説明

エンジン制御装置

【課題】エンジン制御性の適正化を図り、エンジン性能を好適に制御する。
【解決手段】燃焼目標値算出部52は、性能パラメータの実値を目標値にするための燃焼パラメータの目標値を算出する。燃焼偏差算出部60は、燃焼パラメータの実値と目標値との偏差を算出する。アクチュエータ制御部70は、燃焼パラメータの偏差を解消するべく、燃焼パラメータとの相関が予め定義されている複数の制御パラメータのうちの少なくとも1つを燃焼パラメータの偏差の大小に応じて選択し、該選択した制御パラメータを操作対象として、その偏差に基づいてエンジンの燃焼制御を実施する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジン制御装置に関し、詳しくは、燃料噴射弁などのアクチュエータの作動を制御することでエンジンの性能を制御するエンジン制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エンジンから排出されるNOx量、CO量等の排気エミッションに関する値や、出力トルク、燃料消費率(燃費)、燃焼騒音等といった各種のエンジンの性能を表す性能パラメータが要求を満たすよう、燃料噴射量や噴射時期、吸気量等といった各種の制御パラメータを算出して制御するエンジン制御装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この特許文献1のものでは、実筒内酸素濃度の下で基本燃料噴射パラメータに従って燃料噴射が行われた場合に発生し得る燃焼騒音と、目標筒内酸素濃度の下で基本燃料噴射パラメータに従って燃料噴射が行われた場合に発生し得る燃焼騒音とを比較する。そして、両者の差が許容値を超える場合、その差が許容値に収まるように基本燃料噴射パラメータを補正し、その補正後の燃料噴射パラメータに従って燃料噴射弁を作動させる。これにより、燃焼騒音の大きさ(性能パラメータ)が適切となるようにしている。なお、燃料噴射パラメータとしては、例えばパイロット噴射量、メイン噴射量、噴射の間隔、メイン噴射時期、パイロットインターバルなどがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−156034号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、複数の性能パラメータの間には相関が存在することがあり、上記特許文献1の図4及び図11に示すように、燃焼騒音が小さくなるようパイロットインターバルを小さくしようとすると、スモークの発生量が多くなってしまうことがある。そのため、複数の性能パラメータの目標値を個別に算出し、その算出した目標値を用いて複数の制御パラメータを同時に操作した場合、ある一つの性能パラメータを目標値にしようとすると、他の性能パラメータが目標値からずれてしまうことが考えられる。
【0006】
また、制御パラメータの操作によって性能パラメータを目標値にする場合に、エンジンの燃焼状態を表す燃焼パラメータを中間パラメータとして用いて制御することがある。この場合、燃焼パラメータの実値と目標値との間に偏差が生じた際には、エンジン性能を好適に制御するべく、その偏差解消を都度の状況に適した態様で実施するのが望ましい。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、エンジン制御性の適正化を図り、ひいてはエンジン性能を好適に制御することができるエンジン制御装置を提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題を解決するために、以下の手段を採用した。
【0009】
本発明は、エンジンに搭載されたアクチュエータの作動を制御する複数の制御パラメータに基づいて、エンジンの燃焼状態を表す複数の燃焼パラメータを制御し、ひいてはエンジンの性能を表す複数の性能パラメータを制御するエンジン制御装置に関するものである。特に、請求項1に記載の発明は、前記燃焼パラメータの実値と目標値との偏差を算出する偏差算出手段と、前記偏差算出手段により算出した燃焼パラメータの偏差を解消するべく、該燃焼パラメータとの相関が予め定義されている複数の制御パラメータのうちの少なくとも1つを、前記偏差の大小に応じて選択する制御パラメータ選択手段と、前記制御パラメータ選択手段により選択した制御パラメータを操作対象として、前記偏差に基づいてエンジンの燃焼制御を実施する燃焼制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0010】
エンジンの制御システムとしては、性能パラメータと燃焼パラメータとの関係を予め定義しておくとともに、燃焼パラメータと制御パラメータとの関係を予め定義しておき、制御パラメータを操作することで性能パラメータを目標値に一致させるものがある。
【0011】
ここで、燃焼パラメータの目標値と実値との偏差が生じた場合、その偏差解消を好適に行うことを考えると、偏差解消に関与する全ての制御パラメータを一様に操作するよりも、都度の偏差の大きさに応じた一部の制御パラメータによってアクチュエータの作動を制御するのが好ましいことがある。これは、制御パラメータの操作量がそれぞれの燃焼パラメータに及ぼす影響、具体的には応答性や安定性などが制御パラメータごとに相違するからである。
【0012】
その点に鑑み、本構成では、燃焼パラメータの偏差に基づいて制御パラメータを操作する場合に、偏差が生じた燃焼パラメータとの相関が予め定義された複数の制御パラメータの中から、燃焼パラメータの偏差の大きさに応じて、操作対象とする制御パラメータを選択する(絞り込む)。これにより、制御の応答性や安定性を考慮しつつ燃焼パラメータの偏差を解消することができ、その結果、エンジン制御性の適正化を図ることができる。
【0013】
請求項2に記載の発明では、前記制御パラメータを変更した場合のその変更に対する前記燃焼パラメータの変化の感度を前記制御パラメータごとに予め定めておき、前記制御パラメータ選択手段は、前記偏差の大小に応じて、前記感度が大小異なる制御パラメータを操作対象として選択する。
【0014】
燃焼パラメータに対する応答性や安定性は、例えば制御パラメータの操作量に対する燃焼パラメータの変化度合い(感度)の影響を受けて変化する。具体的には、感度が高い制御パラメータによれば、燃焼パラメータの偏差をより速やかに解消することができ、感度が低い制御パラメータによれば、外乱やノイズの影響を受けにくく、燃焼パラメータの偏差をより安定に解消することができる。したがって、上記構成のように、燃焼パラメータの感度を考慮して操作対象を選択するとよい。
【0015】
制御パラメータの中には、複数の燃焼パラメータに相関があるものがある。このような制御パラメータを操作対象として選択した場合、操作対象とする燃焼パラメータの偏差が大きいほど、他の燃焼パラメータに及ぼす影響も大きくなることが考えられる。
【0016】
これに鑑み、請求項3に記載の発明では、前記複数の燃焼パラメータの各々と前記複数の制御パラメータの各々との相関の度合いを予め定めておき、前記制御パラメータ選択手段は、前記偏差の大小に応じて前記制御パラメータを選択する際、前記偏差が生じた燃焼パラメータ以外の他の燃焼パラメータとの相関の度合いが小さい制御パラメータを操作対象として選択する。こうすることにより、エンジン制御の適正化をより好適に図ることができる。
【0017】
エンジンの性能を表す性能パラメータとしては、主に、動力に関するもの(例えばトルクなど)や、エミッションに関するもの(例えば排気中のNOx量やCO量、HC量、スモーク量など)等がある。これらのうち、いずれを優先するのが望ましいかは都度の要求に応じて相違する。例えば、車両の加速時ではトルクを優先し、定常走行時ではエミッション改善や燃焼騒音の抑制を優先するのが望ましいと考えられる。
【0018】
その点に鑑み、請求項4に記載の発明では、前記偏差算出手段により算出した燃焼パラメータの偏差に基づいて、操作対象とする燃焼パラメータを選択する手段を備え、前記制御パラメータ選択手段は、前記操作対象とする燃焼パラメータが複数選択された場合、該選択された燃焼パラメータが、前記複数の性能パラメータのうちのいずれと相関が高いかに応じて、操作対象とする制御パラメータを選択する。本構成によれば、要求されるエンジンの性能の優先度合いを考慮することができる。
【0019】
操作対象とする燃焼パラメータが複数ある場合には、請求項5に記載の発明のように、前記偏差算出手段により算出した燃焼パラメータの偏差に基づいて、操作対象とする燃焼パラメータを選択する手段を備え、前記制御パラメータ選択手段は、前記操作対象とする燃焼パラメータが複数選択された場合、該選択された複数の燃焼パラメータの偏差が順次変更されるように操作対象とする制御パラメータを選択してもよい。この場合、燃焼パラメータにおける複数の目標値ずれに対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】エンジン制御システムの全体概略図であり、(a)はエンジン制御装置のブロック図であり、(b)は燃焼パラメータ演算式を表す行列式を示し、(c)は制御量演算式を表す行列式を示す。
【図2】エンジン制御の具体的態様を説明する図。
【図3】制御係数の一例を示す図。
【図4】本実施形態のエンジン制御の処理手順を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を具体化した実施の形態について図面を参照しつつ説明する。本実施形態は、ディーゼルエンジンを対象にエンジン制御システムを構築するものである。当該制御システムにおいては、電子制御ユニット(以下、ECUという)を中枢として燃料噴射制御等を実施するものとしている。
【0022】
図1に、本実施形態におけるエンジン制御システムの全体概略図を示す。なお、図中、(a)は、エンジン制御装置のブロック図であり、(b)は、燃焼パラメータ演算式を表す行列式であり、(c)は、制御量演算式を表す行列式である。
【0023】
図1(a)において、エンジン10には複数のアクチュエータ11が搭載されている。アクチュエータ11としては、例えば燃料系について、燃焼に供する燃料を噴射する燃料噴射弁や、燃料噴射弁へ供給する燃料の圧力を制御する高圧ポンプ等を含む。また、吸気系について、排気の一部をEGRガスとして吸気に循環させるEGR量を制御するEGRバルブや、過給圧を可変制御する可変型過給器、新気量を制御するスロットルバルブ、吸気バルブ又は排気バルブの開閉時期やリフト量を可変制御するバルブ制御機構等を含む。
【0024】
また、エンジン10には、エンジン10の性能を検出するための各種の性能検出センサ12や、エンジン10の燃焼状態を検出するための各種の燃焼状態検出センサ13が設けられている。性能検出センサ12としては、例えば排気中の特定成分量(例えばNOx量、CO量、HC量など)を検出するためのセンサとしてNOxセンサや酸素センサ、スモーク量を検出するスモークセンサ、エンジン10の出力トルクを検出するトルクセンサ、燃焼音を検出するセンサなどが挙げられる。また、燃焼状態検出センサ13としては、例えば気筒内圧力を検出する筒内圧センサなどが挙げられる。
【0025】
その他、本システムには、エンジン10のクランク角度を検出するクランク角センサや、エンジン冷却水の温度を検出する水温センサなどの各種センサが設けられている。
【0026】
ECU20は、周知の通りCPU、ROM、RAM等よりなるマイクロコンピュータ(マイコン)を主体として構成され、ROMに記憶された各種の制御プログラムを実行することで、都度のエンジン運転状態に応じてエンジン10の各種制御を実施する。
【0027】
具体的には、本システムでは、性能パラメータと燃焼パラメータとの関係が予め定義してあるとともに、燃焼パラメータと制御パラメータとの関係が予め定義してある。ECU20のマイコンは、上記の各種センサからの検出信号を入力し、随時入力される各種の検出信号等に基づいて、要求されるエンジン性能とするにはどのようなエンジン燃焼状態とすべきかをまず求め、その求めたエンジン燃焼状態になるようアクチュエータ11の制御量を操作する。これにより、エンジン10の性能を表す複数の性能パラメータが目標値(以下、性能目標値という。)を同時に満たすようにアクチュエータ11の作動を制御し、結果として、複数の性能パラメータが協調して制御されるようにしている。
【0028】
なお、性能パラメータとしては、例えば排気中の特定成分量(例えばNOx量、CO量、HC量など)、スモーク量、トルク、燃料消費率(燃費)、燃焼音などを含む。また、燃焼パラメータとしては、例えば気筒内圧力、熱発生量、熱発生率、着火タイミング、着火開始遅れ時間、着火終了遅れ時間などを含む。着火タイミング、着火開始遅れ時間、着火終了遅れ時間については、筒内圧センサにより検出された筒内圧力の変化に基づいて取得可能である。
【0029】
次に、本システムの前提となるエンジン制御の概要について図1を用いて説明する。
【0030】
ECU20は、まず、複数の性能目標値を同時に満たすように複数の燃焼パラメータの目標値(燃焼目標値)を算出し、続いて、その複数の燃焼目標値を同時に満たすようアクチュエータ11の制御パラメータの指令値を算出する。そして、その算出した制御指令値に基づいて、アクチュエータ11の作動を制御する。
【0031】
具体的には、ECU20は、図1(a)に示すように、性能目標値を算出する性能目標値算出部30と、燃焼パラメータの目標値を算出する燃焼パラメータ算出部50と、アクチュエータ11を制御するアクチュエータ制御部70とを備えている。以下、各構成を順に説明する。
【0032】
性能目標値算出部30では、エンジン運転状態を表すパラメータ(エンジン回転速度やアクセル操作量など)や、環境条件を表すパラメータ(エンジン冷却水温や大気圧、外気温など)を用いて、例えば性能目標値算出用マップにより、複数の性能パラメータそれぞれの性能目標値Ptgを算出する。算出した性能目標値Ptgは性能偏差算出部40に出力される。
【0033】
性能偏差算出部40では、複数の性能パラメータのそれぞれにおける性能目標値Ptgと、性能パラメータの実値Patとの差分を性能偏差ΔPとして算出する。なお、性能パラメータの実値Patは、性能検出センサ12の検出値に基づいて算出した値でもよいし、エンジンモデル等を用いて算出した推定値でもよい。
【0034】
燃焼パラメータ算出部50では、性能パラメータの実値Patをその目標値Ptgに一致させるための燃焼パラメータの目標値として燃焼目標値Qtgを算出する。具体的には、燃焼パラメータ算出部50は、積分器51と、燃焼目標値算出部52とを備えている。積分器51では、性能偏差算出部40で算出した性能パラメータ偏差Δxを積算し、これを偏差積分値xとする。燃焼目標値算出部52では、積分器51から入力した偏差積分値xをパラメータとして燃焼目標値Qtgを算出する。
【0035】
より具体的には、燃焼目標値算出部52は演算式記憶部53を備えており、この演算式記憶部53において、複数(r個)の性能パラメータ(p1,・・・pr)と、複数(s個)の燃焼パラメータ(q1,・・・qs)との相関を予め定義した燃焼パラメータ演算式が記憶されている。燃焼目標値算出部52では、演算式記憶部53から燃焼パラメータ演算式を読み出し、複数の性能パラメータにおけるそれぞれの偏差積分値xを燃焼パラメータ演算式に代入することにより、複数の燃焼パラメータのそれぞれにおける目標値の変化分として目標変化量ΔQtgを算出する。そして、算出した目標変化量ΔQtgで基準燃焼パラメータを補正することにより燃焼目標値Qtgを算出する。なお、基準燃焼パラメータは、エンジン運転条件毎に、予め設定又は算出される値である。
【0036】
燃焼パラメータ演算式の一例を図1(b)に示す。本実施形態において、燃焼パラメータ演算式は行列式で表され、具体的には、複数の性能パラメータの変化量を変数とするr次元の列ベクトルA1と、s行r列の成分a11〜asrで構成される行列A2との積が、複数の燃焼パラメータの変化量を変数とするs次元の列ベクトルA3として表される。この燃焼パラメータ演算式は、例えば重回帰分析等の手法を用いて設定されている。
【0037】
なお、燃焼パラメータ算出部50では、偏差積分値xを燃焼パラメータ演算式に代入して燃焼目標値Qtgを算出することで、エンジンの性能パラメータの実値が目標値に対して定常的にずれてしまうといった定常偏差発生の抑制を図っている。また、偏差積分値xがゼロになると、燃焼パラメータ演算式により算出される値はゼロとなり、現状の燃焼状態が維持されることとなる。燃焼パラメータ算出部50で算出した燃焼目標値Qtgは燃焼偏差算出部60に入力される。
【0038】
燃焼偏差算出部60では、燃焼パラメータの実値としての燃焼実値Qatを入力するとともに燃焼目標値Qtgを入力し、それらの差分を燃焼パラメータ偏差ΔQとして算出する。なお、燃焼実値Qatは、燃焼状態検出センサ13により検出することができるが、エンジンモデル等を用いて算出した推定値を用いてもよい。
【0039】
アクチュエータ制御部70は、積分器71と、指令値算出部72とを備えている。積分器71では、燃焼偏差算出部60で算出した燃焼パラメータ偏差Δyを積算した偏差積分値yを算出する。指令値算出部72では、積分器71から入力した偏差積分値yをパラメータとしてアクチュエータ11の制御指令値Dを算出する。
【0040】
より具体的には、指令値算出部72は演算式記憶部73を備えており、この演算式記憶部73において、複数(s個)の燃焼パラメータ(q1,・・・qs)と、複数(t個)のアクチュエータ制御量(d1,・・・dt)との相関を予め定義した制御量演算式が記憶されている。指令値算出部72では、演算式記憶部73から制御量演算式を読み出し、偏差積分値yを制御量演算式に代入することにより、複数の制御量のそれぞれにおける指令値の変化分として指令値変化量ΔDを算出する。そして、算出した指令値変化量ΔDで基準制御量Dbsを補正することにより制御指令値Dを算出する。なお、基準制御量Dbsは、エンジン運転条件毎に、予め設定されるか又はマップ等を用いて算出される。
【0041】
制御量演算式の一例を図1(c)に示す。本実施形態における制御量演算式は行列式で表され、具体的には、複数の燃焼パラメータの変化量を成分としたs次元の列ベクトルA4と、t行s列の成分b11〜btsで構成される行列A5との積が、複数の制御量の変化量を変数としたt次元の列ベクトルA6として表される。この制御量演算式は、例えば重回帰分析等の手法を用いて設定されている。
【0042】
なお、アクチュエータ制御部70では、偏差積分値yを制御量演算式に代入して制御指令値Dを算出することで、燃焼パラメータの実値が目標値に対して定常的にずれてしまうといった定常偏差発生の抑制を図っている。
【0043】
次に、図2を用いて、本システムのエンジン制御の具体的態様を説明する。図2では、性能パラメータの1つであるスモーク量が変化し、これにより生じたスモーク量の目標値と実値との偏差を解消すべく制御パラメータを操作する場合を例示している。なお、ここでは、燃料の噴射態様として、1燃焼につき複数回の燃料噴射を行う多段噴射方式を採用するエンジンを想定している。
【0044】
図2において、スモーク量の目標値と実値との間にずれが生じた場合、スモーク量に相関がある燃焼パラメータであるメイン着火遅れ時間において目標値と実値との間に偏差Δyが生じる。このメイン着火遅れ時間の偏差Δyを解消すべく、メイン着火遅れ時間に相関がある制御パラメータ、例えばパイロット噴射量、パイロット噴射時期、メイン噴射時期等の制御パラメータの操作量が変更され、その操作量で燃料噴射弁が制御される。これにより、スモーク量のずれを解消するようにしている。
【0045】
ここで、燃焼パラメータの目標値と実値との偏差が生じた場合、偏差解消に関与する全ての制御パラメータを一様に操作するのではなく、都度の偏差の大きさに応じた一部の制御パラメータによってアクチュエータの作動を制御することにより、その偏差解消を好適に実施できることがある。これは、制御パラメータの変化が燃焼パラメータに及ぼす影響は制御パラメータごとに相違し、選択した制御パラメータによっては、燃焼パラメータの偏差Δyを速やかに解消できる(応答性が良好である)ものもあれば、応答性には劣るが燃焼パラメータの変動を抑制しつつ偏差Δyを解消できる(安定性が良好である)ものもあるからである。
【0046】
例えば、制御パラメータでは、制御パラメータを変更した場合のその変更量に対する燃焼パラメータの変化の度合い(感度)が相違する。燃焼パラメータとしてメイン着火遅れ時間を例に挙げると、図2に示すように、メイン着火遅れ時間に相関のある制御パラメータのうち、メイン噴射時期は感度(傾き)が比較的大きいのに対し、パイロット噴射時期は感度が小さい。この場合、メイン着火遅れ時間に相関のある制御パラメータのうち、感度が小さいパイロット噴射時期を操作対象として偏差Δyを解消しようとすると、偏差Δyを解消するのに時間がかかる、つまり応答性が低下してしまう。また逆に、偏差Δyが小さい場合に、感度が大きいメイン噴射時期を用いて偏差Δyを解消しようとすると、外乱やノイズの影響を受けやすく、安定性が低下してしまう。
【0047】
そこで、本実施形態では、燃焼パラメータの偏差Δy(又は偏差積分値y)の大きさに応じて、その偏差Δyが生じた燃焼パラメータとの相関が予め定義された複数の制御パラメータの中から、操作対象とする制御パラメータを選択することとしている。このとき、本実施形態では、複数の制御パラメータのそれぞれについて、制御パラメータの操作量が燃焼パラメータに及ぼす影響を表す指標としての制御係数Kaが燃焼パラメータごとに予め定めてあり、燃焼パラメータの偏差Δyの大きさに応じて、制御係数Kaが大小異なる制御パラメータを選択する。
【0048】
制御係数Kaの一例を図3に示す。なお、図3では、メイン着火遅れ時間について例示しており、メイン着火遅れ時間に相関のある制御パラメータとして、パイロット噴射量、パイロット噴射時期及びメイン噴射時期を挙げている。
【0049】
制御係数Kaは、図3に示すように、各制御パラメータの操作量をそれぞれ変更した場合のメイン着火遅れ時間の応答性及び安定性の2つの要素に基づいて定めてある。図3では、メイン着火遅れ時間に対する感度の大きさに応じて、例えば、メイン噴射時期、パイロット噴射量、パイロット噴射時期の順に制御係数Kaが大きい値に設定してある。なお、本実施形態では、制御係数Kaが大きいほど応答性が良好であり、制御係数Kaが小さいほど安定性が良好であることを示す。
【0050】
次に、本システムのエンジン制御の具体的態様について図4のフローチャートを用いて説明する。この処理は、ECU20のマイコンにより所定周期毎に実行される。
【0051】
図4において、ステップS11では、現在のエンジン回転速度やアクセル操作量、エンジン冷却水温等に基づいて、複数の性能パラメータの各々について目標値Ptgを算出する。続くステップS12では、複数の性能パラメータのそれぞれについて実値Patを取得する。
【0052】
ステップS13では、性能パラメータのそれぞれについて、取得した目標値Ptgと実値Patとの差分である性能パラメータ偏差Δxを算出し、ステップS14において、各々の偏差積分値x(i)を算出する。具体的には、前回の偏差積分値x(i-1)に今回の性能パラメータ偏差Δxを加算することで、複数の性能パラメータの各々における今回の偏差積分値x(i)を算出する。
【0053】
ステップS15では、燃焼パラメータの目標値として燃焼目標値Qtgを算出する。ここでは、性能パラメータ偏差Δxの積算値である偏差積分値x(i)に基づいて、複数の燃焼パラメータのそれぞれにおける目標値の変化分として目標変化量ΔQtgを算出し、その算出した目標変化量ΔQtgで基準燃焼パラメータを補正することにより燃焼目標値Qtgを算出する。
【0054】
具体的には、燃焼パラメータ演算式において、列ベクトルA1を構成する各々の成分に偏差積分値xをそれぞれ代入することで、列ベクトルA3を構成する各々の成分の解としての目標変化量ΔQtgを算出する。また、エンジン回転速度等のエンジン運転条件に基づいて、例えばマップや数式により燃焼パラメータの基準制御量Qbsを算出する。そして、算出した基準制御量Qbsに目標変化量ΔQtgを足し合わせ、これにより得られた値を燃焼目標値Qtgとする。
【0055】
ステップS16では、複数の燃焼パラメータのそれぞれについて実値Qatを取得する。また、ステップS17では、複数の燃焼パラメータのそれぞれについて、燃焼目標値Qtgと実値Qatとの差分(燃焼パラメータ偏差Δy)を算出する。
【0056】
ステップS18では、算出した各々の燃焼パラメータ偏差Δyの積算値として偏差積分値y(i)を算出する。具体的には、前回の偏差積分値y(i-1)に今回の燃焼パラメータ偏差Δyを加算することで、複数の燃焼パラメータの各々に対する今回の偏差積分値y(i)を算出する。
【0057】
ステップS19では、アクチュエータ11の制御指令値の変化分として指令値変化量ΔDを算出する。具体的には、制御量演算式の列ベクトルA4を構成する各々の成分に、偏差積分値yをそれぞれ代入することで、列ベクトルA6を構成する各々の成分の解としての指令値変化量ΔDを算出する。
【0058】
続いて、ステップS20では、複数の燃焼パラメータのうち、ステップS18で算出した偏差積分値yが、燃焼パラメータごとに設定した許容値TH1よりも大きいものがあるか否かを判定する。このとき、全ての燃焼パラメータの偏差積分値yが許容値TH1以内であれば、ステップS26へ進み、全ての制御パラメータについて、ステップS19で算出した指令値変化量ΔDを基準制御量Dbsにそれぞれ加えることにより制御指令値Dを算出し、これをエンジン10の各アクチュエータ11に出力する。
【0059】
一方、偏差積分値yが許容値TH1よりも大きい燃焼パラメータがある場合にはステップS21へ進み、y>TH1の燃焼パラメータを今回の制御対象とし、その燃焼パラメータ(対象燃焼パラメータ)の偏差積分値yを取得する。また、ステップS22では、その取得した偏差積分値(取得積分値z)が閾値TH2よりも大きいか否かを判定する。なお、閾値TH2は、許容値TH1よりも大きい値であり、燃焼パラメータごとに予め設定してある。
【0060】
取得積分値zが閾値TH2よりも大きい場合、ステップS23へ進み、複数の制御パラメータの中から、今回の対象燃焼パラメータに相関のある制御パラメータを抽出する。また、その抽出した中から、例えば図3の制御係数設定用マップを用いて、制御係数Kaが最も大きい(応答性が最も良好な)制御パラメータを操作対象として選択する。なお、燃焼パラメータと制御パラメータとの相関は予め定義されており、本実施形態では、対象燃焼パラメータに相関がある制御パラメータが複数ある場合、そのうちの1つを選択する。
【0061】
一方、取得積分値zが閾値TH2以下の場合には、ステップS24へ進み、複数の制御パラメータの中から、今回の対象燃焼パラメータに相関のある制御パラメータを抽出する。また、その抽出した中から、例えば図3の制御係数設定用マップを用いて、制御係数Kaが最も小さい(安定性が最も良好な)制御パラメータを操作対象として選択する。なお、ここで選択される制御パラメータについても、本実施形態では1つである。
【0062】
続くステップS25では、操作対象として選択した制御パラメータの指令値変化量ΔDonについて、ステップS19で算出した値を保持し、操作対象として選択しなかった制御パラメータの指令値変化量ΔDofについてゼロに変更する。また、ステップS26では、指令値変化量ΔD(ΔDon,ΔDof)と基準制御量Dbsとを用いて制御指令値Dを算出し、それら算出値をエンジン10の各アクチュエータ11に出力し、本ルーチンを終了する。
【0063】
以上詳述した本実施形態によれば、次の優れた効果が得られる。
【0064】
複数の性能パラメータと複数の燃焼パラメータとの相関を定義した燃焼パラメータ演算式を用い、各性能パラメータの目標値に基づいて複数の燃焼パラメータの目標値を算出するとともに、複数の燃焼パラメータと複数の制御パラメータとの相関を定義した制御パラメータ演算式を用い、各燃焼パラメータの目標値に基づいて複数の制御パラメータの指令値を算出する構成とした。
【0065】
上記構成において、燃焼パラメータ演算式は、複数対複数の関係で、性能パラメータと燃焼パラメータとの相関を定義したものであり、また、制御パラメータ演算式についても同様に、複数対複数の関係で、燃焼パラメータと制御パラメータとの相関を定義したものである。したがって、複数の性能パラメータや複数の制御パラメータの個々について独立してそれらに対応するパラメータ目標値(又は指令値)を設定する既存の技術とは異なり、複数の性能パラメータや複数の制御パラメータの協調を図ることができる。この場合、複数の性能パラメータや複数の制御パラメータが相互干渉することを抑制でき、その相互干渉による制御性悪化を回避できる。つまり、複数の性能パラメータや複数の制御パラメータを同時に目標値(又は指令値)にすることに対する制御性向上を図ることができる。
【0066】
しかも、本システムでは、燃焼パラメータの偏差Δy(又はその偏差積分値y)に基づいて制御パラメータを操作する場合に、偏差Δyが生じた燃焼パラメータとの相関が予め定義された複数の制御パラメータの中から、燃焼パラメータの偏差Δyの大きさに応じて、操作対象とする制御パラメータを選択する構成とした。具体的には、複数の制御パラメータのそれぞれについて、制御パラメータの操作量が燃焼パラメータに及ぼす影響を表す指標(制御係数Ka)を燃焼パラメータごとに予め定めておき、燃焼パラメータの偏差Δyの大きさに応じて、制御係数Kaが大小異なる制御パラメータを選択する構成とした。これにより、制御の応答性や安定性を考慮しつつ燃焼パラメータの偏差Δyを解消することができ、ひいてはエンジン制御性の適正化を図ることができる。
【0067】
(他の実施形態)
本発明は上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施されてもよい。
【0068】
・燃焼パラメータの偏差Δy(又は偏差積分値y)に応じて、燃焼パラメータに対する感度が大小異なる制御パラメータを操作対象として選択する際、該偏差が生じた燃焼パラメータ以外の他の燃焼パラメータとの相関の度合いが小さい制御パラメータを操作対象として選択する。なお、燃焼パラメータと制御パラメータとの相関の度合いについては、複数の制御パラメータごとに予め定めて記憶しておくとよい。複数の燃焼パラメータに相関がある制御パラメータを用いると、燃焼パラメータの偏差Δyが大きいほど、他の燃焼パラメータに及ぼす影響が大きくなることが考えられる。その点、上記構成によれば、燃焼パラメータ間の相互干渉を考慮しつつ制御パラメータを絞り込むことができ、その結果、複数の性能パラメータの独立性をできるだけ高めることができる。
【0069】
・上記実施形態における制御係数Kaを、燃焼パラメータに対する感度以外の要素を加味して設定する。具体的には、例えば、他の燃焼パラメータとの相関の度合いと感度とに基づいて設定する。
【0070】
・燃焼パラメータの偏差が生じた場合に変更可能な最大操作量である操作許容量を制御パラメータごとに予め定めておき、その操作許容量と、算出した指令値変化量ΔDとの比較結果に基づいて制御パラメータを選択する。制御パラメータの操作許容量が設定されている構成では、操作対象として選択した制御パラメータの操作量が制限されることに起因して、その選択した制御パラメータのみでは燃焼パラメータの偏差を解消しきれないことがあると考えられる。その点、上記構成とすることにより、燃焼パラメータの収束性が低下するのを抑制することができる。
【0071】
具体的には、図4のフローチャートのステップS23,S24において操作対象の制御パラメータを選択する場合に、操作許容量が取得積分値z以上の制御パラメータを選択し、その選択した制御パラメータの中から、燃焼パラメータの偏差Δyに応じて、制御パラメータの燃焼パラメータに対する感度が大小異なる制御パラメータを操作対象として選択する。
【0072】
・制御パラメータの操作許容量が設けられている場合に、燃焼パラメータの偏差Δyに応じて、操作許容量が大小異なる制御パラメータを操作対象として選択する構成としてもよい。例えば、偏差Δyが大きいほど、操作許容量が大きい制御パラメータを選択する。あるいは、偏差Δyが大きい場合に、まず操作許容量が小さい制御パラメータを選択する。そして、その選択した制御パラメータを用いてエンジンの燃焼制御を行い、該制御パラメータの変更量が操作許容量に達した場合に、先の制御パラメータよりも操作許容量が大きい制御パラメータを選択し、その制御パラメータに切り替えてエンジンの燃焼制御を実施する。
【0073】
・図4では、偏差積分値yが最も大きいとされる燃焼パラメータを操作対象として選択したが、偏差Δy(又は偏差積分値y)の大きさとは無関係に、複数の燃焼パラメータの中から1つずつ順に選択してもよい。この場合、操作対象とする燃焼パラメータは、所定時間毎に変更してもよいし、あるいは、燃焼パラメータの偏差が所定量変化する毎に変更してもよい。
【0074】
・図4のステップS21では、操作対象とする燃焼パラメータ(対象燃焼パラメータ)を1つ選択したが、複数選択してもよい。この場合、例えば、選択された複数の燃焼パラメータが、複数の性能パラメータのうちのいずれと相関が高いかに応じて、操作対象とする制御パラメータを選択する構成とする。この構成によれば、要求されるエンジン性能の優先度合いを考慮しつつ、操作対象とする制御パラメータを絞り込むことができる。
【0075】
・図4のステップS23,S24では、操作対象とする制御パラメータを1つ選択したが、複数の制御パラメータを選択し、該選択した複数の制御パラメータによって燃焼パラメータの偏差解消を行ってもよい。
【0076】
・複数の対象燃焼パラメータを選択する構成において、選択された複数の燃焼パラメータの偏差が順次変更されるよう、操作対象とする制御パラメータを選択する。この場合、燃焼パラメータにおける複数の目標値ずれに対応することができる。
【0077】
具体的には、2つの燃焼パラメータ(M1、M2)があり、これらのうち、燃焼パラメータM1について2つの制御パラメータ(N1、N2)との相関が予め定義され、燃焼パラメータM2について2つの制御パラメータ(N3、N4)との相関が予め定義されている場合を考える。この場合、本構成では、複数の制御パラメータN1〜N4の中から操作対象とする制御パラメータを選択する際、例えば、N1とN3とを交互に選択する構成としたり、あるいは、N1→N3→N2→N4の順に選択する構成としたりする。またこのとき、選択する制御パラメータは、所定時間毎に変更してもよいし、あるいは燃焼パラメータの偏差が所定量変化する毎に変更してもよい。
【0078】
・上記実施形態では、図4のステップS19で、全ての制御パラメータについて指令値変化量ΔDを算出した後に、ステップS20〜S24で、操作対象とする制御パラメータを絞り込む構成としたが、ステップS19の実行前においてステップS20〜S24の処理を実行してもよい。つまり、操作対象とする制御パラメータを絞り込んだ後、該制御パラメータの指令値変化量ΔDを算出する構成としてもよい。なお、この場合には、操作対象としない制御パラメータについては指令値変化量ΔDを0とする。
【0079】
・図4のステップS22における閾値TH2を可変にする。具体的には、所定時間毎に閾値TH2を小さくする構成とする。この場合、燃焼パラメータの急変(エンジン燃焼状態の急変)を抑制することができる。あるいは、エンジン運転状態に応じて閾値TH2を可変に設定する構成としてもよい。
【0080】
・上記実施形態では、燃焼パラメータ及び性能パラメータについて実値を目標値に一致させるようフィードバック制御を実施したが、少なくともいずれかについてフィードバック制御を実施しない構成としてもよい。例えば、燃焼パラメータについてフィードバック制御を実施しない場合、図1において、燃焼偏差算出部60及び積分器71を設けない構成とする。この場合、燃焼目標値算出部52において、算出した燃焼目標値Qtgをそのまま指令値算出部72に出力し、指令値算出部72において、燃焼目標値Qtgをパラメータとして制御量演算式により制御指令値Dを算出する構成としてもよい。
【0081】
・燃焼パラメータ演算式及び制御量演算式のいずれかをマップ等に置き換えてもよい。すなわち、燃焼パラメータ演算式を、複数の共通因子に対する複数の燃焼パラメータの最適値が記憶されたマップに置き換えるか、又は制御量演算式を、複数の燃焼パラメータに対する制御量の最適値が記憶されたマップに置き換えてもよい。
【符号の説明】
【0082】
10…エンジン、11…アクチュエータ、20…ECU、30…性能目標値算出部、40…性能偏差算出部、50…燃焼パラメータ算出部(燃焼目標値算出手段)、51…積分器、52…燃焼目標値算出部、60…燃焼偏差算出部(偏差算出手段)、70…アクチュエータ制御部(制御パラメータ選択手段、燃焼制御手段)、71…積分器、72…指令値算出部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンに搭載されたアクチュエータの作動を制御する複数の制御パラメータに基づいて、エンジンの燃焼状態を表す複数の燃焼パラメータを制御し、ひいてはエンジンの性能を表す複数の性能パラメータを制御するエンジン制御装置であって、
前記燃焼パラメータの実値と目標値との偏差を算出する偏差算出手段と、
前記偏差算出手段により算出した燃焼パラメータの偏差を解消するべく、該燃焼パラメータとの相関が予め定義されている複数の制御パラメータのうちの少なくとも1つを、前記偏差の大小に応じて選択する制御パラメータ選択手段と、
前記制御パラメータ選択手段により選択した制御パラメータを操作対象として、前記偏差に基づいてエンジンの燃焼制御を実施する燃焼制御手段と、
を備えることを特徴とするエンジン制御装置。
【請求項2】
前記制御パラメータを変更した場合のその変更に対する前記燃焼パラメータの変化の感度を前記制御パラメータごとに予め定めておき、
前記制御パラメータ選択手段は、前記偏差の大小に応じて、前記感度が大小異なる制御パラメータを操作対象として選択する請求項1に記載のエンジン制御装置。
【請求項3】
前記複数の燃焼パラメータの各々と前記複数の制御パラメータの各々との相関の度合いを予め定めておき、
前記制御パラメータ選択手段は、前記偏差の大小に応じて前記制御パラメータを選択する際、前記偏差が生じた燃焼パラメータ以外の他の燃焼パラメータとの相関の度合いが小さい制御パラメータを操作対象として選択する請求項1又は2に記載のエンジン制御装置。
【請求項4】
前記偏差算出手段により算出した燃焼パラメータの偏差に基づいて、操作対象とする燃焼パラメータを選択する手段を備え、
前記制御パラメータ選択手段は、前記操作対象とする燃焼パラメータが複数選択された場合、該選択された燃焼パラメータが、前記複数の性能パラメータのうちのいずれと相関が高いかに応じて、操作対象とする制御パラメータを選択する請求項1乃至3のいずれか一項に記載のエンジン制御装置。
【請求項5】
前記偏差算出手段により算出した燃焼パラメータの偏差に基づいて、操作対象とする燃焼パラメータを選択する手段を備え、
前記制御パラメータ選択手段は、前記操作対象とする燃焼パラメータが複数選択された場合、該選択された複数の燃焼パラメータの偏差が順次変更されるように操作対象とする制御パラメータを選択する請求項1乃至3のいずれか一項に記載のエンジン制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−193622(P2012−193622A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−56138(P2011−56138)
【出願日】平成23年3月15日(2011.3.15)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】