説明

オキシオルトシリケート発光体を有する発光物質を用いる発光装置

オキシオルトシリケート発光体を有する発光物質を用いる発光装置を開示する。発光装置は、紫外光又は可視光線領域の光を発生させる発光ダイオードと、発光ダイオードの周囲に配置され、発光ダイオードから放出された光の少なくとも一部を吸収し、吸収光とは異なる波長の光を放出する発光物質とを含む。発光物質は、アルカリ土類金属オキシオルトシリケートと稀土類金属オキシオルトシリケートとの間の混合相形態の固溶体が発光を起こすEu2+活性に対する格子ベースとして用いられるEu2+―ドーピングケイ酸塩発光体を有する。発光物質は、発光ダイオードから放出される紫外光放射又は青色光などのより高いエネルギーの一次放射を長波長の可視放射に変換するための放射変換体として用いられ、その結果、望ましくは有色又は白色の光を放出する発光装置が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無機ケイ酸塩ベースの発光物質(inorganic silicate−based luminescent substance)を放射変換体として用いる発光装置に関するものである。この発光装置は、紫外光(UV)放射又は青色光などの高エネルギーの一次放射(primary radiation)を長波長の可視放射に変換する放射変換体(radiation converter)として使用することができる発光物質を用いることによって、有色又は白色の光を放出することができる。特に、このような変換発光物質を含む発光装置は、特に改善された温度依存性の発光効率又は量子効率、及び、生成された光の放出に寄与する発光物質のより長い寿命を有することを特徴とする。特に、発生する放射負荷及び大気湿度とその他の環境的要因に対する発光体(luminophore)の高い安定性が達成される。
【背景技術】
【0002】
発光装置(Light Emitting Device;LED)は、色実現が可能であり、例えば、表示灯、電光板及びディスプレイ用に広く使用されている。また、白色光は、一般の照明用にも使用可能である。このような発光装置は、効率が高く、寿命が長く、環境にやさしいので、それを使用する分野が継続的に増加している。
【0003】
より多く利用されるように、白色光を含む色実現のための多様な方法が開発されており、一般に、発光ダイオードの周囲に発光物質を配置し、発光ダイオードから放出された光と発光物質によって変換された光との組み合わせによって白色光を実現する技術が使用されている。
【0004】
例えば、ユーロピウム(europium)―典型的にはSrSiOのような活性アルカリ土類金属オキシオルトシリケート:Euとしては、有色又は白色の光を放出するLEDに使用されるものが知られており、このような化合物中のストロンチウム元素の全部又は一部を他のアルカリ土類金属イオンに置換することが可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、このような公知の発光物質は、使用条件下において寿命が比較的短いという短所を有する。これは、特に、ユーロピウム―ドーピングアルカリ土類金属オキシオルトシリケート(europium−doped alkaline earth metal oxyorthosilicate)の高い湿度敏感性のためである。
【0006】
したがって、開示された発光体の技術的適用を完全に阻害したり、少なくとも相当程度に制限するおそれのある致命的な短所を低減させる方法が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明では、このような要求及びその他の要求に対処するものであり、本発明の例示的な実施例は、改善された性質、特に、大気湿度に対して非常に高い安定性を有する化学的に変形されたオキシオルトシリケート発光物質を有する発光装置を提供する。
【0008】
本発明の付加的な特徴は、以下の説明において提示され、部分的には説明から明らかになるか、又は本発明の実施によって理解され得る。
【0009】
本発明の他の様態と特徴及び長所は、下記の詳細な説明と、本発明を実施するために考慮された最善の方式を含む多数の特定の実施例及び実現例を示す図面によって明らかになる。また、本発明は、その他の実施例を含むことができ、本発明の多くの詳細事項は、本発明の趣旨と範囲を逸脱しない範囲内で多様な明白な点で変更可能である。したがって、図面と説明は、制限的なものではなく、例示的なものとみなされなければならない。
【0010】
本発明の各実施例は発光装置を開示する。発光装置は発光ダイオードを含む。また、発光装置は、発光ダイオードの周囲に配置され、発光ダイオードから放出された光の少なくとも一部を吸収する発光物質を含む。発光ダイオードから放出される光は、吸収光の波長とは異なる波長を有する。発光物質は、発光を起こすEu2+活性に対する格子ベースとして、アルカリ土類金属オキシオルトシリケートと稀土類金属オキシオルトシリケートとの間の混合相を形成するためのEu2+ドーピングシリケート発光体を含む。
【0011】
上述した一般的な説明と下記の詳細な説明は、いずれも例示的なもので、かつ、説明を助けるためのものであって、請求項に記載された本発明に対するより深い説明を提供するためのものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の例示的な実施例によると、改善された性質、特に、大気湿度に対して非常に高い安定性を有する化学的に変形されたオキシオルトシリケート発光物質を有する発光装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施例に係る発光装置100を説明するための断面図である。
【図2】本発明の他の実施例に係る発光装置200を説明するための断面図である。
【図3】本発明の更に他の実施例に係る発光装置300を説明するための断面図である。
【図4】本発明の更に他の実施例に係る発光装置400を説明するための断面図である。
【図5】本発明の更に他の実施例に係る発光装置500を説明するための断面図である。
【図6】異なる発光物質のX線回折ダイヤグラムである。
【図7】本発明に係る異なる組成の発光物質の放出スペクトルを説明するためのグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下では、化学的に変形されたオキシオルトシリケート発光物質を含む発光物質を用いる発光装置を説明する。以下の説明では、本発明の完全な理解のために説明を補助する目的で多数の具体的な詳細事項を提示する。しかし、これら具体的な詳細事項がなくても、又は同等の配列により本発明が実施可能であることは、当該技術分野の当業者にとって明らかである。また、公知の構造及び装置は、本発明を不必要に曖昧にすることを防止するためにブロックダイヤグラムの形式で図示される。
【0015】
図1は、本発明の一実施例に係る発光装置100を説明するための断面図である。図1は、少なくとも一つの発光ダイオードと発光物質とが組み合わされたチップ型パッケージを示す。
【0016】
図1を参照すると、基板1の両側にそれぞれ電極5を形成してもよい。一方の電極5の上には、一次光(primary light)を放出する発光ダイオード6を実装してもよい。発光ダイオード6は、銀(Ag)ペーストなどの導電性ペースト9を通して電極5に実装され、導電性ワイヤ2を介して他方の電極に電気的に接続されてもよい。
【0017】
発光ダイオード6は、紫外光又は青色光を放出してもよく、窒化ガリウムベースの化合物半導体から生成することができる。特に、発光ダイオード6は青色の光を放出してもよい。
【0018】
発光物質3は、発光ダイオード6の上面及び側面の一部に配置されてもよい。そして、発光ダイオード6は、例えば、硬化性樹脂で形成されたモールディング部材10で封止されてもよい。発光物質3は、発光ダイオード6の付近に配置されてもよいが、構成によっていかなる位置にも配置可能である。また、発光物質3は、モールディング部材10内に均一に分布させることができる。
【0019】
発光物質3は、発光ダイオード6の周囲に配置され、発光ダイオードから放出された光の少なくとも一部を吸収したり、吸収光とは異なる波長の光を放出することができる。発光物質3は、アルカリ土類金属オキシオルトシリケートと稀土類金属オキシオルトシリケートとの間の固溶体、いわゆる混合相が、発光を起こすEu2+活性に対する格子ベースとして使用されるEu2+―ドーピング発光体を有するケイ酸塩発光物質である。以下では、発光物質3について詳細に説明する。
【0020】
発光ダイオード6は、電極5を介して外部電源に電気的に接続してもよく、その結果、発光ダイオード6から一次光を放出することができる。発光物質3は、放出された一次光の少なくとも一部を吸収し、一次光に比べて長波長である二次光を放出してもよい。これによって、発光ダイオード6から放出された一次光のうち変換されていない一次光と発光物質3によって放出された二次光とを互いに混合することができ、このような混合光を発光装置の外部に放出することができる。このような混合光により、所望の色の光、例えば、白色光が実現される。
【0021】
発光装置100は、2個以上の発光ダイオードを含んでもよい。これら発光ダイオードは、互いに同一又は互いに異なる波長の光を放出してもよい。例えば、発光装置100は、紫外光又は青色光を放出できる互いに同一又は互いに異なる発光ダイオードを含んでもよい。また、発光装置100は、蛍光体の発光ピーク波長より長波長の光を放出できる発光ダイオード、例えば、赤色の発光ダイオードを含んでもよい。このような長波長発光ダイオードは、発光装置100の演色性(color rendering index)を向上させるために用いられてもよい。また、発光装置100は、発光物質3以外の他の蛍光体をさらに含んでもよい。他の蛍光体は、特に限定されるものではなく、オルトシリケート蛍光体、YAGベースの蛍光体又はチオガレート蛍光体などを含む。その結果、発光ダイオード6及び蛍光体の適切な選択により、ユーザーが所望する色の光を容易に実現することができる。
【0022】
図2は、本発明の他の実施例に係る発光装置200を説明するための断面図である。図2は、リフレクタ21を備える典型的なトップ型パッケージを示す。
【0023】
図2を参照すると、発光装置200は、上述した発光装置100と類似した構造を有し、基板1の上にリフレクタ21が追加されてもよい。発光ダイオード6は、リフレクタ21内に実装されてもよい。リフレクタ21は、発光ダイオード6から放出された光を反射させ、特定の画角内の輝度を増加させる。
【0024】
一方、発光物質3は、図1を参照して説明したように、発光ダイオード6の周囲に配置され、発光ダイオードから放出された光の少なくとも一部を吸収し、吸収光とは異なる波長の光を放出する。発光物質3は、リフレクタ21内で発光ダイオード6の上にドッティング(be dotted)されたり、硬化性樹脂モールディング部材10内に均一に分布させてもよい。以下、発光物質3について詳細に説明する。
【0025】
また、発光装置200は、図1を参照して説明したように、放出波長が互いに同一又は互いに異なる2個以上の発光ダイオードを含んでもよく、発光物質3以外の多様な蛍光体をさらに含んでもよい。
【0026】
一部の実施例において、図1及び図2に示した各発光装置100、200は、熱導電性に優れた金属性材料の基板1、例えば、メタルPCB(printed circuit board)を含むことができる。このような基板は、発光ダイオード6で生成された熱を容易に放出する。また、基板1としては、各リード端子を含むリードフレームを使用してもよい。このようなリードフレームは、発光ダイオードを封止するモールディング部材10によって取り囲まれて支持されてもよい。
【0027】
図2に示したように、基板1とリフレクタ21とは互いに異なる材質で形成されてもよいが、これに限定されるものではない。例えば、基板1とリフレクタ21とは同一の材質で形成することもできる。各リード端子を有するリードフレームをPPAなどのプラスチックでインサートモールディング(insert−molded)し、基板1とリフレクタ21とを共に形成することができる。その後、各リード端子を折り曲げることによって電極5が形成される。
【0028】
図3は、本発明の更に他の実施例に係る発光装置300を説明するための断面図である。発光装置300は、一般的に発光ダイオードランプとして知られている。
【0029】
図3を参照すると、発光装置300は、一対のリード電極31、32を含み、一方のリード電極31の上端部にカップ状のカップ部33が形成されている。カップ部33内に少なくとも一つの発光ダイオード6を導電性接着剤9を介して実装し、導電性ワイヤ2を介して他方のリード電極32に電気的に接続されてもよい。複数の発光ダイオードがカップ部33内に実装される場合、各発光ダイオードは、互いに同一又は互いに異なる波長の光を放出してもよい。
【0030】
一方、発光ダイオード6の周囲に発光物質3を配置してもよい。図1を参照して説明したように、発光物質3は、発光ダイオード6の周囲に配置され、発光ダイオードから放出された光の少なくとも一部を吸収し、吸収光とは異なる波長の光を放出する。発光物質3は、カップ部33内で発光ダイオード6の上にドッティングしたり、カップ部33の内部に形成された硬化性樹脂モールディング部材34内に均一に分布させることができる。以下では、発光物質3について詳細に説明する。
【0031】
モールディング部材10は、発光ダイオード6と発光物質とを封止し、また、一対のリード電極31、32の各部分を封止する。モールディング部材10は、例えば、エポキシ又はシリコンで形成されてもよい。
【0032】
発光装置300は、一対のリード電極31、32を有するものとして提供てもよい。しかし、発光装置300は、より多くの対のリード電極を含んでもよい。
【0033】
図4は、本発明の更に他の実施例に係る発光装置400を説明するための断面図である。図4は、高出力用の発光ダイオードパッケージを示す。
【0034】
図4を参照すると、発光装置400は、ハウジング43内に収納されたヒートシンク41を含む。ヒートシンク41の底面は外部に露出される。各リード電極44は、ハウジング43内に露出されてもよく、ハウジングを通して外部に延長されてもよい。ヒートシンク41の上面に少なくとも一つの発光ダイオード6を導電性接着剤9を介して実装し、導電性ワイヤを介して各リード電極44のうちの一つに電気的に接続してもよい。また、他の導電性ワイヤが各リード電極44のうち他の一つとヒートシンク41とを接続し、その結果、発光ダイオード6を2つのリード電極44にそれぞれ電気的に接続することができる。
【0035】
一部の実施例において、ヒートシンク41の上の発光ダイオード6の周囲には発光物質3を配置してもよい。発光物質3は、図1を参照して説明したように、発光ダイオード6の周囲に配置され、発光ダイオードから放出された光の少なくとも一部を吸収し、吸収光とは異なる波長の光を放出してもよい。発光物質3は、ヒートシンク41の上で発光ダイオード6の上にドッティングされたり、発光ダイオードを覆うモールディング部材(図示せず)内に均一に分布されてもよい。以下では、発光物質3について詳細に説明する。
【0036】
図5は、本発明の更に他の実施例に係る発光装置500を説明するための断面図である。
【0037】
図5を参照すると、発光装置500は、ハウジング53と、ハウジングに結合され、互いに絶縁された複数のヒートシンク51、52とを含む。各ヒートシンク51、52の上にそれぞれ各発光ダイオード6、7を導電性接着剤9を介して実装し、導電性ワイヤ(図示せず)を介して各リード電極54に電気的に接続してもよい。各リード電極54は、ハウジング内で外部に延長されてもよい。図面では、2つのリード電極54を示したが、より多くの数のリード電極を設けてもよい。
【0038】
例えば、発光物質3が各発光ダイオード6、7のうち少なくとも一つの周囲に、図4を参照して説明したように配置される。以下では、発光物質3について詳細に説明する。
【0039】
本発明の各実施例において、発光ダイオード6を導電性接着剤9を介して基板1又はヒートシンクに実装し、一つの導電性ワイヤを介して電極又はリード電極に電気的に接続できるように考慮されている。当該技術分野における当業者であれば、このような各実施例において、発光ダイオード6は「シングルボンドダイ(single−bond die)」、すなわち、その上側部及び下側部にそれぞれ電極を有する場合に限定されると理解することができる。発光ダイオード6が上側部に2つの電極を有する「2ボンドダイ(two−bond die)」である場合、発光ダイオード6は、2つの導電性ワイヤによってそれぞれ各電極又は各リード電極に電気的に接続される。この場合、接着剤は導電性である必要はない。
【0040】
本発明の各実施例において、発光ダイオード6は、(Al,Ga,In)Nベースの化合物半導体で形成された発光ダイオードであってもよい。
【0041】
発光ダイオード6は、n型半導体層とp型半導体層との間に単一の活性領域を有し、例えば、ダブルヘテロ構造、単一量子井戸構造、多重量子井戸構造の発光ダイオードであってもよい。
【0042】
例えば、発光ダイオード6は、単一基板上に互いに隔離された複数の発光セルを含んでもよい。各発光セルはそれぞれ活性領域を備えており、これら発光セルは、交流電源下で直接駆動できるように配線を介して電気的に直列及び/又は並列に接続されてもよい。このような交流用の発光ダイオードは、単一基板上に互いに接続されたブリッジ整流器と各発光セルの直列アレイとを形成することによって、又は単一基板上に互いに逆並列に接続された各発光セルの直列アレイを形成することによって、外部の直流―交流変換器がなくても交流電源に接続して駆動することができる。交流用発光ダイオードは、複数の発光セルを配線を介して直列に接続されるので、動作電圧を家庭用電源の電圧、例えば、110V又は220Vの電圧に上昇させることができる。このように、家庭用電源によって動作可能な発光装置を提供することができる。
【0043】
一部の実施例において、発光物質3は、発光ダイオード6と発光ダイオードが実装される基板1又はヒートシンクとの間に配置されてもよく、接着剤9の内部に分布させてもよい。このような発光物質3は、発光ダイオード6から下方に放出された光の少なくとも一部を吸収し、異なる波長の光を放出する。
【0044】
以上では、発光装置のいくつかの構造について説明したが、本発明はこれら構造に限定されることはなく、発光ダイオードの種類、電気的接続方法、要求される光の画角及び発光装置の使用目的などに応じてその構造を多様に変形させてもよい。
【0045】
以下、本発明の各実施例に使用される発光物質3について説明する。
【0046】
本発明に係る発光物質の群は、Eu2+―ドーピングケイ酸塩発光体を含むが、アルカリ土類金属オキシオルトシリケートと稀土類金属オキシオルトシリケートとの間の固溶体、いわゆる混合相が格子ベースとして使用される。2つの異なるオキシオルトシリケート類型間の固溶体の形成は、特定の濃度限界内で可能であり、検出された特徴により、(1−x)MIISiO・xSESiOと表記される。
【0047】
前記一般的な構造式において、MIIは、望ましくはSrのアルカリ土類金属イオンであり、他のアルカリ土類金属イオン又はマグネシウム、カルシウム、バリウム、銅、亜鉛及びマンガン元素からなる群より選ばれる2価金属イオンであってもよいが、これらイオンは、一般的に、ストロンチウムに加えて、互いに定量混合されて用いられてもよい。ただし、バリウムの場合には、ストロンチウムを完全に置換することが可能である。一方、ストロンチウムに加えて添加される他の2価金属イオンの比率は最大0.5であってもよい。
【0048】
化学式に使用された記号SEは稀土類金属を示し、イットリウム、ランタン及びいわゆるランタン族元素、すなわち、原子番号58から71の元素の3価金属イオンであるが、望ましくは、イットリウム、ランタン、ガドリニウム及びルテチウムの相応する各イオンである。これらイオンは、別個の成分又は互いの混合物として基材(matrix)の中に添加されてもよい。
【0049】
また、ユーロピウムとは別に、そして、このドーピング元素に加えて、原理的にサマリウム及びイットリウムなどの2価稀土類金属イオン、又はセリウムイオン(Ce3+)などの特定の3価稀土類金属イオンが活性剤として使用される。
【0050】
発光性質及び安定性を最適化する目的で、本発明に係る発光物質の組成物に関して追加的な変形が可能である。したがって、必要であれば、例えば、シリコンをゲルマニウムに、及び/又はアルミニウム、ガリウム、ホウ素又はリンに置換することが可能であるが、電荷均衡を維持するための適切な措置を取らなければならない。これは、例えば、リチウム、ナトリウム又はカリウムなどの1価陽イオン、又はフッ素、塩素、臭素又はヨウ素などの陰イオンを本発明に係る格子ベース内に追加的に添加することを含んでもよい。
【0051】
望ましい実施例において、本発明に係る発光物質は、化学式(1−x)(Sr3−a−b−zBaCaIIEu)SiO・xSESiOを有するが、ここで、MII=Mg、Cu、Zn及び/又はMnであり、SE=Y、La、Gd及び/又はLu及び/又は原子番号58から71のランタン族からなる群より選ばれる他の元素で、モル比率として、x≦0.2、特にx≦0.1であり、0≦a≦3、0≦b≦0.05、0≦c≦0.05及びz≦0.25である。
【0052】
本発明の例示的な実施例によると、アルカリ土類金属及び稀土類金属オキシオルトシリケートは、特定の濃度範囲内で、固溶体、すなわち、互いの結晶混合相を形成し、このような格子ベースのEu2+活性により、非常に高い湿度安定性を有する効率的な発光物質になる。固溶体の形成のための濃度範囲は、最大15モル%の稀土類金属オキシオルトシリケートに達する。
【0053】
高エネルギー放射で励起すると、本発明に係る発光物質は、それらの特定の化学的組成によってスペクトルの可視部分、望ましくは560から620nmの範囲内で放射する。Eu2+発光に対する励起は、220nmの紫外光範囲から550nmの可視範囲まで延長されるが、これは、本発明の発光体が緑色励起放射でも励起され、効率的な黄色及びオレンジ色又は赤色の発光を示すことができることを意味する。
【0054】
本発明に係る発光物質の生成は、望ましくは、出発物質(starting material)として使用されるアルカリ土類金属及び稀土類金属炭酸塩又は相応する酸化物とコルロイダルSiOとの間の多段階の高温固相反応に基づいて行われるが、反応を促進し、生成された発光体の粒子サイズ分布を調節するために、一定量のフラックス又はNHClなどのミネラル化添加剤、あるいは特定のアルカリ金属又はアルカリ土類金属フッ化物を反応混合物に添加してもよい。これら出発物質は、完全に混合された後、非活性又は還元雰囲気中で1300から1700℃の温度で1から48時間焼成される。選択的に、発光物質の性質を最適化するための主な焼成工程も、異なる温度範囲で複数の焼成段階を経てもよい。焼成工程が終了した後、サンプルは常温まで冷却され、例えば、フラックス残留物の除去、表面欠陥の最小化又は粒子サイズ分布の精密な調整を目的とする適切な後処理工程を経る。
【0055】
コロイダルシリカの代わりに、窒化ケイ素(Si)を、使用されるアルカリ土類金属及び稀土類金属化合物の反応のための反応体として使用してもよい。まず、それぞれの個別のアルカリ土類金属又は稀土類金属オキシオルトシリケート成分を互いに分離して生成した後、目的に合う温度範囲で繰り返し熱処理することによって固溶体の形成を確実にすることも可能である。
【0056】
以下では、本発明に係る発光物質の生成に対する詳細な情報を複数の実施例を参照して記載する。
【実施例1】
【0057】
実施例1は、まず、本発明の発光物質の長所を評価する基準物質とみなされる(Sr2.95Ba0.01Eu0.04)SiO組成を有するストロンチウムオキシオルトシリケート発光物質の生成を説明する。
【0058】
発光物質の生成のために、SrCO 217.75g、BaCO 0.99g、Eu 3.52g、SiO 31.54g及びNHCl 2.68gが完全に混合された後、形成ガス雰囲気中で1350℃で4時間焼成される。焼成工程が終了した後、焼成された物質はミリング(milling)で均質化され、続いて、再び少なくとも5%の水素濃度を有する還元N/H雰囲気中で2時間1350℃で熱処理される。冷却された焼成物質の後処理は、ミリング、洗浄工程の実行及び最終生成物の乾燥及びふるい分けを含む。
【実施例2】
【0059】
実施例2は、0.99・(Sr2.95Ba0.01Eu0.04)SiO・0.01・YSiO組成を有する本発明に係る発光物質の生成を説明している。この発光物質は、実施例1に記載された焼成条件を維持しながら、次の出発物質及び量が使用されて生成される:SrCO 215.58g、BaCO 0.98g、Y 1.13g、Eu 3.47g、SiO 31.54g及びNHCl 2.68g。
【実施例3】
【0060】
実施例3では、0.95・(Sr2.8875Ba0.01Cu0.0025Eu0.10)SiO・0.05・GdSiO組成を有する本発明に係る発光物質の生成で、SrCO 202.48g、BaCO 0.94g、CuO 0.094g、Gd 9.06g、EuO 38.36g及びSiO 30.94gが出発物質として使用され、これにNHCl 4.0gがフラックスとして添加される。完全に均質化された後、出発混合物は、高温炉に配置されたコランダム(corundum)るつぼに移される。ここで、固体混合物には、1200℃で10時間維持される第1の段階、1550℃で5時間維持される第2の段階及び1350℃で維持される第3の段階を有する焼成が実行され、最後の段階での維持時間は2時間である。焼成は、1550℃に到するまでは純粋窒素中で行われ、1550℃段階の間は20%の水素を有するN/H混合ガス中で行われ、その後は、形成ガス(5%水素)中で行われ、1350℃の焼成段階が終了した後、急速に冷却される。発光物質のサンプルの後処理は、実施例1に記載された方式で行われる。
【実施例4】
【0061】
実施例4に係る変形体の生成は、まず、変形されたストロンチウムオキシオルトシリケート及び稀土類金属オキシオルトシリケートを互いに別途に生成した後、別途の生成段階で固溶体の形成を行うことを含む。生成された発光物質は、0.995・(Sr2.498Ba0.45Ca0.002Eu0.05)SiO・0.005・LaSiO組成を有する。
【0062】
(Sr2.498Ba0.45Ca0.002Eu0.05)SiO成分の合成は、次の量を用いて実施例1と類似した形態で行われる:SrCO 184.39g、BaCO 44.40g、CaF 0.078g、EuO 33.96g及びSiO 31.54g。一方、必要なランタンオキシオルトシリケートLaSiOは、La 325.81g、SiO 55.2g及びNHCl 2.68gを用いて一つの焼成工程で生成することができ、完全に混合された出発物質は、形成ガス中で1380℃の温度で6時間焼成される。
【0063】
本発明に係る発光物質の生成のために、組成において、生成された(Sr2.498Ba0.45Ca0.002Eu0.05)SiO成分197.23g及びLaSiO 0.96gが徹底的な混合工程を経て、続いて、窒素―水素(5%)気流中で1150℃で6時間加熱される。
【0064】
図6は、その生成過程が実施例1から4で説明された発光物質のX線回折ダイヤグラムを示す。それらは、原則として先行文献で公知となったSrSiOの反射を共通して有するが、回折角度は、実行された格子置換のために純粋なSrSiO相に比べて少しだけ移動し得る。単斜晶系SESiO相で生じる反射の存在は、いずれのダイヤグラムでも検出されない。そのような反射は、実際にストロンチウムオキシオルトシリケートと対応する稀土類金属オキシオルトシリケートとの間の固溶体の形成に対して言及された濃度範囲外でのみ発生し得る。
【0065】
【表1】

【0066】
表1は、実施例2に記載した生成方法と類似した形態で生成される本発明に係る追加的な発光物質の格子定数を示す。発光体の格子定数は互いに非常に類似している。発光物質の格子ベースとして使用されるオキシオルトシリケート固溶体におけるSESiOの比較的少ない比率を考慮すると、格子定数の偏差に対して明らかな傾向を検出することはできない。
【0067】
表2において、異なるオキシオルトシリケート格子間の固溶体形成の表れは、リストに記載された本発明に係る発光物質の各発光パラメータから明らかである。例えば、SESiOの比率増加によって表れ得る放出スペクトルの色座標及び半値幅の規則的な移動は、固溶体形成の確実な表れである。一方で、イットリウムオキシオルトシリケート又はガドリニウムオキシオルトシリケートを組み込み、他方で、ランタンオキシオルトシリケートを組み込むことで差が発生する。これは、各稀土類元素のイオン半径が異なることに起因するものと判断される。
【0068】
本発明の発光物質の発光効率及びその温度依存性は、公知のSrSiO:Eu発光物質に比べて改善されていることを示す。
【0069】
【表2】

【0070】
表2に記載された各結果は、それらの生成方法に基づいて、比較的又はやや高い発光効率を有する発光物質が生成されることを示す。図7は、本発明の実施例1から4に係る発光物質の放出スペクトルを共に示している。
【0071】
物質の湿度安定性を評価するために、当該発光物質の各サンプルは条件化されたチャンバで温度85℃及び相対湿度85%で7日間貯蔵される。その後、各発光体を150℃で乾燥させた後、発光効率の比較測定が行われる。そのような検査の典型的な結果を表3に示す。
【0072】
【表3】

【0073】
データから見ると、SrSiO:Eu構造の公知の発光物質及び基準とするために生成された(Sr2.95Ba0.01Eu0.04)SiO発光物質は、いずれも加湿過程の終了後、もとの発光効率の約70%のみを有する。これに比べて、アルカリ土類金属オキシオルトシリケート及び稀土類金属オキシオルトシリケートを含む混合相格子ベースを有する本発明のユーロピウム―ドーピングオキシオルトシリケート発光物質は、非常に向上した湿度耐性を有する。85℃/85%の湿度(H)雰囲気中で7日間貯蔵された後、90%以上の発光効率、最適化されたサンプルの場合は95%以上の発光効率が依然として示される。
【0074】
本発明の各実施例に係る発光装置は、紫外光又は可視光線領域の光を発生させる発光ダイオードを含む。発光物質は、発光ダイオードの周囲に配置され、発光ダイオードから放出された光の少なくとも一部を吸収し、吸収光とは異なる波長の光を放出することができる。また、発光装置は、オキシオルトシリケート発光物質が発光を起こすEu2+活性に対する格子ベースとして形成される場合、アルカリ土類金属オキシオルトシリケートと稀土類金属オキシオルトシリケートとの間の固溶体、いわゆる混合相を用いることができる。このような固溶体の形成は、固体状の基材の安定性と、大気湿度及び他の環境的要因に対する当該発光体の実質的に改善された耐性をもたらす。本実施例で、本発明の発光物質の寿命及びそれから製造された発光装置の寿命を恒久的に向上させることができる。
【0075】
前記発光物質は、化学式(1−x)MIISiO・xSESiO:Euで表わすことができる。
【0076】
本発明に係る発光物質の群は、Eu2+―ドーピングケイ酸塩発光体を含むが、このために、アルカリ土類金属オキシオルトシリケートと稀土類金属オキシオルトシリケートとの間の固溶体、いわゆる混合相が格子ベースとして用いられる。2つの異なるオキシオルトシリケート類型間の固溶体の形成は、特定の濃度範囲内において可能であり、検出された特徴によると、(1−x)MIISiO・xSESiOで表わされる。
【0077】
前記一般的な化学構造式において、MIIは、望ましくはSrのアルカリ土類金属イオンであり、又は他のアルカリ土類金属イオン又はマグネシウム、カルシウム、バリウム、銅、亜鉛及びマンガン元素からなる群より選ばれる2価金属イオンであってもよいが、これらイオンは、一般的に、ストロンチウムに加えて、互いに定量混合されて用いられてもよい。ただし、バリウムの場合は、ストロンチウムを完全に置換することが可能である。一方、ストロンチウムに加えて添加される他の2価金属イオンの比率は最大0.5であってもよい。
【0078】
化学式に使用された記号SEは、稀土類金属を示し、イットリウム、ランタン及びいわゆるランタン族元素、すなわち、原子番号58から71の元素の3価金属イオンを示すが、望ましくは、イットリウム、ランタン、ガドリニウム及びルテチウムの対応する各イオンを示す。これらイオンは、個別の成分又は互いの混合物として基材内に含有されてもよい。
【0079】
ユーロピウムとは別に、及び、このドーピング元素に加えて、原理的に、サマリウム又はイットリウムなどの2価稀土類金属イオン、又はセリウムイオン(Ce3+)などの特定3価稀土類金属イオンも活性剤として用いることができる。
【0080】
発光性及び安定した挙動を最適化する目的で、発光物質の組成物の場合は追加的な変形が可能である。したがって、必要であれば、例えば、シリコンがゲルマニウムに、及び/又はアルミニウム、ガリウム、ホウ素又はリンに置換可能であるが、最後に言及されたケースでは、電荷均衡を維持するための適切な措置を取らなければならない。これは、例えば、リチウム、ナトリウム又はカリウムなどの1価陽イオン又はフッ素、塩素、臭素又はヨウ素などの陰イオンを本発明に係る格子ベース内に追加的に含有させてもよい。
【0081】
望ましい実施例において、本発明に係る発光物質は、化学式(1−x)(Sr3−a−b−zBaCaIIEu)SiO・xSESiOを有するが、ここで、MII=Mg、Cu、Zn及び/又はMnであり、SE=Y、La、Gd及び/又はLu及び/又は原子番号58から71のランタン族からなる群より選ばれる他の元素であり、x≦0.2、特にx≦0.1であり、0≦a≦3、0≦b≦0.05、0≦c≦0.05及びz≦0.25のモル比率である。
【0082】
アルカリ土類金属オキシオルトシリケート及び稀土類金属オキシオルトシリケートは、各自の陽イオンの性質と電荷に関して互いに異なるだけでなく、実質的に異なる結晶構造を有する。この理由は、アルカリ土類金属化合物が空間群P4/nccを有する正方晶系格子を形成する一方、稀土類金属オキシオルトシリケートは空間群P2/c及びB2/bを有する単斜晶系に結晶化されるためである。
【0083】
化合物の2つの類は、稀土類金属活性剤でドーピングするのに適したホスト格子として知られている。アルカリ土類金属オキシオルトシリケートは、記載したように、望ましくは2価イオン、例えば、Eu2+イオンでドーピングされる一方、3価稀土類金属イオン、例えば、Eu3+又はCe3+活性剤が当然に稀土類金属オキシオルトシリケート格子ベース内に含まれる。このような文脈において、発光物質YSiO:Ceは、この類の発光物質の特に知られた代表的な例として言及され、イオン化又は紫外光により励起されるとき、効果的な方式で可視スペクトルの青色領域から放出し、その結果、特にX線探知機、電子ビームチューブ又はPDPディスプレイに用いることができる。
【0084】
本発明によると、アルカリ土類金属及び稀土類金属オキシオルトシリケートは、特定の濃度範囲内で、固溶体、すなわち、互いの結晶混合相を形成し、このような格子ベースのEu2+活性により、非常に高い湿度安定性を有する効率的な発光物質になる。固溶体を形成するための濃度範囲は、最大15モル%の稀土類金属オキシオルトシリケートに達する。
【0085】
高エネルギー放射で励起すると、本発明に係る発光物質は、それらの特定の化学的組成によってスペクトルの可視部分、望ましくは560から620nmの範囲内で放射する。Eu2+発光に対する励起は、220nmの紫外光範囲から550nmの可視範囲まで延長されるが、これは、本発明の発光体が緑色励起放射によっても励起され、効率的な黄色及びオレンジ色又は赤色の発光を示すことができることを意味する。強力かつ技術的に利用可能な発光過程は、電子ビーム、X線ビーム又はガンマ放射と共に、発光物質の発光時にも発生し得る。このような発光性質のため、発光物質は、紫外光、青色又は緑色の放射を、望ましくは黄色、オレンジ色又は赤色のスペクトル範囲で放出される長波長の可視光線に変換させる放射変換体として用いることができる。したがって、発光物質は、例えば、陰極管及びその他の映像システム(例えば、走査レーザービームシステム)、X線映像コンバータ、蛍光ランプ、有色又は白色の光を放出する発光装置、太陽電池又は温室シート及びガラス板など多くの技術装置において、放射変換体として単独又は青色、緑色、黄色及び/又は赤色の光を放出する他の発光物質と共に用いることができる。
【0086】
本発明に係る発光装置は、発光ダイオードと発光物質との組み合わせによって白色光又は所望の色の光を実現してもよい。例えば、発光ダイオードから放出された光と発光物質から放出された光との混合により、白色光又は所望の色の光を実現してもよい。また、前記発光物質以外の他の発光物質が追加され、所望の色の光を実現してもよい。
【0087】
発光物質は、発光ダイオードの側面、上面及び下面のうち少なくともいずれか一面に配置されてもよい。また、発光体は、接着剤又はモールディング部材に混合されて発光ダイオードの周囲に配置されてもよい。
【0088】
一方、発光ダイオード及び発光物質は、一つのパッケージ内に結合されてもよい。これに加えて、パッケージ内に他の発光ダイオードを結合してもよい。他の発光ダイオードは、前記発光ダイオードと同一又は異なる波長の光を放出するものでもよい。例えば、発光物質の発光ピーク波長より長波長の光を放出してもよい。
【0089】
パッケージは、印刷回路基板又はリードフレームのような発光ダイオードが実装される基板を含む。これに加えて、パッケージは、発光ダイオードから放出された光を反射するリフレクタをさらに含んでもよい。この場合、発光ダイオードはリフレクタ内に実装される。
【0090】
また、発光装置は、基板の上で発光ダイオードを封止するモールディング部材をさらに含んでもよい。発光物質は、モールディング部材内に分布されてもよいが、これに限定されることはない。
【0091】
また、パッケージはヒートシンクを含んでもよく、発光ダイオードはヒートシンクの上に実装されてもよい。
【0092】
一方、本発明の各実施例において、発光ダイオードは、(Al,Ga,In)Nベースの化合物半導体で形成された発光ダイオードであってもよい。
【0093】
発光ダイオードは、n型半導体層とp型半導体層との間に単一の活性領域を有する、例えば、ダブルヘテロ構造、単一量子井戸構造、多重量子井戸構造の発光ダイオードであってもよい。
【0094】
また、発光ダイオードは、単一の基板の上に互いに隔離された複数の発光セルを備えてもよい。各発光セルは、それぞれ活性領域を備えており、これら発光セルは、交流電源下で直接駆動できるように配線を介して電気的に直列及び/又は並列に接続されてもよい。このような交流用発光ダイオードは、単一の基板の上に互いに接続されたブリッジ整流器と各発光セルの直列アレイとを形成することによって、又は、単一の基板の上に互いに逆並列に接続された各発光セルの直列アレイを形成することによって、外部の直流―交流変換器がなくても交流電源に接続して駆動することができる。
【0095】
当該技術分野の当業者にとって、本発明の趣旨又は範囲を逸脱しない範囲で多様な修正と変更が可能であることは明らかであろう。したがって、添付の特許請求の範囲及びその等価物の範囲に属する本発明の修正及び変更は本発明に含まれることを明らかにしておく。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光ダイオード;及び
前記発光ダイオードの周囲に配置され、前記発光ダイオードから放出された光の少なくとも一部を吸収し、吸収光とは異なる波長の光を放出する発光物質を含み、
前記発光物質は、アルカリ土類金属オキシオルトシリケートと稀土類金属オキシオルトシリケートとの間の混合相形態の固溶体が発光を起こすEu2+活性に対する格子ベースとして用いられるEu2+―ドーピングケイ酸塩発光体を含む発光装置。
【請求項2】
前記発光体は、化学式(1−x)MIISiO・xSESiO:Euで表わされ、
ここで、前記MIIは、2価金属イオンを示し、ストロンチウムイオン及びバリウムイオンからなる群より選ばれる少なくとも一つを含み、前記SEは稀土類金属を示すことを特徴とする、請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記MIIは、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)及びマンガン(Mn)からなる群より選ばれる少なくとも一つの2価金属イオンをさらに含むことを特徴とする、請求項2に記載の発光装置。
【請求項4】
前記発光体において、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)及びマンガン(Mn)からなる群より選ばれる少なくとも一つの2価金属イオンの比率は最大0.5であることを特徴とする、請求項3に記載の発光装置。
【請求項5】
前記稀土類金属は、イットリウム(Y)、ランタン(La)及び原子番号58から71のランタン族からなる群より選ばれる少なくとも一つの3価金属イオンを含む、請求項2に記載の発光装置。
【請求項6】
前記稀土類金属は、イットリウム(Y)、ランタン(La)、ガドリニウム(Gd)及びルテチウム(Ru)元素からなる群より選ばれる少なくとも一つの3価金属イオンを含む、請求項2に記載の発光装置。
【請求項7】
前記発光体は、活性剤として、ユーロピウム(Eu)に加えて、2価稀土類金属イオン又は3価稀土類金属イオンをさらに含む、請求項1に記載の発光装置。
【請求項8】
前記2価稀土類金属イオン活性剤は、サマリウム又はイットリウムイオンである、請求項7に記載の発光装置。
【請求項9】
前記3価稀土類金属イオン活性剤は、セリウムイオン(Ce3+)である、請求項7に記載の発光装置。
【請求項10】
前記発光体は、化学式(1−x)(Sr3−a−b−zBaCaIIEu)SiO・xSESiOで表わされ、
ここで、前記MIIは、マグネシウム(Mg)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)及びマンガン(Mn)からなる群より選ばれる少なくとも一つで、
前記SEは、イットリウム(Y)、ランタン(La)及び原子番号58から71のランタン族からなる群より選ばれる元素で、
x≦0.2、
0≦a≦3、0≦b≦0.05、0≦c≦0.05及び
z≦0.25である、請求項1に記載の発光装置。
【請求項11】
x≦0.1である、請求項10に記載の発光装置。
【請求項12】
前記発光ダイオードから放出された光と前記発光物質から放出された光との混合によって白色光又は所望の色の光が実現される、請求項1に記載の発光装置。
【請求項13】
前記発光物質は、略560nmから略620nmの間に発光ピーク波長を有する光を放出する、請求項1に記載の発光装置。
【請求項14】
前記発光ダイオード及び前記発光物質は一つのパッケージ内に形成されている、請求項1に記載の発光装置。
【請求項15】
前記パッケージ内に形成された他の発光ダイオードをさらに含み、前記他の発光ダイオードは、前記発光物質の発光ピーク波長より長波長の光を放出する、請求項14に記載の発光装置。
【請求項16】
前記パッケージは基板を含み、
前記発光ダイオードは前記基板の上に実装される、請求項14に記載の発光装置。
【請求項17】
前記基板は印刷回路基板又はリードフレームを含む、請求項16に記載の発光装置。
【請求項18】
前記基板の上で前記発光ダイオードを封止するモールディング部材をさらに含み、
前記発光物質は前記モールディング部材内に分布されている、請求項17に記載の発光装置。
【請求項19】
前記パッケージはヒートシンクを含み、
前記発光ダイオードは前記ヒートシンクの上に実装される、請求項14に記載の発光装置。
【請求項20】
前記発光ダイオードは、複数の発光セルを有する発光ダイオードである、請求項1に記載の発光装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2012−531736(P2012−531736A)
【公表日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−517369(P2012−517369)
【出願日】平成22年5月26日(2010.5.26)
【国際出願番号】PCT/KR2010/003302
【国際公開番号】WO2011/004961
【国際公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【出願人】(507194969)ソウル セミコンダクター カンパニー リミテッド (66)
【住所又は居所原語表記】148−29,Gasan−dong,Geumcheon−gu,Seoul,Republic of Korea
【Fターム(参考)】