説明

エンジン停止装置

【課題】乗員がエンジン作動状態のまま車外に出た場合の周囲の排ガス濃度の上昇を抑制することができるエンジン停止装置を提供すること。
【解決手段】エンジン作動中に電子キーの車外への持ち出しを警告するエンジン停止装置100であって、車外の排ガス濃度を検出する排ガスセンサ11と、エンジン作動中の車両の駐車中に、前記排ガスセンサが検出する排ガス濃度が閾値を超過した場合、エンジンを停止させるエンジン停止手段13,14と、を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
エンジン作動中に電子キーの車外への持ち出しを警告するエンジン停止装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般道路では乗員が車両を降車する際は、エンジンを停止することが好ましいとされている。エンジンを停止せずに降車すると、窃盗の被害に遭うおそれもあり、例外的な状況を除き運転者はエンジンを停止させてから降車する。
【0003】
しかしながら、自宅の駐車場など状況によっては必ずしも運転者がエンジンを停止させてから降車するとは限らない。そこで、電子キーと車両の通信装置が無線通信してエンジン始動が許可されるキーレスエントリーシステムでは、運転者に電子キーの持ち出しを警告する機能が搭載されることがある。車両の通信装置は、電子キーが車内にないこと又は車外にあることを検出すると、持ち出し警報として車内ブザー、表示による警告、車外ブザーによる警告を行う。しかし、このような警告は強制力がないので、運転者が警告を無視したり、気付かなかったりした場合は、エンジンが作動状態のまま、運転者が電子キーを携帯して車外に出るという状況が生じてしまう。
【0004】
そこで、この状況を回避する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1には、自動車が停車中であり、エンジンが稼働中であり、運転者が車内から出てドア外センシングエリアの外に遠ざかった場合、エンジンを自動停止するキーレスエントリーシステムが開示されている。
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示されたキーレスエントリーシステムでは、運転者が意識的に、エンジン作動状態で電子キーを携帯して車外に出た場合に、エンジンを停止してしまうという不都合がある。例えば、エンジン作動状態の車両を外部から観察したい場合、運転者が車両を観察するすべがなくなってしまう。
【0006】
一方、運転者が意識的にエンジンを作動させた状態で、電子キーを携帯して車外に出た場合でも、排ガス濃度の上昇は考慮されるべきである。例えば、ガレージなどの狭い空間において、エンジン作動状態が継続すると、ガレージ内の排ガス濃度が上昇してしまう。また、配管などを伝わって屋内に排ガスが流入する可能性もある。
【0007】
ここで、車内へ排ガスが流入することを防止する技術が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。特許文献2には、車内の一酸化炭素濃度が基準値に達すると、車両が走行中でないことを確認の後、エンジンを停止する自動車用排気ガス逆流安全装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007−315003号公報
【特許文献2】特開平08−156574号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献2に開示された技術は、車内の排ガス濃度を制限する技術であり、運転者が車外へ出た場合に空間内に蓄積される排ガス濃度を制限することはできない。また、従来から、車両には排ガス規制があり、車外へ排出される排ガスの一酸化炭素濃度は所定値以下に制限されている。しかしながら、狭い空間に蓄積された排ガスについては対応していない。
【0010】
本発明は、上記課題に鑑み、乗員がエンジン作動状態のまま車外に出た場合の周囲の排ガス濃度の上昇を抑制することができるエンジン停止装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、エンジン作動中に電子キーの車外への持ち出しを警告するエンジン停止装置であって、車外の排ガス濃度を検出する排ガスセンサと、エンジン作動中の車両の駐車中に、前記排ガスセンサが検出する排ガス濃度が閾値を超過した場合、エンジンを停止させるエンジン停止手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
乗員がエンジン作動状態のまま車外に出た場合の周囲の排ガス濃度の上昇を抑制することができるエンジン停止装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】エンジン停止装置の概略を説明する図の一例である。
【図2】エンジン停止装置の構成図の一例である。
【図3】エンジン停止装置が排ガス濃度に基づきエンジンを停止させる手順を示すフローチャート図の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しながら説明する。
〔概略〕
図1は、本実施形態のエンジン停止装置の概略を説明する図の一例である。車庫などの比較的狭い空間にエンジン作動状態の車両が駐車されている。運転者は車外にいる。このような状況が長く続くと、空間の排ガスが過度に上昇するおそれがある。また、配管などを通じて屋内に排ガスが流入し、屋内の排ガス濃度が上昇するおそれもある。
【0015】
そこで、本実施形態のエンジン停止装置は、このような状況を検出して、エンジンを自動的に停止することを特徴の1つとする。エンジン停止装置は、以下の状況を検出するとエンジンを停止する。
(1)車両が駐車していること
(2)乗員が車外にいること
(3)エンジン作動中であること
(4)排ガス濃度が閾値を超過したこと
〔構成例〕
図2は、エンジン停止装置の構成図の一例を示す。エンジン停止装置100は、エアコンECU(Electronic Control Unit)12、パワマネECU13、照合ECU14、ボディECU15、排ガスセンサ11、IGリレー16、ACCリレー17、室内アンテナ18、室外アンテナ19、RFチューナ20、及び、カーテシSW21を有する。最終的にエンジンを停止させるのはエンジンECUであるが、エンジンECUにエンジン停止を要求するのは図示の又は不図示のどのECUでもよい。本実施形態では、照合ECU14がエンジンを停止すべき状況か否かを判定するものとする。
【0016】
エアコンECU12、パワマネECU13、照合ECU14、及び、ボディECU15は、CAN(Controller Area Network)バスを介して接続されている。各ECUはCANバス22を介して通信することができる。
【0017】
パワマネECU13はIGリレー16及びACCリレー17と接続されている。ACCリレー17は、バッテリからアクセサリー機器と呼ばれる機器(オーディオ類、ナビ、室内灯等)に供給される電源をオン又はオフするリレーである。IGリレー16は、バッテリから走行時に必要な機器(メーター系、ワイパー、イグニッションコイル、インジェクタなど)に供給される電源をオン又はオフするリレーである。なお、各ECUはバッテリと接続されており、IG−OFFでもスリープモードなどの省電力状態で待機している。
【0018】
パワマネECU13は、運転者の操作や車両状態に応じてIGリレー16とACCリレー17のオン/オフを制御し、エンジン始動及び停止を管理している。エンジン始動手順については後述する。
【0019】
照合ECU14は、室内アンテナ18、室外アンテナ19、及び、RFチューナ20と接続されている。ドアロック状態において、照合ECU14は、室外アンテナ19を用いて車両の外に電子キー30の検知エリアを形成する。検知エリアは室外アンテナ19からリクエスト電波が届く範囲である。室外アンテナ19は実際には複数存在し、例えば運転席ドアから1メートル弱の範囲、助手席ドアから1メートル弱の範囲、トランクから1メートル弱の範囲、に検知エリアを形成する。
【0020】
また、照合ECU14は、運転席ドアの開閉、ブレーキペダルの踏み込み、イグニッションオンの際等、予め決まった状況で、室内アンテナ18を用いて車内に電子キー30の検知エリアを形成する。
【0021】
リクエスト電波を受信した電子キー30は、IDコードで変調したレスポンス電波を送信する。車両の所定部位には1つ以上のRFチューナ20が搭載されているので、照合ECU14は電子キー30から送信されたIDコードが、予め登録されているIDコードと一致するか否かにより電子キー30を認証する。なお、照合ECU14は、同時には1つのリクエスト電波のみを送信することで同時には1つの検知エリアしか形成されないようにして、RFチューナ20が1つでもどの検知エリアに電子キー30が存在するかを判別する。
【0022】
ボディECU15にはカーテシSW21が接続されている。カーテシSW21は、運転席ドア、助手席ドア、後席右ドア、後席左ドアの各ドア毎に開閉を検出するセンサである。ボディECU15は、カーテシSW21により各ドアの開閉を検出している。
【0023】
エアコンECU12には排ガスセンサ11が接続されている。エアコンECU12は、設定温度(希望温度)、室内温度、日射量、外気温度、エンジン水温、吸い込み空気温度などの、各種センサーで検出された情報をもとに、設定温度に対する風量、吹き出し温度及びエバポレータ温度を決定する。一般的な空調風の温調手順は次のようになる。まず、ブロワモータで車室内の空気又は外気を導入し、エバポレータにて冷却及び除湿する。次に、エアミックス内でいったん冷却・除湿した空調風をヒータにて加熱する。ヒータの加熱量により吹き出し温度が決定される。空調風の吹き出し口は、乗員の操作により切り換えることができる。
【0024】
排ガスセンサ11は例えばフロントバンパ内に配置されている。排ガスセンサ11は、例えば、一酸化炭素濃度、Nox濃度、塩化水素濃度、酸素濃度等を検出してエアコンECU12に通知する。エアコンECU12は、排ガス濃度が閾値を超えると、ブロワモータで導入する空気を車外から室内に切り換えたり、外気と車室内空気の取り入れ比率を切り換える等の制御を行う。
【0025】
〔エンジン始動〕
1.運転者が電子キー30を携帯して乗車する。
2.運転者はエンジン始動の際、ブレーキペダルを踏み込むので、パワマネECU13はブレーキペダルの踏み込みを検出する。
3.パワマネECU13はブレーキペダルの踏み込みにより、照合ECU14に電子キー30の照合を要求する。
4.照合ECU14は、室内アンテナ18を用いて運転席を含む検知エリアを形成する(リクエスト電波を送信する)。
5.運転者が携帯する電子キー30はレスポンス電波をRFチューナ20に送信する。
6.照合ECU14はレスポンス電波に含まれるIDコードの認証が成立するとパワマネECU13に照合OKを通知する。
7.運転者は、エンジン始動のため、シフトポジションをP(又はN)に設定し、プッシュ式のエンジンスイッチを押下する。不図示のエンジンスイッチは押しボタン式のモーメンタリスイッチであり、内部から初期位置方向に弾性体による付勢力が与えられている。すなわち、運転者が押している間だけオン信号を出力する。
8.パワマネECU13はエンジン始動条件が満たされていることを検出すると、ACCリレー17及びIGリレー16を順にオンにする。
9.パワマネECU13はエンジンECUにエンジン始動を要求する(又は、パワマネECU13が直接、スタータリレーをオンにしてもよい)。
10.エンジンECUはスタータリレーをオンにしてエンジンを始動させる。
11.パワマネECU13は、エンジンECUからエンジン回転数又はエンジン始動通知を取得することで、エンジン始動を検出する。
【0026】
なお、これは車両の駆動力を内燃機関のみとする車両のエンジン始動方法であるが、電気モータを動力とする車両(EV)又は電気モータを一部の動力とする車両(HV)においてもシステムの始動方法はほぼ同じである。EV又はHVの場合、以下のようになる(1〜8の手順は省略した)。
9.パワマネECU13はHV−ECUにシステム始動を要求する。
10.HV−ECUは、プログラムを読み出して初期処理や自己診断を実行し、起動可能な状態であるか否かを判定する。起動可能である場合、Ready-ON信号をパワマネECU13に出力する。なお、HV−ECUは、Ready-ONモードになると、SOCや運転者の操作に応じて、エンジンを始動すべき状況になると自動的にエンジンを始動する。
11.パワマネECU13は、HV−ECUからReady-ON信号を取得することで、システム始動を検出する。パワマネECU13はCANバスを介してエンジン回転数を取得することができる。
【0027】
〔エンジン作動中の電子キー持ち出し警告〕
電子キー30により利便性が向上するが、その利便性故に運転者が電子キー30に払う注意が低下するおそれがある。このため、車両では電子キー30の持ち出し、閉じこめ等に対し各種の警報を用意している。
【0028】
<電源切り忘れ降車警報>
この警報は、運転者が例えばIGオンのまま運転席ドアから降車する際に、運転者に電源の切り忘れを警告する警報である。
・シフトポジションがP
・ACC又はIGがオン(ACCリレー又はIGリレーがオン)
・運転席ドアが開から閉に変化
・車室内に電子キーがない
<立ち去り警告>
この警報は、運転者が例えばIGオンのまま車両から立ち去る際に、運転者に電源の切り忘れを警告する警報である。しかしながら、従来は、運転者が車両から立ち去っても作動中のエンジンが自動的に停止されることはなかった。
・シフトポジションがP
・ACC又はIGがオン
・全ドアが閉
・車外に電子キーあり
・ステアリングロック
<同乗者のキー持ち出し警報>
電子キー30を持ち出すのは運転者とは限らない。例えば、助手席の乗員がエンジン作動中の車両から電子キー30を持ち出した場合も、車両は警告することができる。
・ACC又はIGがオン
・運転席以外のドアが開から閉に変化
・車速なし(ゼロと見なせる程度)
・車室内に電子キーがない
〔排ガス濃度に基づくエンジン停止〕
図3は、エンジン停止装置が排ガス濃度に基づきエンジンを停止させる手順を示すフローチャート図の一例である。なお、以下では照合ECU14が主に処理を行うとして説明するが、詳細には照合ECU14がCANバス22を介して他のECUと通信することで処理が実行される。
【0029】
照合ECU14は、駐車中か否かを判定する(S10)。駐車中であることは、例えば、パーキングブレーキがオン、かつ、シフトポジションがPであることから検出される。なお、いずれか一方から駐車中であることを検出してもよい。また、車速がほぼゼロであることを条件に加えてもよい。
【0030】
駐車中と判定された場合(S10のYes)、運転者が運転席ドアを開から閉にした(S20)。このような状況は、運転者が運転席から運転席ドアを一度開けそのまま閉めた場合と、運転者が運転席から運転席ドアを開け降車し、外から閉めた場合とがある。
【0031】
これを判定するため、照合ECU14は車室内に電子キー30があるか否かを判定する(S30)。照合ECU14は、運転席ドアの開閉により車室内に検知エリアを形成する。このため、運転者が車内にいれば、電子キー30がレスポンス電波を送信できるが、運転者が降車した場合、電子キー30はレスポンス電波を送信できない。したがって、照合ECU14は、電子キー30からレスポンス電波を受信したか否かによって室内に電子キー30があるか否かを判定できる。
【0032】
また、S20では、運転席ドアが開から閉に変化すると記載したが、助手席ドアが開から閉に変化した場合も、電子キーが持ち出された可能性がある。よってS20には、運転席ドアに限らず1つ以上のドアが開から閉に変化したことが含まれる。
【0033】
電子キー30が室内にある場合(S30のYes)、S10からの処理が繰り返される。このように、電子キー30が室内にある場合、エンジンは停止されない。これにより、運転者が室内にいて車を暖気させていたり、信号待ちしている場合に、エンジンが停止されることを防止できる。
【0034】
車室内に電子キー30がない場合(S30のNo)、パワマネECU13はエンジン作動中か否かを判定し、判定結果を照合ECU14に通知する(S40)。エンジン作動中でなければ、エンジン停止する必要がないので処理は終了する。エンジン作動中か否かは、例えばエンジン回転数が所定値以上であることから判定される。
【0035】
エンジン作動中の場合(S40のYes)、照合ECU14はタイマのカウントをスタートする(S50)。ある時間が経過するまで排ガス濃度を判定しないのは、安定した排ガス濃度を検出するためである。例えば、狭いガレージでは壁に当たった排ガスにより、排ガスセンサ11が一時的に高い濃度の排ガスを検出することがあるので、タイマによりある時間をカウントすることで、安定した排ガス濃度を検出できる。
【0036】
なお、エンジン作動中の場合、この次点で、上記の電源切り忘れ降車警報又は立ち去り警告の警報が吹鳴される。
【0037】
照合ECU14はタイマのカウントがn分以上になるまで待機する(S60)。n分は、空間において排ガス濃度が安定すると想定される時間である。n分は車両一台分の空間において排ガス濃度が安定するまでの時間として予め照合ECU14に設定されている。また、運転者がnを数値として、又は、駐車スペースの駐車台数により設定可能としてもよい。
【0038】
エンジン作動が確認されてからn分が経過すると(S60のYes)、照合ECU14はエアコンECU12が取得した排ガス濃度が閾値(N〔ppm〕)を超過したか否かを判定する(S70)。なお、閾値(N〔ppm〕)は排ガスの種類によって個別に定めることができる。また、排ガスにより酸素濃度が低下することを考慮して、酸素濃度について所定値以下であるか否かを判定してもよい。
【0039】
排ガス濃度が閾値(N〔ppm〕)以下の場合、照合ECU14はこの判定を繰り返す。なお、排ガス濃度が閾値(N〔ppm〕)以下の状態で、以下の条件の1つ以上が成立すれば、照合ECU14は排ガス濃度と閾値の比較を中止する。
・駐車中でなくなった(パーキングブレーキ・オフ又はシフトポジションがD)
・車室内に電子キー30がある
そして、排ガス濃度が閾値(N〔ppm〕)を超過した場合(S70のYes)、照合ECU14は、パワマネECU13にエンジン停止を要求する(S80)。これにより、パワマネECU13は少なくともIGリレー16をオフにするので、エンジン作動に必要な燃料噴射や燃料の点火が生じなくなりエンジンが停止する。なお、パワマネECU13はバッテリ上がりを防止するためACCリレー17もオフにしてもよい。EV車又はHV車の場合、照合ECU14は、HV−ECUにエンジン停止を要求すればよく、HV−ECUがエンジンECUにエンジンを停止させる。
【0040】
以上説明したように、本実施形態のエンジン停止装置100は、エンジン作動中に排ガス濃度が閾値を超過するとエンジンを自動停止するので、狭い空間の排ガスが過度に上昇することを防止できる。
【0041】
なお、本実施形態では、キーレスエントリーシステムによりエンジン始動・停止される車両を例に説明したが、メカニカルキーによりエンジン始動、停止を行う車両に対しても本実施形態のエンジン停止装置100を適用できる。
【0042】
メカニカルキーの場合、運転者は、IG−OFF(又はLOCK)に回さないとキーシリンダからメカニカルキーを抜けない。このため、エンジンを作動させたまま、運転者がメカニカルキーを携帯して車外に出るという状況は生じない。しかし、イモビライザを除けばメカニカルキーは車両と通信しないので、そもそもメカニカルキーを携帯して車外に出たか否かを検出することが困難である。
【0043】
そこで、メカニカルキーの車両の場合、運転席等に人間を検知する検知センサ(例えば、体重センサ、赤外線センサ、カメラ等)を配置しておき、乗員が車室内にいないことを検知する。こうすることで、メカニカルキーの車両の場合も、運転者がエンジンを作動させたまま駐車することで、空間の排ガス濃度が上昇することを防止できる。
【0044】
〔車室内に乗員がいる場合〕
上記のS30で車室内に電子キー30があると判定されるとエンジンは停止されないが、車室内に電子キー30がないと判定されても、車室内に乗員が存在する場合がある。例えば、電子キー30を携帯しない乗員が乗車している場合である。しかしながら、この場合も、エンジン作動状態であれば、車室内の排ガス濃度が高くなる可能性があるのでエンジンを停止することが好ましい。また、走行中の信号待ちなどでS10〜S70の条件が全て成立することはないので、エンジンを停止しても不都合はない。
【0045】
また、上記のS30で車室内に電子キー30があると判定された場合、照合ECU14は車室内の排ガス濃度を検出して、閾値M〔ppm〕を超過したら乗員に警告することも有効である。車外の空間の排ガス濃度が上昇すれば、車室内の排ガス濃度も上昇する可能性があるためである。こうすることで、乗員はエンジンを自発的に停止させ車室内の排ガス濃度が上昇することを防止できる。なお、車室内は車外よりも狭いので、閾値Mは閾値Nよりも大きい値に設定される。
【符号の説明】
【0046】
11 排ガスセンサ
12 エアコンECU
13 パワマネECU
14 照合ECU
15 ボディECU
30 電子キー
100 エンジン停止装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジン作動中に電子キーの車外への持ち出しを警告するエンジン停止装置であって、
車外の排ガス濃度を検出する排ガスセンサと、
エンジン作動中の車両の駐車中に、前記排ガスセンサが検出する排ガス濃度が閾値を超過した場合、エンジンを停止させるエンジン停止手段と、
を有するエンジン停止装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−245964(P2012−245964A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−121942(P2011−121942)
【出願日】平成23年5月31日(2011.5.31)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】