説明

オゾン含有水噴射装置

【課題】オゾン含有水を用いて、肛門などの会陰部周辺の洗浄及び/又は治療が可能で、しかも使用者の健康を害することがないオゾン含有水噴射装置を提供する。
【解決手段】オゾン含有水を肛門及び/又は会陰部周辺に噴射して洗浄及び/又は治療するためのオゾン含有水噴射装置であって、上端縁に臀部保持部2が設けられた鉢体1を有し、鉢体1の内部にオゾン含有水を噴射可能な噴射ノズル3が設け、原料水の給水口4とオゾン含有水発生機構12とが原料水給水管5aで繋がれていると共に、オゾン含有水発生機構12と噴射ノズル3とがオゾン含有水給水管5bで繋がれており、オゾン含有水発生機構12に導入された原料水を用いてオゾン含有水を製造し、オゾン含有水を噴射ノズル3に供給、原料水給水管内の圧力を検出する圧力検出器13が設け、オゾン含有水発生機構12が圧力検出器3による検出圧に基づいて作動することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はオゾン含有水噴射装置に関し、詳しくは、治療用及び/又は衛生用の高濃度のオゾン含有水を、安定して且つ安全に噴射可能なオゾン含有水噴射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
オゾンは強力な酸化力を有していることから、殺菌作用、消炎鎮痛作用、循環賦活作用、酸化分解作用を有することが知られている。このようなオゾンの利用法として、オゾン含有水の噴射が可能な便器の提案が従来から行われてきた。即ち、オゾン含有水を肛門や会陰部周辺に噴射して、肛門等を洗って衛生状態を向上させることができ、更に便器各部における有機化合物の分解、殺菌、防臭、防汚等を図ることができるオゾン含有水噴射洗浄装置を組み込んだ便器の開発が、従来から行われてきた(特許文献1、特許文献2)
【0003】
しかし、これらの洗浄装置においては、生成させたオゾンガスと水を単に混合することだけで溶解させるオゾン曝気法によりオゾン含有水を製造していたので、十分な効果が得られなかった。即ち、オゾンガスの水への溶解効率が低いことから、殺菌性、消毒性、酸化分解性が不十分で、使用者の会陰部周辺等を洗浄し清潔感をあたえることはできるが、使用者の会陰部周辺等を消毒し、更に病的状態の改善をすることができない装置であった。
【0004】
例えば、引用文献1のオゾン水生成装置においては、オゾン発生装置で、放電している電極間に空気を通過させてオゾンガスを発生させ、オゾン混合装置で、オゾンガスをタンクへ溜めた水の中へ吹き込んで溶解させ、オゾン水を製造している。また、特許文献2のオゾン水生成装置においては、紫外線励起法や、無声放電法や、プラズマ共振型放電方式で発生させたオゾンガスと、水道水を生成タンクに入れてオゾン水を製造している。しかし、これらのようなオゾン曝気法では、噴射水のオゾン濃度が低く、0.1ppmのオゾン濃度を実現することも難しいことから、殺菌作用、消炎鎮痛作用、循環賦活作用、酸化分解作用を発揮できるようなオゾン水を得ることはできなかった。
【0005】
なお、オゾン曝気法においても、気相のオゾンを製造するオゾナイザ(通常、放電式オゾナイザが使用され、コロナ放電中を酸素を流過させてオゾン化する。)を大型にし、電源装置も大型にし、ボンベに入った純酸素を用いることにより、2〜3ppm程度のオゾン含有水を製造することは可能である。しかし、このような大型の装置は、治療や衛生用途のオゾン含有水噴射装置には不向きで、取付けることは難しい。従って、オゾン曝気法を小型の装置で行って、所望される噴射量のオゾン含有水を製造しようとすると、濃度0.1ppmのオゾン含有水を製造するのも困難になってしまう。このような問題が存在するので、着座型のオゾン含有水噴射洗浄装置は未だ実用化されていないのが実情である。
【0006】
このような状況下、殺菌作用、消炎鎮痛作用、循環賦活作用、酸化分解作用に優れる高濃度のオゾン含有水を肛門及び/又は会陰部周辺に噴射して、これらの治療及び/又は洗浄による衛生化が可能なオゾン含有水噴射装置の開発が期待されている。
【0007】
一方、高濃度のオゾン含有水を用いる場合、安全性を確保する必要がある。即ち、ヒトが高濃度のオゾンガスを鼻や口から吸入すると、呼吸器粘膜が障害され、肺水腫・肺炎等の呼吸器疾患が生じることとなる。従って、高濃度のオゾン含有水から気散するオゾンガスから使用者を保護する必要がある。
【0008】
【特許文献1】特開平10−331233号公報
【特許文献2】特開2004−19417号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、前記従来技術の問題点に鑑み、殺菌性、消毒性、酸化分解性に優れる高濃度のオゾン含有水を肛門及び/又は会陰部周辺に噴射して、これらの治療及び/又は洗浄による衛生化を可能ならしめ、しかも使用者の健康を害することがないオゾン含有水噴射装置を提供し、更に肛門及び/又は会陰部周辺のみならず、体の表面に現れている部分であればいかなる部分であっても、オゾン含有水を噴射して治療及び/又は洗浄による衛生化を可能ならしめるオゾン含有水噴射装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、以下に示すオゾン含有水噴射装置が提供される。
〔1〕オゾン含有水を噴射して治療及び/又は衛生化を行うためのオゾン含有水噴射装置であって、
i)オゾン含有水を噴射可能な噴射ノズルを有すること、
ii)原料水の給水口とオゾン含有水発生機構とが原料水給水管で繋がれ、オゾン含有水発生機構と噴射ノズルとがオゾン含有水給水管で繋がれており、オゾン含有水発生機構に導入された原料水を用いてオゾン含有水を製造し、オゾン含有水を噴射ノズルに供給すること、
iii)原料水給水管内又はオゾン含有水給水管内の圧力を検出する圧力検出装置が設けられていること、
iv)オゾン含有水発生機構が圧力検出装置による検出圧に基づいて作動すること、
を特徴とするオゾン含有水噴射装置。
〔2〕上端縁に臀部保持部が設けられた鉢体を有し、該鉢体内部にオゾン含有水を噴射可能な噴射ノズルが設けられており、オゾン含有水を肛門及び/又は会陰部周辺に噴射して肛門及び/又は会陰部周辺を治療及び/又は衛生化するための前記〔1〕に記載のオゾン含有水噴射装置。
〔3〕前記オゾン含有水のオゾン濃度が0.1〜20ppmである前記〔1〕又は〔2〕に記載のオゾン含有水噴射装置。
〔4〕前記オゾン含有水発生機構が、流入口と流出口とを有する通水路と、少なくとも1対の電極とを有し、供給された原料水を電気分解して発生したオゾンを原料水に溶解させる電解式オゾン含有水発生装置である前記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載のオゾン含有水噴射装置。
〔5〕前記〔4〕において、電解式オゾン含有水発生装置の上流に、Na型強酸性陽イオン交換樹脂を充填した陽イオン交換部が設けられ、
該陽イオン交換部で、Ca2+イオンまたは/およびMg2+イオンを含む原料水のCa2+イオン濃度または/およびMg2+イオン濃度を減少させると共にNa+ イオン濃度を高めた後、電解式オゾン含有水発生装置で電気分解することによりオゾン含有水を発生させる装置であるオゾン含有水噴射装置。
〔6〕前記オゾン含有水発生機構が、原料水の給水口とベンチュリー管とを原料水給水管で繋ぎ、ベンチュリー管と噴射ノズルとをオゾン含有水給水管で繋ぎ、オゾン発生装置で発生させたオゾンガスをベンチュリー管の絞り部近傍に注入してオゾンを原料水に溶解させる機構である前記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の用オゾン含有水噴射装置。
〔7〕前記〔6〕において、前記ベンチュリー管の下流に圧力ミクサーが設けられているオゾン含有水噴射装置。
〔8〕 前記オゾン発生装置が、パルス状高電圧を流通空気中で無声放電させてオゾンを発生させるオゾン発生部と、該オゾン発生部で印加するパルス状高電圧の放電エネルギー量を調整する放電エネルギー量調整回路を備え、該流通空気の温度及び湿度に関係なく所定濃度のオゾンを発生させるオゾン発生装置であって、
該放電エネルギー量調整回路が、
流通空気の温度を表す電流信号を形成する温度電流信号形成部と、
流通空気の湿度を表す電流信号を形成する湿度電流信号形成部と、
該温度電流信号形成部からの電流信号と該湿度電流信号形成部からの電流信号とを合成して温度・湿度電流信号とする温度・湿度電流信号合成部と、
該温度・湿度電流信号合成部からの温度・湿度電流信号をパルス状の温度・湿度パルス電圧信号に変換する温度・湿度パルス電圧信号変換部と、
該温度・湿度パルス電圧信号変換部からの温度・湿度パルス電圧信号と基準温度及び基準湿度における温度・湿度基準パルス電圧信号との偏差値を演算する偏差制御演算部を有し、
該偏差制御演算部で得た偏差値に基づき、該オゾン発生部で印加するパルス状高電圧の放電エネルギー量を調整するオゾン発生装置である前記〔6〕又は〔7〕に記載のオゾン含有水噴射装置。
〔9〕前記噴射ノズルをオゾン含有水給水管ごと取外して使用できる前記〔2〕〜〔8〕のいずれかに記載のオゾン含有水噴射装置。
〔10〕前記オゾン含有水給水管の根元または其の途中に、該オゾン含有水給水管を着脱可能な継手部が設けられている前記〔2〕〜〔8〕のいずれかに記載のオゾン含有水噴射装置。
〔11〕前記鉢体の内部のオゾンを排気可能なオゾン排気装置が設けられている前記〔2〕〜〔10〕のいずれかに記載のオゾン含有水噴射装置。
〔12〕前記原料水給水管の途中又はオゾン含有水給水管の途中に、温水化装置が設けられている前記〔1〕〜〔11〕のいずれかに記載のオゾン含有水噴射装置。
【発明の効果】
【0011】
本発明のオゾン含有水噴射装置(以下、単に噴射装置ともいう。)は、高濃度のオゾン含有水を製造して、安定して噴射できる。従って、鉢体を構成要素とはしないフリーなタイプの噴射装置の場合には、体の表面に現れている部分であれば使用者のいかなる部分であっても、オゾン含有水を噴射して治療及び/又は洗浄による衛生化に用いることができる。また、着座型のオゾン含有水噴射装置の場合にはオゾン含有水を肛門及び/又は会陰部周辺に噴射して、これらを治療及び/又は洗浄して衛生化できるため、会陰部周辺等を清潔に保ち、更に痔核、裂肛などの有痛性炎症疾患、鬱血などの循環器障害の発病を防ぎ、既に発病している場合には、効果的に治療することができる。また、本発明のオゾン含有水噴射装置を便器として使用した場合には、高濃度のオゾン含有水により有機化合物の分解、殺菌、防臭、防汚などの副次的効果を得ることもできる。
また、本発明のオゾン含有水噴射装置においては、配管内の圧力を検出する圧力検出器とオゾン含有水発生機構とを連動させることにより、オゾン含有水を噴射ノズルから噴射させる直前で瞬時に水道水などをオゾン含有水に変化させていることから、無駄なオゾンガスやオゾン水を発生させることがなく、使用者の健康も確保される。
また、本発明の着座式のオゾン含有水噴射装置の場合には、鉢体に排気装置を設けることにより、使用者の健康が更に確保される。また、噴射ノズルをオゾン含有水給水管ごと鉢体から取外したり、オゾン含有水給水管に継手部を設けて、先端に固定されていない噴射ノズルが設けられているオゾン含有水給水管を該継手部に繋ぎ込んだりすることにより、体の表面に現れている部分であれば使用者のいかなる部分であっても、オゾン含有水を噴射して治療及び/又は洗浄による衛生化に用いることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明のオゾン含有水噴射装置について、図面を用いつつ詳細に説明する。
本発明の本発明のオゾン含有水噴射装置の目的は、高濃度のオゾン含有水を噴射して使用者を治療及び/又は衛生化すると共に、気散したオゾンガスが使用者の健康を損なうことがないようにすることである。即ち、本発明の噴射装置特徴は、高濃度のオゾン含有水を用いて使用者を治療及び/又は衛生化できるという機能を有することと、更に使用者の健康を守るための安全装置として、給水管内の圧力を検出し、その検出圧に基づいてオゾン含有水発生機構を作動させるという機能を有することにある。
【0013】
このような特徴を有する、本発明の噴射装置は、鉢体と組み合わせて、会陰部周辺等を専門に治療及び/又は衛生化する着座型の噴射装置として構成することもできれば、鉢体と切り離すことにより、体の表面に現れている部分であればいかなる部分であっても、オゾン含有水を噴射して治療及び/又は洗浄による衛生化に用いるフリーな噴射装置として構成することができる。
【0014】
フリーな噴射装置の場合には、図3、図5に示すように、噴射ノズル3とオゾン含有水発生機構12とがオゾン含有水給水管5bで繋がれ、原料水の給水口4とオゾン含有水発生機構とが原料水給水管5aで繋がれている。従って、オゾン含有水発生機構に供給された原料水で高濃度のオゾン含有水が製造され、該オゾン含有水を噴射ノズルで噴射して、使用者を治療したり及び/又は洗浄により衛生化したりすることができる。
【0015】
フリーな噴射装置の場合、噴射ノズル3をピストル型にし、更にピストル型の引き金を引くとオゾン含有水が噴射するようにすることが、使いやすいので好ましい。
【0016】
本発明の着座型の噴射装置は、図1に示すように、上端縁に臀部保持部2が設けられた鉢体1を有し、該鉢体1の内部には、オゾン含有水を噴射可能な噴射ノズル3が設けられており、更にオゾン含有水とオゾン含有水発生機構12とがオゾン含有水給水管5bで繋がれ、オゾン含有水発生機構12と給水口4とが原料水給水管5aで繋がれている。従って、オゾン含有水発生機構に供給された原料水で高濃度のオゾン含有水が製造され、該オゾン含有水を噴射ノズルで噴射して、使用者の絵陰部付近を治療したり及び/又は洗浄により衛生化したりすることができる。
なお、原料水給水管5aとオゾン含有水給水管5bとを総称して、給水管5ともいう。
【0017】
着座型の噴射装置の場合には、噴射ノズル3は、二つ設けられていてもよい。噴射ノズル3が二つあれば、一方のノズルを肛門用に、他方のノズルを女性器用に用いることができる。また、噴射ノズル3は、前進後退可能に設けられていることが好ましい。このようになっていると、オゾン水噴射時のみ前進させ、通常は後退させておくことにより、便器としても使用することができる。
【0018】
また、着座型の噴射ノズル3は、オゾン含有水給水管5bごと鉢体1から取外し可能にすることができる。この場合、前進後退可能な噴射ノズル3であつてもよいが、単なる嵌め込み型の噴射ノズル3の方が、構造が単純で、容易に取外し、取付けができるので好ましい。
【0019】
また、着座型の噴射装置の場合、オゾン含有水給水管5bの根元または其の途中に、オゾン含有水給水管5bを着脱可能な継手部(図示せず。)を設けて、鉢体1に固定されていない噴射ノズルが設けられたオゾン含有水給水管を取付け可能にすることができる。このようにしておけば、オゾン含有水給水管5bの長さを適正にすることにより、肛門や会陰部周辺以外の体の部分の治療や洗浄による衛生化を行うことができる。
【0020】
なお、オゾン含有水給水管5bの材質としては、ステンレス材料、塩化ビニール等のオゾン耐性材料を用いることが好ましい。
また、着脱可能な継手部は、オゾン含有水が漏れてさえこなければいかなる構造のものであってもよく、単なる嵌め込み方式のものであってもよい。該継手部の材料としては、ステンレス材料、塩化ビニール、テフロン等のオゾン耐性材料を用い、継ぎ手内部のパッキンにはバイトンなどのオゾン耐性弾性材料を使用することが好ましい。
【0021】
前記原料水給水管5aの途中、又はオゾン含有水給水管5bの途中には、温水化装置が設けられていることが好ましい。温水化装置で温めたオゾン含有水を噴射すれば、肛門や会陰部周辺、更にその他の体の部分を快適に治療したり、快適に洗浄して衛生化することができる。温水化装置としては、図1、図3、図5に示すように、内部の水を加熱可能な温水化タンク7を設けることもできれば、給水管5を急速に加熱して温水化できるように構成してもよい。
【0022】
前記鉢体1の上端縁の後方には、図1に示すように、鉢体1へ取付可能な固定部8が設けられ、前記噴射ノズル3は固定部8の下方に取付けられており、前記臀部保持部2が、固定部8に軸支され上下方向に回動可能な環状の臀部保持座2bとして構成されていることが好ましい。更に、臀部保持座2bと同様に固定部8に軸支され上下方向に回動可能で、臀部保持座2b全体を覆い隠すことができる蓋部9が設けられ、本発明の装置の未使用時には臀部保持座2bの開口部を密閉できるように構成されていることが好ましい。このような装置は、便器としても好適に使用できるものである。
【0023】
本発明の噴射装置の場合、前記鉢体の内部に、噴射されたオゾン含有水からオゾンガスが気散した場合であっても、オゾンを排気可能な酸素に変換するオゾン排気装置18が設けられていることが好ましい。該排気装置18により、鉢体内に気散してきたオゾンを排気し、酸素に変換すれば安全性がより確実に確保される。また、本発明の噴射装置を便器として使用する場合には、脱臭装置としても使用することができる。該オゾン排気装置としては、例えば、前記臀部保持部2に着座検知センサーを設け、鉢体内空気を吸気する吸気口を前記鉢体内に臨むように設け、排気口より鉢体内空気を排気する排気ファンを設け、前記人体検知センサーが人体の検知状態になったときに該排気ファンが作動するようにすることが挙げられる。
【0024】
該オゾン排気装置には、オゾン無害化部材が付設されていることが好ましい。この場合のオゾン無害化部材としては、例えば、オゾンを分解して、無害の酸素ガスに変換するオゾン分解装置や、オゾン吸着剤(活性炭等)などを用いることができる。該オゾン分解装置は、通常、オゾン分解触媒層からなる。このようなものは、通常よく知られているものである。具体的には、オゾン無害化装置としては、触媒として二酸化マンガン、酸化第一鉄、酸化ニッケル、アルミナ・シリカの混合剤等を中空管に充填して形成した触媒管を用いることができる。オゾン含有ガスを、この触媒管を流通させることにより、オゾンは無害の酸素ガスに変換される。
【0025】
また、本発明の噴射装置(フリーなタイプ及び着座型共に)が配備される部屋に喚排気装置を設けて、万一、オゾンが室内に漏れ出た場合であっても使用者の健康が確保されるようにすることが好ましい。この場合にも、排気装置には前記オゾン無害化部材が付設されていることが好ましい。なお、オゾンは酸素より重いので、排気装置の排気口は部屋の下部に設ける必要がある。
【0026】
また、本発明の着座式の噴射装置には、給水管5とは別の給水管から給水される貯水タンク10を設けて、スイッチやレバーを押せば貯水タンク10内の水が鉢体1の中に供給され、鉢体1内部の汚物と共に外部に排水されるように構成されていることが好ましい。このようなものは、水洗便器としても用いることができる。
【0027】
以上説明した鉢体、臀部保持部、噴射ノズル、原料水給水管は新たに作製することもできるが、特に着座式の噴射装置の場合には、市販の便器用温水洗浄装置をそのまま利用することができる。即ち、市販の温水洗浄装置の原料水の給水系を利用又は改造して、後述するオゾン含有水発生機構、圧力検出器、作動機構を組み込むことにより本発明の装置を得ることができる。この場合、噴射ノズルの構造やその噴射角度、噴射圧、温水化装置、噴射流量、人着座検出機構、操作機構などについては、温水洗浄装置について既に開発された公知技術を利用することができる。このような温水洗浄装置としては、東陶機器株式会社製の「ウォシュレット」、イナックス株式会社の「シャワートイレ」などが挙げられる。この場合、脱臭機能がついたタイプのものが、脱臭装置を前記オゾン排気装置として使用できるので好ましい。
【0028】
本発明の噴射装置は、高濃度のオゾン含有水を用いて、使用者を治療及び/又は洗浄による衛生化のための装置であり、そのために高濃度のオゾン含有水を供給し、噴射ノズル3を通して噴射する機構が設けられている。次に、本発明の噴射装置における噴射用のオゾン含有水の供給について説明する。
【0029】
本発明における噴射用のオゾン含有水の供給は、図1、図3、図5に示すように、給水口4と、必要に応じて設けられた温水化タンク7と、吐出ポンプ11と、噴射用オゾン含有水製造機構12と、噴射ノズル3とを給水管5で繋いだ給水系を通して行われる。なお、治療及び/又は洗浄による衛生化のための温水の加熱温度は、22〜38℃が好ましい。
但し、図1、2、5においては、原料水給水管5aの途中に温水化タンク7が設けられているが、オゾン含有水用給水管5bの途中に設けることもできれば、温水化タンク7に換えて給水管5にヒーターを取付けて瞬間的に加熱することもできる。
【0030】
給水口4には水が供給され、水としては、通常では水道水が用いられるがイオン交換水や蒸留水を用いることもできる。
【0031】
温水化タンク7や、給水管5にヒーターを取付けて瞬間的に加熱することについては、従来の温水洗浄装置の知見を応用することができる。また、吐出ポンプ11も、該温水洗浄装置と同様のものを用いることができる。

【0032】
本発明の噴射装置の給水系には、図1、図3、図5に示すように、給水管内の圧力を測定する圧力検出器13が設けられており、前記噴射用のオゾン含有水製造機構12は、圧力検出器13による検出圧に基づいて作動するように構成されている。このように構成されていると、圧力検出器13で給水管内の圧力を測定及び/又は検知し、給水の圧力が所定の値以上になった場合には、オゾン含有水発生機構12が作動することによりオゾン含有水が製造されるが、給水の圧力が所定の値に達していない場合には、オゾン含有水の製造は行われない。即ち、吐出ポンプ11が動作して噴射ノズル3から水が噴射されると同時にオゾン含有水の製造が開始されて、吐出ポンプ11と噴射ノズル3の間に溜まっていた水の噴射が終了すると、続いて高濃度のオゾン含有水が噴射される。従って、噴射ノズルから水が噴射されていない場合には、オゾンは生成することがないので、使用者がオゾンを吸入することが防止される。なお、噴射スイッチを押してから高濃度のオゾン含有水が噴射されるまでの時間は、通常0.5〜10秒であり、0.5〜5秒が好ましく、0.5〜3秒がより好ましく、0.5〜1.0秒以内が更に好ましい。吐出ポンプ11と噴射ノズル3の間に溜まっていた水の噴射が終了するまでには、1秒程度は必要であり、10秒以下であれば洗浄用途に短時間のみ噴射する場合でも、オゾン含有水の洗浄による衛生化効果を得ることができる。
【0033】
高濃度のオゾン含有水が噴射している間だけオゾン含有水製造機構12を作動させるためには、0.01〜0.1MPaでオゾン含有水発生機構が作動するようにすることが好ましく、より好ましくは0.03〜0.06MPaである。但し、本発明におけるオゾン含有水発生機構の作動範囲は、この範囲に限定されるものではない。
【0034】
給水管5内の圧力を測定する圧力検出器としては、測定範囲が0〜0.1MPaのものを用いることが好ましくこのような圧力検出器としては、例えば、ファイバーブラックグレーティング(FBG)技術を用いたFOS&S社製「P−01」が挙げられる。但し、本発明においては、圧力検出方法はこれに限定されることがなく、水圧を測定する既存技術の歪みゲージや超音波を用いたもの、ストレンゲージを利用したものなど所望される範囲の水圧を検出測定できるセンサーであればいかなるものでも使用できる。
但し、本発明における圧力検出器の測定範囲は、この範囲に限定されるものではない。
【0035】
圧力検出器13の取付け位置は、図1、図3、図5に示すように、吐出ポンプ11とオゾン含有水製造機構12との間の原料水給水管5aに設けることが、吐出ポンプが動作した事を圧力で容易に検出確認できるので好ましい。但し、本発明においては、この位置に限定されることがなく、オゾン含有水製造機構12と噴射ノズル3との間のオゾン含有水給水管5bに設けることもできる。
【0036】
オゾン含有水発生機構12が圧力検出器13による検出圧に基づいて作動するようにするには、圧力検出器13から設定圧力に達したことを知らせる信号を受けた場合に、オゾン含有水発生機構12が作動しさえすれば、その方式に制限はないが、例えば、水圧検出器SMC社製「ISG111−031」を用い、設定圧力以上になったことを検出した際に出力されるa接点をオゾン含有水発生機構の電源が入るように作動する「オゾン水生成起動回路」を構成すればよい。

【0037】
本発明の噴射装置で用いられるオゾン含有水の濃度は、0.1ppm〜20ppmが好ましい。オゾン濃度0.1ppm未満では、殺菌作用、消炎鎮痛作用、循環賦活作用、酸化分解作用が不十分になる虞があり、20ppm超では、オゾン水濃度を上げるためにオゾン発生能力を増大させる必要があり、これに対応して排オゾンガスの処理を確実に行わなくてはならず、そのために設備増大や消費電力が増大するので実効的ではない。更に、洗浄による衛生化のみを目的とする場合には、オゾン濃度は0.1ppm以上1ppm未満で十分であり、その下限は0.3ppmが好ましく、0.5ppmがより好ましく、その上限は、0.8ppmがより好ましい。また、1〜20ppmのオゾン濃度は、治療目的に用いるのに十分な濃度であるが、日本医療・環境オゾン研究会の事例によれば体表面に対して高濃度のオゾン水接触は薦められていないことから、1〜10ppmのオゾン濃度がより好ましく、その下限は2ppmがより好ましく、その上限は5ppmがより好ましく、4ppmが更に好ましい。
但し、本発明の噴射装置は、1〜20ppmのオゾン含有水を噴射することによる、洗浄による衛生化装置として用いることができる。
【0038】
本発明の噴射洗浄装置で用いられるオゾン含有水の噴射流量は、0.1〜3L/minが好ましく、其の下限は、より好ましくは0.2L/minであり、其の上限はより好ましくは1.5L/min、更に好ましくは0.8L/minである。該噴射流量が少なすぎると、治療効果、洗浄による衛生効果が得られにくくなり、該噴射流量が多すぎると、治療効果、衛生効果を得るという目的から逸脱して不要な噴射を行うことになり、治療効果、衛生効果を損なう虞もあるので、好ましくない。
【0039】
次に、0.1〜20ppmのオゾン含有水を流量0.1〜3L/minで製造できるオゾン含有水発生機構について説明する。
本発明において、前記濃度のオゾン含有水を製造することができるオゾン含有水発生機構には二つの態様がある。その一つは、(A)電解式オゾン水生成装置で生成させたオゾン含有水を用いる機構であり、他の一つは、(B)オゾン発生器で発生させたオゾンガスを、該給水管途中に設けられたベンチュリー管の絞り部近傍に注入してオゾンを原料水に溶解させる機構(以下、ベンチュリー管方式ともいう。)である。
【0040】
即ち、(A)電解式オゾン水生成装置を用いる機構の場合、図2に示すように、流入口52と流出口53とを有する通水路54と、該通水路54内に設けられた少なくとも1対の電極51a、51bとを有し、該通水路54内で、供給された原料水を電気分解し、発生したオゾンを原料水に溶解させる装置が用いられる。
【0041】
また、(B)ベンチュリー管方式による機構の場合、図5、図6に示すように、オゾン発生装置15aで発生させたオゾンガスを、ベンチュリー管方式のオゾン溶解部15bで原料水に溶解させる装置が用いられる。即ち、原料水の給水口4とベンチュリー管16とを原料水給水管5aで繋ぎ、ベンチュリー管16と噴射ノズル3とをオゾン含有水給水管5bで繋いでオゾン溶解部15bを構成し、オゾン発生装置15aで発生させたオゾンガスをベンチュリー管16の絞り部近傍に注入してオゾンを原料水に溶解させる装置が用いられる。
【0042】
なお、本発明の噴射装置は、前記の通り圧力検出器による検出圧が所定圧力を超えると、電解式オゾン水生成装置の電源装置またはオゾン発生器が作動するように構成されている。(A)電解式オゾン水生成装置に於いては流水が電気分解されてオゾンが発生し、該オゾンが直ちに流水に溶解してオゾン含有水が発生し、ノズルからオゾン含有水が噴射される。また、(B)ベンチュリー管方式に於いてはオゾン発生器の作動と同時にベンチュリー管にオゾンガスが注入されて溶解することによりオゾン含有水が生成され、ノズルからオゾン含有水が噴射される。この圧力検出器とオゾン含有水製造機構とを結ぶ前記電気回路が設けられているので、断水やポンプ故障等により水圧が発生しないときはオゾン含有水製造機構に電源が入らず、オゾンが発生せず、オゾン含有水が製造されることもない。従ってオゾンガスの放出が阻止され、安全を保つ事が出来る。また、待機中の無駄な電力消費が抑えられ、省電力機能も達成される。
【0043】
(A)電解式オゾン水生成装置としては、図2に示すように、固形電解質膜55の一面と他面とに、直流電圧を印加した陽極電極51aと陰極電極51 bとを重ね、陽極電極51a側に供送された水を電気分解してオゾン水を得るようになし、陽極電極51aにオゾン発生触媒機能を有した貴金属製の金網を使用し、この陽極電極51aの外面側には耐食性金属で製造したラス網56を重ね、陽極電極51aとラス網56とは、一端の水流入口52と、他端のオゾン水流出口53と、水流入口52とオゾン水流出口52とを結ぶ通水路54を有するジャケット57内に密入してなる装置が好ましい。このような装置については、特開平8−134677号公報、特許3297227号公報に開示されている。
【0044】
より好ましい(A)電解式オゾン水生成装置としては、固形電解質膜(イオン交換膜)を介して設けられた陽極室と陰極室と、陽極室と陰極室には夫々金網からなる電極と概略菱形の開口部を有するラス網とが上記固形電解質膜側から順次配設された通水路とからなり、通水路の一端に水流入口が設けられ、通水路の他端にオゾン水流出口が設けられ、通水中に電位を加え電気分解する事によりオゾン水が得られるものである。この電解式オゾン水生成部については、特開平11−33559号公報に詳細に開示されている。
【0045】
前記の電解式オゾン水生成装置においては、電解質膜表面で発生したオゾンは、電解質膜表面に流れ込む流水に、効率よく溶解する。その結果、オゾンが瞬時に原料水に溶解して、流れる原料水中のオゾン水濃度が累積されて高濃度のオゾン含有水が得られる。 さらに電解反応に伴って電極表面ではO、O 及びH のガスが発生されて気泡が生成されると、電極表面の水濃度が低下し電極反応が抑制されるが、ラス網の上記開口部を通過する水流によって常に強制的に水が電極に供給されるので、電極反応の抑制がなく安定してオゾン含有水が生成する。
【0046】
前記電解式オゾン水生成装置を用いる場合のオゾン含有水発生機構としては、図4に示すように、Na型強酸性陽イオン交換樹脂を充填した陽イオン交換部14aと電解式オゾン水生成部14bとで構成し、電解式オゾン水生成部14bとして前記の電解式オゾン水生成装置を用い、該陽イオン交換部で、Ca2+イオンまたは/およびMg2+イオンを含む原料水(水道水)のCa2+イオン濃度または/およびMg2+イオン濃度を減少させると共にNa+ イオン濃度を高めた後、該電解式オゾン水生成部で電気分解する機構であることが好ましい。この陽イオン交換部については、特開平10−251883号公報に詳細に開示されている。
【0047】
前記のように、原料水の電解式オゾン水生成装置への導入前に、Na型強酸性陽イオン交換樹脂によって、該原料水に含まれるCa2+イオン,Mg2+イオンを導入前に除去すると共に、Na イオンを原料水中に含有させることにより、原料水の電気伝導度を低下させることなく、Ca、Mgの化合物の析出・付着を防止できるので、長時間にわたって安定してオゾン含有水の製造が可能となる
【0048】
前記の電解式オゾン水生成装置を用いたオゾン含有水発生機構12を用いると、濃度0.1〜20ppmのオゾン含有水を容易に安定して得ることができ、このオゾン含有水がオゾン含有水給水管5bを通ってノズル3から噴射される。
【0049】
この場合、オゾン含有水給水管5bに流す水道水等の給水量、即ち、噴射ノズル3からの噴射流量としては、前記の通り、0.1〜3L/minが好ましく、0.2〜1L/minがより好ましく、更に好ましくは0.2〜0.8L/minである。
【0050】
(A)電解式オゾン水生成装置の市販されているものとしては、例えば、(株)アイ電子工業製の「AOD−PH」が挙げられる。但し、「AOD−PH」はオゾン水の流量が水圧0.1Mpaの場合5〜10L/minなので、0.1〜3L/minに改良して用いなければならない。
【0051】
(B)ベンチュリー管方式においては、前記のように、オゾン発生器15aで発生させたオゾンガスを、ベンチュリー管を用いたオゾン溶解部15bで給水管5中を流れる水道水などの原料水に溶解させることにより、オゾン含有水を製造する。オゾン溶解部15bにおいては、図6に示すように、ベンチュリー管16の絞り部で原料水が絞られて流速が増大し、それに伴い落圧するので、絞り部近傍にはオゾンガスを容易に注入することができ、更に注入されたオゾンガスはベンチュリー管の拡大部で気液混合され、オゾンが水中に溶け込む。この方式によれば、得られるオゾン濃度はオゾン発生器の能力の影響を受けるが、目的とする0.1〜20ppmのオゾン含有水を製造することができる。
【0052】
なお、本明細書における「ベンチュリー管の絞り部近傍」とは、絞り部そのものに加えて、絞り部に向かって流路径が縮小している部分と、絞り部から下流に向かって流路径が拡大している部分とを含む意味である。
【0053】
ベンチュリー管は、使用水量、水圧を考慮して陰圧がオゾンを吸収するのに最適になるように選択すればよい。本発明において好ましく用いられるベンチュリー管としては、例えば、Mazzei Injector Corporation(MLC社製)「Model287」が挙げられる。
【0054】
ベンチュリー管の後方には、図6に示すように、圧力ミクサー17が設けられていることが好ましい。圧力ミクサーは、ベンチュリー管で気液混合されたオゾン含有水液をさらに攪拌し、オゾンガスを微細化して溶解率を向上させオゾン水濃度を上げる事が出来る。
【0055】
圧力ミクサーとしては、内部に流量回転翼を設けた方式のものがオゾンの溶解率が向上するので好ましく、市販品としては、例えば、シンユー技研(株) 社製スーパースタティックミキサーが挙げられる。
【0056】
(B)ベンチュリー管方式で用いるオゾン発生器は、目的とする一定濃度のオゾンを安定して製造することさえできればその方式に制限はないが、次に好ましい一例を説明する。
図7は、本発明で好ましく用いられるオゾン発生器の構成を模式的に示すブロック図である。
該オゾン発生器は、流通空気中でパルス状高電圧を印加することによりオゾンを発生するオゾン発生機構20と、該オゾン発生機構20で印加するパルス状高電圧の放電エネルギー量を調整するオゾン発生用放電エネルギー量調整回路30とを有するものである。
ここで、パルス状高電圧を流通空気中で無声放電させるオゾン発生機構20は、従来公知のものをそのまま利用することができ、このようなものとしては、例えば、(株)中央ネームプレート製作所の「OZ−100P」に装備されているものが挙げられる。
【0057】
オゾン発生機構20は、交流−直流変換部22、直流リップル除去部23、高電圧発生部24、オゾン発生用放電電極(オゾン発生部)25を備える。オゾン発生機構20は、例えばAC100V、50/60Hzの商用電源である交流電源21より電力を入力する。交流−直流変換部22は交流電源21からの交流を直流に変換する。直流リップル除去部23は交流−直流変換部22で交流を直流に変換した際に生じるリップルを除去して平滑化させ、高電圧発生部24に供給する。高電圧発生部24はオゾン発生用放電エネルギー量調整回路30による制御の下でパルス状高電圧を発生し、オゾン発生用放電電極25に供給する。オゾン発生用放電電極25はこのパルス状高電圧により電極間で放電を起こし、流通空気を原料としてオゾンを発生する。
【0058】
上述のように、原料ガスとして空気を用い、無声放電方式でオゾンを発生させるオゾン発生器は、流通空気の性状である温度及び湿度により、発生するオゾン含有ガス中のオゾン濃度が大きく変動する。本発明で用いられるオゾン発生器では、流通空気の温度及び湿度が変動しても、所定濃度のオゾンを発生することを可能とするものである。そこで、該オゾン発生器は、そのオゾン発生部24において無声放電させるパルス状高電圧のエネルギー量を、オゾン発生用放電エネルギー量調整回路30により調整し、オゾン発生部で発生するオゾン量を温度及び湿度に関係なく、一定量となるように制御する。即ち、一定のエネルギーのパルス状高電圧でオゾンを空気中で発生させると、空気中の温度及び湿度の影響を受けてオゾンの発生量が変動するため、その温度及び湿度の影響を補償するための補償機能を有するオゾン発生用放電エネルギー量調整回路を用いることにより、補償されたエネルギー量のパルス状高電圧を作り、これをオゾン発生用放電電極27で放電させることにより、温度及び湿度の変動に関係なく、所定濃度のオゾンを発生させる。
【0059】
具体的には、温度が高くなるとオゾン発生濃度が低くなるため、そのオゾン発生濃度の減少分に応じて高められた放電エネルギー量の電圧(パルス状電圧)を印加する。一方、温度が低くなるとオゾンの発生濃度が高くなるため、オゾン発生濃度の増加分に応じて低められた放電エネルギー量の電圧を印加する。また、湿度が高くなるとオゾンの発生濃度が低くなるため、オゾン発生濃度の減少分に応じて高められた放電エネルギー量の電圧を印加する。一方、湿度が低くなるとオゾンの発生濃度が高くなるため、オゾン発生濃度の増加分に応じて低められた放電エネルギー量の電圧を印加する。そして、実際には、温度の変動分(増減分)と湿度の変動分(増減分)とを合わせたものを全体の変動分とし、その変動分に対応するエネルギー量が補償された放電エネルギー量の電圧を印加し、原料空気の温度及び湿度に関係なく、オゾン含有ガス中のオゾン濃度を一定に維持する(例えば、±5%以内)。
【0060】
本発明で用いられるオゾン発生器におけるオゾン発生用放電エネルギー量調整回路25の放電エネルギー量調整方式としては、
(1)パルス状高電圧の周波数を一定にして振幅(電圧)値を変化させる方式
(2)パルス状高電圧の電圧を一定にして周波数を変化させる方式
(3)パルス状高電圧の電圧及び周波数を一定にしてパルス幅(デューティー比)を変化させる方式(一定の周波数で、電圧を印加する時間を変化させる方式)等を用いることができる。ここでは、(3)のパルス幅を変化させる方式を例に説明する。この方式は、広いオゾン濃度範囲にわたって調整でき、しかも副生成物の発生が少ないことから特に好ましい方式である。もちろん、その他の方式も用途に応じて適宜採用することができることはいうまでもない。
【0061】
本発明で用いられるオゾン発生器によれば、前述したように、オゾン発生機構20に交流電源21から、例えば商用の交流電力が入力され、交流−直流変換部22により交流が直流に変換される。その際に生じるリップルは直流リップル除去部23により除去され、平滑化された直流が高電圧発生部24に供給される。
【0062】
一方、オゾン発生機構20には流通空気が供給され、その空気入口26には、温度計測部31を構成する温度センサーと湿度計測部32を構成する湿度センサーが取付けられており、これらはそれぞれ、流通空気の温度と湿度を検知する。なお、これらの温度センサーと湿度センサーは検知温度と検知湿度をそれぞれ電気信号として取り出せるものであることが好ましく、このようなタイプのものであれば公知の各種センサーを用いることができる。
【0063】
温度計測部31と湿度計測部32で検知された温度と湿度を表す電気信号は、それぞれ温度電圧変換部33と湿度電圧変換部34に送出される。温度電圧変換部33では、予め流通空気の温度とそれに対応する電圧が関連付けられており、温度計測部31からの温度検知信号を受け取り、それを電圧信号に変換し、温度電流変換部35に送出する。なお、温度に対応する電圧としては、例えば基準温度を20℃とした場合、20℃を0V、70℃を+5V、−30℃を−5Vと設定することができる。もちろん、−30℃〜70℃の間の任意の温度と電圧とを関連付けておく。
【0064】
温度電流変換部35では、受け取った電圧信号を予め関連付けられている電流信号に変換し、その電流信号を温度・湿度電流合成部37に送出する。電圧信号の電流信号への変換としては、例えば、電圧−5Vを4mA、0Vを12mA、+5Vを20mAに変換する。
【0065】
一方、湿度電圧変換部34では、予め流通空気の湿度とそれに対応する電圧が関連付けられており、湿度計測部32からの湿度検知信号を受け取り、それを電圧信号に変換し、湿度電流変換部36に送出する。なお、湿度に対応する電圧としては、例えば基準湿度を50%とした場合、50%を0V、100%を+5V、0%を−5Vと設定することができる。もちろん、0%〜100%の間の任意の湿度と電圧とを関連付けておく。
【0066】
湿度電流変換部36では、受け取った電圧信号を予め関連付けられている電流信号に変換し、その電流信号を温度・湿度電流合成部37に送出する。電圧信号の電流信号への変換としては、例えば電圧−5Vを4mA、0Vを12mA、+5Vを20mAに変換する。
【0067】
温度・湿度電流合成部37では、温度電流変換部35からの電流信号と湿度電流変換部36からの電流信号を受け取り、両電流信号の値を加算し、空気入口26での温度及び湿度の両方を反映した合成電流信号とし、温度・湿度パルス電圧変換部38に送出する。
【0068】
温度・湿度パルス電圧変換部38は、温度・湿度電流合成部37で得られた電流(直流)の値に基づいて、パルス状電圧の信号である測定値パルス信号(I)を形成し、偏差演算制御部41に送出する。即ち、温度・湿度電流合成部37からの電流値に応じてパルス状電圧のパルス幅を決める。温度・湿度パルス電圧変換部38としては、アナログ−デジタル変換素子等を用いることができる。なお、本方式では測定値パルス信号(I)の電圧(振幅)値、周波数は、後述の基準値パルス信号(II)の電圧(振幅)値、周波数と同じ値に設定される。
【0069】
一方、温度・湿度基準電圧発生部39は、流通空気の基準温度(例えば、20℃)に対応する電圧と基準湿度(例えば、50%)に対応する電圧とを合計した基準条件時の基準電圧信号を発生し、基準パルス電圧変換部40に送出する。例えば、このときの電圧値は1Vとすることができる。なお、基準温度及び基準湿度は、使用場所や使用目的等に応じて、例えば10〜40℃の範囲内の任意の温度と、30〜80%の範囲内の任意の湿度に設定することできる。
【0070】
基準パルス電圧変換部40は、温度・湿度基準電圧発生部39で得られた基準電圧値に基づいて、パルス状電圧の信号である基準値パルス信号(II)を形成する。即ち、温度・湿度基準電圧発生部39からの基準電圧値に応じてパルス状電圧のパルス幅を決める。基準パルス電圧変換部40としては、アナログ−デジタル変換素子等を用いることができる。この基準パルス信号(II)において、例えば、その電圧(振幅)値は5V、その周波数は800Hz〜2.0kHz、そのパルス幅は1.25mS〜0.5mS程度とすることができる。
【0071】
偏差演算制御部41は、温度・湿度電圧変換部38からの測定値パルス信号(I)と基準パルス電圧変換部40からの基準パルス信号(II)を受け取り、偏差(差分)値〔(I)−(II)〕を算出する。この偏差値は、原料空気の温度及び湿度の基準値からのそれぞれの変動分を合わせたものに相当する。そして、偏差演算制御部41は、求めた偏差値を考慮したパルス状電圧を一次出力としてゲート制御信号発生部42に送出する。
ここで一次出力として出力するものは、後述するような真理値表に基づいてパルス状電圧を出力する論理回路(図示せず)により形成されたパルス状電圧である。
【0072】
ゲート制御信号発生部42は、偏差演算制御部41から該一次出力のパルス状電圧を受け取り、該一次出力のパルス状電圧を反転させてゲート出力として高電圧発生部24に送出する。
【0073】
高電圧発生部24では、交流−直流変換部22から直流リップル除去部23を介して送られてきた直流電圧を、ゲート制御信号発生部42からのゲート信号に基づいてパルス状高電圧(1万Vを超える)に変換させ、このパルス状高電圧をオゾン発生用放電電極25に印加して、流通空気中で無声放電させることにより、所定濃度のオゾンを発生させる。
【0074】
ここで、偏差制御演算部41とゲート制御信号発生部42による放電エネルギー量の調整について詳しく説明する。
偏差演算制御部41は、例えば下記の表1及び表2に示すような真理値表に基づいてパルス状電圧を出力する論理回路(図示せず)を備えており、前記で得た偏差値を用い、次に示すようにしてパルス状電圧を一次出力として出力する。なお、表1は、測定値パルス信号(I)が基準パルス信号(II)に比べて小さい場合(同じ場合も含む)の真理値表であり、表2は、測定値パルス信号(I)が基準パルス信号(II)に比べて大きい場合の真理値表である。
【0075】
【表1】

【0076】
【表2】

【0077】
図8(a)〜(c)に、偏差制御演算部41の論理回路が、表1及び表2に示す真理値表に基づいて出力するパルス状電圧の一例をタイムチャートで示す。図8の(a)は測定値パルス信号(I)、(b)は基準パルス信号(II)、(c)は一次出力である。図8(d)はゲート制御信号発生部42のゲート出力である。また、図8の左側は表1の真理値表が適用される場合、右側は表2の真理値表が適用される場合である。

【0078】
表1、表2及び図8から明らかなように、偏差制御演算部41で算出した偏差値に相当するパルス幅の補償分は、測定値パルス信号(I)が基準パルス信号(II)と対比されて一次出力が形成され、その一次出力がゲート制御信号発生部42で反転されてゲート出力として高電圧発生部24に送られ、オゾン発生量が一定となるようにパルス状高電圧の放電エネルギーが制御される。
【0079】
ゲート制御信号発生部42は、該一次出力のパルス状電圧を反転させてゲート出力として高電圧発生部24に送出し、高電圧発生部24では、交流−直流変換部22から直流リップル除去部23を介して送られてきた直流電圧を、該ゲート信号に基づいてパルス状高電圧(1万Vを超える)に変換させ、このパルス状高電圧をオゾン発生用放電電極25に印加して、流通空気中で無声放電させることにより、温度及び湿度の変動にかかわらず、所定濃度のオゾンを発生させる。
【0080】
このような発生器によれば、そのオゾン発生量が基準温度及び基準湿度のときのオゾン発生量と同じ(オゾン含有ガス中のオゾン濃度と同じ)になるように、該パルス状高電圧の放電エネルギーを、その温度変動分及び湿度変動分(即ち、オゾン発生量の基準値からの増減分)に対応して、変動(増減)させる。そして、このようにして、オゾン発生部におけるパルス状高電圧の放電エネルギー量を、その基準放電エネルギー量に対して増減させることにより、オゾン発生量(オゾン含有ガス中のオゾン濃度)を、基準温度及び基準湿度でのオゾン発生量レベルに調整することができる。したがって、流通空気の温度及び湿度に関係なく、所定濃度のオゾンを発生することが可能となる。
【0081】
本発明で用いるオゾン発生器の放電エネルギー量調整は、前記した放電エネルギー量調整回路に限定されるものではなく、コンピューターを用いて温度と湿度の情報に基づいて、所望される放電エネルギー量を、実験で得られた温度及び湿度と必要な放電エネルギー量のデータを基に算出し、これにより必要なパルス状高電圧をオゾン発生部に印加する方式を採用することもできれば、所望される放電エネルギー量を、温度及び湿度と必要な放電エネルギー量との関係を実験により得られたデータにより表化し、これにより必要なパルス状高電圧をオゾン発生部に印加する方式を採用することもできる。
【0082】
前記のベンチュリ管方式のオゾン含有水発生機構12を用いると、濃度0.1〜20ppmのオゾン含有水を容易に安定して得ることができ、このオゾン含有水がオゾン含有水給水管5bを通ってノズル3から噴射される。
この場合、オゾン含有水給水管5bに流す水道水等の給水量、即ち、噴射ノズル3からの噴射流量としては、前記の通り、0.1〜3L/minが好ましく、0.2〜1L/minがより好ましく、更に好ましくは0.2〜0.8L/minである。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明の噴射装置は、肛門や、男性器、女性器などの治療、洗浄や、会陰部周辺等を治療、洗浄するために好適に用いられる。治療装置として用いる場合の適応疾患としては、(a)肛門有痛性急性疾患(痔核、裂肛、術後創等)、(b)婦人科疾患(外陰部掻痒症、真菌症、膣炎、)(c)肛門会陰感染症(ウィルス、細菌、真菌)、等が挙げられ、洗浄装置として、これらの予防にも用いることができる。また、本発明のオゾン含有水噴射装置は、使用者の会陰部周辺等の健康を確保し、更に治療も可能な水洗便器として使用することができる。更に、噴射ノズルを取外し可能にしたり、オゾン含有水給水管を着脱可能な継手部を設けたり、給水系統、オゾン含有水発生機構、及び噴射ノズルを独立した装置とすることにより、体の表面の部分であれば、いかなる部分であっても治療、洗浄による衛生化をすることができる。
【実施例】
【0084】
次に、本発明を実施例により詳述する。
【0085】
実施例1
図1、図3、図4に示した構成の電解式オゾン水生成装置を用いる「オゾン含有水噴射装置」を作製した。この装置の主要装置条件は以下の通りである。
次に示す温水洗浄装置の給水管に、次に示す電解式オゾン水生成装置と圧力計を取付け、圧力計の検知圧力が0.05〜0.06MPaの範囲で電解式オゾン水生成装置が作動するように、圧力計と電解式オゾン水生成装置とこれらを結ぶ電気回路を作製した。なお、圧力計は原料水給水管の途中に取り付けた。
【0086】
(i)温水洗浄装置:TOTO製「ウォシュレット Sα−TCF−371」
(ii)電解式オゾン水生成装置:アイ電子工業製「AOD−PH」
(iii)圧力計:SMC製「ISG111−031」
(iv)電気回路:圧力計と電解式オゾン水生成装置を結ぶ回路:圧力計の圧力が設定値以上になったことを検出した際に出力されるa接点をオゾン含有水発生機構の電源が入るように用いて作動する回路。
(v)噴射スイッチを押してから4ppmのオゾン含有水が噴射されるまでの時間:3~6秒
【0087】
実施例2
図1、図5、図6に示した構成のベンチュリ管方式の「オゾン含有水噴射装置」を作製した。この装置の主要装置条件は以下の通りである。
次に示す温水洗浄装置の給水管に、ベンチュリー管(MLC社製「Model287」を組込み、その下流に圧力ミキサー(シンユー技研社製「SS.M 」)を取付け、ベンチュリー管の絞り部にオゾンガスを注入できるようにオゾン発生器からのオゾン配管を接続した。更に、オゾン発生器と圧力計を取付け、圧力計の検知圧力が0.05〜0.06MPaの範囲でオゾン発生器が作動するように、圧力計とオゾン発生器とこれらを結ぶ電気回路を作製した。なお、圧力計は原料水給水管5aの途中に取り付けた。
【0088】
(i)温水洗浄装置:TOTO製「ウォシュレット Sα−TCF−371」
(ii)オゾン発生器としては、オゾン濃度の変動の補償機能を有する放電エネルギー量調整回路を装備させた試作品を使用した。
(iii)圧力計:SMC製「ISG111−031」
(iv)電気回路:圧力計と電解式オゾン水生成装置を結ぶ回路:圧力計の圧力が設定値以上になったことを検出した際に出力されるa接点をオゾン含有水発生機構の電源が入るように用いて作動する回路。
(v)噴射スイッチを押してから4ppmのオゾン含有水が噴射されるまでの時間:3〜6秒
【0089】
適用例1
実施例1の「オゾン含有水噴射装置」を用いて患者の治療を行った。この場合の主要操作条件を次に示す。
【0090】
主要操作条件
(i)オゾン含有水濃度: 4.0ppm
(ii)オゾン含有水噴射速度:0.3L/min
(iii)オゾン含有水の温度:28℃
(iv)オゾン含有水噴射圧力:0.05MPa
(v)オゾン含有水噴射時間 :約1〜3分
【0091】
肛門の術後創に対して、前記条件での治療をVAS50mm以上の5症例32例について本発明の装置を用いて治療を行った結果、治療前のVAS値「平均 60.0mm±13.3mm」であったところ、治療直後のVAS値が「平均 8.4mm±10.8mm」と一桁に低下し良好な鎮痛効果と創状態の改善効果が得られた。
【0092】
なお、前記VAS値とは、痛みの程度を最小0mmから最大100mmの長さで表現したものを意味する。
【0093】
また、VAS値が0mmの健常者に同様の治療を行った結果、いずれも会陰部の爽快感があるとの結果を得た。
【0094】
一方、従来の治療においては、水道水のみを用いる噴射洗浄は行っていたが、オゾン水洗浄を行なっていなかったので、治療直後に痛みが軽減してVAS値が良化する事はなかった。

【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】図1は、本発明のオゾン含有水噴射装置の斜視図である。
【図2】図2は、電解式オゾン水生成装置の構成の一例を示す模式図である。
【図3】図3は、電解式オゾン水生成装置を用いる場合のオゾン含有水の給水系統のブロック図である。
【図4】図4は、電解式オゾン水生成装置のブロック図である。
【図5】図5は、オゾン発生器を用いる場合のオゾン含有水の給水系のブロック図である。
【図6】図6は、オゾン発生器を用いる場合のオゾン含有水製造機構のブロック図である。
【図7】図7は、本発明の一実施形態に係るオゾン発生器の構成を模式的に示すブロック図である。
【図8】図8は、論理回路に基づいて出力されるパルス状電圧及びゲート出力の一例を示すタイムチャートである。
【符号の説明】
【0096】
1 鉢体
2 臀部保持部
2b 臀部保持座
3 噴射ノズル
4 原料水給水口
5 原料水給水管
5a 原料水給水管
5b オゾン含有水給水管
7 温水化タンク
8 固定部
9 蓋部
10 貯水タンク
11 吐出ポンプ
12 噴射用オゾン含有水製造機構
13 圧力検出器
14a 陽イオン交換部
14b 電解式オゾン水生成部
15a オゾン発生器
15b オゾン溶解部
16 ベンチュリー管
17 圧力ミクサー
18 オゾン分解装置・脱臭装置
21 交流電源
22 交流−直流変換部
23 直流リップル除去回路
24 高電圧発生部
25 オゾン発生用放電電極(オゾン発生部)
26 空気入口
30 オゾン発生用放電エネルギー量調整回路
31 温度計測部
32 湿度計測部
33 温度電圧変換部
34 湿度電圧変換部
35 温度電流変換部
36 湿度電流変換部
37 温度・湿度電流合成部
38 温度・湿度パルス電圧変換部
39 温度・湿度基準電圧発生部
40 基準パルス電圧変換部
41 偏差演算制御部
42 ゲート制御信号発生部
51a 陽極電極
51b 陰極電極
52 水流入口
53 オゾン水流出口
54
56 ラス網
57 ジャケット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オゾン含有水を噴射して治療及び/又は衛生化を行うためのオゾン含有水噴射装置であって、
i)オゾン含有水を噴射可能な噴射ノズルを有すること、
ii)原料水の給水口とオゾン含有水発生機構とが原料水給水管で繋がれ、オゾン含有水発生機構と噴射ノズルとがオゾン含有水給水管で繋がれており、オゾン含有水発生機構に導入された原料水を用いてオゾン含有水を製造し、オゾン含有水を噴射ノズルに供給すること、
iii)原料水給水管内又はオゾン含有水給水管内の圧力を検出する圧力検出装置が設けられていること、
iv)オゾン含有水発生機構が圧力検出装置による検出圧に基づいて作動すること、
を特徴とするオゾン含有水噴射装置。
【請求項2】
上端縁に臀部保持部が設けられた鉢体を有し、該鉢体内部にオゾン含有水を噴射可能な噴射ノズルが設けられており、オゾン含有水を肛門及び/又は会陰部周辺に噴射して肛門及び/又は会陰部周辺を治療及び/又は衛生化するための請求項1に記載のオゾン含有水噴射装置。
【請求項3】
前記オゾン含有水のオゾン濃度が0.1〜20ppmである請求項1又は2に記載のオゾン含有水噴射装置。
【請求項4】
前記オゾン含有水発生機構が、流入口と流出口とを有する通水路と、少なくとも1対の電極とを有し、供給された原料水を電気分解して発生したオゾンを原料水に溶解させる電解式オゾン含有水発生装置である請求項1〜3のいずれかに記載のオゾン含有水噴射装置。
【請求項5】
請求項4において、電解式オゾン含有水発生装置の上流に、Na型強酸性陽イオン交換樹脂を充填した陽イオン交換部が設けられ、
該陽イオン交換部で、Ca2+イオンまたは/およびMg2+イオンを含む原料水のCa2+イオン濃度または/およびMg2+イオン濃度を減少させると共にNa+ イオン濃度を高めた後、電解式オゾン含有水発生装置で電気分解することによりオゾン含有水を発生させる装置であるオゾン含有水噴射装置。
【請求項6】
前記オゾン含有水発生機構が、原料水の給水口とベンチュリー管とを原料水給水管で繋ぎ、ベンチュリー管と噴射ノズルとをオゾン含有水給水管で繋ぎ、オゾン発生装置で発生させたオゾンガスをベンチュリー管の絞り部近傍に注入してオゾンを原料水に溶解させる機構である請求項1〜3のいずれかに記載の用オゾン含有水噴射装置。
【請求項7】
請求項6において、前記ベンチュリー管の下流に圧力ミクサーが設けられているオゾン含有水噴射装置。
【請求項8】
前記オゾン発生装置が、パルス状高電圧を流通空気中で無声放電させてオゾンを発生させるオゾン発生部と、該オゾン発生部で印加するパルス状高電圧の放電エネルギー量を調整する放電エネルギー量調整回路を備え、該流通空気の温度及び湿度に関係なく所定濃度のオゾンを発生させるオゾン発生装置であって、
該放電エネルギー量調整回路が、
流通空気の温度を表す電流信号を形成する温度電流信号形成部と、
流通空気の湿度を表す電流信号を形成する湿度電流信号形成部と、
該温度電流信号形成部からの電流信号と該湿度電流信号形成部からの電流信号とを合成して温度・湿度電流信号とする温度・湿度電流信号合成部と、
該温度・湿度電流信号合成部からの温度・湿度電流信号をパルス状の温度・湿度パルス電圧信号に変換する温度・湿度パルス電圧信号変換部と、
該温度・湿度パルス電圧信号変換部からの温度・湿度パルス電圧信号と基準温度及び基準湿度における温度・湿度基準パルス電圧信号との偏差値を演算する偏差制御演算部を有し、
該偏差制御演算部で得た偏差値に基づき、該オゾン発生部で印加するパルス状高電圧の放電エネルギー量を調整するオゾン発生装置である請求項6又は7に記載のオゾン含有水噴射装置。
【請求項9】
前記噴射ノズルをオゾン含有水給水管ごと取外して使用できる請求項2〜8のいずれかに記載のオゾン含有水噴射装置。
【請求項10】
前記オゾン含有水給水管の根元または其の途中に、該オゾン含有水給水管を着脱可能な継手部が設けられている請求項2〜8のいずれかに記載のオゾン含有水噴射装置。
【請求項11】
前記鉢体の内部のオゾンを排気可能なオゾン排気装置が設けられている請求項2〜10のいずれかに記載のオゾン含有水噴射装置。
【請求項12】
前記原料水給水管の途中又はオゾン含有水給水管の途中に、温水化装置が設けられている請求項1〜11のいずれかに記載のオゾン含有水噴射装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−161858(P2008−161858A)
【公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−261922(P2007−261922)
【出願日】平成19年10月5日(2007.10.5)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(503370044)有限会社オーテック・ラボ (4)
【出願人】(506228401)
【Fターム(参考)】