラグ104による点火タイミングとを制御する。これにより、エンジン回転数が運転者によるスロットルグリップ64の操作量に応じた回転数となる。スロットルグリップ64が操作されていない場合(スロットルグリップ64の開度が全閉の場合)は、スロットル開度は初期開度となり、ECU28は、エンジン回転数がアイドル回転数となるように、インジェクタ102及び点火プラグ104を制御する。
【0041】
また、ECU28は、アイドルストップ条件が成立すると、インジェクタ102による燃料噴射及び点火プラグ104による点火を停止させることでエンジン38を自動停止(アイドルストップ)させる。また、ECU28は、自動停止状態中に復帰条件が成立すると、スタータモータ106を駆動させるとともに、インジェクタ102による噴射量及び噴射タイミング及び点火プラグ104による点火タイミングを制御することで、エンジン38を再始動させる。
【0042】
リアブレーキセンサ70、車速センサ112、及びスロットルバルブ開度センサ114が検出した信号はECU28に送られ、ECU28は、車速センサによって検出された車速を表示部76に表示させ、リアブレーキセンサ70が検出したリアブレーキレバー66の操作量、車速センサ112が検出した車速等に基づいて、制動灯118及びハザードランプ120の点灯や点滅を制御する。また、同時に急制動時には、噴射と点火とをスロットル開度によらず、強制的にアイドルリングレベルまでエンジン38の出力を減少又は停止させてもよい。それにより、エンジンブレーキを効果的に使える上に、不要な燃料を燃やすこともない。
【0043】
次に、自動二輪車10の動作を図5〜図10のフローチャートにしたがって説明する。まず、自動二輪車10の走行中にエンジン38を自動停止するか否かを判断する動作を図5のフローチャートにしたがって説明する。図5に示す動作は、エンジン38が運転状態となっているとき実行される。
【0044】
ECU28は、車速センサ112が直近に検出した車速が所定速度(例えば、時速3km)以下であるか否かを判断する(ステップS1)。つまり、ステップS1では、自動二輪車10が停止している状態と見做せるか否かを判断している。
【0045】
ステップS1で、検出した車速が所定速度以下であると判断すると、ECU28は、スロットルバルブ開度センサ114が直近に検出したスロットル開度が第1所定開度(例えば、3度)θ1以下であるか否かを判断する(ステップS2)。つまり、ステップS2では、運転者がスロットルグリップ64を操作していないか否かを判断している。スロットル開度は、運転者によるスロットルグリップ64の回動操作によって大きくなるため、スロットル開度を見ることによってスロットルグリップ64が操作されているか否かを判断することができる。
【0046】
ステップS2で、スロットル開度が第1所定開度θ1以下であると判断すると、ECU28は、リアブレーキセンサ70が直近に検出したリアブレーキレバー66の操作量が第1設定値V1を超えているか否かを判断する(ステップS3)。第1設定値V1は、リアブレーキレバー66の最大操作量の50%以上の値であり、好ましくは、最大操作量の75%以上の値である。この第1設定値V1は、ECU28内の前記メモリに記憶されている。本実施の形態では、図11に示すように、第1設定値V1は、最大操作量の75%以上の値に設定されている。
【0047】
ステップS3で、リアブレーキレバー66の操作量が第1設定値V1を超えていると判断した場合は、ECU28は、エンジン38を自動停止させる(ステップS4)。つまリアイドルストップさせる。詳しくは、インジェクタ102による燃料噴射及び点火プラグ104による点火を停止させることでエンジン38を自動的に停止させる。リアブレーキレバー66の操作量が第1設定値V1を超える場合は、運転者は停止する意思でリアブレーキレバー66を操作していると考えられるからである。
【0048】
一方、ステップS1で、車速が所定速度以下でないと判断された場合、ステップS2で、スロットル開度が第1所定開度θ1以下でないと判断された場合、ステップS3で、リアブレーキレバー66の操作量が第1設定値V1を超えていないと判断された場合は、そのままステップS1に戻り、上記した動作を繰り返す。
【0049】
このように、自動二輪車10の走行中に、スロットルグリップ64を全閉にするとともに、リアブレーキレバー66の操作量が第1設定値V1より大きくなるように、リアブレーキレバー66を強く握ることによって、車速が所定速度以下となると、ECU28は、エンジン38を自動停止させる。
【0050】
次に、エンジン38の自動停止中に、エンジン38を再始動させるか否かを判断する動作について説明する。エンジン38を再始動させるか否かを判断する動作は3つパターンあり、3つパターンのうちいずれを採用するかは任意である。まず、エンジン38の自動停止中に、エンジン38を再始動させるか否かを判断する第1パターンの動作を図6のフローチャートにしたがって説明する。
【0051】
図5のステップS4で、エンジン38が自動停止すると、ECU28は、リアブレーキセンサ70が直近に検出したリアブレーキレバー66の操作量が第1設定値V1以下であるか否かを判断する(ステップS11)。
【0052】
ステップS11で、リアブレーキレバー66の操作量が第1設定値V1以下でないと判断すると、操作量が第1設定値V1以下になったと判断するまでステップS11に留まり、リアブレーキレバー66の操作量が第1設定値V1以下になったと判断すると、ECU28は、リアブレーキセンサ70が直近に検出したリアブレーキレバー66の操作量が、第1設定値V1を超えたか否かを判断する(ステップS12)。
【0053】
ステップS12で、リアブレーキレバー66の操作量が第1設定値V1を超えていないと判断すると、該操作量が第1設定値V1を超えるまでステップS12に留まり、リアブレーキレバー66の操作量が第1設定値V1を超えたと判断すると、ECU28は、スロットルバルブ開度センサ114が直近に検出したスロットル開度が第2所定開度θ2を超えたか否かを判断する(ステップS13)。この第2所定開度θ2は、前記第1所定開度θ1以上の値、つまり、θ2≧θ1である。
【0054】
ステップS13でスロットル開度が第2所定開度θ2を超えていないと判断した場合はステップS12に戻り、スロットル開度が第2所定開度θ2を超えたと判断すると、ECU28は、スタータモータ106を駆動させるとともに、インジェクタ102及び点火プラグ104を制御して、エンジン38を再始動させる(ステップS14)。これにより、エンジン38は、再び運転状態となる。
【0055】
このように、エンジン38の自動停止後においては、リアブレーキレバー66の操作量が第1設定値V1以下となるようにリアブレーキレバー66を軽く握り、再度リアブレーキレバー66の操作量が第1設定値V1を超えるように意識的に強く握らないとスロットルグリップ64を操作しても、ECU28は、エンジン38を再始動させないので(自動停止状態が継続されるので)、自動停止状態中におけるスロットルグリップ64の操作に払う注意を軽減させることができる。また、坂道発進をする場合は、通常ブレーキを掛けながらスロットルグリップ64を操作するので、一旦強くリアブレーキレバー66を握ってスロットルグリップ64を操作すれば、スムーズに坂道発進することができる。
【0056】
次に、エンジン38の自動停止中に、エンジン38を再始動させるか否かを判断する第2パターンの動作を図7のフローチャートにしたがって説明する。第2パターンの動作は、第1パターンの動作を変形したものである。
【0057】
図5のステップS4で、エンジン38が自動停止すると、ECU28は、リアブレーキセンサ70が直近に検出したリアブレーキレバー66の操作量が第1設定値V1以下であるか否かを判断する(ステップS21)。
【0058】
ステップS21で、リアブレーキレバー66の操作量が第1設定値V1以下でないと判断すると、操作量が第1設定値V1以下となったと判断するまでステップS21に留まり、リアブレーキレバー66の操作量が第1設定値V1以下になったと判断すると、ECU28は、リアブレーキセンサ70が直近に検出したリアブレーキレバー66の操作量が、第1設定値V1を超えたか否かを判断する(ステップS22)。
【0059】
ステップS22で、リアブレーキレバー66の操作量が第1設定値V1を超えていないと判断すると、ECU28は、リアブレーキレバー66の操作量が第2設定値V2以下であるか否かを判断する(ステップS23)。第2設定値V2は、第1設定値V1より小さい値であり、リアブレーキレバー66の最大操作量の50%以下の値である。好ましくは、第2設定値V2は最大操作量の25%以下の値である。本実施の形態では、図11に示すように、第2設定値V2は、最大操作量の25%以下の値に設定されている。この第2設定値V2は、ECU28内の前記メモリに記憶されている。
【0060】
ステップS23で、リアブレーキレバー66の操作量が第2設定値V2以下でないと判断するとステップS22に戻る。
【0061】
ステップS22で、リアブレーキレバー66の操作量が第1設定値V1を超えたと判断すると、ECU28は、スロットルバルブ開度センサ114が直近に検出したスロットル開度が第2所定開度θ2を超えたか否かを判断し(ステップS24)、ステップS24で、スロットル開度が第2所定開度θ2を超えていないと判断するとステップS22に戻る。
【0062】
一方、ステップS23でリアブレーキレバー66の操作量が第2設定値V2以下であると判断した場合、ステップS24でスロットル開度が第2所定開度θ2を超えたと判断した場合は、ECU28は、スタータモータ106を駆動させるとともに、インジェクタ102及び点火プラグ104を制御して、エンジン38を再始動させる(ステップS25)。これにより、エンジン38は、再び運転状態となる。
【0063】
このように、エンジン38の自動停止後においては、リアブレーキレバー66の操作量が第1設定値V1以下となるようにリアブレーキレバー66を軽く握り、再度リアブレーキレバー66の操作量が第1設定値V1を超えるように意識的に強く握らないとスロットルグリップ64を操作しても、ECU28は、エンジン38を再始動させないので(自動停止状態が継続されるので)、自動停止状態中におけるスロットルグリップ64の操作に払う注意を軽減させることができる。また、坂道発進をする場合は、通常ブレーキを掛けながらスロットルグリップ64を操作するので、一旦強くリアブレーキレバー66を握ってスロットルグリップ64を操作すれば、スムーズに坂道発進することができる。
【0064】
また、リアブレーキレバー66の操作量が第2設定値V2以下になると、エンジン38が再始動するので、リアブレーキレバー66の操作を解除することによって、自動二輪車10の発進を素早く行うことができる。また、リアブレーキレバー66の操作量が第2設定値V2より大きく第1設定値V1以下の場合、つまり、リアブレーキレバー66をある程度操作していれば、スロットルグリップ64を操作しても自動停止状態が継続されるので、自動停止状態中におけるスロットルグリップ64の操作に払う注意を軽減させることができる。
【0065】
次に、エンジン38の自動停止中に、エンジン38を再始動させるか否かを判断する第3パターンの動作を図8のフローチャートにしたがって説明する。
【0066】
図5のステップS4で、エンジン38が自動停止すると、ECU28は、リアブレーキセンサ70が直近に検出したリアブレーキレバー66の操作量が第2設定値V2より小さいか否かを判断する(ステップS31)。
【0067】
ステップS31で、リアブレーキレバー66の操作量が第2設定値V2より小さくないと判断すると、リアブレーキレバー66の操作量が第1設定値V1を超えたか否かを判断する(ステップS32)。
【0068】
ステップS32で、リアブレーキレバー66の操作量が第1設定値V1を超えていないと判断すると、ECU28は、スロットルバルブ開度センサ114が直近に検出したスロットル開度が第2所定開度θ2を超えたか否かを判断する(ステップS33)。
【0069】
ステップS32でリアブレーキレバー66の操作量が第1設定値V1を超えたと判断した場合、ステップS33でスロットル開度が第2所定開度θ2を超えていないと判断した場合は、ステップS31に戻る。
【0070】
一方、ステップS31でリアブレーキレバー66の操作量が第2設定値V2より小さいと判断した場合、ステップS33でスロットル開度が第2所定開度θ2を超えたと判断した場合は、ECU28は、スタータモータ106を駆動させるとともに、インジェクタ102及び点火プラグ104を制御して、エンジン38を再始動させる(ステップS34)。これにより、エンジン38は、再び運転状態となる。
【0071】
このように、エンジン38の自動停止後においては、リアブレーキレバー66の操作量が第1設定値V1を超えるように強く握っている場合は、スロットルグリップ64を操作しても、ECU28は、エンジン38を再始動させないので(自動停止状態が継続されるので)、自動停止状態中に、スロットルグリップ64の操作に払う注意を軽減させることができる。また、リアブレーキレバー66の操作量が第2設定値V2より小さいと、エンジン38が再始動するので、リアブレーキレバー66の操作を解除することによって、自動二輪車10の発進を素早く行うことができる。また、リアブレーキレバー66の操作量が第2設定値V2以上で、第1設定値V1以下の場合は、スロットル開度が第2所定開度θ2を超えるとエンジンを再始動するので、坂道発進の操作(リアブレーキレバー66の操作とスロットルグリップ64の操作)を行うことで、エンジン38を再始動させることができ、特別な操作が不要で簡単に坂道発進をすることができる。
【0072】
次に、自動停止状態中の点灯器(制動灯118及びハザードランプ120)の点滅動作を図9のフローチャートにしたがって説明する。
【0073】
ECU28は、エンジン38が現在自動停止状態であるか否かを判断する(ステップS41)。ECU28は、図5のステップS4でエンジン38が自動停止した後、図6のステップS14、図7のステップS25、又は、図8のステップS34でエンジン38が再始動していない場合は、エンジン38が自動停止状態であると判断する。
【0074】
ステップS41で、エンジン38が自動停止状態でないと判断すると動作を終了し、自動停止状態であると判断すると、ECU28は、制動灯118を点滅させ(ステップS42)、ハザードランプを点滅させて(ステップS43)、動作を終了する。なお、図9のフローチャートに示す動作は、図示しないイグニッションスイッチによって自動二輪車10がオン状態のときに、所定の周期で実行される。
【0075】
このように、自動停止状態のときには、制動灯118及びハザードランプ120を点滅させるので、後続車両に自動停止状態中であることを報知することができる。
【0076】
次に、走行中における制動灯118の点灯及び点滅動作を図10のフローチャートにしたがって説明する。図10に示す動作は、エンジン38が運転状態となっているときに所定の周期で実行される。
【0077】
ECU28は、運転者によってブレーキ操作が行われたか否かを判断する(ステップS51)。詳しくは、ECU28は、リアブレーキセンサ70によってリアブレーキレバー66の操作量が検出された場合は、ブレーキ操作が行われたと判断する。
【0078】
ステップS51で、ブレーキ操作が行われていないと判断すると動作を終了し、ブレーキ操作が行われたと判断すると、ECU28は、リアブレーキセンサ70が検出したリアブレーキレバー66の操作量の変化率(単位時間当りの操作量の変化)が閾値以上であるか否かを判断する(ステップS52)。ステップS52では、急ブレーキが掛けられたか否かを判断している。この変換率は、今回検出されたリアブレーキレバー66の操作量から前回検出されたリアブレーキレバー66の操作量を減算することで求めることができる。
【0079】
ステップS52で、リアブレーキレバー66の操作量の変化率が閾値以上であると判断すると、ECU28は、車速センサ112が検出した車速が所定値(例えば、時速80km)より大きいか否かを判断する(ステップS53)。ステップS53では、自動二輪車10の車速が高速か低速かを判断している。
【0080】
ステップS53で、車速が所定値よりも大きいと判断すると、ECU28は、ハザードランプ120を点滅させて(ステップS54)、ステップS55に進み、ステップS53で、車速は所定値より大きくないと判断すると、そのままステップS55に進む。ステップS55に進むと、ECU28は、制動灯118を点滅させる。この制動灯118の点滅としては、1秒当たり3回〜5回程度点灯と消灯とを繰り返すのがよい。
【0081】
一方、ステップS52で、リアブレーキレバー66の操作量の変化率が閾値以上でないと判断すると、ECU28は、制動灯を点灯させる(ステップS56)。また、通常の制動時であっても、アイドルストップ中の場合は、制動灯118を点滅させれば、連続的に点灯する場合に比べ、バッテリの消費電力を抑制することができる。この点滅は、例えば、3〜5秒周期で、0.5秒ずつ点灯させる。
【0082】
このように、操作量の変化率が閾値以上の場合は、制動灯118を点滅させるので、急減速していることを後続車両に報知することができる。また、操作量の変化率が閾値以上の場合であって、高速で走行している場合は、さらにハザードランプ120も点滅させるので、高速走行から急減速していることを後続車両に報知することができる。例えば、高速道路で高速走行している場合に渋滞に遭遇した場合は、急ブレーキを掛けるが、その際、ハザードランプ120を自動的に点滅させることができるので、後続車両に渋滞であることを簡単に報知することができる。また、操作量の変化率が閾値以上でない場合は、制動灯を点灯させるので、ブレーキ操作が行われたことを後続車両に報知することができる。
【0083】
図12は、ハンドルカバー26に設けられた表示部76を示す図である。表示部76は、回転数センサ116が検出したエンジン回転数を表示する表示器150と、車速等の種々の情報を表示する情報表示部152と、MODEスイッチ154と、決定ボタン156とを備える。実施の形態では、表示器150は、タコメータであるが、液晶ディスプレイ等の映像信号によってエンジン回転数を表示するものであってもよい。情報表示部152は、液晶ディスプレイによって構成されている。
【0084】
自動二輪車10の電源をオンにするイグニッションスイッチがオンの状態で、エンジン38が始動していない状態で、運転者がMODEスイッチ154を押すことによって、ECU28は、第1設定値V1及び第2設定値V2の値を運転者が任意に変更することができる設定値設定画面を情報表示部152に表示させる。そして、再びMODEスイッチ154を押すと、ECU28は、変更対象となるシーケンス番号を選択し、現在選択しているシーケンス番号を情報表示部152の右下に表示させる。MODEスイッチ154を押すことによって、選択するシーケンス番号が切り替わる。シーケンス番号は、「1」と「2」とがあり、シーケンス番号「1」は第1設定値V1に対応し、シーケンス番号「2」は第2設定値V2に対応している。図12においては、情報表示部152の右下に表示されている四角で囲まれた数字「2」が現在選択しているシーケンス番号を示しているので、第2設定値V2が変更できる状態となっている。
【0085】
情報表示部152の中央表示領域160には、現在表示されている(選択されている)シーケンス番号(図12では「2」)に対応する設定値が棒グラフとして表示される。中央表示領域160の一番左はリアブレーキレバー66の最小操作量(操作量が0)に対応し、中央表示領域160の一番右はリアブレーキレバー66の最大操作量に対応する。そして、運転者が、スロットルグリップ64を操作すると、ECU28は、現在選択されているシーケンス番号に対応する設定値を、該スロットルグリップ64の操作量に応じた値に変更し、該変更した値を中央表示領域160に表示させる。つまり、運転者によるスロットルグリップ64の操作により操作量が大きくなった場合は、中央表示領域160に表示される棒グラフが右側に伸び、運転者によるスロットルグリップ64の操作により操作量が小さくなった場合は、中央表示領域160に表示される棒グラフが左側に縮む。
【0086】
そして、運転者が決定ボタン156を押すと、ECU28は、現在選択されているシーケンス番号に対応する設定値を、決定ボタン156が押されたときに中央表示領域160に表示されている値に設定する。このようにして、第1設定値V1及び第2設定値V2を任意に変更することができる。
【0087】
ここで、現在選択しているシーケンス番号以外のシーケンス番号に対応する設定値を運転者に視認させるため、中央表示領域160に表示された棒グラフの下に、選択されていない他のシーケンス番号を、該他のシーケンス番号の設定値に対応する位置で表示する。図12に示すように、三角で囲まれた数字「1」は、選択されていない他のシーケンス番号を示し、該他のシーケンス番号「1」が、第1設定値V1に対応する位置で表示されている。
【0088】
ここで、シーケンス番号「1」に対応する第1設定値V1は、シーケンス番号「2」に対応する第2設定値V2より大きい値にしか設定変更できず、シーケンス番号「2」に対応する第2設定値V2は、シーケンス番号「1」に対応する第1設定値V1より小さい値にしか設定変更できない。
【0089】
また、シーケンス番号「1」に対応する第1設定値V1は、リアブレーキレバー66の最大操作量の50%以上の値にしか設定変更できず、シーケンス番号「2」に対応する第2設定値V2は、リアブレーキレバー66の最大操作量の50%以下の値にしか設定変更できないようにしてもよい。
【0090】
このように、第1設定値V1及び第2設定値V2を運転者が任意に変更することができるので、アイドルストップ条件、復帰条件を自分仕様に設定することができる。
【0091】
[変形例]上記実施の形態は、以下のように変形してもよい。
【0092】
(変形例1)図6に示すフローチャートでは、ステップS13で、スロットル開度が第2所定開度θ2を超えていないと判断すると、ステップS12に戻るようにしたが、ステップS13で、スロットル開度が第2所定開度θ2を超えていないと判断するとステップS13に留まるようにしてもよい。これにより、ステップS12でリアブレーキレバー66の操作量が第1設定値V1を超えたと一度判断されると、後は、スロットル開度のみによってエンジン38を再始動することができる。
【0093】
(変形例2)上記実施の形態では、第1設定値V1は、リアブレーキレバー66の最大操作量の50%以上の値としたが、リアブレーキレバー66の最大操作量の50%付近の値(例えば、最大操作量の40%〜60%の値)であってもよい。また、第2設定値V2は、リアブレーキレバー66の最大操作量の50%以下の値としたが、リアブレーキレバー66の最大操作量の50%付近の値(例えば、最大操作量の40%〜60%の値)であってもよい。
【0094】
(変形例3)上記実施の形態では、リアブレーキレバー66にリアブレーキセンサ70を設け、リアブレーキセンサ70は、リアブレーキレバー66の操作量を検出するようにしたが、リアブレーキセンサ70の代わりにフロントブレーキレバー68にフロントブレーキセンサを設け、フロントブレーキセンサ(操作量検出手段)がフロントブレーキレバー68の操作量を検出してもよい。この場合は、図5のステップS3、図6のステップS11及びステップS12、図7のステップS21、ステップS22、及びステップS23、図8のステップS31及びステップS32、図10のステップS51及びステップS52においては、リアブレーキレバー66の操作量ではなく、フロントブレーキレバー68の操作量を用いて、判断を行うようにしてもよい。
【0095】
また、リアブレーキセンサ70、フロントブレーキセンサを両方設け、リアブレーキセンサ70が検出した操作量及びフロントブレーキセンサが検出した操作量を用いて、図5のステップS3、図6のステップS11及びステップS12、図7のステップS21、ステップS22、及びステップS23、図8のステップS31及びステップS32、図10のステップS51及びステップS52の判断を行うようにしてもよい。この場合は、リアブレーキセンサ70が検出したリアブレーキレバー66の操作量及びフロントブレーキセンサが検出したフロントブレーキレバー68の操作量のうち、値が高い操作量又は値が低い操作量を用いてもよく、リアブレーキレバー66の操作量とフロントブレーキレバー68の操作量の平均(加重平均を含む)した値を用いてもよい。
【0096】
(変形例4)上記変形例1〜変形例3を任意に組み合わせた態様であってもよい。
【0097】
以上、本発明について好適な実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態の記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。また、特許請求の範囲に記載された括弧書きの符号は、本発明の理解の容易化のために添付図面中の符号に倣って付したものであり、本発明がその符号をつけた要素に限定されて解釈されるものではない。
【符号の説明】
【0098】
10…自動二輪車 24…ハンドル
28…ECU 38…エンジン
38a…クランク軸 52…後輪ブレーキ装置
54…前輪ブレーキ装置 60…ハンドル軸
62…左グリップ 64…スロットルグリップ
66…リアブレーキレバー 68…フロントブレーキレバー
70…リアブレーキセンサ 76…表示部
100…スロットルバルブ 102…インジェクタ
104…点火プラグ 106…スタータモータ
112…車速センサ 114…スロットルバルブ開度センサ
116…回転数センサ 118…制動灯
120…ハザードランプ 150…表示器
152…情報表示部 154…MODEスイッチ
156…決定ボタン 160…中央表示領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジン(38)の自動停止機能を備えた車両(10)において、
車速を検出する車速検出手段(112)と、
エンジン(38)のスロットルバルブ(100)のスロットル開度を検出するスロットルバルブ開度検出手段(114)と、
ブレーキ操作子(66、68)の操作量を検出する操作量検出手段(70)と、
前記車速が所定速度以下で、且つ、前記スロットル開度が第1所定開度(θ1)以下の場合であって、前記操作量が第1設定値(V1)を超えた場合は前記エンジン(38)を自動停止させ、前記エンジン(38)の自動停止状態において、前記操作量が前記第1設定値(V1)以下となり、その後該第1設定値(V1)を再度越え、且つ、前記スロットル開度が第2所定開度(θ2)を超えた場合は、前記エンジン(38)を再始動させる制御手段(28)と、
を備えることを特徴とするエンジン(38)の自動停止機能を備えた車両(10)。
【請求項2】
請求項1に記載のエンジン(38)の自動停止機能を備えた車両(10)において、
前記制御手段(28)は、前記エンジン(38)に自動停止状態において、前記操作量が前記第1設定値(V1)より小さい第2設定値(V2)以下になった場合は、前記エンジン(38)を再始動させる
ことを特徴とするエンジン(38)の自動停止機能を備えた車両(10)。
【請求項3】
エンジン(38)の自動停止機能を備えた車両(10)において、
車速を検出する車速検出手段(112)と、
エンジン(38)のスロットルバルブ(100)のスロットル開度を検出するスロットルバルブ開度検出手段(114)と、
ブレーキ操作子(66、68)の操作量を検出する操作量検出手段(70)と、
前記車速が所定速度以下で、且つ、前記スロットル開度が第1所定開度(θ1)以下の場合であって、前記操作量が第1設定値(V1)を超えた場合は前記エンジン(38)を自動停止させ、前記エンジン(38)の自動停止状態において、前記操作量が前記第1設定値(V1)より小さい第2設定値(V2)より小さい場合は、前記エンジン(38)を再始動させ、前記操作量が前記第2設定値(V2)以上で前記第1設定値(V1)以下であり、且つ、前記スロットル開度が第2所定開度(θ2)を超えた場合は、前記エンジン(38)を再始動させる制御手段(28)と、
を備えることを特徴とするエンジン(38)の自動停止機能を備えた車両(10)。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のエンジン(38)の自動停止機能を備えた車両(10)において、
前記第1設定値(V1)は、前記ブレーキ操作子(66、68)の最大操作量の50%以上の値に設定される
ことを特徴とするエンジン(38)の自動停止機能を備えた車両(10)。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のエンジン(38)の自動停止機能を備えた車両(10)において、
前記第2設定値(V2)は、前記ブレーキ操作子(66、68)の最大操作量の50%付近又は50%以下に値に設定される
ことを特徴とするエンジン(38)の自動停止機能を備えた車両(10)。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載のエンジン(38)の自動停止機能を備えた車両(10)であって、
前記ブレーキ操作子(66、68)が操作されると点灯する制動灯(118)を備え、
前記制御手段(28)は、前記エンジン(38)の自動停止状態時に前記制動灯(118)を点滅させる
ことを特徴とするエンジン(38)の自動停止機能を備えた車両(10)。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載のエンジン(38)の自動停止機能を備えた車両(10)であって、
ハザードランプ(120)を備え、
前記制御手段(28)は、前記エンジン(38)の自動停止状態時に前記ハザードランプ(120)を点滅させる
ことを特徴とするエンジン(38)の自動停止機能を備えた車両(10)。
【請求項8】
請求項1〜5のいずれか1項に記載のエンジン(38)の自動停止機能を備えた車両(10)であって、
前記ブレーキ操作子(66、68)が操作されると点灯する制動灯(118)を備え、
前記制御手段(28)は、単位時間当りの前記操作量の変化が閾値以上の場合は、前記制動灯(118)を点滅させる
ことを特徴とするエンジン(38)の自動停止機能を備えた車両(10)。
【請求項9】
請求項8に記載のエンジン(38)の自動停止機能を備えた車両(10)であって、
ハザードランプ(120)を備え、
前記制御手段(28)は、単位時間当りの前記操作量の変化が閾値以上の場合であって、車速が所定値より大きい場合は、さらに前記ハザードランプ(120)を点滅させる
ことを特徴とするエンジン(38)の自動停止機能を備えた車両(10)。
【請求項10】
請求項8又は9に記載のエンジン(38)の自動停止機能を備えた車両(10)であって、
前記第1設定値(V1)及び前記第2設定値(V2)の少なくとも一方は、運転者が任意に変更可能である
ことを特徴とするエンジン(38)の自動停止機能を備えた車両(10)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−72407(P2013−72407A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−213737(P2011−213737)
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】